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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない A63F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正しない A63F
管理番号 1266818
審判番号 訂正2012-390080  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2012-06-21 
確定日 2012-11-26 
事件の表示 特許第3149853号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判の請求に係る特許第3149853号(以下「本件特許」という。)の経緯は以下のとおりである。

平成 7年7月14日 特願平7-178645号出願(原出願)
平成10年7月16日 本件特許出願(特願平10-202336号)
平成13年1月19日 設定登録(特許第3149853号)
平成24年6月21日 本件審判請求(訂正2012-390080)
平成24年8月 7日 訂正拒絶理由通知書(平成24年8月13日発送)
平成24年9月11日差出 意見書、審判請求書及び訂正明細書の内容を補 正する手続補正書(書面には9月10日の日付)

第2 平成24年9月11日差出手続補正の適否
1.本件補正の補正事項
平成24年9月11日差出で提出された手続補正書(以下、単に「補正書」という。)による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成24年6月21日付けで提出された審判請求書(以下、単に「請求書」という。)における請求の趣旨について、
特許第3149853号の特許権の設定の登録がなされたときの明細書(以下、単に「特許明細書」という。)を請求書に添付された訂正明細書(以下、単に「訂正明細書」という。)のとおり訂正すること(以下、単に「本件訂正」という。)を認める、との審決を求めることに代えて、
特許明細書を補正書に添付された訂正明細書(以下、単に「補正明細書」という。)のとおり訂正することを認める、との審決を求めることに補正することを含むものであって、
本件補正は、以下の(1)及び(2)のとおり本件訂正における訂正事項1及び2を補正する補正事項1及び2を含むものである(下線部は訂正箇所を意味する。)。

(1)補正事項ア
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における
「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに決定する」という記載について、
「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに表示決定する」と訂正する訂正事項1を、
「大当たり終了後にランダムに決定した前記所定期間を表示する」と訂正するよう補正する。

(2)補正事項イ
特許明細書の段落【0005】における
「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに決定する」という記載について、
「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに表示決定する」と訂正する訂正事項2を、
「大当たり終了後にランダムに決定した前記所定期間を表示する」と訂正するよう補正する。

2.本件補正についての当審の判断
(1)補正事項アについて
補正事項アは、「所定期間」に関して、「ランダムに表示決定する」という記載がどのようなことを意味するのか不明である「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに表示決定する」という記載を、
大当たり終了後にランダムに決定した所定期間を表示することを意味する「大当たり終了後にランダムに決定した前記所定期間を表示する」という記載に変更することにより、意味不明な記載をランダムに決定した所定期間を表示するという技術的意味を有する記載に変更するものである。
また仮に「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに表示決定する」という不明な記載が、大当たり後に所定期間をランダムに表示することにより決定することを意味しているとしても、
大当たり終了後にランダムに決定した所定期間を表示することを意味する「大当たり終了後にランダムに決定した前記所定期間を表示する」という記載に変更することにより、技術的意味が異なるものに変更するものである。
よって、当該補正事項アは、訂正事項の削除及び軽微な瑕疵の補正等の微修正に止まるものではなく、当初の請求書で審判を申し立てていた事項と本件補正後に審判を申し立てている事項との間には、同一性はない。
したがって、補正事項アは、請求書の趣旨の要旨を変更するものである。

(2)補正事項イについて
補正事項イは、発明の詳細な説明の関係する段落の内容を整合させるべく、補正事項アに合わせて補正したものであるが、上記のとおり補正事項アは請求書の趣旨の要旨を変更するものであるから、補正事項イも請求書の趣旨の要旨を変更するものである。

3.本件補正についての結論
以上のとおり、上記補正事項ア及びイは、請求書の請求の趣旨の要旨を変更するものであって、特許法第131条の2第1項の規定を満たさず、本件補正を認めることはできない。(なお、特許法第131条の2第1項の請求書の趣旨の要旨の変更とは、当初の請求書で審判を申し立てていた事項と補正後に審判を申し立てている事項との間の同一性を変更することである。平成19年(行ケ)第10262号審決取消訴訟判決(平成20年3月19日判決言渡)の「第5 当裁判所の判断」の「1 取消事由1(本件補正の適否についての判断の誤り)について」の「(2)要旨の変更について」を参照されたい。)

第3 審判請求に対する判断
1.訂正事項
訂正拒絶理由の一部を転記すると、以下の通りである。
なお、「(1)訂正事項1」の「表示決定することを」と訂正する。」は「表示決定する」と訂正する。」の、「(2)訂正事項1」の「表示決定することを」と訂正する。」は「表示決定する」と訂正する。」の、誤記であることは明かであるので、当審で修正した。

「2 訂正事項
本件特許の訂正は、本件特許の特許請求の範囲及び明細書を、本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。(下線部は訂正箇所を意味する。)

その訂正内容は、次のとおりである。

(1)訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における
「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに決定する」という記載を、
「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに表示決定する」と訂正する。

(2)訂正事項2
明細書の段落【0005】における
「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに決定する」という記載を、
「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに表示決定する」と訂正する。」

2.訂正事項に対する当審の判断
(1)訂正事項1について
まず、上記訂正事項1が、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものであるか否かについて検討する。

ア 明瞭でない記載の釈明(第3号)について
審判請求人は、請求書の「6.請求の理由」「エ.訂正の原因」「(ア)訂正事項が全ての訂正要件に適合している事実の説明」「a.訂正事項1」「(a)訂正の目的について」において、
訂正前の請求項1は、発明の効果を奏し得ない発明を包含した不明瞭なものとなっているから、明瞭でない記載の釈明を目的として、「決定する」を「表示決定する」に訂正することにより、特許明細書に記載された「発明の効果」を奏するものに限定した旨主張している。
しかしながら、訂正事項1は、「ランダムに決定する」という記載を、「ランダムに表示決定する」という記載に訂正するものであり、「表示決定する」という記載はどのようなことを意味するのか不明な記載であるため、訂正事項1によって特許請求の範囲の記載が不明瞭になっている。
また仮に「ランダムに表示決定する」という不明な記載が、ランダムに表示することにより決定することを意味していると解釈すると、
「前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに表示決定することを」は、前記所定期間を、大当たり終了後にランダムに表示することにより決定することを意味していることになるが、
特許明細書(段落【0035】、【0040】、【0042】)には、所定期間である変動短縮回数を、大当たり終了後にランダムに決定し、決定した変動短縮回数を表示する点が記載されているにすぎず、
訂正事項1の内容が、特許明細書に記載されたものであるといえない。
従って、訂正事項1は、明瞭な記載を不明瞭な記載に訂正するものであり、訂正された内容が不明瞭でないとしても、訂正された内容が特許明細書に記載された内容であるといえないから、
訂正事項1は、審判請求人が主張するような、明瞭でない記載の釈明には該当しない。

イ 特許請求の範囲の減縮(第1号)について
訂正事項1の「ランダムに決定する」という記載を「ランダムに表示決定する」という記載に訂正することは、特許請求の範囲の記載を不明瞭な記載にするものであって、特許請求の範囲の減縮とはいえないから、
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮にも該当しない。

ウ その他の目的について
また、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とする訂正でもなく(第2号)、請求項間の引用関係の解消を目的とする訂正でもない(第4号)。

エ 小括
上記ア?ウで検討したように、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書各号のいずれにも該当しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書各号の規定に適合しないから、訂正事項1による訂正を認めることはできない。

(2)訂正事項2について
次に、上記訂正事項2が、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものであるか否かについて検討する。
訂正事項2は、発明の詳細な説明の関係する段落の内容を整合させるべく、訂正事項1に合わせて訂正したものであるが、上記のとおり訂正事項1による訂正を認めることができないので、訂正事項2は明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正には該当しない。
また、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とする訂正にも該当しない。
よって、訂正事項2による訂正を認めることはできない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書各号のいずれに掲げる事項を目的とするものではないから、認めることはできない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-01 
結審通知日 2012-10-03 
審決日 2012-10-16 
出願番号 特願平10-202336
審決分類 P 1 41・ 853- Z (A63F)
P 1 41・ 851- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 吉村 尚
瀬津 太朗
登録日 2001-01-19 
登録番号 特許第3149853号(P3149853)
発明の名称 パチンコ機  
代理人 井上 敬也  
代理人 石田 喜樹  

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