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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 取り消して特許、登録(定型) H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録(定型) H01L
管理番号 1252452
審判番号 不服2010-22126  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-01 
確定日 2012-03-07 
事件の表示 特願2000-571323「高速精密位置決め装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 3月30日国際公開、WO00/17724、平成14年 8月13日国内公表、特表2002-525858、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成11年 9月13日(パリ条約による優先権主張 1998年9月18日アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成22年6月21日に拒絶査定がされた。
これに対し、平成22年10月1日に本件審判請求とともに手続補正がなされ、当審において、平成23年8月19日付けで拒絶の理由が通知され、平成24年2月14日に意見書の提出とともに手続補正がなされたものである。

第2.拒絶の理由
平成23年8月19日付けで通知された拒絶の理由は、以下のとおりである。

「1.本件出願の請求項19?22に係る発明は、・・・特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない(特許法第184条の13)。
2.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。

(29条の2)
(略)

(第36条)
1.請求項1において、「少なくとも3つの運動の自由度」と「平面運動」との関係が不明確である。平面運動は、一般に2自由度ではないか。自由度が「少なくとも3つ」とはいかなる状態か。
2.請求項1において「残りのすべての自由度において・・・拘束する」とはいかなる状態か不明確である。
3.各請求項で特定する事項と、発明の詳細な説明、図面、実施例との対応関係が不明確である。構成要素に図面参照符号を付すとともに、請求項ごとに対応する段落番号、図面番号を意見書で説明願いたい。また、補正を経た結果、請求項と無関係となった段落番号、図面番号があれば、教示願いたい。
4.請求項21には、・・・。」

第3.意見書、補正書
請求人は、拒絶理由に対応して、請求項に参照符号を追加し、請求項19?22を削除する補正を行うとともに、意見書を提出した。意見書の主張は以下のとおりである。

「(請求項1について)
「少なくとも3つの運動の自由度」とは、「平面運動」の自由度が少なくとも3であることを意味しております。明細書の段落[0021]、図2において、XY平面内で、X方向の運動、Y方向の運動、およびZ軸を中心とする回転運動の3つの自由度の運動が説明されております。すなわち、「平面運動」とは、平面に沿う(平面内での)運動を意味し、「少なくとも3つの運動の自由度」とは、その平面内での少なくとも3つの運動の自由度を意味しております。また、段落[0064]にも、3つの運動の自由度についての説明があります。
「残りのすべての自由度において・・・拘束する」とは、上記の少なくとも3つの自由度の運動以外の全ての運動を禁止するように構成されることを意味しております(段落[0029]など参照)。
なお、請求項1にかかる発明は、図1(主に、半導体ウエファー(106)、プラテン(104)、流体軸受け(144)、ステージ(102)の配置)、図2(主に、ステージ(102)、駆動モータ(112a、112b、112c、112d)の構成)、図3(主に、ステージ(102)、可動の磁石(132、134)の構成)、図4、7(主に、ステージ(102)、半導体ウエファー(106)、流体軸受け(144)、プラテン(104)、コイル(140、142)、可動の磁石(132)の構成)に、図示され、明細書の関連個所(主に段落[0017]-[0033])で説明されております。」

第4.当審の判断
1.第29条の2
第29条の2に関する理由については、その対象たる請求項19?22が削除されたから、この拒絶理由は解消した。

2.第36条
3.の点については、請求項に参照符号が追加され、対応関係が明確となったから、この拒絶理由は解消した。
4.の点については、その対象たる請求項21が削除されたから、この拒絶理由は解消した。

1.及び2.の点について検討する。
「少なくとも3つの運動の自由度」と「平面運動」との関係、平面運動は、一般に2自由度ではないかとの指摘に対し、請求人は、意見書で、以下のとおり主張している。
「「平面運動」とは、平面に沿う(平面内での)運動を意味し、「少なくとも3つの運動の自由度」とは、その平面内での少なくとも3つの運動の自由度を意味しております。」、「明細書の段落[0021]、図2において、XY平面内で、X方向の運動、Y方向の運動、およびZ軸を中心とする回転運動の3つの自由度の運動が説明されております。」、「残りのすべての自由度において・・・拘束する」とは、上記の少なくとも3つの自由度の運動以外の全ての運動を禁止するように構成されることを意味しております」

すなわち、請求項1に係る発明において、複数の駆動モータがステージに与える駆動力は、あくまで「平面に沿う(平面内での)運動」であって、平面に垂直な「立体方向」の運動は拘束されることが明らかになった。
一般に、XY平面内においては、X方向の運動、Y方向の運動、Z軸を中心とする回転運動の3つの自由度以外は想定できないところ、請求項1には「少なくとも」なる記載があり、「4以上」の自由度、すなわち「立体方向」の運動があるようにも解される。
しかし、意見書における請求人の主張を踏まえれば、ステージが「立体方向」に運動しないこと、すなわち自由度が「4以上」でないことは明らかである。
よって、「少なくとも」なる記載が削除されていないことのみをもって、請求項1に係る発明が不明確とは言えず、この拒絶理由は解消した。

第5.結論
本願の請求項1ないし18に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由、及び当審で通知した拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2012-02-24 
出願番号 特願2000-571323(P2000-571323)
審決分類 P 1 8・ 16- WYF (H01L)
P 1 8・ 537- WYF (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 沼生 泰伸  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 長屋 陽二郎
刈間 宏信
発明の名称 高速精密位置決め装置  
代理人 小林 泰  
代理人 千葉 昭男  
代理人 鐘ヶ江 幸男  
代理人 富田 博行  
代理人 小野 新次郎  
代理人 社本 一夫  

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