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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1249066
審判番号 不服2010-2560  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-05 
確定日 2011-12-21 
事件の表示 特願2005-292775「可視スペクトルモジュレーターアレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月20日出願公開、特開2006-106756〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成7年(1995年)5月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1994年5月5日、米国)を国際出願日とする特願平7-529030号の一部を平成17年10月5日に新たな特許出願としたものであって、平成19年8月27日付け及び平成20年1月22日付けで手続補正がなされたが、平成21年9月28日付けで上記平成20年1月22日付け手続補正が却下されるとともに同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成22年2月5日に拒絶査定不服審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである(以下、平成22年2月5日になされた手続補正を「本件補正」という。)。

第2 本件補正についての却下の決定

1 結論

本件補正を却下する。

2 理由

(1)補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1につき、補正前(平成19年8月27日付けの手続補正後のもの。)の

「表示装置であって、
透明基板と、
前記透明基板に支持された複数の変調素子からなるアレイであり、各変調素子が可視光スペクトルにおける特定周波数の光を反射する表面を含むことで前記特定周波数を有すると共に前記透明基板を通して前記複数の変調素子に入射する光を反射して前記透明基板を通して戻すアレイと、
前記アレイに接続され、各変調素子の反射周波数を独立に制御する制御回路と、
を含むことを特徴とする装置。」



「表示装置であって、
透明基板と、
前記透明基板に支持された複数の変調素子からなるアレイであり、前記変調素子の各々は、第1の壁及びこれに平行な第2の壁を含み且つ非変形状態から変形状態に空洞寸法を変更するように変形自在な空洞形状の共振器と、前記第1の壁及び前記第2の壁の間に設けられ且つ前記共振器が変形状態にされた場合に前記第1の壁と前記第2の壁との間の距離を固定する停止層とを含み、前記変調素子は、前記共振器が変形状態にされていない場合に可視光スペクトルにおける特定共振周波数の光を反射することによって、前記特定共振周波数を有し且つ前記透明基板を通して前記複数の変調素子に入射する光を反射して前記透明基板を通して戻し、前記共振器が変形状態にされた場合に可視光スペクトル外の共振周波数の光のみを反射するアレイと、
前記アレイに接続され、各変調素子の反射周波数を独立に制御する制御回路と、
を含むことを特徴とする装置。」

に補正する内容を含むものである。

(2)平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項の規定についての検討

本件補正において、「前記共振器が変形状態にされた場合に可視光スペクトル外の共振周波数の光のみを反射するアレイ」との事項(以下「本件補正事項」という。)が追加された。

そこで、上記本件補正事項が本願の出願時に添付された願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本願当初明細書等」という。)に記載した範囲のものであるかについて検討する。

本願当初明細書等には、「前記共振器が変形状態にされた場合に可視光スペクトル外の共振周波数の光のみを反射するアレイ」との本件補正事項を明示する記載は認められず、また、当業者にとって、本件補正事項が、本願当初明細書等に記載された事項から自明に理解できるといえる根拠も見出せない。
よって、上記(1)の補正の内容が、本願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものということはできないから、上記(1)の補正の内容を含む本件補正が、本願の当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものということはできない。

以上のとおりであるから、本件補正は、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成19年8月27日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?37に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2、2(1)において、補正前のものとして示したとおりのものである。

2 刊行物の記載及び引用発明

(1)刊行物の記載

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平5-281479号公報(以下「引用刊行物」という。)には、以下の記載がある。

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】白色光を反射させる鏡面状の反射部材に、当該反射部材との間に形成される間隙で光干渉を生じさせる透明状の光干渉形成部材を対向して配置させたことを特徴とする表示装置。」

イ 「【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明にかかる表示装置を前面から見た場合の一部を示す外観図である。図1に示すように、この表示装置1は独立した円形状の素子2を多数縦横に配置された構成となっている。この素子2の1つ1つが画素を構成することになるが、通常のCRTディスプレイと異なって1つの画素2から種々の色が光干渉現象によって出力されるようになっている。
【0010】この各画素2を構成する機構の一例は図2に示してある。表示装置1の前面側には光干渉形成部材として機能するガラス3が取り付けられている。このガラス3の後面側には、透明の導電膜4が形成されている。そして、このガラス3の後面側には、所定の寸法で形成されている圧電素子5の一方側を導電膜4に接触させ、かつ印加される電圧に応じてガラス面に対して前後方向に歪むような方向に取り付ける。そして、ガラス8の一方の面には上記と同様の透明の導電膜7を形成し、これにたとえばシリコン等が表面に形成されている反射部材として機能する部材9を取り付ける。さらに、このガラス8の導電膜7形成側に圧電素子5の他端側を導電膜7を接触させるようにして取り付ける。このときには、部材9が圧電素子5に接触しないようにする。導電膜4はアースに接続し、導電膜7は画素毎にこの圧電素子5のそれぞれに対して独立して電圧を印加する後述の圧電素子群電圧制御部に接続する。
【0011】このような構成によって干渉色が発生するのは次のような理由による。鏡面仕上げが施されたシリコンとガラスとの間隙を非常に小さく設定(数百nmオーダー)した場合には、ガラスを介して入射した光とシリコンに反射した光とによって干渉が生じ、これによってガラスとシリコンとの間に干渉色が発生する。つまり、この色の感じは、入射光と反射光との間で打ち消し合う干渉で消える部分を引いたもので作られることになる。」

ウ 上記イの記載を踏まえて図2をみると、
表示装置1の前面側には光干渉形成部材として機能するガラス3が取り付けられ、このガラス3の後面側には、透明の導電膜4が形成され、
各画素2を構成する機構は、
シリコンが表面に形成されている反射部材として機能する部材9が、ガラス3の後面側に設けられたガラス8の一方の面に形成された透明の導電膜7に取り付けられ、
所定の寸法で形成されている圧電素子5の一方側がガラス3の導電膜4に接触し、圧電素子5の他方側がガラス8の透明の導電膜7に接触し、かつ印加される電圧に応じてガラス3に対して前後方向に歪むような方向に取り付けられ、
部材9は圧電素子5に接触しないようにされ、
導電膜4はアースに接続し、導電膜7は画素毎にこの圧電素子5のそれぞれに対して独立して電圧を印加する圧電素子群電圧制御部に接続されたものである
ことが理解できる。

エ 図2は、以下のとおりである。


オ 「【要約】
【目的】 大画面のディスプレイに好適な省電力タイプの表示装置を提供する。
【構成】 複数の反射部材9を、この反射部材との間で干渉現象を生じさせる光干渉形成部材4の後面に配置させ、これらの各反射部材9と光干渉形成部材3とは、印加される電圧に応じて前記両部材の間隙を変化させる圧電素子5を介して相互に取り付け、その印加電圧を調整することで干渉色を制御させ、前面側の特定の角度から見た場合にそれぞれ所望の色を呈するようにする。」

(2)引用発明

上記(1)によれば、引用刊行物には、次の発明が記載されているものと認められる。

「白色光を反射させる鏡面状の反射部材に、当該反射部材との間に形成される間隙で光干渉を生じさせる透明状の光干渉形成部材を対向して配置させた表示装置であって、
この表示装置1は独立した円形状の素子2を多数縦横に配置した構成となっており、この素子2の1つ1つが画素を構成し、1つの画素2から種々の色が光干渉現象によって出力されるようになっており、
表示装置1の前面側には光干渉形成部材として機能するガラス3が取り付けられ、このガラス3の後面側には、透明の導電膜4が形成され、
各画素2を構成する機構は、
シリコンが表面に形成されている反射部材として機能する部材9が、ガラス3の後面側に設けられたガラス8の一方の面に形成された透明の導電膜7に取り付けられ、
所定の寸法で形成されている圧電素子5の一方側がガラス3の導電膜4に接触し、圧電素子5の他方側がガラス8の透明の導電膜7に接触し、かつ印加される電圧に応じてガラス3に対して前後方向に歪むような方向に取り付けられ、
部材9は圧電素子5に接触しないようにされ、
導電膜4はアースに接続し、導電膜7は画素毎にこの圧電素子5のそれぞれに対して独立して電圧を印加する圧電素子群電圧制御部に接続されたものであり、
鏡面仕上げが施されたシリコンとガラスとの間隙を数百nmオーダーで非常に小さく設定して、ガラスを介して入射した光とシリコンに反射した光とによって干渉が生じ、これによってガラスとシリコンとの間に干渉色が発生し、
圧電素子5の印加電圧を調整することで干渉色を制御させ、前面側の特定の角度から見た場合に各画素2がそれぞれ所望の色を呈する表示装置。」
(以下「引用発明」という。)

3 対比・判断

(1)本願発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「表示装置」及び「ガラス3」は、本願発明の「表示装置」及び「透明基板」にそれぞれ相当する。

イ 引用発明の「円形状の素子2」は、「多数縦横に配置され」、その「一つ一つが画素を構成し、1つの画素2から種々の色が光干渉現象によって出力される」ものであるから、「多数縦横に配置され」た「円形状の素子2」が構成する「各画素2」は、本願発明の「複数の変調素子からなるアレイ」に相当する。

ウ 引用発明において、「各画素2」を構成する機構である「圧電素子5」は、「その一方側がガラス3の導電膜4に接触し、その他方側がガラス8の一方の面に形成された透明の導電膜7に接触し、かつ印加される電圧に応じてガラス面に対して前後方向に歪むような方向に取り付けられ」るものであるから、「圧電素子5」は、「ガラス3の後面側に」「形成され」た「透明の導電膜4」を介して、「ガラス3」に取り付けられるものであると認められる。すなわち、引用発明の「複数の変調素子からなるアレイ」は、「透明基板」に支持されたものであるから、引用発明は、「透明基板に支持された複数の変調素子からなるアレイ」を含む表示装置といえ、この点において本願発明と一致する。

エ 引用発明の「各画素2」は、「ガラスを介して入射した光とシリコンに反射した光とによって干渉が生じ、これによってガラスとシリコンとの間に干渉色が発生」するものであるから、引用発明は、「各変調素子が可視光スペクトルにおける特定周波数の光を反射する」ものといえ、また、引用発明は、「ガラスを介して入射した光」が、「シリコンに反射した光とによって干渉が生じ、これによってガラスとシリコンとの間に干渉色が発生」するものであり、発生した干渉色を有する光は、ガラスを介して出射するものと認められるから、「前記特定周波数を有すると共に前記透明基板を通して前記複数の変調素子に入射する光を反射して前記透明基板を通して戻す」ものといえる。
よって、引用発明の「複数の変調素子からなるアレイ」は、「各変調素子が可視光スペクトルにおける特定周波数の光を反射する表面を含むことで前記特定周波数を有すると共に前記透明基板を通して前記複数の変調素子に入射する光を反射して前記透明基板を通して戻す」ものといえ、引用発明は、「前記透明基板に支持された複数の変調素子からなるアレイであり、各変調素子が可視光スペクトルにおける特定周波数の光を反射する表面を含むことで前記特定周波数を有すると共に前記透明基板を通して前記複数の変調素子に入射する光を反射して前記透明基板を通して戻すアレイ」を含む点で、本願発明と一致する。

オ 引用発明において、「圧電素子群電圧制御部」は、「画素毎にこの圧電素子5のそれぞれに対して独立して電圧を印加する」ものであり、「圧電素子5の印加電圧を調整することで干渉色」は「制御」されるものであるから、引用発明の「圧電素子群電圧制御部」は、本願発明の「前記アレイに接続され、各変調素子の反射周波数を独立に制御する制御回路」に相当する。

(2)以上の検討によれば、引用発明は、本願発明の構成を全て備えており、相違するところはない。

したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明である。

4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-15 
結審通知日 2011-07-19 
審決日 2011-08-09 
出願番号 特願2005-292775(P2005-292775)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G02B)
P 1 8・ 561- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三橋 健二河原 正  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 北川 創
吉野 公夫
発明の名称 可視スペクトルモジュレーターアレイ  
代理人 藤村 元彦  
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