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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A41B
管理番号 1267251
審判番号 不服2011-9113  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-28 
確定日 2012-11-19 
事件の表示 特願2010-230387「鼻汁吸収用ナプキン」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年10月13日の出願であって、平成23年3月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年4月28日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後平成23年7月5日付けで当審から拒絶理由を通知したところ、平成23年9月2日付けで意見書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成23年2月7日付けで補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載から見て、特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、その請求項1は、次のとおり記載されている。(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)
「液透過性の表面シート、高吸水性の中間シート、及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有し、周縁端部が接合され、かつ長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する、繰り返し使用するための、水様の鼻汁吸収用ナプキン。」

3.引用例の記載事項
(1)引用例1
当審から通知した拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭63-82579号(実開平2-3718号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、次の記載がある。
a「従来の生理用ナプキンは着装時の安心感を確保するために比較的大きめに作られており、小型のものでも普通、厚みがあり、しかも、それを携行する時はバッグなどそれなりの入れ物を必要とする。
本案は生理用ナプキンをカード状に薄く折りたたみ、しかも、それを包むラップに文字図案・絵などを入れることにより、前述の生理用ナプキンの欠点を取り除くことはもとより、ポケットやカードケースに入れることにより簡易携行を容易にするものである。
それを図面について説明すれば、次のようになる。
(1)の台紙に吸収時に左右に膨張するように縦目に圧縮した綿(2)を取り付ける。それを(6)の圧縮綿保護紙で包む。次に(3)(4)(5)の順番に従って内側に折りたたんで、ラップに収納する。(8)の切り取り線は使用時の開口用のものである。」(明細書1頁9行?2頁4行)
b「第1図‥‥ひろげたナプキンを上から見た図、(6)を除いた図。
(1)台紙
(2)圧縮綿 (0.2mm程度)A.B.C.D
(3)折り目1 AとBを重ねる
(4)折り目2 CとDを重ねる
(5)折り目3 (AB)と(CD)を重ねる
第2図‥‥ナプキン断面図。
(6)圧縮綿保護紙
(7)下着に着装するための粘着シール
第3図‥‥ナプキン入れ用ラップ。厚さ1.5mm?2.5mm程度
(8)開口用の切り取り線
(9)文字図案・絵の印刷部分 」(明細書2頁9?22行)

c 第1図及び第2図の記載や、上記記載事項a、bなどから見て、圧縮綿保護紙(6)の周縁端部は、台紙(1)の周縁端部と接合しているものと解される。
d 第1図及び第2図には、折り目3(5)が長手方向中央部に設けられていることが図示されている。
e 第1図には、ナプキンを広げた状態のとき、縦約8cm、横約20cmの長方形状であることが示されている。
これら記載事項及び第1図ないし第3図から見て、引用例1には、次の発明が記載されている。(以下、「引用発明1」という。)
《引用発明1》
圧縮綿保護紙、圧縮綿、及び台紙からなる積層構造を有し、周縁端部が接合され、かつ長手方向中央部に折り目3を有する、カード状に薄く折りたため、簡易携行が容易な生理用ナプキン。

(2)引用例2
当審から通知した拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-231912号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の記載がある。
a「【請求項1】液不透過性の弾力性発泡材シートから成る皿状の外皮材1の底部2に液透過性の表面シート6によって被覆された吸収材5が固定された吸収製品に於て、上記皿状の外皮材1の周縁部を形成する側壁3の自由端にはフランジ4が形成され、しかも、上記フランジ4は吸収製品の長手方向Lの中央近傍で表面側Sが谷になるように二つ折にされていると同時に、上記折り目のフランジ4同士が重なる小領域Aで互いに接合されていることを特徴とする吸収製品。」
b「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、吸収製品に係り、更に詳しくは……生理用ナプキン、失禁処理パッド等の吸収製品に関する。」
c「【0022】そして、上記吸収体5の皿状の外皮材1への固定は、表面シート6で吸収材5の全表面を包み、吸収材5を上記皿状の外皮材1の底部に接着剤等により接合することによって行うか、あるいは、上記表面シート6を、皿状の外皮材1の前面に張り付け、周縁のフランジ4面で密封シールすることにより、皿状の外皮材1と表面シート6との間の空間に吸収材5を閉じ込めることによって行うものである。」
d「【0024】次に、上記構成に基づき製作した吸収製品の一例を説明する。上記吸収製品として、生理用ナプキンを製作したものであって、その寸法及び形状は、長さ24cm、広幅10cm、狭幅7cm、深さ18mm、フランジ幅12mmのひょうたん形に形成され、吸収材5を表面シート6で被覆し、皿状の外皮材1の底部に固定したものであり、上記表面シート6による吸収材5の被覆は、吸収材5を2枚の表面シート6で挟み込みその外周縁12を熱溶着することによって行われ、さらに、上記フランジ4は、皿の外側に向かって延びるものである。」
e「【0025】そして、上記生理用ナプキンを構成する各部の材料を詳述すると、皿状の外皮材1を成す弾力性発泡材シートは、放射線架橋されたポリエチレン発泡材シートであって、厚さ3mm、発泡倍率20倍、約140℃で真空成形によって皿状に形成され、表面シート6は、坪量16g/m2のポリエチレン鞘とポリプロピレン芯からなる複合繊維の乾式不織布を用いた。」
f「【0026】さらに、吸収材5は、サザンパイン系の綿状パルプ10gと架橋ポリアクリレート系高分子吸収材10gの混合物を吸水紙(坪量20g/m2)で被覆し、熱エンボス加工したものであって、スパイラル状に塗布されたホットメルト10によって皿状の外皮材1の底部に固定されている。」
g「【0027】そして、上記フランジ4の吸収製品の長手方向Lの中央近傍で表面側Sが谷になるように二つ折にされている折り目部分のフランジ4同士が重なる小領域Aでの互いの接合は、熱シールによって行われ、これにより吸収製品を平面に静置すると、開き角が135度の「く」の字形になった。」
h「【0041】そして、上記吸収製品は、皿状の外皮材を二つ折りにし、二つ折り部分を接合することにより「く」の字形に成されるものであるので、この二つ折り部分を折った状態で包装することにより、非常にコンパクトに包装でき、製品の取り扱いが容易となるものである。」
これら記載事項及び図1ないし図5から見て、引用例2には、次の発明が記載されている。(以下、「引用発明2」という。)
《引用発明2》
液不透過性の弾力性発泡材シートから成る皿状の外皮材1の前面に、液透過性の表面シート6を張り付け、周縁のフランジ4面で密封シールすることにより、皿状の外皮材1と表面シート6との間の空間に吸収材5を閉じ込めることによって吸収材5が固定され、上記皿状の外皮材1の周縁部を形成する側壁3の自由端にはフランジ4が形成され、上記フランジ4は吸収製品の長手方向Lの中央近傍で表面側Sが谷になるように二つ折にされ、この折り目のフランジ4同士が重なる小領域Aで互いに接合されている吸収製品。

4.本願発明と引用発明1との対比・検討
(1)本願発明と引用発明1との対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「圧縮綿保護紙」、「圧縮綿」、「台紙」及び「折り目3」は、それぞれ本願発明の「液透過性の表面シート」、「高吸水性の中間シート」、「液不透過性の裏面シート」及び「折り曲げ案内部」に相当する。
また、本願明細書段落【0005】の「本発明が解決しようとする課題は……水様の鼻汁を、常時簡便に吸収し、携行時にも衛生上の問題が生じ難い鼻水の処理用製品を提供することである。」という記載などから見て、本願発明の水様の鼻汁吸収用ナプキンは、携行が容易な鼻汁吸収用ナプキンである。すると、引用発明の「カード状に薄く折りたため、簡易携行が容易な生理用ナプキン」と、本願発明の「繰り返し使用するための、水様の鼻汁吸収用ナプキン」とは、携行が容易な体液吸収用ナプキンである限りにおいて相当する。
そうすると、本願発明と引用発明1とは、本願発明の記載に倣えば、次の一致点で一致する。
《一致点》
液透過性の表面シート、高吸水性の中間シート、及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有し、周縁端部が接合され、かつ長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する、携行が容易な体液吸収用ナプキン。

そして、本願発明と引用発明1とは、次の相違点1で一応相違する。
《相違点1》
本願発明は、「繰り返し使用するための、水様の鼻汁吸収用ナプキン」であるのに対して、引用発明1は、「生理用ナプキン」である点。

(2)相違点1の検討
本願発明は、物の発明であるところ、上記本願発明と引用発明1との相違点1は、吸収する体液が異なる等の用途の相違である。
そして、請求項中に、物の用途によってその物を特定しようとする記載がある場合、その「物」及び「発明」の特定は、次のように行うべきである。 すなわち、用途限定が、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識をも考慮して、その用途に特に適した形状、構造、組成等(以下、単に「構造等」という。)を意味すると解することができる場合のように、用途限定が付された物が、その用途に特に適した物を意味すると解される場合は、その物は用途限定が意味する構造等を有する物であると解する。……一方、用途限定が付された物が、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識をも考慮しても、その用途に特に適した物を意味していると解することができない場合には、その用途限定は、……物を特定するための意味を有しているとはいえない。したがって、この場合、請求項に係る発明の発明特定事項と引用発明特定事項とが、用途限定以外の点で相違しない場合は、両者は別異の発明であるとすることはできない。(特許・実用新案審査基準第II部「第2章 新規性進歩性」「1.5.2 特定の表現を有する請求項における発明の認定の具体的手法」「(2)物の用途を用いてその物を特定しようとする記載(用途限定)がある場合」「[1]用途限定がある場合の一般的な考え方」を参照(特許・実用新案審査基準第II部第2章6?7頁。なお、[1]は正しくは丸囲み数字の1である。))
そして、本願明細書段落【0014】に「[実施例1]縦6cm、横13cmの長方形に裁断した中間シートの上下両面に、縦7cm、横14cmの長方形に裁断した表面シート及び裏面シートを重ね、外周縁及び長手方向中央の折り曲げ案内部を、ヒートエンボス加工により接着一体化して、図1に示す鼻汁吸収用ナプキンを作成した。図2はその平面図、図6は図2のX-X線断面図、図8は図2のY-Y線断面図である。」と記載されているように、本願発明は「縦約7cm、横約14cmの長方形状のナプキン」を実施の形態として含むものであり、引用発明1は、「縦約8cm、横約20cmの長方形状のナプキン」(上記3(1)e参照)を実施の形態として含むものであり、引用発明1の実施の形態のものが、本願発明の実施の形態のものよりやや大きいものの、両者とも、通常市販のティッシュペーパーで鼻をかむ際の通常の使用方法である、ティッシュペーパーを2つ折りにして使用する際の大きさ(商品によって多少異なるが、おおよそ縦10cm、横20cm程度)と同程度の大きさであるから、これら実施の形態における大きさの相違は、格別なものではない。
これらの点から見て、本願発明と引用発明1とは、その形状、構造、組成等において実質的な相違があるとは認められない、すなわち、上記相違点1は、実質的な相違点ではないから、本願発明と引用発明1を物の発明として別異の発明であるとすることはできない。
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。

(3)補足
ア.仮に、上記相違点1を実質的な相違点であると解した場合には、本願発明は、引用例1に記載された発明でないことになる。しかしながら、そのように解した場合には、下記イ?エに示すように、本願発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
イ.生理用ナプキンが属する吸収性物品の技術分野では、おむつ、生理用ナプキン、ベッド用パッド、タンポン、よだれ掛け、拭き取り用品(ワイプ)、傷用手当品などの液体吸収用途及びそれら用途に用いる物品は、同一の技術分野のものと認識されており、それらの構造、部材、材料等はそれら種々の用途及び物品に共通して利用、又は、相互に転用できることが技術常識である(例えば、特表平11-506503号公報の7頁19?25行、特表平11-501996号公報の6頁13?17行、特表平10-511720号公報の25頁13?16行、特開平6-254118号公報の9頁右欄50行?10頁左欄9行を参照)。また、拭き取り用品によって拭き取る液体として、汗や鼻汁等があることは常識である(例えば、特開2007-244568号公報の段落【0002】参照)。
ウ.ハンカチは拭き取り用品(ワイプ)の一種であり(例えば、<コンパクト版>小学館プログレッシブ英和中辞典(1997年2月10日第2版第27刷発行)の2024頁では、wipe の説明として「ふくのに使うもの(ハンカチ・タオルなど)」を掲載している。)、また、ハンカチを、「繰り返し使用するための鼻汁吸収用」として使用することは、欧米では一般的な慣習である(例えば、前記「小学館プログレッシブ英和中辞典」の843頁では、handkerchief の説明として、「ハンカチ.手をふくよりは鼻をかんだり顔の汗をふいたりする.」を掲載している。)から、繰り返し使用するための鼻汁吸収用の吸収体を、鼻に当てる側を内側にして折り畳んで携行することは慣用手段といえる。
エ.上記イ、ウで指摘した技術常識等に徴すれば、簡易携行が容易な吸収性物品(生理用ナプキン)であり、広げたときの大きさが通常市販のティッシュペーパーで鼻をかむ時の大きさと同程度である引用発明1を、携行用拭き取り用品(ワイプ)に転用し、鼻汁吸収用として繰り返し使用することは、吸収性物品の技術分野における当業者が容易に推考し得たことである。
オ.なお、上記3(1)cでは、圧縮綿保護紙(6)の周縁端部は、台紙(1)の周縁端部と接合しているものと認定した。仮に、この認定と異なり、引用例1に記載の発明が、圧縮綿保護紙(6)の周縁端部と台紙(1)の周縁端部とが接合していない構成であったとしても、「液透過性の表面シート、高吸水性の中間シート、及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有する吸収性物品において、周縁端部を接合する構成とすること」は、慣用手段であるから、引用例1記載の発明において、圧縮綿保護紙(6)の周縁端部と台紙(1)の周縁端部とを接合する構成にすることは、当業者が容易に推考し得たことである。

5.本願発明と引用発明2との対比・検討
(1)本願発明と引用発明2との対比
本願発明と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「液透過性の表面シート6」、「吸収材5」、「液不透過性の弾力性発泡材シートから成る皿状の外皮材1」及び「『吸収製品の長手方向Lの中央近傍で』『外皮材1の周縁部を形成する側壁3の自由端に形成されたフランジ4』に設けられた『折り目のフランジ4同士が重なる小領域Aで互いに接合されている』部分」は、それぞれ本願発明の「液透過性の表面シート」、「高吸水性の中間シート」、「液不透過性の裏面シート」及び「折り曲げ案内部」に相当する。
引用発明2で「外皮材1の前面に、液透過性の表面シート6を張り付け、周縁のフランジ4面で密封シールすること」は、本願発明の「周縁端部が接合され」という要件を満たし、引用発明2で「皿状の外皮材1と表面シート6との間の空間に吸収材5を閉じ込めることによって吸収材5が固定され」ることは、本願発明の「積層構造」という要件を満たす。
また、引用発明の「吸収製品」と、本願発明の「繰り返し使用するための、水様の鼻汁吸収用ナプキン」とは、体液吸収製品である限りにおいて相当する。
そうすると、本願発明と引用発明2とは、本願発明の記載に倣えば、次の一致点で一致する。
《一致点》
液透過性の表面シート、高吸水性の中間シート、及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有し、周縁端部が接合され、かつ長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する、体液吸収製品。

そして、本願発明と引用発明2とは、次の相違点Aで相違する。
《相違点A》
本願発明は、「繰り返し使用するための、水様の鼻汁吸収用ナプキン」であるのに対して、引用発明2は、「吸収製品」である点。

(2)相違点Aの検討
本願発明は、物の発明であるところ、上記本願発明と引用発明2との相違点Aは、吸収する体液が異なる等の用途の相違である。
そして、上記4(2)で指摘したように本願発明は「縦約7cm、横約14cmの長方形状のナプキン」を実施の形態として含むものであり、引用発明2の実施形態の1つでは、広げたときの大きさが長さ24cm、広幅10cmである(上記3(2)d参照)から、引用発明2の実施の形態のものが、本願発明の実施の形態のものよりやや大きいものの、両者とも、通常市販のティッシュペーパーで鼻をかむ際の通常の使用方法である、ティッシュペーパーを2つ折りにして使用する際の大きさと同程度の大きさであるから、これら実施の形態における大きさの相違は、格別なものではない。
これらの点から見て、本願発明と引用発明2とは、その形状、構造、組成等において実質的な相違があるとは認められない、すなわち、上記相違点Aは、実質的な相違点ではないから、本願発明と引用発明2を物の発明として別異の発明であるとすることはできない。
したがって、本願発明は、引用例2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。

(3)補足
ア.仮に、上記相違点Aを実質的な相違点であると解した場合には、本願発明は、引用例2に記載された発明でないことになる。しかしながら、そのように解した場合には、下記イに示すように、本願発明は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
イ.引用発明2は、非常にコンパクトに包装でき、製品の取り扱いが容易となるものである(上記3(2)h参照)から、携行も容易と認められる。
そうすると、上記4(3)イ、ウで指摘した技術常識等に徴すれば、携行が容易な吸収製品であり、広げたときの大きさが通常市販のティッシュペーパーで鼻をかむ時の大きさと同程度である引用発明2を、携行用拭き取り用品(ワイプ)に転用し、鼻汁吸収用として繰り返し使用することは、吸収性物品の技術分野における当業者が容易に推考し得たことである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するから、特許を受けることができないものである。したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-19 
結審通知日 2011-12-21 
審決日 2012-01-05 
出願番号 特願2010-230387(P2010-230387)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A41B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久島 弘太郎  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 紀本 孝
一ノ瀬 薫
発明の名称 鼻汁吸収用ナプキン  
代理人 谷口 博  

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