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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01J |
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管理番号 | 1263211 |
審判番号 | 不服2011-22166 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-10-13 |
確定日 | 2012-09-14 |
事件の表示 | 特願2006- 4976「プラズマ源、イオン源、及び、イオン生成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月24日出願公開、特開2006-222078〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成18年1月12日(優先権主張 平成17年1月14日)の出願であって、平成23年3月11日付けで拒絶理由が通知され、同年7月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願の請求項3に係る発明 本願の請求項3に係る発明(以下「本願発明」という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項3に記載されたとおり次のように特定されるものである。 「Re、Os、又はIrからなる加熱金属体に、金属からなる蒸気を噴射することにより金属イオンを生成するイオン源及びプラズマ源。」 第3 引用例 1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物であるSchrittwieser, R. et al.,A new plasma source based on contact ionization,J. Appl. Phys.,米国,American Institute of Physics,1985年,Vol. 58, No. 1,page 598-600(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(日本語訳を記載する。) 「新しいタイプのプラズマ源が示されている。衝突のないプラズマが、ソレノイド磁気領域における円筒形の真空チャンバの一方端にイオンを形成し、他端に電子を形成することにより作られる。イオンは、タングステン上のカリウムを接触式でイオン化することにより形成される。電子源はLaB_(6)プレートである。通常の片端式Qマシンにおいて、レニウム、イリジウム及びプラチナ(白金)が、カリウムやバリウムに対するイオン化剤として試験される。」(第598ページ上欄、要約部分) 「通常の片側端Qマシンの装備において、イオン化剤としてRe、Ir及びPtを試験するにあたり、これらの部材のプレート全体を熱したものを用いることなく、寸法が25×25mmで厚さ0.13mmの箔を通常のタングステンの熱板の前3mmのところに吊した。この手法において、それらは予め放射熱によって熱せられた。図1(b)は、箔が約2000Kの温度に達した装置を示す。Ptの融点は2045Kなので、Pt箔の場合は、非常な注意が必要である。これらの実験の間、電子源(端)は、熱せられなかった。」(第599ページ右欄第10?19行) 「 」(第600ページ左欄) 「FIG1:実験装置:全ての寸法の単位はmm.(a)装置1:左側にはイオン源として1500Kまで熱せられたW(タングステン)プレートがあり、影が付けられた領域は熱源から発せられた中性(イオン化されていない)ビームを示す。右側ではLaB_(6)でカバーされたW(タングステン)プレートが同じ温度まで熱せられ、電子源として機能する。(b)装置2:W(タングステン)プレートの前にRe、Ir又はPtの箔が設置され、主として放射熱で熱せられる。この装置においては右側は熱せられない。」(FIG1下のFIG1の説明文) 2 引用例1に記載された発明の認定 FIG1(a)には、「K-BEAM」と記された影の部分が記載されており、FIG1の下の説明文には当該部分について熱源(oven)からの中性ビームと記載されており、これが、イオン化されていないカリウム(蒸気)のビームであるものと認められる。そして、FIG1(b)にも同様の熱源(oven)からのビームが記載されており、これは、FIG1(a)と同様にカリウム(蒸気)のビームであるものと認められる。 そして、FIG1(b)から、カリウム(蒸気)のビームが、Re、Ir又はPtの箔に向けて発せられているものであることが見て取れる。 なお、FIG1(b)の熱源(oven)からのビームがカリウム(蒸気)のビームであることは、要約部分における「通常の片端式Qマシンにおいて、レニウム、イリジウム及びプラチナ(白金)が、カリウムやバリウムに対するイオン化剤として試験される。」の記載とも整合する。 よって、上記の引用例1の記載(図面の記載も含む)から、引用例1には、 「Re、Ir又はPtの箔に向けてカリウムの蒸気のビームが発せられてイオンが形成されるプラズマ源であって、、 上記のRe、Ir又はPtの箔は予め放射熱によって2000Kにまで熱せられるプラズマ源。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 第4 本願発明と引用発明の対比及び当審の判断 1 ここで、本願発明と引用発明を対比する。 引用発明における「Re、Ir又はPt」の内の「Re」及び「Ir」は、本願発明の「Re、Os、又はIr」に含まれることから、引用発明の「予め放射熱によって2000Kにまで熱せられる」「Re、Ir又はPtの箔」が、本願発明の「Re、Os、又はIrからなる加熱金属体」に相当する。 また、引用発明の「カリウムの蒸気のビーム」が、本願発明の「金属からなる蒸気」に相当するから、引用発明の「Re、Ir又はPtの箔に向けてカリウムの蒸気のビームが発せられてイオンが形成され」、「上記のRe、Ir又はPtの箔は予め放射熱によって2000Kにまで熱せられる」ことが、本願発明の「Re、Os、又はIrからなる加熱金属体に、金属からなる蒸気を噴射することにより金属イオンを生成する」ことに相当する。 引用発明の「イオンが形成されるプラズマ源」が、本願発明の「イオン源及びプラズマ源」に相当する。 2 一致点、相違点、及び、当審の判断 したがって、本願発明と引用発明とは、 「Re、Os、又はIrからなる加熱金属体に、金属からなる蒸気を噴射することにより金属イオンを生成するイオン源及びプラズマ源。」の発明である点で一致し、両者に相違するところはない。 したがって、本願発明は、引用発明である。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明(本願の請求項3に係る発明)は、引用発明であり、特許法第29条第1項3号に規定する発明に該当するから、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-12 |
結審通知日 | 2012-07-18 |
審決日 | 2012-08-01 |
出願番号 | 特願2006-4976(P2006-4976) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H01J)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 林 靖 |
特許庁審判長 |
森林 克郎 |
特許庁審判官 |
伊藤 昌哉 北川 清伸 |
発明の名称 | プラズマ源、イオン源、及び、イオン生成方法 |
代理人 | 福森 久夫 |