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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1266951
審判番号 不服2010-16876  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-27 
確定日 2012-11-28 
事件の表示 特願2006-532364「検索基準の累進的緩和」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月25日国際公開、WO2004/102427、平成19年11月29日国内公表、特表2007-535016〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2004年(平成16年)3月31日(パリ条約による優先権主張2003年5月8日,米国)を国際出願日とする出願であって,平成17年11月7日付けで特許法184条の5第1項に規定する国内書面が提出されるとともに,特許法184条の4第1項に規定する国際出願日における明細書,請求の範囲,図面(図面の中の説明に限る)及び要約の日本語による翻訳文,並びに,特許法184条の8第1項に規定する特許協力条約34条(2)(b)の規定に基づく補正書の日本語による翻訳文が提出され,平成21年9月15日付けの拒絶理由の通知に対し,同年12月28日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ,平成22年3月25日付けで拒絶査定がなされた。これに対して同年7月27日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正がなされ,同年9月1日付けで審査官から前置報告がなされ,平成23年12月28日付けで審尋がなされ,これに対して平成24年4月9日付けで回答書が提出されたものである。

第2 平成22年7月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年7月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正後の特許請求の範囲の記載
平成22年7月27日付けでなされた手続補正(以下,「本件補正」という。)により,特許請求の範囲の記載は,次のとおり補正された。
「 【請求項1】
情報検索を管理するための方法であって,1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータで実現される以下に示すステップを備え,前記以下に示すステップは,
オリジナルのクエリに基づく検索要求クエリをデータベースサーバで受取るステップを含み,前記検索要求クエリは,一連のサブクエリと前記サブクエリを実行するためのユーザ定義の順序の仕様とを含み,
エンドユーザは,(a)前記一連のサブクエリを明示的に指示すること,および,(b)前記一連のサブクエリを生成するためのルールを与えること,の一方を行ない,さらに,
1つ以上の前記サブクエリを前記ユーザ定義の順序で実行するステップを含み,
各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが検索要求を満たすのに十分でなかった場合にのみ実行され,
サブクエリは,オリジナルのクエリに含まれていた用語の部分集合からなるクエリである,方法。
【請求項2】
前記検索に特定の個数の結果を求める要求を受取る,コンピュータで実現されるステップをさらに含み,
前記1つ以上のサブクエリの各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが前記特定の個数の結果を求める前記検索要求を満たさない場合にのみ実行される,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サブクエリのすべては,それぞれの検索基準に基づいてデータベースからデータを選択し,前記ユーザ定義の順序は,前記情報検索に関連付けられたオリジナルの検索基準の緩和に対応する,請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザ定義の順序は,前記情報検索を要求している前記エンドユーザによって指定される,請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザ定義の順序は,ユーザインターフェースとの対話を通じて指定される,請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上のサブクエリを実行する前記ステップは,
前記一連のサブクエリのうち,前記ユーザ定義の順序に従って,第1のサブクエリを実行するステップと,
前記第1のサブクエリの前記実行の結果を与えるステップと,
より多くの結果を与えるよう求める要求を受取るステップと,
前記要求を受取るステップに応答して,前記一連のサブクエリのうち,前記ユーザ定義の順序に従って,第2のサブクエリを実行するステップと,
前記第2のサブクエリの前記実行の結果を与えるステップとを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記受取るステップは,前記一連のサブクエリに関連付けられた検索基準および前記ユーザ定義の順序をXMLドキュメントの形式で受取るステップを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記受取るステップは,1つ以上のルールの集合に基づいて前記検索要求クエリを構成するアプリケーションプログラムから前記検索要求クエリを受取るステップを含み,前記1つ以上のルールの集合は情報を要求している前記エンドユーザによって指定される,請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アプリケーションプログラムは電子検索エンジンである,請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記受取るステップは,前記エンドユーザによって指定される検索基準の集合と,前記検索基準に基づいてデータベースクエリを構成するよう求める要求とを受取るステップを含み,前記方法はさらに,
前記検索基準に基づいてデータベースクエリを構成する,コンピュータで実現されるステップを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項11】
クエリを受取る前記ステップは,ドキュメントの1つ以上のセクションに関連付けられた検索基準を指定するクエリを受取るステップと,前記ドキュメントの前記1つ以上のセクションに対して,前記検索基準に関連付けられたサブクエリを実行するための累進順序を指定する累進を受取るステップとを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項12】
情報検索を管理するための方法であって,1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータで実現される以下に示すステップを備え,前記以下に示すステップは,
オリジナルのクエリに基づいて,検索されている情報に関連する検索基準を指定するステップと,
ユーザ定義の累進の仕様に基づいて,前記検索基準に関連付けられたサブクエリを,一連のサブクエリから,実行するためのユーザ定義の順序を指定するステップと,
前記ユーザ定義の順序で,データベースサーバによって,当該一連のサブクエリから,1つ以上の前記サブクエリを実行するために,前記検索基準および前記順序を含むクエリを伝達するステップとを含み,
エンドユーザは,(a)前記一連のサブクエリを明示的に指示すること,および,(b)前記一連のサブクエリを生成するためのルールを与えること,の一方を行ない,さらに,
各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが検索要求を満たすのに十分でなかった場合にのみ実行され,
サブクエリは,オリジナルのクエリに含まれていた用語の部分集合からなるクエリである,方法。
【請求項13】
前記指定するステップは,情報検索を要求している前記エンドユーザによって開始される,請求項12に記載の方法。
【請求項14】
検索基準を指定する前記ステップは値の単一の集合を指定するステップを含み,順序を指定する前記ステップは,前記値の単一の集合と関連付けられた1つ以上の順序付けられたルールを指定するステップを含む,請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の順序付けられたルールの集合は論理演算子を含む,請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記指定するステップは,XMLドキュメントの形式で指定するステップを含む,請求項12に記載の方法。
【請求項17】
検索基準を指定する前記ステップは,ドキュメントの1つ以上のセクションに関連付けられた検索基準を指定するステップを含み,順序を指定する前記ステップは,前記ドキュメントの前記1つ以上のセクションに対して,前記検索基準に関連付けられたサブクエリを実行するための順序を指定するステップを含む,請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記検索基準は,ドキュメントの少なくとも2つのセクションに関連して指定され,前記順序は,前記ドキュメントの前記少なくとも2つのセクションに対して,前記検索基準に関連付けられたサブクエリを特定の順序で実行するよう指定する,請求項17に記載の方法。
【請求項19】
命令の1つ以上のシーケンスを担持するコンピュータで読取可能な媒体であって,1つ以上のプロセッサで当該命令が実行されると,前記1つ以上のプロセッサが請求項1から18のいずれかに記載の方法に含まれる各ステップを実行する,コンピュータで読取可能な媒体。
【請求項20】
情報検索を管理するためのコンピュータ装置であって,
オリジナルのクエリに基づく検索要求クエリを受取るための手段を備え,前記検索要求クエリは,一連のサブクエリとサブクエリを実行するためのユーザ定義の順序の仕様とを含み,
エンドユーザは,(a)前記一連のサブクエリを明示的に指示すること,および,(b)前記一連のサブクエリを生成するためのルールを与えること,の一方を行ない,さらに,
前記累進に指定された順序で1つ以上の前記サブクエリを実行するための手段を備え,
各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが検索要求を満たすのに十分でなかった場合にのみ実行され,
サブクエリは,オリジナルのクエリに含まれていた用語の部分集合からなるクエリである,コンピュータ装置。」

2 本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の,平成21年12月28日付けの手続補正により特定される特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
情報検索を管理するための方法であって,1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータで実現される以下に示すステップを備え,前記以下に示すステップは,
オリジナルのクエリに基づく検索要求クエリをデータベースサーバで受取るステップを含み,前記検索要求クエリは,一連のサブクエリと前記サブクエリを実行するためのユーザ定義の累進の仕様とを含み,さらに,
前記累進に指定された順序で1つ以上の前記サブクエリを実行するステップを含み,
各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが検索要求を満たすのに十分でなかった場合にのみ実行され,
サブクエリは,オリジナルのクエリに含まれていた用語の部分集合からなるクエリである,方法。
【請求項2】
前記検索に特定の個数の結果を求める要求を受取る,コンピュータで実現されるステップをさらに含み,
前記1つ以上のサブクエリの各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが前記特定の個数の結果を求める前記要求を満たさない場合にのみ実行される,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サブクエリのすべては,それぞれの検索基準に基づいてデータベースからデータを選択し,前記累進は,前記情報検索に関連付けられたオリジナルの検索基準の緩和に対応する,請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記累進は,前記情報検索を要求しているエンドユーザによって指定される,請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記累進は,ユーザインターフェースとの対話を通じて指定される,請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上のサブクエリを実行する前記ステップは,
前記一連のサブクエリのうち,前記累進に従って,第1のサブクエリを実行するステップと,
前記第1のサブクエリの前記実行の結果を与えるステップと,
より多くの結果を与えるよう求める要求を受取るステップと,
前記要求を受取るステップに応答して,前記一連のサブクエリのうち,前記累進に従って,第2のサブクエリを実行するステップと,
前記第2のサブクエリの前記実行の結果を与えるステップとを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記受取るステップは,前記一連のサブクエリに関連付けられた検索基準および前記累進をXMLドキュメントの形式で受取るステップを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記受取るステップは,1つ以上のルールの集合に基づいて前記検索要求クエリを構成するアプリケーションプログラムから前記検索要求クエリを受取るステップを含み,前記1つ以上のルールの集合は情報を要求しているエンドユーザによって指定される,請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アプリケーションプログラムは電子検索エンジンである,請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記受取るステップは,エンドユーザによって指定される検索基準の集合と,前記検索基準に基づいてデータベースクエリを構成するよう求める要求とを受取るステップを含み,前記方法はさらに,
前記検索基準に基づいてデータベースクエリを構成する,コンピュータで実現されるステップを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項11】
クエリを受取る前記ステップは,ドキュメントの1つ以上のセクションに関連付けられた検索基準を指定するクエリを受取るステップと,前記ドキュメントの前記1つ以上のセクションに対して,前記検索基準に関連付けられたサブクエリを実行するための順序を指定する累進を受取るステップとを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項12】
情報検索を管理するための方法であって,1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータで実現される以下に示すステップを備え,前記以下に示すステップは,
オリジナルのクエリに基づいて,検索されている情報に関連する検索基準を指定するステップと,
ユーザ定義の累進の仕様に基づいて,前記検索基準に関連付けられたサブクエリを実行するための順序を指定するステップと,
前記指定された順序でデータベースサーバによって1つ以上の前記サブクエリを実行するために,前記検索基準および前記順序を含むクエリを伝達するステップとを含み,
各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが検索要求を満たすのに十分でなかった場合にのみ実行され,
サブクエリは,オリジナルのクエリに含まれていた用語の部分集合からなるクエリである,方法。
【請求項13】
前記指定するステップは,情報検索を要求しているエンドユーザによって開始される,
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
検索基準を指定する前記ステップは値の単一の集合を指定するステップを含み,順序を指定する前記ステップは,前記値の単一の集合と関連付けられた1つ以上の順序付けられたルールを指定するステップを含む,請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の順序付けられたルールの集合は論理演算子を含む,請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記指定するステップは,XMLドキュメントの形式で指定するステップを含む,請求項12に記載の方法。
【請求項17】
検索基準を指定する前記ステップは,ドキュメントの1つ以上のセクションに関連付けられた検索基準を指定するステップを含み,順序を指定する前記ステップは,前記ドキュメントの前記1つ以上のセクションに対して,前記検索基準に関連付けられたサブクエリを実行するための順序を指定するステップを含む,請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記検索基準は,ドキュメントの少なくとも2つのセクションに関連して指定され,前記順序は,前記ドキュメントの前記少なくとも2つのセクションに対して,前記検索基準に関連付けられたサブクエリを特定の順序で実行するよう指定する,請求項17に記載の方法。
【請求項19】
命令の1つ以上のシーケンスを担持するコンピュータで読取可能な媒体であって,1つ以上のプロセッサで当該命令が実行されると,前記1つ以上のプロセッサが請求項1から18のいずれかに記載の方法に含まれる各ステップを実行する,コンピュータで読取可能な媒体。
【請求項20】
情報検索を管理するためのコンピュータ装置であって,
オリジナルのクエリに基づく検索要求クエリを受取るための手段を備え,前記検索要求クエリは,一連のサブクエリとサブクエリを実行するためのユーザ定義の累進の仕様とを含み,さらに
前記累進に指定された順序で1つ以上の前記サブクエリを実行するための手段を備え,
各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが検索要求を満たすのに十分でなかった場合にのみ実行され,
サブクエリは,オリジナルのクエリに含まれていた用語の部分集合からなるクエリである,コンピュータ装置。」

3 補正の目的の適否について
請求項1に関する本件補正は,本件補正前の請求項1記載された発明を特定するために必要な事項である,
「前記累進に指定された順序で1つ以上の前記サブクエリを実行するステップを含み」を,
「エンドユーザは,(a)前記一連のサブクエリを明示的に指示すること,および,(b)前記一連のサブクエリを生成するためのルールを与えること,の一方を行ない,さらに,1つ以上の前記サブクエリを前記ユーザ定義の順序で実行するステップを含み」(以下,「本件補正事項A」という。),
とした補正を含むものであるが,この補正により追加された「エンドユーザは,(a)前記一連のサブクエリを明示的に指示すること,および,(b)前記一連のサブクエリを生成するためのルールを与えること,の一方を行な」うことは,本件補正前の請求項に記載されたいずれの発明を特定するために必要な事項の下位概念化にも該当しない。
また,本件補正事項Aの追加は,発明が解決しようとする課題が「より効率的かつ適合した成果をもたらすため,特定の情報の検索を要求しているエンドユーザにさらなる制御を提供する」(発明の詳細な説明の段落【0008】)ことであった,本件補正前の請求項1に記載された発明について,この発明が解決しようとする課題を,エンドユーザが,一連のサブクエリを明示的に指示するか,一連のサブクエリを生成するためのルールを与えるようにして,エンドユーザがサブクエリ及びその実行順序を設定できるようにすることに,実質的に変更している(このことは,審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】(4)先行技術との比較について」における,「この引用文献1においては,…(中略)…ユーザは,緩和されたサブクエリがどのように生成されるかについて,何ら設定することができず,また,当該緩和されたサブクエリが実行のためにサーチエンジンに送信される順序についても何ら設定することはできない。」との主張からも裏付けられる。)。
したがって,本件補正事項Aは,補正前の請求項1ないし20のいずれかに記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「平成18年改正前特許法」という。)17条の2第4項2号に規定する,特許請求の範囲の減縮(同法36条5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的としたものとはいえない。

また,本件補正事項Aが,同法17条の2第4項1号(請求項の削除),3号(誤記の訂正),4号(明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。))に規定される事項を目的とするものでないことは明らかである。

4 補正の目的の適否についてのむすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年改正前特許法17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

5 予備的見解
なお,仮に,本件補正が,平成18年改正前特許法17条の2第4項の規定に適合し,さらに,本件補正事項Aが,同法17条の2第4項2号に規定する,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合に,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(同法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について,以下に検討する。

(1)補正後の本願発明
本件補正発明は,上記第2[理由]1の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2)引用刊行物
ア これに対して,本願優先権主張日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-161659号公報(平成11年6月18日出願公開。以下,「引用例」という。)には,以下の事項及び図面が記載されている。(下線は,当審にて付した。)

(ア)「【0001】
…(中略)…本発明は,…(中略)…特に,検索語のリストを受け取って対応する検索式を生成し,検索を行うための検索式の動的変更方法及び装置及び検索式の動的変更プログラムを格納した記憶媒体に関する。」

(イ)「【0012】
【発明の実施の形態】最初に本発明の検索式の動的変更装置の構成を説明する。図3は,本発明の検索式の動的変更装置の構成を示す。同図に示す装置は,検索式生成部110,検索結果集成部120,合計数判定部130,検索件数下限値格納部140,及び検索式置換部150から構成される。
【0013】検索式生成部110は,検索語を全てANDで結んだ検索式を生成して検索式集合に代入する。検索結果集成部120は,検索式生成部110で生成された検索式集合中の全ての検索式で検索して検索結果を集成する。合計数判定部130は,検索結果集成部120で検索された検索結果の合計数が,予め決められた下限値を越えたかを判定する。
【0014】検索式置換部150は,合計数判定部130で所定の下限値より検索件数が少ない場合に,検索式集合中の各検索式を,該検索式から任意の1つの検索語を除いて得られる検索式の集合で置換する。これにより,当該装置100は,検索式集合を受け取り,検索式を自動的に生成して,検索結果件数が予め決められた下限値を下回らないような検索を行い,検索結果を出力することができる。」

(ウ)「【0023】
【実施例】以下,図面と共に本発明の実施例を説明する。図5は,本発明の一実施例の検索式の遷移を示す。同図では,新聞記事をキーワードによって検索する場合について説明する。検索語リストとして,
『自然,環境,保護,法律,法』
という5つの単語が与えられた場合を例として考える。図4のステップ102で生成される検索式は,図5(A)のように5つの単語を“AND”で連結したものとなる。従って,5つの単語全てを含むデータしか検索されない。
【0024】ここで,もし,検索結果件数が与えられた下限値よりも小さい場合,検索式は(B)のように,変更される。(B)は,(A)の検索式から検索語を一つだけ取り除いて得られる5つの検索式を“OR”で連結したものである。この検索式(B)でもまだ検索結果件数が下限値よりも小さい場合には,さらに,検索式は(C)のように変更される。(C)は,(B)の検索式から単語を一つだけ取り除いて得られる。3つの単語の組み合わせを“AND”で連結した検索式を全て“OR”で連結したものである。
【0025】以上のように,検索式の検索条件の厳しさを段階的に緩めていくことにより,検索結果件数を段階的に増やしていくことができる。…(後略)」

(エ)図3には,検索式の動的変更装置100が検索式集合を受け取り,検索式の動的変更装置100が検索対象200に対して検索を行う事項が図示されている。

a (ア)の「本発明は,…(中略)…検索語のリストを受け取って対応する検索式を生成し,検索を行うための検索式の動的変更方法…(中略)…に関する」との記載から,引用例には,
検索語のリストを受け取って対応する検索式を生成し,検索するための検索式の動的変更方法,
が記載されている。
b (イ)の「検索式生成部110は,検索語を全てANDで結んだ検索式を生成して検索式集合に代入する。」との記載,(ウ)の検索語が検索リストとして与えられていること,及び,(エ)の検索式の動的変更装置100が検索式集合を受け取り,検索式の動的変更装置100が検索対象200に対して検索を行う事項から,引用例には,検索式の動的変更装置100は,検索語(検索語のリスト)を検索式集合として受け取って,この検索式集合を用いて検索を行う事項が記載されている。
そして,検索式の生成が,1つ以上のプロセッサを備えたコンピュータによって実行されることは,当業者にとって技術常識であるから,1つ以上のプロセッサによって実行される検索式の動的変更装置によって処理が行われることは,引用例に記載されているに等しい事項である。
したがって,引用例には,
検索語(検索語のリスト)を検索式集合として受け取って,この検索式集合を用いて検索を行うことが,1つ以上のプロセッサによって実行される検索式の動的変更装置によって実現されるステップ,
が記載されている。
c 上述したbのステップは,詳細にみると,以下に示すd?fを含む。
d (ウ)の「5つの単語が与えられた場合を例として考える。図4のステップ102で生成される検索式は,図5(A)のように5つの単語を“AND”で連結したものとなる。…(中略)…検索結果件数が与えられた下限値よりも小さい場合,検索式は(B)のように,変更される。…(中略)…この検索式(B)でもまだ検索結果件数が下限値よりも小さい場合には,さらに,検索式は(C)のように変更される。」との記載から,検索式は検索結果が与えられた下限値より小さい場合には,検索式が変更されて再度検索されるので,変更された検索式からなる1つ以上の検索式が順番に実行されているといえるので,引用例には,
1つ以上の検索式を順番に実行するステップ,
が記載されている。
e (イ)の「検索式置換部150は,合計数判定部130で所定の下限値より検索件数が少ない場合に,検索式集合中の各検索式を,該検索式から任意の1つの検索語を除いて得られる検索式の集合で置換する。」との記載,及び,(ウ)の「5つの単語が与えられた場合を例として考える。図4のステップ102で生成される検索式は,図5(A)のように5つの単語を“AND”で連結したものとなる。…(中略)…検索結果件数が与えられた下限値よりも小さい場合,検索式は(B)のように,変更される。(B)は,(A)の検索式から検索語を一つだけ取り除いて得られる5つの検索式を“OR”で連結したものである。この検索式(B)でもまだ検索結果件数が下限値よりも小さい場合には,さらに,検索式は(C)のように変更される。(C)は,(B)の検索式から単語を一つだけ取り除いて得られる。3つの単語の組み合わせを“AND”で連結した検索式を全て“OR”で連結したものである。」との記載から,引用例には,
検索結果件数が下限値より小さい場合には,検索式から単語を一つだけ取り除いて得られる単語の組み合わせを“AND”で連結した検索式を“OR”で連結して得られる検索式の集合で検索式を置換する,
ことが記載されている。
f 上述したeにおいて,置換された検索式は,最初に与えられた5つの単語の組み合わせからなるので,引用例には,
置換された検索式は,最初に与えられた単語の組み合わせからなる,
ことが記載されている。

上記a?f及び図面をふまえると,引用例には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。

[引用発明]
検索語のリストを受け取って対応する検索式を生成し,検索するための検索式の動的変更方法であって,
検索語(検索語のリスト)を検索式集合として受け取って,この検索式集合を用いて検索を行うことが,1つ以上のプロセッサによって実行される検索式の動的変更装置によって実現される以下に示すステップを備え,前記以下に示すステップは,
1つ以上の検索式を順番に実行するステップを含み,
検索結果件数が下限値より小さい場合には,検索式から単語を一つだけ取り除いて得られる単語の組み合わせを“AND”で連結した検索式を“OR”で連結して得られる検索式の集合で検索式を置換し,
置換された検索式は,最初に与えられた単語の組み合わせからなる,方法。

イ 本願優先権主張日前に頒布され,原査定の備考欄において周知例として引用された特開平9-231231号公報(平成9年9月5日出願公開。以下,「周知例1」という。)には,以下の事項及び図面が記載されている。

(ア)「【0019】図2は,オペレータがクライアント1から検索を行う際の作業手順を示す流れ図である。まず,オペレータはディスプレイ12aを見ながら入力手段であるキーボード11aやマウス11bを用いて,検索結果の最大候補表示数および検索キーワードを入力し,さらに,検索キーワードの優先順位を設定する。検索結果の最大候補表示数を入力するようにしているのは,検索結果が多量に存在する場合に出力量を制限するためである。また,検索キーワードの優先順位を設定するのは,重要なデータから出力されるようにするためである。」

(イ)「【0021】オペレータにより入力・設定された検索キーワードと優先順位とをもとに,クライアント1では自動的に検索処理S1が行われるが,この処理順序を示した図が図3である。
【0022】クライアント1では演算部13および記憶部14により検索キーワードと優先順位とが処理され,まず,複数の検索条件とこれらの検索順位となるサーバ2への問合せ順位とが求められる。次に,これらの検索条件を問合せ順位が高いものから順次検索手段であるサーバ2へ問い合わせ,検索条件に合致するデータキーワードを有するデータに応じた情報が検索結果として順次取得される。取得された検索結果は記憶部14内部のバッファに蓄積され,蓄積個数が最大候補表示数を越えた時点あるは検索条件を全て問い合わせ終わった時点でバッファ内の検索結果をディスプレイ12aに表示する。」

上記(ア)?(イ)をふまえると,周知例1には,以下の周知技術(以下,「周知技術1」という。)が記載されていると認める。

[周知技術1]
オペレータが,検索キーワードの優先順位を設定することにより,複数の検索条件と問い合わせ順位を決定し,複数の検索条件を,問い合わせ順位が高いものから順次問い合わせる検索方法。

ウ 本願優先権主張日前に頒布された特開2001-216313号公報(平成13年8月10日出願公開。以下,「周知例2」という。)には,以下の事項及び図面が記載されている。

(ア)「【0014】まず,顧客はステップ101にて,検索の優先順位と検索条件の設定を検索画面を開いて行う。それにより,図2に示すような,例えば,希望画家名,予算,油彩画か水彩画か版画か墨絵か,絵のサイズ,日本画か洋画か,写実的か抽象的な絵か,風景画か人物画か静物画かなどの複数の検索条件を設定できる検索画面が表示されるため,顧客は例えば油彩画を最初に条件設定すると,この検索条件が優先順位1位と成り,次に購入予算として50万円未満?10万以上を設定すると,この検索条件が優先順位2位になる。以下同様で,複数の検索条件を必要なだけ設定すると,その設定順に検索条件の優先順位が設定される。」

(イ)「【0021】本実施形態によれば,複数の検索条件を優先順位を付けて設定することにより,閲覧する作品を検索することができるため,希望する作品系列の適切な作品数に絞り込んで購入候補作品の選定を行うことができ,所望の作品を容易且つ効率的に選定することができる。」

上記(ア)?(イ)をふまえると,周知例2には,以下の周知技術(以下,「周知技術2」という。)が記載されていると認める。

[周知技術2]
顧客は,検索の優先順位と検索条件の設定を行って,複数の検索条件を優先順位を付けて設定することにより,所望の作品を適切な作品数に絞り込んで効率的に選定する方法。

(3)対比
そこで,本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「検索語のリストを受け取って対応する検索式を生成し,検索するための検索式の動的変更方法」は,検索する対象である情報を検索するために用いる検索式を,動的変更して検索に用いているので,情報検索に用いる検索式及びこの検索式を用いた検索方法を管理しているといえるので,本件補正発明の「情報検索を管理するための方法」に相当する。
イ 引用発明の「検索語(検索語のリスト)を検索式集合として受け取って」「検索式の動的変更装置によって実現される」「ステップ」において,「検索語(検索語のリスト)」は,検索結果を要求するために検索式の動的変更装置が受け取る検索式集合,すなわち,最初の検索要求である点で,本件補正発明の「オリジナルのクエリに基づく検索要求クエリ」に相当する。また,引用発明の「検索式の動的変更装置」は,検索式集合(オリジナルのクエリに基づく検索要求クエリ)を受け取る点で,本件補正発明の「データベースサーバ」に対応する。
したがって,引用発明の「検索語(検索語のリスト)を検索式集合として受け取」る「ステップ」は,本件補正発明の「オリジナルのクエリに基づく検索要求クエリをデータベースサーバで受取るステップ」に相当する。
ウ 引用発明の「検索式の動的変更装置」は,本件補正発明の「コンピュータ」に対応するので,引用発明の「1つ以上のプロセッサによって実行される検索式の動的変更装置によって実現される」「ステップ」は,本件補正発明の「1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータで実現される」「ステップ」に対応する。
エ 引用発明は,1つ以上のサブクエリをユーザ定義の順序で実行しているとはいえないものの,引用発明の「検索式から単語を一つだけ取り除いて得られる単語の組み合わせを“AND”で連結した検索式を“OR”で連結して得られる検索式の集合で」置換された「検索式」(なお,初回の検索は検索語を“AND”で連結した検索式となる。)は,本件補正発明の「サブクエリ」に対応するものであるから,引用発明の「1つ以上の検索式を順番に実行するステップを含み」と,本件補正発明の「1つ以上の前記サブクエリを前記ユーザ定義の順序で実行するステップを含み」は「1つ以上のサブクエリを順番に実行するステップを含」む点で共通する。
オ 引用発明では,「検索結果件数が下限値より小さい場合」,すなわち,以前に実行した検索式が検索要求を満たすのに十分でなかった時にのみ,上述したエのように検索式を置換して得た新たな検索式(本件補正発明の「サブクエリ」に相当する。)を用いて検索を実行するので,引用発明は,本件補正発明と同じく「各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが検索要求を満たすのに十分でなかった場合にのみ実行され」るものである。
カ 引用発明の「置換された検索式は,最初に与えられた単語の組み合わせからなる,方法」は,置換された検索式が,検索式の動的変更装置が最初に受け取った検索式集合(検索語のリスト)に含まれる検索語(本件補正発明の「用語」に相当する。)の組み合わせからなっており,本件補正発明の「オリジナルのクエリに基づく検索要求クエリに含まれていた用語の部分集合からなるクエリである,方法」に相当する。

以上のア?カをふまえると,本件補正発明と引用発明とは次の点で一致ないし相違する。

[一致点]
情報検索を管理するための方法であって,1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータで実現される以下に示すステップを備え,前記以下に示すステップは,
オリジナルのクエリに基づく検索要求クエリをデータベースサーバで受取るステップを含み,
1つ以上のサブクエリを順番に実行するステップを含み,
各サブクエリは,以前に実行されたサブクエリが検索要求を満たすのに十分でなかった場合にのみ実行され,
サブクエリは,オリジナルのクエリに含まれていた用語の部分集合からなるクエリである,方法。

[相違点]
「検索要求クエリ」について,本件補正発明は,「一連のサブクエリと前記サブクエリを実行するためのユーザ定義の順序の仕様とを含み,エンドユーザは,(a)前記一連のサブクエリを明示的に指示すること,および,(b)前記一連のサブクエリを生成するためのルールを与えること,の一方を行ない」,さらに,「1つ以上の前記サブクエリを前記ユーザ定義の順序で実行する」ものであるのに対し,引用発明は,このようになっていない点。
(引用発明は,検索要求クエリ(検索式集合)が,検索語リスト(単語の集合)を含むものであり,また,1つ以上のサブクエリの実行順序が,ユーザ定義に基づくように特定されていない。)

(4)判断
以下,相違点について検討する。
「オペレータが,検索キーワードの優先順位を設定することにより,複数の検索条件と問い合わせ順位を決定し,複数の検索条件を,問い合わせ順位が高いものから順次問い合わせる検索方法。」((2)イの[周知技術1])や,「顧客は,検索の優先順位と検索条件の設定を行って,複数の検索条件を優先順位を付けて設定することにより,所望の作品を適切な作品数に絞り込んで効率的に選定する方法。」((2)ウの[周知技術2])のように,オペレータや顧客などのエンドユーザが,複数の検索条件と問い合わせの優先順位を設定して,この優先順位に基づいて順次問い合わせることは,周知の技術である。
そして,検索結果件数が下限値より少ない場合に検索式を置換して検索結果件数を増やすようにして再度検索を行う引用発明の「検索要求クエリ」に対して,同様に適切な件数に絞り込みを行う上記周知技術を採用することにより,複数の検索条件(「一連のサブクエリ」),及び,検索条件の優先順位(「ユーザ定義の順序の仕様」)を,検索要求クエリに設定するようにし,かつ,1つ以上のサブクエリをユーザ定義の順序で検索するようにすることにより,上記相違点の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

そして,当該相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,引用例に記載された発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

したがって,本件補正発明は,引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)予備的見解のむすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年改正前特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても,同法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成22年7月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成21年12月28日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて,上記第2の[理由]2に記載した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は,上記第2の[理由]5(2)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は,上記第2の[理由]5で検討した本件補正発明から,
(1)「エンドユーザは,(a)前記一連のサブクエリを明示的に指示すること,および,(b)前記一連のサブクエリを生成するためのルールを与えること,の一方を行ない」,
の限定事項を省いたものであって,この他に,
(2)「ユーザ定義の順序」を「ユーザ定義の累進」に,
(3)「1つ以上の前記サブクエリを前記ユーザ定義の順序で実行するステップ」を「前記累進に指定された順序で1つ以上の前記サブクエリを実行するステップ」に,
各々変更したものである。
そして,(2)及び(3)で挙げた事項は,「クエリテンプレートは,一連のサブクエリ,すなわち1つ以上のテーブルへのプローブと,テーブルの指定された列に対してサブクエリを実行するための,累進的な順序を指定する」(発明の詳細な説明の段落【0048】),「累進に指定された順序で関連するサブクエリを実行する」(同段落【0052】)との記載を考慮して,本件補正前と本件補正後を比較すると,ともに,一連のサブクエリを実行する順番をユーザ定義して,一連のサブクエリをこのユーザ定義された順番で実行するものである点で共通であり,両者の文意に格別の差異はない。
そうすると,本願発明の発明特定事項をすべて含み,さらに発明特定事項を限定したものに相当する本件補正発明が上記第2の[理由]5(3)及び(4)に記載したとおり,引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである。

4 本願発明についてのむすび
以上のとおりであるから,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないので,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-28 
結審通知日 2012-07-03 
審決日 2012-07-17 
出願番号 特願2006-532364(P2006-532364)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 57- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷川 篤男波内 みさ梅本 達雄  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 石井 茂和
殿川 雅也
発明の名称 検索基準の累進的緩和  
代理人 酒井 將行  
代理人 野田 久登  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 堀井 豊  
代理人 仲村 義平  

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