• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04L
管理番号 1272814
審判番号 不服2011-6282  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-23 
確定日 2013-04-10 
事件の表示 特願2004-226122「デジタルビデオストリームのためのアクセス制御」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 5月12日出願公開、特開2005-124147〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下「本願」と記す。)は
2003年07月31日(以下「優先日」と記す。)のグレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国での出願を基礎とする、パリ条約に基づく優先権主張をともなって、
平成16年8月2日に、特許法第36条の2第1項の規定による特許出願として出願されたものであって、
同年10月4日付けで特許法第36条の2第2項の規定による翻訳文が提出され、
平成19年6月14日付けで審査請求がなされ、
平成22年7月26日付けで拒絶理由通知(同年8月3日発送)がなされ、
同年11月2日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、
同年11月17日付けで拒絶査定(同年同月24日謄本送達)がなされたものである。

本件審判請求は、「原査定を取り消す、本願は特許をすべきものであるとの審決を求める」ことを請求の趣旨として、
平成23年3月23日付けで請求されたものであり、
同日付けで手続補正書が提出され、
同年4月15日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、
同年7月25日付けで当該報告に対する意見を求める旨の審尋(同年同月26日発送)がなされ、これに対して
同年10月3日付けで回答書が提出され、
平成24年7月24日付けで上記平成23年3月23日付けの手続補正書による補正の却下の決定(同年8月7日発送)がなされるとともに、
同日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」と記す。)(同年7月31日発送)がなされ、
同年10月26日付けで意見書が提出されるとともに、
同日付けで手続補正書が提出された。


第2.進歩性について

1.本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」と言う。)は、上記平成24年10月26日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。

「少なくともフォーマット識別部分とペイロード部分とを有するビデオストリーム入力データを暗号化するデータ暗号化装置であって、
上記入力データの上記フォーマット識別部分と上記入力データの上記ペイロード部分とを区別する弁別器と、
上記弁別器の出力に基づいて、上記入力データの上記ペイロード部分の少なくとも一部を暗号化し、上記フォーマット識別部分は暗号化しないように上記入力データに選択的に暗号化を適用する暗号化器とを備え、
上記フォーマット識別部分にはピクチャヘッダデータが含まれ、
上記暗号化されるペイロード部分の少なくとも一部には、ヘッダデータ及び当該ヘッダデータに対応する識別データと、スライスヘッダデータ及び当該スライスヘッダデータに対応する識別データとが含まれ、
上記暗号化器は、上記暗号化されるヘッダデータに対応する当該識別データと、上記暗号化されるスライスヘッダデータに対応する識別データを、上記暗号化から除外し、上記ヘッダデータ及びスライスヘッダデータに対応する各識別データのうちのいずれかに対応するビットシーケンスを生成しないように前記暗号化を適用することを特徴とするデータ暗号化装置」


2.先行技術

(1)引用文献
本願の出願前の上記優先日よりも前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、当審拒絶理由通知の理由2において引用された、下記引用文献には、それぞれ下記の引用文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)


<引用文献1>
特開2001-155437(平成13年6月8日出願公開)

<引用文献記載事項1-1>
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 階層構造を有し、符号化パラメータが格納されるヘッダ部が階層構造の各層の先頭に配されたデータストリームを可変長符号化し、可変長符号化されたデータを固定枠に当てはめ、固定枠からはみ出たデータを他の固定枠の空き領域に詰め込んで等長化を行い、固定枠毎にセグメントを割り当ててセグメント単位で記録媒体に記録する記録装置において、
符号化パラメータを記録順序の最初のセグメントに記録するようにしたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】 請求項1に記載の記録装置において、
データを上記セグメントの先頭から詰め、複数の上記セグメントの先頭を揃えて記録するようにしたことを特徴とする記録装置。
【請求項3】 請求項1に記載の記録装置において、
上記データストリームは、MPEGの規格に基づくデータストリームであって、
上記MPEGの規格によるシーケンスヘッダおよびシーケンス拡張に1セグメントを割り当て、ピクチャヘッダおよびピクチャ符号化拡張に1セグメントを割り当て、各マクロブロックにそれぞれ1セグメントを割り当てるようにしたことを特徴とする記録装置。
【請求項4】 請求項3に記載の記録装置において、
データを上記セグメントの先頭から詰め、複数の上記セグメントの先頭を揃えて記録するようにしたことを特徴とする記録装置。
【請求項5】 請求項3に記載の記録装置において、
さらに、上記MPEGの規格によるGOPヘッダに1セグメントを割り当てるようにしたことを特徴とする記録装置。
【請求項6】 請求項1に記載の記録装置において、
上記データストリームは、MPEGの規格に基づくデータストリームであって、
上記MPEGの規格によるシーケンスヘッダに1セグメントを割り当て、シーケンス拡張に1セグメントを割り当て、ピクチャヘッダおよびピクチャ符号化拡張に1セグメントを割り当て、各マクロブロックにそれぞれ1セグメントを割り当てるようにしたことを特徴とする記録装置。
【請求項7】 請求項6に記載の記録装置において、
データを上記セグメントの先頭から詰め、複数の上記セグメントの先頭を揃えて記録するようにしたことを特徴とする記録装置。
【請求項8】 請求項6に記載の記録装置において、
さらに、上記MPEGの規格によるGOPヘッダに1セグメントを割り当てるようにしたことを特徴とする記録装置。
【請求項9】 階層構造を有し、符号化パラメータが格納されるヘッダ部が階層構造の各層の先頭に配されたデータストリームを可変長符号化し、可変長符号化されたデータを固定枠に当てはめ、固定枠からはみ出たデータを他の固定枠の空き領域に詰め込んで等長化を行い、固定枠毎にセグメントを割り当ててセグメント単位で記録媒体に記録する記録方法において、
符号化パラメータを記録順序の最初のセグメントに記録するようにしたことを特徴とする記録方法。」

<引用文献記載事項1-2>
「【0028】この一実施形態では、圧縮方式としては、例えばMPEG2方式が採用される。MPEG2は、動き補償予測符号化と、DCTによる圧縮符号化とを組み合わせたものである。MPEG2のデータ構造は、階層構造をなしている。図1は、このMPEG2のデータの階層構造を概略的に示す。図1に示されるように、データ構造は、下位から、マクロブロック層(図1E)、スライス層(図1D)、ピクチャ層(図1C)、GOP層(図1B)およびシーケンス層(図1A)となっている。」

<引用文献記載事項1-3>
「【0042】GOP層のヘッダ部に続けて、ピクチャが配される。ピクチャの先頭には、図1Cに示されるように、ピクチャヘッダ9、ピクチャ符号化拡張10、ならびに、拡張およびユーザデータ11が配される。ピクチャヘッダ9の先頭には、ピクチャスタートコード8が配される。また、ピクチャ符号化拡張10、ならびに、拡張およびユーザデータ11の先頭には、それぞれ所定のスタートコードが配される。ピクチャヘッダ9から拡張およびユーザデータ11までがピクチャのヘッダ部とされる。」


<引用文献記載事項1-4>
「【0043】ピクチャヘッダ9は、図7に示されるように、ピクチャスタートコード8が配されると共に、画面に関する符号化条件が設定される。ピクチャ符号化拡張10では、図8に示されるように、前後方向および水平/垂直方向の動きベクトルの範囲の指定や、ピクチャ構造の指定がなされる。また、ピクチャ符号化拡張10では、イントラマクロブロックのDC係数精度の設定、VLCタイプの選択、線型/非線型量子化スケールの選択、DCTにおけるスキャン方法の選択などが行われる。」

<引用文献記載事項1-5>
「【0045】ピクチャ層のヘッダ部に続けて、スライスが配される。スライスの先頭には、図1Dに示されるように、スライスヘッダ13が配され、スライスヘッド13の先頭に、スライススタートコード12が配される。図10に示されるように、スライススタートコード12は、当該スライスの垂直方向の位置情報を含む。スライスヘッダ13には、さらに、拡張されたスライス垂直位置情報や、量子化スケール情報などが格納される。」

<引用文献記載事項1-6>
「【0053】GOP層のヘッダ部の次は、ピクチャ層のヘッダ部となる。9バイトの長さを有するピクチャヘッダ9が配され、続けて9バイトの長さを有するピクチャ符号拡張10が配される。ピクチャ符号拡張10の後に、拡張およびユーザデータ11が配される。拡張およびユーザデータ11の先頭側133バイトに拡張およびユーザデータが格納され、続いて4バイトの長さを有するユーザデータスタートコード15が配される。ユーザデータスタートコード15に続けて、既存の他のビデオフォーマットとの互換性をとるための情報が格納される。さらに、ユーザデータスタートコード16が配され、ユーザデータスタートコード16に続けて、SMPTEの規格に基づくデータが格納される。ピクチャ層のヘッダ部の次は、スライスとなる。」

<引用文献記載事項1-7>
「【0079】記録データに対して必要に応じてスクランブル処理を行っても良い。また、記録時にディジタル変調を行っても良く、さらに、パーシャル・レスポンスクラス4とビタビ符号を使用しても良い。なお、イコライザ110は、記録側の構成と再生側の構成とを共に含む。」


<引用文献2>
国際公開第02/15579号(2002年2月21日国際公開)

<引用文献記載事項2-1>
「Abstract:A system for providing conditional access to packetized picture (video), audio or other data. The system selectively encrypts packetized data (105) such that transport packets (130, 150) that include header data (131, 151) are unencrypted, while all other transport packets (140, 141) that do not include header data are encrypted.」
(当審訳「【要約】パケット化されたピクチャー(ビデオ)、オーディオあるいは他のデータへの限定受信を提供するためのシステム。ヘッダー・データを含んでいない他のすべてのトランスポートパケット(140,141)は暗号化されるが、ヘッダー・データ(131,151)を含んでいるトランスポートパケット(130,150)は暗号化されないように、システムが選択的にパケット化されたデータ(105)を暗号化する。」)

<引用文献記載事項2-2>
「Each transport packet is formed by subdividing the contents of successive portions of a PES packet. For example, the payload 133 of the transport packet 130 comprises the PES header 116, picture header 118, and a portion of the picture data 119 of the PES payload 117. The payload 143 of the transport packet 140 comprises a successive portion of the picture data 119 of the PES payload 117. The payload 153 of the transport packet 150 comprises the picture header 120, and a portion of the picture data 121 of the PES payload 117, and so on.」(9頁24行?10頁1行)
(当審訳:「各トランスポートパケットは、PESパケットの連続の端部のコンテンツを細分することにより形成される。例えば、トランスポートパケット130のペイロード133はPESヘッダ116、ピクチャヘッダ118と、PESペイロード117のピクチャー・データ119の一部を含む。トランスポートパケット140のペイロード143が、PESペイロード117のピクチャー・データ119の連続部分を含む。トランスポートパケット150のペイロード153はピクチャヘッダ120と、PESペイロード117のピクチャー・データ121の一部を含む、等々。」


<引用文献3>
特開2001-103444号公報(平成13年4月13日出願公開)

<引用文献記載事項3-1>
「【請求項2】 MPEGビデオストリームをペイロードに格納したMPEG2トランスポートストリームの入力を受け、
前記MPEGビデオストリームのスタートコードを検出するスタートコード検出手段と、
前記MPEG2トランスポートストリームを構成するトランスポートパケットを選択的に暗号化するパケット選択暗号化手段と、
全ての前記トランスポートパケットに対し、暗号化が施されているか否かを示す暗号化フラグを付加する暗号化フラグ付加手段とを備え、
前記パケット選択暗号化手段は、
前記スタートコードが検出された検出トランスポートパケットおよび前記検出トランスポートパケットに続くn個(nはn>1を満たす整数)のトランスポートパケット以外のトランスポートパケットに暗号化を行うことを特徴とするパケット暗号化装置。
【請求項3】 MPEGビデオストリームをペイロードに格納したMPEG2トランスポートストリームの入力を受け、
前記MPEGビデオストリームのスタートコードを検出するスタートコード検出手段と、
前記MPEG2トランスポートストリームを構成するトランスポートパケットを選択的に暗号化するパケット選択暗号化手段と、
全ての前記トランスポートパケットに対し、暗号化が施されているか否かを示す暗号化フラグを付加する暗号化フラグ付加手段とを備え、
前記パケット選択暗号化手段は、検出したスタートコードがピクチャ・スタートコード(picture_start_code)である場合は、前記ピクチャ・スタートコード及びそれに続く少なくとも13ビットのデータを含むトランスポート・パケット以外のトランスポート・パケットに暗号化を行うことを特徴とするパケット暗号化装置。」

<引用文献記載事項3-2>
「【0069】また、さらにピクチャ以外のスタートコードについても同様に暗号化を施さないようにすることも可能である。このようにすることにより、暗号化パケット選択制御手段9は入力されたトランスポートストリームを解析する必要がなくなり、スタートコード検出手段7がスタートコードを検出したトランスポートパケット及びその次のパケットを自動的に暗号化を施さないようにして回路を簡略化することができる。」


<引用文献4>
特開2001-86481号公報(平成13年3月30日出願公開)

<引用文献記載事項4-1>
「【請求項14】 コンテンツ情報として、特定のスタートコードを除いて暗号化されたMPEGストリームを転送する際に、DMA転送開始データを前記特定のスタートコードと一致させ、かつDMA転送期間を次の暗号化しないスタートコードまでのストリームデータ長と一致させて転送する第1のDMA制御手段と、
前記暗号化されたMPEGストリームを転送するバスと、
前記暗号化されたMPEGストリームを受け取って出力する際に、前記DMA転送開始データが前記暗号化されたMPEGストリームのどの位置に当たるかを示すDMA転送開始データ位置信号を同時に出力する第2のDMA制御手段と、
前記第2のDMA制御手段から出力された、前記暗号化されたMPEGストリームから、前記DMA転送開始データ位置信号を利用して前記スタートコードを検出し、MPEGストリームに施された暗号を解読して出力する暗号解読手段とを備えたことを特徴とするディジタル信号転送システム。
【請求項15】 複数のコンテンツ情報がパケットに時分割多重された多重ストリームを入力し、少なくとも一つのコンテンツ情報について複数パケットにまたがって連続する暗号化を施こすとともに、前記連続する暗号化の開始もしくは終了位置情報を含む付加ヘッダをパケットに多重して暗号化多重ストリームとして出力する暗号化手段と、
前記暗号化多重ストリームに含まれるパケットを分解し、前記暗号化されたコンテンツ情報を抜き出して出力するさいに、同時に前記付加ヘッダを解析して前記暗号化の開始もしくは終了位置情報を出力することを特徴とする分離手段とを備えたことを特徴とするディジタル信号転送システム。
【請求項16】 MPEG2トランスポートストリームを入力し、少なくともトランスポートストリームのペイロードに含まれるMPEGスタートコードを除いた部分について、暗号化を行なうとともに、前記MPEGスタートコードの位置情報を含む付加ヘッダを前記トランスポートパケットに多重して、暗号化トランスポートストリームを出力する暗号化手段と、
前記暗号化トランスポートストリームから、必要なパケットIDを持つトランスポートパケットのみを抜き出し、ペイロードを出力すると同時に、前記付加ヘッダを解析して前記MPEGスタートコードの位置情報を出力する分離手段とを備えたことを特徴とするディジタル信号転送システム。」

<引用文献記載事項4-2>
「【0312】また、本発明は、たとえば、コンテンツ情報として、特定のスタートコードを除いて暗号化されたMPEGストリームを転送する際に、DMA転送開始データを上記特定のスタートコードと一致させ、かつDMA転送期間を次の暗号化しないスタートコードまでのストリームデータ長と一致させて転送する第1のDMA制御手段と、暗号化されたMPEGストリームを転送するバスと、暗号化されたMPEGストリームを受け取って出力する際に、DMA転送開始データが暗号化されたMPEGストリームのどの位置に当たるかを示すDMA転送開始データ位置信号を同時に出力する第2のDMA制御手段と、第2のDMA制御手段から出力された、暗号化されたMPEGストリームから、DMA転送開始データ位置信号を利用してスタートコードを検出し、MPEGストリームに施された暗号を解読して出力する暗号解読手段とを備えたものである。
【0313】また、本発明は、たとえば、複数のコンテンツ情報がパケットに時分割多重された多重ストリームを入力し、少なくとも一つのコンテンツ情報について複数パケットにまたがって連続する暗号化を施こすとともに、連続する暗号化の開始もしくは終了位置情報を含む付加ヘッダをパケットに多重して暗号化多重ストリームとして出力する暗号化手段と、暗号化多重ストリームに含まれるパケットを分解し、暗号化されたコンテンツ情報を抜き出して出力するさいに、同時に付加ヘッダを解析して暗号化の開始もしくは終了位置情報を出力することを特徴とする分離手段とを備えたものである。
【0314】また、本発明は、たとえば、MPEG2トランスポートストリームを入力し、少なくともトランスポートストリームのペイロードに含まれるMPEGスタートコードを除いた部分について、暗号化を行なうとともに、MPEGスタートコードの位置情報を含む付加ヘッダをトランスポートパケットに多重して、暗号化トランスポートストリームを出力する暗号化手段と、暗号化トランスポートストリームから、必要なパケットIDを持つトランスポートパケットのみを抜き出し、ペイロードを出力すると同時に、付加ヘッダを解析してMPEGスタートコードの位置情報を出力する分離手段とを備えたものである。」


<引用文献5>
特開2001-203684号公報(平成13年7月27日出願公開)

<引用文献記載事項5-1>
「【請求項1】 画像データを入力する入力手段と、
前記画像データを保護するためのセキュリティデータを生成する生成手段と、前記画像データを符号化し、符号化データを生成する符号化手段と、
前記セキュリティデータに従ってセキュリティが設定される区間の符号化データから一意に決定される所定符号を抽出する抽出手段と、
前記所定符号に前記セキュリティデータを重畳する重畳手段と、
前記セキュリティが設定された区間において前記所定符号を除いた前記符号化データにスクランブルを施すスクランブル手段と、
前記重畳手段によって処理された所定符号と前記スクランブル手段によって処理された符号化データとを出力する出力手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】 前記セキュリティデータは前記スクランブル手段に使用されるキー情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】 前記セキュリティデータは認証のための情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】 前記符号化手段はMPEG-4のビットストリームを生成することを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】 前記セキュリティに関する情報を示すIPMPデータを生成するIPMP符号化手段を有し、前記出力手段は前記IPMP符号化手段によって生成されたIPMPデータを出力することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】 前記セキュリティデータを暗号化する暗号化手段を有し、前記重畳手段は前記暗号化手段によって暗号化されたセキュリティデータを重畳することを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】 前記抽出手段によって抽出される符号はスタートコードであることを特徴とする請求項1?6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(中略)
【請求項18】 画像データを入力する入力工程と、
前記画像データを保護するためのセキュリティデータを生成する生成工程と、
前記画像データを符号化し、符号化データを生成する符号化工程と、
前記セキュリティデータに従ってセキュリティが設定される区間の符号化データから一意に決定される所定符号を抽出する抽出工程と、
前記所定符号に前記セキュリティデータを重畳する重畳工程と、
前記セキュリティが設定された区間において前記所定符号を除いた前記符号化データにスクランブルを施すスクランブル工程と、
前記重畳処理された所定符号と前記スクランブル処理された符号化データとを出力する出力工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】 前記セキュリティデータは前記スクランブル工程に使用されるキー情報を含むことを特徴とする請求項18に記載の画像処理方法。
【請求項20】 前記セキュリティデータは認証のための情報を含むことを特徴とする請求項18又は19に記載の画像処理方法。
【請求項21】 前記符号化工程はMPEG-4のビットストリームを生成することを特徴とする請求項18?20のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項22】 前記セキュリティに関する情報を示すIPMPデータを生成するIPMP符号化工程を有し、前記出力工程は前記IPMP符号化工程によって生成されたIPMPデータを出力することを特徴とする請求項21に記載の画像処理方法。
【請求項23】 前記セキュリティデータを暗号化する暗号化工程を有し、前記重畳工程は前記暗号化工程によって暗号化されたセキュリティデータを重畳することを特徴とする請求項18?22のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項24】 前記抽出工程によって抽出される符号はスタートコードであることを特徴とする請求項18?23のいずれか1項に記載の画像処理方法。」

<引用文献記載事項5-2>
「【0048】また、本実施例では検出するスタートコードとしてVOPスタートコードを検出したがこれに限定されず、上位のスタートコードを検出してももちろんかまわない。たとえばレイヤー単位でセキュリティを制御する場合はVOLスタートコード、シークエンス単位で制御する場合はVOSスタートコードに対してキーや認証情報の重畳を行えばよい。」

(2)参考文献
本願の出願前の上記優先日よりも前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記参考文献には、下記参考文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)

<参考文献1>
特開平5-95352号公報(平成5年4月16日出願公開)

<参考文献記載事項1-1>
「【請求項1】 ディジタル信号の層の始まりを示す開始コードを検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づき開始コードと次の開始コード間の信号の一部あるいは全部を暗号化する手段を有することを特徴とするスクランブル装置。
【請求項2】 請求項1記載のスクランブル装置によって生成されたスクランブル信号の層の始まりを示す開始コードを検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力に基づき開始コードと次の開始コードの間の暗号化された信号を復号する手段を有することを特徴とするデスクランブル装置。
【請求項3】 MPEG標準に準ずる映像信号のピクチャー層の開始コードを検出することを特徴とする請求項1項記載のスクランブル装置。
【請求項4】 請求項3記載のスクランブル装置によってスクランブル処理された信号からスライス層の開始コードを検出する検出手段を有し、前記検出手段によって検出した開始コードと次の開始コードまでの信号の内の暗号化された部分を復号化する手段を有することを特徴とするデスクランブル装置。
【請求項5】 MPEG標準に準拠した映像信号のスライス層の開始コードを検出する検出手段を有し、前記検出手段によって検出された開始コードと次の開始コードまでの信号の一部あるいは全部を暗号化する手段を有することを特徴とするスクランブル装置。
【請求項6】 請求項5記載のスクランブル装置によってスクランブル処理された信号からスライス層の開始コードを検出する検出手段を有し、前記検出手段によって検出された開始コードと次の開始コードまでの信号の暗号化されている部分を復号化する復号化手段を有することを特徴とするデスクランブル装置。」

<参考文献記載事項1-2>
「【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、各層内の一部のみに暗号化するだけで層内全体の復号を困難にできるため、高速な暗号処理を行うことなくスクランブルが行え、また、各層毎にスクランブルのオンオフを制御することによって効果制御が容易に行えるスクランブル装置およびそのデスクランブル装置を提供することができ、その実用的効果は大きい。」


<参考文献2>
特開平7-67096号公報(平成7年3月10日出願公開)

<参考文献記載事項2-1>
「【請求項3】MPEG標準に準拠したディジタル画像データに対するスクランブル装置であって、予め送受間で規定したデータ中の位置からスクランブルした際に予約語と一致する可能性のない複数ビット以内にあるデータを撹拌処理する撹拌処理手段を備えたことを特徴とするスクランブル装置。」

<参考文献記載事項2-2>
「【0048】以上のように本実施例によれば、マクロブロックの先頭から数コードのみにスクランブルをおこなうため、乱数としては、マクロブロック毎に数ビットしか必要がなく、低速の乱数発生器を用いて画像全体を再生不能にすることができるとともに、スクランブルの対象となる符号が可変長符号であるため、一度ビット反転させるとそれ以降のデータは、次のスライス開始コードが来るまで再生不良とできるため、スライス毎にスクランブルのオンオフを制御でき、また、スライス内では、再生不能となる位置をマクロブロック単位で制御可能にすることができる。」


<参考文献3>
特開平9-233455号公報(平成9年9月5日出願公開)

<参考文献記載事項3-1>
「【0034】次に、本発明を用いたスクランブル装置の第2の実施形態例について図14に示す。この実施形態例では、フレーム内である任意ブロックの輝度/色差の周波数成分を、任意の周波数までに制限して表示することで、画像の空間方向の解像度を制御し、効果制御を実現するものである。
【0035】画像符号化器3で符号化された符号化画像情報6はスクランブル装置4に入力される。スクランブル装置4内のスクランブル制御部35で各ピクチャ毎に、スクランブル処理指定情報15に基づいて当該ピクチャにスクランブル処理を施すか否かを判定し、スクランブル処理を施さない場合は当該ピクチャのピクチャ層にヘッダ情報として、ユーザデータスタートコード16、管理番号17、スクランブル処理を施さないことを表記したスクランブルパラメータ18を付加し、バッファ36に送る。スクランブル処理を施す場合は、当該ピクチャのピクチャ層にヘッダ情報として、ユーザデータスタートコード16、管理番号17、スクランブル処理の内容を表記したスクランブルパラメータ18を付加し、スクランブル処理部37に送る。いずれの場合も、必要に応じてスクランブルパラメータ18の鍵配送フラグを立てて、スクランブルセッション鍵19を生成し、スクランブルセッション鍵19をスクランブルマスタ鍵20で暗号化した暗号化鍵情報21を続けて付加する。また生成した新しいスクランブルセッション鍵19を周波数抜き取り処理部37に送る。
【0036】図15に周波数成分抜き取り処理部37の詳細を、図16にその内部の構文解釈・抜き取り処理部38の詳細を示す。スクランブル制御部35から送られてきたスクランブル対象ピクチャは周波数成分抜き取り処理部37の中の構文解釈・抜き取り処理部38に入力される。構文解釈・抜き取り処理部38(図16)はスクランブルパラメータ18を読み出し、それに続くスライス層以下を構文解釈する。解釈した際にスクランブルパラメータ18と照らし合せて抜き取り対象周波数成分39を見つけた場合、当該周波数成分をスクランブル対象ピクチャのビット列から抜き取る。またその際にブロックの切れ目を示すためのダミーEOB(エンド オブ ブロック)40を付加する。
【0037】図17に示すように、CBP(コーデット ブロック パターン)はMPEGビデオビットストリームのマクロブロック層のパラメータの1つで、マクロブロック中のどのブロックが周波数成分を持つかを表す6ビット値をハフマン符号化したものである。
【0038】図18に示すように、スクランブル対象ピクチャがPピクチャまたはBピクチャの場合、周波数成分抜き取り処理によって元々のCBPのままだと不都合が生じる場合、ダミーのDCT 直流成分(ラン0,レベル+1あるいは-1,2進表現で10または11)41を抜き取り後のデータに適合するように、ダミーのDCT 直流成分41を、抜き取り後データの該当箇所(元々DCT係数が存在したが、抜き取りによってDCT係数が全くなくなったブロック)に挿入する。抜き取られた周波数成分39はマクロブロック単位にダミーEOB40とともに暗号化処理部42に送られる。
【0039】暗号化処理部42ではマクロブロック中の抜き取られた周波数成分39、ダミーEOB40の順に並べてスクランブルセッション鍵19を用いて暗号化を行う。ただし暗号化の際に、暗号化データの中にMPEGで用いられる各種ヘッダコードが現れないように、連続してビット0が22個現れた場合はマーカービットとしてその次にビット1を挿入する。暗号化処理部42は暗号化されたデータをスタッフィングビット削除部43に送る。
【0040】構文解釈・抜き取り処理部38において周波数成分を抜き取られたスクランブル対象ピクチャは周波数成分抜き取り後ピクチャ用バッファ44に送られる。
【0041】周波数成分抜き取り後ピクチャ用バッファ44では、まずピクチャ層のデータだけ、暗号化処理部42で暗号化されたデータより先にスタッフィングビット削除部43に送り出し、残りのスライス層以下、暗号化処理部42で1ピクチャ分の暗号化処理が終了し暗号化されたデータがスタッフィングビット削除部43に送られるまで蓄えられる。暗号化データが全てスタッフィングビット削除部43に送られた後、周波数成分抜き取り後ピクチャ用バッファ44に蓄えられていた残りのデータがスタッフィングビット削除部43に送られる。
【0042】スタッフィングビット削除部43では暗号化処理によるピクチャデータ増加分をスタッフィングビットを削除することで相殺し、ピクチャデータをバッファ36に送る。
【0043】バッファ36では送られてきたピクチャデータを伝送速度に応じて送信側伝送処理部5に送る。
【0044】上記スクランブル処理によって、図19(a)のようにピクチャデータの構造が変化する。スクランブル処理の施されたピクチャは輝度/色差の高周波成分が削除され、低周波成分のみで構成されるようになるので、図19(b)のようにぼやけた画像に変化し、画像の空間方向の解像度が低下する。またスクランブルパラメータ18によって、輝度/色差の直流成分のみの画像から全く処理を施さない画像まで任意にスクランブルの程度を制御でき、幅広い効果制御を実現できる。
【0045】次に、図20に本実施形態例におけるスクランブル解除装置10について示す。スクランブル解除装置10は受信側伝送処理部9から送られてくるスクランブル処理の施された符号化画像情報を受け取り、まず解除処理判定部45において対象とするピクチャのピクチャ層のユーザデータスタートコード16を検出し、続く管理番号17とスクランブルパラメータ18を読み取る。読み取った管理番号17に対応するスクランブルマスタ鍵20を利用者が有していない場合、あるいはスクランブルパラメータ18にスクランブル処理指定が書かれていない場合、スクランブル処理の施された符号化画像情報7をそのままバッファ46に送る。管理番号17に対応するスクランブルマスタ鍵20を利用者が有していて、かつ当該ピクチャがスクランブル処理のなされたピクチャである場合は、当該ピクチャをスクランブル解除対象ピクチャとして周波数成分復元部47に送る。」


3.引用発明の認定

(1)引用文献1は、引用文献記載事項1-1のごとき「データストリーム」を「記録する記録装置」を説明する文献であるところ、その【請求項3】や【請求項6】記載のごとく、該「データストリーム」としては「MPEGの規格に基づくデータストリーム」が挙げられている。
また、引用文献記載事項1-7には「記録データに対して必要に応じてスクランブル処理を行っても良い」とあることからみて、引用文献1には該「データストリーム」に対して「スクランブル処理を行う装置」も開示されていると言える。
したがって、引用文献1には
「MPEGの規格に基づくデータストリームに対してスクランブル処理を行う装置」
が記載されていると言える。

(2)上記引用文献記載事項1-2等からみて、「該データストリームは」「下位から、マクロブロック層、スライス層、ピクチャ層、GOP層およびシーケンス層となっているデータ構造」のものであると言える。

(3)上記引用文献記載事項1-3等からみて、該「データ構造」は、「前記ピクチャ層の先頭にはピクチャヘッダ、ピクチャ符号化拡張、ならびに、拡張およびユーザデータが配され、該ピクチャヘッダの先頭に、ピクチャスタートコードが配され、該ピクチャ符号化拡張、ならびに、拡張およびユーザデータの先頭には、それぞれ所定のスタートコードが配され、該ピクチャヘッダから前記拡張およびユーザデータまでが前記ピクチャ層のヘッダ部とされ」ているものであると言える。

(4)上記引用文献記載事項1-4等からみて、「前記ピクチャ符号化拡張では、前後方向および水平/垂直方向の動きベクトルの範囲の指定、ピクチャ構造の指定、イントラマクロブロックのDC係数精度の設定、VLCタイプの選択、線型/非線型量子化スケールの選択、DCTにおけるスキャン方法の選択などが行われ」ると言える。

(5)上記引用文献記載事項1-5等からみて、「前記スライス層の先頭には、スライスヘッダが配され、該スライスヘッダの先頭に、スライススタートコードが配され」ていると言える。

(6)上記引用文献記載事項1-6等からみて、前記「データ構造」は、「前記ピクチャ層のヘッダ部の次は、前記スライス層となる」ものであると言える。

(7)よって、引用文献には下記の引用発明が記載されていると認められる。

<引用発明>
「MPEGの規格に基づくデータストリームに対してスクランブル処理を行う装置であって、
該データストリームは、
下位から、マクロブロック層、スライス層、ピクチャ層、GOP層およびシーケンス層となっているデータ構造であって、
前記ピクチャ層の先頭にはピクチャヘッダ、ピクチャ符号化拡張、ならびに、拡張およびユーザデータが配され、該ピクチャヘッダの先頭に、ピクチャスタートコードが配され、該ピクチャ符号化拡張、ならびに、拡張およびユーザデータの先頭には、それぞれ所定のスタートコードが配され、該ピクチャヘッダから前記拡張およびユーザデータまでが前記ピクチャ層のヘッダ部とされ、
前記ピクチャ符号化拡張では、前後方向および水平/垂直方向の動きベクトルの範囲の指定、ピクチャ構造の指定、イントラマクロブロックのDC係数精度の設定、VLCタイプの選択、線型/非線型量子化スケールの選択、DCTにおけるスキャン方法の選択などが行われ、
前記スライス層の先頭には、スライスヘッダが配され、該スライスヘッダの先頭に、スライススタートコードが配され、
前記ピクチャ層のヘッダ部の次は、前記スライス層となるデータ構造のものである装置。」


4.対比
以下に、本願発明と引用発明とを比較する。

(1)
ア.引用発明は「スクランブル処理を行う装置」であり、スクランブル処理は一種の暗号化処理であるから、本願発明と同様に「データ暗号化装置」と言えるものである。

イ.引用発明における「ピクチャヘッダ」は、本願発明における「フォーマット識別部分」に対応付けられるものであるところ、「ピクチャヘッダ」がフレーム境界を特定する働きをするものであることは明らかであるから、これも本願発明の詳細な説明の段落【0064】の記載の「フォーマット識別部分」の定義である「フレーム境界を特定するのに役立つデータの部分」に属する部分であると言える。
したがって、前者も後者と同様に「フォーマット識別部分」と言えるものである。

ウ.引用発明における「拡張およびユーザデータ」及び「スライス層」は、本願発明における「ペイロード部分」に対応付けられるものであるところ、前者は上記「ピクチャヘッダ」ではないデータであるから、これらも本願発明の詳細な説明の段落【0064】の記載のとおり「残りのデータ」と定義されるものに属する部分である。
したがって、前者も後者と同様に「ペイロード部分」と言えるものである。

エ.引用発明における「MPEGの規格に基づくデータストリーム」は本願発明における「ビデオストリーム入力データ」に対応付けられるものであるところ、前者も「ビデオストリーム」と言えるものであることは明らかであり、これが「スクランブル処理を行う装置」に入力されるデータであることも明らかである。
したがって、前者も後者と同様に「ビデオストリーム入力データ」と言えるものである。

オ.よって、引用発明も本願発明と同様に「少なくともフォーマット識別部分とペイロード部分とを有するビデオストリーム入力データを暗号化するデータ暗号化装置」と言えるものである。

(2)引用発明は「データストリームに対してスクランブル処理を行う装置」であるから、該「データストリーム」を暗号化する手段を備えていることは明らかである。
したがって、引用発明と本願発明とは「上記入力データに暗号化を適用する暗号化器とを備え」ている点で共通すると言える。

(3)引用発明における「ピクチャヘッダ」にはそのデータが含まれることは明らかであるから、引用発明においても本願発明と同様に「上記フォーマット識別部分にはピクチャヘッダデータが含まれ」ていると言える。

(4)
ア.引用発明における「拡張およびユーザデータ」は、本願発明における「ヘッダデータ及び当該ヘッダデータに対応する識別データ」に対応付けられるものであるところ、前者は「ヘッダ部」の一部を構成するものであるから「ヘッダデータ」とも言えるものであり、その「先頭」に「配され」る「所定のスタートコード」は「当該ヘッダデータに対応する識別データ」と言えるものである。

イ.引用発明における「スライスヘッダ」のデータは、本願発明における「スライスヘッダデータ」に相当し、引用発明における「スライススタートコード」は本願発明における「当該スライスヘッダデータに対応する識別データ」に相当する。

ウ.したがって、引用発明と本願発明とは
「上記ペイロード部分の少なくとも一部には、ヘッダデータ及び当該ヘッダデータに対応する識別データと、スライスヘッダデータ及び当該スライスヘッダデータに対応する識別データとが含まれる」
点で共通すると言える。

5.よって、本願発明は、下記一致点で引用発明と一致し、下記相違点を有する点で引用発明と相違する。

<一致点>
「少なくともフォーマット識別部分とペイロード部分とを有するビデオストリーム入力データを暗号化するデータ暗号化装置であって、
上記入力データに暗号化を適用する暗号化器とを備え、
上記フォーマット識別部分にはピクチャヘッダデータが含まれ、
上記ペイロード部分の少なくとも一部には、ヘッダデータ及び当該ヘッダデータに対応する識別データと、スライスヘッダデータ及び当該スライスヘッダデータに対応する識別データとが含まれる
データ暗号化装置。」

<相違点1>
本願発明においては、「上記入力データの上記フォーマット識別部分と上記入力データの上記ペイロード部分とを区別する弁別器」を備え、暗号化器は「上記弁別器の出力に基づいて、上記入力データの上記ペイロード部分の少なくとも一部を暗号化し、上記フォーマット識別部分は暗号化しないように」上記入力データに「選択的に」暗号化を適用するるものである。
(これに対し、引用文献1には「ピクチャヘッダ」を暗号化しない旨の記載は無く、また、そのため「弁別器」に相当するものの開示もない。)

<相違点2>
本願発明においては「上記暗号化器は、上記暗号化されるヘッダデータに対応する当該識別データと、上記暗号化されるスライスヘッダデータに対応する識別データを、上記暗号化から除外し、上記ヘッダデータ及びスライスヘッダデータに対応する各識別データのうちのいずれかに対応するビットシーケンスを生成しないように前記暗号化を適用する」ものである。
(これに対し、引用発明においては「所定のスタートコード」や「スライススタートコード」を暗号化しない旨の記載は無く、また、これらに対応するビットシーケンスを生成しないようにすることも記載されていない。)


6.判断

(1)相違点1について
ビデオストリームの暗号化に際しては、特殊再生等の処理が可能なように、ピクチャヘッダについては暗号化を行わないようにするのが普通である(必要があれば、引用文献記載事項2-1、2-2、3-1等参照)。
また、このような選択的な暗号化を実現するために、暗号化すべき部分と暗号化すべきでない部分を区別する手段を採用することも、当業者の常套手段にすぎないものである(必要があれば引用文献記載事項3-1(特に「スタートコード検出手段」)、引用文献記載事項5-1(特に「一意に決定される所定符号を抽出する抽出手段」)、参考文献記載事項1-1(特に「開始コードを検出する検出手段」)等参照。)。
してみると、引用発明において、ピクチャヘッダの部分を区別する手段を採用し、該区別する手段の出力によって、選択的なスクランブルを行うように暗号化器を制御するものとすること、すなわち上記相違点1に係る構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

なお、本願請求項1には「上記フォーマット識別部分にはピクチャヘッダデータが含まれ」との記載があるところ「ピクチャヘッダ」に続く「ピクチャ拡張」についての直接的な言及はなく、該「ピクチャ拡張」が「フォーマット識別部分」に含まれるのか否かは明確なものではない。そこで、本願発明の詳細な説明の段落【0068】等を参酌するに、そこには該「ピクチャ拡張」についても暗号化しないことが開示されていることからみて、本願請求項1における上記「上記フォーマット識別部分にはピクチャヘッダデータが含まれ」との記載は、本願発明における「フォーマット識別部分」には該「ピクチャ拡張」も含まれる旨を表現しようとしているとも推測できる。
しかしながら、引用発明における「ピクチャ符号化拡張」は本願発明の詳細な説明における「ピクチャ拡張」に対応付けられるものであると言えるところ、前者の「ピクチャ符号化拡張」はピクチャヘッダを拡張した部分であることは明らかであり、しかも「ピクチャ構造の指定」等の「フレーム境界を特定するのに役立つデータ」が含まれていることからみて、このような拡張部分についても暗号化しないようにすることは、当業者の通常の創作力の範囲内で想到されることである。
また、ピクチャよりも下位層のスライス層やマクロブロック層での効果制御等が従来から提唱されていることは、当業者が当然に心得る技術的趨勢であり(必要があれば参考文献記載事項1-2、2-2等参照。)、このような効果制御のためには特定のスライスやマクロブロックに関しては正常に再生できなければならないのであるから、「ピクチャ符号化拡張」に含まれる「前後方向および水平/垂直方向の動きベクトルの範囲の指定、ピクチャ構造の指定、イントラマクロブロックのDC係数精度の設定、VLCタイプの選択、線型/非線型量子化スケールの選択、DCTにおけるスキャン方法の選択など」が暗号化されないことは明らかであり、このような観点からみても、引用発明の「ピクチャ符号化拡張」を暗号化しないようにすることは、当業者の通常の創作力の範囲内で想到されることであると言える。
してみると、仮に、本願発明における「フォーマット識別部分」に「ピクチャ拡張」も含まれる旨限定されたと仮定しても、これが本審決の結論に影響するものではない。

(2)相違点2について
また、ビデオストリームの暗号化に際して、ピクチャヘッダのスタートコード以外のスタートコードについても暗号化を行わないようにすることも、その効果制御等の様々な目的で、適宜に採用されている周知慣用の設計事項である(必要があれば引用文献記載事項3-2、引用文献記載事項5-2、参考文献記載事項1-1(特に【請求項5】)、参考文献記載事項3-1(特に「ユーザーデータスタートコード16」は「スクランブル装置4」では暗号化されず、しかも「スクランブル解除装置10」においては「復元」される前に「検出」される点。)等参照。)。
また、スタートコード等の予約語を用いる記録・通信方式においては予約語の誤検出対策を採るのが普通であり、そのために予約語以外の部分において該予約語と同じビットパターンが生じないようにすることは、当業者の一常套手段にすぎないものである(必要があれば参考文献記載事項2-1、3-1(特に段落【0039】)等参照)。
してみると、引用発明における「所定のスタートコード」や「スライススタートコード」も暗号化を行わないようにするとともに、これらスタートコードと同じビットパターンを生成しないように暗号化すること、すなわち上記相違点2に係る構成を採用することも、当業者であれば必要に応じて適宜に採用し得た設計事項にすぎないものである。

(3)してみると、本願発明の構成は引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
また、本願発明の効果は、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第3.記載不備(委任省令要件)について
1.上記当審拒絶理由においては「本願の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載は下記の点で、特許法第36条第4項第1号及び第6項第1号、第2号に規定する要件を満たしていない。」との理由2も通知されており、該「下記の点」として
『(1)本願請求項1?18に係る発明の技術上の意義(請求項1?18に係る発明は如何なる課題を解決するためのものなのか? 請求項1?18に係る発明は如何なる有利な作用効果を奏するものなのか?等々)が、本願の発明の詳細な説明に記載されていない。
なお、本願の発明の詳細な説明の段落【0002】?【0003】には【背景技術】の問題点の説明があるが、ここで挙げられる問題点は同段落【0004】記載の如き周知の暗号化技術によって解決済みのものであり、この記載をもって本願請求項1?18に係る発明の技術上の意義が説明されていると認めることはできない。
また、本願の発明の詳細な説明の段落【0064】?【0071】には、本願請求項1?18に係る発明において採用される信号形式に対応づけられる信号形式が開示されていると認められるが、本願請求項1?18に記載の「ペイロード部分」に「ヘッダデータ」を設けると言う信号形式や、「フォーマット識別部分」は暗号化しないと言う信号形式、「ヘッダデータ」に対応する「識別データ」は暗号化しないと言う信号形式を採用する必要性の説明やこれによる効果等の説明は何処にも見当たらない。
したがって、本願発明の詳細な説明は、本願請求項1?18に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項第1号の経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)で定めるところによる記載がされていないもの(特許法第36条第4項第1号(委任省令要件)違反)である。』
との指摘がなされている。

2.そこで、上記平成24年10月26日付けの手続補正書(以下「本件補正」と記す。)によって、該指摘の不備が解消されたか否かについて検討するに、本件補正は、特許請求の範囲を
「 【請求項1】
少なくともフォーマット識別部分とペイロード部分とを有するビデオストリーム入力データを暗号化するデータ暗号化装置であって、
上記入力データの上記フォーマット識別部分と上記入力データの上記ペイロード部分とを区別する弁別器と、
上記弁別器の出力に基づいて、上記入力データの上記ペイロード部分の少なくとも一部を暗号化し、上記フォーマット識別部分は暗号化しないように上記入力データに選択的に暗号化を適用する暗号化器とを備え、
上記フォーマット識別部分にはピクチャヘッダデータが含まれ、
上記暗号化されるペイロード部分の少なくとも一部には、ヘッダデータ及び当該ヘッダデータに対応する識別データと、スライスヘッダデータ及び当該スライスヘッダデータに対応する識別データとが含まれ、
上記暗号化器は、上記暗号化されるヘッダデータに対応する当該識別データと、上記暗号化されるスライスヘッダデータに対応する識別データを、上記暗号化から除外し、上記ヘッダデータ及びスライスヘッダデータに対応する各識別データのうちのいずれかに対応するビットシーケンスを生成しないように前記暗号化を適用することを特徴とするデータ暗号化装置。
【請求項2】
上記フォーマット識別部分は、上記入力データに亘って繰り返し設けられていることを特徴とする請求項1記載のデータ暗号化装置。
【請求項3】
上記フォーマット識別部分は、少なくともピクチャ境界を特定することを特徴とする請求項2記載のデータ暗号化装置。
【請求項4】
上記ビデオデータは、MPEG圧縮規格に準拠することを特徴とする請求項3記載のデータ暗号化装置。
【請求項5】
上記フォーマット識別部分は、少なくともMPEGピクチャヘッダを含むことを特徴とする請求項3記載のデータ暗号化装置。
【請求項6】
上記暗号化は、上記ビデオピクチャの全てではない幾つかに適用されることを特徴とする請求項2記載のデータ暗号化装置。
【請求項7】
暗号化されるピクチャに関して、上記暗号化は、各ピクチャの全てではない一部に適用されることを特徴とする請求項2記載のデータ暗号化装置。
【請求項8】
上記ピクチャの少なくとも幾つかに関して、各ピクチャの全てではない一部に第1の暗号化が適用され、該各ピクチャの少なくとも残りの部分に第2の暗号化が適用されることを特徴とする請求項2記載のデータ暗号化装置。
【請求項9】
上記第1の暗号化方式は、可視ウォータマークの付与であり、上記第2の暗号化方式は対称又は非対称の暗号化であることを特徴とする請求項8記載のデータ暗号化装置。
【請求項10】
上記弁別器は、上記入力データの中の1つ以上の所定のデータパターンを特定することを特徴とする請求項1記載のデータ暗号化装置。
【請求項11】
上記暗号化器は、上記暗号化されたペイロードデータ内に1つ以上の上記所定のデータパターンを生成しないことを特徴とする請求項9記載のデータ暗号化装置。
【請求項12】
少なくとも暗号化されていないフォーマット識別部分と、暗号化されたペイロード部分を含むビデオストリーム入力データに復号を適用するデータ復号装置であって、
上記入力データの上記フォーマット識別部分と上記入力データの上記暗号化されたペイロード部分とを区別する弁別器と、
上記弁別器の出力に基づいて、上記入力データの上記ペイロード部分の少なくとも一部を復号し、フォーマット識別部分を復号しないように、上記入力データに復号を選択的に適用する復号器とを備え、
上記フォーマット識別部分にはピクチャヘッダデータが含まれ、
上記復号されるペイロード部分の少なくとも一部には、ヘッダデータ及び当該ヘッダデータに対応する識別データと、スライスヘッダデータ及び当該スライスヘッダデータに対応する識別データとが含まれ、
上記復号器は、上記復号されるヘッダデータに対応する当該識別データを、上記復号から除外し、
上記ペイロード部分の暗号化は、上記ヘッダデータ及びスライスヘッダデータに対応する各識別データのうちのいずれかに対応するビットシーケンスを生成しないように適用されていることを特徴とするデータ復号装置。
【請求項13】
請求項1記載のデータ暗号化装置と、
請求項12記載のデータ復号装置と
を備えるデータ暗号化/復号装置。
【請求項14】
オーディオ及び/又はビデオ捕捉又は出力装置を備えることを特徴とする請求項1記載のデータ暗号化装置。
【請求項15】
少なくともフォーマット識別部分とペイロード部分とを有するビデオストリーム入力データを暗号化するデータ暗号化方法であって、
上記入力データの上記フォーマット識別部分と上記入力データの上記ペイロード部分とを区別するステップと、
上記区別に基づいて、上記入力データの上記ペイロード部分の少なくとも一部を暗号化し、上記フォーマット識別部分は暗号化しないように上記入力データに選択的に暗号化を適用するステップとを有し、
上記フォーマット識別部分にはピクチャヘッダデータが含まれ、
上記暗号化されるペイロード部分の少なくとも一部には、ヘッダデータ及び当該ヘッダデータに対応する識別データと、スライスヘッダデータ及び当該スライスヘッダデータに対応する識別データとが含まれ、
上記暗号化されるヘッダデータに対応する当該識別データと、上記暗号化されるスライスヘッダデータに対応する識別データを、上記暗号化から除外し、
上記ヘッダデータ及びスライスヘッダデータに対応する各識別データのうちのいずれかに対応するビットシーケンスを生成しないように前記暗号化を適用することを特徴とするデータ暗号化方法。
【請求項16】
少なくとも暗号化されていないフォーマット識別部分と、暗号化されたペイロード部分を含むビデオストリーム入力データに復号を適用するデータ復号方法であって、
上記入力データの上記フォーマット識別部分と上記入力データの上記暗号化されたペイロード部分とを区別するステップと、
上記区別に基づいて、上記入力データの上記ペイロード部分の少なくとも一部を復号し、フォーマット識別部分を復号しないように、上記入力データに復号を選択的に適用するステップとを有し、
上記フォーマット識別部分にはピクチャヘッダデータが含まれ、
上記復号されるペイロード部分の少なくとも一部には、ヘッダデータ及び当該ヘッダデータに対応する識別データと、スライスヘッダデータ及び当該スライスヘッダデータに対応する識別データとが含まれ、
上記復号されるヘッダデータに対応する当該識別データと、上記暗号化されるスライスヘッダデータに対応する識別データを、上記復号から除外し、 上記ペイロード部分の暗号化は、上記ヘッダデータ及びスライスヘッダデータに対応する各識別データのうちのいずれかに対応するビットシーケンスを生成しないように適用されていることを特徴とするデータ復号方法。
【請求項17】
コンピュータに、請求項15記載のデータ暗号化方法の各ステップを実行させるプログラム。
【請求項18】
請求項17記載のプログラムを記録した記録媒体。」
と補正するものであるが、発明の詳細な説明に対する補正はなされておらず、同日付けの意見書において
『(a)理由1(1)について
本願請求項1?18に係る発明の技術上の意義は、「MPEG-2ビデオストリームにおいて、フレーム境界を確実に特定すること(明細書段落[0067])」にあります。
これにより本願発明は、標準的なMPEGデコーダが、暗号化されたビデオストリームを確実に扱うこと、及び、暗号化されたビデオストリームからスクランブル画像を選択的に生成することを可能とするという有利な作用効果を有します(同段落[0007]?[0009])。

すなわち、まず本発明の前提として、本発明者等は、ビデオデータの全体ではなく、一部を暗号化して、デコーダにおいてその一部のみを復号させること、または、ビデオデータ全体のうち暗号化された一部のデータを個別に(異なるユーザに)配信することが望まれる場合がある点に着目しています。
このような一部のみの暗号化及び復号を実現する場合、ビデオデータの全体が暗号化されている場合とは異なり、デコーダは、暗号化された一部の実体データ(すなわち一部のペイロードデータ)が、ビデオデータのうちどのフレームから開始されるか(すなわちフレーム境界)を識別する必要があります。
そのため、「ペイロード部分」であっても、それが複数の部分に分割される場合には、その部分を識別するための「ヘッダデータ」(及び「スライスヘッダデータ」)が設けられます。しかし、当該「ヘッダデータ」及び「スライスヘッダデータ」に対応する各識別データは、それらが暗号化されると上記フレーム境界の特定が不可能になるため、暗号化から除外されます。

なお、「フォーマット識別部分」とは、本願発明において、「ペイロード部分」以外のデータ部分であって、ビデオストリームのフォーマットを識別するための部分、すなわち、フォーマットの識別を可能にするために、暗号化が適用されない部分を指す用語です(段落[0068]ご参照)。

以上より、本願請求項1?18に係る発明の技術上の意義(課題及び作用効果)は、明細書の発明の詳細な説明から、その実施をすることができる程度に明確であり、委任省令要件を満たしているものと思料します。』
との主張がなされている。

3.しかしながら、単にフレーム境界を確実に特定するためであれば、「ピクチャヘッダデータが含まれ」る「フォーマット識別部分」を暗号化しないことで達成できるはずであり、「ペイロード部分」の「ヘッダデータ」や「スライスヘッダ」の「識別データ」を暗号化しないと言う信号形式を採用する必要性の説明やこれによる効果等の説明は、依然として、明細書の何処にも見当たらず、意見書による釈明もなされていない。
したがって、本願発明の詳細な説明は、依然として、本願請求項1?18に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項第1号の経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)で定めるところによる記載がされていないもの(特許法第36条第4項第1号(委任省令要件)違反)である。


第4.むすび
上記第2.のとおり、本願請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
上記第3.のとおり、本願の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないものである。
したがって、本願は特許すべきものではない。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-08 
結審通知日 2012-11-13 
審決日 2012-11-27 
出願番号 特願2004-226122(P2004-226122)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04L)
P 1 8・ 537- WZ (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 速水 雄太深沢 正志  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 酒井 伸芳
田中 秀人
発明の名称 デジタルビデオストリームのためのアクセス制御  
代理人 折居 章  
代理人 大森 純一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ