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審決分類 |
審判 全部無効 4項(134条6項)独立特許用件 F27D 審判 全部無効 2項進歩性 F27D 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 F27D 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備 F27D |
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管理番号 | 1260520 |
審判番号 | 無効2010-800068 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2010-04-14 |
確定日 | 2010-12-15 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3196261号発明「炉内ヒータを備えた熱処理炉」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 [出願・登録] 本件特許は平成3年11月20日に出願され、平成13年6月8日に設定登録されたものである。 [訂正審判] 訂正審判請求(訂正2009-390033号)平成21年 3月10日 訂正審決(訂正認容) 平成21年 4月21日 審決確定 平成21年 5月 7日 [無効審判1] 無効審判請求(無効2009-800225号)平成21年10月30日 答弁書 平成22年 2月 5日 弁駁書 平成22年 4月 2日 口頭陳述要領書1(請求人) 平成22年 4月 2日 口頭陳述要領書(被請求人) 平成22年 4月 9日 口頭陳述要領書2(請求人) 平成22年 4月16日 口頭審理 平成22年 4月16日 審決 平成22年 5月14日 出訴 平成22年 6月18日 [無効審判2](本件無効審判事件) 無効審判請求(無効2010-800068号)平成22年 4月14日 答弁書 平成22年 7月 2日 書面審理通知 平成22年 7月20日 上申書 平成22年 9月 3日 手続補足書 平成22年 9月 8日 補正許否の決定 平成22年10月 4日 第2 本件発明 本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、平成21年3月10日付けの訂正審判請求書に添付された明細書及び図面(以下、「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。 「【請求項1】 炉側壁を含む炉本体と、炉本体の底部を閉塞する炉床とで形成される熱処理空間を有し、該熱処理空間には、略鉛直方向に挿入され、かつ前記炉側壁に沿って互いに並列配置され、鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し、前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部とした複数の炉内ヒータを備え、前記複数の炉内ヒータの前記発熱部が前記熱処理空間内の鉛直方向に沿ったそれぞれ異なる位置に設けられていることを特徴とする、熱処理炉。」 第3 請求の趣旨、請求人の主張する無効理由 1 審判請求書における請求人の主張 審判請求書によれば、請求人は、本件発明についての特許を無効とする、審判の費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、先の訂正審判による訂正(以下、「先の訂正」という。)がされた本件発明は、特許法第29条第2項違反(第1の無効理由)、同法第36条第4項違反(第2の無効理由)、同法第36条第5項第2号違反(第3の無効理由)であり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、先の訂正は同法第126条第3項(第126条第5項の誤りと解される)の規定に違反してなされたものであるので、本件特許は、同法第123条第1項第7号(第123条第1項第8号の誤りと解される)の規定により無効とすべきものであると主張し、証拠方法として以下の甲第1?3号証を提出した。 <証拠方法> 甲第1号証;実願昭52-71707号(実開昭53-165345号)の出願当初の明細書及び図面を記録したマイクロフィルムの写し 甲第2号証;「エレマ発熱体」カタログ(東海高熱工業株式会社、昭和60年6月)の写し 甲第3号証;特公昭63-24239号公報の写し 甲第4号証;特許第3196261号公報の写し (先の訂正前の本件特許公報である) 2 上申書における請求人の主張 請求人は、上申書及び手続補足書を提出し、上記第1の無効理由に関し、 ・第1の無効理由A 甲第2,第3号証及び甲第6号証の記載に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから同法29条第2項の規定に違反している、 ・第1の無効理由B 甲第2,第3号証及び甲第7号証の記載に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから同法29条第2項の規定に違反している、 ・第1の無効理由C 甲第3号証、甲第2号証及び甲第8号証の記載に基いて、当業者が容易に発明できものであるから同法第29条第2項の規定に違反している、 ・第1の無効理由D 甲第3号証、甲第2号証及び甲第6?第9号証の記載に基いて、当業者が容易に発明できものであるから同法第29条第2項の規定に違反している、 と新たに主張し、証拠方法として以下の甲第6?第9号証を手続補足書として提出した。 なお、上申書には、「甲第5号証」として、「前無効審判(無効2009-800225号)の審決」があげられているが、これは、当事者双方において周知である、無効審判1の審決文のことである。 <証拠方法> 甲第6号証;特開昭62-31982号公報 甲第7号証;「工業加熱」VOL.24 No.5(1987年9月)p.34-39 甲第8号証;実願昭61-42293号(実開昭62-155489号)の出願当初の明細書及び図面を記録したマイクロフィルムの写し 甲第9号証;「工業加熱」VOL.8 No.2(1971年3月)p.74-80 第4 答弁の趣旨、被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めている。 そして、被請求人は、第1の無効理由及び第2の無効理由は、訂正の際の独立特許要件の欠如を根拠とするものであるが、その実質は前無効審判(無効2009-800225号)の無効理由と同一ものにすぎず、請求人は同一の無効理由によって徒に無効審判を繰り返していると主張するとともに、請求人の主張する無効理由は存在しないと主張している。 第5 当審の判断 1 上申書における請求人の主張について 上記「第3 2 上申書における請求人の主張」の項に記載したとおり、上申書における請求人の主張は、新たに追加された甲第6?9号証により新たな無効理由を主張するものであり、かつ、その提出時期としても、弁駁指令(平成22年7月22日発送)に対する応答期間(30日)を経過した後のものであるから、平成22年10月4日付け補正許否の決定に記載のとおり、上申書において新たに追加された甲第6?9号証により立証しようとする事実に基づく請求の理由の補正については許可しない。 したがって、本件における請求人の主張は、「第3 1 審判請求書における請求人の主張」の項に記載したとおりである。 2 第1の無効理由及び第2の無効理由について 第1の無効理由及び第2の無効理由はそれぞれ、訂正の際の独立特許要件の欠如を根拠とするものである。 しかしながら、無効審判1では、訂正後の本件発明を審理対象として判断しており、これは、本件無効審判事件における審理対象と同じである。そして、本件無効審判事件の「第1の無効理由」、「第2の無効理由」の具体的根拠は、無効審判1(無効2009-800225号)の審決に記載した、[無効理由1(b)],[無効理由2]と同趣旨である。 してみると、無効審判1の審決に記載したとおり、[無効理由1(b)],[無効理由2]はともに成り立たないのであるから、その実質が同じである、本件の第1の無効理由及び第2の無効理由も成り立たないことは明らかである。 なお、末尾に、無効審判1の審決の写しを添付しておく。 3 第3の無効理由(本件特許明細書特許請求の範囲における、旧36条5項2号適合性)についての検討 a.請求人の具体的な主張 審判請求書第13頁下から第10行?第15頁第7行の記載によれば、請求人は、本件発明は、以下の理由により、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではない旨主張していると認められる。 ・従来技術としてあげられている図6の炉内ヒータは、「鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し、前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部」とした構造(審判請求書の図6においては、符号23aと、請求人が加筆した「端部」)であり、本件発明のヒータの構成と同じ構造であるにも関わらず、図6の炉内ヒータは、端部以外には発熱部23aという一つの部位を有するのみであるから、炉内の鉛直方向における発熱部の位置の調整が不可能であり、本件発明の効果を得ることができないものであるから、本件発明は、明細書及び図面(図6)に記載された従来の技術をも含む発明であり、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではない。 また、上申書第2頁、「3 「7-5 第3の無効理由について」に対する反論」の項の記載によれば、要するに、 ア.「端部」の長さは炉の天井壁の厚さを包含するに十分な長さに設計されるものであり、「端部」の一部は天井壁から抜け出て熱処理空間内に入り込むことになるから、被請求人の「本件特許公報の図6の23aの上部は、炉の天井部に差し込まれる差し込み部にすぎず、炉内に配置しない部分を図示したものにすぎない」との反論は失当である。 イ.本件特許権侵害訴訟(大阪地方裁判所 平成21年(ワ)第15096号)の、平成22年2月19日付けで原告(被請求人)が提出した「準備書面(2)」中には、「従って本件特許発明の構成要件である『鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し』を敢えて説明的に記載すれば『熱処理空間に位置する部分について、鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し』の意味である」と主張していることから、「熱処理空間内に位置する部分について」という文言を加えないと本件特許発明の構成を特定することができない本件特許は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものとはいえない。 ウ.被請求人の従来例(図5,図6)の解釈は誤りであり、従来例にかかる炉内ヒータを備えた焼成炉(図5)の炉内ヒータ(図6の発熱体23)の構成が、「前記複数の炉内ヒータの前記発熱部が前記熱処理空間内の鉛直方向に沿ったそれぞれ異なる位置に設けられている」との構成要件を文言上充足するものであるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、明細書及び図面(特に図6)に記載された従来の技術をも含む記載となっており、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではない。 との主張をしている。 b.当審の判断 甲第2号証の第11?13頁に記載及び図示されているように、請求人が審判請求書で取りあげた図6の炉内ヒータの「端部」は、設計上の公差はあるとしても、通常炉内ヒータを炉に取り付けた際に炉内に位置しない部分を意味することは、当業者にとって自明である。 そして、本件発明は、「・・・熱処理空間には、略鉛直方向に挿入され、かつ前記炉側壁に沿って互いに並列配置され、鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し、前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部とした複数の炉内ヒータを備え、・・・」と、「熱処理空間」に位置する部分の炉内ヒータが異なる部位を発熱部とすることは、請求項1の構成要件から明らかであり、かつ、技術思想として、請求人が主張する従来技術が含まれないことも自明である。 したがって、本件特許請求の範囲の記載は、旧特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たすものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、請求人が主張する理由及び提示した証拠方法によっては、本件発明に係る特許を無効にすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担するものとする。 よって、結論の通り審決する。 ---------------------------------- ●無効審判1(無効2009-800225号)の審決の写し ※合議体注 無効審判2と無効審判1の甲号証の対応関係は次のとおり <無効審判2> <無効審判1> 甲第1号証 ← 甲第4号証 甲第2号証 ← 甲第2号証 甲第3号証 ← 甲第1号証 <以下、写し部分> 第1 手続の経緯 [出願・登録] 本件特許は平成3年11月20日に出願され、平成13年6月8日に設定登録されたものである。 [訂正審判] 訂正審判請求(訂正2009-390033号)平成21年 3月10日 訂正審決(訂正認容) 平成21年 4月21日 審決確定 平成21年 5月 7日 [無効審判] 無効審判請求(無効2009-800225号)平成21年10月30日 答弁書 平成22年 2月 5日 弁駁書 平成22年 4月 2日 口頭陳述要領書1(請求人) 平成22年 4月 2日 口頭陳述要領書(被請求人) 平成22年 4月 9日 口頭陳述要領書2(請求人) 平成22年 4月16日 口頭審理 平成22年 4月16日 第2 本件発明 本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、平成21年3月10日付けの訂正審判請求書に添付された明細書及び図面(以下、「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。 「【請求項1】 炉側壁を含む炉本体と、炉本体の底部を閉塞する炉床とで形成される熱処理空間を有し、該熱処理空間には、略鉛直方向に挿入され、かつ前記炉側壁に沿って互いに並列配置され、鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し、前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部とした複数の炉内ヒータを備え、前記複数の炉内ヒータの前記発熱部が前記熱処理空間内の鉛直方向に沿ったそれぞれ異なる位置に設けられていることを特徴とする、熱処理炉。」 第3 請求の趣旨、請求人の主張する無効理由 審判請求書によれば、請求人は、本件発明についての特許を無効とする、審判の費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項違反の理由(無効理由1)、同法第36条第4項違反の理由(無効理由2)により無効とすべきものであると主張し、証拠方法として以下の甲1?4号証を提出した。 その後、平成22年4月16日付けの口頭審理において、無効理由1の具体的理由が、 (a)甲第1号証を主引用例とし、甲第2号証、甲第4号証を副引用例と するもの (b)甲第4号証を主引用例とし、甲第1号証、甲第2号証を副引用例と するもの の2つである旨主張している(口頭審理調書参照)。 したがって、本件の審判請求に係る無効理由は、以下の無効理由1(a),1(b),2の3つである。 [無効理由1(a)] 本件発明は、その出願前に日本国又は外国で頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に、甲2,4号証に記載の技術を組み合わせることにより当業者が容易に発明することができたものであるから、本件発明についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当する。 [無効理由1(b)] 本件発明は、その出願前に日本国又は外国で頒布された刊行物である甲第4号証に記載された発明に、甲1,2号証に記載の技術を組み合わせることにより当業者が容易に発明することができたものであるから、本件発明についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当する。 [無効理由2] 本件発明に係る特許は、その明細書の記載が平成6年改正前特許法第36条(以下、「旧36条」という。)第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第4号に該当する。 <証拠方法> 甲第1号証;特公昭63-24239号公報の写し 甲第2号証;「エレマ発熱体」カタログ(東海高熱工業株式会社、昭和60年6月)の写し 甲第3号証;特公昭39-3934号公報の写し 甲第4号証;実願昭52-71707号(実開昭53-165345号)の出願当初の明細書及び図面を記録したマイクロフィルムの写し 第4 答弁の趣旨、被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めている。 そして、被請求人は、以下の乙第1号証を提出し、請求人の主張する無効理由は存在しないと主張している。 <証拠方法> 乙第1号証;特開平3-110384号公報の写し 第5 証拠の記載事項 1.甲第1号証の記載事項 (1-ア) 「この発明は炉内の温度が均一で熱エネルギー効率のよいバツチ式の焼成炉に関する。」(第1欄第16?17行) (1-イ) 「第7図、第8図はこの発明にかかるバツチ式の焼成炉の一例を示したもので、第7図は焼成炉を上から見たときの破断内部構造図、第8図は焼成炉を側面から見たときの破断内部構造図である。 11は炉の本体を示す。この本体11の内壁には、断熱効果を有し、熱容量を少なくする断熱材たとえばセラミツクフアイバーで作られたボードまたはブラケツトが配置される。炉の本体11内には複数条の発熱体12a,12b,12c,12d,12eが空間を置いて配置されており、各発熱体12a,12b,12c,12d,12e間の空間には被焼成品13が炉台14の上に載せられて配置されている。この発熱体12a,12b,12c,12d,12eは炉の本体11内を左右横方向にめぐらされている。」(第3欄第26?41行) (1-ウ) 「各発熱体12a,12b,12c,12d,12eにはそれぞれ通電が独立して行われるようになつており、炉の本体11内の横方向の温度分布にバラツキがないように制御される。また炉の本体11内では下方より上方が高温になりやすいため、上下の温度のバラツキを少なくするように、各発熱体12a,12b,12c,12d,12eの下方の配置密度を高くするように配置される。また、各発熱体12a,12b,12c,12d,12eの下部側を上部側にくらべ高温になるように独立して温度制御できるように結線してもよい。」(第4欄第13?24行) (1-エ) 「第13図、第14図はこの発明に係るバツチ式の焼成炉の他の実施例を示したもので、第13図は焼成炉を上面から見たときの破断内部構造図、第14図は焼成炉を側面から見たときの破断内部構造図である。 この実施例の特徴点について説明すると、炉本体11の上面から発熱体12a,12b,12c,12d,12eを吊り下げておき、また第13図において明らかなように、壁面の一部を開閉自在となる扉15として構成し、本体11の側面から炉台14を矢印bで示すように出し入れできるようにしている。その他の構成については、第7図、第8図のものと同一であるので同一番号を付して詳細な説明を省略する。」(第5欄第14?第27行) (1-オ) 「また各発熱体12a,12b,12c,12d,12eは発熱量800mmのU字型のものを用い、これを高さ500mmの炉の本体11内に5本吊り下げて並べた。」(第5欄第41行?第6欄第1行) (1-カ) 「炉の本体内に発熱体が分散して配置された構造であり、炉内の温度分布が均一な焼成炉が得られる。」(第6欄第19?21行) 2.甲第2号証の記載事項 (2-ア) 写真5及び図4には、エレマU型として、直線状に発熱部と端部とが形成され、発熱部同士をこれと直交する先端部で接続するとともに、端部にピン孔を備えた発熱体が図示されている。 (2-イ) 図5には、炉側壁を含む炉本体と炉床とで形成される熱処理空間に、エレマU型を略鉛直方向に挿入し、かつ、炉側壁に沿って並列配置した構造が図示されている。 (2-ウ) 「●その他の特殊型 以上のほか、用途・使用条件に合わせた特殊な形状(リング型、弓型など)も製作しています。 また、炉内温度分布を均一にするために、発熱部の中央部分を低温度にした特殊な構造(SDL型)のものもあります。」(第5頁左下欄) (2-エ) 図7には、長さ方向の中央に低温部、低温部の両側に発熱部、さらに発熱部の外側に端部を備えた直線形状のエレマSDL型の発熱体が図示されている。 3.甲第4号証の記載事項 (3-ア) 「3.考案の詳細な説明 本考案は、高圧高温ガス雰囲気下で粉末成形焼結あるいは拡散接合等の高圧高温処理を行う方法において使用される高圧高温炉のヒータ部分の改良に関するものである。 近年、技術開発の進展にともなつて、物体に高圧高温ガス雰囲気下での種々の処理を施こす技術が研究され、様々な分野で工業的に採用されようとしている。」(第1頁第12?20行) (3-イ) 「第1図は、従来の高圧高温炉用ヒータを用いた高圧高温処理装置の概略図であつて、第1図において(1)は高圧容器であり、該高圧容器(1)の上下開口端部には上蓋(2)、下蓋(3)がそれぞれ配置され、高圧室(4)を画成している。 高圧室(4)内には断熱層(5)が配置され,該断熱層(5)の内側には、金属製の支持筒(6)によつて支持され、ガイシ(7)によつて支持筒(6)に取付けられたヒータ(8)が配置されている。」(第4頁第9?17行) (3-ウ) 「第2図は、第1図に示されるヒータ(8)の展開図であり、(6)は支持筒、(7)はガイシ、(8)はヒータである。」(第4頁第19行?第5頁第1行) (3-エ) 「そこで考案者等は、炉内の温度分布の均一化を計る為に、第4図にその展開図を示すようなヒータを案出し実験を行なつた。 すなわち、炉の長さ方向にそれぞれ独立して通電加能なヒータ(10)、(11)、(12)を3段に設け、それぞれの電圧を調整することによつて、第3図における線(ロ)に示されるように温度分布が極めて均一なものが得られた。」(第5頁第10?17行) (3-オ) 第4図には、3つのヒータ(10)、(11)、(12)が円筒状の支持筒(6)の内側に沿って、炉の長さ方向に上下3段に配置されており、3つのヒータ(10)、(11)、(12)は、独立して電源へ結線されるものであって、3つのヒータ(10)、(11)、(12)は、それぞれ炉の長さ方向にガイシ(7)によって支持筒(6)に取付けられ、かつ、各ヒータの発熱体は、ヒータ内を炉の長さ方向に平行な直線部を形成するように折り返して蛇行している様が図示されている。 第6 当審の判断 1 無効理由1(a)について (1)甲第1号証に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)の認定 ア 甲第1号証には、(1-ア)に記載の「焼成炉」について、(1-イ)には、「11は炉の本体を示す。・・・炉の本体11内には複数条の発熱体12a,12b,12c,12d,12eが空間を置いて配置されており、各発熱体12a,12b,12c,12d,12e間の空間には被焼成品13が炉台14の上に載せられて配置されている。」と記載されており、(1-エ)には、「第13図、第14図はこの発明に係るバツチ式の焼成炉の他の実施例を示したもの・・・である。 この実施例の特徴点について説明すると、炉本体11の上面から発熱体12a,12b,12c,12d,12eを吊り下げて・・・いる。その他の構成については、第7図、第8図のものと同一であるので同一番号を付して詳細な説明を省略する。」と記載されている。 イ ここで、(1-イ)及び図7、図8から、炉の本体11は内壁を含み、炉本体の底部を閉塞するかたちで炉台14を設けており、炉の本体内部に被焼成品を熱処理する空間を形成していることは明らかである。 ウ また、第13図、第14図より、発熱体12a,12eは炉本体の内壁に沿って互いに並列配置されていることも明らかである。 エ 以上によると、甲第1号証には以下の甲1発明が記載されているといえる。 「内壁を含む炉の本体と、炉本体の底部を閉塞する炉台とで形成される、被焼成品を熱処理する空間を有し、該空間には、炉本体の上面から鉛直方向に吊り下げられ、かつ前記内壁に沿って互いに並列配置された複数の発熱体を備えたバツチ式焼成炉」 (2)対比 ア 本件発明(前者)と、甲1発明(後者)とを対比すると、後者の、「内壁」、「炉本体」、「炉台」が、前者の「炉側壁」、「炉本体」、「炉床」に相当する。また、後者の、「炉本体の上面から鉛直方向に吊り下げられ、かつ前記内壁に沿って互いに並列配置された複数の発熱体」は,前者の、「該熱処理空間には、略鉛直方向に挿入され、かつ前記路側壁に沿って互いに平行配置された複数の炉内ヒータ」に相当する。 イ 以上によると、両者は以下の点で一致し、また、以下の点で相違すると認められる。 なお、これらの認定は、口頭審理において、当事者双方が合意している(口頭審理調書参照)。 一致点: 「炉側壁を含む炉本体と、炉本体の底部を閉塞する炉床とで形成される熱処理空間を有し、 該熱処理空間には、略鉛直方向に挿入され、かつ前記炉側壁に沿って互いに並列配置された、複数の炉内ヒータを備えた、 熱処理炉」 相違点A: 前者は、炉内ヒータが、「鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し、前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部とした」ものであるのに対して、後者は、発熱体の発熱部位を特定していない点。 相違点B: 前者は、複数の炉内ヒータが、「発熱部が前記熱処理空間内の鉛直方向に沿ったそれぞれ異なる位置に設けられている」のに対して、後者は、複数の発熱体の発熱部の位置関係を特定していない点。 (3)判断 a.相違点Aについて ア 甲第2号証の(2-ア)、(2-エ)には、炉内用ヒータとして、エレマU型、エレマSDL型が図示されており、このうち、エレマSDL型では、長さ方向の中央に低温部、低温部の両側に発熱部を設けたものが図示されている。 イ すると、このエレマSDL型ヒータは、1つの発熱体において、「鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し、前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部」としたものということができる。 ウ そして、このエレマSDL型は、(2-ウ)によれば、炉内温度分布を均一にすることを目的としている。 エ 一方、甲1発明においても、甲第1号証の(1-カ)より、炉内の温度分布を均一にすることを目的とするものといえる。 オ してみると、炉内の温度分布を均一にすることを目的とした甲1発明の発熱体として、甲第2号証記載のエレマSDL型ヒータを採用し、相違点Aを解消することは、当業者にとって容易なことである。 b.相違点Bについて ア 次に、甲1発明の発熱体を、甲第2号証記載のエレマSDL型ヒータに置き換え、その複数を炉側壁に沿って互いに並列配置したもの、すなわち、甲1発明において、相違点Aを解消したものについて考察するに、エレマヒータの配置は、甲第2号証の(2-イ)に図示されるように、同じ高さ位置に揃えられ配置されるのが通常であることを鑑みると、発熱体の発熱部は鉛直方向に沿って同一の位置に設けられるにすぎない。 したがって、甲1発明に甲第2号証に記載の技術を組み合わせても、相違点Bを導出することはできない。 イ また、甲第4号証には、(3-エ)、(3-オ)及び第4図の記載によると、複数のヒータを、炉の長さ方向(注:本件発明の「鉛直方向」に相当)に、上下多段に配置することは記載されているが、その全記載をみても、複数のヒータを鉛直方向に並列に配置する配置構造は、記載も示唆もないから、複数の発熱体(炉内ヒータ)を鉛直方向に並列配置することを前提とする甲1発明に、甲第4号証記載のヒータ配置を適用することはできない。 ウ なお、請求人は、審判請求書、弁駁書において、エレマU型とエレマSDL型等、発熱部の位置が異なる種類のエレマヒータを混在して用いると、複数の炉内ヒータが「発熱部が前記熱処理空間内の鉛直方向に沿ったそれぞれ異なる位置に設けられている」ものとなると主張している。 しかし、エレマU型とエレマSDL型等、発熱部の位置が異なる種類のエレマヒータを混在して用いることは、甲第2号証には何ら記載も示唆もされておらず、また、甲第4号証においても、異なるタイプのヒータを組み合わせる点については何ら記載も示唆もされていない。 エ してみると、甲1発明に、甲第2号証、甲第4号証の記載の技術を組み合わせても、相違点Bを解消することはできない。 c.小括 上記a.b.の検討の通りであるから、本件発明は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証、甲第4号証に記載の技術を組み合わせることにより当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。 2 無効理由1(b)について (1)甲第4号証に記載された発明(以下、「甲4発明」という。)の認定 ア 甲第4号証の、(3-イ)には、高圧高温炉用ヒータを用いた高圧高温処理装置の概略図として第1図を参照しつつ、「第1図において(1)は高圧容器であり、該高圧容器(1)の上下開口端部には上蓋(2)、下蓋(3)がそれぞれ配置され、高圧室(4)を画成している。高圧室(4)内には断熱層(5)が配置され,該断熱層(5)の内側には、金属製の支持筒(6)によつて支持され、ガイシ(7)によつて支持筒(6)に取付けられたヒータ(8)が配置されている。」と記載されている。 イ さらに、炉内の温度分布の均一化を計る(3-エ)ため案出したヒータとして、「3つのヒータ(10)、(11)、(12)が円筒状の支持筒(6)の内側に沿って、炉の長さ方向に上下3段に配置されており、3つのヒータ(10)、(11)、(12)は、独立して電源へ結線されるものであって、3つのヒータ(10)、(11)、(12)は、それぞれ炉の長さ方向にガイシ(7)によって支持筒(6)に取付けられ、かつ、各ヒータの発熱体は、ヒータ内を炉の長さ方向に平行な直線部を形成するように折り返して蛇行している」もの(3-オ)が第4図に図示されている。 ウ 以上によると、甲第4号証には以下の甲4発明が記載されているといえる。 「高圧容器(1)の上下開口端部には上蓋(2),下蓋(3)がそれぞれ配置され、高圧室(4)を画成し 前記高圧室(4)内の断熱層(5)の内側には、炉の長さ方向にそれぞれ独立して通電可能なヒータ(10),(11),(12)を3段に設け、前記ヒータ(10),(11),(12)の発熱体は,ガイシ(7)によって支持筒(8)に取付けられ,かつ,前記高圧室(4)内の断熱層(5)の内側に炉の長さ方向に平行な直線部を形成するように折り返しつつ蛇行配置されている高圧高温炉。」 (2)対比 ア 本件発明(前者)と、甲4発明(後者)とを対比すると、後者の、「高圧容器」、「下蓋」、「高圧室」、「炉の長さ方向」は、前者の、「炉側壁を含む炉本体」、「炉本体の底部を閉塞する炉床」、「熱処理空間」、「鉛直方向」に相当する。 イ 以上によると、両者は以下の点で一致し、また、以下の点で相違すると認められる。 なお、これらの認定は、口頭審理において、当事者双方が合意している(口頭審理調書参照)。 一致点: 「炉側壁を含む炉本体と、炉本体の底部を閉塞する炉床とで形成される熱処理空間を有する熱処理炉」 相違点C: 前者は、複数の炉内ヒータが「熱処理空間内には、略鉛直方向に挿入され、かつ前記路側壁に沿って互いに並列配置」されるのに対し、後者は、ヒータ(10),(11),(12)を炉の長さ方向に3段に配置するものである点。 相違点D: 前者は、炉内ヒータが「鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し、前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部とした」ものであるのに対して、後者の各ヒータの発熱体が蛇行配置されているものの、具体的な発熱部位を特定していない、(あるいは、発熱体の蛇行配置されている部分が全て発熱部である)点。 相違点E: 前者は、複数の炉内ヒータが、「発熱部が前記熱処理空間内の鉛直方向に沿ったそれぞれ異なる位置に設けられている」ように配置するのに対し、後者は、各ヒータの発熱体の発熱部位が具体的に特定されていないから、それぞれの発熱体の発熱部の位置関係も特定されない点。 (3)判断 d.相違点Cについて ア 甲第1号証の(1-エ)、甲第2号証の(2-イ)にはそれぞれ、複数の炉内ヒータ(甲第1号証では「発熱体」、甲第2号証では「エレマU型発熱体」)が「熱処理空間内に、略鉛直方向に挿入され、かつ前記炉側壁に沿って互いに並列配置」される、すなわち、複数の炉内ヒータが炉の長さ方向に分割されることなく並列配置される態様が記載されている。 イ しかしながら、甲4発明は、甲第4号証の(3-エ)、(3-オ)及び第4図にあるように、炉の長さ方向に上下3段分割して、複数のヒータが配置されたものであって、各ヒータを独立して通電可能とすることにより温度調整を行うものである。 ウ してみると、複数のヒータが炉の長さ方向に上下に分割して配置される甲4発明と、炉の長さ方向に分割されることなく並列配置される、甲第1号証、甲第2号証に記載の上記態様とでは、複数のヒータの配置構造においてそもそも大きく異なるものであるから、甲4発明のヒータを、甲第1号証、甲第2号証に記載の複数のヒータの配置構造を組み合わせることはできない。 エ なお、甲第1号証の第7図、第8図について記載された(1-イ)、(1-ウ)によると、第7図、第8図に記載された焼成炉は、複数条の発熱体12a,12b,12c,12d,12eを炉の本体内を左右横方向、言い換えると、炉の本体内を上下方向に分割して配置し、各発熱体12a,12b,12c,12d,12eをそれぞれ独立して通電することにより温度分布にバラツキがないように制御する態様が記載されている。 オ 即ち、第7図、第8図に記載された焼成炉においては、各発熱体を独立して通電することにより、それぞれ異なる一定の温度に設定し、複数の発熱体全体で上下、横方向に温度分布のバラツキのない制御を行っている。 カ してみると、甲4発明と甲第1号証の第7図、第8図に記載された焼成炉とは、炉内の熱処理空間を長さ方向に分割して、各々の段(水平方向)を独立して温度制御するという点で共通しており、甲4発明のヒータを甲第1号証の第7図、第8図に記載された態様の発熱体に置き換えることは容易であるといえる。 キ しかしながら、この場合では、炉内ヒータは熱処理空間内に、略水平方向に挿入されるものであるから、やはり、「熱処理空間内には、略鉛直方向に挿入され、かつ前記路側壁に沿って互いに並列配置」をとるものとはならない。 ク してみれば、甲4発明、甲第1号証の第7図、第8図の焼成炉に関する記載、甲2号証の記載をあわせても、本件発明における、炉内ヒータが「熱処理空間内には、略鉛直方向に挿入され、かつ前記路側壁に沿って互いに並列配置」されるものを導き出すことはできない。 e.相違点D,Eについて ア 上記「第6 1(3)」の相違点Aでも検討したように、甲第2号証記載のエレマSDL型ヒータは、1つの発熱体において、「鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し、前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部」としたものということができる。 イ しかしながら、上記「第6 2(3)」の相違点Cでも検討したように、甲4発明に、甲第2号証記載のエレマSDL型ヒータを組み合わせて用いることはできない。 ウ また仮に、甲4発明のヒータを甲第2号証記載のエレマSDL型発熱体に置き換えるとしても、その手法が、甲4発明の3段の各ヒータそれぞれをエレマSDL型発熱体に置き換える場合、甲4発明の3段からなるヒータ全体を、炉の長さ方向に一括してエレマSDL型発熱体に置き換える場合のいずれにおいても、複数の炉内ヒータの発熱体の「発熱部が前記熱処理空間内の鉛直方向に沿ったそれぞれ異なる位置に設けられている」という、相違点Eを解消することができないことは明らかである。 f.小括 上記d.?e.の検討の通りであるから、本件発明は、甲第4号証に記載された発明に、甲第1号証、甲第2号証に記載の技術を組み合わせることにより当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。 第7 無効理由2(本件特許明細書の旧36条第4項適合性)についての検討 1 請求人の具体的な主張 審判請求書第10頁下から第15行?第11頁第4行の記載によれば、請求人は、本件特許明細書は、以下の理由により、本件特許発明の属する分野における通常の知識を有するものが実施し得る程度に記載されているとはいえない旨主張していると認められる。 F 炉内ヒータの「電源」についての記載がなく本件発明を実施できない。 G 炉内ヒータの内部構造についての記載が無く本件発明を実施できない。 2 当審の判断 ・Fについて 本件特許明細書段落0012に記載の「SiCを用いて形成された炉内ヒータ」は、抵抗発熱体として周知であるから、炉外に電源を要することは当業者ならば自明である。 ・Gについて 本件特許明細書には、発熱部位の異なる炉内ヒータの内部構造に関する記載はないが、発熱体であるSiCの位置を変更することに技術的に困難性があるとはいえない。 してみれば、本件特許明細書に炉内ヒータの内部構造に関する記載が無いことをもって、当業者が実施することができないとはいえない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、請求人が主張する理由及び提示した証拠方法によっては、本件発明に係る特許を無効にすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担するものとする。 よって、結論の通り審決する。 ---------------------------------- |
審理終結日 | 2010-10-14 |
結審通知日 | 2010-10-18 |
審決日 | 2010-10-29 |
出願番号 | 特願平3-304688 |
審決分類 |
P
1
113・
536-
Y
(F27D)
P 1 113・ 121- Y (F27D) P 1 113・ 537- Y (F27D) P 1 113・ 856- Y (F27D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 長者 義久 |
特許庁審判長 |
吉水 純子 |
特許庁審判官 |
植前 充司 大橋 賢一 |
登録日 | 2001-06-08 |
登録番号 | 特許第3196261号(P3196261) |
発明の名称 | 炉内ヒータを備えた熱処理炉 |
代理人 | 特許業務法人共生国際特許事務所 |
代理人 | 速見 禎祥 |
代理人 | 岩坪 哲 |