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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1254538
審判番号 不服2011-11821  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-03 
確定日 2012-03-29 
事件の表示 特願2001- 91674「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月 2日出願公開、特開2002-282511〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願の手続の経緯概要は以下のとおりである。
平成13年 3月28日 出願
平成22年 2月15日 拒絶理由通知
平成22年 4月22日 手続補正
平成22年 8月 4日 拒絶理由通知(最後)
平成22年 9月30日 手続補正A
平成23年 3月 3日 補正却下(手続補正A)、拒絶査定
平成23年 6月 3日 本件審判請求,手続補正
平成23年 9月 6日 審尋
平成23年11月 9日 回答書

第2.平成23年6月3日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年6月3日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
平成22年9月30日付けの手続補正は平成23年3月3日付けで却下されているので、本件補正は平成22年4月22日付け手続補正により補正された明細書及び図面を補正するものであって、その補正の前後の特許請求の範囲は以下のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】
各種の抽選を行いこの抽選に関する情報を表示するように構成された遊技機において、
前記抽選に係る各種の制御コマンドを含む制御コマンド群を格納する主制御手段と、
前記抽選に関する情報を表示するための表示装置を制御する副制御手段と、を備え、
前記主制御手段は、
前記制御コマンド群を前記副制御手段に送信する送信手段を備え、
前記副制御手段は、
前記送信手段から送信された前記制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々を対応する領域に格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記制御コマンドに基づき、前記抽選に関する情報を前記表示装置に表示させる表示制御を行う表示装置制御手段と、
前記格納手段に格納された前記制御コマンドに応じた動作状態を示す信号を外部出力可能な外部出力手段と、を備え、
前記格納手段は、前記送信手段から送信された前記制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々について欠落の有無を判定し、欠落していないと判定された前記制御コマンドを格納し、欠落していると判定された前記制御コマンドの格納を省略し、
前記外部出力手段は、前記欠落していると判定された前記制御コマンドに対応する前記表示装置の表示制御に応じて当該制御コマンドが欠落していることを示すエラー信号を外部に出力することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記制御コマンド群は、特定遊技状態を生起させるか否かの抽選に関する表示制御を行わせるための第1のコマンド群と、前記特定遊技状態とは異なる準特定遊技状態を生起させるか否かの抽選に関する表示制御を行わせるための第2のコマンド群とを含むことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1に記載の遊技機において、
前記外部出力手段は、
前記信号に抽選結果を示す情報を更に含むようにして外部出力可能な手段であることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項3に記載の遊技機において、
前記抽選結果を示す情報は、確定図柄の種類を示す情報とこの確定図柄の表示色を示す情報を含むことを特徴とする遊技機。
【請求項5】
請求項2に記載の遊技機において、
前記第1のコマンド群と前記第2のコマンド群の送信用信号線は共用するように構成されていることを特徴とする遊技機。」

(補正後)
「【請求項1】
各種の抽選を行いこの抽選に関する情報を表示するように構成された遊技機において、
前記各種の抽選に係る各種の制御コマンドを含む複数の制御コマンド群を格納する主制御手段と、
前記各種の抽選に関する情報を表示するための表示装置を制御する副制御手段と、を備え、
前記主制御手段は、
前記複数の制御コマンド群を前記副制御手段に送信する送信手段を備え、
前記副制御手段は、
前記複数の制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々に対応する個別の領域を有し、前記送信手段から送信された前記制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々を当該制御コマンドに対応する前記個別の領域に格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記制御コマンドに基づき、前記抽選に関する情報を前記表示装置に表示させる表示制御を行う表示装置制御手段と、
前記格納手段に格納された前記制御コマンドに応じた動作状態を示す信号を外部出力可能な外部出力手段と、を備え、
前記格納手段は、前記送信手段から送信された前記複数の制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々について欠落の有無を判定し、欠落していないと判定された前記制御コマンドを当該制御コマンドに対応する前記個別の領域に格納し、欠落していると判定された前記制御コマンドの当該制御コマンドに対応する前記個別の領域への格納を省略し、
前記表示装置制御手段は、前記制御コマンド群毎に前記欠落していると判定された前記制御コマンドに対応する態様で前記表示装置への表示を制御し、 前記外部出力手段は、前記制御コマンド群毎に前記欠落していると判定された前記制御コマンドに対応する前記表示装置制御手段の前記表示装置への表示制御に応じた時期に当該制御コマンドが欠落していることを示すエラー信号を外部に出力することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記制御コマンド群は、特定遊技状態を生起させるか否かの抽選に関する表示制御を行わせるための第1のコマンド群と、前記特定遊技状態とは異なる準特定遊技状態を生起させるか否かの抽選に関する表示制御を行わせるための第2のコマンド群とを含むことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1に記載の遊技機において、
前記外部出力手段は、
前記信号に抽選結果を示す情報を更に含むようにして外部出力可能な手段であることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項3に記載の遊技機において、
前記抽選結果を示す情報は、確定図柄の種類を示す情報とこの確定図柄の表示色を示す情報を含むことを特徴とする遊技機。
【請求項5】
請求項2に記載の遊技機において、
前記第1のコマンド群と前記第2のコマンド群の送信用信号線は共用するように構成されていることを特徴とする遊技機。」と補正された。

上記補正は、請求項1に関する補正を含む(請求項2?5は補正なし)ものであって、補正前請求項1の「前記抽選に係る」を「前記各種の抽選に係る」と限定し、同「制御コマンド群」(3箇所)を「複数の制御コマンド群」と限定し、同「前記抽選に関する情報」を「前記各種の抽選に関する情報」と限定し、同「格納手段」について「前記複数の制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々に対応する個別の領域を有し、」との限定を付加し、同「前記制御コマンドの各々を対応する領域に格納する格納手段」を「前記制御コマンドの各々を当該制御コマンドに対応する前記個別の領域に格納する格納手段」と限定し、同「欠落していないと判定された前記制御コマンドを格納し、欠落していると判定された前記制御コマンドの格納を省略し、」を「欠落していないと判定された前記制御コマンドを当該制御コマンドに対応する前記個別の領域に格納し、欠落していると判定された前記制御コマンドの当該制御コマンドに対応する前記個別の領域への格納を省略し、」と限定し、同「前記表示装置制御手段」について「前記制御コマンド群毎に前記欠落していると判定された前記制御コマンドに対応する態様で前記表示装置への表示を制御し、」との限定を付加し、同「前記外部出力手段は、前記欠落していると判定された前記制御コマンドに対応する前記表示装置の表示制御に応じて当該制御コマンドが欠落していることを示すエラー信号を外部に出力する」を「前記外部出力手段は、前記制御コマンド群毎に前記欠落していると判定された前記制御コマンドに対応する前記表示装置制御手段の前記表示装置への表示制御に応じた時期に当該制御コマンドが欠落していることを示すエラー信号を外部に出力する」と限定するものであり、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由(平成22年8月4日付け拒絶理由通知書参照)に引用された特開2000-325633号公報(公開日:平成12年11月28日)(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

【0018】また、普通図柄表示装置4における当り外れの判定を行うための図柄表示部は1つであり、特別図柄表示装置3における当り外れを行うための図柄表示部は、左特別図柄32、中特別図柄33、右特別図柄34の3つである。・・・
【0020】図5は、実施形態のパチンコ遊技機に配備された制御系統の要部ブロック図である。メイン制御装置37は図示しないメイン制御基板に配備される。メイン制御装置37は、パチンコ遊技に関して総括的な制御を行うための処理実行手段としてのメインCPUと、メインCPUが実行するためのパチンコ遊技全体に関わる制御プログラムが格納されているROMと、随時読み出しおよび書き込みが可能なRAMと、メインCPUが周辺機器との間でデータ通信を行うための通信インタフェースとにより構成されている。・・・
【0021】図5に示すように、メイン制御装置37には、図示しない液晶制御基板に配備されたサブ制御装置(液晶表示制御装置)38が、メイン制御装置37からサブ制御装置38に向けて一方向通信が可能に接続されている。なお、メイン制御装置37からサブ制御装置38に向けて送信される通信データは、後述する図柄表示装置制御コマンドである。
【0026】サブ制御装置38は、図柄表示用制御基板45に配備されると共に、液晶表示装置(特別図柄表示装置3)の表示制御と普通図柄表示装置4の図柄の変動表示制御とを行うものである。・・・
【0027】なお、メイン制御装置37からサブ制御装置38に対して送られる図柄表示装置制御コマンドは、特別図柄表示装置制御コマンドと普通図柄表示装置制御コマンドとに大別される。
【0034】次に、特別図柄表示装置制御コマンドについて説明する。図7乃至図16は特別図柄表示装置制御コマンドとその内容とを表形式で示す図である。特別図柄表示装置制御コマンドは、画面の表示内容により、特別図柄制御コマンド、キャラクタ制御コマンド、背景制御コマンド、大当り制御コマンド、異常制御コマンドの5種類に分類される。
【0035】図7乃至図9に示すように、左特別図柄、右特別図柄、中特別図柄に表示される図柄の種類は全て同じであって、数字の「0」?「9」及び絵柄「ヒゲゴジラ」、「丸ゴシ」、「永井豪」の13種類設けられている。
【0036】また、左特別図柄と右特別図柄に関する特別図柄制御コマンドは、それぞれ図柄確定、図柄差し換え、図柄変動の3種類に分類される(図7乃至図8参照)。また、中特別図柄に関しては、図柄確定、図柄差し換え、の2種類に分類されるが、特別な変動態様として、図柄リーチ発生時の変動態様が設定されている。
【0037】尚、「リーチ」とは、複数の表示領域でそれぞれ独立して変動表示されている表示領域のうちの一部が停止した段階で、特定の図柄の組合せ(大当り発生となる図柄の組合せ)が発生する条件を満たしている場合をいう。実施形態においては、左特別図柄、右特別図柄、中特別図柄の順序で変動していた図柄の停止が行われる。そして、変動停止した左、右、中特別図柄がすべて同一図柄である場合に大当り発生となる。
【0041】図17は普通図柄表示装置制御コマンドとその内容を表形式で示す図である。普通図柄表示装置制御コマンドは、表示内容により、図柄確定コマンド、図柄変動コマンド、異常制御コマンドの3種類に分類される。普通図柄に表示される図柄の種類は、数字の「0」?「9」の10種類設けられている。また、変動速度は高速のみの1種類である。
【0042】次に、実施形態のパチンコ遊技機における遊技を概略で説明する。図1に示す遊技盤面において、パチンコ球が左ゲート10または右ゲート11を通過すると、普通図柄表示装置4が変動を開始する。なお、普通図柄表示装置4の図柄変動に関わるパチンコ球のゲート通過の記憶は、最高4個までであり、その記憶状態が図3の記憶数表示LED30により個数点灯される。また、普通図柄表示装置4における当り外れの確率は、低確率モード(8/80)と高確率モード(72/80)の2種類が設定されている。低確率モード時では普通図柄表示装置4が変動を開始してから15.1秒以上経過すると、高確率モード時では普通図柄表示装置4が変動を開始してから6.0秒以上経過すると、図柄が停止する。
【0043】普通図柄表示装置4において表示される図柄の種類は0,1,2,3,4,5,6,7,8,9の10種類である。変動を停止した図柄が「3」又は「7」である場合には当りとなり、「3」及び「7」以外の場合は外れとなる。普通図柄表示装置4において当り発生となった場合には、図1の入賞装置5が作動し、低確率モード時では図柄作動口6を約0.3秒間拡開し、高確率モード時では図柄作動口6を約3.5秒間拡開する。・・・
【0044】パチンコ球が図柄作動口6に入賞すると、特別図柄表示装置3の左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄が同時に変動を開始する。なお、特別図柄表示装置3の図柄変動に関わるパチンコ球の図柄作動口6への入賞記憶は、最高4個までであり、その記憶状態が図3の記憶数表示LED31により個数点灯される。特別図柄表示装置3が図柄の変動を開始してから約5.4秒以上経過すると、左特別図柄、右特別図柄、中特別図柄の順序で図柄が停止する。・・・
【0045】変動停止した左特別図柄、右特別図柄、中特別図柄の組合せが、全て同一図柄となって大当り発生となった場合には、条件装置が作動し(メイン制御装置37により条件フラグがセットされ)、大入賞口9が約29.4秒間開放する。大入賞口9が開放中、入賞したパチンコ球が特定領域19を通過すると、その回の大入賞口9の開放終了後、再び、大入賞口9が開放する。・・・
【0048】まず、メインCPUは、普通図柄表示装置4の図柄変動に変化があるか否かを判別する(ステップS01)。普通図柄表示装置4の図柄変動に変化がある場合、メインCPUは、検出した条件に対応する普通図柄表示装置制御コマンド(図17参照)をサブCPUに対して送信し(ステップS02)、ステップS03に移行する。
【0049】例えば、ゲート通過検出スイッチSW1またはゲート通過検出スイッチSW2の検出信号の検知による普通図柄の変動開始時、ゲート通過の入賞記憶による普通図柄の変動開始時、変動中の普通図柄の停止時、異常(エラー)検知時、異常からの復帰時等の場合には、メインCPUが普通図柄表示装置制御コマンドをサブCPUに対して送信することとなる。
【0051】ステップS03に移行したメインCPUは、特別図柄表示装置3の表示に変化があるか否かを判別する(ステップS03)。特別図柄表示装置3の表示に変化がある場合、メインCPUは、検出した条件に対応する特別図柄表示装置制御コマンド(図7?図16参照)をサブCPUに対して送信し(ステップS04)、制御コマンド送信処理を終了する。
【0052】例えば、図柄作動口入賞検出スイッチSW3の検出信号の検知による特別図柄の変動開始時、図柄作動口6への入賞記憶による特別図柄の変動開始時、変動中の特別図柄の変動速度の切換時、変動中の特別図柄の図柄差し換え時、変動中の特別図柄の図柄停止時、図10乃至図12に示すような中特別図柄の図柄変動態様及び左、右特別図柄の表示態様の変化時、図柄リーチ発生に伴う吹き出しやキャラクタによる動画等の表示開始時、背景の切換表示時、大当り発生時、大当り中のラウンド数の切り換わり時、大当り中の大入賞口9の開放動作のインターバル中、大当り中の特定領域19の通過検出時、大当り中の大入賞口の開放動作の最終回開始時、大当り中の吹き出しやキャラクタによる動画等の表示切換時、異常(エラー)検知時、異常からの復帰時等の場合には、メインCPUが普通図柄表示装置制御コマンドをサブCPUに対して送信することとなる。
【0056】なお、図6に示すように、特別図柄表示装置制御コマンドに続いて普通図柄表示装置制御コマンドが送信される場合があり、この場合には、再度STB信号が送信されてサブCPUのINT端子に入力されるので、再びサブCPUにINT割り込みが発生する。この時には、サブCPUは1回目に取り込んだ受信バッファとは別の次の受信バッファ(2バイト)に2回目の図柄表示装置制御コマンドデータを取り込む。
【0059】請求項1に記載の単一のCPUには、即ち、サブCPUには、受信した図柄表示装置制御コマンドのコマンド内容が普通図柄表示装置4を制御指令する制御コマンドであるか特別図柄表示装置3を制御指令する制御コマンドであるかを判別し、特別図柄表示装置3若しくは普通図柄表示装置4の制御を開始させる特別図柄・普通図柄制御指令判別処理手段が設けられている(図19のサブCPU制御コマンド受信処理を参照)。
【0061】受信した図柄表示装置制御コマンドのコマンドデータ1の値が16進数の“75H”“76H”“77H”の何れかに一致している場合に、受信した制御コマンドが普通図柄表示装置4に関係する制御コマンドであると判別される。受信した制御コマンドが普通図柄表示装置4に関係する制御コマンドである場合、サブCPUは、コマンドデータ1及びコマンドデータ2の値に従って普通図柄表示装置4の表示を変化させる処理を行い(処理の内容は図17に示すとおり)(ステップA04)、普通図柄表示装置4の表示を変化させる処理を終えるとステップA05に移行する。・・・
【0064】受信した制御コマンドが特別図柄表示装置3に関係する制御コマンドである場合、サブCPUは、コマンドデータ1及びコマンドデータ2の値に従って特別図柄表示装置3の表示を変化させる処理を行い(処理の内容は図7?図16に示すとおり)(ステップA06)、特別図柄表示装置3の表示を変化させる処理を終えると、サブCPUは制御コマンド受信処理を終了する。・・・

また、図7?16には特別図柄表示装置制御コマンドとして複数種類の図柄変動表示に関する制御コマンドがあることが図示されており、図17には普通図柄表示装置制御コマンドとして複数種類の図柄変動表示に関する制御コマンドがあることが図示されている。

以上を含む全記載及び図示によれば、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。
「普通図柄表示装置4における図柄表示部で当り外れの判定を行い、特別図柄表示装置3における図柄表示部で当り外れを行う、パチンコ遊技機において、
パチンコ遊技に関して総括的な制御を行うための処理実行手段としてのメインCPUと、メインCPUが実行するためのパチンコ遊技全体に関わる制御プログラムが格納されているROMと、を含むメイン制御装置37と、
特別図柄表示装置3の表示制御と普通図柄表示装置4の図柄の変動表示制御を行うサブ制御装置38と、を備え、
メイン制御装置37は、特別図柄表示装置制御コマンドと普通図柄表示装置制御コマンドをサブ制御装置38に対し送信する手段を備え、
サブ制御手段は、
送信手段から送信された特別図柄表示装置制御コマンド及び普通図柄表示装置制御コマンドに含まれる制御コマンドを取り込む受信バッファと、
受信バッファに取り込まれた制御コマンドに基づき、特別図柄表示装置3の制御と普通図柄表示装置4の制御を行う表示装置の制御手段と、を備えたパチンコ遊技機。」(以下、「引用発明」という。)

3.対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の「パチンコ遊技機」は本願補正発明の「遊技機」に相当し、以下同様に、「メイン制御装置37」は「主制御手段」に、「サブ制御手段38」は「副制御手段」に、「送信する手段」は「送信手段」に、「表示装置の制御手段」は「表示装置制御手段」に、相当する。
そして、引用発明について以下のことがいえる。
(1)「普通図柄表示装置4における図柄表示部で当り外れの判定を行い、特別図柄表示装置3における図柄表示部で当り外れの判定を行う、パチンコ遊技機において、」について
「普通図柄表示装置4における図柄表示部で当り外れの判定を行い」が、パチンコ遊技機における慣用手段である、当否について乱数抽選を行って、普通図柄表示装置においてその抽選の結果(抽選に関する情報)を表示することを意味し、「特別図柄表示装置3における図柄表示部で当り外れの判定を行う」が、パチンコ遊技機における慣用手段である、当否について乱数抽選を行って、特別図柄表示装置においてその抽選の結果(抽選に関する情報)を表示することを意味することは明らかである。
そうすると、抽選及び情報の表示が「普通図柄表示装置4」と「特別図柄表示装置3」の「各種」について行われるから、引用発明は、本願補正発明の「各種の抽選を行いこの抽選に関する情報を表示するように構成された遊技機において、」に相当する構成を実質的に具備している。
(2)「パチンコ遊技に関して総括的な制御を行うための処理実行手段としてのメインCPUと、メインCPUが実行するためのパチンコ遊技全体に関わる制御プログラムが格納されているROMと、を含むメイン制御装置37」について
メイン制御装置37は特別図柄表示装置制御コマンドと普通図柄表示装置制御コマンドをサブ制御装置38に対し送信するものであり、特別図柄表示装置制御コマンドと普通図柄表示装置制御コマンドはそれぞれ複数種類の図柄変動表示に関する制御コマンドを含むものであるから、「特別図柄表示装置制御コマンド」と「普通図柄表示装置制御コマンド」はそれぞれ本願補正発明の「制御コマンド群」に相当し、「特別図柄表示装置制御コマンド」と「普通図柄表示装置制御コマンド」はあわせて、本願補正発明の「複数の制御コマンド群」に相当する。
そして、このような制御コマンドはこれを送信するメイン制御装置37に記憶(格納)されていることは自明なことであるから、引用発明は、本願補正発明の「前記各種の抽選に係る各種の制御コマンドを含む複数の制御コマンド群を格納する主制御手段と、」に相当する構成を実質的に具備する。
(3)「特別図柄表示装置3の表示制御と普通図柄表示装置4の図柄の変動表示制御を行うサブ制御装置38と、を備え、」について
「特別図柄表示装置3」と「普通図柄表示装置4」は前記各種の抽選に関する情報を表示するための表示装置」ということができるから、引用発明は、本願補正発明の「前記各種の抽選に関する情報を表示するための表示装置を制御する副制御手段と、を備え、」に相当する構成を実質的に具備する。
(4)「メイン制御装置37は、特別図柄表示装置制御コマンドと普通図柄表示装置制御コマンドをサブ制御装置38に対し送信する手段を備え、」について
「特別図柄表示装置制御コマンドと普通図柄表示装置制御コマンド」があわせて本願補正発明の「複数の制御コマンド群」に相当することは上述の通りであるから、引用発明は、本願補正発明の「前記主制御手段は、前記複数の制御コマンド群を前記副制御手段に送信する送信手段を備え、」に相当する構成を実質的に具備する。
(5)「送信手段から送信された特別図柄表示装置制御コマンド及び普通図柄表示装置制御コマンドに含まれる制御コマンドを取り込む受信バッファと、」について
引用発明の「受信バッファ」は送信された制御コマンドを取り込むものであって、制御コマンドを格納するものといえる。そして、どのように格納するかは別として、引用発明と本願補正発明は、「前記送信手段から送信された前記制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々を格納する格納手段」を具備する点で共通している。
(6)「受信バッファに取り込まれた制御コマンドに基づき、特別図柄表示装置3の制御と普通図柄表示装置4の制御を行う表示装置の制御手段と、」について
特別図柄表示装置3と普通図柄表示装置4に表示されるのは「抽選に関する情報」であるから、引用発明は、本願補正発明の「前記格納手段に格納された前記制御コマンドに基づき、前記抽選に関する情報を前記表示装置に表示させる表示制御を行う表示装置制御手段と」に相当する構成を実質的に具備する。

以上により、両者は、
「各種の抽選を行いこの抽選に関する情報を表示するように構成された遊技機において、
前記各種の抽選に係る各種の制御コマンドを含む複数の制御コマンド群を格納する主制御手段と、
前記各種の抽選に関する情報を表示するための表示装置を制御する副制御手段と、を備え、
前記主制御手段は、
前記複数の制御コマンド群を前記副制御手段に送信する送信手段を備え、
前記副制御手段は、
前記送信手段から送信された前記制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々を格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記制御コマンドに基づき、前記抽選に関する情報を前記表示装置に表示させる表示制御を行う表示装置制御手段と、を備えた遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
格納手段が、本願補正発明では、前記複数の制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々に対応する個別の領域を有し、前記制御コマンドの各々を当該制御コマンドに対応する前記個別の領域に格納するのに対し、引用発明ではそのような構成か不明な点。
<相違点2>
本願補正発明は、前記格納手段に格納された前記制御コマンドに応じた動作状態を示す信号を外部出力可能な外部出力手段を備えているのに対し、引用発明は、そのような構成を有していない点。
<相違点3>
格納手段は、本願補正発明では、前記送信手段から送信された前記複数の制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々について欠落の有無を判定し、欠落していないと判定された前記制御コマンドを当該制御コマンドに対応する前記個別の領域に格納し、欠落していると判定された前記制御コマンドの当該制御コマンドに対応する前記個別の領域への格納を省略するのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。
<相違点4>
表示装置制御手段は、本願補正発明では、前記制御コマンド群毎に前記欠落していると判定された前記制御コマンドに対応する態様で前記表示装置への表示を制御するのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。
<相違点5>
本願補正発明では、外部出力手段は、前記制御コマンド群毎に前記欠落していると判定された前記制御コマンドに対応する前記表示装置制御手段の前記表示装置への表示制御に応じた時期に当該制御コマンドが欠落していることを示すエラー信号を外部に出力するのに対して、引用発明ではそのような構成でない点。

4.判断
上記各相違点について検討する。

(1)相違点1、3、4について
相違点1、3、4は関連しているので、あわせて検討する。
原査定の拒絶の理由(平成22年8月4日付け拒絶理由通知書参照)に引用された特開2000-325609号公報(公開日:平成12年11月28日)(以下、「引用文献2」という。)には、
【0127】また、表示制御用CPU101は、左図柄停止を示す表示制御コマンドを受信したか否か確認する(ステップS820)。左図柄停止を示す表示制御コマンドを受信した場合には、左停止図柄を示す情報を左図柄格納エリアに格納する(ステップS821)。さらに、中図柄停止を示す表示制御コマンドを受信したか否か確認する(ステップS822)。中図柄停止を示す表示制御コマンドを受信した場合には、中停止図柄を示す情報を中図柄格納エリアに格納する(ステップS823)。そして、右図柄停止を示す表示制御コマンドを受信したか否か確認する(ステップS824)。右図柄停止を示す表示制御コマンドを受信した場合には、右停止図柄を示す情報を右図柄格納エリアに格納する(ステップS825)。
と記載されている。
そして、当該記載によれば、引用文献2には、記憶手段に、受信した図柄を示す情報(左停止図柄を示す情報、中停止図柄を示す情報、右停止図柄を示す情報)の各々に対応する個別の記憶領域(左図柄格納エリア、中図柄格納エリア、右図柄格納エリア)を設け、受信した図柄を示す情報を対応する記憶領域に格納するとういう技術的事項Aが実質的に記載されていると認められる。

また、上記引用文献2には、
【0132】・・・停止図柄表示処理において、表示制御用CPU101は、まず、左右中図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドを全て受信しているか否か確認する(ステップS851)。具体的には、左右中図柄格納エリアに図柄を示す情報が格納されているか否か確認する。左右中図柄格納エリアの全てに図柄を示す情報が格納されている場合には、その情報を用いて可変表示部9に停止図柄を表示する制御を行う(ステップS852)。
と記載されている。
そして、当該記載によれば、左右中図柄格納エリアに図柄を示す情報が格納されているか否か確認するということは、図柄を示す情報の欠落の有無を判定するということであり、図柄を示す情報は欠落していない場合には対応する個別の領域(左右中図柄格納エリア)に格納され、欠落している場合には対応する個別の領域(左右中図柄格納エリア)に格納されないことは明らかである。
ここで、相違点3に係る本願補正発明の構成の「欠落していると判定された前記制御コマンドの当該制御コマンドに対応する前記個別の領域への格納を省略する」について検討すると、そもそも、欠落しているコマンドを格納することは不可能であるから、「前記制御コマンドの・・・格納を省略する」とは「制御コマンドが格納されない」という意味に解するのが至当である。
そうすると、引用文献2には、本願補正発明の「送信手段から送信された図柄を示す情報の各々について欠落の有無を判定し、欠落していないと判定された図柄を示す情報を図柄を示す情報に対応する個別の領域に格納し、欠落していると判定された図柄を示す情報の図柄を示す情報に対応する個別の領域への格納を省略する」に相当する技術的事項Bが実質的に記載されていると認められる。
更に、上記引用文献2には、
【0141】また、エラー時用図柄として、通常の図柄の変動では用いられない図柄を使用してもよい。図35は、通常の図柄の変動では用いられないエラー報知用の図柄の表示例を示す説明図である。この例は、中図柄の停止図柄(この例では「九」)を示す表示制御コマンドを受信できたが、左右図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドを受信できなかった場合の表示例である。つまり、左右図柄の表示エリアには、エラー報知用の「E」が表示される。なお、この図柄は、通常時には用いられないエラー専用の図柄である。・・・
と記載されている。
そして、当該記載によれば、受信されていない停止図柄を示す表示制御コマンドがある場合には、その図柄の表示エリアにはエラー報知用の「E」が表示されるということであるから、引用文献2には、欠落していると判定された制御コマンドに対応する態様で表示装置への表示を制御するという技術的事項Cが実質的に記載されていると認められる。

以上において、技術的事項A、Bは、「図柄を示す情報」についての格納・判定に関するものであって、「制御コマンド」に関するものではないが、「図柄を示す情報」も「制御コマンド」も図柄変動に関する情報である点で共通しているから、「図柄を示す情報」についての技術的事項を引用発明のような制御コマンドにおいて採用することに技術的困難性はない。
したがって、引用文献2に記載された技術的事項A、B、Cも遊技機に関するものであるから、技術的事項A、B、Cを引用発明の制御コマンドに適用して、格納手段が、前記複数の制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々に対応する個別の領域を有し、前記制御コマンドの各々を当該制御コマンドに対応する前記個別の領域に格納するものとするとともに、前記送信手段から送信された前記複数の制御コマンド群に含まれる前記制御コマンドの各々について欠落の有無を判定し、欠落していないと判定された前記制御コマンドを当該制御コマンドに対応する前記個別の領域に格納し、欠落していると判定された前記制御コマンドの当該制御コマンドに対応する前記個別の領域への格納を省略するものとし、表示装置制御手段が、前記制御コマンド群毎に前記欠落していると判定された前記制御コマンドに対応する態様で前記表示装置への表示を制御するものとすることとして、相違点1、3、4に係る本願補正発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。

(2)相違点2、5について
相違点2、5は関連しているので、あわせて検討する。
原査定の拒絶の理由(平成22年8月4日付け拒絶理由通知書参照)に引用された特開2000-300766号公報(公開日:平成12年10月31日)(以下、「引用文献3」という。)には、
【0046】また、CPU101は、所定の試験用信号を作成して、試験信号出力回路110を介して外部に出力する。・・・
【0139】図38および図39は、表示制御基板80からの試験用信号の一例を示す説明図である。図38は、図5に示された試験信号端子111(制御信号端子)から出力される信号を示し、図39は試験信号端子112(データ信号端子)から出力される信号を示す。
【0140】この例では、制御信号端子から出力される信号として、図柄変動中信号、図柄確定信号、図柄表示装置エラー信号、および1桁目,2桁目,3桁目の変動中信号がある。表示制御用CPU101は、主基板31から受信した表示制御コマンドにもとづいて、それらの信号を作成する。
【0196】上記の例は、遊技制御手段が表示制御手段に対して比較的詳細に表示制御コマンドを送出する遊技機の例である。しかし、遊技制御手段が大まかな指示を表示制御手段に与え、表示制御手段において細かな表示制御を行う遊技機にも本発明を適用することができる。
【0202】変動期間を特定可能なコマンドを受信すると、受信後、所定期間内に左右中の確定図柄を受信完了したか否か確認し(ステップS726)、受信できなかったときには、図柄表示装置エラー信号を出力する(ステップS723)。
【0206】図55は、この実施の形態における全図柄停止待ち処理(ステップS840)を示すフローチャートである。全図柄停止待ち処理において、表示制御用CPU101は、全図柄停止を指示する表示制御コマンドを受信しているか否か確認する(ステップS841)。全図柄停止コマンドを受信していない場合には、ステップS724でスタートした変動期間監視タイマがタイムアウトしていないかどうか確認する(ステップS842)。タイムアウトした場合には、図柄表示装置エラー信号を出力する(ステップS843)。
と記載されている。
そして、上記記載において、試験信号端子111(制御信号端子)から出力される信号として、図柄変動中信号、図柄確定信号、図柄表示装置エラー信号、および1桁目,2桁目,3桁目の変動中信号があり、これらの信号は「制御コマンドに応じた動作状態を示す信号」ということができ、CPU101、試験信号出力回路110及び試験信号端子111は「外部出力可能な外部出力手段」ということができる。また、表示制御手段に送られた表示制御コマンドは記憶手段に格納され、表示制御手段は制御コマンドに応じて動作を制御することは自明である。更に、「所定期間内に左右中の確定図柄を受信完了したか否か確認し、受信できなかったときに」出力される「図柄表示装置エラー信号」は、「制御コマンドが欠落していることを示すエラー信号」ということができる。そうすると、引用文献3には、「格納手段に格納された制御コマンドに応じた動作状態を示す信号を外部出力可能な外部出力手段を備え、外部出力手段は、制御コマンドが欠落していることを示すエラー信号を外部に出力する」との技術的事項Dが実質的に記載されていると認められる。
また、引用文献3の段落【0202】、段落【0206】の記載及び図54、55のフローチャートによれば、コマンドを受信できなかったと判定された時期に「図柄表示装置エラー信号出力」が行われるものと認められる。
一方、引用文献2には、
【0134】ステップS851において、左右中図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドのうちいずれか1つでも受信できていないことを確認した場合には、表示制御コマンドを受信できた停止図柄については可変表示部9の該当エリアに表示するとともに、表示制御コマンドを受信できなかった停止図柄については電源投入時に表示される図柄を表示する(ステップS855)。・・・
【0139】・・・図34は、エラー報知用の図柄を表示するための停止図柄表示処理を示すフローチャートである。この停止図柄表示処理では、図32に示された停止図柄表示処理に比べてステップS855の処理が異なっている。すなわち、ここでは、左右中図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドのうちいずれか1つでも受信できていないことを確認した場合には、表示制御コマンドを受信できた停止図柄については可変表示部9の該当エリアに表示するとともに、表示制御コマンドを受信できなかった停止図柄についてはエラー報知用の図柄を表示する(ステップS855A)。
と記載されている。
当該記載及び図34のフローチャートによれば、表示制御コマンドが受信できていないことが確認された時期に、「エラー報知用図柄」の表示が行われるものと認められる。
以上によると、引用文献2における「エラー報知用図柄」の表示も引用文献3における「図柄表示装置エラー信号出力」も、いずれもコマンドが受信できなかったと判定されている時期に行われているものと認められる。
そうすると、引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項を引用発明に適用する際には、「図柄表示装置エラー信号出力」(本願補正発明の「エラー信号を外部に出力」に相当)を「エラー報知用図柄」の表示(同、「欠落していると判定された制御コマンドに対応する表示装置制御手段の表示装置への表示制御」に相当)と同様の時期に行うことは自然に採用されることに過ぎない。

したがって、引用文献3に記載された技術的事項Dも遊技機に関するものであるから、技術的事項Dを引用発明の制御コマンドに適用して、引用発明が格納手段に格納された前記制御コマンドに応じた動作状態を示す信号を外部出力可能な外部出力手段を備えているものとし、当該外部出力手段は、制御コマンドが欠落していることを示すエラー信号を外部に出力するものとするとともに、エラー信号を外部に出力が制御コマンド群毎に欠落していると判定された制御コマンドに対応する表示装置制御手段の表示装置への表示制御に応じた時期に行うものとし、相違点2、5に係る本願補正発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明、上記引用文献2、3に記載された技術的事項から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明、上記引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.小括り
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明
1.本願発明の認定
平成23年6月3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年4月22日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるもの(前記第2.の[理由]の「1.補正の内容」の「(補正前)」を参照)である。

2.進歩性の判断
(1)引用文献
拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の2.に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明から、「1.補正の内容」で検討した限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の4.に記載したとおり、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、上記引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-30 
結審通知日 2012-01-31 
審決日 2012-02-13 
出願番号 特願2001-91674(P2001-91674)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河本 明彦澤田 真治  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 秋山 斉昭
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 小西 恵  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
代理人 森 哲也  

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