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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H01M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01M
管理番号 1263694
審判番号 不服2011-14068  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-01 
確定日 2012-09-19 
事件の表示 特願2003-116064「燃料電池システムの制御方法及びその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月25日出願公開,特開2004- 95527〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,2003年(平成15年) 4月21日(パリ条約の例による優先権主張 2002年(平成14年) 7月12日,台湾)の特許出願であって,平成23年 2月22日付けで拒絶査定(発送日:平成23年 3月 1日)がなされ,これに対して,同年 7月 1日に本件審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

2.平成23年 7月 1日付けの手続補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成23年 7月 1日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
本件補正前の平成22年 3月23日付け手続補正書に記載された特許請求の範囲は,以下のとおりである。
「【請求項1】 空気供給管線,水素ガス供給管線より必要な空気及び水素ガスが供給される燃料電池装置の操作を制御する燃料電池装置の制御装置において,該制御装置が,
RAMとROMが配置されたマイクロプロセッサと,
該燃料電池装置の電圧出力端の直流電圧値を検出し,並びに検出した電圧値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る電圧検出回路と,
該燃料電池装置の供給する電流値を検出し,並びにこの検出した電流値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る電流検出回路と,
少なくとも一つの水素ガス圧力メータを具え,該燃料電池装置の水素ガス供給管線の水素ガス圧力値を検出し,並びに検出した水素ガス圧力値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る水素ガス圧力検出回路と,
少なくとも一つの温度検出装置を具え,該燃料電池装置の操作時の温度値を測定し,並びに測定した温度値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る温度検出回路と,
該マイクロプロセッサの制御を受けて該燃料電池装置の出力電流値により該空気供給管線中の送風装置の風量を制御する空気流量制御回路と,
該マイクロプロセッサの制御を受けて,パルス信号を発生し,該燃料電池装置の水素ガス供給管線中の水素ガスバルブの開閉状態を制御するパルス発生回路と,
該マイクロプロセッサに連接され,各項の設定保存の操作数値,時間の設定値を保存する設定数値保存ユニットと,
該マイクロプロセッサに連接され,該制御回路の制御プロセスの設定,及び各項の設定数値の設定に用いられ,該制御装置に,該制御プロセス及び各項の所定数値の設定値により該燃料電池装置の運転を制御させる設定ユニットと,
を具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御装置。
【請求項2】 請求項1記載の燃料電池装置の制御装置において,電圧検出回路が燃料電池装置の電圧出力端の直流電圧値をディジタル信号に変換してマイクロプロセッサに送るためのアナログ・ディジタル変換器を具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御装置。
【請求項3】 請求項1記載の燃料電池装置の制御装置において,電流検出回路が燃料電池装置の供給する出力電流値をディジタル信号に変換してマイクロプロセッサに送るためのアナログ・ディジタル変換器を具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御装置。
【請求項4】 請求項1記載の燃料電池装置の制御装置において,水素ガス圧力検出回路が,燃料電池装置の水素ガス供給管線の高圧側端に配置されて燃料供給装置の供給する水素ガス圧力値を測定し,該水素ガス圧力値をアナログ・ディジタル変換器で変換してディジタル信号としてマイクロプロセッサに送る第1圧力メータと,
燃料電池装置の水素ガス供給管線の低圧側端に配置されて燃料供給装置の供給する水素ガスの減圧後の圧力値を測定し,この減圧後の圧力値をアナログ・ディジタル変換器で変換してディジタル信号としてマイクロプロセッサに送る第2圧力メータと,
を具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御装置。
【請求項5】 請求項1記載の燃料電池装置の制御装置において,空気流量制御回路が,パルス幅変調制御回路とされて,パルス幅変調制御信号を発生して送風装置の発生する風量を制御することを特徴とする,燃料電池装置の制御装置。
【請求項6】 燃料電池装置の動作を制御するのに用いられる燃料電池装置の制御方法において,
燃料電池装置の起動プロセスを実行し,空気,水素ガスを燃料電池装置に供給するステップと,
該燃料電池装置の水素ガス供給管線の水素ガス圧力を測定するステップと,
該水素ガス供給管線の水素ガス圧力値により,水素ガスバルブの開閉状態を制御するステップと,
該燃料電池装置の出力電圧と出力電流を測定するステップと,
該出力電流の値により送風装置の風量を制御し,且つ該送風装置の風量の制御はパルス幅変調の方式で制御するものとされるステップと,
を具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御方法。
【請求項7】 請求項6記載の燃料電池装置の制御方法において,起動プロセスが,
水素ガスバルブを開き,燃料供給装置の水素ガスを燃料供給装置に供給するステップと,
送風装置を起動して最大風量を送出させて該燃料電池装置に供給し並びに設定時間それを維持するステップと,
該送風装置の風量を最低風量に維持する制御を行うステップと,
を具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御方法。
【請求項8】 請求項7記載の燃料電池装置の制御方法において,水素ガス釈放バルブを設定時間開放するステップを更に具え,これにより燃料電池装置中の密閉管線システム中の雑ガスを排出することを特徴とする,燃料電池装置の制御方法。
【請求項9】 請求項6記載の燃料電池装置の制御方法において,燃料電池装置の操作時に必要な温度を制御するステップを更に具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御方法。
【請求項10】 請求項6記載の燃料電池装置の制御方法において,水素ガスバルブの動作がパルス制御信号により制御されることを特徴とする,燃料電池装置の制御方法。
【請求項11】 請求項6記載の燃料電池装置の制御方法において,送風装置の風量制御が,
電流が設定電流値より小さい時,送風装置の風量を最低風量に制御し,
電流が該設定電流値より大きいが最大電流値より小さい時,電流値の大きさにより,送風装置の風量を必要風量の3倍に制御し,
電流が最大電流より大きい時,送風装置の風量を最大風量に制御することを特徴とする,燃料電池装置の制御方法。
【請求項12】 請求項6記載の燃料電池装置の制御方法において,
燃料電池装置の出力電圧値により,空気供給管線中の送風装置を制御するステップと,
該出力電圧値が設定低電圧準位より低い時,該送風装置を最大流量まで開放し,並びに数秒維持してから正常値に回復させるステップと,
水素ガス釈放バルブを数秒開放した後,再度閉じるステップと,
を更に具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御方法。
【請求項13】 請求項12記載の燃料電池装置の制御方法において,燃料電池装置の出力電圧が安全低限電圧値より低い時,全体の燃料電池システムの運転をオフとするステップを更に具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御方法。」

これに対し,本件補正により,特許請求の範囲は,以下のように補正された。
「【請求項1】 燃料電池システムの制御装置であって,該燃料電池システムは空気供給管線及び水素ガス供給管線より必要な空気及び水素ガスが供給される燃料電池装置を包含する,上記燃料電池システムの制御装置において,該制御装置は,
マイクロプロセッサと,
該燃料電池装置の出力電圧を検出する電圧検出回路と,
該燃料電池装置の出力電流を検出する電流検出回路と,
該燃料電池装置の水素ガス供給管線の水素ガス圧力値を検出する少なくとも一つの水素ガス圧力メータを具えた水素ガス圧力検出回路と,
該燃料電池装置の操作時の温度値を測定する少なくとも一つの温度検出装置を具えた温度検出回路と,
該マイクロプロセッサの制御を受けてパルス幅変調制御信号を生成して該空気供給管線中の送風装置を制御するパルス幅変調回路を具えた空気流量制御回路と,
該マイクロプロセッサの制御を受けて,パルス信号を発生し,該水素ガス供給管線中の水素ガスバルブの開閉状態を制御するパルス発生回路と,
該マイクロプロセッサに結合され,該燃料電池システムの操作変数の参考値を保存する設定数値保存ユニットと,
該マイクロプロセッサに結合され,選択的に制御プロセスと該参考変数を設定する設定ユニットと,
を具え,
該水素ガス圧力検出回路の水素ガス圧力メータが,
燃料供給装置より供給される水素の上流圧力を検出するために水素ガス供給管線の高圧側に固定された第1の圧力メータと,
燃料電池装置に導入される水素の下流圧力を検出するために水素ガス供給管線の低圧側に固定された第2の圧力メータと,
を包含することを特徴とする,燃料電池システムの制御装置。
【請求項2】 請求項1記載の燃料電池システムの制御装置において,該燃料電池装置の該出力電圧がアナログ形式であり,該電圧検出回路は該アナログ形式の出力電圧を該マイクロプロセッサに提供するデジタル形式の第1検出信号へと変換するアナログデジタル変換器を包含することを特徴とする,燃料電池システムの制御装置。
【請求項3】 請求項1記載の燃料電池システムの制御装置において,該燃料電池装置の該出力電流がアナログ形式であり,該電流検出回路は該アナログ形式の出力電流を該マイクロプロセッサに提供するデジタル形式の第2検出信号へと変換するアナログデジタル変換器を包含することを特徴とする,燃料電池システムの制御装置。
【請求項4】 燃料電池システムの制御方法において,該燃料電池システムは,
燃料電池装置と,
送風装置及び燃料供給装置であって,該送風装置と該燃料供給装置はいずれも該燃料電池装置に接続されて空気と水素ガスを該燃料電池装置にそれぞれ供給し,該水素ガスは該燃料供給装置に接続された高圧側と該燃料電池装置に接続された低圧側とを具えた水素ガス供給管線を通して該燃料電池装置に供給される,上記送風装置及び上記燃料供給装置と,
水素ガス釈放バルブであって,該燃料電池装置に接続されて該燃料電池装置より水素ガスを釈放させるための水素ガス釈放バルブと,
を包含し,
該制御方法は,
水素ガスバルブを開き,該燃料供給装置の水素ガスを該燃料電池装置に供給するステップと,
該送風装置を起動して所定時間,所定フローレートで空気を該燃料電池装置に供給することで該燃料電池装置内の残留水を除去するステップと,
該送風装置のフローレートを最低に減らすステップと,
該水素ガス釈放バルブを所定時間開き該燃料電池装置より不純な排ガスを排出するステップと,
該水素ガス供給管線の高圧側と低圧側の水素ガス圧を検出及び監視し,該低圧側の水素ガス圧が所定レベルより低くなる度に,該水素ガスバルブを所定時間開くステップと,
該燃料電池装置の出力電流を検出し,該送風装置の空気フローレートを,
該出力電流が設定下限値(Imin)より小さい時は最低値に設定し,
該出力電流が該設定下限値(Imin)より大きく,設定上限値(Imax)より小さい時は該燃料電池装置に十分な酸素を供給するために該出力電流に応じた必要なフローレートに設定し,
該出力電流が該設定上限値より大きい時は,該送風装置のとり得る最高フローレートに設定するステップと,
を包含することを特徴とする,燃料電池システムの制御方法。
【請求項5】 請求項4記載の燃料電池システムの制御方法において,該燃料電池装置の温度を設定範囲以内に制御するステップを更に具えたことを特徴とする,燃料電池システムの制御方法。
【請求項6】 請求項4記載の燃料電池システムの制御方法において,該水素ガスバルブの開閉はパルス信号を使用して制御することを特徴とする,燃料電池システムの制御方法。
【請求項7】 請求項4記載の燃料電池システムの制御方法において,該燃料電池装置の出力電圧が該出力電圧の設定安全スレショルドレベルより低くなった時には該燃料電池システムをシャットダウンするステップをさらに具えたことを特徴とする,燃料電池システムの制御方法。
【請求項8】 請求項4記載の燃料電池システムの制御方法において,該燃料電池装置の該出力電圧が設定値より低い時,該燃料電池装置の出力電圧値により,該送風装置を制御し,該送風装置に所定時間最大フローレートで送風させ,それから通常フローレートに回復させ,それと同時に水素ガス釈放バルブを所定時間開放させてから該水素ガス釈放バルブを閉じるステップを更に具えたことを特徴とする,燃料電池システムの制御方法。」

(2)目的要件について
そこで,本件補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。

本件補正は,基本的に,本件補正前の請求項1に本件補正前の請求項4が加わったものが,本件補正後の請求項1に対応するものである。
そして,本件補正は,本件補正前の請求項1の発明を特定するために必要な事項である「マイクロプロセッサの制御を受けて燃料電池装置の出力電流値により空気供給管線中の送風装置の風量を制御する空気流量制御回路と」の「燃料電池装置の出力電流値により」を削除して,「マイクロプロセッサの制御を受けてパルス幅変調制御信号を生成して空気供給管線中の送風装置を制御するパルス幅変調回路を具えた空気流量制御回路と」とし,本件補正前の請求項1の発明を特定するために必要な事項である「マイクロプロセッサに連接され,各項の設定保存の操作数値,時間の設定値を保存する設定数値保存ユニットと」の「時間の設定値」を削除して,「マイクロプロセッサに結合され,燃料電池システムの操作変数の参考値を保存する設定数値保存ユニットと」とし,本件補正前の請求項1の発明を特定するために必要な事項である「マイクロプロセッサに連接され,制御回路の制御プロセスの設定,及び各項の設定数値の設定に用いられ,制御装置に,該制御プロセス及び各項の所定数値の設定値により燃料電池装置の運転を制御させる設定ユニットと」の「制御装置に,該制御プロセス及び各項の所定数値の設定値により該燃料電池装置の運転を制御させる」を削除して,「マイクロプロセッサに結合され,選択的に制御プロセスと該参考変数を設定する設定ユニットと」とした補正を少なくとも含むものであり,この補正は,直列的に記載された発明特定事項の一部の削除に該当するから,同項第2号にいう「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。

次に,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項2号の「特許請求の範囲の減縮」は,補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって,かつ,補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され,補正前の請求項と補正後の請求項とは,一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。
本件補正前の請求項4は,本件補正前の請求項1のみを引用しているから,本件補正前の請求項4は,本件補正前の請求項1と本件補正前の請求項4に記載された事項を有している。
また,本件補正前の請求項2は,本件補正前の請求項1のみを引用しているから,本件補正前の請求項2は,本件補正前の請求項1と本件補正前の請求項2に記載された事項を有している。
次に,本件補正後の請求項2は,本件補正後の請求項1のみを引用しているから,本件補正後の請求項2は,本件補正前の請求項1と本件補正前の請求項4と本件補正前の請求項2に記載された事項を有している。
そして,本件補正前の請求項2は,本件補正前の請求項4に記載された事項を有していないから,本件補正前の請求項2と本件補正後の請求項2は,上述した対応関係にあるものとは認められず,また,本件補正後の請求項2に対して上述した対応関係にある本件補正前の請求項はないので,同号にいう「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。
また,本件補正前の請求項3は,本件補正前の請求項1のみを引用しているから,本件補正前の請求項3は,本件補正前の請求項1と本件補正前の請求項3に記載された事項を有している。
次に,本件補正後の請求項3は,本件補正後の請求項1のみを引用しているから,本件補正後の請求項3は,本件補正前の請求項1と本件補正前の請求項4と本件補正前の請求項3に記載された事項を有している。
そして,本件補正前の請求項3は,本件補正前の請求項4に記載された事項を有していないから,本件補正前の請求項3と本件補正後の請求項3は,上述した対応関係にあるものとは認められず,また,本件補正後の請求項3に対して上述した対応関係にある本件補正前の請求項はないので,同号にいう「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。

よって,本件補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とは認められない。
また,本件補正が,請求項の削除,誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。

(3)むすび
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから,特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成22年 3月23日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】 空気供給管線,水素ガス供給管線より必要な空気及び水素ガスが供給される燃料電池装置の操作を制御する燃料電池装置の制御装置において,該制御装置が,
RAMとROMが配置されたマイクロプロセッサと,
該燃料電池装置の電圧出力端の直流電圧値を検出し,並びに検出した電圧値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る電圧検出回路と,
該燃料電池装置の供給する電流値を検出し,並びにこの検出した電流値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る電流検出回路と,
少なくとも一つの水素ガス圧力メータを具え,該燃料電池装置の水素ガス供給管線の水素ガス圧力値を検出し,並びに検出した水素ガス圧力値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る水素ガス圧力検出回路と,
少なくとも一つの温度検出装置を具え,該燃料電池装置の操作時の温度値を測定し,並びに測定した温度値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る温度検出回路と,
該マイクロプロセッサの制御を受けて該燃料電池装置の出力電流値により該空気供給管線中の送風装置の風量を制御する空気流量制御回路と,
該マイクロプロセッサの制御を受けて,パルス信号を発生し,該燃料電池装置の水素ガス供給管線中の水素ガスバルブの開閉状態を制御するパルス発生回路と,
該マイクロプロセッサに連接され,各項の設定保存の操作数値,時間の設定値を保存する設定数値保存ユニットと,
該マイクロプロセッサに連接され,該制御回路(審決注:「該制御装置」の誤記と認める。)の制御プロセスの設定,及び各項の設定数値の設定に用いられ,該制御装置に,該制御プロセス及び各項の所定数値の設定値により該燃料電池装置の運転を制御させる設定ユニットと,
を具えたことを特徴とする,燃料電池装置の制御装置。」

(2)引用例及びその記載事項
原査定の拒絶理由で引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平10-83824号公報(以下「引用例」という。)には,「燃料電池の発電装置およびその方法」に関し,図面とともに以下の事項が記載又は示されている。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,触媒を担持した電極に反応ガスを供給して,その反応ガスの化学反応から起電力を得る燃料電池の発電装置とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に,燃料の有しているエネルギを直接電気的エネルギに変換する装置として燃料電池が知られている。燃料電池は,通常,電解質を挟んで一対の電極を配置するとともに,一方の電極の表面に水素または水素を含有する燃料ガスを接触させ,また他方の電極の表面に酸素を含有する酸化ガスを接触させ,このとき起こる電気化学反応を利用して,電極間から電気エネルギを取り出すようにしている。」

・「【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,前記従来の技術では,電極触媒の被毒状態時であっても燃料電池の温度が高くなり過ぎると,電池出力は必ずしも高いものとはならなかった。固体高分子型燃料電池の場合,理想運転温度は約80[℃]であることから,上記従来の技術では,それより高温側の90[℃]ないし95[℃]で運転されるが,それより高温側に制御された場合,ガス中の反応物質,アノード電極側では水素,カソード電極側では酸素が各々の電極の反応の界面,実際には触媒の表面上に充分に供給できなくなり,この結果,燃料電池は安定して高い出力で運転できないといった問題が発生した。
【0008】この発明の燃料電池の発電装置は,電極の触媒が被毒状態に陥ったときにも,適切な制御を行なうことで,高出力を得ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上述の課題を解決するためになされたこの発明の燃料電池の発電装置(以下,第1発明の燃料電池の発電装置と呼ぶ)は,触媒を担持した電極に反応ガスを供給して,その反応ガスの化学反応から起電力を得る燃料電池の発電装置であって,前記燃料電池の出力の低下を検知する出力低下検知手段と,前記触媒が被毒状態にあることを検知する被毒状態検知手段と,該被毒状態検知手段により前記触媒が被毒状態にあることが検知され,かつ,前記出力低下検知手段により前記燃料電池の出力の低下が検知されたとき,前記燃料電池の温度を高温側に制御する温度制御手段と,該温度制御手段による温度の制御に伴って,前記電極に供給される前記反応ガスの圧力を制御することにより,前記反応ガス中の水蒸気分圧を予め定められた所定範囲の値に保持するガス圧制御手段とを備えることを,要旨としている。」

・「【0011】・・・これに対して,この第1発明では,燃料電池の温度を高温側に制御しつつ,反応ガス中の水蒸気分圧を所定の範囲の値に保っていることから,反応ガス中の反応物質が電極に供給できなるのを防ぎつつ燃料電池の電極触媒に対する一酸化炭素の吸着量を減らすことができる。
【0012】したがって,触媒の被毒状態時に電池出力の低下が検知されたときに,電池出力を確実に高めることができるといった優れた効果を奏する。
【0013】上記第1発明の燃料電池の発電装置において,前記燃料電池での前記反応ガスの利用の程度をガス利用率として算出するガス利用率算出手段と,該ガス利用率算出手段で算出したガス利用率が所定値以上となる高利用時に,前記温度制御手段およびガス圧制御手段の動作を禁止する禁止手段とを備えた構成としてもよい。
【0014】この構成によれば,ガス利用率算出手段で算出したガス利用率が所定値以上となる高利用時に,温度制御手段およびガス圧制御手段の動作を,禁止手段により禁止する。ガス利用率の高利用時には,触媒被毒による出力低下と誤認する恐れのある電池出力の低下がみられるが,これに対して,この燃料電池の発電装置によれば,ガス利用率の高利用時に,温度制御手段およびガス圧制御手段の動作を禁止していることから,触媒被毒による出力低下を誤検出して誤った制御を行なうようなことがない。
【0015】したがって,触媒被毒に起因する電池出力の回復をより高精度で的確に行なうことができる。」

・「【0040】図1は,本発明の第1実施例としての燃料電池発電システム1の概略構成図である。図1に示すように,この燃料電池発電システム1は,電気を発生する固体高分子型の燃料電池スタック10と,メタノールタンク12に貯留されたメタノールと水タンク14に貯留された水とから水素リッチガスを製造する改質器16と,改質器16で製造された水素リッチガスを燃料ガスとして燃料電池スタック10に送る燃料ガス供給通路17と,燃料電池スタック10から排出されたガスを外部に送る燃料ガス排出通路18と,その燃料ガス排出通路18の開度を調整する背圧調整弁19とを備える。
【0041】また,この燃料電池発電システム1は,燃料電池スタック10に内蔵される冷却プレート20に冷却水を循環させる循環通路22と,この循環通路22に設けられる冷却水ポンプ24およびラジエータ26を備える。
【0042】さらに,燃料電池の運転状態を検出するセンサ群として,燃料ガス排出通路18の途中に設けられ,燃料ガス中のCO濃度を検出する一酸化炭素センサ30と,燃料電池スタック10から出力される電気信号の電圧値を検出する電圧計32と,燃料電池スタック10の電池セルの温度を検出する熱電対からなる温度センサ34と,燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ36とを備えている。さらに,燃料電池発電システム1は,これらセンサ群に電気的に接続され,各種の制御処理を実行する電子制御ユニット38を備える。」

・「【0069】図1に戻り,電子制御ユニット38は,マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され,詳しくは,予め設定された制御プログラムに従って所定の演算等を実行するCPU38aと,CPU38aで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROM38bと,同じくCPU38aで各種演算処理を実行するのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAM38cと,一酸化炭素センサ30,電圧計32からの出力信号を入力する入力処理回路38dと,CPU38aでの演算結果に応じて背圧調整弁19に制御信号を出力する出力処理回路38e等を備える。
【0070】なお,図1および図3ではガス系統についてはアノード側の燃料ガス系統のみを記載し,カソード側の酸素含有ガス系統の記載は省略してある。
【0071】以上のような構成の電子制御ユニット38によれば,背圧調整弁19の開度を調整することで,燃料電池スタック10の流路溝44pを流れる燃料ガスの流速を変化させて,燃料電池スタック10の出力の制御を行なっている。」

・「【0072】こうした電子制御ユニット38によって実行される電池出力制御処理について,図6のフローチャートに沿って説明する。この制御処理は,詳しくは,CPU38aにより実行され,燃料電池スタック10の起動後,所定時間(例えば,100[msec])毎に繰り返し実行される。図6に示すように,CPU38aは,処理が開始されると,まず,電圧計32により検出した燃料電池スタック10の出力電圧Eを読み込み(ステップS100),次いで,一酸化炭素センサ30からの出力電圧を一酸化炭素濃度Dとして読み込む(ステップS110)。続いて,温度センサ34により検出した燃料電池スタック10の電池セルの温度(以下,燃料電池温度と呼ぶ)Tを読み込み(ステップS120),圧力センサ36により検出した燃料ガスの圧力Pを読み込む(ステップS130)。
【0073】続いて,CPU38aは,ステップS100で読み込んだ出力電圧Eから,前回この処理ルーチンを実行したときに読み込んだ出力電圧E′を引いた差分△Eを求め,その差分△Eが予め定めた所定電圧-E0(マイナスE0,但し,E0>0)より小さいか否かを判別する処理を行なう(ステップS140)。この判別は,燃料電池の出力電圧Eが,所定電圧E0以上の変化量で低下したか否か判定するものである。ここで否定判定,即ち,燃料電池の出力電圧Eが所定電圧E0以上の変化量で低下しなかったと判別されると,処理をそのまま「リターン」に進めて,この制御ルーチンの処理を一旦終了する。
【0074】一方,ステップS140で,肯定判定,即ち,燃料電池の出力電圧Eが所定電圧E0以上の変化量で低下したと判別されると,続いて,ステップS110で読み込んだ一酸化炭素濃度Dが,予め定めた所定の濃度D0より大きいか否かを判定することにより,アノード42の触媒は被毒状態であるか否かを判別する処理を行なう(ステップS150)。
【0075】ステップS150で,触媒が被毒状態にあると判別されると,CPU38aは,ステップS120で読み込んだ燃料電池温度Tに所定の微小温度△Tを加えて目標燃料電池温度tTを算出する(ステップS160)。次いで,ROM38bに予め格納されるマップBを用いて上記目標燃料電池温度tTに対応する目標ガス圧力tPを求める(ステップS170)。マップBは,図7に示すように,燃料電池温度と燃料ガス圧力とから定まる曲線を表わすもので,この曲線は,燃料電池スタック10が理想状態で運転されたときの燃料電池温度80[℃]と,燃料ガスの圧力1.5気圧{152kPa}を基準として,この基準時の燃料ガスの水蒸気分圧を保った状態で,温度を変えたときの燃料電池温度と燃料ガスの圧力との関係を表わすものであり,予め実験により求められている。ステップS170では,マップBに上記ステップS160で算出した目標燃料電池温度tTを照らし合わせることで,その燃料電池温度tTにおいて所定の水蒸気分圧を保持するための燃料ガスの目標ガス圧力tPを求める。
【0076】その後,CPU38aは,燃料電池温度をステップS160で算出した目標燃料電池温度tTに高める処理を実行する(ステップS180)。具体的には,燃料電池温度が目標燃料電池温度tTを上回ったら冷却水系統の冷却水ポンプ24を駆動し,燃料電池温度が目標燃料電池温度tTを下回ったら冷却水ポンプ24を停止することにより,目標燃料電池温度tTに燃料電池温度を制御する。次いで,アノード42に供給される燃料ガスのガス圧力をステップS170で算出した目標ガス圧力tPに高める処理を実行する(ステップS190)。具体的には,目標ガス圧力tPとステップS130で算出した現在のガス圧力Pとの偏差を求め,この偏差に応じた開度だけ背圧調整弁19を閉方向に制御することにより,燃料ガス排出通路18のガス圧力Pを目標ガス圧力tPに制御する。なお,ステップS180およびS190の処理は図示の都合上,別々のステップとして記載したが,実際には,両ステップは同時に行なわれるものである。
【0077】その後,CPU38aは,処理を「リターン」に進めて,この制御ルーチンを一旦終了する。この電池出力制御処理は所定時間毎に繰り返し実行されることから,ステップS180およびS190の処理が繰り返し実行されることで,燃料電池温度と燃料ガスの圧力とが図7のグラフの曲線に沿って共に上昇することになる。
【0078】一方,ステップS150で,アノード42の触媒の被毒状態が検知された場合には,CPU38aは,処理をステップS192に進めて,燃料電池温度を理想運転温度である80[℃]に制御する処理を行なう(ステップS192)。その後,処理を「リターン」に進めて,この制御ルーチンを一旦終了する。
【0079】なお,この制御ルーチンでは詳しく述べなかったが,ステップS180およびS190の処理の実行後に,出力電圧Eの低下が回復すると,前記上昇した燃料電池温度および燃料ガス圧力を徐々に元に戻す処理を行なっている。具体的には,ステップS140およびS150が共に肯定判定される状態に切り替わった直後の燃料電池温度Tおよび燃料ガス圧力Pを,制御前燃料電池温度T0,制御前燃料ガス圧力P0としてRAM38cに退避しておき,その後,ステップS140で否定判定されたときに,上記制御前燃料電池温度T0および制御前燃料ガス圧力P0に向かって燃料電池温度および燃料ガス圧力を徐々に復帰する。
【0080】以上詳述したように,この第1実施例の燃料電池発電システム1によれば,燃料電池スタック10の出力電圧Eが所定電圧E0以上の変化量で低下し,かつ,アノード42の触媒が被毒状態となったときに,燃料電池温度を高温側に徐々に制御する。このとき,燃料電池温度が高温側に制御されても,燃料ガス中の水蒸気分圧が一定の値を保つよう燃料ガスの圧力も高圧側に徐々に制御する。
【0081】したがって,燃料電池温度が高温側に制御されることで,燃料電池のアノード42への一酸化炭素の吸着量を少なくすることができる。しかも,燃料電池温度が高温側へ制御されるにも拘わらず燃料ガス中の水蒸気分圧は一定に保たれることから,燃料ガス中の水素がアノード42の触媒に供給できなくなるのを防ぐことができる。これらの結果,燃料電池スタック10の出力電圧Eが所定電圧E0以上の変化量で低下し,かつ,アノード42の触媒が被毒状態となったときに,出力電圧Eを確実に回復することができる。」

・「【0084】本発明の第2実施例について次に説明する。図9は,第2実施例としての燃料電池発電システム201の概略構成図である。図9に示すように,この燃料電池発電システム201は,第1実施例の燃料電池発電システム1のハードウェア構成をそのまま備えた上で(同一のパーツには第1実施例と同じ符号を付した),さらに,次のようなハードウェア構成を備える。即ち,燃料電池発電システム201は,改質器16と燃料電池スタック10とを結ぶ燃料ガス供給通路17に設けられ,燃料電池スタック10への燃料ガスの吸入量を検出するガス流量計231と,燃料電池スタック10に接続され,その出力電流値を検出する電流計233を備える。
【0085】ガス流量計231および電流計233は,電子制御ユニット38の入力処理回路38dと接続されている。電子制御ユニット38によれば,これらセンサ231,233を始めとする各種センサからの検出信号に応じて背圧調整弁19の開度を調整することで,燃料電池スタック10の流路溝44pを流れる燃料ガスの流速を変化させて,燃料電池スタック10の出力の制御を行なっている。
【0086】こうした電子制御ユニット38によって実行される電池出力制御処理について,図10および図11のフローチャートに沿って説明する。この制御処理は,詳しくは,CPU38aにより実行され,所定時間(例えば,100[msec])毎に繰り返し実行される。図10に示すように,CPU38aは,処理が開始されると,第1実施例の電池出力制御処理のステップS100ないしS140と同じステップS300ないしS340の処理を実行する。
【0087】ステップS340で否定判定,即ち,燃料電池の出力電圧Eが所定電圧E0以上の変化量で低下したとは認められなかった場合には,「リターン」に抜けて,この制御ルーチンの処理を一旦終了する。一方,ステップS340で,肯定判定,即ち,燃料電池の出力電圧Eが所定電圧E0以上の変化量で低下したと判別されると,次のような処理を実行する。
【0088】CPU38aは,まず,電流計233により検出した燃料電池スタック10の出力電流Iを読み込み(ステップS341),その出力電流Iから理論上必要とされる燃料電池スタック10の燃料ガス流量MAを算出する(ステップS342)。続いて,燃料ガス供給通路17を介して燃料電池スタック10に実際に流入する燃料ガス流入量MBをガス流量計231から読み込む処理を行なう(ステップS343)。その後,ステップS343で読み込んだ実際の流量MBをステップS342で算出した燃料ガスの必要量MAで割算して,その答に100を掛けることにより,燃料ガス利用率Rを算出する(ステップS344)。
【0089】続いて,処理は図11に進み,CPU38aは,その算出された燃料ガス利用率Rが100[%]未満であるか否かを判定し(ステップS345),ここで,100[%]未満であると判定されると,燃料ガスが充分に供給された上で,燃料電池スタック10は出力低下を起こしたものとして,第1実施例の電池出力制御処理のステップS150ないしS192と同じステップS350ないしS392の処理を実行する。
【0090】一方,ステップS345で,否定判定,即ち燃料ガス利用率Rが100[%]以上であると判定された場合,処理をステップS394に進めて,図示しない制御弁を調整して,改質器16に供給される水とメタノールの量を増加させる。ステップS394の結果,不足している燃料ガスが補充され,燃料ガス利用率Rを低下させることができる。なお,このステップS346の処理に換えて,燃料電池スタック10に接続された負荷を軽減し,燃料電池の出力電流を小さくすることにより,燃料ガス利用率Rを低下させる構成としてもよい。
【0091】ステップS390,S392またはS394の実行後,「リターン」に抜けて,この制御ルーチンの処理を一旦終了する。
【0092】なお,この制御処理では,燃料電池スタック10のカソード43側に供給する酸素含有ガスは常に100[%]未満のガス利用率となるものと仮定していたが,実際は,酸素含有ガスの利用率も算出して,ステップS345の判定処理では,燃料ガス利用率Rと酸素含有ガスの利用率との双方についてガス利用率が100[%]未満であるか否かを判別し,いずれか一方でも100[%]以上となったら,その該当するガスについて直ちに補充する構成とするのが望ましい。
【0093】以上詳述したように,この第2実施例の燃料電池発電システム201によれば,燃料電池スタック10の出力電圧Eの低下が見られたときに,アノード側のガス利用率が100[%]未満となっているかを判別し,100[%]未満のときに限って,触媒の被毒状態を判定して,その被毒状態に応じた電池出力の制御を行なっている。一方,ガス利用率が100[%]以上の場合には,触媒状態に応じた制御を実行せずに,直ちに改質器16に供給される水とメタノールの量を増加させて,燃料ガス利用率Rを低下させる構成としている。ガス利用率が100%以上となったときには,一酸化炭素被毒による出力低下と誤認する恐れのある電池出力の低下がみられるが,これは,ガス利用率Rが高くなるほど,アノード側ガス入口での一酸化炭素濃度は同じでも,アノード側ガス出口での一酸化炭素濃度が高くなるためである。
【0094】これに対して,この燃料電池発電システム201では,触媒の被毒状態の判定とともに,ガス利用率Rも測定し,これを制御系統の判断材料の一つに加えることにより,触媒の被毒状態の判定を高精度なものとしている。したがって,触媒被毒に起因する電池出力の回復をより高い精度で的確に行なうことができる。また,ガス利用率Rが高いときには,触媒被毒に基づく燃料電池温度およびガス圧力の制御が誤って実行されることもないことから,制御精度の点でも優れている。」

・段落【0042】,【0084】,【0085】の記載からみて,図9からは,「検出した電圧値をCPU38aに送る電圧計32及び入力処理回路38d」,「検出した出力電流値をCPU38aに送る電流計233及び入力処理回路38d」,「検出した燃料ガスの圧力値をCPU38aに送る圧力センサ36及び入力処理回路38d」,「検出した電池セルの温度をCPU38aに送る温度センサ34及び入力処理回路38d」が看て取れる。
・段落【0042】の記載からみて,図9には,「圧力センサ36は,燃料電池スタック10内にあること」が看て取れる。

・段落【0069】,【0084】の記載及び図9からみて,「CPU38aに,ROM38b,RAM38c,入力処理回路38d,出力処理回路38eが連接していること」は明らかである。

・段落【0042】,【0069】,【0076】,【0090】,【0092】の記載,及び図9からみて,CPU38aで演算処理された信号は,出力処理回路38eを介して,制御信号として出力されるから,「出力処理回路38eは,背圧調整弁19,冷却水ポンプ24,(図示しない)制御弁により燃料ガスを補充する構成,酸素含有ガスを補充する構成を制御する制御信号を出力すること」は明らかである。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると,上記引用例の第2実施例には,以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「酸素含有ガス系統,燃料ガス供給通路17より必要な酸素含有ガス及び水素が供給される燃料電池スタック10の出力を制御する電子制御ユニット38を含む燃料電池発電システム201において,該電子制御ユニット38を含む燃料電池発電システム201が,
RAM38cとROM38bが配置されたCPU38aと,
該燃料電池スタック10から出力される電圧値を検出し,並びに検出した電圧値をCPU38aに送る電圧計32及び入力処理回路38dと,
該燃料電池スタック10の出力電流値を検出し,並びに検出した出力電流値をCPU38aに送る電流計233及び入力処理回路38dと,
水素リッチガスである燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ36を備え,圧力センサ36は燃料電池スタック10内にあり,並びに,検出した燃料ガスの圧力値をCPU38aに送る圧力センサ36及び入力処理回路38dと,
温度センサ34を備え,該燃料電池スタック10の運転状態の電池セルの温度を検出し,並びに検出した電池セルの温度をCPU38aに送る温度センサ34及び入力処理回路38dと,
該CPU38aにより制御処理が実行され,酸素含有ガスの利用率により酸素含有ガス系統の酸素含有ガスを補充する構成と,
該CPU38aにより制御処理が実行され,燃料ガス利用率により制御弁を調整して改質器16に供給される水とメタノールを増加して燃料ガスを補充する構成と,
予め設定された制御プログラムに従って所定の演算等を実行するCPU38aと,
該CPU38aに連接され,CPU38aで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROM38bと,CPU38aで各種演算処理を実行するのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAM38c,CPU38aでの演算結果に応じて背圧調整弁19,冷却水ポンプ24,制御弁により燃料ガスを補充する構成,酸素含有ガスを補充する構成に制御信号を出力する出力処理回路38eを備え,該電子制御ユニット38を含む燃料電池発電システム201に各種の制御処理を実行させるROM38b,RAM38c,出力処理回路38eと,
を備えた電子制御ユニット38を含む燃料電池発電システム201。」

(3)発明の対比
本願発明と引用発明とを対比すると,後者の「燃料電池スタック10」は前者の「燃料電池装置」に相当し,以下同様に,「電子制御ユニット38を含む燃料電池発電システム201」は「燃料電池装置の制御装置」又は「制御装置」に,「RAM38c」は「RAM」に,「ROM38b」は「ROM」に,「CPU38a」は「マイクロプロセッサ」に,「電圧計32及び入力処理回路38d」は「電圧検出回路」に,「電流計233及び入力処理回路38d」は「電流検出回路」に,「温度センサ34」は「温度検出装置」に,「温度センサ34及び入力処理回路38d」は「温度検出回路」,「備えた」は「具えた」にそれぞれ相当する。
また,後者の「酸素含有ガス系統,燃料ガス供給通路17より必要な酸素含有ガス及び水素が供給される燃料電池スタック10の出力を制御する電子制御ユニット38を含む燃料電池発電システム201」と,前者の「空気供給管線,水素ガス供給管線より必要な空気及び水素ガスが供給される燃料電池装置の操作を制御する燃料電池装置の制御装置」とは,「酸素含有ガス供給管線,燃料ガス供給管線より必要な酸素含有ガス及び水素ガスが供給される燃料電池装置の操作を制御する燃料電池装置の制御装置」の概念において共通し,後者の「燃料電池スタック10から出力される電圧値を検出し,並びに検出した電圧値をCPU38aに送る電圧計32及び入力処理回路38d」と,前者の「燃料電池装置の電圧出力端の直流電圧値を検出し,並びに検出した電圧値をディジタル信号に変換後にマイクロプロセッサに送る電圧検出回路」とは,燃料電池から出力される電圧は直流電圧であるから,「燃料電池装置の電圧出力端の直流電圧値を検出し,並びに検出した電圧値をマイクロプロセッサに送る電圧検出回路」の概念において共通し,後者の「燃料電池スタック10の出力電流値を検出し,並びに検出した出力電流値をCPU38aに送る電流計233及び入力処理回路38d」と,前者の「燃料電池装置の供給する電流値を検出し,並びにこの検出した電流値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る電流検出回路」とは,「燃料電池装置の供給する電流値を検出し,並びにこの検出した電流値をマイクロプロセッサに送る電流検出回路」の概念において共通し,後者の「水素リッチガスである燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ36を備え,圧力センサ36は燃料電池スタック10内にあり,並びに,検出した燃料ガスの圧力値をCPU38aに送る圧力センサ36及び入力処理回路38d」と,前者の「少なくとも一つの水素ガス圧力メータを具え,該燃料電池装置の水素ガス供給管線の水素ガス圧力値を検出し,並びに検出した水素ガス圧力値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る水素ガス圧力検出回路」とは,「少なくとも一つの燃料ガス圧力メータを具え,燃料電池装置の燃料ガス圧力値を検出し,並びに検出した燃料ガス圧力値をマイクロプロセッサに送る燃料ガス圧力検出回路」の概念において共通し,後者の「温度センサ34を備え,燃料電池スタック10の運転状態の電池セルの温度を検出し,並びに検出した電池セルの温度をCPU38aに送る温度センサ34及び入力処理回路38d」と,前者の「少なくとも一つの温度検出装置を具え,該燃料電池装置の操作時の温度値を測定し,並びに測定した温度値をディジタル信号に変換後に該マイクロプロセッサに送る温度検出回路」とは,「少なくとも一つの温度検出装置を具え,燃料電池装置の操作時の温度値を測定し,並びに測定した温度値をマイクロプロセッサに送る温度検出回路」の概念において共通する。
次に,後者の「CPU38aにより制御処理が実行され,酸素含有ガスの利用率により酸素含有ガス系統の酸素含有ガスを補充する構成」と,前者の「マイクロプロセッサの制御を受けて燃料電池装置の出力電流値により空気供給管線中の送風装置の風量を制御する空気流量制御回路」とは,「マイクロプロセッサの制御を受けて制御する酸素含有ガスの流量を制御する構成」の概念において共通し,後者の「CPU38aにより制御処理が実行され,燃料ガス利用率により制御弁を調整して改質器16に供給される水とメタノールを増加して燃料ガスを補充する構成」と,前者の「マイクロプロセッサの制御を受けて,パルス信号を発生し,該燃料電池装置の水素ガス供給管線中の水素ガスバルブの開閉状態を制御するパルス発生回路」とは,「マイクロプロセッサの制御を受けて,燃料電池装置の燃料ガスの流量を制御するためのバルブの開閉状態を制御する構成」の概念において共通する。
そして,「各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等」には,「各項の設定保存の操作数値,時間の設定値」が含まれるものと解されるから,後者の「CPU38aに連接され,CPU38aで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROM38b」は,前者の「マイクロプロセッサに連接され,各項の設定保存の操作数値,時間の設定値を保存する設定数値保存ユニット」に相当する。
さらに,後者の「予め設定された制御プログラムに従って所定の演算等を実行するCPU38aと,該CPU38aに連接され,CPU38aで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROM38bと,CPU38aで各種演算処理を実行するのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAM38c,CPU38aでの演算結果に応じて背圧調整弁19,冷却水ポンプ24,制御弁により燃料ガスを補充する構成,酸素含有ガスを補充する構成に制御信号を出力する出力処理回路38eを備え,電子制御ユニット38を含む燃料電池発電システム201に各種の制御処理を実行させる,CPU38a,ROM38b,RAM38c,出力処理回路38e」によれば,CPU38aは,設定された制御プログラムに従って所定の演算等を実行するものであり,設定された制御プログラム,制御データ等及び各種データにより,「電子制御ユニット38を含む燃料電池発電システム201に各種の制御処理を実行させる,ROM38b,RAM38c,出力処理回路38e」と,前者の「マイクロプロセッサに連接され,制御装置の制御プロセスの設定,及び各項の設定数値の設定に用いられ,制御装置に,制御プロセス及び各項の所定数値の設定値により燃料電池装置の運転を制御させる設定ユニット」とは,「マイクロプロセッサに連接され,制御装置に,制御プロセス及び各項の所定数値の設定値により燃料電池装置の運転を制御させるユニット」との概念で共通する。

そうすると,両者は,
「酸素含有ガス供給管線,燃料ガス供給管線より必要な酸素含有ガス及び水素ガスが供給される燃料電池装置の操作を制御する燃料電池装置の制御装置において,該制御装置が,
RAMとROMが配置されたマイクロプロセッサと,
該燃料電池装置の電圧出力端の直流電圧値を検出し,並びに検出した電圧値を該マイクロプロセッサに送る電圧検出回路と,
該燃料電池装置の供給する電流値を検出し,並びにこの検出した電流値を該マイクロプロセッサに送る電流検出回路と,
少なくとも一つの燃料ガス圧力メータを具え,該燃料電池装置の燃料ガス圧力値を検出し,並びに検出した燃料ガス圧力値を該マイクロプロセッサに送る燃料ガス圧力検出回路と,
少なくとも一つの温度検出装置を具え,該燃料電池装置の操作時の温度値を測定し,並びに測定した温度値を該マイクロプロセッサに送る温度検出回路と,
該マイクロプロセッサの制御を受けて制御する酸素含有ガスの流量を制御する構成と,
該マイクロプロセッサの制御を受けて該燃料電池装置の燃料ガスの流量を制御するためのバルブの開閉状態を制御する構成と,
該マイクロプロセッサに連接され,各項の設定保存の操作数値,時間の設定値を保存する設定数値保存ユニットと,
該マイクロプロセッサに連接され,該制御装置に,制御プロセス及び各項の所定数値の設定値により該燃料電池装置の運転を制御させるユニットと,
を具えた,燃料電池装置の制御装置。」
の点で一致し,以下の各点で相違すると認められる。

<相違点1>
酸素含有ガス供給管線,燃料ガス供給管線より必要な酸素含有ガス及び水素ガスが供給される燃料電池装置の操作を制御する燃料電池装置の制御装置に関し,酸素含有ガス供給管線,燃料ガス供給管線及び酸素含有ガスが,それぞれ,本願発明では,「空気供給管線」,「水素ガス供給管線」,「空気」であるのに対して,引用発明では,「酸素含有ガス系統」,「燃料ガス供給通路」,「酸素含有ガス」である点。

<相違点2>
検出した電圧値,電流値,燃料ガス圧力値,温度値をそれぞれマイクロプロセッサに送る際に,本願発明では,「ディジタル信号に変換後に」送るのに対して,引用発明では,そのような特定はなされていない点。

<相違点3>
少なくとも一つの燃料ガス圧力メータを具え,該燃料電池装置の燃料ガス圧力値を検出し,並びに検出した燃料ガス圧力値を該マイクロプロセッサに送る燃料ガス圧力検出回路に関し,「燃料ガス圧力メータ」,「燃料ガス圧力値」及び「燃料ガス圧力検出回路」がそれぞれ本願発明では,「水素ガス圧力メータ」,「水素ガス圧力値」,「水素ガス圧力検出回路」であるのに対して,引用発明では,「圧力センサ」,「燃焼ガスの圧力値」及び「圧力センサ及び入力処理回路」である点。

<相違点4>
マイクロプロセッサの制御を受けて制御する酸素含有ガス流量制御回路に関し,本願発明では,「燃料電池装置の出力電流値により空気供給管線中の送風装置の風量を制御する空気流量制御回路」であるのに対して,引用発明では,「酸素含有ガスの利用率により酸素含有ガス系統の酸素含有ガスを補充する構成」である点。

<相違点5>
本願発明では,マイクロプロセッサの制御を受けて,「パルス信号を発生し,燃料電池装置の水素ガス供給管線中の水素ガスバルブの開閉状態を制御するパルス発生回路」であるのに対して,引用発明では,CPU38aにより制御処理が実行され,燃料ガス利用率により制御弁を調整して改質器16に供給される水とメタノールを増加して燃料ガスを補充する構成である点。

<相違点6>
マイクロプロセッサに連接され,制御装置に,制御プロセス及び各項の所定数値の設定値により燃料電池装置の運転を制御させる「ユニット」に関し,該「ユニット」が,本願発明では,「制御装置の制御プロセスの設定,及び各項の設定数値の設定に用いられ」る「設定ユニット」であるのに対して,引用発明では,そのような特定はなされていない点。

(4)相違点の検討(当審の判断)
<相違点1について>
燃料電池において,一方の電極に水素を,他方の電極に空気を供給するように,水素供給管線,空気供給管線を用いることは,常套手段であり(以下「常套手段1」という。必要があれば,原査定の拒絶の理由に示した特開平11-317236号公報の段落【0032】,【0034】,図1を参照のこと。),引用発明の「酸素含有ガス系統」,「燃料ガス供給通路」及び「酸素含有ガス」に代えて,「空気供給管線」,「水素ガス供給管線」及び「空気」として,相違点1に係る本願発明の構成とすることは,当業者が適宜なし得たものである。

<相違点2について>
燃料電池において,各種測定器(センサ)からの測定値の信号をA/D変換器によってディジタル信号に変換して電子制御装置(マイクロプロセッサ)に送ることは,慣用手段であり(必要があれば,原査定時に提示した特開2002-8692号公報の段落【0037】,及び,米国特許出願公開第2002/0086193号明細書の段落【0030】,【0031】,FIG.3を参照のこと。),引用発明に上記慣用手段を適用して,相違点2に係る本願発明の構成とすることに格別の困難性はない。

<相違点3,5について>
燃料電池システムにおいて,水素ガス供給量を制御するために,水素ガス供給管に,水素の流れを制御するバルブ(水素ガスバルブ)と水素のガスの圧力(水素ガス圧力値)を検出する圧力センサ(水素ガス圧力メータ)を設けることは,本願の優先権主張の日前に周知の技術に過ぎない(原査定の拒絶理由に示した特開平11-317236号の段落【0032】,図1,特開2002-15755号公報の段落【0059】,図6を参照のこと。)。
そして,引用発明においても,燃料ガス(水素ガス)の供給量を制御する必要があることは明らかであるから,引用発明に上記周知の技術を適用することにより,相違点3に係る本願発明の構成とすることは,当業者が適宜なし得たものである。
さらに,燃料電池装置において,バルブの制御にパルス信号を発生するパルス信号発生器(パルス信号発生回路)を用いることも常套手段に過ぎない(以下「常套手段2」という。必要があれば,原査定の拒絶の理由に示した特開2002-56873号公報の段落【0115】?【0118】,図1を参照のこと。)から,引用発明において,上記周知の技術に鑑みて,上記常套手段を適用することにより,相違点5に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

<相違点4について>
燃料電池の空気極に空気を供給する送風機(送風装置)により空気流量(風量)を制御することは,本願の優先権主張の日前に周知の事項に過ぎない(必要があれば,原査定の拒絶理由に示した特開昭58-34574号公報の請求項3,第3ページ右上欄第18行?左下欄最下行,第6図を参照のこと。)。
そして,引用発明においても,酸素含有ガス系統の酸素含有ガスを補充する(流量を制御する)必要があることから,引用発明に上記周知の事項を適用することにより,相違点4に係る本願発明の構成とすることは,当業者が適宜なし得たものである。

<相違点6について>
引用発明の「CPU38aは,」「予め設定された制御プログラムに従って所定の演算等を実行する」ものであるが,予め設定された制御プログラム(制御プロセス)の例として,少なくとも図6のもの(第1実施例)と,図10及び図11のもの(第2実施例)等が示されている。
そして,一般的な制御装置において,制御プログラム(制御プロセス)や各項の設定数値の変更(設定)を外部から行うことも技術常識であり(必要があれば,特開平8-221061号公報の請求項3,段落【0001】,特開平8-30449号公報の段落【0002】?【0005】を参照のこと。),制御装置の制御プロセスの設定,及び各項の設定数値の設定に用いられる(設定を行う)設定ユニットを構成することは,引用発明に上記技術常識を適用することにより,当業者が容易に想到し得たものである。

そして,上記相違点を併せ備える本願発明の奏する作用効果について検討してみても,引用発明,上記常套手段1,上記慣用手段,上記周知の技術,上記常套手段2,上記周知の事項,及び,上記技術常識から当業者が予測し得たものであって,格別なものとはいえない。

よって,本願発明は,引用発明,上記常套手段1,上記慣用手段,上記周知の技術,上記常套手段2,上記周知の事項,及び,上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,上記常套手段1,上記慣用手段,上記周知の技術,上記常套手段2,上記周知の事項,及び,上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると,このような特許を受けることができない発明を包含する本願は,本願の他の請求項について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-18 
結審通知日 2012-04-24 
審決日 2012-05-08 
出願番号 特願2003-116064(P2003-116064)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (H01M)
P 1 8・ 121- Z (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山内 達人  
特許庁審判長 大河原 裕
特許庁審判官 堀川 一郎
藤井 昇
発明の名称 燃料電池システムの制御方法及びその装置  
代理人 あいわ特許業務法人  

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