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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C07D
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C07D
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する C07D
審判 訂正 原文新規事項追加の訂正 訂正する C07D
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する C07D
管理番号 1274141
審判番号 訂正2013-390036  
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-02-22 
確定日 2013-05-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5154406号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5154406号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
この訂正審判の請求(以下「本件請求」という。)は、平成25年 2月22日付けで特許第5154406号(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2005年 4月13日 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国(GB)及びアメリカ合衆国(US))を国際出願日とする国際出願、平成24年12月14日設定登録、以下「本件特許」という。)の訂正を求めるもので、平成25年3月25日に手続補正書が提出されたものである。
なお、本件特許の出願(特願2008-505967号)は、特許法第184条の4第1項の「外国語特許出願」である国際出願PCT/GB2006/001382(国際公開第2006/109085号参照。)が、同法第184条の3第1項の規定により特許出願とみなされたものである(上記国際出願を、「本件外国語特許出願」という。)。

第2 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲の通り一群の請求項ごとに訂正することを求める、というものである。
請求人が求めている訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。

訂正事項1
請求項1、10、13、16?21、28、31及び32を削除する。

訂正事項2
請求項2の「nが、0、1、2または3であり;」との記載を、
「式(IV)で示される化合物、またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN-オキシド;
【化1】


[式中、二環式基:
【化2】


は、構造C1、C5およびC6:
【化3】


から選択され、nは、0、1、2または3であり;」
と訂正するとともに、請求項2の「である、請求項1の化合物、またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN-オキシド。」との記載を、「である。]」と訂正する。

訂正事項3
請求項3の「式(IV)を有する、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN-オキシド:」との記載を、「式(IV)を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN-オキシド:」と訂正する。

訂正事項4
請求項4の「請求項1?3のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2または3に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項5
請求項5の「請求項1?4のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?4のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項6
請求項8の「請求項1?7のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?7のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項7
請求項9の「請求項1?8のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?8のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項8
請求項11の「請求項10に記載の化合物」との記載を、「請求項2?9のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項9
請求項12の「請求項1?9のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?9のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項10
請求項14の「請求項1?11のいずれか一項で定義されている」との記載を、「請求項2?9および11のいずれか一項で定義されている」と訂正する。

訂正事項11
請求項22の
「 (5-クロロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(2,3-ジヒドロ-インドール-1-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(5-エチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-メタノン;
(5-シクロプロピル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(5-sec-ブチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-メタノン;
(5-クロロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
[5-(3-アミノ-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-メタノン;」
との記載を
「 (1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(5-エチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-メタノン;
(5-シクロプロピル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(5-sec-ブチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-メタノン;
(5-クロロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
[5-(3-アミノ-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-メタノン;」
と訂正する。

訂正事項12
請求項22の「である、請求項1に記載の化合物」との記載を、「である、化合物」と訂正する。

訂正事項13
請求項24の「請求項1?23のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?9、11、12、14、15、22および23のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項14
請求項25の「請求項1?23のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?9、11、12、14、15、22および23のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項15
請求項26の「請求項1?25のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項16
請求項27の「請求項1?25のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項17
請求項30の「白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫及びB細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病および多発性骨髄腫から」との記載を、「白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫及びB細胞リンパ腫から」と訂正する。

訂正事項18
請求項33の「請求項26?28のいずれか一項に定義されている疾病」との記載を、「請求項26または27に定義されている疾病」と訂正するとともに、「請求項1?25のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項19
請求項34の「請求項1?25のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物」と訂正する。

訂正事項20
請求項35の「請求項1?25のいずれか一項に記載の化合物」との記載を、「請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物」と訂正するとともに、「請求項1?25のいずれか一項で定義されている」との記載を、「請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項で定義されている」と訂正する。

第3 当審の判断
1 一群の請求項ごとに訂正を請求することについて
本件請求は、二以上の請求項が記載された特許請求の範囲の訂正を請求するものであるので、本件請求が、特許法第126条第3項に規定する要件を満たすものであるかを検討する。
訂正後の請求項4、5、8、9、11、12、24?27、33?35は、訂正事項2に係る訂正後の請求項2の記載を引用して記載されているから、請求項2と請求項4、5、8、9、11、12、24?27、33?35の間の関係は、特許法施行規則第46条の2第2号に掲げる関係に該当する。
訂正後の請求項6は、訂正後の請求項2の記載を引用して記載された訂正後の請求項5を引用して記載され、それをさらに訂正後の請求項7が引用して記載している。請求項29及び30は、訂正後の請求項27を引用して記載されている。したがって、請求項2と請求項5?7、請求項2と請求項14及び15、請求項2と請求項27及び29、請求項2と請求項27及び30の間の関係は、それぞれ、特許法施行規則第46条の2第1項第1号に掲げる関係に該当する。
訂正後の請求項4、5、8、9、11、12、24?27、33?35は、訂正事項3に係る訂正後の請求項3の記載を引用して記載されているから、請求項3と、請求項4、5、8、9、11、12、24?27、33?35の間の関係は、特許法施行規則第46条の2第2号に掲げる関係に該当する。
訂正後の請求項6は、訂正後の請求項3の記載を引用して記載された訂正後の請求項5を引用して記載され、それをさらに訂正後の請求項7が引用して記載している。請求項29及び30は、訂正後の請求項27を引用して記載されている。したがって、請求項3と請求項5?7、請求項3と請求項14及び15、請求項3と請求項27及び29、請求項3と請求項27及び30の間の関係は、特許法施行規則第46条の2第1項第1号に掲げる関係に該当する。
訂正後の請求項14は、訂正後の請求項2?9、11と訂正後の請求項3の記載を引用して記載されているから、請求項2?9、11、14の関係は、特許法施行規則第46条の2第1項第3号に掲げる関係に該当する。
訂正後の請求項15は、請求項14の記載を引用して記載されているから、請求項14と請求項15の関係は、特許法第126条第3項の1の請求項の記載を他の請求項が引用する関係に該当する。
訂正後の請求項23?27、33?35は、訂正事項11に係る訂正後の請求項22の記載を引用して記載されているから、請求項22と請求項23?27、33?35の間の関係は、特許法施行規則第46条の2第2号に掲げる関係に該当する。
訂正後の請求項29及び30は、訂正後の請求項22の記載を引用して記載された訂正後の請求項27を引用して記載されているから、請求項22と請求項27及び請求項29、請求項22と請求項27及び30の間の関係は、特許法施行規則第46条の2第1項第1号に掲げる関係に該当する。
そして、訂正後の請求項14、24?27、29、30、33?35は、いずれも訂正後の請求項2?9、11を引用する請求項である。そうすると、訂正後の請求項2?9、11、12、14、15、22?27、29、30、33?35は、請求項2?9、11、12、14、15、22及び23を介して、一体として特許請求の範囲の一部を形成するように連関しているといえる。そうすると、訂正後の請求項2?9、11、12、14?15、22?27、29、30、33?35の関係は、特許法施行規則第46条の2第1項第4号に掲げる関係に該当するから、これら請求項は、特許法第126条第3号に規定する一群の請求項であることになる。
なお、訂正事項1?20は、請求項6、7、15、29、30の記載を変更するものではないが、以下のとおり、本件請求は、実質的にみて、請求項6、7、15、29、30についての訂正を含むものであるといえる。すなわち、請求項6及び7は、請求項6が引用する請求項5が引用する請求項2?4についての訂正事項2?4により、実質的に訂正されるものである。また、請求項15は、請求項15が引用する請求項14についての訂正事項10及び請求項14が引用する請求項2?9及び11についての訂正事項2?8により実質的に訂正されるものである。さらに、請求項29及び30は、請求項29及び30が引用する請求項27についての訂正事項16、請求項27が引用する請求項2?9、11、12、14、15、22?25についての訂正事項2?14により、実質的に訂正されるものである。
本件請求は、上記の一群の請求項がある特許請求の範囲について、当該一群の請求項ごとに訂正を請求するものであるから、特許法第126条第3項に適合するものである。

2 目的要件、新規事項の追加について
上記第1で述べたとおり、本件特許の出願は、本件外国語特許出願が、同法第184条の3第1項の規定により特許出願とみなされたものであるので、本件審判については、特許法第184条の19の規定により、同法第126条第5項中「外国語書面出願」及び「外国語書面」とあるのは、それぞれ「第184条の4第1項の外国語特許出願」及び「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」となるから、本件審判についての特許法第126条第5項の適用に際しての「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲・・(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面)」は、「国際出願日における本件外国語特許出願の明細書及び請求の範囲」(以下「基準明細書等」という。)となる。

(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1、10、13、16?21、28、31及び32を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、また、基準明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

(2)訂正事項2?10、12?20について
訂正事項2は、訂正事項1により請求項1が削除されたのに伴い、その請求項1を引用していた請求項2の記載を、他の請求項を引用しない形式に書き換えたものであるので、明瞭でない記載の釈明に該当するから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、また、基準明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
訂正事項3?10、12?20も、同様に、訂正事項1で削除された請求項を引用していた請求項について、記載を改めるものであるので、明瞭でない記載の釈明に該当するから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、また、基準明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

(3)訂正事項11について
訂正事項11は、請求項22に記載された化合物名のうち、1番目、2番目及び12番目に記載された化合物名を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、基準明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

以上のとおり、訂正事項1?20は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、また、基準明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項及び同法同条第5項に適合するものである。

3 特許請求の範囲の実質的な変更又は拡張について
訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の変更又は拡張はないから、本件訂正は、特許法第126条第6項に適合するものである。

4 訂正後の発明の独立特許要件について
本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とする訂正を含むものであるので、訂正後の特許請求の範囲に記載された発明が同条第7項に適合するものであるかを検討する。
本件特許に係る出願は、拒絶理由を発見しないとして特許査定されたものであるし、訂正後の特許請求の範囲に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする新たな理由も見当たらない。
してみると、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項、同条第3項、同条第5ないし7項に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
医薬化合物
【発明の分野】
【0001】
本発明は、熱ショックタンパク質Hsp90の活性を阻害または調整する化合物、Hsp90が介在する病態または症状の治療または予防における該化合物の使用、およびHsp90阻害または調整活性を有する新規な化合物に関する。また、この化合物を含有する医薬組成物および新規な化学中間体も提供される。
【発明の背景】
【0002】
全ての細胞は、熱、毒素、放射線、感染、炎症、および酸化剤をはじめとする細胞ストレスに応答して、一般的な一連の熱ショックタンパク質(Hsp)を産生する(Macario & de Macario 2000)。ほとんどの熱ショックタンパク質は分子シャペロンとして働く。シャペロンは折りたたみの途中段階でタンパク質と結合して安定化し、タンパク質をそれらの機能する状態へと折りたたませる。Hsp90は通常条件下で最も豊富な細胞質Hspである。Hsp90には、主要な形態のHsp90αと副次的な形態のHsp90βの2つのヒトイソ型がある。Hsp90は折りたたみ後期のタンパク質と結合し、そのタンパク質基質の大部分がシグナル変換に関わっているという点で他のHspと区別される。Hsp90は、細菌のジャイレース、トポイソメラーゼおよびヒスチジンキナーゼに特徴的なBergeratフォールドをはじめ、独特なATP結合部位を持っている。Hsp90のN末端ポケットに結合しているATPが加水分解されることが示されている。このATPアーゼ活性によって、クライアントタンパク質においてコンフォメーション変化を可能とするのに必要なHsp90のコンフォメーション変化が起こる。
【0003】
ATPアーゼ活性を調節し得る二量体化ドメインおよび第二のATP結合部位がHsp90のc末端付近に見られる。HSP90の二量体はATPの加水分解に重要であるようである。さらに、Hsp90の活性化は他の種々のシャペロンタンパク質との相互作用を介して調節され、Hsp70、Hip、Hop、p23、およびp50cdc37をはじめとする他のシャペロンとの複合体として単離することができる。また、他の多くのコシャペロンタンパク質もHSP90と結合することが証明されている。アミノ末端ポケットに結合するATPは、Hsp90をマルチシャペロン複合体と会合するように変化させるという簡単なモデルが登場している。まず、クライアントタンパク質ははHsp70/Hsp40複合体に結合する。次に、この複合体はHopを介してHsp90と会合する。ADPがATPに置換されると、Hsp90のコンフォメーションは変化し、HopとHsp70が遊離し、p50cdc37およびp23を含む異なるコシャペロンセットが補充される。ATPの加水分解により、この成熟型複合体からこれらのコシャペロンとクライアントタンパク質が遊離する。アンサマイシン系抗生物質ヘルビマイシン、ゲルダンマイシン(GA)および17-アリルアミノ-17-デスメトキシゲルダンマイシン(17-AAG)は、ATPの結合を阻害し、成熟型複合体への変換を妨げるATP結合部位阻害剤である(Grenert et.al,1997.J Biol Chem.,272:23834-23850)。
【0004】
Hsp90は偏在発現するが、GAは正常細胞系統よりも腫瘍由来のHsp90に高い結合親和性を有する(Kamal et.al,Nature 2003;425:407-410)。GAはまた、腫瘍細胞でより強力な細胞傷害活性を示し、異種移殖片マウスモデルの腫瘍内に高い濃度で隔離されている(Brazidec J.Med.Chem.2004,47,3865-3873)。さらに、癌細胞ではHsp90のATPアーゼ活性が上昇し、これらの細胞でストレスレベルが高くなっていることを示唆する。また、癌の後期にはHsp90遺伝子の増幅が見られることも報告されている(Jolly and Morimoto JNCI Vol.92,No.19,1564-1572,2000)。
【0005】
癌の表現型に関連する遺伝的不安定性の上昇は、非天然型または変異型タンパク質の産生を上昇させる。このユビキチン経路は、これらのタンパク質をプロテアソーム分解にターゲッティングすることにより、非天然型またはミスフォールドタンパク質から細胞を保護する働きをする。変異型タンパク質は天然ではないという性質によるものであることから、構造不安定性およびシャペロン系の必要度の高まりを示す可能性がある(Giannini et al.,Mol Cell Biol.2004;24(13):5667-76)。
【0006】
Hsp90は、正常細胞では「潜伏性の」複合体であるのに対し、腫瘍細胞では主として「活性化された」マルチシャペロン複合体内で見られるという証拠がいくつかある。マルチシャペロン複合体の成分の1つはcdc37コシャペロンである。Cdc37はHsp90のATP結合部位の塩基と結合し、「活性化」状態のHsp90に結合している阻害剤のオフ率に影響を及ぼし得る(Roe et.al.,Cell 116,(2004),pp.87-98)。このシャペロン複合体のHsp90-Hsp70に結合しているクライアントタンパク質は、ユビキチン化とプロテアソームの分解への標的化に感受性がより高いと考えられている。E3ユビキチンリガーゼはシャペロン相互作用モチーフを有することが確認されており、これらの1つ(CHIP)は、Hsp90クライアントタンパク質のユビキチン化と分解を促進することが示されている(Connell et al.,2001.Xu et al.,2002)。
【0007】
Hsp90クライアントタンパク質
現在報告されているHsp90クライアントタンパク質の数は100を超える。そのクライアントタンパク質の多くは、細胞のシグナル伝達増殖および生存に関わっていることから、Hsp90は腫瘍学の標的として大きな注目を受けている。特に、細胞シグナル伝達プロテインキナーゼと転写因子の2つのクライアントタンパク質群が、Hsp90の調節が抗癌療法として有益である可能性があることを示唆する。細胞の増殖および生存に関連しているHsp90プロテインキナーゼクライアントタンパク質としては、以下のものがある。
【0008】
c-Src
細胞Src(c-Src)は、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、コロニー刺激因子-1(CSF-1R)、および塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGFR)の受容体を含む、複数の増殖因子受容体により開始される有糸分裂に必要な受容体チロシンキナーゼである。また、C-Srcは、EGFRおよびErbB2を過剰発現する同じヒト癌腫の多くで過剰発現し、活性化されている。Srcはまた、破骨細胞機能の調節によって正常な骨の恒常性を維持するのにも必要である。
【0009】
p185erbB2
ErbB2(Her2/neu)は、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、および胃癌をはじめとする様々な悪性腫瘍で過剰発現される受容体チロシンキナーゼである。ErbB2は元々癌遺伝子として同定され、Hsp90を阻害すると、erbB2のポリユビキチン化と分解が起こる。
【0010】
Polo有糸分裂キナーゼ
Polo様キナーゼ(Plk)は、M期における細胞周期の進行の重要なレギュレーターである。Plkは有糸分裂紡錘体の組み立てとCDK/サイクリン複合体の活性化に関わっている。Plk1は、Cdc25Cのリン酸化および活性化を介してCDKのチロシン脱リン酸化を調節する。CDK1活性化は次に、紡錘体の形成とM期への進入をもたらす。
【0011】
Akt(PKB)
Aktは、細胞増殖を刺激し、アポトーシスを抑制することにより細胞の増殖を調節する経路に関与している。アンサマイシンによるHsp90を阻害すると、ユビキチン化およびプロテアソーム分解を介してAktの半減期が短縮される。また、Aktのダウンレギュレーションにはcdc37がHsp90に結合する必要がある。アンサマイシン処置後、癌細胞は処置24時間後に細胞周期のG2/M期で停止し、その後24?48時間でアポトーシスへと進む。正常細胞もアンサマイシン処置して24時間後に停止するが、アポトーシスには進まない。
【0012】
c-Raf、B-RAF、Mek
RAS-RAF-MEK-ERK-MAPキナーゼ経路は、増殖シグナルに対する細胞応答を媒介する。RASはヒト癌のおよそ15%で発癌型へと変異している。これら3つのRAF遺伝子は、結合しているRASにより調節されるセリン/トレオニンキナーゼである。
【0013】
EGFR
上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)は、細胞の増殖、分化、増殖、生存、アポトーシス、および遊走に関わっている。多くの異なる癌でEGFRの過剰発現が見られており、そのキナーゼドメインの活性化突然変異は、一部の肺腺癌の病因であると思われる。
【0014】
Flt3
FMS-様チロシンキナーゼ3(FLT3)は、細胞の増殖、分化およびアポトーシスに関わる受容体チロシンキナーゼである。Flt3の活性化はまた、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)およびRASシグナル変換カスケードの活性化ももたらす。
【0015】
c-Met
c-metは、肝細胞増殖因子(HGF)と結合し、細胞運動と細胞増殖の双方を調節する受容体チロシンキナーゼである。c-metは甲状腺、胃癌、膵臓癌および結腸癌をはじめとする腫瘍で過剰発現する。HGFはまた、肝臓転移を含む腫瘍の周囲にも検出される。このことは、c-metとHGFが浸潤と転移に重要な役割を果たしていることを示唆する。
【0016】
Cdk1、Cdk2、Cdk4、Cdk6
Cdk1、Cdk2、Cdk4、およびCdk6は細胞周期を駆動する。CDKの活性は、サイクリン、阻害因子および組み立て因子などの特定のサブユニットに結合することによって調節される。CDK仮性の基質特異性とタイミングは、特定のサイクリンとの相互作用により指示される。Cdk4/サイクリンDおよびCdk6/サイクリンDはG1期に活性となり、Cdk2/サイクリンEおよびCdk2/サイクリンはS期に活性となり、Cdc2/サイクリンAおよびCdc2/サイクリンBはG2/M期に活性となる。
【0017】
サイクリン依存性キナーゼタイプ4(CDK4)は、細胞を細胞周期のG1期からS期に遷移させるの重要な役割を果たし、多くのヒト癌で構成的に活性化されている。様々なヒト腫瘍で、CDK4アクチベーターであるサイクリンD1が過剰発現し、CDK4阻害剤であるp16が欠失している。
【0018】
G1/S期かG2/Mの境界かのいずれかで正常細胞を可逆的に遮断するCdk1/Cdk2阻害剤が開発されている。G2/Mでの停止は一般にこれらの細胞にあまり許容されず、その結果、それらはアポトーシス細胞死を受ける。Hsp90はまた細胞生存経路に影響を及ぼすことも知られていることから、この効果はHsp90阻害剤によってさらに増幅される可能性がある。
【0019】
Wee-1
Wee-1プロテインキナーゼは、CDC2のチロシン15(Tyr15)での阻害的リン酸化を行う。これはDNA傷害に応じたG2期分岐点の活性化に必要である。
【0020】
細胞の増殖および生存に関わるHsp90転写因子としては以下のものがある。
【0021】
変異型p53
P53は、細胞周期の停止を招き、アポトーシスを誘発する腫瘍抑制タンパク質である。P53は全ての癌の約半数で突然変異している。Hsp90阻害剤で処理した癌細胞系統では、変異型p53はHsp90と会合し、ダウンレギュレーションされるのに対し、野生型p53レベルは影響を受けなかった。
【0022】
プロゲステロン受容体/エストロゲン受容体/アンドロゲン受容体
プロゲステロンおよびアンドロゲン受容体には、ホルモンの不在下では、不活性型のHsp90が結合する。これらの受容体は、それらの同種ホルモンと結合すると、コンフォメーション変化を受け、hsp90から解離する。これらのリガンド結合型の受容体は次に、二量体化、リン酸化、および核輸送が可能である。活性化された受容体は次に、細胞増殖の維持に関わる標的遺伝子の調節領域内のホルモン応答エレメント(HRE)と結合する。
【0023】
Hif-1a
低酸素誘導性因子-1a(HIF-1a)は、脈管形成に役割を果たす遺伝子の発現を制御する転写因子である。HIF-1aは転移の大部分で発現し、Hsp90と会合することが知られている。腎臓癌細胞系統のアンサマイシン処置は、HTF-1aのユビキチン化およびプロテアソーム分解をもたらす。
【0024】
Hsp90阻害剤は腫瘍細胞増殖におけるシグナル変換に重要な多数の標的に影響を及ぼし得る。単一の標的の活性を調節するシグナル変換阻害剤は、シグナル伝達経路の冗長性と耐性の急速な発達により、あまり有効ではない可能性がある。
【0025】
細胞のシグナル伝達および細胞増殖に関わる複数の標的を調節することにより、HSP90阻害剤は、広範な増殖性疾患の治療に有益であることが証明できる。
【0026】
hERG
1990年代の後半には、米国FDAにより認可されたいくつかの薬剤が、心不全により起こる死亡と関連することが発見された際に米国で販売が中止されなければならなかった。その後、これらの薬剤の副作用は心臓細胞のhERGチャネルの遮断によって起こる不整脈の発生であることが分かった。このhERGチャネルはカリウムイオンチャネルファミリーの1つであり、その最初のメンバーは1980年代後半に突然変異体キイロショウジョウバエで確認されている(Jan,L.Y.and Jan,Y.N.(1990).A Superfamily of Ion Channels.Nature,345(6277):672参照)。hERGカリウムイオンチャネルの生物物理学的特性は、Sanguinetti,M.C.,Jiang,C.,Curran,M.E.,and Keating,M.T.(1995).A Mechanistic Link Between an Inherited and an Acquired Cardiac Arrhythmia:HERG encodes the Ikr potassium channel.Cell,81:299-307,およびTrudeau,M.C.,Warmke,J.W.,Ganetzky,B.,and Robertson,G.A.(1995).HERG,a Human Inward Rectifier in the Voltage-Gated Potassium Channel Family.Science,269:92-95に記載されている。
【0027】
このhERG遮断活性の排除は、新規な薬剤の開発に重要な問題を残している。
【0028】
先行技術
EP0474403(Eli Lilly)には、炎症性腸疾患の治療のための4-ヒドロキシベンズアミド誘導体種が開示されている。
【0029】
EP0722723(Eli Lilly)には、多発性硬化症を治療するための4-ヒドロキシベンズアミド誘導体種が開示されている。
【0030】
EP0500336(University of Colorado Foundation)には、I型糖尿病の治療のための4-ヒドロキシベンズアミド誘導体種が開示されている。
【0031】
WO00/59867(Pharmacor)には、HTVインテグラーゼ阻害剤として用いるヒドロキシフェニル誘導体が開示されている。
【0032】
JP09194450(Fujirebio)には、医薬中間体としてのオルト-ヒドロキシベンズアミド誘導体が開示されている。
【0033】
EP0486386には、置換ベンゾイルプロリン誘導体が開示されている。
【0034】
WO2005/012297(Janssen)には、LTA4ヒドロラーゼ調整活性を有する化合物の製造における中間体としての4-ヒドロキシ-3-フルオロ安息香酸ピペリジンアミドが開示されている。
【0035】
WO2005/000839(Tanabe)には、アシルアミノベンゾフラン化合物の製造における中間体としての4-ヒドロキシ-3-ブロモ安息香酸モルホリンアミドが開示されている。
【0036】
ヒドロキシベンズアミド誘導体の合成中間体としての使用は、US5310951、JP49010506、WO01/36351、WO98/45255およびWO97/35999に開示されている。
【0037】
EP0347168(Ono Pharmaceutical Co.)には、エラスターゼ阻害剤としてのピバリン酸のパラ置換フェニルエステルが開示されている。この文書に開示されている1つの特定の化合物が、ピバリン酸の3-ヒドロキシ-4-[(N-メチル-N-フェニル)カルバモイルフェニルエステルである。
【0038】
EP0353753(Takeda)には、グルタミン酸受容体阻害活性を有する置換安息香酸アミド化合物が開示されている。
【0039】
US2005/0037922(Bayer Cropscience)には、作物の毒性緩和剤としての種々のヒドロキシル化安息香酸ジメチルアミドおよびジメエチルアミドが開示されている。
【0040】
WO2005/009940(Leo Pharma)には、炎症性疾患および癌の治療に有用であるとされているアミノベンゾフェノン化合物が開示されている。
【0041】
WO99/29705(Glycomed et al)には、癌の治療を含むいくつかの使用の可能性を含むグリコミメティック化合物種が開示されている。WO99/29705に具体的に開示されている1つの化合物は、化合物2-(2-ヒドロキシ-ベンゾイル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボン酸である。
【発明の概要】
【0042】
本発明は、Hsp90阻害または調整活性を有し、Hsp90が介在する病態または症状を予防または治療するのに有用であると考えられる化合物を提供する。
【0043】
よって、例えば、本発明の化合物は癌を緩和する、または癌の発症率を軽減するのに有用であると考えられる。
【0044】
第一の態様において、本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
R^(1)は、ヒドロキシまたは水素であり;
R^(2)は、ヒドロキシ、メトキシまたは水素であり(ただし、R^(1)およびR^(2)の少なくとも一方はヒドロキシである);
R^(3)は、水素;ハロゲン;シアノ;C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択され;ここで、C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
R^(4)は、水素;基-(O)_(n)-R^(7)(ここで、nは0または1であり、R^(7)は非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基または3?7環員を有する単環式炭素環式もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ-またはジ-C_(1-5)ヒドロカルビル-アミノから選択され、各場合においてこの非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ-C_(1ー5)ヒドロカルビルアミノ部分は、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
あるいは、R^(3)およびR^(4)は一緒になって、5?7環員の単環式炭素環式または複素環式環を形成し;
R^(5)およびR^(6)は一緒になって、それらが結合している窒素原子と一緒になって8?12環員を有する二環式複素環式基を形成し、そのうち5個以下の環員が酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子であり;ここで、この二環式複素環式基は、1以上の置換基R^(10)により置換されていてもよく;
R^(8)は、水素およびフッ素から選択され;かつ
R^(10)は、
ハロゲン;
ヒドロキシ;
トリフルオロメチル;
シアノ;
ニトロ;
カルボキシ;
アミノ;
モノ-またはジ-C_(1-4)ヒドロカルビルアミノ;
3?12環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびに
基R^(a)-R^(b)
から選択され、ここで、
R^(a)は、結合、O、CO、X^(1)C(X^(2))、C(X^(2))X^(1)、X^(1)C(X_(2))X^(1)、S、SO、SO_(2)、NR^(c)、SO_(2)NR^(c)またはNR^(c)SO_(2)であり;かつ
R^(b)は、水素;3?12環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ-またはジ-C_(1-8)非芳香族ヒドロカルビルアミノ(例えば、モノ-またはジ-C_(1-4)ヒドロカルビルアミノ)、および3?12環員を有する炭素環式基および複素環式基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよいC_(1-12)ヒドロカルビル(C_(1-10)ヒドロカルビルなど)から選択され、ここで、このC_(1-12)ヒドロカルビル(またはC_(1-10)ヒドロカルビル基)の1以上の炭素原子はO、S、SO、SO_(2)、NR^(c)、X^(1)C(X^(2))、C(X^(2))X^(1)またはX^(1)C(X^(2))X^(1)により置き換えられていてもよく;
R^(c)は、R^(b)、水素およびC_(1ー4)ヒドロカルビルから選択され;かつ
X^(1)は、O、SまたはNR^(c)であり、X^(2)は、=O、=Sまたは=NR^(c)である]
で示される化合物(ただし、化合物2-(2-ヒドロキシ-ベンゾイル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボン酸は除く)、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドを提供する。
【0045】
本発明はまた、とりわけ、以下のものを提供する。
・Hsp90が介在する病態または症状の予防または治療に用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物
・Hsp90が介在する病態または症状の予防または治療を目的とした薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物の使用
・Hsp90が介在する病態または症状の予防または治療のための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物を投与することを含んでなる、方法
・Hsp90が介在する病態または症状の緩和または発症率の軽減に用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物
・Hsp90が介在する病態または症状の緩和または発症率の軽減を目的とした薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物の使用
・Hsp90が介在する病態または症状を緩和する、またはその発症率を軽減する方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物を投与することを含んでなる、方法。
・哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を治療するのに用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物
・哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を治療することを目的とした薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物の使用
・哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を治療する方法であって、その哺乳動物に、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物を、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で投与することを含んでなる、方法
・哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、またはその発症率を軽減するのに用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物の使用
・哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、またはその発症率を軽減することを目的とした薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物の使用
・哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、またはその発症率を軽減する方法であって、その哺乳動物に、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物を、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で投与することを含んでなる、方法
・哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を治療する方法であって、その哺乳動物に、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物を、Hsp90活性を阻害するのに有効な量で投与することを含んでなる、方法
・哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、またはその発症率を軽減する方法であって、その哺乳動物に、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物を、Hsp90活性を阻害するのに有効な量で投与することを含んでなる、方法
・Hsp90の阻害剤として用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物
・Hsp90を阻害する方法であって、Hsp90を、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例のHsp90阻害化合物と接触させることを含んでなる、方法
・Hsp90の活性を阻害することにより細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調整するのに用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物
・本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物を用いてHsp90の活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調整する方法
・本明細書に記載される病態の予防または治療に用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物
・本明細書で定義されるいずれか1以上の使用を目的とする薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物の使用
・本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物と、医薬上許容される担体とを含んでなる、医薬組成物
・本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物と、医薬上許容される担体とを、経口投与に好適な形態で含んでなる、医薬組成物
・本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物と、医薬上許容される担体とを、非経口投与、例えば静脈内(i.v.)投与に好適な形態で含んでなる、医薬組成物
・本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物と、医薬上許容される担体とを、注射または注入による静脈内(i.v.)投与に好適な形態で含んでなる、医薬組成物
・医薬として用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物
・上記で示した、また、本明細書の他所に記載されるいずれかの使用および方法のための、本明細書で定義される化合物
・スクリーニングを受け、Hsp90に対して活性を有する化合物による治療に感受性があると思われる疾病または症状に罹患している、または罹患するリスクがあると判定された患者における、病態または症状の治療または予防に用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物
・スクリーニングを受け、Hsp90に対して活性を有する化合物による治療に感受性があると思われる疾病または症状に罹患している、または罹患するリスクがあると判定された患者における病態または症状の治療または予防を目的とした薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物の使用
・Hsp90が介在する病態または症状の診断および治療のための方法であって、(i)患者に対して、患者が罹患している、または罹患する可能性がある疾病または症状が、Hsp90に対して活性を有する化合物による治療に感受性があると思われるものかどうかを判定するためのスクリーニングを行うこと;および(ii)その疾病または症状に対して患者にそのような感受性があることが示された場合に、その後、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)、またはその任意のサブグループもしくは実施例の化合物を投与することを含んでなる、方法。
【発明の具体的説明】
【0046】
一般選択肢および定義
本節では、本明細書の他の全ての節と同様に、特に断りのない限り、式(I)という場合には、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)および(VIIb)を含む本明細書で定義される式(I)の全てのサブグループを含み、「サブグループ」とは、本明細書で定義される全ての選択肢、実施態様、例および特定の化合物を含む。
【0047】
さらに、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)または(VIIb)の化合物およびそのサブグループという場合には、後述されるようなそのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N-オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態、好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN-オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN-オキシドまたは溶媒和物を含む。
【0048】
次の一般選択肢および定義は、特に断りのない限り、R^(1)?R^(8)、R^(10)、R^(a)、R^(b)、R^(c)、X^(1)およびX^(2)の各々、ならびにそれらの種々のサブグループ、部分定義、例および実施態様に当てはまる。
【0049】
本明細書において式(I)に対する言及はいずれも、特に断りのない限り、式(I)の範囲内の化合物およびそのサブグループ、ならびにその選択肢および例についても当てはまるものとする。
【0050】
本明細書において「炭素環式」基および「複素環式」基とは、特に断りのない限り、芳香族環系と非芳香族環系の双方を含む。従って、例えば、「炭素環式基および複素環式基」とは、その範囲内に、芳香族、非芳香族、不飽和、部分飽和および完全飽和炭素環系および複素環系を含む。一般に、このような基は単環式または二環式であってよく、例えば、3?12環員、より一般的には5?10環員を含み得る。単環式基の例としては、3、4、5、6、7および8環員、より一般的には3?7、例えば5?7、好ましくは5または6環員を含む基がある。二環式基の例としては、8、9、10、11および12環員、より一般的には9または10環員を含むものがある。
【0051】
本明細書において「二環式」とは、両環によって少なくとも1つの環員が共有されるように一緒に結合された2環を有する基を意味する。よって、二環式基は縮合環(両環によって2環員が共有されている)、スピロ環式(両環によって1環員が共有されている)または架橋環(両環によって3以上の環員が共有されている)であり得る。
【0052】
炭素環式基または複素環式基は5?12環員、より一般的には5?10環員を有するアリールまたはヘテロアリール基であり得る。本明細書において「アリール」とは、芳香族性を有する炭素環式基を意味し、本明細書において「ヘテロアリール」とは、芳香性を有する複素環式基を表す。「アリール」および「ヘテロアリール」とは、1以上の環が非芳香族であるが、少なくとも1つの環が芳香族である、多環式(例えば、二環式)環系を包含する。このような多環式系では、この基は芳香環によって結合されてもよいし、または非芳香環によって結合されてもよい。アリール基またはヘテロアリール基は、単環式基または二環式基であってよく、非置換型であっても、1以上の置換基、例えば、本明細書で定義される1以上の基R^(10)で置換されていてもよい。
【0053】
「非芳香族基」とは、芳香性を持たない不飽和環系、部分飽和および完全飽和炭素環式環系および複素環式環系を包含する。「不飽和」および「部分飽和」とは、環構造が1を超える価数の結合を共有する原子を含む環を意味し、すなわち、その環は少なくとも1つの多重結合、例えば、C=C、C=CまたはN=C結合を含む。「完全飽和」および「飽和」とは、環原子間に多重結合がない環を意味する。飽和炭素環式基としては、以下で定義されるシクロアルキル基が挙げられる。部分飽和炭素環式基としては、以下で定義されるシクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルが挙げられる。シクロアルケニル基のさらなる例として、シクロヘキセニルがある。
【0054】
ヘテロアリール基の例としては、5?12環員、より一般的には5?10環員を含む単環式基および二環式基が挙げられる。ヘテロアリール基は、例えば、5員または6員単環式環であるか、または縮合5員環および6員環、または2つの縮合6員環から、またはさらなる例としては、2つの縮合5員環から形成された二環式構造であり得る。各環は、一般に窒素、硫黄および酸素から選択される約4個までのヘテロ原子を含んでいてもよい。一般に、ヘテロアリール環は、4個までのヘテロ原子、より一般的には3個までのヘテロ原子、より一般的には2個まで、例えば、1個のヘテロ原子を含む。一つの実施態様では、ヘテロアリール環は、少なくとも1個の環窒素原子を含む。ヘテロアリール環の窒素原子は、イミダゾールまたはピリジンの場合のように塩基性であってもよいし、あるいはインドールまたはピロール窒素の場合のように実質的に非塩基性であってもよい。一般に、ヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子数は、環のアミノ基置換基を含め、5個未満である。
【0055】
5員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、フラザン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾール基が挙げられる。
【0056】
6員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンおよびトリアジンが挙げられる。
【0057】
二環式ヘテロアリール基は、例えば、次のものから選択される基であり得る。
a)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したベンゼン環;
b)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピリジン環;
c)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピリミジン環;
d)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピロール環;
e)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピラゾール環;
f)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピラジン環;
g)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したイミダゾール環;
h)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したオキサゾール環;
i)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したイソキサゾール環;
j)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したチアゾール環;
k)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したイソチアゾール環;
l)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したチオフェン環;
m)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したフラン環;
n)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したシクロヘキシル環;および
o)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したシクロペンチル環。
【0058】
二環式ヘテロアリール基の1つのサブグループは、上記の(a)?(e)および(g)?(o)群からなる。
【0059】
別の5員環と縮合した5員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、イミダゾチアゾール(例えば、イミダゾ[2,1-b]チアゾール)およびイミダゾイミダゾール(例えば、イミダゾ[1,2-a]イミダゾール)が挙げられる。
【0060】
5員環と縮合した6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、ベンズフラン、ベンズチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、イソベンズオキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズイソチアゾール、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾール、ピラゾロピリミジン(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン)、トリアゾロピリミジン(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン)、ベンゾジオキソールおよびピラゾロピリジン(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン)基が挙げられる。
【0061】
2つの縮合6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、キノリン、イソキノリン、クロマン、チオクロマン、クロメン、イソクロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾジオキサン、キノリジン、ベンズオキサジン、ベンゾジアジン、ピリドピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジンおよびプテリジン基が挙げられる。
【0062】
ヘテロアリール基の1つのサブグループとしては、ピリジル、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズフラニル、ベンズチエニル、クロマニル、チオクロマニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾリルおよびベンズイソチアゾール、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、プリニル(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾリル、ベンゾジオキソリル、クロメニル、イソクロメニル、イソクロマニル、ベンゾジオキサニル、キノリジニル、ベンゾキサジニル、ベンゾジアジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニルおよびプテリジニル基が含まれる。
【0063】
芳香環と非芳香環を含む多環式アリール基およびヘテロアリール基の例としては、テトラヒドロナフタレン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンズチエン、ジヒドロベンズフラン、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラン、インドリンおよびインダン基が挙げられる。
【0064】
炭素環式アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、インデニル、およびテトラヒドロナフチル基が挙げられる。
【0065】
非芳香族複素環式基の例としては、3?12環員、一般に4?12環員、より一般的には5?10環員を有する非置換型または置換型(1以上のR^(10)基による)の複素環式基が挙げられる。このような基は単環式または二環式であってよく、例えば、一般に窒素、酸素および硫黄から選択される1?5個のヘテロ原子環員(より一般的には1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環員)を有する。
【0066】
硫黄が存在する場合、隣接する原子および基の性質が許せば、硫黄は-S-、-S(O)-または-S(O)_(2)-として存在してもよい。
【0067】
これらの複素環式基は、例えば、環状エーテル部分(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサンの場合)、環状チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンの場合)、環状アミン部分(例えば、ピロリジンの場合)、環状アミド部分(例えば、ピロリドンの場合)、環状チオアミド、環状チオエステル、環状エステル部分(例えば、ブチロラクトンの場合)、環状スルホン(例えば、スルホランおよびスルホレンの場合)、環状スルホキシド、環状スルホンアミドおよびそれらの組合せ(例えば、モルホリンおよびチオモルホリン、ならびにそのS-オキシドおよびS,S-ジオキシド)を含み得る。複素環式基のさらなる例としては、環状尿素部分(例えば、イミダゾリジン-2-オンの場合)を含むものがある。
【0068】
複素環式基のあるサブセットでは、複素環式基は、環状エーテル部分(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサンの場合)、環状チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンの場合)、環状アミン部分(例えば、ピロリジンの場合)、環状スルホン(例えば、スルホランおよびスルホレンの場合)、環状スルホキシド、環状スルホンアミドおよびそれらの組合せ(例えば、チオモルホリン)を含む。
【0069】
単環式非芳香族複素環式基の例として、5員、6員および7員の単環式複素環式基が挙げられる。特定の例としては、モルホリン、ピペリジン(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニルおよび4-ピペリジニル)、ピロリジン(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニルおよび3-ピロリジニル)、ピロリドン、ピラン(2H-ピランまたは4H-ピラン)、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、2-ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラジン、およびN-アルキルピペラジン(N-メチルピペラジンなど)が挙げられる。さらなる例としては、チオモルホリンおよびそのS-オキシドおよびS,S-ジオキシド(特に、チオモルホリン)が挙げられる。なおさらなる例としては、アゼチジン、ピペリドン、ピペラゾン、およびN-アルキルピペリジン(N-メチルピペリジンなど)が挙げられる。
【0070】
非芳香族複素環式基の1つの好ましいサブセットは、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS,S-ジオキシド、ピペラジン、N-アルキルピペラジン、およびN-アルキルピペリジンなどの飽和基からなる。
【0071】
非芳香族複素環式基の別のサブセットは、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS,S-ジオキシド、ピペラジンおよびN-アルキルピペラジン(N-メチルピペラジンなど)からなる。
【0072】
複素環式基のある特定のサブセットは、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンおよびN-アルキルピペラジン(例えば、N-メチルピペラジン)、および場合によりチオモルホリンからなる。
【0073】
非芳香族炭素環式基の例としては、シクロヘキシルおよびシクロペンチルなどのシクロアルカン基、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルなどのシクロアルケニル基、ならびにシクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエン、テトラヒドロナフテニルおよびデカリニルが挙げられる。
【0074】
好ましい非芳香族炭素環式基は単環式環であり、最も好ましくは飽和単環式環である。
【0075】
典型的な例は、3員、4員、5員および6員の飽和炭素環式環、例えば、場合により置換されていてもよいシクロペンチルおよびシクロヘキシル環である。
【0076】
非芳香族炭素環式(carboyclic)基の1つのサブセットは、非置換型または置換型(1以上のR^(10)基による)の単環式基、特に、飽和単環式基、例えば、シクロアルキル基を含む。このようなシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、より一般にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、特に、シクロヘキシルが挙げられる。
【0077】
非芳香族環式基のさらなる例としては、ビシクロアルカンおよびアザビシクロアルカンなどの架橋環系が挙げられるが、このような架橋環系は一般にあまり好ましくない。「架橋環系」とは、2つの環が2個を超える原子を共有している環系を意味する(例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4^(th) Edition,Wiley Interscience,pages 131-133,1992参照)。架橋環系の例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンおよびアザ-ビシクロ[3.2.1]オクタンが挙げられる。架橋環系の特定の例は、1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル基である。
【0078】
本明細書における炭素環式基および複素環式基に関し、この炭素環式環または複素環式環は、特に断りのない限り、非置換型であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ-またはジ-C^(1-4)ヒドロカルビルアミノ、3?12環員を有する炭素環式基および複素環式基、基R^(a)-R^(b)[ここで、R^(a)は、結合、O、CO、X^(1)C(X^(2))、C(X^(2))X^(1)、X^(1)C(X^(2))X^(1)、S、SO、SO_(2)、NR^(c)、SO_(2)NR^(c)またはNR^(c)SO_(2)であり;R^(b)は、水素、3?12環員を有する炭素環式および複素環式基、ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ-またはジ-C_(1-18)非芳香族ヒドロカルビルアミノ(モノ-またはジ-C_(1-4)ヒドロカルビルアミノなど)、3?12環員を有する炭素環式および複素環式基から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC_(1-12)ヒドロカルビル基(C_(1-10)ヒドロカルビル基など)から選択され、このC_(1-12)ヒドロカルビル基(またはC_(1-10)ヒドロカルビル基)の1以上の炭素原子は、O、S、SO、SO_(2)、NR^(c)、X^(1)C(X^(2))、C(X^(2))X^(1)またはX^(1)C(X^(2))X^(1)で置き換えられていてもよい}から選択される1以上の置換基R^(10)で置換されており;
R^(c)はR^(b)、水素およびC_(1-4)ヒドロカルビルから選択され;
X^(1)はO、SまたはNR^(c)であり、X^(2)は=O、=Sまたは=NR^(c)である。
【0079】
置換基R^(10)が炭素環式基または複素環式基であるか、またはこれを含んでなる場合、該炭素環式基または複素環式基は非置換型であってもよいし、またはそれ自体、1以上のさらなる置換基R^(10)で置換されていてもよい。式(I)の化合物の1つのサブグループでは、このようなさらなる置換基R^(10)は炭素環式基または複素環式基を含んでよく、これらは一般にそれ自体さらに置換されない。式(I)の化合物のもう1つのサブグループでは、該さらなる置換基は炭素環式基または複素環式基を含まず、それ以外で、R^(10)の定義において上記で挙げた基から選択される。
【0080】
これらの置換基R^(10)は、20個以下の非水素原子、例えば、15個以下の非水素原子、例えば、12個以下、または11個以下、または10個以下、または9個以下、または8個以下、または7個以下、または6個以下、または5個以下の非水素原子を含むように選択することができる。
【0081】
これらの炭素環式基および複素環式基が、同じまたは隣接する環原子上に1対の置換基を有する場合、その2つの置換基は環式基を形成するように連結していてもよい。従って、2つの隣接するR^(10)基は、それらが結合している炭素原子またはヘテロ原子と一緒になって、5員のヘテロアリール環、または5員もしくは6員の非芳香族炭素環式環または複素環式環を形成していてもよく、ここで、該ヘテロアリール基および複素環式基は、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子環員を3個まで含む。例えば、環の隣接する炭素原子上の隣接する1対の置換基は1以上のヘテロ原子および場合により置換されていてもよいアルキレン基を介して連結し、縮合オキサ-、ジオキサ-、アザ-、ジアザ-またはオキサ-アザ-シクロアルキル基を形成していてもよい。
【0082】
このような連結置換基の例としては、
【化2】

が挙げられる。
【0083】
ハロゲン置換基の例としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。フッ素および塩素は特に好ましい。
【0084】
上記式(I)で表され、また、以下で使用される化合物の定義において、「ヒドロカルビル」とは、特に断りのない限り、全て炭素の主鎖を有し、炭素原子と水素原子からなる脂肪族基、脂環式基および芳香族基を含む一般用語である。
【0085】
本明細書で定義される特定の場合では、炭素主鎖を形成する1以上の炭素原子は示された原子または原子群により置換されていてもよい。
【0086】
ヒドロカルビル基の例としては、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、炭素環式アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、ならびに炭素環式アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル基が挙げられる。このような基は、非置換型であっても、または記載のように、本明細書で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。以下で示す例および選択肢は、特に断りのない限り、式(I)の化合物についての種々の置換基の定義において言及される、ヒドロカルビル置換基またはヒドロカルビル含有置換基の各々に当てはまる。
【0087】
本明細書において接頭辞「C_(x-y)」(ここで、xおよびyは整数である)は、所与の基における炭素原子の数を示す。従って、C_(1-4)ヒドロカルビル基は1?4個の炭素原子を含み、C_(3-6)シクロアルキル基は3?6個の炭素原子を含むなどである。
【0088】
本明細書において「非環式ヒドロカルビル」(例えば、「非環式C_(1-5)ヒドロカルビル」の場合)とは、非環式ヒドロカルビル基、特に、本明細書で定義されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を意味する。
【0089】
本明細書において「モノ-またはジ-C_(1-5)ヒドロカルビルアミノ」とは、各々1?5個の炭素原子を含む1個または2個のヒドロカルビル置換基を有する一置換または二置換アミン基を意味する。
【0090】
好ましい非芳香族ヒドロカルビル基は、アルキルおよびシクロアルキル基などの飽和基である。
【0091】
一般に、例えば、ヒドロカルビル基は、特に断りのない限り、10個までの炭素原子(より一般には8個までの炭素原子)を有することができる。1?10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基のサブセット内で、特定の例としては、C_(1-8)ヒドロカルビル基またはC_(1-6)ヒドロカルビル基、例えば、C_(1-4)ヒドロカルビル基(例えば、C_(1-3)ヒドロカルビル基またはC_(1-2)ヒドロカルビル基またはC_(2-3)ヒドロカルビル基またはC_(2-4)ヒドロカルビル基)があり、具体例としては、C_(1)、C_(2)、C_(3)、C_(4)、C_(5)、C_(6)、C_(7)、C_(8)、C_(9)およびC_(10)ヒドロカルビル基から選択されるいずれかの個々の値または値の組合せがある。
【0092】
「アルキル」は、直鎖および分岐鎖双方のアルキル基を含む。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチルおよびn-ヘキシルおよびその異性体が挙げられる。1?8個の炭素原子を有するアルキル基のサブセット内で、特定の例としては、C_(1-6)アルキル基、例えば、C_(1-4)アルキル基(例えば、C_(1-3)アルキル基またはC_(1-2)アルキル基またはC_(2-3)アルキル基またはC_(2-4)アルキル基)が挙げられる。
【0093】
シクロアルキル基の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびシクロヘプタンから得られるものがある。シクロアルキル基のサブセット内で、シクロアルキル基は、3?10個の炭素原子、より一般には3?8個の炭素原子を有し、特定の例としては、C_(3-6)シクロアルキル基が挙げられる。
【0094】
アルケニル基の例としては、限定されるものではないが、エテニル(ビニル)、1-プロペニル、2-プロペニル(アリル)、イソプロペニル、ブテニル、ブタ-1,4-ジエニル、ペンテニルおよびヘキセニルが挙げられる。アルケニル基のサブセット内で、アルケニル基は2?10個の炭素原子、より一般には2?8個の炭素原子を有し、特定の例としては、C_(2-6)アルケニル基、例えばC_(2-4)アルケニル基が挙げられる。
【0095】
シクロアルケニル基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。シクロアルケニル基のサブセット内で、シクロアルケニル基は、3?10個の炭素原子、より一般には3?8個の炭素原子を有し、特定の例としては、C_(3-6)シクロアルケニル基が挙げられる。
【0096】
アルキニル基の例としては、限定されるものではないが、エチニルおよび2-プロピニル(プロパルギル)基が挙げられる。アルキニル基のサブセット内で、アルキニル基は2?10個の炭素原子、より一般には2?8個の炭素原子を有し、特定の例としては、C_(2-6)アルキニル基、例えば、C_(2-4)アルキニル基が挙げられる。
【0097】
炭素環式アリール基の例としては、置換および非置換フェニル基が挙げられる。
【0098】
シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、炭素環式アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル基の例としては、フェネチル、ベンジル、スチリル、フェニルエチニル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチルおよびシクロペンテニルメチル基が挙げられる。
【0099】
本明細書においてC_(1-12)ヒドロカルビル、C_(1-10)ヒドロカルビルおよびC_(1-8)ヒドロカルビルとは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、ベンジルおよびフェニルエチル基を包含し、前記の各基の選択肢および例は上記で定義された通りである。この定義の範囲内で、特定のヒドロカルビル基としては、アルキル、シクロアルキル、フェニル、ベンジルおよびフェニルエチル(例えば、1-フェニルエチルまたは2-フェニルエチル)基があり、ヒドロカルビル基の1つのサブセットはアルキルおよびシクロアルキル基、特に、C_(1-4)アルキルおよびシクロアルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロプロピルおよびシクロブチルである。
【0100】
本明細書においてC_(1ー4)ヒドロカルビルとは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基を包含し、前記の基の選択肢および例は上記で定義された通りである。この定義の範囲内で、特定のC_(1-4)ヒドロカルビル基としては、アルキルおよびシクロアルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロプロピルおよびシクロブチルがある。
【0101】
ヒドロカルビル基は、存在し、記載されている場合には、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ-またはジ-C_(1-4)ヒドロカルビルアミノならびに3?12(一般に3?10、より一般的には5?10)の環員を有する単環式もしくは二環式炭素環式基および複素環式基から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよい。好ましい置換基としては、フッ素などのハロゲンが挙げられる。従って、例えば、置換ヒドロカルビル基は、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの部分フッ素化または過フッ素化基であり得る。一つの実施態様では、好ましい置換基としては、3?7環員、より一般的には3、4、5または6環員を有する単環式炭素環式基および複素環式基が挙げられる。
【0102】
記載のように、ヒドロカルビル基の1以上の炭素原子が、O、S、SO、SO_(2)、NR^(c)、X^(1)C(X^(2))、C(X^(2))X^(1)またはX^(1)C(X^(2))X^(1)(式中、X^(1)およびX^(2)は、上記で定義される通りであり、ただし、ヒドロカルビル基の少なくとも1つの炭素原子は残っている)(またはそのサブグループ)で場合により置き換えられていてもよい。
例えば、ヒドロカルビル基の1個、2個、3個または4個の炭素原子は、列挙した原子または基のうちの1つで置き換えられていてもよく、置き換わる原子または基は、同一であっても、異なっていてもよい。一般に、置き換えられる直鎖または主鎖炭素原子の数は、それらに取って代わる基の直鎖または主鎖原子の数に相当する。ヒドロカルビル基の1以上の炭素原子が上記で定義される置換原子または基で置き換えられている基の例としては、エーテルおよびチオエーテル(CをOまたはSで置き換え)、アミド、エステル、チオアミドおよびチオエステル(C-CをX^(1)C(X^(2))またはC(X^(2))X^(1)で置き換え)、スルホンおよびスルホキシド(CをSOまたはSO_(2)で置き換え)、アミン(CをNR^(c)で置き換え)が挙げられる。さらなる例としては、尿素、カーボネート、およびカルバメート(C-C-CをX^(1)C(X^(2))X^(1)で置き換え)が挙げられる。
【0103】
アミノ基が2個のヒドロカルビル置換基を有する場合、これらは、それらが結合している窒素原子と一緒に、かつ、場合により窒素、硫黄または酸素などの別のヘテロ原子と一緒に、連結して4?7環員、より一般的には5?6環員の環構造を形成してもよい。
【0104】
本明細書において「アザ-シクロアルキル」とは、炭素環員の1つが窒素原子で置換されているシクロアルキル基を意味する。よって、アザ-シクロアルキル基の例としては、ピペリジンおよびピロリジンが挙げられる。本明細書において「オキサ-シクロアルキル」とは、炭素環員の1つが酸素原子で置換されているシクロアルキル基を意味する。よって、オキサ-シクロアルキル基の例としては、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランが挙げられる。同様に、「ジアザ-シクロアルキル」、「ジオキサ-シクロアルキル」および「アザ-オキサ-シクロアルキル」とは、それぞれ、2個の炭素環員が2個の窒素原子で、または2個の酸素原子で、または1個の窒素原子と1個の酸素原子で置換されているシクロアルキル基を意味する。よって、オキサ-C_(4-6)シクロアルキル基には、3?5個の炭素環員と1個の酸素環員が存在する。例えば、オキサ-シクロヘキシル基は、テトラヒドロピラニル基である。
【0105】
本明細書において定義「R^(a)-R^(b)」には、炭素環部分または複素環部分に存在する置換基に関してか、または式(I)の化合物上の他の位置に存在する他の置換基に関して、とりわけ、R^(a)が、結合、O、CO、OC(O)、SC(O)、NR^(c)C(O)、OC(S)、SC(S)、NR^(c)C(S)、OC(NR^(c))、SC(NR^(c))、NR^(c)C(NR^(c))、C(O)O、C(O)S、C(O)NR^(c)、C(S)O、C(S)S、C(S)NR^(c)、C(NR^(c))O、C(NR^(c))S、C(NR^(c))NR^(c)、OC(O)O、SC(O)O、NR^(c)C(O)O、OC(S)O、SC(S)O、NR^(c)C(S)O、OC(NR^(c))O、SC(NR^(c))O、NR^(c)C(NR^(c))O、OC(O)S、SC(O)S、NR^(c)C(O)S、OC(S)S、SC(S)S、NR^(c)C(S)S、OC(NR^(c))S、SC(NR^(c))S、NR^(c)C(NR^(c))S、OC(O)NR^(c)、SC(O)NR^(c)、NR^(c)C(O)NR^(c)、OC(S)NR^(c)、SC(S)NR^(c)、NR^(c)C(S)NR^(c)、OC(NR^(c))NR^(c)、SC(NR^(c))NR^(c)、NR^(c)C(NR^(c)NR^(c)、S、SO、SO_(2)、NR^(c)、SO_(2)NR^(c)およびNR^(c)O_(2)(ここで、R^(c)は上記で定義される通りである)から選択される化合物が含まれる。
【0106】
部分R^(b)は、水素であってもよいし、あるいは3?12(一般に3?10、より一般的には5?10)環員を有する炭素環式基および複素環式基、ならびに上記で定義されたように場合により置換されていてもよいC_(1-8)ヒドロカルビル基から選択される基であってもよい。ヒドロカルビル、炭素環式基および複素環式基の例は上記で示される通りである。
【0107】
R^(a)がOであり、R^(b)がC_(1-10)ヒドロカルビル基である場合、R^(a)およびR^(b)は一緒になってヒドロカルビルオキシ基を形成する。好ましいヒドロカルビルオキシ基としては、アルコキシ(例えば、C_(1-6)アルコキシ、より一般的にはエトキシおよびメトキシ、特にメトキシなどのC_(1-4)アルコキシ)、シクロアルコキシ(例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシおよびシクロヘキシルオキシなどのC_(3-6)シクロアルコキシ)およびシクロアルキアルコキシ(例えば、シクロプロピルメトキシなどのC_(3-6)シクロアルキル-C_(1-2)アルコキシ)といった飽和ヒドロカルビルオキシが挙げられる。
【0108】
これらのヒドロカルビルオキシ基は、本明細書で定義される種々の置換基により置換されていてもよい。例えば、アルコキシ基は、ハロゲン(例えば、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシの場合)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシエトキシの場合)、C_(1-2)アルコキシ(例えば、メトキシエトキシの場合)、ヒドロキシ-C_(1-2)アルキル(ヒドロキシエトキシエトキシの場合)または環式基(例えば、上記で定義されるシクロアルキル基または非芳香族複素環式基)により置換されていてもよい。置換基として非芳香族複素環式基を有するアルコキシ基の例は、その複素環式基がモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、C_(1-4)アルキル-ピペラジン、C_(3-7)-シクロアルキル-ピペラジン、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフランなどの飽和環状アミンであり、そのアルコキシ基がC_(1-4)アルコキシ基、より一般にはメトキシ、エトキシまたはn-プロポキシなどのC_(1-3)アルコキシ基であるものがある。
【0109】
アルコキシ基は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンなどの単環式基、ならびにN-ベンジル、N-C_(1-4)アシルおよびN-C_(1-4)アルコキシカルボニルなどのそのN-置換誘導体により置換されていてもよい。特定の例としては、ピロリジノエトキシ、ピペリジノエトキシおよびピペラジノエトキシが挙げられる。
【0110】
R^(a)が結合であり、R^(b)がC_(1-10)ヒドロカルビル基である場合、ヒドロカルビル基R^(a)-R^(b)の例は上記で定義される通りである。ヒドロカルビル基はシクロアルキルおよびアルキルなどの飽和基であってもよく、このような基の特定の例としては、メチル、エチルおよびシクロプロピルが挙げられる。ヒドロカルビル(例えば、アルキル)基は上記で定義される種々の基および原子で置換されていてもよい。置換アルキル基の例としては、フッ素および塩素などの1以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基(特定の例としては、ブロモエチル、クロロエチルおよびトリフルオロメチルが挙げられる)、またはヒドロキシで置換されたアルキル基(例えば、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル)、C_(1-10)アシルオキシで置換されたアルキル基(例えば、アセトキシメチルおよびベンジルオキシメチル)、アミノならびにモノ-およびジアルキルアミノで置換されたアルキル基(例えば、アミノエチル、メチルアミノエチル、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチルおよびtert-ブチルアミノメチル)、アルコキシで置換されたアルキル基(例えば、メトキシエチルの場合のメトキシなどのC_(1-2)アルコキシ)、ならびに上記で定義されるシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基および非芳香族複素環式基などの環式基で置換されたアルキル基が挙げられる。
【0111】
環式基で置換されたアルキル基の特定の例としては、その環式基が、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、C_(1-4)-アルキル-ピペラジン、C_(3-7)-シクロアルキル-ピペラジン、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフランなどの飽和環状アミンであり、そのアルキル基がC_(1-4)アルキル基、より一般にはメチル、エチルまたはn-プロピルなどのC_(1-3)アルキル基であるものがある。環式基で置換されたアルキル基の具体例としては、ピロリジノメチル、ピロリジノプロピル、モルホリノメチル、モルホリノエチル、モルホリノプロピル、ピペリジニルメチル、ピペラジノメチルおよび上記で定義されるそのN-置換形態が挙げられる。
【0112】
アリール基またはヘテロアリール基で置換されたアルキル基の特定の例としては、ベンジルおよびピリジルメチル基が挙げられる。
【0113】
R^(a)がSO_(2)NR^(c)であるとき、R^(b)は例えば水素または場合により置換されていてもよいC_(1-8)ヒドロカルビル基、または炭素環式基もしくは複素環式基であってよい。R^(a)がSO_(2)NR^(c)である場合のR^(a)-R^(b)の例としては、アミノスルホニル、C_(1-4)アルキルアミノスルホニルおよびジ-C_(1-4)アルキルアミノスルホニル基、およびピペリジン、モルホリン、ピロリジン、または場合によりN-置換されたピペラジン(N-メチルピペラジンなど)といった環状アミノ基から形成されたスルホンアミドが挙げられる。
【0114】
R^(a)がSO_(2)である場合のR^(a)-R^(b)基の例としては、アルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニルおよびアリールスルホニル基、特に単環式アリールおよびヘテロアリールスルホニル基が挙げられる。特定の例としては、メチルスルホニル、フェニルスルホニルおよびトルエンスルホニルが挙げられる。
【0115】
R^(a)がNR^(c)である場合、R^(b)は例えば、水素または場合により置換されていてもよいC_(1-10)ヒドロカルビル基、または炭素環式基もしくは複素環式基であってよい。R^(a)がNR^(c)である場合のR^(a)-R^(b)基の例としては、アミノ、C_(1-4)アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert-ブチルアミノ)、ジ-C_(1-4)アルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノおよびジエチルアミノ)ならびにシクロアルキルアミノ(例えば、シクロプロピルアミノ、シクロペンチルアミノおよびシクロヘキシルアミノ)が挙げられる。
【0116】
R^(1)?R^(10)の具体例および好ましい態様
R^(1)およびR^(2)
R^(1)はヒドロキシまたは水素であり;R^(2)はヒドロキシ、メトキシまたは水素である(ただし、R^(1)およびR^(2)の少なくとも一方はヒドロキシである)。
【0117】
好ましくは、R^(1)はヒドロキシまたは水素であり;R^(2)はヒドロキシまたは水素である(ただし、R^(1)およびR^(2)の少なくとも一方はヒドロキシである)。
【0118】
一つの実施態様では、R^(1)はヒドロキシであり、R^(2)は水素またはメトキシ、好ましくは、水素である。
【0119】
もう1つの実施態様では、R^(1)は水素であり、R^(2)はヒドロキシである。
【0120】
さらなる実施態様では、R^(1)はヒドロキシであり、R^(2)はヒドロキシまたはメトキシである。
【0121】
好ましい実施態様では、R^(1)およびR^(2)はともにヒドロキシである。
【0122】
R^(8)
R^(8)は水素およびフッ素から選択される。好ましくは、R^(8)は水素である。
【0123】
R^(3)
R^(3)は、水素、ハロゲン、シアノ、C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択され、ここで、このC_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシ部分は各々場合により、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0124】
化合物の1つのサブグループでは、R^(3)は、水素、ハロゲン、シアノ、C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択され、ここで、各場合においてこのC_(1-5)ヒドロカルビル部分は場合により、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシおよびアミノから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0125】
化合物のもう1つのサブグループでは、R^(3)は、ハロゲン(例えば、塩素または臭素)、C_(1-5)アルキルおよびC_(3ー4)シクロアルキルから選択される。
【0126】
より一般には、R^(3)は、水素、塩素、C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択される。
【0127】
特定のR^(3)基としては、水素、C_(1-5)アルキル、C_(2-5)アルケニルおよびC_(3ー4)シクロアルキル基、好ましくは、第二級アルキルおよびアルケニル基(イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,2-ジメチルアリルおよび1,2-ジメチルプロピルなど)、またはシクロアルキル基(シクロプロピルなど)が挙げられる。
【0128】
さらなる置換基R^(3)のサブグループとしては、C_(1-5)アルキル、C_(2-5)アルケニルおよびC_(3-4)シクロアルキル基、好ましくは、第二級アルキルおよびアルケニル基(イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,2-ジメチルアリルおよび1,2-ジメチルプロピルなど)、またはシクロアルキル基(シクロプロピルなど)からなる。
【0129】
R^(1)およびR^(2)の一方だけがヒドロキシである場合、R^(3)は水素以外であり得る。
【0130】
ある特定の実施態様では、R^(1)およびR^(2)はともにヒドロキシであり、R^(3)は水素である。
【0131】
さらなる特定の実施態様では、R^(3)はイソプロピルおよびtert-ブチルから選択される。
【0132】
1つの一般的な実施態様では、R^(3)はハロゲン以外である。
【0133】
もう1つの一般的な実施態様では、R^(3)はフッ素以外であり得る。
【0134】
さらなる一般的な実施態様では、R^(3)はフッ素またはメトキシ以外であり得る。
【0135】
R^(4)
一つの実施態様では、R^(4)は水素;基-(O)_(n)-R^(7)(ここで、nは0または1であり、R^(7)は非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基、または3?7環員を有する単環式炭素環式もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ-またはジ-C_(1ー5)ヒドロカルビルアミノから選択され、ここで、この非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ-C_(1-5)ヒドロカルビルアミノ部分は各場合において場合により、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0136】
化合物の1つのサブグループでは、R^(4)は水素;基-(O)_(n)-R^(7)(ここで、nは0または1であり、R^(7)は非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基、または3?7環員を有する単環式炭素環式もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ-またはジ-C_(1ー5)ヒドロカルビルアミノから選択され、ここで、このC_(1-5)ヒドロカルビル部分は各場合において場合により、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシおよびアミノから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0137】
このサブグループ内で、R^(4)はより一般には水素、メトキシ、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、シアノ、ヒドロキシ、アミノおよびC_(3ー6)シクロアルキルから選択される。
【0138】
より詳しくは、R^(4)はサブセットR^(4a)から選択され、このサブセットR^(4a)は水素、メトキシ、フッ素および塩素からなる。
【0139】
好ましくは、R^(4)は水素である。
【0140】
もう1つの実施態様では、R^(3)およびR^(4)は一緒になって5?7環員の炭素環式環または複素環式環を形成する。これらの炭素環式基および複素環式基は上記の「一般定義および選択肢」の節に挙げられたいずれの基であってもよいが、1つの特定の基としては、R^(3)およびR^(4)がフェニル環と一緒になってジヒドロベンゾフラン基を形成するような基である。
【0141】
部分R^(1)、R^(2)、R^(3)およびR^(4)を含むフェニル環の特定の例は表1に示す通りである。カルボニル基との結合点はアステリスクにより示されている。
【0142】
表1
【表1】


【0143】
一つの実施態様では、フェニル部分は基A1?A21から選択される。
【0144】
もう1つの実施態様では、フェニル部分は基A1?A18から選択される。
【0145】
好ましいフェニル部分としては、基A5、A7、A11、A13、A14、A15、A16、A17およびA18が挙げられる。
【0146】
特に好ましいフェニル部分はA5、A7、A13、A14およびA17である。
【0147】
特に好ましいフェニル部分はA11およびA13である。
【0148】
1つの特に好ましいフェニル部分は基A13である。
【0149】
R^(5)およびR^(6)
R^(5)およびR^(6)は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、12環員まで(このうち5環員までは酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子である)を有する二環式複素環式基を形成している。
【0150】
これらの二環式基は上記の「一般定義および選択肢」の節に挙げられているか、または下記の「特定の、また好ましいサブグループ」の節に挙げられるいずれの基であってもよく、このような基は非置換であっても、あるいは本明細書で定義される1以上の置換基R^(10)で置換されていてもよい。
【0151】
二環式複素環式基は一般に縮合環二環式基またはスピロ環式基であり、より一般には縮合環二環式基である。本発明において対象とする特定の縮合環系は、5.6および6.6縮合環系である。これらの二環式複素環式基では、その環の一方は複素環式環であって、他方が炭素環式環であってもよいし、あるいは両環が複素環式であってもよい。
【0152】
化合物の1つのサブグループでは、二環式複素環式基の一方が非芳香族であって、他方が芳香族である。好ましくは、基NR^(5)R^(6)の窒素原子は、この非芳香環の一部をなす。
このような基の特定の例として、ジヒドロインドール、ジヒドロイソインドール、テトラヒドロキノリンおよびテトラヒドロイソキノリン基がある。
【0153】
このような基のより特定の例としては、ジヒドロインドール、ジヒドロイソインドール、テトラヒドロキノリンおよびテトラヒドロイソキノリン基があるが、ここで、テトラヒドロイソキノリン基はその非芳香環に置換基を持たない。
【0154】
これらの二環式複素環式環は場合により、本明細書で定義される1以上の置換基R^(10)で置換されていてもよい。
【0155】
一つの実施態様では、この二環式複素環式環は、本明細書で定義される1、2または3個の置換基R^(10)で置換されている。
【0156】
もう1つの実施態様では、この二環式複素環式環は、本明細書で定義される1または2個の置換基R^(10)で置換されている。
【0157】
置換基R^(10)は、その二環式複素環式基を構成している2環のいずれか、または双方に結合していてよい。一つの実施態様では、基NR^(5)R^(6)の窒素原子を含む環は置換基R^(10)を持たない。もう1つの実施態様では、基NR^(5)R^(6)の窒素原子を含む環は置換基R^(10)を有するが、その置換基はカルボン酸基以外である。
【0158】
化合物の1つのサブグループでは、この二環式複素環式基は非置換型であっても、あるいはハロゲン、ヒドロキシ、アミノおよび基R^(a)-R^(b)(ここで、R^(a)は結合、O、CO、C(O)O、C(O)NR^(c)、NR^(c)C(O)、NR^(c)C(O)O、NR^(c)、SO、SO_(2)、SONR^(c)、およびSO_(2)NR^(c)から選択され、R^(b)は水素;5または6環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、アミノ、モノ-またはジ-C_(1-8)非芳香族ヒドロカルビルアミノ(例えば、モノ-またはジ-C_(1-4)ヒドロカルビルアミノ)、カルボキシ、および3?7環員を有する炭素環式基および複素環式基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよいC_(1-10)ヒドロカルビル(例えば、C_(1-8)アルキルまたはC_(3ー7)シクロアルキルなどのC_(1-8)ヒドロカルビル)(ここで、このC_(1ー8)ヒドロカルビル基の1以上の炭素原子はO、S、C(O)O、C(O)NR^(c)またはNR^(c)により置き換えられていてもよい)からなる基R^(1Oa)から選択される1、2または3個(好ましくは、1または2個)の置換基により置換されている。
【0159】
この化合物のサブグループ、ならびにそのサブグループ、選択肢および例の範囲内で、C_(1ー8)ヒドロカルビル基の1以上の炭素原子がO、S、C(O)O、C(O)NR^(c)またはNR^(c)で置き換えられていてもよいと記載されている場合、そのエステル基およびアミド基の配向は、特に断りのない限り、いずれの向きであってもよい。
【0160】
上記のサブグループでは、R^(b)が炭素環式基または複素環式基である場合、この炭素環式基または複素環式基は本明細書で定義される1以上の置換基R^(10)で置換されていてもよい。例えば、R^(b)が炭素環式基または複素環式基である場合、この炭素環式基または複素環式基は、CO_(2)R^(14)(ここで、R^(14)は水素またはC_(1ー6)アルキルである);ヒドロキシまたはC_(1-2)アルコキシで置換されていてもよいC_(1-4)アルキル;ヒドロキシまたはC_(1ー2)アルコキシで置換されていてもよいC_(1-4)アルコキシ;または基[sol]、CH_(2)[sol]、C(O)[sol]、OCH_(2)CH_(2)[sol]またはOCH_(2)CH_(2)CH_(2)[sol](ここで、[sol]は下記に定義される通りである)から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0161】
より特定のサブグループでは、この二環式複素環式基は非置換型であるか、あるいはハロゲン、OH、NH_(2)、CH_(2)OH、CH_(2)NH_(2、)O-C_(1-6)-アルキル、NH-C_(1-6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、C_(3-7)シクロアルキル、ヘテロシクリル、O-ヘテロアリール、O-C_(3-7)シクロアルキル、O-ヘテロシクロアルキル、C(=O)C_(1-6)アルキル、C(=O)OC_(1-6)アルキル、C(=O)NH_(2)、C(=O)NHC_(1-6)アルキル、C(=O)N(C_(1-6)アルキル)_(2)、NH(C_(1-6)アルキル)、N(C_(1-6)アルキル)_(2)、NC(=O)C_(1-6)アルキル、C_(6)アリール、OC_(6)アリール、C(=O)C_(6)アリール、C(=O)OC_(6)アリール、C(=O)NH_(2)、C(=O)NHC_(6)アリール、C(=O)N(C_(6)アリール)_(2)、NH(C_(6)アリール)、N(C_(6)アリール)_(2)、NC(=O)C_(6)アリール、C_(5-6)ヘテロシクリル、OC_(5-6)ヘテロシクリル、C(=O)C_(5-6)ヘテロシクリル、C(=O)OC_(5-6)ヘテロシクリル、C(=O)NHC_(5-6)ヘテロシクリル、C(=O)N(C_(5-6)ヘテロシクリル)_(2)、NH(C_(5-6)ヘテロシクリル)、N(C_(5-6)ヘテロシクリル)_(2)、NC(=O)C_(5-6)ヘテロシクリル、C(=O)NHC_(1-6)アルキル、C_(5-6)アリール、S(=O)C_(1-6)アルキル、S(=O)N-C_(1-6)アルキルおよびSO_(2)N-C_(1-6)アルキル;ならびに基[sol]、CH_(2)[sol]、またはOCH_(2)CH_(2)[sol]からなる基R^(10b)から選択される1、2または3個(好ましくは、1個または2個)の置換基で置換されている。ここで、[sol]は以下の基から選択される。
【0162】
【化3】

【0163】
化合物のもう1つのサブグループでは、この二環式環は非置換であるか、あるいは1、2または3個(例えば、1個または2個、例えば1個)の基R^(1Oc)(ここで、R^(1Oc)は基[sol]、CH_(2)[sol]、またはOCH_(2)CH_(2)[sol]で置換されており、ここで、[sol]は以下の基:
【化4】

から選択され、(i)R^(1Oc)は場合によりさらに基OCH_(2)CH_(2)CH_(2)[sol]から選択され、かつ/または(ii)[sol]はさらにNHR^(11)(ここで、R^(11)はCOR^(12)またはR^(12)であり、R^(12)はC_(1-4)アルキル、アリールまたはアリール-C_(1-4)アルキルである)から選択される。
【0164】
化合物のもう1つのサブグループでは、この二環式環は非置換型であるか、あるいは1個または2個の置換基R^(10cc)で置換されており、ここで、R^(1Occ)は、
ハロゲン;
CO_(2)R^(14)(ここで、R^(14)は水素またはC_(1ー6)アルキルである);
ヒドロキシまたはC_(1-2)アルコキシにより置換されていてもよいC_(1-4)アルキル;ヒドロキシまたはC_(1-2)アルコキシにより置換されていてもよいC_(1-4)アルコキシ;または
基[sol]、CH_(2)[sol]、C(O)[sol]、OCH_(2)CH_(2)[sol]もしくはOCH_(2)CH_(2)CH_(2)[sol]から選択され、ここで、[sol]は以下の基:
【化5】

[ここで、X^(4)はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R^(11)は水素、COR^(12)、C(O)OR^(12)またはR^(12)であり;R^(12)はC_(1-6)アルキル、C_(3-6)シクロアルキル、アリール、アリール-C_(1-6)アルキルまたはCH_(2)R^(15)であり;かつ、R^(15)は水素、C_(1-6)アルキル、C_(3-6)シクロアルキル、ヒドロキシ-C_(1-6)アルキル、ピペリジン、N-C_(1-6)アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR^(13)またはC(O)OR^(13)から選択され;かつ、R^(13)はC_(1-6)アルキルである]
から選択される。
【0165】
化合物のさらなるサブグループでは、この二環式環は非置換であるか、あるいは1個または2個の置換基R^(10ccc)で置換されており、ここで、R^(1Occc)は、基[sol]またはCH_(2)[sol]から選択され、ここで、[sol]は以下の基:
【化6】

[ここで、X^(4)はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R^(11)は水素、COR^(12)、C(O)OR^(12)またはR^(12)であり;R^(12)はC_(1-6)アルキル、C_(3-6)シクロアルキル、アリール、アリール-C_(1-6)アルキルまたはCH_(2)R^(15)であり;かつ、R^(15)は水素、C_(1-6)アルキル、C_(3-6)シクロアルキル、ヒドロキシ-C_(1-6)アルキル、ピペリジン、N-C_(1-6)アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR^(13)またはC(O)OR^(13)から選択され;かつ、R^(13)はC_(1-6)アルキルである]
から選択される。
【0166】
化合物のもう1つのサブグループでは、R^(1Ob)またはR^(1Oc)またはR^(IOcc)が基[sol]、CH_(2)[sol]、OCH_(2)CH_(2)[sol]またはOCH_(2)CH_(2)CH_(2)[sol]であり、[sol]が第一級または第二級アミン基を含む場合、この第一級または第二級アミン基は、アミド、カルバメートまたは尿素などのアシル誘導体を形成するように誘導体化することができる。例えば、このアミン基はC_(1-4)アルコキシカルボニルアミノ基またはベンジルオキシカルボニルアミノ基などのカルバメートを形成するように誘導体化することができる。
【0167】
化合物の1つのサブグループでは、R^(5)およびR^(6)は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよいジヒドロイソインドール基を形成しており、ここで、任意の置換基は本明細書で定義される基R^(10)、R^(1Oa)、R^(1Ob)、R^(1Oc)およびR^(10cc)ならびにそのサブグループおよび例から選択される。
【0168】
基NR^(5)R^(6)の特定の例を表2に示す。カルボニル基との結合点はアステリスクにより示されている。
【0169】
表2
【表2】




【0170】
好ましい基NR^(5)R^(6)の1つのセットは、基B8およびB30からなる。
【0171】
もう1つの好ましい基NR^(5)R^(6)は基B8である。
【0172】
好ましい基NR^(5)R^(6)のさらなるセットは、基B8、B35、B36、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B43、B45、B46、B48、B53、B54、B55、B55、B57、B58、B59、B60、B61およびB62からなる。
【0173】
好ましい基NR^(5)R^(6)のさらなるセットは、基B8、B35、B36、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B43、B45、B46、B48、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61およびB62からなる。
【0174】
好ましい基のもう1つのセットは、B8、B35、B36、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B43、B45、B46、B48、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B71、B72、B74、B75、B76、B77、B78、B79、B80、B81、B82、B83、B85、B86、B87、B93、B94、B95、B97、B98、B99、B100およびB101からなる。
【0175】
基NR^(5)R^(6)のさらなるサブセットは、B43、B46、B48、B76、B82、B89、B91およびB96からなる。このサブセットの中で、より好ましい基としては、基B43、B46、B48、B76、B82、B89およびB91であり、B76、B82およびB89が特に好ましい。
【0176】
特定の好ましいサブグループ
本発明の新規な化合物の1つのサブグループは一般式(II):
【化7】

[式中、R^(3a)は、水素、ハロゲン、シアノ、C_(1ー5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択され、ここで、このC_(1ー5)ヒドロカルビルおよびC_(1ー5)ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
R^(4)は、水素;基-(O)_(n)-R^(7)(ここで、nは0または1であり、R^(7)は非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基、または3?7環員を有する単環式炭素環式基もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ-またはジ-C_(1-5)ヒドロカルビル-アミノから選択され、ここで、この非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ-C_(1-5)ヒドロカルビルアミノ部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
あるいはR^(3a)およびR^(4)は一緒になって5?7環員の単環式炭素環式環または複素環式環を形成し;
R^(5)およびR^(6)は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、12環員まで(例えば、8?12環員または9?10環員)(このうち5個以下の環員が酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子である)を有する二環式基を形成し;かつ
R^(8)は水素およびフッ素から選択される]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドである。
【0177】
本発明の新規な化合物のもう1つのサブグループは一般式(III):
【化8】

[式中、R^(3b)は、水素、ハロゲン、シアノ、C_(1ー5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択され、ここで、このC_(1ー5)ヒドロカルビルおよびC_(1ー5)ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
R^(4)は、水素;基-(O)_(n)-R^(7)(ここで、nは0または1であり、R^(7)は非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基、または3?7環員を有する単環式炭素環式基もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ-またはジ-C_(1-5)ヒドロカルビル-アミノから選択され、ここで、この非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ-C_(1-5)ヒドロカルビルアミノ部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
あるいはR^(3b)およびR^(4)は一緒になって5?7環員の単環式炭素環式環または複素環式環を形成し;
R^(5)およびR^(6)は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、12環員まで(例えば、8?12環員または9?10環員)(このうち5個以下の環員が酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子である)を有する二環式基を形成し;かつ
R^(8)は水素およびフッ素から選択される]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドである。
【0178】
本発明の新規な化合物のさらなるサブグループは一般式(IV):
【化9】

[式中、
R^(2a)は、ヒドロキシおよびメトキシから選択され(好ましくは、ヒドロキシ);
R^(3c)は、水素、ハロゲン、シアノ、C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択され、ここで、C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
R^(4)は、水素;基-(O)_(n)-R^(7)(ここで、nは0または1であり、R^(7)は非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基、または3?7環員を有する単環式炭素環式基もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ-またはジ-C_(1-5)ヒドロカルビル-アミノから選択され、ここで、この非環式C_(1-5)ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ-C_(1-5)ヒドロカルビルアミノ部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
R^(5)およびR^(6)は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、12環員まで(例えば、8?12環員または9?10環員)(このうち5個以下の環員が酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子である)を有する二環式基を形成し;かつ
R^(8)は水素およびフッ素から選択される]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドである。
【0179】
式(II)、(III)および(IV)の範囲内で、化合物の特定のサブグループは、NR^(5)R^(6)が10環員まで(例えば、9または10環員、好ましくは9環員)(このうち5個以下の環員がO、NおよびSから選択されるヘテロ原子である)の二環式環を形成しているものであり、この単環式(monocylic)環または二環式環は、3個までの本明細書で定義される置換基R^(10)、R^(1Oa)、R^(10b)、R^(1Oc)およびR^(1Occ)、より一般には2個までの置換、例えば1個までの置換基で置換されていてもよい。
【0180】
二環式複素環式基NR^(5)R^(6)のより特定の置換基は、サブグループR^(10c)のメンバーと、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、メチル、エチル、シクロプロピル、ヒドロキシ、メチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、オキソ、メトキシメチル、カルボキシ、フェニル、C_(1-2)アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アセチル、メチルスルホニルおよびピリジルからなるサブグループR^(1Od)の一部を形成するものである。このサブグループの範囲内で、置換基の1つのサブグループとしては、メチル、エチル、クロロ、フルオロ、ヒドロキシ、メチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシメチル、シクロプロピル、ヒドロキシエチル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、オキソ、メトキシメチルおよびアセチルが挙げられる。
【0181】
例えば、NR^(5)R^(6)は、9または10環員(このうち1?3個はヘテロ原子である)の5.6または6.6縮合二環式環を形成することができ、この二環式環は、本明細書で定義される1以上の置換基R^(10)またはR^(1Oa)またはR^(10b)またはR^(1Oc)またはR^(1Occ)またはR^(10d)ならびにそのサブグループ(サブセット)および例で置換されていてもよい。
【0182】
このサブグループの範囲内で、縮合二環式環の例としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリン環などの非芳香環が、ベンゼンまたはピリジン環などの6員のアリールまたはヘテロアリール環と縮合しており、この非芳香環に存在する窒素原子が式(II)、(III)または(IV)のカルボニル基と結合しているものがある。
【0183】
特定の縮合二環式環としては、ジヒドロインドール、ジヒドロイソインドール、テトラヒドロキノリンおよびテトラヒドロイソキノリン、ならびに芳香環の1または2個の炭素環員が窒素で置換されているそのアザ類似体が挙げられる。
【0184】
NR^(5)R^(6)により形成される二環式複素環式基の1つのサブグループは、本明細書で定義される基R^(10)、R^(1Oa)、R^(10b)およびR^(1Oc)またはR^(1Occ)および/またはR^(10d)ならびにそのサブグループ(サブセット)および例から選択される1以上(例えば、1、2または3個)の任意の置換基により置換されていてもよいジヒドロイソインドールからなる。
【0185】
好ましい化合物としては、基R^(3a)またはR^(3b)またはR^(3c)が水素、ハロゲンおよびC_(1-5)アルキルから選択されるものがあり、このC_(1ー5)アルキル部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシおよびアミノから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0186】
より好ましくは、基R^(3a)またはR^(3b)またはR^(3c)は、水素、またはヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシおよびアミノから選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC_(3-5)アルキル基である。特に、基R^(3a)またはR^(3b)またはR^(3c)は、水素ならびにイソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチルおよび1,2-ジメチルプロピル基から選択される。
【0187】
本発明の化合物のもう1つのサブグループは、式(V):
【化10】

[式中、R^(1)は水素またはヒドロキシであり;R^(2a)はヒドロキシまたはメトキシであり(ただし、R^(1)およびR^(2a)の少なくとも一方はヒドロキシである);R^(3d)は、エチルならびに3?6個の炭素原子の第二級および第三級アルキル基から選択され;R^(4a)は、水素、フッ素、塩素およびメトキシから選択され;かつ、R^(5)、R^(6)およびR^(8)は本明細書で定義される通りである(ただし、R^(1)およびR^(2)がともにヒドロキシである場合、R^(3d)はさらに水素から選択することができる)]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドである。
【0188】
一つの実施態様では、R^(1)およびR^(2)がともにヒドロキシである場合、R^(3d)は水素である。
【0189】
もう1つの実施態様では、R^(3d)はエチルまたは第二級もしくは第三級アルキル基である。特に好ましいアルキル基R^(3d)は、エチル、イソプロピルおよびtert-ブチルであり、特にはイソプロピルである。
【0190】
式(II)?(V)の範囲内で、好ましい基NR^(5)R^(6)はジヒドロイソインドール基であり、このジヒドロイソインドール基は非置換型であってもよいし、あるいは本明細書で定義される1、2または3個の基R^(10)、R^(1Oa)またはR^(1Ob)またはR^(1Oc)またはR^(1Occ)またはR^(1Od)ならびにそのサブグループ(サブセット)および例で置換されていてもよいが、特定の実施態様では非置換型である。
【0191】
化合物のもう1つの好ましいサブセットは、式(VI):
【化11】

[式中、R^(1)はヒドロキシまたは水素であり;R^(2a)はヒドロキシまたはメトキシ(好ましくは、ヒドロキシ)であり(ただし、R^(1)およびR^(2a)の少なくとも一方はヒドロキシである);環Bは2個まで(好ましくは、0または1個)の窒素ヘテロ原子環員を含む芳香環であり;Tは基(CHR^(10))_(j)であり、Qは基(CHR^(10))_(k)であり、ここで、jおよびkは各々0、1、2または3であり(ただし、jとkの和は2または3である);nは0、1、2または3であり、R^(3)、R^(4a)、R^(8)およびR^(10)は本明細書で定義される通りである]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドである。
【0192】
化合物のもう1つの好ましいサブセットは、式(VIa):
【化12】

[式中、R^(1)はヒドロキシまたは水素であり;R^(2a)はヒドロキシまたはメトキシ(好ましくは、ヒドロキシ)であり(ただし、R^(1)およびR^(2a)の少なくとも一方はヒドロキシである);環Bは2個まで(好ましくは、0または1個)の窒素ヘテロ原子環員を含む芳香環であり;Tは基(CHR^(10b))_(j)であり、Qは基(CHR^(10b))_(k)であり、ここで、jおよびkは各々0、1、2または3であり(ただし、jとkの和は2または3である);nは0、1、2または3であり、R^(3)、R^(4a)、R^(8)およびR^(10b)は本明細書で定義される通りである]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドである。
【0193】
式(VI)または式(VIa)の範囲内の化合物の1つのサブグループでは、R^(1)は水素である。
【0194】
式(VI)または式(VIa)の範囲内の化合物のもう1つのサブグループでは、R^(1)はヒドロキシである。
【0195】
式(VI)では、二環式基:
【化13】

の例としては、以下の基C1?C6が挙げられる。
【化14】

【0196】
好ましい基は基C1、C5およびC6である。
【0197】
基C1?C6では、部分R^(10)は以上に定義される基R^(10)であってもよいし、あるいは本明細書で定義される基R^(10b)、R^(1Oc)、R^(1Occ)またはR^(10ccc)であってもよい。各場合において、nは好ましくは1、2または3、より好ましくは1または2、例えば1である。
【0198】
現在のところ好ましい基は基C1である。
【0199】
式(VI)の範囲内で、化合物の1つの特定の群は、式(VII):
【化15】

[式中、R^(1)、R^(2a)、R^(3)、R^(4a)、R^(8)およびR^(10b)は本明細書で定義される通りであり、nは0、1、2または3(より好ましくは、0、1または2、例えば、0または1)である(ただし、R^(1)およびR^(2a)の少なくとも一方はヒドロキシである)]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドである。
【0200】
式(VI)および(VII)の範囲内で、置換基R^(3)は好ましくは本明細書で定義される基R^(3d)であり、かつ/または置換基R^(10b)は存在しないか(n=0)、または本明細書で定義される基R^(1Oc)およびR^(10d)ならびにそのサブグループ(サブセット)および例から選択される。好ましくは、R^(1)およびR^(2a)はともにヒドロキシである。
【0201】
式(VII)の範囲内の本発明の化合物の1つの特定の群は、式(VIIa):
【化16】

[式中、R^(3)は水素、ハロゲン、C_(1-5)アルキル、C_(2-5)アルケニルおよびC_(3ー4)シクロアルキル基から選択され;R^(4a)は水素、フッ素、塩素およびメトキシから選択され;R^(8)は水素またはフッ素であり;nは0、1、2または3であり;かつ、R^(10)は本明細書で定義される通りである]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドである。
【0202】
式(VIIa)の範囲内で、R^(10)は、例えば、1、2または3個の本明細書で定義される基R^(1Oa)またはR^(10b)またはR^(10c)またはR^(1Occ)またはR^(10d)ならびにそのサブグループ(サブセット)および例から選択することができる。
【0203】
式(VII)の範囲内の化合物の1つの好ましい群は、式(VIIb):
【化17】

[式中、R^(3)は水素、ハロゲン、C_(1-5)アルキル、C_(2-5)アルケニルおよびC_(3ー4)シクロアルキル基から選択され;R^(4a)は水素、フッ素、塩素およびメトキシから選択され;R^(8)は水素またはフッ素であり;nは0、1、2または3であり;かつ、R^(10cc)は、
ハロゲン;
CO_(2)R^(14)(ここで、R^(14)は水素またはC_(1ー6)アルキルである);
ヒドロキシまたはC_(1-2)アルコキシにより置換されていてもよいC_(1-4)アルキル;ヒドロキシまたはC_(1-2)アルコキシにより置換されていてもよいC_(1-4)アルコキシ;または
基[sol]、CH_(2)[sol]、C(O)[sol]、OCH_(2)CH_(2)[sol]もしくはOCH_(2)CH_(2)CH_(2)[sol]から選択され、ここで、[sol]は以下の基:
【化18】


{ここで、X^(4)はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R^(11)は水素、COR^(12)、C(O)OR^(12)またはR^(12)であり;R^(12)はC_(1-6)アルキル、C_(3-6)シクロアルキル、アリール、アリール-C_(1-6)アルキルまたはCH_(2)R^(15)であり;かつ、R^(15)は水素、C_(1-6)アルキル、C_(3-6)シクロアルキル、ヒドロキシ-C_(1-6)アルキル、ピペリジン、N-C_(1-6)アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR^(13)またはC(O)OR^(13)から選択され;かつ、R^(13)はC_(1-6)アルキルである}
から選択される]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN-オキシドである。
【0204】
さらなる実施態様では、この化合物は本明細書で定義される式(VI)、(VII)および(VIIa)の化合物のアザ-またはジアザ-類似体であってよく、ここで、この5員環に結合しているベンゼン環の1または2個の炭素原子は窒素により置き換えられている。
【0205】
例えば、式(VIIa)の化合物における基:
【化19】

は、
【化20】

により置き換えられていてもよい。
【0206】
本明細書で定義される式(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)および(VIIb)およびそのサブグループの各々では、nは好ましくは1、2または3であり、より好ましくは1または2である。一つの実施態様では、nは1である。
【0207】
本発明の特定の化合物としては、
(5-クロロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(2,3-ジヒドロ-インドール-1-イル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(3,4-ジヒドロ-2H-キノリン-1-イル)-メタノン;
(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(1,4-ジオキサ-8-アザ-スピロ[4.5]デク-8-イル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル-メタノン;
8-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンゾイル)-2-メチル-2,8-ジアザ-スピロ[4.5]デカン-1-オン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(5-エチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-メタノン;
(5-シクロプロピル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(5-sec-ブチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-メタノン;
(5-クロロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
[5-(3-アミノ-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノン;
(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(5-tert-ブチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2-ヒドロキシ-5-イソプロピル-4-メトキシ-フェニル)-メタノン;
(4,7-ジフルオロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-フルオロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(3-フルオロ-2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2-フルオロ-4,6-ジヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(4-フルオロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン塩酸塩;
(5-クロロ-6-メトキシ-1,3-ジヒドロ-イソ-インドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-メトキシ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル)-メタノン;
(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(5-アミノ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-メトキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-モルホリン-4-イル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メチルエステル;
2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-モルホリン-4-イルメチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
{3-[2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルオキシ]-プロピル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-メチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-イソプロピルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
N-{2-[2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルオキシ]-エチル}-2-モルホリン-4-イル-アセトアミド;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{5-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ピペラジン-1-イル-フェニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(1-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(ピペラジン-1-カルボニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン塩酸塩;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノン;
[5-(2-アミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{5-[4-(2-ヒドロキシ-エチル)-ピペラジン-1-イル]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-モルホリン-4-イル-ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(1-メチル-ピペリジン-4-イルアミノ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-イソプロピル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ピペラジン-1-イル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
4-[2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルアミノ]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(ピペリジン-4-イルアミノ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(ピペリジン-4-イルアミノ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ジメチルアミノメチル-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-カルボニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{5-[2-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-エトキシ]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン;
[5-(2-シクロペンチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ピペリジン-1-イルメチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノン;
(5-クロロ-6-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
ならびにその塩、溶媒和物、N-オキシドおよび互変異性体が挙げられる。
【0208】
式(I)の好ましい個々の化合物としては、
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(1-メチル-ピペリジン-4-イルアミノ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ピペラジン-1-イル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ジメチルアミノメチル-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)-メタノン;
またはその塩、溶媒和物、N-オキシドおよび互変異性体がある。
【0209】
個々の化合物の特に好ましいセットは、
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;および
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(1-メチル-ピペリジン-4-イルアミノ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;またはその塩、溶媒和物または互変異性体からなる。
【0210】
不明瞭とならないように、R^(1)基の各々の一般的かつ具体的な選択肢、実施態様および例は、本明細書で定義される基R^(2)および/またはR^(3)および/またはR^(4)および/またはR^(5)および/またはR^(6)および/またはR^(10)および/またはQおよび/またはTおよび/またはそのサブグループの各々の一般的かつ具体的な選択肢、実施態様および例と組み合わせることができ、このような組合せは全て本発明に包含されると理解すべきである。
【0211】
式(I)の化合物を構成する種々の官能基および置換基は、一般に式(I)の化合物の分子量が1000を超えないように選択される。より一般的には、化合物の分子量は750未満、例えば、700未満、または650未満、または600未満、または550未満である。より好ましくは、分子量は525未満、例えば、500以下である。
【0212】
塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N-オキシド、エステル、プロドラッグおよび同位体
式(I)の化合物およびそのサブグループという場合には、例えば、後述するようなそのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N-オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態;好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN-オキシドまたは溶媒和物;より好ましくは、その塩または互変異性体またはN-オキシドまたは溶媒和物も含む。
【0213】
式(I)の多くの化合物は、塩、例えば、酸付加塩またはある場合には、有機塩基および無機塩基の塩、例えば、フェノール酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩の形態で存在し得る。このような塩は全て本発明の範囲内にあり、式(I)の化合物という場合には、それら化合物の塩形態も含む。
【0214】
本発明の塩は、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.Heinrich Stahl(Editor),Camille G.Wermuth(Editor),ISBN:3-90639-026-8,Hardcover,388 pages,August 2002に記載されている方法などの通常の化学法により、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸型または遊離塩基型を、水中または有機溶媒中、または両者の混合物中の適当な塩基または酸と反応させることにより製造することができ、一般には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が用いられる。
【0215】
酸付加塩は、無機および有機双方の多様な酸で形成できる。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、酪酸、(+)樟脳酸、カンファー-スルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-二スルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、(+)-L-乳酸、(±)-DL-乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-二スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデシレ酸および吉草酸からなる群から選択される酸、ならびにアシル化アミノ酸および陽イオン交換樹脂により形成された塩が挙げられる。
【0216】
化合物が陰イオン性であるか、または陰イオン性となり得る官能基(例えば、-COOHは-COO^(-)となり得る)を有する場合には、塩は、好適な陽イオンを伴って形成できる。好適な無機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、Na^(+)およびK^(+)などのアルカリ金属イオン、Ca^(2+)およびMg^(2+)などのアルカリ土類陽イオン、ならびにAl^(3+)などの他の陽イオンが挙げられる。好適な有機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH_(4)^(+))および置換アンモニウムイオン(例えば、NH_(3)R^(+)、NH_(2)R_(2)^(+)、NHR_(3)^(+)、NR_(4)^(+))が挙げられる。
いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸類に由来するのものが挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例として、N(CH_(3))_(4)^(+)が挙げられる。
【0217】
式(I)の化合物がアミン官能基を含む場合、これらは、例えば当業者に周知の方法に従ったアルキル化剤との反応により、第四級アンモニウム塩を形成し得る。このような第四級アンモニウム化合物も式(I)の範囲内にある。
【0218】
本発明の化合物の塩形態は典型的には医薬上許容される塩であり、医薬上許容される塩の例は、Berge et al.,1977,“Pharmaceutically acceptable salts”,J.?Pharm.Sci.,Vol.66,pp.1-19に述べられている。しかしながら、医薬上許容されない塩も中間形態として製造されてよく、これらはその後医薬上許容される塩へと変換することができる。このような医薬上許容されない塩形態も、例えば本発明の化合物の精製または分離に有用である場合があり、本発明の一部をなす。
【0219】
また、アミン官能基を含む式(I)の化合物はN-オキシドを形成し得る。本明細書においてアミン官能基を含む式(I)の化合物という場合には、N-オキシドも含む。
【0220】
化合物がいくつかのアミン官能を含む場合には、1以上の窒素原子を酸化して、N-オキシドを形成できる。N-オキシドの特定の例として、窒素含有複素環の第三級アミンまたは窒素原子のN-オキシドがある。
【0221】
N-オキシドは、過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)のような酸化剤で対応のアミンを処理することにより形成できる(例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4th Edition,Wiley Interscience,pages.参照)。より具体的には、N-オキシドは、L.W.Deady(Syn.Comm.1977,7,509-514)の方法により製造することができ、この方法では、アミン化合物を、例えば、ジクロロメタンのような不活性溶媒中、m-クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応させる。
【0222】
式の(I)の化合物は、多数の異なる幾何異性型および互変異性型で存在することができ、式(I)の化合物には、このような形態の全てが含まれる。不明確とならないように、化合物は、いくつかの幾何異性型または互変異性型のうちの1つで存在でき、1つのみが具体的に記載または表示されている場合にも、他の全てのものがやはり式(I)に含まれる。
【0223】
互変異性型の例としては、例えば、ケト型、エノール型、およびエノレート型があり、例えば、次の互変異性体対:ケト/エノール(下記に示す)、イミン/エタミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、およびニトロ/アシ-ニトロなどの場合がある。
【化21】

【0224】
式(I)の化合物が1以上のキラル中心を含み、かつ、2以上の光学異性体の形態で存在し得る場合、式(I)の化合物には、特に断りのない限り、その全ての光学異性型(例えば、鏡像異性体、エピマーおよびジアステレオ異性体)を、個々の光学異性体として、混合物(例えば、ラセミ混合物)または2以上の光学異性体として含む。
【0225】
これらの光学異性体はそれらの光学活性(すなわち、+および-異性体、またはdおよびl異性体として)特徴付けおよび同定することができるか、あるいは、それらの絶対的立体化学から、Cahn,Ingold and Prelog(Advanced Organic Chemistry by Jerry March,4th Edition,John Wiley & Sons,New York,1992,pages 109-114参照、また、Cahn,Ingold & Prelog,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1966,5,385-415も参照)によって開発された「RおよびS」命名法を用いて特徴付けることができる。
【0226】
光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)をはじめとするいくつかの技術によって分離することができ、このような技術は当業者に周知のものである。
【0227】
キラルクロマトグラフィーの別法として、光学異性体を、(+)-酒石酸、(-)-ピログルタミン酸、(-)-ジ-トルオイル-L-酒石酸、(+)-マンデル酸、(-)-リンゴ酸、および(-)-カンファースルホン酸などのキラル酸によりジアステレオ異性体塩を形成させ、優先的結晶化によりそのジアステレオ異性体を分離した後、それらの塩を解離させて遊離塩基の個々の鏡像異性体を得ることにより、分離することができる。
【0228】
式(I)の化合物が2以上の光学異性型で存在する場合、鏡像異性体対のうち一方の鏡像異性体は他方の鏡像異性体よりも、例えば生物活性の点で優位性を示すことがある。従って、ある状況では、鏡像異性体対の一方のみ、または複数のジアステレオ異性体の1つのみを治療薬として使用するのが望ましい場合がある。よって、本発明は、1以上のキラル中心を有する式(I)の化合物を含有し、式(I)の化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在している組成物を提供する。一般的な一つの実施態様では、式(I)の化合物の総量の99%以上(例えば、実質的に全部)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在することができる。
【0229】
本発明の化合物は、1以上の同位元素置換を有する化合物を含み、特定の元素は、その範囲内にその元素の全ての同位元素を含む。例えば、水素の場合、その範囲内に^(1)H、^(2)H(D)、および^(3)H(T)を含む。同様に、炭素および酸素の場合は、それらの範囲内にそれぞれ^(12)C、^(13)Cおよび^(14)Cと、^(16)Oおよび^(18)Oを含む。
【0230】
これらの同位元素は放射性であっても非放射性であってもよい。本発明の一つの実施態様では、これらの化合物は非放射性同位元素を含む。このような化合物は治療用として好ましい。しかしながら、もう1つの実施態様では、これらの化合物は1以上の放射性同位元素を含んでもよい。このような放射性同位元素を含む化合物は診断の場合に有用であり得る。
【0231】
カルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のエステル、例えば、カルボン酸エステルおよびアシルオキシエステルも、式(I)に包含される。エステルの例としては、基-C(=O)OR(式中、Rは、エステル置換基、例えば、C_(1-7)アルキル基、C_(3-20)ヘテロシクリル基またはC_(5-20)アリール基、好ましくはC_(1-7)アルキル基である)を含む化合物が挙げられる。エステル基の特定の例としては、限定されるものではないが、-C(=O)OCH_(3)、-C(=O)OCH_(2)CH_(3)、-C(=O)OC(CH_(3))_(3)および-C(=O)OPhが挙げられる。アシルオキシ(逆エステル)基の例は、-OC(=O)R(式中、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、C_(1-7)アルキル基、C_(3-20)ヘテロシクリル基またはC_(5-20)アリール基、好ましくはC_(1-7)アルキル基である)で表される。アシルオキシ基の特定の例としては、限定されるものではないが、-OC(=O)CH_(3)(アセトキシ)、-OC(=O)CH_(2)CH_(3)、-OC(=O)C(CH_(3))_(3)、-OC(=O)Phおよび-OC(=O)CH_(2)Phが挙げられる。
【0232】
一般的な一つの実施態様では、式(I)ならびにその部分式、サブグループ、選択肢および例は、カルボン酸エステルおよびアシルオキシエステルなどのエステルを包含しない。
【0233】
特定の一つの実施態様では、式(I)ならびにその部分式、サブグループ、選択肢および例は、R^(2)がヒドロキシであり、エステルがヒドロキシ基R^(2)とともに形成されているヒドロキシ化合物のエステルを包含しない。
【0234】
また、式(I)には、化合物の多形相、化合物の溶媒和物(例えば、水和物)、錯体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との包接錯体または包接化合物、または金属との錯体)、および化合物のプロドラッグが含まれる。「プロドラッグ」とは、例えば、in vivoで式(I)の生物有効化合物に変換される化合物を意味する。
【0235】
例えば、いくつかのプロドラッグは、有効化合物のエステル(例えば、生理学的に許容される代謝上不安定なエステル)である。代謝の際、エステル基(-C(=O)OR)は開裂して活性薬物となる。このようなエステルは、例えば、親化合物におけるカルボン酸基(-C(=O)OH)のいずれかのエステル化により形成でき、適当であれば、親化合物に存在するいずれかの他の反応基を予め保護し、その後、必要に応じて脱保護する。
【0236】
このような代謝上不安定なエステルの例としては、式-C(=O)ORのものが挙げられ、ここで、Rは、
C_(1-7)アルキル
(例えば、-Me、-Et、-nPr、-iPr、-nBu、-sBu、-iBu、-tBu);
C_(1-7)アミノアルキル
(例えば、アミノエチル;2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル;2-(4-モルホリノ)エチル);およびアシルオキシ-C_(1-7)アルキル
(例えば、アシルオキシメチル;
アシルオキシエチル;
ピバロイルオキシメチル;
アセトキシメチル;
1-アセトキシエチル;
1-(1-メトキシ-1-メチル)エチル-炭素xイルオキシエチル;
1-(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ-カルボニルオキシメチル;
1-イソプロポキシ-カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル-カルボニルオキシメチル;
1-シクロヘキシル-カルボニルオキシエチル;
シクロヘキシルオキシ-カルボニルオキシメチル;
1-シクロヘキシルオキシ-カルボニルオキシエチル;
(4-テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;
1-(4-テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;
(4-テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および
1-(4-テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)
である。
【0237】
また、いくつかのプロドラッグは、酵素的に活性化されて有効化合物を生じるか、またはさらなる化学反応により有効化合物(例えば、ADEPT、GDEPT、LIDEPTの場合)を生じる化合物である。例えば、プロドラッグは、糖誘導体または他の配糖体であってもよいし、またはアミノ酸エステル誘導体であってもよい。
【0238】
生物活性
式(I)およびそのサブグループの化合物はHsp90の阻害剤であることから、広範な増殖性疾患の治療に有益であると期待される。このような増殖性疾患の例としては、限定されるものではないが、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、直腸腺癌および直腸腺腫のような結腸直腸癌)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌、例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、例えば、外分泌膵臓癌、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌、胃腸系の癌、例えば、消化管間質腫瘍、または皮膚癌、例えば、扁平上皮癌;リンパ系の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリーセルリンパ腫またはバーケットリンパ腫;骨髄系の造血系腫瘍、例えば、急性および慢性骨髄性白血病、イマチニブ感受性および不応性慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ボルテゾミブ感受性および不応性多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患または前骨髄球性白血病;甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍、例えば、線維肉腫または横紋筋肉種;中枢または末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽細胞種、神経膠腫または神経鞘腫;黒色腫;精上皮種;奇形癌;骨肉種;色素性乾皮症;角化棘細胞種;甲状腺濾胞癌;またはカポジ肉腫が挙げられる。
【0239】
これらの癌はHsp90阻害に感受性のある癌であり得、このような癌は「診断方法」と題された節に示される方法により判定することができる。
【0240】
癌の1つの群として、ヒト乳癌(例えば、原発性乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、浸潤性乳管腺癌、非類内膜乳癌);およびマントル細胞リンパ腫が挙げられる。さらに、他の癌として、結腸直腸癌および子宮内膜癌がある。
【0241】
癌の別のサブセットとしては、リンパ系の造血系腫瘍、例えば、白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫およびB細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)が挙げられ、場合によりさらに、慢性骨髄性白血病および多発性骨髄腫が挙げられる。
【0242】
癌の好ましいサブセットは、ErbB2陽性の乳癌、前立腺癌、肺癌、および胃癌;慢性骨髄性白血病;アンドロゲン受容体依存性前立腺癌;Flt3依存性急性骨髄性白血病;Braf突然変異に関連する黒色腫;多発性骨髄腫;ベルケード不応性多発性骨髄腫;および消化管間質腫瘍(GIST)からなる。
【0243】
これらのうち特定の好ましい癌は、本明細書で定義される多発性骨髄腫およびベルケード不応性腫瘍種である。
【0244】
Hsp90阻害剤は、ウイルス感染、寄生虫疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患、炎症、I型およびII型糖尿病、ならびに心疾患などの他の症状の治療にも使用することができる。
【0245】
Hsp90阻害剤はまた、移植および免疫抑制にも臨床上の利益を示し得る。
【0246】
Hsp90阻害剤はまた、既存の、または新規な治療薬と併用した場合に前記の疾病に臨床上の利益を示し得る。
【0247】
Hsp90クライアントタンパク質の活性と実験的証拠に基づけば、次の疾患がHsp90阻害剤による治療に特に感受性を持つと考えられる。
【0248】
ErbB2陽性の乳癌、前立腺癌、肺癌、および胃癌
ErbB2(HER-2)の過剰発現は乳癌の約30%に見られ、ヘルセプチンによるErbB2受容体のダウンレギュレーションは、細胞をタキソールに増感させた。ErbB2の過剰発現は予後の悪さと薬剤耐性に関連している(Tsugawa et.al.,1993.Oncology 1993;50:418)。
【0249】
肺癌における突然変異EGFR
L858Rおよびエキソンの欠失を含む、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)のキナーゼドメインの体細胞突然変異は、非小細胞肺癌(NSCLC)におけるゲフィチニブおよびエルロチニブ応答性の基礎にある。これらのチロシンキナーゼ阻害剤に対する獲得耐性には、いくつかの場合、もう1つの突然変異T790Mが介在する。ゲルダナマイシンなどのアンサマイシン系抗生物質は熱ショックタンパク質90(Hsp90)を強く阻害し、適切なコンフォメーションフォールディングにシャペロンを必要とする発癌性キナーゼのユビキチン媒介分解を促進する。EGFR突然変異細胞系統をゲルダナマイシンに曝すと、リン-AktおよびサイクリンD1の著しい枯渇ならびにアポトーシスが誘導された。これらのデータは、EGFRの突然変異的活性化が安定性のHsp90依存性に関連し、Hsp90の阻害がEGFR突然変異NSCLC処置の新規な戦略となり得ることを示唆する。
【0250】
慢性骨髄性白血病
異常なBCR-Ablタンパク質は染色体の転座により作り出され、構成的に活性なAblキナーゼドメインが生じる。この転座はCMLの原因であることが示されている。P210BcrAblはHsp90の既知のクライアントタンパク質である。BCR-Abl細胞系統K562をhsp90阻害剤で処理するとアポトーシスが誘導された。Bcr-Abl阻害剤Gleevec(登録商標)もまたK562細胞でアポトーシスを誘導するが、Gleevec(登録商標)耐性K562細胞はHsp90阻害剤に対する感受性を維持する(Gorre et.al.2002,Blood 100:3041-3044)。
【0251】
アンドロゲン受容体依存性前立腺癌
アンドロゲン受容体キナーゼはHsp90クライアントタンパク質である。外科術で癌を解決できない場合に通常、ホルモン補充療法が採用される。やがて受容体の突然変異により癌はこのホルモン類似体に不応となる。受容体のHsp90調節は突然変異後であってもやはり有効である。
【0252】
同じことがエストロゲン依存性乳癌についても言える。
【0253】
Flt3依存性急性骨髄性白血病
チロシンキナーゼ受容体Flt3の内部倍加により、その構成的活性化および発癌性がもたらされる。これらの内部倍加は報告されている全AML癌の20%で見られ、予後の悪さの指標となる。CMLにおけるのABLキナーゼの活性化とほぼ同様に、これは悪性腫瘍を生じる一遺伝子障害のもう1つの例に当たる。Flt3はHsp90クライアントタンパク質であることから、Hsp90阻害剤はこれらの患者に臨床上有益であるものと推測される(Bali et.al.,2004 Cancer Res.64(10):3645-52)。
【0254】
Braf突然変異に関連する黒色腫
Brafはセリン/トレオニンキナーゼをコードし、全ての黒色腫の70%で突然変異している。これらの80%が、BRAFに対する高いキナーゼ活性を与える単一のV599E点突然変異に相当する。この突然変異はまたNIH3T3細胞においても形質転換する(Bignell et.al.,2002 Nature.417(6892):949-54)。
【0255】
多発性骨髄腫
Hsp90阻害剤17-AAGは、ボルテゾミブ不応性多発性骨髄腫細胞系統の増殖を強く阻害する。IGF-1RおよびIL-6Rの細胞表面レベルはまた、17-aagで処理されたMM-1細胞でも減少する(Mitsiades et.al.,Blood,107:1092-1100,2006)。また、IL-6による多発性骨髄腫細胞の自己分泌刺激ならびに骨髄間質細胞のパラ分泌刺激もHsp90クライアントIKKのダウンレギュレーションを介して減少する。
【0256】
ベルケード不応性多発性骨髄腫
本発明の化合物は、二次マントル細胞リンパ腫、緩徐進行性非ホジキンリンパ腫、第IIIB期およびIV期細気管支肺胞上皮癌、進行性非小細胞肺癌、乳癌、前立腺癌および卵巣癌ならびに非ホジキンリンパ腫患者の治療を含む、ベルケード不応性腫瘍種の治療に使用することができる。
【0257】
消化管間質腫瘍(GIST)
GIST疾患、特に、増殖因子(例えば、c-kit)の活性化または過剰発現に依存する疾患。
【0258】
Hsp90阻害剤が臨床上有益であり得る他の症状または障害としては、限定されるものではないが、次のものがある。
【0259】
神経変性疾患
ハンチントン病(HD)は、有効な治療の無い進行性の神経変性疾患である。Hsp90のGA阻害およびその結果としてのHspのアップレギュレーションは、ニューロン細胞におけるハンチントンタンパク質の凝集の阻害に有効である(Sittler et.al.,2001,Human Molecular Genetics,Vol.10,No.12 1307-1315)。HSPのアップレギュレーションはまた、他のタンパク質ミスフォールディング型の疾患、例えば、CJDおよびアルツハイマー病にも臨床上有益である可能性がある。
【0260】
関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、および炎症性腸疾患を含む炎症性疾患
GAはHsp90からHSF-1を解離してHSF-1の活性化と核輸送をもたらすことが示されている。HSF-1は次に転写因子として働き、HSP90およびHsp70を誘導する。浮腫誘導マウスモデルにおいて、Hsp70の誘導は炎症の緩和に関連づけられている(Ianaro et al.,2004 Human Molecular Genetics,2001,Vol.10,No.12 1307-1315)。さらに、GA処置は、TNF-aまたはPMAによるIkappaBキナーゼ(IKK)の活性化を阻害した。IkBaはNf-kBおよびAp-1のレギュレーターである(Broemer et.al.2004)。Ap-1およびNf-kBは炎症性サイトカインの産生をもたらす主要な転写因子である(Yeo et.al.,2004 Biochem Biophys Res Commun.30;320(3):816-24)。また、炎症性サイトカイン転写物の安定性もp38MapKの阻害を介して調節される(Wax et.al.,2003.Rheumatism Vol.48,No.2,pp 541-550)。
【0261】
限定されるものではないが、腫瘍脈管形成、乾癬、関節リウマチ、および糖尿病性網膜症を含む脈管形成関連疾患
内皮細胞において、脈管形成の誘導はHsp90クライアントタンパク質であるeNOSおよびAktにより調節される(Sun and Liao,2004 Arterioscler Thromb Vase Biol.24(12):2238-44)。また、マウスモデルでは、低酸素誘導性因子(HIF)-1aの抑制は、胃の腫瘍の増殖、脈管形成および血管成熟を損なうことができる(Stoeltzing et.al.,2004 J Natl Cancer Inst;96:946-956)。
【0262】
I型およびII型糖尿病
Hsp90の阻害は、Aktシグナル伝達ならびにe-nosに著しい作用を示す。I型糖尿病における高グルコースにより誘導される内皮細胞アポトーシス(Lin et.al.,2005 J Cell Biochem.1;94(1):194-201)およびII型糖尿病における高血圧症の発症(Kobayashi et.al.,2004 Hypertension 44(6):956-62)の2つの重要なレギュレーターが存在する。
【0263】
免疫抑制および移植
Hsp90阻害は、T細胞の活性化に必要なT細胞特異的チロシンキナーゼであるLckをダウンレギュレーションすることが示されている(Yorgin et.al.,2000 J Immunol.15;164(6):2915-23)。
【0264】
心疾患
心虚血は、西洋社会において最も多い死因である。Hsp、特に、Hsp70(ラディシコール処置により誘導)はラット心筋細胞において心臓保護活性を示している(Griffin et.al.,2004)。Hsp90が阻害されると、シャペロン複合体からHSF-1が遊離し、次に、Hsp遺伝子の活性化が起こる。Hsp90の阻害はまた、HIF-1のダウンレギュレーションをもたらし、これが虚血性心疾患および脳卒中の病因と関連づけられている。
【0265】
感染症
C型肝炎ウイルスNS2/3プロテアーゼはHsp90クライアントタンパク質であり、Hsp90活性はウイルスのプロセシングおよび複製に必要である(Whitney et.al.,2001.Proc Natl Acad Sci U S A.20;98(24):13931-5)。
【0266】
寄生虫疾患
GAは熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のHsp90オーソログに対する抗マラリア活性が報告されている。マラリア原虫の増殖は、GAの、クロロキンで見られるものと同様のIC_(50)で阻害された。GAはまた、熱帯熱マラリア原虫のクロロキン耐性株に対しても有効である(Kamar et.al.,2003.Malar J.15;2(1):30)。
【0267】
本発明の化合物、例えばHsp90の阻害剤、の生物活性は、以下の実施例で示されるアッセイ、例えば、実施例80に記載される等温滴定熱量測定法(ITC)および実施例81に記載される抗増殖活性アッセイを用いて測定することができる。ITCアッセイにおいてある化合物が示す活性レベルはK_(d)値として定義することができ、本発明の好ましい化合物は、1マイクロモル未満、より好ましくは0.1マイクロモル未満のK_(d)値を有する化合物である。抗増殖活性アッセイでは、アッセイにおいてある化合物が示す活性レベルはIC_(50)値として定義することができ、本発明の好ましい化合物は、1マイクロモル未満、より好ましくは0.1マイクロモル未満のIC_(50)値を有する化合物である。
【0268】
また、式(I)の多くの化合物が低いhERG活性を有し、Hsp90阻害活性とhERG活性の間の良好な分離を示すことが分かっている。
【0269】
式(I)の好ましい化合物は、hERGに対して、細胞増殖アッセイにおけるそれら化合物のIC_(50)値より30倍高い、または40倍高い、または50倍高い平均IC_(50)値を有する。式(I)の好ましい化合物は、hERGに対して、5μMを超える、より詳しくは10μMを超える、より好ましくは15μMを超える平均IC_(50)値を有する。本発明のいくつかの化合物は、hERGに対して、50μMを超える平均IC_(50)値を有する。
【0270】
本発明の化合物は有利なADME特性を有し、特に、腫瘍分布が良好である。
【0271】
式(I)の化合物の製造方法
本節では、本願の他の全ての節と同様、特に断りのない限り、式(I)という場合には本明細書で定義されるその全てのサブグループおよび例を含む。基R^(1)、R^(2)、R^(3)、R^(4)、R^(5)、R^(6)、R^(10)または他のいずれかの「R」基と表示される場合には、対象となる基の定義は、特に断りのない限り、本願の上記および下記の節に示されている通りである。
【0272】
式(I)の化合物は、当業者に周知の合成方法に従って製造することができる。例えば、式(I)の化合物は式(X):
【化22】

の化合物またはその活性化形態および/または保護形態を式HNR^(5)R^(6)のアミンと、アミド結合を形成するのに好適な条件下で反応させ、その後、必要であれば保護基を除去し、場合により、式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物に変換することによって製造することができる。
【0273】
式HNR^(5)R^(6)のアミンは市販されているか、または当業者に周知の方法を用いて製造することができる(例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4^(th) edition,119,Wiley Interscience,New York;Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1-17,John Wiley,edited by Mary Fieser(ISBN:0-471-58283-2);およびOrganic Syntheses,Volumes 1-8,John Wiley,edited by Jeremiah P.Freeman(ISBN:0-471-31192-8)参照)。
【0274】
このカルボン酸(X)は、まず、カルボン酸を塩化チオニルで処理するか、または触媒量のジメチルホルムアミドの存在下で塩化オキサリルと反応させるか、またはその酸のカリウム塩を塩化オキサリルと反応させるかにより、酸塩化物を形成させるかことで式(I)のアミドに変換することができる。次に、この酸塩化物を、トリエチルアミンなどの非干渉塩基の存在下でアミンHNR^(5)R^(6)と反応させることができる。この反応はジオキサンなどの極性溶媒中、室温前後で行うことができる。
【0275】
上記の酸塩化物法を使用する代わりに、カルボン酸(X)を、ペプチド結合の形成に一般に用いられる種のアミドカップリング試薬の存在下でアミンHNR^(5)R^(6)と反応させることによってアミド(I)に変換することができる。このような試薬の例としては、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(Sheehan et al,J.Amer.Chem Soc.1955,77,1067)、1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(本明細書ではEDCまたはEDACと呼ばれるが、当技術分野ではEDCIおよびWSCDIとしても知られる)(Sheehan et al,J.Org.Chem.,1961,26,2525)、ウロニウム系カップリング剤、例えば、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、およびホスホニウム系カップリング剤、例えば、1-ベンゾ-トリアゾリルオキシトリス-(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(Castro et al,Tetrahedron Letters,1990,31,205)が挙げられる。カルボジイミド系カップリング剤は、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)(L.A.Carpino,J.Amer.Chem.Soc.,1993,115,4397)または1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(Konig et al,Chem.Ber.,103,708,2024-2034)と組み合わせて使用するのが有利である。好ましいカップリング試薬としては、EDC(EDAC)およびDCCとHOAtまたはHOBtとの組合せが挙げられる。
【0276】
カップリング反応は、一般にアセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドまたはN-メチルピロリジンなどの非水性非プロトン性溶媒中、または場合により1以上の混和性補助溶媒を伴う水性溶媒中で実施される。反応は、室温、または反応物の反応性が小さい場合(例えば、スルホンアミド基などの電子吸引性基を有する電子不足アニリンの場合)、適当な高温で実施できる。反応は、非干渉塩基、例えば、トリエチルアミンまたはN,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミンの存在下で行うことができる。
【0277】
式(I)の化合物への経路例を以下に詳細に記載する。
【0278】
ベンゾイル部分が2-ヒドロキシ-5-置換安息香酸に由来する式(I)の化合物は、スキーム1に示される一連の反応により製造することができる。
【0279】
スキーム1に示される合成経路の出発材料は、5-クロロ-2-ヒドロキシ安息香酸であり、市販されている。酸塩化物への変換は、塩化チオニルとともに加熱することにより行う。この酸塩化物はin situで用いて種々のアミンと反応させてもよいし、あるいは安定な白色固体として単離することもできる。この手順に、他の単純な2-ヒドロキシ-5-置換安息香酸を用いて2-ヒドロキシ-5-置換安息香酸の他のアミドを合成してもよい。
【0280】
【化23】

【0281】
式(I)の化合物はまた、スキーム2に示される方法に従って製造することもできる。スキーム2に示される合成経路の出発材料は4-エチルアニソールであり、市販されている。カルボン酸への変換は、低温でリチオ化した後、生じたアニオンを固体二酸化炭素で急冷することにより行うことができる。このカルボン酸を、上記のようにペプチド結合の形成の際に一般に用いられる種の標準的なアミドカップリング試薬を用い、種々のアミンとカップリングさせればよい。
【0282】
メチルエーテルの脱保護は、三臭化ホウ素を用いて行うことができ(例えば、Synthesis 1991,469に記載の方法による)、式(I)の化合物が得られる。スキーム2に示されている方法を用いて他の単純な2-ヒドロキシ-5-置換安息香酸を製造することもでき、次にこれを適当なアミンとカップリングして式(I)の化合物を得ることができる。中間体である酸とアミン、アニリンまたはアミノ-複素環式化合物をカップリングし、その後、保護基を除去するプロセスは直接的で、本発明に有用な分子の大きなコンビナトリアルライブラリーの合成のために好適である。コンビナトリアルライブラリーの例は、Solid-Phase Synthesis and Combinatorial Technologies by Pierfausto Seneci.Wiley-Interscience,New York.2000.xii + 637 pp.ISBN 0471331953)に記載されている。
【0283】
【化24】

【0284】
式(I)の化合物はまた、スキーム3に記載の方法に従って製造することもできる。出発材料3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸(X=tert-ブチル)は市販されており、アミドカップリング薬剤(上記に概説)を用い、式HNR^(5)R^(6)の広範なアミンとカップリングさせて本発明の化合物を得ることができる。スキーム3に示されている他の出発材料3-イソプロピル-4-ヒドロキシ安息香酸(X=イソプロピル)は、中間体種を加水分解してカルボン酸を得るフリーデル・クラフツ(Friedel-Crafts)型反応(J Chem Soc,Chem Commun 1985,1134)において四塩化炭素と銅粉末を用い、文献の手順を改変したものに従い、製造することができる。このFriedel Crafts法は、他の単純な2-ヒドロキシ-3-置換安息香酸を製造するためにも使用可能である。
【0285】
【化25】

【0286】
式(I)の化合物はまた、スキーム4に記載の方法に従って製造することもできる。2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-安息香酸アミドは、このスキームに示されるビ-ベンジルエーテル保護中間体から、カップリング試薬(上記に概説)を用いてアミドカップリングを行い、その後、水素ガスとパラジウム/炭素を用いて触媒的水素化を行うことにより製造することができる。この安息香酸中間体自体は、文献の手順(J.Ind.Chem.Soc.,1953,30,269)を用い、2,4-ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル(商業ソースから)のフリーデル・クラフツアシル化により作製される。一般に、フェノールのフリーデル・クラフツアシル化は、室温またはもっと高い温度(60?120℃)でルイス酸触媒(三フッ化ホウ素または塩化アルミニウムなど)の存在下、フェノールをアシル化剤(酸塩化物または酸無水物など)で処理することにより行う。フェノール基のベンジル保護、ケトンのオレフィンへのウィッティヒ(Witting)反応、およびエステル加水分解(鹸化)は、有機合成の熟練者に周知の標準的な条件下で行うことができる(例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4^(th) edition,119,Wiley Interscience,New York;Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1-17,John Wiley,edited by Mary Fieser(ISBN:0-471-58283-2);およびOrganic Syntheses,Volumes 1-8,John Wiley,edited by Jeremiah P.Freeman(ISBN:0-471-31192-8)参照)。例えば、このウィッティヒ反応は不活性極性溶媒(テトラヒドロフランなど)中で行うことができ、アルデヒドまたはケトンを、ホスホニウム塩と塩基(ブチルリチウムまたはカリウムtert-ブトキシドなど)を反応させることにより製造することができるリンイリド種で処理することを含み得る。このカルボン酸へのエステル加水分解は通常、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液で処理することによって行う。こ
の鹸化反応は、アルコール(例えば、メタノール)などの有機補助溶媒を用いて行うことができ、一般には、反応混合物を極端でない温度、例えば、約50?60℃までで加熱する。
【0287】
本明細書では特に例示しないが、この手順を用い、他の2,4-ジヒドロキシ-5-置換安息香酸を製造し、式1の種々の化合物の例を合成することができると考えられる。
【0288】
スキーム4では、ウィッティヒ試薬MePPH_(3)Brを用いてオレフィン(XXVI)を形成する代わりに、ケトン(XXV)と臭化メチルマグネシウムを、標準的なグリニャール(Grignard)反応条件下で反応させて中間体のヒドロキシ化合物を得、次にこれを、酢酸ナトリウムおよび酢酸などの好適な試薬と反応させることで脱水してオレフィンを得ることができる。
【0289】
スキーム4に示される中間体化合物2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(XXVII)とその前駆化合物(XXV)および(XXVI)は新規なものであると考えられ、これらの各化合物はそれ自体、本発明のさらなる態様をなす。
【0290】
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸アミド(XXVIII)も新規なものであると考えられ、本発明のさらなる態様をなす。
【0291】
【化26】

【0292】
スキーム4の中間体化合物2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(XXVII)は、当業者に周知の様々な方法を用いて製造することができる。例えば、化合物(XXVII)は、スキーム4Aに示される合成経路によって製造することができる。
【0293】
【化27】

【0294】
スキーム4Aに示されるように、5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシ安息香酸を、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で臭化ベンジルを用いてベンジル化すると、ビス-ベンジルオキシ-ブロモ安息香酸ベンジルエステル(XXX)が得られる。次に、このエステル(XXX)を、パラジウム(O)またはパラジウム(II)化合物と塩基の存在下でカリウムイソプレニルトリフルオロボレートと反応させると、イソプロペニル-ビスベンジルエステル(XXXI)が得られる。このパラジウム化合物はPd(PPh_(3))_(4)などのパラジウム(O)化合物または[1,1’-ビス(ジフェニル-ホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム(II)化合物であり得る。塩基はn-ブチルアミンなどの有機塩基または金属炭酸塩、例えば、炭酸セシウムなどの無機塩基であり得る。このトリフルオロホウ酸カリウムイソプレニルとの反応は一般に、還流温度で長時間、例えば15時間以上行う。得られたイソプロペニルビス-ベンジルオキシエステル(XXXI)を次に、例えば、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物を用い、一般には極端でない温度まで加熱して加水分解し、カルボン酸(XXVII)を得る。
【0295】
式(I)の化合物はまた、スキーム5に示される経路に従って製造することもできる。4-ヒドロキシ-3-(1’,2’-ジメチル-プロピル)-安息香酸アミドは、アルキル置換酸から標準的なカップリング薬剤(上記に概説)を用いたアミドカップリングにより製造することができる。オレフィン酸は、それ自体、スキームに示されているように、アニソール中での熱転位による、前駆体エーテルのクライゼン(Claisen)転位の後に鹸化を行うことによって製造することができ、この場合、2以上のオレフィン異性体が生じるが、スキームでは主要な一方を示している。このようなクライゼン反応は文献から公知である(例えば、J.Chem.Soc,Perkin Trans 1 1981,897参照)。エーテルは、それ自体、市販の4-ヒドロキシ安息香酸エチルエステルの単純なアルキル化により製造することができる。このアルキル化および鹸化反応は簡単な改変であり、種々の条件下で行うことができる(例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4^(th) edition,119,Wiley Interscience,New York;Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1-17,John Wiley,edited by Mary Fieser(ISBN:0-471-58283-2);およびOrganic Syntheses,Volumes 1-8,John Wiley,edited by Jeremiah P.Freeman(ISBN:0-471-31192-8)参照)。本明細書では特に例示しないが、この手順を用い、他の4-ヒドロキシ-3-置換安息香酸を製造し、式1の種々の化合物の例を合成することができると考えられる。
【0296】
【化28】

【0297】
式(I)の化合物はまた、スキーム6に示される方法に従って製造することもできる。2,4-ジヒドロキシ-5-ブロモ安息香酸を出発材料として用いるが、これは市販されている。簡単な保護と脱保護により安息香酸前駆体が得られ(例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4^(th) edition,119,Wiley Interscience,New York;Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1-17,John Wiley,edited by Mary Fieser(ISBN:0-471-58283-2);およびOrganic Syntheses,Volumes 1-8,John Wiley,edited by Jeremiah P.Freeman(ISBN:0-471-31192-8)参照)、これをある範囲のアミン(上記に概説)とのアミドカップリング反応に使用することができる。これらの前駆体アミドに対して鈴木のクロスカップリング法を行い、アルキル置換化合物を製造することができる。文献には広範な鈴木のカップリング条件が記載されており、本明細書で使用されるものについてはJ.Am.Chem.Soc.2003,11148から入手することができる。鈴木のカップリング化学はまた、アルキル-アリールおよびアリール-アリール化合物の合成に広く適用可能である。鈴木の反応は一般に、ビス(トル-t-ブチルホスフィン)-パラジウムなどのパラジウム触媒と塩基(例えば、炭酸カリウムなどの炭酸塩)の存在下で行う。この反応は、水性溶媒系、例えば、水性エタノール中で行うことができ、この反応混合物は一般に、例えば100℃を超える温度まで加熱する。本発明の化合物の製造に用いるのに好適な多くのボロン酸塩が、例えば、オーストラリアノーブルパークのBoron Molecular Limitedまたは米国サンジエゴのCombi-Blocks Incなどから市販されている。ボロン酸塩が市販されていなくても、当技術分野で公知の方法により、例えば、N.Miyaura and A.Suzuki,Chem.Rev.1995,95,2457による総説に記載されているように、製造することができる。このように、ボロン酸塩は、対応するブロモ化合物をブチルリチウムなどのアルキルリチウムと反応させた後、ホウ酸エステルと反応させることにより製造することができる。得られたボロン酸エステル誘導体を所望により加水分解して、対応するボロン酸を得ることができる。スキーム6に示される一連の反応の最終生成物は、触媒的水素化(上記に概説)を行い、ベンジル保護基を除去し、アルキル置換基に対する鈴木の反応で形成されたオレフィンを還元することにより形成される。本明細書では特に例示しないが、この手順を用い、他の2,4-ヒドロキシ-5-置換安息香酸を製造し、式Iの種々の化合物の例を合成することができると考えられる。
【0298】
【化29】

【0299】
例えば、式(VII)および(VIIa)の化合物のように、NR^(5)R^(6)が場合により置換されていてもよいイソインドリンである式(I)の化合物は、スキーム7に示される方法またはそれと類似の方法により製造することができる。
【0300】
【化30】

【0301】
スキーム7に示されるように、場合により置換されていてもよい1,2-ジメチルベンゼン(XI)を、過酸化ジベンゾイルの存在下でN-ブロモスクシンイミドとともに加熱すると、ジブロモ化合物(XII)が得られる。この反応は一般に、四塩化炭素中で加熱還流しながら行う。次に、このジブロモ化合物(XII)を化合物PG-NH_(2)(ここで、PGはトシルまたはパラ-メトキシベンジルなどの保護基である)と、PGがトシル基である場合には金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)、またはPGがパラ-メトキシベンジルである場合にはアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)などの塩基の存在下で反応させる。その後、保護基PGを除去してアミン(XIV)を得ることができる。このように、例えば、トシル基はフェノール、臭化水素酸およびプロパン酸の混合物とともに加熱することにより除去することができ、パラ-メトキシベンジル基はトリフルオロ酢酸とアニソールを用いた標準的な方法で除去することができる。その後、アミン(XIV)を上記のように式(X)のカルボン酸とカップリングさせる。
【0302】
スキーム7の一連の反応の変形形態として、保護されたイソインドリン(XIII)または脱保護されたイソインドリン化合物(XIV)に存在する1以上の官能基R^(1Ob)を他のR^(1Ob)基に変換することもできる。例えば、化合物(XIV)のR^(1Ob)基がニトロ基であれば、例えば、パラジウム/炭素触媒の存在下での触媒的水素化により、これを還元して対応するアミノ基を得ることができる。さらなる例では、化合物(XIII)のR^(10b)がエステル基(例えば、CO_(2)Me)であれば、これを加水分解してカルボン酸を得、次にこれをモルホリンなどのアミンと反応させて対応するアミドを得ることができる。その後、保護基PGを除去する前に、さらなる官能基の相互変換を行うことができる(例えば、水素化リチウムアルミニウムでアミドを還元して対応するアミノメチル化合物を得る)。
【0303】
イソインドリン化合物(XIV)のもう1つの合成法をスキーム8に示す。
【0304】
【化31】

【0305】
スキーム8の出発材料はオルトジエステル(XV)であり、これを、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いて加水分解し、対応するジカルボン酸(XVI)を得、その後、無水酢酸と反応させることにより環化を行い、無水フタル酸(XVII)を得る。この無水フタル酸(XVII)を高温(約210℃)でホルムアミドと反応させることにより、対応するフタルイミド(XVIII)に変換することができる。次に、フタルイミド(XVIII)を、テトラヒドロフラン中ボランなどの好適な還元剤を用いてイソインドリン(XIV)へと還元することができる。
【0306】
本明細書で定義される式(VIIb)の化合物は式(XIX)の化合物またはその保護誘導体と式(XX):
【化32】

(式中、n、R^(3)、R^(4a)、R^(8)およびR^(1Occ)は本明細書で定義される通り)
の化合物を、上記および実施例に記載のアミド形成条件下で反応させることにより製造することができる。
【0307】
式(XX)の多くの化合物が新規なものであり、それ自体、本明細書のさらなる態様をなす。よって、別の態様において、本発明は、式(XX)の化合物を提供する(ただし、それ先行技術で既知のいずれか、また全ての化合物を除く)。
【0308】
式(XX)の範囲内で、本発明の特定の中間体は式(XXI):
【化33】

[式中、nは0または1であり;MはNまたはCHOHであり、R^(25)は水素またはメチルである(ただし、nが0であり、R^(25)がメチルである場合、MはCHOHである)]で示すことができる。
【0309】
式(XXI)の範囲内の特定の中間体は、以下の化合物(XXII)、(XXIII)および(XXIV)である。
【化34】

【0310】
式(XXI)の中間体は当業者に周知の方法またはそれと類似の方法により製造することができる。例えば、中間体XXIIは、適宜N保護された5-ブロモイソインドリンのリチウム-ハロゲン交換を行い、1-メチル-4-ピペリドンで急冷した後、脱保護を行うことにより製造することができる。中間体XXIIは、4-BOC-ピペラジンと適宜N保護された5-ブロモイソインドリンのバックウォルド(Buchwald)パラジウムカップリングの後、脱保護を行うことによって製造することができる。中間体XXIVの1つの製造方法は、適宜N保護されたイソインドリン-5-カルボン酸からワインレブ(Weinreb)アミドを形成し、アルデヒドへと還元した後、還元的アミノ化と脱保護を行うというものである。
【0311】
形成されたところで置換基が許容すれば、式(I)のある化合物またはその保護形態を式(I)の別の化合物に変換することができる。
【0312】
例えば、R^(1)およびR^(2)がともに保護ヒドロキシ基(例えば、ベンジルオキシ基)であり、R^(3)が臭素である場合、その臭素原子は、ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒中、トリフルオロ酢酸塩(例えば、トリフルオロ酢酸ナトリウム)およびヨウ化銅(I)と反応させることにより、トリフルオロメチルで置換することができる。
【0313】
別の手順では、R^(8)がフッ素である式(I)の化合物は、R^(8)が水素である式(I)の化合物から求電子フッ素化により製造することができる。求電子フッ素化は、1-(クロロメチル)-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)または類似のN-フルオロ-ジアゾニア化合物などのフッ素化剤を用いて行うことができる。
【0314】
さらなる方法では、R^(1)およびR^(2)がともにヒドロキシ基である式(I)の化合物を、硫酸ジメチルなどのメチル化剤1当量と反応させることによりモノメチル化して、R^(1)およびR^(2)の一方がメトキシ基である化合物を得ることができる。このメチル化反応は一般に、例えば、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などの塩基の存在下、アセトニトリルなどの極性溶媒中で行う。2つのフェノール性ヒドロキシ基を含む中間体化合物に対しても同様のメチル化反応を行うことができる。
【0315】
以下に記載される、また、本合成に用いられる手順の多くは当業者に周知のものであり、アルキル化、アシル化、官能基の相互変換ならびにこのような変換を実施するための試薬および条件は、例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4^(th) edition,119, Wiley Interscience,New York;Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1-17,John Wiley,edited by Mary Fieser(ISBN:0-471-58283-2);およびOrganic Syntheses,Volumes 1-8,John Wiley,edited by Jeremiah P.Freeman(ISBN:0-471-31192-8)に見出すことができる。
【0316】
具体例および以下に概説する製造方法と同様に、記載されている経路に変更を加えれば、式1で示される化合物のさらに多くの例を合成することができると考えられる。例えば、置換パターンが異なるまたは付加された別の安息香酸出発材料を製造することができる。
【0317】
上記の反応の多くのものでは、分子の望まない位置で反応が起こらないように1以上の基を保護する必要のある場合がある。保護基の例ならびに官能基を保護および脱保護する方法は、Protective Groups in Organic Synthesis(T.Green and P.Wuts;3rd Edition;John Wiley and Sons,1999)に見出すことができる。
【0318】
ヒドロキシ基は、例えば、エーテル(-OR)またはエステル(-OC(=O)R)として、例えば、t-ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)またはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt-ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(-OC(=O)CH_(3)、-OAc)として保護することができる。例えば、R^(1)および/またはR^(2)がヒドロキシである式(I)の化合物においてヒドロキシ基がフェノール性ヒドロキシ基である場合、好ましい保護基はベンジル基である。
【0319】
アルデヒドまたはケトン基は、例えば、第一級アルコールとの反応により、カルボニル基(>C=O)がジエーテル(>C(OR)_(2))に変換される、それぞれ、アセタール(R-CH(OR)_(2))またはケタール(R_(2)C(OR)_(2))として保護することができる。アルデヒド基またはケトン基は、酸の存在下で、過剰の水を用いて加水分解により容易に再生される。アミン基は、例えば、アミド(-NRCO-R)またはウレタン(-NRCO-OR)として、例えば、メチルアミド(-NHCO-CH_(3));ベンジルオキシアミド(-NHCO-OCH_(2)C_(6)H_(5)、-NH-Cbz)として;t-ブトキシアミド(-NHCO-OC(CH_(3))_(3)、-NH-Boc)として;2-ビフェニル-2-プロポキシアミド(-NHCO-OC(CH_(3))_(2)C_(6)H_(4)C_(6)H_(5)、-NH-Bpoc)として、9-フルオレニルメトキシアミド(-NH-Fmoc)として、6-ニトロベラトリルオキシアミド(-NH-Nvoc)として、2-トリメチルシリルエチルオキシアミド(-NH-Teoc)として、2,2,2-トリクロロエチルオキシアミド(-NH-Troc)として、アリルオキシアミド(-NH-Alloc)として、または2(-フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(-NH-Psec)として保護することができる。アミン、例えば、環状アミンおよび複素環式N-H基のための他の保護基としては、トルエンスルホニル(トシル)およびメタンスルホニル(メシル)基ならびにベンジル基、例えば、パラ-メトキシベンジル(PMB)基が挙げられる。カルボン酸基は、エステル、例えば、C_(1-7)アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t-ブチルエステル);C_(1-7)ハロアルキルエステル(例えば、C_(1-7)トリハロアルキルエステル);トリC_(1-7)アルキルシリル-C_(1-7)アルキルエステル;またはC_(5-20)アリール-C_(1-7)アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル);またはアミド、例えば、メチルアミドとして保護することができる。チオール基は、例えば、チオエーテル(-SR)、例えば、ベンジルチオエーテル;アセタミドメチルエーテル(-S-CH_(2)NHC(=O)CH_(3))として保護することができる。
【0320】
精製方法
これらの化合物は当業者に周知のいくつかの方法で単離および精製することができ、このような方法の例としては、カラムクロマトグラフィー(例えば、フラッシュクロマトグラフィー)およびHPLCなどのクロマトグラフィー技術が挙げられる。分取LC-MSは、本明細書に記載の化合物などの小有機分子の精製に用いる標準的かつ有効な方法である。液体クロマトグラフィー(LC)および質量分析(MS)の方法は、粗物質のよりよい分離とMSによるサンプルの検出の向上を得るために可変である。分取勾配LC法の至適化には、カラム、揮発性溶離剤および改質剤、ならびに勾配の変更を含む。分取LC-MS法を至適化し、その後それらを化合物の精製に用いるための方法は当技術分野で周知のものである。このような方法は、Rosentreter U, Huber U.;Optimal fracion collecting in preparative LC/MS;J Comb Chem.;2004;6(2),159-64およびLeister W, Strauss K,Wisnoski D,Zhao Z,Lindsley C.,Development of a custom high-throughput preparative liquid chromatography/mass spectrometer platform for the preparative purification and analytical analysis of compound libraries;J Comb Chem.;2003;5(3);322-9に記載されている。
【0321】
あるいは、逆相法の代わりに、順相分取LCに基づく方法を用いてもよい。ほとんどの分取LC-MS系では逆相LCと揮発性酸性改質剤を用いるが、これはこのアプローチが小分子の精製に極めて有効であり、これらの溶離剤が陽イオンエレクトロスプレー質量分析に適合しているからである。他のクロマトグラフィー溶液、上記の分析法で概説したような、例えば順相LC、あるいは緩衝移動相、塩基性改質剤などを代わりに用いて化合物を精製することもできる。
【0322】
医薬処方物
前記有効化合物は単独で投与することもできるが、少なくとも1種類の本発明の化有効化合物を1以上の医薬上許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、増量剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤または当業者に周知の他の物質、および場合により他の治療薬または予防薬、例えば、化学療法に付随する副作用のいくつかを軽減または緩和する薬剤とともに含む医薬組成物(例えば、処方物)として提供するのが好ましい。このような薬剤の特定の例としては、制吐薬、ならびに化学療法関連の好中球減少症を防止する、またはその期間を短縮し、かつ、赤血球または白血球のレベルの低下から起こる合併症を防止する薬剤、例えば、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF)、および顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)を含む。
【0323】
よって、本発明はさらに、上記で定義される医薬組成物、および上記で定義される少なくとも1種類の有効化合物を、1以上の医薬上許容される担体、賦形剤、緩衝剤、アジュバント、安定剤または本明細書に記載される他の物質と混合することを含む、医薬組成物の製造方法を提供する。
【0324】
本明細書において「医薬上許容される」とは、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは懸念点なく、被験体(例えば、ヒト)の組織との接触に用いるのに好適であり、妥当な利益/リスク比で釣り合いがとれた化合物、物質、組成物および/または投与形を意味する。担体、賦形剤などの各々はまた、その処方物の他の成分と適合するという点で「許容される」ものでなければならない。
【0325】
よって、さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義される式(I)の化合物およびそのサブグループを医薬組成物の形態で提供する。
【0326】
医薬組成物は、経口投与、非経口投与、局所投与、鼻腔内投与、点眼投与、点耳投与、直腸投与、膣内投与または経皮投与に好適ないずれの形態であってもよい。組成物が非経口投与を意図したものである場合、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与用に処方してもよいし、あるいは注射、注入または他の送達手段により標的臓器または組織に直接送達できるように処方してもよい。この送達は、ボーラス注射、短時間注入または長時間注入によるものであってもよく、受動送達によるものでも好適な注入ポンプの利用を介したものであってもよい。
【0327】
非経口投与に適した医薬製剤としては、抗酸化剤、バッファー、制菌剤、補助溶媒、有機溶媒混合物、シクロデキストリン複合体形成剤、乳化剤(エマルション処方物を形成および安定化させるため)、リポソームを形成させるためのリポソーム成分、高分子ゲルを形成させるためのゲル化ポリマー、凍結乾燥保護剤、およびとりわけ有効成分を可溶型で安定化させ、処方物を意図したレシピエントの血液と等張にするためのそれらの組合せを含み得る水性および非水性の無菌注射溶液が挙げられる。非経口投与用の医薬処方物はまた、沈殿防止剤および増粘剤(R.G.Strickly,Solubilizing Excipients in oral and injectable formulations,Pharmaceutical Research,Vol 21(2)2004,p 201-230)を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液の形態をとってもよい。
【0328】
イオン化可能な薬剤分子は、薬物のpK_(a)が処方物のpH値と十分かけ離れている場合、pH調整により所望の濃度まで可溶化することができる。静脈内投与および筋肉内投与のための許容範囲はpH2?12であるが、皮下投与では許容範囲はpH2.7?9.0である。溶液のpHは、薬剤の塩形態が塩酸か水酸化ナトリウムなどの強酸/強塩基により、あるいは限定されるものではないがグリシン、クエン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、リン酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、または炭酸塩から形成された緩衝溶液を含む緩衝剤の溶液により制御される。
【0329】
注射処方物においては、水溶液と水溶性有機溶媒/界面活性剤(すなわち、補助溶媒)の組合せが使用される場合が多い。注射処方物に用いられる水溶性有機溶媒および界面活性剤としては、限定されるものではないが、プロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、グリセリン、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP;ファルマソルブ(Pharmasolve))、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ソルトール(Solutol)HS15、クレモホール(Cremophor)EL、クレモホールRH 60、およびポリソルベート80が挙げられる。このような処方物は、常にというわけではないが、通常は、注射前に希釈することができる。
【0330】
プロピレングリコール、PEG 300、エタノール、クレモホールEL、クレモホールRH 60、およびポリソルベート80は、市販の注射処方物に用いられる完全に有機性の水混和性の溶媒および界面活性剤であり、互いに組み合わせて使用することができる。結果として得られる有機処方物は、通常、静脈内ボーラスまたは静脈内注入の前に少なくとも2倍希釈される。
【0331】
あるいは、シクロデキストリンとの分子複合体の形成により高い水溶性を達成することもできる。
【0332】
リポソームは、外側の脂質二重膜と内側の水性核からなり、全体の径が100μm未満の、閉じられた球形小胞である。疎水性のレベルに応じ、ある程度の疎水性薬剤をリポソーム内に封入または取り込ませた場合、このような薬剤はリポソームにより可溶化され得る。また、疎水性薬剤も、その薬剤を脂質二重膜の一体部分なるようにすると、リポソームにより可溶化することができ、この場合、疎水性薬剤を脂質二重層の脂質部分に溶解させる。典型的なリポソーム処方物は、約5?20mg/mlのリン脂質、等張剤、pH5?8バッファー、および場合によりコレステロールを含む水を含有する。
【0333】
これらの処方物は単回用量または多回用量容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアルで提供することができ、使用直前に無菌液体担体、例えば注射水を添加するだけの凍結乾燥(リオフィライズ)状態で保存することもできる。
【0334】
該医薬処方物は、式(I)の化合物またはその酸付加塩をリオフィライジングさせることにより製造することができる。リオフィライゼーションとは、組成物を凍結乾燥させる手法を意味する。よって、凍結乾燥とリオフィライゼーションは本明細書では同義語として用いられる。典型的な方法としては、化合物を可溶化し、得られた処方物を明澄化し、濾過除菌し、リオフィライゼーションに適当な容器(例えば、バイアル)へ無菌的に移す。バイアルの場合、リオストッパー(lyo-stopper)で部分的に蓋をする。この処方物を冷却して凍結させ、標準的な条件下でリオフィライゼーションを行った後、湿気を遮断して安定な乾燥した凍結乾燥処方物とすることができる。この組成物は典型的には残留含水率が低く、例えば、凍結乾燥品の重量に対して5重量%未満、例えば1重量%未満である。
【0335】
リオフィライゼーション処方物は、他の賦形剤、例えば、増粘剤、分散剤、バッファー、抗酸化剤、保存剤、および張力調整剤を含んでもよい。典型的なバッファーとしては、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、およびグリシンが挙げられる。抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、モノチオグリセロール、チオ尿素、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシルアニソール、およびエチレンジアミン四酢酸塩が挙げられる。保存剤としては、安息香酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、パラ-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、フェノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化セチルピリジニウムが挙げられる。従前に挙げたバッファーならびにデキストロースおよび塩化ナトリウムは、必要であれば張力調整のためにも使用可能である。
【0336】
増量剤は一般に、リオフィライゼーション技術において、プロセスを補助し、かつ/または凍結乾燥塊に嵩および/または機械的強度を持たせるために用いられる。増量剤は、当該化合物またはその塩とともに凍結乾燥させた際に物理的に安定な凍結乾燥塊、より適した凍結乾燥過程、および迅速かつ完全な再構成を提供する遊離型の水溶性の固体粒状希釈剤を意味する。増量剤は溶液を等張とするためにも使用可能である。
【0337】
水溶性増量剤は、リオフィライゼーションに典型的に用いられるいずれの医薬上許容される不活性の固体物質であってもよい。このような増量剤としては、グルコース、マルトース、スクロースおよびラクトースなどの糖類;ソルビトールまたはマンニトールなどの多価アルコール;グリシンなどのアミノ酸;ポリビニルピロリジンなどのポリマー;およびデキストランなどの多糖類が挙げられる。
【0338】
有効化合物の重量に対する増量剤の重量比は、典型的には約1?約5の範囲内、例えば約1?約3、例えば約1?2の範囲内である。
【0339】
あるいは、増量剤は、好適なバイアル内で濃縮および密閉され得る溶液の形態で提供することもできる。投与形の無菌化は、濾過によってもよいし、あるいは調剤工程の適当な段階でバイアルおよびそれらの内容物をオートクレーブにかけることによってもよい。供給される処方物は、例えば、好適な無菌点滴パックでの希釈など、さらなる希釈および調製が必要な場合もある。
【0340】
即時調合注射溶液および懸濁液は無菌粉末、顆粒および錠剤から調製してもよい。
【0341】
本発明の1つの好ましい実施態様では、医薬組成物は、例えば注射または注入によるなどの静脈内投与に好適な形態である。
【0342】
もう1つの好ましい実施態様では、医薬組成物は、皮下(S.C.)投与に好適な形態である。
【0343】
経口投与に好適な医薬投与形としては、錠剤、カプセル剤、カプレット、丸剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤および懸濁剤、舌下錠、カシェ剤またはパッチ剤およびバッカルパッチ剤が挙げられる。
【0344】
式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、公知の方法に従って処方することができる(例えば、Remington’ s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA,USA参照)。
【0345】
従って、錠剤組成物は、単位用量の有効化合物を、不活性希釈剤または担体、例えば、糖または糖アルコール、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトール;および/または非糖由来希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムまたはセルロースもしくはその誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびデンプン、例えば、コーンスターチとともに含有できる。また、錠剤は、標準的な成分、例えば、結合剤および造粒剤、例えば、ポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば、膨潤性架橋ポリマー、例えば、架橋カルボキシメチルセルロース)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸塩)、保存剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液またはクエン酸緩衝液)、および発泡剤、例えば、クエン酸塩/重炭酸塩混合物を含有してもよい。このような賦形剤は周知のものであり、ここでは詳細に説明する必要はない。
【0346】
カプセル剤は、硬質ゼラチン種であっても軟質ゼラチン種であってもよく、固体、半固体または液体状の有効成分を含有することができる。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチンまたはその合成もしくは植物由来の等価物から形成できる。
【0347】
固形投与形(例えば、錠剤、カプセル剤など)はコーティングを施しても施さなくともよいが、典型的には例えば、保護フィルムコーティング(例えば、ワックスまたはワニス)または放出制御コーティングを施す。コーティング(例えば、Eudragit(商標)型ポリマー)は、胃腸管内の所望の位置で有効成分が放出されるように設計することができる。従って、コーティングは、胃腸管内の特定のpH条件下で分解して、選択的に胃または回腸もしくは十二指腸において化合物を放出するように選択することができる。
【0348】
コーティングの代わりまたはコーティングに加えて、例えば、胃腸管において酸度またはアルカリ度が変化する条件下で化合物を選択的に放出するようにすることができる放出制御剤、例えば、放出遅延剤を含む固相マトリックス中に薬物を提供してもよい。あるいは、マトリックス材料または放出遅延コーティングは、その投与形が胃腸管を通過するにつれて実質的に連続的に浸食される浸食性ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態をとることができる。さらなる別法としては、有効化合物を、化合物の放出の浸透圧制御を与える送達系に処方することもできる。浸透圧放出および他の遅延放出もしくは徐放性処方物は当業者に周知の方法に従って製造することができる。
【0349】
これらの医薬処方物は単一のパッケージ、通常はブリスターパック中に全コースの処置薬を含んだ「患者パック」として患者に提供することができる。患者パックは、調剤師がバルク供給から患者分の医薬を分配する従来の処方箋調剤に優る利点があり、患者は患者パックに入っている、患者の処方箋調剤では見ることができない添付文書をいつでも見ることができる。添付文書を封入しておけば、医師の指示に対する患者の応諾が改善されることが示されている。
【0350】
局所使用のための組成物としては、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ剤、ゲル剤、液滴および挿入物(例えば、眼内挿入物)が挙げられる。このような組成物は、公知の方法に従って処方することができる。
【0351】
非経口投与用の組成物は、一般には無菌水性もしくは油性溶液または微細懸濁液として提供されるか、あるいは、注射用無菌水で即座に構成できる微細無菌粉末の形態で提供してもよい。
【0352】
直腸投与または膣内投与用の処方物の例としては、ペッサリーおよび坐剤が挙げられ、これらは、例えば、有効化合物を含有する付形成形材またはワックス材から形成することができる。
【0353】
吸入投与用組成物は、吸入可能な粉末組成物または液状もしくは粉末スプレーの形態をとってもよく、粉末吸入装置またはエアゾールディスペンシング装置を用いた標準的な形態で投与することができる。このような装置は、周知である。吸入投与用の粉末処方物は、一般には有効化合物を、ラクトースなどの不活性固体粉末希釈剤とともに含む。
【0354】
式(I)の化合物は、一般的に単位投与形で提供され、それ自体、一般には所望のレベルの生物活性を得るのに十分な化合物を含有する。例えば、処方物は、1ng?2gの有効成分、例えば、1ng?2mgの有効成分を含有し得る。この範囲内での化合物の特定の部分範囲は、0.1mg?2gの有効成分(より一般には10mg?1g、例えば、50mg?500mg)、または1mg?20mg(例えば、1mg?10mg、例えば、0.1mg?2mgの有効成分)である。
【0355】
経口組成物では、単位投与形は、1mg?2g、より一般には10mg?1g、例えば、50mg?1g、例えば、100mg?1gの有効化合物を含み得る。
【0356】
有効化合物は、それを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に、所望の治療効果を達成するのに十分な量で投与する。
【0357】
治療方法
本明細書で定義される式(I)の化合物およびサブグループは、Hsp90クライアントタンパク質が介在する一連の病態または症状の予防または治療に有用であると考えられる。このような病態および症状の例としては、上記で示したものがある。
【0358】
この化合物は、一般的にこのような投与を必要とする被験者、例えば、ヒトまたは動物患者、好ましくはヒトに投与する。
【0359】
この化合物は、一般に治療的または予防的に有用であって、かつ、一般的に無毒な量で投与される。しかしながら、一定の状況(例えば、生命をおびやかす疾病においては)式(I)の化合物を投与するメリットは、有毒作用または副作用の欠点に優り、このような場合では、化合物を、一定の毒性が伴う量で投与することが望ましいと考えられる。
【0360】
当該化合物は有益な治療効果を維持するために長期にわたって投与してもよいし、あるいは短期間だけ投与してもよい。あるいは、それらは拍動的または連続的に投与してもよい。
【0361】
式(I)の化合物の一般的な一日量は、体重1kg当たり100pg?100mg、より典型的には体重1kg当たり10ng?15mg(例えば、10ng?10mg、より典型的には体重1kg当たり1mg?体重1kg当たり20mg、例えば、体重1kg当たり1mg?10mg)であり得るが、必要に応じてより高い用量またはより低い用量を投与してもよい。この化合物は毎日投与することもできるし、あるいは例えば2日、または3日、または4日、または5日、または6日、または7日、または10日、または14日、または21日、または28日おきに反復投与することもできる。
【0362】
ある特定の投与計画では、患者に毎日1時間、最大10日間、特に、1週間に最大5日間、化合物の注入を施し、この処置を2?4週間といった所望の期間、特に3週間おきに繰り返す。
【0363】
より詳しくは、患者に、5日間毎日1時間、化合物の注入を施し、この処置を3週間おきに繰り返す。
【0364】
別の特定の投与計画では、患者に30?1時間かけて注入を施した後、可変の時間、例えば、1?5時間、例えば、3時間注入を維持する。
【0365】
さらなる特定の投与計画では、患者に12時間?5日間の期間持続的注入を施し、特に、24時間?72時間持続的注入を施す。
【0366】
しかしながら、結局のところ、投与される化合物の量および用いる組成物のタイプは、治療する疾病の性質または生理学的条件と見合うものであり、医師の裁量による。
【0367】
本明細書で定義される化合物は、単一の治療約として投与してもよいし、または特定の病態、例えば、例えば上記で定義される癌などの新生物性疾患を治療するための1種以上の他の化合物の併用療法で投与してもよい。
【0368】
式(I)の化合物とともに投与し得る(同時であれ異なる時間間隔であっても)他の治療薬または治療法の例としては、限定されるものではないが、
・トポイソメラーゼI阻害剤
・代謝拮抗物質
・チューブリン標的化剤
・DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤
・アルキル化剤
・モノクローナル抗体
・抗ホルモン
・シグナル変換阻害剤
・プロテアソーム阻害剤
・DNAメチルトランスフェラーゼ
・サイトカインおよびレチノイド
・クロマチン標的療法、例えば、HDACまたはHATモジュレーター
・放射線療法
が挙げられる。
【0369】
Hsp90阻害剤を他の療法と組み合わせる場合、その2以上の処置は個々に異なる投与スケジュールで、異なる投与経路によって投与してもよい。
【0370】
本化合物を1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の他の治療薬(好ましくは、1つまたは2つ、より好ましくは、1つ)との併用療法で投与する場合、これらの化合物は同時投与しても逐次投与してもよい。逐次投与する場合、それらは短時間間隔で(例えば、5?10分)投与してもよいし、長時間間隔で(例えば、1、2、3、4またはそれ以上おいて、または必要であればいっそう長時間おいて)投与してもよく、厳密な投与計画はその治療薬の特性に見合ったものである。
【0371】
本発明の化合物はまた、放射線療法、光線力学療法、遺伝子療法のような非化学療法薬処置;外科術および食事制限と組み合わせて投与してもよい。
【0372】
別の化学療法薬との併用療法で用いるため、本化合物と1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の他の治療薬を例えば2つ、3つ、4つまたはそれ以上の治療薬を含有する投与形に一緒に処方することができる。別法として、個々の治療薬を個別に処方し、場合によってそれらの使用説明書を添えて、キットの形態で一緒に提供してもよい。
【0373】
当業者ならば、共通の一般知識によって用いる投与計画および併用療法を了解している。
【0374】
診断方法
化合物の投与前に、患者が罹患している、または罹患する可能性のある疾病または症状が、Hsp90に対して活性を有する化合物での処置に感受性があるものかどうかを判定するために患者をスクリーニングすることができる。
【0375】
例えば、患者から採取した生体サンプルを分析し、その患者が罹患している、または罹患する可能性のある癌などの症状または疾病が、Hsp90クライアントタンパク質の突然変異または過剰な活性化をもたらす遺伝的異常または異常なタンパク質発現を特徴とするものかどうかを判定することができる。Hsp90クライアントタンパク質の活性化をもたらすこのような異常の例としては、Bcr-ABL転座、Flt-3の内部倍加、およびBrafの突然変異、またはErbB2の過剰発現が挙げられる。
【0376】
従って、この患者に、アップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出ための診断試験を行えばよい。診断にはスクリーニングも含まれる。マーカーとしては、例えば、Braf、BCR-abl、およびFlt3または他の影響を受けているクライアントタンパク質の突然変異を同定するためのDNA組成の尺度をはじめとする遺伝マーカーを含む。また、マーカーとしてはErbB2などのタンパク質が挙げられ、タンパク質もしくはいくつかの断片もしくは分解産物、および酵素活性の酵素のレベルまたは濃度が含まれる。タンパク質(例えば、リン酸化されたものまたはされていないもの)および上述のタンパク質のmRNAレベルも、活性の変化を特徴付けるために評価することができる。例えば、リン酸化AKTのレベルはHSP90阻害剤に対する感受性の指標となり得る。
【0377】
これらの診断試験は一般に、例えば、腫瘍生検サンプル、血液サンプル(解離させた腫瘍細胞の単離および富化)、糞便生検、痰、染色体分析、胸膜液、腹水、頬側穿刺物(buccal spear)もしくは生検から、または尿から選択される生体サンプルに対して行う。
【0378】
スクリーニング方法は一般に、直接配列決定、オリゴヌクレオチドまたはタンパク質マイクロアレイ分析、質量分析または特異的抗体を用いた検出によるプロテオミクス分析を含む。
【0379】
突然変異およびタンパク質のアップレギュレーションの同定および分析の方法は当業者に周知である。スクリーニング方法としては、限定されるものではないが、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、in situハイブリダイゼーションまたは免疫ブロット法などの標準的な方法が挙げられる。
【0380】
RT-PCRによるスクリーニングでは、腫瘍におけるmRNAのレベルは、そのmRNAのcDNAコピーを作出した後、そのcDNAをPCRにより増幅することにより評価する。PCR増幅の方法、プライマーの選択、および増幅条件は当業者に公知である。核酸の操作およびPCRは、例えば、Ausubel,F.M.et al.,eds.Current Protocols in Molecular Biology,2004,John Wiley & Sons Inc.、またはInnis,M.A.et-al.,eds.PCR Protocols:a guide to methods and applications,1990,Academic Press,San Diegoに記載のような標準的な方法により行う。核酸技術を含む反応および操作はまた、Sambrook et al.,2001,3rd Ed,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。あるいは、RT-PCR用の市販のキット(例えば、Roche Molecular biochemicals)、または米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号;同第5,272,057号;同第5,882,864号および同第6,218,529号に示されている方法が使用でき、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0381】
mRNAの発現を評価するためのin situハイブリダイゼーション技術の例として、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)がある(Angerer,1987 Meth.Enzymol.,152:649参照)。
【0382】
一般に、in situハイブリダイゼーションは以下の主要工程を含む:(1)分析する組織の固定;(2)標的核酸の接近性を高めるため、また、非特異的結合を軽減するためのサンプルのプレハイブリダイゼーション処理;(3)その核酸混合物と生体構造または組織中の核酸とのハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションで結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後洗浄;および(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出。このような適用で用いるプローブは一般に、例えば放射性同位元素または蛍光リポーターで標識される。好ましいプローブは、ストリンジェント条件下で標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションを可能とするに十分な長さ、例えば、約50、100、または200ヌクレオチド?約1000以上のヌクレオチドである。また、白血病細胞集団でFlt3およびBcr-Abl転座を検出するのに使用できる、染色体再配列の細胞遺伝学的検出用の市販のFISHプローブも存在する。FISHを行うための標準的な方法は、Ausubel,F.M.et al.,eds.Current Protocols in Molecular Biology,2004,John Wiley & Sons Inc and Fluorescence In Situ Hybridization:Technical Overview by John M.S.Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer,Methods and Protocols,2nd ed.;ISBN:1-59259-760-2;March 2004,pps.077-088;Series:Methods in Molecular Medicineに記載されている。
【0383】
遺伝子発現プロファイリング法は、DePrimo et al.,BMC Cancer 2003,3:3に記載されている。要するに、このプロトコールは次の通りである:第一鎖cDNA合成を誘導するための(dT)24オリゴマーを用い、全RNAから二本鎖cDNAを合成した後、ランダムヘキサマープライマーを用い、第二鎖cDNAを合成する。この二本鎖cDNAを、ビオチン化リボヌクレオチドを用いるcRNAのin vitro転写の鋳型として用いる。Affymetrix(Santa Clara,CA,USA)が記載しているプロトコールに従い、cRNAを化学的にフラグメント化した後、ヒトゲノムアレイ上で一晩ハイブリダイズさせる。
【0384】
あるいは、これらのmRNAから発現されたタンパク質産物を、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートを用いる固相イムノアッセイ、ウエスタンブロット法、二次元SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリーおよび特定のタンパク質を検出するための当技術分野で公知の他の方法により評価してもよい。検出方法には、部位特異的抗体の使用が含まれる。当業者ならば、BCR-ABL転座の指標となる「フィラデルフィア染色体」の検出のためのこのような周知の技術を全て認識している。
【0385】
よって、これらの技術は全て、本発明の化合物による処置に特に好適な腫瘍を同定するためにも使用可能である。
【実施例】
【0386】
以下、本発明を、限定されるものではないが、下記の実施例に記載される特定の実施態様により説明する。
【0387】
これらの実施例では、次の省略形を用いる場合がある。
AcOH 酢酸
BOC tert-ブチルオキシカルボニル
Bn ベンジル
CDI 1,1-カルボニルジイミダゾール
DMAW90 溶媒混合物:DCM:MeOH、AcOH、H_(2)O(90:18:3:2)
DMAW120 溶媒混合物:DCM:MeOH、AcOH、H_(2)O(120:18:3:2)
DMAW240 溶媒混合物:DCM:MeOH、AcOH、H_(2)O(240:20:3:2)
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド
Et_(3)N トリエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
Et_(2)O ジエチルエーテル
h 時間
HOAt 1-ヒドロキシアザベンゾトリアゾール
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min. 分
P.E. 石油エーテル
r.t. 室温
SiO_(2) シリカ
TBTU N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムテトラフルオロボレート
THF テトラヒドロフラン
【0388】
プロトン磁気共鳴(^(1)H NMR)スペクトルは、特に断りのない限り、Bruker AV400機にて、DMSO-d_(6)またはMeOH-d_(4)(示されている通り)中、27℃、400.13MHzで操作して記録し、次のように表す:化学シフトδ/ppm(プロトン数、多重性s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、br=ブロード)。残留するプロトン性溶媒は内部標準として用いた。
【0389】
本実施例では、製造された化合物を、以下に示す系および作動条件を用いる液体クロマトグラフィーおよび質量分析により同定した。種々の同位体を有する原子が存在し、1つの質量で示される場合には、その化合物に関して表示されている質量はモノアイソトピック質量である(すなわち、^(35)Cl;^(79)Brなど)。以下に記載するように種々の系を用い、これらの系は厳密に同じ操作条件下で実施されるように装備および設定を行った。使用した操作条件は、以下にも記載する。
【0390】
システムの説明:
システム1(分析システム):
HPLCシステム:Waters 2795
質量検出器:Micromass Platform LC
PDA検出器:Waters 2996 PDA
【0391】
システム2(分取および分析システム):
HPLCシステム:Waters Fractionlynxシステム
質量検出器:Waters ZQ
PDA検出器:Waters 2996 PDA
【0392】
システム3(分取および分析システム):
HPLCシステム:Agilent 1100システム
質量検出器:LC/MSD
UV検出器:Agilent MWD
【0393】
操作条件:
酸性分析条件:
溶出剤A:H_(2)O(0.1%ギ酸)
溶出剤B:CH_(3)CN(0.1%ギ酸)
勾配:3.5分間で5?95%溶出剤B(15分w/カラム2)
流速:0.8ml/分
カラム1:Phenomenex Synergi 4μ MAX-RP 80A、2.0×50mm
カラム2:Phenomenex Synergi 4μ MAX-RP 80A、2.0×150mm
【0394】
塩基性分析条件:
溶出剤A:H_(2)O(10mM NH_(4)HCO_(3)バッファー、NH_(4)OHでpH=9.2に調整)
溶出剤B:CH_(3)CN
勾配:3.5分間で5?95%溶出剤B
流速:0.8ml/分
カラム:Phenomenex Gemini 5μ 2.0×50mm
【0395】
MS条件(Watersシステム):
キャピラリー電圧:3.6kV(ESネガティブでは3.40kV)
コーン電圧:25V
イオン源温度:120℃
スキャン範囲:125?800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブ、ネガティブまたはポジティブ・ネガティブ
【0396】
MS条件(Agilentシステム):
キャピラリー電圧:4000V(ESネガティブでは3500V)
フラグメンター/ゲイン:150/1
乾燥ガス温度/流速:350℃/13.0L/分
噴霧圧:50psig
スキャン範囲:125?800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたはネガティブ
各実施例の出発材料は特に断りのない限り市販されている。
【0397】
A.一般合成法
以下の一般法では、示されている容量は、当業者に明らかなように、反応スケールに応じて変更することができる。
【0398】
方法A1
アミドカップリング(酸塩化物法)
ベンゼン(またはトルエン)中の、カルボン酸(1当量)および塩化チオニル(1.5当量)の混合物を攪拌し、還流下で2時間保持した。この温溶液に過剰量のアミンを滴下し、混合物を室温で15分間攪拌した。あるいは、この酸塩化物を蒸発により単離した後、ジクロロメタン:トリエチルアミンの9:1混合物に再溶解し、その後、アミンを加え、この混合物を窒素下、室温で1?18時間攪拌した。いずれの場合でも、この混合物を酢酸エチルで希釈し、水、重炭酸ナトリウム飽和水溶液および2M塩酸で連続的に抽出した。有機層を真空乾燥させて減量し、酢酸エチルでのトリチュレーションまたはシリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中酢酸エチルの混合物で溶離)もしくはいくつかの場合では分取HPLC/MSのいずれかにより純粋な生成物を得た。
【0399】
方法A2
アミドカップリング(EDC、HOBt法)
ジクロロメタン(10ml)中、この酸(1当量)の攪拌溶液を、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.2当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.2当量)およびアミン(1.5当量)で連続的に処理し、この混合物を室温で一晩攪拌した。この混合物を2M塩酸および2M水酸化ナトリウムで連続的に洗浄し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去して生成物を得た。これらの生成物は純粋な形態で得られたか、シリカでのカラムクロマトグラフィー(適当であれば石油エーテル中酢酸エチルまたは酢酸エチル中メタノールの混合物で溶離)により精製した。
【0400】
方法A3
アニソールまたはベンジルエーテルの脱アルキル化(BBr_(3)法)
0℃のジクロロメタン中、アニソールまたはベンジルエーテル(1当量)の攪拌溶液を、ジクロロメタン中三臭化ホウ素の1M溶液(1つの脱保護基につき1.5当量)で滴下処理し、この混合物を2時間攪拌した。水および重炭酸ナトリウム飽和水溶液を加えることでこの反応を急冷し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去した。ジエチルエーテルもしくは酢酸エチルでのトリチュレーションまたはシリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中酢酸エチルの混合物で溶離)のいずれかにより純粋な生成物を得た。
【0401】
方法A4
アミドカップリング(EDC、HOAt法)
ジメチルホルムアミド(5ml)中、この酸(1当量)の攪拌溶液を、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.2当量)、1-ヒドロキシ-7-アザ-ベンゾトリアゾール(1.2当量)およびアミン(1.5当量)で連続的に処理し、この混合物を室温で一晩攪拌した。DMFを蒸発させ、粗物質をEtOAcに溶解させ、飽和重炭酸ナトリウムで連続的に洗浄し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去した。生成物は純粋な形で得られたか、シリカでのカラムクロマトグラフィー(適当であれば石油エーテル中酢酸エチルまたは酢酸エチル中メタノールの混合物で溶離)により精製した。
【0402】
方法A5
水素化
エタノール(5?10ml)、メタノール(5?10ml)またはメタノール/DCM(3ml/3ml)中、保護誘導体(1当量)と触媒量の10%パラジウム/炭素(一般に30?50mg)の攪拌溶液を水素雰囲気下、室温で2?16時間攪拌した。触媒を濾去し、メタノール(5ml)で洗浄し、溶媒を真空下で除去して生成物を得た。場合によっては、一般にエーテルで溶離するフラッシュクロマトグラフィーによる精製が必要であった。
【0403】
方法A6
鈴木カップリング
窒素下、臭化アリール(1当量、一般に0.5mmol)、ボロン酸またはカリウムビニルトリフルオロボレート誘導体(1.2当量)および炭酸セシウム(3当量)をTHF(10ml)に溶解させた。1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(0.1当量)、その後、水(1ml)を加えた。この混合物を黒化した。次に、この混合物を、反応が完了するまで(8?45時間)窒素下で加熱還流した。混合物を冷却し、DCMで希釈し、硫酸マグネシウムを加えた。この混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣を石油エーテル/エーテル混合物中、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、一般に良好な収率(?60?80%)で生成物を得た。
【0404】
方法A7
レゾルシノールモノ-O-メチル化
アセトニトリル(基質1mmol当たり10ml)中、レゾルシノール(1当量)および炭酸カリウム(2.2当量)の攪拌溶液に、硫酸ジメチル(1当量)を加え、この混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し残渣をジクロロメタンと水とで分液し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテルと酢酸エチルの混合物で溶離)の後、または分取HPLC/MSにより、純粋な生成物が得られた。
【0405】
方法A8
求電子芳香族フッ素化
アセトニトリル(基質1mmol当たり15ml)中、基質(1当量)の溶液に、1-(クロロメチル)-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)(1当量)を加え、この混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルと水とで分液した。有機層を分離し、真空乾燥させて減量した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテルと酢酸エチルの混合物で溶離)の後、または分取HPLC/MSにより、純粋な生成物を得た。
【0406】
B.カルボン酸中間体の合成
製法B1
4-ヒドロキシ-3-イソプロピル安息香酸
【化35】

【0407】
50%水酸化ナトリウム水溶液(120ml)中、2-イソプロピルフェノール(27.2g、0.2mol)の攪拌溶液に、四塩化炭素(28ml、0.26mol)および銅粉末(1.0g)を加え、この混合物を16時間、還流下で維持した。この混合物を冷却した後、濃塩酸を加えてpH2以下に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で抽出し、水層を、濃塩酸を極めて慎重に加えることでpH2以下に酸性化した。溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄し、分離し、溶媒を真空下で除去し、4-ヒドロキシ-3-イソプロピル安息香酸(12.5g、35%)を鮮紅色固体として得、さらなる精製をせずに用いた。
^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.36(1H,br s),7.73(1H,d),7.63(1H,dd),6.85(1H,d),3.22(1H,m),1.19(6H,d).MS:[M-H]^(+)179.
【0408】
あるいは、必要であれば、この粗生成物を、ジベンジル化[5-アセチル-2,4-ビス-ベンジルオキシ安息香酸メチルの合成(BnBr、K_(2)CO_(3)、MeCN、還流)に関して下記の製法B5で概説される条件に従う]、色の濃い不純物の除去を目的としたシリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中3?5%の酢酸エチルで溶離)および触媒的水素化[上記で概説される方法A5(10%Pd/C、EtOH、H_(2))に従う]を含む三段階法を用いて精製し、4-ヒドロキシ-3-イソプロピル安息香酸を無色の固体として得ることができる。
【0409】
製法B2
5-エチル-2-メトキシ安息香酸
【化36】

【0410】
窒素雰囲気下、無水ジエチルエーテル(100ml)中、4-エチルアニソール(11.7g、86.0mmol)およびN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(10ml、88.0mmol)の攪拌溶液に、n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、38.5ml、100.0mmol)を滴下し、この混合物を攪拌し、30℃で16時間維持した。この混合物を冷却し、無水ジエチルエーテル中、過剰量の固体二酸化炭素の混合物にゆっくり注いだ。この混合物を室温まで温めたところで、2M水酸化ナトリウムを加えてこの混合物を塩基性とし、水層を分離し、濃塩酸を加えてpH2以下に酸性化した。この混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、5-エチル-2-メトキシ安息香酸(5.7g、37%)を淡黄色油状物として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.50(1H,br s),7.48(1H,d),7.33(1H,dd),7.03(1H,d),2.56(2H,q),1.17(3H,q).MS:[M+H]^(+)181.
【0411】
製法B3
2.4-ビス-ベンジルオキシ-5-クロロ-安息香酸
【化37】

【0412】
水(10ml)およびジオキサン(10ml)中、水酸化ナトリウム(1.20g、30.0mmol)の攪拌溶液に、1-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-クロロ-フェニル)-エタノン[WO2004/0500087に従って製造](1.10g、3.0mmol)を加えた。臭素(1.44g、9.0mmol)を滴下し、この混合物を室温で3時間攪拌した。ジオキサンを真空蒸発により除去し、この混合物を、2M塩酸を加えることでpH2以下に酸性化した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-クロロ-安息香酸(900mg、81%)を淡黄色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.58(1H,br s),7.77(1H,s),7.55-7.30(10H,m),7.11(1H,s),5.31(2H,s),5.27(2H,s).MS:[M+H]^(+)369
【0413】
製法B4
3-(1,2-ジメチル-アリル)-4-ヒドロキシ-安息香酸
【化38】

【0414】
アセトニトリル(30ml)中、4-ヒドロキシ安息香酸エチル(1.66g、10.0mmol)および無水炭酸カリウム(2.07g、15.0mmol)を、3-メチル-2-ブテニルクロリド(1.35ml、12.0mmol)で処理し、この混合物を攪拌し、還流下で3時間維持した。冷却したところで溶媒を真空下で除去し、この混合物をジクロロメタンと水とで分液した。有機相を分離し、溶媒を真空下で除去し、4-(3-メチル-but-2-enイルオキシ)-安息香酸エチル(2.23g、95%)を淡黄色の液体として得、さらなる精製をせずに用いた。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.89(2H,d),7.04(2H,d),5.44(1H,t),4.62(2H,d),4.28(2H,q),1.77(3H,s),1.73(3H,s),1.31(3H,t).MS:[M+H]^(+)235.
【0415】
4-(3-メチル-but-2-enイルオキシ)-安息香酸エチル(2.23g、9.53mmol)をアニソール(8ml)に溶解させ、この混合物を攪拌し、還流下で4日間維持した。溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーに付した。石油エーテル中、20%酢酸エチルで溶出し、3-(1,2-ジメチル-アリル)-4-ヒドロキシ-安息香酸エチル(600mg、27%)を無色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))10.32(1H,br s),7.67(1H,dd),7.62(1H,s),6.90(1H,d),4.90(1H,s),4.85(1H,s),4.25(2H,q),3.75(1H,q),1.61(3H,s),1.30(3H,t),1.26(3H,d).MS:[M+H]^(+)235.
【0416】
3-(1,2-ジメチル-アリル)-4-ヒドロキシ-安息香酸エチル(600mg、2.56mmol)をメタノール(20ml)に溶解させ、水(10ml)中、水酸化カリウム(560mg、10.0mmol)の溶液を加え、この混合物を攪拌し、還流下で16時間維持した。冷却したところで、メタノールを真空下で除去し、この溶液を、2M塩酸を加えることでpH2以下に酸性化した。この溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、3-(1,2-ジメチル-アリル)-4-ヒドロキシ-安息香酸(270mg、51%)を無色のガムとして得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.38(1H,br s),10.22(1H,br s),7.63(2H,m),6.88(1H,d),4.90(1H,s),4.87(1H,s),3.75(1H,q),1.60(3H,s),1.28(3H,d).MS:[M-H]^(+)205.
【0417】
製法B5
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸
【化39】

【0418】
三フッ化ホウ素ジエチルエテレート(7.6ml)中の2,4-ジヒドロキシ安息香酸メチル(5.04g、30.0mmol)に、無水酢酸(3.06g、30.0mmol)を加え、この混合物を攪拌し、還流下で3時間維持した後、室温まで冷却した。水(80ml)を加え、この混合物を室温で30分間攪拌した。得られた黄色固体を濾別し、真空下で吸引してできる限り乾燥させた。この固体をジクロロメタンに溶解させ、水で洗浄し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、5-アセチル-2,4-ジヒドロキシ安息香酸メチルを鮮黄色固体として得(2.62g、42%)、さらなる精製をせずに用いた。
^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.58(1H,s),11.22(1H,s),8.33(1H,s),6.45(1H,s),3.90(3H,s),2.62(3H,s).MS:[M+H]^(+)211.
【0419】
5-アセチル-2,4-ジヒドロキシ安息香酸メチル(2.62g、12.48mmol)をアセトニトリル(40ml)に溶解させ、無水炭酸カリウム(4.93g、35.7mmol)を加え、この攪拌混合物を臭化ベンジル(5.09g、29.75mmol)で処理し、還流下で3時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物を水とジクロロメタンとで分液した。有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、5-アセチル-2,4-ビス-ベンジルオキシ安息香酸メチル(3.48g、71%)を無色の固体として得、これを真空炉にて50℃で乾燥させ、さらなる精製をせずに用いた。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))8.21(1H,s),7.55(4H,m),7.43(4H,m),7.37(2H,m),7.04(1H,s),5.38(4H,s),3.79(3H,s),2.48(3H,s).MS:[M+H]^(+)391.
【0420】
0℃、窒素雰囲気下で、無水テトラヒドロフラン(20ml)中、臭化メチルトリフェニルホスホニウム(1.96g、5.5mmol)の攪拌懸濁液を、n-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、3.5ml、5.5mmol)で滴下処理し、得られた鮮黄色溶液を0℃で30分間攪拌した。無水テトラヒドロフラン(20ml)中、5-アセチル-2,4-ビス-ベンジルオキシ安息香酸メチル(1.95g、5.00mmol)の溶液を滴下し、得られた混合物を室温まで温め、16時間攪拌した。メタノール(10ml)を加え、溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタンと水とで分液し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去して褐色のガムを得、これをシリカでのカラムクロマトグラフィーにより精製した。石油エーテル中、7%酢酸エチルで溶離し、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸メチルを無色の固体として得た(700mg、36%)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.59(1H,s),7.52(2H,d),7.64-7.32(8H,m),6.97(1H,s),5.28(2H,s),5.22(2H,s),5.09(1H,s),5.04(1H,s),3.76(3H,s),2.02(3H,s).MS:[M+H]^(+)389.
【0421】
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸メチル(700mg、1.80mmol)をメタノール(20ml)に溶解させ、水(4ml)中、水酸化カリウム(286mg、5.1mmol)の溶液を加え、この混合物を攪拌し、還流下で3時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物を、2M塩酸を加えることでpH2以下に酸性化した。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(600mg、89%)を無色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.52(2H,d),7.47-7.29(9H,m),6.82(1H,s),5.20(2H,s),5.17(2H,s),5.06(1H,s),5.04(1H,s),2.03(3H,s).MS:[M+H]^(+)375.
【0422】
製法B6
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-ブロモ-安息香酸
【化40】

【0423】
2,4-ジヒドロキシ-5-ブロモ安息香酸(5.16g、22.15mmol)をDMF(40ml)に溶解させ、炭酸カリウム(12.2g)および臭化ベンジル(8ml)を順次加えた。この混合物を窒素下、室温で18時間攪拌した。次に、水(25ml)中、水酸化カリウム(2g)の水溶液、その後、メタノール(50ml)を加え、この混合物を激しく攪拌しながら24時間加熱還流した。次に、この混合物を冷却し、1N HCl(250ml)に注いだ後、エーテル、次いでDCMで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空蒸発させた。得られた固体材料をP.E.その後、Et_(2)O(3×50ml)で洗浄し、純粋な生成物を得た(5.2g、56%)。^(1)H NMR(MeOH-d_(4))8.06(1H,s),7.51-7.30(10H,m),6.85(1H,s),5.22(2H,s),5.20(2H,s).MS:[M+H]^(+)413.
【0424】
製法B7
(Z)-4-ベンジルオキシ-3-(1-メチル-プロペニル)-安息香酸の合成
【化41】

【0425】
3-ブロモ-4-ヒドロキシ安息香酸メチル[Tetrahedron,2003,59,9173に従って製造](3.47g、15.0mmol)をアセトニトリル(50ml)に溶解させ、無水炭酸カリウム(3.11g、22.5mmol)を加え、この攪拌混合物を臭化ベンジル(3.08g、18.0mmol)で処理し、還流下で5時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物を水とジクロロメタンとで分液した。有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーに付した。
石油エーテル中10%の酢酸エチルで溶離し、4-ベンジルオキシ-3-ブロモ安息香酸メチル(3.6g、75%)を無色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))8.12(1H,d),7.96(1H,dd),7.51(2H,m),7.43(2H,t),7.35(2H,m),5.32(2H,s),3.84(3H,s).
【0426】
4-ベンジルオキシ-3-ブロモ安息香酸メチル(1.61g、5.0mmol)、炭酸セシウム(4.89g、15.0mmol)、(E)-2-ブテン-2-イルボロン酸(600mg、6.0mmol)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]パラジウム(II)クロリド(204mg、0.25mmol)を無水テトラヒドロフラン(100ml)に溶解させ、水(10ml)を加え、この混合物を攪拌し、窒素雰囲気下、還流下で16時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物をジクロロメタンと水とで分液した。有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーに付した。石油エーテル中5%の酢酸エチルで溶離し、(Z)-4-ベンジルオキシ-3-(1-メチル-プロペニル)-安息香酸メチル(600mg、41%)を無色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6)) 7.88(1H,dd),7.59(1H,d),7.40(4H,m),7.34(1H,m),7.23(1H,d),5.57(1H,q),5.21(2H,s),3.82(3H,s),1.94(3H,s),1.38(3H,d).
【0427】
(Z)-4-ベンジルオキシ-3-(1-メチル-プロペニル)-安息香酸メチル(592mg、2.0mmol)をメタノール(20ml)に溶解させ、水(7ml)中、水酸化カリウム(336mg、6.0mmol)の溶液を加え、この混合物を攪拌し、還流下で3時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物を、2M塩酸を加えてpH2以下に酸性化した。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、(Z)-4-ベンジルオキシ-3-(1-メチル-プロペニル)-安息香酸(460mg、82%)を無色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.85(1H,dd),7.57(1H,d),7.40(4H,m),7.34(1H,m),7.18(1H,d),5.57(1H,q),5.21(2H,s),1.96(3H,s),1.40(3H,d).MS:[M+H]^(+)283.
【0428】
製法B8
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-tert-ブチル-安息香酸の合成
【化42】

【0429】
1-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-tert-ブチル-フェニル)-エタノン[WO2004/072051に従って製造](2.02g、5.2mmol)を1,4-ジオキサン(30ml)に溶解させ、水(30ml)中、水酸化ナトリウム(2.08g、52.0mmol)の溶液を加え、この混合物を攪拌し、臭素(0.8ml、15.6mmol)で滴下処理した。得られた混合物を室温で16時間攪拌した。1,4-ジオキサンを真空下で除去し、この混合物を、2M塩酸を加えてpH2以下に酸性化した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーに付した。石油エーテル中30%の酢酸エチルで溶離し、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-tert-ブチル-安息香酸(1.6g、79%)を淡黄色油状物として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.18(1H,br s),7.69(1H,s),7.52(4H,t),7.45-7.33(6H,m),6.93(1H,s),5.24(2H,s),5.23(2H,s),1.32(9H,s).MS:[M+H]^(+)391.
【0430】
製法B9
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸の合成(別法の合成)
【化43】

【0431】
工程1:2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-ブロモ-安息香酸ベンジルエステルの合成
【化44】

【0432】
フランジリッドを取り付け、攪拌子、温度計、および滴下漏斗が入った10L容のジャケット付き容器に、アセトン(2.5L)、次いで、5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシ安息香酸(100g、0.43mol)および炭酸カリウム(356g、2.58mol)を投入した。周囲温度でこの攪拌混合物に、約20ml/分の速度で臭化ベンジル(185ml、1.55mol)を加えた。この混合物を18時間60℃で加熱した後、45℃にした。水(1.5L)を加え、この混合物を30分間攪拌した。この混合物をEtOAc(2×1L)で抽出し、合わせた有機部分を真空下で減量した。この残渣にEt_(2)O(200ml)および石油エーテル(1L)を加え、この混合物を30分間攪拌し、生じた固体を濾取し、真空乾燥させ、標題化合物(197.2g)を白色固体として得た。
【0433】
工程2:カリウムイソプロペニルトリフルオロボレートの合成
【化45】

【0434】
N_(2)雰囲気下、-78℃で攪拌している無水THF(250ml)中、2-ブロモプロペン(20ml、225mmol)の溶液に、30分かけてn-BuLi(ヘキサン中2.5M)(100ml、250mmol)を加え、この混合物を30分間攪拌した。この混合物に-78℃でホウ酸トリエチル(58ml、340mmol)を、反応混合物の温度が-65℃を超えないような速度でゆっくり加えた。次に、得られた溶液を-78℃で30分間攪拌し、周囲温度までゆっくり温め、さらに90分間攪拌した。この混合物にフッ化水素カリウム(105g、1.35mol)、次いで水(250ml)を加えた。この混合物を周囲温度で14時間攪拌した後、乾固するまで減量した。
【0435】
この手順を上記の通りに繰り返し、乾固するまで減量した後、さらなる後処理のため、この2回の残渣を合わせた。
【0436】
合わせた残渣にアセトン(800ml)を加え、この混合物を1時間攪拌した後、濾過した。集めた固体をアセトン(200ml)で洗浄し、合わせた濾液を真空下で減量して固体を得た。この固体をEt_(2)O(250ml)でトリチュレートした後、真空乾燥させ、標題化合物(28.2g)を白色固体として得た。
【0437】
工程3:2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸ベンジルエステルの合成
【化46】

【0438】
THF(800ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-ブロモ-安息香酸ベンジルエステル(42.9g、85.7mmol)、カリウムイソプロペニルトリフルオロボレート(14.0g、95.2mmol)および炭酸セシウム(83.8g、257.1mmol)の混合物に、Pd(PPh_(3))_(4)(2.0g)、次いで水(150ml)を加えた。この混合物を還流下で72時間加熱した後、周囲温度まで冷却した。この混合物を真空下で減量してTHFを除去した後、水(500ml)とEtOAc(300ml)とで分液した。有機部分をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濾過し、真空下で減量し、標題化合物(40.9g)を褐色油状物として得た。
【0439】
工程3A
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸ベンジルエステルの別法合成
【化47】

【0440】
2-プロパノール/水(2:1、200ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-ブロモ-安息香酸ベンジルエステル(10.0g、20mmol)、カリウムイソプロペニルトリフルオロボレート(4.0g、27.2mmol)およびn-ブチルアミン(6.0mL、60mmol)の混合物をN_(2)で5分間パージした。この混合物に[1,1’-ビス(ジフェニル-ホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(816mg、1.09mmol)を加え、この混合物を還流下で20時間加熱した。この混合物を周囲温度まで冷却した後、水(400ml)で希釈し、EtOAc(2×300ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を1M HCl水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、セライトプラグで濾過し、濾液を真空下で減量し、標題化合物(11.1g)を褐色のガムとして得た。
【0441】
工程4:2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸の合成
【化48】

【0442】
THF-MeOH-水(3:1:1、計300ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸ベンジルエステル(40.8g、87.9mmol)の溶液に、水酸化リチウム(8.42g、352mmol)を加えた。この混合物を16時間50℃で加熱し、周囲温度まで冷却した後、水(300ml)で希釈した。この混合物を、濃HCl(?30ml)を用いてpH?1とした後、EtOAc(2×200ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濾過し、真空下で減量した。固体残渣をP.E-MeOH(9:1、計300ml)に取り、このスラリーを周囲温度で1時間攪拌し、固体を濾取した。この固体を真空乾燥させ、標題化合物(26.8g)を灰白色固体として得た。^(1)H NMR(400MHz,DMSO-d_(6))12.30(s,1H),7.61(s,1H),7.53(d,J=7.0Hz,2H),7.47-7.31(m,8H),6.94(s,1H),5.23(d,J=14.0Hz,4H),5.08(d,J=9.0Hz,2H),2.04(s,3H).
【0443】
製法B10
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-安息香酸
工程1
1-(2-4-ビス-ベンジルオキシ-フェニル)-エタノンの製法
【化49】

【0444】

【0445】
1,3ジヒドロキシアセトフェノン(50g)を、還流冷却器およびガードチューブを備えた2L容の一つ口RBフラスコに入れた。アセトニトリル(750ml)、炭酸カリウム(115g)および臭化ベンジル(97ml)を加え、この混合物を還流下で16時間加熱した(90℃)。完了したところでアセトニトリルを減圧下で除去した。この反応混合物に水(200ml)を加えた後、酢酸エチル(500ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これをn-ヘキサン(600ml)で洗浄し、生成物を得た。
【0446】
得られた生成物の量: 105.1g
収率: 96.24%
性質: 固体
色: 褐色
【0447】
工程2
2-4-ビス-ベンジルオキシ-1-イソプロペニルベンゼンの製法
【化50】

【0448】


【0449】
メチル-トリフェニルホスホニウムヨージド(53.4g)およびTHF(100ml)を、添加漏斗および窒素流入口を備えた1L容の三つ口RBフラスコに導入し、この混合物を0℃まで冷却した。この反応混合物に0℃で15分かけてn-BuLi(92.6ml)を滴下した。この反応混合物を0℃で10分間攪拌し、さらに室温で30分間攪拌した。この反応混合物に0℃で10分かけてTHF(100ml)中、1-(2-4-ビス-ベンジルオキシ-フェニル)-エタノン(20g)を滴下し、この反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の進行をTLC(10%EtOAc/n-ヘキサン、生成物R_(f)?0.9)によりモニタリングした。完了したところで、この反応混合物にメタノール(?100ml)を加え、溶媒減圧下で除去して残渣を得た。この残渣にn-ヘキサン(1L)を加え、30分間還流させた(75℃)後、この混合物をセライトベッドで濾過し、このベッドをn-ヘキサン(500ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(SiO_(2) 2%EtOAc/n-ヘキサン)によりさらに精製した。
【0450】
得られた生成物の量: 12.5g
収率: 63.13%
性質: 液体
色: 無色
【0451】
工程3
4-イソプロピル-ベンゼン-1,3-ジオール
【化51】

【0452】

【0453】
500ml容の水素化フラスコ内の、エタノール(125ml)中、2-4-ビス-ベンジルオキシ-1-イソプロペニルベンゼン(12.5g)の混合物に、20%水酸化パラジウム(2g)を加えた。この反応混合物を80psiで36時間水素化した。反応の進行をTLC(10%EtOAc/n-ヘキサン、生成物R_(f)?0.1)によりモニタリングした。完了したところで、この反応混合物をセライトベッドで濾過し、このベッドをエタノール(300ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去して粗生成物を得、これをそのまま次の工程に用いた。
【0454】
得られた生成物の量: 5.8g(粗物質)
性質: 固体
色: 無色
【0455】
工程4
1-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル-エタノン
【化52】

【0456】

【0457】
還流冷却器および窒素流入口を備えた250ml容の一つ口RBフラスコに、4-イソプロピル-ベンゼン-1,3-ジオール(5.8g)および三フッ化ホウ素エテレート(28.7ml)を導入し、室温で10分間攪拌した。この反応混合物に酢酸(4.55ml)を加え、90℃で16時間攪拌した。完了したところで、この反応混合物に10%酢酸ナトリウム(300ml)を加えた後、室温で4時間攪拌した。この反応混合物を酢酸エチル(300ml)で抽出し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。この反応をTLC(10%EtOAc/n-ヘキサン、生成物R_(f)?0.5)によりモニタリングした。溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(SiO_(2)、10%EtOAc/n-ヘキサン)によりさらに精製した。
【0458】
得られた生成物の量: 3.2g
収率: 43.24%
性質: 固体
色: 無色
【0459】
工程5
1-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-S-イソプロピル-フェニル)-エタノン
【化53】

【0460】

【0461】
還流冷却器およびガードチューブを備えた250ml容の一つ口RBフラスコ内の、1-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-エタノン(3.2g)、アセトニトリル(60ml)および炭酸カリウム(10.6g)の混合物に、臭化ベンジル(9.1ml)を加えた。この反応混合物を16時間還流した(90℃)。反応の進行をTLC(10%EtOAc/n-ヘキサン、生成物R_(f)?0.5)によりモニタリングした。完了したところで、アセトニトリルを減圧下で除去した。得られた残渣に水(100ml)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(200ml)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これにn-ヘキサン(150ml)を加えて生成物を得た。
【0462】
得られた生成物の量: 5.1g
収率: 83.6%
性質: 固体
色: 無色
【0463】
工程6
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-安息香酸
【化54】

【0464】

【0465】
手順:
ガードチューブを備えた500ml容の一つ口RBフラスコ内の、ジオキサン(100ml)中、1-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-エタノン(7g)の混合物を10℃まで冷却し、ヒポ臭化ナトリウム[水(100ml)中13g]を加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の進行をTLC(30%EtOAc/n-ヘキサン、生成物R_(f)?0.5)によりモニタリングした。完了したところで、この反応混合物に重亜硫酸ナトリウム(7g)を加え、0℃まで冷却した。この反応混合物をHCl(?10ml)でpH?2まで酸性化し、酢酸エチル(100ml)で抽出し、水(25ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(SiO_(2)、10%EtOAc/n-ヘキサン)によりさらに精製した。
【0466】
得られた生成物の量: 3.4g
収率: 48.3%
性質: 固体
色: 無色
【0467】
C.イソインドリン中間体の合成
製法C1
4,7-ジフルオロイソインドリンの合成
【化55】

【0468】
四塩化炭素(50ml)中、1,4-ジフルオロ-2,3-ジメチルベンゼン(4.26g、30.0mmol)、N-ブロモスクシンイミド(10.68g、60.0mmol)および過酸化ジベンゾイル(水中75重量%、120mg)の混合物を攪拌し、還流下で16時間維持した。室温まで冷却したところで、この混合物を濾過し、固体を四塩化炭素(10ml)で洗浄し、有機抽出物を合わせ、溶媒を真空下で除去し、2,3-ビス-ブロモメチル-1,4-ジフルオロベンゼン(9.0g、100%)を淡黄色の液体として得、これは放置すると固化した。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.36(2H,dd),4.78(4H,s).
【0469】
激しく攪拌した、無水N,N-ジメチルホルムアミド(60ml)中、水素化ナトリウム(1.2g、鉱油中60重量%、30.0mmol)の懸濁液に、N,N-ジメチルホルムアミド(10ml)中、4-トルエンスルホンアミド(2.44g、14.28mmol)の溶液を滴下した。この混合物を室温で1時間、110℃で1時間攪拌した後、60℃まで冷却し、N,N-ジメチルホルムアミド(30ml)中、2,3-ビス-ブロモメチル-1,4-ジフルオロベンゼン(4.28g、14.28mmol)の溶液を滴下した。この混合物を60℃で1時間、その後、室温で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をジクロロメタンと1M塩酸とで分液した。有機層を分離し、5%炭酸カリウム水溶液で洗浄し、有機相を分離し、溶媒を真空下で除去した。残渣をジエチルエーテルですすぎ、濾過し、固体を減圧下で吸引乾燥させ、4,7-ジフルオロ-2-(トルエン-4-スルホニル)イソインドリン(2.46g、56%)を淡黄褐色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.82(2H,d),7.43(2H,d),7.15(2H,dd),4.66(4H,s),2.36(3H,s).MS:[M+H]^(+)310.
【0470】
水(20ml)およびプロピオン酸(4ml)中、4,7-ジフルオロ-2-(トルエン-4-スルホニル)イソインドリン(2.36g、7.64mmol)、フェノール(2.36g、25.11mmol)、48%臭化水素の混合物を攪拌し、還流下で6時間維持した。室温まで冷却したところで、水(50ml)を加え、この混合物をジエチルエーテル(2×100ml)で抽出した。水層を、2M水酸化ナトリウムを加えることで塩基性化し、ジエチルエーテル(3×100ml)で抽出した。合わせた抽出物を真空下で蒸発乾固させ、4,7-ジフルオロイソインドリン(586mg、50%)を褐色油状物として得、これは放置すると固化した。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.06(2H,dd),4.12(4H,s).MS:[M+H]^(+)156.
【0471】
製法C2
5-ヒドロキシイソインドリンヒドロブロミドの合成
【化56】

【0472】
メタノール(100ml)中、ジメチル4-メトキシフタレート(36.75g、0.16mol)の溶液を、水(50ml)中水酸化カリウム(28.0g、0.5mol)の溶液で処理し、この混合物を攪拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、メタノールを真空下で除去し、この混合物を、5M塩酸を加えることでpH2以下に酸性化した。固体物質を濾別し、水で洗浄し、減圧下で一晩吸引乾燥させ、4-メトキシフタル酸(31.8g、99%)を灰白色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.90(2H,br s),7.74(1H,d),7.12-7.05(2H,m),3.84(3H,s).MS:[M+H]^(+)197.
【0473】
無水テトラヒドロフラン(150ml)中、-メトキシフタル酸(30.8g、0.16mol)の混合物に、無水酢酸(40ml)を加え、この混合物を攪拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、無水4-メトキシフタル酸(27.8g、99%)を灰白色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))8.02(1H,d),7.59(1H,d),7.49(1H,dd),3.97(3H,s).MS:[M+H]^(+)179.
【0474】
無水4-メトキシフタル酸(27.8g、0.16mol)およびホルムアミド(175ml)の混合物を攪拌し、210℃で5時間維持し、その後、一晩室温まで冷却した。この固体物質を濾別し、水(100ml)、50%アセトン水溶液(50ml)およびジエチルエーテル(200ml)で順次洗浄し、減圧下で吸引乾燥させ、4-メトキシフタルイミド(21.3g、77%)を淡黄色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))11.15(1H,br s),7.74(1H,d),7.33-7.28(2H,m),3.92(3H,s).
【0475】
0℃の無水テトラヒドロフラン(425ml)中、4-メトキシフタルイミド(21.3g、0.12mol)の攪拌溶液を、テトラヒドロフラン(1M、340ml、0.34mol)中ボランの溶液で滴下処理し、得られた混合物を攪拌し、還流下で16時間維持した。この混合物を0℃まで冷却し、メタノール(150ml)、その後、5M塩酸(150ml)を滴下し、この混合物を攪拌し、還流下で3時間維持した。室温まで冷却したところで、有機溶媒を真空下で除去し、この混合物を水(750ml)で希釈し、ジクロロメタン(3×750ml)で抽出した。水層を、5M水酸化ナトリウムを加えることでpH12以上に塩基性化し、ジクロロメタン(3×750ml)で抽出し、合わせた抽出物を真空下で蒸発乾固させ、5-メトキシイソインドリン(8.34g、47%)を褐色油状物として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.13(1H,d),6.84(1H,d),6.74(1H,dd),4.05(2H,s),4.01(2H,s),3.73(3H,s).MS:[M+H]^(+)150.
【0476】
48%臭化水素酸水溶液(100ml)中、5-メトキシイソインドリン(8.34g、55.97mmol)を攪拌し、還流下で16時間維持した。室温まで冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、5-ヒドロキシイソインドリンヒドロブロミド(11.32g、93%)を黄褐色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))9.63(1H,br s),9.32(2H,br s),7.18(1H,d),6.79(1H,d),6.76(1H,dd),4.42(2H,t),4.38(2H,t).MS:[M+H]^(+)136.
【0477】
製法C3
5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールの合成
【化57】

【0478】
3,4-ジメチルクロロベンゼン(10g、71.1mmol)、N-ブロモスクシンイミド(25g,142.2mmol)、および過酸化ベンゾイル(0.147g、0.6mmol)の混合物を80mlの四塩化炭素中で18時間還流した。冷却した後、不溶性物質を濾別し、少量の四塩化炭素で洗浄した。濾液をと洗液を合わせ、減圧下で濃縮し、主成分として20gの1,2-ビス-ブロモメチル-4-クロロ-ベンゼンを淡黄色油状物生成物として得た。
【0479】
80mlの無水DMF(100ml)中、鉱油中60%の水素化ナトリウム(3.0g、0.125mmol)の懸濁液に、室温で激しく攪拌しながら1時間かけてDMF30ml中、パラ-トルエンスルホンアミド(5.6g、32.60mmol)の溶液を加えた、添加後、この混合物を室温で1時間攪拌し、さらに1時間90℃で加熱した。この混合物に60℃の無水DMF20ml中、1,2-ビス-ブロモメチル-4-クロロ-ベンゼン(4g、14.18mmol)の溶液を滴下した後、室温で一晩攪拌した。得られた沈殿を濾取した。この沈殿を1N塩酸、5%炭酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濾過し、蒸発させ、2.8gの5-クロロ-2-(トルエン-4-スルホニル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールを淡黄色固体として得た。MS:[M+H]^(+)308
【0480】
48%臭化水素酸8mlとプロピオン酸1.4mlの混合物に、2-(p-トルエンスルホニル)-5-クロロイソインドリン1.0gおよびフェノール1.0gを加えた後、この混合物を還流下で6時間加熱した。得られた反応混合物を水10mlで希釈し、酢酸エチル50mlで2回抽出した。水層を水酸化ナトリウム水溶液で塩基性化し、酢酸エチルで3回抽出した。この抽出物を濃縮し、粗生成物を4N HCl/ジオキサンで希釈し、15分間攪拌した後、HClを蒸発させ、その後、トルエンとともに3回再蒸発させ、0.3gの5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール塩酸塩を黒色固体として得た。MS:[M+H]^(+)153-15
【0481】
製法C4
5-クロロ-6-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールの合成
【化58】

【0482】
四塩化炭素(40ml)中、1-クロロ-2-メトキシ-4,5-ジメチル-ベンゼン(3g、17.6mmol)、N-ブロモスクシンイミド(6.3g、35.3mmol)、および過酸化ベンゾイル(0.100g、0.41mmol)の混合物を還流下で18時間加熱した。冷却後、不溶性物質を濾去し、少量の四塩化炭素で洗浄し、濾液を蒸発させ、主成分として1,2-ビス-ブロモメチル-4-クロロ-5-メトキシ-ベンゼンを油状生成物として得た。MS:[M+H]^(+)329
【0483】
アセトン/水(10ml:12.5ml)中、1,2-ビス-ブロモメチル-4-クロロ-5-メトキシ-ベンゼン(理論的に仮定、17.6mmol)およびNa_(2)CO_(3)(12g、114mmol)の混合物に、アセトン(110ml)中、4-メトキシベンジルアミン(2.4g、17.6mmol)の溶液を滴下した後、室温で2時間攪拌し、真空濃縮した。この粗物質を酢酸エチルに溶解させ、2N HClで抽出した。水層を炭酸ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出し(2回)、乾燥させ(MgSO_(4))、真空下で蒸発させ、5-クロロ-6-メトキシ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(0.8g、2.6mmol)を褐色のガムとして得た。MS:[M+H]^(+)304
【0484】
トリフルオロ酢酸(6ml)中、5-クロロ-6-メトキシ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(600mg)およびアニソール(0.3ml)の溶液をCEMディスカバーマイクロ波合成装置にて180℃(50W)で40分間加熱した。この反応混合物を蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させた。この粗物質をDCMと水とで分液し、水層をDCMで洗浄し(3回)、その後、蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させ、5-クロロ-6-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(256mg)を緑色結晶として得た。MS:[M+H]^(+)184
【0485】
製法C5
2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルアミントリフルオロアセテートの合成
【化59】

【0486】
四塩化炭素(150ml)中、4-ニトロ-o-キシレン(15.1g;0.1mol)の溶液を、N-ブロモスクシンイミド(36g;0.2mol)、次いで、過酸化ベンゾイル(1g)で処理し、その後、還流下で一晩加熱した。反応物を周囲温度まで冷却し、濾過し、濾液を蒸発させ、32gの粗1,2-ビス-ブロモメチル-4-ニトロ-ベンゼンを可動性の油状物として得た。この粗生成物をベンゼン(200ml)に溶解させた後、ベンゼン(100ml)中、2,4-ジメトキシベンジルアミン(15ml)およびトリエチルアミン(27.85ml)の溶液で30分かけて滴下処理し、その後、80℃で3時間加熱した。反応物を冷却し、水、次いで飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機相を2M HCl(2×150ml)で抽出した後、合わせた水相を2M NaOHで塩基性化し、EtOAcで抽出した(2回)。合わせたEtOAc層を乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた後、EtOAc/P.E.(1:3?1.2?1:1)で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させ、10.15gの2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールを褐色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))8.12(2H,m),7.50(1H,d),7.25(1H,d),6.55(1H,d),6.52(1H,dd),3.93(4H,s),3.80(3H,s),3.78(2H,s),3.75(3H,s).
【0487】
TFA(18ml)中、2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(13g)をアニソール(6ml)で処理した後、CEMマイクロ波合成装置にて120℃(30ワット)で20分間加熱した(回分方式で6回行った)。この反応混合物を真空下で蒸発させ、残渣をDCMと水とで分液した。水層を分離し、DCMで洗浄し(3回)、その後、蒸発させ、トルエン/MeOHとともに再蒸発させ(3回)、9.8gの5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールトリフルオロ酢酸塩をベージュ色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))9.85(2H,br s),8.32(1H,d),8.25(1H,dd),7.70(1H,d),4.68(2H,s),4.65(2H,s).
【0488】
メタノール(75ml)中、5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールトリフルオロ酢酸塩(9.8g)および10%パラジウム/炭素(1g)の混合物を室温、常圧下で16時間水素化した。この反応物をセライト(商標)で濾過し、濾液を蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させ、8.76gの2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルアミン一トリフルオロ酢酸塩を暗褐色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))9.45(2H,br s),7.05(1H,d),6.60(2H,m),5.35(2H,br s),4.40(2H,s),4.30(2H,s).
【0489】
製法C6
5-モルホリン-4-イルメチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールジトリフルオロアセテートの合成
【化60】

【0490】
出発材料として3,4-ジメチル安息香酸メチルを用い、製法C5に記載のものと同様にして工程1および2を行った。
【0491】
4:1:1 THF-MeOH-H_(2)O(60ml)中、2-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メチルエステル(4.65g;14.2mmol)および水酸化リチウム一水和物(660mg;1.1当量)の混合物を室温で一晩攪拌した。さらに170mgの塩基を加え、攪拌を7時間続けた。この反応物を蒸発させた後、MeOH/トルエンとともに再蒸発させた(2回)。DMF(25ml)中、粗2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸リチウム塩(1.5g;4.7mmol)、モルホリン(820μl;2当量)、EDAC(1.1g;1.2当量)およびHOBt(760mg;1.2当量)の混合物を室温で一晩攪拌した後、真空下で蒸発させた。残渣をEtOAcと飽和NaHCO_(3)とで分液し、EtOAc層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として2%、その後、5%MeOH/DCM)により精製し、1.1gの[2-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-モルホリン-4-イル-メタノンを赤色/褐色のガムとして得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.30-7.18(4H,m),6.56(1H,d),6.52(1H,dd),3.85(4H,s),3.78(5H,m),3.73(3H,s).
【0492】
窒素雰囲気下、乾燥THF(20ml)中、[2-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-モルホリン-4-イル-メタノン(1.05g;2.75mmol)の溶液を、1M水素化リチウムアルミニウム溶液で処理し、その後、室温で一晩攪拌した。飽和硫酸ナトリウム溶液を注意深く加えることで反応を急冷した後、EtOAc(40ml)で希釈し、セライト(商標)で濾過し、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として2%、その後、5%MeOH/DCM)により精製し、340mgの2-(2,4-ジメトキシベンジル)-5-モルホリン-4-イルメチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールを淡褐色のガムを得た。
【0493】
トリフルオロ酢酸(1.5ml)中、2-(2,4-ジメトキシベンジル)-5-モルホリン-4-イルメチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(340mg)およびアニソール(350μl)の混合物を、CEMマイクロ波合成装置にて130℃で1時間加熱した後、蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させた。残渣をDCMと水とで分液した。水層を分離し、DCMで洗浄し(3回)、その後、蒸発させ、トルエン/MeOHとともに再蒸発させ(3回)、422mgの5-モルホリン-4-イルメチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールジトリフルオロアセテートを褐色のガムとして得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))10.30(1H,br s),9.60(2H,br s),7.55-7.45(3H,m),4.45(4H,s),4.45-4.30(2H,m),4.20-3.88(2H,m),3.70-3.55(2H,m),3.30-3.00(4H,m).
【0494】
製法C7
エチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボキシラートトリフルオロアセテートの合成
【化61】

【0495】
TFA1ml中、2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メチルエステル(215mg)およびアニソール(200μl)の溶液を、CEMディスカバーマイクロ波合成装置にて140℃で30分間加熱した。この反応物を水とDCMとで分液し、水層を分離し、DCMで洗浄した後、蒸発させ、トルエン/MeOHとともに再蒸発させ(2回)、105mgの標題化合物を得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))9.70(2H,br s),8.02(1H,s),8.98(1H,d),7.57(1H,d),4.60(2H,s),4.65(2H,s),3.89(3H,s).
【0496】
製法C8
4-ヒドロキシ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-イソインドール-1,3-ジオン
【化62】

【0497】
無水3-ヒドロキシフタル酸(543mg、3.31mmol)、4-メトキシベンジルアミン(0.43ml、3.31mmol)および酢酸(3ml)の混合物を100℃で4時間加熱した。この混合物を冷却し、水(20ml)で希釈した。白色固体を濾取し、水でよく洗浄し、乾燥させ、標題化合物を得た(760mg、81%)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))11.03(1H,s),7.61(1H,dd),7.28(1H,d),7.23-7.19(3H,m),6.89-6.86(2H,m),4.63(2H,s),3.71(3H,s).MS:[M-H]^(+)282.
【0498】
製法C9
4-ヒドロキシ-2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-イソインドール-L3-ジオン
【化63】

【0499】
無水3-ヒドロキシフタル酸(1.24g、7.6mmol)、2,4-ジメトキシベンジルアミン(1.14ml、7.6mmol)および酢酸(5ml)の混合物を80℃で24時間加熱した。この混合物を冷却し、水(20ml)で希釈した。白色固体を濾取し、水でよく洗浄し、乾燥させ、標題化合物を得た(1.73g、73%)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))11.00(1H,s),7.62(1H,dd),7.29(1H,d),7.21(1H,d),6.90(1H,d),6.56(1H,d),6.43(1H,dd),4.59(2H,s),3.79(3H,s),3.72(3H,s).MS:[M-H]^(+)314.
【0500】
製法C10
2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2-(2-メトキシ-エトキシ-エトキシ]-イソインドール-1,3-ジオン
【化64】

【0501】
DMF(2ml)中、4-ヒドロキシ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-イソインドール-1,3-ジオン(150mg、0.53mmol)および炭酸カリウム(200mg、1.4mmol)の懸濁液に、1-(2-ブロモ-エトキシ)-2-メトキシ-エタン(107mg、0.58mmol)を加えた。3.5時間後、触媒量のヨウ化カリウムを加えた。さらに17時間後、この混合物を60℃まで温めた。3時間後、1-(2-ブロモ-エトキシ)-2-メトキシ-エタン(20mg、0.11mmol)を追加し、この混合物を60℃でさらに20時間維持した。この混合物を真空濃縮した後、残渣を酢酸エチルに取り、炭酸カリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮し、標題化合物を黄色油状物として得た(149mg、73%)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.71(1H,t),7.43-7.40(2H,m),7.31-7.27(2H,m),6.87-6.83(2H,m),4.71(2H,s),4.37-4.34(2H,m),3.92-3.89(2H,m),3.77-3.74(5H,m),3.55-3.53(2H,m),3.33(3H,s).MS:[M+H]^(+)386.
【0502】
製法C11
2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-4-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-イソインドール-1,3-ジオン
【化65】

【0503】
DMF(4ml)中、2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-4-ヒドロキシ-イソインドール-1,3-ジオン(317mg、1.01mmol)、2-ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩(160mg、1.11mmol)および炭酸カリウム(350mg、2.5mmol)の混合物を60℃で18時間加熱した。この混合物を真空濃縮し、酢酸エチルに取り、1N塩酸で2回抽出した。これらの水性抽出物を固体炭酸カリウムで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した(2回)。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮し、標題化合物(236mg、61%)を灰白色固体として得た。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.73(1H,t),7.44-7.40(2H,m),7.02(1H,d),6.51(1H,d),6.42(1H,dd),4.72(2H,s),4.33(2H,t),3.80(3H,s),3.76(3H,s),2.87(2H,t),2.40(6H,s).MS:[M+H]^(+)385.
【0504】
製法C12
2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル-4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-イソインドール-1,3-ジオン
【化66】

【0505】
DMF(5ml)中、2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-4-ヒドロキシ-イソインドール-1,3-ジオン(313mg、1.00mmol)、4-(3-クロロプロピル)モルホリン(160mg、1.11mmol)および炭酸カリウム(350mg、2.5mmol)の混合物を、60℃で18時間加熱した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸で2回抽出した。これらの水性抽出物を固体炭酸カリウムで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮し、黄色固体を得、これをメタノール/石油、次いで、酢酸エチル/クロロホルム/石油から再結晶させ、標題化合物(298mg、68%)を灰白色固体として得た。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.72(1H,t),7.41(1H,d),7.39(1H,d),7.02(1H,d),6.51(1H,d),6.43(1H,dd),4.72(2H,s),4.27(2H,t),3.81(3H,s),3.76(3H,s),3.68(4H,t),2.61(2H,t),2.50(4H,m),2.05(2H,qn).MS:[M+H]^(+)441.
【0506】
製法C13
2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール
【化67】

【0507】
2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-イソインドール-1,3-ジオン(149mg、0.38mmol)を、THF(5ml、5mmol)中、水素化リチウムアルミニウムの1M溶液で処理した。この混合物を室温で4時間、60℃で1時間、その後、室温でさらに18時間維持した。その後、この混合物を氷中で冷却し、水(0.2ml)、2N水酸化ナトリウム溶液(0.4ml)および水(0.4ml)を滴下することで急冷した。硫酸マグネシウム、次いで酢酸エチルを加え、その後、この混合物を室温で15分間攪拌した。固体を濾去し、酢酸エチルでよく洗浄した。濾液を濃縮して残渣を得、これをSCXカートリッジに吸着させ、5%メタノール/ジクロロメタンで洗浄した後、メタノール/ジクロロメタン中10%の1Mアンモニアで溶離し、標題化合物を得た(134mg、97%)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.43-7.39(2H,m),7.27(1H,t),6.99-6.96(2H,m),6.90(1H,d),6.88(1H,d),4.33(2H,s),4.28(2H,s),4.23(2H,s),4.18-4.15(2H,m),3.85-3.79(5H,m),3.67-3.64(2H,m),3.54-3.51(2H,m),3.33(3H,s).MS:[M+H]^(+)358.
【0508】
製法C14
2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-4-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール
【化68】

【0509】
2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-4-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-イソインドール-1,3-ジオン(201mg、0.52mmol)を、THF(5ml、5mmol)中、水素化リチウムアルミニウムの1M溶液で処理した。室温で7.5時間後、さらなる水素化リチウムアルミニウム溶液(5ml、5mmol)を追加し、この混合物をさらに18時間維持した。その後、この混合物を氷中で冷却し、水(0.4ml)、2N水酸化ナトリウム溶液(0.8ml)および水(0.8ml)を滴下することで急冷した。硫酸マグネシウム、次いで酢酸エチルを加えた後、この混合物を室温で1時間攪拌した。固体を濾去し、酢酸エチルでよく洗浄した。濾液を濃縮し、標題化合物(192mg、103%)を褐色油状物として得、これをさらなる精製をせずに進めた。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.24(1H,d),7.16(1H,t),6.82-6.78(2H,m),6.55(1H,d),6.51(1H,dd),4.12(2H,t),3.92(4H,s),3.86(2H,s),3.82(3H,s),3.80(3H,s),2.76(2H,t),2.33(6H,s).MS:[M+H]^(+)357.
【0510】
製法C15
2-(2.4-ジメトキシ-ベンジル)-4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール
【化69】

【0511】
2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-イソインドール-1,3-ジオン(298mg、0.68mmol)を、THF(5ml、5mmol)中、水素化リチウムアルミニウムの1M溶液で処理し、室温で21時間維持した。この混合物を75℃で1時間加熱した後、氷中で冷却し、水(0.2ml)、2N水酸化ナトリウム溶液(0.4ml)および水(0.4ml)を滴下することで急冷した。硫酸マグネシウム、次いで酢酸エチルを加えた後、この混合物を室温で1時間攪拌した。固体を濾去し、酢酸エチルでよく洗浄し、濾液を濃縮して粗生成物を得、これを、DCM中5%のメタノールで溶離するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。これにより標題化合物(233mg、83%)を赤色油状物として得た。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.24(1H,d),7.15(1H,t),6.80(1H,d),6.78(1H,d),6.56(1H,d),6.52(1H,dd),4.05(2H,t),3.94(2H,s),3.88(2H,s),3.87(2H,s),3.83(3H,s),3.80(3H,s),3.70-3.68(4H,m),2.54-2.50(2H,m),2.49-2.47(4H,m),2.00-1.93(2H,m).MS:[M+H]^(+)413.
【0512】
製法C16
4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール
【化70】

【0513】
1,2-ジクロロエタン(2ml)中、2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(45mg、0.13mmol)の溶液をα-クロロエチルクロロホルメート(0.1ml、0.93mmol)で処理した。17時間後、メタノール(5ml)を加え、この混合物を3時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、標題化合物を緑がかった黒色の固体として得、これをさらなる精製をせずに用いた。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.36(1H,t),6.98(2H,d),4.60(2H,s),4.57(2H,s),4.23-4.21(2H,m),3.85-3.83(2H,m),3.69-3.67(2H,m),3.57-3.54(2H,m),3.36(3H,s).MS:[M+H]^(+)238.
【0514】
製法C17
[2-(2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルオキシ)-エチル]-ジメチル-アミン
【化71】

【0515】
トリフルオロ酢酸(0.5ml)およびアニソール(0.5ml)中、2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-4-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(170mg、0.48mmol)の溶液を、マイクロ波照射下、150℃で10分間加熱した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、水で抽出した。合わせた水性抽出物を濃縮し、標題化合物を紫色の油状物として得た(240mg、残留TFAおよび/または水を含む)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.42(1H,t),7.07(1H,d),7.04(1H,d),4.64(4H,br.s),4.47-4.44(2H,m),3.65-3.63(2H,m),3.01(6H,s).MS:[M+H]^(+)207.
【0516】
製法C18
4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール
【化72】

【0517】
トリフルオロ酢酸(1.0ml)およびアニソール(0.5ml)中、2-(2,4-ジメトキシ-ベンジル)-4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(233mg、0.56mmol)の溶液を、マイクロ波照射下、150℃で10分間加熱した。この混合物をジエチルエーテルで希釈し、水で抽出した。合わせた水性抽出物を濃縮して油状物を得、これをメタノールに溶解させ、真空濃縮し、標題化合物を褐色油状物として得た(348mg、TFAおよび/または水を含む)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.40(1H,t),7.03(1H,d),6.99(1H,d),4.63(2H,s),4.59(2H,s),4.21(2H,t),4.14-4.04(2H,m),3.85-3.73(2H,m),3.61-3.52(2H,m),3.41-3.36(2H,m),3.25-3.13(2H,m),2.32-2.25(2H,m).MS:[M+H]^(+)263.
【0518】
製法C19
4-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールトリフルオロアセテートの合成
【化73】

【0519】
5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールと同様に製造(製法C5に記載)。
^(1)H NMR(DMSO-d_(6))9.73(2H,br s),7.60(1H,d),7.45(1H,d),7.35(1H,t),4.65(2H,s),4.55(2H,s).
【0520】
製法C20
5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールの合成
【化74】

【0521】
ホルムアミド(75ml)中、無水4-ブロモフタル酸(25g)の混合物を200℃で16時間加熱した後、室温まで冷却した。この反応混合物を水(200ml)で希釈し、濾過し、濾過ケーキを水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、吸引乾燥させ、20.85gの薄芥子色の固体を得た。
【0522】
0℃の無水THF(200ml)中、4-ブロモフタルイミド(20.85g;92.2mmol)の攪拌溶液に、280mlの1Mボラン-THF複合体を滴下した後、還流下で一晩加熱した。この反応物を0℃まで冷却した後、メタノール(100ml)、次いで2M HCl(100ml)で注意深く処理し、その後、還流下で3時間加熱した。この反応混合物を冷却し、有機相を蒸発させた。水性相を水(100ml)で希釈し、DCMで抽出した(3回)。水相を2M NaOHで塩基性化した後、DCMで抽出した(3回)。合わせたDCM抽出物を乾燥させ(MgSO_(4))、濾過し、蒸発させ、6.99gの5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールを暗褐色のガム質固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.45(1H,s),7.36(1H,d),7.20(1H,d),4.05(4H,s).
【0523】
製法C21
2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メチルエステルトリフルオロアセテートの合成
【化75】

【0524】
2-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メチルエステル(製法C6工程2の生成物)を、5-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールと同様に脱保護し(製法C5に記載)、標題化合物を得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))9.70(2H,br s),8.00(1H,s),7.95(1H,d),7.57(1H,d),4.60(4H,s),2.88(3H,s).
【0525】
D.ベンジル化レゾルシノール中間体の合成
製法D1
(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-メトキシ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル-メタノンの合成
【化76】

【0526】
DMF(4ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-安息香酸(製法B10)および5-ヒドロキシイソインドリンからのA2)(100mg、0.2mmol)、1-クロロ-2-メトキシ-エタン(23.6mg、0.25mmol)およびK_(2)CO_(3)(34.5mg、0.25mmol)を合わせ、室温で2時間攪拌した。さらに0.25mmolの1-クロロ-2-メトキシ-エタンおよびK2CO3を加えた後、90℃で16時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈した後、濾過した。濾液を真空下で減量した後、100%石油エーテル?100%酢酸エチルで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、115mgの標題化合物を無色のゲルとして得た。MS:[M+H]^(+)552
【0527】
製法D2
(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1.3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
【化77】

【0528】
DMF(5ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(100mg、0.2mmol)、4-(3-クロロプロピル)モルホリン(82mg、0.5mmol)およびK_(2)CO_(3)(104mg、0.75mmol)の混合物を90℃で16時間加熱した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、濾過した。濾液を真空下で減量し、0?100%P.E./EtOAc、次いで0?10%MeOH/EtOAcで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を無色のゲル(90.1mg)として得た。MS:[M+H]+621
【0529】
製法D3
(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
【化78】

【0530】
DMF(5ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(100mg、0.2mmol)、2-ジメチルアミノエチルクロリドHCl(72mg、0.5mmol)およびK_(2)CO_(3)(173mg、1.25mmol)の混合物を90℃で16時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、濾過した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、濾過した。濾液を真空下で減量し、100%DCM、次いで90%DMAW90で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を灰白色ゲルとして得た(79mg)。MS:[M+H]^(+)565
【0531】
製法D4
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイルクロリドの合成
【化79】

【0532】
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-安息香酸(製法B10)(0.2g、0.53mmol)をDCM(10ml)に溶解させ、塩化オキサリル(1.5g、12mmol)および触媒量のDMFで処理した。この反応混合物を室温で14時間攪拌し、溶媒を真空下で除去した。この粗物質をトルエンに溶解させ、蒸発させた。粗2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイルクロリドを油状物として得た(200mg)。
【0533】
製法D5
(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-モルホリン-4-イル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンの合成
【化80】

【0534】
DMF(10ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-安息香酸(505mg;1.3mmol)(製法B5)、5-ニトロイソインドリン、トリフルオロアセテート(360mg;1当量)、EDAC(300mg;1.2当量)、HOBt(210mg;1.2当量)およびNEt_(3)(270μl;1.5当量)の溶液を室温で一晩攪拌した後、真空下で蒸発させた。残渣をEtOAcと2M HClとで分液し、EtOAc層を分離し、飽和NaHCO_(3)で洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として1:4、次いで1:2、次いで1:1 EtOAc/P.E.)により精製し、460mgの(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ニトロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)メタノンを得た。MS:[M+H]^(+)523。
【0535】
エタノール(25ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ニトロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)メタノン(460mg;0.88mmol)の溶液を、塩化錫(II)二水和物(1g;5当量)で処理した後、還流下で一晩加熱し、その後、真空下で蒸発させた。残渣をEtOAcと飽和NaHCO_(3)とで分液し、EtOAc層を分離し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させ、380mgの(5-アミノ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノンを得た。
【0536】
NMP(1ml)中、(5-アミノ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン(100mg;0.2mmol)、ビス(2-クロロエチル)エーテル(30μl;1.1当量)、Hunigs塩基(125μl;3.5当量)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(10mg)の混合物を、CEMマイクロ波合成装置にて150℃で30分間加熱した。さらに30μlのHunigs塩基および125μlのビス(2-クロロエチル)エーテルを追加し、同じ時間加熱を繰り返した。この反応混合物をEtOAcと飽和NH_(4)Cl溶液とで分液し、EtOAc層を分離し、さらなる飽和NH_(4)Cl溶液、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として1:2、次いで1:1、次いで2:1 EtOAc/P.E.)により精製し、60mgの(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-モルホリン-4-イル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンを得た。MS:[M+H]^(+)563
【0537】
製法D6
2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸の合成
【化81】

【0538】
メタノール(10ml)および2M NaOH(10ml)中、2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メチルエステル(390mg)の溶液を50℃で48時間加熱した後、蒸発させた。残渣を2M HClで酸性化し、固体を濾取し、水で洗浄し、吸引乾燥させ、255mgの2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸を白色固体として得た。[M+H]^(+)520
【0539】
実施例
上記の方法に従い、下表に示されている化合物を製造した。
【表3】






【0540】
実施例17
(5-クロロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノンの合成
【化82】

【0541】
DMF(5ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-安息香酸(製法B10)(0.451g、1.2mmol)、EDC(0.276mg、1.44mmol)、HOAt(0.196mg、1.44mmol)、トリエチルアミン(0.5ml、3.6mmol)および5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(0.187g、1.2mmol)(製法C3)の溶液を室温で16時間攪拌した後、真空下で蒸発させた。この粗物質を酢酸エチルに溶解させ、飽和NaHCO_(3)で2回抽出し、有機相を水で3回洗浄した後、真空下で蒸発させ、0.5gの2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-クロロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンを得た。MS:[M+H]^(+)512
【0542】
窒素下、0℃の乾燥DCM(10ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-クロロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(0.5g、0.97mmol)の溶液に三塩化ホウ素(DCM中1M)を滴下した後、0℃で1時間攪拌し、室温まで温め、さらに3時間攪拌した。反応を氷で急冷し、DCMと水とで分液した。DCM層を乾燥させ(MgSO_(4))、真空下で蒸発させた後、80%P.E.:EtOAcで溶離するフラッシュシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、0.1gの(5-クロロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノンを白色固体として得た。MS:[M+H]^(+)332.^(1)H NMR(DMSO-d_(6))10.0(1H,s),9.60(1H,s),7.45(1H,br s),7.33(2H,br s),7.0(1H,s),6.4(1H,s),4.80(4H,br s),3.10(1H,m),1.15(6H,d).
【0543】
実施例18
[5-(3-アミノ-プロポキシ)-L3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン塩酸塩の合成
【化83】

【0544】
EtOAc(10ml)中、{3-[2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルオキシ]-プロピル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル(実施例46)(1g)の溶液を、EtOAC(20ml)中、HClの飽和溶液で処理した後、室温で2時間攪拌した。この反応混合物を蒸発させ、エタノールとともに再蒸発させた(3回)。標題化合物をクリーム色の泡沫として単離した(840mg)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))10.05(1H,br s),9.60(1H,s),7.88(3H,br s),7.30-7.18(1H,m),7.05(1H,s),7.00-6.85(2H,m),6.42(1H,s),4.75(2H,br s),4.70(2H,br s),4.05(2H,t),3.10(1H,m),3.00-2.95(2H,m),2.00(2H,tt),1.15(6H,d).MS:[M+H]^(+)371.
【0545】
実施例19
(5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン
【化84】

【0546】
DMF(5ml)中、5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシ-安息香酸(520mg、2.33mmol)の溶液を、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(471mg、2.45mmol)、次いでHOBt(362mg、2.68mmol)で処理した。25分後、2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(0.5ml、2.63mmol)を加え、その後、この混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒を真空下で除去した後、残渣を酢酸エチルに取り、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、その後、乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮した。残渣をメタノールでトリチュレートし、標題化合物を灰色の固体として得た(328mg、44%)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))10.45(1H,s),10.32(1H,s),7.36(1H,br.s),7.35(1H,s),7.28(3H,br.s),6.59(1H,s),4.77(2H,br.s),4.71(2H,br.s).MS:[M+H]^(+)332/334.
【0547】
実施例20
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-メタノン
20A.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-ブロモ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン
【化85】

【0548】
一般法A2に従い、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-ブロモ-安息香酸(1.02g、2.47mmol)から残渣を得、これをシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油勾配、0?20%)により精製し、標題化合物を結晶性固体として得た(501mg、39%)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.52(1H,s),7.49-7.46(2H,m),7.42-7.37(2H,m),7.34(t,2H),7.30-7.24(4H,m),7.23-7.20(3H,m),7.16(1H,d),6.94(1H,s),5.24(2H,s),5.16(2H,s),4.86(2H,s),4.60(2H,s).MS:[M+H]^(+)514/516.
【0549】
20B.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン
【化86】

【0550】
(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-ブロモ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(491mg、0.95mmol)、トリフルオロ酢酸ナトリウム(649mg、4.8mmol)およびヨウ化銅(I)(364mg、1.91mmol)の混合物を真空下(0.04ミリバール)で6時間乾燥させた。このフラスコを窒素でフラッシュし、DMF(5ml)を加え、この混合物を150℃で17時間加熱した。室温まで冷却後、この混合物をDCM(100ml)で希釈し、セライトで濾過し、DCMですすいだ。濾液を濃縮乾固し、残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油勾配、0?20%)により部分精製した。最も純粋な画分をメタノールから再結晶させ、標題化合物を白色固体として得た(140mg、29%)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.60(1H,s),7.48-7.44(2H,m),7.40(2H,t),7.37-7.21(m,9H),7.17(1H,d),7.02(1H,s),5.29(2H,s),5.24(2H,s),4.88(2H,s),4.62(2H,s).MS:[M+H]^(+)504.
【0551】
20C.(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-メタノン
【化87】

【0552】
メタノール(5ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(140mg、0.28mmol)の溶液を大気圧下、10%パラジウム/炭素(34mg)上で4時間水素化した。さらなる触媒(31mg)を追加し、さらに1.5時間水素化を続けた。この混合物をセライトで濾過し、メタノールで溶離した後、濾液を真空濃縮し、標題化合物を白色固体として得た(91mg、定量的)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))10.79(1H,s),10.70(1H,s),7.40-7.35(2H,m),7.31-7.35(3H,m),6.61(1H,s),4.79(2H,br.s),4.68(2H,br.s).MS:[M+H]^(+)324.
【0553】
実施例21
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}メタノン
【化88】

【0554】
DCM(3ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(96mg、0.26mmol)およびDMF(1滴、触媒)の溶液を氷中で冷却した後、塩化オキサリル(112μL、1.28mmol)で処理した。2時間後、この混合物を真空濃縮し、その後、トルエンと共沸した。得られた酸塩化物をDCM(4ml)に溶解させ、DCM(1ml)中、4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(0.26mmol、前記工程(ベンジル化手順C16)から定量的収量と仮定)のおよびトリエチルアミン(0.20ml、1.4mmol)の溶液に加えた。2時間後、この混合物を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸、ブライン、重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮して黒色の残渣を得た。これをシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油勾配、20?33%)により部分精製し、中間体(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-{4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノンの不純なサンプルを得た。
【0555】
メタノール(5ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-{4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノンの溶液を大気圧下、10%パラジウム/炭素(12mg)上で3時間水素化した。さらなる触媒(12mg)を追加し、水素化をさらに7時間続けた。この混合物をセライトで濾過し、メタノールで溶離し、その後、濾液を真空濃縮して残渣を得、これを分取HPLC(塩基性法)により精製した。これにより標題化合物を白色固体として得た(17mg、二段階で16%)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.25(1H,t),7.17(1H,s),6.95-6.82(2H,m),6.37(1H,s),4.89(2H,br.s),4.83(H_(2)Oと重複,br.s),4.16(2H,br.s),3.82(2H,br.s),3.66(2H,br.s),3.52(2H,br.s),3.39-3.28(MeOHと重複,m),3.20(1H,sept),1.21(6H,d).MS:[M+H]^(+)416.
【0556】
実施例22
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル1-メタノン
【化89】

【0557】
DCM(5ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(189mg、0.50mmol)およびDMF(1滴、触媒)の溶液を氷中で冷却した後、塩化オキサリル(112μL、1.28mmol)で処理した。2時間後、この混合物を真空濃縮し、その後、トルエンと共沸した。得られた酸塩化物をDCM(5ml)に溶解させ、DCM(3ml)中、[2-(2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルオキシ)-エチル]-ジメチル-アミン(0.48mmol、前記工程(C17)から定量的と仮定)およびトリエチルアミン(0.50ml、3.6mmol)の溶液に加えた。16時間後、この混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸カリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮して残渣を得、これをシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(メタノール/DCM勾配、5?10%、次いで10%2Mメタノール性アンモニア/DCM)により部分精製し、中間体(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[4-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの不純なサンプルを得た。
【0558】
メタノール(5ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[4-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの溶液を大気圧下、10%パラジウム/炭素(40mg)上で22時間水素化した。この混合物をセライトで濾過し、メタノールで溶離し、その後、濾液を真空濃縮して残渣を得、これを分取HPLC(酸性法)により精製した。これにより標題化合物のギ酸塩を白色固体として得た(9mg、二工程5%)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))8.52(0.7H,s),7.29(1H,t),7.17(1H,s),6.98-6.86(2H,m(6.90(1H,d)を含む)),7.42-7.37(2H,m 6.90(1H,d)),6.37(1H,s),4.89(2H,br.s),4.87(2H,br.s),4.28(2H,br.s),3.29-3.5(3H,m(3.20(1H,sept)を含む)),2.81-2.51(6H,br.d),1.21(6H,d).MS:[M+H]^(+)385.
【0559】
実施例23
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノン
【化90】

【0560】
DCM(5ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(210mg、0.56mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.25ml、1.4mmol)の溶液をブロモ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)(287mg、0.62mmol)で処理した。1時間後、DCM(5ml)中、4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(0.56mmol、前記工程(C18)から定量的収量と仮定)の溶液を加えた。4時間後、この混合物を酢酸エチルで希釈し、水、1N水酸化ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮して残渣を得、これをSCXカラムに吸着させた。これを10%メタノール/DCMで洗浄した後、生成物を25%2Mメタノール性アンモニア/DCM)で溶離し、中間体(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの不純なサンプルを得た。
【0561】
メタノール(5ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの溶液を大気圧下、10%パラジウム/炭素(45mg)上で4時間水素化した。この混合物をセライトで濾過し、メタノールで溶離し、その後、濾液を真空濃縮して残渣を得、これを分取HPLC(塩基性法)により精製した。これにより標題化合物を白色固体として得た(16mg、二段階で6%)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.24(1H,t),7.18(1H,s),6.89(1H,d),6.84(1H,d),6.37(1H,s),4.87(2H,br.s),4.78(2H,br.s),4.11-4.04(2H,m),3.72-3.66(4H,m),3.21(1H,sept),2.60-2.42(6H,m),2.05-1.92(2H,m),1.21(6H,d).MS:[M+H]^(+)441.
【0562】
実施例24?47
上記の方法に従い、実施例24?47を製造した。
【0563】
【表4】











【0564】
実施例48
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-イソプロピルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
【化91】

【0565】
1,2-ジクロロエタン(10ml)中、[5-(3-アミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン塩酸塩(実施例57)(250mg、0.702ミリモル)の懸濁液に、アセトン(62μl、0.842ミリモル)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(178mg、0.842ミリモル)および酢酸(48μl、0.842ミリモル)を加えた後、60℃で24時間加熱した。この反応混合物にさらにアセトン(52μl、0.702ミリモル)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(149mg、0.702ミリモル)および酢酸(40μl、0.702ミリモル)を追加し、60℃で2時間加熱した。次に、この反応混合物を濾過し、母液をフラッシュクロマトグラフィー[Biotage SP4:25M、流速25ml/分、勾配DCM中20%?100%DMAW 90)により精製し、(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-イソプロピルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンを淡褐色の粘稠な油状物として得た(140mg、50%)。
^(1)H NMR(DMSO-d_(6))10.05(1H,br s);9.60(1H,br s);7.23(1H,br s);7.05(1H,s);6.93(1H,br s);6.85(1H,br s);6.40(1H,s);4.70(4H,br m);4.00(2H,t);3.10(1H,m);2.90(2H,t);2.80(1H,m);1.15(6H,d);1.00(6H,d).MS:[M+H]^(+)399.
【0566】
実施例49
N-{2-[2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルオキシ]-エチル}-2-モルホリン-4-イル-アセトアミドの合成
【化92】

【0567】
DMF(10ml)中、[5-(3-アミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン塩酸塩(100mg、0.255ミリモル)の溶液に、EDC(59mg、0.306ミリモル)、HOBt(41mg、0.306ミリモル)、モルホリン-4-イル-酢酸(37mg、0.255ミリモル)およびトリエチルアミン(43μl、0.306ミリモル)を加え、周囲温度で1時間攪拌した。この反応混合物にさらにEDC(20mg、0.104ミリモル)、HOBt(14mg、0.104ミリモル)、モルホリン-4-イル-酢酸(12mg、0.083ミリモル)およびトリエチルアミン(14μl、0.100ミリモル)を追加し、周囲温度でさらに2時間攪拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー[Biotage SP4:25S、流速25ml/分、勾配DCM中20%のDMAW 90?100%DMAW 90]、次いで分取HPLCにより精製し、N-{2-[2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルオキシ]-エチル}-2-モルホリン-4-イル-アセトアミドを無色の粘稠な油状物として得た(40mg、33%)。^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.20(1H,br s);7.18(1H,s);6.90(2H,br m);6.40(1H,s);4.10(2H,t);3.73(4H,m);3.63(2H,t);3.20(1H,m);3.18(2H,s);2.60(4H,m);1.25(6H,d).MS:[M+H]^(+)484.
【0568】
実施例50
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
【化93】

【0569】
50A:5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸tert-ブチルエステルの合成
DMF(20ml)中、5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(1.26g;6.4mmol)、二炭酸ジ-tert-ブチル(1.53g;1.1当量)および4-ジメチルアミノピリジン(触媒的量)の混合物を室温で一晩攪拌した後、蒸発させた。残渣をEtOAcとブラインとで分液し、EtOAc層を分離し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。0%?5%MeOH/DCMで溶離するBiotage SP4(40S、40ml/分)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、695mgの5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸tert-ブチルエステルを褐色のガムとして得た。
^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.55(1H,d),7.48(1H,d),7.30(1H,dd),4.63-4.51(4H,m),1.46(9H,s).
【0570】
50B:5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸tert-ブチルエステルの合成
窒素雰囲気下、-78℃の無水THF(10ml)中、5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸tert-ブチルエステル(429mg;1.44mmol)の攪拌溶液に、0.69mlのn-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液)を滴下した。この反応物を50分間攪拌した後、1-メチル-4-ピペリドン(212μl;1.2当量)を加え、-78℃でさらに60分間攪拌した後、室温まで温めた。飽和塩化アンモニウム溶液を加えることで反応を急冷した後、EtOAcで抽出した。EtOAc層を飽和NaHCO_(3)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。
SiO_(2)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー、0%?10%2Mメタノール性アンモニア/DCMの勾配溶離により精製し、111mgの5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸tert-ブチルエステルを無色の油状物として得た。
【0571】
50C.4-(2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-1-メチル-ピペリジン-4-オールの合成
THF(4ml)中、5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸tert-ブチルエステル(107mg;0.32mmol)の溶液を濃塩酸(1.5ml)で処理した後、還流下で4時間加熱し、その後、蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させ、4-(2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-1-メチル-ピペリジン-4-オール二塩酸塩を褐色のガムとして得た。
【0572】
50D.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
DCM(5ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(145mg;1.2当量)の溶液をEDC(80mg;1.3当量)およびHOAt(66mg;1.5当量)で処理した後、室温で30分間攪拌した。次に、この溶液を、THF(5ml)およびDMF(2ml)中、4-(2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-1-メチル-ピペリジン-4-オール二塩酸塩(112mg;0.32mmol)およびトリエチルアミン(90μl;2当量)の混合物に加え、その後、この反応物を室温で-晩攪拌した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、水、1N NaOHおよびブラインで洗浄し、EtOAc層を分離し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。SiO_(2)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー、0%?5%2Mメタノール性アンモニア/DCMの勾配溶離により精製し、104mgの(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンを黄色ガラスとして得た。
【0573】
50E.(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル1-メタノンの合成
(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン(方法A5に記載のとおり)の水素化により、72mgの標題化合物をクリーム色の固体として得た。^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.35(2H,m),7.18(1H,br m),7.08(1H,s),6.25(1H,s),4.78(4H,m),3.10(1H,m),2.65(2H,m),2.45(2H,m),2.25(3H,s),2.00(2H,m),1.65(2H,m),1.10(6H,d).MS:[M+H]^(+)411.
【0574】
実施例51
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{5-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノンの合成
【化94】

【0575】
51A.(2.4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンの合成
DMF(25ml)中、ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(2.85g;7.6mmol)、5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(1.5g;1当量)、EDC(1.75g;1.2当量)およびHOBt(1.25g;1.2当量)の溶液を室温で一晩攪拌した後、蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解させ、2M HCl、次いで飽和NaHCO_(3)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。
1:4?1:3?1:2 EtOAc/P.E.で溶離するBiotage SP4(40S、40ml/分)を用いて精製し、2.45gの(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンを淡褐色固体として得た。
【0576】
51B.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-{5-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン
トルエン(5ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(200mg;0.36mmol)および1-メチル-4-(ピペリジン-4-イル)ピペラジン(80mg;1.2当量)の溶液を(2-ビフェニル)-ジ-tert-ブチルホスフィン(6mg;5mol%)、トリス(ジベンジリデン)パラジウム(0)(10mg;2.5mol%)およびナトリウムtert-ブトキシド(50mg;1.4当量)で処理した後、CEMエクスプローラーマイクロ波合成装置にて120℃で30分間加熱した。この反応混合物をDCMで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。DMAW 240-120-90で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage SP4-25S、25ml/分)により精製した後、生成物を含む画分を蒸発させ、105mgの(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-{5-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノンを酢酸塩として得た。
【0577】
51C.(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{5-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-1.3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン塩酸塩
メタノール(10ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-{5-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン酢酸塩の溶液を10%パラジウム/炭素(含水)で処理し、室温、常圧下で一晩水素化した後、濾過し、蒸発させた。粗化合物をDMAW 240-120-90-60で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage SP4-25S、25ml/分)により精製した。生成物を含む画分を蒸発させ、飽和HCl/EtOAで処理した後、蒸発させ、メタノールとともに再蒸発させ、高真空下、60℃で一晩乾燥させた。(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{5-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン塩酸塩をクリーム色の固体として単離した(62mg)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.40-12.00(2H,br m),9.75-9.55(1H,br m),7.45-7.05(3H,m),7.03(1H,s),6.45(1H,s),4.70-4.55(4H,m),3.85-3.65(6H,m),3.60-3.40(5H,m),3.15-3.05(1H,m),3.0-2.78(5H,m),2.30-2.20(2H,m),2.05-1.90(2H,m),1.15(6H,d).MS:[M+H]^(+)479.
【0578】
実施例52
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ピペラジン-1-イル-フェニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
【化95】

【0579】
52A.4-{4-[2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルの合成
トルエン/水/エタノール(1ml:1ml:4ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(240mg、0.43mmol)、t-ブチル-4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ピペラジンカルボンキシレート(210mg、1.25当量)、ビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(12.5mg、2.5mol%)および炭酸カリウム(350mg、6当量)の混合物をCEMエクスプローラーマイクロ波合成装置にて135℃で30分間加熱した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO_(3)で洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。1:3、次いで1:1 EtOAc/P.E.で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage SP4-25S、25ml/分)により精製した。生成物を含む画分を蒸発させ、85mgの4-{4-[2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを得た。MS:[M+H]^(+)736
【0580】
52B.(2.4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ピペラジン-1-イル-フェニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
4-{4-[2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(方法A5に記載のとおり)を水素化した後、BOC脱保護を行い(実施例70に記載のとおり)、DMAW 240-120-90で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage SP4、25S)および飽和HCl/EtOAcからの蒸発の後に10mgの標題化合物を塩酸塩として得た。^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.63(2H,d),7.55(2H,m),7.45-7.30(1H,m),7.25(1H,s),7.20(2H,d),5.03(4H,m),3.55(4H,m),3.47(4H,m),3.23(1H,m),1.25(6H,d).MS:[M+H]^(+)458.
【0581】
実施例53
2,4-ジヒドロキシ-S-イソプロピル-フェニル)[5-(1-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン、およびジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
【化96】

【0582】
53A.5-ブロモ-2,4-ジメトキシ安息香酸メチルエステルの合成
アセトン(355ml)中、5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシ安息香酸(24.9g、107mmol)の溶液をヨウ化メチル(39.9ml、640mmol)およびK_(2)CO_(3)(88g、640mmol)で処理した後、還流下で一晩加熱した。この塩を濾過し、アセトンで洗浄した。濾液を蒸発乾固し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%DCM)により精製し、5-ブロモ-2,4-ジメトキシ安息香酸メチルエステルを無色の固体として得た(28g)。^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.98(1H,s),6.74(1H,s),7.20(2H,d),3.99(3H,s),3.94(3H,s),3.85(3H,s).MS:[M+H]^(+)275/277.
【0583】
53B.-イソプロペニル-2,4-ジメトキシ-安息香酸メチルエステルの合成
THF(195ml)中、カリウムイソプロピリデントリフルオロボレート(4.87g、32.7mmol)および5-ブロモ-2,4-ジメトキシ安息香酸メチルエステル(7.5g、27.3mmol)に、水(39ml)中、Cs_(2)CO_(3)(26.6g、81.8mmol)を加えた。この反応物を脱気し、Pd(PPh_(3))_(4)(1.58g、1.36mmol)を加えた。この反応物を還流下で3日間加熱した後、水を加えることで急冷し、EtOAcで抽出した(2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濾過し、蒸発させると橙色の固体が残った。この生成物を再びEtOAcに取り、沈殿を濾過した。濾液を蒸発乾固し、5-イソプロペニル-2,4-ジメトキシ-安息香酸メチルエステルを得た(6.2g)。^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.68(1H,s),6.66(1H,s),5.10-5.08(1H,m),5.02-5.00(1H,m),3.93(3H,s),3.92(3H,s),3.84(3H,s),2.08-2.06(3H,m).MS:[M+H]^(+)237.
【0584】
53C.5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-安息香酸メチルエステルの合成
MeOH(85ml)中、5-イソプロペニル-2,4-ジメトキシ-安息香酸メチルエステル(6.0g、25.4mmol)の溶液を、室温、H_(2)雰囲気下で3時間、10%Pd/Cとともに振盪した。触媒をGF/A濾紙で濾過したところ、わずかな微粉末が通過した。この濾液をシリカの小バッドに通し、蒸発乾固し、無色の固体を得た。この生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:石油の勾配溶離)により精製し、5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-安息香酸メチルエステルを無色の固体として得た(5.5g)。^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.68(1H,s),6.64(1H,s),3.94(3H,s),3.91(3H,s),3.84(3H,s),3.23(1H,sept),1.20(6H,d).MS:[M+H]^(+)239.
【0585】
53D
5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-安息香酸の合成
THF(46ml)および水(46ml)中、5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-安息香酸メチルエステル(5.5g、23.1mmol)およびNaOH(1.38g、34.6mmol)を50℃で一晩温めた。この反応物を冷却し、水およびEtOAcで希釈した。水層をHCl(1N水溶液)で中和した。生成物をEtOAcで抽出し(3回)、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO_(4)で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固し、5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-安息香酸を淡桃色の固体として得た(4.7g)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.1(1H,br s),7.62(1H,s),6.71(1H,s),3.95(3H,s),3.91(3H,s),3.19(1H,sept),1.18(6H,d).MS:[M+H]^(+)225.
【0586】
【化97】

【0587】
53E.(5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(5-イソプロピル-2,4-ジメトキシフェニル)メタノンの合成
N_(2)下、無水DMF(33ml)中、5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ安息香酸(2.45g、10.9mmol)、HOBt(1.61g、11.9mmol)およびEDC(1.85g、11.9mmol)の混合物に、5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(1.97g、9.95mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。NaOH(1M水溶液)を加えることでこの反応物を急冷し、生成物をEtOAcで抽出した(2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO_(4)で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固すると褐色油状物が残った。この生成物を、勾配溶離(エーテル/石油)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(5-イソプロピル-2,4-ジメトキシフェニル)-メタノンをベージュ色の固体として得た(3g)。^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.60-7.13(3H,m),7.14(1H,s),6.71(1H,s),4.89(2H,d),4.64(2H,d),3.93(3H,s),3.90(3H,s),3.27(1H,sept),1.20(6H,d).MS:[M+H]^(+)404/406.
【0588】
53F.5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-フェニル)-(5-ビニル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンの合成
MeOH(25ml)およびトルエン(25ml)中、(5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(5-イソプロピル-2,4-ジメトキシフェニル)メタノン(2.2g、5.44mmol)、および2-ビニル-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボララン(1.2ml、6.53mmol)に、水(25ml)中、Na_(2)CO_(3)を加えた。この反応物を脱気し、Pd(PPh_(3))_(4)(0.38g、0.05mmol)を加えた後、80℃で一晩加熱した。この反応物を、水を加え、EtOAcで抽出する(3回)ことで後処理した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO_(4)で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶離(エーテル:石油)により精製し、5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-フェニル)-(5-ビニル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンを黄色油状物として得た(1.6g)。^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.47-7.15(3H,m),7.15(1H,s),6.82-6.72(1H,m),6.71(1H,s),5.79(1H,dd),5.24(1H,dd),4.90(2H,d),4.64(2H,d),3.93(3H,s),3.91(3H,s),3.27(1H,sept),1.23(6H,d).MS:[M+H]^(+)352.
【0589】
53G.(5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-フェニル)-(5-オキシラニル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンの合成
DCM(22ml)中、(5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-フェニル)-(5-ビニル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(0.80g、2.28mmol)に、0℃でmCPBA(0.61g、2.73mmol)を加えた。この反応物を室温で1時間攪拌した。この反応物をNaOH(1M水溶液)で希釈し、生成物をEtOAcで抽出した。EtOAc層を再びNaOHで洗浄した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO_(4)で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固し、粗(5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-フェニル)-(5-オキシラニル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンを非常に薄い黄色の油状物として得た。MS:[M+H]^(+)368
【0590】
【化98】

【0591】
53H.(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(1-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン(化合物121H-i)および(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン(化合物121H-ii)の合成
N_(2)下、(5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-フェニル)-(5-オキシラニル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(?120mg、粗物質)をEtOH中ジメチルアミン(20ml、?33%、5.6M)に溶解させ、60℃で一晩加熱した。この反応物を蒸発乾固し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーMeOH:DCM(1:5)によりある程度精製して不純な物質を得、これをさらなる精製をせずに用いた。[5-(1-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-フェニル)-メタノンおよび[5-(2-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(5-イソプロピル-2,4-ジメトキシ-フェニル)-メタノン(?100mg)の混合物に、DCM(5ml)、次いで三臭化ホウ素(3当量)を加えた。この反応物を完了するまで室温で攪拌した。反応物を氷で急冷し、水およびEtOAcで希釈した。水層をEtOAcで抽出した(2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO_(4)で乾燥させた後、濾過し、蒸発乾固すると黄色残渣が残り、これを分取HPLCにより精製し、2つのレゾルシノール異性体を得た。
【0592】
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(1-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン、(化合物121H-i)^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.42-7.30(3H,m),7.19(1H,s),6.39(1H,s),4.98-4.87(4H,m),4.03-3.97(1H,m),3.94-3.86(1H,m),3.68(1H,br s),3.22(1H,sept),2.40(6H,s),1.23(6H,d).MS:[M+H]^(+)384.
【0593】
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン、(化合物121H-ii)^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.39-7.25(3H,m),7.18(1H,s),6.38(1H,s),6.94-6.88(5H,m),3.22(1H,sept),2.77-2.68(1H,m),2.61-2.51(1H,m),2.42(6H,s),1.23(6H,d).MS:[M+H]^(+)384.
【0594】
実施例54
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(ピペラジン-1-カルボニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン塩酸塩の合成
【化99】

【0595】
54A.4-[2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボニル]-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルの合成
DMF(10ml)中、2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸(製法D6)(0.5g、0.96mmol)、EDC(0.22g、1.15mmol)、HOBT(0.196g、1.15mmol)およびBOCピペラジン(0.117ml、1.06mmol)の溶液を室温で48時間攪拌した後、真空下で蒸発させた。この粗物質を酢酸エチルに溶解させ、飽和NaHCO_(3)で2回抽出し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濾過した後、真空下で蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として80%EtOAc-P.E.)により精製し、0.5gの4-[2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボニル]-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを得た。MS:[M+H]^(+)688
【0596】
54B.(2.4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(ピペラジン-1-カルボニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン塩酸塩の合成
方法A5と同様の水素化を行い、(0.2g、0.30mmol)4-[2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボニル]-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル[粗物質として使用]をEtOAcに溶解させた後、飽和EtOAc/HClで処理し、周囲温度で3時間攪拌し、反応物をエーテルで希釈そ、固体を濾過し、0.19gの(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(ピペラジン-1-カルボニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン塩酸塩を得た。^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.50-7.42(3H,m),7.18(1H,s),6.39(1H,s),5.00-4.95(4H,br s),3.92-3.79(4H,br s),3.35-3.28(4H,br s),3.26-3.15(1H,m),1.23(6H,d).MS:[M+H]^(+)410.
【0597】
実施例55
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
【化100】

【0598】
55A.2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メトキシ-メチル-アミドの合成
DMF(20ml)中、2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸(製法D6)(1.76g、3.39mmol)、EDC(0.78g、4.06mmol)、HOBT(0.55g、4.06mmol)、Et_(3)N(1ml、6.78mmol)およびN,O-ジメチル塩酸ヒドロキシルアミン(0.36g、3.72mmol)の溶液を室温で48時間攪拌した後、真空下で蒸発させた。この粗物質を酢酸エチルに溶解させ、飽和NaHCO_(3)で2回抽出し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濾過した後、蒸発させ、1.84gの2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メトキシ-メチル-アミドを得た。MS:[M+H]^(+)563
【0599】
55B.2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルバルデヒドの合成
THF(5ml)中、2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メトキシ-メチル-アミド(0.226g、0.4mmol)の溶液を0℃まで冷却し、1M LiAlH_(4)/THF(0.3ml、0.3mmol)で処理し、1時間攪拌し、さらにLiAlH_(4)(0.05ml)を追加した後、30分間攪拌した。この反応物を飽和KHSO_(4)溶液で急冷し、EtOAcで抽出し、乾燥させ(MgSO_(4))、濾過し、蒸発させ、0.2gの2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルバルデヒドを得た。MS:[M+H]^(+)504
【0600】
55C.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル1-メタノンの合成
CH_(2)Cl_(2)(10ml)中、2-(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルバルデヒド(0.316g、0.63mmol)およびn-メチルピペラジン(63mg、0.63mmol)の溶液にAcOH(38mg、0.63mmol)およびNaBH(OAc)_(3)(0.28g、1.33mmol)を加えた後、周囲温度で5時間攪拌した。この反応物を水で急冷し、層を分離し、水層をCH_(2)Cl_(2)で洗浄した。有機を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濾過し、蒸発させ、0.32gの(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンを得た。MS:[M+H]^(+)588
【0601】
55D.(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
さらにMeOH/H_(2)O[9.1]中、K_(2)CO_(3)(2当量)を加えること以外は、方法A5を用いて水素化を行った。メタノールを蒸発させた後、反応物を水で希釈し、1M HClを用いて中和し、CH_(2)Cl_(2)で抽出した(2回)。有機相を乾燥させ(MgSO_(4))、濾過し、真空下で蒸発させた後、分取HPLCにより精製し、21mgの(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンを得た。
MS:[M+H]^(+)410.^(1)H NMR(Me-d_(3)-OD)7.37-7.23(3H,br s),7.19(1H,s),6.39(1H,s),4.94-4.87(4H,br s),3.57(2H,s),3.27-3.16(1H,m),2.67-2.39(8H,m),2.31(3H,s),1.23(6H,d).
【0602】
実施例56
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノンの合成
56A.4-ヒドロキシイソインドリン臭化水素酸塩の合成
【化101】

【0603】
水(300ml)中、3-メトキシフタル酸ジメチル(69.45g、0.31mol)[J.Chem.Soc,Perkin Trans.1,1989,391に従って製造]の懸濁液を水酸化カリウム(43.7g、0.78mol)で処理し、この混合物を攪拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、反応過程で遊離したメタノールを真空下で除去し、5M塩酸を加えることでこの混合物をpH2以下に酸性化し、真空下で穏やかに蒸発させて結晶化を促進した。固体物質を濾別し、小さな氷で冷却した水で洗浄し、減圧下で吸引乾燥させ、真空炉にて50℃で一晩乾燥させ、3-メトキシフタル酸(51.0g、84%)を無色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))13.05(2H,br s),7.48(2H,m),7.33(1H,m),3.82(3H,s).[M+H]^(+)197.
【0604】
無水テトラヒドロフラン(250ml)中、3-メトキシフタル酸(51.0g、0.26mol)の混合物に無水酢酸(70ml)を加え、この混合物を攪拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、得られた固体物質を真空炉にて50℃で一晩乾燥させ、無水3-メトキシフタル酸(45.9g、99%)を無色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.97(1H,dd),7.63(1H,d),7.60(1H,d),4.02(3H,s).[M+H]^(+)179.
【0605】
無水3-メトキシフタル酸(24.0g、134.8mmol)およびホルムアミド(120ml)の混合物を攪拌し、210℃で5時間維持した後、一晩室温まで冷却した。水(100ml)を加え、固体物質を減圧下で濾別した。この粗生成物を50%アセトン水溶液(50ml)およびジエチルエーテル(200ml)で順次洗浄し、減圧下で吸引乾燥させ、3-メトキシフタルイミド(8.95g、37%)を灰白色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))11.08(1H,br s),7.78(1H,dd),7.45(1H,d),7.36(1H,d),3.93(3H,s).[M+H]^(+)178.
【0606】
0℃の無水テトラヒドロフラン(200ml)中、3-メトキシフタルイミド(8.95g、50.56mmol)の攪拌溶液を、テトラヒドロフラン中ボランの溶液(1M、150ml、0.15mol)で滴下処理し、得られた混合物を攪拌し、還流下で16時間維持した。この混合物を0℃まで冷却し、メタノール(60ml)、次いで5M塩酸(60ml)を滴下し、この混合物を攪拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、有機溶媒を真空下で除去し、この混合物を水(250ml)で希釈し、ジクロロメタン(3×250ml)で抽出した。水層を、5M水酸化ナトリウムを加えることでpH12以上に塩基性化し、ジクロロメタン(3×250ml)で抽出し、合わせた抽出物を真空下で蒸発乾固し、4-メトキシイソインドリン(4.44g、59%)を緑色油状物として得、これをさらなる精製をせずに用いた。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.18(1H,t),6.83(1H,d),6.78(1H,d),4.07(2H,s),4.02(2H,s),3.78(3H,s).[M+H]^(+)150.
【0607】
48%臭化水素酸水溶液(50ml)中、4-メトキシイソインドリン(4.4g、29.53mmol)を攪拌し、還流下で16時間維持した。室温まで冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、4-ヒドロキシイソインドリン臭化水素酸塩(5.0g、78%)を淡橙色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))9.95(1H,br s),7.19(1H,t),6.84(1H,d),6.80(1H,d),4.48(2H,t),4.40(2H,t).[M+H]^(+)136.
【0608】
56B.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(4-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンの合成
【化102】

【0609】
N,N-ジメチルホルムアミド(50ml)中、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(8.1g、21.65mmol)、4-ヒドロキシイソインドリン臭化水素酸塩(4.91g、22.73mmol)、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(5.0g、25.98mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.5g、25.98mmol)およびトリエチルアミン(6ml、43.3mmol)の混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(200ml)で処理した。この混合物を濾過し、固体材料を水で十分洗浄し、減圧下で吸引乾燥させ、真空炉にて50℃で一晩乾燥させ、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(4-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(10.25g、96%)を淡黄褐色固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))(アミド回転理性体の混合物)9.68および9.60(1H,2x brs),7.45-7.25(10H,m),7.20-7.00(3H,m),6.82および6.72(1H,2xd),6.68(1H,m),5.23および5.22(2H,2xs),5.18(2H,s),5.11(1H,s),5.09(1H,s),4.77および6.67(2H,2xs),4.53および4.44(2H,2xs),2.04(3H,s).[M+H]^(+)492.
【0610】
56C.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
DMF中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(4-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(2g;4.07mmol)、4-(3-クロロプロピル)モルホリン(1.66g;2.5当量)および炭酸セシウム(8.3g;6.25当量)の混合物を90℃で一晩加熱した後、蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解させ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、蒸発させた。この粗物質を、0%?10%MeOH/EtOAcの勾配溶離を用いるBiotage SP4(40S、40ml/分)を用いて精製し、1.8gの(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンを淡黄色のガムとして得た。MS:[M+H]^(+)619
【0611】
56D.(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノンの合成
【化103】

【0612】
(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン(方法A5に記載のとおり)の水素化の後、飽和HCl/EtOAcで処理し、温アセトンでトリチュレーションを行い、890mgの標題化合物(塩酸塩)をクリーム色の固体として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))10.78(1H,br s),10.05(1H,br s),9.55(1H,br s),7.30(1H,t),7.08(1H,s),6.98-6.90(2H,m),6.45(1H,s),4.80(2H,s),4.75(2H,s),4.15(2H,t),3.95(2H,br m),2.80(2H,br m),3.50-3.35(2H,br m),3.25(2H,br m),3.18-3.02(3H,br m),2.20(2H,br m),1.15(6H,d).[M+H]^(+)441.
【0613】
実施例57?74
上記の方法に従い、以下の化合物を製造した。
【0614】
【表5】











【0615】
実施例75
(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン
75A.5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸tert-ブチルエステル
【化104】

【0616】
5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸tert-ブチルエステル(2.97g、10mmol)をトルエンから蒸発させることにより共沸乾燥させた。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(228mg、0.25mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル(149mg、0.50mmol)およびナトリウムtert-ブトキシド(1.34g、13.9mmol)を加え、このフラスコを窒素でパージした。トルエン(25ml)、次いでN-メチルピペラジン(1.33ml、12mmol)を加え、この混合物を80℃で2時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物をエーテルで希釈し、セライトで濾過し、濃縮して残渣を得、これをシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2Mメタノール性アンモニア/ジクロロメタン、1%?3%勾配)により精製した。これにより標題化合物を褐色固体として得た(1.45g、46%)。^(1)H NMR(MeOH-d_(4))7.15(1H,m),6.94-6.88(2H,m),4.60-4.54(4H,m),3.20-3.17(4H,m),2.63-2.60(4H,m),2.34(3H,s),1.52(9H,s).[M+H]^(+)318.
【0617】
75B.5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール二塩酸塩
【化105】

【0618】
5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-カルボン酸tert-ブチルエステル(247mg、0.78mmol)をジオキサン中4MのHCl(4mL、4mmol)で24時間処理した。真空濃縮により標題化合物を定量的収量で得、これをそのままカップリング反応に用いた。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))11.13(1H,br s),9.99(2H,br s),7.27(1H,d),7.02-7.00(2H,m),4.43-4.37(4H,m),3.82-3.75(2H,m),3.49-3.43(2H,m),3.15-3.10(4H,m),2.79-2.78(3H,s),1.52(9H,s).[M+H]^(+)218.
【0619】
75C.(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン
【化106】

【0620】
DMF(5ml)中、5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-安息香酸(176mg、0.93mmol)の溶液を1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(179mg、0.93mmol)、次いでHOBt(126mg、0.93mmol)で処理した。45分後、この活性化酸の溶液を、5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール二塩酸塩(dhihydrochloride)(290mg、0.78mmol)とトリエチルアミン(0.28ml、2mmol)の混合物に加え、その後、この混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を真空下で除去した後、残渣を酢酸エチルと水とで分液した(3回)。各抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した後、乾燥させ(MgSO_(4))、合わせて濃縮した。不溶性物質がいくらか残ったので、これを1N塩酸およびメタノールに溶解させた後、有機抽出物と合わせた。固体水酸化ナトリウムでpHを14に調整し、この混合物を一晩放置した。1N塩酸でpHを7に調整し、得られた沈殿を濾別し、分取HPLCにより精製し、標題化合物を赤色固体として得た。これを、ジオキサン中4MのHClで処理することでその塩酸塩に変換し、真空濃縮し、エーテルでトリチュレーションを行い、褐色固体を得た(91mg、27%)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))11.10(1H,br s),10.50(1H,br s),7.26-7.15(2H,m),7.02-6.93(2H,m),6.69(1H,s),4.72-4.61(4H,m),3.78-3.72(2H,m),3.45(2H,br s),3.12(4H,br s),2.78(3H,s).[M+H]^(+)386/388.
【0621】
実施例76
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジ-ヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン
76A.(2.4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノンの合成
【化107】

【0622】
反応溶媒としてCH_(2)Cl_(2)を用い、方法A4に従い、2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(5.0g、13.4mmol)(製法B9)と5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(製法C20)のカップリングを行い、標題化合物(8.34g)をベージュ色の固体として得た。
【0623】
76B.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの合成
【化108】

【0624】
N_(2)雰囲気下、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(5-ブロモ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(8.30g、15.0mmol)、2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)ビフェニル(223mg、0.75mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(344mg、0.38mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(2.17g、22.5mmol)および1-メチル-ピペラジン(2.16ml、19.5mmol)の混合物に無水トルエン(100ml)を加えた。この混合物を80℃とし、この温度で16時間加熱した。この混合物を周囲温度まで冷却し、エーテル(150ml)で希釈し、セライトプラグで濾過し、エーテルで洗浄した。濾液を真空下で減量し、残渣を、溶離剤CH_(2)Cl_(2)-DMAW 120(1:0?0:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(9.39g)を赤色のガムとして得た。
【0625】
76C.(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル(-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル1-メタノン
【化109】

【0626】
メタノール(200ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン(8.61g、15.0mmol)および10%Pd/C(1.0g)の混合物を水素雰囲気(?1atm)下、周囲温度で18時間攪拌した。この混合物をセライトプラグで濾過し、真空下で減量し、紫色の油状物を得た。この残渣を、溶離剤DMAW 120を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物をその酢酸塩として得た。
【0627】
この塩をMeOH(30ml)に取り、この溶液にEtOAc中飽和HCl(20ml)を加えた。この混合物を周囲温度で2時間攪拌し、生じた固体を濾取し、真空乾燥させ、標題化合物をその塩酸塩(2.64g)として白色固体として得た。
【0628】
実施例77
(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン
【化110】

【0629】
DMF(5ml)中、5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-安息香酸(176mg、0.93mmol)の溶液を1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(179mg、0.93mmol)、次いでHOBt(126mg、0.93mmol)で処理した。45分後、この活性化酸の溶液を、5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール二塩酸塩(dhihydrochloride)(290mg、0.78mmol)およびトリエチルアミン(0.28ml、2mmol)の混合に加え、その後、この混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を真空下で除去した後、残渣を酢酸エチルと水とで分液した(3回)。各抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した後、乾燥させ(MgSO_(4))、合わせて濃縮した。不溶性物質がいくらか残ったので、これを1N塩酸およびメタノールに溶解させた後、有機抽出物と合わせた。固体水酸化ナトリウムでpHを14に調整し、この混合物を一晩放置した。1N塩酸でpHを7に調整し、得られた沈殿を濾別した後、分取HPLCにより精製し、標題化合物を赤色固体として得た。これを、ジオキサン中4MのHClで処理することによりその塩酸塩に変換し、真空濃縮し、エーテルでトリチュレーションを行い、褐色固体を得た(91mg、27%)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))11.10(1H,br.s),10.50(1H,br.s),7.26-7.15(2H,m),7.02-6.93(2H,m),6.69(1H,s),4.72-4.61(4H,m),3.78-3.72(2H,m),3.45(2H,br.s),3.12(4H,br.s),2.78(3H,s).[M+H]^(+)386/388.
【0630】
実施例78
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンの別法合成
78A.5-ブロモ-2-トリチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール
【化111】

【0631】
ジクロロメタン(20ml)中、5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(1.64g、8.23mmol)およびトリエチルアミン(1.4ml、9.9mmol)の溶液に、塩化トリチル(2.30g、8.23mmol)を加えた。18時間後、溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルに取り、および水(2回)およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮した。この粗物質を、1%トリエチルアミン/10%酢酸エチル/石油で溶離するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、5-ブロモ-2-トリチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドールを赤色がかった褐色の固体として得た(3.10g、85%)。^(1)H NMR(CDCl_(3))7.91-7.84(1H,m),7.57(6H,d),7.45-7.41(1H,m),7.33-7.14(9H,m),6.95(1H,d),3.90(2H,s),3.86(2H,s).MS:Ph_(3)C^(+)243.
【0632】
78B.1-メチル-4-(2-トリチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-ピペリジン-4-オール
【化112】

【0633】
窒素下、THF(20ml)中、5-ブロモ-2-トリチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール(2.03g、4.6mmol)の溶液を-78℃で冷却した。n-ブチルリチウム溶液(ヘキサン中2.5M、2.0ml、5mmol)を5分かけて加え、10分後、1-メチル-4-ピペリドンを滴下した。さらに1時間後、冷却浴を外し、重炭酸ナトリウム溶液で反応物を急冷した。この混合物酢酸エチルで抽出した後、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2Mメタノール性アンモニア/ジクロロメタン、0%?5%で勾配溶離)により精製し、1-メチル-4-(2-トリチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-ピペリジン-4-オールを桃色の泡沫として得た(1.25g、57%)。^(1)H NMR(MeOH-d_(4))7.56(6H,dd),7.28(6H,t),7.25-7.21(2H,m),7.15(3H,t),7.03(1H,d),3.92(2H,s),3.91(2H,s),2.70(2H,d),2.53(2H,td),2.33(3H,s),2.06(2H,td),1.70(2H,d).[M+H]^(+)475.
【0634】
78C.4-(2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-1-メチル-ピペリジン-4-オール二塩酸塩
【化113】

【0635】
1-メチル-4-(2-トリチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-ピペリジン-4-オール(1.42g、3.0mmol)、5N塩酸(5ml)およびメタノール(10mL)の混合物を窒素下に置いた後、80分間加熱還流した。冷却後、この混合物を真空濃縮してメタノールを除去し、水で希釈し、酢酸エチルで洗浄した(2回)。水相を濃縮乾固し、標題化合物を定量的収量の黒色固体として得た。^(1)H NMR(MeOH-d_(4))7.62(1H,s),7.57(1H,d),7.45(1H,d),4.64(2H,s),4.63(2H,s),3.49-3.46(4H,m),2.95(3H,s),2.40-2.32(2H,m),1.97(2H,dd).
【0636】
78D.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン
【化114】

【0637】
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(1.65g、4.4mmol)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル)]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(843mg、4.4mmol)および1-ヒドロキシベンズトリアゾール(595mg、4.4mmol)をDMF(20ml)に溶解させた。35分後、この溶液を、DMF(5ml)およびトリエチルアミン(1.4ml、10mmol)中、4-(2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-1-メチル-ピペリジン-4-オール二塩酸塩(1.22g、4.0mmol)の懸濁液に加えた。この混合物を3時間攪拌した後、真空濃縮した。残渣を酢酸エチルに取り、水(2N水酸化ナトリウム溶液でpH14に調整)およびブラインの混合物で洗浄した。水相を酢酸エチルで2回抽出した後、合わせた有機抽出物を重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(2Mメタノール性アンモニア/ジクロロメタン、2%?10%で勾配溶離)により精製し、標題化合物を褐色泡沫として得た(1.62g、69%)。^(1)H NMR(メタノール-d_(4))7.51-7.14(14H,m),6.85(0.5H,s),6.84(0.5H,s),5.16(2H,s),5.15(2H,s),5.10-5.08(1H,m),5.07-5.05(1H,m),4.87(1H,s),4.86(1H,s),4.61(2H,br.s),2.78-2.70(2H,m),2.57(1H,td),2.54(1H,td),2.36(1.5H,s),2.34(1.5H,s),2.16-2.05(5H,m(2.09(3H,s)を含む)),1.78-1.70(2H,m).MS:[M+H]^(+)589.
【0638】
78E.(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン
【化115】

【0639】
(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン(実施例50F)(1.62g、2.75mmol)をメタノール(50mL)に溶解させ、遊離水素条件下、Hキューブ水素化装置を用い、10%パラジウム/炭素上、50℃で水素化した。濃縮し、標題化合物(1.14g、100%)を黄色固体として得た。なお、NMRおよび質量分析のデータは実施例50Eに示した。
【0640】
実施例79
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン
79A.7-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-オール臭化水素酸塩
【化116】

【0641】
製法C2の方法を用い、5-メトキシ-3-メチル-フタル酸ジメチルエステル(Tam and Coles,Synthesis 1988,383に従って製造)を5-メトキシ-3-メチル-フタル酸へ加水分解した。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))12.95(2H,br.s),7.15(1H,d),7.04(1H,d),3.80(3H,s),2.29(3H,s).MS:[M-H]^(+)209.
【0642】
5-メトキシ-3-メチル-フタル酸を無水5-メトキシ-3-メチル-フタル酸に変換した。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))7.40(1H,d),7.34-7.33(1H,m),3.94(3H,s),2.58(3H,s).
【0643】
無水5-メトキシ-3-メチル-フタル酸を用いて6-メトキシ-4-メチル-イソインドール-1,3-ジオンを製造した。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))11.05(1H,br.s),7.13(1H,d),7.10(1H,d),3.88(3H,s),2.55(3H,s).
【0644】
製法C2の方法に従って6-メトキシ-4-メチル-イソインドール-1,3-ジオンを還元し、6-メトキシ-4-メチル-イソインドールを得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))6.64(1H,s),6.57(1H,s),4.05(2H,s),3.96(2H,s),3.70(3H,s),2.16(3H,s).MS:[M+H]^(+)164.
【0645】
6-メトキシ-4-メチル-イソインドールを脱メチル化し、標題化合物をその臭化水素酸塩として得た。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))9.52(1H,br.s),9.29(2H,br.s),6.59(1H,s),6.56(1H,s),4.41(2H,t),4.34(2H,t),2.17(3H,s).
【0646】
79B.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(5-ヒドロキシ-7-メチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン
【化117】

【0647】
2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸(248mg、0.66mmol)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル)]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(127mg、0.66mmol)および1-ヒドロキシベンズトリアゾール(89mg、0.66mmol)をDMF(5ml)に溶解させた。20分後、7-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-オール臭化水素酸塩(152mg、0.66mmol)およびトリエチルアミン(0.14ml、0.99mmol)を加えた。さらに3.5時間後、この混合物を真空濃縮し、残渣を1N塩酸および酢酸エチルで処理した。水相を取り出し、ブラインを加え、標題化合物を濾取し、灰色固体を得た(168mg、57%)。^(1)H NMR(DMSO-d_(6))9.30(0.47H,s),9.24(0.53H,s),7.48-7.25(10H,m),7.09(0.47H,s),7.08(0.53H,s),6.99(0.47H,s),6.98(0.53H,s),6.56(0.47H,s),6.50(0.53H,s),6.48(0.47H,s),6.44(0.53H,s),5.24(0.47H,s),5.22(0.53H,s),5.18(2H,s),5.10-5.07(2H,m),4.70(0.47H,s),4.61(0.53H,s),4.46(0.47H,s),4.36(0.53H,s),2.17(1.41H,s),2.04(3H,s),1.99(1.59H,s).MS:[M+H]^(+)506.
【0648】
79B.(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル1-メタノン
【化118】

【0649】
DMF(5ml)中、(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-(5-ヒドロキシ-7-メチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン(164mg、0.32mmol)、炭酸カリウム(112mg、0.81mmol)および2-(ジメチルアミノ)エチルクロリド塩酸塩(93mg、0.64mmol)の混合物を60℃で17時間、次いで90℃で6時間加熱した。さらなる炭酸カリウム(112mg、0.81mmol)および2-(ジメチルアミノ)エチルクロリド塩酸塩(93mg、0.64mmol)を追加し、この混合物を60℃で72時間維持し、最後にさらに24時間90℃で維持した。この混合物を真空濃縮した後、残渣を酢酸エチルと0.5N水酸化ナトリウム水溶液とで分液した。有機相をブラインで洗浄し(2回)、乾燥させ(MgSO_(4))、濃縮して残渣を得、これを分取HPLC(酸性法)により精製し、標題化合物をギ酸塩として得た(37mg、20%)。^(1)H NMR(MeOH-d_(4))8.51(1H,br.s),7.43-7.27(7H,m),7.24-7.20(3H,m),7.17(0.5H,s),7.16(0.5H,s),6.85(0.5H,s),6.84(0.5H,s),6.81(0.5H,s),6.77(0.5H,s),6.74(0.5H,s),6.62(0.5H,s),5.16(1H,s),5.14(3H,s),5.09(1H,m),5.06(1H,m),4.83(1H,s),4.74(1H,s),4.60(1H,s),4.48(1H,s),4.28(1H,t),4.23(1H,t),3.41(1H,t),3.37(1H,t),2.84(3H,s),2.81(3H,s),2.27(1.5H,s),2.09(3H,s),2.07(1.5H,s).MS:[M+H]^(+)577.
【0650】
79C.(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン
【化119】

【0651】
(2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン(37mg、0.06mmol)を、遊離水素条件下、Hキューブ水素化装置を用い、10%パラジウム/炭素上、50℃、メタノール中で水素化した。生成物を分取HPLC(塩基性法)により精製し、標題化合物を灰白色固体として得た(9mg、35%)。^(1)H NMR(MeOH-d_(4))7.18(1H,s),6.77-6.65(2H,br.m),6.37(1H,s),4.85( CH_(2)),4.77(2H,s),4.08(2H,t),3.20(1H,sept),2.81(2H,t),2.39(6H,s),2.22(3H,br.s),1.21(6H,d).MS:[M+H]^(+)399.
【0652】
生物活性
実施例80
等温滴定熱量測定法
本発明の化合物の、ヒトHsp90タンパク質と結合する能力は、等温滴定熱量測定法を用いて決定することができる。
【0653】
等温滴定熱量測定法(ITC)は、VP-ITC滴定熱量計(Microcal Inc.,Northampton,MA,USA)を用いて行った。ヒトHsp90α N末端ドメインのクローニング、発現および精製は、発表されている方法(Jez,J.M.et al,Chem Biol.2003 Apr;10(4):361-8)に従って行った。ヒトHsp90α N末端ドメインおよび化合物の溶液は、25mM Tris、100mM NaCl、1mMmgCl_(2)、1mM TCEP、5%DMSO、pH7.4を含むバッファーで調製した。溶液は全て、滴定を行う前に濾過し、脱気した。リガンドの各注入から生じるエンタルピーの変化は、熱量シグナルの積分によって得た。データはOrigin 7.0(Microcal Software Inc.,Northampton,MA)を用いて解析した。希釈液の熱を個々の各滴定の最終の注入を用いて評価し、データの当てはめの前に差し引いた。広範な親和性にわたって化合物解離定数(Kd)を得るために、種々のITC試験形式を用いた。結合の弱い化合物には、低c値ITC法を用いた(Turnbull W.B.& Daranas A.H.J.Am.Chem.Soc.2003 Dec 3;125(48):14859-66)、この場合、タンパク質は熱量測定セル中に10?20μMに存在し、化合物濃度は注入シリンジ中1?20mMであった。この種の試験では、化学量論パラメーター(N)はデー淡ポリペプチド当てはめとして1に設定した。Kdについては、20?0.004μMで、結合部位濃度をKd(c値)で割ったものが5?1000の間となるように試験を構成した。これらの試験の大部分では、熱量測定セル中のタンパク質濃度は4?100μMの範囲であり、注入シリンジ中のリガンド濃度は50?1500μMの範囲であった。まれではあるが化合物の溶解度が限られている場合には、化合物溶液を熱量測定セルに入れ、c値を5?1000の間に維持しつつ、注射シリンジからのタンパク質で滴定した。競合的ITC試験を用い、Sigurskjold B.W.Anal Biochem.2000 Jan 15;277(2):260-6に記載の方法に従い、より弱い結合競合物の存在下で滴定を行うことにより、Kd<4nMを評価した。
【0654】
実施例5、10、11、12、13、14、16、17、18、19、21、22、23、25、26、27、28、29、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、48、49、50、51、52、53、54、55、59、60、61、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74および75の化合物を試験したところ、1マイクロモル未満のK_(d)値を有することが分かった。
【0655】
実施例5、10、12、13、14、16、17、18、19、21、22、23、25、26、27、28、29、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、48、49、50、51、53、54、55、59、60、61、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74および75の化合物は、0.1マイクロモル未満のK_(d)値を有し、これらの化合物の大部分が0.01未満マイクロモル未満のK_(d)値を有する。
【0656】
実施例81
抗増殖活性
本発明の化合物の抗増殖活性は、ヒト結腸癌細胞系統HCT116などのいくつかの細胞系統において細胞増殖を阻害する化合物の能力を測定することにより判定することができる。細胞増殖の阻害は、Alamar Blueアッセイ(Nociari,M.M,Shalev,A.,Benias,P.,Russo,C.Journal of Immunological Methods 1998,213,157-167)を用いて測定した。この方法は、生存細胞がレサズリンをその蛍光産物レソルフィンへと還元する能力に基づくものである。各増殖アッセイでは、細胞を96ウェルプレートで平板培養し、16時間回復させた後、さらに72時間、阻害化合物を添加する。インキュベーション期間が終了したところで、10%(v/v)のAlamar Blueを添加し、さらに6時間インキュベートした後、535nM ex/590nM emで蛍光産物を測定する。非増殖細胞のアッセイの場合には、細胞を96時間密集状態で維持した後、さらに72時間、阻害化合物を添加する。上記のようにAlamar Blueアッセイにより生存細胞の数を判定する。細胞系統は全てECACC(European Collection of cell Cultures)から入手することができる。
【0657】
実施例5、12、13、14、17、18、19、21、22、23、25、28、29、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、48、49、50、51、52、53、54、55、59、60、61、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、74および75の化合物を試験したところ、HCT116細胞系統に対して1マイクロモル未満のIC_(50)値を有することが分かった。
【0658】
医薬製剤
実施例82
(i)錠剤処方物
式(I)の化合物を含有する錠剤組成物は、化合物50mgと、希釈剤としてのラクトース(BP)197mg、滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgとを混合し、公知の方法で打錠することにより製造される。
【0659】
(ii)カプセル剤処方物
カプセル剤は、式(I)の化合物100mgとラクトース100mgを混合し、得られた混合物を標準的な不透明硬カプセルに充填することにより製造される。
【0660】
(iii)注射処方物I
注射による投与のための非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩の形態)を、10%プロピレングリコールを含有する水に、有効化合物の濃度が1.5重量%となるように溶解させることにより作製することができる。その後、この溶液を濾過除菌し、アンプルに充填し、密閉する。
【0661】
(iv)注射処方物II
注射用非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩の形態)(2mg/ml)およびマンニトール(50mg/ml)を水に溶解させ、この溶液を濾過除菌し、密閉可能な1ml容のバイアルまたはアンプルに充填することにより作製される。
【0662】
(v)注射処方物III
注射または注入による静脈送達用処方物は、式(I)の化合物(例えば、塩の形態)を水に20mg/mlで溶解させることにより作製することができる。次に、このバイアルを密閉し、オートクレーブにより滅菌する。
【0663】
(vi)注射処方物IV
注射または注入による静脈送達用処方物は、式の化合物(例えば、塩の形態)を、バッファーを含む水(例えば、0.2M酢酸塩 pH4.6)に20mg/mlで溶解させることにより作製することができる。次に、このバイアルを密閉し、オートクレーブにより滅菌する。
【0664】
(vii)皮下注射処方物
皮下投与用組成物は、式(I)の化合物を、濃度が5mg/mlとなるように、医薬級トウモロコシ油と混合することにより作製される。この組成物を滅菌し、好適な容器に充填する。
【0665】
(viii)凍結乾燥処方物
式(I)の調剤したアリコートを50ml容のバイアルに入れ、凍結乾燥した。凍結乾燥では、これらの組成物を一段階凍結プロトコール(-45℃)を用いて凍結させる。アニーリングのために-10℃まで昇温した後、-45℃まで引き下げて凍結させ、その後、+25℃で約3400分間一次乾燥し、次いで、温度が50℃になれば、追加工程で二次乾燥を行う。一次乾燥および二次乾燥中の圧力は、80ミリトルに設定する。
【0666】
均等
上記の実施例は、本発明を説明する目的で記載したものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。上記に記載し、また、実施例で示す本発明の特定の実施態様に対して、本発明の原理から逸脱することなく、数多くの改変および変更をなし得ることが容易に分かるであろう。このような改変および変更は全て本願に含まれるものとする。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】
式(VI)で示される化合物、またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN-オキシド:
【化1】

[式中、二環式基:
【化2】

は、構造C1、C5およびC6:
【化3】

から選択され、
nが、0、1、2または3であり;
R^(1)が、ヒドロキシまたは水素であり;
R^(2a)が、ヒドロキシまたはメトキシであり(ただし、R^(1)およびR^(2a)の少なくとも一方はヒドロキシである);
R^(3)が、水素;ハロゲン;シアノ;C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択され;ここで、C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
R^(4a)が、水素、フッ素、塩素およびメトキシから選択され;
R^(8)が、水素およびフッ素から選択され;かつ
R^(10)が、
ハロゲン;
ヒドロキシ;
トリフルオロメチル;
シアノ;
ニトロ;
カルボキシ;
アミノ;
モノ-またはジ-C_(1-4)ヒドロカルビルアミノ;
3?12環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびに
基R^(a)-R^(b)
から選択され、ここで、
R^(a)は、結合、O、CO、X^(1)C(X^(2))、C(X^(2))X^(1)、X^(1)C(X^(2))X^(1)、S、SO、SO_(2)、NR^(c)、SO_(2)NR^(c)またはNR^(c)SO_(2)であり;かつ
R^(b)は、水素;3?12環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ-またはジ-C_(1-4)ヒドロカルビルアミノ、および3?12環員を有する炭素環式基および複素環式基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよいC_(1-10)ヒドロカルビルから選択され、ここで、このC_(1-10)ヒドロカルビル基の1以上の炭素原子はO、S、SO、SO_(2)、NR^(c)、X^(1)C(X^(2))、C(X^(2))X^(1)またはX^(1)C(X^(2))X^(1)により置き換えられていてもよく;
R^(c)は、R^(b)、水素およびC_(1ー4)ヒドロカルビルから選択され;かつ
X^(1)は、O、SまたはNR^(c)であり、X^(2)は、=O、=Sまたは=NR^(c)である。]
【請求項3】
式(VI)を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN-オキシド:
【化4】

[式中、二環式基:
【化5】

は、構造C1、C5およびC6:
【化6】

から選択され、
nは、0、1、2または3であり;
R^(1)は、ヒドロキシまたは水素であり;
R^(2a)は、ヒドロキシまたはメトキシであり(ただし、R^(1)およびR^(2a)の少なくとも一方はヒドロキシである);
R^(3)は、水素;ハロゲン;シアノ;C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択され;ここで、C_(1-5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C_(1-2)アルコキシ、アミノ、モノ-およびジ-C_(1-2)アルキルアミノ、ならびに5?12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
R^(4a)は、水素、フッ素、塩素およびメトキシから選択され;
R^(8)は、水素およびフッ素から選択され;かつ
R^(10)は、ハロゲン、OH、NH_(2)、CH_(2)OH、CH_(2)NH_(2)、O-C_(1-6)-アルキル、NH-C_(1-6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、C_(3-7)シクロアルキル、ヘテロシクリル、O-ヘテロアリール、O-C_(3-7)シクロアルキル、O-ヘテロシクロアルキル、C(=O)C_(1-6)アルキル、C(=O)OC_(1-6)アルキル、C(=O)NH_(2)、C(=O)NHC_(1-6)アルキル、C(=O)N(C_(1-6)アルキル)_(2)、NH(C_(1-6)アルキル)、N(C_(1-6)アルキル)_(2)、NC(=O)C_(1-6)アルキル、C_(6)アリール、OC_(6)アリール、C(=O)C_(6)アリール、C(=O)OC_(6)アリール、C(=O)NHC_(6)アリール、C(=O)N(C_(6)アリール)_(2)、NH(C_(6)アリール)、N(C_(6)アリール)_(2)、NC(=O)C_(6)アリール、C_(5-6)ヘテロシクリル、OC_(5-6)ヘテロシクリル、C(=O)C_(5-6)ヘテロシクリル、C(=O)OC_(5-6)ヘテロシクリル、C(=O)NHC_(5-6)ヘテロシクリル、C(=O)N(C_(5-6)ヘテロシクリル)_(2)、NH(C_(5-6)ヘテロシクリル)、N(C_(5-6)ヘテロシクリル)_(2)、NC(=O)C_(5-6)ヘテロシクリル、C_(5-6)アリール、S(=O)C_(1-6)アルキル、S(=O)NH-C_(1-6)アルキルおよびSO_(2)NH-C_(1-6)アルキル;ならびに基[sol]、CH_(2)[sol]、またはOCH_(2)CH_(2)[sol]からなる群R^(10b)から選択され、ここで、[sol]は以下の基:
【化7】

から選択される]。
【請求項4】
R^(1)およびR^(2a)がともにヒドロキシである、請求項2または3に記載の化合物。
【請求項5】
R^(3)が水素、塩素、C_(1ー5)ヒドロカルビルおよびC_(1-5)ヒドロカルビルオキシから選択される、請求項2?4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R^(3)が水素、C_(1-5)アルキル、C_(2-5)アルケニルおよびC_(3ー4)シクロアルキル基から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R^(3)がイソプロピルおよびtert-ブチルから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R^(4a)が水素である、請求項2?7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R^(8)が水素である、請求項2?8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】(削除)
【請求項11】
R^(10)が、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノおよび基R^(a)-R^(b)(ここで、R^(a)は結合、O、CO、C(O)O、C(O)NR^(c)、NR^(c)C(O)、NR^(c)C(O)O、NR^(c)、SO、SO_(2)、SONR^(c)、およびSO_(2)NR^(c)から選択され、R^(b)は水素;5または6環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、アミノ、モノ-またはジ-C_(1-4)非芳香族ヒドロカルビルアミノ、カルボキシ、および3?7環員を有する炭素環式基および複素環式基から選択される1以上の置換基により置換されていてもよいC_(1-8)ヒドロカルビル(ここで、このC_(1ー8)ヒドロカルビル基の1以上の炭素原子はO、S、C(O)O、C(O)NR^(c)またはNR^(c)により置き換えられていてもよい)からなる群R^(1Oa)から選択される、請求項2?9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R^(10)が基R^(1Oc)から選択され、R^(1Oc)は基[sol]、CH_(2)[sol]またはOCH_(2)CH_(2)[sol]であり、[sol]は以下の基:
【化8】

から選択される、請求項2?9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】(削除)
【請求項14】
式(VII):
【化10】

[式中、R^(1)、R^(2a)、R^(3)、R^(4a)およびR^(8)は請求項2?9および11のいずれか一項で定義されている通りであり、nは0、1、2または3である(ただし、R^(1)およびR^(2a)の少なくとも一方はヒドロキシである)]
を有する、請求項3に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN-オキシド。
【請求項15】
nが0または1である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】(削除)
【請求項17】(削除)
【請求項18】(削除)
【請求項19】(削除)
【請求項20】(削除)
【請求項21】(削除)
【請求項22】
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(5-エチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-メタノン;
(5-シクロプロピル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(5-sec-ブチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-メタノン;
(5-クロロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
[5-(3-アミノ-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{4-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノン;
(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(5-tert-ブチル-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2-ヒドロキシ-5-イソプロピル-4-メトキシ-フェニル)-メタノン;
(4,7-ジフルオロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-フルオロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(3-フルオロ-2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2-フルオロ-4,6-ジヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(4-フルオロ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン塩酸塩;
(5-クロロ-6-メトキシ-1,3-ジヒドロ-イソ-インドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-メトキシ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(5-アミノ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-メトキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-モルホリン-4-イル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸メチルエステル;
2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-カルボン酸;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-モルホリン-4-イルメチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
{3-[2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルオキシ]-プロピル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-メチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-イソプロピルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
N-{2-[2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルオキシ]-エチル}-2-モルホリン-4-イル-アセトアミド;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシ-1-メチル-ピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{5-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ピペラジン-1-イル-フェニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(1-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-エチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(ピペラジン-1-カルボニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン塩酸塩;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノン;
[5-(2-アミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{5-[4-(2-ヒドロキシ-エチル)-ピペラジン-1-イル]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-モルホリン-4-イル-ピペリジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(1-メチル-ピペリジン-4-イルアミノ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-イソプロピル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ピペラジン-1-イル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
4-[2-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-ベンゾイル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イルアミノ]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(ピペリジン-4-イルアミノ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[4-(ピペリジン-4-イルアミノ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ジメチルアミノメチル-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-カルボニル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-{5-[2-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-エトキシ]-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-メタノン;
[5-(2-シクロペンチルアミノ-エトキシ)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-(5-ピペリジン-1-イルメチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノン;
(5-クロロ-6-ヒドロキシ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
(5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]メタノン;
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノン;
またはその塩、溶媒和物、N-オキシドもしくは互変異性体
である、化合物。
【請求項23】
(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イルメチル)-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-メタノンまたはその塩、溶媒和物もしくは互変異性体である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
塩、溶媒和物またはN-オキシドの形態である、請求項2?9、11、12、14、15、22および23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
塩または溶媒和物の形態である、請求項2?9、11、12、14、15、22および23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
(a)Hsp90の阻害剤として用いるための、
(b)Hsp90が介在する病態または症状の予防または治療に用いるための、
(c)Hsp90が介在する病態または症状の緩和または発症率の軽減に用いるための、
(d)哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を治療するのに用いるための、
(e)哺乳動物において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、またはその発症率を軽減するのに用いるための、
(f)Hsp90を阻害するための、あるいは
(g)細胞プロセスを調整するための、
請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌、胃腸系の癌、または皮膚癌;リンパ系の造血系腫瘍;骨髄系の造血系腫瘍;甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍;中枢または末梢神経系の腫瘍;黒色腫;精上皮種;奇形癌;骨肉種;色素性乾皮症;角化棘細胞種;甲状腺濾胞癌;またはカポジ肉腫から選択される増殖性疾患の治療に用いるための、請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】(削除)
【請求項29】
増殖性疾患が、原発性乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、浸潤性乳管腺癌および非類内膜乳癌から選択されるヒト乳癌、またはマントル細胞リンパ腫である、請求項27に記載の化合物。
【請求項30】
増殖性疾患が、白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫およびB細胞リンパ腫から選択される、請求項27に記載の化合物。
【請求項31】(削除)
【請求項32】(削除)
【請求項33】
請求項26または27に定義されている疾病、症状または疾患の治療を目的とした薬剤の製造のための、請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項34】
請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物と医薬上許容される担体とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項35】
請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項に記載の化合物を製造する方法であって、式(X):
【化15】

の化合物またはその活性化および/もしくは保護形態を、アミド結合を形成するのに好適な条件下で、式:
【化16】

のアミンと反応させ〔式中、R^(1)、R^(2a)、R^(3)、R^(4a)、R^(8)、T、Q、環B、nおよびR^(10)は、請求項2?9、11、12、14、15および22?25のいずれか一項で定義されている通りである〕、その後、必要であれば保護基を除去し、場合により、式(VI)のある化合物を式(VI)の別の化合物に変換させることを含んでなる、方法。
【請求項36】
化合物:2,4-ビス-ベンジルオキシ-5-イソプロペニル-安息香酸。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-04-24 
出願番号 特願2008-505967(P2008-505967)
審決分類 P 1 41・ 856- Y (C07D)
P 1 41・ 851- Y (C07D)
P 1 41・ 855- Y (C07D)
P 1 41・ 853- Y (C07D)
P 1 41・ 842- Y (C07D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 磯部 洋一郎  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 村守 宏文
齋藤 恵
登録日 2012-12-14 
登録番号 特許第5154406号(P5154406)
発明の名称 医薬化合物  
代理人 横田 修孝  
代理人 中村 行孝  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 横田 修孝  
代理人 反町 洋  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 反町 洋  
代理人 中村 行孝  

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