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審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1264046 |
審判番号 | 不服2011-21285 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-10-03 |
確定日 | 2012-10-04 |
事件の表示 | 特願2005-117340「図面管理装置、技術提携先端末及び図面管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年10月26日出願公開、特開2006-293930〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
その1.手続の経緯 本願は,平成17年4月14日の出願であって, 平成20年4月7日付けで審査請求がなされ,平成23年1月20日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して同年3月28日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,同年8月10日付けで審査官により拒絶査定がなされ,これに対して同年10月3日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,同年11月7日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされ,同年12月15日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋がなされ,平成24年1月23日付けで回答書の提出があったものである。 その2.平成23年10月3日付けの手続補正の却下の決定 補正却下決定の結論 平成23年10月 3日付け手続補正を却下する。 理由 1.補正の内容 平成23年10月3日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,平成23年3月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲, 「 【請求項1】 製品の標準的な図面、及びその図面に応じた担当者端末を電子データとして管理する電子データ管理手段と、技術提携先端末から図面の送付要求を受信すると、上記電子データ管理手段に管理されている図面の電子データを上記技術提携先端末に送信する図面送信手段と、上記技術提携先端末から標準的な図面に基づいた手直しされた図面の電子データを受信すると共にその手直しされた図面が技術提携契約上、問題があるか否かの審査依頼を受信すると、上記電子データ管理手段を参照してその手直しされた図面に応じた標準的な図面の担当者端末を特定し、その手直しされた図面の電子データを特定した担当者端末に送信して当該図面の審査を依頼し、その担当者端末から図面の審査結果を受信する審査依頼受付手段と、上記技術提携先端末により手直しされた図面の審査結果が良であれば、上記審査依頼受付手段により受信された図面の電子データを上記電子データ管理手段に登録し、その図面の審査結果が否であれば、その図面の審査結果が否である旨を上記技術提携先端末に通知する図面登録手段とを備えた図面管理装置。 【請求項2】 図面登録手段は、技術提携先端末により手直しされた図面の電子データを電子データ管理手段に登録する際、手直し前の図面と手直し後の図面との対応付けを行うことを特徴とする請求項1記載の図面管理装置。 【請求項3】 図面送信手段は、第2の技術提携先端末から手直しされた図面の送付要求を受信すると、電子データ管理手段に管理されている手直しされた図面の電子データを上記第2の技術提携先端末に送信することを特徴とする請求項1または請求項2記載の図面管理装置。 【請求項4】 図面送信手段は、第2の技術提携先端末から標準的な図面及び手直しされた図面の送付要求を受信すると、電子データ管理手段に管理されている標準的な図面の電子データと手直しされた図面の電子データとを組み合わせて上記第2の技術提携先端末に送信することを特徴とする請求項1または請求項2記載の図面管理装置。 【請求項5】 図面の電子データを管理している図面管理装置と、図面の送付要求を上記図面管理装置に送信して、その図面管理装置から図面の電子データを受信する技術提携先端末とを備えた図面管理システムにおいて、上記図面管理装置が、製品の標準的な図面、及びその図面に応じた担当者端末を電子データとして管理する電子データ管理手段と、上記技術提携先端末から図面の送付要求を受信すると、上記電子データ管理手段に管理されている図面の電子データを上記技術提携先端末に送信する図面送信手段と、上記技術提携先端末から標準的な図面に基づいた手直しされた図面の電子データを受信すると共にその手直しされた図面が技術提携契約上、問題があるか否かの審査依頼を受信すると、上記電子データ管理手段を参照してその手直しされた図面に応じた標準的な図面の担当者端末を特定し、その手直しされた図面の電子データを特定した担当者端末に送信して当該図面の審査を依頼し、その担当者端末から図面の審査結果を受信する審査依頼受付手段と、上記技術提携先端末により手直しされた図面の審査結果が良であれば、上記審査依頼受付手段により受信された図面の電子データを上記電子データ管理手段に登録し、その図面の審査結果が否であれば、その図面の審査結果が否である旨を上記技術提携先端末に通知する図面登録手段とを備えていることを特徴とする図面管理システム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は, 「 【請求項1】 製品の標準的な図面、及びその図面に応じた担当者端末を電子データとして管理する電子データ管理手段と、技術提携先端末から図面の送付要求を受信すると、上記電子データ管理手段に管理されている図面の電子データを上記技術提携先端末に送信する図面送信手段と、上記技術提携先端末から標準的な図面に基づいた手直しされた図面の電子データを受信すると共にその手直しされた図面が技術提携契約上、問題があるか否かの審査依頼を受信すると、上記電子データ管理手段を参照してその手直しされた図面に応じた標準的な図面の担当者端末を特定し、その手直しされた図面の電子データを特定した担当者端末に送信して当該図面の審査を依頼し、その担当者端末から図面の審査結果を受信する審査依頼受付手段と、上記技術提携先端末により手直しされた図面の審査結果が良であれば、上記審査依頼受付手段により受信された図面の電子データを上記電子データ管理手段に登録し、その図面の審査結果が否であれば、その図面の審査結果が否である旨を上記技術提携先端末に通知する図面登録手段とを備え、 上記図面送信手段は、第2の技術提携先端末から標準的な図面及び手直しされた図面の送付要求を受信すると、上記電子データ管理手段に管理されている標準的な図面の電子データと手直しされた図面の電子データとを組み合わせて上記第2の技術提携先端末に送信することを特徴とする図面管理装置。 【請求項2】 図面登録手段は、技術提携先端末により手直しされた図面の電子データを電子データ管理手段に登録する際、手直し前の図面と手直し後の図面との対応付けを行うことを特徴とする請求項1記載の図面管理装置。 【請求項3】 図面の電子データを管理している図面管理装置と、図面の送付要求を上記図面管理装置に送信して、その図面管理装置から図面の電子データを受信する技術提携先端末とを備えた図面管理システムにおいて、上記図面管理装置が、製品の標準的な図面、及びその図面に応じた担当者端末を電子データとして管理する電子データ管理手段と、上記技術提携先端末から図面の送付要求を受信すると、上記電子データ管理手段に管理されている図面の電子データを上記技術提携先端末に送信する図面送信手段と、上記技術提携先端末から標準的な図面に基づいた手直しされた図面の電子データを受信すると共にその手直しされた図面が技術提携契約上、問題があるか否かの審査依頼を受信すると、上記電子データ管理手段を参照してその手直しされた図面に応じた標準的な図面の担当者端末を特定し、その手直しされた図面の電子データを特定した担当者端末に送信して当該図面の審査を依頼し、その担当者端末から図面の審査結果を受信する審査依頼受付手段と、上記技術提携先端末により手直しされた図面の審査結果が良であれば、上記審査依頼受付手段により受信された図面の電子データを上記電子データ管理手段に登録し、その図面の審査結果が否であれば、その図面の審査結果が否である旨を上記技術提携先端末に通知する図面登録手段とを備え、 上記図面送信手段は、第2の技術提携先端末から標準的な図面及び手直しされた図面の送付要求を受信すると、上記電子データ管理手段に管理されている標準的な図面の電子データと手直しされた図面の電子データとを組み合わせて上記第2の技術提携先端末に送信することを特徴とする図面管理システム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。 2.補正の適否 (1)目的要件 ア.当審の判断 本件手続補正は,補正前の請求項1,及び,請求項5に, 「上記図面送信手段は、第2の技術提携先端末から標準的な図面及び手直しされた図面の送付要求を受信すると、上記電子データ管理手段に管理されている標準的な図面の電子データと手直しされた図面の電子データとを組み合わせて上記第2の技術提携先端末に送信することを特徴とする」という記載を付加すると共に,補正前の請求項3,及び,請求項4を削除し,補正前の請求項5を新たな請求項3とするという補正内容を含むものである。 ここで,上記で引用した補正前の請求項1,及び,請求項5に付加された記載内容は,出願当初の請求の範囲の請求項5に記載された内容と同等であるから,上記引用の記載内容を付加する補正は,願書の最初に添付された明細書,請求の範囲,及び,図面の記載の範囲内でなされたものである。 そして,上記引用の記載内容は,補正前の請求項4に記載されていた内容に相当するものであり,且つ,補正前の請求項4は,補正前の請求項1,及び,請求項2を引用するものであるから, 補正前の請求項1に,補正前の請求項4に記載されていた内容に相当する記載を付加し,同時に補正前の請求項3,及び,請求項4を削除するという補正内容,或いは,補正前の請求項1,及び,請求項3を削除し,補正前の請求項4に補正前の請求項1に記載の内容を加えて補正後の請求項1とする補正は, 補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「図面送信手段」の,同請求項1を引用する,補正前の請求項4に記載の内容による限定的減縮,及び,補正前の請求項3,及び,請求項4の削除,或いは,補正前の請求項1の削除を目的とするものと解される。 しかしながら,補正前の請求項5に,上記引用の記載内容を付加し,補正後の請求項3とする補正は,補正前の請求項5を引用する,補正前の請求項4に相当する内容を含む請求項が存在しておらず,且つ,上記引用の記載内容は,補正前の請求項5に係る発明の発明特定事項である「図面送信手段」に,「第2の技術提携端末」に対して,該「端末」から要求された「標準的な図面及び手直しされた図面」を,「標準的な図面の電子データと手直しされた図面の電子データとを組み合わせて送信する」という新たな機能を付加するものであるから,補正前の請求項5に対するそのような補正は,補正前の請求項5に対する限定的な減縮には当たらない。そして,当該補正が,明りょうでない記載の釈明,及び,請求項の削除でないことも明らかである。 よって,補正前の請求項5に上記引用の記載を付加し,補正後の請求項3とする補正は,特許法第17条の2第4項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れを目的としたものでもない。 イ.目的要件むすび したがって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 (2)独立特許要件 本件手続補正は,上記項目(1)で指摘したように,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるが, 本件手続補正が,限定的減縮を目的としたものであると仮定して,本件手続補正により補正された請求項1に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けられるものであるかについて,以下に検討する。 ア.本件補正発明 補正後の請求項1に係る発明(以下,「本件補正発明」という)は,上記項目「1.補正の内容」において,補正後の請求項1として引用した記載のとおりのものである。 イ.引用発明 一方,原審が,平成23年1月20日付けの拒絶理由に引用した,本願出願前に既に公知である,特開2004-192576号公報(平成16年7月8日公開,以下,これを「引用刊行物1」という)には,関連する図面と共に次の事項が記載されている。 A.「【0014】 本発明による図面管理システムは,図面データを管理する図面管理サーバ(例えば,図面管理サーバ10によって実現される)と,ユーザが使用するユーザ端末(例えば,ユーザ端末20によって実現される)とを含み,図面管理サーバは,変更前後の図面の図面データを記憶する図面データ記憶手段と,変更前後の図面データを管理する図面データ管理手段とを備えた図面管理システムにおいて,図面管理サーバは,それぞれの図面の変更前後の図面データと,変更前の図面と変更後の図面との間の差異部分を含む領域である変更箇所の図面データである図面変更箇所データとを関連付けて管理する図面データ管理手段を含むことを特徴とする。そのような構成によれば,ユーザは遠隔地から図面の変更箇所を容易に特定し,視覚的に確認することができる。また。同時に複数のユーザが図面の変更箇所を容易に特定し,視覚的に確認することができる。」 B.「【0020】 図2は,図1に示す図面管理システムの構成の例を示す機能ブロック図である。図2に示すように,図面管理サーバ10は,図面管理の処理を実行する図面管理部11と,図面のラスタデータ(以下,図面データと記す)を受信する図面登録データ受信部12と,図面データを送信する図面データ送信部13と,変更内容情報ファイル115に設定されたデータ(変更内容データ)を送信する変更内容データ送信部14と,変更登録データ(この実施の形態では変更の理由を示す変更理由コード)を受信する変更登録データ受信部15と,変更内容データの検索条件を含む参照内容情報を受信する参照内容受信部16とを含む。また,図面管理部11は,図面データを管理するための図面情報ファイル111と,変更後の図面における変更前の図面からの変更箇所の図面データである図面変更箇所データを生成する図面変更箇所データ生成部112と,図面変更箇所データを管理するための図面変更箇所情報ファイル113と,変更理由コード等が設定される変更内容情報ファイル114を生成する変更内容データ更新部115とを含む。」 C.「【0057】 図面管理サーバ10の図面登録データ受信部12は、ユーザ端末20から、LAN50を介して改版後の図面データを受信する(ステップS22)。図面登録データ受信部12は、受信した改版後の図面データに基づいて図面情報ファイル111を更新する。そして、図面登録データ受信部12は、更新後の図面情報ファイル111に基づいて、改版後の図面データをデータベース装置に記憶させる(ステップS23)。 ・・・・(中略)・・・・ 【0059】 図面登録データ受信部12は,図面番号302「10002 」および変更後版数404「2」に基づいて,受信した改版後の図面データのファイル名を「10002_2.tif 」に決定する。また,図面登録データ受信部12は,受信した改版後の図面データを記憶させるディレクトリを,図面ID301「2」と同じ「D:\draw\10002 」に決定する。そして,図面登録データ受信部12は,データベース装置におけるディレクトリ「D:\draw\10002 」に,改版後の図面データを「10002_2.tif 」というファイル名で記憶させる。 【0060】 図面変更箇所データ生成部112は,図面情報ファイル111に基づいて,データベース装置から,改版後の図面データと,対応する改版前の図面データとを抽出する(ステップS24)。図面変更箇所データ生成部112は,改版前の図面データと改版後の図面データとの差分を抽出して図面変更箇所データを生成する(ステップS25)。」 D.「【0070】 図面参照部212は,入力装置26から変更箇所の図面データの要求が入力されると,対応する図面変更箇所データの変更箇所ID503を参照内容情報として出力する。参照内容送信部28は,図面参照部212からの参照内容情報を,LAN50を介して図面管理サーバ10に送信する。図面管理サーバ10の参照内容受信部16は,参照内容情報を,LAN50を介してユーザ端末20から受信する。図面データ送信部13は,参照内容受信部16が受信した参照内容情報に基づいて,図面変更箇所情報ファイル113から変更箇所IDに対応する図面変更箇所データを特定する。すなわち,図面データ送信部13は,変更箇所ID503をポインタとして図面変更箇所データを特定する。そして,図面データ送信部13は,データベース装置から,特定した図面変更箇所データを抽出する(ステップS34)。 ・・・・(中略)・・・・ 【0075】 ユーザ端末20の図面データ受信部23は,改版前の図面データ,改版後の図面データ,および図面変更箇所データを,LAN50を介して図面管理サーバ10から受信する(ステップS37)。図面参照部212は,図面データ受信部23から,改版前の図面データ,改版後の図面データ,および図面変更箇所データを取得する。そして,図面参照部212は,改版前の図面データ,改版後の図面データ,および図面変更箇所データを表示装置27に表示する(ステップS38)。」 (ア)上記Aの「図面管理サーバは,それぞれの図面の変更前後の図面データと,変更前の図面と変更後の図面との間の差異部分を含む領域である変更箇所の図面データである図面変更箇所データとを関連付けて管理する図面データ管理手段を含む」という記載,及び,上記Bの「図面管理サーバ10は,図面管理の処理を実行する図面管理部11と,図面のラスタデータ(以下,図面データと記す)を受信する図面登録データ受信部12と,図面データを送信する図面データ送信部13と,変更内容情報ファイル115に設定されたデータ(変更内容データ)を送信する変更内容データ送信部14と,変更登録データ(この実施の形態では変更の理由を示す変更理由コード)を受信する変更登録データ受信部15と,変更内容データの検索条件を含む参照内容情報を受信する参照内容受信部16とを含む」という記載から,上記Aにおける「図面データ管理手段」が,上記Bにおける「図面管理部11」に相当すると解されるので,引用刊行物1には,“図面管理を実行する図面データ管理手段と,図面データを受信する図面登録データ受信部,図面データを送信する図面データ送信部,変更内容データを送信する変更内容データを送信する変更内容データ送信部,変更登録データを受信する変更登録データ受信部と,参照内容受信部とを含む図面管理サーバ”が記載されていることが読み取れる。 (イ)上記Aの「変更前後の図面の図面データを記憶する図面データ記憶手段」という記載,並びに,上記Cの「受信した改版後の図面データを記憶させるディレクトリを,図面ID301「2」と同じ「D:\draw\10002 」に決定する。そして,図面登録データ受信部12は,データベース装置におけるディレクトリ「D:\draw\10002 」に,改版後の図面データを「10002_2.tif 」というファイル名で記憶させる」という記載,及び,「図面情報ファイル111に基づいて,データベース装置から,改版後の図面データと,対応する改版前の図面データとを抽出する」という記載において,「図面データ記憶手段」と,「データベース装置」とは,同じものを指すと解されるので,上記指摘の記載から,引用刊行物1に記載の「図面管理装置」が有する「図面データ記憶手段」には,“変更前の図面データ”と,“変更後の図面データ”とが,同じ「ディレクトリ」に記憶されていることが読み取れる。 (ウ)上記Bの「図面管理部11は,図面データを管理するための図面情報ファイル111と,・・・とを含む」という記載,並びに,上記Cの「図面登録データ受信部12は、受信した改版後の図面データに基づいて図面情報ファイル111を更新する」,「図面登録データ受信部12は、更新後の図面情報ファイル111に基づいて、改版後の図面データをデータベース装置に記憶させる」,「図面登録データ受信部12は,図面番号302「10002 」および変更後版数404「2」に基づいて,受信した改版後の図面データのファイル名を「10002_2.tif 」に決定する」,及び,「図面登録データ受信部12は,データベース装置におけるディレクトリ「D:\draw\10002 」に,改版後の図面データを「10002_2.tif 」というファイル名で記憶させる」という記載から,引用刊行物1に記載の「図面管理サーバ」は,“ユーザ端末から,変更後の図面データを受信し,前記受信した図面データに基づいて,図面データを管理するための図面情報ファイルを更新し,前記図面データを,図面データ記憶手段に記憶させる,図面登録データ受信部”を有することが読み取れる。 (エ)上記Dの「入力装置26から変更箇所の図面データの要求が入力されると,対応する図面変更箇所データの変更箇所ID503を参照内容情報として出力する」という記載,「参照内容情報を,LAN50を介して図面管理サーバ10に送信する」という記載,「参照内容情報を,LAN50を介してユーザ端末20から受信する」という記載,「図面データ送信部13は,データベース装置から,特定した図面変更箇所データを抽出する」という記載,及び,「ユーザ端末20の図面データ受信部23は,改版前の図面データ,改版後の図面データ,および図面変更箇所データを,LAN50を介して図面管理サーバ10から受信する」という記載において,「図面データの要求が入力されると・・・参照内容情報として出力する」ことから,「参照内容情報」とは,“図面データの要求”と同義であると解されるので,上記引用の記載から,引用刊行物1に記載の「図面管理サーバ」は,“ユーザ端末から,LANを介して受信した,図面データの要求に基づいて,変更前の図面データ,変更後の図面データとを,図面データ記憶手段から読み出し,読み出した変更前の図面データ,変更後の図面データを,前記LANを介して,ユーザ端末に送信する図面データ送信部”を有することが読み取れる。 以上(ア)?(エ)において検討した事項から,引用刊行物1には,次の発明(以下,「引用発明」という)が記載されているものと認める。 図面を管理する図面データ管理手段と,ユーザ端末から図面データの要求を受信すると,前記図面データ管理手段が管理している図面データを前記ユーザ端末に送信する図面データ送信部と,前記ユーザ端末から,変更後の図面データを受信すると,前記変更後の図面データに基づいて,図面データを管理するための図面情報ファイルを更新し,前記図面データを,図面データ記憶手段に記憶させる図面登録データ受信部とを備え, 前記図面データ送信部は,ユーザ端末から,図面データの要求を受信すると,図面データ記憶手段に記憶されている,前記図面データの要求によって特定される,変更前の図面データと,変更後の図面データとを,前記ユーザ端末に送信することを特徴とする, 図面管理サーバ。 ウ.本件補正発明と引用発明との対比 そこで,本件補正発明と引用発明とを対比すると, a.引用発明における「図面」或いは「変更前の図面」が,本件補正発明における「製品の標準的な図面」に相当し,同じく引用発明における「ユーザ端末」,「図面データ送信部」が,本件補正発明における「技術提携先端末」,「図面送信手段」に相当し, 引用発明における「図面を管理する図面データ管理手段」も, 本件補正発明における「製品の標準的な図面,及びその図面に応じた担当者端末を電子データとして管理する電子データ管理手段」も, “図面データを管理する図面管理手段”である点で共通する。 b.引用発明における「図面データの要求」が,本件補正発明における「図面の送付要求」に相当するので, 引用発明における「ユーザ端末から図面データの要求を受信すると」が, 本件補正発明における「技術提携先端末から図面の送付要求を受信すると」に相当し, 引用発明においても「図面」は,「図面情報ファイル」を用いて,「図面データ管理手段」において管理されていることは明らかであるから, 引用発明における「前記図面データ管理手段が管理している図面データを前記ユーザ端末に送信する図面データ送信部」が, 本件補正発明における「上記電子データ管理手段に管理されている図面の電子データを上記技術提携先端末に送信する図面送信手段」に相当する。 c.引用発明において, 「ユーザ端末から,変更後の図面データを受信」して,「変更後の図面データに基づいて,図面データを管理するための図面情報ファイルを更新」し,「図面データを,図面データ記憶手段に記憶させる」ことは,「図面情報ファイルを更新」することが,「変更後の図面データ」を「図面データ管理手段」に登録することに相当するので, 本件補正発明において, 「技術提携先端末から標準的な図面に基づいた手直しされた図面の電子データを受信すると共にその手直しされた図面が技術提携契約上,問題があるか否かの審査依頼を受信」し,「電子データ管理手段を参照してその手直しされた図面に応じた標準的な図面の担当者端末を特定し,その手直しされた図面の電子データを特定した担当者端末に送信して当該図面の審査を依頼し,その担当者端末から図面の審査結果を受信」し,「技術提携先端末により手直しされた図面の審査結果が良であれば」,「受信された図面の電子データ」を「電子データ管理手段に登録」ことと, “技術提携端末から手直しされた図面の電子データを受信し,受信した当該図面を管理手段に登録”する点で共通し, 結果として, 引用発明における「ユーザ端末から,変更後の図面データを受信すると,前記変更後の図面データに基づいて,図面データを管理するための図面情報ファイルを更新し,前記図面データを,図面データ記憶手段に記憶させる図面登録データ受信部」と, 本件補正発明における「技術提携先端末から標準的な図面に基づいた手直しされた図面の電子データを受信すると共にその手直しされた図面が技術提携契約上,問題があるか否かの審査依頼を受信すると,上記電子データ管理手段を参照してその手直しされた図面に応じた標準的な図面の担当者端末を特定し,その手直しされた図面の電子データを特定した担当者端末に送信して当該図面の審査を依頼し,その担当者端末から図面の審査結果を受信する審査依頼受付手段と,上記技術提携先端末により手直しされた図面の審査結果が良であれば,上記審査依頼受付手段により受信された図面の電子データを上記電子データ管理手段に登録し,その図面の審査結果が否であれば,その図面の審査結果が否である旨を上記技術提携先端末に通知する図面登録手段」とは, “技術提携端末から手直しされた図面の電子データを受信し,受信した当該図面を管理手段に登録する登録手段”である点で共通する。 d.そして,引用発明における「図面データ送信部は,ユーザ端末から,図面データの要求を受信すると,図面データ記憶手段に記憶されている,前記図面データの要求によって特定される,変更前の図面データと,変更後の図面データとを,前記ユーザ端末に送信する」と, 本件補正発明における「図面送信手段は,第2の技術提携先端末から標準的な図面及び手直しされた図面の送付要求を受信すると,上記電子データ管理手段に管理されている標準的な図面の電子データと手直しされた図面の電子データとを組み合わせて上記第2の技術提携先端末に送信する」とは, “図面送信手段は,技術提携端末から元の図面と手直しされた図面の送付要求を受信すると,電子データ管理手段に管理されている元の図面の電子データと手直しされた図面の電子データとを組み合わせて上記技術提携端末に送信する”点で共通している。 更に,引用発明における「図面管理サーバ」は,上記で指摘した「図面管理手段」,「図面送信手段」,「図面」の「登録手段」を有する“装置”であることは明らかであるから, 本件補正発明における「図面管理手段」と, “図面管理手段,図面送信手段,登録手段を備える図面データ管理装置”である点で共通する。 以上a?dで検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は次のとおりである。 [一致点] 図面データを管理する図面管理手段と,技術提携先端末から図面の送付要求を受信すると,上記電子データ管理手段に管理されている図面の電子データを上記技術提携先端末に送信する図面送信手段と,上記技術提携端末から手直しされた図面の電子データを受信し,受信した当該図面を管理手段に登録する登録手段とを備え, 上記図面送信手段は,上記技術提携端末から元の図面と手直しされた図面の送付要求を受信すると,電子データ管理手段に管理されている元の図面の電子データと手直しされた図面の電子データとを組み合わせて上記技術提携端末に送信することを特徴とする図面データ管理装置。 [相違点1] “図面データ管理装置”に関して, 本件補正発明における「図面管理装置」には, 「その手直しされた図面が技術提携契約上,問題があるか否かの審査依頼を受信すると,上記電子データ管理手段を参照してその手直しされた図面に応じた標準的な図面の担当者端末を特定し,その手直しされた図面の電子データを特定した担当者端末に送信して当該図面の審査を依頼し,その担当者端末から図面の審査結果を受信する審査依頼受付手段」が存在するのに対して, 引用発明における「図面管理サーバ」には,「審査依頼受付手段」に相当する「手段」がなく,「審査依頼受付手段」が行う処理に関して,特に言及されていない点。 [相違点2] “登録手段”に関して, 上記相違点1に関連して,本件補正発明においては,「図面登録手段」は,「審査依頼受付手段」の「審査結果」の良・否によって,良であれば「受信された図面の電子データ」を「電子データ管理手段に登録」し,否であれば,“審査結果が否であった旨”を「技術提携端末」に通知するものであるのに対して, 引用発明における「図面登録データ受信部」は,上記指摘の本件補正発明における「図面登録手段」のような処理は行っていない点。 [相違点3] “技術提携端末から元の図面と手直しされた図面の送付要求を受信する”点に関して, 本件補正発明においては,「第2の技術提携端末」であるのに対して, 引用発明においては,「ユーザ端末」が,「変更後の図面データ」を「図面管理サーバ」に送信した「ユーザ端末」か,それ以外の「ユーザ端末」かが不明な点。 エ.当審の判断 [相違点1],及び,[相違点2]について, 原審が,平成23年1月20日付けの拒絶理由(以下,「原審拒絶理由」という)に引用した,本願の出願前に既に公知である,特開2002-245099号公報(平成14年8月30日公開,以下,これを「引用刊行物2」という)に, E.「【0010】図13に、従来の設計情報管理システムにおける図面登録作業の一実施例の処理フローチャートを示す。なお、このフローは設計者が3次元CADシステムを用いて3次元データを完成させた後からの処理を示している。また、ステップS1301は3次元CADシステムでの処理、ステップS1302?ステップS1304の処理は図面管理システムの図面登録部での処理である。以下、このフローにしたがって動作を説明する。 ・・・・(中略)・・・・ 【0012】ステップS1302:設計者は3次元CADシステムで作成したビュワーデータを図面管理システムのデータ管理部に格納する図面移入処理を行う。この時、データ管理部のステータスを”設計中”に設定する。 【0013】ステップS1303:設計者は移入した図面の承認を得るため、設計部門の責任者に承認依頼処理を行う。 【0014】ステップS1304:承認者は承認依頼のあった図面の承認処理を行う。そして、処理を終了する。」(下線部は,説明の都合上当審にて附加したものである。以下,同じ。) F.「【0026】ステップS1704:登録するビュワーデータ(図面)の承認処理を依頼する電子メールを所定の承認者宛てに送信する。図19に承認処理を依頼する電子メールを示す。そして、処理を終了する。 【0027】図20?図23を参照して、承認処理について説明する。図20は従来の承認処理の一実施例の処理フローチャート、図21は承認処理の一実施例の画面図、図22は図面の承認処理結果を通知する電子メールの一実施例図、図23は図面の登録を通知する電子メールの一実施例図である。 ・・・・(中略)・・・・ 【0032】ステップS2004:登録するビュワーデータ(図面)が承認されたことを通知する電子メールを承認依頼者宛てに送信する。図22(a)に承認通知の電子メールを示す。 【0033】ステップS2005:ビュワーデータ(図面)が登録されたことを通知する電子メールを、所定の関連部門の担当者宛てに送信する。図23に図面登録通知の電子メールを示す。そして、処理を終了する。 ・・・・(中略)・・・・ 【0035】ステップS2007:登録するビュワーデータ(図面)の承認が却下されたことを通知する電子メールを承認依頼者宛てに送信する。図22(b)に却下通知の電子メールを示す。そして、処理を終了する。」と記載され, 同じく,原審拒絶理由に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開2003-132094号(平成15年5月9日公開,以下,これを「引用刊行物3」という)に, G.「【請求項1】 製品を構成する部品に対する設計変更の実行プロセスを支援するための設計変更支援システムにおいて、前記製品の部品構成を管理する部品構成情報データベースと、設計変更による可否評価を行う組織および/または担当者を前記製品と関連付けて記憶する関係区情報データベースと、設計変更対象の前記部品に関する情報を入力する変更部品情報入力手段と、入力された部品情報に基づいて前記部品構成情報データベースを検索し、その部品を使用している製品を特定する製品特定手段と、その特定された製品に基づいて前記関係区情報データベースを検索し、前記部品の設計変更の可否評価を行う組織および/または担当者を選択する評価先選択手段と、前記評価先選択手段で選択した組織および/または担当者に対して、前記部品の設計変更の可否評価依頼を電子的に送信する送信手段と、前記評価依頼先の組織、および/または担当者による前記部品の設計変更の可否評価結果を受信する受信手段とを備えることを特徴とする設計変更支援システム。」 H.「【0032】関連区情報データベース(DB)135は、設計・生産の業務プロセスおよびシステムで、必要な製品管理を行うために、製品とその管理項目を登録・維持し、部品構成情報DB125と連携して製品管理のマスターとし、組織変更や人事異動に適切・迅速に更新される(図3参照)。この関連区情報DB135は、個別設計変更の必要な事前検討プロセスを適切に行うためのワークフローのシステム制御に使用する。例えば、図面変更有りのときには、加工技術検討を依頼し、製品がOEMブランドであれば、OEM検討を行って承認を依頼する等の各種事前検討依頼をする/しないの判断に使われる。また、個別設計変更を実施・反映する必要な部署に漏れなく伝達・指示するために、各プロセスの内部詳細ワークフローが設定されている。」と記載されていて, 上記Hの「図面変更有りのときは」の記載から,引用刊行物3に記載の発明においても,管理対象として「図面」が含まれることは明らかであり,上記Eの記載からも明らかなように,引用刊行物2には,「承認が却下されたことを通知する電子メールを承認依頼者宛てに送信する」することも記載されていることから, 上記E?上記Hの記載から,引用刊行物2,及び,引用刊行物3に記載されているように,図面の変更を管理する技術において,当該図面の変更に対する承認,或いは設計変更の可否を,承認者,或いは,担当者に依頼し,当該,承認の結果を受信すること,及び,該結果の通知を行うこと,該結果に基づいて,図面の登録を行うことは,本願の出願前に当業者には広く知られた技術事項であり,更に,引用刊行物3の上記Gに引用した記載にもあるように,「関係区情報データベースを検索し、前記部品の設計変更の可否評価を行う組織および/または担当者を選択する」ことも,本願の出願前に当業者に広く知られた技術事項である。 そして,引用発明,並びに,引用刊行物2,及び,引用刊行物3に係る発明は,共に,図面の管理する技術に関連するものであるから, 引用発明において,承認者,或いは,担当者に,変更図面の作成側であるユーザ端末から,承認依頼が送信される構成とした場合,引用発明における図面管理サーバに,ユーザ端末からの,前記依頼を受信し,上記指摘の承認者,或いは,担当者を特定するための手段を設け,変更した図面を,図面データ管理手段に登録する,或いは,図面データ記憶手段に記憶することの可否を,承認者,又は,担当者に依頼し,結果に応じて,結果が可であれば,登録し,否であれば,その旨を通知するよう構成することは,当業者が適宜なし得たものである。 よって,相違点1,及び,相違点2は,格別のものではない。 [相違点3]について, 引用刊行物1に, 「【0019】 なお、LAN50に接続されるユーザ端末20は2台に限られない。例えば、ユーザ端末20は1台のみであってもよい。また、3台以上のユーザ端末20がLAN50に接続されていてもよい。さらに、図面管理サーバ10と、ユーザ端末20とは、LAN50以外の通信ネットワークに接続されるものであってもよい。」 と記載され,引用発明においても,「図面管理サーバ」に,複数の「ユーザ端末」が接続される構成を含み得るものである。 そして,このような構成において,複数の「ユーザ端末」の何れか「図面」を変更し,当該「変更後の図面」と「元の図面」とを「図面管理サーバ」に登録し,当該登録した前記「図面」を,他の「ユーザ端末」が要求するという過程は,当業者によって自明の処理過程に過ぎない。 よって,引用発明において,「図面データの要求を受信する」「ユーザ端末」を,当該「変更後の図面」を「図面管理サーバ」に送信した「ユーザ端末」とは別の端末とすることは,当業者が適宜なし得る事項である。 よって,相違点3は,格別のものではない。 上記で検討したごとく、相違点1?3はいずれも格別のものではなく、そして、本件補正発明の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば容易に予測できる程度のものであって、格別なものとは認められない。 以上のとおりであるから,本件補正発明は,引用発明,並びに,引用刊行物2,及び,引用刊行物3に係る発明から,当業者が容易になし得たものであるから,特許出願の際独立して特許を受けることができない。 オ.独立特許要件むすび したがって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.補正却下むすび 以上,上記(1)目的要件において検討したとおり, 本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また,本件手続補正が,限定的減縮を目的としたものであると仮定しても, 上記(2)独立特許要件において検討したとおり, 本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,補正却下決定の結論のとおり決定する。 その3.本願発明について 平成23年10月3日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成23年3月28日付けの手続補正により補正された上記補正前の請求項1として引用した記載のとおりのものであると認める。 その4.引用刊行物に記載の発明 上記“(2)独立特許要件”の“イ.引用発明”において認定したとおりのものである。 その5.本願発明と引用発明との対比 本願発明は,上記本件補正発明から, 「第2の技術提携先端末から標準的な図面及び手直しされた図面の送付要求を受信すると、上記電子データ管理手段に管理されている標準的な図面の電子データと手直しされた図面の電子データとを組み合わせて上記第2の技術提携先端末に送信すること」を取り除いたものであるから, 本願発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,上記“(2)独立特許要件”の“ウ.本件補正発明と引用発明との対比”における検討を踏まえると,次のとおりである。 [一致点] 図面データを管理する図面管理手段と,技術提携先端末から図面の送付要求を受信すると,上記電子データ管理手段に管理されている図面の電子データを上記技術提携先端末に送信する図面送信手段と,上記技術提携端末から手直しされた図面の電子データを受信し,受信した当該図面を管理手段に登録する登録手段とを備えた図面データ管理装置。 [相違点1] “図面データ管理装置”に関して, 本願発明における「図面管理装置」には, 「その手直しされた図面が技術提携契約上,問題があるか否かの審査依頼を受信すると,上記電子データ管理手段を参照してその手直しされた図面に応じた標準的な図面の担当者端末を特定し,その手直しされた図面の電子データを特定した担当者端末に送信して当該図面の審査を依頼し,その担当者端末から図面の審査結果を受信する審査依頼受付手段」が存在するのに対して, 引用発明における「図面管理サーバ」には,「審査依頼受付手段」に相当する「手段」がなく,「審査依頼受付手段」が行う処理に関して,特に言及されていない点。 [相違点2] “登録手段”に関して, 上記相違点1に関連して,本願発明においては,「図面登録手段」は,「審査依頼受付手段」の「審査結果」の良・否によって,良であれば「受信された図面の電子データ」を「電子データ管理手段に登録」し,否であれば,“審査結果が否であった旨”を「技術提携端末」に通知するものであるのに対して, 引用発明における「図面登録データ受信部」は,上記指摘の本願発明における「図面登録手段」のような処理は行っていない点。 その6.当審の判断 本願発明と引用発明との相違点は,上記“(2)独立特許要件”で検討した,本件補正発明と,引用発明との相違点と同一であるから,その判断は,上記“(2)独立特許要件”の“エ.当審の判断”において検討したとおりである。 以上のとおりであるから,本願発明は,引用発明,並びに,引用刊行物2,及び,引用刊行物3に係る発明から,当業者が容易になし得たものである。 その7.むすび したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-17 |
結審通知日 | 2012-07-24 |
審決日 | 2012-08-22 |
出願番号 | 特願2005-117340(P2005-117340) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(G06F)
P 1 8・ 573- Z (G06F) P 1 8・ 575- Z (G06F) P 1 8・ 571- Z (G06F) P 1 8・ 574- Z (G06F) P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加舎 理紅子 |
特許庁審判長 |
山崎 達也 |
特許庁審判官 |
田中 秀人 石井 茂和 |
発明の名称 | 図面管理装置、技術提携先端末及び図面管理システム |
代理人 | 田澤 英昭 |
代理人 | 濱田 初音 |