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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H02K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1263416
審判番号 不服2011-9804  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-10 
確定日 2012-09-12 
事件の表示 特願2000-365590「流体軸受けモータ」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月14日出願公開、特開2002-171719〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年11月30日の出願であって、平成22年4月5日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成22年4月7日)、これに対し、平成22年5月27日付で意見書及び手続補正書が提出されたが、平成22年12月27日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成23年1月11日)、これに対し、平成23年5月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に手続補正書が提出されたものである。


2.平成23年5月10日付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成23年5月10日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由I]
(1)補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲は、以下のとおりである。
「【請求項1】 軸体が回転したときにオイルを媒介にして圧力を生じる流体軸受けモータにおいて、
ラジアル軸方向の動圧を発生するラジアル動圧発生溝と、スラスト軸方向の動圧を発生するスラスト動圧発生溝とが、スラスト軸に設けられ、
前記スラスト軸の圧力パターンは、中心より外周側に一番高い圧力が発生することを特徴とする流体軸受けモータ。
【請求項2】 流体を集めて半径方向に動圧を発生する動圧発生溝を形成したラジアル軸と,流体を集めて前記ラジアル軸と直行する軸方向に動圧を発生する動圧発生溝を形成したスラスト軸とを有し,各動圧発生溝に流体を流入する所定方向に回転させる軸体と、
前記ラジアル軸が所定間隔を空けて支持されるラジアル軸受部と,前記スラスト軸が所定間隔を空けて支持されるスラスト軸受部とを有する軸体挿入孔を穿った軸支部材と,を備える流体軸受けモータにおいて、
前記スラスト軸の圧力パターンは、中心より外周側に一番高い圧力が発生することを特徴とする流体軸受けモータ。
【請求項3】 前記スラスト軸および前記スラスト軸受部で発生させる動圧が、ラジアル軸方向に対しても高い圧力で加わるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の流体軸受けモータ。」

これに対し、本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。
「【請求項1】
流体を集めて半径方向に動圧を発生する動圧発生溝を形成したラジアル軸と、流体を集めて半径方向及び前記ラジアル軸と直行する軸方向に動圧を発生する動圧発生溝を形成したスラスト軸とを有し、各動圧発生溝に流体を流入する所定方向に回転させる軸体と、
前記ラジアル軸が所定間隔を空けて支持されるラジアル軸受部と、前記スラスト軸が所定間隔を空けて支持されるスラスト軸受部とを有する軸体挿入孔を穿った軸支部材と、
を備える流体軸受けモータにおいて、
前記スラスト軸の圧力パターンは、中心より外周側に一番高い圧力が発生することを特徴とする流体軸受けモータ。
【請求項2】
前記スラスト軸および前記スラスト軸受部で発生させる動圧が、ラジアル軸方向に対しても高い圧力で加わるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の流体軸受けモータ。」


(2)目的要件について
本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項2号の「特許請求の範囲の減縮」は、第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られ、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。

本件補正後の請求項1は、審判請求人が審判請求書に記載するように、本件補正前の請求項2に対応するものであり、本件補正後の請求項2は、本件補正前の請求項3に対応するものである。
しかし、本件補正後の請求項1に係るモータは、スラスト軸が半径方向及びラジアル軸と直行する軸方向に動圧を発生する動圧発生溝を有しているのに対し、本件補正前の請求項2に係るモータは、スラスト軸がラジアル軸と直行する軸方向に動圧を発生する動圧発生溝のみを有している。これは、本件補正前の請求項2に係るモータは、スラスト軸受部側に、従来ラジアル軸受部側で機能させていた軸体の振れ回りおよびモーメント(負荷の荷重)を保持することができなかったものが、本件補正後の請求項1に係るモータは、スラスト軸受部側に、従来ラジアル軸受部側で機能させていた軸体の振れ回りおよびモーメント(負荷の荷重)を保持することができるようになり、流体軸受けモータを薄くしても、NRROや耐振動・衝撃といった特性を満足させることができるようになり、設計の幅を広げることができるという課題を解決するものであり、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。

したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とは認められない。
また、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。


(3)むすび
したがって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


[理由II]
上記のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-332172号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

1-a「図3において、この動圧流体軸受モータ50の軸体保持筒51は、その大径円筒状の基部51aの下部外周部が記録媒体駆動装置の基盤52の円形嵌合孔52a内に嵌合固定されており、その基部51aの上端には環状板部51bを介して小径円筒状のスリーブ部51cが同軸状に設けられている。また、基部51aの内周下端部にはスラストキャップ53が嵌合固定されることで内部を閉塞するようになっている。
これらの軸体保持筒51およびスラストキャップ53で軸体支持部材が構成されており、この軸体保持筒51のスリーブ部51c内で垂直姿勢の回転軸体54が、それらの間隙内に潤滑油などの潤滑流体55を毛細管現象で保持させた状態で回転自在に保持されてラジアル動圧流体軸受部を構成している。また、軸体保持筒51の基部51aおよび環状板部51bとスラストキャップ53内で、回転軸体54の下端外周部に外嵌固定された円盤状のスラスト板56が、それらの間隙内に潤滑流体55を毛細管現象で保持させた状態で回転自在に保持されてスラスト動圧流体軸受部を構成している。これらのラジアル動圧流体軸受部およびスラスト動圧流体軸受部により、回転軸体54およびスラスト板56と軸体保持部との相対回転時における潤滑流体55の動圧を利用する動圧流体軸受が構成されている。」(【0004】-【0005】)

1-b「さらに、スラスト板56の上下面および、気体介在部59の上下のスリーブ部51cの各内周面にはそれぞれ、くの字状の各ヘリングボーン溝60がそれぞれ形成されており、回転軸体54の順方向回転により、それぞれの位置の潤滑流体に、スラスト荷重支持圧およびラジアル荷重支持圧を発生させるようになっている。」(【0007】)

1-c「以上の動圧流体軸受モータ50を厚さ5mm以下の薄型ハードディスクドライブ(HDD)装置に適応する場合には、スリーブ部51c、回転軸体54、ステータ61およびロータマグネット63を図中上下方向に短くする必要が生じることになる。
ところが、動圧流体軸受モータ50を厚さ5mm以下の薄型で低騒音のハードディスクドライブ(HDD)装置に適応した場合で、上記従来の動圧流体軸受のようにラジアル動圧流体軸受部およびスラスト動圧流体軸受部を用いた場合には、スラスト動圧流体軸受部にスラスト板56を使用し、アキシャル方向(軸方向)の支持を安定(軸方向のガタを小さく)させるためにスラスト板56の上下面側をスラスト動圧流体軸受としているが、確かにアキシャル方向の支持は安定しているものの、全体の軸受損としてはまだまだ大きくモータの電気的効率がよくないという問題を有していた。」(【0009】-【0010】)

上記記載及び図面を参照すると、スラスト動圧流体軸受部は、回転軸体と直行する軸方向にスラスト荷重支持圧を発生させるくの字状のヘリングボーン溝をスラスト板に形成している。
上記記載及び図面を参照すると、軸体支持部材の内部は穿っている。

上記記載事項からみて、引用例1には、
「潤滑流体を毛細管現象で保持させた状態でラジアル荷重支持圧を発生する回転軸体と、潤滑流体を毛細管現象で保持させた状態で回転軸体と直行する軸方向にスラスト荷重支持圧を発生するくの字状のヘリングボーン溝を形成したスラスト板とを有し、順方向回転により、くの字状の各ヘリングボーン溝のそれぞれの位置の潤滑流体に、スラスト荷重支持圧およびラジアル荷重支持圧を発生させる回転軸体と、
前記回転軸体と間隙を設けて構成されたくの字状のヘリングボーン溝を内周面に形成したラジアル動圧流体軸受部と、前記スラスト板と間隙を設けて構成されたスラスト動圧流体軸受部とを有する内部を穿った軸体支持部材と、
を備える動圧流体軸受モータにおいて、
前記スラスト板は、くの字状のヘリングボーン溝を形成した動圧流体軸受モータ。」
との発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。

同じく、原査定の理由に引用された特開2000-283156号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。

2-a「図1は、本発明によるリング状液体動圧軸受の実施の形態の一例を示す断面図である。このリング状液体動圧軸受1は、軸本体2の端部2Aにリング3を圧入により固定して成る軸部4と、この軸部4を支持する軸受部5とを具えている。軸受部5は軸受部本体6と円盤状のスラスト押え部材7とから成り、軸受部本体6の凹部6Aに回転自在に収納された軸部4のリング3がスラスト押え部材7によって押えられ、リング3が凹部6Aから抜け出ることがない構成となっている。そして、軸受部5と軸受部本体6との間には潤滑油が保持されている。
図2には、リング3が拡大して示されている。リング3の外周面3Aにはラジアル動圧発生溝GRが形成され、リング3の外周面3Aと隣り合う平面部分3Bにはアキシャル動圧発生溝GA1が形成されている。図2では見えていないが、平面部分3Bの反対側の平面部分3Cにも同じくアキシャル動圧発生溝GA2が形成されている(図1参照)。ラジアル動圧発生溝GR及びアキシャル動圧発生溝GA1、GA2は、いずれも公知の方法でリング3に形成することができる。
リング3は以上のように形成されているので、図1に示すように、リング3が軸受部本体6とスラスト押え部材7とから構成される軸受部5内で回転すると、外周面3Aとこれに対向する凹部6Aの内周面6Aaとによってラジアル動圧部が形成される。これと同時に、平面部分3Bとこれに対向するスラスト押え部材7の底面7Aとによりアキシャル動圧部が形成され、平面部分3Cとこれに対向する凹部6Aの底面6Abとによりアキシャル動圧部が形成される。」(【0013】-【0015】)


(2)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「潤滑流体」、「ラジアル荷重支持圧」又は「スラスト荷重支持圧」、「回転軸体」、「スラスト板」、「順方向回転」、「間隙」、「ラジアル動圧流体軸受部」、「スラスト動圧流体軸受部」、「軸体支持部材」、「動圧流体軸受モータ」は、それぞれ本願補正発明の「流体」、「動圧」、「ラジアル軸」又は「軸体」、「スラスト軸」、「所定方向に回転」、「所定間隔」、「ラジアル軸受部」、「スラスト軸受部」、「軸支部材」、「流体軸受けモータ」に相当する。

その機能をも考慮すると、引用例1発明の「順方向回転により、くの字状の各ヘリングボーン溝のそれぞれの位置の潤滑流体に、スラスト荷重支持圧およびラジアル荷重支持圧を発生させる回転軸体」は、本願補正発明の「各動圧発生溝に流体を流入する所定方向に回転させる軸体」に相当し、引用例1発明の「回転軸体と間隙を設けて構成されたくの字状のヘリングボーン溝を内周面に形成したラジアル動圧流体軸受部」は、本願補正発明の「ラジアル軸が所定間隔を空けて支持されるラジアル軸受部」に相当し、引用例1発明の「スラスト板と間隙を設けて構成されたスラスト動圧流体軸受部」は、本願補正発明の「スラスト軸が所定間隔を空けて支持されるスラスト軸受部」に相当し、引用例1発明の「内部を穿った軸体支持部材」は、本願補正発明の「軸体挿入孔を穿った軸支部材」に相当する。

本願補正発明のスラスト軸の動圧発生溝の具体例は、図3に示されるようなヘリングボーン溝であり、当該ヘリングボーン溝を採用することにより、図4に示されるような中心より外周側に一番高い圧力が発生する動圧分布となるから、引用例1発明の「スラスト板は、くの字状のヘリングボーン溝を形成した」態様は、本願補正発明の「スラスト軸の圧力パターンは、中心より外周側に一番高い圧力が発生する」態様に相当する。

引用例1発明の「潤滑流体を毛細管現象で保持させた状態でラジアル荷重支持圧を発生する回転軸体」と、本願補正発明の「流体を集めて半径方向に動圧を発生する動圧発生溝を形成したラジアル軸」は、「流体を集めて半径方向に動圧を発生するラジアル軸」との概念で共通し、引用例1発明の「潤滑流体を毛細管現象で保持させた状態で回転軸体と直行する軸方向にスラスト荷重支持圧を発生するくの字状のヘリングボーン溝を形成したスラスト板」と、本願補正発明の「流体を集めて半径方向及びラジアル軸と直行する軸方向に動圧を発生する動圧発生溝を形成したスラスト軸と」は、「流体を集めてラジアル軸と直行する軸方向に動圧を発生する動圧発生溝を形成したスラスト軸」との概念で共通する。

したがって、両者は、
「流体を集めて半径方向に動圧を発生するラジアル軸と、流体を集めて前記ラジアル軸と直行する軸方向に動圧を発生する動圧発生溝を形成したスラスト軸とを有し、各動圧発生溝に流体を流入する所定方向に回転させる軸体と、
前記ラジアル軸が所定間隔を空けて支持されるラジアル軸受部と、前記スラスト軸が所定間隔を空けて支持されるスラスト軸受部とを有する軸体挿入孔を穿った軸支部材と、
を備える流体軸受けモータにおいて、
前記スラスト軸の圧力パターンは、中心より外周側に一番高い圧力が発生する流体軸受けモータ。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
本願補正発明は、ラジアル軸に動圧発生溝を形成しているのに対し、引用例1発明は、ラジアル軸に動圧発生溝は形成されず、ラジアル軸受部内周面に形成される点。
〔相違点2〕
本願補正発明は、スラスト軸に形成される動圧発生溝は半径方向及びラジアル軸と直行する軸方向であるのに対し、引用例1発明は、スラスト軸に形成される動圧発生溝はラジアル軸と直行する軸方向である点。


(3)判断
相違点1について
一般に、流体軸受において、ラジアル軸の動圧発生溝を軸側に設けるか軸受部側に設けるかは、必要に応じて適宜選択される事項(必要が有れば特開平10-108407号公報【0014】参照)であるから、引用例1発明においても、ラジアル荷重支持圧を発生させるために動圧発生溝を軸受部側に代えて軸側に設けることは、当業者であれば適宜なし得ることと認められる。

相違点2について
引用例1発明において、HDD用モータはコンピュータ等に用いられるため、小型化・薄型化を図るという課題(上記1-c参照)が存在する。また、流体軸受のスラスト軸受部にラジアル軸受部の機能をも持たせ、所謂ラジアル軸によるラジアル軸受を省略することは周知の事項(上記引用例2図1、図3、2-a等参照)である。
そうであれば、HDD用モータにおいて、薄型化を図るため流体軸受のスラスト軸受部にラジアル軸受部の機能をも持たせることは、当業者であれば容易に考えられることと認められる。その際、ラジアル荷重に応じて、所謂ラジアル軸にラジアル荷重を負担するように所謂ラジアル軸受を設けることは、当業者であれば適宜なし得ることと認められる。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1発明及び上記周知の事項から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条の規定により却下されるべきものである。


3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、上記した平成22年5月27日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定されるとおりのものである。


(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1、2及び、その記載事項は、上記「2.[理由II](1)」に記載したとおりである。


(2)対比・判断
本願発明は、実質的に本願補正発明から、「動圧発生溝を形成したスラスト軸」について「半径方向に動圧を発生する」との限定を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.[理由II](2)及び(3)」に記載したとおり、引用例1発明及び上記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明及び上記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明及び上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-30 
結審通知日 2012-04-03 
審決日 2012-04-26 
出願番号 特願2000-365590(P2000-365590)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H02K)
P 1 8・ 572- Z (H02K)
P 1 8・ 121- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平岩 正一  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 神山 茂樹
藤井 昇
発明の名称 流体軸受けモータ  
代理人 龍華国際特許業務法人  
復代理人 森川 剛一  

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