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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1255410
審判番号 不服2010-11697  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-01 
確定日 2012-04-12 
事件の表示 特願2004- 99265「情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月13日出願公開,特開2005-284827〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 本願は,平成16年3月30日の出願であって,その請求項1ないし5に係る発明は,平成21年12月21日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
これに対して,平成23年11月11日付けで,下記のとおり,拒絶理由を通知し,期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,請求人からは何らの応答もない。
そして,上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので,本願は,この拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。


・平成23年11月11日付けの拒絶理由通知に記載した理由は,以下のとおり。

第1 手続の経緯
本願は,平成16年3月30日の出願であって,平成21年10月14日付けの拒絶理由通知に対し,同年12月21日付けで手続補正がなされたが,平成22年2月24日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年6月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成22年6月1日付の手続補正について
本拒絶理由通知書と同日付けの補正の却下の決定により,平成22年6月1日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は却下されることとなった。
その理由は,以下のとおり。
[理由]
1 補正後の本願発明
(1)本件補正後の請求項1に係る発明は,次のとおりである。(下線部は,補正箇所。)
「【請求項1】
ライセンス料がそれぞれ課された複数の機能を有するソフトウェアが少なくとも一つプレインストールされ,当該機能の使用有無が選択可能な情報処理装置において,
プレインストールされ,該複数の機能を搭載したソフトウェアを記憶するソフトウェア記憶部と,
ネットワークを介して,該複数の機能の中から選択された機能を示すユーザ選択情報を該複数の機能に対するライセンス料を管理するサーバに送信するネットワーク通信部と,
該ネットワーク通信部が該サーバへユーザ選択情報を送信後,該サーバから受信した前記選択された機能のライセンス料金額を表示する表示部と,
前記選択された機能を利用しない旨のユーザ指示があった場合に該選択された機能を有効にする処理を行わず,かつ該サーバに該選択された機能に対するライセンス料の課金処理を行わせず,前記選択された機能を利用する旨のユーザ指示があった場合には該ソフトウェアにおける該選択された機能を実行可能にすると共に,該サーバに該選択された機能に対するライセンス料の課金処理を行わせる機能選択処理部と,
を有することを特徴とする情報処理装置。」
(2)本件補正は,「選択された機能を利用しない指示」及び「選択された機能を利用する指示」を「選択された機能を利用しない旨のユーザ指示」及び「選択された機能を利用する旨のユーザ指示」に補正するものであり,補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について限定を付加するものであって,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「平成18年改正前特許法」という。)17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(同法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。
2 補正の適否
(1)引用例
・引用例1:特開2003-29861号公報
引用例1には,アプリケーションプログラム(ソフトウェア)がインストールされた利用者コンピュータとサーバ装置とを通信手段により接続し,利用者コンピュータからサーバ装置に,利用制限されている機能について機能単位で指定される利用要求を送信すると,サーバ装置において課金処理が行われるとともに指定された機能を利用可能とする情報処理装置が記載されている。
・引用例2:特開2002-202876号公報
引用例2(【0012】,【0046】?【0054】,図5参照)には,ネットワークを用いたソフトウェアの課金システムにおいて,ユーザがサーバにソフトウェアの購入要求を送信すると,サーバからソフトウェアの購入金額とともに,選択されたソフトウェアを購入するか否かをユーザに確認する画面を表示する情報が送信され,ユーザ指示に基づいて,課金処理等を行うか否かを決定する技術が記載されている。
・引用例3:特開2000-242493号公報
引用例3(【0029】?【0035】参照)には,プレインストールされた複数のソフトウェアの中からユーザが選択したソフトウェアを実行可能とした後,再選択可能とすることが記載されている。
(2)対比・判断
ア 本願補正発明と引用例1に記載された発明とを対比すると,両者は,次の点で相違する。
[相違点1]本願補正発明は,「ネットワーク通信部がサーバへユーザ選択情報を送信後,サーバから受信した選択された機能のライセンス料金額を表示」する点
[相違点2]本願補正発明は,「選択された機能を利用しない旨のユーザ指示があった場合に該選択された機能を有効にする処理を行わず,かつ該サーバに該選択された機能に対するライセンス料の課金処理を行わせず,前記選択された機能を利用する旨のユーザ指示があった場合には該ソフトウェアにおける該選択された機能を実行可能にすると共に,該サーバに該選択された機能に対するライセンス料の課金処理を行わせる機能選択処理部」を有する点
イ 相違点について
相違点1,2に係る構成は,引用例2に記載されており,引用例1に記載された発明における,指定された機能を利用可能とする処理及び課金処理として,引用例2に記載された技術を採用することは,当業者が容易に想到し得たものである。
また,各相違点に係る構成としたことによる作用効果は,各引用例に記載された事項から当然に予想し得ることである。
したがって,本願補正発明は,引用例1ないし3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 むすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成22年6月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成21年12月21日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載されたとおりのものである。
2 引用例
上記第2[理由]2(1)のとおり。
3 対比・判断
(1)請求項1
請求項1の発明は,前記第2で検討した本願補正発明から限定事項を省いたものであるから,上記第2の2と同様に,引用例1ないし3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)請求項2
請求項2の発明は,請求項1の発明の構成に,「前記機能選択処理部は,前記ソフトウェアの中から前記選択された機能を実行可能とした後,ソフトウェアの中から機能の利用有無が選択されたときに,前記実行可能にした前記選択された機能を利用しないと選択された場合,該機能を実行不可能とする」との構成を付加するものである。なお,「機能を利用しないと選択された場合」との発明特定事項について,明細書には,「機能を利用しないと選択」することは明示されていないが,【0039】ないし【0043】の記載の趣旨から,「機能が選択されなかった場合」と解釈した。
プレインストールされた複数のソフトウェアの中からユーザが選択したソフトウェアを実行可能とした後,再選択可能とすることは,引用例3(特に,【0033】参照)に記載されており,その際,再選択時に選択されなかったソフトウェア(機能)を実行不可能とすることは,当業者が適宜なし得る設計事項である。引用例1に記載された発明において,引用例3に記載された技術を採用することは,当業者が容易に想到し得たものである。
したがって,請求項2の発明は,引用例1ないし3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお,請求項2の発明は,選択された機能を実行可能とした後,すなわち,既に課金処理がなされた後,当該選択した機能を実行不可能にするものと解されるところ,「ユーザは当初選択した機能を容易に選択し直すことができ,安価な値段で情報処理装置を利用することが可能である。」(【0043】)との効果と整合しない。
(3)請求項3ないし5
請求項3ないし5に係る発明についても,上記(1)と同様の理由により,引用例1ないし3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1ないし5に係る発明は,引用例1ないし3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
 
審理終結日 2012-02-08 
結審通知日 2012-02-14 
審決日 2012-02-27 
出願番号 特願2004-99265(P2004-99265)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩崎 志保  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 殿川 雅也
酒井 伸芳
発明の名称 情報処理装置  
代理人 横山 淳一  

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