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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1273643
審判番号 不服2011-14461  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-05 
確定日 2013-05-09 
事件の表示 特願2001- 93910「アカウント・取得情報管理システム、アカウント・取得情報管理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月 4日出願公開、特開2002-288128〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成13年3月28日の出願であって,
平成19年11月2日付けで審査請求がなされ,平成22年10月27日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成22年12月27日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成23年3月23日付けで審査官により拒絶査定がなされ,これに対して平成23年7月5日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成23年8月5日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされ,平成23年12月28日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋がなされ,平成24年3月8日付けで回答書の提出があったものである。

第2.本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成23年7月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次とおりのものであると認める。

「ユーザが情報端末によりネットワークを介して各サービスサイトでの情報を取得する場合に用いられるアカウント・取得情報管理システムであって,
各サービスサイトへのアカウント情報を前記情報端末から受け付け,当該アカウント情報をユーザ毎にデータベースに登録する管理手段と,
サービスサイト毎に予め様々な項目を前記データベースに登録しておき,前記データベースから前記アカウント情報を読み出し,当該アカウント情報を用いて各サービスサイトへアクセスし,前記項目についての情報を各サービスサイトから取得する取得手段と,
取得された前記情報を前記情報端末に表示させる表示手段と,
を有することを特徴とするアカウント・取得情報管理システム。」

第3.引用刊行物に記載の発明
原審が拒絶理由に引用した,本願の出願前に既に公知である,特開2000-259566号公報(平成12年9月22日公開,以下,これを「引用刊行物1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A.「【請求項1】起動時にパスワードの入力要求を行うアプリケーションを有する端末装置を備えたパスワード管理システムにおいて,
利用者を識別するためのユーザ情報列とパスワード情報列とを対にして記憶する認証データベースと,
前記ユーザ情報列に対し,複数のアプリケーション情報列を組にして記憶するパスワード管理データベースと,
利用者により入力された前記ユーザ情報列を検索キーとして前記認証データベースから前記検索キーに対応する前記パスワード情報列を読み出し,読み出された前記パスワード情報列と前記利用者により入力されたパスワード情報列とを比較する本人性確認手段と,
前記本人性確認手段により,本人性が確認された場合には,前記アプリケーションの起動時に,前記利用者により入力された前記ユーザ情報列と前記アプリケーション情報列とを検索キーとして前記パスワード管理データベースから前記検索キーに対応する前記アプリケーションのパスワード情報列を読み出し,前記パスワードの入力要求に応答する自動ログイン手段とを具備することを特徴とするパスワード管理システム。」

B.「【0009】
【発明の実施の形態】[1.構成]
[1-1.全体構成]図1に本発明の実施形態であるパスワード管理システムの機能構成を示す。同図によると,パスワード管理システムは,利用者が,各種システムを利用するためのインターフェースとなる端末10と,パスワード管理システムを一元管理するために必要となる情報を管理しているサーバ30を備える。
【0010】[1-2.サーバ30の構成]以下に,パスワード管理システムを構成するサーバ30の各構成要素を説明する。まず,サーバ30は,パスワードを一元管理するための情報をユーザID単位に管理しているデータベースであるパスワード管理DB21,パスワード管理DB21で管理するユーザIDのパスワードを管理しているデータベースである認証DB22,パスワード管理DB21で管理しているパスワードのうち定期的に更新が必要なパスワードを自動的に更新するパスワード自動更新手段31,およびパスワード管理DB21に対するアクセス状況や不正アクセスの記録等を管理する監査手段32を有する。」

C.「【0015】パスワード管理DB21のファイル構成を具体的に説明すると,例えば,図3に示すように,認証ユーザIDが”11111”である利用者は,Aシステム,BシステムおよびCシステムの三つの業務システムが利用可能となる。そして,それぞれの業務システムに対して設定されるユーザIDおよびパスワードは,パスワード管理システムにより自動的に登録され,さらに当該業務システムの起動時には,パスワード管理システムにより,自動的に代行入力されるので,利用者は,業務システムへのパスワード等の登録や業務システム使用時のパスワード等の入力要求に対して直接関与する必要がなく,ユーザIDおよびパスワードを覚える必要もない。」

D.「【0021】[1-3.端末10の構成]以下に,パスワード管理システムを構成する端末10の各構成要素を説明する。まず,端末10には,ネットワーク上のサーバ30に接続して利用する場合のクライアント型の端末10と,ネットワークには接続せず,単体の端末(スタンドアローン)として利用するローカル型の端末10とがあり,それぞれの端末10で構成は異なる。」

E.「【0035】そして,パスワード入力画面40のユーザID入力欄41に代行入力されたユーザIDをキーにして,各種システム認証DB15を検索する。検索された各種システム認証DB15のシステムパスワードに格納されているパスワードと,パスワード入力画面40のPassword入力欄42に代行入力されたパスワードとを比較して,利用者本人であることを確認する(ステップ16)。ステップ16により,利用者本人であることが確認されれば,選択した業務システムが,利用可能となる。」

1.引用刊行物1には,上記Aに引用したとおりの「パスワード管理システム」が記載されている。

2.上記A,及び,上記Bに引用の記載から,上記Aに記載の「パスワード管理システム」は,「利用者」が使用する「端末」と,「パスワード管理DB」と「認証DB」とを有する「サーバ」を有していることが読み取れ,また,上記Aに記載の「アプリケーション」は,上記Bに記載の「業務システム」を指すものであることが読み取れる。

3.上記Cの「それぞれの業務システムに対して設定されるユーザIDおよびパスワードは,パスワード管理システムにより自動的に登録され,さらに当該業務システムの起動時には,パスワード管理システムにより,自動的に代行入力される」という記載から,上記Cに記載された「ユーザID」と「パスワード」は,上記Aに記載の「パスワード管理システム」が管理する「ユーザID」,及び,「パスワード」であることが読み取れ,
また,上記で引用の上記Cの記載から,前記「パスワード管理システム」における「サーバ」が有する「パスワード管理DB」が管理する前記「ユーザID」,及び,「パスワード」は,前記「パスワード管理システム」によって自動的に登録されることが読み取れ,このことから,前記「パスワード管理システム」は,前記「ユーザID」,及び,「パスワード」を,「パスワード管理DB」に登録するための“登録手段”を有することが読み取れる。

4.上記Dの「端末10には,ネットワーク上のサーバ30に接続して利用する場合のクライアント型の端末10」という記載から,引用刊行物1に記載の「パスワード管理システム」が有する「サーバ」と「端末」とは,「ネットワーク」を介して接続されていることが読み取れる。

5.上記Eの「システムパスワードに格納されているパスワードと,パスワード入力画面40のPassword入力欄42に代行入力されたパスワードとを比較して,利用者本人であることを確認する(ステップ16)。ステップ16により,利用者本人であることが確認されれば,選択した業務システムが,利用可能となる」という記載から,引用刊行物1に記載の「パスワード管理システム」が,
“代行入力されたパスワードによって,利用者本人であることが確認されれば,選択した業務システムが利用可能になる”ものであることが読み取れる。

以上1.?5.で検討した事項から,引用刊行物1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。

ネットワークを介して接続された端末とサーバにおいて,業務システムの起動時に入力するユーザIDとパスワードとを管理するパスワード管理システムにおいて,
利用者を識別するためのユーザIDとパスワードとを対にして記憶する認証データベースと,
前記ユーザIDに対し,それぞれの業務システムに対して設定されるパスワードは,パスワード管理データベースに自動的に登録するパスワード管理システムの登録手段と,
端末を介して,利用者により入力された前記ユーザIDを検索キーとして前記認証データベースから前記検索キーに対応する前記パスワードを読み出し,読み出された前記パスワードと前記利用者により入力されたパスワードとを比較する本人性確認手段と,
前記本人性確認手段により,本人性が確認された場合には,前記業務システムの起動時に,前記利用者により入力された前記ユーザIDと前記業務システム情報列とを検索キーとして前記パスワード管理データベースから前記検索キーに対応する前記業務システムのパスワードを読み出し,前記パスワードの入力要求に応答する自動ログイン手段とを具備するサーバを有し,前記パスワードの入力要求に応答して,代行入力されたパスワードによって,利用者本人であることが確認されれば,利用者が選択した業務システムが利用可能となる,パスワード管理システム。

第4.本願発明と引用発明との対比
1.引用発明における「業務システム」は,「ユーザ」に対して,何らかの“作業”を提供するものであるから,一種の“サービス”を提供する“システム”であると言え,
引用発明において,「パスワード管理システム」において管理される,「ユーザIDとパスワード」は,“アカウント情報”であるから,
引用発明における「ネットワークを介して接続された端末とサーバにおいて,業務システムの起動時に入力するユーザIDとパスワードとを管理するパスワード管理システムにおいて」と,
本願発明における「ユーザが情報端末によりネットワークを介して各サービスサイトでの情報を取得する場合に用いられるアカウント・取得情報管理システムであって」とは,
“ユーザがネットワークを介してサービス・システムに用いるアカウント管理システム”である点で共通する。

2.引用発明における「ユーザIDに対し,それぞれの業務システムに対して設定されるパスワードは,パスワード管理データベースに自動的に登録するパスワード管理システムの登録手段」と,
本願発明における「各サービスサイトへのアカウント情報を前記情報端末から受け付け,当該アカウント情報をユーザ毎にデータベースに登録する管理手段」とは,
“サービス・システムへのアカウント情報をユーザ毎にデータベースに登録する手段”である点で共通する。

3.引用発明における“業務システムの起動時に,入力されたユーザIDと業務システム情報列とを検索キーとしてパスワード管理データベースから検索キーに対応する業務システムのパスワードを読み出し,前記パスワードの入力要求に応答する自動ログイン手段とを具備するサーバ”は,
利用者が選択した業務システムに対して,該利用者のIDに対応する,前記業務システムへのパスワードを用いて自動でログインするサーバであるから,
本願発明における「前記データベースから前記アカウント情報を読み出し,当該アカウント情報を用いて各サービスサイトへアクセスし,前記項目についての情報を各サービスサイトから取得する取得手段」と,
“データベースからアカウント情報を読み出し,当該アカウント情報を用いてサービス・システムにアクセスする手段”である点で共通する。

以上,1.?3.で検討した事項から,本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
ユーザがネットワークを介してサービス・システムに用いるアカウント管理システムであって,
サービス・システムへのアカウント情報をユーザ毎にデータベースに登録する手段と,
データベースからアカウント情報を読み出し,当該アカウント情報を用いてサービス・システムにアクセスする手段とを有することを特徴とするアカウント管理システム。

[相違点1]
“ユーザがネットワークを介してサービス・システムに用いるアカウント管理システム”に関して,
本願発明においては,
「ユーザが情報端末によりネットワークを介して各サービスサイトでの情報を取得する場合に用いられるアカウント」と,「取得」した「情報」を管理する「アカウント・取得情報管理システム」であるのに対して,
引用発明における「パスワード管理システム」は,「アカウント」の管理は行っているが,「取得情報」の管理は行っていない点。

[相違点2]
“サービス・システムへのアカウント情報をユーザ毎にデータベースに登録する手段”に関して,
本願発明においては,「アカウント」は,
「各サービスサイトへのアカウント情報を情報端末から受け付け,当該アカウント情報をユーザ毎にデータベースに登録」されるものであるのに対して,
引用発明においては,
「ユーザIDに対し,それぞれの業務システムに対して設定されるパスワードは,パスワード管理データベースに自動的に登録するパスワード管理システムの登録手段」であって,「アカウント情報」は,「自動的に登録」されるものであって,「ユーザ」の「情報端末から受け付け」て,「データベースに登録」するものではない点。

[相違点3]
“データベースからアカウント情報を読み出し,当該アカウント情報を用いてサービス・システムにアクセスする手段”に関して,
本願発明においては,
「サービスサイト毎に予め様々な項目を前記データベースに登録しておき,前記データベースから前記アカウント情報を読み出し,当該アカウント情報を用いて各サービスサイトへアクセスし,前記項目についての情報を各サービスサイトから取得する取得手段」であるのに対して,
引用発明においては,「業務システム」を利用可能にするものではあるが,前記「業務システム」から「情報」を取得する点については言及されていない点。

[相違点4]
本願発明においては,
「取得された前記情報を前記情報端末に表示させる表示手段」を有するものであるのに対して,
引用発明においては,“取得された情報を表示する表示手段”については言及されていない点。

第5.相違点についての当審の判断
1.[相違点1],及び,[相違点3]について
“サービスサイト毎に予め様々な項目をデータベースに登録しておき,前記データベースからアカウント情報を読み出し,当該アカウント情報を用いて各サービスサイトへアクセスし,前記項目についての情報を各サービスサイトから取得する”点については,
原審が,平成22年10月27日付けの拒絶理由で引用した,本願の出願前に既に公知である,特開平11-338796号公報(平成11年12月10日公開,以下,これを「引用刊行物2」という)に,

F.「【0011】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するために,本発明の情報配信システムは,少なくとも1つ以上の情報配信サーバと,この情報配信サーバにネットワークを通じてアクセスすることが可能な中継サーバと,この中継サーバにネットワークを介して接続された少なくとも1つ以上のクライアントを有し,前記クライアントからの情報配信の要求を前記中継サーバが受け取ると,前記中継サーバは,以後定期的に該情報を配信している前記情報配信サーバに情報配信の要求を出し,それによって受け取った該情報を前記中継サーバの一時格納領域に格納したのちに,前記中継サーバが要求元の前記クライアントに配信し,同じ情報が別のクライアントからの要求された場合には,定期的に情報配信の要求を出すことで最新の状態に保たれている中継サーバの前記一時格納領域に格納されている情報を配信することを特徴とするものである。」

G.「【0019】ここで,情報管理テーブル22は,中継サーバ2において,定期的に取得する情報を管理するためのテーブルである。情報管理テーブル22は,例えば,図2に示すように,情報に関するいくつかの属性が表のように記述されたファイルとして実現されてもよい。図2の例では,情報を一意に示す情報名221と,情報を更新する間隔である更新間隔222と,最初に要求してからの時間を表す要求時間223と,要求して得た情報が更新されていたときの回数を示す更新回数224とが,属性として記述されている。この実施の形態では,情報名から情報要求手段を識別できるので,情報要求手段を識別するための属性は情報管理テーブル22に記述されていないが,このような属性を加えてもよい。」

と記載されてもいるように,
“ネットワークで接続されたクライアントと,中継サーバと,情報配信サーバにおいて,クライアントからの情報配信要求に対して,要求された情報に関する属性を中継サーバで保持し,該属性に関する情報を情報配信サーバから,定期的に取得して,該情報を要求するクライアントに配信する”ことは,本願の出願前に当業者には公知の技術事項であり,引用刊行物2に記載の発明においては,「中継サーバ」が,「情報配信サーバ」にアクセスする際に,情報を要求する「クライアント」の「IDとパスワード」を用いる点については言及されていないが,「情報配信サーバ」へのアクセスに「IDとパスワード」が必要な構成であり,且つ,「クライアント」毎に,情報配信を,「情報配信サーバ」と契約するような構成においては,当然,「クライアント」毎の,「IDとパスワード」が必要ことは,明らかであって,引用刊行物2に記載の発明における「情報配信サーバ」は,「ネットワーク」に接続された「クライアント」に,“情報配信”という“業務”を提供するもとであると言え,引用刊行物2に記載の発明における「クライアント」は,引用発明における「端末」に相当するので,引用発明における「業務システム」として,引用刊行物2に記載の発明における「情報配信サーバ」を採用し,「端末」からの要求に応じて,定期的に情報を配信するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,相違点1,及び,相違点3は,格別のものではない。

2.[相違点2]について
「各サービスサイトへのアカウント情報を情報端末から受け付け,当該アカウント情報をユーザ毎にデータベースに登録」する点に関しては,
原審が,平成23年3月23日付けの拒絶査定における備考において,周知であることを示すために提示した,本願の出願前に当業者に既に公知である,「ノベルがインターネット上のID管理サービスdigitalmeを開始”,INTEROP MAGAZINE,ソフトバンクパブリッシング株式会社,1999年12月1日,第9巻,第10号,p.194」(以下,これを「周知文献」という)に,

H.「アイデンティティ管理サービス
digitalmeは,ノベルが今年の春にコンセプトを明らかにしたもので,一般の人向けのアイデンティティ管理サービス。誰もがインターネット上ではログイン名やパスワード,クレジットカード番号や電子メールアドレスなどを使い分けている。結果的には多数の「顔」を持っているわけだが,digitalmeはこれをネット上に安全に保管するのが目的。
digitalmeのべースとなっているのは,インターネット上に設置される巨大なディレクトリデータベース。ユーザーは,自分で情報を入力し,管理することができる。
格納された情報を活用してWebサーフィンを便利にするために,いくつかの具体的な機能が提供されている。
1つは自動フォーム入力。メンバー制サービスの登録や,オンラインショッピングでは頻繁に住所や電話番号などの個人情報の入力を求められる。こうした情報をいったんdigitalmeに登録しておくと,基本的な情報については半自動的に入力されるようになる(ただし,まだ日本語には対応していない)。
また,シングルサインオンの機能もある。いったんメンバー制のWebサイトへのログインをdigitalmeに「録画」させれば,その後はdigitalmeにログインするだけで,各サイトにID,パスワードの入力なしにログインできる。ディレクトリデータベースの中に,各ユーザーに付帯する情報として,各Webで利用されるログイン名やパスワードを格納しておき,ログイン画面で自動的に適用するからだ。
現在,メンバー制のWebでは認証の面倒を減らすため,cookieによって個人の識別を行っている。しかし,cookieでは識別情報が特定のPC上に保存されるため,別のPCからは利用できない。digitalme では,識別情報がネット上に格納されているため,ユーザーが利用するPCはインターネット接続されていさえすれば他人からの借り物であってもかまわない。」(194頁左欄11行?中欄17行)

と記載されており,上記Hで引用した記載にもあるように,“ユーザが,住所や電話番号などの個人情報を,ディレクトリデータベースに,自分で入力し,管理すること”は,本願の出願前に当業者には既に周知の技術事項であり,前記「個人情報」に,「ユーザIDとパスワード」が含まれることも,当業者には周知の技術事項であって,周知文献に記載の技術は,「ディレクトリデータベースの中に,各ユーザーに付帯する情報として,各Webで利用されるログイン名やパスワードを格納しておき,ログイン画面で自動的に適用する」ものであるから,ネットワークに接続されたサーバ等にアクセスするための「IDとパスワード」を自動的に入力する技術である点で引用発明と同一の技術分野に属するものである。
よって,引用発明において,「パスワード管理データベース」に,「ユーザIDとパスワード」を自動的に登録することに換えて,ユーザからの入力によって,前記「ユーザIDとパスワード」を登録するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,相違点2は,格別のものではない。

3.[相違点4]について
ユーザの「端末」に配信された情報を表示することは,当業者には周知の技術事項である(必要であれば,例えば,特開2000-357141号公報(平成12年12月26日公開)の段落【0030】,【0031】等を参照のこと)。
よって,相違点4は,格別のものではない。

上記で検討したごとく,相違点1?4はいずれも格別のものではなく,そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。

第6.むすび
したがって,本願発明は,引用発明,及び,引用刊行物2に記載の発明,並びに,周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-18 
結審通知日 2013-02-19 
審決日 2013-03-26 
出願番号 特願2001-93910(P2001-93910)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 桑原 雅子漆原 孝治  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 田中 秀人
石井 茂和
発明の名称 アカウント・取得情報管理システム、アカウント・取得情報管理プログラム  
代理人 三好 秀和  
代理人 三好 秀和  
代理人 三好 秀和  

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