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審決分類 審判 査定不服 3号その物の性質を専ら利用する物又はその物を取り扱う物 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01N
管理番号 1272030
審判番号 不服2010-28025  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-10 
確定日 2013-03-27 
事件の表示 特願2000-587606「殺虫性種子コーティング」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 6月22日国際公開、WO00/35277、平成14年10月 2日国内公表、特表2002-532390〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1998年12月14日を国際出願日とする出願であって、
平成21年11月16日付けの拒絶理由通知に対して、平成22年5月24日付けで意見書及び手続補正書の提出がなされるとともに、平成22年6月9日付けで上申書の提出がなされ、
平成22年8月6日付けの拒絶査定に対して、平成22年12月10日付けで審判請求がなされ、
平成24年6月28日付けの審判合議体による拒絶理由通知に対して、平成24年10月2日付けで意見書及び手続補正書の提出がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?26に係る発明は、平成24年10月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?26に記載された事項により特定されるとおりのものであり、
本願の請求項1に係る発明(以下、「本1発明」という。)は、
「a)ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリル酸、セルロース、ポリビニルピロリドンおよびポリサッカライドのポリマーおよびコポリマーからなる群から選択される、1種またはそれ以上の結合剤:b)イミダクロプリドおよびイミダクロプリドアナログ、テルブホス、クロルピリホス、フィプロニル、テフルトリン、クロロエトキシホス、テブピリムホスおよびこれらの混合物からなる群から選択される殺虫剤;および
c)1種またはそれ以上の増量剤
を含み、結合剤が殺虫剤のためのマトリックスを形成し、該結合剤が殺虫剤によりもたらされる種子への植物毒性作用を防止するか、減少させる量で存在し、殺虫剤の量が種子の重量の0.005から50%の範囲であり、そして増量剤が種子の重量の0.01から50%の範囲である、種子用殺虫性コーティング。」
というものであり、本願の請求項21に係る発明(以下、「本2発明」という。)は、
「a)酢酸ビニル-エチレンコポリマーまたは、塩化ビニリデンのポリマーまたはコポリマーまたはそれらの混合物と、珪藻土、真珠岩、シリカ、炭酸カルシウムおよびそれらの混合物から選択される増量剤を、テルブホス、クロルピリホス、フィプロニルまたはテブピリムホス殺虫剤と混合し:
b)混合物を種子に適用し;
c)混合物を該種子上で乾燥させ;そして
d)種子にフィルム保護膜を適用すること:
を含む、被覆種子の製造法。」
というものである。

3.審判合議体による拒絶の理由
平成24年6月28日付けの拒絶理由通知書(以下、「先の拒絶理由通知書」という。)に示した審判合議体による拒絶の理由は、
理由2として、『この出願の請求項1?26に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1?7及び周知例A?Gに記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。』という理由と、
理由5として、『この出願は、下記の点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。』という理由を含むものである。

4.理由5について
先の拒絶理由通知書においては、『本願請求項1に係る発明は「…種子用殺虫性コーティング。」という「物」のカテゴリーに属する発明に関するものであり、…独立形式で記載された本願請求項21に係る発明は、「…被覆種子の製造法。」という「方法」のカテゴリーに属する発明である。…
本願請求項21に係る発明は「d)種子へのフィルム保護膜の適用」を発明の主要部として含むものであるところ、本願請求項1に係る発明…は、…「フィルム保護膜」を適用した「種子用殺虫性コーティング」…に関するものではないことから、
本願請求項1…の「物」の発明に対して、本願請求項21の「方法」の発明が、特許法第37条第3号に掲げる「その特定発明が物の発明である場合において、その物を生産する方法の発明、その物を使用する方法の発明、その物を取り扱う方法の発明、その物を生産する機械、器具、装置その他の物の発明、その物の特定の性質を専ら利用する物の発明又はその物を取り扱う物の発明」という関係にないことは明らかであり、
本願請求項21の「方法」の発明に対して、本願請求項1…の「物」の発明が、同4号に掲げる「その特定発明が方法の発明である場合において、その方法の発明の実施に直接使用する機械、器具、装置その他の物の発明」という関係にないことも明らかであり、
本願請求項1…の「物」のカテゴリーに属する発明と、本願請求項21の「方法」のカテゴリーに属する発明とが、同1?2号に掲げる関係にないことも明らかである。
そして、本願請求項1?26に係る発明の何れか一の発明を特定発明としても、他の請求項に係る発明との関係において、特許法第37条第各号に掲げる関係が成り立ち得るものでもない。
よって、本願特許請求の範囲の各請求項に係る発明は、特許法第37条各号に掲げる関係を満たす発明ではないので、一の願書で特許出願をすることができない。』との指摘がなされている。
これに対して、平成24年10月2日付けの意見書において『審判請求人(出願人)は、同日付提出の手続補正書により新請求項15を補正し、新請求項4の従属項としました。請求項21が請求項1(さらに特定すれば請求項2)の種子用殺虫性コーティングを製造および適用する方法であることは当業者には明らかであります。よって、新請求項1?26は特許法第37条に規定する要件を満たすものであります。』と主張しているが、
本2発明は「d)種子にフィルム保護膜を適用すること:」を発明の主要部として含むのに対して、本1発明は「フィルム保護膜」を適用した「種子用殺虫性コーティング」に関するものではなく、
本1発明は、結合剤が「ポリ酢酸ビニル」などであり、なおかつ、殺虫剤が「イミダクロプリド」などである「種子用殺虫性コーティング」に関するものであるのに対して、本2発明は、当該「ポリ酢酸ビニル」や「イミダクロプリド」などに関係のない「被覆種子の製造法」に関するものであることから、
本1発明又は本2発明の何れか一の発明を特定発明としても、両者の関係において、特許法第37条各号に掲げる関係が成り立ち得ないことは明らかである。
したがって、本願は、特許法第37条に規定する要件を満たしていないから、拒絶をすべきものである。

5.理由2について
(1)引用刊行物及びその記載事項
ア.刊行物1の記載事項
先の拒絶理由通知書において「刊行物1」として引用した「特開平10-33014号公報」には、次の記載がある。

摘記1a:請求項1
「浸透移行性の稲病害虫防除活性成分、結合剤および固体担体からなる固形粒子をそのままか、もしくは該固形粒子にさらに固体担体を加えて混合し、これを稲の種籾に付着させて、水田に直播することを特徴とする、水田における稲病害虫の省力防除方法。」

摘記1b:段落0011?0012及び0016
「本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、水稲の直播栽培をする場合に、殺虫・殺菌剤などの病害虫防除活性成分であって、植物体内を浸透移行して効力を発揮するものであれば、当該活性成分、結合剤および固体担体を混合して粒子とし、当該粒子をそのままか、もしくはさらに固体担体を加えて混合し、この粒子を播種籾の表面に付着させ、これを水田に直播することにより、種籾の発根、発芽率を低下させることなく、その後に稲苗に発生する病害虫を有効に防除しうることが分かった。…
このような本発明をさらに研究したところ、稲病害虫防除活性成分、結合剤および固体担体を混合して粒子とする場合においては、当該粒子径を0.1?2mmの範囲内とすると、籾の発根、発芽率を高くすることが分かった。また、稲病害虫防除活性成分の溶出を制御して徐放化するように調製すると、籾の発根、発芽率を高くし、かつ、種苗の生育期間中、長期間にわたってより高い稲病害虫防除効果が発揮され、本発明の方法により直播すると、省力防除が可能であることが分かった。…
稲病害虫防除活性成分の徐放化を行うと、発根、発芽率を低下させることなく、稲病害虫防除活性成分が徐々に植物体内に吸収されて、長期間にわたって植物体内で効果発現濃度以上になり、その結果、病害虫の発生期間中、高い病害虫防除効果が発揮されるようになる。」

摘記1c:段落0028、0030及び0032
「得られた稲病害虫防除活性成分を含む固形粒子を、直播用水稲籾へ付着させる方法としては、一般の直播用水稲籾の種子処理の通常方法に準じて行う。この際、当該固形粒子をそのまま種籾に付着させてもよいが、さらに固体担体を加えて混合して、この粒子を種籾に付着させてもよく、これらの場合、必要により過酸化カルシウムなどの発芽促進剤などを併用できる。…本発明で用いることができる稲病害虫防除活性成分を例示するが、…2種以上の併用は…殺虫剤同士であっても、また殺菌剤と殺虫剤の組み合わせでもよい。…殺虫剤の例…アセフェート、…イミダクロプリド、など。」

摘記1d:段落0044?0045
「本発明に配合される結合剤は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、…カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、…などが挙げられる。そしてこれらは1種または2種以上を併用することができる。…
固体坦体としては、例えば、クレー、珪石、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、軽石、ケイソウ土、バーミキュライト、パーライト、アタパルジャイト、非晶質含水珪酸など、通常農薬粉剤や粒剤に利用される担体が使用でき、これらの1種または2種以上を併用できる。」

摘記1e:段落0062?0063
「実施例12 アセフェート原末15部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、非晶質含水珪酸としてホワイトカーボン15部およびクレー66.8部を一緒にハンマーミルで粉砕混合し、粉末状原料を得る。この粉末状原料を双腕ニーダーに入れ、27部の水に溶解したポリビニルアルコール3部を加えて、よく混練後、卓上型押し出し造粒機ドームグラン[不二パウダル(株)製 DG-L1型]にて粒径0.7mmで造粒する。整粒後乾燥させて、活性成分を含む粒子100部を得る。…
水稲籾180gをいれた回転型ドラム内に、上記の固形粒子50g、過酸化カルシウム50g、クレー194gおよびカルボキシメチルセルロース6gを投入し、回転撹拌しながら水を少量スプレーし、水稲籾の表面に上記の固形粒子を付着させて乾燥して、直播用水稲籾を得た。」

イ.刊行物2の記載事項
先の拒絶理由通知書において「刊行物2」として引用した「特開平5-279211号公報」には、次の記載がある。

摘記2a:段落0035及び0038
「種子コーティングを行う場合には、有効成分5?20gを増量剤およびバインダーとともにテンサイの種子10,000粒(10a播種相当量)にコーティング処理する。…固体担体(希釈・増量剤)としては、植物性粉末(大豆粉、タバコ粉、小麦粉、木粉等)、鉱物性粉末(カオリン、ベントナイト、酸性白土等のクレイ類、滑石粉、ロウ石粉等のタルク類、珪藻土、雲母粉等のシリカ類等)、アルミナ、硫黄粉末、活性炭等が用いられ、これらは一種または二種以上を適当な割合で混合して適宜使用することができる。」

摘記2b:段落0042、0044、0046及び0056
「本発明において使用できる殺虫剤…の代表例を以下に示す。…
・有機リン系殺虫剤:…アセフェート(acephate)、…クロルピリホス(chlorpyrifos)、…など。…
・その他の殺虫剤:…イミダクロプリド(imidacloprid)、…など。…
・上記以外の農薬活性成分:…フィプロニル(fipronil)、…など。」

ウ.刊行物6の記載事項
先の拒絶理由通知書において「刊行物6」として引用した「国際公開第98/18311号」には、和訳にして、次の記載がある。

摘記6a:請求項1、6、11及び14?16
「1.水溶性ポリマーと、水に不溶性の固体粉体コーティング材料とを含み、種子の重量の約4.5%?30%の重量を有する、小さい種子のための種子コーティング。…
6.水に不溶性の前記固体粉体材料が、砂状ローム、タルク、石灰、粉状木炭、粉状シリカ、石膏、粉状長石、粉状バーミキュライト、カオリンおよび粉状ピートモスから成る群から選択されたものである、請求項1記載の種子コーティング。…
11.殺菌剤を更に含む、請求項1記載の種子コーティング。…
14.前記ポリマーがコーティングの約1%?5%w/wを含み、水に不溶性の前記固体粉体コーティング材料がコーティングの約40%?80%w/wを含み、前記水がコーティングの約30%?50%を含む、請求項1記載の種子コーティング。
15.前記ポリマーがコーティングの約6%を含み、水に不溶性の前記固体粉体コーティング材料がコーティングの約53%を含み、前記水がコーティングの約40%を含む、請求項14記載の種子コーティング。
16.コーティングが種子の約10%を有する、請求項1記載の種子コーティング。」

摘記6b:第2頁第29?31行
「石灰石又は粘土は種子のサイズを徐々に増すのに使用され、ポリマーは結合剤として使用され、コーティングがチッピングしないように保護するものである。」

摘記6c:第3頁第8?13行
「本発明の一実施例では、種子の重量を約4.5%?30%、好ましくは約4.5%?20%、最も好ましくは約9.5?15%増すように、アルファルファの種子に石灰石/ポリマーのコーティングを塗布する。次にこのコーティングは別のポリマーコーティングでシールすることができ、これらコーティングは連続コーティング装置のシステムを使って塗布することが好ましい。」

摘記6d:第5頁第5?29行
「コーティング内で石灰石、ポリマー及び水しか使用しない場合、石灰石はコーティングの約60?80%を含み、ポリマーは約1?10%を含む。…適当な結合剤…ポリサッカライドガム…適当な可塑剤…ポリグリコール…不溶性材料は1つ以上の他の添加剤、例えば…殺虫剤、…殺菌剤、…選択的除草剤の有害作用から種子を保護できる薬剤、例えば活性炭素…を含むこともできる。」

摘記6e:第12頁第15?25行
「実施例2…石灰、殺菌剤、エプロンXL(商標)のような殺菌剤及びポリマー溶液は種子コーティングの重量増加分の薬50%を含む。」

エ.刊行物7の記載事項
先の拒絶理由通知書において「刊行物7」として引用した「米国特許第4383391号明細書」には、和訳にして、次の記載がある。

摘記7a:第2欄第27?30行
「木炭粉末の量は、種子コーティング組成物の後段における濃度に大きく依存するカルバメート殺虫剤の植物毒効果から種子を適切に保護することが要求される。」

摘記7b:第4欄第29?43行
「カルボフランは…トウモロコシ…を害虫被害から保護するのに効果的である。カルボフランが毒性を示す害虫としては…コーン・ルート・ウォーム…が含まれる。種子コーティング組成物のカルバメート層にカルバメート殺虫剤を接着させるのに使用される結合剤としては、種子表面に対して活性炭層を接着させるのに使用される前記結合剤の中から選択することができる。利便上、木炭粉末のバインディングに使用されたものと同じバインダー、すなわち、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンの使用が好ましい。」

摘記7c:第5欄第60行?第6欄第21行
「I.非アルカリ木炭粉末及びカルボフランで被覆したダイズ種子
A.木炭粉末層 200gのダイズ種子がステンレス鋼製コーターの中で攪拌され、攪拌されながら2グラムのゲルバトール20-30(モンサント社製の平均分子量約10,000のポリビニルアルコール)の20重量%水溶液で湿らされた。その後、2グラムのダルコG-60(アトラス化学工業株式会社製の約4?7のpHを有する活性木炭)、及び3グラムの前記ゲルバトール20-30溶液が攪拌中の種子に引き続き添加され、その後に風乾された。種子は従って約1重量%のダルコG-60を含む被覆がなされた。
B.カルボフラン層 101グラムの前記木炭被覆種子がパンコーターに載置された。攪拌しながら、種子は2グラムの工程Aで使用されたゲルバトール20-30溶液で湿らされた。その後、0.67グラムのカルボフラン(種子に対して0.5重量%の活性成分を提供するFMC社の農芸化学部門からのフラダン75DB粉末)が攪拌中の種子に加えられ、それから種子は風乾された。
以上の手法により、ダイズ種子は非アルカリ木炭の内部層とカルボフランの外部層からなる粘着性コーティング物として提供された。」

(2)刊行物1を主引用例とした場合の検討
ア.刊行物1に記載された発明
摘記1aの「害虫防除活性成分、結合剤および固体担体からなる固形粒子をそのままか、もしくは該固形粒子にさらに固体担体を加えて混合し、これを種籾に付着させ…る稲病害虫の省力防除方法。」との記載、
摘記1bの「殺虫・殺菌剤などの病害虫防除活性成分…、結合剤および固体担体を混合して粒子とし、当該粒子をそのまま…播種籾の表面に付着させ、これを水田に直播することにより、種籾の発根、発芽率を低下させることなく、…病害虫を有効に防除しうることが分かった。…稲病害虫防除活性成分の溶出を制御して徐放化するように調製すると、籾の発根、発芽率を高くし、…高い稲病害虫防除効果が発揮」との記載、
摘記1cの「当該固形粒子をそのまま種籾に付着させてもよいが、…必要により過酸化カルシウムなどの発芽促進剤などを併用できる。…害虫防除活性成分…殺虫剤の例…アセフェート、…イミダクロプリド、など。」との記載、
摘記1dの「本発明に配合される結合剤は…ポリビニルアルコール、…カルボキシメチルセルロース、…などが挙げられる。…固体坦体としては…クレー、…非晶質含水珪酸など…が使用でき」との記載、及び
摘記1eの「実施例12 アセフェート原末15部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、非晶質含水珪酸としてホワイトカーボン15部およびクレー66.8部を…粉砕混合し、…ポリビニルアルコール3部を加えて、…活性成分を含む粒子100部を得る。…水稲籾180gをいれた回転型ドラム内に、上記の固形粒子50g、過酸化カルシウム50g、クレー194gおよびカルボキシメチルセルロース6gを投入し、…水稲籾の表面に上記の固形粒子を付着させて乾燥して、直播用水稲籾を得た。」との記載からみて、刊行物1には、
『害虫防除活性成分(アセフェート原末15部)、結合剤(ポリビニルアルコール3部)および固体担体(非晶質含水珪酸としてホワイトカーボン15部およびクレー66.8部)からなる固形粒子50gをそのままか、もしくは該固形粒子にさらに固体担体(クレー194g)、発芽促進剤(過酸化カルシウム50g)および結合剤(カルボキシメチルセルロース6g)を加えて混合し、これを種籾180gの表面に付着させてなる籾の発根、発芽率を高くする害虫の防除方法。』についての発明(以下、「刊1発明」という。)が記載されている。

イ.対比
本1発明と刊1発明とを対比する。
先ず、刊1発明の「害虫防除活性成分(アセフェート原末15部)」は、摘記1cの「害虫防除活性成分…殺虫剤の例…アセフェート、…イミダクロプリド、など。」との記載からみて、本1発明の「殺虫剤」に相当し、その活性成分の種籾に対する配合量は、50×0.15÷180=4.2%となることから、本1発明の「殺虫剤の量が種子の重量の0.005から50%の範囲」を満たすものと認められる。
次に、刊1発明の「結合剤(ポリビニルアルコール3部)」は、本1発明の「a)…ポリビニルアルコール…の結合剤」に相当し、摘記1eの「アセフェート原末15部…水に溶解したポリビニルアルコール3部を加えて、よく混練後、…造粒する。整粒後乾燥させて、活性成分を含む粒子100部を得る。」との記載にあるように、刊1発明の「害虫防除活性成分(アセフェート原末15部)」と一緒に「よく混練」されて「活性成分を含む粒子」を形成しているものであるから、本1発明の「結合剤が殺虫剤のためのマトリックスを形成し」を満たすものと認められ、
その配合量については、刊1発明の「固形粒子50gをそのまま…種籾180gの表面に付着」させた場合においては種子に対して50×0.03÷180=0.83%の量となり、刊1発明の「もしくは該固形粒子にさらに…結合剤(カルボキシメチルセルロース6g)を加えて混合し、これを種籾180gの表面に付着」させた場合の「結合剤(カルボキシメチルセルロース6g)」という任意成分としての結合剤を含めた場合においては種子に対して4.2%の量となるところ、どちらの場合も本願請求項14に記載された「結合剤が種子の重量の0.01から15%の範囲」及び本願明細書の段落0019の「コーティング中の結合剤の量は、…好ましい範囲は、種子の重量の約0.1から10.0%である。」という数値範囲を満たしており、しかも、摘記1bの「稲病害虫防除活性成分の溶出を制御して徐放化するように調製すると、籾の発根、発芽率を高くし、…高い稲病害虫防除効果が発揮」との記載にあるように、刊1発明の固形粒子(及び任意成分)の調製は害虫防除活性成分の溶出を制御して発根率及び発芽率を高めるようになされているものであるから、本1発明の「それが殺虫剤によりもたらされる種子への植物毒性作用を防止するか、減少させる量で存在し」を満たすものと認められる。
また、刊1発明の「固体担体(非晶質含水珪酸としてホワイトカーボン15部およびクレー66.8部)」は、摘記2aの「固体担体(希釈・増量剤)としては、…クレイ類、…シリカ類等」との記載にあるように「希釈・増量剤」として機能する周知慣用の成分であって、本願明細書の段落0021の「製剤中の増量剤は当分野で既知であり、木粉、粘土、活性炭素、糖、珪藻土、殻粉、微粒子無機固体、炭酸カルシウム等を含む。…好ましい増量剤は、…シリカ…を含む。」との記載における「粘土」及び「シリカ」に相当する成分であるから、本1発明の「c)1個またはそれ以上の増量剤」に相当し、
その配合量については、刊1発明の「固形粒子50gをそのまま…種籾180gの表面に付着」させた場合においては種子に対して50×(0.15+0.668)÷180=22.7%の量となり、刊1発明の「もしくは該固形粒子にさらに固体担体(クレー194g)…を加えて混合し、これを種籾180gの表面に付着」させた場合の「固体担体(クレー194g)」という任意成分としての固体担体を含めた場合においては種子に対して131%の量となるので、場合によっては、本1発明の「増量剤が種子の重量の0.01から50%の範囲」を満たすものと認められる。
そして、刊1発明の「これを種籾180gの表面に付着させてなる籾の発根、発芽率を高くする害虫の防除方法」は、摘記1cの「害虫防除活性成分を含む固形粒子を…稲籾へ付着させる方法としては、一般の直播用水稲籾の種子処理の通常方法に準じて行う。」との記載にあるように、殺虫性の「害虫防除活性成分(アセフェート原末15部)」を含む固形粒子を通常の種子処理に準じて付着させているものであるから、被覆形態を問わない本1発明の「種子用殺虫性コーティング」に相当する。

してみると、本1発明と刊1発明は、
『a)ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリル酸、セルロース、ポリビニルピロリドンおよびポリサッカライドのポリマーおよびコポリマーからなる群から選択される、1種またはそれ以上の結合剤:b)殺虫剤;およびc)1種またはそれ以上の増量剤を含み、結合剤が殺虫剤のためのマトリックスを形成し、該結合剤が殺虫剤によりもたらされる種子への植物毒性作用を防止するか、減少させる量で存在し、殺虫剤の量が種子の重量の0.005から50%の範囲である、種子用殺虫性コーティング。』に関するものである点において一致し、
(α)殺虫剤の種類が、本1発明においては「イミダクロプリドおよびイミダクロプリドアナログ、テルブホス、クロルピリホス、フィプロニル、テフルトリン、クロロエトキシホス、テブピリムホスおよびこれらの混合物からなる群から選択される」のに対して、刊1発明においては「アセフェート原末」である点、
(β)増量剤の量が、本1発明においては「種子の重量の0.01から50%の範囲」であるのに対して、刊1発明の『固形粒子にさらに固体担体を加えた場合』においては『131%』である点、
の2つの点において一応相違する。

ウ.判断
上記(α)及び(β)の相違点について検討する。

先ず、上記(α)の相違点について、一般に『一定の課題を解決するために公知材料の中からの最適材料の選択、数値範囲の最適化又は好適化、均等物による置換』などは当業者の通常の創作能力の発揮であり、害虫に対応する殺虫成分を選択することも当業者が普通に行う設計事項であるところ、
摘記1cの「本発明で用いることができる稲病害虫防除活性成分を例示する…アセフェート、…イミダクロプリド、など。」との記載、及び摘記2bの「クロルピリホス…イミダクロプリド…フィプロニル」との記載にあるように、本1発明の「イミダクロプリド」等の殺虫剤成分は、種子コーティング用の殺虫剤成分として周知慣用の成分となっており、特に「イミダクロプリド」は刊行物1において「本発明で用いることができる稲病害虫防除活性成分」の例示として「アセフェート」とともに羅列されている害虫防除活性成分であるから、
刊1発明の「害虫防除活性成分(アセフェート原末15部)」の種類を刊行物1?2などに例示される周知慣用の成分、なかんづく刊行物1に「アセフェート」とともに列挙されている「イミダクロプリド」に置き換えることは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲内である。

次に、上記(β)の相違点について、刊1発明の固体単体(増量剤)の量は「固形粒子50gをそのまま…種籾180gの表面に付着」させた場合においては種子に対して『22.7%』の量となるので、この点について両者に実質的な差異があるとは認められない。
よしんば相違するとしても、摘記1bの「稲病害虫防除活性成分の溶出を制御して徐放化するように調製すると、籾の発根、発芽率を高くし、…高い稲病害虫防除効果が発揮」との記載にあるように、刊1発明の固形粒子(及び任意成分)の調製は害虫防除活性成分の溶出を制御して発根率及び発芽率を高めるようになされているものであって、本願明細書の段落0022の「増量剤は、…活性成分の制御放出の調節のために使用する。」との記載における使用目的と軌を一にするものであるから、刊1発明の「固体担体」の配合量の数値範囲を、対象となる種子の種類(植物の種類に応じた有効成分に対する耐性や種子の形状や大きさ)、使用する殺虫剤の種類(有効成分の種類に応じた植物毒性作用の大小)、使用する増量剤の種類などに応じて適宜最適化することは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲内である。
また、摘記6aからみて、刊行物6の請求項1、6、11、15及び16には、『水溶性ポリマーをコーティングの約6%w/wと、水に不溶性の固体粉体コーティング材料(石灰、粉状木炭、粉状シリカ等)をコーティングの約53%w/wと、殺菌剤を更に含み、種子の重量の約10%の重量を有する種子コーティング。』についての発明が記載されているものと認められるところ、この場合の増量剤(水に不溶性の固体粉体コーティング材料)の量は『種子の重量の約5.3%』となるので、本1発明の「種子の重量の0.01から50%の範囲」という数値範囲は、当業者にとって通常の数値範囲を示したにすぎないものと認められる。

最後に、本1発明の効果について検討する。
平成24年10月2日付けの意見書において、審判請求人は、『拒絶理由通知書においてご指摘のあった「処理5」についてのデータは本願発明の実施可能性と無関係であります。この処置は活性成分としてCaptan400殺菌剤を含んでおり、すなわち、本願発明の殺虫剤ではありません(段落番号【0061】参照)。本願発明の評価に際して重要であるのは、本願発明の特定の組合せの種子コーティングが既存のものと比べて植物毒性が低いことにあり、これは実施例3および4の結果から明らかであります。実施例3においては、段落番号【0062】の表1中、処理1(a)(土壌で7日後に95%)と処理1(b)(土壌で7日後に80%)の発芽率の差異から、結合剤を除いた場合には発芽率が下がることが明らかであります。これは、本願発明のコーティングから結合剤を除くことにより植物毒性が高まることを示唆します。段落番号【0064】の表2において、増量剤含有製剤(C(1))が発芽率および出芽率とも優れており、これもまた本願発明のコーティングの植物毒性の低さを証明するものであります。』との主張をしている。
しかして、刊1発明の結合剤の量は、本願明細書の段落0019の「コーティング中の結合剤の量は、…好ましい範囲は、種子の重量の約0.1から10.0%である。」という数値範囲を満たすものであり、なおかつ、刊1発明は、摘記1bの「当該活性成分、結合剤および固体担体を混合して粒子とし、…稲病害虫防除活性成分の溶出を制御して徐放化するように調製すると、籾の発根、発芽率を高くし、かつ、…高い稲病害虫防除効果が発揮」との記載にあるように発芽率を高めることを課題としたものであって、このように発芽率を高めるための刊1発明において必須成分とされる「結合剤」を除いた場合に発芽率が下がることは刊行物1の記載から自明であるから、
本願明細書の「表1」における処理1(a)と処理1(b)を対比した場合の「結合剤を除いた場合には発芽率が下がる」という結果は当業者が容易に予想し得ることである。
また、刊行物7の「木炭粉末の量は…カルバメート殺虫剤の植物毒効果から種子を適切に保護することが要求される。」との記載(摘記7a)、及び刊行物6の「選択的除草剤の有害作用から種子を保護できる薬剤、例えば活性炭素…を含むこともできる。」との記載(摘記6d)にあるように、増量剤などの配合成分が適量で配合された種子用コーティングにおいて、病害虫の防除活性成分による有害作用から種子が保護される作用が発揮され得ることは、当業者にとって「通常の知識」の範囲内の技術常識にすぎないことであり、なおかつ、発芽率を高めることを課題としている刊1発明において必須成分とされる「固体担体」を除いた場合に発芽率が下がることも刊行物1の記載から自明であるから、
本願明細書の「表2」における「増量剤含有製剤(C(1))が発芽率および出芽率とも優れており…本願発明のコーティングの植物毒性の低さを証明する」という結果も当業者が容易に予測し得ることである。
加えて、本願明細書の段落0062の表1の結果においては、本1発明の実施例に相当する「処理2」及び「処理4」の結果(コーン出芽率が81%及び86%)は、本1発明の実施例に相当しない「処理5」の結果(同87%)よりも劣っており、同段落0066の表3の結果においても、本1発明の実施例に相当する「実施例1(a)」?「実施例1(d)」の結果(最低の3.0から最高の3.55までの根評価)は、本1発明の実施例に相当しない「キャプタンのみ」の結果(4.7の根評価)よりも劣っている。
ひっきょう、刊1発明の「籾の発根、発芽率を高く」する害虫の防除方法において、対象作物の「発根率」の改善等の効果が得られていることは明らかであるから、本1発明に格別予想外の顕著な効果は認められない。

したがって、本1発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(3)刊行物7を主引用例とした場合の検討
ア.刊行物7に記載された発明
摘記7cの「A.木炭粉末層 200gのダイズ種子が…攪拌されながら2グラムのゲルバトール20-30(…ポリビニルアルコール)の20重量%水溶液で湿らされた。その後、2グラムのダルコG-60(…活性木炭)、及び3グラムの前記ゲルバトール20-30溶液が攪拌中の種子に引き続き添加され、その後に風乾された。種子は従って約1重量%のダルコG-60を含む被覆がなされた。B.カルボフラン層 101グラムの前記木炭被覆種子…は2グラムの工程Aで使用されたゲルバトール20-30溶液で湿らされた。その後、0.67グラムのカルボフラン(種子に対して0.5重量%の活性成分を提供するFMC社の農芸化学部門からのフラダン75DB粉末)が攪拌中の種子に加えられ、それから種子は風乾された。以上の手法により、ダイズ種子は非アルカリ木炭の内部層とカルボフランの外部層からなる粘着性コーティング物として提供された。」との記載、及び
摘記7bの「種子コーティング組成物のカルバメート層にカルバメート殺虫剤を接着させるのに使用される結合剤としては、…ポリビニルアルコール…の使用が好ましい。」との記載からみて、刊行物7には、
『ダイズ種子に対して、内部層(木炭粉末層)が結合剤(ポリビニルアルコール)0.5重量%〔=(2+3)×0.2÷200〕及び活性木炭1重量%を含み、外部層(カルボフラン層)が結合剤(ポリビニルアルコール)0.4重量%〔=2×0.2÷(101-0.5-1)〕及びカーバメート殺虫剤(カルボフラン)0.5重量%を含む、内部層と外部層からなる粘着性コーティング物。』に関する発明(以下、「刊7発明」という。)が記載されている。

イ.対比
本1発明と刊7発明とを対比する。
刊7発明の「結合剤(ポリビニルアルコール)0.5重量%」及び「結合剤(ポリビニルアルコール)0.4重量%」は、本1発明の「a)ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリル酸、セルロース、ポリビニルピロリドンおよびポリサッカライドのポリマーおよびコポリマーからなる群から選択される、1種またはそれ以上の結合剤」に相当するとともに、その配合量(合計で0.9重量%)が本願請求項14に記載された「結合剤が種子の重量の0.01から15%の範囲」を満たしているから、本1発明の「該結合剤が殺虫剤によりもたらされる種子への植物毒性作用を防止するか、減少させる量で存在し」に相当し、
刊7発明の「カーバメート殺虫剤(カルボフラン)0.5重量%」は、本1発明の「b)…殺虫剤」に相当するとともに、本1発明の「殺虫剤の量が種子の重量の0.005から50%の範囲であり」に相当し、
刊7発明の「活性木炭1重量%」は、本願明細書の段落0021の「製剤中の増量剤は当分野で既知であり、木粉、粘土、活性炭素、糖、珪藻土、殻粉、微粒子無機固体、炭酸カルシウム等を含む」との記載における「活性炭素」に相当する成分であるから、本1発明の「c)1種またはそれ以上の増量剤」に相当するとともに、本1発明の「増量剤が種子の重量の0.01から50%の範囲である」に相当し、
刊7発明の「内部層と外部層からなる粘着性コーティング物」は、摘記7bの「種子コーティング組成物の…カルバメート殺虫剤」との記載にあるように、殺虫性の種子コーティングを被覆させてなるものであるから、本1発明の「種子用殺虫性コーティング」に相当する。

してみると、本1発明と刊7発明は、『a)ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリル酸、セルロース、ポリビニルピロリドンおよびポリサッカライドのポリマーおよびコポリマーからなる群から選択される、1種またはそれ以上の結合剤:b)殺虫剤;およびc)1種またはそれ以上の増量剤を含み、該結合剤が殺虫剤によりもたらされる種子への植物毒性作用を防止するか、減少させる量で存在し、殺虫剤の量が種子の重量の0.005から50%の範囲であり、そして増量剤が種子の重量の0.01から50%の範囲である、種子用殺虫性コーティング。』に関するものである点において一致し、
(α)殺虫剤の種類が、本1発明においては「イミダクロプリドおよびイミダクロプリドアナログ、テルブホス、クロルピリホス、フィプロニル、テフルトリン、クロロエトキシホス、テブピリムホスおよびこれらの混合物からなる群から選択される」のに対して、刊7発明においては「カーバメート殺虫剤(カルボフラン)」である点、
(γ)結合剤が、本1発明においては「殺虫剤のためのマトリックスを形成し」とされているのに対して、刊7発明においては「殺虫剤のためのマトリックスを形成し」とされていない点、
の2つの点において一応相違する。

ウ.判断
上記(α)及び(γ)の相違点について検討する。

先ず、上記(α)の相違点について、害虫に対応する殺虫成分を選択することは当業者が普通に行う設計事項であるところ、摘記1cの「種子処理…本発明で用いることができる稲病害虫防除活性成分を例示する…アセフェート、…イミダクロプリド、など。」との記載、並びに摘記2a及び2bの「種子コーティング…本発明において使用できる殺虫剤…クロルピリホス…イミダクロプリド…フィプロニル」との記載にあるように、本1発明の「イミダクロプリド」等の殺虫剤成分は、特に種子コーティング用の殺虫剤成分として周知慣用の成分となっていることから、刊7発明の「カーバメート殺虫剤(カルボフラン)」を刊行物1?2などに例示される種子コーティング用として周知慣用の殺虫剤成分に置き換えることは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲内である。

次に、上記(γ)の相違点について、刊7発明の「外部層(カルボフラン層)」は、摘記7bの「種子コーティング組成物のカルバメート層にカルバメート殺虫剤を接着させるのに使用される結合剤」との記載からみて、当該層内において結合剤が殺虫剤を接着させるための『マトリックス』を形成していることが明らかであって、本1発明の「結合剤が殺虫剤のためのマトリックスを形成し」を満たすものと認められるから、この点について両者に実質的な差異は認められない。

そして、本1発明の効果について検討するに、殺虫剤の種類を「イミダクロプリド」等の周知慣用の殺虫剤成分に特定することによって、格別予想外の顕著な効果が得られるとは認められないので、本1発明に格別予想外の顕著な効果は認められない。

したがって、本1発明は、刊行物7及び1?2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

6.むすび
以上のとおり、本1発明は、刊行物1?2及び7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
また、本願は、特許法第37条に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-25 
結審通知日 2012-10-30 
審決日 2012-11-12 
出願番号 特願2000-587606(P2000-587606)
審決分類 P 1 8・ 643- WZ (A01N)
P 1 8・ 121- WZ (A01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福島 芳隆  
特許庁審判長 井上 雅博
特許庁審判官 大畑 通隆
木村 敏康
発明の名称 殺虫性種子コーティング  
代理人 田中 光雄  
代理人 冨田 憲史  
代理人 山崎 宏  
代理人 志賀 美苗  
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