ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する B60N 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B60N 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B60N 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B60N 審判 訂正 2項進歩性 訂正する B60N |
---|---|
管理番号 | 1269760 |
審判番号 | 訂正2012-390159 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2012-12-11 |
確定日 | 2013-01-31 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3716838号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3716838号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第3716838号は、平成15年2月19日に出願された特願2003-41720号の請求項1?4に係る発明について平成17年9月9日に特許権の設定登録がされ、その後、平成24年12月11日に訂正審判の請求がされたものである。 第2 請求の要旨 本件訂正審判は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)を、審判請求書に添付した訂正明細書のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであって、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 なお、訂正明細書の特許請求の範囲において、請求項2?4はいずれも請求項1を引用する関係にあることから、上記の一群の請求項には、請求項1?4が該当する。 本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を、 「【請求項1】 シート本体と車両フロアとの間に設置されて、前記シート本体を車両正面向きの位置とドア開口部側へ向いた位置との間で回転させる回転機構と、前記シート本体を車両正面向きの位置においてロック作用方向へのばね力の付勢により回転不能にロックする回転ロック機構と、前記ドア開口部側へ向いた状態のシート本体を前記ドア開口部を経て車室外側へ移動させるスライド機構を備え、 前記シート本体が車両正面向きに位置する状態において前記スライド機構を若干作動させると、これに伴い移動する部材がその移動により前記回転ロック機構に干渉し、該回転ロック機構を、前記シート本体のロックを解除するように作動させる構成である車両用シート。」 に訂正する。 第3 当審の判断 本件訂正の適法性について検討する。 1 訂正の目的 本件訂正は、訂正前の請求項1に記載された「シート本体を車両正面向きの位置において回転不能にロックする回転ロック機構」について、「回転不能にロック」を行うための事項を付加することにより、「シート本体を車両正面向きの位置においてロック作用方向へのばね力の付勢により回転不能にロックする回転ロック機構」と具体的に特定して減縮しようとするものである。 よって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 2 新規事項の存否、実質的拡張・変更の有無 本件訂正に係る「ロック作用方向へのばね力の付勢により」という事項は、本件特許明細書の「ロックベース62とロックプレート64との間には引っ張りばね67が介装されている。この引っ張りばね67により、ロックプレート64は爪部64aをストライカ61に係合させる方向に付勢されている。」(段落【0009】)、「ロックプレート64が引っ張りばね67により図示上側へ引っ張られ、これによりその爪部64aがストライカ61に引き掛けられた状態に保持されて、回転ベース31ひいてはシート本体10が車両正面向きの位置において回転不能にロックされた状態となる。」(段落【0011】)等の記載に基づく事項であるから、本件訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 よって、本件訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 3 独立特許要件 次に、本件訂正より、特許請求の範囲の減縮を目的として訂正された訂正後の請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ「訂正発明1」、…、「訂正発明4」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて検討する。 (1)引用発明 請求人が審判請求書において提示し、本件特許出願前に頒布された刊行物である特開平11-245694号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 a:「【請求項1】シートが通常使用位置と乗降が容易な外向き位置との間で水平方向に回転可能である自動車用シート装置であって、前記シートを車体フロア側に水平方向へ回転可能に支持する回転支持機構と、同回転支持機構と前記シート間に配設されて同シートを水平方向へ直線移動可能に支持する移動支持機構を備えた自動車用シート装置において、前記シートにおける前記移動支持機構による移動動作と前記回転支持機構による回転動作を連動させる連動機構を備え、同連動機構は、前記シートを車室内側から車室外側方向への回転動作に伴い外側へ移動動作させる機能を備えていることを特徴とする自動車用シート装置。 ・・・ 【請求項3】請求項1または2に記載の自動車用シート装置において、前記シートを車室内側から回動状態に車室外側方向へ案内するガイド機構を備え、同ガイド機構は前記シートが通常使用位置から所定量前進した時点で機能し、その後、前記連動機構が機能することを特徴とする自動車用シート装置。 【請求項4】請求項3に記載の自動車用シート装置において、前記回転支持機構における回転を規制するロック機構を備え、同ロック機構は前記シートが通常使用位置から直線移動する際ロック解除動作することを特徴とする自動車用シート装置。 【請求項5】請求項4に記載の自動車用シート装置において、前記ロック機構は、前記回転支持機構を構成する回転部材に上下動可能に組付けられて同回転支持機構の固定部材に設けたロック孔に嵌入するロックピンと、同ロックピンを付勢して前記固定部材に設けたロック孔から離脱させるスプリングと、前記移動支持機構の可動部材に設けられ前記ロックピンを前記スプリングに抗して押動して前記固定部材のロック孔に嵌入させる押圧部材を備え、前記シートの前進動作により前記回転支持機構の回転規制が解除されることを特徴とする自動車用シート装置。」(【特許請求の範囲】) b:「当該シート装置は、図4に示すように、車体のサイドメンバのフロントドアAの下側に位置し車体の外枠となるピラーBに接合している強度部材であるロッカパネルEと、車室中心に位置する図示しないコンソールボックス間にて、車体フロアC上に配設されているもので、シートDは、回転支持機構および移動支持機構を介して車体フロアC上に支持されている。 図4において、同図(a)はシートDが通常使用位置に位置している状態(シートD1)を示し、同図(b)はシートDが通常使用位置から所定量前進した前進位置に位置している状態(シートD2)を示し、同図(c)はシートDが前進位置にて車室外側へ所定角度回動した回動位置に位置している状態(シートD3)を示し、同図(d)はシートDが回動位置から回転しつつ前進し、車外にシートDの一部がせり出した回転前進位置に位置している状態(シートD4)を示している。 当該シート装置においては、シートDを図4(a)に示す位置から同図(b)および同図(c)に示す位置を経て同図(d)に示す位置に移動させて、乗員が乗降の容易な外向き位置に位置させ、かつ、これとは逆の順序で、同図(d)に示す位置から同図(a)に示す位置に移動させて、通常使用位置に復帰させるものである。」(段落【0022】?【0024】) c:「回転ロック機構50は、ロックピン51、スプリング52、押圧カム53を備えている。ロックピン51は、回転テーブル12の下面側の左右方向の中央部よりわずかに左側部に、スプリング52を介在させてブラケット54により組付けられている。ロックピン51においては、その上端部側が回転テーブル12に設けた貫通孔12aを貫通して上方へ突出していて、その下端部がスプリング52の付勢力により、回転支持台11に設けたロック孔11aから抜出されている。 押圧カム53は長方形状を呈しているもので、前端から後方へ所定長さ延びる水平カム面53aと、水平カム面53aの後端から上方傾斜して所定長さ延びる傾斜カム面53bを有している。押圧カム53は、シートベース24の下面側に固定されてロックピン51の頂部に対向し得る位置にあり、シートベース24が最後部に位置している場合には、水平カム面53aにてロックピン51を押動して、ロックピン51の下端部を回転支持台11のロック孔11aに嵌入させている。この状態では、回転テーブル12は回転を規制されている。 ロックピン51は、シートベース24が最後部の位置から前進すると、押圧カム53の水平カム面53aと摺接しつつ傾斜カム面53bに至り、傾斜カム面53bを摺接して傾斜カム面53bから離間する。この時点で、ロックピン51は押圧カム53から開放されて上動し、回転支持台11のロック孔11aから抜出て回転テーブル12の回転規制を解除する。」(段落【0037】?【0039】) d:「シートDを所定量前方へ移動させると、回転ロック機構50においては、シートDの移動途中にロックピン51が押圧カム53から開放され、ロックピン51は回転支持台11のロック孔11aから抜出て、回転テーブル12の回転規制を解除する。」(段落【0042】) e:上記記載事項a及び記載事項dの記載を併せみれば、記載事項dの「回転ロック機構50」、「押圧カム53」、「回転支持台11」がそれぞれ【請求項5】(記載事項a)の「ロック機構」、「押圧部材」、「固定部材」に対応することは明らかであるから、記載事項dの記載は、“シートを所定量前方へ移動させると、シートの移動途中にロックピンが押圧部材から開放され、ロックピンはロック孔から抜出て、ロック機構の回転規制を解除する”と言い換えることができる。 よって、これらの記載事項及び図面の図示内容を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「シートが通常使用位置と乗降が容易な外向き位置との間で水平方向に回転可能である自動車用シート装置であって、前記シートを水平方向へ回転可能に支持する回転支持機構と、同回転支持機構と前記シート間に配設されて同シートを水平方向へ直線移動可能に支持する移動支持機構を備えた自動車用シート装置において、 前記回転支持機構における回転を規制するロック機構を備え、前記ロック機構は、前記回転支持機構を構成する回転部材に上下動可能に組付けられて同回転支持機構の固定部材に設けたロック孔に嵌入するロックピンと、同ロックピンを付勢して前記固定部材に設けたロック孔から離脱させるスプリングと、前記移動支持機構の可動部材に設けられ前記ロックピンを前記スプリングに抗して押動して前記固定部材のロック孔に嵌入させる押圧部材を備え、 前記シートを所定量前方へ移動させると、シートの移動途中にロックピンが押圧部材から開放され、ロックピンはロック孔から抜出て、ロック機構の回転規制を解除し、 前記シートを通常使用位置から、シートが通常使用位置から所定量前進した前進位置およびシートが前進位置にて車室外側へ所定角度回動した回動位置を経て、シートが回動位置から回転しつつ前進し車外にシートの一部がせり出した回転前進位置に移動させ、 前記シートは、回転支持機構および移動支持機構を介して車体フロア上に支持される、自動車用シート装置。」 (2)対比 訂正発明1と引用発明を対比する。 (ア)引用発明の「シート」は、文言の意味、形状又は機能等からみて訂正発明1の「シート本体」に相当し、以下同様に、「通常使用位置」は「車両正面向きの位置」に、「自動車用シート装置」は「車両用シート」に、「回転支持機構」は「回転機構」に、「移動支持機構」は「スライド機構」に、「車体フロア」は「車両フロア」に、それぞれ相当する。 (イ)引用発明では、「シートは、回転支持機構および移動支持機構を介して車体フロア上に支持される」のであるから、引用発明の「回転支持機構」が「シート」と「車体フロア」との間に設置されていることは明らかである。 また、引用発明の「回転支持機構」は、「シートを水平方向へ回転可能に支持する」ものであり、また、引用発明のシートは、「シートが前進位置にて車室外側へ所定角度回動した回動位置を経て、シートが回動位置から回転しつつ前進し車外にシートの一部がせり出した回転前進位置に移動」するものであるところ、引用例の【図4】(c)を参照すれば、この「回動位置」において、シートはフロントドアAの開口部側に向いていることから、引用発明の「回動位置」は訂正発明1の「ドア開口部側へ向いた位置」に相当する。 そして、引用発明の「回転支持機構」は、「シートを水平方向へ回転可能に支持する」ものであり、少なくとも「通常使用位置」と上記「回動位置」との間でシートを回転可能に支持するものといえる。 よって、訂正発明1と引用発明とは、「シート本体と車両フロアとの間に設置されて、シート本体を車両正面向きの位置とドア開口部側へ向いた位置との間で回転させる回転機構」を具備する点で一致する。 (ウ)引用発明は、「シートが回動位置から回転しつつ前進し車外にシートの一部がせり出した回転前進位置に移動させ」るものであるところ、この「前進」が「シートを水平方向へ直線移動可能に支持する移動支持機構」により行われ、また、「車外にシートの一部がせり出した回転前進位置」が車の外側の位置といえることは明らかである。 よって、訂正発明1と引用発明とは、「ドア開口部側へ向いた状態のシート本体を前記ドア開口部を経て車室外側へ移動させるスライド機構」を具備する点で一致する。 (エ)引用発明の「ロック孔に嵌入するロックピン」は、「シートを通常使用位置から」「シートを所定量前方へ移動させると、」「ロック孔から抜出て、ロック機構の回転規制を解除」するのであるから、ロック孔に嵌入された状態において、シートを通常使用位置に規制するものである。 よって、引用発明の「ロックピン」は、訂正発明1の「回転ロック機構」又は「シート本体を車両正面向きの位置において」「回転不能にロックする回転ロック機構」に相当する。 また、引用発明では、「シートを所定量前方へ移動させると、シートの移動途中にロックピンが押圧部材から開放され、」「ロック孔から離脱させるスプリング」により「ロック機構の回転規制を解除」するのであるから、引用発明の「押圧部材」は訂正発明1の「スライド機構を若干作動させると、これに伴い移動する部材」に相当する。 してみると、訂正発明1と引用発明とは、「シート本体が車両正面向きに位置する状態において前記スライド機構を若干作動させると、これに伴い移動する部材がその移動により」「該回転ロック機構を、前記シート本体のロックを解除するように作動させる構成」を具備する点で一致する。 (オ)引用発明の「スプリング」は、「ロックピンを付勢して前記固定部材に設けたロック孔から離脱させる」のであるから、ロックピンに対しスプリングによるばね力の付勢が作用しているものといえる。 よって、訂正発明1の「回転ロック機構」と引用発明の「ロックピン」とは、“ばね力の付勢が作用する回転ロック機構”の点で共通する。 以上の(ア)?(オ)によれば、訂正発明1と引用発明の一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 「シート本体と車両フロアとの間に設置されて、前記シート本体を車両正面向きの位置とドア開口部側へ向いた位置との間で回転させる回転機構と、ばね力の付勢が作用する回転ロック機構であって、前記シート本体を車両正面向きの位置において回転不能にロックする回転ロック機構と、前記ドア開口部側へ向いた状態のシート本体を前記ドア開口部を経て車室外側へ移動させるスライド機構を備え、 前記シート本体が車両正面向きに位置する状態において前記スライド機構を若干作動させると、これに伴い移動する部材がその移動により、該回転ロック機構を、前記シート本体のロックを解除するように作動させる構成である車両用シート。」 (相違点1) シート本体を車両正面向きの位置において回転不能にロックする回転ロック機構に関し、訂正発明1が「ロック作用方向へのばね力の付勢により」ロックするものであるのに対し、引用発明は、「ロックピンを付勢して前記固定部材に設けたロック孔から離脱させるスプリング」を備えるものの、「ロック作用方向へのばね力の付勢により」ロックするものではない点。 (相違点2) 回転ロック機構を、前記シート本体のロックを解除するように作動させるに当たり、訂正発明1では、「スライド機構を若干作動させると、これに伴い移動する部材がその移動により前記回転ロック機構に干渉」するのに対し、引用発明では、スライド機構を若干作動させると、これに伴い移動する部材がその移動により前記回転ロック機構から開放される点。 (3)判断 相違点1について検討する。 引用例における「回転ロック機構50は、ロックピン51、スプリング52、押圧カム53を備えている。」「ロックピン51においては、その上端部側が回転テーブル12に設けた貫通孔12aを貫通して上方へ突出していて、その下端部がスプリング52の付勢力により、回転支持台11に設けたロック孔11aから抜出されている。」、「押圧カム53は、シートベース24の下面側に固定されてロックピン51の頂部に対向し得る位置にあり、シートベース24が最後部に位置している場合には、水平カム面53aにてロックピン51を押動して、ロックピン51の下端部を回転支持台11のロック孔11aに嵌入させている。」、「ロックピン51は、シートベース24が最後部の位置から前進すると、押圧カム53の水平カム面53aと摺接しつつ傾斜カム面53bに至り、傾斜カム面53bを摺接して傾斜カム面53bから離間する。この時点で、ロックピン51は押圧カム53から開放されて上動し、回転支持台11のロック孔11aから抜出て回転テーブル12の回転規制を解除する。」の各記載(上記記載事項c参照)によれば、引用発明における「押圧部材」と「ロックピン」は、カムとカムフォロワの関係にあり、また、引用発明の「スプリング」は、ロックピンがカムとしての押圧部材と圧接するようにロックピンを押圧部材側へと付勢する部材であって、押圧部材、ロックピン及びスプリングの三部材によりカム機構を構成していることが分かる。 そうすると、引用発明のロックピンに対し「ロック作用方向へのばね力の付勢」を行う、即ち、ロックピンがロック孔に嵌入する方向に付勢を行うと、ロックピンをカムである押圧部材から離反する方向に付勢することとなり、押圧部材とロックピンとからなるカム機構の機能が損なわれるのであるから、引用発明において、相違点1における訂正発明1に係る事項を採用することには、阻害要因があるといえる。 そして、訂正発明1は相違点1における訂正発明1に係る事項を採用することにより、回転ロック機構にはロック作用方向への付勢が常時働き、車両衝突等による過大な衝撃が加わってもロック解除を阻止し得るという、引用発明からは予測し得ない作用効果が期待できるものである。 よって、相違点1における訂正発明1に係る事項は、当業者が引用発明から容易に想到できた事項とはいえない。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、訂正発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、訂正発明1が、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、訂正発明1を引用する訂正発明2?4も、訂正発明1について示した理由と同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 さらに、訂正発明1?4が独立して特許を受けることができないとするその他の根拠も見い出せない。 (4)小括 以上のとおり、訂正発明1?4について、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとすることはできないから、本件訂正は特許法第126条第7項の規定に適合する。 第4 むすび したがって、本件訂正審判の請求に係る一群の請求項についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 車両用シート (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】シート本体と車両フロアとの間に設置されて、前記シート本体を車両正面向きの位置とドア開口部側へ向いた位置との間で回転させる回転機構と、前記シート本体を車両正面向きの位置においてロック作用方向へのばね力の付勢により回転不能にロックする回転ロック機構と、前記ドア開口部側へ向いた状態のシート本体を前記ドア開口部を経て車室外側へ移動させるスライド機構を備え、 前記シート本体が車両正面向きに位置する状態において前記スライド機構を若干作動させると、これに伴い移動する部材がその移動により前記回転ロック機構に干渉し、該回転ロック機構を、前記シート本体のロックを解除するように作動させる構成である車両用シート。 【請求項2】請求項1に記載の車両用シートであって、 前記回転ロック機構が前記シート本体のロックを解除するまでの前記スライド機構の作動と、前記シート本体がドア開口部側へ向くとともに車室外側の所定位置に移動するまでの前記回転機構および前記スライド機構の作動とを、自動で順に行わせる制御手段を備える車両用シート。 【請求項3】請求項1または2に記載の車両用シートであって、 前記スライド機構は前記シート本体と一体に回転するように前記シート本体と前記回転機構との間に介装されており、前記シート本体が車両正面向きの位置にあるときは前記スライド機構を作動させたときの前記シート本体の移動方向が車両前後方向となり、前記シート本体がドア開口部側へ向いた位置にあるときは前記スライド機構を作動させたときの前記シート本体の移動方向が車幅方向となるように構成されている車両用シート。 【請求項4】請求項1から3のいずれかに記載の車両用シートであって、 前記スライド機構は、モータと、モータにより回転させられるねじ軸と、これに噛み合うナットとを備え、前記ねじ軸を回転させると前記ナットが前記回転機構に対して移動し、このナットの移動により前記シート本体を移動させるように構成されており、 前記シート本体が車両正面向きに位置する状態において前記スライド機構を若干作動させると、これに伴い移動するナットがその移動により前記回転ロック機構に干渉して該回転ロック機構をシート本体のロックを解除するように作動させる構成である車両用シート。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、例えば老人や身障者等(以下、単に乗員あるいは着座者と言う)が車両への乗降を楽に行えるようにした車両用シートに関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、この種のシートについては、様々な形態のものが提供されている。例えば、特開平9-39622号公報には、シート本体を回転させる回転機構と、シート本体を車両前後方向へスライドさせるための前後スライド機構と、回転機構によりシート本体をドア開口部側に向けた状態でシート本体を車室外側へ移動させつつより低い位置へ下降させる昇降機構を備えた車両用シートが記載されている。 この車両用シートによれば、シート本体を車室外側に移動させ、かつ路面に近い高さに下降させることにより、乗員は車室外において楽にシート本体に着座でき、そのままシート本体を車室内側へ移動させることにより、着座者は極めて楽に車室内の所定位置に乗り込むことができ、また逆に車室外に移動することができる。 また、シート本体を移動させるための各機構を駆動モータを駆動源として作動させることにより、乗員は一層楽に車両への乗降を行うことができ、ひいてはその介護者の負担を大幅に低減することができる。 【0003】 【特許文献1】 特開平9-39622号公報 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記従来の車両用シートにもなお改善すべき点があった。すなわち、シート本体の回転動作を規制する回転ロック機構において、従来着座者の便宜を図るために回転ロック機構を作動させるための専用の電動モータを用いてシート本体の回転ロック状態を所定のタイミングで自動的に解除する構成となっていた。 このような従来の電動式回転ロック解除機構によれば、回転ロック機構を作動させるための専用の電動モータ等のアクチュエータを必要とするためコスト高となるばかりでなく、当該アクチュエータの配置スペースを確保する必要があり、かつこの電動モータへの電気配線等を取り回す必要があり、この点で組み付け性あるいはメンテナンス性が損なわれる等の問題があった。 そこで、本発明では、回転ロック機構を作動させるための専用の電動モータ等のアクチュエータを用いることなく、所定タイミングで自動的にシート本体の回転ロック状態を解除でき、これにより着座者の便宜をも確保できる車両用シートを提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 このため、本発明は、前記各請求項に記載した構成の車両用シートとした。 請求項1記載の車両用シートによれば、シート本体が車両正面向きに位置している状態において、当該シート本体の回転ロック状態は、スライド機構を若干作動させ、これにより移動する部材がその移動により回転ロック機構に干渉することによりアンロックされるので、従来のように回転ロック機構を作動させるための専用の電動モータ等のアクチュエータを用いることなく回転ロック状態を解除することができるので、コストアップを招くことなく、また従来のようなアクチュエータを配置するためのスペースを確保する必要がない。しかも、従来のように回転ロック機構を作動させるための専用のアクチュエータを用いる必要がないので、このアクチュエータに電気配線等を取り回す必要がなく、これにより当該車両用シートの組み付け性あるいはメンテナンス性を高めることができる。 スライド機構の作動により移動する部材には、例えば当該機構の駆動装置を構成する部材であってねじ軸あるいはこれに噛み合うナットが相当し、またシート本体あるいはこれを支持するベース等が相当する。 【0006】 請求項2記載の車両用シートによれば、上記作用効果に加えて、各機構および各部の動作が予め定められた手順で自動的に行われるので、当該車両用シートの使い勝手を向上させることができる。 請求項3記載の車両用シートによれば、上記作用効果に加えて、回転ロック機構によるロックを解除する時のシート本体の移動方向が車両前後方向となるので、この時のシート本体の移動によりシート本体が壁などに当接しない。 請求項4記載の車両用シートによれば、上記作用効果に加えて、簡易な構成により上記作用効果を確実に得ることができる。ロックプレートに対してナットを直接干渉させる構成とする他、他部材を介して干渉させる構成としてもよい。 【0007】 【発明の実施の形態】 次に、本発明の実施の形態を図1?図12に基づいて説明する。図1に示すように本実施形態では、運転席DSの後ろ側の第2列席に配置した車両用シート1を例示する。図1では、車両Mの右側部(図1では上側の側部)のドアDが開放されて、シート本体10がドア開口部Kを経て室外側へ移動された状態が示されている。本例の車両用シート1は、シート本体10を車両前後方向(図1において左右方向)に移動可能であり、かつ車両正面向きの位置とドア開口部K側に向いた位置との間で約90度回転させることができ、さらにはドア開口部K側に向いた状態で車幅方向(図1において上下方向)に移動させることができる。 図2?図4に示すように、車両用シート1は、シート本体10と、このシート本体10を車両前後方向(図2?図4の紙面に直交する方向)に移動させるための第1スライド機構20と、シート本体10を車両正面向きの位置とドア開口部K側に向いた位置との間で回転させる回転機構30と、シート本体10の回転動作を規制する回転ロック機構60と、ドア開口部K側に向いた状態のシート本体10をドア開口部Kを経て室内と室外との間で車幅方向に移動させつつ昇降させる第2スライド機構40を備えている。本実施形態におけるこの第2スライド機構40が、特許請求の範囲に記載したスライド機構に相当する。 【0008】 シート本体10は、シートクッション11とシートバック12を備えている。 第1スライド機構20は、車両MのフロアFに上に固定された固定ベース21の上面に配置されている。この固定ベース21の上面には、車両前後方向に相互に平行に取り付けた断面コ字形のガイドレール22を介して前後スライドベース23が車両Mの前後方向(図において紙面に直行する方向)にスライド可能に設けられている。固定ベース21と前後スライドベース23との間には、前後スライドモータ24aとこの前後スライドモータ24aにより回転するねじ軸24bとこのねじ軸24bに噛み合わされたナット24cを有する前後駆動装置24が取り付けられている。この前後駆動装置24によれば、前後スライドモータ24aが起動してねじ軸24bが回転するとこのねじ軸24bに噛み合わされたナット24cがねじ軸24bの軸方向に移動し、これにより前後スライドベース23が車両前方または後方へ移動する。この前後スライドベース23の上面に回転機構30が取り付けられている。 この回転機構30は、相互に同軸で回転可能に組み合わされた外輪30aと内輪30bを有している。外輪30aが前後スライドベース23の上面に固定され、内輪30bが回転ベース31の下面に固定されている。前後スライドベース23の上面には回転モータ32が取り付けられている。この回転モータ32の回転出力は、図示省略した歯車伝達機構を介して内輪30bに伝達され、これにより回転ベース31およびその上面に設置された第2スライド機構40およびシート本体10が一体で回転する。図1に示すようにシート本体10は、車両正面向きの位置から右回りに約90度回転した後、ドア開口部Kを経て室外側に移動される。 【0009】 また、回転ベース31と前記前後スライドベース23との間に、回転ロック機構60が介装されている。この回転ロック機構60により、回転ベース31ひいてはシート本体10が車両正面向きの位置において回転不能にロックされる。 この回転ロック機構60の詳細が図6および図7に示されている。図示するようにこの回転ロック機構60は、前後スライドベース23の上面に取り付けたストライカ61と、回転ベース31の下面に取り付けたロックベース62と、ロックベース62に支軸63を介して回動可能に支持されたロックプレート64と、ロックプレート64に支軸65を介して相対的に傾動可能に支持された作動アーム66を有している。 ロックベース62は、回転ベース31の下面に固定されている。このロックベース62に対してロックプレート64は回転ベース31の下面に沿って回転可能に支持されている。このロックプレート64の回動先端側には爪部64aが形成されている。シート本体10を車両正面向きに位置する状態において、この爪部64aがストライカ61に引き掛けられることにより、回転ベース31ひいてはシート本体10のドア開口部K側への回転動作が規制される。 ロックベース62とロックプレート64との間には引っ張りばね67が介装されている。この引っ張りばね67により、ロックプレート64は爪部64aをストライカ61に係合させる方向に付勢されている。 【0010】 作動アーム66の先端側の上面には、ガイドブロック68が取り付けらている。このガイドブロック68の先端側上面には、ガイドローラ69が回転可能に取り付けられている。回転ベース31には保持溝31aが貫通して設けられている。この保持溝31aは、後述する第2スライド機構40によるシート本体10の移動方向に対して直行する方向に沿って長く形成されている。この保持溝31aに上記ガイドブロック68が挿入されている。このため、ガイドローラ69は、回転ベース31の上面側に突き出されている。ガイドブロック68が保持溝31aに沿って移動可能に保持されていることにより、作動アーム66は、図7において上下に平行移動する。 一方、この作動アーム66の端部には、長溝形状の逃がし孔66aが形成されている。支軸65は、この逃がし孔66aに挿入されている。支軸65が逃がし孔66a内において作動アーム66に対して相対移動することにより、当該作動アーム66の直線移動とロックプレート64の回転移動が許容されるようになっている。逃がし孔66a内において支軸65を相対移動させながら、作動アーム66が図7において上下に平行移動することにより、ロックプレート64が支軸63を中心にして図7において上下に傾動する。図7において下側のアンロック位置に移動した状態のロックプレート64および作動アーム66が図中二点鎖線で示されている。 【0011】 図7において実線で示すようにガイドローラ69が図示上側のロック位置に保持されて作動アーム66が図示上側に位置している状態では、ロックプレート64が引っ張りばね67により図示上側へ引っ張られ、これによりその爪部64aがストライカ61に引き掛けられた状態に保持されて、回転ベース31ひいてはシート本体10が車両正面向きの位置において回転不能にロックされた状態となる。作動アーム66ひいてはガイドローラ69は、ロックプレート64が引っ張りばね67によりロック側へ付勢されていることにより、間接的にロック位置側に付勢されている。 一方、引っ張りばね67の間接的な付勢力に抗してガイドローラ69が図示下側のアンロック位置に押され、これにより作動アーム66が図示下側へ変位するとロックプレート64が図7において二点鎖線で示すアンロック位置側に移動すると、その爪部64aがストライカ61から離脱して回転ベース31ひいてはシート本体10が車両正面向きの位置からドア開口部K側へ向けて回転可能な状態となる。 引っ張りばね67に抗してなされるガイドローラ69のアンロック側への移動(この回転ロック機構60のアンロック操作)は、以下説明する第2スライド機構40の昇降駆動装置70の動作を利用してなされる。 【0012】 次に、第2スライド機構40は、シート本体10をドア開口部K側へ向けた状態で車幅方向(図2?図4において左右方向)に移動させつつフロアFよりも高い位置とこれよりも低くより路面に近い高さとの間で昇降させる機能を有するもので、回転ベース31に対してシート本体の前後方向にスライドする移動ベース41と、この移動ベース41を移動させるための昇降駆動装置70と移動ベース41に傾動可能に支持され、先端側にシート本体10を支持した左右一対の昇降アーム44,44を備えている。 図9および図10に示すように移動ベース41は、上記回転ベース31の両端縁に沿って相互に平行に取り付けた断面コ字形のガイドレール41b,41bを介してスライド可能に支持されている。移動ベース41は、両ガイドレール41b,41bのそれぞれに対して2個のガイドローラ41a,41aを介してスライド可能に支持されている。この両ガイドローラ41a,41aは、移動ベース41の側面にスライド方向に相互に一定の間隔をおいてそれぞれ回転可能に取り付けられている。 移動ベース41と回転ベース31との間に、上記昇降駆動装置70が設けられている。 この昇降駆動装置70は、駆動モータ71とねじ軸72とナット73を備えている。本実施形態では、このナット73が特許請求の範囲に記載した「スライド機構を動作させることにより移動する部材」に相当する。 駆動モータ71は、モータ本体71aとこのモータ本体71aの出力を減速するための減速装置71bを備えている。図示は省略したが減速装置71bは歯車列を内蔵しており、その入力側にモータ本体71aの出力軸が連結され、出力側にねじ軸72が連結されている。 この駆動モータ71は、減速装置71bがブラケット83,86を介して支持されることにより回転ベース31上に固定されている。 ねじ軸72に噛み合わされたナット73は、移動ベース41の下面に固定されている。 以上説明したように、第2スライド機構40は、シート本体10と一体に回転するようにシート本体10と回転機構30との間に介装されている。このため、シート本体10が車両正面向きに位置する状態でこの第2スライド機構40を作動させるとシート本体の移動方向は車両前後方向となり、シート本体10がドア開口部K側へ向いた状態でこの第2スライド機構40を作動させるとシート本体10の移動方向は車幅方向となる。 【0013】 シート本体10が車両正面向きに位置して、第2スライド機構40がシート本体10を車両前後方向へ移動させる向きに位置している状態であって、図6および図7に示すように上記移動ベース41ひいてはナット73が車室内側へ最も後退した原位置に位置する状態において、当該ナット73の近傍(進行方向斜め前側)に、前記した回転ロック機構60のガイドローラ69が位置している。このガイドローラ69に対向する状態で、ナット73の側部には、ガイドプレート74が取り付けられている。このガイドプレート74の両端部はガイドローラ69から離れる方向に折り曲げられてそれぞれガイド面74aとされている。駆動モータ71が起動してねじ軸72が回転し、これによりナット73ひいては移動ベース41が図6および図7に示す原位置から図示左方へ移動し始めると、ガイドプレート74のガイド面74aに案内されながらガイドローラ69が図示下側へ押される。ガイドローラ69が図示下側へ押されると、ガイドブロック68が保持溝31aに沿って図示下方へ直線移動し、これにより前記したように回転ロック機構60のロックプレート64が引っ張りばね67に抗してアンロック側に移動する。この時、シート本体10は、車両正面向きのまま車両前方へ僅かに(ナット73の移動距離と同じ距離だけ)移動する。 本実施形態では、ナット73が図7において実線で示す原位置から約20mmだけ移動して図中二点鎖線で示す回転ロック解除位置に停止することによりガイドローラ69が最も図示下側へ押された状態となり、従ってロックプレート64がアンロック位置に保持されて当該回転ロック機構60がアンロック状態に保持される。このことから、本実施形態においてナット73を原位置から約20mmだけ移動させることが、特許請求の範囲に記載した「スライド機構を若干作動させる」ことの一例に相当する。 【0014】 回転ロック機構60がアンロック状態に保持された状態で、前記回転モータ32が室外移動側に起動すると、回転ベース31ひいてはシート本体10が図5および図7において白抜きの矢印R1で示すように回転機構30の回転中心Cを中心にして右回りに回転する。従って、回転ベース31側に取り付けられている第2スライド機構40およびストライカ61を除く回転ロック機構60の各構成部品が同じく矢印R1方向へ移動する。シート本体10がドア開口部K側へ回転してもストライカ61は前後スライドベース23上に固定されているのでその位置は変化しない。このため、ロックプレート64はストライカ61から遠く離れた状態となる。 こうしてシート本体10をドア開口部K側へ向けた状態であって、第2スライド機構40がシート本体10を車幅方向へスライドさせる向きに位置する状態において、昇降駆動装置70の駆動モータ71を起動することによりシート本体10を車室外側へ移動させることができる。この段階で駆動モータ71が室外移動側へ起動することによりナット73がねじ軸72上をさらに移動してガイドローラ69の側方(回転ロック解除位置)から外れる。このため、引っ張りばね67の間接作用によりロック側に付勢された作動アーム66およびガイドローラ69がロック側へ戻される。但し、シート本体10をドア開口部K側へ向けた状態では、当該回転ロック機構60は機能しない。 【0015】 次に、上記した移動ベース41、ガイドレール41b,41b、ガイドローラ41a,41aおよび昇降駆動装置70によって昇降スライド機構43が構成され、この昇降スライド機構43と以下説明する左右一対の昇降アーム44,44と補助スライドベース45等によって第2スライド機構40が構成されている。 図2?図4および図9に示すように、移動ベース41の両側部には左右一対の昇降アーム44,44がそれぞれ上下に傾動可能に取り付けられている。なお、ここでいう左右とは、シート本体10に着座した着座者から見て左右をいう。両昇降アーム44,44は、相互に左右対称に構成されている。以下、一方の昇降アーム44について説明する。この昇降アーム44は、アッパアーム44aとロアアーム44bを備えている。 両アーム44a,44bの一端側は、それぞれ移動ベース41の側部に支軸44c,44dを介して上下方向に回動可能に支持されている。両アーム44a,44bの他端側は、補助スライドベース45の側部に支軸44e,44fを介して回動可能に連結されている。このアッパアーム44aとロアアーム44bは、図10および図12に示すように相互に干渉しないようにシート本体10の幅方向(両アーム44a,44bの板厚方向)にずれて支持されている。 両アーム44a,44bが上下に傾動することにより補助スライドベース45が車幅方向に移動しつつ上下に変位し、この時第2スライド機構40はシート本体10を車幅方向へスライドさせる向きに位置しているので、これによりシート本体10が車幅方向に移動しつつ昇降する。補助スライドベース45およびシート本体10は、その前後左右に傾くことなく常時平行に変位して着座者が傾くことがないように、両アーム44a,44bの長さおよび支軸44c,44d,44e,44f間の距離が適切に設定されている。 【0016】 回転ベース31の前端部には、左右のロアアーム44b,44bに対応して左右一対のアーム受け部材47,47が取り付けられている。このアーム受け部材47,47に上記左右のロアアーム44b,44bがそれぞれ乗せ掛けられている。昇降スライド機構43の作動により移動ベース41が車幅方向へ移動すると、左右のロアアーム44b,44bはそれぞれ常時アーム受け部材47に下方から受けられた状態で移動ベース41と一体で移動する。すなわち、移動ベース41および昇降アーム44,44が移動すると、アーム受け部材47がロアアーム44bの下面に沿って転動される。 このため、移動ベース41が車室外側へ移動することによって両昇降アーム44,44の車室外側へ移動距離が大きくなるほどロアアーム44bの支軸44dとアーム受け部材47との間隔が小さくなり、その結果アッパアーム44aは支軸44cを中心にして、またロアアーム44bは支軸44dを中心にしてそれぞれ下方(図4において反時計回り方向)へ回動する。こうして両昇降アーム44,44が下方へ回動すると、補助スライドベース45およびドア開口部K側へ向いた状態のシート本体10が車室外側へ移動しつつ下方へ変位する。図4は、シート本体10が車室内においてドア開口部K側へ向いた状態で第2スライド機構40によりドア開口部Kを経て最も車室外側へ移動し、かつ車室外において最も低い位置まで下降した状態を示している。 逆に、移動ベース41の車室内側への移動によって両昇降アーム44,44の車室内側へ移動距離が大きくなるほどロアアーム44bの支軸44dとアーム受け部材47との距離が大きくなり、その結果アッパアーム44aは支軸44cを中心にして、またロアアーム44bは支軸44dを中心にしてそれぞれ上方(図4において時計回り方向)へ回動する。こうして両昇降アーム44,44が上方へ回動すると、補助スライドベース45およびシート本体10が車室内側へ移動しつつ上方へ変位する。 【0017】 次に、図10および図11に示すように補助スライドベース45の上面側に、補助スライド機構50を介してシート本体10が支持されている。この補助スライド機構50によってシート本体10は補助スライドベース45に対してシート本体10前後方向へスライド可能に支持されている。 この補助スライド機構50は、上面にシート本体10が取り付られ、補助スライドベース45に対してスライドするシート支持台51を備えている。このシート支持台51のスライド方向は、上記移動ベース41と同じであり、シート本体10がドア開口部K側に向けられた状態では車幅方向となり、シート本体10が車両正面向きの状態では車両前後方向となる。シート支持台51の下面側の左右両側部には、断面コ字形の2本のガイドレール51a,51aが相互に平行に取り付けられている。この両ガイドレール51a,51aには、補助スライドベース45の左右側部に回転可能に取り付けた複数個(図10ではそれぞれ2個)のガイドローラ45a?45aが転動可能に支持されており、これによりシート支持台51が補助スライドベース45に対してスライド可能に支持されている。 補助スライドベース45とシート支持台51との間には、駆動モータ52aと、この駆動モータ52aにより回転するねじ軸52bと、このねじ軸52bに噛み合わされたナット52cを有する補助スライド用の駆動装置52が設けられている。駆動モータ52aは図示省略したブラケットを介してシート支持台51の下面に取り付けられている。ねじ軸52bの先端部は、シート支持台51の下面に取り付けた保持ブロック52dに回転可能に支持されている。ナット52cは、補助スライドベース45の上面に固定されている。 【0018】 シート本体10がドア開口部K側に向いた状態で、駆動モータ52aを起動してねじ軸52bを回転させると、ねじ軸52bがナット52cとの噛み合い作用によりその軸方向へ移動し、これによりシート本体10が補助スライドベース45に対して車幅方向へ移動する。 このようにシート本体10は、昇降スライド機構43と補助スライド機構50により2段階で車幅方向に移動する。但し、補助スライド機構50によるシート本体10の移動は車幅方向の水平移動であって上下には変位しないが、昇降スライド機構43によるシート本体10の移動は、前述したように車幅方向の移動に加えて上下方向の移動を伴い、結果的にシート本体10は上側に膨らんだ円弧形状の軌跡に沿って移動する点で異なっている。すなわち、移動ベース41を後退位置から前進位置へ移動させたときは、昇降アーム44が車室外側へ移動しつつ下方(その先端側を下方へ変位させる方向)に回動し、これにより補助スライドベース45ひいてはシート本体10が円弧状の軌跡に沿って上昇位置から下降位置へ移動(下降)する。逆に、移動ベース41を前進位置から後退位置へ移動させたときは、昇降アーム44が車室内側へ移動しつつ上方(その先端側を上方へ変位させる方向)へ回動し、これによりシート本体10が円弧状の軌跡に沿って下降位置から上昇位置へ戻される。 以上説明した第1スライド機構20の前後スライドモータ24a、回転機構30の回転モータ32、昇降スライド機構43の駆動モータ71、および補助スライド機構50の駆動モータ52aの起動、停止、回転速度および回転方向は、制御手段CTにより制御される。 また、図示は省略したが、シート本体10の近傍には、当該車両用シート1を起動、停止するための操作スイッチが配置されている。この操作スイッチは、いわゆるシーソー式のスイッチで、一方の乗車側へ押し操作し続けると、シート本体10が車室外から車室内へ移動し、これにより着座者は車両Mに乗車することができ、他方の降車側へ押し操作し続けると、シート本体10が車室内から車室外へ移動し、これにより着座者は車両Mから降車することができる。 すなわち、操作スイッチを降車側へ押し操作し続けると、回転ロック機構60がシート本体10の回転ロック状態を解除するまでの第2スライド機構40の作動と、回転ロックが解除された後におけるシート本体10の回転動作と車両前後方向のスライド動作と、シート本体10がドア開口部K側へ向くとともに車室外側の所定位置に移動するまでの回転機構30および第2スライド機構40の作動が予め定めた順序により自動的に行われる。操作スイッチを乗車側に押し操作し続けると、上記とは逆の順序により一連の動作が自動的に行われる。このため、着座者若しくは介護者は、シート本体10の回転ロック、アンロックのための個別の操作をする必要はなく、これらの動作はシート本体10の車室内外間の移動動作の一部として自動的になされる。 【0019】 以上のように構成した車両用シート1は以下のように動作し、これによりシート本体10が車室内から車室外へ移動されて着座者は車室内から車室外へ降車することができ、また逆にシート本体10が車室外から車室内へ戻されて着座者は車室内の着座位置(助手席位置)に乗り込むことができる。 先ず、図1において二点鎖線で示すように着座者(シート本体10)が車両正面向きに位置する着座位置(このとき、第2スライド機構40はシート本体10を車両前後方向へスライドさせる向きに位置している。)では、昇降スライド機構43の移動ベース41は後端位置に保持されており、従ってその昇降駆動装置70のナット73は、原位置(図7において実線で示す位置)に位置している。ナット73が原位置に保持されて回転ロック解除位置から外れた状態では、ガイドローラ69および作動アーム66は引っ張りばね67の間接作用によりロック位置に保持されている。この状態では、ロックプレート64の爪部64aがストライカ61に係合されることにより、回転ベース31ひいてはシート本体10が回転不能にロックされた状態となっている。 着座者が車室外に出るために、当該シート本体10を車室外へ移動させる場合に、着座者若しくは介護者が操作スイッチを降車側へ押し操作すると、先ず昇降スライド機構43における昇降駆動装置70の駆動モータ71がシート本体10を車両正面向きに位置させたまま起動する。これによりねじ軸72が回転してナット73が図7中実線で示す原位置から二点鎖線で示す回転ロック解除位置まで約20mmだけ車両前方へ移動され、一旦この位置で駆動モータ71が停止してナット73がこの回転ロック解除位置に保持される。なお、この時ナット73と一体でシート本体10も車両前方へ約20mm移動する。 【0020】 ナット73が回転ロック解除位置に移動することにより、ガイドローラ69がガイドプレート74のガイド面74aに案内されながら押されて、図7中二点鎖線で示す回転ロック解除位置に保持され、これにより作動アーム66が同じく二点鎖線で示す位置まで平行移動する。ガイドローラ69および作動アーム66の回転ロック解除位置側への移動は引っ張りばね67に抗してなされる。 作動アーム66が回転ロック解除位置側へ移動することにより、ロックプレート64が支軸63を中心にしてアンロック側へ回動し、これにより爪部64aがストライカ61から外れて、回転ベース31ひいてはシート本体10がドア開口部側に向けて回転可能な状態となる。 こうして回転ロック機構60が回転ロック解除状態とされた後、引き続き操作スイッチを降車側へ押し操作し続けることにより、第1スライド機構20の前後スライドモータ24aが正転側に起動してシート本体10が車両前方へスライドするとともに、回転機構30の回転モータ32が正転側に起動することにより、シート本体10および第2スライド機構40が車両前方へスライドしつつドア開口部K側へ向けて(図5および図7中白抜きの矢印R1で示した方向へ)約90度回転する。シート本体10および第2スライド機構40が約90度回転してドア開口部K側へ向けられた状態となると、昇降スライド機構43および補助スライド機構50のスライド方向が車幅方向に沿った方向となる。図2は、この段階の様子を示している。 シート本体10がドア開口部K側に向けられた後、操作スイッチを引き続き降車側に押し操作することにより、続いて補助スライド機構50の駆動モータ52aが正転側に起動し、これによりシート本体10がドア開口部Kを経て車室外側に水平移動される。補助スライド機構50によるスライド範囲の前端までシート本体10がスライドした状態が図3に示されている。 【0021】 次に、操作スイッチを引き続き降車側に押し操作することにより、昇降スライド機構43の駆動モータ71が再度起動して、移動ベース41が図3に示すロック解除位置からドア開口部Kに向かって移動する。この段階で、ナット73が回転ロック解除位置から外れて、ガイドローラ69および作動アーム66が引っ張りばね67の間接作用により回転ロック位置まで戻され、これによりロックプレート64が同じく引っ張りばね67により回転ロック位置に戻される。但し、この段階では回転ベース31が車両正面向きの位置からドア開口部K側へ約90度回転しているので、前記したようにロックプレート64はストライカ61からは遠く離れている。このため、この段階では回転ロック機構60は機能しない。 移動ベース41が車室外側へ移動することにより、シート本体10が昇降アーム44,44とともに車室外側へ移動する。また、前記したように昇降アーム44,44が車室外側へ移動すると、そのアッパアーム44a,44aとロアアーム44b,44bはそれぞれ支軸44c,44dを中心にして下方へ回動する。このため、シート本体10は、車室外側へ移動しつつ、より路面に近い高さへ下降する。移動ベース41が、昇降スライド機構43によるスライド範囲の前端位置までスライドした状態が図4に示されている。この段階では、シート本体10が車室外側へ十分な距離だけ移動し、かつ路面に近い高さまで下降されているので、着座者は例えばシート本体10に横付けした車椅子へ楽に乗り移ることができる。車椅子への乗り移りが完了してシート本体10に着座者がいなくなった後に、操作スイッチを乗車側へ押し操作し続けることにより、上記とは逆の動作で当該シート本体10が車室内に戻される。 【0022】 一方、乗車時には、車室外に移動されたシート本体10に着座者が車椅子から乗り移って着座した後、操作スイッチを乗車側へ押し操作し続けることにより、昇降スライド機構43の駆動モータ71を逆転側に起動させ、これによりシート本体10とともに昇降アーム44,44が車室内側へ戻される。移動ベース41が後退位置まで移動して、昇降アーム44,44が車室内側に戻された後、補助スライド機構50の駆動モータ52aを起動してシート体10を車室内側へ戻す。昇降スライド機構43の移動ベース41が後退位置まで戻される直前において、昇降駆動装置70のナット73が回転ロック解除位置を通過する。従って、この段階では回転ロック機構60は依然としてロック状態(引っ張りばね67の間接作用によりガイドローラ69が図7において実線で示す位置保持された状態)に保持される。 移動ベース41が後退位置まで戻されて、シート本体10が車室内側へ戻された後、回転機構30の回転モータ32および第1スライド機構20の前後スライドモータ24aを起動してシート本体10を車両正面向き側に約90度回転させつつ後方へスライドさせ、これにより着座者は所定の着座位置に乗り込むことができる。この間、着座者はシート本体10に着座した状態のままでよいので、着座者および介護者の労力が大幅に低減される。 【0023】 シート本体10がドア開口部Kへ向いた位置から車両正面向きの位置まで回転する段階(図8において白抜きの矢印R2で示した方向へ回転する段階)であって、車両正面向きの位置に戻される直前において、ロックプレート64がストライカ61に接近する。ロックプレート64の先端部には、ガイド面64bが設けられている。シート本体10が車両正面向き位置に戻される直前において、ロックプレート64のガイド面64bがストライカ61に当接する。この当接状態が図8に示されている。ガイド面64bをストライカ61に当接させた状態で、シート本体10が車両正面向きの位置に向けて(矢印R2方向に)さらに回転し続けることにより、ロックプレート64は引っ張りばね67に抗して一旦アンロック側(図8において支軸63を中心として右回り)へ回動する。ロックプレート64をアンロック側へ回動させつつシート本体10が車両正面向きの位置に至ると、爪部64aがストライカ61を通過し、この時点でロックプレート64が引っ張りばね67によりロック位置に戻される。こうしてロックプレート64がロック位置に戻されると、その爪部64aがストライカ61に引き掛けられた状態となり、これによりシート本体10が車両正面向きの位置において回転不能にロックされた状態となる。シート本体10の回転ロック動作も、当該シート本体10を車室外から車室内へ移動させるための一連の動作の一部として自動的になされる。 【0024】 以上のように構成した本実施形態の車両用シート1によれば、シート本体10を車両正面向きの位置において回転不能にロックするための回転ロック機構60が、昇降スライド機構43の動作を利用して自動的にアンロックされる構成となっている。このため、着座者のレバー操作等を必要としないのでその使い勝手を向上させることができ、また従来のような電動モータ等の回転ロック機構を作動させるための専用のアクチュエータを用いることなく回転ロック機構60をアンロックすることができるので、当該車両用シート1のコスト低減を図ることができるとともに、その組み付け性あるいはメンテナンス性を向上させることができる。 また、従来のような回転ロック機構を作動させるための専用のアクチュエータを用い、その動力をケーブル等を用いて伝達する必要がないので、アクチュエータを配置するためのスペースおよびケーブル等を取り回すためのスペースを確保する必要がないので、その他の部品あるいは機器等の配置の自由度を高めることができる。また、このことから当該回転ロック機構ひいては車両用シートのコンパクト化を図ることができる。 【0025】 以上説明した実施形態には種々変更を加えて実施することができる。例えば、「スライド機構を若干作動させる」構成の一例として、ナット73を原位置から約20mm移動させて回転ロック機構60をアンロックする構成を例示したが、回転ロック機構60をアンロックするために必要なナット73の移動距離は、これよりも長い距離、逆にこれよりも短い距離に設定することもできる。要は、シート本体10の車両正面向きの位置からドア開口部へ向けて回転させる際に、当該シート本体10が車両ボディや内装品等に干渉しない範囲でシート本体10を僅かな距離だけ移動させる構成とすればよい。但し、車室内における着座者のシートポジションの変化を小さくするために極力短い距離であることが望ましい。 また、ナット73の移動を利用して回転ロック状態を解除する構成を例示したが、昇降駆動装置のナットが回転ベース31側に固定され、駆動モータおよびねじ軸が移動ベース41側に取り付けられて、駆動モータおよびねじ軸が車幅方向に移動する構成とした場合には、これらの移動を利用してガイドローラ69を変位させ、これにより回転ロック状態を解除する構成としてもよい。 また、補助スライド機構50を省略して昇降スライド機構43のみによりシート本体10を車幅方向へ移動させる構成としてもよい。 さらに、例示した第2スライド機構40では、シート本体10を上下に変位させる機能を備えた構成で例示したが、上下に変位することなく単に水平に車幅方向に移動する構成としてもよい。 【0026】 また、本願発明に係る回転ロック解除機構は、第1スライド機構20を備えず、単にシート本体10を回転させ、車幅方向へ移動させる機能のみを有する車両用シートに適用することもできる。 また、ねじ軸72とこれに噛み合うナット73(ねじ軸機構)を利用して移動ベース41ひいてはシート本体10を車幅方向に移動させる第2スライド機構40(昇降スライド機構43)を例示したが、本願発明に係る回転ロック解除機構は同じく電動モータを駆動源とする例えばラック・ピニオンギヤ機構、リンクアーム機構によりシート本体10を車幅方向へ移動させるスライド機構に適用することもできる。 また、運転席(車両右側)の後ろ側の第2列席に適用した場合を例示したが、例えば運転席、助手席に適用することもでき、また例えばバックドアを経てシート本体を出入りさせる構成の車両用シートにも同様に適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本願発明の実施形態に係る車両用シートを右側後部席に適用した車両の平面図である。 【図2】 車両用シートを車両後ろ側から見た図である。本図は、シート本体が車両正面向きの位置から約90度回転してドア開口部側に向けられた状態を示している。 【図3】 車両用シートを車両後ろ側から見た図である。本図は、シート本体が補助スライド機構により車室外側に移動した状態を示している。 【図4】 車両用シートを車両後ろ側から見た図である。本図は、シート本体が昇降スライド機構により車室外側へ移動し、かつ路面に近い高さまで下降した状態を示している。 【図5】 車両に対する車両用シートの位置関係、および回転機構と回転ロック機構と昇降駆動装置の相互の位置関係を示す平面図である。 【図6】 昇降駆動装置および回転ロック機構の側面図である。 【図7】 昇降駆動装置および回転ロック機構の平面図である。 【図8】 シート本体が車両正面向き位置に戻される際におけるロックプレートとストライカとの位置関係を示す平面図である。 【図9】 図3における(9)部拡大図であって、昇降スライド機構における移動ベース周辺の側面図である。 【図10】 図9における(10)-(10)線矢視図であって、昇降スライド機構の縦断面図である。 【図11】 補助スライド機構の側面図である。 【図12】 補助スライド機構を図11における矢印(12)方向から見た図である。 【符号の説明】 M…車両 K…ドア開口部 1…車両用シート 10…シート本体 20…第1スライド機構 23…前後スライドベース 24…前後駆動装置 30…回転機構、30a…外輪、30b…内輪 C…回転機構の回転中心 31…回転ベース 40…第2スライド機構(スライド機構) 41…移動ベース 43…昇降スライド機構 44…昇降アーム、44a…アッパアーム、44b…ロアアーム 50…補助スライド機構 60…回転ロック機構 61…ストライカ 64…ロックプレート、64a…爪部 66…作動アーム 69…ガイドローラ 70…昇降駆動装置 72…ねじ軸 73…ナット CT…制御手段 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2013-01-21 |
出願番号 | 特願2003-41720(P2003-41720) |
審決分類 |
P
1
41・
121-
Y
(B60N)
P 1 41・ 851- Y (B60N) P 1 41・ 855- Y (B60N) P 1 41・ 856- Y (B60N) P 1 41・ 854- Y (B60N) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 林 茂樹 |
特許庁審判長 |
高木 彰 |
特許庁審判官 |
松下 聡 関谷 一夫 |
登録日 | 2005-09-09 |
登録番号 | 特許第3716838号(P3716838) |
発明の名称 | 車両用シート |
代理人 | 特許業務法人岡田国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人岡田国際特許事務所 |