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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A41B
管理番号 1248895
審判番号 無効2011-800095  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-06-08 
確定日 2011-12-12 
事件の表示 上記当事者間の特許第4390088号発明「男性用のパンツ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4390088号の請求項1ないし6に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件の主な手続を、整理して以下に示す。
1.特許出願:平成20年11月26日(特願2008-300634号)
2.設定登録:平成21年10月16日(特許第4390088号)
3.審判請求 :平成23年6月8日
4.答弁 :平成23年8月26日
5.無効理由通知:平成23年9月6日(平成23年9月8日発送)
6.上申(被請求人):平成23年10月4日
7.弁駁 :平成23年10月7日
8.書面審理通知:平成23年10月13日

第2.当事者の主張
1.請求人の主張の概要
審判請求書及び平成23年10月7日付け審判事件弁駁書の記載を総合すると、請求人の主張は、概要次のとおりと認める。また、請求人は、竹安秀俊の証人尋問を申請している。
(1)本件特許の請求項1乃至3に係る発明は、本件特許の出願前日本国内において頒布された甲第1号証、甲第4号証の刊行物に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたので、無効とすべきである。
(2)本件特許の請求項1乃至3に係る発明は、甲第4号証、甲第5号証の1乃至甲第5号証の4に示されるように、本件特許出願前国内で公然実施された発明であり、特許法第29条第1項第2号の規定に違反して特許されたので、無効とすべきである。
(3)本件特許の請求項1乃至3に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第6号証の1、2及び甲第7号証の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたので、無効とすべきである。
(4)本件特許の請求項4に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第6号証の1、2、甲第7号証及び甲第8号証の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたので、無効とすべきである。
(5)本件特許の請求項5に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第6号証の1、2、甲第7号証及び甲第8号証の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたので、無効とすべきである。
(6)本件特許の請求項6に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第6号証の1、2、甲第7号証及び甲第8号証の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたので、無効とすべきである。
(7)本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件特許の請求項1乃至6に係る発明について、特許法36条第4項第1号に規定する要件(実施可能要件)を満たしていないから、無効にすべきである。
(8)本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件特許の請求項1に係る発明について、特許法36条6項1号の記載要件(サポート要件)を満たしていないから、無効にすべきである。
(9)本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件特許の請求項6に係る発明について、特許法36条6項1号の記載要件(サポート要件)を満たしていないから、無効にすべきである。
(10)本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件特許の請求項1に係る発明について、特許法36条6項2号の記載要件(明確性要件)を満たしていないから、無効にすべきである。
(11)本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件特許の請求項2に係る発明について、特許法36条6項2号の記載要件(明確性要件)を満たしていないから、無効にすべきである。
(12)本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件特許の請求項5に係る発明について、特許法36条6項2号の記載要件(明確性要件)を満たしていないから、無効にすべきである。
【証拠方法】
甲第1号証:雑誌Men‘sExの第10巻第8号(2003年8月1日、
世界文化社発行)
甲第2号証:特開平9-217201号公報
甲第3号証:実開昭55-180703号公報
甲第4号証:雑誌Ginza for menの2003年11月号(2003年
11月1日マガジンハウス発行)
甲第5号証の1:有限会社ティー・プレイが販売した商標名TOOTの
男性用パンツ(品番SB023248)の製品写真
甲第5号証の1の1:男性用パンツ(品番SB023248)の購入
領収書及びグンゼ株式会社の経費処理表
甲第5号証の1の2:有限会社ティー・プレイの登記簿謄本(1)
甲第5号証の1の3:有限会社ティー・プレイの登記簿謄本(2)
甲第5号証の1の4:NTT東日本が発行した50音別個人名ハロー
ページ(2003年3月号)
甲第5号証の1の5:NTT東日本が発行した50音別企業名ハロー
ページ2005年2月版
甲第5号証の2:グンゼ株式会社が、平成15年(2003年)10月頃
に宮津工場でモニター用サンプルとして作成し平成15年
(2003年)11月29日、及び30日にモニタリング参
加者に開示した男性用パンツ(品番BW2884)
甲第5号証の3:有限会社ティー・プレイが製造販売した男性用パンツ
(商標名TOOT;品番SB023248)及び、グンゼ
株式会社が製造した男性用パンツ(型番BW2884)の
写真が掲載された、2004年1月20日に作成した社内
資料用電子ファイル
甲第5号証の4:サンプルリストの50種のサンプルをモニタリングした
ときの参加者リスト
甲第5号証の4の1:モニタリングしたときの調査用紙
甲第5号証の4の2:モニタリングの調査結果表
甲第5号証の4の3:モニタリングの調査結果グラフ
甲第6号証の1:ドイツ意匠登録第40210762-0001号公報
甲第6号証の1の1:ドイツ意匠登録第40210762-0001号
公報の翻訳文
甲第6号証の2:ドイツ意匠登録第40210762-0002号公報
甲第6号証の2の1:ドイツ意匠登録第40210762-0002号
公報の翻訳文
甲第7号証:英国特許明細書第2366988号公報
甲第7号証の1:英国特許明細書第2366988号公報の翻訳文
甲第8号証:特開平11-286801号公報
甲第9号証:広辞苑第六版第1779ページ
甲第10号証:平成23年8月10日付けの竹安秀俊の陳述書の写し
(原本は平成22年(ワ)第17477号特許侵害差止等
事件において平成23年8月17日に大阪地方裁判所第
26民事部に提出したもの)

2.被請求人の主張の概要
審判事件答弁書及び平成23年10月4日付け上申書の記載を総合すると、被請求人は、本件特許の請求項1ないし6に係る発明には、当審が平成23年9月6日付けで通知した無効理由があると認めている。

第3.当審の判断
1.当審が通知した無効理由
当審が平成23年9月6日付けで被請求人に対して通知した無効理由は、次のとおりである。
《無効理由通知書に記載した無効理由》
本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、同法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。

引用例1.特開2005-264411号公報
引用例2.特開平11-286801号公報
(1)引用例1は、本件特許の原出願である特願2004-103827号の公開公報である。
(2)本件特許の特許請求の範囲は、次のとおり記載されている。
「【請求項1】前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部をなして前身頃の左右脇部と縫い合わされた、伸縮性を有した単独の生地よりなり、この生地自身の少なくとも裁断形状と縫い合わせにより外側に膨らみ男性局部をホールドする膨出部を備え、この膨出部を含む前身頃とこの前身頃に胴まわり方向に繋がるように縫い合わされた後身頃とが股間に位置し伸縮性を有する股部片を介し縫い合わされて繋がり、前記膨出部は前記股部片の左右方向中央部で、左右脇部と股部片との縫い合わせ位置よりも股部片の前後方向中央側に部分的に入り込む入り込み部にて股部片に縫い合わされていることを特徴とする男性用のパンツ。
【請求項2】膨出部は、股部片とはその左右方向中央部で股間部の前後方向ほぼ中央位置まで部分的に入り込む入り込み部で縫い合わされていることを特徴とする請求項1に記載の男性用のパンツ。
【請求項3】股部片は、その前縁および後縁の左右方向の中央部で、膨出部および後身頃の後身頃片に縫い合わされ、前身頃の左側の脇部片は、膨出部の左側縁と股部片前縁左側の未縫い合わせ部とに縫い合わされ、前身頃の右側の脇部片は、膨出部の右側縁と股部片前縁右側の未縫い合わせ部とに縫い合わされている請求項1、2のいずれか1項に記載の男性用の下着。
【請求項4】後身頃の左右の脇部片と後身頃片とは個別の生地よりなり、後身頃片はその下縁から上方に向け広がり、かつ、外側に凸に湾曲した左右縁にて左右の脇部片と縫い合わされている請求項3に記載の男性用のパンツ。
【請求項5】膨出部は股部片、後身頃片と共に少なくとも互いの繋がり方向に伸縮性を有し、左右の脇部片は少なくとも胴まわり方向に伸縮性を有している請求項4に記載の男性用のパンツ。
【請求項6】全ての生地は、直交する2方向に伸縮性を有している請求項1?5のいずれか1項に記載の男性用のパンツ。」(下線は当審において付与した。以下、同様。)

(3)本件特許の請求項1に記載された(A)「前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部をなして前身頃の左右脇部と縫い合わされた」「単独の生地よりなり」という事項、及び、(B)前記単独の生地が「この生地自身の少なくとも裁断形状と縫い合わせにより外側に膨らみ男性局部をホールドする膨出部を備え」という事項は、原出願である特願2004-103827号の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「原出願当初明細書等」という。)に記載されておらず、かつ、これら記載から自明な事項とも認められない。そうすると、本件特許に係る出願は、原出願に包含される発明の一部を新たな特許出願としたものとは認められないから、本件特許に係る出願は、特許法第44条第1項の規定を満たしていない。よって、本件出願については、特許法第44条第2項に規定する出願日の遡及を認めることができないので、本件特許に係る出願の出願日は、現実の出願日である平成20年11月26日であると認める。

(4)引用例1は、本件特許に係る出願の現実の出願日より前に頒布された刊行物であり、本件特許の請求項1ないし6に係る各発明と、引用例1に記載された発明とを対比すると、本件特許の請求項1ないし6に係る各発明では、前身頃が単独の生地よりなっているが、引用例1に記載された発明では、前身頃が2つの生地片よりなっている点で相違し、その余の点で一致する。そして、前身頃を単独の生地で構成することは、引用例2に記載されている(前身中央生地10に注意されたい。)から、本件特許の請求項1ないし6に係る各発明は、引用例1に記載された発明に、引用例2に記載された前記技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明することができたものである。

(5)上記(A)「前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部をなして前身頃の左右脇部と縫い合わされた」「単独の生地よりなり」という事項が、原出願当初明細書等に記載された事項でないことを、以下に説明する。
ア.被請求人は、「単独の生地よりなり」に関し、平成23年8月26日付け審判事件答弁書10頁1?7行において、次のように主張している。
「請求人は、『単独』が『ただ1つの』という意味であるから図1(a)の記載と一致しないので特許法第36条第6項第2号明確性を欠いていると主張する。しかし、請求人が指摘するように、これは平成21年2月18日付拒絶理由の『・・・・、左右方向中央部とそれ以外の部分で異なる生地を使用しているようにも理解できるが、・・・』との指摘に対して補正し、認められたものである。当然図1(a)には、前身頃片が2つの生地で出来ているのであるから、ここは、『同じ種類の生地』と解すべきである。したがって、本件明細書の記載は特許法第36条第6項第2号の記載は満たしている。」
イ.しかしながら、平成21年2月18日付け拒絶理由通知は、理由3の記の<請求項1の記載について>において、「『前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部に、伸縮性を有した単独の生地よりなり、少なくとも自身の裁断形状と縫い合わせにより外側に膨らみ男性局部をホールドする膨出部を有して、』という記載からすると、前身頃の一部である左右方向中央部に膨出部が形成されているように把握できるが、明細書や図面の記載からすると、前身頃の全部が膨出部を形成しているのではないのか。また、上記記載からすると、左右方向中央部とそれ以外で異なる生地を使用しているようにも理解できる。」と指摘している。
拒絶理由通知のこの指摘は、
(a)出願当初の請求項1に記載された「前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部」という記載は、「前身頃の一部である左右方向中央部」を意味すると把握できるから、出願当初の請求項1に記載された「前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部に……膨出部を有して」という記載は、前身頃の一部である左右方向中央部のみに膨出部が形成されていると把握できる。しかし、明細書や図面の記載からは、前身頃の全部が膨出部を形成していると把握できるから、出願当初の請求項1の記載から把握される構成と、明細書や図面の記載から把握される構成とが、不整合であること、及び、
(b)出願当初の請求項1に記載された「前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部」という記載は、「前身頃の一部である左右方向中央部」を意味すると把握できるから、出願当初の請求項1に記載された「前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部に、伸縮性を有した単独の生地よりなり」という記載は、「前身頃の一部である左右方向中央部」は、伸縮性を有した単独の生地片よりなり、前身頃の残りの部分である左側部及び右側部は、それぞれ左右方向中央部の生地片とは別の生地片となっており、「前身頃」は、これら、左右方向中央部、左側部及び右側部で構成されていると理解できる。しかし、明細書や図面には、「前身頃」の左右方向中央部が単独の生地片で構成され、左側部及び右側部が、左右方向中央部の生地片とは別の生地片で構成されるものは記載されていないから、出願当初の請求項1の記載から把握される構成と、明細書や図面の記載から把握される構成とが、不整合であること、
を指摘したものと認められ、前身頃の生地の種類について指摘したものとは認められない。
ウ.被請求人は、平成21年2月18日付け拒絶理由通知に応答して、平成21年4月27日付けで手続補正を行い、出願当初の請求項1の
「前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部に、伸縮性を有した単独の生地よりなり、少なくとも自身の裁断形状と縫い合わせにより外側に膨らみ男性局部をホールドする膨出部を有して、」という記載部分を
「前身頃の男性局部に対応した左右方向中央部をなして前身頃の左右脇部と縫い合わされた、伸縮性を有した単独の生地よりなり、この生地自身の少なくとも裁断形状と縫い合わせにより外側に膨らみ男性局部をホールドする膨出部を備え、」と補正した。
この補正と同日付けで提出された意見書では、前記拒絶理由通知の前記指摘を含む記載不備であるとの指摘に対して、「脇部の欠落、前身頃、後身頃、左右脇部、股部、前身頃片、後身頃片、脇部片、股部片の関係が不明瞭との、拒絶理由1、2でのご指摘に対応して、前身頃、後身頃は、古来から、パンツの前、後を呼称するものであって、左右脇部、股部(クロッチ部)も併せ、どのように縫合されているかを特定するものでないと認識されているところ、縫い合わせ生地単位を示す前身頃片、後身頃片、脇部片、股部片との区分けにつき、当初記載の範囲内で明確にしました。 この補正によって、拒絶理由1、3は解消し、拒絶理由2で引用されました引用文献2(特開平11-100702号公報)に記載のものに対する本願発明の特徴が明確になったものと思料します。」と述べ、同日付けの補正が、生地単位(生地片)の区分けを明確にするものであることを主張している。
エ.上記イ、ウで指摘した事情から見て、本件特許発明の請求項1に記載された「単独の生地よりなり」を、「同じ種類の生地よりなり」と解すべき理由はない。また、本件の出願当初明細書、特許請求の範囲又は図面の記載をみても、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面の記載をみても、請求項1に記載された「単独の生地よりなり」を、「同じ種類の生地よりなり」と解すべき理由は認められない。したがって、「単独の生地よりなり」は、その通常の解釈どおり、「単独の生地片よりなり」と解釈すべきである。なお、この通常の解釈は、前記補正が、生地単位(生地片)の区分けを明確にするものであるとする、前記意見書の主張と整合するものである。
オ.上記エで指摘したとおり、本件特許発明の請求項1に記載された「単独の生地よりなり」は、「単独の生地片よりなり」と解釈すべきであるから、本件特許発明の請求項1に係る発明は、前身頃が、単独、すなわち、ただ1片の生地片よりなることを構成要件とする発明である。しかしながら、この構成要件を充足する構成は、原出願当初明細書等に記載されていない。また、原出願当初明細書等の記載から、「前身頃が単独の生地片よりなる構成」が自明であると認めるべき根拠も見出せない。
よって、本件特許に係る出願は、原出願に包含される発明の一部を新たな特許出願としたものとは認められない。

(6)上記(B)単独の生地が「この生地自身の少なくとも裁断形状と縫い合わせにより外側に膨らみ男性局部をホールドする膨出部を備え」という事項が、原出願当初明細書等に記載された事項でないことを、以下に説明する。
ア.原出願当初明細書等には、前身頃に膨出部を形成するための構成として、「前身頃片にそれの側縁部から中央側に延びるギャザー、タック、ダーツの少なくとも1つによる膨出ゆとり部またはおよび膨出部を形成」(原出願の出願時の特許請求の範囲の請求項1)することは記載されているものの、その他の構成は記載されていない。
イ.一方、本件特許発明の請求項1に記載された「この生地自身の少なくとも裁断形状と縫い合わせにより」「外側に膨らみ…膨出部を備え」は、文言上、「裁断形状と縫い合わせ」が、「前身頃片にそれの側縁部から中央側に延びるギャザー、タック、ダーツの少なくとも1つ」に限られないことは明らかであるから、本件特許発明の請求項1に記載された「この生地自身の少なくとも裁断形状と縫い合わせにより」「外側に膨らみ…膨出部を備え」は、原出願当初明細書等に記載された「前身頃片にそれの側縁部から中央側に延びるギャザー、タック、ダーツの少なくとも1つ」の上位概念に相当する。
ウ.しかしながら、上記アで指摘したとおり、原出願当初明細書等には、「前身頃片にそれの側縁部から中央側に延びるギャザー、タック、ダーツの少なくとも1つ」以外の構成は記載されていない。そして、前身頃を構成する「生地自身の少なくとも裁断形状と縫い合わせにより」「外側に膨らみ…膨出部を備え」る構成として、「前身頃片にそれの側縁部から中央側に延びるギャザー、タック、ダーツの少なくとも1つ」以外の構成が、原出願当初明細書等の記載から、自明であると認めるべき根拠も見出せない。
よって、本件特許に係る出願は、原出願に包含される発明の一部を新たな特許出願としたものとは認められない。

2.当審が通知した無効理由に対する被請求人の応答
上記無効理由に対して、被請求人は、平成23年10月4日付けで上申書を提出し、上記無効理由の存在を認める旨述べている。

3.当審の判断
当審が通知した無効理由は、妥当であり、本件特許の請求項1ないし6に係る各発明は、引用例1に記載された発明に、引用例2に記載された技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明することができたものであると認める。したがって、本件特許の請求項1ないし6に係る各発明は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。
なお、本件無効審判の結論を出すに当たり、証人尋問を行う必要はないので、請求人が申請した竹安秀俊の証人尋問は、実施しない。

第4.むすび
以上のとおり、本件特許の請求項1ないし6に係る各発明は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-10-13 
結審通知日 2011-10-18 
審決日 2011-11-02 
出願番号 特願2008-300634(P2008-300634)
審決分類 P 1 113・ 121- Z (A41B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 武井 健浩渋谷 善弘内山 隆史  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 鳥居 稔
熊倉 強
登録日 2009-10-16 
登録番号 特許第4390088号(P4390088)
発明の名称 男性用のパンツ  
代理人 廣幸 正樹  
代理人 草野 浩一  
代理人 富畑 賢司  

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