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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A47C
審判 全部無効 発明同一  A47C
管理番号 1256636
審判番号 無効2010-800176  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-09-30 
確定日 2012-04-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4475490号「椅子」の特許無効審判事件についてされた平成23年 5月 2日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の決定(平成23年行ケ第10187号平成23年9月15日決定言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
平成13年 6月27日 出願(特願2001-195601号)
平成22年 3月19日 設定登録(特許第4475490号)
同年 9月30日 本件無効審判請求
同年12月17日 答弁書提出(被請求人)
平成23年 2月14日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
同年 3月 1日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
同年 3月 4日 上申書提出(請求人)
同年 3月14日 上申書提出(被請求人)
同年 4月 5日 口頭審理
同年 5月 2日 審決(請求成立)
同年 6月14日 審決取消訴訟の提起
(平成23年(行ケ)第10187号)
同年 8月22日 訂正審判請求
(訂正2011-390099号)
同年 9月15日 審決取消の決定(差戻し決定)
同年 9月28日 訂正請求のための期間指定通知
同年10月31日 訂正請求(被請求人)
同年12月28日 弁駁書提出(請求人)
平成24年 2月10日 答弁書提出(被請求人)

第2.訂正について
1.訂正の内容
平成23年10月31日になされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という)は、特許第4475490号の明細書(以下「特許明細書」という)を、訂正2011-390099号の請求書に添付された全文訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであって、次の訂正事項からなる。

(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1において、
「ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
前側のリンク要素が、一端を支基の前方に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであるとともに、
前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、
その固定機構を操作するレバーを、座部に手をつき、前記レバーに指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を行うことができるように、該座部の側端部に設けたレバー保持部に取り付けられて該座部と共に一体的に前後移動し得る位置に設けていることを特徴とする椅子。」を
「ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
前側のリンク要素が、一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるものであり、
前記ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、
前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、
その固定機構を操作するレバーを、座部に手をつき、前記レバーに指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を行うことができるように、該座部の側端部に設けたレバー保持部に取り付けられて該座部と共に一体的に前後移動し得る位置に設けていることを特徴とする椅子。」
と訂正する(下線は被請求人による。)。

(2)訂正事項b
明細書の段落【0006】において、
「すなわち、本発明の椅子は、ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、前側のリンク要素が、一端を支基の前方に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであるとともに、前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、その固定機構を操作するレバーを、座部に手をつき、前記レバーに指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を行うことができるように、該座部の側端部に設けたレバー保持部に取り付けられて該座部と共に一体的に前後移動し得る位置に設けていることを特徴とする。」を
「すなわち、本発明の椅子は、ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、前側のリンク要素が、一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるものであり、前記ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、その固定機構を操作するレバーを、座部に手をつき、前記レバーに指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を行うことができるように、該座部の側端部に設けたレバー保持部に取り付けられて該座部と共に一体的に前後移動し得る位置に設けていることを特徴とする。」
と訂正する(下線は被請求人による。)。

2.訂正の適否についての検討
(1)訂正事項aについて
(1-1)目的要件、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項aは、訂正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前側のリンク要素」について、「一端を支基の前方に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたもの」を「一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるもの」と限定するとともに、「ロッキング機構」について、「背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものである」との発明特定事項を追加することにより、請求項1に係る発明の構成に限定を付すものである(下線は当審にて付与。以下同様。)。
よって、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

(1-2)新規事項の有無
特許明細書等には、以下の事項が記載されている。
a)「一方、ロッキング機構Qは、ベース脚2に取り付けた支基3と、座部6を支持する座受4と、これら支基3と座受4との間を連結するリンク要素7a、7bとからなる不等辺の四辺リンク機構を主体とし、これにリンク要素7aを適宜位置に固定するガススプリング31を付帯させて構成されている。本発明の座Zは、これら座部6と座受4によって構成されるものである。」(段落【0019】)

b)「座受4は、前記座部6のシェル61を支持すべく、アルミなどの金属部材によって面状に成形されたもので、この座受4の左右両側部に、肘桿9を取り付けるための肘桿取付部44(図7参照)を設けている。
リンク要素7aは、一端を支基3の前方に回転軸30を介して回転可能に取り付け、他端を座受4の前方裏面に支軸74を介して回転可能に取り付けた板状のものである。
リンク要素7bは、一端を支基3の斜辺中央部に設けた前記トーションバー70の回転軸に固定し、他端を座受4の後端側に設けた回転軸79に回転可能に連結したもので、通常、このリンク要素7bには上述した背もたれ下部フレーム50及び背もたれ上部フレーム55が回転軸72回りの回転機能を停止させられた状態で一体的に固定され、リンク要素7bと共にトーションバー70の回転軸回りに回転し得るものである。」(段落【0021】-【0023】)

c)図1、5等を参酌すると、前側のリンク要素(7a)は、支基(3)の前端に取り付けられるとともに、背もたれ部(5)が後傾していない状態では側面視において略直立していることが看てとれる。

d)図5を参酌すると、背もたれ部(5)(背もたれ上部フレーム(55))の後傾に伴って、後側のリンク要素(7b)が後傾するとともに、座部(6)の後端側が沈み込むように動作することが看てとれる。

e)前記b)の記載から、後側のリンク要素(7b)は、座受(4)の後端側に回転軸(79)を介して連結されていることから、後側のリンク要素(7b)が後傾した際には、座受(4)は後ろ側に移動しながらその後端側が沈み込むように動作することは明らかであり、また、前側のリンク要素(7a)は、他端が座受(4)の前方に支軸(74)を介して取り付けられていることから、座受(4)が後ろ側に移動すると、前側のリンク要素(7a)の他端、つまり、上端が後ろ側に移動するように回動し、結果的に、前側のリンク要素(7a)が後傾した状態に変位することは明らかである。

前記a)?e)を総合すると、訂正事項aは、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。

(2)訂正事項bについて
訂正事項bは、特許請求の範囲の訂正に伴い、発明の詳細な説明中の対応する箇所を整合させるものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項aと同様の理由で、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。

(3)なお、請求人は、弁駁書において、訂正事項a、bは、専ら図面を根拠にするもので、明細書に具体的な文言としては記載されていないし、技術思想としての開示もされていないものであるから、新規事項を追加するものであり、適法な特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないとして、次のように主張している。

a)請求人は、「被請求人が訂正の原因において述べる「通常の状態」は訂正事項a、bの訂正文言にはなく、被請求人がどのような状態を意味しているのか不明である。図面に示されている前側のリンク要素は全て、背もたれが後傾しているか否かを問わず、「略直立した状態」である。」(弁駁書第4頁第11?15行。)、「訂正事項a、bにおいて追加された「背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるものであり、」という事項は、図面には一切記載がない。前記のように前側のリンク要素は、全て被請求人の言う「略直立した状態」であり、「後傾した状態」を示す図面は存在しない。」(弁駁書第4頁第24?29行。)および「図1の側面図の椅子の作用を説明する図4乃至6のすべての作用説明図において、背もたれ部5の動作については二点鎖線で示されているにもかかわらず、前側のリンク要素7aはすべて実線であり、前側のリンク要素7aについては側面視における状態の変化についての記載が一切存在しない。」(弁駁書第6頁第30行?第7頁第1行。)と主張している。
しかし、訂正事項には「背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるもの」と記載されていることから、被請求人が訂正の原因において述べる「通常の状態」とは、「背もたれ部が後傾した」状態と対応関係にある、背もたれ部が後傾していない状態であることは明らかである。
また、特許明細書における図面は設計図ではないので、その構成の一部を簡略化して示すこともあることから、「前側のリンク要素」が「後傾した状態」を示す図面が存在しないからと言って、「前側のリンク要素」が後傾しないとはいえない。

b)また、「そもそも、段落【0026】や図6に示されるように、後側のリンク要素7bは背もたれ上部フレーム55に固定されるとは限らない。訂正事項a、bは、後側のリンク要素7bが背もたれ上部フレーム55に固定されているという条件を記載していないため、段落【0026】の記載に整合せず、この点で新規事項の追加に当たる。また、上記の訂正は従前の明細書の記載に整合しない事項を特許請求の範囲に加えようとするものであり、訂正事項a、bは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとなり(特許法第134条の2第5項の準用する第126条第4項)、この点においても訂正要件を満たさない。」(弁駁書第5頁第31行?第6頁第7行。)とも主張している。
しかし、特許明細書の段落【0029】に「レバー43aは図4に示すように座部6を昇降させるためのものであり、レバー43bは図6に示すように背もたれ下部フレーム50のみを後傾させるものであり、レバー43cは図5に示すように座部6及び背もたれ上部フレーム55,背もたれ下部フレーム50全体を連動させてロッキングさせるためのものである。なお、背もたれ上部フレーム55のみの傾動は、非ロッキング時においてのみ可能であり、かつレバー操作なしで行うことができるものである。」と記載されているように、段落【0026】や図6に示されるものは、ロッキングの状態を説明するものではい。(図5のみがロッキングの状態を説明するものである。)
また、特許明細書の段落【0023】に「・・・通常、このリンク要素7bには上述した背もたれ下部フレーム50及び背もたれ上部フレーム55が回転軸72回りの回転機能を停止させられた状態で一体的に固定され、リンク要素7bと共にトーションバー70の回転軸回りに回転し得るものである。」と記載されているように、通常は後側のリンク要素7bは背もたれ上部フレーム55に固定されている。

c)次に、「審決が引用する文献3乃至5、周知である・・・からも理解され、被請求人も自ら主張するとおり、ひとくちにリンクを有するロッキング機構といっても、その構成は多種多様である。
現に、文献3においては、背もたれ2が後傾した際に、被請求人も指摘するとおり、前連結部材(前リンク)6は側面視前傾した状態となり、また、特表平5-509237号公報においては、側面視略直立した状態となっている。」(弁駁書第6頁第17?25行。)とも主張している。
しかし、文献3や特表平5-509237号公報に示されたリンクの構成は、本願の請求項1に係る発明のリンクの構成と異なることから、それぞれ異なる動作をするのは当然のことである。

d)更に、「図5には、背もたれ部5の二点鎖線は示されているが、座受4は実線で記載されているのであり、図5の座受4の二点鎖線は存在しない。・・・図5は、背もたれの後傾についての作用説明図に過ぎないため、そこから座受の動作の技術思想を読み取ることはできないし、座受4の二点鎖線がないことからも明らかなように、座受についてはその動作に関する技術思想など明細書にも図面にも何ら記載がないのである。
明細書及び図面には、座受の動作に関する技術思想の記載は存在しないことは明らかであり、存在しない技術思想を訂正により発明として付加することは許されず、訂正内容は、新規事項の追加を含むものであって、適法な訂正ではない。」(弁駁書第7頁第19行?第8頁第8行。)とも主張している。
しかし、段落【0029】等にも記載されているように、「ロッキング」時には、座部6及び背もたれ上部フレーム55、背もたれ下部フレーム50全体を連動させることから、「ロッキング」という技術思想には「座部」の動作も含まれる。また、図5は「ロッキング」の作用説明図であり、図5から、座部(6)の後端側が沈み込むように変位することが看てとれる。そして、座受(4)は座部(6)を支持するものであるから、座部(6)とともに座受(4)も変位することは明らかである。

e)最後に、「本件特許発明は、その明細書の【発明の属する技術分野】に記載されているように本来、「座部を座受に対し前後移動可能とされた椅子に係」るものであり、・・・ロッキング機構に関しては周知のものを前提としており、その構成に関して格別の意味はなく、明細書では説明されていない。」(弁駁書第8頁第18?23行。)および「ところが被請求人は、このロッキング機構を中心に訂正をした結果、開示の根拠を図面に頼らざるを得ないという結果を招来しているのである。しかしながら、本件訂正の内容は、技術思想としては、明細書にも、被請求人が依拠する図面にも、何ら開示されていないのである。被請求人は、具体的に明細書及び図面に全く記載のない事項を、図面から推測して、しかも不明瞭な文言で訂正しているが、そもそもこのような訂正は新規事項を追加するものとして認められるべきではないのである。」(弁駁書第9頁第15?22行。)とも主張している。
しかし、「ロッキング機構」に関しては、特許明細書等の段落【0019】、【0022】-【0024】および図5に、その具体的な構成が開示されているとともに、訂正事項は、当該開示された内容から一義的に導き出せるものであるといえる。

そして、前記「(1-2)新規事項の有無」において既に述べたように、特許明細書等に記載した事項から、前側のリンク要素は、背もたれ部が後傾した際に、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるとともに、ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、座受の後端側を沈み込ませるように動作することは明らかである。

よって、前記請求人の主張は採用されない。

3.まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項で準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合する。

よって、本件訂正請求に係る訂正を認める。

第3.本件発明
本件訂正請求による本件特許明細書の訂正は、前記のとおり認められたので、本件特許の各請求項に係る発明は、前記全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される次のとおりのものにあると認められる。

「【請求項1】
ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
前側のリンク要素が、一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるものであり、
前記ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、
前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、
その固定機構を操作するレバーを、座部に手をつき、前記レバーに指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を行うことができるように、該座部の側端部に設けたレバー保持部に取り付けられて該座部と共に一体的に前後移動し得る位置に設けていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
座受に対する座部の前後移動動作が、前記座部についた手から与えられる操作力によって生じるものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記レバーが、非操作時に略水平な姿勢をとるものである請求項1又は2記載の椅子。」(以下、請求項1?3に係る発明を、それぞれ「本件発明1?3」という。)

第4.当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、審判請求書において、「特許第4475490号の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めており、平成23年2月14日付けの口頭審理陳述要領書及び平成23年12月28日付けの弁駁書も併せると、請求人の主張は概略次の(1)?(5)のとおりである。

(1)無効理由(特許法第29条の2)
本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許の出願の日前に他者により出願され、本件特許の出願後に公開された甲第1号証の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、特許法第29条の2の規定に該当し、特許を受けることができないものである。

(2)無効理由(特許法第29条第2項)
本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許出願前に公開された甲第2号証に基づき、もしくは甲第2号証と甲第3号証とを組み合わせれば、当業者が容易に想到し得たものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができないものである。

(3)本件特許の請求項3に係る発明に対する無効理由(特許法第29条の2)について、特許法第29条の2の規定に該当するとの主張を撤回する。(口頭審理陳述要領書第8頁第19?23行。)

(4)仮に本件訂正が認められても、訂正後発明は訂正前発明と実質的に同一であり、訂正後発明は訂正前発明と同様の理由で特許要件を満たさない。

(5)本件発明のロッキング機構を有する椅子の公知文献は多数存在し、また、シートスライド機構を有する椅子は多数存在する。訂正事項a、bに記載されたロッキング機構についても、たとえば、文献4、WO00/22961号公報(項第4号証)に全て開示され周知である。よって、仮に訂正が認められても、訂正後の請求項は無効とすべきものである。

〈証拠方法〉
甲第1号証: 特開2001-186954号公報
甲第2号証: 特表平11-506663号公報
甲第3号証: 特開平8-308678号公報
甲第4号証: WO00/22961号公報

甲第1号証ないし甲第3号証は審判請求書とともに、甲第4号証は平成23年12月28日付け弁駁書とともに、それぞれ提出されたものである。

2.被請求人の主張
被請求人は、平成22年12月17日付け答弁書において、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、平成23年10月31日付けで明細書の訂正を請求している。平成23年3月1日付けの口頭審理陳述要領書、平成24年2月10日付け答弁書も併せると、被請求人の主張は、概略次のとおりである。

(1)本件特許の請求項1?3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、特許法第29条の2に該当しない。

(2)本件特許の請求項1?3に係る発明は、甲第2号証及び甲第3号証に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項に該当しない。

(3)甲第4号証が訂正事項a、bに記載されたロッキング機構を開示しているとしたとしても、訂正事項a、bを記載した文献は一つしか示されておらず、これのみをもって、訂正事項a、bに記載されたロッキング機構が周知技術であるということはできない。また、訂正後の本件発明の構成によれば、前側のリンク要素に手を挟む可能性はなく、本件発明の構成によって、先願発明にはない効果がもたらされることが明確となった。したがって、先願発明の長孔を用いた三辺リンク機構を本件発明のロッキング機構に置き換えることは周知技術の転換ではなく、甲第4号証に関わらず、本件発明は、特許法29条の2に該当しない。

(4)甲第4号証に記載されたロッキング機構が周知であるから甲第2号証、甲第3号証の発明に組み合わせ可能であると主張しているともとれるが、甲第2号証または甲第3号証の発明に甲第4号証の発明を適用する示唆や動機付けは一切ないから、甲第2?4号証の発明に基づいて容易想到であるということはできない。

(5)甲第2号証の発明は、「本発明は、複雑なリンク機構の必要なしに二つの摺動部材を使用することによって同期傾斜機構を単純化させた点において、他の同期傾斜機構に対して著しい効果を提供する」ものである。甲第2号証の発明にリンク機構を適用することは甲第2号証の発明の目的に正面から反するものであり、そのような構成を採用すると、甲第2号証の発明の目的を実現することができなくなるものであるから、甲第2号証の発明に甲第3号証に記載されたリンク機構を採用することには、積極的な阻害要因がある。このことは、甲第2号証の発明に甲第4号証に記載されたリンク機構を採用しようとする場合にも当てはまる。

第5.無効理由(特許法第29条の2)についての当審の判断
当審は、本件発明1?3の特許は無効理由(特許法第29条の2)によって無効とすべきものでない、と判断する。その理由は、以下のとおりである。

1.刊行物に記載された事項
(1)甲第1号証
本件特許の出願の日前に出願され、本件特許の出願後に公開された甲第1号証には、図面と共に次の事項が記載されている。

a)「【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図1?図7に基づいて説明する。本発明の椅子(1)においては、図1及び図2に示すように、放射状の5本の脚(2)の中心部から立設された支柱(3)の上端に設けた支基(4)に、背凭れ(5)を支持する背杆(6)が枢着されている。
座受枠(7)は、種々のリンク機構(8)(その詳細は、本発明に直接関係しないため、説明を省略する)を介して、基準位置から背杆(6)の後傾に応じて、後下方に移動するように、支基(4)に装着されている。座受枠(7)上には、手動で前後に位置を調節できるようにした座(9)が設けられている。
なお、本発明の椅子は、後述するロック機構が左側に設けられている他は、左右対称な構成になっているため、左右同一部分については同一符号を付し、以下、左側の構成についてのみ説明し、右側の構成の説明は省略する。
座受枠(7)は、下端同士が互いに接近するように傾斜した前後方向を向く左右の側壁(10)(11)を、左右方向を向く連結杆(12)により連結して形成されており、前部の左右に下向きに突設された1対の舌片(13)(13)と、後部の左右に形成された1対の断面形状が下向きコ字形をなす嵌合部材(14)の下面に形成された凹部(14a)(14a)とに、リンク機構(8)が連結されている。左右の側壁(10)(11)の上部には、倒立外向L字状をなして、互いに遠ざかる方向に屈曲した前後方向を向く下部レール(15)(15)が形成されている。」(段落【0014】-【0017】)

b)「座ロック装置(20)は、椅子(1)の左脇に設けられており、座受枠(7)の左側壁(10)と下部レール(15)の垂下片(15b)との連接部分に、前後方向に等間隔をもって穿設された複数の方形の被係合孔(24)と、その被係合孔(24)に係合する係合爪(25)が中間部に溶接された平面視L字状のレバー(26)と、そのレバー(26)の係合爪(25)が設けられた部分の前後部を回転可能に支持して、左の上部レール(18)の下面に、保護板(27)を介して4本のボルト(28)によって取り付けられたレバー支持部材(29)とにより構成されている。
レバー支持部材(29)は、レバー(26)を回転可能に支持するU字状の溝(30)と、レバー(26)がレバー支持部材(29)からスラスト方向に抜け出ないように、レバー(26)の前後方向に間隔をおいて形成された1対の環状溝(31)(31)に係合する1対の突条(32)(32)と、1対の突条(32)の間に形成されて、係合爪(25)を下方から上方に向かって付勢して、係合爪(25)が被係合孔(24)から外れないように保持する係合爪付勢片とが形成されたブロック状の部材である。
レバー支持部材(29)は、合成樹脂の成形品であり、係合爪付勢片(33)が弾性を有するように一体成形されている。従って、レバー支持部材(29)は、保護板(27)を介在して左側の上部レール(18)に取付けられたとき、溝(30)と保護板(27)とで、レバー(26)を挟んだ状態で回転可能に支持する。
座ロック装置(20)の係合爪(25)は、複数ある被係合孔(24)のいずれか1つに係合し、座(9)が座受枠(7)に対して前後方向に移動しないようにして、座(9)を位置決めしている。このとき、係合爪(25)は、係合爪付勢片(33)の付勢力と、椅子(1)の斜め下方に突出したレバー(26)の把持部(26a)の自重とによって、人が着座したときや、椅子(1)を移動したときの振動によって、被係合孔(24)から外れないように、上方に回動付勢されている。すなわち、座ロック装置(20)はロック状態になっている。
図6において、レバー(26)を実線の位置から仮想線の位置に回転させて、係合爪(25)を被係合孔(24)から外すと、座ロック装置(20)のロック状態が解除され、その状態で、座(9)を所望の前後方向の位置に移動させた後、係合爪(25)を被係合孔(24)に再度係合させることにより、座(9)の前後位置を調節することができる。このとき、係合爪(25)が被係合孔(24)係合しない場合には、その位置で座を若干前後動させて、係合爪(25)を被係合孔(24)に係合させる。」(段落【0028】-【0032】)

c)上記a)の「座受枠(7)は、種々のリンク機構(8)(その詳細は、本発明に直接関係しないため、説明を省略する)を介して、基準位置から背杆(6)の後傾に応じて、後下方に移動するように、支基(4)に装着されている。」及び「前部の左右に下向きに突設された1対の舌片(13)(13)と、後部の左右に形成された1対の断面形状が下向きコ字形をなす嵌合部材(14)の下面に形成された凹部(14a)(14a)とに、リンク機構(8)が連結されている。」との記載から、「支基(4)」と「座受枠(7)」との間は、前後の「リンク機構(8)」により連結されていると認められる。

d)図1、2を参酌すると、背凭れ(5)が後傾した際に、座受枠(7)の後端側が沈み込むことが看てとれる。

e)上記a)の「座受枠(7)上には、手動で前後に位置を調節できるようにした座(9)が設けられている。」との記載から、「座受枠(7)」に対する「座(9)」の前後移動動作が、前記座(9)についた手から与えられる操作力によって生じるものであることは明らかである。

上記a)?b)の記載事項、上記c)?e)で認定した事項および図面の図示内容を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下「先願発明」という。)が開示されていると認められる。
先願発明:
「脚(2)及び支柱(3)に背凭れ(5)及び座(9)を支持させてなり、前記脚(2)及び支柱(3)に取り付けた支基(4)と座(9)を支持する座受枠(7)との間を前後のリンク機構(8)により連結することによって背凭れ(5)及び座(9)を連動させてロッキングさせる機構を構成してなり、前記座受枠(7)に座(9)を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
前記ロッキングさせる機構は、背凭れ(5)が後傾した際に、前記座受枠(7)の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、
前記座(9)を前後方向の所望位置に選択的に固定する座ロック装置(20)を備え、
その座ロック装置(20)を操作するレバー(26)を、該座(9)の側端部に設けたレバー支持部材(29)に支持されて該座(9)と共に一体的に前後移動し得る位置に設けているとともに、座受枠(7)に対する座(9)の前後移動動作が、前記座(9)についた手から与えられる操作力によって生じるものである椅子(1)。」

2.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と先願発明とを対比する。

先願発明における「脚(2)及び支柱(3)」は、本件発明1における「ベース脚」に相当し、以下同様に、「背凭れ(5)」は「背もたれ部」に、「座(9)」は「座部」に、「支基(4)」は「支基」に、「座受枠(7)」は「座受」に、「リンク機構(8)」は「リンク要素」に、「座ロック装置(20)」は「固定機構」に、「レバー(26)」は「レバー」に、「レバー支持部材(29)」は「レバー保持部」に、それぞれ相当する。
また、先願発明における「ロッキングさせる機構」は、本件発明1における「ロッキングさせるロッキング機構」に相当するとともに、先願発明における「レバー支持部材(29)に支持され」ることは、本件発明1における「レバー保持部に取り付けられ」ることに相当する。

したがって、両者は、
「ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
前記ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、
前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、
その固定機構を操作するレバーを、該座部の側端部に設けたレバー保持部に取り付けられて該座部と共に一体的に前後移動し得る位置に設けている椅子。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
「ロッキング機構」について、本件発明1では「前側のリンク要素が、一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるもの」であるのに対し、先願発明にはかかる限定が付されていない点。

[相違点2]
「レバー」の構成について、本件発明1では、「座部に手をつき、前記レバーに指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を行うことができるように」設けられているのに対して、先願発明ではかかる限定が明記されていない点。

そこで、相違点1について検討する。
請求人は、訂正事項a、bに記載されたロッキング機構、つまり、「前側のリンク要素が、一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるもの」であるとともに、「ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものである」ものは、甲第4号証に全て開示され周知である旨主張している。(下記、「第6.1.(3)甲第4号証」を参照。)
しかし、文献は甲第4号証の一つしか示されておらず、これをもって、訂正事項a、bに記載されたロッキング機構が周知技術であるということはできない。

また、ロッキング機構の具体的な構成は、甲第3号証や特開昭61-45707号公報、特開平6-178710号公報等に記載のとおり多種多様である。
そのような中、本件発明1は、訂正事項a、bに記載されたロッキング機構の構成に限定することによって、通常状態において前側のリンク要素が直立しているので支基と座受との間隔を十分に保てると共に、前側のリンク要素は、背もたれ部が後傾した際に座受の傾く方向(座受の後端側が沈み込む方向)と同方向(直立した状態から後傾した状態)に傾くため、座受と前側のリンク要素とのなす角度が狭くなり過ぎることがなく、座受と前側のリンク要素との間に指を挟む危険がないという先願発明にはない新たな効果を奏するものである。
そうすると、仮に、訂正事項a、bに記載されたロッキング機構が周知技術であったとしても、数ある周知のロッキング機構の構成の中から、訂正事項a、bに記載されたロッキング機構を選択する理由は見当たらないし、また、訂正事項a、bに記載されたロッキング機構の構成に限定することによって、新たな効果を奏するものであるから、相違点1については、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術の転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)であるとはいえない。

したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は甲第1号証の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と実質的に同一であるとはいえない。

以上のことから、本件発明1は、甲第1号証の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と実質的に同一であるとはいえない。

(2)本件発明2、3について
本件発明2および3は、いずれも、本件発明1を引用して更に限定するものであるから、本件発明1が甲第1号証の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と実質的に同一であるとはいえない以上、本件発明2および3も、甲第1号証の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と実質的に同一であるとはいえない。

3.まとめ
本件発明1ないし本件発明3は、甲第1号証の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と実質的に同一であるとはいえない。

第6.無効理由(特許法第29条第2項)についての当審の判断
当審は、本件発明1?3の特許は無効理由(特許法第29条第2項)によって無効とすべきものでない、と判断する。その理由は、以下のとおりである。

1.刊行物に記載された事項
(1)甲第2号証
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には、図面と共に次の事項が記載されている。

a)「本発明のさらに別の特徴は、使用者が、椅子の背当てに対して座の前後位置を調整することができる椅子奥行機構である。この機構は、座ブラケットに摺動自在に取り付けられたシェルと、レバーと、スプリングと、留め具とを有している。シェルはハウジングを有する。座ブラケットは、調整スロットと、複数の歯とを有する。レバーは、ハウジングに配置され、ハウジングに配置されたスプリングに作動係合するようになっている。レバーはまた、座ブラケットの歯に係合するようになっている。レバーが歯から解放されたときには、使用者は、シェルの所望の位置が得られるまで、シェルを座ブラケット上を前後に摺動させることができる。レバーが使用者により解放されたときには、スプリングは座ブラケットの歯に係合するようにレバーを内方に付勢し、これにより、シェルが前後方向に摺動するのを防止する。
本発明は、複雑なリンク機構の必要なしに二つの摺動部材を使用することによって同期傾斜機構を単純化させた点において、他の同期傾斜機構に対して著しい効果を提供する。さらに、この傾斜機構は、背当ておよび座を種々の位置に係止するための装置を提供する。最後に、単純化された摺動機構により、椅子の座を、背当ての対応する前方傾斜なしに、前方上方に傾斜させることができる。」(公報第14頁第22行?第15頁第10行)

b)「図面を参照すると、第1図、第2図、第4図および第6図は、ベース2、座4、背当て5、トーションスプリング7、第1摺動部材10および第2摺動部材11を備えた同期傾斜椅子1を示している。ベース2には、傾斜制御ハウジング3が取り付けられている。座4は、傾斜制御ハウジング3に、第1のピボット部材101を用いて回転自在に取り付けられている。背当て5は、第2図および第3図に示すように、一対の第2ピボット部材102を用いて、傾斜制御ハウジング3に回転自在に取り付けられている。」(公報第16頁第24行?第17頁第2行)

c)「第11図および第14図に例示した実施例において、座4は、シェル63(当審注:「64」の誤記)、座ブラケット69および座調整デバイス73を有している。座ブラケット69は、四つの細長い開口71および複数の歯70を有している。シェル64は、四つの取付パッド113および各パッド113に位置する取付穴115を有している。シェル64は、第14図に示すように細長い開口71に四つの留め具72を設けることにより座ブラケット69に摺動自在に取り付けられる。留め具72は、取付穴115にてシェルと係合する。各留め具は、キャップ82およびシャフト83を有している。留め具は、シェル64を座ブラケット69に対して前後に移動可能にしつつ、シェル64を座ブラケット69に固定する。移動中に、留め具のシャフト83は、細長い開口71内を摺動し、その一方、キャップ82は、シェル64を座ブラケット69に固定する。
座調整デバイスは、レバー74およびスプリング76を有している。レバー74は、二つのストラップ121および外殻125を有するシェル64のハウジング部分66と摺動自在に係合する。スプリング76は、ハウジング66内に配置され、レバー74から上方に延びるベアリング部材141と係合する。また、スプリング76は、第12図および第13図に示すように、ハウジング66と作動自在に係合する。第12図および第13図に示す例示した実施例において、スプリングは、レバー74の端部143を歯70に当接するように付勢する圧縮スプリングである。他の実施例が引張バネを使用できることが理解できよう。座調整デバイスを作動させるために、使用者は、レバー74から外側に延びるハンドル145を、歯70から離れるように引き、これにより、レバー74の端部143を解放する。次いで、使用者は、所望のシートの奥行位置が得られるまで、シェル64を前後方向に移動させる。次いで、レバー74が解放される。解放されると、スプリング76が、レバー74の端部143を歯70に当接するように係合位置に向けて付勢し、これにより、シェル64が前後方向に移動することが防止される。」(公報第31頁第6行?第32頁第3行)

d)上記b)の「座4は、傾斜制御ハウジング3に、第1のピボット部材101を用いて回転自在に取り付けられている。背当て5は、第2図および第3図に示すように、一対の第2ピボット部材102を用いて、傾斜制御ハウジング3に回転自在に取り付けられている。」との記載事項、図14及び16の図示内容から、「傾斜制御ハウジング3」と「座4」の「座ブラケット69」との間は、「第1のピボット部材101」により連結されているとともに、「傾斜制御ハウジング3」と「背当て5」の「支持部材6」との間は、「一対の第2ピボット部材102」により連結されているものと認められる。

e)図5、7、15を参酌すると、背当て5が後傾した際に、座4の後端側が沈み込むことが看てとれることから、背当て5が後傾した際には、座4を構成する座ブラケット69の後端側も沈み込むものと認められる。

f)上記c)の「座調整デバイスは、レバー74およびスプリング76を有している。レバー74は、二つのストラップ121および外殻125を有するシェル64のハウジング部分66と摺動自在に係合する。」との記載事項、図11?13の図示内容から、「レバー74」から外側に延びる「ハンドル145」は、「外殻125」を有する「シェル64」の「ハウジング部分66」と摺動自在に係合するとともに、「ハウジング部分66」は「シェル64」の側端部に設けられているものと認められる。

g)図12の図示内容から、「ハンドル145」は非操作時に略水平な姿勢をとるものと認められる。

上記a)?c)の記載事項、上記d)?g)で認定した事項および図面の図示内容を総合すると、甲第2号証には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が開示されていると認められる。
引用発明1:
「ベース2に背当て5及び座4を支持させてなり、前記ベース2に取り付けた傾斜制御ハウジング3と座4のシェル64を支持する座ブラケット69との間を第1のピボット部材101により連結するとともに、傾斜制御ハウジング3と背当て5の支持部材6との間を一対の第2ピボット部材102により連結することによって、背当て5及び座4を連動させてロッキングさせる機構を構成してなり、前記座ブラケット69に座4のシェル64を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
前記ロッキングさせる機構は、背当て5が後傾した際に、前記座4の座ブラケット69の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、
前記座4のシェル64を前後方向の所望位置に選択的に固定する座調整デバイス73を備え、
その座調整デバイス73を操作するレバー74から外側に延びるハンドル145を、該座4のシェル64の側端部に設けたハウジング部分66と摺動自在に係合されて該座4のシェル64と共に一体的に前後移動し得る位置に設けているとともに、前記ハンドル145が、非操作時に略水平な姿勢をとるものである椅子。」

(2)甲第3号証
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第3号証には、図面と共に次の事項が記載されている。

a)「この実施例における椅子は、図1及び図2に示すように、脚に固定されるメインフレーム1と、背もたれ2を支持する左右の背支桿3と、座4を支持する座受部5とを、前支持部8を構成する前連結部材たる前リンク6と、後支持部9を構成する後連結部材たる後リンク7を介して連結して構成されるものである。
メインフレーム1は、脚の上端や、左右の椅子を連続して固定するビーム11などに固定されるもので、上面を開放した筐体形状をなすものである。側面1aからは、左右水平に延出する第1の前回動軸たる前回動軸12及び第1の後回動軸たる後回動軸13をそれぞれ外側方に突出させる。(段落【0016】-【0017】)

b)「座受部5は、座4の下面に固設される断面下向コ字形状のもので、前部5a及び後部5bで、それぞれ左右両側端から第2の前回動軸たる前軸支持部51及び第2の後回動軸たる後軸支持部52を垂下させている。前軸支持部51及び後軸支持部52からは、前座受部軸53及び後座受部軸54をそれぞれ外側方に突設する。
前リンク6は、長円形の板材であって、下部には前回動軸孔61を、また上部には前座受部軸孔62を、それぞれ穿設する。
後リンク7は、略直角三角形の板材であって、下部には後回動軸孔71を、上部には後座受部軸孔72をそれぞれ穿設するとともに、後回動軸孔71及び後座受部軸孔72の前方でかつ両者の間の高さで第3の後回動軸たる後リンク軸73を外側方に突設する。
各部材の連結は、図3に示すように行われる。まずメインフレーム1の上方に座受部5を配置する。ついで、前リンク6を、前回動軸孔61にメインフレーム1の前回動軸12を、また前座受部軸孔62に座受部5の前座受部軸53を、それぞれ挿通させつつ、メインフレーム1及び座受部5に添設し、また、後リンク7を、後回動軸孔71にメインフレーム1の後回動軸13を、また後座受部軸孔72に座受部5の前座受部軸53を、それぞれ挿通させつつメインフレーム1及び座受部5に添設する。・・・」(段落【0019】-【0022】)

c)「・・・背支桿3をさらに後方に傾動させると、図5に示すように、後リンク軸73がさらに下方に押動されて後リンク7を回動するので、後座受部軸54は後回動軸13とほぼ同じ高さになるまで下方に移動される。このため、座受部5の後部5bは下方へ押動され、また前部5aは前リンク6を介して高さが拘束されるので、座受部5は後方へ傾動する。」(段落【0023】)

上記a)?c)の記載事項および図面の図示内容を総合すると、甲第3号証には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が開示されていると認められる。
引用発明2:
「脚に背もたれ2及び座4を支持させてなり、前記脚に取り付けたメインフレーム1と座4を支持する座受部5との間を前リンク6及び後リンク7により連結することによって背もたれ2及び座4を連動させてロッキングさせる機構を構成してなるものであって、
前リンク6が、一端をメインフレーム1の前方に前回動軸12を介して回転可能に取り付け、他端を座受部5に前座受部軸53を介して回転可能に取り付けたものであり、
前記ロッキングさせる機構は、背もたれ2が後傾した際に、前記座受部5の後端側を沈み込ませるように動作するものである椅子。」

(3)甲第4号証
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第4号証には、図面を参酌すると次の事項が記載されている。

a)図1A、図1B、図5を参照すると、Sternfuss 1(星形脚1)にRu:ckenstu:tze 5(背もたれ5)及びPolstertra:ger 80(クッション支持体80)を支持させてなり、前記Sternfuss 1(星形脚1)に取り付けたSitztra:ger 2(シート支持体2)とPolstertra:ger 80(クッション支持体80)を支持するSitzplatte 8(座板8)との間をGelenk 9(ジョイント9)およびRu:ckentra:ger 4(背中支持体4)により連結することによってRu:ckenstu:tze 5(背もたれ5)及びPolstertra:ger 80(クッション支持体80)を連動させてロッキングさせる機構を構成してなる椅子が看てとれる。(ウムラウトは「:」で代用、( )内は当審仮訳。以下同様。)

b)図6A?6Dを参酌すると、Sitzplatte 8(座板8)にPolstertra:ger 80(クッション支持体80)を前後移動可能に取り付けて構成されるとともに、Polstertra:ger 80(クッション支持体80)を前後方向の所望位置に選択的に固定するLochraster 800, Arretierteil 805, Nasen 807(固定機構)を備え、その固定機構を操作するHebels 803(レバー803)を、Sitzplatte 8(座板8)の側端部に設けている椅子が看てとれる。

c)図5を参酌すると、Gelenk 9(ジョイント9)は、一端をSitztra:ger 2(シート支持体2)の前端にDrehachse A2(回転軸A2)を介して回転可能に取り付け、他端をSitzplatte 8(座板8)にDrehachse A3(回転軸A3)を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、Ru:ckentra:ger 4(背中支持体4)が後傾した際に、前記Gelenk 9(ジョイント9)が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるものであるとともに、Ru:ckentra:ger 4(背中支持体4)が後傾した際に、前記Sitzplatte 8(座板8)の後端側を沈み込ませるように動作するものであることが看てとれる。

d)図1A?1B、2A?2Bを参酌すると、Ru:ckentra:ger 4(背中支持体4)とRu:ckenstu:tze 5(背もたれ5)とは、Klemmschraube(締付ねじ42)を介して固定されていることが看てとれることから、Ru:ckentra:ger 4(背中支持体4)とRu:ckenstu:tze 5(背もたれ5)とは一体的に後傾するものと認められる。

上記a)?d)の認定事項および図面の図示内容を総合すると、甲第4号証には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が開示されていると認められる。
引用発明3:
「星形脚1に背もたれ5及びクッション支持体80を支持させてなり、前記星形脚1に取り付けたシート支持体2とクッション支持体80を支持する座板8との間をジョイント9および背中支持体4により連結することによって背もたれ5及びクッション支持体80を連動させてロッキングさせる機構を構成してなり、前記座板8にクッション支持体80を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
ジョイント9が、一端をシート支持体2の前端に回転軸A2を介して回転可能に取り付け、他端を座板8に回転軸A3を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ5が後傾した際に、前記ジョイント9が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるものであり、
前記ロッキングさせる機構は、背もたれ5が後傾した際に、前記座板8の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、
前記クッション支持体80を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、
その固定機構を操作するレバー803を、座板8の側端部に設けている椅子。」

2.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と引用発明1とを対比する。

引用発明1における「ベース2」は、本件発明1における「ベース脚」に相当し、以下同様に、「背当て5」は「背もたれ部」に、「座4(のシェル64)」は「座部」に、「傾斜制御ハウジング3」は「支基」に、「座ブラケット69」は「座受」に、「座調整デバイス73」は「固定機構」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1における「ベース2に取り付けた傾斜制御ハウジング3と座4のシェル64を支持する座ブラケット69との間を第1のピボット部材101により連結するとともに、傾斜制御ハウジング3と背当て5の支持部材6との間を一対の第2ピボット部材102により連結することによって、背当て5及び座4を連動させてロッキングさせる機構」と、本件発明1における「ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構」とは、「ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構」という点で共通する。
また、引用発明1における「ハンドル145」と本件発明1における「レバー」とは、「操作手段」という点で共通するとともに、引用発明1における「ハウジング部分66」と本件発明1における「レバー保持部」とは、「操作手段を支持する部分」という点で共通する。
さらに、引用発明1における「ハウジング部分66と摺動自在に係合され」ることと、本件発明1における「レバー保持部に取り付けられ」ることは、「操作手段を支持する部分に支持され」るという点で共通する。

したがって、両者は、
「ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
前記ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、
前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、
その固定機構を操作する操作手段を、該座部の側端部に設けた操作手段を支持する部分に支持されて該座部と共に一体的に前後移動し得る位置に設けているとともに、前記操作手段が、非操作時に略水平な姿勢をとるものである椅子。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を連結する構成について、本件発明1では、「前後のリンク要素」により連結し、さらに「前側のリンク要素が、一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるもの」であるのに対して、引用発明1にはかかる限定が付されていない点。

[相違点2]
固定機構を操作する操作手段について、本件発明1では、「レバー」を、「座部に手をつき、前記レバーに指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を行うことができるように」「レバー保持部に取り付け」ているのに対して、引用発明では、「ハンドル145」を、「ハウジング部分66と摺動自在に係合」している点。

そこで、相違点1について検討する。
請求人は、平成23年12月28日付けの弁駁書において、「訂正後発明は訂正前発明と実質的に同一であり、訂正後発明は訂正前発明と同様の理由で特許要件を満たさない」および「本件発明のロッキング機構を有する椅子の公知文献は、文献4の他多数存在し、また、シートスライド機構を有する椅子は、文献7の他多数存在する。訂正事項a、bに記載されたロッキング機構についても、たとえば、文献4、WO00/22961号公報(甲第4号証)に全て開示され周知である・・・。よって、仮に訂正が認められても、訂正後の請求項は無効とすべきもの」である旨主張している。つまり、特許法第29条第2項による無効理由については、甲第2号証および甲第3号証に記載された発明ならびに甲第4号証に記載された周知技術に基づいて、本件発明は当業者が容易になし得たものである旨主張している。
そこで、引用発明1に引用発明2または引用発明3を適用することが容易か否かについて以下に検討する。

まず、本件発明1と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「脚」は、本件発明1における「ベース脚」に相当し、以下同様に、「背もたれ2」は「背もたれ部」に、「座4」は「座部」に、「メインフレーム1」は「支基」に、「座受部5」は「座受」に、「前リンク6」は「前側のリンク要素」に、「前リンク6及び後リンク7」は「前後のリンク要素」に、「前回動軸12」は「回転軸」に、「前座受部軸53」は「支軸」に、それぞれ相当する。
また、引用発明2における「ロッキングさせる機構」は、本件発明1における「ロッキングさせるロッキング機構」に相当する。
よって、引用発明2は、
「ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなるものであって、
前側のリンク要素が、一端を支基の前方に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものである椅子。」
と言い換えることができる。
つまり、引用発明2のロッキング機構は、ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結するものである。

次に、本件発明1と引用発明3とを対比すると、引用発明3における「星形脚1」は、本件発明1における「ベース脚」に相当し、以下同様に、「背もたれ5」は「背もたれ部」に、「クッション支持体80」は「座部」に、「シート支持体2」は「支基」に、「座板8」は「座受」に、「ジョイント9」は「前側のリンク要素」に、「ジョイント9および背中支持体4」は「前後のリンク要素」に、「回転軸A2」は「回転軸」に、「回転軸A3」は「支軸」に、「レバー803」は「レバー」に、それぞれ相当する。
また、引用発明3における「ロッキングさせる機構」は、本件発明1における「ロッキングさせるロッキング機構」に相当する。
よって、引用発明3は、
「ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
前側のリンク要素が、一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態となるものであり、
前記ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、
前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、
その固定機構を操作するレバーを、前記座受の側端部に設けている椅子。」
と言い換えることができる。
つまり、引用発明3のロッキング機構は、ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結するものである。

ここで、引用発明1の効果として甲第2号証には、上記「1.(1)a)」で示したように「本発明は、複雑なリンク機構の必要なしに二つの摺動部材を使用することによって同期傾斜機構を単純化させた点において、他の同期傾斜機構に対して著しい効果を提供する」と記載されている。つまり、引用発明1は、同期傾斜機構(ロッキング機構)にリンク要素を採用しないことによって他の同期傾斜機構に対して著しい効果を奏するものである。そうすると、当該引用発明1のロッキング機構に、引用発明2または引用発明3に記載された、前後のリンク要素により連結する構成を適用すると、引用発明1の前記作用効果は達成されないこととなる。
つまり、引用発明1に引用発明2または引用発明3のリンク機構を適用することは引用発明1の目的に反するものであり、そのような構成を採用すると、引用発明1の目的を実現することができなくなるものであるから、引用発明1に引用発明2または引用発明3のリンク機構を採用することは、阻害要因があるといわざるを得ない。
よって、引用発明1に引用発明2または引用発明3を適用することが容易であるとはいえない。

さらに、請求人は、ロッキング機構を有する椅子は周知であり、シートスライド機構を有する椅子もまた周知であるから、本件発明1は当業者が容易になし得たものである旨主張しているともとれる。
しかし、それぞれの技術が周知であるからといって、それらを組み合わせる示唆や動機付けがない以上、それらを組み合わせることが当業者にとって容易であるということはできない。

よって、相違点1については、当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は当業者が容易に想到し得たとすることはできない。

以上のことから、本件発明1は、甲第2号証および甲第3号証に記載された発明ならびに甲第4号証に記載された周知技術に基づいて出願前に当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本件発明2、3について
本件発明2および3は、いずれも、本件発明1を引用して更に限定するものであるから、本件発明1が甲第2号証および甲第3号証に記載された発明ならびに甲第4号証に記載された周知技術に基づいて出願前に当業者が容易に発明できたものであるとはいえない以上、本件発明2および3も、甲第2号証および甲第3号証に記載された発明ならびに甲第4号証に記載された周知技術に基づいて出願前に当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3.まとめ
本件発明1ないし本件発明3は、甲第2号証および甲第3号証に記載された発明ならびに甲第4号証に記載された周知技術に基づいて出願前に当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第7.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1?3に係る発明の特許を無効とすることができない。

審判に関する費用の負担については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
椅子
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、
前側のリンク要素が、一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態になるものであり、
前記ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、
前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、
その固定機構を操作するレバーを、座部に手をつき、前記レバーに指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を行うことができるように、該座部の側端部に設けたレバー保持部に取り付けられて該座部と共に一体的に前後移動し得る位置に設けていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
座受に対する座部の前後移動動作が、前記座部についた手から与えられる操作力によって生じるものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記レバーが、非操作時に略水平な姿勢をとるものである請求項1又は2記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座部を座受に対し前後移動可能とされた椅子に係り、特に座部に対し所望の前後位置において的確な固定、解除操作ができるようにした椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近時の椅子は、執務時に適正な姿勢をとることができ、安息姿勢やリフレッシュ姿勢も選択的にとることができるように、背もたれ傾動機構やロッキング機構を始め、座の前後位置調整機構など種々の機構を実装したものが実用に供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このうち前後位置調整機構に着目すると、従来のものは座受に対して座部を前後移動可能に構成し、その座部を任意の位置に固定するために、その操作部をロッキング機構等を操作する操作部と共に座受側に設けているのが通例である。
【0004】
しかしながら、座部が前後動すると、座部に対する操作部の相対位置が変化する。このため、着座姿勢のままで操作を行おうとする場合、座部に手をついていると操作部に指を適切にかけ難くなり、操作部に手を掛けていると体の支えが不安定になって体勢を崩し易いといった不具合が生じる場合がある。特に、座部に手を掛け、人為的な操作力によって座部の前後動を行うような椅子では、手でしっかりと座を掴んでおかなければならないため、操作部に指が掛かり難くなり、一層困難な操作を余儀なくされる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するために、次のような手段を講じたものである。
【0006】
すなわち、本発明の椅子は、ベース脚に背もたれ部及び座部を支持させてなり、前記ベース脚に取り付けた支基と座部を支持する座受との間を前後のリンク要素により連結することによって背もたれ部及び座部を連動させてロッキングさせるロッキング機構を構成してなり、前記座受に座部を前後移動可能に取り付けて構成されるものであって、前側のリンク要素が、一端を支基の前端に回転軸を介して回転可能に取り付け、他端を座受に支軸を介して回転可能に取り付けたものであり、かつ、背もたれ部が後傾した際に、前記前側のリンク要素が、側面視において略直立した状態から後傾した状態になるものであり、前記ロッキング機構は、背もたれ部が後傾した際に、前記座受の後端側を沈み込ませるように動作するものであるとともに、前記座部を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構を備え、その固定機構を操作するレバーを、座部に手をつき、前記レバーに指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を行うことができるように、該座部の側端部に設けたレバー保持部に取り付けられて該座部と共に一体的に前後移動し得る位置に設けていることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、レバーは常に座部の前後移動に伴って移動し、座部に対する相対位置が変化することがない。このため、座部に的確に手をつき、レバーに適切に指を掛けた操作状態を確保することができ、良好な操作性と着座姿勢の安定性とを好適に両立させることができる。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
本発明は、以上のような構成であるから、座受に対する座部の前後移動動作が、前記座部についた手から与えられる操作力によって生じるような椅子に適用して特に有用なものとなる。
【0012】
【0013】
レバーの好適な具体例としては、非操作時に略水平な姿勢をとるものが挙げられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1及び図2は本発明の一実施形態を示す椅子1の側面図及び正面図であり、図3は一部の機構部分を示す部分分解斜視図、図4?図6はこの椅子の作用説明図である。
【0015】
この椅子1は、ベース脚2に背もたれ部5及び座部6を支持させてなるもので、執務等に適した使用姿勢をとることができるのみならず、安息やリフレッシュに適した姿勢等を適宜選択的にとることをも可能にするために、ベース脚2に、あるいはベース脚2と背もたれ部5、座部6等との間に、背座の高さ調整を行う昇降機構P、背もたれ部5及び座部6を連動させてロッキングさせるロッキング機構Q、ストレッチ等のために背もたれ部5の上方部分のみを後傾させる背もたれ上部傾動機構R、並びに、腰骨を選択的に押圧するため等に利用される背もたれ下部傾動機構Sを設けている。
【0016】
具体的に説明すると、ベース脚2は、脚羽根20の中心から上方に向けて回転軸21を突出させたもので、その上に支持される座部6及び背もたれ部5を回転軸21周りに旋回動作させ得るようにしている。昇降機構Pは、前記ベース脚2の回転軸21にガススプリング22を組み込み、このガススプリング22を適宜作動させることによって背座を作動範囲の任意の昇降位置にロックできるようにしているものである。
【0017】
背もたれ部5は、背もたれ下部フレーム50と、背もたれ上部フレーム55と、これら両フレーム50,55の間に図示しない弾性部材を介して架け渡した張り部材8とを具備してなるもので、両フレーム50、55は、ともにリンク要素7bの内側部分に設けられた回転軸72に回転可能に取り付けられている。
【0018】
座部6は、着座者の大腿部に対応する窪みを有するクッション体60と、そのクッション体60の下方を支持するシェル61とを備えている。
【0019】
一方、ロッキング機構Qは、ベース脚2に取り付けた支基3と、座部6を支持する座受4と、これら支基3と座受4との間を連結するリンク要素7a、7bとからなる不等辺の四辺リンク機構を主体とし、これにリンク要素7aを適宜位置に固定するガススプリング31を付帯させて構成されている。本発明の座Zは、これら座部6と座受4によって構成されるものである。
【0020】
支基3は、アルミダイキャスト等の剛性部材により構成されたV字状をなすもので、その基端を前記回転軸21に固定し、先端を斜め上方に突出させている。この支基3の斜辺中央部の下面には、図示しない回転軸を通じてねじり方向の弾性力の蓄積、放出が可能なトーションバー70が設けてある。
【0021】
座受4は、前記座部6のシェル61を支持すべく、アルミなどの金属部材によって面状に成形されたもので、この座受4の左右両側部に、肘桿9を取り付けるための肘桿取付部44(図7参照)を設けている。
【0022】
リンク要素7aは、一端を支基3の前方に回転軸30を介して回転可能に取り付け、他端を座受4の前方裏面に支軸74を介して回転可能に取り付けた板状のものである。
【0023】
リンク要素7bは、一端を支基3の斜辺中央部に設けた前記トーションバー70の回転軸に固定し、他端を座受4の後端側に設けた回転軸79に回転可能に連結したもので、通常、このリンク要素7bには上述した背もたれ下部フレーム50及び背もたれ上部フレーム55が回転軸72回りの回転機能を停止させられた状態で一体的に固定され、リンク要素7bと共にトーションバー70の回転軸回りに回転し得るものである。
【0024】
ガススプリング31は、リンク要素7aと支基3との間に設けられたもので、選択的にリンク要素7aを固定することによって、四辺リンク機構全体をロックするようにしている。
【0025】
また、背もたれ上部傾動機構Rは、前記背もたれ上部フレーム55の回転軸72回りの回転を許容されることによって機能するもので、具体的にはロック機構rと、バネ部材73とから構成されている。
【0026】
ロック機構rは、図3に示すように、リンク要素7bの上方に設けた孔部77と、背もたれ上部フレーム55に取り付けた側面視略ひし形のブラケット550に設けた孔部551と、通常はこれら両孔部77に跨る位置に配置され選択的に前記孔部551から引き抜くことによって背もたれ上部フレーム55とリンク要素7bとの拘束を解除するピン76とから構成されるものである。背もたれ上部フレーム55の下端部内側に位置するブラケット550の内側には、リンク7bと一体をなすように同形状のブラケット7b1が設けてあり、これらブラケット550,7b1を重ね合わせて、孔部551の内側に孔部77を位置させて、ピン76を挿入するようにしている。しかして、ピン76が両孔部77、551に挿入されている状態においてはリンク要素7bと背もたれ上部フレーム55とは拘束されて一体的に動き、また、このピン76を孔部551から引き抜くことによって、上記の拘束を解除して背もたれ上部フレーム55のみが回転軸72を中心として独自に回転し得るようにしている。
【0027】
バネ部材73は、背もたれ上部フレーム55に傾動時に弾性を付与するためのもので、背もたれ上部フレーム55を起立方向に押圧している。
【0028】
さらに、背もたれ下部傾動機構Sは、前記背もたれ下部フレーム50を利用したもので、この背もたれ下部フレーム50を回転軸72を支点にして前方に押し付け得る位置に図示しないガススプリングを設けている。
【0029】
しかして、座受4の前方側端部には、座部6を取り付けた状態で以上の諸機構P?Sを選択的に活用すべく、図7に示すようにレバー43a、43b、43cが設けてある。レバー43aは図4に示すように座部6を昇降させるためのものであり、レバー43bは図6に示すように背もたれ下部フレーム50のみを後傾させるものであり、レバー43cは図5に示すように座部6及び背もたれ上部フレーム55,背もたれ下部フレーム50全体を連動させてロッキングさせるためのものである。なお、背もたれ上部フレーム55のみの傾動は、非ロッキング時においてのみ可能であり、かつレバー操作なしで行うことができるものである。
【0030】
以上のような構成において、本実施形態は、座部6を座受4に対して前後移動可能に取り付けるとともに、座部6を前後移動させる座前後調整機構Tを設けている。
【0031】
座部6は前述したようにクッション体60とシェル61からなるものであり、このシェル61を座受4に着脱可能に取り付けることを可能にするために、図8に示すようにシェル61の下面の前端側及び後端側に突出部62f、62bが設けてある。一方、座受4は、その平面部分であって前記突出部62f、62bの対応位置に、図7に示すように前後方向に延びる長孔部40f、40bが設けてある。そして、この長孔部40f、40bに前記シェル61の突出部62f、62bを挿入し、その挿入端側に適宜の抜け止め構造を採用することによって、座受4に対する座部6の前後移動を許容しつつ、上方への離脱を規制している。
【0032】
これに対して、座前後移動機構Tは、座受4の上面にラック41を設けるとともに、座部6を構成するシェル61の下面にピニオン63を設け、これらラック41とピニオン63を噛み合わせることによって、座受4に対する座部6の前後スライド移動を案内するようにしている。ラック41は、座受4の幅方向中心部から左右方向へ離間した位置に一対に設けられており、ピニオン63は、座部6の下面側に成形された軸保持部64によって保持された軸65の両端部分に形成されている。すなわち、この座前後移動機構Tは、人為的な操作力を加えることによって、座部6を座受4に対して前後動させるようにしたものである。
【0033】
そして、座部6を前後方向の所望位置に選択的に固定するために、図8?図10に示す固定機構100を備え、その固定機構100を操作する操作部たるレバー110を図8に示すように座部6と共に一体的に前後移動し得る位置に設けている。
【0034】
固定機構100は、ピニオン63に対する接離動作を通じ選択的にピニオン63に噛み合ってロックする規制片101を具備している。この規制片101は、座部6の下面側に成形されたガイド溝102にスライド可能に取り付けられているもので、基端がワイヤチューブ103の一端に接続され、ワイヤ操作を通じピニオン63に対して水平方向から接離して、先端に形成した歯104を選択的にピニオン63に噛み合わせることができるものである。規制片101は、前記ガイド溝102内に設けたバネ105によってピニオン63に噛み合う方向に弾性的に押し付けられている。
【0035】
一方、レバー110は、座部6の前端側の右側端部下面に設けたレバー保持部110aに取り付けられ、その位置で前記ワイヤチューブ103の他端側を操作可能に接続したもので、非操作時に前述した各レバー43a、43b、43cと共に水平をなし、かつ座部6が後端側へスライドした際の前後位置において各レバー43a、43b、43cと共にほぼ一定ピッチの規則性ある配列をなすように設けられている。そして、このレバー110を操作したときのみ、前記バネ105に抗して規制片101を後退させ、当該規制片101をピニオン63から離脱させて座部6の前後動を許容し、レバー110をレバー43aから前方へ離反させつつ図6に想像線で示すように座部6を前方へ移動させ得るようにしている。
【0036】
以上のように、本実施形態の椅子は、座受4に座部6を前後移動可能に取り付けるように構成されたものである。そして、座部6を前後方向の所望位置に選択的に固定する固定機構100を備え、その固定機構100を操作する操作部たるレバー110を座部6と共に一体的に前後移動し得る位置に設けたものである。
【0037】
このため、レバー110は常に座部6の前後移動に伴って移動し、座部6に対する相対位置を変化させることがない。したがって、座部6に的確に手をつき、レバー110に適切に指を掛けた操作状態を維持することができ、良好な操作性と着座姿勢の安定性とを好適に両立させることが可能となる。
【0038】
具体的には、座部6を、ラックピニオン機構を介して座受4に支持しているものであり、ラック41を座受4側に設け、ピニオン63を固定機構100及びレバー110と共に座部6側に設けているので、前後方向への動作を確実なものにすることができると同時に、座部6を足場にして固定機構100にピニオン63の回転を確実にロックさせて、ラック41に対して動かないようにすることができ、これらの部品の座部6や座受4への組み込みも比較的簡易に行うことが可能となる。
【0039】
特に、固定機構100に、ピニオン63に対する接離動作を通じ選択的にピニオン63に噛み合ってその回転をロックする規制片101を採用しているだけなので、コンパクトな組み込み状態を実現することができる。
【0040】
そして、上記規制片101の接離動作が、水平方向に沿ってなされるものであるため、座受4と座部6との間に厚み方向の動作スペースを確保する必要がなく、固定機構100の存在によって座受4と座部6との間が嵩張ることを有効に防止することができる。
【0041】
とりわけ、この実施形態は、座受4に対する座部6の前後移動動作が、外部から人為的に与える操作力によって生じるようなものであるため、着座した状態で座部6を前後方向へ操作しながら同時にレバー110を操作するといった態様も極めて自然に行うことができる。
【0042】
さらに、上記固定機構100を操作するレバー110が、座受4側に設けられるロッキング機構Q等の操作部であるレバー43a、43b、43cと共に、座部6の後方移動位置において規則正しく配列するように構成されているため、これらレバー43a、43b、43cの操作と関連づけてレバー110を有効に操作することができ、使い勝手と見栄えの向上とを図ることができる。
【0043】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した構成であるから、座部に的確に手をつき、固定機構を操作するレバーに適切に指を掛けた状態を維持して、座部の前後位置調整を有効に行うことができ、これにより良好な操作性と着座姿勢の安定性とを好適に両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す側面図。
【図2】同正面図。
【図3】同部分分解斜視図。
【図4】同作用説明図。
【図5】同作用説明図。
【図6】同作用説明図。
【図7】同実施形態を座部を取り除いて示す平面図。
【図8】同実施形態の座部を示す底面図。
【図9】同実施形態の要部である固定機構を示す図。
【図10】図9の側面図。
【符号の説明】
4…座受
6…座部
41…ラック
43a、43b、43c…レバー(他の機構の操作部)
63…ピニオン
100…固定機構
101…規制片
110…操作部(レバー)
P…昇降機構(他の機構)
Q…ロッキング機構(他の機構)
R…背もたれ上部傾動機構(他の機構)
S…背もたれ下部傾動機構(他の機構)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2012-02-28 
結審通知日 2012-03-02 
審決日 2012-03-13 
出願番号 特願2001-195601(P2001-195601)
審決分類 P 1 113・ 161- YA (A47C)
P 1 113・ 121- YA (A47C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 勝司  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 松下 聡
青木 良憲
登録日 2010-03-19 
登録番号 特許第4475490号(P4475490)
発明の名称 椅子  
代理人 大野 聖二  
代理人 鈴木 守  
代理人 大野 聖二  
代理人 鈴木 守  
代理人 山口 裕司  
代理人 大野 聖二  
代理人 岡本 義則  
代理人 鈴木 守  
代理人 木村 剛大  
代理人 花水 征一  

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