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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B22D
管理番号 1257872
審判番号 不服2011-24450  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-11 
確定日 2012-06-04 
事件の表示 特願2008-187971「一体型金属プロセシング設備」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月11日出願公開、特開2008-296282〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2002年 1月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年 2月 2日、米国)に出願した特願2002-562787号の一部を平成20年 7月18日に新たな特許出願としたものであって、同日付で「出願を分割する際の説明書類」としての上申書が提出され、平成22年11月11日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成23年 5月13日付けで意見書が提出されたが、平成23年 7月 8日付けで拒絶査定され、これを不服として平成23年11月11日付けで拒絶査定不服の審判が請求されたものである。


2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
本明細書および図面に記載のシステム。」


3.原査定の理由
原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。
「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

[ 請 求 項 ] 1
[ 備 考 ]
請求項1の記載は著しく不明確で、発明を把握することができない。
なお、この出願は、出願内容が著しく不明確であるから、請求項1に係る発明については、新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。」


4.当審の判断
(1)特許法第36条第6項第2号の要件について
原査定の拒絶の理由は、上記のように「特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」というものであるが、特許法第36条は、下記のように規定されている。
「第三十6条
(略)
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付し
なければならない。
3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一?三 (略)
4(略)
5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特
許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事
項のすべてを記載しなければならない。(略)
6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなけれ
ばならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであ
ること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
(以下、略)」

ここで、特許法第36条第5項前段は、特許出願人が特許を受けようとする発明を特定する際に、まったく不要な事項を記載したり、逆に、必要な事項を記載しないことがないようにするために、特許請求の範囲には、特許を受けようとする発明を特定するための事項を過不足なく記載すべきことを示したものであり、また、どのような発明について特許を受けようとするかは特許出願人が判断すべきことであるので、特許を受けようとする発明を特定するために必要と出願人自らが認める事項のすべてを記載することとされているものである。
また、上記の第5項の規定は、出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項(以下、「発明を特定するための事項」という。)を記載するのが請求項であることを明示することにより、各請求項の記載に基づいて特許発明の技術的範囲が定められるべきこと、各請求項の記載に基づいて認定した発明が審査の対象とされるべきこと等を明らかにしたものである。
そして、特許法第36条第6項第2号の規定は、上記のように「特許を受けようとする発明が明確であること。」とされており、請求項は、一の請求項から発明が明確に把握されるように記載すべきであるから、出願人による前記種々の表現形式を用いた発明の特定は、発明が明確である限りにおいて許容されるにとどまるものである。

そこで、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項をみると、
「【請求項1】
本明細書および図面に記載のシステム。」
と記載されているにとどまり、明細書および図面には、種々の装置、システム構成が記載されている。
したがって、上記請求項1においては、「システム」に関して、どの様な構成を特定しようとしているのか、或いは上位概念化しようとしているのか不明瞭であり、「発明を特定するための事項」が記載されているとは認められず、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえない。

(2)請求人の要望について
請求人は、原審の平成20年 7月18日付け上申書において、「将来的に、後日、特許請求の範囲について補正を行う予定にしております。」と述べ、平成23年5月13日付けの意見書において、「現在まで、その補正の内容を決定することができませんでした。」と述べ、本件審判請求書においても、
「【本願発明が特許されるべき理由】
平成20年7月18日付けの上申書および平成23年5月13日付けの意見書においてご説明しましたとおり、本願出願人は、本願の特許請求の範囲を補正することを希望しておりますが、現在まで、その補正の内容を決定することができませんでした。そのため、本願出願人は、今回、本願を原出願とする分割出願を行います。本願出願人は、本願と、本願の分割出願とについて、今後、可能な補正等についてさらに検討をする予定です。
そのような事情ですので、本願出願人は、本願について、今後、審判請求を継続するか否かについてさらに検討させて頂きたく存じます。
本件審判請求の審理においては、大変恐縮ですが、このような事情にご配慮頂ければ有難く存じます。」
と述べている。
しかし請求人は、補正の内容を決定することができないと述べるだけで、そのような状態が発生した特段の事情については説明されていない。

しかも、本件審判請求は、平成20年法律第16号の特許法が適用されるところ、特許の拒絶査定不服審判の請求できる期間は、同法第121条に規定されるとおり、「3月以内」であり、審判請求に伴う明細書等の補正は、同法第17条の2第1項第4号に規定されるとおり、「審判請求と同時」の場合にすることができる。
しかるに、本件については、平成23年 7月 8日付けの拒絶査定が平成23年 7月12日に発送された後、在外人として設定されている4ヶ月以内である平成23年11月11日付けで拒絶査定不服の審判が請求されたものの、審判請求と同時に補正書が提出されていない。

そして、原審の拒絶の理由は、上記(1)のように判断されるものであるから、新たに拒絶理由を通知して補正の機会を設ける事情はないし、公平性の観点からみても補正の機会を設ける理由はない。

そうすると請求人は、審判請求後においても、可能な補正について更に検討する予定である旨述べると共に、審理における配慮を要望しているが、上記のとおり、本件審判請求に関しては、補正できる機会を見出せないから、審理を保留しない。

5.むすび
したがって、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
よって、結論の通り、審決する。
 
審理終結日 2012-01-10 
結審通知日 2012-01-11 
審決日 2012-01-24 
出願番号 特願2008-187971(P2008-187971)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (B22D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池ノ谷 秀行  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 北村 明弘
川村 健一
発明の名称 一体型金属プロセシング設備  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 秀策  
代理人 安村 高明  

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