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審決分類 |
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 C08J 審判 全部無効 2項進歩性 C08J |
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管理番号 | 1269754 |
審判番号 | 無効2012-800013 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2012-02-22 |
確定日 | 2013-01-05 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4667695号発明「顔料濃縮物およびその製造法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 平成12年12月 6日 本件出願(特願2001-544867号) 平成23年 1月21日 設定登録(特許第4667695号) 平成24年 2月22日 無効審判請求 同 年 7月 4日 答弁書、訂正請求書提出 同 年 8月22日 弁駁書提出 同 年10月22日 口頭審理陳述要領書提出(請求人及び被請求人) 同 年11月 6日 口頭審理 第2 訂正の適否について 1.訂正の内容 平成24年7月4日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)により被請求人が求める訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許第4667695号に係る明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲の 「【請求項1】少なくとも1種類の顔料、エチレンとそれぞれ0?20モル%のプロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンまたは1-ウンデセンから選択される1種類以上のコモノマーとからメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンワックス、必要に応じて熱可塑性重合体、および必要に応じて添加剤を含むことを特徴とする顔料濃縮物。 【請求項2】Ti、ZrまたはHfを中心原子として含むメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンワックスが用いられる請求項1に記載の顔料濃縮物。 【請求項3】少なくとも1種類の顔料、ポリエチレンワックス、熱可塑性重合体および添加剤を含む請求項1または2に記載の顔料濃縮物。 【請求項4】少なくとも1種類の顔料、ポリエチレンワックスおよび添加剤を含む請求項1または2に記載の顔料濃縮物。 【請求項5】ワックスの融点を超過する温度で各成分を混合する請求項4に記載の顔料濃縮物の製造方法。 【請求項6】ワックスおよび担体重合体の融点を超過する温度で各成分を混合する請求項1?3のいずれかに記載の顔料濃縮物の製造方法。 【請求項7】請求項1?6のいずれかに記載の顔料濃縮物により着色されたプラスチック成形体またはプラスチックシート。 【請求項8】請求項1?5のいずれかに記載の顔料濃縮物を用い、各成分を溶融体状で均質化することにより混合する請求項7に記載の成形体またはシートを着色する方法。」を、 「【請求項1】少なくとも1種類の顔料、エチレンとそれぞれ0?20モル%のプロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンまたは1-ウンデセンから選択される1種類以上のコモノマーとからメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンワックス、必要に応じて熱可塑性重合体、および必要に応じて添加剤を含み、 メタロセン触媒が、 rac-エチレンビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-エチレンビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-テトラメチレンシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]-ジルコニウムジクロリド、 2,2-イソプロピリデンシクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ジフェニルメチル-シクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ジメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 ジメチルシリルイソプロピルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 ジメチルシリルフェニルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、若しくは ジメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、又は これらに対応する二臭化物、又はジメチル化合物であることを特徴とする顔料濃縮物。 【請求項2】少なくとも1種類の顔料、ポリエチレンワックス、熱可塑性重合体および添加剤を含む請求項1に記載の顔料濃縮物。 【請求項3】少なくとも1種類の顔料、ポリエチレンワックスおよび添加剤を含む請求項1または2に記載の顔料濃縮物。 【請求項4】ワックスの融点を超過する温度で各成分を混合する請求項3に記載の顔料濃縮物の製造方法。 【請求項5】ワックスおよび熱可塑性重合体の融点を超過する温度で各成分を混合する請求項1または2に記載の顔料濃縮物の製造方法。 【請求項6】請求項1?3のいずれかに記載の顔料濃縮物により着色されたプラスチック成形体またはプラスチックシート。 【請求項7】請求項1?3のいずれかに記載の顔料濃縮物を用い、各成分を溶融体状で均質化することにより混合する請求項7に記載の成形体またはシートを着色する方法。」とする訂正事項。 (2)訂正事項2 特許明細書の段落[0067]の「rac-エチレンビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、」を、「rac-ジメチルシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、」とする訂正事項。 2.訂正の適否の判断 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1のメタロセン触媒について、特許明細書の段落[0067]の記載に基づいて減縮する訂正事項を含むものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1は、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、誤訳の訂正を目的とするものであって、特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、訂正事項1及び2からなる本件訂正請求は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同法同条第5項の規定により準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3 本件発明 特許第4667695号の請求項1?7に係る発明(以下、「本件発明1」?「本件発明7」という。)は、平成24年7月4日付け訂正請求書により訂正された明細書(以下、「本件明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項によりそれぞれ特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】少なくとも1種類の顔料、エチレンとそれぞれ0?20モル%のプロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンまたは1-ウンデセンから選択される1種類以上のコモノマーとからメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンワックス、必要に応じて熱可塑性重合体、および必要に応じて添加剤を含み、 メタロセン触媒が、 rac-エチレンビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-エチレンビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-テトラメチレンシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]-ジルコニウムジクロリド、 2,2-イソプロピリデンシクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ジフェニルメチル-シクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ジメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 ジメチルシリルイソプロピルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 ジメチルシリルフェニルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、若しくは ジメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、又は これらに対応する二臭化物、又はジメチル化合物であることを特徴とする顔料濃縮物。 【請求項2】少なくとも1種類の顔料、ポリエチレンワックス、熱可塑性重合体および添加剤を含む請求項1に記載の顔料濃縮物。 【請求項3】少なくとも1種類の顔料、ポリエチレンワックスおよび添加剤を含む請求項1または2に記載の顔料濃縮物。 【請求項4】ワックスの融点を超過する温度で各成分を混合する請求項3に記載の顔料濃縮物の製造方法。 【請求項5】ワックスおよび熱可塑性重合体の融点を超過する温度で各成分を混合する請求項1または2に記載の顔料濃縮物の製造方法。 【請求項6】請求項1?3のいずれかに記載の顔料濃縮物により着色されたプラスチック成形体またはプラスチックシート。 【請求項7】請求項1?3のいずれかに記載の顔料濃縮物を用い、各成分を溶融体状で均質化することにより混合する請求項7に記載の成形体またはシートを着色する方法。」 なお、本件発明7に係る請求項7には、「請求項7に記載の成形体またはシートを着色する方法」と記載されているが、「成形体またはシート」は先行する請求項のうち請求項6のみに規定されていることからみて、「請求項6に記載の成形体またはシートを着色する方法」の明らかな誤記と解される。 第4 請求人の主張 請求人は、審判請求書、平成24年8月22日付け弁駁書、及び、平成24年10月22日付け口頭審理陳述要領書を提出し、「特許第4667695号の特許を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。との審決を求める。」と主張し、その証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出しているところ、その理由の概要は、第1回口頭審理調書に記載された請求人の陳述の要領からみて、以下のとおりである。 無効理由 (1)本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (2)本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 証拠方法 甲第1号証:特開昭62-129303号公報 甲第2号証:「ワックスの性質と応用」、初版第1刷、株式会社幸書房、昭和58年9月10日、第122?133頁 甲第3号証:「現場マニアルXI巻(プラスチック加工の問題点とその解決)プラスチックの混練加工とその装置編」、昭和47年5月、綜合化学研究所、第190?202頁 甲第4号証:日本ゴム協会誌、1983年、第56巻、第8号、第473?488頁 甲第5号証:「プラスチック用着色剤・カラーコンパウンド総合技術」、第1版第1刷、グレースラボラトリ、1990年10月15日、第19?49頁 甲第6号証:国際公開第99/12997号 甲第7号証:塑料、1998年、27(3)、第33?37頁 なお、審判請求書には、以下のとおりの誤記がある。 甲第3号証について、「現場マニュアルXI巻(プラスチック加工の問題点とその解決)プラスチックの混練加工とその装置編」と記載されているが、「現場マニアルXI巻(プラスチック加工の問題点とその解決)プラスチックの混練加工とその装置編」の誤記であり、「発光元:丸善」と記載されているが、発行所は、綜合化学研究所である。 甲第5号証について、「プラスチック用着色剤カラーコンパウンド総合技術」と記載されているが、「プラスチック用着色剤・カラーコンパウンド総合技術」の誤記である。 甲第6号証について、「国際公開番号第99/12997号明細書」と記載されているが、「国際公開第99/12997号」の誤記である。 また、甲第7号証の発行国は、中国である。 第5 被請求人の主張 被請求人は、平成24年7月4日付け答弁書、及び、平成24年10月22日付け口頭審理陳述要領書を提出し、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」と主張し、その証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。 証拠方法 乙第1号証:訂正請求書の写し 乙第2号証:EP1238026B1号異議申立事件における提出書類(2006年1月20日付け) 乙第3号証:乙第2号証の部分翻訳 第6 当審の判断 1.無効理由1(特許法第29条第1項第3号)について (1)甲第1号証の記載事項 甲第1号証には、次の事項が記載されている。 1a.「2.(A)共役π電子を有する基を配位子としたジルコニウムハイドライド化合物および (B)アルミノオキサン から成る触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数3?20のα-オレフィンを共重合せしめることを特徴とする、 (a)エチレン成分の含有率が85?99モル%の範囲にあり、そしてα-オレフィン成分の含有率が1?15モル%の範囲にあり、 (b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.02?0.5dl/gの範囲にあり、 (c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であり、 (d)X-線回折法で求めた結晶化度が5?85%であり、 (e)下記式(I) P_(OE) B≡?????? (I) 2P_(O)・P_(E) [式中、P_(E)は共重合体中のエチレン成分の含有モル分率を示し、P_(O)はα-オレフィン成分の含有モル分率を示し、P_(OE)は全dyad連鎖のα-オレフィン・エチレン連鎖のモル分率を示す]で表わされるB値が、下記式(II) 1.00≦B≦2・・・・・・(II) を満足する範囲にあり、そして (f)^(13)C-NMRスペクトル中には、共重合体主鎖中の隣接した2個の3級炭素原子間のメチレン連鎖に基づくαβおよびβγのシグナルが観測されない、 エチレンおよび炭素原子数3?20のα-オレフィンからのエチレン系ランダム共重合体ワックスの製造法。」(特許請求の範囲の請求項2) 1b.「本発明のさらに他の目的は、顔料等の粉末を分散させる能力に優れそれ故顔料分散剤の如き分散剤として、あるいはその他改質剤として好適に使用しうるエチレン系ランダム共重合体ワックスを提供することにある。」(第4頁右上欄第20行?同頁左下欄第4行) 1c.「本発明の方法において重合原料として使用されるエチレン以外の炭素数3?20のα-オレフィンとして具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-へキサデセン、1-オクデセン、1-エイコセンなどが例示できる。」(第6頁右下欄第1行?同頁同欄第7行) (2)甲第1号証に記載された発明 甲第1号証には、摘示事項1a及び1bからみて、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 「(A)共役π電子を有する基を配位子としたジルコニウムハイドライド化合物および (B)アルミノオキサン から成る触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数3?20のα-オレフィンを共重合せしめることを特徴とする、 (a)エチレン成分の含有率が85?99モル%の範囲にあり、そしてα-オレフィン成分の含有率が1?15モル%の範囲にあり、 (b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.02?0.5dl/gの範囲にあり、 (c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であり、 (d)X-線回折法で求めた結晶化度が5?85%であり、 (e)下記式(I) P_(OE) B≡?????? (I) 2P_(O)・P_(E) [式中、P_(E)は共重合体中のエチレン成分の含有モル分率を示し、P_(O)はα-オレフィン成分の含有モル分率を示し、P_(OE)は全dyad連鎖のα-オレフィン・エチレン連鎖のモル分率を示す]で表わされるB値が、下記式(II) 1.00≦B≦2・・・・・・(II) を満足する範囲にあり、そして (f)^(13)C-NMRスペクトル中には、共重合体主鎖中の隣接した2個の3級炭素原子間のメチレン連鎖に基づくαβおよびβγのシグナルが観測されない、 エチレンおよび炭素原子数3?20のα-オレフィンからの、顔料分散剤として使用されるエチレン系ランダム共重合体ワックス。」 (3)対比・判断 ア 本件発明1について 甲1発明の「エチレンおよび炭素原子数3?20のα-オレフィンからのエチレン系ランダム共重合体ワックス」は、「α-オレフィン」の定義が「プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-へキサデセン、1-オクデセン、1-エイコセンなど」(摘示事項1c)であることからみて、本件発明1の「エチレンと・・・プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンまたは1-ウンデセンから選択される1種類以上のコモノマーとから・・・得られたポリエチレンワックス」に相当し、甲1発明の「α-オレフィン成分の含有率が1?15モル%」というコモノマー成分の割合は、本件発明1の「0?20モル%」という範囲と重複一致し、甲1発明の「(A)共役π電子を有する基を配位子としたジルコニウムハイドライド化合物」は、本件発明1の「メタロセン触媒」に相当する。 そうすると、両発明は、ワックスが、「エチレンとそれぞれ0?20モル%のプロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンまたは1-ウンデセンから選択される1種類以上のコモノマーとからメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンワックス」である点で一致し、次の点で相違する。 相違点1:本件発明1は、メタロセン触媒が、「rac-エチレンビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-エチレンビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-テトラメチレンシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]-ジルコニウムジクロリド、 2,2-イソプロピリデンシクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ジフェニルメチル-シクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ジメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 ジメチルシリルイソプロピルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 ジメチルシリルフェニルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、若しくは ジメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、又は これらに対応する二臭化物、又はジメチル化合物」(以下、「本件触媒化合物」という。)であるのに対して、甲1発明は、メタロセン触媒が、「共役π電子を有する基を配位子としたジルコニウムハイドライド化合物」である点 相違点2:本件発明1は、「顔料濃縮物」であり、「少なくとも1種類の顔料」、「必要に応じて熱可塑性重合体」、及び、「必要に応じて添加剤」を構成成分として含むのに対して、甲1発明は、顔料分散剤として使用されるポリエチレンワックスである点 上記の相違点について検討すると、甲1発明の「共役π電子を有する基を配位子としたジルコニウムハイドライド化合物」は、本件触媒化合物を下位概念の化合物として包含するものではなく、両者は化学構造の異なる化合物であるから、本件発明1は甲1発明と相違点1において実質的に相違するものであり、相違点2については検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではない。 イ 本件発明2?7について 本件発明2?7は、本件発明1を直接的ないしは間接的に引用する発明であって、本件発明1を特定するために必要な事項をすべて含むものであり、甲1発明とは、少なくとも上記「第6-1-(3)-ア 本件発明1について」で述べた相違点1で相違するものであるから、本件発明2?7も、甲第1号証に記載された発明ではない。 (4)まとめ 以上のとおり、請求人の主張する無効理由1には理由がない。 2.無効理由2(特許法第29条第2項)について (1)甲第2?7号証の記載事項 甲第2号証には、次の事項が記載されている。 2a.「現在、世界各国で製造,販売されているPE-ワックスの製法は、次の三つに大別される。I)エチレンの重合により製造する方法」(第123頁) 2b.「PE-ワックスは,前記のような各種の特性を生かして次のような用途に使用されている。 1)樹脂着色助剤(顔料分散剤) ポリエチレンなどの樹脂の着色は,顔料と分散媒とをロールなどで混練したカラーマスターバッチ方式で行う場合と,顔料と分散媒を微粉末状にし,これを分散混合させるドライカラー方式で行う場合がある・・・これらの要求にはまさに,PE-ワックスが最適」(第131頁) 甲第3号証には、次の事項が記載されている。 3a.「加工顔料は一般に、顔料にかなりの量のワックスや脂肪酸金属塩・・・、ポリマー分散剤(例えば、低分子量PE・・・)を添加混合、必要に応じて混練加工したものである・・・マスターバッチ顔料と呼ばれるものと加工顔料とは大差はないが、マスターバッチ顔料が材料の樹脂と同一、或は、近似する性質のポリマー分散剤を用いる点、配合面からは設計されたものである場合が多い・・・溶融状態下のポリマーヘの顔料の分散による方法」(第192頁) 3b.「 」(第192頁の図43-2) 3c.「同一配合同一製法のマスターバッチを、同一の主体樹脂に分散するに際し、ロール・ミル法と、連続混練押出機による方法とを並行して行ったものを、インフレーション法でフィルムを成形した」(第201頁) 甲第4号証には、次の事項が記載されている。 4a.「顔料をあらかじめ,分散させやすい分散媒に分散させておき,その予備分散体を更に樹脂に分散させて,マスターバッチとする方法である。この際の分散媒としては,樹脂よりも融点や溶融粘度が低く,顔料表面をぬらしやすい一方,樹脂との相溶性がよい物であることが条件である。このような条件を満たすものは通常,顔料分散剤と呼ばれるものであり,金属石けん類,各種ワックス,樹脂などがある。」(第478頁) 4b.「 」(第483頁の表5) 4c.「通常,マスターバッチは・・・樹脂,マスターバッチを計量し,これをタンブラーやヘンシェルミキサーでブレンドし,混合物を成型機に供給する。」(第484頁) 4d.「マスターバッチに他の添加剤などを加え,着色以外の機能も持たせたものを多機能マスターバッチと呼ぶ。」(第487頁) 甲第5号証には、次の事項が記載されている。 5a.「 」(第24頁の表2) 5b.「樹脂に顔料を練り込む場合、次のような過程を経る。(1)樹脂ペレットと顔料の混合物がかくはんされる→(2)樹脂が溶融する→(3)顔料の表面が次第に樹脂でぬらされる→(4)顔料表面が完全に樹脂でおおわれ、混練が効果的に効くようになる。」(第24頁) 5c.「顔料をあらかじめ、分散させやすい分散媒に分散させておき、その予備分散体を更に樹脂に分散させて、マスターバッチとする方法である。この際の分散媒としては、樹脂よりも融点や溶融粘度が低く、顔料表面をぬらしやすい一方、樹脂との相溶性がよい物であることが条件である。このような条件を満たすものは通常、顔料分散剤と呼ばれるものであり、金属石けん類、各種ワックス、樹脂などがある。」(第25頁) 5d.「通常、マスターバッチは・・・樹脂、マスターバッチを計量し、これをタンブラーやヘンシェルミキサーでブレンドし、混合物を成形機に供給する。」(第27頁) 甲第6号証には、次の事項(和訳)が記載されている。 6a.「着色組成物にその他の成分を添加してもよく、その中には担体がある。」(第2頁) 6b.「伝統的な着色組成物においては、担体はポリエチレンでありうる」(第3頁) 6c.「マスターバッチを、着色される熱可塑性樹脂と混合した後は、その混合物は様々な方法で処理される。用いられる方法は、射出成形、ブロー成形、または射出伸張ブロー成形などでありうる。」(第4頁) 6d.「このマスターバッチは、例えば安定化剤、ワックスなどの処理助剤、脱臭剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、可塑剤などの本質的な性質に影響しない材料をさらに含むことができる。」(第5頁) 甲第7号証には、次の事項(和訳)が記載されている。 7a.「ポリエチレンワックスを加えたカラーマスターバッチは加工時に、まずポリエチレンワックスが樹脂と溶融し顔料の表面を覆う。」(第34頁) 7b.「ポリオレフィンカラーマスターバッチ及び製品の加工温度は一般に160?280°Cの間で、この温度範囲内なら一般的なポリエチレンワックスは温度に耐えられる。」(第34頁) (2)甲第1号証に記載された発明 甲第1号証に記載された発明は、上記「第6-1-(2)甲第1号証に記載された発明」で述べたとおりのものである。 (3)対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1と甲1発明を対比すると、両発明は、上記「第6-1-(3)-ア 本件発明1について」で述べたとおりの点で一致し、相違点1?2で相違する。 上記相違点について検討すると、甲第2?7号証には、甲1発明のZr-H結合を必須とする「共役π電子を有する基を配位子としたジルコニウムハイドライド化合物」を、Zr-H結合を有しない本件触媒化合物に置き換えることについて記載も示唆もされておらず、また、本件発明1は、本件明細書の記載からみて、特定のメタロセン触媒で製造されたポリエチレンワックスを用いることによって、慣用のポリエチレンワックスを用いた場合よりも格別の効果を奏するものであるから、相違点2については検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて、その発明の技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2?7について 本件発明2?7は、本件発明1を直接的ないしは間接的に引用する発明であって、本件発明1を特定するために必要な事項をすべて含むものであるから、本件発明2?7も、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)まとめ 以上のとおり、請求人の主張する無効理由2には理由がない。 第7 結び 以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件発明1?7に係る特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 顔料濃縮物およびその製造法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも1種類の顔料、エチレンとそれぞれ0?20モル%のプロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンまたは1-ウンデセンから選択される1種類以上のコモノマーとからメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンワックス、必要に応じて熱可塑性重合体、および必要に応じて添加剤を含み、 メタロセン触媒が、 rac-エチレンビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-エチレンビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-テトラメチレンシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]-ジルコニウムジクロリド、 2,2-イソプロピリデンシクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ジフェニルメチル-シクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ジメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 ジメチルシリルイソプロピルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 ジメチルシリルフェニルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、若しくは ジメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、又は これらに対応する二臭化物、又はジメチル化合物であることを特徴とする顔料濃縮物。 【請求項2】 少なくとも1種類の顔料、ポリエチレンワックス、熱可塑性重合体および添加剤を含む請求項1に記載の顔料濃縮物。 【請求項3】 少なくとも1種類の顔料、ポリエチレンワックスおよび添加剤を含む請求項1または2に記載の顔料濃縮物。 【請求項4】 ワックスの融点を超過する温度で各成分を混合する請求項3に記載の顔料濃縮物の製造方法。 【請求項5】 ワックスおよび熱可塑性重合体の融点を超過する温度で各成分を混合する請求項1または2に記載の顔料濃縮物の製造方法。 【請求項6】 請求項1?3のいずれかに記載の顔料濃縮物により着色されたプラスチック成形体またはプラスチックシート。 【請求項7】 請求項1?3のいずれかに記載の顔料濃縮物を用い、各成分を溶融体状で均質化することにより混合する請求項7に記載の成形体またはシートを着色する方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 本発明は、少なくとも1種類の顔料、エチレンと必要に応じて1種類以上のオレフィンとからメタロセン触媒を用いて製造されたポリエチレンワックス、および必要に応じて熱可塑性重合体、および必要に応じて添加剤を含む顔料濃縮物に関する。 【0002】 種々の顔料が顔料濃縮物の形態で市販されており、これによりプラスチックを着色する際の加工が容易となっている。この様な組成物は、一般に顔料の他に、分散剤、例えばワックス、および必要に応じて熱可塑性重合体(通常はポリオレフィン)を含むものである。熱可塑性重合体は担体重合体(キャリアポリマー)とも呼ばれる。ワックスは組成物中で顔料を微分散させ、分散液を安定化させる働きを有する。この様な顔料濃縮物(マスターバッチ)の典型的な市販の組成物は、25質量%の顔料、10質量%のワックス、65質量%のポリエチレンを含む。ワックスとしては、一般に、ラジカル重合もしくはチーグラー・ナッタ触媒の使用等により得られるポリエチレンワックスを用いることが多い。ポリエチレンワックスを、酸化等により極性を有するように修飾してもよい。各成分の使用割合は所定範囲内で変化可能である。 【0003】 この様な濃縮物の使用可能性について重要とされる必須要件は、ワックス成分を正しく選択することである。ワックス自体は着色されていないが、顔料濃縮物の光沢に影響を与える。更に詳細な情報については、例えば「Luwax(登録商標)-Anwendung in Pigmentkonzentraten(顔料濃縮物の使用)」というBASF社製ポリエチレンワックスに関する商品案内パンフレット等が参考とされる。 【0004】 顔料凝集体は凝集体の塊状化を防ぐため、ワックスにより充分に湿潤させる必要がある。比較的大きな顔料凝集体を少量含む場合は、小さな顔料凝集体を多く含む場合よりも、顔料の着色力についての影響が低い。 【0005】 従って、本願発明は大きな顔料凝集体を生じさせない製造方法を提供することもその目的とする。更に、既に生じた凝集状態の顔料を分離し、これを一次粒子に分割することが望ましい。また、本発明の方法により製造された一次粒子は分離されたまま保たれ、冷却の間に再凝集しないようにされるとよい。 【0006】 上記目的を達成するため、ワックスは多数の要求を満たさなければならない。これらの要求の1つは溶融体の粘度に関する。溶融体の粘度が低い程、製造工程で、顔料凝集体の空隙に溶融したワックスが入り込むことが容易となる。このため、ワックスの融点を上回る温度で混合を行うのが一般的である。このように付加された剪断力の結果、凝集体は容易に一次粒子に分割される。 【0007】 ワックスの湿潤力も優れていなければならない。 【0008】 種々の製造工程により、原則的に、極性基がワックスに導入される。 【0009】 大気中の酸素または過酸化物化合物によりワックスを部分的に劣化させる方法がある。この場合に使用される過酸化物化合物の例は過酸化水素(H_(2)O_(2))およびジアルキルペルオキシドである。部分的劣化方法では、極性基としてのヒドロキシル基とカルボキシル基を巨大分子に導入する。このような極性基は分子上に不均一に分散されるため、ワックスの分子鎖の湿潤力は最適とならない。 【0010】 他の方法では、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルまたは酢酸ビニル等の極性コモノマーが、場合により鹸化処理を施して使用される。この方法の不都合な点は、極性コモノマーがチーグラー・ナッタ触媒に対して触媒毒として作用し、これにより触媒が活性を失うことである。この他の不都合な点は、コモノマーがワックスに均一に組み込まれないことである。コモノマーは、通常、短鎖分子の周辺に組み込まれ、これにより不均一な特性を有するワックスが得られてしまう。 【0011】 多くの顔料濃縮物は、高品質な適用には輝度が不十分である。この不具合は顔料の割合を多くすることにより、ある程度は改善される。しかしながら顔料濃縮物の製造費用は、顔料の値段により多大な影響を受ける。このため、顔料の割合を多くすることは経済的な不利益となる。 【0012】 逆に、満たすべき要件の少ない使用目的においては、高価な顔料の含有割合が小さい顔料濃縮物も好適に用いられる。 【0013】 EP-A0890584号公報には、70%より大きいアイソタクチシティインデックスを有するメタロセンポリプロピレンワックスをマスターバッチとして使用する方法が記載されている。しかしながら、メタロセンポリプロピレンワックスを使用するには、特定のメタロセンのラセミ異性体を用いてアイソタクチックポリプロピレンを製造しなければならないという不都合がある。慣用の合成法から生ずるメソ異性体は、まず分離し、次いで廃棄するか、更なる工程を経て所望のラセミ体に変換しなければならない。 【0014】 高い顔料含有率では、マスターバッチの光沢の向上が継続的に得られないことがわかっている。これは分散が充分に行われないためと考えられる。分散状態の不十分な凝集体は顕微鏡検査等により検出される。 【0015】 しかるに、本発明は、 プラスチック成形体およびプラスチックシートの着色が可能であり、製造が容易であり、かつ顔料の含有割合を増大させずに従来よりも優れた光沢を与えることが可能な顔料濃縮物を提供すること、 この濃縮物の製造法を提供すること、 本発明の顔料濃縮物により着色されたプラスチック成形体およびプラスチックシートを製造すること、および 熱可塑性重合体および成形体を本発明の顔料濃縮物を用いて着色する方法を提供すること、をその目的とする。 【0016】 本発明者等は、顔料濃縮物における分散剤としてメタロセンポリエチレンワックスを用いると、上記目的が達成されることを見出した。すなわち、本発明で使用されるメタロセンポリエチレンワックスを用いると慣用のポリエチレンワックスを用いた場合よりも良好な結果が得られることがわかっている。 【0017】 本発明によると、以下の成分を含む顔料濃縮物(マスターバッチ)が提供される。 【0018】 ・無機および有機顔料から選択された少なくとも1種類の顔料 無機顔料の例は、 亜鉛白、硫化鉛、リトポン、鉛白、硫酸鉛、白亜、二酸化チタン、 黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、ニッケル-チタンイエロー、クロム-チタンイエロー、クロムイエロー、クロム酸鉛、バナジン酸ビスマス、ネープルスイエローまたは亜鉛黄、 ウルトラマリーンブルー、コバルトブルー、マンガンブルー、群青、 ウルトラマリーングリーン、コバルトグリーン、酸化クロム(緑色酸化クロム)、ウルトラマリーンバイオレット、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット、ウルトラマリーンレッド、モリブデンレッド、クロムレッド、カドミウムレッド、酸化鉄ブラウン、クロム-鉄ブラウン、亜鉛-鉄ブラウン、マンガンチタンブラウン、 酸化鉄ブラック、鉄-マンガンブラック、スピネルブラック、カーボンブラック、 橙色スピネルおよびアルミナ、カドミウムオレンジ、クロムオレンジ、モリブデン酸鉛、 アルミニウムまたはCu/Zn合金である。 【0019】 有機顔料の例は、 金属フタロシアニン、例えばフタロシアニンブルーまたはフタロシアニングリーン、ペリレンレッド、ジアリールイエロー、イソインドリンイエロー、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ベンゾイミダゾロン顔料、マラカイトグリーン、チオインジゴ、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、被覆アゾ顔料、ナフトールAS顔料、ベンゾイミダゾロン顔料、ジケトピロロピロール、インダントロン、アゾ濃縮顔料、ジアゾ濃縮顔料、アントラキノン顔料、ピラゾロン、ペリノン、アミノケトン顔料、インジゴまたはトリフェニルメタン顔料である。 【0020】 慣用の無機および有機顔料の概要は、例えばK.LeisslerおよびG.Roesch著、Kunststoffe 1996,86,965およびUllmann’s Encyclopaedie der technischen Chemie、第4版、Keywords:pigments、導入部、第18巻、547ページ以降、Organische Pigment,第18巻、661ページ以降、Thieme Verlag出版、シュトゥットガルト、1977に記載されている。1種類の顔料を含む濃縮物を製造することも、2種類、3種類又はこれ以上の異なる顔料混合物を含む濃縮物を製造することも可能である。 【0021】 ・ポリエチレン、またはエチレンと、0?20モル%の1種類以上のコモノマー、例えばプロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンもしくは1-ウンデセンとの共重合体を含むワックス状の成形組成物である、ポリエチレンワックス。 【0022】 この様なポリオレフィンワックスの平均モル質量M_(w)500?20000g/モル、好ましくは2000?10000g/モル、特に好ましくは3000?8000g/モルである。Q値は1.5?5、好ましくは1.8?3.5、特に好ましくは2?3である。これらのワックスの融点は80?165℃、好ましくは100?140℃、特に好ましくは105?120℃である。 【0023】 ・場合に応じて、熱可塑性重合体を担体重合体として用いる。この様な重合体の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリスチレン共重合体、例えばスチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン三元共重合体、ポリ塩化ビニル、またはエチレンと0.1?20モル%の1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンもしくは1-ウンデセンとの共重合体である。 【0024】 ・必要に応じて、0?10質量%の添加剤を使用してもよい。例えば酸化防止剤、好ましくは立体障害を有するフェノールまたは立体障害を有するアミン類「HALS」等、特に好ましくは立体障害を有するフェノールであるCiba社製Irganox(登録商標)が使用される。 【0025】 種々の成分の使用割合は広範囲に変更可能である。使用割合は各成分の合計が100質量%となるように決定される。 【0026】 1種類以上の顔料の最低使用量を1質量%、好ましくは5質量%、特に好ましくは10質量%の量として使用する。使用割合が上記よりも少ない場合は、充分な色の濃さがられない。顔料は顔料濃縮物のうち最も高価な成分であるため、適当な上限は60質量%、特に45質量%とされる。 【0027】 上記ワックスは、担体重合体を含む顔料濃縮物に対し1質量%以上の量で用いられる。2質量%以上用いると好ましく、この質量割合を下回ると顔料および担体重合体が充分な湿潤性を有さない。担体重合体を含む顔料濃縮物におけるワックスの最大使用量は、30質量%であると好ましく、20質量%であると特に好ましい。これは、最終生成物におけるワックスの含有量が非常に多いと、着色対象のプラスチック成形体またはシートの機械特性に不都合な影響を与えることになり得るためである。担体重合体を使用せずに得られる顔料濃縮物の場合、ワックス含有率上限を90質量%とするのが好ましい。担体重合体を含まない顔料濃縮物におけるワックス含有率の下限を40質量%とすると適切である。これは濃縮物をあまり高価にしないようにするためである。 【0028】 場合に応じて担体重合体を添加する。担体重合体を使用する場合、30質量%以上の割合で使用する。これによりプラスチック成形体およびプラスチックシートの製造において後から顔料濃縮物を混合することが容易とされる。適当な上限は80質量%である。 【0029】 添加剤は必要な場合にのみ用い、使用する場合も少量で用いる。Irganox(登録商標)等の酸化防止剤の添加量下限は0.1質量%である。これを下回る量の添加では、酸化防止剤による実質的な酸化保護は不可能である。酸化防止剤の添加量の下限は0.5質量%であることが好ましく、1質量%であると特に好ましい。添加剤の添加量上限は5質量%であり、この値を上回ると低分子量成分により顔料の加工特性が目に見えて低下するためである。添加剤の添加量上限は2質量%であると好ましく、1.5質量%であると更に好ましい。 【0030】 他の種類の添加剤としては、鉛塩、例えば塩基性硫酸鉛、ステアリン酸鉛またはこれらの混合物が挙げられる。これらはそれぞれ0.5?2質量%、好ましくは1.0?1.5質量%の量で添加される。 【0031】 メタロセンポリエチレンワックスは公知である。これらは例えばEP-A0321851号公報、EP-B060259号公報に記載されている。これらのメタロセンポリオレフィンワックスの製造法はEP-B0602509号公報に記載されている。ここで使用されるメタロセンは式Ia-eで示されるサンドウィッチ化合物である。 【0032】 【化1】 【0033】 上記式Ia中、 MはTi、Zr、Hf、V、NbまたはTaから選択された酸化状態+4の元素、好ましくはTi、ZrまたはHf、特に好ましくはZrまたはHfであり、 XおよびYは、それぞれ互いに独立に決定され、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、 【0034】 C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、または NR^(17)R^(18)であって、R^(17)、R^(18)はそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(2)-C_(12)アルケニル、およびC_(6)-C_(14)アリールから選択され、これらは共同で飽和もしくは不飽和の5?10員の環状基を形成してもよいが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、メチルフェニルアミノおよびジフェニルアミノを形成すると好ましい。飽和環基を有するアミノ基の例はN-ピペリジル基、N-ピロリジニル基であり、不飽和環基を有するアミノ基の例はN-ピロリル、N-インドリル基およびN-カルバゾリル基であり、 EはC、Si、GeおよびSnから選択され、CまたはSiであると特に好ましく、 nは1、2または3から選択され、1または2であると好ましく、1であると特に好ましく、 RおよびR’はそれぞれ独立に、 水素、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 C_(2)-C_(12)アルケニル、好ましくはC_(2)からω-C_(8)アルケニル、例えばビニル、アリル、ブタ-3-エン-1-イル、ω-ペンテニル、ω-ヘキセニル、ω-ヘプテニルおよびω-オクテニル、 【0035】 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシであって、 RおよびR’とEとが共同で飽和または不飽和の4?9員環を形成しても良く、 【0036】 R^(1)?R^(8)はそれぞれ独立に、 水素、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 モノハロゲン化またはポリハロゲン化C_(1)-C_(12)アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ペンタフルオロエチル、ペルフルオロプロピル、およびペルフルオロブチル、特に好ましくはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよびペルフルオロブチル、 C_(2)-C_(12)アルケニル、好ましくはC_(2)からω-C_(8)アルケニル、例えばビニル、アリル、ブタ-3-エン-1-イル、ω-ペンテニル、ω-ヘキセニル、ω-ヘプテニルおよびω-オクテニル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 【0037】 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基であって、R^(19)?R^(21)がそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(3)-C_(12)シクロアルキル、C_(6)-C_(14)アリール、置換C_(6)-C_(14)アリール、C_(1)-C_(12)アルコキシ、ベンジル、およびC_(6)-C_(14)アリール、好ましくはトリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリイソプロピルシリルオキシ、ジエチルイソプロピルシリルオキシ、ジメチルヘキシルシリルオキシ、tert-ブチルジメチルシリルオキシ、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ、トリベンジルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシおよびトリ-パラ-キシリルシリルオキシ、特に好ましくはトリメチルシリルオキシおよびtert-ブチルジメチルシリルオキシから選択され、 C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、 【0038】 1種類以上のC_(1)-C_(12)アルキル基、C_(1)-C_(12)アルケニル基、C_(3)-C_(12)シクロアルキル基、C_(6)-C_(14)アリール基、OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基またはC_(1)-C_(12)アルコキシル基(これらの各基は上記の定義を有する)により置換されているC_(6)-C_(14)アリール基を意味し、 これらのうち2個の隣接する基は、共同で飽和または不飽和の4?9員環を形成しても良く、例えば2個の隣接する基が共同で -(CH_(2))_(3)-(トリメチレン)、-(CH_(2))_(4)-(テトラメチレン)、-(CH_(2))_(5)-(ペンタメチレン)、-(CH_(2))_(6)-(ヘキサメチレン)、-CH_(2)-CH=CH-、-CH_(2)-CH=CH-CH_(2)-、-CH=CH=CH-CH-、-O-CH_(2)-O-、-O-CH(CH_(3))-O-、-CH-(C_(6)H_(5))-O-、-O-CH_(2)-CH_(2)-O-、-O-C(CH_(3))_(2)-O-、-N(CH_(3))-CH_(2)-CH_(2)-N(CH_(3))-、-N(CH_(3))-CH_(2)-N(CH_(3))-または-O-Si(CH_(3))_(2)-O-を形成してもよい。 【0039】 特に好ましい実施の形態には、式Ibで示されるメタロセンが含まれる。 【0040】 【化2】 【0041】 式Ib中、 MはTi、Zr、Hf、V、NbまたはTaから選択された酸化状態+4の元素、好ましくはTi、ZrまたはHf、特に好ましくはZrまたはHfであり、 XおよびYは、それぞれ互いに独立に決定され、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、 【0042】 C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、または NR^(17)R^(18)であって、R^(17)、R^(18)はそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(2)-C_(12)アルケニル、ベンジル、およびC_(6)-C_(14)アリールから選択され、これらは共同で飽和もしくは不飽和の5?10員の環状基を形成してもよいが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、メチルフェニルアミノおよびジフェニルアミノを形成すると好ましい。飽和環基を有するアミノ基の例はN-ピペリジル、およびN-ピロリジニル基であり、不飽和基を有するアミノ基の例はピロリル基、N-インドリル基およびN-カルバゾリル基であり、 EはC、Si、GeおよびSnから選択され、CまたはSiであると特に好ましく、 nは1、2または3から選択され、1または2であると好ましく、1であると特に好ましく、 RおよびR’はそれぞれ独立に、 水素、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 【0043】 C_(2)-C_(12)アルケニル、好ましくはC_(2)からω-C_(8)アルケニル、例えばビニル、アリル、ブタ-3-エン-1-イル、ω-ペンテニル、ω-ヘキセニル、ω-ヘプテニルおよびω-オクテニル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシであって、 RおよびR’とEとが共同で飽和または不飽和の4?9員環を形成しても良く、 【0044】 R^(1)、R^(2)、R^(5)、およびR^(9)?R^(16)はそれぞれ独立に、 水素、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 モノハロゲン化またはポリハロゲン化C_(1)-C_(12)アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ペンタフルオロエチル、ペルフルオロプロピル、およびペルフルオロブチル、特に好ましくはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよびペルフルオロブチル、 C_(2)-C_(12)アルケニル、好ましくはC_(2)からω-C_(8)アルケニル、例えばビニル、アリル、ブタ-3-エン-1-イル、ω-ペンテニル、ω-ヘキセニル、ω-ヘプテニルおよびω-オクテニル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 【0045】 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基であって、R^(19)?R^(21)がそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(3)-C_(12)シクロアルキル、C_(6)-C_(14)アリール、置換C_(6)-C_(14)アリール、C_(1)-C_(12)アルコキシ、ベンジル、およびC_(6)-C_(14)アリール、好ましくはトリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリイソプロピルシリルオキシ、ジエチルイソプロピルシリルオキシ、ジメチルヘキシルシリルオキシ、tert-ブチルジメチルシリルオキシ、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ、トリベンジルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシおよびトリ-パラ-キシリルシリルオキシ、特に好ましくはトリメチルシリルオキシおよびtert-ブチルジメチルシリルオキシから選択され、 C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、 1種類以上のC_(1)-C_(12)アルキル基、C_(1)-C_(12)アルケニル基、C_(3)-C_(12)シクロアルキル基、C_(6)-C_(14)アリール基、OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基またはC_(1)-C_(12)アルコキシル基(これらの各基は上記の定義を有する)により置換されているC_(6)-C_(14)アリール基を意味し、 これらのうち2個の隣接する基は、共同で飽和または不飽和の4?9員環を形成しても良く、例えば2個の隣接する基が共同で、 -(CH_(2))_(3)-(トリメチレン)、-(CH_(2))_(4)-(テトラメチレン)、-(CH_(2))_(5)-(ペンタメチレン)、-(CH_(2))_(6)-(ヘキサメチレン)、-CH_(2)-CH=CH-、-CH_(2)-CH=CH-CH_(2)-、-CH=CH-CH=CH-、-O-CH_(2)-O-、-O-CH(CH_(3))-O-、-CH-(C_(6)H_(5))-O-、-O-CH_(2)-CH_(2)-O-、-O-C(CH_(3))_(2)-O-、-N(CH_(3))-CH_(2)-CH_(2)-N(CH_(3))-、-N(CH_(3))-CH_(2)-N(CH_(3))-または-O-Si(CH_(3))_(2)-O-を形成してもよい。 【0046】 特に好ましい実施の形態には、式Icで示されるメタロセンが含まれる。 【0047】 【化3】 【0048】 式Ic中、 MはTi、Zr、Hf、V、NbまたはTaから選択された酸化状態+4の元素、好ましくはTi、ZrまたはHf、特に好ましくはZrまたはHfであり、 XおよびYは、それぞれ互いに独立に決定され、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、または NR^(17)R^(18)であって、R^(17)、R^(18)はそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(2)-C_(12)アルケニル、およびC_(6)-C_(14)アリールから選択され、これらは共同で飽和もしくは不飽和の5?10員の環状基を形成してもよいが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、メチルフェニルアミノおよびジフェニルアミノを形成すると好ましい。飽和環基を有するアミノ基の例はN-ピペリジル、およびN-ピロリジニル基であり、不飽和基を有するアミノ基の例はピロリル基、N-インドリル基およびN-カルバゾリル基であり、 【0049】 R^(1)?R^(8)、R^(22)およびR^(23)はそれぞれ独立に、 水素、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 モノハロゲン化またはポリハロゲン化C_(1)-C_(12)アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ペンタフルオロエチル、ペルフルオロプロピル、およびペルフルオロブチル、特に好ましくはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよびペルフルオロブチル、 【0050】 C_(2)-C_(12)アルケニル、好ましくはC_(2)からω-C_(8)アルケニル、例えばビニル、アリル、ブタ-3-エン-1-イル、ω-ペンテニル、ω-ヘキセニル、ω-ヘプテニルおよびω-オクテニル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基であって、R^(19)?R^(21)がそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(2)-C_(12)アルケニル、C_(3)-C_(12)シクロアルキル、C_(6)-C_(14)アリール、置換C_(6)-C_(14)アリール、C_(1)-C_(12)アルコキシおよびベンジル、好ましくはトリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリイソプロピルシリルオキシ、ジエチルイソプロピルシリルオキシ、ジメチルヘキシルシリルオキシ、tert-ブチルジメチルシリルオキシ、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ、トリベンジルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシおよびトリ-パラ-キシリルシリルオキシ、特に好ましくはトリメチルシリルオキシおよびtert-ブチルジメチルシリルオキシから選択され、 【0051】 C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、 1種類以上のC_(1)-C_(12)アルキル基、C_(1)-C_(12)アルケニル基、C_(3)-C_(12)シクロアルキル基、C_(6)-C_(14)アリール基、OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基またはC_(1)-C_(12)アルコキシル基(これらの各基は上記の定義を有する)により置換されているC_(6)-C_(14)アリール基を意味し、 これらのうち2個の隣接する基は、共同で飽和または不飽和の4?9員環を形成しても良く、例えば2個の隣接する基が共同で -(CH_(2))_(3)-(トリメチレン)、-(CH_(2))_(4)-(テトラメチレン)、-(CH_(2))_(5)-(ペンタメチレン)、-(CH_(2))_(6)-(ヘキサメチレン)、-CH_(2)-CH=CH-、-CH_(2)-CH=CH-CH_(2)-、-CH=CH-CH=CH-、-O-CH_(2)-O-、-O-CH(CH_(3))-O-、-CH-(C_(6)H_(5))-O-、-O-CH_(2)-CH_(2)-O-、-O-C(CH_(3))_(2)-O-、-N(CH_(3))-CH_(2)-CH_(2)-N(CH_(3))-、-N(CH_(3))-CH_(2)-N(CH_(3))-または-O-Si(CH_(3))_(2)-O-を形成してもよい。 【0052】 特に好ましい実施の形態には、式Idで示されるメタロセンが含まれる。 【0053】 【化4】 【0054】 式Id中、 MはTi、Zr、Hf、V、NbまたはTaから選択された酸化状態+4の元素、好ましくはTi、ZrまたはHf、特に好ましくはZrまたはHfであり、 XおよびYは、それぞれ互いに独立に決定され、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 【0055】 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、または NR^(17)R^(18)であって、R^(17)、R^(18)はそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(2)-C_(12)アルケニル、およびC_(6)-C_(14)アリールから選択され、これらは共同で飽和もしくは不飽和の5?10員の環状基を形成してもよいが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、メチルフェニルアミノおよびジフェニルアミノを形成すると好ましい。飽和環基を有するアミノ基の例はN-ピペリジル、およびN-ピロリジニル基であり、不飽和基を有するアミノ基の例はピロリル基、N-インドリル基およびN-カルバゾリル基であり、 R^(1)?R^(3)、R^(5)?R^(7)、R^(9)?R^(16)はそれぞれ独立に、 水素、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、 【0056】 C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 モノハロゲン化またはポリハロゲン化C_(1)-C_(12)アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ペンタフルオロエチル、ペルフルオロプロピル、およびペルフルオロブチル、特に好ましくはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよびペルフルオロブチル、 C_(2)-C_(12)アルケニル、好ましくはC_(2)からω-C_(8)アルケニル、例えばビニル、アリル、ブタ-3-エン-1-イル、ω-ペンテニル、ω-ヘキセニル、ω-ヘプテニルおよびω-オクテニル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 【0057】 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基であって、R^(19)?R^(21)がそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(2)-C_(12)アルケニル、C_(3)-C_(12)シクロアルキル、C_(6)-C_(14)アリール、置換C_(6)-C_(14)アリール、C_(1)-C_(12)アルコキシおよびベンジル、好ましくはトリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリイソプロピルシリルオキシ、ジエチルイソプロピルシリルオキシ、ジメチルヘキシルシリルオキシ、tert-ブチルジメチルシリルオキシ、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ、トリベンジルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシおよびトリ-パラ-キシリルシリルオキシ、特に好ましくはトリメチルシリルオキシおよびtert-ブチルジメチルシリルオキシから選択され、 C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、 1種類以上のC_(1)-C_(12)アルキル基、C_(1)-C_(12)アルケニル基、C_(3)-C_(12)シクロアルキル基、C_(6)-C_(14)アリール基、OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基またはC_(1)-C_(12)アルコキシル基(これらの各基は上記の定義を有する)により置換されているC_(6)-C_(14)アリール基を意味し、 これらのうち2個の隣接する基は、共同で飽和または不飽和の4?9員環を形成しても良く、例えば2個の隣接する基が共同で -(CH_(2))_(3)-(トリメチレン)、-(CH_(2))_(4)-(テトラメチレン)、-(CH_(2))_(5)-(ペンタメチレン)、-(CH_(2))_(6)-(ヘキサメチレン)、-CH_(2)-CH=CH-、-CH_(2)-CH=CH-CH_(2)-、-CH=CH-CH=CH-、-O-CH_(2)-O-、-O-CH(CH_(3))-O-、-CH-(C_(6)H_(5))-O-、-O-CH_(2)-CH_(2)-O-、-O-C(CH_(3))_(2)-O-、-N(CH_(3))-CH_(2)-CH_(2)-N(CH_(3))-、-N(CH_(3))-CH_(2)-N(CH_(3))-または-O-Si(CH_(3))_(2)-O-を形成してもよい。 【0058】 特に好ましい実施の形態には、式Ieで示されるメタロセンが含まれる。 【0059】 【化5】 【0060】 式Ie中、 MはTi、Zr、Hf、V、NbまたはTaから選択された酸化状態+4の元素、好ましくはTi、ZrまたはHf、特に好ましくはZrまたはHfであり、 XおよびYは、それぞれ互いに独立に決定され、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 【0061】 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネエチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、または NR^(17)R^(18)であって、R^(17)、R^(18)はそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(6)アルキル、およびC_(6)-C_(14)アリールから選択され、これらは共同で飽和もしくは不飽和の5?10員の環状基を形成してもよいが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、メチルフェニルアミノおよびジフェニルアミノを形成すると好ましい。飽和環基を有するアミノ基の例はN-ピペリジル、およびN-ピロリジニル基であり、不飽和基を有するアミノ基の例はN-ピロリル基、N-インドリル基およびN-カルバゾリル基であり、 EはC、Si、GeおよびSnから選択され、CまたはSiであると特に好ましく、 【0062】 nは1、2または3から選択され、1または2であると好ましく、1であると特に好ましく、 RおよびR’はそれぞれ独立に、 水素、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 C_(2)-C_(12)アルケニル、好ましくはC_(2)からω-C_(8)アルケニル、例えばビニル、アリル、ブタ-3-エン-1-イル、ω-ペンテニル、ω-ヘキセニル、ω-ヘプテニルおよびω-オクテニル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 【0063】 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシであって、 RおよびR’とEとが共同で飽和または不飽和の4?9員環を形成しても良く、 R^(1)?R^(4)はそれぞれ独立に、 水素、 ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素または臭素、C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはC_(1)-C_(4)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、 【0064】 モノハロゲン化またはポリハロゲン化C_(1)-C_(12)アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ペンタフルオロエチル、ペルフルオロプロピル、およびペルフルオロブチル、特に好ましくはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよびペルフルオロブチル、 C_(2)-C_(12)アルケニル、好ましくはC_(2)からω-C_(8)アルケニル、例えばビニル、アリル、ブタ-3-エン-1-イル、ω-ペンテニル、ω-ヘキセニル、ω-ヘプテニルおよびω-オクテニル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニル、 【0065】 OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基であって、R^(19)?R^(21)がそれぞれ独立に、水素、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(2)-C_(12)アルケニル、C_(3)-C_(12)シクロアルキル、C_(6)-C_(14)アリール、置換C_(6)-C_(14)アリール、C_(1)-C_(12)アルコキシ、およびベンジル、好ましくはトリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリイソプロピルシリルオキシ、ジエチルイソプロピルシリルオキシ、ジメチルヘキシルシリルオキシ、tert-ブチルジメチルシリルオキシ、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ、トリベンジルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシおよびトリ-パラ-キシリルシリルオキシ、特に好ましくはトリメチルシリルオキシおよびtert-ブチルジメチルシリルオキシから選択され、 C_(1)-C_(12)アルコキシ、好ましくはC_(1)-C_(6)アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびn-ブトキシ、 1種類以上のC_(1)-C_(12)アルキル基、C_(1)-C_(12)アルケニル基、C_(3)-C_(12)シクロアルキル基、C_(6)-C_(14)アリール基、OSiR^(19)R^(20)R^(21)で示されるシロキシ基またはC_(1)-C_(12)アルコキシル基(これらの各基は上記の定義を有する)により置換されているC_(6)-C_(14)アリール基を意味し、 これらのうち2個の隣接する基は、共同で飽和または不飽和の4?9員環、好ましくは5?8員環を形成しても良く、例えば2個の隣接する基が共同で -(CH_(2))_(3)-(トリメチレン)、-(CH_(2))_(4)-(テトラメチレン)、-(CH_(2))_(5)-(ペンタメチレン)、-(CH_(2))_(6)-(ヘキサメチレン)、-CH_(2)-CH=CH-、-CH_(2)-CH=CH-CH_(2)-、-CH=CH-CH=CH-、-O-CH_(2)-O-、-O-CH(CH_(3))-O-、-CH-(C_(6)H_(5))-O-、-O-CH_(2)-CH_(2)-O-、-O-C(CH_(3))_(2)-O-、-N(CH_(3))-CH_(2)-CH_(2)-N(CH_(3))-、-N(CH_(3))-CH_(2)-N(CH_(3))-または-O-Si(CH_(3))_(2)-O-を形成してもよく、 Aは酸素、硫黄、N-R^(24)またはP-R^(24)を意味し、R^(24)はハロゲン、C_(1)-C_(12)アルキル、C_(3)-C_(12)シクロアルキル、置換または無置換C_(6)-C_(14)アリールおよびC_(1)-C_(12)アルコキシ(これらの各基は上記R^(1)の定義を有する)から選択される。 【0066】 式Ia-eで示される極めて好ましいメタロセンの例は以下のとおりである。 【0067】 rac-エチレンビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-エチレンビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、rac-テトラメチレンシリルビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]-ジルコニウムジクロリド、 rac-ジメチルシリルビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]-ジルコニウムジクロリド、 2,2-イソプロピリデンシクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ジフェニルメチル-シクロペンタジエニル-9-フルオレニルジルコニウムジクロリド、 ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-tert-ブチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチルベンゾ[4,5]インデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[4,5,6,7-テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ビス[2-メチル-4-フェニルインデニル]ジルコニウムジクロリド、 ジメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 ジメチルシリルイソプロピルアミドテトラメチルシクロペンタジエニル-チタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリル-tert-ブチルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 ジメチルシリルフェニルアミドテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 ジメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 2,3,5-トリメチルシリルオキシテトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロリド、 およびこれらに対応する二臭化物およびジメチル化合物が挙げられる。 【0068】 触媒活性を有するメタロセンは、メタロセニウムイオン生成可能な適当な化合物により活性化されなければならない。メタロセニウムイオン生成可能な化合物は、電子を引き抜く基を有するホウ素化合物から選択される。この例は、トリスペンタフルオロフェニルボラン、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリ-n-ブチルアンモニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビスペルフルオロメチル)フェニルボレート、トリ-n-ブチルアンモニウムテトラキス(3,5-ビスペルフルオロメチル)フェニルボレートおよびトリチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートである。これらの活性剤はEP-A0468537号およびEP-A0426638号各公報に記載されている。好ましい例は、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートおよびトリスペンタフルオロフェニルボランである。 【0069】 メタロセニウムイオン生成可能な他の適当な化合物は、式IIa-bのアルミノキサンにより生成するものである(例えばDE-A3007725号公報)。 【0070】 アルミノキサンの構造は正確にはわかっていない。これらはアルミニウムアルキルを注意深く部分的に加水分解することにより得られる生成物である(DE-A3007725号公報)。この様な生成物は純粋な形状ではなく、下記IIaおよびIIbの鎖状構造と管状構造による複数種の混合物としての形態をとりやすい。この様な混合状態の化合物は相互に力学的平衡を保っているものと考えられる。 【0071】 【化6】 【0072】 式IIaにおいて、 R^(25)で示される基は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、 C_(1)-C_(12)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ドデシル、好ましくはC_(1)-C_(6)アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、特に好ましくはメチル、 C_(3)-C_(12)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、 C_(7)-C_(20)アリールアルキル、好ましくはC_(7)-C_(12)フェニルアルキル、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチルおよび4-フェニルブチル、特に好ましくはベンジル、 C_(6)-C_(14)アリール、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、好ましくはフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチル、特に好ましくはフェニルであり、 mは0?40、好ましくは0?25、特に好ましくは0?22の整数を意味する。 【0073】 かご状構造もアルミノキサンに関する文献に記載されている(Y.Koide、S.G.Bott,A.R.Barron Organometallics 1996,15,2213-26;A.R.Barron Macromol.Symp.1995,97,15-25)。アルミノキサンの実際の構造にかかわらず、このような構造の化合物もメタロセンの活性剤として適当である。 【0074】 メタロセンと、メタロセニウムイオン生成可能な化合物は、共同で触媒系(触媒組成物)を形成する。この触媒系の活性は、Al(R^(25))_(3)で示されるアルミニウムアルキル化合物を添加すると、更に向上する。 【0075】 ここでアルミニウムアルキルを更に添加することにより、触媒系の活性が向上するのみならず、アルミニウムアルキルが分子量調整剤としても作用する。この他の有効な分子量調整剤は水素である。更に、分子量は反応温度および滞留時間を用いた適切な方法で調節可能である。 【0076】 ポリオレフィンワックスを得るための現代の工業規模の製造方法には、溶液法、懸濁法、液体または超臨界モノマーによる塊状重合方法、および気相法がある。気相法は、攪拌下の気相または気相の流動床法によるものがある。 【0077】 懸濁法、塊状重合法または気相法において使用可能なメタロセンは、固体担体上に固定しておくと有効である。固定しない場合には、重合体の形態上の問題(塊の生成、壁部への析出、管路または熱交換機の閉塞)が起こり、プラントの閉鎖が強いられることがある。 【0078】 メタロセンと活性剤とを含む触媒系は固体担体上に容易に析出する。適する担体材料は、第2族から14族の金属による多孔性金属酸化物またはその混合物、並びに第1、2および13族の金属のシート状珪酸塩および固体ハロゲン化物である。第2?14族の金属酸化物の好ましい例は、SiO_(2)、B_(2)O_(3)、Al_(2)O_(3)、MgO、CaOおよびZnOであり、好ましいシート状珪酸塩は、モンモリロナイトおよびベントナイト、好ましいハロゲン化物はMgCl_(2)および非晶質AlF_(3)である。 【0079】 特に好ましい担体材料は球形シリカゲルおよび式SiO_(2)・aAl_(2)O_(3)(式中aは一般に0?2、好ましくは0?0.5)のアルミノシリケートゲルである。この様なシリカゲルは、W.R.Grace社製のSilica Gel 332またはS 2101等として市販されている。 【0080】 有用であることがわかっている担体材料粒子の平均粒径は1?300μm、好ましくは20?80μmである。担体材料の平均粒径は篩い分け等の公知方法により測定される。これらの担体材料の細孔容積は1.0?3.0ml/g、好ましくは1.6?2.2ml/g、特に好ましくは1.7?1.9ml/gである。BET表面積は200?750m^(2)/g、好ましくは250?400m^(2)/gである。 【0081】 担体材料に付着する不純物、特に水分を除去するためには、担体材料を焼成処理に付してからドーピング処理してもよい。このための適当な温度は45?1000℃である。100?750℃の温度であるとシリカゲルおよび他の金属酸化物に対して特に好適である。MgCl_(2)担体には、50?100℃の温度が好ましい。焼成は、0.5?24時間、好ましくは1?12時間にわたり行われる。圧力状態自体は重要ではないが、焼成は大気圧下で行われる。しかしながら、0.1?500ミリバール(1×10^(2)Pa?500×10^(2)Pa)に減圧すると有効であり、1?100ミリバールの範囲の減圧が特に有効であり、2?20ミリバールの減圧が極めて有効である。担体材料を化学的に予備処理することも可能である。 【0082】 触媒をドーピングする操作では、通常担体材料を懸濁媒体中のスラリーとし、この懸濁液をメタロセン/活性剤組成物の溶液と混合する。この場合、懸濁媒体の容量は、触媒担体の空隙容量の1?20倍とされる。次いで濾過、遠心分離または蒸発等の適する方法により触媒を懸濁媒体として分離してもよい。 【0083】 上述のメタロセン触媒のいずれかを用いた上述の重合方法により得られたポリオレフィンワックスを種々の方法により加工し、マスターバッチを得ることもできる。全ての方法において、所定工程で顔料を添加せずにワックスおよび担体重合体を溶解させ、1種類以上の顔料と、場合に応じて添加剤とを、これに導入する。 【0084】 実際の混合に先立ち、必要に応じて各成分を予備混合してよい。このためにはドラムまたはタンブラーミキサーが非常に有効である。必要に応じて微粉化を行ってもよい。 【0085】 実際の混合工程では、バッチ法と連続法の区別がある。バッチ法の場合は、簡単な混練器を使用することができ、連続法は、例えば高速ミキサー、一軸押出機、二軸押出機、Buss混練器、プラネタリロール押出機、開放ダブルトラフ混練器または高速攪拌機により行われる。 【0086】 次いで、顔料濃縮物を通常の方法で粒状化する。粒状化は押出物粒化機により行われ、混合物を連続ストランド状で水冷し、次いで水浴中で、または水浴から取り出した後にこれをペレット状または粒体状に切断する。有孔プレートもカッターとして好ましく用いられる(「ホットカットペレット化」)。 【0087】 成形体およびシートを製造するために、まず 0.01?10質量%、好ましくは0.5?5質量%、特に好ましくは0.5?2.5質量%の顔料濃縮物と、 90?99.99質量%、好ましくは95?99.5質量%、特に好ましくは97.5?98.5質量%の重合体と、 必要に応じて、0?5質量%の添加剤、好ましくは酸化防止剤または殺生物剤と、から成る混合物を製造する。 【0088】 適する重合体の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリスチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン三元共重合体、ポリアミド、例えばナイロン6またはナイロン6.6、ポリ塩化ビニル、エチレンと0.1?20モル%の1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンまたは1-ウンデセンとの共重合体である。着色対象の重合体と、マスターバッチの担体重合体とは同一であっても、異なってもよい。 【0089】 顔料濃縮物と重合体と、必要に応じて添加剤とを混合する場合、マスターバッチ製造のための方法と同一の方法を用いてもよい。この場合にも、バッチ法では、簡単な混練器を使用することができ、連続法は、例えば高速ミキサー、一軸押出機、二軸押出機、Buss混練器、プラネタリロール押出機、開放ダブルトラフ混練器または高速攪拌機により行われる。連続法も好ましく用いられる。 【0090】 成形体およびシートは、重合体の融点を超過する温度での、射出成形、フィルム押出し、またはキャスティングにより製造される。本発明の顔料濃縮物を添加することにより得られた成形体およびシートの加工特性に悪影響が与えられることはない。 【0091】 本発明で使用される方法により得られた成形体およびシートは、市販の成形体およびシートとは異なり、着色において光沢が顕著に向上している。また、本発明の顔料濃縮物を使用することによって、材料の機械的特性が悪影響を受けることはない。 【0092】 [実施例] シリカゲル担体上に施されたビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドをメタロセン触媒として使用し、MAOにより活性化した。メタロセン触媒の使用法はEP-B0571882号公報、実施例5に記載されているが、この方法に以下の変更を加えた。 【0093】 【表1】 【0094】 メタロセンポリエチレンワックスをEP-B0602509号公報、実施例1、または同公報19ページの図面に記載の装置を用いて製造した。懸濁媒体としてはプロパンの代わりにイソブタンを用い、水素を用いずに60℃で重合を行った。 【0095】 このように得られたワックスは以下の特性を有する。凝固点:128℃、M_(w):4900g/mol、M_(n):2200g/mol。 【0096】 実施例1における新規顔料濃縮物の成分として以下の成分を使用した。 【0097】 25質量%のHeliogen(登録商標)Blau(BASF社の製品)、 15質量%のポリエチレンワックス、 60質量%の粒体状ポリエチレン(Lupolen(登録商標)1800S)(Elenac社の製品)。 【0098】 類似した処理による実施例2において、以下の成分を使用した。 【0099】 25質量%のHeliogen(登録商標)Gruen(BASF社製)、 15質量%のポリエチレンワックス、 60質量%の粒体状ポリエチレン(Lupolen(登録商標)1800S)(Elenac社の製品)。 【0100】 各成分を高速混合機で予備混合し、ワックスの融点に加熱した。この操作では、ワックスが顔料を湿潤させ、ダストを含まない状態とした。これによりワックス相中に顔料を含む分散体が得られた。次いでこの混合物を二軸押出機に導入した。温度を更に10℃上昇させた。この処理工程では、PE粒体を薄いワックス層中に包み込んだ。押出後、顔料濃縮物を非常に注意深く冷却し、凝固した顔料/ワックス層が分離しないようにしないようにした。 【0101】 比較生成物を同様の方法で製造した。市販のサンプルをワックスとして使用した。 【0102】 色の濃淡を調べるため、実施例に記載した1gの顔料濃縮物を、蛍光増白剤としての91.5gのLupolen50Dおよび7.5gのTiO_(2)と予備混合し、吹込成型機内で130?150℃で混合し、吹込成型によりキャニスターを製造した。 【0103】 色の濃淡を評価するため、キャニスターから5×5cmのサンプル片を切り取り、DIN6176に基づき波長400?700nmでの分光分析法による試験を行った(Datacolor社製Spectraflash 600を使用)。 【0104】 結果を表1に示す。 【0105】 表1:実施例1?2および比較例1a/bおよび2a/bによる色の濃淡の評価 【0106】 【表2】 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2012-11-26 |
出願番号 | 特願2001-544867(P2001-544867) |
審決分類 |
P
1
113・
121-
YA
(C08J)
P 1 113・ 113- YA (C08J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 行令 |
特許庁審判長 |
田口 昌浩 |
特許庁審判官 |
近藤 政克 小野寺 務 |
登録日 | 2011-01-21 |
登録番号 | 特許第4667695号(P4667695) |
発明の名称 | 顔料濃縮物およびその製造法 |
代理人 | 高橋 修平 |
代理人 | 江藤 聡明 |
代理人 | 飯沼 和人 |
代理人 | 倉脇 明子 |
復代理人 | 倉脇 明子 |
代理人 | 江藤 聡明 |
代理人 | 野村 悟郎 |
代理人 | 鷲田 公一 |
復代理人 | 野村 悟郎 |
復代理人 | 高橋 修平 |