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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 出願日、優先日、請求日 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1271480
審判番号 不服2010-10525  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-05-18 
確定日 2013-03-15 
事件の表示 特願2004-546305「マルチキャステイング・コンテントのための選択ダイバーシチを提供する方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 5月 6日国際公開、WO2004/039100、平成18年 2月 2日国内公表、特表2006-504322〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.優先権主張の認否について
本願は、2003年10月27日にパリ条約に基づく優先権主張(2002年10月28日、米国)を伴って国際事務局を受理官庁として国際出願された。しかし、当合議体は、本願について優先権を認めない。以下、この点について説明する。

(1)従来から、日本国特許庁においては、国際出願日時点で有効な特許協力条約に基づく規則17.1(以下、「PCT規則17.1」という。)に基づいて、優先権主張の認否を行っている。本件の国際出願日は、2003年10月27日である。
したがって、本件に適用されるPCT規則17.1は、1998年(平成10年)7月1日発効のものである。

(2)1998年(平成10年)7月1日発効のPCT規則17.1には、以下のように記載されている。

「17.1 先の国内出願又は国際出願の謄本を提出する義務

(a)第8条の規定により先の国内出願又は国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該先の国内出願又は国際出願を受理した当局が認証したその出願の謄本(「優先権書類」)は、既に優先権書類が優先権を主張する国際出願とともに受理官庁に提出されている場合又は(b)の規定に従う場合を除くほか、優先日から16箇月以内に出願人が国際事務局又は受理官庁に提出する。ただし、当該期間の満了後に国際事務局が受理した当該先の出願の写しは、その写しが国際出願の国際公開の日前に到達した場合には、当該期間の末日に国際事務局が受理したものとみなす。

(b)優先権書類が受理官庁により発行される場合には、出願人は、優先権書類の提出に代えて、受理官庁に対し、優先権書類を、作成し及び国際事務局に送付するよう請求することができる。その請求は、優先日から16箇月以内にするものとし、また、受理官庁は、手数料の支払を条件とすることができる。

(c)(a)及び(b)の要件のいずれも満たされない場合には、指定国は、優先権の主張を無視することができる。ただし、指定官庁は、事情に応じて相当の期間内に出願人に優先権書類を提出する機会を与えた後でなければ、優先権の主張を無視することはできない。」

(3)本件の場合、以下のようになる。
優先日 2002年10月28日
優先日から16箇月 2004年 2月28日
国際公開日 2004年 5月 6日
国際事務局が優先権書類を受領した日 2004年 5月11日
したがって、本件の場合、(a)の要件は満たされていない。

(4)本件の場合、優先権書類を発行する官庁は、米国特許商標庁である。また受理官庁は、国際事務局である。したがって、本件の場合、(b)の要件は満たされていない。

(5)PCT規則17.1(c)ただし書の規定には特許法施行規則第38条の14が対応しており、優先権の主張を伴う国際特許出願をする者は、上記規則17.1(a)の優先権書類を、国内書面提出期間が満了する時の属する日後2月以内に特許庁長官に提出することができると規定され、国際段階で優先権書類の提出がない場合においても、特許庁に対して優先権書類を提出する機会が与えられている。

(6)本件の場合、以下のようになる。
優先日 2002年10月28日
国内書面提出期間が満了する時の属する日 2005年 4月28日
国内書面提出期間が満了する時の属する日後2月 2005年 6月28日
しかし、国内書面提出期間が満了する2005年4月28日までのみならず、2005年4月29日?2005年6月28日の期間にも、出願人が、日本国特許庁に優先権書類を提出したという事実はない。したがって、本件の場合、(c)のただし書きの要件は満たされていない。

(7)したがって、本件の場合、PCT規則17.1の(a)、(b)及び(c)のただし書きの要件のいずれも満たされないので、(c)の本文に規定されているように、指定国である日本国は、優先権の主張を無視することができる。よって、優先権の主張は無視される。


第2.手続の経緯
本願は、2003年10月27日(平成15年10月27日)を国際出願日とする出願であって、平成22年1月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成22年5月18日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。
そして、平成23年11月11日付けで当審から拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成24年5月14日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。


第3.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年5月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次の事項により特定されるものである。

「【請求項1】
同一のマルチキャスティング・コンテントを送信する無線送信器のセルを示すセル情報を少なくとも2つの無線送信器のセルから受信するステップと、
前記少なくとも2つの無線送信器のセルからの受信クオリティを比較するステップと、
前記少なくとも2つの無線送信器のセルの中からマルチキャスティング・コンテントを受信するための少なくとも1つの無線送信器のセルを前記受信クオリティ及び前記セル情報に基づいて選択するステップと、を含む方法であって、
前記受信クオリティを比較するステップは、前記少なくとも2つの無線送信器のセルから受信したパイロット信号の強度及びエラーの少なさのうちの少なくとも1つを比較することを含む、
ことを特徴とする方法。」


第4.引用発明
当審拒絶理由に引用された刊行物1(国際公開第03/63418号)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(a)段落番号[1038]
「[1038] Broadcast services may also be used for multicasting.」
(当審訳:「[1038]放送サービスは、マルチキャスティングに対しても使用される可能性がある。」)

(b)段落番号[1057]
「[1057] Referring to FIG. 4, a broadcast/multicast service provided by a CS 402 includes transmitting broadcast content 404. The broadcast content 404 may be a fixed set of data or may be a continuous stream of data. The broadcast/multicast service typically has a broadcast/multicast service name 406 used to identify the broadcast service. In the embodiment illustrated in FIG. 4, the service name 406 is a text-based name that users can read and interpret. For example, possible service names 406 include CNN News, NBC Sports, etc.」
(当審訳:
「[1057]図4を参照して、CS402によって提供された放送/マルチキャストサービスは、放送コンテント404を送信することを含む。放送コンテント404は、データの固定セットである可能性がある、若しくはデータの連続したストリームである可能性がある。放送/マルチキャストサービスは、一般に、放送サービスを認識するために使用される放送/マルチキャストサービスネーム406を有する。図4に図示された実施形態では、サービスネーム406は、ユーザが読み出せインタープリットできるテキストに基づいた名前である。例えば、可能性のあるサービスネーム406は、CNNニュース、NBCスポーツ、等、を含む。」)

(c)段落番号[1129]-[1131]
「[1129] Referring to the embodiment where the BCMCS_ID is globally unique, the handoff procedures are straightforward. When the MS moves from sector A to sector B (refer to FIG. 20) one of the following may occur. If sector B transmits the same BCMCS_ID as sector A, then the MS may conclude that the broadcast service session transmitted by sector B is the same as sector A. If sector B does not transmit the same BCMCS_ID as sector A, then the MS can conclude that the broadcast service that it is currently monitoring cannot be continued in sector B.
[1130] The BS may set the NGHBR_HSBS_CONFIG field as specified in FIG. 27 to indicate the configuration of this HSBS session in this neighbor BS. As a result, the MS may examine the value of HSBS_NGHBR_CONFIG received in the BSPM to determine handoff.
[1131] FIG. 28 illustrates a flow diagram of the MS examining the value of HSBS_NGHBR_CONFIG received in the BSPM to determine handoff. At step 2802 the MS is receiving broadcast service and is moving into another sector. The MS consults the BSPM of the current sector at step 2804. At step 2806 the MS examines HSBS_NGHBR_CONFIG. Depending upon the value of HSBS_NGHBR_CONFIG, the MS may perform the following. If HSBS_NGHBR_CONFIG is '000' (i.e. unknown), the MS stops 2810 HSBS reception and performs an idle handoff to the neighbor BS and searches for the same BCMCS_ID. If HSBS_NGHBR_CONFIG is '001/010' (i.e. service available in neighbor BS), the MS can continue 2808 reception in the neighbor BS.」

(当審訳:
「[1129]BCMCS_IDがグローバルに固有である実施形態を参照すると、ハンドオフ手順は、単純明快である。MSがセクタAからセクタBへ移動する場合に(図20参照)、以下の1つが生じる可能性がある。セクタBがセクタAと同一のBCMCS_IDを送信するのであれば、セクタBによって送信された放送サービスセッションがセクタAと同一であると、MSは、決定する可能性がある。セクタBがセクタAと同一のBCMCS_IDを送信しないのであれば、現在モニタしている放送サービスがセクタBにおいて継続できないと決定できる。
[1130]BSは、この隣接するBSにおいてこのHSBSセッションの構成を指示するために、図27に明記されたようにNGHBR_HSBS_CONFIGフィールドを設定する。その結果、MSは、ハンドオフを決定するためにBSPMにおいて受信されたHSBS_NGHBR_CONFIGの値を検査する可能性がある。
[1131]図28は、ハンドオフを決定するためにBSPMにおいて受信されたHSBS_NGHBR_CONFIGの値をMSが検査するフロー図を示す。ステップ2802において、MSは、放送サービスを受信しながら、他のセクタへ移動する。MSは、ステップ2804において現在のセクタのBSPMを調査する。ステップ2806において、MSは、HSBS_NGHBR_CONFIGを検査する。HSBS_NGHBR_CONFIGの値に依存して、MSは、以下を実施する可能性がある。HSBS_NGHBR_CONFIGが‘000’である(すなわち、未知である)ならば、MSは、HSBS受信を中止し、そして隣接するBSへアイドルハンドオフを実施して同一のBCMCS_IDを検索する2810。HSBS_NGHBR_CONFIGが‘001/010’である(すなわち、隣接のBSにおいてサービスが利用できる)ならば、MSは、隣接するBSにおいて受信を継続できる2808。」)

したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「放送/マルチキャストサービスにおけるハンドオフ手順であり、
MSがセクタAからセクタBへ移動する場合に、セクタBがセクタAと同一のBCMCS_IDを送信するのであれば、セクタBによって送信された放送サービスセッションがセクタAと同一であると、MSは、決定する可能性があり、
BSは、この隣接するBSにおいてこのHSBSセッションの構成を指示するために、NGHBR_HSBS_CONFIGフィールドを設定し、その結果、MSは、ハンドオフを決定するためにBSPMにおいて受信されたHSBS_NGHBR_CONFIGの値を検査する可能性があり、
ハンドオフを決定するためにBSPMにおいて受信されたHSBS_NGHBR_CONFIGの値をMSが検査する時には、ステップ2802において、MSは、放送サービスを受信しながら、他のセクタへ移動し、MSは、ステップ2804において現在のセクタのBSPMを調査し、ステップ2806において、MSは、HSBS_NGHBR_CONFIGを検査し、HSBS_NGHBR_CONFIGの値に依存して、MSは、以下を実施する可能性があり、HSBS_NGHBR_CONFIGが‘000’であるならば、MSは、HSBS受信を中止し、そして隣接するBSへアイドルハンドオフを実施して同一のBCMCS_IDを検索し、HSBS_NGHBR_CONFIGが‘001/010’である(すなわち、隣接のBSにおいてサービスが利用できる)ならば、MSは、隣接するBSにおいて受信を継続できる、
放送/マルチキャストサービスにおけるハンドオフ手順。」


第5.本願発明と引用発明の一致点・相違点

引用発明は、放送/マルチキャストサービスにおけるハンドオフ手順であり、「放送/マルチキャストサービス」は、「放送サービス又はマルチキャストサービス」という意味であると解されるから、引用発明は、マルチキャストサービスにおけるハンドオフ手順を含んでいる。引用発明では、「HSBS_NGHBR_CONFIGが‘001/010’である(すなわち、隣接のBSにおいてサービスが利用できる)ならば、MSは、隣接するBSにおいて受信を継続できる」から、引用発明の「HSBS_NGHBR_CONFIG」が、本願発明の「同一のマルチキャスティング・コンテントを送信する無線送信器のセルを示すセル情報」に相当する。

引用発明では、MSがセクタAからセクタBへ移動する場合を想定しているが、移動の途中において、MSが二つのセクタ(例えば、セクタBとセクタD)の境界領域にいる場合には、MSは二つのセクタ(例えば、セクタBとセクタD)の各基地局からのBSPMを受信するから、二つのセクタからのHSBS_NGHBR_CONFIGを受信することになる。したがって、引用発明が、「同一のマルチキャスティング・コンテントを送信する無線送信器のセルを示すセル情報を少なくとも2つの無線送信器のセルから受信するステップ」を有することは明らかである。

引用発明では、HSBS_NGHBR_CONFIGが‘000’であるならば、MSは、HSBS受信を中止し、そして隣接するBSへアイドルハンドオフを実施して同一のBCMCS_IDを検索し、HSBS_NGHBR_CONFIGが‘001/010’である(すなわち、隣接のBSにおいてサービスが利用できる)ならば、MSは、隣接するBSにおいて受信を継続できるから、HSBS_NGHBR_CONFIGが‘001/010’である隣接のBSが、受信を継続できるBSとして選択されることは明らかである。したがって、本願発明と引用発明とは、「前記少なくとも2つの無線送信器のセルの中からマルチキャスティング・コンテントを受信するための少なくとも1つの無線送信器のセルを前記セル情報に基づいて選択するステップ」を含む点で一致している。

したがって、本願発明と引用発明の一致点・相違点は、次のとおりである。

「同一のマルチキャスティング・コンテントを送信する無線送信器のセルを示すセル情報を少なくとも2つの無線送信器のセルから受信するステップと、
前記少なくとも2つの無線送信器のセルの中からマルチキャスティング・コンテントを受信するための少なくとも1つの無線送信器のセルを前記セル情報に基づいて選択するステップと、
を含む方法。」である点。

[相違点1]
本願発明は、前記少なくとも2つの無線送信器のセルからの受信クオリティを比較するステップを含むのに対して、引用発明には、かかるステップが明記されていない点。

[相違点2]
本願発明は、前記少なくとも2つの無線送信器のセルの中からマルチキャスティング・コンテントを受信するための少なくとも1つの無線送信器のセルを選択するために、セル情報のみでなく、受信クオリティにも基づくのに対して、引用発明にはかかる点が明記されていない点。

[相違点3]
本願発明は、前記受信クオリティを比較するステップが、前記少なくとも2つの無線送信器のセルから受信したパイロット信号の強度及びエラーの少なさのうちの少なくとも1つを比較することを含むのに対して、引用発明には、かかる点が明記されていない点。


第6.相違点についての検討

[相違点1?3について]
ハンドオフを行う際に、ハンドオフ先の候補である複数の基地局からのパイロット信号の強度をMSにおいて比較し、パイロット信号の強度が最強の基地局をハンドオフ先とすることは周知である(必要ならば、特開2002-232928号公報の従来技術を記載した段落番号【0012】の「一般にセルラー無線通信システム1においては、携帯電話機MS1が基地局BS1?BS7から送信される制御チャネル(以下、これをコントロールチャネルCCHと呼ぶ)のパイロット信号を受信してその受信電力をそれぞれ測定し、当該受信電力が最も大きい基地局をハンドオフ先の基地局候補として決定するようになされており、携帯電話機MS1主体でハンドオフ先の基地局候補を模索するようになされている。」という記載参照。)から、引用発明において、ハンドオフ先の候補である二つの基地局からのパイロット信号の強度を比較し、その結果とセル情報とに基づいて、ハンドオフ先を決定することにより、相違点1?3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第7.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-12 
結審通知日 2012-10-18 
審決日 2012-10-31 
出願番号 特願2004-546305(P2004-546305)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
P 1 8・ 03- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 聡史  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 吉村 博之
近藤 聡
発明の名称 マルチキャステイング・コンテントのための選択ダイバーシチを提供する方法及びシステム  
代理人 大浦 博司  
代理人 須田 洋之  
代理人 辻居 幸一  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 大塚 文昭  
代理人 上杉 浩  
代理人 西島 孝喜  
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