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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H01L
管理番号 1246650
審判番号 訂正2011-390108  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2011-09-09 
確定日 2011-10-24 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4632612号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4632612号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4632612号(以下、「本件特許」という。)に係る発明は、平成12年9月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1999年9月30日、アメリカ合衆国)に国際出願したものであって、同22年11月26日に特許権の設定登録がされ、その後、同23年9月9日に本件訂正審判が請求されたものである。

第2 本件訂正審判における請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、本件特許に係る明細書(以下、「特許明細書」という。)を、審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、以下の各訂正事項のとおり訂正すること(以下、「本件訂正」という。)を求めるものである。

(1)訂正事項1
特許明細書の請求項9における「前記フロアに統合されたフィルタ」の記載を「前記ブロアに統合されたフィルタ」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許明細書の請求項13における「請求項4記載の大気圧搬送モジュール」の記載を「請求項5記載の大気圧搬送モジュール」と訂正する。

(3)訂正事項3
特許明細書の請求項13における「前記リダイレクトエアフローは、10フィート毎分(3.04メートル毎秒)?80フィート毎分(24.38メートル毎秒)の平均流速を有し、前記非リダイレクトエアフローは、40フィート毎分(12.19メートル毎秒)?120フィート毎分(36.57メートル毎秒)の平均流速を有する」の記載を「前記リダイレクトエアフローは、10フィート毎分(3.04メートル毎分)?80フィート毎分(24.38メートル毎分)の平均流速を有し、前記非リダイレクトエアフローは、40フィート毎分(12.19メートル毎分)?120フィート毎分(36.57メートル毎分)の平均流速を有する」と訂正する。

第3 当審の判断
(1)訂正事項1について
本件特許の訂正前の請求項9(以下、「旧請求項9」という。)には、「前記フロアに統合されたフィルタ」と記載されているが、旧請求項9及び旧請求項9が引用する請求項1には、「フロア」の記載がないことから、旧請求項9の当該記載は不明瞭である。
そこで、発明の詳細な説明を参酌すると、「フィルタ」に関して、「ATM200は、フィルタおよび可変速式のブロアを含んだトップ部分を備える。」(段落【0020】)との記載があること、及び旧請求項9が引用する請求項1には「ブロア」について記載があることから、旧請求項9における「前記フロアに統合されたフィルタ」は、「前記ブロアに統合されたフィルタ」の誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項1は誤記の訂正を目的とするものである。
さらに、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0020】に記載された事項に基づいて行われているから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
本件特許の訂正前の請求項13(以下、「旧請求項13」という。)には、「前記非リダイレクトエアフロー」と記載されているが、旧請求項13及び旧請求項13が直接又は間接に引用する請求項1ないし4には、「非リダイレクトエアフロー」の記載がないことから、旧請求項13の当該記載は不明瞭である。
そこで、発明の詳細な説明を参酌すると、「非リダイレクトエアフロー」に関する、「調整されたエアフロー220の一部分は、非リダイレクトエアフロー220bとして多孔シート205を通って流れる。リダイレクトエアフロースロット203を通るリダイレクトエアフロー220aおよび多孔シート205を通って流れる非リダイレクトエアフロー220bは、ともに、ATM200の囲みハウジングの下方領域に設けられた通気孔221から排出され、排気222として表される。」(段落【0024】)の記載、及び「非リダイレクトエアフロー」の「好ましい範囲」が「約40-120フィート/分(12.19-36.57メートル/分)」であること(段落【0027】【表A】)の記載、並びに「下方領域」に関する、「多孔シートは、シェルフから水平に広がって、さらに中央領域とボトム領域との境界を規定するように設けられる。」(段落【0021】)の記載から、旧請求項13における「非リダイレクトエアフロー」は、請求項5の「前記多孔シートによって制約を加えられた前記ブロアからの前記エアフローの少なくとも一部は、非リダイレクトエアフローとして前記多孔シートを通って前記シェルフおよび前記多孔シートの下方の前記領域に流れ込む」の記載における「非リダイレクトエアフロー」を指すものであって、旧請求項13が引用する「請求項4」は、「請求項5」の誤記であることは明らかであるる。
したがって、訂正事項2は誤記の訂正を目的とするものである。
さらに、訂正事項2は、当初明細書等の段落【0021】、【0024】及び【0027】に記載された事項に基づいて行われているから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
1フィートは約0.304メートルに換算されるという一般常識を踏まえると、旧請求項13の「10フィート毎分(3.04メートル毎秒)」、「80フィート毎分(24.38メートル毎秒)」、「40フィート毎分(12.19メートル毎秒)」、「120フィート毎分(36.57メートル毎秒)」の記載は不合理である。
そこで、発明の詳細な説明を参酌すると、段落【0027】【表A】には、「10フィート毎分(3.04メートル毎分)」、「80フィート毎分(24.38メートル毎分)」、「40フィート毎分(12.19メートル毎分)」、「120フィート毎分(36.57メートル毎分)」との、上記一般常識に適合した記載があることから、旧請求項13における「10フィート毎分(3.04メートル毎秒)」、「80フィート毎分(24.38メートル毎秒)」、「40フィート毎分(12.19メートル毎秒)」、「120フィート毎分(36.57メートル毎秒)」は、「10フィート毎分(3.04メートル毎分)」、「80フィート毎分(24.38メートル毎分)」、「40フィート毎分(12.19メートル毎分)」、「120フィート毎分(36.57メートル毎分)」の誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項3は誤記の訂正を目的とするものである。
さらに、訂正事項3は、当初明細書等の段落【0027】に記載された事項に基づいて行われているから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものである。
次に、訂正事項3が、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するか否かについて検討する。新旧請求項13の文言のみに即して形式的に考察すると、「3.04メートル毎秒」、「24.38メートル毎秒」、「12.19メートル毎秒」及び「36.57メートル毎秒」の値は、それぞれ「3.04メートル毎分」、「24.38メートル毎分」、「12.19メートル毎分」及び「36.57メートル毎分」の値と明らかに異なるから、その限りでは特許請求の範囲の変更となる問題があるかのようであるが、旧請求項13の「3.04メートル毎秒」、「24.38メートル毎秒」、「12.19メートル毎秒」及び「36.57メートル毎秒」とある記載は、上述のとおりその記載からだけでは不合理である。そこで、発明の詳細な説明を参酌すると、これらの記載は、それぞれ「3.04メートル毎分」、「24.38メートル毎分」、「12.19メートル毎分」及び「36.57メートル毎分」の誤記であることが明らかであるから、その実質をとらえて考察すると、訂正事項3は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)独立特許要件について
訂正後における特許請求の範囲の請求項9及び13に記載されている事項により特定される発明は、共に特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

第4 むすび
したがって、本件訂正は、特許法第126条第1項第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項ないし第5項の規定に適合するので、本件訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
制御された小環境を有するウエハの大気圧搬送モジュール、大気圧搬送モジュールを作成するための方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】大気圧搬送モジュールであって、1つ以上のロードロックチャンバおよびクリーンルームに接続されるように構成され、
調整されたエアフローを自身から遠ざかる下向きの方向に生成するためのブロアを有したトップ部分(200a)と、
前記ブロアから横方向にずらして配置されたロードセル部(202)と、前記ロードセル部はウエハカセット(212)をサポートするためのシェルフ(204)を含み、前記シェルフは前記ロードセル部の壁から隔てて配置され、前記ロードセル部の壁と前記シェルフの端部との間にはリダイレクトエアフロー用のスロット(203)が規定され、前記ロードセル部は、前記ウエハカセットを挿入したり取り出したりするためのドア(210)を少なくとも1つ有し、
前記ブロアの下方に規定された多孔シート(205)であって、自身を通るエアフローに制約を加え、さらに、前記ウエハカセットを通してリダイレクトエアフロー(220a)を前記リダイレクトエアフロー用のスロットに導くように構成された多孔シートと
を含んだハウジング(200)と、
前記ハウジングの中に設けることができると共に、前記ウエハカセットと前記1つ以上のロードロックチャンバとの間でウエハを移送するためのアームセットを有するロボット(206)と
を備える大気圧搬送モジュール。
【請求項2】請求項1記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記多孔シートはエアフローの量に制約を加えるように選択され、前記導入されたリダイレクトエアフローは前記多孔シートによって制約を加えられたエアフローの量と、前記ブロアからの前記調整されたエアフローの流速とに依存して調節される大気圧搬送モジュール。
【請求項3】請求項2記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記ウエハカセットを通って流れる前記調整されたエアフローの少なくとも一部は、前記ウエハカセットにある1つ以上のウエハに沿って流れる大気圧搬送モジュール。
【請求項4】請求項3記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記ウエハカセットを通って流れる前記リダイレクトエアフローは、前記リダイレクトエアフロー用のスロットを通って前記シェルフおよび前記多孔シートの下方の領域へと導かれる大気圧搬送モジュール。
【請求項5】請求項4記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記多孔シートによって制約を加えられた前記ブロアからの前記エアフローの少なくとも一部は、非リダイレクトエアフローとして前記多孔シートを通って前記シェルフおよび前記多孔シートの下方の前記領域に流れ込む大気圧搬送モジュール。
【請求項6】請求項5記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記シェルフおよび前記多孔シートの下方の前記領域へと導入された前記リダイレクトエアフローおよび前記非リダイレクトエアフローは、通気孔を通って前記大気圧搬送モジュールの前記領域から排出される大気圧搬送モジュール。
【請求項7】請求項1記載の大気圧搬送モジュールであって、さらに、
前記シェルフの下方に配置され、前記リダイレクトエアフロー用のスロットを通して前記シェルフおよび前記多孔シートの下方に規定された領域に前記リダイレクトエアフローを引き込むように構成されたファンと、
前記ファンを前記ロードセル部のドアに結合させ、前記ロードセル部の前記ドアが開いたときに前記ファンのスイッチが切れるようにする連動機構と
を備える大気圧搬送モジュール。
【請求項8】請求項7記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記ハウジングからエアフローを除去するための通気孔が、前記シェルフおよび前記多孔シートの下方に規定される大気圧搬送モジュール。
【請求項9】請求項1記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記ハウジングは、さらに、前記ブロアに統合されたフィルタを備える大気圧搬送モジュール。
【請求項10】請求項1記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記多孔シートの上方に規定され前記多孔シートを含んだ前記ハウジングの内側部分は、電解研摩されたステンレススチールで形成される大気圧搬送モジュール。
【請求項11】請求項1記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記ロードセル部の前記シェルフは、1つ以上の前記ウエハカセットをサポートするように構成される大気圧搬送モジュール。
【請求項12】請求項11記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記1つ以上のウエハカセットは、仕切りの壁によって個々に取り囲まれている大気圧搬送モジュール。
【請求項13】請求項5記載の大気圧搬送モジュールであって、
前記リダイレクトエアフローは、10フィート毎分(3.04メートル毎分)?80フィート毎分(24.38メートル毎分)の平均流速を有し、前記非リダイレクトエアフローは、40フィート毎分(12.19メートル毎分)?120フィート毎分(36.57メートル毎分)の平均流速を有する大気圧搬送モジュール。
【請求項14】大気圧搬送モジュールを作成するための方法であって、
トップ領域と、中央領域と、ボトム領域と、ロードセル領域(202)と、を有した囲いハウジング(200)を形成し、
前記囲いハウジングの前記トップ領域の中に、前記中央領域へと下向きに流れるエアフロー(220)を生成するように構成されたブロア(200a)を設け、
前記囲みハウジングの前記中央領域と前記ボトム領域との水平な境界を規定するシェルフであって、前記ロードセル領域の壁から少なくとも部分的に隔てて配置され、前記ロードセル領域の壁と前記シェルフの端部との間にスロットを規定するシェルフ(204)を設け、
前記シェルフから水平に広がって、さらに前記中央領域と前記ボトム領域との境界を規定する多孔シート(205)であって、前記ブロアによって生成されたエアフローは、前記多孔シートを自由に通らないように制約を加えられ、前記エアフローの一部分は、前記ロードセルの前記シェルフに向かい前記スロットを通ってさらに前記囲いハウジングの前記ボトム領域に流れ込むように、前記多孔シートからそれる方向にリダイレクトされる多孔シートを設ける
方法。
【請求項15】請求項14記載の大気圧搬送モジュールを作成する方法であって、
1つ以上のウエハを有したウエハカセットは、前記ロードセルの前記シェルフの上に位置するように構成される方法。
【請求項16】請求項15記載の大気圧搬送モジュールを作成する方法であって、
前記シェルフに向かってリダイレクトされた前記エアフローの一部は、前記ウエハカセットの前記1つ以上のウエハに沿って流れる方法。
【請求項17】請求項16記載の大気圧搬送モジュールを作成する方法であって、
前記シェルフに向かってリダイレクトされた前記エアフローの一部は、前記ウエハカセットの前記1つ以上のウエハの表面上の空気中に含まれるプロセスガスを除去するのに役立つ方法。
【請求項18】請求項16記載の大気圧搬送モジュールを作成する方法であって、
前記シェルフに向かってリダイレクトされた前記エアフローの一部は、前記ウエハカセットの前記1つ以上のウエハの表面からの微粒子の除去に部分的に寄与する方法。
【請求項19】請求項14記載の大気圧搬送モジュールを作成する方法であって、
前記多孔シートはグリッド構成を有し、電解研摩されたステンレススチールである方法。
【請求項20】請求項14記載の大気圧搬送モジュールを作成する方法であって、
前記多孔シートは複数の穿孔を有し、電解研摩されたステンレススチールである方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、半導体処理装置のモジュール間でウエハを移送することに関し、特に、制御された小環境を有するモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造では、処理チャンバは、例えば、接続されたチャンバ間でウエハまたは基板を移送を許容するように相互に接続される。このような移送は、例えば搬送モジュールによって行われる。搬送モジュールは、接続されたチャンバ間において、隣り合う壁に設けられたスロットまたはポートを通してウエハの移送を行う。例えば、搬送モジュールは、半導体エッチングシステム、材料堆積システム、フラットパネルディスプレイエッチングシステムを含む、様々な基板処理モジュールとの連携のもとで使用されるのが一般的である。清浄度および処理精度への要求が高まるにつれて、処理工程中および処理工程間での人的介入を減らす必要性が増してきている。この必要性は、中間的な処理装置として動作する真空搬送モジュール(真空状態などの減圧状態に維持される)によって、部分的に解決されてきた。例えば、真空搬送モジュールは、基板が保管される1つ以上のクリーンルーム保管設備と、エッチングまたは堆積処理といった処理が基板に対して実際に実行される複数の基板処理モジュールとの間に物理的に設置されると良い。こうすると、基板の処理が必要になった際に、搬送モジュールの中に設けられたロボットアームを利用して、選択された基板をロードロックチャンバから取り出し、複数の処理モジュールのうちの1つの中に配置することが可能になる。
【0003】
当業者に周知のように、複数の保管設備と複数の処理モジュールとの間で基板を「搬送する」搬送モジュールの構成は、多くの場合において「クラスタツール構造」システムと称される。図1Aは、半導体工程における代表的なクラスタ構造100を示した図であり、図中には、真空搬送モジュール106に接続された様々なチャンバが示されている。図中、真空搬送モジュール106は、様々な製造工程を実施するために個々に最適化された3つの処理モジュール108a?108cに結合されている。処理モジュール108a?108cは、例えば、変圧器結合プラズマ(TCP)基板エッチング、層の堆積、および/またはスパッタリングを実行できるように構成して良い。
【0004】
真空搬送モジュール106には、ウエハを真空搬送モジュール106に導入するように構成されたロードロック104が接続されている。ロードロック104は、クリーンルーム102に接続された大気圧搬送モジュール(ATM)103に結合することができる。ATM103は、一般に、ウエハのカセットを保持するための領域と、ウエハをカセットから取り出してロードロック104に対して出し入れするロボットと、を有する。周知のように、ロードロック104は、真空搬送モジュール106とATM103との間における圧力変更インターフェースとして機能する。したがって、ATM103およびクリーンルーム102を大気圧に保持する一方で、真空搬送モジュール106を定圧(例えば真空)に維持することが可能になる。
【0005】
図1Bは、大気圧搬送モジュール(ATM)103を含んだシステムの部分図150であり、図中のATM103は、フィルタ/ブロア152aと、アームセット158を有したロボット156と、シェルフ154とを含む。シェルフ154は、ウエハ162のカセット160をカセット環境152bの中で保持するように構成される。ATM103のカセット環境152bは、ドア155を有する。ドア155は、処理中にカセット160を挿入するまたは取り出すために開くことができるドア155を有する。フィルタ/ブロア152aは、ATM103へのエアフロー170を生成するように構成される。このため、エアフロー170は、実質的な妨害を受けることなしに、微粒子スクリーン171を通ってATM103の下部に達し、排気口152cから排出される。また、ATM103は、ロードロック104および搬送モジュール106に接続された状態で簡単に図示されている。上述したように、搬送モジュール106は、選択された処理モジュール108間でウエハを移送することができる。
【0006】
従来技術によるこのタイプのATM103は、カセット160とロードロック104との間でかなり効率よくウエハを移送することができるが、ブロア152aの動作時に、エアフロー170がカセット環境152bを迂回することが知られている。その結果、カセット環境152は、実質的に静止した状態に維持される。つまり、ウエハ162間の環境が、動作時におけるエアフロー170の影響を実質的に受けない状態に維持される。
【0007】
図1Cは、複数のウエハ162を有したカセット160を、より詳細に示した図である。一般に、処理モジュール108の1つで処理されたウエハがカセット160に戻されると、ウエハ162の間に後処理ガスが流れる。これらのガスは、直近に処理されたウエハ162の上面から発散された状態で、符号166によって図示されている。ウエハ162間にこのようなガス166が存在すると、化学ガスが化学反応を続けるので、処理済みウエハ162の歩留まりを低下させるという問題を生じる。ウエハの劣化が大きいと、歩留まりの低下に関連した金銭的な損失が顕著になる。
【0008】
カセット環境152bが停滞すると、ウエハ162の表面に落ちた微粒子が、カセット環境152bにカセットが留まっている間中にわたり表面に残留し続けるという問題を生じる。これらの微粒子164は、ウエハ162上に形成された半導体回路を大きく損傷させる可能性がある。周知のように、処理操作と処理操作との間でウエハ162の表面に微粒子164が残留していることは望ましくない。ウエハ162の表面に微粒子が残留する時間が長くなると、このような微粒子によって精密な集積回路が損傷される可能性も高くなり、洗浄がいっそう困難になる。
【0009】
停滞したカセット環境152bの中にカセット160が止まっていると、ドア155を開いてカセット160を取り出す工程技師が、ウエハ162の表面から発散される望ましくないレベルの有毒ガス166に曝されるという問題を生じる。このように、プロセスガスや化学副産物に曝されると、カセットを取り扱うにあたって混乱を生じ、処理済みの貴重な半導体ウエハ162が満載されたカセット160を取り落とす可能性がある。
【0010】
以上から、ウエハのカセットの中および周りの環境を制御できる大気圧搬送モジュールが必要とされていることがわかる。
【0011】
【発明の概要】
本発明は、概して、処理中のウエハのカセットが一時的に保管される領域の中に小環境を生成することができる大気圧の搬送モジュールを提供することによって、これらのニーズを満たすものである。小環境は、ウエハの間を流れるエアフローを規定することによって、ウエハを取り囲む環境からプロセスガスおよび副産物を実質的に除去するように、構成されることが好ましい。ここで、本発明が、工程、装置、システム、デバイス、または方法を含む様々な方法で実現できることを、理解しておく必要がある。以下では、本発明の実施形態をいくつか取り上げて説明する。
【0012】
一実施形態において、大気圧の搬送モジュールを開示する。モジュールは、進歩性を有したいくつかの要素を含んだハウジングを有する。ハウジングは、調整されたエアフローを自身から遠ざかる下向きの方向に生成するためのブロアを含んだトップ部分を有する。ハウジングは、また、ブロアから横方向にずらして設けられたロードセル領域を含む。ロードセルは、ウエハカセットをサポートするためのシェルフを含み、シェルフは、ロードセルの壁から隔てられることによってリダイレクトエアフロースロットを規定する。ブロアの下方には、多孔シートが規定される。この多孔シートは、自身を通してエアフローに制約を加え、横方向にずれて設けられたロードセルのウエハカセットへとリダイレクトエアフローを導入するように構成される。このようなリダイレクトエアフローによって、ウエハカセットの中でウエハの周りを漂っている残留プロセスガスをウエハカセットから押し流し、リダイレクトエアフロースロットから排出できるという利点が得られる。さらに、開いたドアからエアが流れ出ることによって、外から微粒子が侵入する可能性を減らせるという利点も得られる。
【0013】
別の一実施形態において、大気圧搬送モジュールを開示する。モジュールは、トップ領域と、中央領域と、ボトム領域と、ロードセル領域と、を有した囲いハウジングを含む。ブロアは、囲いハウジングのトップ領域の中に設けられ、中央領域へと下向きに流れるエアフローを生成するように構成される。ロードセル領域の中に設けられたシェルフは、囲いハウジングの中央領域とボトム領域との境界を規定している。シェルフは、ロードセル領域の壁から少なくとも部分的に隔たれることによって、シェルフの後方においてスロットを規定している。多孔シートは、シェルフから広がって、さらに中央領域とボトム領域との境界を規定するように構成される。この実施形態において、ブロアによって生成されたエアフローは、多孔シートを自由に通らないように制約を加えられ、その一部分は、ロードセルのシェルフに向かいスロットを通ってさらに囲いハウジングのボトム領域に流れ込むようにリダイレクトされる。
【0014】
リダイレクトエアフローおよび非リダイレクトエアフロー(多孔シートを通って流れるエアフロー)は、ボトム領域に達した後に通気孔から排出される。別の1実施形態では、ボトム領域の中にファンを設け、シェルフの後方に規定されたスロットを通るリダイレクトエアフローをサポートすることができる。こうして、リダイレクトエアフローは、1つまたはそれ以上のウエハを有したカセットがロードセル領域のシェルフの上に座している際に、ウエハの上に存在し得る任意のポストプロセスガスおよび微粒子を循環させるように作用する。したがって、ポストプロセスガスおよび任意の微粒子が、通気孔を通って囲みハウジングのボトム領域から流し出される。この実施形態では、ファンが(1つまたは複数の)ドアに連動していることが好ましい。こうすれば、ロードセルのどのドアが開いた場合でもファンのスイッチを切ることができる。こうして、ドアが開いたときに、汚れた空気がATMに引き入れられてウエハが汚染されることが阻止される。
【0015】
さらに別の一実施形態において、大気圧搬送モジュールを作成する方法を開示する。この方法は、トップ領域と、中央領域と、ボトム領域と、ロードセル領域と、を有した囲いハウジングを形成する工程を含む。ブロアは、囲いハウジングのトップ領域の中に設けられ、中央領域へと下向きに流れるエアフローを生成するように構成される。シェルフは、ロードセル領域の中に設けられ、囲いハウジングの中央領域とボトム領域との境界を規定している。シェルフは、ロードセル領域の壁から少なくとも部分的に隔たれることによって、シェルフの後方においてスロットを規定している。多孔シートは、シェルフから水平に広がって、さらに中央領域とボトム領域との境界を規定するように設けられる。ブロアによって生成されたエアフローは、多孔シートを自由に通らないように制約を加えられ、その一部分は、多孔シートからそれてロードセルのシェルフに向かいスロットを通ってさらに囲いハウジングのボトム領域に流れ込むように、多孔シートからそれる方向にリダイレクトされる。
【0016】
1つ以上のウエハを有するウエハカセットは、ロードセルのシェルフの上に座して、リダイレクトエアフローを受けるように構成される。したがって、リダイレクトエアフローは、ウエハカセットの中に一時的に保管され得る任意のウエハの上で、静かな空気の流れを維持する。シェルフは、2つ以上のウエハカセットを保持するように構成され、そして、各ウエハカセットの周りに仕切り用の囲みを設けることによって、シェルフ後方のドアを開いて特定のウエハカセットを取り出す際に、安定した小環境を維持することができる。
【0017】
リダイレクトエアフローがウエハの上を静かに流れるので、ロードセルの中に座しているウエハは、停滞した環境の中でポストプロセスガスの蓄積を生じないことを保証される。静かに流れるリダイレクトエアフローは、カセットの中に座しているウエハの上から微細粒子を除去する際にも役立つので、処理済みウエハの歩留まりおよび品質を高める制御された小環境を維持することができる。本発明の原理を例示した添付図面と関連付けながら行う以下の詳細な説明によって、本発明のその他の態様および利点が明らかになる。
【0018】
本発明は、添付図面を用いた以下の詳細な説明によって、容易に理解される。なお、この添付図面においては、同様の構成要素には同様の番号体型が与えられている。
【0019】
【発明の実施の形態】
処理中のウエハカセットを一時的に保管する領域の中に小環境を生成することができる大気圧搬送モジュールの発明を開示する。小環境は、ウエハの間を実質的にウエハに沿って流れるエアフローを規定することによって、カセットの中に座しているウエハの間からプロセスガスおよび副産物を実質的に除去するように、構成されることが好ましい。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明は、これらの項目の一部または全てを特定しなくても実施できる。そのほか、本発明が不明瞭にならないため、周知の処理操作については詳細には説明していない。
【0020】
図2Aは、クリーンルームフロア201の上に位置することができる大気圧搬送モジュール(ATM)200を、本発明の一実施形態にしたがい示す図である。ATM200は、フィルタおよび可変速式のブロアを含んだトップ部分を備える。あるいは、可変速式のブロアの代わり定速式のブロアを使用し、さらに、エアフローを調整するための組込み式のダンパをセパレータ205に含ませることもできる。ATM200の一部としては、ウエハ214のための1つまたはそれ以上のカセット212を保持するように構成されたロードセル202も含まれる。この実施例におけるカセット212は、任意サイズの複数のウエハを保持することができるオープンカセットである。例えば、カセット212は、200mmのウエハ、300mmのウエハ、さらには200mmより小さいウエハや300mmより大きいウエハをも保持できるように、構成することができる。オープンカセット212の代表的なメーカとして、米国ミネソタ州チャスカ所在のフルオロウェア社(Fluoroware,Inc.)が挙げられる。
【0021】
ATM200は、カセット212と隣接するロードロック(未図示)との間でウエハを取り扱ったり移送したりするためのアームセット208を有したロボット206を保持するように構成される。カセット212は、ロードセル領域においてシェルフ204とATM200の後壁との間にリダイレクトエアフロースロット203を規定するシェルフ204の上に位置することが好ましい。シェルフ204とほぼ同じ高さでシェルフ204から広がる多孔シート205は、アームセット208をロボット206から隔てている。一般に、多孔シート205は、ウエハを一時的に保管し、取り扱い、移送するクリーンな領域と、ロボットモータが備わっている下方の領域と、の境界を規定するように構成される。
【0022】
好ましい一実施形態において、多孔シート205の上方に位置するATM200の内壁(すなわちATM200のうちクリーンな中央領域)は、ウエハ214上の精密なマイクロデバイスを損傷させ得る壁の腐食および電荷の蓄積を阻止できるように、電解研摩されたステンレススチールで形成される。多孔シート205も電解研摩されたステンレススチールであることが好ましい一方で、多孔シート205の下方に位置する壁は粉体塗装されたスチールであって良い。ウエハは多孔シート205より上の高さで維持されるので、多孔シートおよびシェルフ204の下方における電荷の蓄積は、一般に問題にならない。図中のATM200は、ATM200に対してカセット212の出し入れを行うために開くことができるドア210を有する。多孔シート205の下方には、排気222をクリーンルームに引き入れてATM200のハウジングの囲いから排出させることを可能にする通気孔221が設けられる。必要時には、通気孔221にダンパを取り付けることによって、過剰な量の空気がATM200に出入りするのを阻止することができる。さらには、通気孔はATM200の底部に設けられ得る。
【0023】
200aの中のフィルタは、例えば、0.1ミクロンに対して約99.9995%の高効率を達成することが可能な任意の適切なフィルタであって良い。代表的なフィルタとして、米国ケンタッキー州ルイスヴィル所在のアメリカンエアフィルタ社(American Air Filter,International)によるホウ珪酸ガラスファイバを使用したアメリカンエアフィルタが挙げられる。同様に、ブロアは、クリーンルーム環境において使用することができる任意の適切な可変速式ブロア(または定速式ブロア)であって良い。代表的な可変速式ブロアとして、コネチカット州ファーミントン所在のEBM社(EBM Industries)によるカゴ形ブロアRH31M-4/104371が挙げられる。可変速式ブロアは、フィルタを通して、多孔シート、アームセット208、およびカセット212に向かって初期的に下向きに方向付けられた調整されたエアフロー220を生成する。
【0024】
一実施形態において、多孔シート205は、特定の量のエアフローを通過させてリダイレクトエアフロー220aを形成するように、(任意の所望の形状を有した)開口部を使用して較正される。リダイレクトエアフロー220aが生成されると考えられるのは、多孔シート205が、多孔シート205を通ってATM200の下方領域へと向かうエアフロー(すなわち非リダイレクトエアフロー220b)に対して、少なくとも部分的に制約を加えるからである。
【0025】
図に示すように、リダイレクトエアフロー220aは、ロードセル202に向かって曲がり、カセット212の中および周りに小環境を形成する。したがって、リダイレクトエアフロー220aの少なくとも一部分は、ウエハ214の間をウエハ214に沿って流れ、さらにリダイレクトエアフロースロット203を通って下向きに流れる。カセット212の中のウエハ214の間を通って流れるリダイレクトエアフローによって生成された小環境は、ロードセル202の中に座しているウエハ214の表面から、停滞したガスおよび微粒子を除去するのに役立つ。もちろん、調整されたエアフロー220の一部分は、非リダイレクトエアフロー220bとして多孔シート205を通って流れる。リダイレクトエアフロースロット203を通るリダイレクトエアフロー220aおよび多孔シート205を通って流れる非リダイレクトエアフロー220bは、ともに、ATM200の囲みハウジングの下方領域に設けられた通気孔221から排出され、排気222として表される。
【0026】
次の表Aに示すように、一実施形態において、調整されたエアフロー220は、約40フィート毎分(12.19メートル毎分)?約120フィート毎分(36.57メートル毎分)の平均流速で多孔シート205を通って流れ、リダイレクトエアフロー220aは、約10フィート毎分(3.04メートル毎分)?約80フィート毎分(24.38メートル毎分)の平均流速で静かにウエハ214の間を流れる。表Aに示された平均流速は、ロードセル202のドア210が閉じられている場合の代表的な値である。ロードセル202のドア210が少なくとも1つ開かれている場合の代表的な平均流速は、表Bに示される。
【0027】
【表A】

【0028】
【表B】

【0029】
図2Bは、本発明の別の一実施形態を示した図であり、図中のATM200は、リダイレクトエアフロー220aがリダイレクトエアフロースロット203を通って通気孔221から流れ出るのをさらにサポートするためのファン240を含む。図に示すように、ファン240は、シェルフ204に連結された壁204aに設けられている。ファンは、リダイレクトエアフロー220aがスロット203を通りさえすれば、任意の方法で設けることが可能である。このように、ファン204を設けることによって、リダイレクトエアフロースロット203を通してさらなる吸い込みが提供されるので、ウエハ214の間に存在するプロセスガスおよび副産物を、リダイレクトエアフロースロット203を通るように引き込んで、ファンエアフロー220a’として排出することが可能になる。前述したように、ドアが開いたときには、ファンのスイッチを切って、「汚れた」クリーンルームエアが引き込まれるのを阻止することが好ましい。
【0030】
図3Aは、処理システムに接続されたATM200を、本発明の1実施形態にしたがって示した上面図である。ATM200の構造およびロードロック104に対するロボットの配置に関しては、1999年6月29日付けの同時係属の米国特許出願09/342,669「Atmospheric Wafer Transfer Module with Nest For Wafer Transport Robot and Method of Implementing Same(ウエハ搬送ロボット用のネストを有した大気圧エウエハ移送モジュールおよびそれを実現する方法)」において、詳細に説明されている。この出願を、引例として本明細書に組み込むものとする。図に示すように、ATM200は、1対のロードロック104に通じるように設計される。ロードロック104は、ゲートバルブ105によって搬送チャンバ106に結合されている。そして、搬送チャンバ106は、処理モジュール108に連結することができる。ロボットアーム(図示せず)は、ロードロック104の中からウエハを取り出して、そのウエハを処理動作が実施される選択された処理モジュール108に挿入するために、搬送チャンバ106の中に設けられる。
【0031】
図中のATM200は、ロードロック104に挿入する前にウエハをアームセット208の上に並べることができるアライナ250を有している。図中のロードセル202は、カセット212をサポートするシェルフ204を有している。図中のカセット212は、ウエハ214を有している。カセット212の後方でシェルフ204の高さには、図2Aおよび図2Bを参照にして上述したリダイレクトエアフロースロット203が設けられている。ドア210は、ロードセル202に対してカセット212の出し入れを行うことを可能にする。カセットの挿入および取り外しは、外部のクリーンルームロボット(図示せず)あるいは人が行う。
【0032】
この実施形態において、図中のATM200は、グリッド状の多孔シート205を有している。多孔シート205は、ウエハ214の間をそしてリダイレクトエアフロースロット203を通って流れるエアフローの量を増やすまたは減らすように選択することができる。図中のATM200は、斜めのロードロック104に接続できる幾何学形状を有しているが、他の任意の形状によって、エアフローの適切なリダイレクトを可能にすることができる。リダイレクトは、主に、多孔シート205を通してエアフローに制約を加えた結果として生じるので、エアフローの少なくとも一部分が、シェルフ204およびカセット212の中の任意のウエハに向かってリダイレクトされる。
【0033】
図3Bは、本発明による別の一実施形態を示した図であり、ロードセル202および多孔シート205’に変更が加えられている。図に示すように、多孔シート205’は、より密なグリッド構成を有する。このグリッドは、多孔シート205’を通るエアフローを減少させるすなわち制約を加えることによって、より沢山のエアフローを、ウエハ214の間を通ってリダイレクトエアフロースロットから下向きに流れるようにリダイレクトするように構成される。ロードセル202は、また、カセット212同志を隔てる環境セパレータ207を含むようにも変更されている。また、各カセット212は、側壁213によっても囲まれている。
【0034】
環境セパレータ207および側壁213を設けることによって、特定のドア210を開いて特定のカセット212を取り出すまたは挿入することが望まれる際に、各カセット212の小環境をより正確に制御することが可能になる。つまり、あるカセット212を取り出すまたは挿入するために、ドア210の1つが開かれた場合であっても、その開かれた小環境における圧力の変化が、何枚かの処理済みウエハを有し得る隣りのセルの小環境に、実質的な影響をおよぼすことはない。また、環境セパレータは、セル間における粒子移動および相互汚染を阻止するのに役立つことに、注意する必要がある。各ロードセル202は、また、第1のリダイレクトエアフロースロット203aおよび第2のリダイレクトエアフロースロット203bをそれぞれ含むことが好ましい。
【0035】
図3Cは、本発明による別の1実施形態を示した図であり、さらに別の変形構造を有した多孔シート205”およびロードセル202が示されている。この実施形態において、多孔シート205”は、多孔シート205”を通して所望のエアフローを実現するように調整することが可能な複数の穿孔を有したシートとして規定される。代表的な1実施形態において、多孔シート205”の穿孔は、開口率が約20%?約80%のシートを規定するように構成することができ、なかでも約40%?約70%の開口率を有することが好ましく、さらには約63%の開口率を有することが最も好ましい。約63%の開口特性を実現するため、一実施形態は、3/16の中心間隔で他の列の穿孔に対してずらして穿孔され且つ5/32の直径を有する穿孔を有する。一般に、開口率は、表Aおよび表Bを参照にして上述した所望の平均流速を達成できるように構成される。上述した実施形態と同様で、多孔シート205”は、腐食を阻止し静電荷を抑制するために、電解研摩されたステンレススチールで形成されることが好ましい。
【0036】
この実施例は、ロードセル202にカセットの囲み209を設けることによって変更がなされている。このカセットの囲み209は、カセット212がシェルフ204の中に配置されたときにはカセット212を狭く取り囲むが、カセット212が多孔シート205”に向かって延びるとともに広く張り出されるように構成される。こうして、カセットの囲み209は、リダイレクトエアフロー220aが実質的にウエハ212の間を通って第1および第2のリダイレクトエアフロースロット203a,203bから流れ出ることを可能にする。カセットの囲み209は、カセット212を取り囲む壁の形態をとることが好ましい。カセットの囲み209の外には、シェルフ204’の残りの部分が位置している。カセットの囲み209の内面全体は、腐食を阻止し静電荷の発生の可能性を低減するために、電解研摩されたステンレススチールで形成される。
【0037】
以上では、理解を明確にする目的で本発明を詳細に説明したが、添付した請求の範囲内で、一定の変更および修正を加えられることは明らかである。例えば、ATMは、ロードロックおよび内部のロボットに対して特定の形状を有するものとして説明されているが、多孔シートの領域は、例えば長方形や正方形などの任意の形状を有することができることを、理解する必要がある。また、各ウエハカセットを取り囲む構造も、任意の形状をとることができる。ただし、特に重要なのは、多孔シートに向かって下向きに方向付けられたエアフローの一部分が、ウエハカセットに向かってリダイレクトされ、ウエハの表面の上を静かに流れるエアフローを提供し続ける小環境を、ウエハの間および周りに形成するという点にある。したがって、上述した実施形態は、例示を目的としたものであって限定的ではなく、本発明は、本明細書で取り上げた項目に限定されず、添付した請求の範囲および等価物の範囲内で変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
従来技術による代表的な半導体処理クラスタツール構造を示した図であり、図中には、真空搬送モジュールに接続された大気圧搬送モジュールが示され、ロードロックは、真空搬送モジュールに移送するウエハを受け取る。
【図1B】
大気圧搬送モジュール(ATM)およびカセットを含んだシステムの部分図である。
【図1C】
大気圧搬送モジュール(ATM)およびカセットを含んだシステムの部分図である。
【図2A】
クリーンルームフロアの上に座してロードロックチャンバに接続することができる大気圧搬送モジュール(ATM)を、本発明の一実施形態にしたがって示した図である。
【図2B】
本発明の別の一実施形態を示した図であり、図中のATMは、リダイレクトエアフローがリダイレクトエアフロースロットを通って通気孔から流れ出るのをさらにサポートするためのファンを含む。
【図3A】
処理システムに接続されたATMを、本発明の一実施形態にしたがって示した上面図である。
【図3B】
本発明による別の一実施形態を示した図であり、ロードセルおよび多孔シートに変更が加えられている。
【図3C】
本発明による別の一実施形態を示した図であり、さらに別の変形構造を有した多孔シートおよびロードセルが示されている。
【符号の説明】
100…クラスタ構造
102…クリーンルーム
103…大気圧搬送モジュール(ATM)
104…ロードロック
105…ゲートバルブ
106…搬送モジュール
108…処理モジュール
152a…フィルタ/ブロア
152b…カセット環境
152c…排気口
154…シェルフ
155…ドア
156…ロボット
158…アームセット
160…ウエハカセット
162…ウエハ
164…微粒子
166…ポストプロセスガス
170…エアフロー
171…微粒子スクリーン
200…大気圧搬送モジュール(ATM)
200a…トップ部分
201…クリーンルームフロア
202…ロードセル
203…リダイレクトエアフロースロット
204…シェルフ
205…多孔シート
206…ロボット
207…環境セパレータ
208…アームセット
209…カセットの囲み
210…ドア
212…カセット
213…側壁
214…ウエハ
220…調整されたエアフロー
220a…リダイレクトエアフロー
220b…非リダイレクトエアフロー
221…通気孔
222…排気
250…アライナ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2011-10-13 
出願番号 特願2001-527326(P2001-527326)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 植村 森平  
特許庁審判長 豊原 邦雄
特許庁審判官 藤井 眞吾
長屋 陽二郎
登録日 2010-11-26 
登録番号 特許第4632612号(P4632612)
発明の名称 制御された小環境を有するウエハの大気圧搬送モジュール、大気圧搬送モジュールを作成するための方法  
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所  
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所  

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