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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61K
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A61K
管理番号 1255374
審判番号 訂正2012-390032  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2012-02-29 
確定日 2012-04-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4676202号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4676202号に係る特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第4676202号(平成15年12月11日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2002年12月12日,米国)を国際出願日とする出願、平成23年2月4日設定登録)の特許請求の範囲の請求項1?19を、審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?17のとおり、すなわち、
「【請求項1】
対象の皮膚領域または毛髪を明色化するための化粧用組成物であって、少なくとも1つのタイプのリグニンペルオキシダーゼ酵素と、ベラトリルアルコールと、化粧用として許容され得るキャリアとをpH4以下で含む化粧用組成物。
【請求項2】
前記リグニンペルオキシダーゼはイソ酵素H1または改変された形態のイソ酵素H2である請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、ブチレングリコールが含まれる請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、アルカノールアミンが含まれる請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記リグニンペルオキシダーゼは少なくとも1U/gの濃度で提供される請求項2に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
前記ベラトリルアルコールは少なくとも0.05%の濃度で提供される請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項7】
皮膚領域または毛髪を明色化するためのキットであって、リグニンペルオキシダーゼ酵素及びベラトリルアルコールをpH4以下で含む第1の容器と、電子受容体としての過酸化水素を含む第2の容器とを含むキット。
【請求項8】
前記リグニンペルオキシダーゼはイソ酵素H1または改変された形態のイソ酵素H2である請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記ベラトリルアルコールは少なくとも0.05%の濃度で提供される請求項7に記載のキット。
【請求項10】
前記リグニンペルオキシダーゼは少なくとも1U/gの濃度で提供される請求項7に記載のキット。
【請求項11】
前記過酸化水素は少なくとも0.005%の濃度で提供される請求項7に記載のキット。
【請求項12】
前記第1の容器および/または第2の容器は、表皮浸透のために好適な化粧用として許容され得るキャリアをさらに含む請求項7に記載のキット。
【請求項13】
前記第1の容器および/または第2の容器は、毛髪浸透のために好適な化粧用として許容され得るキャリアをさらに含む請求項7に記載のキット。
【請求項14】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、ブチレングリコールが含まれる請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項15】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、アルカノールアミンが含まれる請求項13に記載のキット。
【請求項16】
包装材と、対象の皮膚領域または毛髪を明色化するために同定された、前記包装材に含有される化粧用組成物とを含む製品であって、前記化粧用組成物は、有効成分としてのリグニンペルオキシダーゼ酵素と、ベラトリルアルコールと、化粧用として許容され得るキャリアとをpH4以下で含む製品。
【請求項17】
前記リグニンペルオキシダーゼはイソ酵素H1または改変された形態のイソ酵素H2である請求項16に記載の製品。
【請求項18】
前記化粧用として許容され得るキャリアは、表皮または毛髪浸透のために好適な組成物を含む請求項16に記載の製品。
【請求項19】
前記リグニンペルオキシダーゼがファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)菌のものである請求項1に記載の化粧用組成物。」

「【請求項1】
対象の皮膚領域または毛髪を明色化するための化粧用組成物であって、1?100U/gの濃度の少なくとも1つのタイプのリグニンペルオキシダーゼ酵素と、ベラトリルアルコールと、化粧用として許容され得るキャリアとをpH4以下で含む化粧用組成物。
【請求項2】
前記リグニンペルオキシダーゼは、クロマトグラフィーによって精製されたイソ酵素H1、またはクロマトグラフィーによって精製された、改変された形態のイソ酵素H2である請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、ブチレングリコールが含まれる請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、アルカノールアミンが含まれる請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記ベラトリルアルコールは少なくとも0.05%の濃度で提供される請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
皮膚領域または毛髪を明色化するためのキットであって、1?100U/gの濃度のリグニンペルオキシダーゼ酵素及びベラトリルアルコールをpH4以下で含む第1の容器と、電子受容体としての過酸化水素を含む第2の容器とを含むキット。
【請求項7】
前記リグニンペルオキシダーゼは、クロマトグラフィーによって精製されたイソ酵素H1、またはクロマトグラフィーによって精製された、改変された形態のイソ酵素H2である請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記ベラトリルアルコールは少なくとも0.05%の濃度で提供される請求項6に記載のキット。
【請求項9】
前記過酸化水素は少なくとも0.005%の濃度で提供される請求項6に記載のキット。
【請求項10】
前記第1の容器および/または第2の容器は、表皮浸透のために好適な化粧用として許容され得るキャリアをさらに含む請求項6に記載のキット。
【請求項11】
前記第1の容器および/または第2の容器は、毛髪浸透のために好適な化粧用として許容され得るキャリアをさらに含む請求項6に記載のキット。
【請求項12】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、ブチレングリコールが含まれる請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項13】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、アルカノールアミンが含まれる請求項11に記載のキット。
【請求項14】
包装材と、対象の皮膚領域または毛髪を明色化するために同定された、前記包装材に含有される化粧用組成物とを含む製品であって、前記化粧用組成物は、有効成分としての1?100U/gの濃度のリグニンペルオキシダーゼ酵素と、ベラトリルアルコールと、化粧用として許容され得るキャリアとをpH4以下で含む製品。
【請求項15】
前記リグニンペルオキシダーゼは、クロマトグラフィーによって精製されたイソ酵素H1、またはクロマトグラフィーによって精製された、改変された形態のイソ酵素H2である請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記化粧用として許容され得るキャリアは、表皮または毛髪浸透のために好適な組成物を含む請求項14に記載の製品。
【請求項17】
前記リグニンペルオキシダーゼがファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)菌のものである請求項1に記載の化粧用組成物。」
に訂正することを求めるものである。

2.当審の判断
上記訂正について、請求人は、以下の3つの訂正事項に分けられるとしている。(なお、「訂正事項1」の数字1には、○囲いの数字1が用いられているが、○囲いは省略する。以下同様。)
訂正事項1:請求項1,7,16において、リグニンペルオキシダーゼ酵素の濃度を「1?100U/g」に限定する。
より正確な言い方をすると、請求項1,7,16において、リグニンペルオキシダーゼ酵素について、「1?100U/gの濃度の」との限定を付する、とするのが妥当と言えるので、以下、これを訂正事項1と言うものとする。
訂正事項2:請求項2,8,17において、「イソ酵素H1または改変された形態のイソ酵素H2」をそれぞれ「クロマトグラフィーによって精製された」ものに限定する。
訂正事項3:訂正事項1における請求項1の限定に伴ない、特許時の請求項5及び10を削除し、特許時の請求項6?9,11?19を請求項5?8,9?17に番号を繰り上げする。 当審注:「訂正事項1における請求項1及び請求項7の限定に伴ない、・・・」との誤記と解されるので、以下、このように解して検討する。
ところで、上記訂正(「1.請求の要旨」)を検討すると、上記訂正事項1,2の訂正内容は、指摘された請求項のみならず、それらの請求項を直接的に乃至は間接的に引用している請求項についても訂正されることになるが、それらの訂正についても、以下での検討結果と同じである。

そこで、これらの訂正事項について、順に検討する。
ところで、以下に記載の「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」(特許法第126条第3項参照)とは、本件特許出願が国際特許出願にかかるものであり、平成21年1月8日付けで提出した誤訳訂正書により明細書と特許請求の範囲を補正していることに鑑みて、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文と、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(なお、特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正はされていない)を併せて、以下、翻訳文等といい、「翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面」を指す(特許法第184条の6第2項と同法第184条の12第2項を参照)。

(1)訂正事項1について、
訂正事項1は、「リグニンペルオキシダーゼ酵素」の濃度を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
請求人は、訂正事項1についての限定の根拠として、明細書の段落【0109】の記載を挙げているところ、当該段落には、「有効成分 リグニン改変酵素(例えば、リグニンペルオクシダーゼ)は、1U/g?100U/gの範囲から選択される濃度で本発明の化粧用組成物に含まれる。・・・」と記載されているから、「1U/g?100U/g」の濃度のものを用いることは明細書に記載されていたと言える。
してみると、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について、
訂正事項2は、「イソ酵素H1または改変された形態のイソ酵素H2」について、それぞれ「クロマトグラフィーによって精製された」ものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
請求人は、訂正事項2についての限定の根拠として、明細書の段落【0187】の記載を挙げているところ、当該段落には、「ファネロカエテ・クリソスポリウムの細胞外培地からのLIPの単離および精製-細胞外培地をガラス繊維に通して真空ろ過した。その後、ろ液を0.45μMのフィルターメンブラン(MSI、Westborough、MA、米国)で滅菌して、液体を、ぜん動ポンプ(MASTERFLEX、Vernon Hills、IL、米国)を使用して中空繊維メンブランによって濃縮した。濃縮された細胞外液を、その後、10kDaカットオフ型PM-10メンブラン(Amicon、Danvers、MA)を使用する限外ろ過によって25倍再濃縮し、0.01M?1.00Mの酢酸ナトリウムの2回のグラジエントを使用するHPLCアニオン交換クロマトグラフィーによるMonoQカラム(HR5/5、Pharmacia、Piscataway、NJ)により精製した。最初のグラジエントはpH6.0においてであり、2回目のグラジエントは、LIPイソ酵素H1の等電点(pI)値に等しいpH4.7においてであった。タンパク質ピーク部分を集め、それらの活性を、前回のバッチから得られた精製LIPイソ酵素H1を標準として使用してアッセイした。LIP H1画分の吸光度が280nmおよび409nmで測定された(Hewlett Packard、Waldbronn、ドイツ)。純粋度(RZ)は、精製されたLIPイソ酵素H1の409nmにおける吸光度(A_(409))と280nmにおける吸光度(A_(280))との比率から計算された場合、4.0を越えた。LIP濃度が、169M^(-1)cm^(-1)の吸光係数を使用して409nmで測定された。」(注:下線は当審で付した。次の摘示も同様。)と記載されている。
更に、明細書を検討すると、段落【0198】に「 実験結果 (実施例1) P.chrysosporiumからのLIPの精製
P.chrysosporiumから得られた高度に精製されたLIP H1の調製-LIPイソ酵素H1をP.chrysosporiumから精製するために、菌を、本明細書中上記の方法の節で詳しく記載されたようにSTR発酵装置(図2)において成長させた。最初のLIP活性が48時間の成長の後に検出され、成長が120時間まで維持されたとき、活性の著しい増大が検出された(図3)。LIPイソ酵素H1を精製するために、菌の細胞外液を最大LIP活性の時(120時間)に集めた。その後、方法のところで記載されたように、LIPイソ酵素H1タンパク質を精製し、その濃度が測定された。従って、上記の装置および条件を使用して、LIPを確実に産生させることができ、そのH1イソ酵素をHPLCによって精製することができる。」との記載も見い出せる。
してみると、「イソ酵素H1」については、これらの段落に、「クロマトグラフィーで精製した」ことが記載されていたと言える。

ところが、「改変された形態のイソ酵素H2」については、これらの段落に何も記載されていないし、また、明細書の他の記載を検討しても、「クロマトグラフィーで精製した」ことを明記した箇所を見出すことができない。
しかし、イソ酵素H2については、明細書段落【0087】に「リグニンペルオキシダーゼイソ酵素H1はイソ酵素H2の翻訳後の脱リン酸化から生じ得る(KuanおよびTien、1989)ので、本発明によって使用されるリグニンペルオキシダーゼは、リグニンペルオキシダーゼイソ酵素H2を脱リン酸化することによって調製することができる。」、及び【0176】に「イソ酵素H1は、おそらくは、H2の翻訳後の脱リン酸化に由来するという示唆が得られている(KuanおよびTien、1989)。」と記載されているように、イソ酵素H2がイソ酵素H1と極めて近い関係にあることが示唆されていて、イソ酵素H1が上記のとおりクロマトグラフィーで精製されていること、および、リグニンペルオキシダーゼイソ酵素はタンパク質であるところ、タンパク質の精製においてクロマトグラフィーでの精製は周知慣用の手段であると認められることを勘案すると、「改変された形態のイソ酵素H2」についても、「クロマトグラフィーで精製した」ものを用いることは自明に等しいものと認められる。なお、「APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY,1995年,Vol.61, No.5,pp.1833-1838」に、Phanerochaete chrysosporium(本件訂正後の請求項17に特定された菌)を培養して得たリグニペルオキシダーゼについて、1836頁のFig.3に、H1とH2等がHPLCでの溶出ピークとして示されいたことも勘案できる。

してみると、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について、
訂正事項3の特許時の請求項5及び10を削除することは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、訂正事項3の特許時の請求項6?9,11?19を請求項5?8,9?17に番号を繰り上げすることは、前記の特許時の請求項5及び10を削除することに伴い項番を繰り上げたものであって、明瞭でない記載の釈明に該当する。
そして、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(4)独立特許要件について
訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明については、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであることに変わりがないことは明らかであるから、本件審判請求に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

3.むすび
したがって、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号及び同第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項ないし第5項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
リグニンペルオキシオダーゼの製造方法ならびに皮膚および毛髪の明色化におけるその使用
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグニンペルオキシオダーゼの製造方法ならびに皮膚および毛髪の明色化におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
メラニン
ヒトの皮膚および毛髪の色は、植物および微生物にも存在する色素であるメラニンの量、性状および分布によって決定される。
【0003】
メラニンの合成は前駆体チロシンから始まり、このチロシンはチロシナーゼの作用によって別の前駆体ドーパキノンに変換される。哺乳動物メラニンの生合成において、この中間体は2つの主要な経路(図1)を介して重合し得る。アミノ基の分子内での求核的付加により、インドール誘導体ロイコドーパクロムが生じ、ロイコドーパクロムは、重合後、暗褐色?黒色の色素ユーメラニンをもたらす。チオール化合物の存在下では、ドーパのチオエステル誘導体が形成される。例えば、システインとの反応により、システイニルドーパが生じ、システイニルドーパは、さらなる酸化および重合の後、黄色?赤褐色の色素フェオメラニンをもたらす。従って、ユーメラニンは5,6-ジヒドロキシインドール(DHI)ユニットおよび5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸(DHICA)ユニットから主に構成され、これに対して、フェオメラニンは主にベンゾチアジンユニットを含有する(Alalufら、2001)。これら2つの色素の利用性および相互比率は多量体色素の化学的組成に影響する。
【0004】
メラニンの合成は、表皮基底層に存在するメラノサイト細胞に存在するメラノソームと呼ばれる顆粒において行われる(Cookseyら、1997);これらの細胞におけるメラニンの合成は紫外(UV)光によって誘導される。合成後、メラニンは表皮細胞に遊走し、表皮細胞に分散され、表皮細胞において、メラニンは皮膚代謝に従って脱色され、その後、皮膚更新時における垢の形態で剥がれる。メラニンは、UV光により生じる有害な影響から皮膚を守るので、臨床的重要性を有している。しかしながら、高レベルのメラニンは皮膚および毛髪の望ましくない濃色化を生じさせ得るし、一方で、その不均一な分布は、美学的に不愉快にし得る肝斑およびそばかす形成をもたらし得る。
【0005】
明色化用製品
皮膚を明色化する(美白化する)製品がこの数年の間でますます大衆化している。美白用製品の主目的は、皮膚の色を薄くするか、皮膚を白くすることであり、あるいは、肝斑、そばかす、妊娠斑および老人性色素斑などの色素沈着障害を処置することである。数種類の美自用製品が現在、入手可能である。
【0006】
色素細胞の変性および死に基づく製品は、典型的には、皮膚の白化および皮膚の明色化を促進させるか、または皮膚の色素沈着を徐々に消す過激な化学薬品(例えば、ヒドロキノン、4-イソプロピルカテコールおよびヒドロキノンモノベンジルエーテルなど)を含む。そのような製品は典型的には効率的でなく、また、これらの製品の連続した外用は永続的な白斑および副作用(例えば、皮膚色素異常症および発疹など)をもたらし得るので皮膚に対して有害であり得る。
【0007】
他の明色化用製品はチロシナーゼ(前駆体チロシンを別の前駆体ドーパキノンに変換する酵素)の阻害に基づいている。この群の製品はアルブチン(銅イオンをキレート化することによってチロシナーゼを阻害し、それによりドーパクロムからDHICAへの互変異性化を抑制することができるグルコースヒドロキノン化合物)を含む。
【0008】
メラノスタットは、チロシナーゼを介して作用する別の明色化用製品である。メラノスタットは、メラノサイトにおけるメラニン形成を脱活性化する際に機能する合成ペプチドである。
【0009】
メラニンの産生を阻害することができるいくつかの抗酸化剤化合物もまた明色化用製品において利用される。メラニンの合成では酸化反応が伴うので、チロシン/DOPAからメラニンに至る様々な段階で酸化を阻止することにより、最終的には、メラニンの合成が阻害される。
【0010】
メラニン合成を阻止するために利用される抗酸化剤の1つはL-アスコルビン酸(ビタミンC)であり、メラニン中間体に対する還元剤として作用し、酸化反応を阻止する。明色化用製品によって利用される他の抗酸化剤には、桑の実または甘草から典型的には抽出されるビオフラボノイドが含まれる。
【0011】
毛髪の明色化用製品は毛皮質の内側のメラニンに対して作用する。毛髪を明色化することができる化学物質がいくつか存在し、これらには、塩酸、次亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素が含まれる。
【0012】
毛髪を明色化するために最も一般的に使用されている化学物質は過酸化水素である。所望される有効性を維持するために、過酸化水素の溶液は、アセトニトリル、薄い酸、コロイド状シリカ、p-ヒドロキシベンゾアート、硫酸オキシキノリン、フェナセチンおよびスズ化合物(スズ酸ナトリウム、水酸化スズ(IV)、オクタン酸スズ(II))などの化合物を使用して安定化されなければならない。毛髪を明色化する前には、アンモニアが、毛小皮(毛の外側層)を通過する過酸化水素の浸透を高めるために、かつ、従って、酸化反応を加速するために過酸化水素溶液に加えられる。
【0013】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、リグニンペルオキシダーゼのイソ酵素H1がインビトロでメラニンを酸化することができ、そしてさらに、インビボで皮膚および毛髪を明色化することができることを発見した。
【0014】
従って、本発明は、皮膚および毛髪を明色化するために非常に好適である化粧用組成物および方法を提供する。
【発明の開示】
【0015】
本発明の1つの態様によれば、対象の皮膚領域または毛髪を明色化する方法であって、皮膚領域または毛髪の細胞に含有される色素を酸化するために好適な様式で少なくとも1つのタイプのリグニン改変酵素を皮膚領域または毛髪に適用することを含む方法が提供される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、対象の皮膚領域または毛髪を明色化するための化粧用組成物であって、少なくとも1つのタイプのリグニン改変酵素と、化粧用として許容され得るキャリアとを含む化粧用組成物が提供される。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、対象の皮膚領域または毛髪を明色化するためのキットであって、リグニン改変酵素を含む第1の容器と、電子受容体を含む第2の容器とを含むキットが提供される。
【0018】
本発明のなお別の態様によれば、包装材と、対象の皮膚領域または毛髪を明色化するために同定された、前記包装材に含有される化粧用組成物とを含む製品が提供され、この場合、化粧用組成物は、有効成分としてのリグニン改変酵素と、化粧用として許容され得るキャリアとを含む。
【0019】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、本発明の方法は、少なくとも1つのタイプのリグニン改変酵素を含む調製物の局所適用によって達成される。
【0020】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本発明の方法は、少なくとも1つのタイプのリグニン改変酵素を含む調製物の皮内投与または皮下投与によって達成される。
【0021】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、リグニン改変酵素は、皮膚または毛髪への適用のために配合された組成物に含まれる。
【0022】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、リグニン改変酵素はリグニンペルオキシダーゼである。
【0023】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、リグニンペルオキシダーゼはイソ酵素H1または改変された形態のイソ酵素H2である。
【0024】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、化粧用組成物は電子受容体をさらに含む。
【0025】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、電子受容体は過酸化水素である。
【0026】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、化粧用組成物はベラトリルアルコールをさらに含む。
【0027】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組成物は少なくとも1つのタイプの表皮浸透剤を含む。
【0028】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組成物は少なくとも1つのタイプの毛髪浸透剤を含む。
【0029】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本発明の方法は、所望される明色化のレベルに従って選択された期間にわたって行われる。
【0030】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、化粧用として許容され得るキャリアには、トランスキュトールおよび/またはブチレングリコールが含まれる。
【0031】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、化粧用として許容され得るキャリアには、アルカノールアミンが含まれる。
【0032】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、化粧用組成物におけるリグニンペルオキシダーゼは少なくとも1U/gの濃度で提供される。
【0033】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、化粧用組成物における過酸化水素は少なくとも0.005%の濃度で提供される。
【0034】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、化粧用組成物におけるベラトリルアルコールは少なくとも0.05%の濃度で提供される。
【0035】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、皮膚領域または毛髪を明色化するためのキットの第1の容器はベラトリルアルコールをさらに含む。
【0036】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、皮膚領域または毛髪を明色化するためのキットの第1の容器および/または第2の容器は、表皮浸透のために好適な化粧用として許容され得るキャリアをさらに含む。
【0037】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、皮膚領域または毛髪を明色化するためのキットの第1の容器および/または第2の容器は、毛髪浸透のために好適な化粧用として許容され得るキャリアをさらに含む。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、対象の皮膚領域を明色化する方法であって、皮膚領域の細胞に含有される色素を酸化するために好適な様式でリグニン改変酵素を皮膚領域の細胞において発現させることを含む方法が提供される。
【0039】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、前記方法は、皮膚領域の細胞に電子受容体を提供する工程をさらに含む。
【0040】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、電子受容体は過酸化水素である。
【0041】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、前記方法は、皮膚領域の細胞にベラトリルアルコールを提供する工程をさらに含む。
【0042】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、発現は、リグニン改変酵素を発現することができる発現ベクターを細胞に導入することによって達成される。
【0043】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ベクターはウイルスベクターである。
【0044】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ベクターは、リグニン改変酵素のコード配列に機能的に連結されたプロモーターを含む。
【0045】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、リグニン改変酵素はリグニンペルオキシダーゼである。
【0046】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、リグニンペルオキシダーゼは、配列番号1に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされる。
【0047】
本発明のさらなる態様によれば、リグニンペルオキシダーゼを製造する方法であって、(a)ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)菌を、所定の期間、グリセロールを含有する撹拌および通気された培養培地において多孔性マトリックス上で培養すること;(b)前記所定の期間の後、可溶性画分を前記ファネロカエテ・クリソスポリウム菌から抽出して、それによりリグニンペルオキシダーゼを製造することを含む方法が提供される。
【0048】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、培養培地はマンガンイオンを含まない。
【0049】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、通気された培養は、培養培地を0.1?1リットル/リットル/分の範囲における通気速度に供することによって得られる。
【0050】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、培養は37℃の温度で達成される。
【0051】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、撹拌された培養培地は、培養培地を50rpm?300rpmの範囲における速度で撹拌することによって得られる。
【0052】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、撹拌された培養培地は、培養培地を100rpmの速度で撹拌することによって得られる。
【0053】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、所定の期間は3日?10日の範囲から選択される。
【0054】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、所定の期間は7日である。
【0055】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、グリセロールは3グラム/リットル?20グラム/リットルの濃度範囲で提供される。
【0056】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、グリセロールは6グラム/リットルの濃度で提供される。
【0057】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、培養培地はベラトリルアルコールをさらに含む。
【0058】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ベラトリルアルコールは0.5mM?4mMの濃度範囲で提供される。
【0059】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ベラトリルアルコールは2mMの濃度で提供される。
【0060】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、リグニンペルオキシダーゼはイソ酵素H1または改変された形態のイソ酵素H2である。
【0061】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、多孔性マトリックスはポリウレタンフォームである。
【0062】
本発明のさらにさらなる態様によれば、500ユニット/リットル?2000ユニット/リットルの範囲でリグニンペルオキシダーゼ酵素活性を示すファネロカエテ・クリソスポリウム菌の水性抽出物が提供される。
【0063】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、リグニンペルオキシダーゼ活性は1500ユニット/リットルである。
【0064】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、リグニンペルオキシダーゼ酵素活性はイソ酵素H1または改変された形態のイソ酵素H2である。
【0065】
本発明は、対象の皮膚領域または毛髪を明色化するための効率的な方法および組成物を提供することによって、現在知られている形態の欠点を対処することに成功している。
【0066】
別途定義されない場合、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と同様または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。また、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0067】
図面の簡単な記述
本発明は、例としてだけであるが、添付されている図面を参照して、本明細書中に記載される。次に図面を詳しく具体的に参照して、示されている細目は、例としてであり、また、本発明の好ましい実施形態の例示的な議論のためだけのものであり、従って、本発明の原理および概念的態様の最も有用かつ容易に理解された記述であると考えられるものを提供するために示されていることが強調される。これに関して、記述を図面と一緒に理解することにより、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具体化され得るかが当業者には明らかになるので、発明の構造的詳細を、発明の基本的な理解のために必要であるよりも詳細に示すことは試みられていない。
図1はAlalufら(2001)から採用された哺乳動物メラニンの生合成の先行技術での概略図である。
図2はポリウレタンフォームに固定化されたファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochate chrysosporium)によるリグニンペルオキシダーゼの製造のための撹拌型タンク反応槽(STR)を例示する。
図3は培養時間を関数とするP.chrysosporiumの発酵装置培養物におけるLIP活性を例示する。P.chrysosporiumは、実施例の節の実施例1に記載されるようなSTR発酵装置において成長させられ、LIP活性が、実施例において記載されるようにベラトリルアルデヒドへのベラトリルアルコールの酸化を追跡することによって細胞外液においてアッセイされた。誤差バーは3回の反復実験の標準偏差を表す。
図4は50mM酒石酸塩緩衝液(pH3.5)における1.5mMのベラトリルアルコールの存在下での過酸化水素の増大する濃度の関数としてのLIP(0.48μM)による70.5μg/mlの初期濃度でのメラニンの酸化を例示する。メラニンの酸化が、酵素反応の開始時および160秒後での460nmにおけるその吸光度を測定することによって決定され、酸化型メラニンの割合が計算された。誤差バーは3回の反復実験の標準偏差を表す。
図5はLIPによるメラニンの酸化に対する過酸化水素の増大する濃度の影響を例示する。メラニン酸化の程度が、過酸化水素を含まない酵素反応(0μM)との比較において色強度の減少によって可視化される。写真の下の数字は、μMで表されるH_(2)O_(2)の濃度を示す。
図6はベラトリルアルコール(1.5mM)および過酸化水素(600μM)の存在下での50mM酒石酸塩緩衝液(pH3.5)におけるLIP(0.48μM)による種々の濃度のメラニンの酸化の程度を例示する。誤差バーは3回の反復実験の標準偏差を表す。
図7はLIP濃度の関数としてのメラニン酸化の程度を例示する。メラニン(70μg/ml)の酸化が、50mM酒石酸塩緩衝液(pH3.5)におけるベラトリルアルコール(1.5mM)および過酸化水素(700μM)の存在下での増大する濃度のLIPによって行われた。誤差バーは3回の反復実験の標準偏差を表す。
図8a?図8bは、クリーム配合物で使用されたときのLIPによるメラニン酸化の可視化を例示する。メラニンの脱色が、活性化剤クリームをLIPクリームに加えた後に観測される(図8b)が、LIPクリームだけの存在下では観測されない(図8a)。
図9a?図9bは、皮膚の白化に対するLIPクリームの効果を例示する。クリーム配合物でのLIPの(1日に2回の)適用後1週間目に撮影された女性の手の写真が示される。LIPで処置された領域(図9a、黒色の円)は、手におけるそれ以外の皮膚よりもはるかに薄くなっている(図9b)。
図10はインビボでの毛髪漂白に対するLIPの効果を例示する。女性の毛髪が50mM炭酸塩緩衝液(pH11.5)に1時間浸された。毛髪は25UのLIPと10秒間プレインキュベーションされ、その後、ベラトリルアルコール(1.5mM)および過酸化水素(8.8mM)を伴う酒石酸塩緩衝液(pH3.5)に1時間漬けられた。著しい明色化効果が、LIPを含まない同じ溶液で処理された毛髪(図10、左側試験管)と比較したとき、LIPで処理された毛髪において観察された(図10、右側試験管)。
図11a?図11bは、皮膚色素沈着に対するLIP白化クリームの効果を例示する研究被験者番号1の右前腕のカラー写真である。図11a-0日目に撮影された写真;図11b-21日目に撮影された写真。
図12a?図12cは、研究被験者番号1における皮膚白化に対するLIPクリームまたはヒドロキノンクリームの効果を例示する。LIPクリームまたはヒドロキノンクリームが右側および左側の前腕の上部部分に塗布され、一方、下部部分は未処置のままであった。皮膚色素沈着の程度が、Derma Spectrometerを使用して7日間隔で両方の前腕で測定された。図12a-LIPクリームの塗布;図12b-ヒドロキノンクリームの塗布;青色カラム=LIPクリームで処置された右前腕の上部部分;明青色カラム=右前腕の未処置の下部部分;ピンク色カラム=ヒドロキノンで処置された左前腕の上部部分;白色カラム=左前腕の未処置の下部部分;図12cは、LIPクリーム(図12c、青色線)またはヒドロキノンクリーム(図12c、ピンク色線)を使用する処置の21日後における上部前腕における皮膚色素沈着の低下を比較する線グラフである。ヒドロキノンクリームを使用したときの適度な低下と比較して、LIPクリームを使用する処置の21日後における皮膚色素沈着の急激な低下に留意すること。
図13a?図13bは、皮膚色素沈着に対するLIP白化クリームの効果を例示する研究被験者番号10の右前腕のカラー写真である。図13a-0日目に撮影された写真;図13b-21日目に撮影された写真。
図14a?図14cは、研究被験者番号10における皮膚白化に対するLIPクリームまたはヒドロキノンクリームの効果を例示する。LIPクリームまたはヒドロキノンクリームが右側および左側の前腕の上部部分に塗布され、一方、下部部分は未処置のままであった。皮膚色素沈着の程度が、Derma Spectrometerを使用して7日間隔で両方の前腕で測定された。図14a-LIPクリームの塗布;図14b-ヒドロキノンクリームの塗布;青色カラム=LIPクリームで処置された右前腕の上部部分;明青色カラム=右前腕の未処置の下部部分;ピンク色カラム=ヒドロキノンで処置された左前腕の上部部分;白色カラム=左前腕の未処置の下部部分;図14cは、LIPクリーム(図14c、青色線)またはヒドロキノンクリーム(図14c、ピンク色線)を使用する処置の21日後における上部前腕における皮膚色素沈着の低下を比較する線グラフである。ヒドロキノンクリームを使用したときの適度な低下と比較して、LIPクリームを使用する処置の21日後における皮膚色素沈着の急激な低下に留意すること。
図15a?図15bは、全12名の研究被験者における皮膚白化に対するLIPクリームおよびヒドロキノンクリームの平均効果を例示する線グラフである。図15a-平均色素沈着スコア;図15b-初期色素沈着スコアの割合としての色素沈着における平均低下。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
本発明は、対象の皮膚領域または毛髪を明色化するために使用することができる方法および化粧用組成物に関する。
【0069】
具体的には、本発明の方法は、色素沈着過多に関連する医学的状態(例えば、黒皮症、肝斑、老人性色素斑、そばかす、組織黒変症およびほくろなど)から生じる不揃いな皮膚の肌色を処置するために使用することができる。
【0070】
本発明の原理および操作は、図面および付随する記述を参照してより良く理解することができる。
【0071】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明において示される細部、または実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施することが可能であり、または様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであり、限定であるとして見なしてはならないことを理解しなければならない。
【0072】
皮膚の色素沈着の程度は一般住民の間での悩みの種である。一部の人々は老人性色素斑および妊娠斑に悩んでおり、そのような色素沈着した斑点を目立たなくしたいと思っている。一部の人々は、皮膚の色素沈着を軽減および緩和する皮膚明色化用製品で通常の場合には処置されるそばかす、肝斑、黒皮症、組織黒変症およびほくろを有する。しかしながら、現在の様々な皮膚明色化用製品は、永続的な白斑および副作用(例えば、皮膚色素異常症および発疹など)をもたらし得るヒドロキノンなどの過激な化学物質であるか、または、皮膚を明色化することにおいて十分に効率的でないかのいずれかである。それらの中には、チロシナーゼ(前駆体L-チロシンを別の前駆体ドーパキノンに変換する酵素)の阻害、従って、メラニンの生合成を阻害することに基づく製品がある。他の製品は、チロシン/DOPAからメラニンに至る様々な段階で酸化反応を阻止し、最終的にはメラニンの生合成を阻害するために設計されている。後者の製品群には、L-アスコルビン酸(ビタミンC)およびビオフラボノイドなどの抗酸化剤が含まれる。
【0073】
毛髪明色化用製品では、高濃度の過酸化水素がアンモニアと一緒に利用される。これらの製品は、処置された対象にとって不快の種であり得る。
【0074】
下記の実施例の節において明瞭に例示されるように、本発明者らは、リグニンペルオキシダーゼおよび特にそのH1イソ型がメラニンを効率的に酸化することができ、従って、対象の皮膚または毛髪を明色化するために利用できることを発見している。
【0075】
米国5578296号では、担子菌菌類におけるメラニン分解能力が同定され、肝斑およびそばかす形成を処置するためにこの菌類を使用することが提案されたが、今日まで、菌類におけるメラニン分解を担う特異的な酵素は発見されていない。
【0076】
従って、本発明の1つの態様によれば、対象の皮膚領域または毛髪を明色化する方法が提供される。
【0077】
本発明のこの態様による方法は、少なくとも1つのタイプのリグニン改変酵素を、皮膚領域または毛髪の細胞に含有される色素(例えば、メラニン)を酸化するために好適な様式で対象の皮膚領域または毛髪に適用することによって達成される。
【0078】
本明細書中で使用される表現「皮膚領域または毛髪を明色化する」は、皮膚または毛髪の色調または色を、それらに含有されるメラニン色素の色素形成性状または濃度を低下させることによって低下させることを示す。
【0079】
本明細書中で使用される表現「対象」は、哺乳動物(典型的にはヒト)を示し、好ましくは、皮膚または毛髪の過度な色素沈着を有するか、あるいは、そばかすなどの皮膚障害を有する哺乳動物(典型的にはヒト)を示す。
【0080】
本発明によって利用されるリグニン改変酵素は、好ましくは、リグニン分解において主要な役割を果たしているリグニンペルオキシダーゼである。このリグニン改変酵素の活性部位アミノ酸配列、およびこのリグニン改変酵素が基質を酸化する機構は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびダイズペルオキシダーゼ(SBP)と類似している。リグニン改変酵素は、大きな酸化還元電位を有する基質の酸化を触媒することができる。この特異な能力は、大きな酸化還元電位によって示される、電子密度が低いヘム活性部位と一致している[CaiおよびTien(1993)、J Biotechnol、30:79?90]。
【0081】
この分野で知られているリグニンペルオキシダーゼのイソ型はどれも本発明によって利用することができる(Rothschildら、1997、Appl.Environ.Microbiol.、63:857?861)が、本発明では、好ましくは、H1イソ型が利用される。これは、下記の実施例の節において例示されるように、このイソ型はメラニン酸化活性をインビトロおよびインビボの両方で示したからである。
【0082】
いくつかの方法を、本発明によって利用されるリグニン改変酵素を調製するために使用することができる。
【0083】
例えば、リグニンペルオキシダーゼイソ酵素H1を菌類のファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)から調製することができる。リグニンペルオキシダーゼの高い酵素活性レベルを、ポリウレタンフォームに固定化されながら、または懸濁状態で、撹拌型タンク反応槽(STR)発酵装置において成長させたときに上記菌類から製造することができる(Dosoretzら、1993、Appl Environ Microbiol.、59:1919?26)。
【0084】
本発明の好ましい実施形態によれば、発酵装置は、37℃の培養温度を維持するための冷却システムに接続され、50rpm?300rpm(より好ましくは100rpm?200rpm、最も好ましくは160rpm)の速度で撹拌される。リグニンペルオキシダーゼ活性の収量を増大させるために、発酵装置は、1リットルの培養培地につき1分あたり0.1リットル?1リットルの空気の通気速度で通気される。現時点で好ましい形態によれば、発酵装置は、1リットルの培養培地につき1分あたり0.2リットルの空気の通気速度で通気される。
【0085】
下記の実施例の節の材料および実験方法において記載されるように、ファネロカエテ・クリソスポリウムは、マンガンイオンを含まず、グリセロールを炭素源として含有する培養条件のもとで培養される。好ましくは、本発明のグリセロールは3グラム/リットル?20グラム/リットルの濃度範囲で提供される。現時点で好ましい形態によれば、グリセロールは6グラム/リットルの濃度で提供される。
【0086】
上記菌類からのリグニンペルオキシダーゼイソ酵素H1の精製プロセス時において、精製されたタンパク質の酵素活性が、バラトリルアルコールのバラトリルアルデヒドへの酸化のために生じる310nmでの吸光度の変化によってさらに試験されている。
【0087】
リグニンペルオキシダーゼイソ酵素H1はイソ酵素H2の翻訳後の脱リン酸化から生じ得る(KuanおよびTien、1989)ので、本発明によって使用されるリグニンペルオキシダーゼは、リグニンペルオキシダーゼイソ酵素H2を脱リン酸化することによって調製することができる。
【0088】
本発明によって使用されるリグニン改変酵素はまた、米国特許第5200338号に開示されるようにリグニン改変酵素を発現させるために改変された細菌細胞から抽出することができる。例えば、細菌細胞(例えば、大腸菌など)を、強力な構成的プロモーター(例えば、SP6)の調節制御下に配置されたLIPコード配列(配列番号1)を含む発現ベクターで形質転換することができる。発現後、細菌細胞を溶解することができ、そして、LIPを、クロマトグラフィー技術を使用して回収することができる(さらなる詳細について、Billman-Jacobe、1996、Curr.Opin.Biotechnol.、7:500?4;HarrisおよびEmtage、1986、Microbiol.Sci.、3:28?31を参照のこと)。
【0089】
本発明によって使用されるリグニン改変酵素はまた、HeLa細胞などの哺乳動物細胞株から抽出することができる。この場合、LIPコード配列が、好適な発現ベクター(例えば、pCDN3.1、Invtrogen Life Technologies(Frederick、MD、米国))において強力な哺乳動物プロモーター(例えば、CMV)のもとに配置される。発現ベクターによるHeLa細胞のトランスフェクションの後、LIP発現生成物を、従来の精製技術およびクロマトグラフィー技術によって、細胞から、または(例えば、分泌シグナルを含むようにLIP配列を改変することによって)培地から抽出することができる(さらなる詳細について、CunhaおよびAires-Barros、2002、Mol.Biotechnol.、20:29?40を参照のこと)。
【0090】
リグニン改変酵素は、さらなる化合物の同時適用を必要とすることなく、皮膚または毛髪に適用することができるが、リグニン改変酵素LIPの明色化能力は、酸化性の活性化剤として役立つ電子受容体(すなわち、基質を酸化することができる分子)の存在下、および/または、酸化性の媒介因子として役立つフェノール性化合物、例えば、ベラトリルアルコール(Harveyら、1992、Biochem Soc Trans、20:345?9)およびベラトロール(Wardら、Enzyme and Microbiol Technology(2002)、30:490?498)などの存在下で適用されたときに増強される。
【0091】
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、リグニン改変酵素は、酸化性の活性化剤(例えば、過酸化水素など)および酸化性の媒介因子(例えば、ベラトリルアルコールなど)の事前の適用、同時での適用または後での適用とともに適用される。
【0092】
リグニン改変酵素は皮膚または毛髪に関してそのものとして適用することができる。しかしながら、明色化効率を増大するために、リグニン改変酵素は、好ましくは、特定の使用のために配合される化粧用組成物(例えば、全身の皮膚の明色化、そばかすの明色化、または毛髪の明色化などのために配合される化粧用組成物など)に含まれる。これらの化粧用組成物は表皮浸透剤(例えば、ブチレングリコールおよびトランスキュトールなど)および毛髪浸透剤(例えば、アルカノールアミンなど)を含むことができる。
【0093】
本明細書中で使用される「化粧用組成物」は、本明細書中上記に記載される有効成分(例えば、LIP)と、さらなる化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリアおよび賦形剤、酸化性の活性化剤および/または酸化性の媒介因子など)とを含む調製物を示す。化粧用組成物の目的は、生物に対する有効成分の投与を容易にすることである。
【0094】
以下において、使用される表現「好適なキャリア」は、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、リグニン改変酵素の生物学的な活性および性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。
【0095】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために化粧用組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0096】
化粧用組成物は、局所的様式で、例えば、化粧用組成物を患者の組織領域に対して直接的に投与することによって適用することができる。好適な投与経路には、例えば、局所的注射、皮下注射および皮内注射が含まれ得る。
【0097】
本発明の化粧用組成物は、この分野で広く知られている様々な工程によって、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥の従来の工程によって製造することができる。
【0098】
従って、本発明に従って使用される化粧用組成物は、調製物への有効成分の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容され得るキャリアを使用して従来の様式で配合され得る。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。
【0099】
注射の場合、化粧用組成物の有効成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液または生理学的塩緩衝液など)において配合することができる。
【0100】
あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェン非含有水に基づく溶液)を用いて構成される粉末形態にすることができる。
【0101】
治療効果的な量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0102】
本発明の方法において使用される任意の調製物について、治療効果的な量または用量は、最初はインビトロアッセイから推定することができる。本明細書中において実施例の節に示されるように、LIPおよび過酸化水素の濃度は、インビトロアッセイから最適化することができ、インビボ使用のためにさらに適合化することができる。また、用量は、所望される濃度または力価を達成するために、組織培養システムまたは動物モデルにおいて定めることができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。
【0103】
皮膚色素沈着障害(例えば、肝斑、黒皮症、組織黒変症およびほくろ)の重篤度および皮膚の応答性に依存して、投薬は単回または複数の投与であり得る。この場合、処置の経過期間は数日から数週間まで、または、治癒が達成されるか、または、皮膚障害の軽減が達成されるまで続く。
【0104】
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、病気の重篤度、投与様式、処方医師の判断などに依存する。
【0105】
本発明の化粧用組成物に含まれるリグニン改変酵素はまた、皮膚色素沈着障害(例えば、黒皮症、肝斑、組織黒変症およびほくろなど)を処置するための医薬組成物として、より高い濃度で提供することができ、また、医師によって処方することができる。
【0106】
下記は、リグニン改変酵素を含む、皮膚または毛髪の明色化のために配合された配合物の記載である。
【0107】
皮膚の明色化
皮膚の明色化を最適化および制御するために、リグニン改変酵素は、好ましくは、皮膚を明色化する目的のために配合される化粧用組成物に含まれる。
【0108】
本発明の皮膚明色化用の化粧用組成物はインビボで用いられるので、組成物は好ましくは高純度であり、かつ潜在的に有害な混入物を実質的に含まず、例えば、少なくともNational Food(NF)規格であり、一般には少なくとも分析用規格であり、好ましくは少なくとも医薬品規格である。特定の化合物が使用前に合成されなければならないならば、そのような合成またはその後の精製は、合成手法時または精製手法時に使用されていたかもしれない何らかの潜在的に混入する毒性剤を実質的に含まない生成物をもたらされなければならない。
【0109】
有効成分
リグニン改変酵素(例えば、リグニンペルオキシダーゼなど)は、1U/g?100U/gの範囲から選択される濃度で本発明の化粧用組成物に含まれる。現在知られている形態によれば、本発明の化粧用組成物に含まれるリグニン改変酵素は、5U/g?100U/gの範囲から選択される濃度で提供される。リグニン改変酵素の好ましい濃度は、組成物の具体的な使用に従って選択されることが理解され、従って、一般的な皮膚明色化のためには、5U/g?20U/gの好ましい濃度が利用され、一方で、そばかす明色化のためには、5U/g?100U/gのより広い濃度が利用される。
【0110】
皮膚明色化用の化粧用組成物によって使用される電子受容体(酸化性の活性化剤)は、好ましくは、少なくとも0.005%の濃度で提供される過酸化水素である。過酸化水素は安定であるが、中性またはアルカリ性の条件のもとでは分解して、水および酸素の活性な化学種を形成する。酸素の活性な化学種は非常に反応性である。
【0111】
化粧用組成物は、リグニンペルオキシダーゼが4未満のpH(好ましくはpH2.5?3.5)のみで活性であり、また、過酸化水素がそのようなpHにおいて安定であるので、4以下のpHに好ましくは緩衝化される。
【0112】
4以下のpHを維持することができる緩衝剤はどれも用いることができる。従って、酢酸、酒石酸、リン酸またはクエン酸を用いる緩衝剤を皮膚明色化用の化粧用組成物によって使用することができる。
【0113】
下記の実施例の節において示されるように、本発明の過酸化水素は、リン酸を用いてpH3.5において安定化される。
【0114】
本発明によって使用される酸化性の媒介因子は、酸化電位およびリグニン改変酵素の安定性を増大させる小さい芳香族分子、すなわち、より具体的にはメトキシル化化合物である。本発明によって使用される好ましい酸化性の媒介因子はベラトリルアルコールおよびベラトロールである。
【0115】
実施例の節において明らかにされるように、本発明の化粧用組成物に含まれるベラトリルアルコールは、好ましくは、少なくとも0.05%の濃度で水に希釈される。
【0116】
表皮浸透剤
有効成分(例えば、LIP)の経皮吸収を高めるために、数多くの薬剤の1つまたは複数を化粧用組成物に加えることができ、これらには、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、アゾン、アルコール、アセトン、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
下記の実施例の節において例示されるように、リグニン改変酵素(LIP)および活性化剤(過酸化水素)は、好ましくは、LIPの皮膚浸透を高めるために最適化された様式および濃度で、ブチレングリコールおよびトランスキュトールなどの表皮浸透剤とそれぞれ混合される。本発明によって使用されるブチレングリコールは少なくとも1%の濃度で提供され、トランスキュトールは少なくとも3%の濃度で提供される。
【0118】
キャリア
本明細書中に開示される薬剤の薬学的に効果的な量に加えて、本発明のこの態様の化粧用組成物はまた皮膚科学的に許容され得るキャリアを含む。
【0119】
表現「皮膚科学的に許容され得るキャリア」は、皮膚(すなわち、ケラチン組織)への局所的適用のために好適であり、良好な美学的性質を有し、本発明の活性な薬剤および任意の他の成分との適合性を有し、また、哺乳動物における使用のために安全かつ非毒性であるキャリアを示す。キャリアの効果的な量は、組成物の重量比で約50%?約99.99%(好ましくは約80%?約99.9%、より好ましくは約90%?約98%、最も好ましくは約90%?約95%)の範囲から選択される。
【0120】
エマルション
本発明の組成物において利用されるキャリアは広範囲の様々な形態であり得る。これらには、水中油型エマルション、油中水型エマルション、水中油中水型エマルションおよび油中水中シリコーン型エマルション(これらに限定されない)を含むエマルションキャリア、クリーム、軟膏、水溶液、ローションまたはエアロゾルが含まれる。当業者によって理解されるように、特定の成分は、組成物における成分の水溶解性/分散性に依存して、水相または油/シリコーン相のいずれかに主に分布する。
【0121】
本発明によるエマルションは一般に、薬学的に効果的な量の本明細書中に開示される薬剤と、脂質またはオイルとを含有する。脂質およびオイルは、動物、植物または石油に由来し得るし、また、天然物または合成物(すなわち、人工物)であり得る。好ましいエマルションはまた、グリセリンなどの保湿剤を含有する。エマルションは、好ましくは、キャリアの重量に基づいて、約1%?約10%(より好ましくは約2%?約5%)の乳化剤をさらに含有する。乳化剤は、非イオン性、アニオン性またはカチオン性であり得る。好適な乳化剤が、例えば、米国特許第3755560号(Dickertらに対して発行、1973年8月28日)、米国特許第4421769号(Dixonらに対して発行、1983年12月20日)、および、McCutcheons’s Detergents and Emulcifiers(北アメリカ版、317頁?324頁、1986年)に記載される。
【0122】
エマルションはまた、ケラチン組織への適用時の泡立ちを最小限に抑えるための消泡剤を含有することができる。消泡剤には、そのような使用のためにこの分野で広く知られている高分子量シリコーンおよび他の物質が含まれる。
【0123】
好適なエマルションは、所望される製品形態に依存して、広範囲の様々な粘度を有し得る。好まれる例示的な低粘度エマルションは約50センチストークス以下の粘度を有し、より好ましくは約10センチストークス以下の粘度を有し、最も好ましくは約5センチストークス以下の粘度を有する。エマルションはまた、ケラチン組織への適用時の泡立ちを最小限に抑えるための消泡剤を含有することができる。消泡剤には、そのような使用のためにこの分野で広く知られている高分子量シリコーンおよび他の物質が含まれる。
【0124】
1つのタイプのエマルションは水中シリコーン型エマルションである。水中シリコーン型エマルションは、連続したシリコーン相と、分散された水相とを含有する。本発明の好ましい水中シリコーン型エマルションは、重量比で約1%?約60%(好ましくは約5%?約40%、より好ましくは約10%?約20%)の連続したシリコーン相を含む。連続したシリコーン相は、本明細書中下記において記載される不連続な水相を含有または取り囲む外側相として存在する。
【0125】
連続したシリコーン相はポリ有機シロキサンオイルを含有することができる。好ましい水中シリコーン型エマルション系は、本明細書中に開示される薬剤の薬学的に効果的な量を送達するための酸化安定性ビヒクルを提供するために配合される。これらの好ましいエマルションの連続したシリコーン相は約50重量%?約99.9重量%の間の有機ポリシロキサンオイルおよび約50重量%未満の非シリコーンオイルを含む。特に好ましい実施形態において、連続したシリコーン相は、連続したシリコーン相の重量比で少なくとも約50%(好ましくは約60%?約99.9%、より好ましくは約70%?約99.9%、さらにより好ましくは約80%?約99.9%)のポリ有機シロキサンオイルと、連続したシリコーン相の重量比で約50%までの非シリコーンオイル(好ましくは約40%未満、より好ましくは約30%未満、さらにより好ましくは約10%未満、最も好ましくは約2%未満)とを含む。これらの有用なエマルション系は、より低い濃度のポリ有機シロキサンオイルを含有する匹敵し得る水中油型エマルションよりも大きい酸化安定性を長い期間にわたって提供し得る。連続したシリコーン相における非シリコーンオイルの濃度は、組成物における本発明の活性な化合物の酸化安定性をおそらくはさらに高めるように最小限に抑えられるか、または完全に回避される。このタイプの水中シリコーン型エマルションが米国特許第5691380号(Masonら、1997年11月25日発行)に記載される。
【0126】
組成物において使用される有機ポリシロキサンオイルは揮発性または不揮発性であり得るか、あるいは揮発性シリコーンおよび不揮発性シリコーンの混合物であり得る。これに関連して使用される用語「不揮発性」は、周囲の条件のもとで液体であり、かつ、約100℃以上の引火点(1気圧下)を有するそのようなシリコーンを示す。これに関連して使用される用語「揮発性」は、すべての他のシリコーンオイルを示す。好適な有機ポリシロキサンオイルは、広範囲の揮発性および不揮発性に及ぶ広範囲の様々なシリコーンから選択することができる。好適な有機ポリシロキサンオイルの例には、ポリアルキルシロキサン、環状ポリアルキルシロキサンおよびポリアルキルアリールシロキサンが含まれ、これらは当業者に知られており、また市販されている。
【0127】
連続したシリコーン相は1つまたは複数の非シリコーンオイルを含有することができる。連続したシリコーン相における非シリコーンオイルの濃度は、好ましくは、組成物における薬学的に効果的な薬剤の酸化安定性をさらに高めるように最小限に抑えられるか、または完全に回避される。好適な非シリコーンオイルは、約1気圧の圧力もとで約25℃以下の融点を有する。連続したシリコーン相における使用のために好適な非シリコーンオイルの例が、水中油型エマルションの形態での局所用パーソナルケア製品における化学技術分野で広く知られているものであり、例えば、鉱油、植物油、合成油、半合成油などである。
【0128】
本発明の有用な局所用組成物は、約30%?約90%(より好ましくは約50%?約85%、最も好ましくは約70%?約80%)の分散された水相を含む。用語「分散(された)相」は、当業者にはよく知られており、相が、連続(した)相に懸濁され、かつ連続相によって囲まれている小さい粒子または液滴として存在することを含意する。分散相はまた、内部相または不連続相として知られている。分散された水相は、本明細書中前記の連続したシリコーン相に懸濁され、そのようなシリコーン相によって囲まれている小さい水性の粒子または液滴の分散物である。水相は水であり得るか、あるいは、水および1つまたは複数の水溶性成分または水分散性成分の組合せであり得る。必要に応じて使用されるそのような成分の非限定的な例には、増粘剤、酸、塩基、塩、キラント、ガム、水溶性または水分散性のアルコールまたはポリオール、緩衝剤、保存剤、日焼け止め剤および着色剤などが含まれる。
【0129】
本発明の局所用組成物は、典型的には、組成物の重量比で、分散された水相において約25%?約90%(好ましくは約40%?約80%、より好ましくは約60%?約80%)の水を含む。
【0130】
本発明の水中シリコーン型エマルションは好ましくは乳化剤を含む。好ましい実施形態において、組成物は、組成物の重量比で、約0.1%?約10%の乳化剤、より好ましくは約0.5%?約7.5%の乳化剤、最も好ましくは約1%?約5%の乳化剤を含有する。乳化剤は、連続したシリコーン相における水相の分散および懸濁を助ける。
【0131】
広範囲の様々な乳化剤を、好ましい水中シリコーン型エマルションを形成させるために本発明では用いることができる。知られている乳化剤または従来の乳化剤を、選択された乳化剤が組成物の必須成分と化学的および物理的に適合し、かつ、所望される分散特性を提供するならば、組成物において使用することができる。好適な乳化剤には、局所用パーソナルケア製品における使用について当業者によって知られているシリコーン乳化剤(例えば、有機修飾された有機ポリシロキサン)(これはまた、シリコーン界面活性剤として当業者に知られている)、シリコーン非含有乳化剤、およびそれらの混合物が含まれる。
【0132】
有用な乳化剤には、広範囲の様々なシリコーン乳化剤が含まれる。これらのシリコーン乳化剤は、典型的には、有機修飾された有機ポリシロキサンであり、これはまた、シリコーン界面活性剤として当業者には知られている。好適な乳化剤が、例えば、McCutcheon’s,Detegents and Emulsifiers(北アメリカ版、1986年;Allured Publishing Corporationにより刊行);米国特許第5011681号(Ciottiら、1991年4月30日発行)、米国特許第4421769号(Dixonら、1983年12月20日発行)および米国特許第3755560号(Dickertら、1973年8月28日発行)に記載される。
【0133】
他の好ましい局所用キャリアには、連続した水相と、連続した水相に分散された疎水性の水不溶性相(「油相」)とを有する油中水型エマルションが含まれる。油中水型エマルションを含む好適なキャリアの例が、米国特許第5073371号(Turner,D.J.ら、1991年12月17日発行)、米国特許第5073372号(Turner,D.J.ら、1991年12月17日発行)に記載される。構造剤、親水性界面活性剤および水を含有する特に好ましい油中水型エマルションが本明細書中下記において詳しく記載される。
【0134】
好ましい油中水型エマルションは、液晶ゲル網目構造の形成を助けるための構造剤を含む。理論によって限定されないが、構造剤は、組成物の安定性に寄与するレオロジー学的特徴を組成物に提供することを助けると考えられる。構造剤はまた、乳化剤または界面活性剤として機能し得る。本発明の好ましい組成物は、組成物の重量比で約0.5%?約20%(より好ましくは約1%?約10%、最も好ましくは約1%?約5%)の構造剤を含む。本発明の好ましい構造剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、平均して約1個?約21個のエチレンオキシドユニットを有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、平均して約1個?約5個のエチレンオキシドユニットを有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0135】
広範囲の様々なアニオン性界面活性剤もまた、本発明では有用である。例えば、米国特許第3929678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)を参照のこと。また、両性界面活性剤および双性イオン型界面活性剤もまた、本発明では有用である。
【0136】
好ましい油中水型エマルションは、約0.05%?約10%(好ましくは約1%?約6%、最も好ましくは約1%?約3%)の、疎水性物質を水相に分散させることができる少なくとも1つの親水性界面活性剤を含む(局所用キャリアの重量比による百分率)。界面活性剤は、最少量において、水に分散するために十分に親水性でなければならない。好適な界面活性剤には、広範囲の様々な知られているカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン型界面活性剤および両性界面活性剤のいずれかが含まれる。McCutcheon’s,Detegents and Emulsifiers(北アメリカ版、1986年;Allured Publishing Corporationにより刊行);米国特許第5011681号(Ciottiら、1991年4月30日発行)、米国特許第4421769号(Dixonら、1983年12月20日発行)および米国特許第3755560号を参照のこと。選ばれる的確な界面活性剤は、組成物のpH、および存在する他の成分に依存する。カチオン性界面活性剤が好ましく、特に、ジアルキル第四級アンモニウム化合物が好ましく、その例が米国特許第5151209号(McCallら、1992年9月29日発行)、米国特許第5151210号(Steuriら、1992年9月29日発行)、米国特許第5120532号、米国特許第4387090号、米国特許第3155591号、米国特許第3929678号、米国特許第3959461号;McCutcheon’s,Detegents & Emulsifiers(北アメリカ版、1979年;M.C.Publishing Co.);および、Schwartzら、Surface Active Agents,Their chemistry and Technology、New York、Interscience Publishers、1949年)に記載される。
【0137】
あるいは、他の有用なカチオン性乳化剤には、アミノ-アミドが含まれる。これらのカチオン性乳化剤の非限定的な例には、ステアルアミドプロピルPGジモニウムクロリドホスファート、ベヘンアミドプロピルPGジモニウムクロリド、ステアルアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファート、ステアルアミドプロピルジメチル(ミリスチルアセタート)アンモニウムクロリド、ステアルアミドプロピルジメチルセテアリルアンモニウムトシラート、ステアルアミドプロピルジメチルアンモニウムクロリド、ステアルアミドプロピルジメチルアンモニウムラクタート、およびそれらの混合物が含まれる。
【0138】
好ましい油中水型エマルションは、局所用キャリアの重量比で約25%?約98%(好ましくは約65%?約95%、より好ましくは約70%?約90%)の水を含む。
【0139】
局所用組成物
化粧用組成物は、下記において記載されるように、溶液、ローション、スプレー、クリーム、軟膏、膏薬、ゲルなどを含む、皮膚への適用のために化粧品業界によって利用されている様々な形態のいずれかで配合することができる。
【0140】
好ましくは、化粧用組成物は、処置された皮膚領域に留まるために十分な粘性で配合され、容易に蒸発せず、かつ/または、水によるすすぎによって容易に除去されず、むしろ、石けん、洗剤および/またはシャンプーの助けを借りて除去可能である。
【0141】
そのような性質を有する組成物を調製するための様々な方法が、当業者には広く知られており、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990、上掲);および、Pharmacological Dosage Forms and Drug Delivery Systems(第6版、Williams&Wilkins、1995)に詳しく記載されている。
【0142】
キャリア
ローションおよびクリーム(これらに限定されない)を含む本発明の局所用組成物は、皮膚科学的に許容され得る皮膚軟化剤を含むことができる。そのような組成物は、好ましくは、約2%?約50%の皮膚軟化剤を含む。本明細書中で使用される「皮膚軟化剤」は、乾燥の防止または軽減のために、そして同様に皮膚の保護のために有用である物質を示す。広範囲の様々な好適な皮膚軟化剤が知られており、これらを本発明において使用することができる。例えば、Sagarin、Cosmetics,Science and Technology(第2版、第1巻、3243頁、1972年)を参照のこと;これには、皮膚軟化剤として好適な物質の数多くの例が含まれる。好ましい皮膚軟化剤はグリセリンである。グリセリンは、好ましくは、約0.001%?約20%(より好ましくは0.01%?約10%、最も好ましくは約0.1%?約5%)の量で使用され、例えば、3%の量で使用される。
【0143】
本発明によるローションおよびクリームは、一般に、溶液キャリアシステムと、1つまたは複数の皮膚軟化剤とを含む。ローションは、典型的には、約1%?約20%(好ましくは約5%?約10%)の皮膚軟化剤と、約50%?約90%(好ましくは約60%?約80%)の水と、薬学的に効果的な量の本明細書中に記載される薬剤とを含む。クリームは典型的には、約5%?約50%(好ましくは約10%?約20%)の皮膚軟化剤と、約45%?約85%(好ましくは約50%?約75%)の水と、薬学的に効果的な量の本明細書中に記載される薬剤とを含む。
【0144】
本発明の局所適用される化粧用組成物はまた、例えば、香り因子および皮膚栄養因子に関して化粧用組成物を高めるために、加えられるさらなる成分を含むことができる。
【0145】
そのような成分は、毒性、不適合性、不安定性およびアレルギー応答などを妥当な医学的判断の範囲内で誘導することを伴わないヒトケラチン組織における使用のために好適に選択される。また、必要に応じて使用されるそのような成分は、本発明の活性な化合物の利点を受け入れられないほど変化させないならば、有用である。
【0146】
CTFA Cosmetic Ingredient Handbook(第2版、1992年)には、本発明の組成物における使用のために好適である、スキンケア産業において一般的に使用されている広範囲の様々な非限定的な化粧用成分が記載される。これらの成分クラスの例には、研磨剤、吸収剤、美学的成分(例えば、香料、顔料、着色剤、精油、皮膚感覚剤、収斂剤など)(例えば、丁子油、メントール、樟脳、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メチル、マンサク留出物)、ニキビ防止剤、固化防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバマート)、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝化剤、増量剤、キレート化剤、化学的添加剤、着色剤、化粧用収斂剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、外用鎮痛剤、フィルム形成特性および組成物の実質性を助けるためのフィルム形成剤またはフィルム物質(例えば、ポリマー)(例えば、エイコセンおよびビニルピロリドンの共重合体)、不透明化剤、pH調節剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚調節剤(例えば、多種のものおよび吸蔵剤等の保湿剤)、皮膚の平滑化および/または治癒用の薬剤(例えば、パンテノールおよび誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエ、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビサボロール、ならびに、グリシレチン酸二カリウム)、皮膚処置剤、増粘剤、ならびに、ビタミンおよびその誘導体が含まれる。
【0147】
化粧用組成物は皮膚に対して直接的に塗布することができる。あるいは、化粧用組成物は、この分野で知られている様々な経皮薬物送達システム(例えば、組成物を皮膚内に時間放出様式で放出する経皮パッチなど)による通常的な皮膚適用によって送達することができる。この分野で知られている他の薬物送達システムには、加圧エアロゾルボトル、イオン導入法または超音波導入法が含まれる。イオン導入法は、皮膚透過性を増大させ、経皮送達を促進させるために用いられる。米国特許第5667487号および同第5658247号には、皮膚を横断する治療剤の、超音波-イオン導入法により媒介される輸送のために好適なイオノソニック装置が開示される。あるいは、またはさらに、リポソームまたはミセルもまた、送達ビヒクルとして用いることができる。
【0148】
本発明の化粧用組成物に含まれる有効成分は、メラニンを酸化することによる皮膚の明色化のために好適である。しかしながら、その酸化反応は、還元性試薬の加えることによって所望されるときに制御および停止することができる。このような試薬は、別個の化粧用組成物において配合することができ、所望される時に皮膚に塗布することができる。
【0149】
毛髪の明色化
有効成分
本発明の教示に従って配合される毛髪明色化用組成物は、本明細書中上記に記載される酸化性の薬剤および媒介因子を含む。
【0150】
下記の実施例の節において明らかにされるように、毛髪の明色化は、pHが3.5の酒石酸塩緩衝液において1.5mMのベラトリルアルコールおよび8.8mMの過酸化水素の存在下で達成することができる。
【0151】
軟化剤
軟化剤には、炭化水素オイルおよびワックス(例えば、鉱油およびワセリンなど)、植物および動物の油脂(例えば、オリーブ油、パーム油、ひまし油、トウモロコシ油およびダイズ油など、ならびに、ラノリンおよびその誘導体(ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックスおよびラノリンアルコールなど)など)が含まれるが、これらに限定されない。他の軟化剤には、10個?20個の炭素原子を有する脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびパルミチン酸などを含む)のエステル、例えば、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸ブチル、ステアリン酸プロピル、イソステアリン酸プロピルおよびパルミチン酸プロピルなどが含まれる。他の軟化剤には、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸およびパルミチン酸などを含む、10個?20個の炭素原子を有する脂肪酸が含まれる。軟化剤にはまた、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコールおよびステアリルアルコールなどの、10個?20個の炭素原子を有する脂肪アルコールが含まれる。
【0152】
一部は水溶性であるが、多価アルコールおよびポリエーテル誘導体が軟化剤として含まれ、これらには、グリコール類、グリセロール、ソルビトールおよびポリアルキレングリコールなど、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール200?500などが含まれる。水溶性の例が好ましい。
【0153】
界面活性剤
乳化剤/界面活性剤もまた、本発明の毛髪明色化用組成物によって利用されることが好ましい。
【0154】
界面活性剤の例には、親水性のアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ポリエチレンオキシドまたはポリエチレングリコールとの縮合のために利用可能なフリーの反応性水素を有する疎水性のアルキル官能基、アルケン官能基またはアルキル芳香族官能基のポリオキシアルキレンオキシド縮合生成物が含まれるが、これに限定されない。特に効果的なものは、オクチルフェノールと、約7モル?約13モルのエチレンオキシドとの縮合生成物であり、これらはそれらの商品名TRITON100(登録商標)シリーズの製品でRohm&Haas Companyによって販売されている。
【0155】
他の成分、例えば、香料、安定化剤、色素、抗微生物剤、抗菌剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などもまた、本発明の毛髪明色化用組成物に含まれる。
【0156】
コンディショナー
酸加水分解に対して安定なコンディショナー薬剤(例えば、エトキシル化モノクアド(quad)とともに少なくとも1つの第四級アンモニウム成分を有するシリコーン化合物など)もまた、本発明の毛髪明色化用組成物を安定化し、場合により粘性を高めるために利用されることが好ましい。
【0157】
必要に応じて使用される増粘剤もまた、組成物の美観を改善し、また、毛髪への組成物の適用を容易にするために含めることができる。0重量%?約3重量%の量での非イオン性の増粘剤が好ましい。例示的な増粘剤には、メチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、ジ(水素化タロー)フタル酸アミド、架橋された無水マレイン酸-メチルビニルエーテル共重合体、グアールガム、キサンタンガムおよびアラビアゴムがある。
【0158】
コンディショニング用組成物のキャリアは主として水である。しかし、有機溶媒もまた、組成物の製造を容易にするために、または、美学的性質(例えば、粘度制御など)を提供するために含めることができる。好適な溶媒には、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールのような低級アルコール;2-ブトキシエタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル;およびそれらの混合物が含まれる。非水性溶媒は、組成物のキャリアの総重量の重量比で約1%?約50%の量で、特に約5%?約25%の量で本発明のコンディショニング用組成物に存在させることができる。
【0159】
不透明なコンディショナーにおいて使用され得る非限定的なコンディショニング用薬剤には、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘントリメチルアンモニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、ソイトリモニウムクロリド、タロートリモニウムクロリド、二水素化タロージメチルアンモニウムクロリド、ベヘントリメチルアンモニウムメトスルファート、Peg-2オレアンモニウムクロリド、二水素化タロージメチルアンモニウムブロミド、二水素化タロージメチルアンモニウムメトスルファート、パルミチルトリメチルアンモニウムクロリド、水素化タロートリメチルアンモニウムクロリド、水素化タロートリメチルアンモニウムブロミド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロリド、水素化タロートリメチルアンモニウムメトスルファート、セトリモニウムトシラート、エイコシルトリメチルアンモニウムクロリド、およびジタロージメチルアンモニウムクロリドが含まれる。
【0160】
本発明の組成物を不透明化するために使用され得る物質には、脂肪エステル、不透明化ポリマー(例えば、OPACIFIER653(これはMorton,International,Inc.から得られる)のようなスチレンポリマーなど)、および脂肪アルコールが含まれる。下記は脂肪アルコールの非限定的な列挙である:セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびアラキジルアルコール。透明でない本発明のコンディショニング用組成物はまた、Lexamine S-13、ジセチルアンモニウムクロリド、およびセテアレス(ceteareth)-20を含むことができる。
【0161】
本発明の組成物は、所望される場合、皮膚または毛髪の明色化における使用のための適切な説明書、および、皮膚または毛髪の明色化における使用のためのFDA承認を示す表示と一緒に、ディスペンサーデバイスまたはキットで提供され得る。
【0162】
皮膚領域または毛髪を明色化するためのキットは、例えば、好適な緩衝液、キャリア、浸透剤などとともに提供されるリグニン改変酵素を含む容器と、上記の酸化性の薬剤および媒介因子を含むさらなる容器とを含むことができる。
【0163】
リグニン改変酵素はまた、この分野で知られている分子生物学的方法を使用することによって皮膚領域の細胞の中に導入することができる。
【0164】
従って、本発明のさらに別の態様によれば、対象の皮膚領域を明色化する方法が提供される。本発明のこの態様による方法は、皮膚領域の細胞に含有され得る色素を酸化するために好適な様式でリグニン改変酵素を皮膚領域の細胞内において発現させることによって達成される。
【0165】
そのような発現は、プロモーター配列に機能的に連結されたリグニン改変酵素のコード配列を含む発現ベクターで皮膚の細胞を形質転換することによって達成することができる。
【0166】
そのような発現ベクターを作製するために、リグニン改変酵素をコードするポリヌクレオチドセグメント(例えば、LIPのH1イソ型、配列番号1)を、哺乳動物細胞を形質転換するために好適であり、かつ、形質転換された細胞におけるリグニン改変酵素の発現を行わせるために好適である市販の発現ベクターシステムに連結することができる。そのような市販のベクターシステムは、既存のプロモーター配列またはエンハンサー配列を置換し、または複製し、または変異させるために、かつ/あるいは任意のさらなるポリヌクレオチド配列(例えば、さらなる選択マーカーをコードする配列、またはレポーターポリペプチドをコードする配列など)を導入するために、一般に使用されている様々な組換え技術によって容易に改変され得ることが理解される。
【0167】
本発明とともに使用される好適な哺乳動物発現ベクターには、pcDNA3、pcDNA3.1(+/-)、pZeoSV2(+/-)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1(これらはInvitrogenから入手可能である)、pCI(これはPromegaから入手可能である)、pBK-RSVおよびpBK-CMV(これらはStratageneから入手可能である)、pTRES(これはClontechから入手可能である)、ならびにそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0168】
本発明のこの態様とともに使用される好適な発現ベクターは、アデノウイルスに基づくベクターである。アデノウイルスベクターは、皮膚ガン治療を含む様々な医薬的適用のために広く使用されている(Ghazizadeh S、Taichman LB(2000)、Hum Gene Ther、11:2247?51;Carter PJ、Samulski RJ(2000)、Int Mol Med、6:17?21)。
【0169】
上記の発現ベクターは、様々な送達方法を使用して細胞内に送達することができ、これらには、リポソーム、表皮パッチ、イオン導入法または受容体媒介エンドサイトーシス(これらに限定されない)が含まれる。
【0170】
後者の方法において、エンドサイトーシスを受けることが知られている細胞表面受容体に対する抗体またはリガンドが、共有結合的に連結されたポリカチオン性付加物(例えば、ポリリシン、各種プロタミン)を介して、リグニン改変酵素をコードするDNA配列と複合体化される。そのような複合体は細胞表面に対するその結合特異性を保持しており、複合体が通常のエンドサイトーシスプロセスによってエンドソーム区画に進入する細胞に取り込まれる。また、様々な段階を、エンドソーム-リソソーム内でのDNAの分解を回避するために取らなければならない。細胞は、トランスフェクション手法の期間中、リソソーム向性剤クロロキンで処理することができる。あるいは、エンドサイトーシスによって細胞の中に進入し、かつエンドソーム「突出」能を有するウイルスの成分を使用することができる。リガンド-DNA複合体にカップリングされた複製欠陥アデノウイルスは、インビトロで組織培養細胞に対して事実上100%のトランスフェクション効率をもたらす。予備的研究では、DNAを選ばれた細胞タイプにインビボで特異的に標的化するこの方法の潜在的可能性が明らかにされている(Guy J、Drabek D、Antoniou M(1995)、Mol Biotechnol、1995、3:237?48)。
【0171】
標的細胞内での発現の後、記載された電子受容体および媒介因子が、好ましくは、明色化を促進させるために、処置されている領域に適用される。
【0172】
リグニン改変酵素を標的細胞内において発現させることは、酵素そのものの細胞内送達が必要であることを克服し、それにより明色化効率を潜在的に高めるので、特に好都合である。
【0173】
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
【実施例】
【0174】
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
【0175】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学及び組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている[例えば以下の諸文献を参照されたい。「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら1989年;Ausubel,R.M.編1994年「Current Protocols in Molecular Biology」I?III巻;Ausubelら著1989年「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア;Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク1988年;Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1?4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク1998年;米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号及び5272057号に記載される方法;Cellis,J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I?III巻1994年;Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I?III巻1994年;Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク1994年;MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H.Freeman and Co.、米国ニューヨーク1980年;また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている。米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号及び5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」1984年;Hames,B.D.及びHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」1985年;Hames,B.D.及びHiggins S.J.編「Transcription and Translation」1984年;Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」1986年;「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press 1986年;Perbal,B.著「A Practical Guide to Molecular Cloning」1984年及び「Methods in Enzymology」1?317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ1990年;Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual」、CSHL Press、1996年;なおこれらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである]。その外の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。本明細書に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。本明細書に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0176】
背景
P.chrysosporium菌におけるリグニンペルオキシダーゼ
P.chrysosporium BKM-F-1767の培養物の細胞外液においてリグニン分解活性を示すヘムタンパク質が12個以上存在する。これらは、リグニンペルオキシダーゼ(LIP)およびマンガンペルオキシダーゼ(MNP)の2つのタイプのグリコシル化ヘムペルオキシダーゼに分類することができる。H1、H2、H6、H7、H8およびH10のイソ酵素がLIPであることが報告され、H3、H4、H5およびH9がMNPとして同定されている(Farrellら、1989)。P.chrysosporiumのこれらのLIPイソ酵素は、一群の構造的に関連した遺伝子のファミリーによってコードされており、その物理的特性、基質特異性および安定性が異なる(Farrellら、1989;Stewartら、1992)。それらの分泌を生じさせるプロセスの一部として、いくつかのLIPイソ酵素はタンパク質分解的に切断され、また、グリコシル化される(Ghose、1987;Ritchら、1991;TienおよびKirk、1984)。また、H2、H6、H8およびH10のLIPイソ酵素は、アスパラギン結合型オリゴ糖に含有されるマンノース-6-リン酸成分においてリン酸化されることが報告されている。時間をおいた細胞外液の分析から、イソ酵素H1は、おそらくは、H2の翻訳後の脱リン酸化に由来するという示唆が得られている(KuanおよびTien、1989)。
【0177】
P.chrysosporiumによるリグニン分解酵素の発現は、窒素または炭素の制限によって開始される特発性の(idiophasic)事象であり、培養条件および培地組成に非常に依存している(DosoretzおよびGrethlein、1991;FaisonおよびKirk、1985;Stewartら、1992;van der Woudeら、1993)。LIPの形成は、高い酸素圧に対する培養物の暴露に特に依存している(Dosoretzら、1990;FaisonおよびKirk、1985)。定常状態の培養物の内部への酸素移行が制限され、その結果として、培養ヘッドスペースにおける大きい酸素分圧が、十分な酸素を水面下の菌糸が利用できるようにするために必要とされることが提案されている(Leisolaら、1983;Michelら、1992)。LIP形成が、この菌類に対する酸素の利用性を改善する非浸漬型液体培養において菌類を多孔性担体に固定化することによって空気にさらされた培養物において観測された(Dosoretzら、1990;Poppら、1990)。培地におけるMn^(2+)の濃度はLIPおよびMNPの形成に悪影響を及ぼした。MNPの形成は、MNPの転写を高めるMnに依存しているが、LIPの形成はMnによって阻害される。Rothschildら(1999)は、P.chrysosporiumの窒素制限培養および窒素過剰培養の両方において、LIP形成のために要求される高い酸素レベルがMn欠乏によって置き換えられ得ることを示した。
【0178】
材料および実験方法
リグニンペルオキシダーゼを産生させるためのファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)菌の成長-ファネロカエテ・クリソスポリウム菌BKMF-1767(ATCC24725)を2%麦芽抽出物寒天の保存用斜面培養(Difxo、Detroit、MI、米国)において4℃で維持した。
【0179】
胞子懸濁物の調製-菌の胞子を、保存用斜面培養物からの切り取り部分を、オートクレーブ処理された39g/リットルの濃度でのポテトデキストロース寒天(PDA)を含有するペトリ皿に接種することによって得た。PDA平板は、その後、37℃で2週間までインキュベーションされた。胞子懸濁物を調製するために、PDA平板に0.9%NaClが重層され、分生子懸濁物を滅菌ガラスウールでろ過し、胞子懸濁物を集めた。胞子懸濁物は、その後、-80℃で凍結保存された。
【0180】
接種調製物-胞子を滅菌済み接種用培地(本明細書中下記の配合を参照のこと)に7.5×10^(5)胞子/mlの最終濃度で接種した。混合物の90mlが各発酵バッチ物に加えられた(TienおよびKirk、1988、Meth.Enzymol.、161:238?490;Dosoretzら、1990、Appl.Microbiol.Biotechnol.、34:131?7)。その後、各バッチ物は綿栓で栓がされた。培養物は、浅い培養物として37℃で48時間、静置により成長させられた。培養物の接種のために、発酵バッチ物の内容物がミキサー(Waring、英国)で2分間混合された。
【0181】
撹拌型タンク反応槽(STR)発酵装置における菌類の成長-菌類を成長させる前に、ポリウレタンフォームを発酵装置の冷却管の周りに据えて、STR発酵装置全体を滅菌した。その後、10リットルの発酵装置用培地(本明細書中下記の配合を参照のこと)をSTR発酵装置に注入し、900mlの混合された接種物(10個の発酵バッチ物の内容物)を加えた。発酵装置を、37℃の温度を維持するための冷却システムに接続し、100rpmで回転させた。滅菌済み空気が2ml/分で発酵装置に導入された。流速は、2日間の成長の後は4ml/分に変化させられた。成長は3日間?5日間にわたって続けられた。
【0182】
接種用培地が、下記の溶液を混合することによって調製され、0.45μmのフィルターメンブラン(MSI、Westborough、MA、米国)で滅菌された。1リットルの液体培地を調製するために、下記の成分が一緒にされた:
100mlのP.chrysosporium成長用基礎培地(x10)(下記の配合を参照のこと);
10mlのCaCl_(2)ストック液(13.2g/l)(Sigma-Aldrich Corp.、St Louis、MO、米国)。最終濃度、0.132g/L;
12mlのグリセロールストック液(50g/100ml)(Frutarom、イスラエル)。最終濃度、6g/L。
【0183】
二回蒸留水が1リットルになるまで加えられる。
【0184】
発酵装置用培地が下記の方法で調製され、0.45μmのフィルターメンブラン(MSI、Westborough、MA、米国)で滅菌された。10リットルの液体培地を調製するために、下記の成分が一緒にされた:
100mlのCaCl_(2)ストック液(13.2g/l)(Sigma、米国)。最終濃度、0.0132g/l;
120mlのグリセロールストック液(50g/100ml)(Frutarom、イスラエル)。最終濃度、6g/l;
50mlのTween-80ストック液(10.8ml/100ml)(Sigma、米国)。最終濃度、0.54ml/l;
1000mlのP.chrysosporium成長用基礎培地(x10)(下記の配合を参照のこと);
3.36gのベラトリルアルコール(Sigma、米国)。最終濃度、2mM。
【0185】
10リットルの最終体積までの7.740リットルの二回蒸留水(DDW)。
【0186】
P.chrysosporium成長用基礎培地(x10)-P.chrysosporium成長用基礎培地(x10)は下記のように調製された:7.07gのニトリロ三酢酸(三ナトリウム塩)を4リットルのDDWに溶解した。その後、下記の試薬を加えた:100gの無水KH_(2)PO_(4)、72.7gのMgSO_(4)・7H_(2)O(または67.39gのMgSO_(4)・6H_(2)O)、3.5gのNaCl、0.35gのFeSO_(4)・7H_(2)O、0.63gのCoCl_(2)・6H_(2)O、0.35gのZnSO_(4)・7H_(2)O、0.055gのCuSO_(4)・5H_(2)O、0.035gのAlK(SO_(4))_(2)・12H_(2)O、0.035gのH_(3)BO_(3)、0.035gのNa_(2)MoO_(4)・2H_(2)O、500mlの2M酢酸塩緩衝液(pH4.5)、10gの酒石酸アンモニウム、および50mgのチアミン。すべてがSigma-Aldrich Corp.(St Louis、MO、米国)によって供給された。培地のpHはNaOHで4.4?4.45に調節された。DDWが5リットルの最終体積になるまで加えられた。培地は4℃で貯蔵された。
【0187】
ファネロカエテ・クリソスポリウムの細胞外培地からのLIPの単離および精製-細胞外培地をガラス繊維に通して真空ろ過した。その後、ろ液を0.45μMのフィルターメンブラン(MSI、Westborough、MA、米国)で滅菌して、液体を、ぜん動ポンプ(MASTERFLEX、Vernon Hills、IL、米国)を使用して中空繊維メンブランによって濃縮した。濃縮された細胞外液を、その後、10kDaカットオフ型PM-10メンブラン(Amicon、Danvers、MA)を使用する限外ろ過によって25倍再濃縮し、0.01M?1.00Mの酢酸ナトリウムの2回のグラジエントを使用するHPLCアニオン交換クロマトグラフィーによるMonoQカラム(HR5/5、Pharmacia、Piscataway、NJ)により精製した。最初のグラジエントはpH6.0においてであり、2回目のグラジエントは、LIPイソ酵素H1の等電点(pI)値に等しいpH4.7においてであった。タンパク質ピーク部分を集め、それらの活性を、前回のバッチから得られた精製LIPイソ酵素H1を標準として使用してアッセイした。LIP H1画分の吸光度が280nmおよび409nmで測定された(Hewlett Packard、Waldbronn、ドイツ)。純粋度(RZ)は、精製されたLIPイソ酵素H1の409nmにおける吸光度(A_(409))と280nmにおける吸光度(A_(280))との比率から計算された場合、4.0を越えた。LIP濃度が、169M^(-1)cm^(-1)の吸光係数を使用して409nmで測定された。
【0188】
LIP活性のアッセイ-LIP活性が、TienおよびKirk(1988)によって記載されるように、ベラトリルアルコールのベラトリルアルデヒドへの酸化のときにおける310nmにおける吸光度の変化によって測定された。アッセイ試薬は、100mMの酒石酸塩緩衝液(pH2.5)における4mMのベラトリルアルコールおよび0.88mMのH_(2)O_(2)から構成される。アッセイのために、0.5mlのP.chrysosporium細胞外培地が0.5mlの試薬と混合され、310nmにおける吸光度の増大が40秒間にわたって記録された。1ユニットのLIP活性は、1分あたり1μmoleのベラトリルアルコールがベラトリルアルデヒドに酸化されるとして定義される。
【0189】
LIPによるメラニン酸化の測定-合成メラニン(Sigma、カタログ#M8631、St.Louis、MO、米国)が50mMのTris緩衝液(pH8.00)において様々な濃度で調製された。LIPによるメラニン酸化が、ベラトリルアルコールを含有する酒石酸塩緩衝液(pH3.5)において行われ、酵素反応が過酸化水素の添加によって開始された。メラニン酸化の程度が、460nmにおける吸光度の減少を測定することによって決定された。
【0190】
クリームの調製-好ましい実施形態におけるLIPクリームは、酵素クリームおよび活性化剤クリームの2つのタイプのクリームから構成される。それぞれのクリームは、2つの相から、すなわち、水相および油相から調製された。
【0191】
酵素クリーム
酵素クリーム用の水相:
0.35%(w/w)DMDMヒダントイン(Sharon Lab、イスラエル);
2%(w/w)グリセリン(Cognis、ドイツ);
0.1%(w/w)ベラトリルアルコール(3-ジメトキシベンジルアルコール、Sigma、米国);
81.65%(w/w)DDW(RO Water、イスラエル);
0.2%(w/w)Rhodicare D(キサンタンガム、Rhodia、フランス);
4%(w/w)トランスキュトール(PEG-400、エトキシジグリコール、Gattefoses、フランス);
酵素クリーム用の油相:
5%軽質鉱油;
2.5%(w/w)ドラゴリン100SEP(GMS&PEG-100ステアラート、Dragoco、ドイツ);
3%(w/w)セチルアルコール(Cognis、ドイツ);
0.2%(w/w)ソルビン酸カリウム(Chisso Corp.、日本);
1%(w/w)brij721(Uniqema、イタリア)。
【0192】
酵素クリームの調製:酵素クリームの水相および油相を80℃に加熱して、混合した。混合物を10分間均質化して、55℃に冷却した。その後、pHを乳酸で3.5に調節した。
【0193】
混合物が40℃に冷えたとき、リグニンペルオキシダーゼを加えた(20?50ユニット/g)。酵素混合物を1分間均質化した。
【0194】
活性化剤クリーム
活性化剤クリーム用の水相:
82.888(w/w)DDW(RO Water、イスラエル);
0.1%(w/w)EDTA二ナトリウム(Merck、ドイツ);
4%(w/w)トランスキュトール(PEG-400、エトキシジグリコール、Gattefosse、フランス);
0.1%(w/w)ソルビン酸カリウム(Chisso Corp.、日本);
活性化剤クリーム用の油相:
3.5%(w/w)brij72(Steareth-2、Uniqema、イタリア);
2.5%(w/w)brij721(Steareth-20、Uniqema、イタリア);
5%(w/w)鉱油;
1.3%(w/w)セチルアルコール(Cognis、ドイツ);
0.5%(w/w)シリコン350(Dimethicon、Dow Corning、米国);
0.1%(w/w)ソルビン酸カリウム(Chisso Corp.、日本)。
【0195】
活性化剤クリームの調製-活性化剤クリームの水相および油相を80℃に加熱して、混合した。混合物を10分間均質化して、45℃に冷却し、リン酸でpH3.5に調節した。
【0196】
混合物が40℃に冷えたとき、過酸化水素(Riedel-de Haen、ドイツ)を穏やかな撹拌とともに加え(0.012%(w/w))、正しいpHを確認した。活性化剤混合物を1分間均質化した。
【0197】
インビボでの皮膚明色化効果の測定-皮膚明色化に対するLIPの効果を定量するために、処置された手の皮膚の色が、3波長のMinolta彩度計(CR-200、日本)を使用して調べられた:Minolta Lは暗度および明度を測定し、Minolta Aは赤色の色調を測定し、Minolta Bは黄色の色調を測定する。Minolta L値の増大は皮膚の明るさの程度を反映し、すなわち、より大きい値はより明るい皮膚に対応する。
【0198】
実験結果
(実施例1)
P.chrysosporiumからのLIPの精製
P.chrysosporiumから得られた高度に精製されたLIP H1の調製-LIPイソ酵素H1をP.chrysosporiumから精製するために、菌を、本明細書中上記の方法の節で詳しく記載されたようにSTR発酵装置(図2)において成長させた。最初のLIP活性が48時間の成長の後に検出され、成長が120時間まで維持されたとき、活性の著しい増大が検出された(図3)。LIPイソ酵素H1を精製するために、菌の細胞外液を最大LIP活性の時(120時間)に集めた。その後、方法のところで記載されたように、LIPイソ酵素H1タンパク質を精製し、その濃度が測定された。従って、上記の装置および条件を使用して、LIPを確実に産生させることができ、そのH1イソ酵素をHPLCによって精製することができる。
【0199】
(実施例2)
精製されたLIPを使用する水相酸化におけるメラニンの最適化
LIPによるメラニン酸化のために必要とされる条件を最適化するために、酸化反応の重要な成分のそれぞれの最適な濃度を独立的に決定した。
【0200】
水相におけるメラニンのLIP酸化は過酸化水素の濃度の関数である-水相におけるLIPによるメラニンの酸化が、過酸化水素の濃度に対する相関について最初に調べられた。一定濃度のメラニン(70.5μg/ml)が、過酸化水素の濃度を増大させながら、1.5mMのベラトリルアルコールの存在下での0.48μMの精製LIP H1によって酸化された。酸化の程度が、過酸化水素の添加前および添加後160秒において460nmにおけるメラニンの吸光度を測定することによって決定され、百分率で計算された。一般に、メラニンの酸化は、700μM?900μMの過酸化水素で得られるプラトー状態まで、過酸化水素の濃度の増大とともに増大した(図4)。メラニン酸化に対する過酸化物の濃度の影響が、図5における反応混合物の比較によってさらに明らかにされる。この場合、反応混合物が過酸化水素の濃度の増大とともに著しく明色化される。従って、これらの結果は、水相におけるメラニンのLIP酸化が明らかに過酸化水素の濃度に依存しており、この場合、メラニンの酸化のための過酸化水素の最適な濃度が600μM?700μMの範囲であることを明らかにしている。
【0201】
メラニンのLIP酸化は水相におけるメラニンの初期濃度の関数である-LIPによる水相におけるメラニンの酸化のために要求される最適なメラニン濃度を決定するために、酸化反応がさらに、メラニン濃度を増大させながら調べられた。メラニンの酸化が、1.5mMのベラトリルアルコールおよび600μMの過酸化水素の存在下、0.48μMの精製LIP H1によって行われた。初期メラニン濃度が15μg/ml?45μg/mlの間であるとき、LIPによるメラニン酸化はメラニンの初期濃度に依存していた。メラニンの最高の酸化(60%)が45μg/ml?85μg/mlの間での初期メラニン濃度で達成された(図6)。従って、LIPによるメラニン酸化は、明らかに、45μg/mlを越える初期メラニン濃度には依存していない。
【0202】
LIPのメラニン酸化は水相におけるLIP濃度に部分的に依存する-メラニン酸化のための条件をさらに最適化するために、メラニン酸化に対するLIP濃度の影響が、最適な濃度のメラニン(70μg/ml)、過酸化水素(700μM)およびベラトリルアルコール(1.5mM)を用いて調べられた。メラニン酸化は、LIP濃度が0.25μMから0.40μMに増大したとき、10%から60%に劇的に増大した。しかしながら、LIP濃度が0.50μMを越えると、メラニン酸化における変化は観測されなかった(図7)。従って、インビトロでのメラニン酸化のためのLIP濃度の最適な範囲は0.40μM?0.50μMである。
【0203】
(実施例3)
クリーム配合物においてLIPを使用するメラニンの酸化
メラニンを酸化するLIPイソ酵素H1の能力をさらに実証するために、インビボでの皮膚明色化に向けた中間段階として、LIP活性が、水相に可溶化されたメラニンに対するクリーム配合物において調べられた。
【0204】
水相におけるメラニンはクリーム配合物におけるLIPによって酸化される-2つのタイプのクリームが調製された:LIPイソ酵素H1画分(25ユニット/gクリーム)およびベラトリルアルコール(6mmole/Kgクリーム)を含む酵素クリーム、過酸化水素(3.52mmole/Kgクリーム)を含む活性化剤クリーム。クリーム配合物におけるLIP活性の測定のために、酵素クリーム(0.3g)が最初にメラニン(140μg/ml)と混合され、灰色がかった黒色が観測された(図8a)。活性化剤クリーム(0.3g)が、メラニンを既に含有する酵素クリームに加えられたとき、色は直ちにベージュ色に変化した(図8b)。これらの結果は、クリーム配合物におけるLIPがメラニンの脱色において非常に効率的であり、ヒトの皮膚においてさらに試験できることを明らかにしている。
【0205】
(実施例4)
クリーム配合物における精製LIP H1によるインビボでの皮膚および毛髪の明色化
皮膚および毛髪をインビボで明色化するLIPの能力を調べるために、クリーム配合物および水性配合物における酵素が皮膚および毛髪にそれぞれ加えられた。
【0206】
クリーム配合物におけるLIPはインビボで皮膚を明色化する-インビボで皮膚を明色化するクリーム配合物におけるLIPの能力を調べるために、酵素クリームが塗布され、皮膚によって吸収され、その後、活性化剤クリームが5分間隔で4回塗布された。1週間にわたって1日2回で繰り返されたとき、処置された皮膚領域の著しい明色化が観測された(図9)。処置された手の2つの領域の皮膚の色が、Minolta彩度計を使用して定量されたとき、LIPクリームの2週間の塗布の明瞭な皮膚明色化効果が観測された(表1、%変化)。従って、これらの結果は、LIPは、塗布しやすいクリーム配合物で調製されたとき、インビボで皮膚を簡便かつ効率的に明色化することができ、また、本明細書中に詳しく記載されるように調製されたLIPは、他のインビボ明色化適用のためにさらに適合化され得ることを明らかにしている。
【表1】

【0207】
水性配合物におけるLIPはインビボで毛髪を明色化する-色素沈着の明色化は、皮膚以外の、メラニンが多い組織において要求されることが多い。そのインビボ明色化効果をさらに調べるために、LIPをヒトの毛髪に塗布した。LIPの塗布前に、毛髪は最初に50mMの炭酸塩緩衝液(pH11.5)に1時間漬けられ、その後、LIP(25U/20μl水)を含有する別の試験管に移された。毛髪はLIPと10秒間インキュベーションされ、その後、ベラトリルアルコール(1.5mM)および過酸化水素(8.8mM)の存在下での酒石酸塩緩衝液(pH3.5)の中に移された。著しい明色化効果が、LIPを含まない同じ溶液において処理された毛髪(図10、左側試験管)と比較して、LIPの存在下で1時間以内に観測された(図10、右側試験管)。従って、これらの結果は、非常に低い濃度の過酸化水素の存在下で、水性配合物におけるLIPはインビボで毛髪を効率的に明色化することができることを明らかにしている。
【0208】
(実施例5)
LIP調製プロセスのスケールアップ
商業的目的のために有用な多量のリグニンペルオキシダーゼ(LIP)を製造するために、LIPを、スケールアップされたプロトコルを使用して、P.chrysosporium菌から精製した。
【0209】
スケールアップされた発酵プロトコルを使用して得られたLIPの大きい活性-発酵が、本明細書中上記の方法の節で記載されたように90Lの発酵用培地を使用して100Lの発酵装置で行われた。発酵条件には、160rpmの撹拌および0.2vvmの空気流量が含まれた。接種が、本明細書中上記の方法の節で記載される10L発酵装置の場合と同じ方法で行われた。7日間の成長の後、測定されたLIP活性は1600ユニット/リットルであった。
【0210】
これらの結果は、多量および大きい酵素活性のLIPが、大型の発酵装置および本発明のスケールアップされたプロトコルを使用してP.chrysosporium菌から製造できることを明らかにしている。
【0211】
(実施例6)
LIPクリームについての皮膚科学的試験:正常な皮膚における低アレルギー誘発性試験、過敏性皮膚試験および過敏化攻撃試験
LIPクリームの皮膚科学的性質を特徴づけるために、また、化粧用製品としての使用のための前提条件として、LIPクリームがいくつかの皮膚科学的試験に供された:低アレルギー誘発性試験、正常な皮膚における過敏化攻撃試験、および過敏性皮膚における過敏化攻撃試験。
【0212】
方法
正常な皮膚における皮膚科学的試験のための研究被験者:この研究では、年齢範囲が18歳?64歳である50名の志願者(9名の男性および41名の女性)が含まれた。被験者は良好な全身的健康状態にあり、パッチが当てられる領域において何らかの認められる皮膚の疾患または異常を有していなかった。各研究被験者は、インフォームドコンセント文書を読み、理解し、かつ署名するように要請された。除外基準は下記の通りであった:妊婦または授乳中の女性、処置される帯域において重篤または進行性の疾患および/または病理に罹患している被験者、皮膚水和の何らかの処置(例えば、レチノイド、ステロイド)および/または調節剤を使用している被験者、体重が不安定であるか、または過度な飲酒もしくは喫煙を有する被験者。
【0213】
研究被験者の特性のまとめが下記の表2に示される。
【表2】

【0214】
過敏性皮膚における皮膚科学的試験のための研究被験者-合計で50名の被験者(6名の男性および44名の女性)が試験を完了した:22名の被験者が18歳?35歳の範囲であり、11名の被験者が36歳?45歳の範囲であり、17名の被験者は46歳?65歳の範囲であった。
【0215】
研究期間中での関連した処置-水が、パッチ適用期間中、試験部位には当てられなかった;皮膚を改変する可能性のある全身的または局所的な処置は許可されなかった;洗浄用製品を含めて、皮膚医薬品または化粧用製品の使用は、評価中の帯域に対しては許可されなかった。
【0216】
パッチ調製物-低アレルギー誘発性試験のために、2mgの本発明のLIPクリームがCuratest(登録商標)F接着性細片(Lohmann&Rauscher International GmbH&Co.KG、Rengsdort)に置かれた。皮膚科学的試験および感受性皮膚試験のために、各パッチはCuratest(登録商標)F接着性細片において0.07グラム?0.1グラムのLIPクリームを含んだ。
【0217】
Draize反復傷害パッチ試験が、本質的には、J.H.Draizeによって「Appraisal of the Safety of Chemicals in Foods,Drugs and Cosmetics(食品、薬物および化粧品における化学物質の安全性の評価)」(これはthe Association of Food and Drug Officials of the United Statesによって刊行された)に記載されるように行われた。
【0218】
誘導期-パッチが指定の接触部位に適用され、24時間にわたって置かれたままにされた。この期間が終了したとき、パッチは除かれ、部位が何らかの皮膚応答について調べられた。研究被験者は24時間休息し、その後で、皮膚部位が再び調べられた。その後、パッチが、以前に使用されたのと同じ部位に適用された。2回目の適用は最初と同一であり、24時間にわたって置かれたままにされた。この手順が9回繰り返された。研究被験者は、次の適用の前に、部位を何らかの皮膚応答について調べ、その観察結果を報告した。同じ部位が研究期間中を通して使用された。それぞれの適用は、the Institute of Skin Research(Tel Aviv、イスラエル)のスタッフによって取り付けおよび除去が行われた。品質管理者により、研究プロトコルに対する順守がモニターされた。
【0219】
攻撃期-9回目の適用の後、2週間の休息期間が置かれ、その後、攻撃塗布物が、誘導期の期間中に使用された同じ様式で、かつ同じ部位に加えられた。攻撃塗布物は24時間後に除かれ、部位が、刺激または過敏化の徴候について調べられ、採点された。追跡試験が、負荷塗布後48時間(パッチ除去後24時間)、ならびに除去後の48時間および72時間において行われた。
【0220】
採点基準-誘導試験および攻撃試験の結果は、下記の基準を使用して採点された:「0」=反応が認められない;「?」=疑わしい反応、すなわち、かすかで、極微の紅斑、ただし、浸潤なし;「1」=弱い陽性反応、すなわち、紅斑、浸潤、ただし、離れた斑丘疹はない;「2」=強い陽性反応、すなわち、紅斑、浸潤、斑丘疹、離れた小水疱;「3」=特に大きい陽性反応、すなわち、極めて強い紅斑、浸潤、合体した小水疱/水疱性反応;「IR」=刺激反応、すなわち、浸潤を伴わない離れた紅斑/斑点状小胞状紅斑/出血性膿疱および小胞状膿疱;「NT」=試験されず。
【0221】
皮膚科学的試験の結果
低アレルギー誘発性試験-この試験では、LIPクリームを含有するパッチの適用に対する反応が、パッチ除去の20分後、24時間後および48時間後に記録された。本明細書中下記の表3に示されるように、50名の研究被験者全員において、LIPクリームに対する皮膚反応は認められなかった。
【表3】

【0222】
LIPクリームを用いた正常な皮膚の過敏化攻撃試験は皮膚反応を何ら生じさせなかった-LIPクリームがパッチ内に挿入され、Draize反復傷害パッチ試験が50名の健康な志願者に対して行われた。それぞれのパッチ適用の後、皮膚反応が、本明細書中上記の方法の節に記載される採点基準を使用して記録された。本明細書中下記の表4に示されるように、50名の志願者全員において、皮膚反応は、誘導期の9回すべてのクリーム塗布の期間中、ならびに攻撃期の最後の適用の後において認められなかった。
【表4】

【0223】
過敏性皮膚における皮膚科学的試験-LIPクリームの過敏化性質をさらに特徴づけるために、刺激パッチ試験が、過敏性皮膚の50名の健康な志願者に対して行われた。予備試験において、11名の被験者は、様々な程度の刺すような痛みを有することが見出された;2名は重症の過敏性皮膚を有し、8名は中程度の過敏性皮膚を有し、1名はわずかに過敏性の皮膚を有した。LIPクリームを含む刺激用パッチが志願者の背中に48時間にわたって置かれた。試験領域が、1時間後、24時間後および48時間後に調べられた。皮膚反応が50名の志願者のいずれにも存在しないことが見出された。
【0224】
これらの結果では、正常な皮膚および過敏性の皮膚におけるLIPクリームに対する低アレルギー誘発性反応および刺激性反応が認められない。そのうえ、反復傷害パッチ試験の結果から、安全な化粧用組成物としてのLIPクリームの使用がさらに示唆される。
【0225】
(実施例7)
LIPクリームは皮膚色素沈着を白化することにおいて非常に効率的である
皮膚白化におけるLIPクリームの効果が二重盲検研究で先行技術でのクリームと比較された。
【0226】
研究設計
研究被験者-この研究では、疾患を有さず、皮膚疾患またはアトピー性疾患(喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎)の病歴を有さず、また、試験中の物質のいずれか、および化粧用調製物の成分のいずれかに対する知られている過敏性を有さないアジア系の18歳?65歳の12名の健康な男性および女性が含まれた。研究では、全身的または局所的な処置のための、抗炎症性薬物、抗ヒスタミン剤またはコルチコステロイドによる処置を受けている候補者は、その処置が、研究に登録する前に、全身的処置の場合には2週間、局所的処置の場合には3日中断されない限り、除かれた。妊婦および母乳授乳中の女性だけでなく、診断または処置の任意の段階にあるガン、腎臓疾患または肝臓疾患を有する場合もまた、研究候補者から除かれた。
【0227】
研究プロトコル-研究では、それぞれが一方の上部前腕に二重盲検様式で塗布される2つのタイプのクリームが含まれた:有効成分としてLIPを含む本発明の白化クリーム、および市販されている製品(2%ヒドロキノン、Esomed Medibrands(イスラエル))。これらのクリームは1日に2回(すなわち、午前および夕方)に塗布された。前腕の下側部分は未処置のままであった。研究被験者は、研究の開始時(0週)、ならびに、クリーム塗布の1週間後、2週間後および3週間後に、the Institute of Skin Research(Tel Aviv、イスラエル)のスタッフによって調べられた。それぞれの検査において、皮膚色素沈着および副作用が記録された。
【0228】
皮膚色素沈着の評価-皮膚色素沈着が、Derma Spectrometer(Cortex Technology(デンマーク))、同じ距離および光露光を使用して撮影されたカラー写真、Brenner博士(皮膚科学学部長(Souraski Medical Center(Tel Aviv、イスラエル)))によって行われる目視検査を使用して評価された。
【0229】
研究結果
LIPクリームは3週間の適用の後で皮膚色素沈着を低下させた-皮膚白化におけるLIPクリームの効果を評価するために、LIPクリームが12名の健康な志願者の右腕の上部部分に1日に2回塗布された。2名の研究被験者の代表的な写真を含む図11a?図11bおよび図13a?図13bに示されるように、3週間のクリーム塗布の後、右前腕の上部部分は、クリーム塗布前よりもはるかに白くなっているようであった。
【0230】
LIPクリームはヒドロキノンクリームよりも皮膚白化において効率的である-皮膚色素沈着を軽減することにおけるLIPクリームの効果が、2%ヒドロキノンの効果と比較された。21日間のクリーム塗布の後、研究被験者番号1のLIP処置領域の色素沈着は3.33単位ほど低下していた(図12aの青色カラムおよび図12cの青色曲線)。他方で、同じ前腕における非処置領域の色素沈着は1.13単位ほど低下していた(図12aの明青色カラム)。他方で、ヒドロキノンクリームを使用した21日間の処置の後では、処置された領域の色素沈着はわずかに1単位だけ低下していた(図12bのピンク色カラムおよび図12cのピンク色曲線)。類似する効果が、図14a?図14cに示されるように、他の研究被験者において観測された。12名すべての研究被験者から得られた結果がまとめられたとき、皮膚色素沈着における平均低下は、LIP処置の前腕およびヒドロキノン処置の前腕において、それぞれ1.57単位(図15a、青色曲線)および1.49単位(図15a、ピンク色曲線)であることが見出された。そのうえ、皮膚色素沈着の低下が初期の皮膚色素沈着に対して正規化されたとき、皮膚色素沈着の平均低下は、LIP処置の前腕およびヒドロキノン処置の前腕において、それぞれ4.3%(図15b、青色曲線)および3.8%(図15b、ピンク色曲線)であった。
【0231】
まとめると、これらの結果は、LIPクリームが、皮膚色素沈着を低下させることにおける非常に効率的であることを明らかにしている。そのうえ、これらの結果は、LIPクリームの相対的な白化効果が、2%ヒドロキノンクリームを使用して観測された相対的な白化効果よりも大きいことを示唆している。
【0232】
本発明のいくつかの特定の特徴が、明確化のために、別個の実施形態に関連して記載されているが、これらの特徴はまた、1つの実施形態において組合せで提供され得ることが理解される。逆に、本発明の様々な特徴が、簡略化のために、1つの実施形態に関連して記載されているが、これらの特徴はまた、別個に提供され得るか、または任意の好適な部分的組合せで提供され得る。
【0233】
本発明を、その具体的実施態様とともに説明してきたが、多くの変形と変更が当業技術者には明らかであることは明白である。したがって、本発明は、本願の特許請求の範囲の精神と広い範囲内に入っているこのような変形と変更をすべて含むものである。本明細書に記載のすべての刊行物、特許、特許願、及びそれらのアセッション番号によって同定される配列は、あたかも、個々の刊行物、特許、特許願又はそれらのアセッション番号によって同定される配列各々が、本願に具体的にかつ個々に参照して示されているように、本願に援用するものである。さらに、本願における任意の文献の引用もしくは確認は、このような文献が本発明に対する従来技術として利用できるという自白とみなすべきではない。


【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】Alalufら(2001)から採用された哺乳動物メラニンの生合成の先行技術での概略図である。
【図2】ポリウレタンフォームに固定化されたファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochate chrysosporium)によるリグニンペルオキシダーゼの製造のための撹拌型タンク反応槽(STR)を例示する。
【図3】培養時間を関数とするP.chrysosporiumの発酵装置培養物におけるLIP活性を例示する。
【図4】50mM酒石酸塩緩衝液(pH3.5)における1.5mMのベラトリルアルコールの存在下での過酸化水素の増大する濃度の関数としてのLIP(0.48μM)による70.5μg/mlの初期濃度でのメラニンの酸化を例示する。
【図5】LIPによるメラニンの酸化に対する過酸化水素の増大する濃度の影響を例示する。
【図6】ベラトリルアルコール(1.5mM)および過酸化水素(600μM)の存在下での50mM酒石酸塩緩衝液(pH3.5)におけるLIP(0.48μM)による種々の濃度のメラニンの酸化の程度を例示する。
【図7】LIP濃度の関数としてのメラニン酸化の程度を例示する。
【図8】図8a?図8bは、クリーム配合物で使用されたときのLIPによるメラニン酸化の可視化を例示する。
【図9】図9a?図9bは、皮膚の白化に対するLIPクリームの効果を例示する。
【図10】インビボでの毛髪漂白に対するLIPの効果を例示する。
【図11】図11a?図11bは、皮膚浸透に対するLIP白化クリームの効果を例示する研究被験者番号1の右前腕のカラー写真である。
【図12a-b】図12a?図12bは、研究被験者番号1における皮膚白化に対するLIPクリームまたはヒドロキノンクリームの効果を例示する。
【図12c】図12cは、LIPクリーム(図12c、青色線)またはヒドロキノンクリーム(図12c、ピンク色線)を使用する処置の21日後における上部前腕における皮膚色素沈着の低下を比較する線グラフである。
【図13】図13a?図13bは、皮膚色素沈着に対するLIP白化クリームの効果を例示する研究被験者番号10の右前腕のカラー写真である。
【図14a-b】図14a?図14bは、研究被験者番号10における皮膚白化に対するLIPクリームまたはヒドロキノンクリームの効果を例示する。
【図14c】図14cは、LIPクリーム(図14c、青色線)またはヒドロキノンクリーム(図14c、ピンク色線)を使用する処置の21日後における上部前腕における皮膚色素沈着の低下を比較する線グラフである。
【図15】図15a?図15bは、全12名の研究被験者における皮膚白化に対するLIPクリームおよびヒドロキノンクリームの平均効果を例示する線グラフである。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の皮膚領域または毛髪を明色化するための化粧用組成物であって、1?100U/gの濃度の少なくとも1つのタイプのリグニンペルオキシダーゼ酵素と、ベラトリルアルコールと、化粧用として許容され得るキャリアとをpH4以下で含む化粧用組成物。
【請求項2】
前記リグニンペルオキシダーゼは、クロマトグラフィーによって精製されたイソ酵素H1、またはクロマトグラフィーによって精製された、改変された形態のイソ酵素H2である請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、ブチレングリコールが含まれる請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、アルカノールアミンが含まれる請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記ベラトリルアルコールは少なくとも0.05%の濃度で提供される請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
皮膚領域または毛髪を明色化するためのキットであって、1?100U/gの濃度のリグニンペルオキシダーゼ酵素及びベラトリルアルコールをpH4以下で含む第1の容器と、電子受容体としての過酸化水素を含む第2の容器とを含むキット。
【請求項7】
前記リグニンペルオキシダーゼは、クロマトグラフィーによって精製されたイソ酵素H1、またはクロマトグラフィーによって精製された、改変された形態のイソ酵素H2である請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記ベラトリルアルコールは少なくとも0.05%の濃度で提供される請求項6に記載のキット。
【請求項9】
前記過酸化水素は少なくとも0.005%の濃度で提供される請求項6に記載のキット。
【請求項10】
前記第1の容器および/または第2の容器は、表皮浸透のために好適な化粧用として許容され得るキャリアをさらに含む請求項6に記載のキット。
【請求項11】
前記第1の容器および/または第2の容器は、毛髪浸透のために好適な化粧用として許容され得るキャリアをさらに含む請求項6に記載のキット。
【請求項12】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、ブチレングリコールが含まれる請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項13】
前記化粧用として許容され得るキャリアには、アルカノールアミンが含まれる請求項11に記載のキット。
【請求項14】
包装材と、対象の皮膚領域または毛髪を明色化するために同定された、前記包装材に含有される化粧用組成物とを含む製品であって、前記化粧用組成物は、有効成分としての1?100U/gの濃度のリグニンペルオキシダーゼ酵素と、ベラトリルアルコールと、化粧用として許容され得るキャリアとをpH4以下で含む製品。
【請求項15】
前記リグニンペルオキシダーゼは、クロマトグラフィーによって精製されたイソ酵素H1、またはクロマトグラフィーによって精製された、改変された形態のイソ酵素H2である請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記化粧用として許容され得るキャリアは、表皮または毛髪浸透のために好適な組成物を含む請求項14に記載の製品。
【請求項17】
前記リグニンペルオキシダーゼがファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)菌のものである請求項1に記載の化粧用組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-03-30 
出願番号 特願2004-558336(P2004-558336)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (A61K)
P 1 41・ 853- Y (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 八次 大二朗小川 知宏  
特許庁審判長 川上 美秀
特許庁審判官 郡山 順
秋月 美紀子
登録日 2011-02-04 
登録番号 特許第4676202号(P4676202)
発明の名称 リグニンペルオキシオダーゼの製造方法ならびに皮膚および毛髪の明色化におけるその使用  
代理人 風早 信昭  
代理人 風早 信昭  

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