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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1257130 |
審判番号 | 不服2009-24599 |
総通号数 | 151 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-12-11 |
確定日 | 2012-05-18 |
事件の表示 | 特願2003-306096「通信端末装置および通信情報処理のプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 3月24日出願公開、特開2005- 78250〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成15年8月29日の出願であって、平成21年4月7日付けで拒絶理由通知がなされ、同年6月11日付けで手続補正(以下、「第1補正」と呼ぶ。)がなされたが、同年9月7日付けで拒絶査定がなされ、同年12月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「第2補正」と呼ぶ。)がなされ、その後当審において、平成23年11月22日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、平成24年1月19日に手続補正(以下、「第3補正」と呼ぶ。)がなされたものである。 第2 第3補正(平成24年1月19日付けの手続補正)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 第3補正(平成24年1月19日付けの手続補正)を却下する。 [理由] 1.補正内容 第3補正は、特許請求の範囲の補正を含むものであって、請求項1を、 「【請求項1】 外部機器から入力されたデータの種類を解析する解析手段と、 データの種類に対応する複数の記憶エリアを有する所定の記憶手段に対して、前記解析手段によって解析されたデータの種類に対応する記憶エリアに、入力されたデータを振り分けて記憶する記憶制御手段とを備え、 前記記憶制御手段は、前記外部機器から入力されたデータに付随している書込指令が、データの種類に応じて振り分けて記憶する指示を含むことが前記解析手段によって解析された場合に、入力されたデータを、その種類に対応する前記記憶手段の記憶エリアに振り分けて記憶し、書込指令が、前記指示を含まないことが前記解析手段によって解析された場合には、入力されたデータを、その種類にかかわらず前記記憶手段の特定記憶エリアに記憶することを特徴とする通信端末装置。」 から、 「【請求項1】 外部機器から入力されたデータの種類を解析する解析手段と、 データの種類に対応する複数の記憶エリアを有する所定の記憶手段に対して、前記解析手段によって解析されたデータの種類に対応する記憶エリアに、前記入力されたデータを振り分けて記憶する記憶制御手段とを備え、 前記記憶制御手段は、前記外部機器から入力されたデータに先駆けて前記外部機器から受信していたコマンドが、データの種類に応じて振り分けて記憶する指示に相当する特定の記憶エリア名を含んでいた場合に、前記入力されたデータを、その種類に対応する前記記憶手段の記憶エリアに振り分けて記憶し、前記コマンドが、前記指示に相当する特定の記憶エリア名を含んでいなかった場合には、前記入力されたデータを、その種類にかかわらず前記記憶手段のユーザ指定の記憶エリアに記憶することを特徴とする通信端末装置。」 に変更する補正事項を含むものである。 2.補正の目的の適否について 第3補正の目的が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否かを検討するに、当審は、以下の理由で、本件補正の目的は、同改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するものではないと判断する。 (1)上記補正事項が、上記改正前の特許法第17条の2第4項でいう「請求項の削除」(第1号)、「誤記の訂正」(第3号)、「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」(第4号)、のいずれかを目的とするものに該当しないことは明らかである。 (2)上記補正事項が、上記改正前の特許法第17条の2第4項でいう「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」(第2号)(以下、「限定的減縮」と呼ぶ。)を目的とするものに該当するか否かについて検討するに、上記補正事項は、以下の理由で、限定的減縮を目的とするものにも該当しないというべきである。 ア.上記改正前の特許法第17条の2第4項第2号でいう「発明を特定するための事項」(以下、「発明特定事項」と呼ぶ。)を「限定する」補正とは、以下のことをいうものと解するのが相当である。 (ア)補正前の請求項における発明特定事項の一つ以上を、概念的により下位の発明特定事項とする補正。 (イ)マーカッシュクレーム等、発明を特定するための事項が選択肢として表現されている請求項においては、その選択肢の一部を削除する補正。 イ.以上を前提に、上記補正事項についてみるに、該補正事項が上記「ア.」の「(イ)」に該当しないことは明らかである。 ウ.上記補正事項が上記「ア.」の「(ア)」に該当するか否かを検討するに、以下の事情を勘案すると、上記補正事項は、上記「ア.」の「(ア)」にも該当しないというべきである。 すなわち、上記第3補正の前後それぞれの請求項1で表現されている技術的事項全体からみて、同補正後の請求項1の「記憶制御手段は、前記外部機器から入力されたデータに先駆けて前記外部機器から受信していたコマンドが、データの種類に応じて振り分けて記憶する指示に相当する特定の記憶エリア名を含んでいた場合に、前記入力されたデータを、その種類に対応する前記記憶手段の記憶エリアに振り分けて記憶し、前記コマンドが、前記指示に相当する特定の記憶エリア名を含んでいなかった場合には、前記入力されたデータを、その種類にかかわらず前記記憶手段のユーザ指定の記憶エリアに記憶する」という発明特定事項(以下、「発明特定事項A」という。)は、上記補正前の請求項1の「記憶制御手段は、前記外部機器から入力されたデータに付随している書込指令が、データの種類に応じて振り分けて記憶する指示を含むことが前記解析手段によって解析された場合に、入力されたデータを、その種類に対応する前記記憶手段の記憶エリアに振り分けて記憶し、書込指令が、前記指示を含まないことが前記解析手段によって解析された場合には、入力されたデータを、その種類にかかわらず前記記憶手段の特定記憶エリアに記憶する」という発明特定事項(以下、「発明特定事項B」という。)に対応するものと認められるので、上記発明特定事項Aと上記発明特定事項Bを比較すると、上記発明特定事項Bが上記発明特定事項Aの下位概念に該当しないことは明らかであるから、上記補正事項が上記「ア.」の「(ア)」に該当しないことは明らかである。 3.むすび 以上のとおりであるから、第3補正は、上記改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 なお、以上の判断は、「『明りようでない記載の釈明』を目的とする補正は,拒絶理由中で明りょうでない旨を指摘した事項についてその記載を明りょうにする補正を行う場合に限られるのであるから,本件補正のように新規事項の追加状態を解消する目的の補正に,法17条の2第4項4号を適用する余地はなく,『明りようでない記載の釈明』と同様に運用すべきものではない。」という知的財産高等裁判所平成23年(行ケ)第10133号審決取消請求事件の判決において判事された内容を踏まえて行ったものである。 第3 上記補正却下の決定を前提とした、本願の拒絶理由について 1.本願特許請求の範囲の記載 上記のとおり、第3補正は却下されたので、本願特許請求の範囲の記載は、平成21年12月11日に提出された手続補正書の【特許請求の範囲】の欄に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 外部機器から入力されたデータの種類を解析する解析手段と、 データの種類に対応する複数の記憶エリアを有する所定の記憶手段に対して、前記解析手段によって解析されたデータの種類に対応する記憶エリアに、入力されたデータを振り分けて記憶する記憶制御手段とを備え、 前記記憶制御手段は、前記外部機器から入力されたデータに付随している書込指令が、データの種類に応じて振り分けて記憶する指示を含むことが前記解析手段によって解析された場合に、入力されたデータを、その種類に対応する前記記憶手段の記憶エリアに振り分けて記憶し、書込指令が、前記指示を含まないことが前記解析手段によって解析された場合には、入力されたデータを、その種類にかかわらず前記記憶手段の特定記憶エリアに記憶することを特徴とする通信端末装置。 【請求項2】 コンピュータに、 外部機器から入力されたデータの種類を解析する第1のステップと、 データの種類に対応する複数の記憶エリアを有する所定の記憶手段において、前記第1のステップによって解析されたデータの種類に対応する記憶エリアに、入力されたデータを振り分けて記憶する第2のステップと、 を実行させる通信情報処理のプログラムであり、 前記第2のステップは、前記外部機器から入力されたデータに付随している書込指令が、データの種類に応じて振り分けて記憶する指示を含むことが前記第1のステップによって解析された場合に、入力されたデータを、その種類に対応する前記記憶手段の記憶エリアに振り分けて記憶し、書込指令が、前記指示を含まないことが前記第1のステップによって解析された場合には、入力されたデータを、その種類にかかわらず前記記憶手段の特定記憶エリアに記憶することを特徴とする通信情報処理のプログラム。」 2.当審の判断 (1)当審の平成23年11月22日付けの最後の拒絶理由通知 当審の平成23年11月22日付けの最後の拒絶理由通知で通知した拒絶理由は、平成21年12月11日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないというものであり、そこでの具体的指摘内容は以下のとおりである。 「補正後の請求項1に記載された『前記記憶制御手段は、前記外部機器から入力されたデータに付随している書込指令が、データの種類に応じて振り分けて記憶する指示を含むことが前記解析手段によって解析された場合に、入力されたデータを、その種類に対応する前記記憶手段の記憶エリアに振り分けて記憶』及び補正後の請求項2に記載された『前記第2のステップは、前記外部機器から入力されたデータに付随している書込指令が、データの種類に応じて振り分けて記憶する指示を含むことが前記第1のステップによって解析された場合に、入力されたデータを、その種類に対応する前記記憶手段の記憶エリアに振り分けて記憶』は、当初明細書等には記載されておらず、また、これらは、当初明細書等の記載から自明な事項でもなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 審判請求人は、平成21年6月11日付けの意見書において、請求項1及び請求項2の補正の根拠として段落【0025】?【0029】の記載を挙げているが、当該箇所の記載からは元より、他の箇所の記載を参酌しても、当初明細書等に『外部機器から入力されたデータに付随している書込指令が、データの種類に応じて振り分けて記憶する指示を含むことが前記解析手段によって解析された場合に、入力されたデータを、その種類に対応する前記記憶手段の記憶エリアに振り分けて記憶』するものが記載されているとはいえない。理由は以下のとおりである。 (1)上記段落【0025】-【0029】及び関連する図面には、『ディレクトリ名を含むディレクトリ移動コマンド』を受信したときに、ディレクトリ移動コマンドによって指定されたディレクトリ名をカレントディレクトリとし、当該カレントディレクトリが自動振り分け対象であるか否かを判断することによって自動振り分け書込みフラグを設定し、『ファイル名を含むファイル書込コマンド』を受信した際に自動振り分け書込みフラグの設定がどの様な設定になっているのかを判断して自動振り分け記憶を行うか否かを判断する、ものが記載されている。 (2)ここで、上記記載中の『ディレクトリ名を含むディレクトリ移動コマンド』は、『データの書き込み』を指令するコマンドであるとも、『データの種類に応じて振り分けて記憶する指示』を含むコマンドであるとも解されないから、補正後の請求項1、2でいう『書込指令』に当たるものとはいえない。 (3)上記記載中の『ファイル名を含むファイル書込コマンド』は、『データの書き込み』を指令するコマンドであるとは解されるものの、『データの種別に応じて振り分けて記憶する指示』を含むコマンドであるとは解されないから、やはり、補正後の請求項1、2でいう『書込指令』に当たるものとはいえない。 (4)当初明細書等には、他に、補正後の請求項1、2でいう『書込命令』に当たるものは見当たらない。」 (2)当審の上記最後の拒絶理由通知の内容とそれに対する請求人の応答を踏まえた、当審の判断 当審の上記最後の拒絶理由通知に対して提出した意見書における請求人の主張は、本件第3補正が適法であることを前提とするものであるから、本件第3補正が補正却下されることにより、その前提が失われたものであって、上記の拒絶理由に対して、請求人は何ら反論していない。 そして、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。 3.むすび 以上のとおり、本願について平成21年12月11日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たさないものである。 したがって、本願は、他の拒絶の理由について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-07 |
結審通知日 | 2012-02-28 |
審決日 | 2012-03-12 |
出願番号 | 特願2003-306096(P2003-306096) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
WZ
(G06F)
P 1 8・ 561- WZ (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 工藤 嘉晃 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
本郷 彰 飯田 清司 |
発明の名称 | 通信端末装置および通信情報処理のプログラム |