• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41F
管理番号 1261332
審判番号 不服2011-9368  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-02 
確定日 2012-08-08 
事件の表示 特願2006-554160「ステンシルを同時に検査およびクリーニングするための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月 1日国際公開、WO2005/081599、平成19年 8月16日国内公表、特表2007-522970〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯
本願は、2005年2月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年2月19日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成18年8月18日付けで特許協力条約第19条による補正の翻訳文が提出され、平成22年11月2日付けで手続補正がされ、同年12月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成23年5月2日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。
なお請求人は、当審における平成23年9月22日付け審尋に対して、同年12月26日付けで回答書を提出している。

第2 平成23年5月2日付け手続補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成23年5月2日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成23年5月2日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、特許請求の範囲については、本件補正前に、

「 【請求項1】
電子基板の表面上で動作を実行するための装置であって、
フレームと、
前記フレームに連結され、前記電子基板上に材料を分配するディスペンサと、
第1のガントリシステム上で並進可能なステンシルとを含み、前記ステンシルは、前記ディスペンサによって前記材料が前記電子基板上で分配されると前記材料を受取る少なくとも1つのアパーチャを有し、前記装置はさらに、
前記電子基板が印刷位置にある場合に前記電子基板上での前記材料の分配を制御するコントローラと、
前記ステンシルが前記第1のガントリシステムによって前記電子基板から並進して離されると前記ステンシルから材料を除去するワイパと、
第2のガントリシステムに連結され、前記電子基板上の表面を検査するための検査プローブとを含み、前記検査プローブは前記電子基板上の位置に移動可能であり、
前記ステンシルは、前記電子基板が印刷位置にある場合、前記検査プローブが前記電子基板を検査する間、前記ワイパの上を並進し、
前記ワイパは、前記ステンシルが前記第1のガントリシステムによって、前記電子基板から並進して離され移動することによって材料を除去可能な位置に、固定されている、装置。
【請求項2】
前記ステンシルが、前記電子基板の検査と実質的に同時に、前記ワイパの上を並進する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ワイパが前記ステンシルの位置よりも下に位置決めされる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ステンシルが第1の前部位置から第2の後部位置まで並進し、前記ワイパによって前記材料が除去されると前記第1の前部位置に戻る、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ステンシルが、前記電子基板の位置に対して垂直に移動することにより、前記電子基板から並進して離れる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ステンシルが、前記電子基板から離れる第1の方向に並進し、前記ワイパに向かう第2の方向に並進する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
基板の表面上で印刷動作を実行するための方法であって、
前記基板上に材料を印刷するための位置に前記基板を搬送するステップと、
前記基板とステンシルとを整列させるステップとを含み、前記ステンシルは、前記材料が前記基板上に堆積すると前記材料を受取る少なくとも1つのアパーチャを有し、前記方法はさらに、
前記ステンシルを通じて前記基板上に前記材料を堆積させるステップと、
前記ステンシルが並進されると前記ステンシルの表面から残りの材料を除去するように位置決めされて固定されたワイパ上で、前記基板の前記表面上の位置から前記ステンシルを並進させるステップと、
前記基板が印刷位置にある場合にビデオプローブ検査システムを用いて前記基板を検査するステップとを含む、方法。
【請求項8】
前記検査するステップおよび前記並進させるステップが実質的に同時に行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ワイパ上で前記ステンシルを並進させつつ、第2の基板を印刷位置に搬送するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ステンシルプリンタにおいて、同時に電子基板を検査しステンシルをクリーニングするための方法であって、
前記電子基板の上方で前記ステンシルを位置決めするステップと、
前記電子基板上に材料を堆積させるステップと、
前記ステンシルおよび前記電子基板を分離するステップと、
前記電子基板の上の区域から除去される前記ステンシルをある位置に並進させるステップと、
前記ステンシルと前記電子基板との間の空間に検査システムを挿入するステップと、
前記ステンシルの並進により、前記ステンシルをクリーニング可能な位置に、ワイパを固定するステップと、
クリーニングのために前記ワイパ上で前記ステンシルを並進させつつ、前記電子基板を検査するステップとを含む、方法。」
とあったものを、

「 【請求項1】
基板の表面上で印刷動作を実行するための方法であって、
前記基板上に材料を印刷するための位置に前記基板を搬送するステップと、
前記基板とステンシルとを整列させるステップとを含み、前記ステンシルは、前記材料が前記基板上に堆積するように前記材料を受取る少なくとも1つのアパーチャを有し、前記方法はさらに、
前記ステンシルを通じて前記基板上に前記材料を堆積させて印刷するステップと、
前記ステンシルが並進されると前記ステンシルの表面から残りの材料を除去するように位置決めされて固定されたワイパ上で、前記基板の前記表面上の位置から前記ステンシルを並進させるステップと、
前記ステンシルを並進させる前記ステップと並行して、印刷位置にある前記基板の表面の上方にビデオプローブ検査システムを配置させて、前記基板を検査するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記ワイパ上で前記ステンシルを並進させつつ、第2の基板を印刷位置に搬送するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステンシルプリンタにおいて、同時に電子基板を検査しステンシルをクリーニングするための方法であって、
前記電子基板の上方で前記ステンシルを位置決めするステップと、
前記電子基板上に材料を堆積させて印刷するステップと、
前記ステンシルおよび前記電子基板を分離するステップと、
前記電子基板の上の区域から除去される前記ステンシルをある位置に並進させるステップと、
前記ステンシルと、印刷位置にある前記電子基板との間の、前記電子基板の表面の上方の空間に検査システムを挿入するステップと、
前記ステンシルの並進により、前記ステンシルをクリーニング可能な位置に、ワイパを固定するステップと、
クリーニングのために前記ワイパ上で前記ステンシルを並進させつつ、前記電子基板を検査するステップとを含む、方法。」
と補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)

(2)上記(1)の補正内容は次の補正事項からなる。
ア 本件補正前の請求項1ないし6、8を削除し、本件補正前の請求項7、9及び10をそれぞれ繰り上げて請求項1ないし3とする。

イ 本件補正前の請求項7及び9において、「前記ステンシルは、前記材料が前記基板上に堆積すると前記材料を受取る少なくとも1つのアパーチャを有し、」を「前記ステンシルは、前記材料が前記基板上に堆積するように前記材料を受取る少なくとも1つのアパーチャを有し、」と誤記を補正する。

ウ 本件補正前の請求項7及び9において、発明を特定するために必要な事項である「前記ステンシルを通じて前記基板上に前記材料を堆積させるステップ」を「前記ステンシルを通じて前記基板上に前記材料を堆積させて印刷するステップ」と限定する。
同様に、本件補正前の請求項10において、発明を特定するために必要な事項である「前記電子基板上に材料を堆積させるステップ」を、「前記電子基板上に材料を堆積させて印刷するステップ」と限定する。

エ 本件補正前の請求項7及び9において、発明を特定するために必要な事項である「前記基板が印刷位置にある場合にビデオプローブ検査システムを用いて前記基板を検査するステップ」を、「前記印刷位置にある前記基板の表面の上方にビデオプローブ検査システムを配置させて、前記基板を検査するステップ」と限定するとともに、この「ステップ」について「前記ステンシルを並進させる前記ステップと並行して、」と限定する。

オ 本件補正前の請求項10において、発明を特定するために必要な事項である「前記ステンシルと前記電子基板との間の空間に検査システムを挿入するステップ」を、「前記ステンシルと、印刷位置にある前記電子基板との間の、前記電子基板の表面の上方の空間に検査システムを挿入するステップ」と限定する。

2 補正の目的
(1)上記1(2)アの補正内容は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号の「請求項の削除」を目的とするものである。

(2)上記1(2)イの補正内容は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第3号の「誤記の訂正」を目的とするものである。

(3)上記1(2)ウないしオの補正内容は、本件補正前の請求項7、9及び10に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、いずれも、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1ないし3に係る発明は、平成23年5月2日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項によって特定されるものであるところ、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3 引用例の記載
(1)原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平10-44370号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 水平方向に延びるX軸の方向に移動するための第1移動機構及び垂直方向に延びるZ軸の方向に移動するための第2移動機構及び水平面内で回転するための回転機構を有する基板支持テーブルと、この基板支持テーブルの上方に配され、水平方向に延びるY軸の方向に移動するための移動機構を有するスクリーン支持手段と、前記基板支持テーブルと前記スクリーン支持手段との間に配され、X軸及びY軸の方向に移動自在で、前記基板支持テーブル上に載置された基板を撮像するカメラを有する第1撮像手段と、前記スクリーン支持手段の上方に配され、X軸及びY軸の方向に移動自在で、前記スクリーン支持手段に支持されたスクリーンを撮像するカメラを有する第2撮像手段と、前記基板にスクリーン印刷を行う前に、前記第1撮像手段に前記基板を撮像させて前記基板の位置認識を行い、前記第2撮像手段に前記スクリーンを撮像させて前記スクリーンの位置認識を行い、得られた前記基板及び前記スクリーンの位置情報から前記基板と前記スクリーンとの間のずれを算出し、前記基板支持テーブルの第1移動機構及び回転機構、前記スクリーン支持手段の移動機構を駆動して前記ずれを補正する制御手段と、を備えたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】 前記第1撮像手段が撮像したスクリーン印刷後の基板の画像から少なくとも印刷ペーストの位置ずれを判別する印刷ペースト良否判別手段を設け、前記制御手段が、前記印刷ペースト良否判別手段からの印刷ペーストの位置ずれ情報に基づいて前記基板と前記スクリーンとの間のずれを補正することを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】 前記制御手段が、周期的に前記第1撮像手段にスクリーン印刷後の基板を撮像させ、得られた画像から前記印刷ペースト良否判別手段に前記基板の印刷ペーストの良否を判別させることを特徴とする請求項2に記載のスクリーン印刷機。
【請求項4】 前記第2撮像手段が撮像した前記スクリーンの画像から前記スクリーンの開口部の目詰まりを判別する目詰まり判別手段を設けたことを特徴とする請求項1?請求項3のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項5】 前記制御手段が、周期的に前記第2撮像手段に前記スクリーンを撮像させ、得られた画像から前記目詰まり判別手段に前記スクリーンの開口部の目詰まりを判別させることを特徴とする請求項4に記載のスクリーン印刷機。
【請求項6】 前記スクリーンの上方または下方に配され、垂直方向に移動自在で、前記スクリーンに気体を吹き付ける気体吹付手段と、前記スクリーンを挟んで前記気体吹付手段と対向するように配され、垂直方向に移動自在で、前記スクリーンに付着した印刷ペーストの残滓を吸引する吸引手段とを備えた清掃手段を設けたことを特徴とする請求項1?請求項5のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項7】 前記清掃手段が、前記スクリーンと前記吸引手段との間に配され、前記スクリーンに対して接離し、前記印刷ペーストの残滓を付着させる通気性を有する清掃シートを備えたことを特徴とする請求項6に記載のスクリーン印刷機。
【請求項8】 前記スクリーンの下方に、垂直方向に移動自在で、前記スクリーンに付着した印刷ペーストの残滓を吸引する吸引手段と、前記スクリーンと前記吸引手段との間に配され、前記スクリーンに対して接離し、垂直方向に移動自在で、前記印刷ペーストの残滓を付着させる通気性を有する清掃シートとを備えた清掃手段を設けるとともに、前記スクリーン上を印刷ペースト塗布用のスキージが相対移動することにより前記スクリーンが前記清掃シートに押し付けられるようにしたことを特徴とする請求項1?請求項7のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項9】 前記制御手段が、前記印刷ペースト良否判別手段または前記目詰まり判別手段の判別結果が否である場合に前記清掃手段に前記スクリーンを清掃させることを特徴とする請求項6?請求項8のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項10】 請求項1?請求項9のいずれかに記載のスクリーン印刷機の制御方法であって、前記基板支持テーブル上に載置した基板を前記第1撮像手段に撮像させ、前記基板支持テーブルを印刷位置に上昇させて前記基板を前記第2撮像手段に撮像させ、前記第1撮像手段によって得られた前記基板の位置情報と前記第2撮像手段によって得られた前記基板の位置情報とのずれを算出させ、このずれによる誤差が解消されるように前記基板と前記スクリーンとの間のずれを補正させることを特徴とする制御方法。
【請求項11】 表面に校正用マークを有しこの校正用マークの位置が既知の校正用治具板を前記基板支持テーブル上に載置し、前記校正用マークを前記第1及び第2撮像手段に撮像させ、前記第1及び第2撮像手段によって得られた前記校正用マークの位置情報と前記校正用マークの既知の位置情報とのずれを算出させ、このずれによる誤差が解消されるように前記基板と前記スクリーンの位置認識を行わせることを特徴とする請求項10に記載のスクリーン印刷機の制御方法。」

イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品を基板にはんだ付けするためのクリームはんだ等のペーストを基板に印刷するためのスクリーン印刷機及びその制御方法に関するものである。」

ウ 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のスクリーン印刷機は、基板がスクリーンと接する位置にあるときに基板とスクリーンとの間のずれを算出することができないため、基板支持テーブルをZ軸方向に移動させる機構にひずみが有ると、基板とスクリーンとがずれた状態で印刷が行われてしまうという問題があった。
【0005】また、従来のスクリーン印刷機では、一台のカメラで基板とスクリーンとを撮像するようになっており、基板とスクリーンの画像は複雑な光学系を介してカメラに取り込まれるため、光学系にひずみが生じ易く、基板とスクリーンの正確な位置認識を行いにくいという問題があった。
【0006】また、スクリーンの画像を取り込む光学系は、画像の入射面をスクリーンの下面に向けた状態で配されるため、スクリーンから滴下したペーストが光学系の入射面に付着し、カメラがスクリーンの正確な位置を認識できなくなるという問題があった。
【0007】本発明は、上記の問題点を解決し、基板とスクリーンとの間のずれを高い精度で補正することができるスクリーン印刷機及びその制御方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0008】また、本発明の他の目的は、欠けやかすれ等が少ない高品質の印刷ペーストを有する基板を製造することができるスクリーン印刷機を提供することにある。」

エ 「【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態のスクリーン印刷機の要部の正面図、図2は図1のA-A線矢視図、図3は図1のスクリーン印刷機の右側面図、図4は図1のスクリーン印刷機の制御回路のブロック図である。
【0021】図1に示すスクリーン印刷機は、基板上にクリームはんだを印刷するためのもので、基台1上に設置された基板支持テーブル2と、この基板支持テーブル2の上方に配されたスクリーン支持手段3と、基板支持テーブル2とスクリーン支持手段3との間に配され、基板支持テーブル2上に載置された基板Pを撮像する第1撮像手段4と、スクリーン支持手段3の上方に配され、スクリーン支持手段3に支持されたスクリーンSを撮像する第2撮像手段5と、スクリーンSの上方に配された印刷ヘッド6と、基板Pを基板支持テーブル1上に供給する供給コンベヤ7と、基板Pを基板支持テーブル1上から排出する排出コンベヤ8と、基板支持テーブル2、スクリーン支持手段3、第1撮像手段4、第2撮像手段5、印刷ヘッド6、供給コンベヤ7、排出コンベヤ8を駆動制御する制御手段9(図4参照)とを備えている。
【0022】基板支持テーブル2は、水平方向に延びるX軸の方向(図1の左右方向)に移動するための第1移動機構10と、この第1移動機構10上に設けられ、水平面内で回転するための回転機構11と、この回転機構11上に設けられ、垂直方向に延びるZ軸の方向に移動するための第2移動機構12と、この第2移動機構12上に設けられた基板支持プレート13と、基板支持プレート13の上面に設けられ、基板PをX軸の方向に搬送する搬送機構(不図示)とを備えている。なお、基板Pの表面には、二個の位置認識用マーク(不図示)が付されている。
【0023】スクリーン支持手段3は、スクリーンSの周縁部の下面を支持するスクリーン支持枠14と、スクリーン支持枠14の上方に配され、スクリーンSの周縁部をスクリーン支持枠14に圧接する複数個のスクリーン押えシリンダ15と、水平方向に延びるY軸の方向(図2参照)に移動するための移動機構16とを備えている。なお、スクリーンSの上面には、二個の位置認識用マーク(不図示)が付されている。
【0024】第1撮像手段4は、カメラ17と、カメラ17をX軸方向及びY軸方向に移動させる移動機構18とを備えている。また、第2撮像手段5は、カメラ19と、カメラ19をX軸方向に移動させる移動機構20とを備えている。また、カメラ19は、印刷ヘッド6の移動機構22(後述)によってY軸方向に移動自在に支持されている。
【0025】印刷ヘッド6は、下部に設けられた印刷ペースト塗布用のスキージ21と、Y軸方向に移動するための移動機構22と、スキージ21をZ軸方向に移動するための垂直移動機構23とを備えている。
【0026】供給コンベヤ7は、基板支持テーブル2をX軸方向に移動させることによって基板支持テーブル2と連結され、この状態で供給コンベヤ7を駆動すると基板支持テーブル2の搬送機構が連動するようになっている。
【0027】排出コンベヤ8は、基板支持テーブル2をX軸方向に移動させることによって基板支持テーブル2と連結され、この状態で排出コンベヤ8を駆動すると基板支持テーブル2の搬送機構が連動するようになっている。
【0028】図4に示すように、制御手段9は、認識ボード24と、ROM(不図示)に格納されたプログラムに従って全体の制御を行うCPU25と、モータ制御部26とを備えており、認識ボード24はバス27を介してCPU25及びモータ制御部26に接続されている。認識ボード24には第1撮像手段4のカメラ17及び第2撮像手段5のカメラ19が接続されている。モータ制御部26には、サーボモータドライバSMDまたはパルスモータドライバPMDを介して、基板支持テーブル2の第1及び第2移動機構10、12、回転機構11、スクリーン支持手段3の移動機構16、第1撮像手段4の移動機構18、第2撮像手段5の移動機構20、印刷ヘッド6の移動機構22のサーボモータSMまたはパルスモータPMが接続されている。
【0029】SM1は基板支持テーブル2の第2移動機構12のサーボモータ、PM1は回転機構11のパルスモータ、PM2は第1移動機構10のパルスモータ、PM3はスクリーン支持手段3の移動機構16のパルスモータ、PM4は第1撮像手段4の移動機構18のX軸のパルスモータ、PM5は移動機構18のY軸のパルスモータ、SM2は第2撮像手段5の移動機構20のサーボモータ、PM6は第2撮像手段5のカメラ19をY軸方向に移動させる移動機構22のパルスモータである。
【0030】なお、図3において、28はハウジング、29及び30はハウジング28の前面及び後面に設けられた開口部(不図示)を開閉するためのガルウイング式の扉である。
【0031】次に、上記のように構成したスクリーン印刷装置の動作を説明する。まず、基板Pにスクリーン印刷を行う前に、第1撮像手段4のカメラ17と第2撮像手段5のカメラ19の位置合わせを行う。
【0032】基板Pを供給コンベヤ7上に載置すると、フォトセンサ(不図示)がこれを検知し、基板ストッパ(不図示)が下降し、基板Pを搬送中に移動しないように押さえる。次に、基板支持テーブル2が左方向に移動し、供給コンベヤ7と連結される。供給コンベヤ7が駆動され、これに基板支持テーブル2の搬送機構が連動して基板Pが基板支持テーブル2に向かって搬送される。基板Pが基板支持テーブル2上の所定位置に達すると、供給コンベヤ7が停止する。そして、公知の位置決め機構(不図示)によって基板Pが位置決めされた後、基板支持テーブル2が右方向に移動して元の位置(以下、原点位置と記す)に復帰する。
【0033】次に、第1撮像手段4のカメラ17がX軸方向及びY軸方向に移動して基板P上の二個の位置認識用マークを撮像する。その画像は認識ボード24に記憶される。CPU25は、認識ボード24に記憶された画像から各位置認識用マークの位置を認識し、RAM(不図示)に記憶する。
【0034】次に、カメラ17及びスクリーン支持手段3が水平方向に退避し、基板支持テーブル2が上昇し、基板Pが印刷位置に達すると基板支持テーブル2が停止する。第2撮像手段5のカメラ19がX軸方向及びY軸方向に移動して基板P上の二個の位置認識用マークを撮像し、その画像は認識ボード24に記憶される。CPU25は、認識ボード24に記憶された画像から各位置認識用マークの位置を認識し、得られた位置情報をRAMに記憶されている第1撮像手段4によって得られた位置情報と比較して両者のずれを算出する。このずれはカメラ17とカメラ19の位置ずれ及び基板支持テーブル2をZ軸方向に移動させる第2移動機構12のひずみによって生じるものである。CPU25は、このずれを解消するためのカメラ19の移動量を算出し、カメラ19を移動させ、その位置をカメラ19の新しい基準位置としてRAMに記憶させる。そして、基板支持テーブル2が原点位置に下降し、スクリーン支持手段3が印刷位置に復帰するとともにカメラ17が基準位置に復帰する。
【0035】次に、実際に基板Pにスクリーン印刷を行う場合について説明する。まず、第1撮像手段4のカメラ17がX軸方向及びY軸方向に移動して基板P上の二個の位置認識用マークを撮像し、その画像は認識ボード24に記憶される。そして、CPU25が認識ボード24に記憶された画像から各位置認識用マークの位置を認識し、位置情報がRAMに記憶される。また、第2撮像手段5のカメラ19がX軸方向及びY軸方向に移動してスクリーンS上の二個の位置認識用マークを撮像し、その画像は認識ボード24に記憶される。そして、CPU25が認識ボード24に記憶された画像から各位置認識用マークの位置を認識し、得られた位置情報をRAMに記憶された基板Pの位置認識用マークの位置情報と比較して基板PとスクリーンSとの間のずれを算出する。
【0036】CPU25は、このずれを補正するための基板支持テーブル2とスクリーン支持手段3の移動量を算出し、得られた値に基づいてモータ制御部26が基板支持テーブル2の移動機構10、回転機構11、スクリーン支持手段3の移動機構16のモータを駆動して基板PとスクリーンSとのずれを補正する。
【0037】次に、第1及び第2撮像手段4、5のカメラ17、19が退避し、基板支持テーブル2が上昇し、基板Pが印刷位置に達すると停止する。そして、印刷ヘッド6が下降し、スキージ21がスクリーンSの上面に沿って摺動し、基板P上にクリームはんだが印刷される。印刷が終了すると、基板支持テーブル2が下降し、原点位置に達すると一旦停止し、右方向に移動して排出コンベヤ8と連結される。そして、基板Pを位置決めしている位置決め機構が解除され、排出コンベヤ8が駆動され、これに基板支持テーブル2の搬送機構が連動して基板Pが排出コンベヤ8に向かって搬送される。基板Pが排出コンベヤ8上の所定位置に達すると、排出コンベヤ8が停止する。そして、基板支持テーブル2は原点位置に戻る。
【0038】その後、排出コンベヤ8が駆動され、基板Pはチップマウンタ(不図示)に搬送され、電子部品が取り付けられた後、炉内に搬送され、電子部品がはんだ付けされる。一方、基板支持テーブル2は供給コンベヤ7と連結され、供給コンベヤ7から次の基板Pを受け取る。そして、上記の工程が繰り返されて基板Pにスクリーン印刷が行われる。
【0039】なお、上記実施形態では、カメラ17、19の位置ずれや基板支持テーブル2の第2移動機構12のひずみによって生じるずれを解消するためにカメラ19の基準位置を変更しているが、これに代えて、カメラ17の基準位置を変更しても良い。また、カメラの基準位置を変更する代わりに、前記ずれを補正するために基板支持テーブル2及び/またはスクリーン支持手段3の移動量に加算するオフセット値を算出し、このオフセット値を基板支持テーブル2及び/またはスクリーン支持手段3の移動量に加算するようにしてもよい。なお、カメラ17とカメラ19の位置合わせや前記オフセット値の算出は全基板について実施する必要はなく、所定の周期(印刷を行った基板の枚数や経過時間等)毎に実施すれば良い。」

オ 「【0045】次に、本発明の第3実施形態について説明する。この実施形態では、制御手段9に、第1撮像手段4のカメラ17が撮像したスクリーン印刷後の基板Pの画像から印刷ペーストの印刷ずれ、かけ、やせ、ブリッジ、にじみ等を判別する印刷ペースト良否判別手段が設けられている。この印刷ペースト良否判別手段はROMに格納されたプログラムによって構成されており、この印刷ペースト良否判別手段によって周期的に基板Pのクリームはんだの良否を判別する。なお、周期は、例えば印刷した基板の枚数や経過時間等によって決められる。
【0046】印刷ペースト良否判別手段によって印刷ペーストの良否を判別する手順を図5、6のフローチャート図に従って説明する。RAMにはあらかじめ基板P上のクリームはんだ印刷領域の面積、形状、位置等の情報が記憶されており、これに基づいて個々のクリームはんだ印刷領域に対して検査範囲が設定される(ステップ#5)。
【0047】次に、カメラ17が取り込んだ検査範囲内の画像が二値化処理され(ステップ#10)、クリームはんだ印刷領域の形状をあらかじめRAMに記憶されているクリームはんだ印刷領域の形状と照合することによりクリームはんだ印刷領域の中心が算出される(ステップ#15)。この中心の位置をRAMに記憶されているクリームはんだ印刷領域の中心の位置と比較することによりクリームはんだ印刷領域のずれが算出され(ステップ#20)、このずれが許容値以下であるか否かが判定され(ステップ#25)、許容値より大きい場合にはNGと判定され(ステップ#30)、ディスプレイ(不図示)にNGを表す表示がなされ、処理が中断される。そして、得られた印刷ずれ情報に基づいてモータ制御部26が基板支持テーブル2の第1移動機構10、回転機構11、スクリーン支持手段3の移動機構16のモータを駆動して基板PとスクリーンSとのずれを補正する。
【0048】ずれが許容値以下の場合には、クリームはんだの欠け、やせが許容値以下であるか否かを判別する工程に進む。まず、クリームはんだ印刷領域の画素数を数えることによりクリームはんだ領域の面積が測定され(ステップ#35)、測定面積とRAMに記憶されている基準面積との差の絶対値が許容値以下であるか否かが判定され(ステップ#40)、面積差が許容値より大きい場合にはNGと判定され(ステップ#45)、ディスプレイにNGを表す表示がなされ、処理が中断される。
【0049】面積差が許容値以下の場合には、クリームはんだのブリッジ、にじみが許容値以下であるか否かを判別する工程に進む。まず、個々のクリームはんだ印刷禁止領域に対して検査範囲が設定され(ステップ#50)、カメラ17が取り込んだ検査範囲内の画像が二値化処理され(ステップ#55)、クリームはんだ領域の画素数を数えることによりクリームはんだ領域の面積が測定される(ステップ#60)。そして、測定面積がRAMに記憶されている許容値以下であるか否かが判定され(ステップ#65)、許容値より大きい場合にはNGと判定され(ステップ#70)、ディスプレイにNGを表す表示がなされ、処理が中断される。許容値以下の場合にはこの基板Pの印刷ペーストはOKであると判定され(ステップ#75)、ディスプレイにOKを表す表示がなされ、処理が終了する。」

カ「【0050】次に、本発明の第4実施形態について説明する。この実施形態では、制御手段9に、第2撮像手段5のカメラ19が撮像したスクリーン印刷後のスクリーンSの画像からスクリーンSの目詰まりを判別する目詰まり判別手段が設けられている。この目詰まり判別手段は、ROMに格納されたプログラムによって構成されている。そして、図7に示すように、スクリーンSの退避位置の手前の位置には、スクリーンSの下方に配された第1清掃手段31と、この第1清掃手段31に対してスクリーンSの退避方向側に並ぶように配された第2清掃手段32とが設けられている。
【0051】第1清掃手段31は、垂直方向に移動自在で、スクリーンSに付着したクリームはんだの残滓を吸引するノズル33と、スクリーンSと吸引ノズル33との間に配され、スクリーンSに対して接離し、クリームはんだの残滓を付着させる清掃シート34とを備えている。ノズル33はスクリーンSの紙面と垂直方向の幅とほぼ同じ幅を有しており、コンプレッサ(不図示)に接続されている。清掃シート34はスクリーンSの前記幅とほぼ等しい幅を有する長尺状のもので、適度の通気性を有する紙や不織布等によって構成され、アルコール等の有機溶剤を浸透させてある。
【0052】清掃シート34は、紙面と垂直の方向に延びる繰り出しローラ35に巻かれており、その先端は、ローラ35に対してスクリーンSの退避方向に間隔をおいて平行に配された巻き取りローラ36に接続されている。繰り出しローラ35と巻き取りローラ36の間の部分は、ローラ35、36の上方に平行に配された一対のガイドローラ37、38によってスクリーンSと対向するように案内されている。巻き取りローラ36にはモータ(不図示)が連結されており、このモータを駆動すると清掃シート34が矢印の方向に移動するようになっている。
【0053】第2清掃手段32は、スクリーンSの下方に配され、垂直方向に移動自在で、スクリーンSに空気を吹き付けるノズル39と、このノズル39とスクリーンSを挟んで対向するように配され、垂直方向に移動自在で、スクリーンSに付着したクリームはんだの残滓を吸引するノズル40と、スクリーンSとノズル40との間に配され、スクリーンSに対して接離し、クリームはんだの残滓を付着させる清掃シート41とを備えている。ノズル39、40はスクリーンSの紙面と垂直方向の幅とほぼ同じ幅を有しており、それぞれコンプレッサ(不図示)に接続されている。清掃シート41は、スクリーンSの前記幅とほぼ等しい幅を有する長尺状のもので、適度の通気性を有する紙によって構成されている。
【0054】清掃シート41は、紙面と垂直方向に延びる繰り出しローラ42に巻かれており、その先端は、繰り出しローラ42に対して上方に間隔をおいて平行に配された巻き取りローラ43に接続されている。ローラ42、43間の部分は、ローラ42の下方に平行に配された一対のガイドローラ44、45によってスクリーンSと対向するように案内され、ローラ43の下方に平行に配されたガイドローラ46によって巻き取りローラ43に案内されている。ローラ43にはモータ(不図示)が連結されており、このモータを駆動すると清掃シート41が矢印の方向に移動するようになっている。
【0055】次に、この実施形態のスクリーン印刷機の動作を説明する。まず、第2撮像手段5のカメラ19がX軸及びY軸の方向に移動してスクリーン印刷後のスクリーンSを撮像し、その画像が認識ボード24に記憶される。この画像は目詰まり判別手段によって処理され、スクリーンSの目詰まりが判別される。以下にその手順を図8に示すフローチャート図に従って説明する。
【0056】RAMにはあらかじめスクリーンSの個々の開口部の面積、形状、位置等の情報が記憶されており、これに基づいて、スクリーンSの個々の開口部に対して検査範囲が設定される(ステップ#105)。次に、カメラ19が取り込んだ検査範囲内の画像が二値化処理され(ステップ#110)、クリームはんだ領域の画素数を数えることによりクリームはんだ領域の面積が測定される(ステップ#115)。そして、RAMにはあらかじめクリームはんだ領域の面積の許容値が記憶されており、測定面積が許容値以下であるか否かが判定される(ステップ#120)。測定面積が許容値より大きい場合にはNGと判定され(ステップ#125)、ディスプレイにNGを表す表示がなされ、第1及び第2清掃手段31、32によってスクリーンSの清掃が行われた後(ステップ#130)、ステップ#105に戻り、再びスクリーンSの開口部の目詰まりが判定される。測定面積が許容値以下の場合にはOKと判定され(ステップ#135)、ディスプレイ(不図示)にOKを表す表示がなされ、処理が終了する。
【0057】第1及び第2清掃手段31、32によるスクリーンSの清掃について詳しく説明すると、まず、スクリーン支持手段3が退避位置に向かって移動し、スクリーンSの先端が第1清掃手段31の位置に達すると、スクリーン支持手段3が停止する。次に、第1清掃手段31が上方に移動して清掃シート34がスクリーンSの下面に接する位置で停止し、スキージ21が下降してスクリーンSの上面に接する。次に、スクリーン支持手段3が退避位置に向かって移動するとともに、第1清掃手段31のノズル33に接続されたコンプレッサが駆動される。スクリーン支持手段3の移動に伴ってスクリーンSの下面が清掃シート34で拭かれ、スクリーンSの下面に付着したクリームはんだ及びフラックスがノズル33によって清掃シート34上に吸引される。なお、スクリーンSの上面にスキージ21が接しており、スクリーンSが清掃シート34に確実に密着するため、効果の高い清掃を行うことができる。
【0058】スクリーンSの先端が第2清掃手段32の位置に達すると、スクリーン支持手段3が一旦停止する。そして、第2清掃手段32のノズル39が上昇し、スクリーンSの下面から少し離れた位置で停止するとともに、ノズル40及び清掃シート41が下降して清掃シート41がスクリーンSの上面に接すると停止する。そして、再びスクリーン支持手段3が退避位置に向かって移動し始め、ノズル39、40に接続されたコンプレッサが駆動され、第1清掃手段32によって清掃されたスクリーンSの下面にノズル39から噴射された空気が吹き付けられ、開口部内に付着しているクリームはんだ及びフラックスが吹き飛ばされ、吹き飛んだクリームはんだ及びフラックスはノズル40に吸引され、清掃シート41に付着し、浸み込む。
【0059】以上のように第1及び第2清掃手段31、32によってスクリーンSの上下面と開口部内が清掃された後、清掃シート34、41、ノズル33、39、40はスクリーンSから離れ、スクリーン支持手段3は印刷位置に戻る。そして、第1清掃手段31の巻き取りローラ36が駆動され、清掃シート34が所定量送られ、清掃シート34の未使用の部分がスクリーンSと対向する位置に繰り出される。また、第2清掃手段32の巻き取りローラ43が駆動され、清掃シート41が所定量送られ、清掃シート41の未使用の部分がスクリーンSと対向する位置に繰り出される。
【0060】なお、上記実施形態では、目詰まり判別手段の判別結果に基づいてスクリーンSの清掃を行うようにしているが、周期的にスクリーンSの清掃を行うようにしても良い。また、印刷ペースト良否判定手段の判別結果に基づいてスクリーンSの清掃を行うようにしても良い。
【0061】また、上記実施形態では、清掃手段及びスキージを停止させた状態でスクリーンを移動させることによってスクリーンを清掃するようにしているが、これに代えて、スクリーンを停止させた状態で清掃手段及びスキージを移動させることによってスクリーンを清掃するようにしても良い。
【0062】また、スクリーンSを清掃する手段は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した清掃手段や既存の清掃手段を種々組み合わせることによって構成することができる。」

キ 「【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のスクリーン印刷機によれば、スクリーンを撮像するカメラを別個に設け、かつスクリーン支持手段をY軸方向に移動自在としたことにより、基板がスクリーンと接する位置に有るときの基板とスクリーンとのずれを算出することができるため、基板支持テーブルをZ軸方向に移動させる機構にひずみが有っても、それによって生じるずれを解消するように基板とスクリーンとのずれを補正することができる。
【0064】また、基板を撮像するカメラとスクリーンを撮像するカメラを別にしたことにより、一台のカメラで基板とスクリーンの双方を撮像する場合のように複雑な光学系を必要としないので、光学系のひずみによる誤差を少なくすることができる。
【0065】また、各カメラは画像入射面が下を向いた状態でセットされているため、スクリーンから滴下した印刷ペーストがカメラの画像入射面に付着することがない。
【0066】したがって、基板とスクリーンとの間のずれを高い精度で補正することができるものである。また、本発明のスクリーン印刷機は、スクリーン支持手段をY軸方向に移動させることができるため、内部のメンテナンスを行う際に作業性が良いという利点も有する。
【0067】請求項2のスクリーン印刷機によれば、第1撮像手段が撮像したスクリーン印刷後の基板の画像から少なくとも印刷ペーストの位置ずれを判別する印刷ペースト良否判別手段を設け、制御手段が、印刷ペースト良否判別手段からの印刷ペーストの位置ずれ情報に基づいて基板とスクリーンとの間のずれを補正するようにしたことにより、基板とスクリーンとの間のずれをさらに高い精度で補正することができる。
【0068】請求項3のスクリーン印刷機によれば、制御手段が、周期的に第1撮像手段にスクリーン印刷後の基板を撮像させ、得られた画像から印刷ペースト良否判別手段に印刷ペーストの良否を判別させ、印刷ペースト良否判別手段からの印刷ペーストの位置ずれ情報に基づいて基板とスクリーンとの間のずれを補正するようにしたことにより、基板支持テーブル、スクリーン支持手段、第1及び第2撮像手段の移動機構に経時変化によるひずみが生じても、そのひずみによる誤差を少なくすることができるので、基板とスクリーンとの間のずれをより高い精度で補正することができる。
【0069】請求項4のスクリーン印刷機によれば、第2撮像手段が撮像したスクリーンの画像からスクリーンの開口部の目詰まりを判別する目詰まり判別手段を設けたことにより、高品質の印刷ペーストを有する基板を得ることができる。
【0070】請求項5のスクリーン印刷機によれば、制御手段が、周期的に第2撮像手段にスクリーン印刷後のスクリーンを撮像させ、得られた画像から目詰まり判別手段にスクリーンの開口部の目詰まりを判別させるようにしたことにより、高品質の印刷ペーストを有する基板を安定して得ることができる。
【0071】請求項6のスクリーン印刷機によれば、スクリーンの上方または下方に配され、垂直方向に移動自在で、スクリーンに気体を吹き付ける気体吹付手段と、スクリーンを挟んで気体吹付手段と対向するように配され、垂直方向に移動自在で、スクリーンに付着した印刷ペーストの残滓を吸引する吸引手段とを備えた清掃手段を設けたことにより、高品質の印刷ペーストを有する基板を得ることができる。また、スクリーン支持手段がY軸方向に移動自在であるため、清掃手段は水平方向に移動するための機構を必要とせず、構造が簡素であり、低コストで製造することができる。
【0072】請求項7のスクリーン印刷機によれば、清掃手段が、スクリーンと吸引手段との間に配され、スクリーンに対して接離し、印刷ペーストの残滓を付着させる通気性を有する清掃シートを備えたことにより、さらに高品質の印刷ペーストを有する基板を得ることができる。
【0073】請求項8のスクリーン印刷機によれば、スクリーンの下方に、垂直方向に移動自在で、スクリーンに付着した印刷ペーストの残滓を吸引する吸引手段と、スクリーンと吸引手段との間に配され、スクリーンに対して接離し、垂直方向に移動自在で、印刷ペーストの残滓を付着させる通気性を有する清掃シートとを備えた清掃手段を設けるとともに、スクリーン上を印刷ペースト塗布用のスキージが相対移動することによりスクリーンが清掃シートに押し付けられるようにしたことにより、清掃シートがスクリーンに密着した状態でスクリーンの清掃が行われるので、効果の高いスクリーンの清掃を行うことができ、高品質の印刷ペーストを有する基板を得ることができる。
【0074】請求項9のスクリーン印刷機によれば、制御手段が、印刷ペースト良否判別手段または目詰まり判別手段の判別結果が否である場合に清掃手段にスクリーンを清掃させるようにしたことにより、高品質の印刷ペーストを有する基板を安定して得ることができるとともに、オペレータの負担を軽減することができる。
【0075】請求項10のスクリーン印刷機の制御方法によれば、第1撮像手段のカメラと第2撮像手段のカメラの位置ずれや基板支持テーブルをZ軸方向に移動させる第2移動機構のひずみによる誤差を少なくすることができるので、基板とスクリーンとの間のずれを高い精度で補正することができる。
【0076】請求項11のスクリーン印刷機の制御方法によれば、第1及び第2撮像手段のカメラを移動させる機構のひずみによる基板及びスクリーンの位置認識の誤差を少なくすることができるので、基板とスクリーンとの間のずれをより高い精度で補正することができる。」

ク 上記アないしキの記載から、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。

「電子部品を基板にはんだ付けするためのクリームはんだ等のペーストを基板に印刷するためのスクリーン印刷機の制御方法に関するものであって、
基板とスクリーンとの間のずれを高い精度で補正することができるとともに、欠けやかすれ等が少ない高品質の印刷ペーストを有する基板を製造することができることを目的として、
水平方向に延びるX軸の方向に移動するための第1移動機構及び垂直方向に延びるZ軸の方向に移動するための第2移動機構及び水平面内で回転するための回転機構を有する基板支持テーブルと、この基板支持テーブルの上方に配され、水平方向に延びるY軸の方向に移動するための移動機構を有するスクリーン支持手段と、前記基板支持テーブルと前記スクリーン支持手段との間に配され、X軸及びY軸の方向に移動自在で、前記基板支持テーブル上に載置された基板を撮像するカメラ17を有する第1撮像手段と、前記スクリーン支持手段の上方に配され、X軸及びY軸の方向に移動自在で、前記スクリーン支持手段に支持されたスクリーンを撮像するカメラ19を有する第2撮像手段と、スクリーンSの上方に配された印刷ヘッド6と、基板Pを基板支持テーブル上に供給する供給コンベヤ7と、
基板Pを基板支持テーブル1上から排出する排出コンベヤ8と、前記基板にスクリーン印刷を行う前に、前記第1撮像手段に前記基板を撮像させて前記基板の位置認識を行い、前記第2撮像手段に前記スクリーンを撮像させて前記スクリーンの位置認識を行い、得られた前記基板及び前記スクリーンの位置情報から前記基板と前記スクリーンとの間のずれを算出し、前記基板支持テーブルの第1移動機構及び回転機構、前記スクリーン支持手段の移動機構を駆動して前記ずれを補正する制御手段と、前記第1撮像手段が撮像したスクリーン印刷後の基板の画像から少なくとも印刷ペーストの位置ずれを判別する印刷ペースト良否判別手段と、前記スクリーンの上方または下方に配され、垂直方向に移動自在で、前記スクリーンに気体を吹き付ける気体吹付手段と、前記スクリーンを挟んで前記気体吹付手段と対向するように配され、垂直方向に移動自在で、前記スクリーンに付着した印刷ペーストの残滓を吸引する吸引手段とを備えた清掃手段とを備え、
前記制御手段が、前記印刷ペースト良否判別手段からの印刷ペーストの位置ずれ情報に基づいて前記基板と前記スクリーンとの間のずれを補正し、前記制御手段が、周期的に前記第1撮像手段にスクリーン印刷後の基板を撮像させ、得られた画像から前記印刷ペースト良否判別手段に前記基板の印刷ペーストの良否を判別させるものであり、前記清掃手段は、スクリーンSの退避位置の手前の位置には、スクリーンSの下方に配された第1清掃手段31と、この第1清掃手段31に対してスクリーンSの退避方向側に並ぶように配された第2清掃手段32とが設けられ、前記第1清掃手段31は、垂直方向に移動自在で、スクリーンSに付着したクリームはんだの残滓を吸引するノズル33と、スクリーンSと吸引ノズル33との間に配され、スクリーンSに対して接離し、クリームはんだの残滓を付着させる清掃シート34とを備え、前記第2清掃手段32は、スクリーンSの下方に配され、垂直方向に移動自在で、スクリーンSに空気を吹き付けるノズル39と、このノズル39とスクリーンSを挟んで対向するように配され、垂直方向に移動自在で、スクリーンSに付着したクリームはんだの残滓を吸引するノズル40と、スクリーンSとノズル40との間に配され、スクリーンSに対して接離し、クリームはんだの残滓を付着させる清掃シート41とを備えた、
スクリーン印刷機の制御方法であって、
基板Pを供給コンベヤ7上に載置すると、フォトセンサがこれを検知し、基板ストッパが下降し、基板Pを搬送中に移動しないように押さえ、次に、基板支持テーブル2が左方向に移動し、供給コンベヤ7と連結され、供給コンベヤ7が駆動され、これに基板支持テーブル2の搬送機構が連動して基板Pが基板支持テーブル2に向かって搬送され、基板Pが基板支持テーブル2上の所定位置に達すると、供給コンベヤ7が停止し、そして、公知の位置決め機構によって基板Pが位置決めされた後、基板支持テーブル2が右方向に移動して原点位置に復帰し、
前記第1撮像手段に前記基板を撮像させて前記基板の位置認識を行い、前記第2撮像手段に前記スクリーンを撮像させて前記スクリーンの位置認識を行い、得られた前記基板及び前記スクリーンの位置情報から前記基板と前記スクリーンとの間のずれを算出し、前記基板支持テーブルの第1移動機構及び回転機構、前記スクリーン支持手段の移動機構を駆動して前記ずれを補正し、
次に、第1及び第2撮像手段4、5のカメラ17、19が退避し、基板支持テーブル2が上昇し、基板Pが印刷位置に達すると停止し、そして、印刷ヘッド6が下降し、スキージ21がスクリーンSの上面に沿って摺動し、基板P上にクリームはんだが印刷され、印刷が終了すると、基板支持テーブル2が下降し、原点位置に達すると一旦停止し、右方向に移動して排出コンベヤ8と連結され、基板Pを位置決めしている位置決め機構が解除され、排出コンベヤ8が駆動され、これに基板支持テーブル2の搬送機構が連動して基板Pが排出コンベヤ8に向かって搬送され、基板Pが排出コンベヤ8上の所定位置に達すると、排出コンベヤ8が停止し、そして、基板支持テーブル2は原点位置に戻り、
その後、排出コンベヤ8が駆動され、基板Pはチップマウンタに搬送され、一方、基板支持テーブル2は供給コンベヤ7と連結され、供給コンベヤ7から次の基板Pを受け取り、そして、上記の工程が繰り返されて基板Pにスクリーン印刷を行うものであって、
基板Pのクリームはんだの良否の判別は、例えば印刷した基板の枚数や経過時間等によって決められた周期により周期的に行うものであり、
清掃手段によるスクリーンの清掃は、周期的に行うようにしても良く、
その清掃は、まず、スクリーン支持手段3が退避位置に向かって移動し、スクリーンSの先端が第1清掃手段31の位置に達すると、スクリーン支持手段3が停止し、次に、第1清掃手段31が上方に移動して清掃シート34がスクリーンSの下面に接する位置で停止し、スキージ21が下降してスクリーンSの上面に接し、次に、スクリーン支持手段3が退避位置に向かって移動するとともに、第1清掃手段31のノズル33に接続されたコンプレッサが駆動され、スクリーン支持手段3の移動に伴ってスクリーンSの下面が清掃シート34で拭かれ、スクリーンSの下面に付着したクリームはんだ及びフラックスがノズル33によって清掃シート34上に吸引され、スクリーンSの先端が第2清掃手段32の位置に達すると、スクリーン支持手段3が一旦停止し、そして、第2清掃手段32のノズル39が上昇し、スクリーンSの下面から少し離れた位置で停止するとともに、ノズル40及び清掃シート41が下降して清掃シート41がスクリーンSの上面に接すると停止し、そして、再びスクリーン支持手段3が退避位置に向かって移動し始め、ノズル39、40に接続されたコンプレッサが駆動され、第1清掃手段32によって清掃されたスクリーンSの下面にノズル39から噴射された空気が吹き付けられ、開口部内に付着しているクリームはんだ及びフラックスが吹き飛ばされ、吹き飛んだクリームはんだ及びフラックスはノズル40に吸引され、清掃シート41に付着し、浸み込み、第1及び第2清掃手段31、32によってスクリーンSの上下面と開口部内が清掃された後、清掃シート34、41、ノズル33、39、40はスクリーンSから離れ、スクリーン支持手段3は印刷位置に戻るものであって、
印刷ペースト良否判別手段からの印刷ペーストの位置ずれ情報に基づいて基板とスクリーンとの間のずれを補正するようにしたことにより、基板支持テーブル、スクリーン支持手段、第1及び第2撮像手段の移動機構に経時変化によるひずみが生じても、そのひずみによる誤差を少なくすることができるので、基板とスクリーンとの間のずれをより高い精度で補正することができ、高品質の印刷ペーストを有する基板を得ることができ、スクリーン支持手段がY軸方向に移動自在であるため、清掃手段は水平方向に移動するための機構を必要とせず、構造が簡素であり、低コストで製造することができるようになした、
スクリーン印刷機の制御方法。」(以下「引用発明1」という。)

(2)原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平9-300580号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動クリーニング機能を有するスクリーン印刷機において、クリーニング動作中に、この動作と並行して印刷結果を認識カメラにより検査する工程を設け、この検査結果をオフセット登録することにより、以後の印刷補正動作に反映させることを特徴とするスクリーン印刷方法。」

イ 「【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のスクリーン印刷機の工程においては、図4の場合のように、スクリーンパターンと基板パターンの位置ズレを測定するために、機械を一旦停止する必要があり、また、作業者が印刷結果を検査するための工数も発生し、生産性が低下するという問題があった。
【0009】また、図5の場合においても、クリーニング動作に連続して、印刷結果の検査工程が必要であり、この印刷結果の検査には時間を要し、印刷機の生産性が低下するという問題があった。」

ウ 上記ア及びイの記載から、引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。

「クリーニング動作に連続して、印刷結果の検査工程が必要であり、この印刷結果の検査には時間を要し、印刷機の生産性が低下するという課題を解決するために、
自動クリーニング機能を有するスクリーン印刷機において、クリーニング動作中に、この動作と並行して印刷結果を認識カメラにより検査する工程を設け、この検査結果をオフセット登録することにより、以後の印刷補正動作に反映させるスクリーン印刷方法。」(以下「引用発明2」という。)

4 本願補正発明について
(1)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「基板」、「『印刷』する動作」、「方法」、「『クリームはんだ』又は『ペースト』」、「印刷」、「搬送」、「スクリーン」、「開口部」、「クリームはんだの残滓」、「上方」及び「良否を判別する」は、それぞれ、本願補正発明の「基板」、「印刷動作」、「方法」、「材料」、「印刷」、「搬送」、「ステンシル」、「アパーチャ」、「残りの材料」、「上方」及び「検査する」に相当する。

イ 引用発明1の「制御方法」は、「電子部品を基板にはんだ付けするためのクリームはんだ等のペーストを基板に印刷するためのスクリーン印刷機の制御方法」であるから、本願補正発明の「方法」と、「基板の表面上で印刷動作を実行するための方法」である点で一致する。

ウ 引用発明1の「制御方法」は、「基板Pを供給コンベヤ7上に載置すると、フォトセンサがこれを検知し、基板ストッパが下降し、基板Pを搬送中に移動しないように押さえ、次に、基板支持テーブル2が左方向に移動し、供給コンベヤ7と連結され、供給コンベヤ7が駆動され、これに基板支持テーブル2の搬送機構が連動して基板Pが基板支持テーブル2に向かって搬送され、基板Pが基板支持テーブル2上の所定位置に達すると、供給コンベヤ7が停止し、そして、公知の位置決め機構によって基板Pが位置決めされ」るものであり、この基板が搬送される位置は、基板P上にクリームはんだが印刷されるための位置であるから、引用発明1の「制御方法」は、「前記基板上に材料を印刷するための位置に前記基板を搬送するステップ」を含むといえ、本願補正発明の「方法」と、「前記基板上に材料を印刷するための位置に前記基板を搬送するステップ」を含む点で一致する。

エ 引用発明1の「制御方法」は、「前記第1撮像手段に前記基板を撮像させて前記基板の位置認識を行い、前記第2撮像手段に前記スクリーンを撮像させて前記スクリーンの位置認識を行い、得られた前記基板及び前記スクリーンの位置情報から前記基板と前記スクリーンとの間のずれを算出し、前記基板支持テーブルの第1移動機構及び回転機構、前記スクリーン支持手段の移動機構を駆動して前記ずれを補正」するものであり、このずれの補正は、基板Pとスクリーンとを整列させるものであるといえるから、引用発明1の「制御方法」と本願補正発明の「方法」とは、「前記基板とステンシルとを整列させるステップ」を含む点で一致する。

オ 引用発明1における「ステンシル(スクリーンS)」の「アパーチャ(開口部)」は、「スキージ21がスクリーンSの上面に沿って摺動し、基板P上にクリームはんだが印刷され」るように開口しているものであるから、引用発明1の「アパーチャ」は、「材料(クリームはんだ)が基板上に堆積するように前記材料を受取る」ものであるといえ、引用発明1における「ステンシル」と本願補正発明の「ステンシル」とは、「前記材料が前記基板上に堆積するように前記材料を受取る少なくとも1つのアパーチャを有」する点で一致する。

カ 引用発明1の「制御方法」は、「スキージ21がスクリーンSの上面に沿って摺動し、基板P上にクリームはんだが印刷され」るものであるから、「ステンシル(スクリーンS)」を通じて基板上に「材料(クリームはんだ)」を堆積させて印刷するものであるといえ、本願補正発明の「方法」と、「前記ステンシルを通じて前記基板上に前記材料を堆積させて印刷するステップ」を含む点で一致する。

キ 引用発明1において、清掃手段の清掃シート34はスクリーンSの下面を拭くものであるから、引用発明1の「清掃手段」は、本願補正発明の「ワイパ」に相当する。
引用発明1において、清掃手段によるスクリーンSの清掃は、スクリーンSに付着したクリームはんだの残滓を吸引、付着、又は、吹き付けることにより清掃するものであるから、「ステンシルの表面から残りの材料を除去する」ものであるといる。
そして、「スクリーン支持手段がY軸方向に移動自在であるため、清掃手段は水平方向に移動するための機構を必要とせず、構造が簡素」なものであり、その清掃が、スクリーンSの退避位置の手前の位置に配された第1清掃手段31及び第2清掃手段32からなる清掃手段によってなされるものであり、スクリーン支持手段3の待避位置に向かっての移動、スクリーン支持手段3の停止、第1清掃手段のスクリーンSへの当接、スクリーン清掃手段31の待避位置に向かっての移動、スクリーン支持手段3の停止、第2清掃手段32のスクリーンSへの当接、スクリーン清掃手段31が待避位置に向かっての移動が、順次行われるものであるから、引用発明1の「ワイパ(清掃手段)」は、「ステンシルの表面から残りの材料を除去するように位置決めされて固定された」ものであるといえる。
また、「第1及び第2清掃手段31、32によってスクリーンSの上下面と開口部内が清掃された後、清掃シート34、41、ノズル33、39、40はスクリーンSから離れ、スクリーン支持手段3は印刷位置に戻」り、この清掃におけるスクリーンSの待避位置への移動は、スクリーン支持手段3が印刷位置にある位置から行われるものであり、スクリーン支持手段は水平方向に延びるY軸の方向に移動するための移動機構により行われるから、この清掃は、「前記基板の前記表面上の位置から前記ステンシルを並進させる」ことにより行われるものであるといえる。
よって、引用発明1の「制御方法」は、「前記ステンシルを並進されると前記ステンシルの表面から残りの材料を除去するように位置決めされて固定されたワイパ上で、前記基板の前記表面上の位置から前記ステンシルを並進させるステップ」を含むといえ、本願補正発明の「方法」と、「前記ステンシルを並進されると前記ステンシルの表面から残りの材料を除去するように位置決めされて固定されたワイパ上で、前記基板の前記表面上の位置から前記ステンシルを並進させるステップ」を含む点で一致する。

ク (ア)引用発明1では、「前記第1撮像手段にスクリーン印刷後の基板を撮像させ、得られた画像から前記印刷ペースト良否判別手段に前記基板の印刷ペーストの良否を判別させるもの」であるから、引用発明1の「第1撮像手段」と本願補正発明の「ビデオプローブ検査システム」とは、スクリーン印刷後の基板を検査するための撮像手段である点で一致する。
そして、引用発明1では、スクリーン支持手段が基板支持テーブルの上方に配され、「印刷ペースト良否判別手段」は、「『前記基板支持テーブルと前記スクリーン支持手段との間に配され、X軸及びY軸の方向に移動自在で、前記基板支持テーブル上に載置された基板を撮像するカメラ17を有する第1撮像手段』が撮像したスクリーン印刷後の基板の画像から少なくとも印刷ペーストの位置ずれを判別する」ものであり、「基板P上にクリームはんだが印刷され、印刷が終了すると、基板支持テーブル2が下降し、原点位置に達すると一旦停止し、右方向に移動して排出コンベヤ8と連結され、基板Pを位置決めしている位置決め機構が解除され、排出コンベヤ8が駆動され、これに基板支持テーブル2の搬送機構が連動して基板Pが排出コンベヤ8に向かって搬送され」るのであるから、引用発明1は、基板支持テーブル上に載置されたスクリーン印刷後の基板の画像を、基板支持テーブルとスクリーン支持手段との間に配され第1撮像手段により撮像するべく、印刷後、基板支持テーブルが下降して原点位置に停止させ、該停止した位置にある基板の上方に第1撮像手段を配置させて、スクリーン印刷後の基板を撮像し、該基板の印刷ペーストの良否を判別するものであることは、当業者にとって自明である。
また、引用発明1では、「前記第1撮像手段に前記基板を撮像させて前記基板の位置認識を行い、前記第2撮像手段に前記スクリーンを撮像させて前記スクリーンの位置認識を行い、得られた前記基板及び前記スクリーンの位置情報から前記基板と前記スクリーンとの間のずれを算出し、前記基板支持テーブルの第1移動機構及び回転機構、前記スクリーン支持手段の移動機構を駆動して前記ずれを補正し、次に、第1及び第2撮像手段4、5のカメラ17、19が退避し、基板支持テーブル2が上昇し、基板Pが印刷位置に達すると停止し、そして、印刷ヘッド6が下降し、スキージ21がスクリーンSの上面に沿って摺動し、基板P上にクリームはんだが印刷され」るのであるから、基板へのスクリーン印刷に先立ち、基板とスクリーンとの間のずれが補正されている。
よって、引用発明1の「制御方法」は、基板とスクリーンとの間のずれを補正し、基板支持テーブルが上昇し、印刷を行い、印刷が終了すると、基板支持テーブルが下降して原点位置に停止させ、該停止した基板支持テーブルに支持された該「基板の表面の上方に撮像手段を配置させて、前記基板を検査する」ものであるといえる。
(イ)本願補正発明における「印刷位置」に関し、同用語が、本件補正後の請求項2に「前記ワイパ上で前記ステンシルを並進させつつ、第2の基板を印刷位置に搬送するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。」と記載されていることから、本願補正発明における「印刷位置」は、前記ワイパ上で前記ステンシルを並進させる動作に対して支障なく基板を搬送できる位置を含むことは明らかである。
本件補正後の請求項2に関して本願明細書には、「【0009】この発明の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。当該方法はさらに、ビデオプローブ検査システムを用いて基板を検査するステップを含み得る。検査するステップおよび並進させるステップは、実質的に同時に行なうことができる。当該方法はまた、固定されたワイパに亘ってステンシルを並進させつつ第2の基板を印刷位置に搬送するステップを含み得る。」、「【0030】この発明の実施例においては、堆積が発生した後、視覚検査プローブは、基板を検査するようガントリシステム上で移動する。この発明の他の実施例においては、第1の基板を検査した後、印刷のために適所に挿入された第2の基板は、ステンシルがクリーニングされ続けている間、視覚システムを用いて適切に整列させることができる。」と記載されている。
また、本願の明細書に「【0016】プリンタ100に送り込まれた回路基板116は、典型的には、パッドまたは他の、通常導電性の表面区域のパターンを有しており、その上に、はんだペーストが堆積する。プリンタのコントローラによって方向付けられると、トラクタフィード機構114は、基板支持機構の上かつステンシル106の下の位置に基板を送り込む。ステンシル106の下の位置に到達すると、回路基板116は製造動作のために適所にくることとなる。回路基板116上にはんだペーストをうまく堆積させるために、回路基板116とステンシル106とをコントローラによって整列させる。整列は、以下に説明される視覚検査システムからの読取り値に基づいてステンシルまたは回路基板を移動させることによって達成される。はんだステンシル106と回路基板116とが正確に整列させられると、ステンシルが、アパーチャを通じてはんだペーストを塗布するために基板116の方に下げられるか、または、回路基板が、支持機構122によってステンシルの方に上げられてもよい。」、「【0017】ステンシル上のアパーチャのパターンは、既に回路基板116上にある導電性表面またはパッドのパターンに対応する。ステンシル106の上方で位置決めされた分配ヘッド/スクイージ108は、ステンシル106に載せて届けられ、スクイージによって塗布されるはんだペーストの量を変えることができる。スクイージ108はステンシルを横切って拭取りを行い、これにより、はんだペーストをステンシルアパーチャに押込んで基板116上に押出す。基板を支持する支持機構がステンシルの位置から下方向に遠ざかる場合、または、ステンシルがコントローラの制御を受けて基板から上方向に遠ざかる場合、はんだペーストは、予め設定されたパターンで回路基板116上に残る。回路基板116およびステンシル106が分離されると、回路基板116とはんだペーストとの間の表面張力により、はんだペーストのほとんどが回路基板上に残される。次いで、視覚検査システムは、はんだペーストが回路基板に正確に置かれたかどうか判断するためにはんだペースト堆積物を検査するよう回路基板116上で適所へと移動する。検査は、適量の材料を堆積させること、および、材料を回路基板上の適切な位置に堆積させることを確実にするのに役立つ。 ・・・(略)・・・ 」とあるように、基板支持機構の上への送り込み、基板とステンシルとの整列、ステンシルの下降又は基板の上昇、はんだペーストの押出し、基板の下降又はステンシルの上昇、基板の検査と順次行われる。
これらを考慮すると、本願補正発明における「印刷位置にある前記基板」としては、基板とステンシルとが整列され、基板がステンシルの方に上げられ、基板上に材料を堆積させ印刷した後、該基板を支持する支持機構がステンシルの位置から下方向に遠ざかった位置にある基板を含むと解釈される。
(ウ)上記(ア)及び(イ)からすると、引用発明1において「基板とスクリーンとの間のずれを補正し、基板支持テーブルが上昇し、印刷を行い、印刷が終了すると、基板支持テーブルが下降して原点位置に停止させ、該停止した基板支持テーブルに支持された該基板」は、本願補正発明の「印刷位置にある前記基板」に相当する。
よって、引用発明1の「制御方法」は、「印刷位置にある前記基板の表面の上方に撮像手段を配置させて、前記基板を検査するステップ」を含むといえ、本願補正発明の「方法」と、「印刷位置にある前記基板の表面の上方に撮像手段を配置させて、前記基板を検査するステップ」を含む点で一致する。

ケ 上記アないしクからすると、本願補正発明と引用発明1とは、
「基板の表面上で印刷動作を実行するための方法であって、
前記基板上に材料を印刷するための位置に前記基板を搬送するステップと、
前記基板とステンシルとを整列させるステップとを含み、前記ステンシルは、前記材料が前記基板上に堆積するように前記材料を受取る少なくとも1つのアパーチャを有し、前記方法はさらに、
前記ステンシルを通じて前記基板上に前記材料を堆積させて印刷するステップと、
前記ステンシルが並進されると前記ステンシルの表面から残りの材料を除去するように位置決めされて固定されたワイパ上で、前記基板の前記表面上の位置から前記ステンシルを並進させるステップと、
印刷位置にある前記基板の表面の上方に撮像手段を配置させて、前記基板を検査するステップとを含む、方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
本願補正発明では、「前記基板を検査するステップ」が、「前記ステンシルを並進させる前記ステップ」と並行して行われるものであるのに対して、
引用発明1では、そのように並行して行われるものであるのか不明な点。

相違点2:
「前記基板を検査するステップ」において前記基板を検査するために基板を撮像する撮像手段が、本願補正発明では、「ビデオプローブ検査システム」であるのに対して、
引用発明1では、「ビデオプローブ検査システム」であるか不明な点。

(2)判断
ア 上記相違点1について検討する。
(ア)引用例2には、上記3(2)で述べたとおり、引用発明2(上記3(2)ウ 参照。)が記載されている。

(イ)引用発明1においては、基板の印刷ペーストの良否の判別は、印刷後、基板支持テーブルが下降して原点位置に停止させ、該停止した位置にある基板の上方に第1撮像手段を配置させて、スクリーン印刷後の基板を撮像することにより行われる(上記(1)ク(ア) 参照。)ものであり、スクリーンの清掃は、水平方向に延びるY軸の方向に移動するための移動機構により、スクリーン支持手段が印刷位置にある位置から待避位置に向かって移動させることによって、スクリーンの退避位置の手前の位置に配された第1清掃手段31及び第2清掃手段32によってなされる(上記(1)キ 参照。)ものであるから、基板の印刷ペーストの良否の判別における動作とスクリーンの清掃における動作とは、干渉するような位置関係ではないことは、当業者にとって自明である。

(ウ)引用発明1においては、基板の印刷ペーストの良否の判別は、例えば印刷した基板の枚数や経過時間等によって決められた周期により周期的に行うものであり、清掃手段によるスクリーンの清掃も、周期的に行うようにしても良いものであり、基板の印刷ペーストの良否判別とスクリーンの清掃はいずれも印刷動作後のタイミングに行うものであり、各動作の周期の設定によっては、基板の印刷ペーストの良否判別動作とスクリーンの清掃動作とが同じ一周期の印刷動作後に必要になり得ることは、当業者であれば当然に認識できる事態である。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)からみて、引用発明1において、基板の印刷ペーストの良否の判定とスクリーンの清掃動作とが同じ一周期の印刷動作後に必要となる場合を考慮し、印刷機の生産性が低下しないように、清掃動作中に、この動作と並行して印刷ペーストの要否判別するようになし、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が引用発明2に基づいて容易になし得たことである。

イ 上記相違点2について検討する。
(ア)スクリーン印刷機において、基板を撮像する撮像手段としてビデオプローブを用いることは、本願優先日前に周知である(以下「周知技術」という。例.本願明細書に例示された米国特許第5060063号明細書、米国特許第4924304号明細書参照。)。

(イ)引用発明1において、基板の印刷ペーストの良否の判別するための撮像手段としてビデオプローブを採用し、ビデオプローブ検査システムとして上記相違点2に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。

ウ 上記ア及びイからみて、引用例1において、上記相違点1及び2に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が引用発明2及び周知技術に基づいて容易になし得たことである。

エ 本願補正発明の奏する効果は、引用発明1の奏する効果、引用発明2の奏する効果、周知技術の奏する効果から、当業者が予測できた程度のものである。

オ まとめ
したがって、本願補正発明は、当業者が引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明及び周知技術に記載された発明に基づき容易に発明をすることができたものである。

5 補正却下の決定のむすび
以上のとおり、本願補正発明は、当業者が引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成22年11月2日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年11月2日付け手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、上記「第2〔理由〕 1(1)」に本件補正前の請求項7として記載したとおりのものである。

2 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である引用例1及び2の記載事項は、前記「第2〔理由〕 3」に記載したとおりである。

3 対比・判断
上記「第2〔理由〕 2」で述べたとおり、本願補正発明は、それぞれ、本願発明を特定するために必要な事項について限定を付加したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものにそれぞれ相当する本願補正発明が、前記「第2〔理由〕 4」に記載したとおり、当業者が引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
したがって、本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-07 
結審通知日 2012-03-13 
審決日 2012-03-29 
出願番号 特願2006-554160(P2006-554160)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B41F)
P 1 8・ 121- Z (B41F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 真介  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 東 治企
菅野 芳男
発明の名称 ステンシルを同時に検査およびクリーニングするための方法および装置  
代理人 森田 俊雄  
代理人 仲村 義平  
代理人 野田 久登  
代理人 堀井 豊  
代理人 深見 久郎  
代理人 酒井 將行  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ