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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1269140
審判番号 不服2012-2271  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-06 
確定日 2013-01-24 
事件の表示 特願2009-163383「映像データ再生装置、映像データ生成装置及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月17日出願公開、特開2009-296604〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
1 手続の経緯
本願は、平成17年8月5日に出願した特願2005-227579号(優先権主張平成17年6月20日、以下「原出願」という。)の一部を平成21年7月10日に新たな特許出願としたものであって、平成23年7月25日付けで拒絶理由が通知され、平成23年10月3日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成23年10月31日付け(発送日同年11月8日)で拒絶査定がなされたものである。
本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成24年2月6日付けで請求された拒絶査定不服審判請求であって、同時に手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1?9に係る発明は、平成24年2月6日付け手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1?9に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」ないし「本願発明9」という。) は次のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成して再生映像をピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置であって、
入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段と、
前記映像データに関する管理データを生成する管理データ生成手段と、
前記管理データ生成手段により生成された管理データに、前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段と、
を備え、
前記指示情報は、前記ピクチャ・イン・ピクチャ形式の映像で親画面の映像が特殊再生の間、子画面の映像が表示されるか否かを示した情報であることを特徴とする映像データ生成装置。
【請求項2】
複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成してピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で再生映像を出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置であって、
入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段と、
前記映像データに、前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段と、
を備え、
前記指示情報は、前記ピクチャ・イン・ピクチャ形式の映像で親画面の映像が特殊再生の間、子画面の映像が表示されるか否かを示した情報であることを特徴とする映像データ生成装置。
【請求項3】
複数の映像データが入力され、該複数の映像データを復号して得られる複数の復号映像を合成した再生映像をピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で出力する映像データ再生装置であって、
前記複数の映像データを復号して前記複数の復号映像を得る復号手段と、
前記複数の復号映像を合成して前記再生映像を得る合成手段と、
前記複数の映像データの少なくとも1つから前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を読み出す指示情報読出手段と、
前記指示情報読出手段により読み出された指示情報に従って、前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより前記再生形態を管理する管理手段と、
を備え、
前記再生形態は、特殊再生時の再生形態を指し、前記指示情報は、前記ピクチャ・イン・ピクチャ形式の映像で親画面の映像が特殊再生の間、子画面の映像が表示されるか否かを示した情報であることを特徴とする映像データ再生装置。
【請求項4】
複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが入力され、該複数の映像データを復号して得られる複数の復号映像を合成した再生映像をピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で出力する映像データ再生装置であって、
前記複数の映像データを復号して前記複数の復号映像を得る復号手段と、
前記複数の復号映像を合成して前記再生映像を得る合成手段と、
前記管理データから前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を読み出す指示情報読出手段と、
前記指示情報読出手段により読み出された指示情報に従って、前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより前記再生形態を管理する管理手段と、
を備え、
前記指示情報は、2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に他方の映像が表示されるか否かを示した情報であることを特徴とする映像データ再生装置。
【請求項5】
複数の映像データが入力され、該複数の映像データを復号して得られる複数の復号映像を合成した再生映像をピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で出力する映像データ再生装置であって、
前記複数の映像データを復号して前記複数の復号映像を得る復号手段と、
前記複数の復号映像を合成して前記再生映像を得る合成手段と、
前記複数の映像データの少なくとも1つから前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を読み出す指示情報読出手段と、
前記指示情報読出手段により読み出された指示情報に従って、前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより前記再生形態を管理する管理手段と、
を備え、
前記指示情報は、2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に他方の映像が表示されるか否かを示した情報であることを特徴とする映像データ再生装置。
【請求項6】
複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成してピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で再生映像を出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置であって、
入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段と、
前記映像データに、前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段と、
を備え、
前記指示情報は、2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に、他方の映像が表示されるか否かを示した情報であることを特徴とする映像データ生成装置。
【請求項7】
複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成して再生映像をピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置であって、
入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段と、
前記映像データに関する管理データを生成する管理データ生成手段と、
前記管理データ生成手段により生成された管理データに、前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段と、 を備え、
前記指示情報は、2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に、他方の映像が表示されるか否かを示した情報であることを特徴とする映像データ生成装置。
【請求項8】
複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され、該複数の映像データを復号して得られる複数の復号映像を合成した再生映像をピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で出力する映像データ再生装置により再生される記録媒体であって、
前記映像データ再生装置は、前記複数の映像データを復号して前記複数の復号映像を得る復号手段と、前記複数の復号映像を合成して前記再生映像を得る合成手段と、を備え、 前記管理データには、前記映像データ再生装置が再生する前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際における再生形態を指示する指示情報が記録されており、
前記記録媒体は、前記指示情報に従って前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより、前記特殊再生時の再生形態を実行するためのプログラムが記録されており、
前記指示情報は、前記ピクチャ・イン・ピクチャ形式の映像で親画面の映像が特殊再生の間、子画面の映像が表示されるか否かを示す情報であることを特徴とする記録媒体。
【請求項9】
複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され、該複数の映像データを復号して得られる複数の復号映像を合成した再生映像をピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で出力する映像データ再生装置により再生される記録媒体であって、
前記管理データには、前記映像データ再生装置が再生する再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際における再生形態を指示する指示情報が記録されており、
前記映像データ再生装置において、前記再生映像の特殊再生時の再生形態を指示する指示情報を記録するためのプログラムが記録されており、
前記指示情報は、前記ピクチャ・イン・ピクチャ形式の映像で親画面の映像が特殊再生の間、子画面の映像が表示されるか否かを示す情報であることを特徴とする記録媒体。」

3 本願が適正な分割出願か否か
(1)本願発明8について
本願発明8は、「記録媒体」の発明であり、本願発明8は、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」「前記記録媒体は、前記指示情報に従って前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより、前記特殊再生時の再生形態を実行するためのプログラムが記録されて(おり、)」いることを構成要件としている。
そこで、本願発明8における「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」「前記記録媒体は、前記指示情報に従って前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより、前記特殊再生時の再生形態を実行するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲、図面に記載された事項の範囲内であるか検討する。
原出願の出願当初の明細書の段落【0101】、【0102】に「記録媒体」の記載があり、他の段落には記載がない。原出願の出願当初の特許請求の範囲には、「記録媒体」の記載はない。原出願の出願当初の図面には、【図19】に段落【0101】の記載に対応した「記録媒体」が記載され、他の図面には記載がない。
原出願の出願当初の明細書の段落【0101】、【0102】の記載は、次のとおりである。

「【0101】
なお、上記した本発明の各実施形態では、放送や通信といった伝送路を経由して入力される映像データ(及び管理データ)が映像再生装置を通して直接再生される状況を想定して、本発明の各実施形態にかかる映像再生装置を説明したが、本発明が適用可能な状況はこれに限らず、例えば、映像データ(及び管理データ)が予め記録媒体に記録されており、記録媒体に記録された映像データ(及び管理データ)を逐次読み出して再生するといった状況においても同様に適用可能である。図19のパッケージ流通における適用がそれにあたる。また、伝送路を経由して一旦記録媒体に記録された後、記録された映像データ(及び管理データ)を読み出して再生する状況についても同様である。即ち、本発明は、各実施形態で詳細に説明した指示フラグを含んだ映像データ、あるいは管理データが記録された記録媒体に対して、またそのような記録媒体を再生する映像再生装置に対しても、適用可能である。
【0102】
また、本発明の各実施形態において説明した映像データ(あるいは管理データ)に格納される指示フラグは、ピクチャ・イン・ピクチャ映像の特殊再生時の再生形態について、映像提供者の意図を反映させるための固定の情報として記載した。しかしながら、この映像データ(あるいは管理データ)に格納される指示フラグを、再生側において、ユーザの再生時の好みを記録しておくためのフィールドとして利用することも可能である。あるいは、映像再生装置の再生能力によって制限される値に、上記指示フラグを映像再生装置側で書き換えるといったことも起こり得る。このような書き換えは、放送や通信などの伝送路を通して入力された映像データ(及び管理データ)を記録媒体に記録する際や、記録媒体から映像データ(及び管理データ)を逐次読み出して再生するといった際に、映像再生装置が指示フラグの格納フィールドの値を書き換えることで行われる。この書き換え処理は、ユーザが直接入力しても、あるいはJava(登録商標)等のプログラムで動的に変更できるようにしてもよい。即ち、本発明は、指示フラグの値が最終的に何処で設定されたかに拘らず、各実施形態で詳細に説明した指示フラグを含む映像データ、あるいは管理データの映像再生装置に対して適用可能である。」

段落【0101】には、映像データ(及び管理データ)が記録媒体に記録されることが記載されており、段落【0102】には、映像データ(あるいは管理データ)に格納される指示フラグが書き換えられること及び指示フラグの書き換え処理をプログラムで動的に変更できるようにしてもよいことが記載されているのであって、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」「前記記録媒体は、前記指示情報に従って前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより、前記特殊再生時の再生形態を実行するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが記載されているとは、認められない。
また、原出願の出願当初の明細書の他の記載及び原出願の出願当初の特許請求の範囲、図面をみても、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」「前記記録媒体は、前記指示情報に従って前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより、前記特殊再生時の再生形態を実行するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが記載されているとは、認められない。
そして、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」「前記記録媒体は、前記指示情報に従って前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより、前記特殊再生時の再生形態を実行するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが自明であるとも認められない。
したがって、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」「前記記録媒体は、前記指示情報に従って前記復号手段あるいは前記合成手段の少なくとも1つの動作を制御することにより、前記特殊再生時の再生形態を実行するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲、図面に記載された事項の範囲内の事項とはいえない。
よって、本願発明8は、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲、図面に記載された事項の範囲内のものとは認められない。

(2)本願発明9について
本願発明9は、「記録媒体」の発明であり、本願発明9は、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」「前記映像データ再生装置において、前記再生映像の特殊再生時の再生形態を指示する指示情報を記録するためのプログラムが記録されており、」を構成要件としており、本願の請求項9の記載から、「・・・プログラムが記録されて」いるものは、記録媒体と認められる。
そこで、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」(記録媒体に)「前記映像データ再生装置において、前記再生映像の特殊再生時の再生形態を指示する指示情報を記録するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲、図面に記載された事項の範囲内であるか検討する。
原出願の出願当初の明細書の段落【0101】、【0102】に「記録媒体」の記載があり、他の段落には記載がない。原出願の出願当初の特許請求の範囲には、「記録媒体」の記載はない。原出願の出願当初の図面には、【図19】に段落【0101】の記載に対応した「記録媒体」が記載され、他の図面には記載がない。
段落【0101】には、映像データ(及び管理データ)が記録媒体に記録されることが記載されており、段落【0102】には、映像データ(あるいは管理データ)に格納される指示フラグが書き換えられること及び指示フラグの書き換え処理をプログラムで動的に変更できるようにしてもよいことが記載されているのであって、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」(記録媒体に)「前記映像データ再生装置において、前記再生映像の特殊再生時の再生形態を指示する指示情報を記録するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが記載されているとは、認められない。
また、原出願の出願当初の明細書の他の記載及び原出願の出願当初の特許請求の範囲、図面をみても、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」(記録媒体に)「前記映像データ再生装置において、前記再生映像の特殊再生時の再生形態を指示する指示情報を記録するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが記載されているとは、認められない。
そして、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」(記録媒体に)「前記映像データ再生装置において、前記再生映像の特殊再生時の再生形態を指示する指示情報を記録するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが自明であるとも認められない。
したがって、「複数の映像データと、該複数の映像データの少なくとも1つに関する管理データが記録され・・・る記録媒体であって、」(記録媒体に)「前記映像データ再生装置において、前記再生映像の特殊再生時の再生形態を指示する指示情報を記録するためのプログラムが記録されて(おり)」いることが、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲、図面に記載された事項の範囲内の事項とはいえない。
よって、本願発明9は、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲、図面に記載された事項の範囲内のものとは認められない。

(3)まとめ
以上のとおり、本願発明8及び本願発明9は、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲、図面に記載された事項の範囲内のものとは認められない。
したがって、本願は適法な分割出願とは認められないので、本願の出願日の遡及を認めることができず、本願の出願日は平成21年7月10日である。

第2 引用文献の記載事項
原査定における拒絶の理由に引用された特開2007-37068号公報(以下「引用文献」という。)の記載は、特許請求の範囲に対応した【課題を解決するための手段】の記載の記載を除き、本願明細書の記載と同じである。また、引用文献の図面は、本願の図面と同じである。
そして、引用文献の特許請求の範囲には、次の記載がある。

〈特許請求の範囲〉
「【請求項10】
複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成して再生映像を出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置であって、
入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段と、
前記映像データに、前記再生映像の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段と、
を備えることを特徴とする映像データ生成装置。」

「【請求項13】
前記再生映像は、ピクチャ・イン・ピクチャ形式の映像であることを特徴とする請求項10から12の何れか一項に記載の映像データ生成装置。」

「【請求項17】
前記再生映像は、2画面表示形式の映像であることを特徴とする請求項10から12の何れか一項に記載の映像データ生成装置。」

「【請求項19】
前記再生形態は、特殊再生時の再生形態を指し、前記指示情報は、前記2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に、他方の映像が表示されるか否かを示した情報である請求項17に記載の映像データ生成装置。」

第3 判断
1 本願発明6
本願発明6は、上記第1の2のとおりであり、ここに再掲する。

「複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成してピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で再生映像を出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置であって、
入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段と、
前記映像データに、前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段と、
を備え、
前記指示情報は、2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に、他方の映像が表示されるか否かを示した情報であることを特徴とする映像データ生成装置。」

2 引用発明
上記第2のとおり、請求項19は、請求項17を引用し、請求項17は、請求項10を引用しているので、引用文献には、次の発明が記載されていると認められる。

「複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成して再生映像を出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置であって、
入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段と、
前記映像データに、前記再生映像の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段と、
を備え、
前記再生映像は、2画面表示形式の映像であり、
前記再生形態は、特殊再生時の再生形態を指し、前記指示情報は、前記2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に、他方の映像が表示されるか否かを示した情報である
ことを特徴とする映像データ生成装置。」

そして、請求項17は、請求項13を引用していないものの、引用文献の全体の記載及び図2?図5から、2画面表示形式として、ピクチャ・イン・ピクチャが記載されていることは明らかであるから、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成してピクチャ・イン・ピクチャ形式の再生映像を出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置であって、
入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段と、
前記映像データに、前記再生映像の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段と、
を備え、
前記再生映像は、2画面表示形式の映像であり、
前記再生形態は、特殊再生時の再生形態を指し、前記指示情報は、前記2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に、他方の映像が表示されるか否かを示した情報である
ことを特徴とする映像データ生成装置。」

3 対比・判断
本願発明6と引用発明とを対比する。

(1)「複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成してピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で再生映像を出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置」

引用発明は、「複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成してピクチャ・イン・ピクチャ形式の再生映像を出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置」であって、「ピクチャ・イン・ピクチャ形式の再生映像」は、「マルチ画面表示形式の映像」であるから、引用発明は、「複数の映像データから得られる複数の復号映像を合成してピクチャ・イン・ピクチャ形式を含むマルチ画面表示形式の映像で再生映像を出力するのに利用される該映像データの映像データ生成装置」といえ、本願発明6と一致する。

(2)「入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段」

引用発明は、「入力された映像を符号化し、符号化された映像データを得る符号化手段」を備えており、本願発明6と一致する。

(3)「前記映像データに、前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段」

引用発明は、「前記映像データに、前記再生映像の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段」を備えており、
「前記再生形態は、特殊再生時の再生形態を指し」ているから、
引用発明は、「前記映像データに、特殊再生時の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段」を備えているといえる。
そして、特殊再生は、通常再生から切り替えられるのが普通であるから、
引用発明は、「前記映像データに、前記再生映像を通常再生から特殊再生に切り替える際の再生形態を指示する指示情報を書き込む指示情報書込手段」を備えているといえ、本願発明6と一致する。

(4)「前記指示情報は、2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に、他方の映像が表示されるか否かを示した情報である」

引用発明においては、「前記指示情報は、前記2画面表示形式の映像で一方の映像が特殊再生時に、他方の映像が表示されるか否かを示した情報である」から、本願発明6と一致する。

(5)判断
以上のとおり、本願発明6と引用発明とは一致する。
したがって、本願の請求項6に係る発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項6に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。
したがって、残る請求項1から5、請求項7から9に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のように審決する。
 
審理終結日 2012-11-26 
結審通知日 2012-11-27 
審決日 2012-12-10 
出願番号 特願2009-163383(P2009-163383)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 脇岡 剛  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 奥村 元宏
小池 正彦
発明の名称 映像データ再生装置、映像データ生成装置及び記録媒体  
代理人 馬場 信幸  
代理人 宮尾 明茂  
代理人 藤本 英介  
代理人 神田 正義  

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