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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16C
管理番号 1249584
審判番号 不服2010-18515  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-17 
確定日 2012-01-05 
事件の表示 特願2005-237724「円錐ころ軸受、円錐ころ軸受装置及びこれを用いた車両用ピニオン軸支持装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月 1日出願公開、特開2007- 51715〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成17年8月18日の出願であって、平成22年5月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年8月17日に拒絶査定不服審判の請求と、明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正とが同時になされたものである。

第2 平成22年8月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕

平成22年8月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1.本件補正後の本願発明

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1(以下、「本願補正発明」という。)は、

「外輪と、内輪と、これらの間に介在する複数の円錐ころと、当該円錐ころの保持器とを備えた円錐ころ軸受において、
前記円錐ころの大径側端面の曲率半径をRaとし、前記内輪の大径側鍔部の端面の曲率半径をRbとしたときに、Ra<Rbであり、
ころ有効長さをLWR、ころ平均径をDWとするとき、LWR/DWで表されるころ径に対するころ長さの比が1.1?1.7の範囲にあり、
前記外輪及び内輪の各軌道面並びに前記円錐ころの転動面にはクラウニングが施され、
前記内外輪の各軌道面のクラウニングは、当該クラウニングの頂点が、前記内外輪の軌道面の軌道長さの中央に位置するように形成されており、
前記円錐ころの転動面のクラウニングは、当該クラウニングの頂点が、前記円錐ころの転動面のころ有効長さの中央に位置するように形成されており、
全クラウニング量(=外輪クラウニング量+内輪クラウニング量+ころクラウニング量×2)が50μm以上、
外輪クラウニング率(=外輪クラウニング量/全クラウニング量)が40%以上、
ころクラウニング率(=(ころクラウニング量×2)/全クラウニング量)が20%以下であり、
全クラウニング量が100μm以下であり、且つ、 前記外輪のクラウニング半径をRCO、軌道長さをLRO、前記内輪のクラウニング半径をRCI、軌道長さをLRIとするとき、外輪クラウニングパラメータ(=RCO/LRO)が30?150であるとともに、内輪クラウニングパラメータ(=RCI/LRI)が50?260であることを特徴とする円錐ころ軸受。」と、補正された。(なお、下線は、請求人が付した本件補正による補正箇所を示す。)

上記補正は、本件補正前の請求項1を削除すると共に、本件補正前の請求項2について、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項について、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0023】及び図3に基づき、内外輪の各軌道面のクラウニングについて、「前記内外輪の各軌道面のクラウニングは、当該クラウニングの頂点が、前記内外輪の軌道面の軌道長さの中央に位置するように形成されており」と限定し、円錐ころの転動面のクラウニングについて、「前記円錐ころの転動面のクラウニングは、当該クラウニングの頂点が、前記円錐ころの転動面のころ有効長さの中央に位置するように形成されており」と限定するものであって、これは、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用刊行物記載の発明

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物及びその記載事項は、次のとおりである。

(1)引用例A(実願平1-58921号(実開平3-113号)のマイクロフィルム)には、次の事項が図面とともに記載されている。
ア「(1)端面が球面状に形成されたころと、ころ端面に当接する鍔部を有する軌道輪とを備えたラジアルころ軸受において、
ころの転動面,軌道輪のころ転動面の少なくともいずれかにクラウニングが施されているとともに、軌道輪の鍔部内面が凹曲面に形成され、かつ、
ころの有効長さlと当該ころの有効長さの端部でのクラウニング深さ和Δtとの比(Δt/l)で表されるクラウニング形成量が0.0007?0.002(mm/mm)の範囲に設定され、前記鍔部の凹曲面の曲率半径がころ端面の曲率半径の2倍以上で当該鍔部の凹曲面の面粗さが0.4μm以下に設定されていることを特徴とするラジアルころ軸受。」(第1頁第5?17行)

イ「<産業上の利用分野>
本考案は、端面が球面状に形成されたころと、ころ端面に当接する鍔部を有する軌道輪とを備えたラジアルころ軸受に関する。」(第1頁第19行?第2頁第2行)

ウ「<考案が解決しようとする課題>
ところで、回転トルクの低減および温度上昇の抑制という面を考慮した場合、ころと軌道輪との摩擦抵抗を小さくする必要があり、そのためにクラウニング形成量としては可及的に大きくするのが望ましい。
しかしながら、クラウニング形成量を大きくしすぎると、ころと軌道輪との対面隙間に形成される潤滑油膜が厚くなりすぎ、この油膜を剪断することにより発生する粘性抵抗が増加する上、ころのスキューを誘発しやすくなり、かえって回転トルクが増大することになってしまう。つまり、ころがスキューすると、軌道輪鍔部の内面でころ端面がひきずられることになるが、従来ではころの端面と軌道輪の鍔部内面との接触を点接触にしていたため、軌道輪鍔部に対するころの単位面積当たりの接触圧が大となり、また、鍔部内面の面粗さが粗いためにすべり摩擦係数が大となり、スキューに起因して回転トルクが増加するとともに温度上昇がはげしくなりやすい。
このように、従来では、軸受全体の回転トルクの低減と温度上昇の抑制を図るのが困難で、より高い性能追求を実現できなかった。
本考案はこのような事情に鑑みて創案されたもので、軸受全体のトルク特性と発熱特性を改善することを目的としている。」(第3頁第6行?第4頁第11行)

エ「<作用>
クラウニング形成量について上記数値に限定すると、ころと軌道輪との摩擦抵抗が小さくなるとともに、ころと軌道輪との間の環状隙間に形成される潤滑油膜も適度となり、それの粘性抵抗が小さくて済む。また、軌道輪の鍔部内面についてころ端面の曲率半径の2倍以上の曲率半径となる凹曲面にすると、ころ端面に対して面接触することになり、単位面積当たりの接触圧が小になる。さらに、鍔部内面の面粗さを0.4μm以下に設定すると、ほぼ鏡面であって表面が滑らかになるのでころ端面に対する摩擦係数が小となる。
しかも、ころのスキューが発生した場合、鍔部内面の形状と面粗さとを上述したように設定したことによって、ころ端面と軌道輪鍔部との接触部分でのすべり摩擦抵抗の増加を防げるようになる。
このように、クラウニング対策と軌道輪鍔部対策との協働作用による相乗効果で、軸受全体の回転トルクの低減と温度上昇の抑制が図れるようになるのである。」(第5頁第8行?第6頁第7行)

オ「図例の円錐ころ軸受は、ほぼ三角形断面を有する外輪1と、大端面2が球面に形成された複数の円錐ころ3と、大径部外径面に径方向外向きに延出する鍔部4を有するほぼ三角形断面を有する内輪5と、円錐ころ3それぞれを回転自在に保持する保持器6とを備えた構成である。
そして、外輪1および内輪5の円錐ころ転動面となる内周斜面7および外周斜面8には、その軸方向ほぼ全長にわたって連続するクラウニングがそれぞれ施されているとともに、円錐ころ3の転動面にもその有効長さ全長にわたって連続するクラウニングが施されている。
この外輪1,内輪5および円錐ころ3のクラウニングについて、円錐ころ3の有効長さlと各斜面7,8の軸方向端部(円錐ころの有効長さの端部に対応する部位)のクラウニング深さ和Δtとの比(Δt/l)で表されるクラウニング形成量は、0.0007?0.002(mm/mm)の範囲に設定される。前記クラウニング深さ和Δtは、第2図に示すように、円錐ころ3のクラウニング深さδt_(1)と外輪1(又は内輪5)のクラウニング深さδt_(2)(またはδt_(3))との和を意味する。
また、内輪5の鍔部4の内面9は、凹曲面状に形成されており、この内面9の曲率半径R_(A)は円錐ころ3の大端面2の曲率半径Rの2?10倍の曲率半径に設定するのが望ましく、この内面9の面粗さは0.4μm以下に設定するのが望ましい。」(第6頁第14行?第7頁第20行)

カ「本実施例の円錐ころ軸受における回転トルクと回転数との関係を第3図に表す。図において、横軸は回転数、縦軸は回転トルクである。
試験に用いた円錐ころ軸受は、内径×外径×組幅=φ35×80×32.75(mm)のサイズのものであって、円錐ころ3の有効長さlを15mmとし、円錐ころ3の軸方向端部(円錐ころの有効長さの端部)のクラウニング深さδt_(1)を5μmに、また、外輪1および内輪5のクラウニング深さδt_(2),δt_(3)を15μmにそれぞれ設定して、クラウニング深さ和Δtを20μmにし、クラウニング形成量を0.0013としているとともに、鍔部内面9の曲率半径R_(A)を円錐ころ3の大端面2の曲率半径Rの4倍に、内面9の面粗さを0.4μmにそれぞれ設定している。
試験は、スラスト荷重を400kgfにして、0?4000rpmの回転数で行った。使用潤滑油は85W-90(20℃)である。
図には、A?Dの4タイプについての試験データを示している。Aタイプは前述のクラウニング対策および鍔部対策を施した構造、B?Dタイプはクラウニング対策だけを施した(鍔部対策を施していない)構造である。なお、Bタイプのクラウニング深さ和Δtは4μm、Cタイプでは40μm、Dタイプでは20μmにそれぞれ設定されている。
B?Dタイプによる試験結果から、クラウニング形成量には適正な領域があることが判る。また、Aタイプでは、クラウニング深さ和を同一にしたDタイプよりもさらにトルクが低減していることが判る。
つまり、Dタイプのようにクラウニング深さ和Δtを20μmに設定すると、円錐ころ3と軌道輪のころ転動面との接触抵抗が軽減され、円錐ころ3と軌道輪との間の環状隙間に形成される潤滑油膜も適度となってそれの粘性抵抗が小さくて済んで、前述の結果になったと言える。また、Aタイプでは前記Dタイプと同様のクラウニング対策を施していることに加えて鍔部4の内面9に前述のような対策を施しているから、円錐ころ3と鍔部内面9とが面接触で摩擦係数が小となるので、前述のようにトルクの低減を図ることができるようになったと言える。しかし、このAタイプにおいて、円錐ころ3および軌道輪のころ転動面の加工誤差により円錐ころ3のスキューが発生したとしても、鍔部4の内面9と円錐ころ3のすべり摩擦抵抗の増加を防ぐことができるので、図に示すような好結果が得られるのである。」(第8頁第1行?第10頁第8行)

キ「クラウニング形成量と回転トルクとの関係を第4図に示す。横軸にはクラウニング形成量(Δt/l)を、また、縦軸にはクラウニング対策を施しただけの(軌道輪の鍔部対策を施していない)ものでの回転トルクデータを“1”としたときの回転トルク比をとっている。曲線Xは、クラウニング対策と鍔部対策とを施した構造の平均データを、曲線Yはクラウニング対策だけで鍔部対策を施していない構造の平均データをそれぞれ表している。平均データは図中の○印,△印,□印で示す3種類のサイズの異なる軸受から得ている。
X,Yで示す結果から明らかなように、クラウニング対策に加えて鍔部対策を施した構造では、クラウニング対策のみを施した構造に比べて回転トルク比が著しく低くなっている。そして、いずれもクラウニング形成量を約1.4(×10^(-3))にしたときに回転トルクが最小となり、それを境にクラウニング形成量を小さくしても大きくしても回転トルクが増加することが判る。このような結果から、クラウニング形成量の範囲を限定したのである。
以上説明したように、クラウニング対策によって円錐ころ3と軌道輪のころ転動面との間の摩擦抵抗を軽減できる上、さらに鍔部対策によって加工誤差でスキューが発生した場合でも円錐ころ3と軌道輪鍔部内面9とのすべり摩擦抵抗の増加を抑制できるのである。つまり、クラウニング対策と鍔部対策との協働作業による相乗効果でもって全体的なトルク低減および温度上昇の抑制を図ることができるのである。
なお、上記実施例では、円錐ころ3,外輪1および内輪5の総てにクラウニングを施した組み合わせ例を挙げているが、本考案はそれだけに限定されず、例えば下表に示すような6通りの組み合わせが考えられる。
表において、○はクラウニング有りを表す。
┌──┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
│ころ│○│ │ │○│○│ │
├──┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤
│内輪│ │○│ │○│ │○│
├──┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤
│外輪│ │ │○│ │○│○│
└──┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
また、本考案は、実施例で説明した円錐ころ軸受のみに適用されるものでなく、円筒ころ軸受にも適用できることは言うまでもない。
<考案の効果>
以上説明したように、本考案では、ころ,軌道輪に対するクラウニング対策と、軌道輪鍔部内面に対する鍔部対策とを施した構造として、クラウニング形成量および鍔部内面の曲率半径および面粗さを数値的に限定したから、前記クラウニング対策と鍔部対策との協働作用による相乗効果でもって、軸受全体のトルク特性、発熱特性を改善できるようになった。」(第10頁第9行?第13頁第4行)

これらの記載事項及び図面からみて、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「外輪1と、内輪5と、これらの間に介在する複数の円錐ころ3と、当該円錐ころ3の保持器6とを備えた円錐ころ軸受において、
前記内輪5の鍔部4の内面9の曲率半径R_(A)が、前記円錐ころ3の大端面2の曲率半径Rの2倍以上であり、
前記外輪1及び内輪5の円錐ころ転動面となる内周斜面7及び外周斜面8並びに前記円錐ころ3の転動面にはクラウニングが施され、
ころの有効長さlと当該ころの有効長さの端部でのクラウニング深さ和Δtとの比(Δt/l)で表されるクラウニング形成量が0.0007?0.002(mm/mm)の範囲に設定されている円錐ころ軸受。」

(2)引用例B(特開平11-201151号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
サ「【0010】従来の円すいころ軸受は、円すいころ13の転動面13cと内・外輪12、11の軌道面12a、11aとの接触部中心位置が、円すいころ13の軸方向中心(長さL’の1/2の位置)にあるため、馴らし運転時における円すいころ13の軸方向移動が円滑に行われない場合があり、馴らし運転時間が多くなる傾向にある。」

(3)引用例C(特開2005-172113号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
タ「【0007】
近年、自動車の省燃費化に対する要求が強くなっており、この為に、自動車の回転支持部に組み込む円すいころ軸受に関して、小型化及び軽量化を図ると共に、起動トルク及び動トルク(回転抵抗)の低減を図る事が望まれている。特に、転がり軸受のうちで円すいころ軸受の起動トルク及び動トルクは、玉軸受の場合よりも一般的に大きい。この為、自動車の省燃費化を図る為に、円すいころ軸受のトルクの低減を図る事が重要であると考えられている。又、このトルクの低減を図る場合に、円すいころ軸受の軸受寿命を確保する事が重要である事は勿論である。」

チ「【0012】
この様な事情から、円すいころ軸受6a、6bのトルクの低減を図るべく、外輪軌道10a、10b及び内輪軌道11a、11bと、各円すいころ9a、9bの転動面とのうちの少なくとも一方の面にクラウニング加工を施す事が、従来から行なわれている。尚、クラウニング加工とは、各軌道面(外輪軌道10a、10b及び内輪軌道11a、11b)或は転動面に、母線の形状が凸状となる様に僅かな曲率を持たせる加工を言う。例えば、各円すいころ9a、9bの転動面に、軸方向に関する断面形状の曲率半径が3000?9000mmである凸面状である、クラウニング加工を施す場合がある。この場合、各円すいころ9a、9bの端部の落ち量(転動面をクラウニング加工を施さない、単なる円すい面とした場合に対する、端部の半径方向の落ち込み量)は数μmとなる。
【0013】
上述の様に、各円すいころ9a、9bの転動面にクラウニング加工を施した場合には、トルクの低減を図り易くなる。更に、この場合には、内輪8a、8bを外嵌した軸が撓んだり、この軸に過大なラジアル荷重が作用した場合でも、各円すいころ9a、9bの端部外周縁と外輪軌道10a、10b及び内輪軌道11a、11bとが強く当接する、エッヂロード(局所的な接触面圧の上昇)の発生を防止する事ができる。例えば、前述の図3に示した様な、自動車のデファレンシャルギヤのピニオン軸2の支持部に円すいころ軸受6a、6bを使用した場合、このピニオン軸2がギヤ反力により撓み、このピニオン軸2に外嵌した内輪8a、8bが外輪7a、7bに対して傾く場合がある。この様に円すいころ軸受6a、6bは、外輪7a、7bの中心軸と内輪8a、8bの中心軸とが互いに交差する状態(ミスアライメント)が生じる場合がある。
【0014】
上記円すいころ軸受6a、6bに上述の様なミスアライメントが生じた場合、この円すいころ軸受6a、6bを構成する各円すいころ9a、9bの端部外周縁と外輪軌道10a、10b及び内輪軌道11a、11bとが強く当接し、エッヂロードが発生する。この様なエッヂロードの発生は、外輪、内輪各軌道10a、10b、11a、11bが早期に剥離する原因となる。これに対して、上述の様に、各円すいころの転動面にクラウニング加工を施した場合には、円すいころ軸受6a、6bにミスアライメントが生じていない状態で、これら各円すいころ9a、9bの転動面の両端部外周縁と上記外輪、内輪各軌道10a、10b、11a、11bとの間に隙間が発生する。この為、円すいころ軸受6a、6bにミスアライメントが生じ、各円すいころ9a、9bの両端部外周縁とこれら各軌道10a、10b、11a、11bとが当接する傾向となった場合でも、上記隙間の存在により、これら各円すいころ9a、9bの両端部外周縁と各軌道10a、10b、11a、11bとが強く当接する事がない。この様に、上記各円すいころ9a、9bの転動面にクラウニング加工を施した場合には、トルクの低減を図り易くできるだけでなく、エッヂロードの発生を防止する事もできる。
【0015】
但し、上記転動面の落ち量を大きくする(クラウニングの曲率半径を小さくする)と、各円すいころ9a、9bの弾性変形量が大きくなり、軸受剛性が低下する原因となる。この為、円すいころ軸受6a、6bを上記ピニオン軸2の支持部に使用した場合に、減速小歯車4と減速大歯車5との噛合位置がずれたり、噛合部で異音が生じる原因となる。
【0016】
又、上記クラウニングの曲率半径を小さくした場合には、ミスアライメントが生じていない正常な状態で、上記各軌道面(外輪軌道10a、10b及び内輪軌道11a、11b)と転動面との接触面圧が、この転動面にクラウニング加工を施していない場合に比べて高くなる。即ち、上記クラウニングの曲率半径を小さくした場合には、上記転動面にクラウニング加工を施していない場合に比べて、正常な状態での上記各軌道面と転動面との接触面積が小さくなり、これら各軌道面と転動面との接触面圧が高くなる。この様に各面同士の接触面圧が高くなると、内部起点型剥離が生じ易くなり、円すいころ軸受6a、6bの寿命が低下する原因となる為好ましくない。」

3.対比

そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、その機能又は構成からみて、後者の「外輪1」は前者の「外輪」に相当し、以下同様に、「内輪5」は「内輪」に、「円錐ころ3」は「円錐ころ」に、「保持器6」は「保持器」に、「前記内輪5の鍔部4の内面9の曲率半径R_(A)が、前記円錐ころ3の大端面2の曲率半径Rの2倍以上であり」は「前記円錐ころの大径側端面の曲率半径をRaとし、前記内輪の大径側鍔部の端面の曲率半径をRbとしたときに、Ra<Rbであり」に、「外輪1及び内輪5の円錐ころ転動面となる内周斜面7及び外周斜面8」は「外輪及び内輪の各軌道面」にそれぞれ相当するから、本願補正発明の用語を用いて表現すると、両者は、

「外輪と、内輪と、これらの間に介在する複数の円錐ころと、当該円錐ころの保持器とを備えた円錐ころ軸受において、
前記円錐ころの大径側端面の曲率半径をRaとし、前記内輪の大径側鍔部の端面の曲率半径をRbとしたときに、Ra<Rbであり、
前記外輪及び内輪の各軌道面並びに前記円錐ころの転動面にはクラウニングが施された円錐ころ軸受。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1
本願補正発明は、「ころ有効長さをLWR、ころ平均径をDWとするとき、LWR/DWで表されるころ径に対するころ長さの比が1.1?1.7の範囲にあ」るのに対して、引用発明は、どのような比であるのか特定されていない点。

・相違点2
本願補正発明は、「前記内外輪の各軌道面のクラウニングは、当該クラウニングの頂点が、前記内外輪の軌道面の軌道長さの中央に位置するように形成されており、
前記円錐ころの転動面のクラウニングは、当該クラウニングの頂点が、前記円錐ころの転動面のころ有効長さの中央に位置するように形成されて」ているのに対して、引用発明は、クラウニングの中心がどこにあるのか、明確ではない点。

・相違点3
本願補正発明は、「全クラウニング量(=外輪クラウニング量+内輪クラウニング量+ころクラウニング量×2)が50μm以上、
外輪クラウニング率(=外輪クラウニング量/全クラウニング量)が40%以上、
ころクラウニング率(=(ころクラウニング量×2)/全クラウニング量)が20%以下であり、
全クラウニング量が100μm以下であ」るのに対して、引用発明は、その点が不明である点。

・相違点4
本願補正発明は、「前記外輪のクラウニング半径をRCO、軌道長さをLRO、前記内輪のクラウニング半径をRCI、軌道長さをLRIとするとき、外輪クラウニングパラメータ(=RCO/LRO)が30?150であるとともに、内輪クラウニングパラメータ(=RCI/LRI)が50?260である」のに対して、引用発明は、ころの有効長さlと当該ころの有効長さの端部でのクラウニング深さ和Δtとの比(Δt/l)で表されるクラウニング形成量が0.0007?0.002(mm/mm)の範囲に設定されているものである点。

4.判断

(1)上記相違点1の検討
摩擦トルクの低減のために、円錐ころの平均径或いは大径側端部の直径と長さとの比を考慮することは、例えば、特開平11-210765号公報の段落【0006】に「本発明は、…トルク低減を図ることを目的とするものである。」と記載され、段落【0007】に「円すいころの長さ(L)と平均径(DA)との比(=L/DA)を1.20?2.25に設定した。」と記載され、特開2001-12461号公報の段落【0007】に、円錐ころ軸受の疲れ寿命、軸受剛性、回転トルクに影響する要素として「円錐ころの大径側端部の直径D_(a)と円錐ころの長さLとの比D_(a)/L」が挙げられているように、周知の事項である。
したがって、引用発明において、回転トルク低減のために、円錐ころの径と長さの比に着目し、当該比を最適なものに設計することは、当業者が容易になし得たものである。
また、円錐ころ軸受において、「ころ有効長さをLWR、ころ平均径をDWとするとき、LWR/DWで表されるころ径に対するころ長さの比が1.1?1.7の範囲にあ」るものは特殊なものではなく、周知のものであるから、使用回転数や支持荷重等の使用条件を考慮して、上記周知の比を有する円錐ころの軸受を選択することも、当業者が適宜なし得たものである。

(2)上記相違点2の検討
引用例Bには、上記摘記サのとおり、「従来の円すいころ軸受は、円すいころ13の転動面13cと内・外輪12、11の軌道面12a、11aとの接触部中心位置が、円すいころ13の軸方向中心(長さL’の1/2の位置)にある」ことが記載されている。
そして、引用例Aの明細書には、円錐ころ3の転動面と内輪5及び外輪1の円錐ころ転動面となる内周斜面7及び外周斜面8との接触部中心位置について特に記載はないものの、第1図及び第2図を見ると、各クラウニングの軸方向略中心となっているから、引用発明は、引用例Bに記載された従来の円すいころ軸受と同様に、前記接触部中心位置を円錐ころ3の軸方向中心としたもの、つまり、円錐ころ3の転動面と内輪5及び外輪1の円錐ころ転動面となる内周斜面7及び外周斜面8の各クラウニングの頂点を、円錐ころ3の転動面と内輪5及び外輪1の円錐ころ転動面となる内周斜面7及び外周斜面8の各中央に位置したものである。
したがって、相違点2は、実質的な相違点ではない。
なお、引用発明の各クラウニングの頂点が中央になかったとしても、引用発明に、引用例Bに記載された事項を適用して、各クラウニングの頂点を各面の中央に位置させることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(3)上記相違点3の検討
上記摘記オを参照すると、引用例Aの外輪1側のクラウニング深さ和(Δt=[円錐ころ3のクラウニング深さδt_(1)]+[外輪1のクラウニング深さδt_(2)])と内輪5側のクラウニング深さ和(Δt=[円錐ころ3のクラウニング深さδt_(1)]+[内輪5のクラウニング深さδt_(3)])を足したものが、本願補正発明の「全クラウニング量」に相当することがわかる。
また、上記摘記オによると、円錐ころ3の有効長さlと各斜面7,8の軸方向端部(円錐ころの有効長さの端部に対応する部位)のクラウニング深さ和Δtとの比(Δt/l)がクラウニング形成量である。
そして、引用例Aには、上記摘記カのとおり、「B?Dタイプによる試験結果から、クラウニング形成量には適正な領域があること」が記載されており、これは、特定の大きさの円錐ころ軸受においては、円錐ころの有効長さlが決まることから、実質的に、個々の円錐ころ軸受のクラウニング深さ和に適正な領域があることを意味し、したがって、引用発明において、クラウニング深さ和を適正な数値範囲となるように定めることは、当業者が容易になし得たものである。
また、引用例Aには、上記摘記オのとおり、円錐ころ3のクラウニング深さδt_(1)と、外輪1のクラウニング深さδt_(2)と、内輪5のクラウニング深さδt_(3)とを異なる記号とし、上記摘記キの表に、クラウニングを、ころ、内輪及び外輪の何れか少なくとも一つを含むどの組み合わせとしてもよいこと、つまり、各δを異ならせることが記載ないし示唆されているから、上記クラウニング深さ和を適正な数値範囲とする際、円錐ころ3のクラウニング深さδt_(1)と、外輪1のクラウニング深さδt_(2)と、内輪5のクラウニング深さδt_(3)の各値を個別に変更して最適なものとすることは当業者が容易になし得たものである。
これらに関して、本願補正発明は、「全クラウニング量(=外輪クラウニング量+内輪クラウニング量+ころクラウニング量×2)が50μm以上」及び「全クラウニング量が100μm以下」、並びに「外輪クラウニング率(=外輪クラウニング量/全クラウニング量)が40%以上、ころクラウニング率(=(ころクラウニング量×2)/全クラウニング量)が20%以下」という数値限定をしているが、本願明細書、特許請求の範囲及び図面をみても、その上下限値の技術的意義について具体的な理由が特に説明されておらず、かつ、その上下限値に格別顕著な意義があるとは認められない。例えば、本願の図10には、全クラウニング量が50μm未満のものでも、50μm以上のものよりトルク比が低いものもあり、図11のグラフを見ると、外輪クラウニング率40%以上はトルク比が1以上である実験結果を含み、図12を見ると、ころクラウニング率20%以下もトルク比が他より高いものを含んでいる。

(4)上記相違点4の検討
引用例Cには、円すいころ軸受のトルクの低減を図るべく、外輪軌道及び内輪軌道と、各円すいころの転動面とのうちの少なくとも一方の面にクラウニング加工を施したものに関して、摘記チの段落【0012】に、「各円すいころ9a、9bの端部の落ち量(転動面をクラウニング加工を施さない、単なる円すい面とした場合に対する、端部の半径方向の落ち込み量)」との記載があり、また、段落【0015】に、「転動面の落ち量を大きくする(クラウニングの曲率半径を小さくする)」との記載があるように、クラウニングによる転動面の落ち量とクラウニングの曲率半径が関連することが記載されているから、引用発明のころの有効長さlところの有効長さの端部でのクラウニング深さ和Δtとの比(Δt/l)で表されるクラウニング形成量に代えて、ころの有効長さとクラウニングの曲率半径との比をパラメータとして採用することは、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、上記相違点3で検討したように、クラウニング深さ和Δtを構成する、円錐ころ3のクラウニング深さδt_(1)と、外輪1のクラウニング深さδt_(2)と、内輪5のクラウニング深さδt_(3)の各値を個別に変更して最適なものとすることは当業者が容易になし得たものであるから、パラメータとしても、個別に規定することに格別の困難性はない。
これに関して、本願補正発明は、「外輪クラウニングパラメータ(=RCO/LRO)が30?150」及び「内輪クラウニングパラメータ(=RCI/LRI)が50?260」という数値限定をしているが、当該限定は、上記相違点3の「全クラウニング量」、「外輪クラウニング率」及び「ころクラウニング率」(つまり、「内輪クラウニング率」=100%-[外輪クラウニング率]-[ころクラウニング率])を、異なる観点で規定しているだけであるから、相違点3の数値限定の上下限値と同様に、その上下限値に格別顕著な意義があるとは認められない。

・本願補正発明の作用効果の検討
本願補正発明の作用効果は、引用例Aに記載された発明、引用例Bに記載された発明、及び引用例Cに記載された発明に基づいて、当業者が予測し得た程度のものである。

5.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用例Aに記載された発明、引用例Bに記載された発明、及び引用例Cに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

なお、審判請求人は、審判請求書の「(3)本願発明が特許されるべき理由」の1)において、「全クラウニング量、外輪クラウニング率、及び、ころクラウニング率によって規定される範囲内において、外輪クラウニング量、内輪クラウニング量、及び、ころクラウニング量を設定すれば、円錐ころ軸受全体としての回転トルクを低減することができるので、円錐ころ軸受を設計する上で、回転トルクを低減させることができる外輪クラウニング量、内輪クラウニング量、及び、ころクラウニング量それぞれの数値範囲が特定できます。さらに、前述の数値範囲では軸受の設計値としてどの数値を選んだとしても、低い値の範囲で安定した同じような低トルクが得られる(図10?12、及びこれに関連する段落番号[0036]?[0028]ご参照)ため、低トルクの軸受を設計する際に上述の数値範囲から設計値を自由に選ぶことができ、低トルク軸受設計の自由度を高めることができます。」と主張している。
しかし、4.で検討したように、それぞれのパラメータを使用して、トルク比の低い円錐ころ軸受を規定することは、当業者が容易になしえたものであるから、審判請求人の上記主張は採用できない。
また、本願の試験では、出願当初の明細書段落【0035】に「本試験に供した前記円錐ころ軸受には、その全クラウニング量及び各クラウニング率が種々異なる値に設定されたものを用意し、それぞれについて回転トルクを測定して、全クラウニング量及び各クラウニング率と回転トルクとの関係を把握し、回転トルクを低減させる値の範囲を特定した。」と記載されているように、全クラウニング量及び各クラウニング率が種々異なる値に設定されたものでの試験であるが、図10?13を見ても、本願発明のパラメータの数値範囲の上下限値に格別の臨界的意義を見出せないものである。その理由を説明すると、仮に、図10から、全クラウニング量にトルク比を低くする最適な範囲があると仮定すると、全クラウニング量が最適な範囲外で、トルク比が高い円錐ころ軸受は、図11の外輪クラウニング率及び図12のころクラウニング率を本願補正発明の規定範囲としても、トルク比は高いはずである。逆に、全クラウニング量が最適な範囲内でトルク比が低い円錐ころ軸受は、外輪クラウニング率及びころクラウニング率を本願補正発明の規定外の範囲としてもトルク比は低いはずである。(このことは、本願補正発明の全ての条件を満たすものだけが、トルク比が低いと仮定しても、同様である。)つまり、トルク比が高い試験片は、どのパラメータで見てもトルク比は高いのであるから、全クラウニング量及び各クラウニング率が種々異なる値に均等(ばらばら)な試験体(円錐ころ軸受)にされていれば、各パラメータでは最適な範囲でも、トルク比が高い試験体が現れるはずであるが、本願の図10?12は必ずしもそうはなっておらず、したがって、本願のトルク比が高い試験体の傾向として、全クラウニング量が小さいものは、外輪クラウニング率が小さく、ころクラウニング率が大きい試験体(円錐ころ軸受)であることがわかるだけで、本願の試験結果からトルク比の低いものを選定する各パラメータの境界を見出すことはできない。

第3 本願発明について

1.本願発明の内容

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?8に係る発明は、平成22年2月1日付けの手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
外輪と、内輪と、これらの間に介在する複数の円錐ころと、当該円錐ころの保持器とを備えた円錐ころ軸受において、
前記円錐ころの大径側端面の曲率半径をRaとし、前記内輪の大径側鍔部の端面の曲率半径をRbとしたときに、Ra<Rbであり、
ころ有効長さをLWR、ころ平均径をDWとするとき、LWR/DWで表されるころ径に対するころ長さの比が1.1?1.7の範囲にあり、
前記外輪及び内輪の各軌道面並びに前記円錐ころの転動面にはクラウニングが施され、 全クラウニング量(=外輪クラウニング量+内輪クラウニング量+ころクラウニング量×2)が50μm以上、
外輪クラウニング率(=外輪クラウニング量/全クラウニング量)が40%以上、
ころクラウニング率(=(ころクラウニング量×2)/全クラウニング量)が20%以下であり、且つ、
全クラウニング量が100μm以下であることを特徴とする円錐ころ軸受。」

2.引用刊行物記載の発明

原査定の拒絶の理由に引用された引用例A、B及びCとその記載事項は、上記「第2 平成22年8月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「2.引用刊行物記載の発明」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、実質的に、上記「第2 平成22年8月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定」で検討した本願補正発明を、補正前の請求項2の内容による限定、内外輪の各軌道面のクラウニングについての「前記内外輪の各軌道面のクラウニングは、当該クラウニングの頂点が、前記内外輪の軌道面の軌道長さの中央に位置するように形成されており」との限定、及び、円錐ころの転動面のクラウニングについて、「前記円錐ころの転動面のクラウニングは、当該クラウニングの頂点が、前記円錐ころの転動面のころ有効長さの中央に位置するように形成されており」との限定を削除して拡張したものに相当する。

そうすると、本願発明の特定事項をすべて含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 平成22年8月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定」に記載したとおり、引用例Aに記載された発明、引用例Bに記載された発明、及び引用例Cに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例Aに記載された発明、引用例Bに記載された発明、及び引用例Cに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用例Aに記載された発明、引用例Bに記載された発明、及び引用例Cに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

そして、本願発明、すなわち、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものである以上、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-11-02 
結審通知日 2011-11-08 
審決日 2011-11-22 
出願番号 特願2005-237724(P2005-237724)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16C)
P 1 8・ 575- Z (F16C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西尾 元宏  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 倉田 和博
山岸 利治
発明の名称 円錐ころ軸受、円錐ころ軸受装置及びこれを用いた車両用ピニオン軸支持装置  
代理人 特許業務法人サンクレスト国際特許事務所  

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