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審決分類 審判 全部無効 特174条1項  H04N
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  H04N
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 全部無効 産業上利用性  H04N
審判 全部無効 2項進歩性  H04N
管理番号 1272753
審判番号 無効2011-800189  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-09-30 
確定日 2013-04-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4612747号発明「サーバ、利用者装置、プログラム、及び、指標処理方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4612747号の請求項2ないし8に係る発明についての特許を無効とする。 特許第4612747号の請求項1に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その8分の1を請求人の負担とし、8分の7を被請求人の負担とする。 
理由 第1 経緯
1 本件出願
特許第4612747号(以下、「本件特許」ともいう)に係る出願(以下、「本件出願」ともいう)の経緯は次のとおり。
出願 平成22年 7月14日
(特願2010-160000
(遡及出願日)平成13年 9月18日
平成13年9月18日に出願した特願2001-283242号の一部を平成20年12月19日に新たな特許出願とした特願2008-324143号の一部を平成22年7月14日に新たな特許出願とした出願)
補正書 平成22年 8月27日
上申書 平成22年 8月27日
特許査定 (起案日)平成22年 9月13日
登録 平成22年10月22日
(特許第4612747号
請求項の数 8
権利者 エイディシーテクノロジー株式会社 )

2 訂正審判
本件特許に係る本件審判請求前に確定している訂正審判の経緯は次のとおり。
訂正審判請求 平成22年11月30日
(審判2010-390119
請求の趣旨 特許第4612747号の特許請求の範囲及び明細書を、請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求める)
審決 (審決日)平成22年12月28日
(確定日)平成23年 1月 7日
(審決の要旨 訂正許可 (登録日)平成23年 1月18日)

3 本件無効審判の経緯
無効審判請求書(請求人) 平成23年 9月30日
(甲1ないし16号証添付)
答弁書(被請求人) 平成23年12月26日
(説明図1、2、乙1ないし7号証添付)
訂正請求書(被請求人) 平成23年12月26日
(訂正特許請求の範囲、訂正明細書添付)
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成24年 2月 7日
(甲17ないし23号証添付)
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成24年 2月21日
(乙8ないし16号証添付)
口頭審理 平成24年 2月28日

第2 本件特許
本件特許は訂正審判2010-390119において訂正された特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。

【請求項1】
番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置が用いられて視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する視聴番組状況受信手段と、
前記利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する録画予約番組状況受信手段と、
前記視聴番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて、現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、
前記録画予約番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて、番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と、
前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する指標送信手段と、
を備えることを特徴とするサーバ。

【請求項2】
請求項1に記載のサーバにおいて、
前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段をさらに備えること、
を特徴とするサーバ。

【請求項3】
請求項2に記載のサーバにおいて、
前記番組表データ送信手段は、放送中の番組と同時に前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表が表示可能なよう構成された前記番組表データを送信すること、
を特徴とするサーバ。

【請求項4】
番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置であって、
放送中の番組であって現在視聴されている番組を特定可能な情報である視聴状況情報をサーバへ送信する視聴状況情報送信手段と、
録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を前記サーバへ送信する録画予約状況情報送信手段と、
各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標と、各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標とを受信する指標受信手段と、
前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけて表示可能なよう構成された番組表データをサーバから受信する番組表データ受信手段と、
前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする利用者装置。

【請求項5】
請求項4に記載の利用者装置において、
前記出力手段は、現在視聴されている番組と同時に一画面において視聴者が視聴可能なよう前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表を出力すること、
を特徴とする利用者装置。

【請求項6】
番組の視聴操作及び録画予約が可能なコンピュータである利用者装置に実行させるためのプログラムであって、
放送中の番組であって現在視聴されている番組を特定可能な情報である視聴状況情報をサーバへ送信する視聴状況情報送信ステップと、
録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を前記サーバへ送信する録画予約状況情報送信ステップと、
各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標と、各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標とを前記サーバから受信する指標受信ステップと、
前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけて表示可能なよう構成された番組表データをサーバから受信する番組表データ受信ステップと、
前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力ステップと、
を前記利用者装置に実行させるプログラム。

【請求項7】
請求項6に記載のプログラムにおいて、
前記出力ステップは、現在視聴されている番組と同時に一画面において視聴者が視聴可能なよう前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表を出力すること、
を特徴とするプログラム。

【請求項8】
番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置によって視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する視聴番組状況取得ステップと、
前記利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する録画予約番組状況取得ステップと、
前記視聴番組状況取得ステップにより取得された各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて、現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標を算出する視聴指標算出ステップと、
前記録画予約番組状況取得ステップにより取得された各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて、番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標を算出する録画予約指標算出ステップと、
前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送出する番組表データ送出ステップと、
前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送出する指標送出ステップと、
を含むことを特徴とする指標処理方法。

第3 請求、答弁
1 請求の主旨
1.特許第4612747号の請求項1ないし請求項8に記載の発明についての特許を無効とする
2.審判費用は被請求人の負担とする
との審決を求める。

2 無効理由及び証拠方法
請求人は本件特許第4612747号について、本件特許1、発明全体として本件発明1、請求項1ないし8に係る発明を本件発明1-1ないし8と整理して主張するので、以下、本件特許について「本件特許1」、「本件発明1」、本件特許の請求項1ないし請求項8に係る発明について「本件発明1-1」ないし「本件発明1-8」ともいう。

(1)無効理由1(進歩性)
本件発明1-1は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせて当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1-1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(2)無効理由2(進歩性)
本件発明1-2は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1-2は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(3)無効理由3(進歩性)
本件発明1-3は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1-3は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(4)無効理由4(進歩性)
本件発明1-4は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1-4は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(5)無効理由5(進歩性)
本件発明1-5は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1-5は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(6)無効理由6(進歩性)
本件発明1-6は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1-6は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(7)無効理由7(進歩性)
本件発明1-7は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1-7は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(8)無効理由8(進歩性)
本件発明1-8は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものである。よって、本件発明1-8は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(9)無効理由9(新規事項)
本件発明1-1ないし本件発明1-8は、平成22年8月27日付手続補正書による補正事項1ないし7が新規事項追加補正に該当する。よって、本件発明1-1ないし本件発明1-8は、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないものである。
ア 無効理由9-1(補正事項1)
現在放送中の番組の視聴者の数の絶対値を算出し、送信ないし送出し、受信し、かつ表示することは、当業者にとって、新たな技術的事項を導入するものであり、それ故、仮に本件発明1-1、1-4、1-6及び1-8に係る「現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標」との記載が、単なる現在放送中の番組の視聴者の数の絶対値をも含むものと解釈されるとすれば、同記載に係る補正事項1(視聴指標)は、「願書に最初に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではないことが明らかである。

イ 無効理由9-2(補正事項2)
番組の録画予約の数の絶対値を算出し、送信ないし送出し、受信し、かつ表示することは、当業者にとって、新たな技術的事項を導入するものであり、それ故、仮に本件発明1-1、1-4、1-6及び1-8に係る「番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標」との記載が、単なる番組の録画予約の数の絶対値をも含むものと解釈されるとすれば、同記載に係る補正事項2(録画予約指標)は、「願書に最初に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではないことが明らかである。

ウ 無効理由9-3(補正事項3)
調査者側のサーバ以外の利用者側端末等が視聴指標を算出することは、当業者にとって、新たな技術的事項を導入するものであり、それ故、仮に本件発明1-1、1-4、1-6及び1-8に係る「視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」(請求項1)、「前記サーバにおいて算出された・・・視聴指標」(請求項4及び6)及び「視聴指標を算出する視聴指標算出ステップ」(請求項8)との記載が、サーバ以外の利用者側端末等が視聴指標を算出することをも含むものと解釈されるとすれば、同記載に係る補正事項3(視聴指標の算出主体)は、「願書に最初に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではないことが明らかである。

エ 無効理由9-4(補正事項4)
調査者側のサーバ以外の利用者側端末等が録画予約指標を算出することは、当業者にとって、新たな技術的事項を導入するものであり、それ故、仮に本件発明1-1、1-4、1-6及び1-8に係る「録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」(請求項1)、「各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された・・・録画予約指標」(請求項4及び6)及び「録画予約指標を算出する録画予約指標算出ステップ」(請求項8)との記載が、調査者側のサーバ以外の利用者側端末等が録画予約指標を算出することをも含むものと解釈されるとすれば、同記載に係る補正事項4(録画予約指標の算出主体)は、「願書に最初に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではないことが明らかである。

オ 無効理由9-5(補正事項5)
視聴指標と録画予約指標とを組み込んで表示する対象が放送時間帯とは無関係な番組のリストであるものは、当業者にとって、新たな技術的事項を導入するものであり、それ故、仮に本件発明1-1、1-4、1-6及び1-8に係る「番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標」(請求項1及び8)並びに「前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけて表示可能なよう構成された番組表データ」及び「前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表」(請求項4及び6)との記載が、視聴指標と録画予約指標とを組み込んで表示する対象が放送時間帯とは無関係な番組のリストであるものをも含むものと解釈されるとすれば、同記載に係る補正事項5(番組表)は、「願書に最初に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではないことが明らかである。

カ 無効理由9-6(補正事項6)
調査者側装置(サーバ)以外のサーバから番組表データを送信ないし受信するものは、当業者にとって、新たな技術的事項を導入するものであり、それ故、仮に本件発明1-2、1-4、1-6及び1-8に係る「前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段をさらに備えること、を特徴とするサーバ」(請求項2)、「番組表データをサーバから受信する番組表データ受信手段」(請求項4)、「番組表データをサーバから受信する番組表データ受信ステップ」(請求項6)及び「番組表データを送出する番組表データ送出ステップ」(請求項8)との記載が、調査者側装置(サーバ)以外のサーバから番組表データを送信ないし受信するものをも含むものと解釈されるとすれば、同記載に係る補正事項6(番組表データの送信(送出)主体)は、「願書に最初に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではないことが明らかである。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
当初明細書等には、視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方を組み込んだ番組表が、調査者側の番組表作成手段によって作成され、該作成された番組表が、調査者側の番組表送信手段によって送信され、利用者装置によって受信され、表示されることが記載されているのみであり、番組表とは別体の視聴率や録画率自体が調査者側のサーバから送信され、利用者装置によって受信され、及び/又は利用者装置において視聴率や録画率とは別体の番組表自体を特に調査者側のサーバ以外から受信し、更にこのような別体の視聴率や録画率と番組表に基づいて利用者装置において視聴率や録画率を組み込んで番組表を作成し、表示することは、当初明細書等には記載されておらず、また、当初明細書等の記載に接した当業者に自明の事項でもなく、さらには、当業者にとって当初明細書等の記載のすべてを総合することにより導かれる技術的事項でもない。
したがって、このような当初明細書等の記載のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において、「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信(送出)する」(請求項1(及び8))、並びに、「視聴指標と、・・・録画予約指標とを(・・・)受信する指標受信手段(ステップ)と、・・・番組表データを・・・受信する番組表データ受信手段(ステップ)と、前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力手段(ステップ)」(請求項4(及び6))、との記載に係る補正事項7(視聴指標、録画予約指標及び番組表の送信(送出)、受信及び出力態様)は、当業者にとって、新たな技術的事項を導入するものであり、それ故、「願書に最初に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではないことが明らかである。

(10)無効理由10(明確性)
本件発明1-8は、明確性が欠如している。よって、本件発明1-8は、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができないものである。

本件発明1-8においては、各ステップの主体が明記されていないため、本件発明1-8は、人間が各ステップを実行する方法という「人間の精神活動による方法」とも、人間がコンピュータを操作して各ステップを実行する方法という「コンピュータという計算道具を操作する方法」とも、コンピュータ(が備える手段)が各ステップを実行する方法という「コンピュータ・ソフトウエアによる情報処理方法」とも解釈することができる。
このように、本件発明1-8は、本来別々の請求項に記載すべき「人間の精神活動による方法」、「コンピュータという計算道具を操作する方法」及び「コンピュータ・ソフトウエアによる情報処理方法」という異なる概念を一の請求項に含んでいるために、明確に把握することができないものである(特許庁審査基準第VII部第1章1.1.3(1)例1(甲10、4?5頁)参照)。
したがって、本件発明1-8は、明確でない。

(11)無効理由11(非発明)
本件発明1-8は、非発明である。よって、本件発明1-8は、特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができないものである。

本件発明1-8は、・・・、全体として、利用者装置から視聴状況情報及び録画予約状況情報を取得し、該取得された視聴状況情報及び録画予約状況情報に基づいて、視聴指標及び録画予約指標を算出し、番組表データを送出し、算出された視聴指標及び録画予約指標を送出する、という人間がその精神活動又は機械の操作に基づいて行うこともできる人為的に決められた手順を規定するだけのものである。
したがって、本件発明1-8は、「全体として・・・手段を道具として用いる人為的取決めそのもの」(特許庁審査基準第VII部第1章事例2-4(甲10、42?45頁)参照)に過ぎないものであり、自然法則を利用したものではないから、特許法第2条に定義する「発明」ということはできない。
また、特許庁審査基準第VII部第1章2.2.1(甲10、11?12頁)によれば、コンピュータ・ソフトウエア関連発明については、「『ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている』場合、当該ソフトウエアは『自然法則を利用した技術的思想の創作』である」とされているところ、本件発明1-8においては、各ステップの情報処理の主体となるハードウエア資源が明記されていないため、ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているとはいえない。
したがって、この点からも、本件発明1-8は、自然法則を利用した技術的思想の創作ということはできず,特許法第2条に定義する「発明」ということはできない。

(12)無効理由12(実施可能要件)
本件発明1-8は、実施可能要件を満たしていない。よって、本件発明1-8は、特許法第36条第4項第1号の規定により特許を受けることができないものである。

仮に本件発明1-8の各ステップの動作主体がサーバ(調査者側装置)以外のものをも含むと解釈されるならば、本件発明1-8は、実施可能要件に違反する。
すなわち、本件特許1に関する訂正審判事件(訂正2010-390119)に係る平成22年11月30日付訂正審判請求書に添付された明細書(以下、「本件訂正明細書」という。)(甲14[請求書で甲3とするのは誤記と認める。])の記載及び図面(甲15[請求書で甲2とするのは誤記と認める。])の記載からみて、本件発明1の課題は、いわゆる電子番組表の提供を受けた利用者が電子番組表を利用して行った視聴・録画に対する視聴率・録画率を調査することができる技術を提供することである。本件訂正明細書には、この課題を解決するための発明として、利用者が電子番組表を利用して行った視聴・録画に対する視聴率・録画率を算出する第1発明、視聴率・録画率の算出に加えて、算出された視聴率・録画率を電子番組表に組み込み、視聴率・録画率が組み込まれた電子番組表を利用者装置に送信し、利用者装置上で表示する第2発明が、それぞれ、本件訂正明細書の段落【0005】の後半及び段落【0016】に示される課題解決手段並びに実施例としての第1実施形態、本件訂正明細書の段落【0005】の前半、段落【0013】及び段落【0024】に示される課題解決手段並びに実施例としての第2実施形態として記載されている。本件発明1-8は、このうち第2発明に対応するものである。
そこで、第2発明についての本件訂正明細書の開示について更に詳細に検討すると、その作用効果として視聴率・録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることができることが記載されている(段落【0015】、【0025】、【0068】)から、本件発明1-8は、視聴率・録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることを可能とするためのものである。
そこで、視聴率・録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることを可能とするための構成としてどのような構成が本件訂正明細書に開示されているかについて検討すると、調査者側の算出手段によって算出された視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方が組み込まれた番組表が、調査者側の番組表作成手段によって作成され、該作成された番組表が、調査者側の番組表送信手段によって送信され、利用者装置によって受信され、表示される構成が開示されている(段落【0005】の後半、【0013】、【0016】、【0024】、【0041】、【0048】、【0063】?【0067】)のみであり(なお、段落【0005】の前半に示される構成は請求項1の記載の再掲にすぎない。)、それ以外の構成、例えば、調査者側の算出手段による視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方の算出、調査者側の算出手段によって算出された視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方が組み込まれた番組表の作成、並びに、作成された番組表の送信を、調査者側装置以外の装置により実施するための具体的な手法は不明である。なぜならば、第2発明に対応する本件発明1-8は、視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方が組み込まれた番組表を利用者装置に表示することによって、視聴率・録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることを可能とするものであるところ、視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方が組み込まれた番組表の作成は、調査者側の算出手段によって算出された視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方に基づいて行われるものであるから、そのような番組表の作成及び作成された番組表の送信は、当業者の技術常識からみて、調査者側装置によって行われることしか想定できず、また調査者側装置以外の装置により実施するための具体的な手法は、本件訂正明細書に開示されておらず、当業者の技術常識に照らしても不明であるからである。
したがって、本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1-8の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

(13)無効理由13(サポート要件)
本件発明1-8は、サポート要件を満たしていない。よって、本件発明1-8は、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができないものである。

仮に本件発明1-8の各ステップの動作主体がサーバ(調査者側装置)以外のものをも含むと解釈されるならば、本件発明1-8は、サポート要件に違反する。
すなわち、本件訂正明細書(甲14[請求書では甲3とするのは誤記と認める。])の記載からみて、本件発明1の課題は、いわゆる電子番組表の提供を受けた利用者が電子番組表を利用して行った視聴・録画に対する視聴率・録画率を調査することができる技術を提供することである。本件訂正明細書には、この課題を解決するための発明として、利用者が電子番組表を利用して行った視聴・録画に対する視聴率・録画率を算出する第1発明、視聴率・録画率の算出に加えて、算出された視聴率・録画率を電子番組表に組み込み、視聴率・録画率が組み込まれた電子番組表を利用者装置に送信し、利用者装置上で表示する第2発明が、それぞれ、本件訂正明細書の段落【0005】の後半及び段落【0016】に示される課題解決手段並びに実施例としての第1実施形態、本件訂正明細書の段落【0005】の前半、段落【0013】及び段落【0024】に示される課題解決手段並びに実施例としての第2実施形態として記載されている。本件発明1-8は、このうち第2発明に対応するものである。
そこで、第2発明についての本件訂正明細書の開示について更に詳細に検討すると、その作用効果として視聴率・録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることができることが記載されている(段落【0015】、【0025】、【0068】)から、本件発明1-8は、視聴率・録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることを可能とするためのものである。
そこで、視聴率・録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることを可能とするための構成として如何なる構成が本件訂正明細書に開示されているかについて検討すると、調査者側の算出手段によって算出された視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方が組み込まれた番組表が、調査者側の番組表作成手段によって作成され、該作成された番組表が、調査者側の番組表送信手段によって送信され、利用者装置によって受信され、表示される構成が開示されている(段落【0005】の後半、【0013】、【0016】、【0024】、【0041】、【0048】、【0063】?【0067】)のみであり(なお、段落【0005】の前半に示される構成は請求項1の記載の再掲にすぎない。)、それ以外の構成、例えば、調査者側の算出手段による視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方の算出、調査者側の算出手段によって算出された視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方が組み込まれた番組表の作成、並びに、作成された番組表の送信の動作主体が調査者側装置以外の装置である構成は、開示も示唆もされていない。なぜならば、第2発明に対応する本件発明1-8は、視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方が組み込まれた番組表を利用者装置に表示することによって、視聴率・録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることを可能とするものであるところ、視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方が組み込まれた番組表の作成は、調査者側の算出手段によって算出された視聴率及び録画率のいずれか一方又は両方に基づいて行われるものであるから、そのような番組表の作成及び作成された番組表の送信は、当業者の技術常識からみて、調査者側装置によって行われることしか想定できず、また調査者側装置以外の装置により実現するための具体的な手法について本件訂正明細書に開示されておらず、当業者の技術常識に照らし、調査者側装置以外の装置により行うこともできることは、当業者において、認識することができたものではないからである。
したがって、本件発明1-8は、本件訂正明細書の発明の詳細な説明に記載したものでない。

(14)訂正請求が認められないとする理由
ア 本件訂正請求が訂正の目的違反であること
(ア)特許請求の範囲の減縮に当たらないこと
仮に本件訂正請求発明1-8に係る「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」の主体が、「調査者側」の構成要素としてのコンピュータシステムとは別異の構成要素である「利用者装置」をも含むものと解釈されるとすれば、当初明細書等、訂正明細書等、並びに上記訂正請求書の明細書(、特許請求の範囲)及び図面(以下、「訂正請求明細書等」という。)とは特許請求の範囲及び明細書における特許請求の範囲の引き写し以外の部分において同様であるから、・・・「一又は複数のコンピュータシステム」が「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」を「行う」構成は、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に明示的に記載された事項、又はそれらの記載から自明な事項ではない。

仮に本件訂正請求発明1-8に係る「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」の主体が、「調査者側」の構成要素としてのコンピュータシステムとは別異の構成要素である「利用者装置」をも含むものと解釈されるとすれば、本件訂正請求に係る訂正は、特許請求の範囲を拡張するものであり、特許請求の範囲の減縮に当たらない。

(イ)明りょうでない記載の釈明にならないこと
・指標送出ステップについて
訂正明細書の特許請求の範囲の請求項8には、本件訂正請求発明1-8の構成要件1-8’Fと同じ「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送出する指標送出ステップ」が記載されているものの、当初明細書等、訂正明細書等及び訂正請求明細書等とは特許請求の範囲及び明細書における特許請求の範囲の引き写し以外の部分において同様であるから、・・・「一又は複数のコンピュータシステム」が「指標送出ステップ」を「行う」構成は、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に明示的に記載された事項、又はそれらの記載から自明な事項ではなく、上記訂正は、「願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではない。

・視聴指標算出ステップ、録画予約指標算出ステップ、及び番組表データ送出ステップについて
仮に本件訂正請求発明1-8に係る「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」の主体が、「調査者側」の構成要素としてのコンピュータシステムとは別異の構成要素である「利用者装置」をも含むものと解釈されるとすれば、当初明細書等、訂正明細書等及び訂正請求明細書等とは特許請求の範囲及び明細書における特許請求の範囲の引き写し以外の部分において同様であるから、・・・「一又は複数のコンピュータシステム」が「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」を「行う」構成は、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に明示的に記載された事項、又はそれらの記載から自明な事項ではない。
したがって、上記訂正は、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に明示的に記載された事項、又はそれらの記載から自明な事項ではなく、「願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではない。

以上により、本件訂正請求に係る訂正は、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではなく、又は仮に本件訂正請求発明1-8に係る「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」の主体が、「調査者側」の構成要素としてのコンピュータシステムとは別異の構成要素である「利用者装置」をも含むものと解釈されるとすれば、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではないから、明りょうでない記載の釈明には当たらない。

(ウ)誤記の訂正ではないこと
誤記の訂正を目的とするものでないことは明らかである。

イ 新規事項を追加するもの
本件訂正請求に係る訂正は、新規事項を追加するものであり、特許法134条の2第5項の規定により準用する同法126条3項の規定に適合しないから、本件訂正請求は認められない。

・指標送出ステップについて
訂正明細書の特許請求の範囲の請求項8には、本件訂正請求発明1-8の構成要件1-8’Fと同じ「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送出する指標送出ステップ」が記載されているものの、当初明細書等、訂正明細書等及び訂正請求明細書等とは特許請求の範囲及び明細書における特許請求の範囲の引き写し以外の部分において同様であるから、・・・「一又は複数のコンピュータシステム」が「指標送出ステップ」を「行う」構成は、当業者にとって、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、「願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内において」するものではない。

・視聴指標算出ステップ、録画予約指標算出ステップ、及び番組表データ送出ステップについて
仮に本件訂正請求発明1-8に係る「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」の主体が、「調査者側」の構成要素としてのコンピュータシステムとは別異の構成要素である「利用者装置」をも含むものと解釈されるとすれば、当初明細書等、訂正明細書等及び訂正請求明細書等とは特許請求の範囲及び明細書における特許請求の範囲の引き写し以外の部分において同様であるから、・・・「一又は複数のコンピュータシステム」が「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」を「行う」構成は、当業者にとって、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

以上により、本件訂正請求に係る訂正は、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではなく、又は仮に本件訂正請求発明1-8に係る「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」の主体が、「調査者側」の構成要素としてのコンピュータシステムとは別異の構成要素である「利用者装置」をも含むものと解釈されるとすれば、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではないから、新規事項を追加するものである。

ウ 実質的拡張又は変更であること
仮に本件訂正請求発明1-8に係る「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」の主体が、「調査者側」の構成要素としてのコンピュータシステムとは別異の構成要素である「利用者装置」をも含むものと解釈されるとすれば、当初明細書等、訂正明細書等及び訂正請求明細書等とは特許請求の範囲及び明細書における特許請求の範囲の引き写し以外の部分において同様であるから、・・・「一又は複数のコンピュータシステム」が「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」を「行う」構成は、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面に明示的に記載された事項、又はそれらの記載から自明な事項ではない。
また、・・・「調査者側」の構成要素としてのコンピュータシステムとは別異の構成要素である「一又は複数のコンピュータシステム」が「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」を「行う」構成は、願書に添付した明細書(、特許請求の範囲)又は図面には、開示も示唆もされていない。

したがって、仮に本件訂正請求発明1-8に係る「視聴指標算出ステップ」、「録画予約指標算出ステップ」及び「番組表データ送出ステップ」の主体が、「調査者側」の構成要素としてのコンピュータシステムとは別異の構成要素である「利用者装置」をも含むものと解釈されるとすれば、本件訂正請求に係る訂正は、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものである。

エ 独立特許要件を満たさないこと
本件訂正請求が、仮に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、・・・本件訂正請求発明1-8が、特許法29条1項柱書き、同法29条2項、同法36条4項、同法36条6項1号に規定する要件を満たさないから、独立特許要件を満たさない。

(15)証拠方法
甲第1号証 :特開2000-308035号公報
甲第2号証 :特開2001-245243号公報
甲第3号証 :特開平11-25541号公報
甲第4号証 :特開平10-93933号公報
甲第5号証 :特開平10-308734号公報
甲第6号証 :特開平10-42234号公報
甲第7号証 :特開2001-8119号公報
甲第8号証 :特開平9-37172号公報
甲第9号証 :特開平8-289201号公報
甲第10号証:特許庁審査基準
第VII部第1章1.1.3(1)例1(4?5頁)、
第VII部第1章2.2.1(11?12頁)、
第VII部第1章事例2-4(42?45頁)
甲第11号証:特許願(平成22年7月14日付)
甲第12号証:手続補正書(平成22年8月27日付)
甲第13号証:上申書(平成22年8月27日付)
甲第14号証:本件訂正明細書(平成22年11月30日付)
甲第15号証:本件訂正図面(平成22年11月30日付)
甲第16号証:平成23年(ワ)第3572号 損害賠償請求事件
原告準備書面(1)
甲第17号証:知財高判平成18年9月26日
(平成17年(行ケ)第10698号)
甲第18号証:特許庁審判部「特許性検討会報告書2009」、
平成22年3月
甲第19号証:特許庁審査基準
第VII部第1章2.2.2(3)(7?8頁)、
第VII部第1章事例2-1(20?23頁)
甲第20号証:特許庁特許審査第四部
「特許にならないビジネス関連発明の事例集」
事例1-3(3頁)、
平成13年4月
甲第21号証:特許庁特許審査第四部
「ビジネス関連発明に対する判断事例集」
事例1【請求項3】、
事例2【請求項2】、
平成15年4月
甲第22号証:平成23年(ワ)第3572号 損害賠償請求事件
原告第3準備書面
甲第23号証:知財高判平成20年1月30日
(平成19年(行ケ)第10225号)
(各甲号証について、以下、「甲1」、「甲2」などともいう)

3 答弁の主旨
特許第4612747号に関する訂正請求による訂正を認める、特許第4612747号の特許権を維持する、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

4 無効理由に対する反論
(1)無効理由1(進歩性)
本件特許発明1の1と甲1発明の一致点の認定には誤りがあり、相違点の検討にも誤りがある。したがって、請求人の主張には理由がなく、本件特許発明1の1は進歩性を有する発明である。

(2)無効理由2(進歩性)
本件特許発明1の1は進歩性を有する発明であるから、本件特許発明1の1を引用する本件特許発明1の2も進歩性を有する。したがって、進歩性を理由とする無効理由2はない。

(3)無効理由3(進歩性)
本件特許発明1の1は進歩性を有する発明であるから、本件特許発明1の1を引用する本件特許発明1の3も進歩性を有する。したがって、進歩性を理由とする無効理由3はない。

(4)無効理由4(進歩性)
本件特許発明1の4と甲1発明の一致点の認定には誤りがあり、相違点の検討にも誤りがある。したがって、請求人の主張には理由がなく、本件特許発明1の4は進歩性を有する発明である。

(5)無効理由5(進歩性)
本件特許発明1の4は進歩性を有する発明であるから、本件特許発明1の4を引用する本件特許発明1の5も進歩性を有する。したがって、進歩性を理由とする無効理由5はない。

(6)無効理由6(進歩性)
本件特許発明1の6は、利用者装置に実行させるためのプログラムであるが、本件特許発明1の4について主張した内容・・・が当てはまるため、これを援用して主張する。

(7)無効理由7(進歩性)
本件特許発明1の6は進歩性を有する発明であるから、本件特許発明1の6を引用する本件特許発明1の7も進歩性を有する。したがって、進歩性を理由とする無効理由7はない。

(8)無効理由8(進歩性)
本件特許発明1の8は、一又は複数のコンピュータシステムが実行する指標処理方法であるが、本件特許発明1の1について主張した内容・・・が当てはまるため、これを援用して主張する。

(9)無効理由9(新規事項)
ア 無効理由9-1(補正事項1)
請求人の主張する無効理由が本無効審判において認められるためには、『「現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標」との記載が、現在放送中の番組の視聴者の数の絶対値をも含むものと解釈されるとすれば』という前提が「真」でなければならない。
しかしながら、請求人は、この前提が「真」であること、及び、「真」であると認められる理由を一切主張していない。

イ 無効理由9-2(補正事項2)
請求人の主張する無効理由が本無効審判において認められるためには、『「番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標」との記載が、番組の録画予約の数の絶対値をも含むものと解釈されるとすれば』という前提が「真」でなければならない。
しかしながら、請求人は、この前提が「真」であること、及び、「真」であると認められる理由を一切主張していない。

ウ 無効理由9-3(補正事項3)
請求人の主張する無効理由が本無効審判において認められるためには、『「視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」(請求項1)、「前記サーバにおいて算出された・・・視聴指標」(請求項4及び6)及び「視聴指標を算出する視聴指標算出ステップ」(請求項8)との記載が、調査者側のサーバ以外の利用者側端末等が視聴指標を算出することをも含むものと解釈されるとすれば』という前提が「真」でなければならない。
しかしながら、請求人は、この前提が「真」であること、及び、「真」であると認められる理由を一切主張していない。

エ 無効理由9-4(補正事項4)
請求人の主張する無効理由が本無効審判において認められるためには、『「録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」(請求項1)、「各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された・・・録画予約指標」(請求項4及び6)及び「録画予約指標を算出する録画予約指標算出ステップ」(請求項8)との記載が、調査者側のサーバ以外の利用者側端末等が録画予約指標を算出することをも含むものと解釈されるとすれば』という前提が「真」でなければならない。
しかしながら、請求人は、この前提が「真」であること、及び、「真」であると認められる理由を一切主張していない。

オ 無効理由9-5(補正事項5)
請求人の主張する無効理由が本無効審判において認められるためには、『「番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標」(請求項1及び請求項8)並びに「前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけた表示可能なよう構成された番組表データ」及び「前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組表に対応付けられた番組表」(請求項4及び6)との記載が、視聴指標と録画予約指標とを組み込んで表示する対象が放送時間帯とは無関係な番組のリストを含むものと解釈されるとすれば』という前提が「真」でなければならない。
しかしながら、請求人は、この前提が「真」であること、及び、「真」であると認められる理由を一切主張していない。

カ 無効理由9-6(補正事項6)
請求人の主張する無効理由が本無効審判において認められるためには、『「前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段をさらに備えること、を特徴とするサーバ」(請求項2)、「番組表データをサーバから受信する番組表データ受信手段」(請求項4)、「番組表データをサーバから受信する番組表データ受信ステップ」(請求項6)及び「番組表データを送出する番組表データ送出ステップ」(請求項8)との記載が、調査者側装置(サーバ)以外のサーバから番組表データを送信ないし受信するものを含むものと解釈されるとすれば』という前提が「真」でなければならない。
しかしながら、請求人は、この前提が「真」であること、及び、「真」であると認められる理由を一切主張していない。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
(ア)調査者側装置10が番組表に指標を対応付ける態様(態様1)
調査者側装置10が、[番組タイトル、放送時間、放送チャンネル]を送信する動作を行うとともに、これらに対応付けて[視聴率、録画率]を送信する動作を行うことが開示されている。利用者側装置20については、[番組タイトル、放送時間、放送チャンネル]を受信する動作を行うとともに、これらに対応付けられた[視聴率、録画率]を受信する動作機能を行うことが開示されている。

(イ)利用者側端末20が番組表に指標を対応付ける態様(態様2)
本件明細書の段落【0071】には、「また、本実施形態においては、図2におけるs13の処理で、利用者側端末20のディスプレイ24に表示される番組表が、調査者側装置10から送信されてくる場合を例示したが、番組表は、CD-ROMなどの記録媒体から読み出されるものであってもよい。」と記載されている・・・。すなわち、調査者側装置10は指標を送信する動作を行い、利用者側端末20は記録媒体から番組表を読み出してそれに指標の対応付けを行い、番組表を構成して表示させる動作を行うことが開示されている。
本件明細書の段落【0071】には、「また、調査者側装置10から送信されてきた番組表(指標が対応付けられる前の番組表)を、利用者側端末20のハードディスク22に記憶しておき、必要に応じて読み出せるように構成してもよい。」と記載されている。・・・指標が対応付けられる前の番組表を調査者側装置10から利用者側端末20が受信する動作について、本件明細書には開示されている。

(ウ)別説明
当初明細書の段落【0002】には、「現在、複数の番組を表形式に配列した番組表をインターネットなどの通信回線網を介して提供することが行われている。この番組表には、各番組の詳細な内容を確認したり、希望する番組を録画予約したりできるものがある。」と記載されている。
すなわち、本件特許出願当時においてインターネットを通じた番組表の提供は既に公知であり、本件特許発明はかかる従来の技術を前提として成立しているものであることが明示されている。

視聴率調査システムにおける利用者側か備える番組表示手段についての説明として段落【0008】に、「この視聴率調査システムでは、まず、番組表表示手段が番組表を表示する。番組表は、例えば、電子番組ガイドで利用されているものであって、縦方向に時刻、横方向に放送チャンネルをとって番組を配列した表形式のものである。この番組表は、通信回線網を介して受信したデータや、CD-ROMなどの記録媒体から読み出したデータであって、このようなデータに基づいて番組表表示手段が番組表を表示する。」と記載されている。すなわち、番組表の取得先は調査者側に限らないことが開示されている。
なお、段落【0071】にも、「また、本実施形態においては、図2におけるs13の処理で、利用者側端末20のディスプレイ24に表示される番組表が、調査者側装置10から送信されてくる場合を例示したが、番組表は、CD-ROMなどの記録媒体から読み出されるものであってもよい。」と記載されている。

本件明細書の第1及び第2実施形態では、番組表から放送開始時刻及び放送終了時刻を取得するものとされているが、このようなデータは適宜インターネットから取得できることが開示されている。
具体的には、段落【0077】に「また、本実施形態においては、図2におけるS28の処理で、利用者側端末20が、番組表中の各番組に対応づけられた放送開始時刻および放送終了時刻に基づいて録画予約を行うものを例示したが、番組の録画予約に必要なデータをインターネット100を介して調査者側装置10などからダウンロードして、このデータに基づいて録画予約を行うように構成してもよい。」と記載されている。
すなわち、インターネットから取得できるデータは、それを取得して利用しても良いことが当初明細書に接した当業者であれば把握できる。

調査者側装置10は複数のコンピュータシステムから構成されてい
てもよいことが本件明細書には開示されている。
すなわち、調査者側装置10に関する説明となる段落【0070】には、「例えば、本実施形態においては、調査者側装置10が1のコンピュータシステムによって構成されたものを例示したが、複数のコンピュータシステムで構成されていてもよい。」と記載されている。
かかる記載から調査者側装置10が行う処理が必ずしも一つのコンピュータ(CPU)で処理される必要はなく、ネットワーク(インターネット)で結ばれた複数のコンピュータ(CPU)で処理されてもよいことになる。
例えば、調査者側装置10において、利用者側端末20に番組表を送信する処理を別個のサーバが実行する態様は、番組表をインターネットから取得できる従来技術が存在することからすれば当業者にとって記載があるに等しい技術事項(自明な事項)である。

以上の点から、本件明細書に接した当業者であれば、番組表に関し、インターネットに接続された装置であって調査者側装置10とは異なる装置から送信される構成を読み取ることができる。また、調査者側装置10を構成するコンピュータシステムであって、指標を送信するものとは別のコンピュータシステムから送信される構成も読み取ることができる。すなわち、番組表と指標とが別の装置から送信される構成を読み取ることができる。

(10)無効理由10(明確性)
訂正後の本件特許発明1の8は、「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」としたため、指標処理方法の実行主体が文言上明確になった。したがって、特許法第第36条第6項第2号を理由とする無効理由は存在しない。

(11)無効理由11(非発明)
訂正請求書のとおり訂正を行った。すなわち、指標処理方法の動作主体を明確に「一又は複数のコンピュータシステム」とした。このため、各ステップの処理内容は精神活動でもなく機械の操作に基づいて行うものでもないことが明確となった。したがって、本件特許発明1の8は、自然法則を利用したものであり、特許法第2条に定義する「発明」である。

(12)無効理由12(実施可能要件)
請求人の主張する無効理由が本無効審判において認められるためには、「仮に本件発明1-8の各ステップの動作主体がサーバ(調査者側装置)以外のものをも含むと解釈されるならば」という前提が「真」でなければならない。
しかしながら、請求人は、この前提が「真」であること、及び、「真」であると認められる理由を一切主張していない。

(13)無効理由13(サポート要件)
請求人の主張する無効理由が本無効審判において認められるためには、「仮に本件発明1-8の各ステップの動作主体がサーバ(調査者側装置)以外のものをも含むと解釈されるならば」という前提が「真」でなければならない。
しかしながら、請求人は、この前提が「真」であること、及び、「真」であると認められる理由を一切主張していない。

5 証拠方法
乙第1号証 :広辞苑第五版「視聴率」
乙第2号証 :明鏡国語辞典「視聴率」
乙第3号証 :広辞苑第五版「平均」
乙第4号証 :広辞苑第五版「サーバ」
乙第5号証 :平成23年(ワ)第3572号 損害賠償請求事件
被告第2準備書面
乙第6号証 :特許査定謄本(平成22年9月21日発送)
乙第7号証 :審決謄本(平成22年12月28日審決)
乙第8号証 :平成20(行ケ)10151号
審決取消訴訟事件の判決謄本
乙第9号証 :特許3079548号の特許公報
乙第10号証 :特許3205357号の特許公報
乙第11号証 :特許3286329号の特許公報
乙第12号証 :特許3436924号の特許公報
乙第13号証 :特許3454914号の特許公報
乙第14号証 :特許3469225号の特許公報
乙第15号証 :特許3474156号の特許公報
乙第16号証 :特許3495011号の特許公報

第4 訂正請求
1 請求の主旨
特許第4612747号の特許請求の範囲を請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める。

2 訂正内容
訂正請求(以下、「本件訂正」ともいう)の訂正内容は特許請求の範囲の請求項8について「番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置によって視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する視聴番組状況取得ステップと、」の前に「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」を追加するものであり、訂正後の請求項8は次のとおり。

【請求項8】(訂正後)
一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、
番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置によって視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する視聴番組状況取得ステップと、
前記利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する録画予約番組状況取得ステップと、
前記視聴番組状況取得ステップにより取得された各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて、現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標を算出する視聴指標算出ステップと、
前記録画予約番組状況取得ステップにより取得された各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて、番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標を算出する録画予約指標算出ステップと、
前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送出する番組表データ送出ステップと、
前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送出する指標送出ステップと、
を含むことを特徴とする指標処理方法。

3 訂正の適否
(1)目的
ア 減縮
本件訂正の訂正内容は、上記のとおり請求項8に「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」を追加するものであり、訂正前の指標処理方法が「一又は複数のコンピュータシステムが行う」ものであることを特定するものといえ、指標処理方法の主体に限定を加えるものと認められるから、本件訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

請求人は、無効理由9-3、4、6と同じく仮定の下に新規事項であることを減縮目的に当たらない理由とするが、請求項8に「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」を追加する訂正は、その訂正によって訂正前に比べて上記のように限定を加えるのであるから、減縮を目的とするものではないということはできない。

イ 釈明
訂正請求による訂正内容は、上記のとおり請求項8に「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」を追加するものであり、訂正前の指標処理方法が「一又は複数のコンピュータシステムが行う」ものであることを特定するものといえ、請求人が無効理由10で「主体が明記されていない」と主張したことに対して、主体を明確にするためにする訂正とも認められ、本件訂正は明りょうでない記載の釈明をも目的とするものと認められる。

請求人は、無効理由9-7と同じく新規事項であること、無効理由9-3、4、6と同じく仮定の下に新規事項であることを釈明目的に当たらない理由とするが、請求項8に「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」を追加する訂正は、その訂正によって訂正前に比べて指標処理方法の主体が特定されて更に明らかになるのであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものではないということはできない。

ウ 誤記
本件訂正が誤記の訂正を目的とするものではないことは明らかである。

エ 目的まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明を目的とすると認められるから、特許法134条の2第1項ただし書きの規定に適合する。

(2)訂正の範囲
上記のとおり本件訂正が誤記の訂正を目的とするものではないことは明らかであるから、特許法134条の2第5項の規定により準用する同法126条3項の規定の判断にあたり、基準とする明細書等は「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」、すなわち、特許明細書等である訂正審判2010-390119における訂正後の明細書、特許請求の範囲又は図面(請求人はこれを「訂正明細書等」と整理しているが、以下、「特許明細書等」ということとする。)であり、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」(以下、「当初明細書等」ともいう)ではない。
本件訂正は特許明細書等の請求項8に「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」を追加するものであり、他に訂正はない。
特許明細書等には、請求項8に本件訂正前の請求項8の指標処理方法の記載があり、「例えば、本実施形態においては、調査者側装置10が1のコンピュータシステムによって構成されたものを例示したが、複数のコンピュータシステムで構成されていてもよい。」(【0070】)との記載があり、本件訂正前の請求項8の指標処理方法の主体が「一又は複数のコンピュータシステム」であるとすることは、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、本件訂正後の請求項8の標処理方法は特許明細書等の記載の範囲内にあるといえ、本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものといえる。
よって、本件訂正は特許法134条の2第5項の規定により準用する同法126条3項の規定に適合する。

請求人は、特許明細書等に基づかず、無効理由9と同じく当初明細書等を基準とした旨の主張をするが、採用できない。

(3)拡張変更
特許法134条の2第5項の規定により準用する同法126条4項の規定の判断にあたり、拡張、変更判断の基準とする明細書等は同法126条1項の訂正の対象である「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」、すなわち、特許明細書等である訂正審判2010-390119における訂正後の明細書、特許請求の範囲又は図面であり、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」(以下、「当初明細書等」ともいう)ではない。

・拡張
上記減縮の判断で述べたとおり、本件訂正は「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」を追加して指標処理方法の主体に限定を加えるものであって、訂正前の指標処理方法を減縮するものであり、また、上記訂正の範囲の判断で述べたとおり、訂正前の請求項8の指標処理方法の主体が「一又は複数のコンピュータシステム」であるとすることは、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでもあり、訂正前の請求項8の指標処理方法がその主体として「一又は複数のコンピュータシステム」を排除しているとも認められないから、訂正後の請求項8の指標処理方法は訂正前の請求項8の指標処理方法の範囲内にあると認められ、本件訂正が実質上特許請求の範囲を拡張するとはいえない。

・変更
上記減縮の判断で述べたとおり、本件訂正は「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」を追加して指標処理方法の主体に限定を加えるものであって、訂正前の指標処理方法を減縮するものであり、また、上記訂正の範囲の判断で述べたとおり、訂正前の請求項8の指標処理方法の主体が「一又は複数のコンピュータシステム」であるとすることは、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでもあり、訂正後の請求項8の指標処理方法が訂正前の請求項8の指標処理方法のねらいとする技術思想の範囲を逸脱するとは認められないから、本件訂正が実質上特許請求の範囲を変更するとはいえない。

よって、本件訂正は特許法134条の2第5項の規定により準用する同法126条4項の規定に適合する。

請求人は、特許明細書等に基づかず、無効理由9と同じく当初明細書等を基準とした旨の主張をするが、採用できない。

(4)独立特許要件
本件訂正に係る請求項8は請求人が無効を請求する請求項であるから、独立特許要件についての判断を要しない。

4 訂正請求まとめ
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書きの規定に適合し、特許法134条の2第5項の規定により準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。
したがって、本件訂正請求による訂正は認めることができる。

第5 無効理由の判断
1 請求項1
本件特許の請求項1に係る発明に対する無効理由は、無効理由1、9である。
(1)無効理由1(進歩性)
本件発明1-1に対する無効理由1は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせて当業者が容易に想到できたとするものである。

ア 甲第1号証
甲第1号証(特開2000-308035号公報)には図面と共に次の記載がある。

(甲1の記載)
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CATVシステムに係わり、特に番組予約を可能としたCATVシステムに関する。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述したように、CATV局から提供されるTVデータのチャネルは30?50チャネルと非常に多い。したがって、視聴者にとって、一つの番組が終了する毎に、紙の番組表を見ながら次の番組に対するチャネル選択操作を実施するのは非常に煩わしい。
【0005】また、一般に、視聴者は、1月に1回又は1週間に1回、CATV局から番組表が郵送されてきた時点で、この番組表を調べて、見たい番組を予め決めておいて、その番組の放送日時が到来すると、その番組が放映されるチャネルを選択する操作を実施する必要がある。したがって、視聴者は、番組とチャネルの確認作業を2回実施することになり、非常に煩わしい。
【0006】また、最初における番組表の確認時に見たいと決めた番組を失念してしまって、見逃してしまう懸念もある。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、紙に印刷された番組表を用いることなく、簡単に番組予約を実施でき、予約された日時が来ると自動的に予約された番組が放映され、視聴者にとって、1回の番組確認作業のみですみ、見たい番組の見逃しを防止でき、使い勝手がよく、視聴者に対するサービスを大幅に向上できるCATVシステムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、CATV局に設置された局装置からケーブルを介して各契約者宅に設置された家庭装置に複数チャネルのTVデータを送信して、家庭装置で1つのチャネルを選択してTV受像機で放映するCATVシステムに適用される。
【0009】そして、上記課題を解消するために、本発明においては、局装置に対して、契約者宅に提供するTVデータの番組表を記憶する番組表メモリと、番組表メモリに記憶された番組表を家庭装置へ送信する番組表送信手段とを付加し、また、家庭装置に対して、局装置から受信した番組表をTV受像機のTV画面に表示出力する番組表表示手段と、この番組表表示手段でTV画面に表示された番組表に対して実施された番組の選択操作に応じて、この選択された番組を予約する番組予約手段と、この番組予約手段で予約された番組に従ってTVデータのチャネルを選択していく予約実行手段とを付加している。
【0010】一般に、CATV局の局装置と各契約者宅の家庭装置とを接続するケーブルは各契約者宅に共通の複数チャネルのTVデータを送信するTVチャネルの他に、各契約者宅の家庭装置の動作を制御したり、追加料金が必要な番組の視聴時間を監視するために、各家庭装置との間で個別に情報交換を実施するためのデータチャネルが含まれる。本発明は、このデータチャネルを用いて番組予約を実施する。
【0011】この発明のCATVシステムにおいては、局装置に番組表メモリが設けられているので、視聴者が番組予約を行う場合、自己の家庭装置を操作して局装置から番組表を自己の家庭装置へダウンロードさせて、TV受像機のTV画面に表示させる。その状態で、視聴者は表示された番組表内の見たい番組を例えばリモコン装置で選択指定するのみで、該当番組が予約される。そして、予約された番組に従ってTVデータのチャネルが自動選択されていく。
【0012】このように、紙に記載された番組表を用いることなく、簡単な操作で番組予約を実施できる。
【0013】また、別の発明は、上述した発明のCATVシステムにおける局装置に対して、さらに、番組表メモリに記憶された番組表の各番組のサマリーを記憶するサマリーメモリと、家庭装置からの番組を指定したサマリー要求に応じて、サマリーメモリに記憶された該当番組のサマリーを送信するサマリー送信手段とを付加している。さらに、家庭装置に対して、番組表表示手段でTV画面に表示された番組表に対して実施された番組の選択操作に応じて、この選択された番組に対するサマリー要求を局装置へ送信するサマリー要求送信手段と、局装置から受信したサマリーをTV受像機で放映するサマリー放映手段とを付加している。
【0014】このように構成されたCATVシステムにおいては、局装置内には、番組表メモリに記憶された番組表の各番組のサマリーを記憶するサマリーメモリが設けられている。視聴者がTV画面に番組表を表示させた状態で、任意の番組を指定すると、指定された番組のサマリーが局装置から取寄せられて、このTV受像機で放映される。したがって、視聴者は、各番組のサマリーを参照しながら番組予約を実施できる。
【0015】さらに、別の発明は、上述した発明のCATVシステムにおける局装置に対して、さらに、各家庭装置から送信された各契約者毎の番組予約を契約者別スケジュールメモリに登録する番組予約登録手段と、契約者別スケジュールメモリの記憶内容から各契約者毎の嗜好を考慮した平均的番組予約を求めて契約者別平均スケジュールメモリに書込む平均的番組予約算出手段と、家庭装置からの番組予約実績要求に応じて、契約者別スケジュールメモリに記憶された平均的番組予約を該当家庭装置へ送信する平均的番組予約送信手段とを付加している。また、家庭装置に対して、番組予約実績要求を局装置へ送信する番組予約実績要求送信手段と、局装置から送信された平均的番組予約をTV画面に表示する平均的番組予約表示手段とを付加している。
【0016】このように構成されたCATVシステムにおいては、局装置内には、各契約者毎の嗜好を考慮した平均的番組予約を記憶する契約者別平均スケジュールメモリが設けられている。視聴者(契約者)が番組予約を実施する前に、家庭装置に番組予約実績要求を入力すると、該当視聴者(契約者)が過去に番組予約した内容に基づいて該当視聴者(契約者)の平均的番組予約がTV画面に表示される。
【0017】よって、視聴者は、この自己の予約実績である平均的番組予約を参考にして、今回の番組予約を実施できる。
【0018】さらに、別の発明は、上述した発明のCATVシステムにおける局装置に対して、さらに、各家庭装置から送信された各契約者毎の番組予約を契約者別スケジュールメモリに登録する番組予約登録手段と、契約者別スケジュールメモリの記憶内容から番組表メモリに記憶された番組表に記憶された各番組の予想視聴率を算出する予想視聴率算出手段と、この予想視聴率算出手段で算出された各番組の予想視聴率を家庭装置へ送信する予想視聴率送信手段とを付加している。また、家庭装置に対して、局装置から受信した各番組の予想視聴率をTV画面に表示する予想視聴率表示手段を付加している。
【0019】このように構成されたCATVシステムにおいて、局装置内には、各家庭装置から送信された各契約者毎の番組予約を記憶する契約者別スケジュールメモリが設けれれているので、この各番組の予約状況に基づいて、各番組毎の予想視聴率を算出することが可能である。そして、この算出された予想視聴率は各家庭装置へ送信される。その結果、視聴者は各番組が放映される前に、該当番組の予想視聴率を確認できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は実施形態に係るCATVシステムの全体構成を示す模式図である。
【0021】CATV局1内に設けられたホストコンピユータからなる局装置2は、各契約者宅3内に設けられたコンピユータからなる家庭装置4に対して光ケーブル5にて接続されている。局装置2には番組D/B(データベース)7と契約者D/B6が組込まれている。また、家庭装置4にはTV受像機8が接続され、この家庭装置4は赤外線を利用したリモコン装置9で遠隔操作される。
【0022】図2(a)(b)は、リモコン装置9の正面図である。図2(a)はカバー10を閉じた状態を示す図であり、図2(a)はカバー10を開いた状態を示す図である。
【0023】正面に、番組表ボタン11、スケジュールボタン12、送信ボタン13が配設され、カバー10の外面に選択ボタン14が設けられている。さらに、カバー10で隠れた部分に、チャネルを直接キー入力したり、各種データを直接キー入力するための置数キー15が配設されている。
【0024】図3は各家庭装置4の概略構成を示すブロック図である。CATV局1に接続された光ケーブル5内には、前述したように、各契約者宅3に共通の複数チャネルのTVデータを送信するTVチャネルと、各契約者宅3の家庭装置4との間で各種のデータ伝送や情報交換を実施するための各家庭装置3個別のデータチャネルが含まれる。
【0025】CATV局1の局装置2から光ケーブル5を介して出力されたTVデータは、光インタフェース16で電気信号のTVデータに変換されて、TVデータ受信部17で受信されてTVチャネル選択部18へ入力される。TVチャネル選択部18はTVチャネル指定部19で指定されたチャネルのTV信号をTV受像機8へ送出する。TV受像機8は入力されたチャネルのTV信号を放映する。
【0026】データ送受信部20は、光インタフェース16及び光ケーブル5のデータチャネルを介してCATV局1の局装置2との間で各種情報交換を実施する。また、指令受信部21は、視聴者(契約者)が操作するリモコン装置9からの各種指令を受信して、指令の種類を判別して、それぞれTVチャネル指定部19、スケジュール作成部22、サマリー処理部23へ送出する。
【0027】スケジュールメモリ24内には、この家庭装置4で視聴者(契約者)が行った番組予約が一時的に記憶される。さらに、この家庭装置4内には、視聴率受信部25及び番組表取得表示部26が設けられている、図4は、CATV局1内に設けられた局装置2の概略構成を示すブロック図である。番組D/B(データベース)7内には、番組コンテンツファイル27、番組表メモリ28、サマリーメモリ29が形成されている。
【0028】番組コンテンツファイル27内には、光ケーブル5を介して各契約者宅3へ送信するTVデータに含まれる全部のチャネルにおける放送すべき全ての番組の放送内容(コンテンツ)が記憶されている。この番組コンテンツファイル27に記憶された各チャネルの各番組の放送内容(コンテンツ)はTVデータ送信部30でTVデータに組込まれて光インタフェース31及び光ケーブル5を介して契約者宅3へ送信される。
【0029】番組表メモリ28内には、図5に示すように、例えば1週間分の各日(曜日)32aにおける各チャネル33bの番組34を時刻33cを縦軸に時系列的に一覧表にした番組表28aが記憶されている。番組表送信部35は、家庭装置4から番組表要求が光インタフェース31を介して入力されると、番組表メモリ28から図5に示す1週間分の番組表28aを読出して光インタフェース31及び光ケーブル5のデータチャネルを介して家庭装置4へ送信する。
【0030】サマリーメモリ29内には、番組表メモリ28に記憶された図5に示す番組表28aの各番組34のサマリーが記憶されている。このサマリーとは、番組がドラマの場合その日の放送分のあらすじ、歌番組なら出演者の情報とワンフレーズ分の歌である。所要時間は1?2分である。
【0031】サマリー送信部36は、家庭装置4から番組を指定してサマリー要求が光インタフェース31を介して入力されると、サマリーメモリ29から指定された番組のサマリーを読出して光インタフェース31及び光ケーブル5のデータチャネルを介して家庭装置4へ送信する。
【0032】契約者D/B(データベース)6内には、契約者別スケジュールメモリ37、予想視聴率メモリ38、契約者別平均スケジュールメモリ39が形成されている。
【0033】契約者別スケジュールメモリ37内には、各視聴者(契約者)が自己の家庭装置4で行った例えば1週間分の番組予約(スケジュール)が記憶されている。スケジュール受信部40は、家庭装置4から光ケーブル5のデータチャネルを介して受信した1週間分の番組予約(スケジュール)を契約者別スケジュールメモリ37内に書込む。
【0034】また、チャネル指定送信部41は、契約者別スケジュールメモリ37内に記憶された各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)を監視しており、予約された番組34の放送時刻に達すると、該当視聴者(契約者)の契約者宅3の家庭装置4へ該当予約番組34のチャネルを指定するチャネル指定を光インタフェース31及び光ケーブル5のデータチャネルを介してへ送信する。
【0035】予想視聴率算出部42は、例えば、契約者別スケジュールメモリ27に記憶されている各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)から、各番組の予想視聴率を算出して予想視聴率メモリ38へ書込む。具体的には、毎日、放送終了後に、番組契約者別スケジュールメモリ27に記憶されている各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)から、各番組の予想視聴率を算出する。したがって、予想視聴率メモリ38内には、常時、最新の予想視聴率が記憶されている。予想視聴率送信部43は、算出された予想視聴率の各番組が実際に放送されている時間帯に、該当時間帯に放映されている各チャネルの番組34の予想視聴率を各契約者宅3の家庭装置4へ送信する。
【0036】平均的番組予約算出部44は、前記契約者別スケジュールメモリ27に記憶されている各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)内容から、各視聴者(契約者)毎の番組予約実績及び嗜好を考慮した平均的番組予約(スケジュール)を算出して、契約者別平均スケジュールメモリ39に書込む。すなわち、この契約者別平均スケジュールメモリ39内には、各視聴者(契約者)毎の該当視聴者(契約者)が次に行うであろう番組予約(スケジュール)が記憶されている。
【0037】平均スケジュール送信部45は、家庭装置4から視聴者(契約者)を指定した平均スケジュール要求(番組予約実績要求)が入力されると、契約者別平均スケジュールメモリ39内から該当視聴者(契約者)の平均的番組予約(スケジュール)を読出して該当家庭装置4へ送信する。
【0038】図6は、図3に示す家庭装置4がリモコン装置9の操作に基づいて行う番組予約処理動作を示す流れ図である。
【0039】指令受信部21を介して、リモコン装置9の番組表ボタン11が押されたことを検出すると(S1)、番組表取得表示部26が起動して、データ送受信部20、光インタフェース16及び光ケーブル5を介してCATV局1の局装置2へ番組表要求を送信する(S2)。局装置2から図5に示す1週間分の番組表28aがデータ送受信部20を介して入力されると(S3)、番組表取得表示部26はその1週間分の番組表28aをTV受像機8のTV画面に表示する(S4)。
【0040】次に、予約操作フラグを0にクリアする(S5)。そして、リモコン装置9の選択ボタン14の操作にて、TV受像機8のTV画面に表示されている番組表28a内における一つの番組34をカーソル指定して、送信ボタン13が押されると(S6)、サマリー処理部23が起動して、データ送受信部20を介して局装置2へ該当番組34を指定したサマリー要求を送信する(S7)。局装置2から該当番組34のサマリーを受信すると(S8)、このサマリーをTV受像機8で放映する(S9)。
【0041】以上で、一つの番組34に対するサマリーのTV受像機8への放映処理が終了したので、S4へ戻り、次の番組34に対するサマリー取得に対する選択操作を待つ。
【0042】必要な番組34に対するサマリーのTV受像機8への放映処理が終了し、リモコン装置9のスケジュールボタン12が押されると(S9)、視聴者(契約者)が番組予約操作を開始したと判断して、予約操作フラグを1に設定する(S11)。
【0043】次に、該当視聴者(契約者)の平均的スケジュール要求(番組予約実績要求)を局装置2へ送信する(S12)。局装置2から該当視聴者(契約者)の平均的番組予約(スケジュール)がデータ送受信部20で受信されると(S13)、この受信した平均的番組予約(スケジュール)をTV受像機8のTV画面に一定時間表示する(S14)。
【0044】平均的番組予約(スケジュール)がTV画面から消されると、元の番組表28aが表示され、スケジュール作成部22が起動する。そして、視聴者(契約者)がリモコン装置9の選択ボタン14で番組34を指定すると(S15)、今度は、予約操作フラグが1に設定されているので、該当番組34の番組名、チャネル、日時を番組予約として、スケジュールメモリ24内に書込む(S16)。
【0045】以上で、一つの番組34の予約処理が終了したので、S15へ戻り、選択ボタン14操作による次の番組34の予約処理を開始する。
【0046】視聴者(契約者)がリモコン装置9の送信ボタン13を押すと(S17)、1週間分の必要な全ての番組34に対する予約操作が終了したと判断して、スケジュールメモリ24内に記憶されている1週間分の番組予約(スケジュール)を局装置2へ送信する(S18)。
【0047】さらに、家庭装置4は、前述した番組予約処理期間以外の通常の時間帯において、図7に示す流れ図に従ってTV受像機8で放映するTVデータのチャネル制御を実施する。
【0048】局装置2からデータ送受信部20を介してチャネル指定が入力されると(Q1)、TVチャネル指定部19が起動して、TVチャネル選択部18に対してチャネル指定を実施する。その結果、TV受像機8は、該当視聴者(契約者)が先に予約した番組の放映が開始される(Q2)。
【0049】視聴率受信部25が、局装置2からデータ送受信部20を介して現在時点における各番組の予想視聴率を受信すると(Q3)、現在TV受像機8で放映中の番組以外の各番組、すなわち、各裏番組の予想視聴率をTV画面の片隅に表示する(Q4)。なお、現在、放映中の番組の予想視聴率も同時に表示することも可能である。
【0050】また、指令受信部21を介してリモコン装置9からチャネル指定が入力されると(Q5)、視聴者(契約者)が、自己が予約した番組34と異なる番組を見ようとして、又は、予約していない時間帯に新たな番組を見ようとして、リモコン装置9の置数キー15でチャネル指定操作が実施されたと判断する。
【0051】この場合、このリモコン装置9で操作入力されたチャネル指定を優先して、TV受像機8における現在の放映チャネルを指定されたチャネルに切換える(Q6)。そして、変更後のチャネルを局装置2へ送信する(Q7)。チャネル変更通知を受領した局装置2は契約者別スケジュールメモリ37内の該当視聴者(契約者)の番組予約(スケジュール)を修正する。さらに、該当番組の予想視聴率も修正する。
【0052】このように構成されたCATVシステムにおいては、局装置2に図5示す番組表メモリ28が設けられているので、視聴者(契約者)が番組予約を行う場合、リモコン装置9を操作してTV受像機8のTV画面に表示された番組表28a内の自己が見たい番組34を選択ボタン14選択指定するのみで、該当番組34が予約される。そして、予約された番組の放映時刻が到来するとTV受像機8のチャネルが自動選択されて、該当番組が自動放映される。このように、視聴者(契約者)は、紙に記載された番組表を用いることなく、簡単な操作で番組予約を実施できる。
【0053】さらに、局装置2内には、各番組のサマリーを記憶するサマリーメモリ29が設けられている。そして、視聴者が番組予約時にリモコン装置9を用いて番組34を指定すると、指定された番組34のサマリーがTV受像機8で自動放映される。したがって、視聴者(契約者)は、各番組のサマリーを参照しながら番組予約を実施できるので、意図しない番組を予約することが未然に防止される。
【0054】さらに、局装置2内には、各視聴者(契約者)毎の嗜好を考慮した平均的番組予約(スケジュール)を記憶する契約者別平均スケジュールメモリ37が設けられている。そして、視聴者が番組予約を実施する前に、この契約者別平均スケジュールメモリ37に記憶された該当視聴者(契約者)の平均的番組予約スケジュール)をTV受像機8のTV画面で確認できる。よって、視聴者(契約者)は、この自己の予約実績である平均的番組予約(スケジュール)を参考にして、今回の番組予約を実施できる。
【0055】さらに、局装置2は、各番組の予約状況に基づいて、各番組毎の予想視聴率を算出して、算出した各予想視聴率を各家庭装置4へ送信している。したがって、各視聴者(契約者)は自己が予約した各番組34が放映される前又は放映時に、該当番組の予想視聴率及び裏番組の予想視聴率を確認できる。
(甲1の記載、以上)

上記記載によると、甲1には、
「紙に印刷された番組表を用いることなく、簡単に番組予約を実施でき、予約された日時が来ると自動的に予約された番組が放映され、視聴者にとって、1回の番組確認作業のみですみ、見たい番組の見逃しを防止でき、使い勝手がよく、視聴者に対するサービスを大幅に向上できるCATVシステムを提供することを目的とする」(【0007】)基本的な発明としての「視聴者が番組予約を行う場合、自己の家庭装置を操作して局装置から番組表を自己の家庭装置へダウンロードさせて、TV受像機のTV画面に表示させる。その状態で、視聴者は表示された番組表内の見たい番組を例えばリモコン装置で選択指定するのみで、該当番組が予約される。そして、予約された番組に従ってTVデータのチャネルが自動選択されていく」(【0011】)発明について、
「また、別の発明」(【0013】)として「視聴者がTV画面に番組表を表示させた状態で、任意の番組を指定すると、指定された番組のサマリーが局装置から取寄せられて、このTV受像機で放映される。したがって、視聴者は、各番組のサマリーを参照しながら番組予約を実施できる」(【0014】)発明、
「さらに、別の発明」(【0015】)として「契約者別スケジュールメモリの記憶内容から各契約者毎の嗜好を考慮した平均的番組予約を求め・・・契約者別スケジュールメモリに記憶された平均的番組予約を該当家庭装置へ送信」(【0015】)し「自己の予約実績である平均的番組予約を参考にして、今回の番組予約を実施できる」(【0017】)発明、
「さらに、別の発明」(【0018】)として「各番組の予約状況に基づいて、各番組毎の予想視聴率を算出・・・算出された予想視聴率は各家庭装置へ送信され・・・視聴者は各番組が放映される前に、該当番組の予想視聴率を確認できる」(【0019】)発明
が説明されており、この「視聴者は各番組が放映される前に、該当番組の予想視聴率を確認できる」(【0019】)発明を、甲第1号証に記載された発明(以下、「甲1発明」ともいう)とする。

甲1発明は、甲1において、実施の形態としてシステム(CATVシステム)として説明される。
甲1のシステムは、その全体構成が図1に模式図として記載され、
「CATV局1内に設けられたホストコンピユータからなる局装置2は、各契約者宅3内に設けられたコンピユータからなる家庭装置4に対して光ケーブル5にて接続されている。局装置2には番組D/B(データベース)7と契約者D/B6が組込まれている。また、家庭装置4にはTV受像機8が接続され、この家庭装置4は赤外線を利用したリモコン装置9で遠隔操作される。」【0021】

家庭装置4は図3に概略が図示され、
「スケジュールメモリ24内には、この家庭装置4で視聴者(契約者)が行った番組予約が一時的に記憶される。さらに、この家庭装置4内には、視聴率受信部25及び番組表取得表示部26が設けられている」【0027】

局装置2は図4に概略が図示され、
「番組D/B(データベース)7内には、番組コンテンツファイル27、番組表メモリ28、サマリーメモリ29が形成されている。」【0027】
「番組表メモリ28内には、図5に示すように、例えば1週間分の各日(曜日)32aにおける各チャネル33bの番組34を時刻33cを縦軸に時系列的に一覧表にした番組表28aが記憶されている。」【0029】
「契約者D/B(データベース)6内には、契約者別スケジュールメモリ37、予想視聴率メモリ38、契約者別平均スケジュールメモリ39が形成されている。」【0032】
「契約者別スケジュールメモリ37内には、各視聴者(契約者)が自己の家庭装置4で行った例えば1週間分の番組予約(スケジュール)が記憶されている。」【0033】
「チャネル指定送信部41は、契約者別スケジュールメモリ37内に記憶された各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)を監視しており、予約された番組34の放送時刻に達すると、該当視聴者(契約者)の契約者宅3の家庭装置4へ該当予約番組34のチャネルを指定するチャネル指定を光インタフェース31及び光ケーブル5のデータチャネルを介してへ送信する。」【0034】
「予想視聴率算出部42は、例えば、契約者別スケジュールメモリ27に記憶されている各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)から、各番組の予想視聴率を算出して予想視聴率メモリ38へ書込む。具体的には、毎日、放送終了後に、番組契約者別スケジュールメモリ27に記憶されている各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)から、各番組の予想視聴率を算出する。したがって、予想視聴率メモリ38内には、常時、最新の予想視聴率が記憶されている。予想視聴率送信部43は、算出された予想視聴率の各番組が実際に放送されている時間帯に、該当時間帯に放映されている各チャネルの番組34の予想視聴率を各契約者宅3の家庭装置4へ送信する。」【0035】

番組予約処理動作が図3に示され、
「指令受信部21を介して、リモコン装置9の番組表ボタン11が押されたことを検出すると(S1)、番組表取得表示部26が起動して、データ送受信部20、光インタフェース16及び光ケーブル5を介してCATV局1の局装置2へ番組表要求を送信する(S2)。局装置2から図5に示す1週間分の番組表28aがデータ送受信部20を介して入力されると(S3)、番組表取得表示部26はその1週間分の番組表28aをTV受像機8のTV画面に表示する(S4)。」【0039】
「リモコン装置9の選択ボタン14の操作にて、TV受像機8のTV画面に表示されている番組表28a内における一つの番組34をカーソル指定して、」【0040】・・・「リモコン装置9のスケジュールボタン12が押されると(S9)、視聴者(契約者)が番組予約操作を開始したと判断して、予約操作フラグを1に設定する(S11)。」【0042】・・・「視聴者(契約者)がリモコン装置9の選択ボタン14で番組34を指定すると(S15)、今度は、予約操作フラグが1に設定されているので、該当番組34の番組名、チャネル、日時を番組予約として、スケジュールメモリ24内に書込む(S16)。」【0044】
「視聴者(契約者)がリモコン装置9の送信ボタン13を押すと(S17)、1週間分の必要な全ての番組34に対する予約操作が終了したと判断して、スケジュールメモリ24内に記憶されている1週間分の番組予約(スケジュール)を局装置2へ送信する(S18)。」【0046】

家庭装置4のチャネル制御について図7に示され、
「局装置2からデータ送受信部20を介してチャネル指定が入力されると(Q1)、TVチャネル指定部19が起動して、TVチャネル選択部18に対してチャネル指定を実施する。その結果、TV受像機8は、該当視聴者(契約者)が先に予約した番組の放映が開始される(Q2)。」【0048】
「視聴率受信部25が、局装置2からデータ送受信部20を介して現在時点における各番組の予想視聴率を受信すると(Q3)、現在TV受像機8で放映中の番組以外の各番組、すなわち、各裏番組の予想視聴率をTV画面の片隅に表示する(Q4)。なお、現在、放映中の番組の予想視聴率も同時に表示することも可能である。」【0049】
「また、指令受信部21を介してリモコン装置9からチャネル指定が入力されると(Q5)、視聴者(契約者)が、自己が予約した番組34と異なる番組を見ようとして、又は、予約していない時間帯に新たな番組を見ようとして、リモコン装置9の置数キー15でチャネル指定操作が実施されたと判断する。」【0050】
「この場合、このリモコン装置9で操作入力されたチャネル指定を優先して、TV受像機8における現在の放映チャネルを指定されたチャネルに切換える(Q6)。そして、変更後のチャネルを局装置2へ送信する(Q7)。チャネル変更通知を受領した局装置2は契約者別スケジュールメモリ37内の該当視聴者(契約者)の番組予約(スケジュール)を修正する。さらに、該当番組の予想視聴率も修正する。」【0051】
「このように構成されたCATVシステムにおいては、局装置2に図5示す番組表メモリ28が設けられているので、視聴者(契約者)が番組予約を行う場合、リモコン装置9を操作してTV受像機8のTV画面に表示された番組表28a内の自己が見たい番組34を選択ボタン14選択指定するのみで、該当番組34が予約される。そして、予約された番組の放映時刻が到来するとTV受像機8のチャネルが自動選択されて、該当番組が自動放映される。」【0052】

「局装置2は、各番組の予約状況に基づいて、各番組毎の予想視聴率を算出して、算出した各予想視聴率を各家庭装置4へ送信している。したがって、各視聴者(契約者)は自己が予約した各番組34が放映される前又は放映時に、該当番組の予想視聴率及び裏番組の予想視聴率を確認できる。」【0055】

このように説明されることから、甲1発明を次のとおり認める。

[甲1発明]
「CATV局1内に設けられたホストコンピユータからなる局装置2は、各契約者宅3内に設けられたコンピユータからなる家庭装置4に対して光ケーブル5にて接続され、局装置2には番組D/B(データベース)7と契約者D/B6が組込まれている。また、家庭装置4にはTV受像機8が接続され、この家庭装置4は赤外線を利用したリモコン装置9で遠隔操作される、以下の構成を有するシステム。

家庭装置4は、
スケジュールメモリ24内には、この家庭装置4で視聴者(契約者)が行った番組予約が一時的に記憶される。さらに、この家庭装置4内には、視聴率受信部25及び番組表取得表示部26が設けられている。(【0027】)

局装置2は、
番組D/B(データベース)7内には、番組コンテンツファイル27、番組表メモリ28、サマリーメモリ29が形成されている。(【0027】)
番組表メモリ28内には、図5に示すように、例えば1週間分の各日(曜日)32aにおける各チャネル33bの番組34を時刻33cを縦軸に時系列的に一覧表にした番組表28aが記憶されている。(【0029】)
契約者D/B(データベース)6内には、契約者別スケジュールメモリ37、予想視聴率メモリ38、契約者別平均スケジュールメモリ39が形成されている。(【0032】)
契約者別スケジュールメモリ37内には、各視聴者(契約者)が自己の家庭装置4で行った例えば1週間分の番組予約(スケジュール)が記憶されている。(【0033】)
チャネル指定送信部41は、契約者別スケジュールメモリ37内に記憶された各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)を監視しており、予約された番組34の放送時刻に達すると、該当視聴者(契約者)の契約者宅3の家庭装置4へ該当予約番組34のチャネルを指定するチャネル指定を光インタフェース31及び光ケーブル5のデータチャネルを介してへ送信する。(【0034】)
予想視聴率算出部42は、例えば、契約者別スケジュールメモリ27に記憶されている各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)から、各番組の予想視聴率を算出して予想視聴率メモリ38へ書込む。具体的には、毎日、放送終了後に、番組契約者別スケジュールメモリ27に記憶されている各視聴者(契約者)毎の番組予約(スケジュール)から、各番組の予想視聴率を算出する。したがって、予想視聴率メモリ38内には、常時、最新の予想視聴率が記憶されている。予想視聴率送信部43は、算出された予想視聴率の各番組が実際に放送されている時間帯に、該当時間帯に放映されている各チャネルの番組34の予想視聴率を各契約者宅3の家庭装置4へ送信する。(【0035】)

番組予約処理動作は、
指令受信部21を介して、リモコン装置9の番組表ボタン11が押されたことを検出すると(S1)、番組表取得表示部26が起動して、データ送受信部20、光インタフェース16及び光ケーブル5を介してCATV局1の局装置2へ番組表要求を送信する(S2)。局装置2から図5に示す1週間分の番組表28aがデータ送受信部20を介して入力されると(S3)、番組表取得表示部26はその1週間分の番組表28aをTV受像機8のTV画面に表示する(S4)。(【0039】)
リモコン装置9の選択ボタン14の操作にて、TV受像機8のTV画面に表示されている番組表28a内における一つの番組34をカーソル指定して(【0040】)、リモコン装置9のスケジュールボタン12が押されると(S9)、視聴者(契約者)が番組予約操作を開始したと判断して、予約操作フラグを1に設定(する)(S11)(【0042】)し、視聴者(契約者)がリモコン装置9の選択ボタン14で番組34を指定すると(S15)、今度は、予約操作フラグが1に設定されているので、該当番組34の番組名、チャネル、日時を番組予約として、スケジュールメモリ24内に書込む(S16)。(【0044】)
視聴者(契約者)がリモコン装置9の送信ボタン13を押すと(S17)、1週間分の必要な全ての番組34に対する予約操作が終了したと判断して、スケジュールメモリ24内に記憶されている1週間分の番組予約(スケジュール)を局装置2へ送信する(S18)。(【0046】)

家庭装置4のチャネル制御は、
局装置2からデータ送受信部20を介してチャネル指定が入力されると(Q1)、TVチャネル指定部19が起動して、TVチャネル選択部18に対してチャネル指定を実施する。その結果、TV受像機8は、該当視聴者(契約者)が先に予約した番組の放映が開始される(Q2)。(【0048】)
視聴率受信部25が、局装置2からデータ送受信部20を介して現在時点における各番組の予想視聴率を受信すると(Q3)、現在TV受像機8で放映中の番組以外の各番組、すなわち、各裏番組の予想視聴率をTV画面の片隅に表示する(Q4)。なお、現在、放映中の番組の予想視聴率も同時に表示することも可能である。(【0049】)
また、指令受信部21を介してリモコン装置9からチャネル指定が入力されると(Q5)、視聴者(契約者)が、自己が予約した番組34と異なる番組を見ようとして、又は、予約していない時間帯に新たな番組を見ようとして、リモコン装置9の置数キー15でチャネル指定操作が実施されたと判断する。(【0050】)
この場合、このリモコン装置9で操作入力されたチャネル指定を優先して、TV受像機8における現在の放映チャネルを指定されたチャネルに切換える(Q6)。そして、変更後のチャネルを局装置2へ送信する(Q7)。チャネル変更通知を受領した局装置2は契約者別スケジュールメモリ37内の該当視聴者(契約者)の番組予約(スケジュール)を修正する。さらに、該当番組の予想視聴率も修正する。(【0051】)
局装置2に図5示す番組表メモリ28が設けられているので、視聴者(契約者)が番組予約を行う場合、リモコン装置9を操作してTV受像機8のTV画面に表示された番組表28a内の自己が見たい番組34を選択ボタン14選択指定するのみで、該当番組34が予約される。そして、予約された番組の放映時刻が到来するとTV受像機8のチャネルが自動選択されて、該当番組が自動放映される。(【0052】)
局装置2は、各番組の予約状況に基づいて、各番組毎の予想視聴率を算出して、算出した各予想視聴率を各家庭装置4へ送信している。したがって、各視聴者(契約者)は自己が予約した各番組34が放映される前又は放映時に、該当番組の予想視聴率及び裏番組の予想視聴率を確認できる。(【0055】)」

イ 対比
本件発明1-1と甲1発明とを対比する。
(ア)利用者装置
甲1発明の家庭装置4は、利用者装置といいえ、本件発明1-1の利用者装置に対応するといえる。
甲1発明の家庭装置4は、リモコン装置9で操作され、番組を視聴するために、通常のチャンネル操作と認められるチャンネル指定の他に番組予約を行うことができるから、「番組の視聴操作が可能な利用者装置」といえる。
もっとも、甲1には録画機能について記載が無く、甲1で説明される技術思想に録画に関する技術思想は認められない。そうであるから、甲1発明の家庭装置4には録画に関する技術思想は無いものと認められ、本件発明1-1の利用者装置が「録画予約が可能な」ものであることに対して、甲1発明の家庭装置4は「録画予約が可能な」ものではない点で相違する。

(イ)サーバ
甲1発明の局装置2は、本件発明1-1の利用者装置に対応するといえる家庭装置4に対して、番組表、予想視聴率の提供を行うのであるから、家庭装置4に対して、サーバといいえ、本件発明1-1のサーバに対応する。

(ウ)情報と指標
本件発明1-1には、利用者装置からサーバへ送られ、サーバで受信して指標算出に際して基づくものとされる情報と算出される指標とに次のものがある。
「利用者装置が用いられて視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報」に基づいて「現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標」が算出される。
「利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報」に基づいて「番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標」が算出される。
本件発明1-1のこれらの指標は、主に説明される実施例で「視聴率」「録画率」として説明され、多数の利用者における視聴もしくは録画の指標といえる。
甲1発明において、多数の利用者における指標といえるものは「予想視聴率」であり、甲1発明の「予想視聴率」を本件発明1-1の「視聴指標」「録画予約指標」と対応させて対比すべきと認められる。
そこで、本件発明1-1の「視聴状況情報」「視聴指標」、「録画予約状況情報」「録画率」と、甲1発明の「予想視聴率」とを対比する。

甲1発明の「予想視聴率」は、視聴者が番組表の番組を指定して送信する番組予約(スケジュール)を局装置2で受信し、予想視聴率算出部41において、番組予約(スケジュール)から算出する。
そして、予約され視聴率が予測される番組が実際に放送される時刻となると、局装置2が家庭装置4のチャンネルを設定して予約した番組を実際に表示させる。
さらに、番組を見ようとした際に操作し指定されるチャネルであって、局装置2へ送信される「変更後のチャネル」により、番組予約(スケジュール)を修正し、「予想視聴率」を修正する。修正においても算出されるといえる。
そうであるから、甲1発明においては、算出するのに用いられる情報として「番組予約(スケジュール)」、「変更後のチャネル」が認められ、算出されるものとして「予想視聴率」が認められる。

そこで、指標算出に際して基づくものとされる情報と算出される指標という点で本件発明1-1と対比すると、

本件発明1-1
「視聴状況情報」 →「視聴指標」
「録画予約状況情報」 →「録画予約指標」
甲1発明
「番組予約」+「変更後のチャネル」→「予想視聴率」
となる。

指標算出に際して基づく、すなわち、集計情報として、
甲1発明の「番組予約」は将来の番組を視聴するための情報であり、将来の予約という意味で「利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報」と対応すると考えて対比もされ、「利用者装置において予約されている番組を特定可能な情報である予約状況情報」といいうるが、本件発明1-1では「録画」であることに対して甲1発明では「視聴」である点で相違する。
甲1発明の「変更後のチャネル」は、チャンネル変更によって「現在視聴されている」チャンネルが局装置に送信され、局装置では該当視聴者(契約者)の番組予約(スケジュール)を修正するから、送信されたチャンネルにより、該当視聴者(契約者)の「現在視聴されている」番組が特定されているといえ、「変更後のチャネル」は「利用者装置が用いられて視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報」といいうる。

算出される指標として、
甲1発明の「予想視聴率」は、
「番組予約」が集計される点では、
番組が実際に放送される時刻までは、「番組予約(スケジュール)」から算出され、視聴の将来の「予想」であり、
番組が実際に放送される時刻になると、局装置2が家庭装置4のチャンネルを設定して予約した番組を実際に表示させるから、リアルタイムの実際の視聴率となるといえ、
本件発明1-1の「録画予約指標」が
番組が実際に放送される時刻までは、録画の将来の「予想」であり、
番組が実際に放送される時刻になると、(録画を強制しないから)リアルタイムの予想の録画の指標と考えるべきであり、
時間の経過とともに意味が将来の予測からリアルタイムに変化する点で共通する。そして、録画か視聴か、リアルタイムにおいて予想か実際かで相違する。
ところが、甲1発明の「予想視聴率」は、番組が実際に放送される時刻になると、「番組予約」が集計されるだけではなく、「変更後のチャネル」に基づいて修正、算出される。集計情報としての「変更後のチャネル」は上記のように、本件発明1-1の「視聴状況情報」といえるものであり、「変更後のチャネル」を集計する観点からは、本件発明1-1の「視聴指標」に対応するといえ、リアルタイムの実際の視聴状況といえる。
そうすると、算出される指標として、
本件発明1-1の
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関する将来の予想からリアルタイムの予想の状況になるものであるところ、
甲1発明の
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであるといえる。

(エ)表示
本件発明1-1における視聴指標と録画予約指標の表示は、「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示される」ものであるところ、

甲1発明において、予想視聴率の表示は、
「現在TV受像機8で放映中の番組以外の各番組、すなわち、各裏番組の予想視聴率をTV画面の片隅に表示する(Q4)。なお、現在、放映中の番組の予想視聴率も同時に表示することも可能である。」
「各視聴者(契約者)は自己が予約した各番組34が放映される前又は放映時に、該当番組の予想視聴率及び裏番組の予想視聴率を確認できる。」
ものである。
すなわち、「自己が予約した各番組34が放映される放映される前又は放映時に」、「裏番組」「放映中の番組」の「予想視聴率」が「TV画面の片隅」に表示される。
「予想視聴率」について、上記[イ 対比 (ウ)]のように考えられるから、「TV画面の片隅」に表示される「裏番組」「放映中の番組」の「予想視聴率」は、
「自己が予約した各番組34が放映される放映時に」は、リアルタイムの実際の「視聴率」といえ、
「自己が予約した各番組34が放映される前」にあっては「予想視聴率」といえる。
甲1発明の表示態様について、
「自己が予約した各番組34が放映される放映時に」おける「TV画面の片隅」に表示とは、「放映中の番組」すなわち「自己が予約した各番組34」が表示されている「TV画面の片隅」に表示されると理解するのが自然である。
「自己が予約した各番組34が放映される前」における「TV画面の片隅」に表示とは、放映される前であるから、「自己が予約した各番組34」は表示されていないと理解すべきであり、「自己が予約した各番組34」ではない映像が表示がされている「TV画面の片隅」に表示されると理解するのが自然である。
その際、「TV画面の片隅」に、どのように表示されているかは不明であるが、「片隅」に「予想視聴率」が表示されるとしか受け取ることができない。

そうすると、予想視聴率が片隅に表示されるTV画面に番組表が表示され、表示される番組表上の番組に対応づけられて予想視聴率が表示されることは、甲1から読むことができず、甲1発明は、「前記利用者装置によって表示される」といえるものの、「表示される番組表上の番組に対応づけられて」表示されるものではない点で本件発明1-1と相違している。

(オ)送信
本件発明1-1は、「現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する」ものである。
上記したように、本件発明1-1の「視聴指標」と「録画予約指標」とは、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関する将来の予想からリアルタイムの予想の状況になるものであり、その「視聴指標」と「録画予約指標」との「現在放送中の番組に対応する」指標が送信される。
そうすると、送信されるのは「現在放送中」すなわちリアルタイムの「視聴指標」と「録画予約指標」であり、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関するリアルタイムの予想の状況であるといえる。
そして、「録画予約指標」の主な実施例で説明される「録画率」は、「第2の実施形態」の前提とされる「第1の実施形態」で集計される「録画率」が、将来の番組に対する録画予約を集計するものの、それがリアルタイムになった時の予想「録画率」を得るためであり、将来の番組についての予想の途中経過を得るものではないと考えられるから、「現在放送中の番組に対応する」録画予約指標を送信するとは、将来の番組についての予想の途中経過を送るものではなく、番組がリアルタイムに放送する時に、それまで集計してきた結果としてのリアルタイムの予想「録画率」を送るものといえる。

甲1発明で送信される「予想視聴率」は、
「算出された予想視聴率の各番組が実際に放送されている時間帯に、該当時間帯に放映されている各チャネルの番組34の予想視聴率を各契約者宅3の家庭装置4へ送信する。」(【0035】)場合は、「現在放送中の番組に対応する」指標を送信するといえる。
また、「自己が予約した各番組34が放映される放映される前又は放映時に」(【0055】)表示されるから、「放映される前」に表示されるために、将来の番組についても送信されると理解できる。
その場合、送信される「予想視聴率」は将来のものとなって、将来の予想であるといえる。

(カ)相違点の整理
「利用者装置」「サーバ」「情報と指標」「表示」「送信」について以上のように対比され、この対比による本件発明1-1と甲1発明との違いについて整理すると、

・利用者装置について
本件発明1-1の利用者装置が「録画予約が可能な」ものであることに対して、甲1発明の家庭装置4は「録画予約が可能な」ものではない。
・指標について
本件発明1-1は
指標として「視聴指標」と「録画予約指標」との「視聴」と「録画」に関する2つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関する将来の予想からリアルタイムの予想の状況になるものであり、
送信、表示においては、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関するリアルタイムの予想の状況である
ことに対し、
甲1発明は、
指標として「予想視聴率」の「視聴」に関する一つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであり、
送信、表示においては、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであることで相違し、
この相違により、
本件発明1-1が、
「視聴指標」と「録画予約指標」とのそれぞれに対応して、
「番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置が用いられて視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する視聴番組状況受信手段と、
前記利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する録画予約番組状況受信手段と、」の2つの受信手段、
「前記視聴番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて、現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、
前記録画予約番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて、番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と」の2つの算出手段、
「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する指標送信手段」として、2つの指標を送信する送信手段を備えることに対して、
甲1発明はそうではない点で相違する。

ウ 一致点相違点
以上対比によると、本件発明1-1と甲1発明との一致点・相違点は次のとおり。

[一致点]
「番組の視聴操作が可能な利用者装置から番組を特定可能な情報である番組状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する番組状況受信手段と、
前記番組状況受信手段により受信された各利用者装置からの前記番組状況情報に基づいて、番組指標を算出する指標算出手段と、
前記利用者装置によって表示されるための前記番組指標を送信する指標送信手段と、
を備えることを特徴とするサーバ」

[相違点]
・利用者装置について
本件発明1-1の利用者装置が「録画予約が可能な」ものであることに対して、甲1発明の家庭装置4は「録画予約が可能な」ものではない。
・指標について
本件発明1-1は
指標として「視聴指標」と「録画予約指標」との「視聴」と「録画」に関する2つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関する将来の予想からリアルタイムの予想の状況となるものであり、
送信、表示においては、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関するリアルタイムの予想の状況である
ことに対し、
甲1発明は、
指標として「予想視聴率」の「視聴」に関する一つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであり、
送信、表示においては、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであることで相違し、
この相違により、
本件発明1-1が、
「視聴指標」と「録画予約指標」とのそれぞれに対応して、
「番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置が用いられて視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する視聴番組状況受信手段と、
前記利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する録画予約番組状況受信手段と、」の2つの受信手段、
「前記視聴番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて、現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、
前記録画予約番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて、番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と」の2つの算出手段、
「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する指標送信手段」として、2つの指標を送信する送信手段を備えることに対して、
甲1発明はそうではない点。

相違点の判断
(ア)甲第2号証
甲第2号証(特開2001-245243号公報)には、図面と共に次の記載がある。
(甲2の記載)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 無線受信装置がビデオレコーダ及びビデオリモコンの少くとも一方に組み込まれていて、基地局から送信されてくるテレビ番組データを無線受信装置で受信する構成にしたビデオ装置。


【請求項11】 ビデオリモコンまたはビデオレコーダに記録されている録画予約データが遠隔地で集計される構成にした請求項1?10のいずれか1項に記載のビデオ装置。」

「【請求項12】 ケーブル受信装置がビデオレコーダ及びビデオリモコンの少くとも一方に組み込まれていて、ケーブルテレビ局から送信されてくるテレビ番組データをケーブル受信装置で受信する構成にしたビデオ装置。


【請求項22】 ビデオリモコンまたはビデオレコーダが、ビデオリモコンまたはビデオレコーダに記録されている録画予約データを遠隔地で集計される構成になっている請求項12?21のいずれか1項に記載のビデオ装置。」

「【請求項23】 無線受信装置がテレビ本体及びテレビリモコンの少くとも一方に組み込まれていて、基地局から送信されてくるテレビ番組データを無線受信装置で受信する構成にしたテレビ装置。


【請求項33】 テレビリモコンまたはテレビ本体に記録されているテレビ視聴データが遠隔地で集計される構成にした請求項23?32のいずれか1項に記載のテレビ装置。」

「【請求項34】 無線発信装置がテレビ本体、ビデオレコーダ及びそれらのリモコンの少くとも一つに組み込まれていて、テレビ視聴データを無線発信装置から発信する構成にしたテレビ視聴データ集計システム。
【請求項35】 無線発信装置から発信されたテレビ視聴データがデータ集計局で集計される構成になっている請求項34に記載のテレビ視聴データ集計システム。
【請求項36】 基地局又はケーブルテレビ局から送信されてくる所定の信号を無線受信装置又はケーブル受信装置で受信し、その受信のとき又はそれ以前のテレビ視聴データを無線発信装置から発信する構成になっている請求項34又は35に記載のテレビ視聴データ集計システム。」

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビ装置及びそれに使用するビデオ装置に関し、とくにテレビ本体と、それを操作するためのリモートコントロール端末処理装置(以下テレビリモコンという)と、ビデオレコーダと、ビデオレコーダに付属していてテレビ番組録画に用いられるビデオ操作用のリモートコントロール端末処理装置(以下ビデオリモコンという)の改良に関する。」

「【0007】このような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、テレビ番組情報をテレビ装置やビデオ装置で受信できるようにすることを目的としている。本発明の他の目的は、テレビ視聴データを遠隔地から集計できるようにすることである。」

「【0011】・・・利用者は、テレビ本体、ビデオレコーダ、あるいは、それらのリモコンの画面で曜日、チャンネル、時間等のデータで検索し、録画したい又は見たい番組名を画面上に表示し、ボタンを押す。それにより、その番組を見たり予約するのに必要なデータが、リモコンの赤外線インターフェースによりビデオレコーダやテレビ本体と、それらのリモコン間で送信される。」

「【0012】ビデオリモコンに無線受信装置を組み込んだ例について述べると、無線受信装置で受信した番組情報を表示するためのデータ処理・表示装置、及びユーザが録画したい番組を検索するためのテーブル編集装置、予約したい番組データを赤外線で本体に通信するための赤外線通信インターフェースを設ける。それにより番組情報を一斉同報通信機能を使い、ビデオレコーダのリモコンに送信することにより、利用者は送られてきた番組データをビデオリモコンの画面上で検索して録画したい番組を選択することができる。


【0020】ビデオリモコンとヒデオレコーダの少くとも一方に無線発信装置を組み込むことにより、遠隔地で、ユーザの録画データを定期的又は不定期に吸い上げ集計する。これによりテレビ視聴率を出すことが可能となる。」

「【0022】また、テレビ番組以外のデータがケーブル受信装置や無線受信装置で受信される構成を採用せず、テレビ視聴データの集計システムを構成することができる。テレビ本体、テレビリモコン、ビデオリモコン、ビデオレコーダの少くとも一つに携帯電話、PHS等の小型の無線発信装置を組み込むことにより、遠隔地で、ユーザのテレビ視聴データを吸い上げ集計することができる。これによりテレビ視聴率を出すことが可能となる。
【0023】また、ビデオ装置に適用した場合を中心に説明したが、本発明は、それのみに限定されるものではない。たとえば、本発明は、ビデオ装置を使用しないテレビ装置にも適用できるものである。このようなテレビ装置の場合、無線受信装置又はケーブル受信装置がテレビ本体及びテレビリモコンの少くとも一方に組み込まれていて、基地局又はケーブルテレビ局から送信されてくるテレビ番組データを無線受信装置又はケーブル受信装置で受信する。そして、テレビリモコンに表示画面を設け、基地局やケーブルテレビ局から送信されてきたテレビ番組データの少くとも一部を表示し、画面内でカーソルを移動させることによりテレビ視聴の予約及び取り消しを行う。また、無線発信装置を設けて、テレビ視聴データを発信する。」

「【0025】図1?4の実施例
図1は、本発明のビデオ装置の、主としてビデオリモコンの内部回路と、基地局等との関係を示す。
【0026】図1に示される実施例1においては、TV番組情報入力・編集装置1と、このTV番組情報入力・編集装置1で作成された番組データSを受信する基地局2と、無線の基地局2から同報通信で一斉に発信された番組データSを受信するビデオリモコン3と、ビデオリモコン3により操作されるビデオレコーダ11と、そのビデオレコーダ11に接続されているテレビ画面13と、ビデオリモコン3内に蓄積された録画データを吸い上げ集計するデータ集計局24が設けられている。


【0032】無線受信装置4は、基地局2から発信された番組データSをアンテナ12を介して受信し、次のデータ処理装置5に送る。
【0033】データ処理装置5は、無線受信装置4で受信された番組データSから、主として日付、曜日、チャンネル、開始時刻、終了時刻、番組名の個々のデータを抽出する。
【0034】CPU6はデータ処理装置5から個々に送られてくる番組データ(情報)を処理して、メモリー7に記憶させたり、メモリー7の記憶データを取り出して、日付、曜日、チャンネル、開始時刻、終了時刻、番組名をそれぞれ管理する。
【0035】メモリー7は、データ処理装置5によって抽出された番組情報に関してCPU6によって管理されるだけでなく、メモリー7は、ユーザーが特定した録画データも記憶することができる。
【0036】ここでいう録画データとは、ビデオレコーダ11が実際に録画を行った番組のデータである。メモリー7に記憶された番組情報の中から選ばれたデータの場合と、ユーザーが直接録画時間等を入力して録画を行ったときの入力データである場合とがある。


【0043】データ集計局24は、一週毎、一月毎など、定期的にユーザーの録画データを吸い上げ集計する。これにより、データ集計局24はユーザーの番組録画データを知ることができる。ビデオ録画による視聴率の調査を行うことができる。」

「【0059】図5の実施例
図5は、本発明のテレビ装置の、主としてテレビリモコンの内部回路と、基地局等との関係を示す。
【0060】図5に示される実施例においては、TV番組情報入力・編集装置1と、このTV番組情報入力・編集装置1で作成された番組データSを受信する基地局2と、無線の基地局2から同報通信で一斉に発信された番組データSを受信するテレビリモコン53と、テレビリモコン53により操作されるテレビ本体61と、テレビリモコン53内に蓄積された視聴データを吸い上げ集計するデータ集計局64が設けられている。


【0070】キーボード59を用いて、ユーザーはテレビ本体61を操作する。例えば、キーボード59により、テレビ本体61に対する通常の操作を行う他に、メモリー57に記憶された番組情報に基いてテレビ画面上や表示画面58上で番組情報の選択、予約、確認等を行う。
【0071】赤外線発信装置60は、一般的なリモコンに用いられる赤外線発信装置であり、テレビリモコン53からテレビ本体61に対して赤外線を用いたデータのインターフェース送信を行う。
【0072】無線発信装置63は、テレビリモコン53に内蔵する一体型にしてもよいし、テレビリモコン53とは別体にして、電気的に接続する形にしてもよい。いずれの場合も、メモリー57に記憶されたデータをデータ集計局64に送信する。
【0073】データ集計局64は、無線の基地局2から所定の信号を受信したとき、リアルタイム又は定期的に(1時間毎、1日毎、一週毎、一月毎)あるいは不定期に、ユーザーのテレビ視聴データやテレビ予約データを吸い上げ集計する。これにより、データ集計局64はユーザーのテレビ視聴データを知ることができる。それによりテレビ視聴率の調査を行うことができる。」

「【0091】テレビ装置やビデオ装置の設置場所から遠く離れた遠隔地で企業などが多数のユーザーのテレビ視聴データ(録画データを含む)を吸い上げて集計するようにすると、多数のユーザーのテレビ視聴率を極めて短時間にあるいはリアルタイムに調査することができる。」
(甲2の記載、以上)

甲2の上記記載によると、甲2にはテレビ視聴率を調査する技術が記載されており、
発明の実施の形態として
・ビデオ装置に関して
「ビデオリモコンに無線受信装置を組み込んだ例について述べると、・・・」(【0012】)・・・「ビデオリモコンとヒデオレコーダの少くとも一方に無線発信装置を組み込むことにより、遠隔地で、ユーザの録画データを定期的又は不定期に吸い上げ集計する。これによりテレビ視聴率を出すことが可能となる。」(【0020】)、
・テレビ装置に関して
「本発明は、ビデオ装置を使用しないテレビ装置にも適用できるものである。・・・テレビ番組データの少くとも一部を表示し、画面内でカーソルを移動させることによりテレビ視聴の予約及び取り消しを行う。また、無線発信装置を設けて、テレビ視聴データを発信する。」【0023】
・ビデオ装置およびテレビ装置に関して
「また、テレビ番組以外のデータがケーブル受信装置や無線受信装置で受信される構成を採用せず、テレビ視聴データの集計システムを構成することができる。テレビ本体、テレビリモコン、ビデオリモコン、ビデオレコーダの少くとも一つに携帯電話、PHS等の小型の無線発信装置を組み込むことにより、遠隔地で、ユーザのテレビ視聴データを吸い上げ集計することができる。これによりテレビ視聴率を出すことが可能となる。」【0022】
と説明され、

実施例として
・ビデオ装置に関して
「図1?4の実施例
図1は、本発明のビデオ装置の、主としてビデオリモコンの内部回路と、基地局等との関係を示す。」【0025】
「ここでいう録画データとは、ビデオレコーダ11が実際に録画を行った番組のデータである。メモリー7に記憶された番組情報の中から選ばれたデータの場合と、ユーザーが直接録画時間等を入力して録画を行ったときの入力データである場合とがある。」【0036】
「データ集計局24は、一週毎、一月毎など、定期的にユーザーの録画データを吸い上げ集計する。これにより、データ集計局24はユーザーの番組録画データを知ることができる。ビデオ録画による視聴率の調査を行うことができる。」【0043】
・テレビ装置に関して
「図5の実施例
図5は、本発明のテレビ装置の、主としてテレビリモコンの内部回路と、基地局等との関係を示す。」【0059】
「図5に示される実施例においては、TV番組情報入力・編集装置1と、このTV番組情報入力・編集装置1で作成された番組データSを受信する基地局2と、無線の基地局2から同報通信で一斉に発信された番組データSを受信するテレビリモコン53と、テレビリモコン53により操作されるテレビ本体61と、テレビリモコン53内に蓄積された視聴データを吸い上げ集計するデータ集計局64が設けられている。」【0060】
「データ集計局64は、無線の基地局2から所定の信号を受信したとき、リアルタイム又は定期的に(1時間毎、1日毎、一週毎、一月毎)あるいは不定期に、ユーザーのテレビ視聴データやテレビ予約データを吸い上げ集計する。これにより、データ集計局64はユーザーのテレビ視聴データを知ることができる。それによりテレビ視聴率の調査を行うことができる。」【0073】
・ビデオ装置およびテレビ装置に関して
「テレビ装置やビデオ装置の設置場所から遠く離れた遠隔地で企業などが多数のユーザーのテレビ視聴データ(録画データを含む)を吸い上げて集計するようにすると、多数のユーザーのテレビ視聴率を極めて短時間にあるいはリアルタイムに調査することができる。」【0091】
と説明され、

特許請求の範囲に、
・ビデオ装置の発明として
「無線受信装置がビデオレコーダ及びビデオリモコンの少くとも一方に組み込まれていて、基地局から送信されてくるテレビ番組データを無線受信装置で受信する構成にしたビデオ装置。」【請求項1】
「ビデオリモコンまたはビデオレコーダに記録されている録画予約データが遠隔地で集計される構成にした請求項1?10のいずれか1項に記載のビデオ装置。」【請求項11】
「ケーブル受信装置がビデオレコーダ及びビデオリモコンの少くとも一方に組み込まれていて、ケーブルテレビ局から送信されてくるテレビ番組データをケーブル受信装置で受信する構成にしたビデオ装置。」【請求項12】
「ビデオリモコンまたはビデオレコーダが、ビデオリモコンまたはビデオレコーダに記録されている録画予約データを遠隔地で集計される構成になっている請求項12?21のいずれか1項に記載のビデオ装置。」【請求項22】
・テレビ装置の発明として
「無線受信装置がテレビ本体及びテレビリモコンの少くとも一方に組み込まれていて、基地局から送信されてくるテレビ番組データを無線受信装置で受信する構成にしたテレビ装置。」【請求項23】
「テレビリモコンまたはテレビ本体に記録されているテレビ視聴データが遠隔地で集計される構成にした請求項23?32のいずれか1項に記載のテレビ装置。」【請求項33】
・ビデオ装置およびテレビ装置に関するシステムの発明として
「無線発信装置がテレビ本体、ビデオレコーダ及びそれらのリモコンの少くとも一つに組み込まれていて、テレビ視聴データを無線発信装置から発信する構成にしたテレビ視聴データ集計システム。」【請求項34】
「無線発信装置から発信されたテレビ視聴データがデータ集計局で集計される構成になっている請求項34に記載のテレビ視聴データ集計システム。」【請求項35】
と捉えられている。

(イ)甲1発明との組み合わせの判断
甲2の上記説明から甲2には、
装置と吸い上げられる情報とそれが集計され調査されるものとして、
・ビデオ装置について
吸い上げられる情報
「ユーザの録画データ」【0020】
「録画データ」【0036】
「録画予約データ」【請求項11】【請求項22】
集計され調査されるもの
「テレビ視聴率」【0020】
「ビデオ録画による視聴率」【0043】
(特許請求の範囲では特定されていない。)
・テレビ装置について
吸い上げられる情報
「テレビ視聴データ」【0023】
「テレビ視聴データやテレビ予約データ」【0073】
「テレビ視聴データ」【請求項33】
集計され調査されるもの
(発明の実施の形態では特定されていない。)
「テレビ視聴率」【0073】
(特許請求の範囲では特定されていない。)
・ビデオ装置およびテレビ装置に関して
吸い上げられる情報
「テレビ視聴データ」【0022】
「テレビ視聴データ(録画データを含む)」【0073】
「テレビ視聴データ」【請求項34】【請求項35】
集計され調査されるもの
「テレビ視聴率」【0022】
「テレビ視聴率」【0073】
(特許請求の範囲では特定されていない。)
が記載されていると認められる。

このように、甲2においては、ビデオ装置と、テレビ装置と、ビデオ装置とテレビ装置とをまとめて捉えたものについて説明されており、
ビデオ装置について、「録画予約データ」を吸い上げて集計するとしてはいるものの、集計され調査されるものは「テレビ視聴率」、「ビデオ録画による視聴率」とされ、
ビデオ装置とテレビ装置とをまとめて捉えたものについて、「テレビ視聴データ(録画データを含む)」を吸い上げて「テレビ視聴率」を得るようにされていることから、
「録画予約データ」を吸い上げて調査されるものは、テレビ装置における「テレビ視聴率」と同じ概念で捉えられていると認められる。すなわち、テレビ視聴率を、単にテレビ視聴データだけでなく、「ビデオ録画による視聴率」を含んだ視聴率として捉えているものと認められる。

甲1発明の「予想視聴率」と対比すると、視聴に関してリアルタイムと予約とを考慮するテレビ装置における「テレビ視聴データやテレビ予約データ」を集計して得られる「テレビ視聴率」が、甲1発明の「予想視聴率」に対応するといえるから、甲2の「テレビ視聴率」は、甲1発明の視聴に関する「予想視聴率」に対応するテレビ装置における「テレビ視聴率」にビデオ装置の「録画予約データ」を集計する「ビデオ録画による視聴率」を加えたものと考えられ、将来の予想からリアルタイムの実際の状況になる性質の視聴率であるという点で甲1発明の「予想視聴率」と共通する。

甲1発明には「録画」の考え方がないものの、甲1発明は、「録画」をしないもの、「録画」を禁じるものではなく、単に「録画」を想定していない発明であるといえ、本件特許の出願時において、家庭でのテレビの視聴において、録画装置を設け、録画予約し、録画したものを再生して視聴することは普通に行われていると認められるから、甲1発明の家庭装置4に録画装置を設け、録画予約し、録画したものを再生して視聴することができるようになすことは当業者が容易に想到できるといえる。そしてその番組予約時に、番組表の番組を用いた録画予約し、番組を特定する予約情報が発生することも、自然に想到できることといえる。
そうであるから、甲1発明に録画機能を設け、そのような甲1発明の「予想視聴率」に代えて、視聴率として共通の性質を有する甲2の「ビデオ録画による視聴率」を含む「テレビ視聴データ」を採用(置換)することは当業者が容易に想到できるといえる。

そのようにして、甲1発明の「予想視聴率」に代えて甲2の「ビデオ録画による視聴率」を含む「テレビ視聴率」を採用(置換)したとき、送信され、表示されるのは、「ビデオ録画による視聴率」を含む「テレビ視聴率」となり、一つの視聴状況(視聴の指標)が表示されるものとなる。
そうすると、本件発明1-1は上記相違点において「視聴指標」と「録画予約指標」とを有し、それぞれに、算出・送信・表示されるのであるから、甲1発明の「予想視聴率」に代えて甲2の「ビデオ録画による視聴率」を含む「テレビ視聴率」を採用(置換)しても、本件発明1-1の上記相違点を導くことができない。

また、上記のように甲1発明に「録画」の考え方を普通に想到できるから、録画機能の付加に伴う、指標に関する構成の付加も検討すべきである。
しかしながら、甲1発明に録画機能を付加して甲2の「テレビ視聴率」を採用しようとした場合、甲2の「テレビ視聴率」は、「ビデオ録画による視聴率」を含むが、「視聴」の指標であるというとらえ方に変わりないから、既に「視聴」の指標として「予想視聴率」を有する甲1発明に、同じ視聴の指標をも更に付加しようとするとは直ちにいえない。
甲2では、ビデオ装置から「ビデオ録画による視聴率」を得てはいるが、その番組の視聴率としてはテレビ装置における「テレビ視聴率」と合わされて一つの視聴率として扱われ、結局、甲2には、集計の元となる装置については、視聴率としてビデオ装置における「ビデオ録画による視聴率」とテレビ装置における「テレビ視聴率」の2つの視聴率が認められるが、番組に対して視聴率としてビデオ装置における「ビデオ録画による視聴率」とテレビ装置における「テレビ視聴率」の2つの種類の視聴率を提供するという思想は認められない。
したがって、甲1発明に録画機能を付加しても、甲1発明の番組に対する「予想視聴率」とは別に、甲2のビデオ装置における「ビデオ録画による視聴率」を付加することが容易に想到できたとすることはできない。
そうであるから、本件発明1-1の上記相違点における「視聴指標」と「録画予約指標」とを有し、それぞれに、算出・送信・表示される構成を導くことができない。

請求人は、結局のところ、視聴(再生)、録画、録画予約が普通の機能であることを理由に、(視聴)予約に関する指標を扱う甲1発明に、予約である録画予約の指標を採用しようと当業者であれば想起する旨の主張をするが、機能が普通であるからといって、機能が違うことでその指標の意味も異なり、視聴者に提示する意味も異なるといえ、視聴者が番組選択の材料とするための指標として何を提供するかが自由度をもって設計されるものであっても、その自由度の中でその指標として「視聴指標」とは別に「録画予約指標」をも提供するように設計しようと想起できるとはいうことはできない。

(ウ)相違点の判断まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1-1は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせて当業者が容易に想到できたものであるということはできない。

オ 請求項1、無効理由1まとめ
以上のとおり判断されるから、請求人が申し立てる無効理由1は理由がない。

(2)無効理由9(新規事項)
請求項1に対する無効理由9は、無効理由9-1ないし5、および7である。

ア 無効理由9-1(補正事項1)
・請求人が新規事項であるとする事項
「現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標」

願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」ともいう)(甲第11号証参照)には、
「【0002】
現在、複数の番組を表形式に配列した番組表をインターネットなどの通信回線網を介して提供することが行われている。この番組表には、各番組の詳細な内容を確認したり、希望する番組を録画予約したりできるものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のような番組表の提供を受けた利用者が、番組表中からどのような番組を選んで視聴または録画を行ったのかを知ることはできなかったため、この種の番組表を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知りたいという要望があった。」
「【0079】
また、本実施形態においては、図4のs52において調査者側装置10が、番組表に視聴率および録画率を記載するものを例示したが、番組表には、視聴率と録画率のうちいずれかのみが記載されるように構成されていてもよい。また、視聴率または録画率以外に、最高(または最低)視聴率となった時刻、番組を視聴した平均人数などが記載されるように構成してもよい。」
と記載されており、
主に説明される実施例における「視聴率」「録画率」が、「この種の番組表を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知(りたい)」るためのものであり、「視聴率または録画率以外に、最高(または最低)視聴率となった時刻、番組を視聴した平均人数など」でも良いことが記載されている。
このことから、主に説明される実施例における「視聴率」「録画率」が、「視聴率または録画率以外に、最高(または最低)視聴率となった時刻、番組を視聴した平均人数など」でも良い、「この種の番組表を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知(りたい)」るための情報の一例であるという概念が、当初明細書等に記載されているということができ、そのような情報を「指標」というのも普通である。
そうであるから、「視聴」に関して、「視聴者数の多少を把握可能な視聴指標」ということは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえる。
請求人は、「現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標」との記載が、単なる現在放送中の番組の視聴者の数の絶対値をも含むものと解釈されるとすれば、」との仮定の下に新規事項をいうが、その仮定が新規事項をいう前提であるから、その仮定を証明しない請求人の主張は採用できない。

以上のとおり、「現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標」は新規事項ということはできず、補正事項1に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-1は理由がない。

イ 無効理由9-2(補正事項2)
・請求人が新規事項であるとする事項
「番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標」

当初明細書には、上記[ア 無効理由9-1(補正事項1)]に述べた記載があり、同様に、主に説明される実施例における「視聴率」「録画率」が、「視聴率または録画率以外に、最高(または最低)視聴率となった時刻、番組を視聴した平均人数など」でも良い、「この種の番組表を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知(りたい)」るための情報の一例であるという概念が、当初明細書等に記載されているということができ、そのような情報を「指標」というのも普通である。
また、当初明細書には、
「【0046】
一方、s22の処理で行われた操作が、録画予約ボタンB2を選択する操作である場合(s23:NO、s26:YES)、利用者側端末20は、録画番組データを調査者側装置10に送信する(s27)。この処理において送信される録画番組データは、s14の処理で選択された番組の放送チャンネル、番組の放送開始時刻および放送終了時刻を特定するデータである。
【0047】
この録画番組データを受信した調査者側装置10は、録画番組データに基づいて録画率を算出する。調査者側装置10では、番組毎に用意された変数cn(c1?cn)のうち、録画番組データで特定される番組、つまり、利用者が録画する番組に対応する変数ciに「1」を加算する。なお、ここで利用者側端末20から送信されてきた録画番組データを受信する調査者側装置10は、本発明におけるデータ受信手段として機能するものである。また、変数ciに「1」を加算する調査者側装置10は、本発明におけるカウント手段として機能するものである。
【0048】
そして、調査者側装置10は、調査者側装置10が録画番組データを受信する度に変数ciに基づいて録画率を算出する。ここでは、まず、受信した録画番組データで特定される番組と同一の時間帯に放送される全ての番組に対応する変数cnを合計して合計値Cを算出する。そして、合計値Cと録画番組データで特定される番組に対応する変数ciとの比(ci/C)を録画率として算出する。なお、こうして録画率を算出する調査者側装置10は、本発明における録画率算出手段として機能するものである。」
との記載があり、
「録画率」は、録画予約ボタンB2を選択する操作による録画番組データに基づいて算出されるから、予約の時点においては「録画予約率」であり、実際の放送の時点では録画予約に基づく録画を予測するものとなるから、予約に基づく録画の程度を表す指標といえる。
そうであるから、「録画」に関して、「番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標」ということは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえる。
請求人は、「「番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標」との記載が、単なる番組の録画予約の数の絶対値をも含むものと解釈されるとすれば、」との仮定の下に新規事項をいうが、その仮定が新規事項をいう前提であるから、その仮定を証明しない請求人の主張は採用できない。

以上のとおり、「番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標」は新規事項ということはできず、補正事項2に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-2は理由がない。

ウ 無効理由9-3(補正事項3)
・請求人が新規事項であるとする事項
「視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」

当初明細書には、視聴指標算出手段に対応するものとして「調査者側装置10は、・・・視聴率算出手段として機能する」(【0041】)とある。この「調査者側装置10」は、図1に図示されるように、インターネット100を介して利用者側端末20と通信可能となっており、利用者側端末20に対して、番組表(第2実施形態では視聴率、録画率を含む)の提供などを行うものであり、「サーバ」といえるものである。
そうであるから、「サーバ」が「視聴指標算出手段」を備えるという概念は、当初明細書等に記載されているといえ、「視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえる。
請求人は、「「視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」との記載が、サーバ以外の利用者側端末等が視聴指標を算出することをも含むものと解釈されるとすれば、」との仮定の下に新規事項をいうが、その仮定が新規事項をいう前提であるから、その仮定を証明しない請求人の主張は採用できない。

以上のとおり、「視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」は新規事項ということはできず、補正事項3に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-3は理由がない。

エ 無効理由9-4(補正事項4)
・請求人が新規事項であるとする事項
「録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」

当初明細書には、録画予約指標算出手段に対応するものとして「調査者側装置10は、・・・録画率算出手段として機能する」(【0048】)とあって、「サーバ」、「サーバ」が「録画予約指標算出手段」を備えることについて、上記[ウ 無効理由9-3(補正事項3)]と同様に判断されるから、「録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえる。
請求人は、「「録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」との記載が、調査者側のサーバ以外の利用者側端末等が録画予約指標を算出することをも含むものと解釈されるとすれば、」との仮定の下に新規事項をいうが、その仮定が新規事項をいう前提であるから、その仮定を証明しない請求人の主張は採用できない。

以上のとおり、「録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と、・・・を備えることを特徴とするサーバ」は新規事項ということはできず、補正事項4に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-4は理由がない。

オ 無効理由9-5(補正事項5)
・請求人が新規事項であるとする事項
「番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標」

当初明細書には、「そして、調査者側装置10は、s52の処理で作成された番組表を利用者側端末20に送信する(s53)。この番組表を受信した利用者側端末20は、図5に示すように、各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表が表示される。」(【0066】)とあって、図5には、番組表の枠内に録画率、視聴率が表示される様子が図示されていることから、視聴指標と録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけられて表示されることは、当初明細書等に記載されているといえ、「番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえる。
請求人は、「「番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標」との記載が、視聴指標と録画予約指標とを組み込んで表示する対象が放送時間帯とは無関係な番組のリストであるものをも含むものと解釈されるとすれば、」との仮定の下に新規事項をいうが、その仮定が新規事項をいう前提であるから、その仮定を証明しない請求人の主張は採用できない。

以上のとおり、「番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標」は新規事項ということはできず、補正事項5に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-5は理由がない。

カ 無効理由9-6
本件発明1-1に対して申し立てる無効理由ではない。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
・請求人が新規事項であるとする事項
請求項1の記載において「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する」

請求人は当初明細書等に「番組表とは別体の視聴率や録画率自体が調査者側のサーバから送信され、利用者装置によって受信され、及び/又は利用者装置において視聴率や録画率とは別体の番組表自体を特に調査者側のサーバ以外から受信し、更にこのような別体の視聴率や録画率と番組表に基づいて利用者装置において視聴率や録画率を組み込んで番組表を作成し、表示すること」が記載されていないことをもって、補正事項7を新規事項という。
そこで、番組表と視聴率や録画率自体が別体として扱われるか否かについて、検討する。

当初明細書等には、視聴率等が利用者端末20に表示されるものとして、「第2実施形態」について、図4、図5と共に次の記載がある。
「【0063】
調査者側装置10が実行する番組表作成処理を図4に基づいて説明する。この番組表作成処理は、番組表の送信を要求する内容の要求データを利用者側端末20から受信することによって開始される。
【0064】
まず、調査者側装置10は、要求データに基づいて要求された地域、時間の番組表をハードディスク12から読み出す(s51)。この処理で読み出される番組表は、要求データに基づいて要求された時間以降3時間分の番組表である。
【0065】
次に、調査者側装置10は、番組の視聴率が該番組に対応する領域に記載された番組表を作成する(s52)。この処理において各番組の表示領域に記載される視聴率は、ハードディスク12に記憶された視聴率から算出されたものであって、一定時間毎に複数回算出された視聴率を番組の放送時間内における算出回数で平均した平均視聴率である。なお、番組表中の番組が一定期間に複数回連続して放送される番組である場合には、番組に対応する領域に前回の放送での視聴率および録画率が記載されるように構成してもよい。また、番組の表示領域に記載される視聴率として、例えば、対応する番組の放送時間となる視聴率のうち最大値となる最高視聴率であってもよい。
【0066】
そして、調査者側装置10は、s52の処理で作成された番組表を利用者側端末20に送信する(s53)。この番組表を受信した利用者側端末20は、図5に示すように、各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表が表示される。
【0067】
なお、以上説明した視聴率調査システム2において、番組の視聴率が該番組に対応する領域に記載された番組表を作成する調査者側装置10は、本発明における番組表作成手段として機能するものである。
【0068】
このように構成された視聴率調査システム2によれば、放送が終了した番組の視聴率や放送中の番組の視聴率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることができる。また、番組の録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることができる。」
また、他に、
「【0079】
また、本実施形態においては、図4のs52において調査者側装置10が、番組表に視聴率および録画率を記載するものを例示したが、番組表には、視聴率と録画率のうちいずれかのみが記載されるように構成されていてもよい。また、視聴率または録画率以外に、最高(または最低)視聴率となった時刻、番組を視聴した平均人数などが記載されるように構成してもよい。」
との記載がある。
他に視聴率等が利用者端末20に表示されるものについて直接記載した箇所はない。

上記の視聴率等が利用者端末20に表示されるものについての記載によると、
「調査者側装置10は、番組の視聴率が該番組に対応する領域に記載された番組表を作成する(s52)。」【0065】
「調査者側装置10は、s52の処理で作成された番組表を利用者側端末20に送信する(s53)。この番組表を受信した利用者側端末20は、図5に示すように、各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表が表示される。」【0066】
「番組の視聴率が該番組に対応する領域に記載された番組表を作成する調査者側装置10は、本発明における番組表作成手段として機能する」【0067】
「調査者側装置10が、番組表に視聴率および録画率を記載するものを例示したが、番組表には、視聴率と録画率のうちいずれかのみが記載されるように構成されていてもよい。また、視聴率または録画率以外に、最高(または最低)視聴率となった時刻、番組を視聴した平均人数などが記載されるように構成してもよい。」【0079】
とされ、送信・受信においては、「各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表」が送信・受信される。
したがって、視聴率等が利用者端末20に表示される構成として、実施例として直接記載されているのは、「各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表」が送信・受信されることであり、このために、「各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表」の送信・受信は、一つの送信・受信手段、手順でなされるものが記載されていると認められる。
したがって、当初明細書等には、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表の送信・受信手段、手順とが別々に存在するものは、直接記載されているということはできない。

被請求人は、態様1、態様2、別説明により、記載されているという。
・態様1について
被請求人は、上記した「第2実施形態」について、「各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表」においては、番組表のデータとしての[番組タイトル、放送時間、放送チャンネル]のデータ(【0064】でハードディスクから読み出されたデータ)に[視聴率、録画率]のデータ(算出されたデータ)が対応付け(【0065】「番組の視聴率が該番組に対応する領域に記載」)られていることから、また、受信についても同様であることから、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表の送信・受信手段、手順とが別々に存在することが、「第2実施形態」に記載されている旨の主張をする。
しかしながら、番組表の作成の時に対応が取られ、番組表がその対応が取られたデータを持つとしても、送信・受信されるのはその対応が取られたデータを持つ番組表であるから、送信・受信において、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表の送信・受信手段、手順とが別々に存在することことにはならない。したがって、「第2実施形態」の記載が視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表の送信・受信手段、手順とが別々に存在することを記載しているということはできない。

・態様2、別説明について
被請求人は、視聴率等が記載されていない番組表がCD-ROM、ハードディスクにあり、視聴率等が記載されていない番組表が送信・受信されることが記載されていることから、「第2実施形態」において、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表の送信・受信手段、手順とが別々に存在することが記載されている旨(態様2)、公知のインターネットを通じた番組表の提供は従来技術として本件特許の前提であって、番組表の取得先は調査者側に限らないこと、または、調査者側装置10が複数のコンピュータ(CPU)であって、番組表を送信する処理を別個のサーバが実行することから、「第2実施形態」で視聴率等が利用者端末20に表示されるための構成として、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表の送信・受信手段、手順とが別々に存在することが記載されている旨(別説明)の主張をする。
しかしながら、当初明細書等の直接の記載には、上記のように、視聴率等が利用者端末20に表示されるための構成として、視聴率等が記載された番組表の送信・受信は、一つの送信・受信手段、手順でなされることが記載されている。この一つの送信・受信手段、手順は、それ自体は番組表の送信受信手段、手順であり、送信・受信される番組表に視聴率等が入って、視聴率等が送信・受信されると理解される。番組表は時間の経過と共に更新されると考えるべきものであり、また、そこに表示される視聴率等も(同じ番組表に対するものとしても)時間の経過と共に新しく発生し、変化すると考えるべきであるから、「第2実施形態」で新しく発生した視聴率等が利用者端末20に表示されるためには、新しい視聴率等を表示するために更新した新しい番組表を送信・受信すると理解すべきである。
その新しい視聴率等からみて、それより前の番組表はその新しい視聴率が存在しない番組表であり、被請求人がいうような視聴率等が存在しない番組表が、新しい視聴率等に関して「第2実施形態」にあり得ることは自然と理解できる。したがって、視聴率等が無い場合に、算出のための情報を得るために算出される視聴率が存在しない番組表を送信・受信することは、「第2実施形態」に読み取ることができる。その場合、「第2実施形態」では、後に算出される視聴率等は記載されていないけれども、既に算出された視聴率等は記載された番組表が送信・受信されることになると考えるべきである。これは、送信の主体が何であれ、同じく理解されるべきものである。
いいかえると、当初明細書等には、番組表を送信・受信する一つの送信・受信手段、手順で、その番組表に視聴率等を記載して視聴率等を送信・受信することが記載されているといえる。
したがって、当初明細書等には、番組表を送信・受信する従来技術や複数コンピュータの存在が認められても、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表の送信・受信手段、手順とが別々に存在することが記載されているということはできない。

以上のとおり、視聴率等の送信・受信手段、手順が別体であるか否かについて、当初明細書等には、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表の送信・受信手段、手順とが別々に存在することが記載されているということはできないと判断されるところ、本件発明1-1は、「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する」送信手段を有し、指標、すなわち、視聴率等を送信することを特定する。そして、本件発明1-1は、この指標送信手段とは別に、番組表を送信(受信)する手段を特定せず、視聴率等の送信・受信手段、手順が番組表の送信・受信手段、手順と別体であることを特定していない。
上記視聴率等の送信・受信手段、手順が別体であるか否かについての判断のとおり、番組表を送信・受信する一つの送信・受信手段、手順は、その番組表に視聴率等を記載して視聴率等を送信・受信しており、この番組表を送信・受信する一つの送信・受信手段、手順を視聴率等の送信・受信手段、手順と理解することができる。すなわち、番組表を送信・受信する一つの送信・受信手段、手順を「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する」送信手段と理解することができる。また、「この種の番組表を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知りたいという要望があった。」(【0003】)との課題から、「第2実施形態」の実施の手段の具体を越えて、「番組表を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知」るために、視聴率等の送信・受信に着目して、「各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表」の送信・受信について、これを視聴率等の送信・受信であると捉えることができると認められる。
したがって、番組表を送信(受信)する手段を特定しない、本件発明1-1の「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する」送信手段は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえる。

以上のとおり、本件発明1-1に関して、「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する」は新規事項ということはできず、本件発明1-1に関して平成22年8月27日付手続補正書による補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないということはできない。
したがって、本件発明1-1は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたとはいえないから、特許法123条1項1号の規定により無効とすることはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-7は理由がない。

(3)請求項1まとめ
以上のとおり、請求項1に対する無効理由はいずれにも理由がない。
したがって、請求人の申し立てる理由によっては本件特許の請求項1に係る発明を無効とすることはできない。

2 請求項2
本件特許の請求項2に係る発明に対する無効理由は、無効理由2、9である。
(1)無効理由2(進歩性)
本件発明1-2に対する無効理由2は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたとするものである。

本件発明1-2を特定する請求項2は請求項1を引用するものであり、本件発明1-2は、請求項1の要件(本件発明1-1)をすべて含むものであり、更に、「前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段をさらに備えること」を特定する。
本件発明1-2と甲1発明との対比、一致点相違点及びその判断については、本件発明1-1と甲1発明との対比、一致点相違点及びその判断と同様に判断される。
本件発明1-2の上記更に特定する構成について、甲1発明において、番組表は送信・受信され、家庭装置4で用いられるから、「前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段を」備えるといえ、この点においては相違はない。

甲3には、番組表に視聴率を表示すること(図4)、
甲4には、番組表データに視聴率を有し(図3)、また、番組表を表示する(図4)(ただし、番組表に視聴率自体の表示はない)こと、
甲5には、番組表データに視聴率を有し(図5)、また、番組表を表示する(図3)(ただし、番組表に視聴率自体の表示はない)こと
が記載されている。

甲1発明での「予想視聴率」は
「視聴率受信部25が、局装置2からデータ送受信部20を介して現在時点における各番組の予想視聴率を受信すると(Q3)、現在TV受像機8で放映中の番組以外の各番組、すなわち、各裏番組の予想視聴率をTV画面の片隅に表示する(Q4)。」
であり、
「番組表」は
「局装置2へ番組表要求を送信する(S2)。局装置2から図5に示す1週間分の番組表28aがデータ送受信部20を介して入力されると(S3)、番組表取得表示部26はその1週間分の番組表28aをTV受像機8のTV画面に表示する(S4)。」
のであるから、
甲1発明が「表示される番組表上の番組に対応づけられて表示される」ものでなく相違することは本件発明1-1に関して述べたとおりである。
この相違点に関して、番組に関する視聴率を番組表データに含ませ、番組表に視聴率を表示することは、甲3ないし甲5の上記記載から、仮に、当業者が容易に想到できることといえるとしても、甲3ないし甲5には「視聴率」について記載されているものの「録画予約」率または数について記載無く、また、甲6、甲7にも認められないから、甲1、甲2に加えて甲3ないし甲7の記載からも、本件発明1-1で述べたと同じ本件発明1-2と甲1発明との相違点(視聴指標と録画予約指標)を導くことはできない。
したがって、本件発明1-2は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものであるということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由2は理由がない。

(2)無効理由9(新規事項)
請求項2に対する無効理由9は、無効理由9-1ないし7である。
ア 無効理由9-1ないし5(補正事項1ないし5)
本件発明1-1に関して述べたと同じく判断され、補正事項1ないし5に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-1ないし5は理由がない。

カ 無効理由9-6(補正事項6)
・請求人が新規事項であるとする事項
「前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段をさらに備えること、を特徴とするサーバ」

下記[キ 無効理由9-7(補正事項7)]で述べるとおり、「前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段をさらに備えること」は、請求項2が引用する請求項1の「指標送信手段」との関係において新規事項といえ、本件発明1-2は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということはできない。
よって、本件発明1-2に関して平成22年8月27日付手続補正書による補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1-2は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項2に対する無効理由9-6は理由がある。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
・請求人が新規事項であるとする事項
請求項1の記載において「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する」

上記のとおり、本件発明1-2は、本件発明1-1に、更に、「前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段をさらに備える」。そうすると送信手段として「指標送信手段」の他に「さらに」「番組表データ送信手段」を備えることとなる。これにより、本件発明1-2は、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表データの送信・受信手段、手順とが別々に存在すると捉えるものとなると認められる。
本件発明1-1に関して無効理由9-7について述べたように、当初明細書等からは、「この種の番組表を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知りたいという要望があった。」(【0003】)との課題から、「第2実施形態」の実施の手段の具体を越えて、「番組表を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知」るために、視聴率等の送信・受信に着目して、「各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表」の送信・受信について、これを視聴率等の送信・受信であると捉えることができると認められるのであるが、
番組表という観点から見た場合、視聴率等が利用者端末20に表示される技術として、表示においては、番組表は視聴率が記載されて表示されるものと捉えられ、一方、送信・受信においては、番組表は視聴率等を送信・受信するために視聴率等を記載して送信・受信する手段と捉えられるから、送信・受信においては、視聴率等と番組表データとは一体のものである。
したがって、送信・受信において、「各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表」の送信・受信を番組表データが視聴率等と離れて送信・受信されるという捉え方をすることはできない。
すなわち、「各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表」の送信・受信が、視聴率等と番組表データとを切り離して、視聴率等の送信・受信と番組表データの送信・受信であると捉えることはできない。

また、請求項2に係る発明が引用する請求項1に係る発明でいう視聴率等の送信・受信は、「各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表」の送信・受信を視聴率等の送信・受信と捉えていうものであるから、そのように捉えられる番組表の送信・受信とは別に番組表データの送信・受信があるという捉え方はできない。

そうであるから、当初明細書等には、送信・受信において、番組表データが視聴率等と離れて送信・受信されるという捉え方をする思想を読むことはできず、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表データの送信・受信手段、手順とが別々に存在すると捉えるものとなると認められる本件発明1-2は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということはできない。

よって、本件発明1-2に関して平成22年8月27日付手続補正書による補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1-2は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項2に対する無効理由9-7は理由がある。

(3)請求項2まとめ
以上のとおり、請求項2に対する無効理由2は理由がない。しかしながら、無効理由9(無効理由9-6、7)は理由がある。
したがって、本件特許の請求項2に係る発明は無効とすべきである。

3 請求項3
本件特許の請求項3に係る発明に対する無効理由は、無効理由3、9である。
(1)無効理由3(進歩性)
本件発明1-3に対する無効理由3は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたとするものである。

本件発明1-3を特定する請求項3は請求項2を引用するものであり、本件発明1-3は、請求項2の要件(本件発明1-2)をすべて含むものであり、更に、「前記番組表データ送信手段は、放送中の番組と同時に前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表が表示可能なよう構成された前記番組表データを送信すること」を特定する。
本件発明1-3と甲1発明との対比、一致点相違点及びその判断については、本件発明1-1、本件発明1-2と甲1発明との対比、一致点相違点及びその判断と同様に判断される。
本件発明1-3の上記更に特定する構成について、甲1発明においては、放送中の番組と同時に番組表を表示するものではなく、視聴指標、録画予約指標及び番組表が表示可能なよう構成された番組表データを有するともいえないから、本件発明1-3が「前記番組表データ送信手段は、放送中の番組と同時に前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表が表示可能なよう構成された前記番組表データを送信する」ことに対して、甲1発明はそうではない点で更に相違する。

請求人は甲5、甲8、甲9を挙げ、「放送中の番組映像に重畳して番組表を表示すること」が周知であるという。
しかしながら、甲1発明の画面の片隅に予想視聴率を表示する表示態様自体は、予想視聴率が映像画面(の片隅に)に重畳表示されることが想定されるものとして、甲5【0002】にいう特表平6-504165号公報や甲8、甲9には、映像画面に番組に関する情報を重畳表示することが見て取れるところ、甲3のような視聴率を表示する番組表を重畳するものではない。
甲3は番組表に視聴率を表示する技術であるとはいえるが、視聴率表示のために視聴率の表示に代えて視聴率を表示する番組表を表示しようとする技術とはいえない。また、画面に対するサイズを考えると、甲3の視聴率を表示する番組表を映像画面に重畳しようと想到できるとは直ちにいえない。
本件発明1-1で述べたと同じ本件発明1-3と甲1発明との相違点(視聴指標と録画予約指標)を導くこともできない。

したがって、本件発明1-3は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものであるということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由3は理由がない。

(2)無効理由9(新規事項)
請求項3に対する無効理由9は、無効理由9-1ないし7である。
ア 無効理由9-1ないし5(補正事項1ないし5)
本件発明1-1に関して述べたと同じく判断され、補正事項1ないし5に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-1ないし5は理由がない。

カ 無効理由9-6(補正事項6)
・請求人が新規事項であるとする事項
請求項2の記載において「前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段をさらに備えること、を特徴とするサーバ」

本件発明1-2に関して述べたと同じく判断される。
したがって、本件発明1-3は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項3に対する無効理由9-6は理由がある。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
・請求人が新規事項であるとする事項
請求項1の記載において「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する」

本件発明1-2に関して述べたと同じく判断される。
したがって、本件発明1-3は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項3に対する無効理由9-7は理由がある。

(3)請求項3まとめ
以上のとおり、請求項3に対する無効理由3は理由がない。しかしながら、無効理由9(無効理由9-6、7)は理由がある。
したがって、本件特許の請求項3に係る発明は無効とすべきである。

4 請求項4
本件特許の請求項4に係る発明に対する無効理由は、無効理由4、9である。
(1)無効理由4(進歩性)
本件発明1-4に対する無効理由4は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたとするものである。

ア 甲第1号証
甲1には、請求項1に関して述べた記載があり、請求項1に関して述べたと同じ甲1発明を認める。

イ 対比、一致点相違点
本件発明1-4は「利用者装置」の発明であるところ、本件発明1-1、2、3と同じ、視聴率、録画率が番組表に表示される技術について、本件発明1-1、2、3が「サーバ」として特定した発明であることに対して、本件発明1-4では「利用者装置」として特定した発明と認められる。
甲1発明はコンピュータである家庭装置4、すなわち、利用者装置の発明ということもできる。
利用者装置が「録画予約が可能」であるか否かの相違、指標に関する相違は、本件発明1-1に関して述べたと同じである。サーバ(本件発明1-1)における送信・受信は「利用者装置」では逆に受信・送信となる。
番組表と指標の出力について、
本件発明1-4は、指標を含む番組表を出力することに対して、甲1発明は、予約などするために番組表を表示するが、番組表に指標(予想視聴率)は含まれず、指標(予想視聴率)は番組表とは別にTV画面に表示され、表示において番組表と指標(予想視聴率)との関係はない。すなわち、本件発明1-4において指標は番組表に含まれて表示されるのであって、指標としての出力はなく、出力としては番組表の出力があるだけといえるところ、甲1発明は番組表の出力と指標(予想視聴率)の出力の2つの別の出力がある。したがって、本件発明1-4は、指標を含む番組表の出力手段を備えることに対して、甲1発明は、番組表の出力手段と指標の出力手段が別に備えられる点で相違する。

本件発明1-4と甲1発明との一致点相違点は次のとおりである。

[一致点]
番組の視聴操作が可能な利用者装置であって、
番組を特定可能な情報である番組状況情報をサーバへ送信する番組状況情報送信手段と、
各利用者装置の前記番組状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された番組指標を受信する指標受信手段と、
番組表データをサーバから受信する番組表データ受信手段と、
番組表を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする利用者装置。

[相違点]
・利用者装置について
本件発明1-4の利用者装置が「録画予約が可能な」ものであることに対して、甲1発明の家庭装置4は「録画予約が可能な」ものではない。
・指標について
本件発明1-4は
指標として「視聴指標」と「録画予約指標」との「視聴」と「録画」に関する2つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関する将来の予想からリアルタイムの予想の状況となるものであり、
受信、表示においては、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関するリアルタイムの予想の状況である
ことに対し、
甲1発明は、
指標として「予想視聴率」の「視聴」に関する一つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであり、
受信、表示においては、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであり、
・出力について
本件発明1-4は、
指標を含む番組表の出力手段を備えることに対して、
甲1発明は、
番組表の出力手段と指標の出力手段が別に備えられる
ことで相違する。
この相違により、
本件発明1-4が、
「視聴指標」と「録画予約指標」とのそれぞれに対応して、
「放送中の番組であって現在視聴されている番組を特定可能な情報である視聴状況情報をサーバへ送信する視聴状況情報送信手段と、
録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を前記サーバへ送信する録画予約状況情報送信手段と、」の2つの送信手段、
「各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標と、各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標とを受信する指標受信手段と、
前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけて表示可能なよう構成された番組表データをサーバから受信する番組表データ受信手段と、」の2つの受信手段、
「前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力手段」を備えることに対して、
甲1発明はそうではない点。

相違点の判断
(ア)甲第2ないし5号証
甲2には、請求項1に関して述べた記載があり、請求項1に関して述べたと同じ技術が認められる。
甲3ないし5には、請求項2、3に関して述べた技術が認められる。

(イ)甲1発明との組み合わせの判断
本件発明1-1、本件発明1-2、本件発明1-3における判断と同じく、甲1発明に対して甲2ないし甲5を組み合わせる余地はあるが、「視聴指標」と「予約視聴率」とが送信・受信されて表示される構成には至らず、甲1に記載された発明と甲2に記載された発明とを組み合わせ、甲3ないし甲5に記載された発明から導き出される周知技術を適用しても、本件発明1-4の上記相違点に係る構成を導くことができない。

(ウ)相違点の判断まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1-4は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものであるということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由4は理由がない。

(2)無効理由9(新規事項)
請求項4に対する無効理由9は、無効理由9-1ないし7である。
ア 無効理由9-1ないし5(補正事項1ないし5)
本件発明1-1に関して述べたと同様に判断され、補正事項1ないし5に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-1ないし5は理由がない。

カ 無効理由9-6(補正事項6)
・請求人が新規事項であるとする事項
「番組表データをサーバから受信する番組表データ受信手段」

本件発明1-2に関して述べたと同様に、「指標受信手段」との関係おいて新規事項といえ、本件発明1-4は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということはできない。
よって、本件発明1-4に関して平成22年8月27日付手続補正書による補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1-4は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項4に対する無効理由9-6は理由がある。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
・請求人が新規事項であるとする事項
「視聴指標と、・・・録画予約指標とを(・・・)受信する指標受信手段と、・・・番組表データを・・・受信する番組表データ受信手段と、前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力手段」

本件発明1-4は、
「各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標と、各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標とを受信する指標受信手段と、
前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけて表示可能なよう構成された番組表データをサーバから受信する番組表データ受信手段と、」
を備える。これにより本件発明1-4は、指標受信手段と番組表データ受信手段とが手段として別に備えられ、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表データの送信・受信手段、手順とが別々に存在すると捉えるものとなると認められる。

本件発明1-2に関して無効理由9-7について判断したと同様に判断され、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表データの送信・受信手段、手順とが別々に存在すると捉えるものとなる本件発明1-4は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということはできない。
よって、本件発明1-4に関して平成22年8月27日付手続補正書による補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1-4は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項4に対する無効理由9-7は理由がある。

(3)請求項4まとめ
以上のとおり、請求項4に対する無効理由4は理由がない。しかしながら、無効理由9(無効理由9-6、7)は理由がある。
したがって、本件特許の請求項4に係る発明は無効とすべきである。

5 請求項5
本件特許の請求項5に係る発明に対する無効理由は、無効理由5、9である。
(1)無効理由5(進歩性)
本件発明1-5に対する無効理由5は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたとするものである。

本件発明1-5を特定する請求項5は請求項4を引用するものであり、本件発明1-5は、請求項4の要件(本件発明1-4)をすべて含むものであり、更に、「前記出力手段は、現在視聴されている番組と同時に一画面において視聴者が視聴可能なよう前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表を出力すること、」を特定する。
本件発明1-5と甲1発明との対比、一致点相違点及びその判断については、本件発明1-4と甲1発明との対比、一致点相違点及びその判断と同様に判断される。
本件発明1-5の上記更に特定する構成について、本件発明1-3と同様に対比され、本件発明1-5が「前記出力手段は、現在視聴されている番組と同時に一画面において視聴者が視聴可能なよう前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表を出力すること、」に対して、甲1発明はそうではない点で更に相違する。
本件発明1-3で述べたように、甲5等の記載が認められるが、甲3のような視聴率を表示する番組表を重畳するものではなく、甲3も視聴率表示のために視聴率の表示に代えて視聴率を表示する番組表を表示しようとする技術とはいえず、また、画面に対するサイズを考えると、甲3の視聴率を表示する番組表を現在視聴されている番組と同時に一画面において表示しようと想到できるとは直ちにいえない。
本件発明1-4で述べたと同じ本件発明1-5と甲1発明との相違点(視聴指標と録画予約指標)を導くこともできない。

したがって、本件発明1-5は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由5は理由がない。

(2)無効理由9(新規事項)
請求項5に対する無効理由9は、無効理由9-1ないし7である。
ア 無効理由9-1ないし5(補正事項1ないし5)
本件発明1-4に関して述べたと同様に判断され、補正事項1ないし5に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-1ないし5は理由がない。

カ 無効理由9-6(補正事項6)
・請求人が新規事項であるとする事項
請求項4の記載において「番組表データをサーバから受信する番組表データ受信手段」

本件発明1-4に関して述べたと同じく判断される。
したがって、本件発明1-5は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項5に対する無効理由9-6は理由がある。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
・請求人が新規事項であるとする事項
請求項4の記載において「視聴指標と、・・・録画予約指標とを(・・・)受信する指標受信手段と、・・・番組表データを・・・受信する番組表データ受信手段と、前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力手段」

本件発明1-4に関して述べたと同じく判断される。
したがって、本件発明1-5は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項5に対する無効理由9-7は理由がある。

(3)請求項5まとめ
以上のとおり、請求項5に対する無効理由5は理由がない。しかしながら、無効理由9(無効理由9-6、7)は理由がある。
したがって、本件特許の請求項5に係る発明は無効とすべきである。

6 請求項6
本件特許の請求項6に係る発明に対する無効理由は、無効理由6、9である。
(1)無効理由6(進歩性)
本件発明1-6に対する無効理由6は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたとするものである。

ア 甲第1号証
甲1には、請求項1に関して述べた記載があり、請求項1に関して述べたと同じ甲1発明を認める。

イ 対比、一致点相違点
本件発明1-6は「プログラム」の発明であるところ、本件発明1-1、2、3、本件発明1-4、5と同じ、視聴率、録画率が番組表に表示される技術について、本件発明1-1、2、3が「サーバ」、本件発明1-4、5が「利用者装置」として特定した発明であることに対して、本件発明1-6では「プログラム」として特定した発明と認められる。
甲1発明はコンピュータである家庭装置4のプログラムの発明ということもできる。
利用者装置が「録画予約が可能」であるか否かの相違、指標に関する相違は、本件発明1-1に関して述べたと同じであり、また、送信・受信の関係、番組表と指標の出力についての相違は、本件発明1-4に関して述べたと同様である。

本件発明1-6と甲1発明との一致点相違点は次のとおりである。

[一致点]
番組の視聴操作が可能なコンピュータである利用者装置に実行させるためのプログラムであって、
番組を特定可能な情報である視聴状況情報をサーバへ送信する番組状況情報送信ステップと、
各利用者装置の前記番組状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された番組指標をサーバから受信する指標受信ステップと、
番組表データをサーバから受信する番組表データ受信ステップと、
番組表を出力する出力ステップと、
を前記利用者装置に実行させるプログラム。

[相違点]
・利用者装置について
本件発明1-6の利用者装置が「録画予約が可能な」ものであることに対して、甲1発明の家庭装置4は「録画予約が可能な」ものではない。
・指標について
本件発明1-6は
指標として「視聴指標」と「録画予約指標」との「視聴」と「録画」に関する2つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関する将来の予想からリアルタイムの予想の状況となるものであり、
受信、表示においては、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関するリアルタイムの予想の状況である
ことに対し、
甲1発明は、
指標として「予想視聴率」の「視聴」に関する一つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであり、
受信、表示においては、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであり、
・出力について
本件発明1-6は、
指標を含む番組表の出力ステップを備えることに対して、
甲1発明は、
番組表の出力ステップと指標の出力ステップが別である
ことで相違する。
この相違により、
本件発明1-6が、
「視聴指標」と「録画予約指標」とのそれぞれに対応して、
「放送中の番組であって現在視聴されている番組を特定可能な情報である視聴状況情報をサーバへ送信する視聴状況情報送信ステップと、
録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を前記サーバへ送信する録画予約状況情報送信ステップと、」」の2つの送信ステップ、
「各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標と、各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標とを前記サーバから受信する指標受信ステップと、
前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけて表示可能なよう構成された番組表データをサーバから受信する番組表データ受信ステップと、」の2つの受信ステップ、
「前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力ステップ」を実行させることに対して、
甲1発明はそうではない点。

相違点の判断
(ア)甲第2ないし5号証
甲2には、請求項1に関して述べた記載があり、請求項1に関して述べたと同じ技術が認められる。
甲3ないし5には、請求項2、3に関して述べた技術が認められる。

(イ)甲1発明との組み合わせの判断
本件発明1-1、本件発明1-2、本件発明1-3における判断と同じく、甲1発明に対して甲2ないし甲5を組み合わせる余地はあるが、「視聴指標」と「予約視聴率」とが送信・受信されて表示される構成には至らず、甲1に記載された発明と甲2に記載された発明とを組み合わせ、甲3ないし甲5に記載された発明から導き出される周知技術を適用しても、本件発明1-6の上記相違点に係る構成を導くことができない。
よって、請求人が申し立てる無効理由6は理由がない。

(ウ)相違点の判断まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1-6は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものであるということはできない。

(2)無効理由9(新規事項)
請求項6に対する無効理由9は、無効理由9-1ないし7である。
ア 無効理由9-1ないし5
本件発明1-1に関して述べたと同様に判断され、補正事項1ないし5に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-1ないし5は理由がない。

カ 無効理由9-6(補正事項6)
・請求人が新規事項であるとする事項
「番組表データをサーバから受信する番組表データ受信ステップ」

本件発明1-2に関して述べたと同様に、「指標受信ステップ」との関係おいて新規事項といえ、本件発明1-6は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということはできない。
よって、本件発明1-6に関して平成22年8月27日付手続補正書による補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1-6は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項6に対する無効理由9-6は理由がある。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
・請求人が新規事項であるとする事項
「視聴指標と、・・・録画予約指標とを(・・・)受信する指標受信ステップと、・・・番組表データを・・・受信する番組表データ受信ステップと、前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力ステップ」

本件発明1-6は、
「各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標と、各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標とを前記サーバから受信する指標受信ステップと、
前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけて表示可能なよう構成された番組表データをサーバから受信する番組表データ受信ステップと、」
を実行する。これにより本件発明1-6は、指標受信ステップと番組表データ受信ステップとが手順として別に実行され、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表データの送信・受信手段、手順とが別々に存在すると捉えるものとなると認められる。

本件発明1-2に関して無効理由9-7について判断したと同様に判断され、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表データの送信・受信手段、手順とが別々に存在すると捉えるものとなる本件発明1-6は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということはできない。
よって、本件発明1-6に関して平成22年8月27日付手続補正書による補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1-6は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項6に対する無効理由9-7は理由がある。

(3)請求項6まとめ
以上のとおり、請求項6に対する無効理由6は理由がない。しかしながら、無効理由9(無効理由9-6、7)は理由がある。
したがって、本件特許の請求項6に係る発明は無効とすべきである。

7 請求項7
本件特許の請求項7に係る発明に対する無効理由は、無効理由7、9である。
(1)無効理由7(進歩性)
本件発明1-7に対する無効理由7は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたとするものである。

本件発明1-7を特定する請求項7は請求項6を引用するものであり、本件発明1-7は、請求項6の要件(本件発明1-6)をすべて含むものであり、更に、「前記出力ステップは、現在視聴されている番組と同時に一画面において視聴者が視聴可能なよう前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表を出力すること、」を特定する。
本件発明1-7と甲1発明との対比、一致点相違点及びその判断については、本件発明1-6と甲1発明との対比、一致点相違点及びその判断と同様に判断される。
本件発明1-7の上記更に特定する構成について、本件発明1-3と同様に対比され、本件発明1-7が「前記出力ステップは、現在視聴されている番組と同時に一画面において視聴者が視聴可能なよう前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表を出力すること、」に対して、甲1発明はそうではない点で更に相違する。
本件発明1-3で述べたように、甲5等の記載が認められるが、甲3のような視聴率を表示する番組表を重畳するものではなく、甲3も視聴率表示のために視聴率の表示に代えて視聴率を表示する番組表を表示しようとする技術とはいえず、また、画面に対するサイズを考えると、甲3の視聴率を表示する番組表を現在視聴されている番組と同時に一画面において表示しようと想到できるとは直ちにいえない。
本件発明1-6で述べたと同じ本件発明1-7と甲1発明との相違点(視聴指標と録画予約指標)を導くこともできない。

したがって、本件発明1-7は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由7は理由がない。

(2)無効理由9(新規事項)
請求項7に対する無効理由9は、無効理由9-1ないし7である。
ア 無効理由9-1ないし5
本件発明1-1に関して述べたと同様に判断され、補正事項1ないし5に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-1ないし5は理由がない。

カ 無効理由9-6(補正事項6)
・請求人が新規事項であるとする事項
請求項6の記載において「番組表データをサーバから受信する番組表データ受信ステップ」

本件発明1-6に関して述べたと同じく判断される。
したがって、本件発明1-7は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項7に対する無効理由9-6は理由がある。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
・請求人が新規事項であるとする事項
請求項6の記載において「視聴指標と、・・・録画予約指標とを(・・・)受信する指標受信ステップと、・・・番組表データを・・・受信する番組表データ受信ステップと、前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力ステップ」

本件発明1-6に関して述べたと同じく判断される。
したがって、本件発明1-7は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項7に対する無効理由9-7は理由がある。

(3)請求項7まとめ
以上のとおり、請求項7に対する無効理由7は理由がない。しかしながら、無効理由9(無効理由9-6、7)は理由がある。
したがって、本件特許の請求項7に係る発明は無効とすべきである。

8 請求項8
上記のとおり、本件における訂正請求は認めることができるので、本件特許の請求項8に係る発明は訂正請求により訂正された請求項8のとおりと認める。
請求項8に係る発明に対する無効理由は、無効理由8ないし13である。
(1)無効理由8(進歩性)
本件発明1-8に対する無効理由8は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたとするものである。

ア 甲第1号証
甲1には、請求項1に関して述べた記載があり、請求項1に関して述べたと同じ甲1発明を認める。

イ 対比、一致点相違点
本件発明1-8は「指標処理方法」の発明であるところ、本件発明1-1、2、3、本件発明1-4、5、本件発明1-6、7と同じ、視聴率、録画率が番組表に表示される技術について、本件発明1-1、2、3が「サーバ」、本件発明1-4、5が「利用者装置」、本件発明1-6、7が「プログラム」として特定した発明であることに対して、本件発明1-8では「指標処理方法」として特定した発明と認められる。
甲1発明はCATVシステムにおけるホストコンピユータからなる局装置2が行う指標処理方法の発明ということもできる。
利用者装置が「録画予約が可能」であるか否かの相違、指標に関する相違は、本件発明1-1に関して述べたと同じである。
また、甲1のホストコンピユータからなる局装置2が、コンピュータシステムとしていくつのコンピュータシステムからなるのか不明であるから、本件発明1-8と甲1発明との一致点相違点は次のとおりである。

[一致点]
コンピュータシステムが行う指標処理方法であって、
番組の視聴操作が可能な利用者装置から番組を特定可能な情報である番組状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する番組状況取得ステップと、
前記番組状況取得ステップにより取得された各利用者装置の前記番組状況情報に基づいて、番組指標を算出する指標算出ステップと、
前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送出する番組表データ送出ステップと、
前記利用者装置によって表示される番組指標を送出する指標送出ステップと、
を含むことを特徴とする指標処理方法。

[相違点]
(相違点1)
本件発明1-8はコンピュータシステムが「一又は複数(の)」とすることに対して、甲1発明はそうでない点。

(相違点2)
・利用者装置について
本件発明1-8の利用者装置が「録画予約が可能な」ものであることに対して、甲1発明の家庭装置4は「録画予約が可能な」ものではない。
・指標について
本件発明1-8は
指標として「視聴指標」と「録画予約指標」との「視聴」と「録画」に関する2つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関する将来の予想からリアルタイムの予想の状況となるものであり、
送信、表示においては、
「視聴指標」は、視聴に関するリアルタイムの実際の状況であり、
「録画予約指標」は、録画に関するリアルタイムの予想の状況である
ことに対し、
甲1発明は、
指標として「予想視聴率」の「視聴」に関する一つの指標を有し、
その意味は、算出において、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであり、
送信、表示においては、
「予想視聴率」は、視聴に関する将来の予想からリアルタイムの実際の状況になるものであることで相違し、
この相違により、
本件発明1-8が、
「視聴指標」と「録画予約指標」とのそれぞれに対応して、
「番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置によって視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する視聴番組状況取得ステップと、
前記利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する録画予約番組状況取得ステップと、」の2つの取得ステップ、
「前記視聴番組状況取得ステップにより取得された各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて、現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標を算出する視聴指標算出ステップと、
前記録画予約番組状況取得ステップにより取得された各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて、番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標を算出する録画予約指標算出ステップと、」との2つの算出ステップ、
「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送出する指標送出ステップと、」として、2つの指標を送出する送出ステップを備えることに対して、
甲1発明はそうではない点。

相違点の判断
・相違点1について
甲1発明の局装置2はホストコンピュータからなり、コンピュータシステムといえるところ、CATV局1に設置されるものであり、多数の契約者を処理対象とするシステムといえ、また、契約者DB、番組DBをも組み込まれるシステムであり、契約者の規模により大きな処理能力を求められることは普通に予想できる。コンピュータシステムに処理をさせるに当たって、求められる処理能力に応じ、また、システム管理や設置の都合により、システムを一つのコンピュータシステムで設計するか、複数のコンピュータシステムに処理を分担・分散させてに行わせるかは、容易に想到できることといえ、甲1発明の局装置2を「一又は複数の」コンピュータシステムとすることは、当業者が容易に想到できることといえる。

・相違点2について
(ア)甲第2ないし5号証
甲2には、請求項1に関して述べた記載があり、請求項1に関して述べたと同じ技術が認められる。
甲3ないし5には、請求項2、3に関して述べた技術が認められる。

(イ)甲1発明との組み合わせの判断
本件発明1-1、本件発明1-2、本件発明1-3における判断と同じく、甲1発明に対して甲2ないし甲5を組み合わせる余地はあるが、「視聴指標」と「予約視聴率」とが送信・受信されて表示される構成には至らず、甲1に記載された発明と甲2に記載された発明とを組み合わせ、甲3ないし甲5に記載された発明から導き出される周知技術を適用しても、本件発明1-8の上記相違点2に係る構成を導くことができない。

(ウ)相違点の判断まとめ
以上のとおり、本件発明1-8の上記相違点2に係る構成を導くことができないから、本件発明1-8は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせ、甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明から導き出される周知技術を適用して当業者が容易に想到できたものであるということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由8は理由がない。

(2)無効理由9(新規事項)
請求項8に対する無効理由9は、無効理由9-1ないし7である。
ア 無効理由9-1ないし5
本件発明1-1に関して述べたと同様に判断され、補正事項1ないし5に関して、特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないということはできない。
よって、請求人が申し立てる無効理由9-1ないし5は理由がない。

カ 無効理由9-6(補正事項6)
・請求人が新規事項であるとする事項
「番組表データを送出する番組表データ送出ステップ」

本件発明1-2に関して述べたと同様に、「指標送出ステップ」との関係おいて新規事項といえ、本件発明1-8は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということはできない。
よって、本件発明1-8に関して平成22年8月27日付手続補正書による補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1-8は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項8に対する無効理由9-6は理由がある。

キ 無効理由9-7(補正事項7)
・請求人が新規事項であるとする事項
「前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送出する」

本件発明1-8は、
「前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送出する番組表データ送出ステップと、
前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送出する指標送出ステップと、」
を含む。これにより本件発明1-8は、指標送出ステップと番組表データ送出ステップとが手順として別に含まれ、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表データの送信・受信手段、手順とが別々に存在すると捉えるものとなると認められる。

本件発明1-2に関して無効理由9-7について判断したと同様に判断され、視聴率等の送信・受信手段、手順と番組表データの送信・受信手段、手順とが別々に存在すると捉えるものとなる本件発明1-8は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということはできない。
よって、本件発明1-8に関して平成22年8月27日付手続補正書による補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1-8は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願に対して特許されたと認められるから、特許法123条1項1号の規定により無効とすべきであり、請求項8に対する無効理由9-7は理由がある。

(3)無効理由10(明確性)
請求人は、各ステップの主体が明記されていないため、明確性が欠如しているとする。

本件発明1-8は、テレビ技術に係るものであって、番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置からの情報を受信し、受信した情報に基づいた指標を番組に対応付けた番組表を利用者装置に表示する発明であり、全体として技術的なものと認める。
実施例がコンピュータシステムを利用しているが、指標の処理の手順が認められ、ステップの主体にかかわらず、そのような手順で「視聴指標」と「録画予約指標」とが提示される技術が理解できるから、ステップの主体が直接に請求項に特定されていないとしても、発明が明確でないとはいえない。請求項にステップの主体が特定されていないことで人間がステップの主体をなすものとも理解できるのであれば、そのような技術として明確である。
更に、本件発明1-8は、訂正により「一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、」とされ、ステップの主体が「一又は複数のコンピュータシステム」であることが特定されるから、各ステップの主体が明記されていないため、明確性が欠如しているとすることはできない。
よって、無効理由10は理由がない。

(4)無効理由11(非発明)
請求人は、人間がその精神活動又は機械の操作に基づいて行うこともできる人為的に決められた手順を規定するだけのものであるから、非発明であるとする。

本件発明1-8は、無効理由10について述べたように、全体として技術的なものと認める。
技術的でない方法を単に手段としてコンピュータを用いて実行する発明ではない。
したがって、本件発明1-8は、特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができないものであるということはできない。
よって、無効理由11は理由がない。

(5)無効理由12(実施可能要件)
請求人は、「仮に本件発明1-8の各ステップの動作主体がサーバ(調査者側装置)以外のものをも含むと解釈されるならば、本件発明1-8は、実施可能要件に違反する」という。

本件特許明細書は、本件発明1-8の方法が実施例の調査者側装置10によって実施することが記載されており、通信、コンピュータ等の通常の知識があれば実施できる程度に説明されているといえる。

請求人は、「本件発明1-8の各ステップの動作主体がサーバ(調査者側装置)以外のものをも含むと解釈されるならば、」との仮定の下に実施可能要件違反をいうが、その仮定が実施可能要件違反をいう前提であるから、その仮定を証明しない請求人の主張は採用できない。

よって、無効理由12は理由がない。

(6)無効理由13(サポート要件)
請求人は、「仮に本件発明1-8の各ステップの動作主体がサーバ(調査者側装置)以外のものをも含むと解釈されるならば、本件発明1-8は、サポート要件に違反する」という。

本件特許明細書は、本件発明1-8の方法が実施例の調査者側装置10によって実施することが記載されており、本件発明1-8は本件特許明細書に記載されているといえる。

請求人は、「本件発明1-8の各ステップの動作主体がサーバ(調査者側装置)以外のものをも含むと解釈されるならば、」との仮定の下にサポート要件違反をいうが、その仮定がサポート要件違反をいう前提であるから、その仮定を証明しない請求人の主張は採用できない。

よって、無効理由13は理由がない。

(7)請求項8まとめ
以上のとおり、請求項8に対する無効理由8、10ないし13はいずれにも理由がない。しかしながら、無効理由9(無効理由9-6、7)は理由がある。
したがって、本件特許の請求項8に係る発明は無効とすべきである。

第5 むすび
以上のとおり、訂正請求は認めることができる。
そして、請求項1に対する無効理由1、9、請求項2ないし8に対する無効理由2ないし8、請求項8に対する無効理由10ないし13には理由がないが、請求項2ないし8に対する無効理由9(無効理由9-6、7)には理由があるから、本件特許の請求項1に係る発明は請求人の申し立てる理由によっては無効とすることができないが、本件特許の請求項2ないし8に係る発明は無効とすべきである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により、その8分の1を請求人の負担とし、8分の7を被請求人の負担とする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
サーバ、利用者装置、プログラム、及び、指標処理方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送などで視聴率を調査する際に利用されるサーバ、利用者装置、プログラム、及び、指標処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、複数の番組を表形式に配列した番組表をインターネットなどの通信回線網を介して提供することが行われている。この番組表には、各番組の詳細な内容を確認したり、希望する番組を録画予約したりできるものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のような番組表の提供を受けた利用者が、番組表中からどのような番組を選んで視聴または録画を行ったのかを知ることはできなかったため、この種の番組表を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知りたいという要望があった。
【0004】
本発明は、番組表を利用して視聴率を調査することができる技術を提供すること、また、番組表を利用して録画率を調査することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するための構成を以下に示す。
番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置が用いられて視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する視聴番組状況受信手段と、
前記利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する録画予約番組状況受信手段と、
前記視聴番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて、現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、
前記録画予約番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて、番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と、
前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する指標送信手段と、
を備えることを特徴とするサーバ。
このようなサーバであれば、現在放送中の番組に対応する視聴指標と録画予約指標とを同時に確認することが可能になる。
また、次のような視聴率調査システムであってもよい。
利用者側から調査者側に送信されるデータに基づいて視聴率を調査する視聴率調査システムであって、
利用者側に、番組表を表示する番組表表示手段と、前記番組表の中から利用者が視聴する番組を指定可能な視聴番組指定手段と、該視聴番組指定手段により指定された番組を表示する視聴番組表示手段と、前記視聴番組指定手段により指定された番組の放送チャンネルを特定可能なチャンネルデータを前記調査者側に送信するデータ送信手段とを備え、
前記調査者側に、利用者側のデータ送信手段により送信されたチャンネルデータを受信するデータ受信手段と、利用者側から送信されるチャンネルデータに基づいて、該チャンネルデータで特定される放送チャンネルの番組を視聴している利用者の数を、放送チャンネル毎にカウントするカウント手段と、調査対象となる利用者数と前記カウント手段によってカウントされた利用者の数とに基づいて視聴率を算出する視聴率算出手段とを備えている
ことを特徴とする。
【0006】
この視聴率調査システムにおいて利用者側の備える各手段は、例えば、コンピュータシステム、携帯情報端末、携帯電話機などの端末装置に備えられるものである。
また、番組表表示手段や視聴番組表示手段は、例えば、パソコンのディスプレイ、携帯情報端末の表示画面、テレビ画面などの表示装置に番組表、番組の映像を表示するための手段である。これらの各手段が表示する番組表または映像は、同一の表示装置に表示すればよく、例えば、表示画面を分割して表示するように構成してもよいし、いずれか一方を表示画面の全部に表示して両者の表示を任意に切り替えられるように構成してもよい。また、両者を別の表示装置に表示するように構成してもよい。
【0007】
また、視聴番組指定手段は、番組表を構成する番組のうち少なくとも1の番組を指定する手段であり、例えば、番組表と共に表示されたカーソルをマウスなどのポインティングデバイスによって移動させて、ポインティングデバイスのボタンで選択操作を行うことによって番組を指定できるように構成すればよい。
【0008】
また、調査者側の備える各手段は、例えば、周知のコンピュータシステムに備えられるものである。
この視聴率調査システムでは、まず、番組表表示手段が番組表を表示する。番組表は、例えば、電子番組ガイドで利用されているものであって、縦方向に時刻、横方向に放送チャンネルをとって番組を配列した表形式のものである。この番組表は、通信回線網を介して受信したデータや、CD-ROMなどの記録媒体から読み出したデータであって、このようなデータに基づいて番組表表示手段が番組表を表示する。
【0009】
次に、利用者が番組表中の番組を視聴番組指定手段によって指定すると、視聴番組表示手段が指定された番組の映像を表示すると共に、データ送信手段がチャンネルデータを調査者側に送信する。チャンネルデータは、放送チャンネルを特定することができるデータであればよく、例えば、放送チャンネル名そのものを示すデータや、放送チャンネルと一対一に対応するコードなどを利用することができる。
【0010】
次に、カウント手段が、番組を視聴している利用者の数を放送チャンネル毎にカウントする。ここでは、チャンネルデータをデータ送信手段により送信してきた利用者を、チャンネルデータで特定される番組を視聴している利用者(以降、視聴者とする)としてカウントする。このカウント手段は、チャンネルデータを受信する毎に、該チャンネルデータで特定される放送チャンネルの視聴者数に「1」を加算する処理を実行すればよいが、このチャンネルデータを送信してきた利用者が直前に他の放送チャンネルの番組を視聴していた場合には、該当する放送チャンネルの視聴者数から「1」を減算する処理をも行う必要がある。このように減算するためには、例えば、次のような処理を行えばよい。まず、チャンネルデータを、視聴番組指定手段で指定された番組の放送チャンネルである第1放送チャンネルと、直前まで視聴番組表示手段が表示していた放送チャンネルである第2放送チャンネルとを特定できるようなデータとする。そして、カウント手段が、チャンネルデータを構成する第1放送チャンネルの視聴者数に「1」を加算すると共に、第2放送チャンネルの視聴者数から「1」を減算する。
【0011】
そして、視聴率算出手段が、調査対象となる利用者数と、カウント手段によってカウントされた放送チャンネル毎の視聴者数とに基づいて視聴率を算出する。調査対象となる利用者数とは、例えば、番組表を利用している全利用者の数、該全利用者の中で実際に番組を視聴している利用者の総数などである。視聴率算出手段は、例えば、調査対象となる利用者数のうち特定の放送チャンネルの視聴者がどれだけいるかの割合(視聴者/調査対象)を視聴率として所定時間毎に算出するように構成すればよい。
【0012】
このように構成された視聴率調査システムによれば、番組表中の番組が指定されることによって、指定された番組を視聴番組表示手段が表示すると共に、データ送信手段がチャンネルデータを調査者側に送信する。そのため、調査者側では、番組表上で指定された番組の視聴率を、チャンネルデータに基づいて調査することができる。特に、このチャンネルデータは、番組表を利用して番組を視聴している全ての利用者から送信されてくるものであるため、正確な視聴率を算出することができる。
【0013】
また、別の視聴率調査システムは、
前記視聴率算出手段が、放送チャンネルの番組毎に視聴率を算出するように構成されていて、
前記調査者側に、番組の視聴率が該番組に対応する領域に記載された番組表を作成する番組表作成手段と、番組表を利用者側に送信する番組表送信手段とを備え、
利用者側に、前記調査側の前記番組表送信手段により送信された番組表を受信する番組表受信手段を備えている
ことを特徴とする。
【0014】
この視聴率調査システムにおいて、視聴率算出手段が算出する番組毎の視聴率とは、例えば、一定時間毎に複数回算出された視聴率を番組の放送時間内における算出回数で平均した平均視聴率、放送時間内に複数回算出された視聴率のうち最も高い値となった最高視聴率または最も低い値となった最低視聴率などである。
【0015】
このように構成された視聴率調査システムによれば、放送が終了した番組の視聴率や放送中の番組の視聴率を番組表上で確認することができる。そのため、番組の視聴率を利用者が番組表上で簡単にチェックできる。
【0016】
また、別の録画率調査システムは、
利用者側から調査者側に送信されるデータに基づいて録画率を調査する録画率調査システムであって、
利用者側に、番組表を表示する番組表表示手段と、前記番組表の中から利用者が録画する番組を指定可能な録画番組指定手段と、該録画番組指定手段により指定された番組を特定可能な録画番組データを前記調査者側に送信するデータ送信手段とを備え、
前記調査者側に、利用者側の録画番組データ送信手段により送信された録画番組データを受信するデータ受信手段と、利用者側から送信される録画番組データに基づいて、該録画番組データで特定される番組を録画する利用者の数を番組毎にカウントするカウント手段と、調査対象となる利用者数と前記カウント手段によってカウントされた利用者の数とに基づいて録画率を算出する録画率算出手段とを備えている
ことを特徴とする。
【0017】
この録画率調査システムにおいて利用者側の備える各手段は、例えば、コンピュータシステム、携帯情報端末、携帯電話機などの端末装置に備えられるものである。
また、番組表表示手段は、例えば、パソコンのディスプレイ、携帯情報端末の表示画面、テレビ画面などの表示装置に番組表を表示するための手段である。
【0018】
また、調査者側の備える各手段は、例えば、周知のコンピュータシステムに備えられるものである。
また、録画番組指定手段は、番組表を構成する番組のうち少なくとも1の番組を指定する手段であり、例えば、番組表と共に表示されたカーソルをマウスなどのポインティングデバイスによって移動させて、ポインティングデバイスのボタンで選択操作を行うことによって番組を指定できるように構成すればよい。
【0019】
この録画率査システムでは、まず、利用者側の番組表表示手段が番組表を表示する。番組表は、例えば、電子番組ガイドで利用されているものであって、縦方向に時刻、横方向に放送チャンネルをとって番組を配列した表形式のものである。この番組表は、通信回線網を介して受信したデータや、CD-ROMなどの記録媒体から読み出したデータであって、このようなデータに基づいて番組表表示手段が番組表を表示する。
【0020】
次に、利用者が番組表中の番組を視聴番組指定手段によって指定すると、データ送信手段が録画番組データを調査者側に送信する。録画番組データは、番組を特定することができるデータであればよく、例えば、番組名そのものを示すデータや、番組と一対一に対応するコードなどを利用することができる。
【0021】
次に、カウント手段が、番組を録画する利用者の数を番組毎にカウントする。ここでは、録画番組データをデータ送信手段で送信してきた利用者を、録画番組データで特定される番組を録画する利用者としてカウントする。このカウント手段は、録画番組データを受信する毎に、録画番組データで特定される番組を録画する利用者の数に「1」を加算する処理を実行すればよい。
【0022】
そして、録画率算出手段が、調査対象となる利用者数とカウント手段によってカウントされた利用者数とに基づいて録画率を算出する。調査対象となる利用者数とは、例えば、番組表を利用している全利用者の数、該全利用者の中で同一時間帯に放送される番組を録画する利用者の総数などである。また、録画率算出手段は、例えば、調査対象となる利用者数のうち、特定の番組を録画する録画利用者がどれだけいるかの割合(録画利用者/調査対象)を録画率として算出するように構成すればよい。
【0023】
このように構成された録画率調査システムによれば、番組表中の番組が指定されることによって、データ送信手段が録画番組データを調査者側に送信する。そのため、調査者側では、番組表上で指定された番組の録画率を、録画番組データに基づいて調査することができる。特に、この録画番組データは、番組表を利用して番組を録画する全ての利用者から送信されてくるものであるため、正確な録画率を算出することができる。
【0024】
また、別の録画率調査システムは、
前記調査者側に、番組の録画率が該番組に対応する領域に記載された番組表を作成する番組表作成手段と、番組表を利用者側に送信する番組表送信手段とを備え、
利用者側に、前記調査側の前記番組表送信手段により送信された番組表を受信する番組表受信手段を備えている
ことを特徴とする。
【0025】
このように構成された録画率調査システムによれば、番組の録画率を番組表上で確認することができる。そのため、番組の録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】視聴率調査システムの実施形態を示す図
【図2】視聴率調査システムの処理手順を示すフローチャート
【図3】利用者側端末のディスプレイに表示される画像を示す図
【図4】調査者側装置の番組表作成処理を示すフローチャート
【図5】利用者側端末のディスプレイに表示される画像を示す図
【図6】利用者側端末のディスプレイに表示される画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に本発明の実施の形態について例を挙げて説明する。
[第1実施形態]
視聴率調査システム1は、図1に示すように、インターネット100を介してデータ通信可能に構成された調査者側装置10と、利用者側端末20などによって構成される。
【0028】
調査者側装置10は、CPU11、ハードディスク(以降、HDとする)12、通信装置13、ディスプレイ14、キーボード15などを備えた周知のコンピュータシステムによって構成されるものであり、通信装置13を介してインターネット100に接続されている。
【0029】
利用者側端末20は、CPU21、ハードディスク22、通信装置23、ディスプレイ24、キーボード25、マウス26、テレビチューナー27などを備えた周知のコンピュータシステムで構成されるものであり、通信装置23を介してインターネット100に接続されている。また、この利用者側端末20には、後述する番組ガイド処理を利用者側端末20に実行させる番組ガイドプログラムが内蔵されている。
【0030】
次に、利用者側端末20が実行する番組ガイド処理を図2に基づいて説明する。この番組ガイド処理は、番組ガイドプログラムに従って実行される。
まず、利用者側端末20は、変数sbcおよび変数ebcを初期化(「0」をセット)する(s11)。変数sbc、変数ebcは、以降の処理で、放送チャンネルを示すデータをセットするために利用されるものである。
【0031】
次に、利用者側端末20は、調査者側装置10に番組表の送信を要求する(s12)。この処理では、番組表の送信を要求するためのデータと、要求する番組表の時間帯および地域を示すデータとで構成される要求データが、調査者側装置10に送信される。なお、このs12の処理が本番組ガイド処理において最初に行われる場合、要求される番組表の時間帯は、s12の処理が実行された時刻以降の時間帯となるように構成されている。また、要求される番組表の地域は、利用者によりあらかじめ設定された地域となるように構成されている。そして、この要求データを受信した調査者側装置10からは、要求データで要求された時間以降3時間分の番組表が送信されてくる。なお、ここで要求データを受信することによって番組表を送信してくる調査者側装置10は、上述した番組表送信手段として機能するものである。
【0032】
次に、利用者側端末20は、調査者側装置10から送信されてくる番組表を受信してディスプレイ24に表示する(s13)。ここで表示される番組表は、縦軸に放送時刻、横軸に放送チャンネルが配置された表形式のものであって、図3(a)、(b)に示すように、ディスプレイ24の表示領域を3分割したうちの第1領域A1内に表示される。なお、この3分割した表示領域のうち、第2領域A2は、以降の処理で、利用者が視聴する番組として選択した番組の映像が表示される領域である。また、第3領域A3は、以降の処理で、メニュー画像、利用者が選択した番組の詳細な内容、出演者、サブタイトルなどの情報が表示される領域である。
【0033】
次に、利用者側端末20は、番組表に対する操作が行われるまで待機状態となる(s14)。s13の処理で番組表が表示された後、利用者は、キーボード25やマウス26によって種々の操作を行うことができるようになる。
【0034】
例えば、ディスプレイ24の第1領域A1には、複数の地域から1の地域を選択可能なプルダウンメニューM1、複数の時間から1の時間を選択可能なプルダウンメニューM2が表示されている。利用者は、これらのメニューから地域または時間を選択する操作を行うことによって、選択された地域または時間の番組表の再送信を調査者側装置10に要求することができる。
【0035】
また、ディスプレイ24の第1領域A1には、番組表と共にカーソルフレームFも表示されており、利用者は、このカーソルフレームFを移動させた後、決定キーを押すといった操作によって、カーソルフレームFがある位置の番組を選択する操作を行うこともできる。番組表中の各番組には、番組の放送チャンネル、放送開始時刻および放送終了時刻を示すデータが対応づけられており、利用者が番組を選択する操作を行うことによって、番組の放送チャンネル、放送開始時刻および放送終了時刻をデータとして抽出できるように構成されている。
【0036】
また、本番組ガイド処理を終了するための操作を行うこともできる。
このs14の処理において、番組表の再送信を要求する操作が行われた場合(s15:YES)、s12の処理に戻る。
【0037】
また、s14の処理において、番組表中の番組を選択する操作が行われた場合(s15:NO、s16:YES)、利用者側端末20は、選択された番組が放送中の番組であるかどうかをチェックする(s17)。この処理では、s14の処理で番組表中の番組を選択することによって抽出された放送開始時刻および放送終了時刻を、現在時刻と比較することによって、選択された番組が放送中の番組であるかどうかがチェックされる。このs17の処理において、選択された番組が放送中の番組である場合(s17:YES)、利用者側端末20は、ディスプレイ24の第2領域A2に、選択された番組の映像を表示する(s18)。この処理において、既にディスプレイ24の第2領域A2に番組の映像が表示されている場合には、選択された番組のものに放送チャンネルが切り替えられることになる。
【0038】
次に、利用者側端末20は、変数sbcのデータを変数ebcにセットした後、変数sbcにs14の処理で選択された番組の放送チャンネルを示すデータをセットする(s19)。これによって、直前までディスプレイ24の第2領域A2に映像が表示されていた番組、つまり、視聴を終了した番組の放送チャンネルが変数ebcにセットされて、新たに視聴する番組の放送チャンネルが変数sbcにセットされたことになる。
【0039】
次に、利用者側端末20は、チャンネルデータを調査者側装置10に送信する(s20)。この処理で送信されるチャンネルデータは、変数sbcおよび変数ebcで構成されたデータである。
【0040】
調査者側装置10は、チャンネルデータを受信することによって、放送チャンネル毎に用意された視聴者数を示す変数bn(1?n)のうち、チャンネルデータを構成する変数sbcで特定される放送チャンネル、つまり、利用者が新たに視聴する番組の放送チャンネルに対応する変数bxに「1」を加算して、同時に変数ebcで特定される放送チャンネル、つまり、利用者が視聴を終了した番組の放送チャンネルに対応する変数byから「1」を減算する。ここで、変数sbcに「0」がセットされている場合は、以降の処理で本システムによる番組の視聴を終了する状態となるため、変数bxへの加算は行われない。また、変数ebcに「0」がセットされている場合は、直線に他の番組を視聴していなかった状態であるため、変数byからの減算は行われない。なお、ここで利用者側端末20から送信されてきたチャンネルデータを受信する調査者側装置10は、上述したデータ受信手段として機能するものである。また、変数bxに「1」を加算して、変数byから「1」を減算する調査者側装置10は、上述したカウント手段として機能するものである。
【0041】
そして、調査者側装置10は、タイムスケジュールに沿って一日の最初に放送される番組の放送が開始されてから、以降、各放送チャンネルについて1分毎に視聴率を算出して、随時ハードディスク12に記憶する。ここでは、まず、1分毎に変数b1?bnの視聴者数の合計(合計視聴者数)を算出して、この合計視聴者数と放送チャンネルの視聴者数との比(視聴者数/合計視聴者数)を視聴率として算出する。なお、本視聴率調査システム1を会員制または登録制で利用できるシステムとして、放送チャンネルの視聴者数と、会員または登録済の全ての利用者(総利用者)との比(視聴者数/総利用者)を視聴率として算出してもよい。また、上述のように視聴率を算出する調査者側装置10は、上述した視聴率算出手段として機能するものである。
【0042】
こうして、s20の処理を終了したら利用者側端末20は、s14の処理に戻る。
一方、s14の処理で選択された番組が放送中の番組でない場合(s17:NO)、ディスプレイ24の第3領域A3にメニュー画像を表示する(s21)。この処理で表示されるメニュー画像は、図3(c)に示すように、詳細データの送信を調査者側装置10に要求するための詳細要求ボタンB1と、番組を録画予約するための録画予約ボタンB2と、メニュー画像を第3領域A3から消去するための終了ボタンB3とで構成されるものである。
【0043】
次に、利用者側端末20は、各ボタンを選択する操作が行われるまで待機状態となる(s22)。s21の処理でメニュー画像が表示された後、利用者は、キーボード25やマウス26によって、詳細要求ボタンB1を選択する操作、録画予約ボタンB2を選択する操作、終了ボタンB3を選択する操作を行うことができる。なお、s14の処理で選択された番組が、放送を終了した番組である場合には、録画予約ボタンB2を選択する操作が行えない状態となるように構成されている。
【0044】
次に、利用者側端末20は、s22の処理で行われた操作が、詳細要求ボタンB1を選択する操作である場合(s23:YES)、詳細データの送信を調査者側装置10に要求する(s24)。この処理においては、詳細データの送信を調査者側装置10に要求するための要求データが送信される。そして、この要求データを受信した調査者側装置10からは、詳細データが送信されてくる。
【0045】
次に、利用者側端末20は、調査者側装置10から送信されてくる詳細データを受信して、ディスプレイ24の第3領域A3に表示する(s25)。この処理において表示される詳細データは、番組の内容、出演者、サブタイトルをテキストで示したものである。
【0046】
一方、s22の処理で行われた操作が、録画予約ボタンB2を選択する操作である場合(s23:NO、s26:YES)、利用者側端末20は、録画番組データを調査者側装置10に送信する(s27)。この処理において送信される録画番組データは、s14の処理で選択された番組の放送チャンネル、番組の放送開始時刻および放送終了時刻を特定するデータである。
【0047】
この録画番組データを受信した調査者側装置10は、録画番組データに基づいて録画率を算出する。調査者側装置10では、番組毎に用意された変数cn(c1?cn)のうち、録画番組データで特定される番組、つまり、利用者が録画する番組に対応する変数ciに「1」を加算する。なお、ここで利用者側端末20から送信されてきた録画番組データを受信する調査者側装置10は、上述したデータ受信手段として機能するものである。また、変数ciに「1」を加算する調査者側装置10は、上述したカウント手段として機能するものである。
【0048】
そして、調査者側装置10は、調査者側装置10が録画番組データを受信する度に変数ciに基づいて録画率を算出する。ここでは、まず、受信した録画番組データで特定される番組と同一の時間帯に放送される全ての番組に対応する変数cnを合計して合計値Cを算出する。そして、合計値Cと録画番組データで特定される番組に対応する変数ciとの比(ci/C)を録画率として算出する。なお、こうして録画率を算出する調査者側装置10は、上述した録画率算出手段として機能するものである。
【0049】
次に、利用者側端末20は、録画番組データを調査者側装置10に送信するのと同時に、s15の処理で選択された番組の放送チャンネル、番組の放送開始時刻および放送終了時刻に基づいて、番組の録画予約を行う(s28)。
【0050】
こうして、s25の処理、または、s28の処理を終了したらs22の処理に戻る。その後、s22の処理からs25またはs28の処理が繰り返し実行されることになるが、s22の処理で行われた操作が、終了ボタンB3を選択する操作である場合(s23:NO、s26:NO)、s14の処理に戻る。
【0051】
そして、この後、s14の処理からs20の処理、s21の処理からs25またはs28の処理、および、s12の処理からs15の処理が繰り返し実行されることになるが、s14の処理で行われた操作が、本番組ガイド処理を終了するための操作である場合(s15:NO、s16:NO)、利用者側端末20は、変数sbcおよび変数ebcの両方に「0」がセットされているかどうかをチェックする(s29)。
【0052】
このs29の処理で、変数sbcおよび変数ebcのいずれかに「0」以外の値がセットされている場合(s29:NO)、利用者側端末20は、変数sbcのデータを変数ebcにセットした後、変数sbcを初期化(「0」をセット)する(s30)。
【0053】
次に、利用者側端末20は、チャンネルデータを調査者側装置10に送信する(s31)。この処理で送信されるチャンネルデータは、変数sbcおよび変数ebcを含んだデータである。このチャンネルデータを受信した調査者側装置10は、上述したように、放送チャンネル毎に用意された視聴者数を示す変数bn(1?n)のうち、チャンネルデータを構成する変数sbcで特定される放送チャンネルに対応する変数bxに「1」を加算して、同時に変数ebcで特定される放送チャンネルに対応する変数byから「1」を減算する。ここで、変数sbcに「0」がセットされている場合は、変数bxへの加算は行わず、変数ebcに「0」がセットされている場合は、変数byからの減算は行わない。
【0054】
こうして、s31の処理を終了するか、s29の処理で、変数sbcおよび変数ebcの両方に「0」がセットされている場合(s29:YES)、本番組ガイド処理を終了する。
【0055】
なお、s14またはs22の処理で行われた操作によっては、さらに別の処理へ移行する場合もあるが、そのような処理は、本発明の要部ではないため説明は省略する。また、本番組ガイド処理を終了するための操作は、上述した各処理の実行中に任意のタイミングで行えるようになっていてもよい。
【0056】
なお、以上説明した視聴率調査システム1において、図2におけるs13の処理で、調査者側装置10から送信されてくる番組表を受信する利用者側端末20は、上述した番組表受信手段として機能するものである。また、このs13の処理でディスプレイ24の第3領域A3に番組表を表示する利用者側端末20は、上述した番組表表示手段として機能するものである。
【0057】
また、図2におけるs14の処理で、カーソルフレームFの移動と、決定ボタンを押すことによる番組の選択とを行うキーボード25やマウス26は、上述した視聴番組指定手段として機能するものである。
【0058】
また、図2におけるs18の処理で、ディスプレイ24の第2領域A2に番組の映像を表示する利用者側端末20は、上述した視聴番組表示手段として機能するものである。
【0059】
また、図2におけるs20の処理で、調査者側装置10にチャンネルデータを送信する利用者側端末20は、上述したデータ送信手段として機能するものである。
また、図2におけるs22の処理で、録画予約ボタンB2の選択を行うキーボード25やマウス26は、上述した録画番組指定手段として機能するものである。
【0060】
このように構成された視聴率調査システム1によれば、番組表中の番組が指定されることによって、指定された番組がディスプレイ24に表示されると共に、チャンネルデータが調査者側装置10に送信される。そのため、調査者側装置10では、番組表上で指定された番組の視聴率を、チャンネルデータに基づいて調査することができる。特に、このチャンネルデータは、番組表を利用して番組を視聴している全ての利用者から送信されてくるものであるため、正確な視聴率を算出することができる。
【0061】
また、メニュー画像中の録画予約ボタンB2が選択されることによって、録画番組データが調査者側装置10に送信される。そのため、調査者側装置10では、録画予約ボタンB2が選択された番組の録画率を、録画番組データに基づいて調査することができる。特に、この録画番組データは、番組表を利用して番組を録画する全ての利用者から送信されてくるものであるため、正確な録画率を算出することができる。
【0062】
[第2実施形態]
視聴率調査システム2は、調査者側装置10が利用者側端末20から番組表の要求を受けた際に、後述する番組表作成処理を実行するように構成されている点のみが第1実施形態と異なるものであって、以下の説明では、第1実施形態との相違点のみを詳述する。
【0063】
調査者側装置10が実行する番組表作成処理を図4に基づいて説明する。この番組表作成処理は、番組表の送信を要求する内容の要求データを利用者側端末20から受信することによって開始される。
【0064】
まず、調査者側装置10は、要求データに基づいて要求された地域、時間の番組表をハードディスク12から読み出す(s51)。この処理で読み出される番組表は、要求データに基づいて要求された時間以降3時間分の番組表である。
【0065】
次に、調査者側装置10は、番組の視聴率が該番組に対応する領域に記載された番組表を作成する(s52)。この処理において各番組の表示領域に記載される視聴率は、ハードディスク12に記憶された視聴率から算出されたものであって、一定時間毎に複数回算出された視聴率を番組の放送時間内における算出回数で平均した平均視聴率である。なお、番組表中の番組が一定期間に複数回連続して放送される番組である場合には、番組に対応する領域に前回の放送での視聴率および録画率が記載されるように構成してもよい。また、番組の表示領域に記載される視聴率として、例えば、対応する番組の放送時間となる視聴率のうち最大値となる最高視聴率であってもよい。
【0066】
そして、調査者側装置10は、s52の処理で作成された番組表を利用者側端末20に送信する(s53)。この番組表を受信した利用者側端末20は、図5に示すように、各番組の表示領域に視聴率および録画率が記載された番組表が表示される。
【0067】
なお、以上説明した視聴率調査システム2において、番組の視聴率が該番組に対応する領域に記載された番組表を作成する調査者側装置10は、上述した番組表作成手段として機能するものである。
【0068】
このように構成された視聴率調査システム2によれば、放送が終了した番組の視聴率や放送中の番組の視聴率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることができる。また、番組の録画率を利用者が番組表上で簡単にチェックすることができる。
【0069】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されず、このほかにも様々な形態で実施することができる。
【0070】
例えば、本実施形態においては、調査者側装置10が1のコンピュータシステムによって構成されたものを例示したが、複数のコンピュータシステムで構成されていてもよい。
また、本実施形態においては、利用者側端末20が周知のコンピュータシステムによって構成されているものを例示したが、利用者側端末20として、携帯情報端末や携帯電話機などを利用することもできる。
【0071】
また、本実施形態においては、図2におけるs13の処理で、利用者側端末20のディスプレイ24に表示される番組表が、調査者側装置10から送信されてくる場合を例示したが、番組表は、CD-ROMなどの記録媒体から読み出されるものであってもよい。また、調査者側装置10から送信されてきた番組表を、利用者側端末20のハードディスク22に記憶しておき、必要に応じて読み出せるように構成してもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、利用者側端末20のディスプレイ24が、第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3の3つに表示領域を分割した状態で表示するものを例示したが、第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3の各領域への表示が、ポップアップ画面として表示されるように構成してもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、図2におけるs17の処理で、選択された番組が放送中の番組であるかどうかをチェックする際に、番組表中の各番組に対応づけられた放送開始時刻および放送終了時刻と、現在時刻を比較することによって放送中であるかどうかをチェックするものを例示したが、放送中であるかどうかをチェックする方法は特に限定されない。例えば、利用者により番組表中の番組が選択された際に、利用者側端末20が選択された番組を特定するコードを調査者側装置10に送信して、このコードを受信した調査者側装置10がコードで特定される番組の放送時間と現在時刻を比較することにより放送中であるかどうかをチェックして、そのチェック結果を利用者側端末20に送信するといった方法である。この場合、放送チャンネル、放送開始時刻および放送終了時刻といった複数のデータを番組表の各番組に対応づける必要が無く、各番組に対応するコードを割り当てるだけでよいため、番組表としてのデータ量を減らすことができる。
【0074】
また、図2におけるs17の処理で、利用者側端末20が、s14の処理で選択された番組が放送中の番組である場合、ディスプレイ24の第1領域A1に番組の映像を表示し、選択された番組が放送中の番組ではない場合、ディスプレイ24の第3領域A3にメニュー画像を表示するものを例示したが、s14の処理で番組表中の番組が選択された時点で、番組を視聴する際に選択する選択項目を備えたメニュー画像が表示されるようにして、放送中の番組であれば前記選択項目が選択可能となるように構成してもよい。
【0075】
また、図2におけるs20の処理で、調査者側装置10に送信されるチャンネルデータが、変数sbcおよび変数ebcで構成されたものを例示したが、チャンネルデータは、放送チャンネルを特定できれば、その具体的なデータ構造は限定されない。例えば、チャンネルデータを、番組表中の番組毎に割り当てられたコードで構成して、調査者側装置10が、このコードに基づいて放送チャンネルを特定することができるようになっていればよい。
【0076】
また、図2におけるs25の処理で、表示される詳細データとして、図6(a)に示したように、番組を提供している広告主が一覧として表示されるようになっていてもよい。さらに、各広告主を選択する操作を行うことによって、図6(b)に示すように、コマーシャルの放送時刻になったら放送チャンネルを切り替える設定をするためのCM視聴ボタンB11、コマーシャルを録画予約するためのCM録画ボタンB12、広告主のウェブサイトへアクセスするためのリンクボタンB13とで構成される広告主メニュー画像が第3領域A3表示されるように構成してもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、図2におけるs28の処理で、利用者側端末20が、番組表中の各番組に対応づけられた放送開始時刻および放送終了時刻に基づいて録画予約を行うものを例示したが、番組の録画予約に必要なデータをインターネット100を介して調査者側装置10などからダウンロードして、このデータに基づいて録画予約を行うように構成してもよい。
【0078】
また、本視聴率調査システムを、あらかじめ登録された利用者が使用するものとして、視聴した番組、コマーシャルなどデータを利用者毎に収集するように構成してもよい。この場合、収集したデータに基づいて、広告(画像、テキスト)を番組表やメニュー画像と共に表示すれば、こうして表示される広告は、利用者の趣味、嗜好に合ったものといえるため、高い広告効果が期待できる。
【0079】
また、本実施形態においては、図4のs52において調査者側装置10が、番組表に視聴率および録画率を記載するものを例示したが、番組表には、視聴率と録画率のうちいずれかのみが記載されるように構成されていてもよい。また、視聴率または録画率以外に、最高(または最低)視聴率となった時刻、番組を視聴した平均人数などが記載されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1、2・・・視聴率調査システム、10・・・調査者側装置、20・・・利用者側端末。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置が用いられて視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する視聴番組状況受信手段と、
前記利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を、複数の前記利用者装置から受信する録画予約番組状況受信手段と、
前記視聴番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて、現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標を算出する視聴指標算出手段と、
前記録画予約番組状況受信手段により受信された各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて、番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標を算出する録画予約指標算出手段と、
前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送信する指標送信手段と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のサーバにおいて、
前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送信する番組表データ送信手段をさらに備えること、
を特徴とするサーバ。
【請求項3】
請求項2に記載のサーバにおいて、
前記番組表データ送信手段は、放送中の番組と同時に前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表が表示可能なよう構成された前記番組表データを送信すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項4】
番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置であって、
放送中の番組であって現在視聴されている番組を特定可能な情報である視聴状況情報をサーバへ送信する視聴状況情報送信手段と、
録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を前記サーバへ送信する録画予約状況情報送信手段と、
各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標と、各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標とを受信する指標受信手段と、
前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけて表示可能なよう構成された番組表データをサーバから受信する番組表データ受信手段と、
前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする利用者装置。
【請求項5】
請求項4に記載の利用者装置において、
前記出力手段は、現在視聴されている番組と同時に一画面において視聴者が視聴可能なよう前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表を出力すること、
を特徴とする利用者装置。
【請求項6】
番組の視聴操作及び録画予約が可能なコンピュータである利用者装置に実行させるためのプログラムであって、
放送中の番組であって現在視聴されている番組を特定可能な情報である視聴状況情報をサーバへ送信する視聴状況情報送信ステップと、
録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を前記サーバへ送信する録画予約状況情報送信ステップと、
各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて前記サーバにおいて算出された現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標と、各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて算出された番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標とを前記サーバから受信する指標受信ステップと、
前記視聴指標と前記録画予約指標とが、番組表上の番組に対応づけて表示可能なよう構成された番組表データをサーバから受信する番組表データ受信ステップと、
前記視聴指標、前記録画予約指標、及び、前記番組表データに基づいて、前記視聴指標と前記録画予約指標とが番組表上の番組に対応づけられた番組表であって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを含む番組表を出力する出力ステップと、
を前記利用者装置に実行させるプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムにおいて、
前記出力ステップは、現在視聴されている番組と同時に一画面において視聴者が視聴可能なよう前記視聴指標、前記録画予約指標及び前記番組表を出力すること、
を特徴とするプログラム。
【請求項8】
一又は複数のコンピュータシステムが行う指標処理方法であって、
番組の視聴操作及び録画予約が可能な利用者装置によって視聴されている番組であって放送中の番組を特定可能な情報である視聴状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する視聴番組状況取得ステップと、
前記利用者装置において録画予約されている番組を特定可能な情報である録画予約状況情報を、複数の前記利用者装置から取得する録画予約番組状況取得ステップと、
前記視聴番組状況取得ステップにより取得された各利用者装置の前記視聴状況情報に基づいて、現在放送中の番組の視聴者数の多少を把握可能な視聴指標を算出する視聴指標算出ステップと、
前記録画予約番組状況取得ステップにより取得された各利用者装置の前記録画予約状況情報に基づいて、番組の録画予約数の多少を把握可能な録画予約指標を算出する録画予約指標算出ステップと、
前記利用者装置によって表示される番組表のための番組表データを送出する番組表データ送出ステップと、
前記利用者装置によって表示される番組表上の番組に対応づけられて表示されるための前記視聴指標と前記録画予約指標とであって、現在放送中の番組に対応する前記視聴指標と前記録画予約指標とを送出する指標送出ステップと、
を含むことを特徴とする指標処理方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-03-30 
出願番号 特願2010-160000(P2010-160000)
審決分類 P 1 113・ 536- ZD (H04N)
P 1 113・ 14- ZD (H04N)
P 1 113・ 55- ZD (H04N)
P 1 113・ 537- ZD (H04N)
P 1 113・ 121- ZD (H04N)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 伊東 和重  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 梅本 達雄
小池 正彦
登録日 2010-10-22 
登録番号 特許第4612747号(P4612747)
発明の名称 サーバ、利用者装置、プログラム、及び、指標処理方法  
代理人 名古屋国際特許業務法人  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 中村 佳正  
代理人 水沼 淳  
代理人 飯田 圭  
代理人 上杉 浩  
代理人 谷口 信行  
代理人 名古屋国際特許業務法人  

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