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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1275732
審判番号 不服2010-17498  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-05 
確定日 2013-06-19 
事件の表示 平成11年特許願第294195号「プラグ可能なバーチャル・マシンをインプリメントする技術」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月27日出願公開、特開2001-117759〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

(1)本件に係る出願(以下、「本願」と記す。)は
1998年10月16日付けのアメリカ合衆国での仮出願、及び
1998年12月16日付けのアメリカ合衆国での出願を基礎とする、パリ条約に基づく優先権主張をともなって、
平成11年10月15日付けで外国語明細書及び図面を添付して、出願されたものであって、
平成11年12月15日付けで特許法第36条の2第2項の規定による翻訳文が提出され、
平成12年2月18日に平成12年2月16日付けの優先権証明書提出書による優先権証明書の提出がなされ、
平成18年10月2日付けで審査請求がなされ、
平成21年9月9日付けで拒絶理由通知(平成21年9月15日発送)がなされ、
平成22年3月12日付けで意見書が提出されると共に、同日付けで手続補正書が提出され、
平成22年3月31日付けで拒絶査定(平成22年4月6日謄本送達)がなされたものである。

(2)本件審判請求は、上記拒絶査定を不服として
平成22年8月5日付けでなされたものであり、同日付けで手続補正書が提出され、
平成22年9月1日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、
平成23年3月25日付けで当該報告に対する意見を求める旨の審尋(平成23年3月29日発送)がなされ、これに対して
平成23年6月29日付けで回答書が提出され、
平成23年9月7日付けで、本件の説明のための面接を希望する旨の上申書が提出され、
平成24年6月4日に本件の説明のための面接を行い、後日当審より不明点について審尋を送付し、その発送から21日の期間内に請求人が該不明点についての回答をする旨の合意をし、
平成24年6月5日付けで、発送から21日の期間を指定して、回答書の提出を求める審尋(平成24年6月12日発送)をしたが、該期間内にこれに対する応答はなく、
平成24年7月6日に、請求人代理人より、応答期間を渡過したものの上申書による回答をしたい旨の電話による申し出があり、7月末日までは審理を進めない旨を約したものの、該期間内にも回答はなく、この点について
平成24年8月8日に、当審より請求人代理人に電話による問い合わせをしたところ、同日付けで上申書が提出され、該上申書を提出した旨のファクシミリによる回答が有り、
平成24年9月12日付けで上記平成22年8月5日付けの手続補正書による補正の却下の決定(平成24年9月25日発送)がなされると共に、同日(平成24年9月12日)付けで拒絶理由通知(平成24年9月18日発送)がなされ、
平成24年12月18日付けで意見書が提出されると共に、同日付けで手続補正書が提出されたものである。


2.拒絶理由・補正の内容・請求人の主張

(1)平成22年3月12日付け手続補正
上記平成22年3月12日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正するものである。
「【請求項1】選択されたコードの実行に適したランタイム環境における使用に適したバーチャル・マシン・インプリメンテーションを開発する方法であって、
コンピュータが、前記ランタイム環境に適したライブラリ関数を用意する工程と、前記ライブラリ関数の少なくとも一部はバーチャル・マシンによって必要とされるオペレーションを実行する関数をコールするために用意されることと、
コンピュータが、前記バーチャル・マシンを用意するために必要とされる全てのバーチャル・マシン・オペレーションを実行するための関数のセットを、第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション内で宣言する工程と、前記バーチャル・マシン・オペレーションは前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションに依存するライブラリ関数が必要とする全てのオペレーションを含むこと、とを備える方法。
【請求項2】請求項1に記載の方法において、コンピュータが、前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションを前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションとは異なる第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションに置き換える工程をさらに備え、前記ライブラリ関数は前記第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションと一緒に利用できることを特徴とする方法。
【請求項3】請求項1または2に記載の方法において、前記ライブラリ関数のうちの少なくとも幾つかは、前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション内で宣言された関数によってコールされることを特徴とする方法。
【請求項4】請求項1乃至3のいずれか1つに記載の方法において、前記関数のセットは前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションを制御するオペレーションと、データへアクセスするオペレーションと、入出力(I/O)オペレーションを実施するオペレーションと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法において、前記第1及び第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションは、ジャバ・バーチャル・マシン・インプリメンテーションであることを特徴とする方法。
【請求項6】バーチャル・マシンをインプリメントするためのコンピュータ・プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記コンピュータ・プログラムは、
ランタイム環境に適したライブラリ関数を用意する機能と、前記ライブラリ関数の少なくとも一部はバーチャル・マシンによって必要とされるオペレーションを実行する関数をコールするために用意されることと、
コンピュータが、前記バーチャル・マシンを用意するために必要とされる実質的に全てのバーチャル・マシン・オペレーションを実行するための関数のセットを、第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション内で宣言する機能と、前記バーチャル・マシン・オペレーションは前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションに依存するライブラリ関数が必要とする実質的に全てのオペレーションを含むこと、をコンピュータによって実行させる、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項7】請求項6に記載のコンピュータ読み取り可能媒体において、前記コンピュータ読取り可能媒体は、CD-ROMと、フロッピー(登録商標)・ディスクと、テープと、フラッシュ・メモリと、システム・メモリと、ハード・ドライブと、から成るグループから選択されることを特徴とするコンピュータ読み取り可能媒体。」

(2)平成24年9月12日付け拒絶理由通知
上記平成24年9月12日付けの拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由通知書」と記す。)の内容は概略以下のとおりである。

『この審判事件に関する出願は、合議の結果、以下の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら、この通知書の発送の日から3ヶ月以内に意見書を提出してください。
なお、平成22年8月5日付けの手続補正は却下された。(その理由を本書末に再掲する。)
従って、本拒絶理由通知書は平成22年3月12日付けで手続補正された明細書に対するものである。

理 由

1.平成22年3月12日付けでした手続補正(以下「本件補正」と記す。)は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(特許法第36条の2第6項の規定により明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第2項に規定する翻訳文)(以下「当初明細書等」と記す。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

本件補正後の特許請求の範囲の
ア.請求項1の「コンピュータが、前記ランタイム環境に適したライブラリ関数を用意する工程」、
イ.請求項1の「コンピュータが、前記バーチャル・マシンを用意するために必要とされる全てのバーチャル・マシン・オペレーションを実行するための関数のセットを、第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション内で宣言する工程」、
ウ.請求項2の「コンピュータが、前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションを前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションとは異なる第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションに置き換える工程」、
エ.請求項6の「コンピュータが、前記バーチャル・マシンを用意するために必要とされる実質的に全てのバーチャル・マシン・オペレーションを実行するための関数のセットを、第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション内で宣言する」
との技術的事項は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」と記す。)には記載されておらず、また当初明細書等の記載からみて自明な事項でもない事項(以下「新規事項」と記す。)である。
(当初明細書等の何処にも「コンピュータ」が主体となって、これら「用意」「宣言」「置き換え」を行うことは記載も示唆もされていない。しかも、これら「用意」「宣言」「置き換え」を「コンピュータ」が主体となって行うことは、技術常識にも反する。)
従って、当業者の技術常識を考慮しても、当初明細書等の記載から上記技術的事項を導き出すことができるものではなく、本件補正は当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな事項を導入するものである。
よって、本件補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてするものではない。


2.本願の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載は下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項第1号、第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)上記理由1.で新規事項である旨指摘された事項は、上記本件補正後の発明の詳細な説明にも記載も示唆もされていない事項である。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は、本願の発明の詳細な説明に記載されたものではない。(特許法第36条第6項第1号違反)
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反。)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。
さらに、上記理由1.でも指摘したように、該新規事項である旨指摘された事項は、技術常識にも反するものであるから、その技術的意味は当業者には理解不可能なものである。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(2)本願の特許請求の範囲に記載の「バーチャル・マシン・インプリメンテーション」の意味内容・定義(バーチャル・マシンを実装する事なのか? バーチャル・マシンが実装されたコンピュータなのか? コンピュータをバーチャル・マシンとして機能させるためのソフトウエアなのか? 該ソフトウエア中の一部分なのか?)が、特許請求の範囲の記載からは明確でなく、しかも、発明の詳細な説明を参酌しても、これを明確に説明・定義する記載が見当たらない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(3)請求項1の「選択されたコード」とは如何なるコードなのか(複数の言語の中から選択された言語のコードと言う意味なのか? 複数のコードが記述されるプログラムの中から選択された特定の部分のコードと言う意味なのか?)が明確でなく、また、発明の詳細な説明には「選択されたコード」との記載は見当たらず、発明の詳細な説明を参酌してもその意味内容を明確に把握することができない。
したがって、本願請求項1?5に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?5に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(4)請求項1の「選択されたコードの実行に適した」は何を修飾するのか(「ランタイム環境」を修飾するのか? 「バーチャル・マシン・インプリメンテーション」を修飾するのか?)が、明確でない。
したがって、本願請求項1?5に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(5)請求項1に「選択されたコードの実行に適した」とあるが、その範囲(如何なるものが適しているものに該当し、如何なるものが適していないものに該当するのか?)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また発明の詳細な説明においてもその説明や例示はされておらず、発明の詳細な説明を参酌しても、その範囲は明確でない。
したがって、本願請求項1?5に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?5に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(6)請求項1に「ランタイム環境における使用に適した」とあるが、その範囲(如何なるものが適しているものに該当し、如何なるものが適していないものに該当するのか?)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また発明の詳細な説明においてもその説明や例示はされておらず、発明の詳細な説明を参酌しても、その範囲は明確でない。
したがって、本願請求項1?5に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?5に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(7)請求項1の「コンピュータが、前記ランタイム環境に・・・と用意する工程と、前記ライブラリ関数の少なくとも一部は・・・ために用意されることと」「を備える方法。」との記載、及び、請求項6の「前記コンピュータ・プログラムは、」「ランタイム環境に・・・を用意する機能と、前記ライブラリ関数の少なくとも一部は・・・ために用意されることと」「をコンピュータによって実行させる」との記載は、技術的にも日本語としても不適切な文脈の記載であり、その意味内容を把握することが不可能である。また発明の詳細な説明にもこれに対応する記載を見出すことができない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(8)請求項1の「コンピュータが、前記バーチャル・マシンを・・・宣言する工程と、前記バーチャル・マシン・オペレーションは・・・を含むこと」「を備える方法。」、及び、請求項6の「コンピュータが、前記バーチャル・マシンを・・・宣言する機能と、前記バーチャル・マシン・オペレーションは・・・を含むこと、をコンピュータによって実行させる」との記載は、技術的にも日本語としても不適切な文脈の記載であり、その意味内容を把握することが不可能である。また発明の詳細な説明にもこれに対応する記載を見出すことができない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(9)請求項1、6に「前記ランタイム環境に適したライブラリ関数」とあるが、その範囲(如何なるライブラリ関数が適しているライブラリ関数に該当し、如何なるライブラリ関数が適していないライブラリ関数に該当するのか? 上記の「ランタイム環境における使用に適した」と何がどう異なるのか?同じなのか?)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また発明の詳細な説明においてもその説明や例示はされておらず、発明の詳細な説明を参酌しても、その範囲は明確でない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(10)請求項1、6に「関数」や「バーチャル・マシン」を「用意」する旨の記載があるが、該「用意」とは如何なる処理なのか(記憶手段への記憶なのか? 購入等の人間の行う作業なのか?(通常は後者と把握されるが、請求項1、6には「コンピュータ」が行う旨の記載がある。))が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また、発明の詳細な説明においては「関数」や「バーチャル・マシン」を「用意」する旨の記載はなく、発明の詳細な説明を参酌してもその意味内容を明確に把握することができない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(11)請求項1、6に「バーチャル・マシンによって必要とされるオペレーション」とあるが、その意味内容(バーチャル・マシンが外から受けたオペレーションなのか? バーチャル・マシンから外へ発せられたオペレーションなのか? バーチャル・マシン内部で実行されるオペレーションなのか? バーチャル・マシンがサポートしなければならないオペレーションのことか? 下記「バーチャル・マシン・オペレーション」と同じものなのか?異なるものなのか?等々)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また、発明の詳細な説明においては「バーチャル・マシンによって必要とされるオペレーション」なる用語は記載されておらず、発明の詳細な説明を参酌してもその意味内容を明確に把握することができない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(12)請求項1、6の「バーチャル・マシン・オペレーション」の意味内容(バーチャル・マシンが外から受けたオペレーションなのか? バーチャル・マシンから外へ発せられたオペレーションなのか? バーチャル・マシン内部で実行されるオペレーションなのか? バーチャル・マシンがサポートしなければならないオペレーションのことか? 上記「バーチャル・マシンによって必要とされるオペレーション」と同じものなのか?異なるものなのか?等々)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また、発明の詳細な説明においては「バーチャル・マシン・オペレーション」なる用語は記載されておらず、発明の詳細な説明を参酌してもその意味内容を明確に把握することができない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(13)請求項1、6に「前記ライブラリ関数の少なくとも一部はバーチャル・マシンによって必要とされるオペレーションを実行する関数をコールするために用意される」とあるが、何が何を「コール」するのか(「ライブラリ関数の少なくとも一部」が「関数」をコールするのか? 「バーチャル・マシン」が「ライブラリ関数の少なくとも一部」を「コール」するのか? 「バーチャル・マシン」が「関数」を「コール」するのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(14)請求項1、6に「前記ライブラリ関数の少なくとも一部はバーチャル・マシンによって必要とされるオペレーションを実行する関数をコールするために用意される」とあるが、「前記ライブラリ関数の少なくとも一部」と「実行する関数」との関係(同じものなのか? 異なるものなのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(15)請求項1、6に「前記ライブラリ関数の少なくとも一部はバーチャル・マシンによって必要とされるオペレーションを実行する関数をコールするために用意される」とあるが、「コールするために用意される」とは如何なる構成を意味するのか(「関数」が「コール」の対象となることが出来るものと言う関数の性質を説明する記載(「コールするための」「関数」の誤訳)なのか? 「コール」することを目的にして「用意」と言う作業を行うと言う意味なのか? 文言通りの解釈をすると後者の解釈となるがそれでよいのかどうか?)が明確でない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(16)請求項1、6の「第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション」の意味内容(単なる「バーチャル・マシン・インプリメンテーション」と同義なのか否か? 同義ではないとしたら何がどう異なるのか? 複数のバーチャル・マシン・インプリメンテーションのうちの一つのことなのか? 特定の種類のバーチャル・マシン・インプリメンテーションのことなのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(17)請求項1、6の「第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション内で宣言する」との記載の意味内容(第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションの内部動作として宣言と言う処理を行うのか? 単にプログラム中に宣言文があることを意味しているのか?)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、しかも、発明の詳細な説明を参酌しても、これを明確に説明・定義する記載も、これを例示する記載も見当たらない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(18)請求項1、6に「前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションに依存するライブラリ関数」とあるが、この場合の「依存する」の意味内容(第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションでなければ動作しないライブラリ関数と言う意味か? 第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションで動作するライブラリ関数と言う意味か? 第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションからしかコールされないライブラリ関数と言う意味か?)が明確でない。また、発明の詳細な説明を参酌しても、これを明確に説明・定義する記載も、これを例示する記載も見当たらない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(19)請求項1に「前記バーチャル・マシン・オペレーションは前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションに依存するライブラリ関数が必要とする全てのオペレーションを含む」と、請求項6に「前記バーチャル・マシン・オペレーションは前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションに依存するライブラリ関数が必要とする実質的に全てのオペレーションを含む」とあるが、その意味内容(単に第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションが必要なメソッドを有するという意味か? 第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションに依存するライブラリ関数のメソッドはクラス承継時に新たなメソッドとして記述すると言う意味か? 同ライブラリ関数のメソッドはクラス承継しないでインタフェースとして記述すると言う意味か? 同ライブラリ関数のメソッドはextendsで承継するのではなくimplementsで実装すると言う意味なのか?)が明確でない。また、発明の詳細な説明を参酌しても、これを明確に説明・定義する記載も、これを例示する記載も見当たらない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(20)請求項6の「実質的に全て」とはどの範囲なのかが明確でない。
したがって、本願請求項6?7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(21)請求項2に「前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションとは異なる第2バーチャル・マシン・インプリメンテーション」とあるが、何が「異なる」のか(種類が異なるのか? インタフェース等が異なるのか? バージョンが異なるのか? 別のインスタンスなのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項2?5に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(22)請求項2に「前記ライブラリ関数は前記第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションと一緒に利用できる」とあるが、その意味内容(ライブラリ関数を利用することもできるし第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションを利用することもできると言う意味か? ライブラリ関数と第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションが同時に実行できると言う意味か? ライブラリ関数が第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションからコールできると言う意味か? ライブラリ関数が第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションをコールできると言う意味か?)が明確でない。
したがって、本願請求項2?5に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(23)請求項2、3の「前記ライブラリ関数」とは、どの「ライブラリ関数」のことなのか(「用意する工程」で用意された「ライブラリ関数」のことか? 「コールするために用意される」「ライブラリ関数の少なくとも一部」のことか? 「第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションに依存するライブラリ関数」のことか?)が明確でない。
したがって、本願請求項2?5に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(24)請求項3に「前記ライブラリ関数のうちの少なくとも幾つか」とあるが、その意味内容(前記ライブラリ関数のうちの少なくとも1つと言う意味か? 前記ライブラリ関数のうちの少なくとも2つ以上と言う意味か?)が明確でない。
したがって、本願請求項3?5に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(25)請求項3に「前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション内で宣言された関数によってコールされる」とあるが、その意味内容(該宣言された「関数」をコールするステップが「ライブラリ関数」をコールことを意味するのか? 該宣言された「関数」の中に「ライブラリ関数」をコールするステップがあると言う意味なのか?)が明確でない。また、発明の詳細な説明を参酌しても、これを明確に説明・定義する記載も、これを例示する記載も見当たらない。
したがって、本願請求項3?5に係る発明は明確でなく(特許法第36条第6項第2号違反)、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない(特許法第36条第6項第1号違反)。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項3?5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項3?5に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

(26)請求項4の「第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションを制御するオペレーション」とは如何なるオペレーションなのか(第1バーチャル・マシンを実装することを制御するオペレーションなのか? 第1バーチャル・マシンを停止させたり割込動作をさせたりするオペレーションなのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項4、5に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(27)請求項4の「データへアクセスするオペレーション」とは如何なるオペレーションなのか(「第1バーチャル・マシン」に「データへアクセス」することを実行させる「オペレーション」なのか? 「データへアクセスする」ステップを有している「オペレーション」なのか?)が明確でない。

(28)請求項4の「入出力(I/O)オペレーションを実施するオペレーション」とは如何なるオペレーションなのか(第1バーチャル・マシンに「入出力」を実施させる「オペレーション」なのか? 「入出力」を実施するステップを有している「オペレーション」なのか? 入出力とは何処(コンピュータ? 第1バーチャル・マシン? ライブラリ関数? ランタイム環境?)からの出力、何処への入力のことなのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項4、5に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(29)発明の詳細な説明の段落【0025】には「搬送波(例:インターネットを含むネットワークにおける搬送波)で具現化されたデータ・シグナルもコンピュータ読取り可能ストレージ媒体であり得る。」とあり、請求項6、7の「コンピュータ読み取り可能媒体」もCD-ROMやテープ、ハードディスク等の記録媒体の他に「搬送波」を含むと解され、請求項6、7の記載からは一の技術思想としての発明を明確に把握できない。
したがって、本願請求項6、7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(30)請求項7の「フロッピー(登録商標)・ディスク」は、その意味する範囲が明確な用語ではない。(商標であるため、必ずしもフレキシブルディスクを意味するとは限らない。)
したがって、本願請求項7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。

(31)本願の発明の詳細な説明には、その実施の形態として、極めて抽象的な概念的な事項の開示があるだけで、その記載内容から、所期の課題を達成し、所望の作用効果を奏し得るために、具体的に如何なる事をすればよいのか(如何なるコードを記述すればよいのか、如何なる手順で開発すれば良いのか等)を理解することは、当業者と言えども不可能である。
この点に関し、明細書記載の課題や上申書での説明などを考慮すると、本願における発明者は、VMのバージョンアップなどを容易にするために、VMのプログラムの開発にあたって、複数種のVMがサポートするオペレーションのうち、全てのVMがサポートする共通のオペレーションの記述の仕方と特定VMでしかサポートされない特殊なオペレーションの記述の仕方とを定めるルール(例えば、前者をクラスで定義し後者をインタフェースで定義する等のルール)を発案したのではないかとの推測もできるが、本願の発明の詳細な説明を詳細に検討しても、該ルール(共通のオペレーションを如何に記述し、該特殊なオペレーションを如何に記述すればよいのか)を示す記載は全く見当たらない。
したがって、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)。

(32)発明の詳細な説明中に、意味の不明瞭な用語や文(下記ア.?ナ.に例示する。)が多数散見される。
このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものである(特許法第36条第4項(委任省令要件)違反)。

ア.段落【0002】の「アブストラクトでは、バーチャル・マシンはバーチャル・マシン命令を解釈する。」(「アブストラクトでは」は誤訳なのでは?)。

イ.段落【0003】の「ジャバ・バーチャル・マシンはソフトウェア内でインプリメントされる。」(「ソフトウェア内でインプリメントされる」の意味が不明。誤訳なのでは?)。

ウ.段落【0004】の「ジャバ・プログラム言語で書かれたコンピュータ・プログラムは1つ以上のクラス、即ち、インターフェース(以下、合わせてクラスと称する)内に配置されている。」。(主語と述語の関係、修飾の関係等が技術的に不適切で合理的理解が不可能。「クラス」と「インターフェース」とを同義のものとして扱うのは不適切では? 「プログラムは」「インターフェース」「内に」「配置されている」との表現も不適切では?)

エ.段落【0006】の「明らかなインターフェース」(意味が不明確。誤訳なのでは?)。

オ.段落【0007】の「サポート・ライブラリ253は、また、ジャバ・ランタイム環境内で利用するジャバ・バーチャル・マシンの特定のインプリメンテーションに少なくとも部分的に依存する別のネイティブ関数または別のメソッドを含んでもよい。」(各文節の修飾関係(「マシン」「インプリメンテーション」「関数」「メソッド」のうちどれを「利用する」のか?)が不明確。「少なくとも部分的に依存する」の意味(単なる「依存する」とはどう違うのか?)が不明確)。

カ.段落【0008】の「インパクトを本質的に加える」(意味が不明確。)。

キ.段落【0009】の「1つの形態では、バーチャル・マシン設計は、バーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存する全てまたは実質的に全てのサポート・ライブラリ・オペレーションを実行するための関数のセットを特定する。」(主語と述語の関係、修飾の関係等が技術的に不適切で合理的理解が不可能。)、
「これら両方のバーチャル・マシン・インプリメンテーションが、各バーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存する前記の特定された関数のセットに対して、インプリメンテーションを提供する」(主語と述語の関係、修飾の関係等が技術的に不適切で合理的理解が不可能。)。

ク.段落【0010】の「サポート・ライブラリ・インプリメンテーションの一部をなす関数がコールできる関数を特定するバーチャル・マシン設計の一部としてのインターフェースを用意する工程を含む。」(修飾の関係等が技術的に不適切で合理的理解が不可能。)、
「このインターフェースを実質的に形成する関数のセットは、バーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存するサポート・ライブラリが利用する全てまたは実質的に全てのオペレーションを実行する。」(修飾の関係等が技術的に不適切で合理的理解が不可能。)。

ケ.段落【0011】の「バーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存するサポート・ライブラリが使用する全てまたは実質的に全てのオペレーションを特定するインターフェースが、バーチャル・マシンの設計で特定される」(文意(プログラムの記述内容の説明なのか? 機能実現手段の作用・機能の説明なのか?)が不明確。)、
「バーチャル・マシンの幾つかのインプリメンテーションのいずれもが、サポート・ライブラリの同じインプリメンテーションを容易に使用できる。」(「幾つかの」「容易に使用」等の用語の意味が不明確。誤訳では?)。

コ.段落【0012】の「バーチャル・マシン・インプリメンテーションを開発する方法は、バーチャル・マシン・インプリメンテーションの一部をなす関数がコールできる関数を特定するサポート・ライブラリ設計の一部としてのインターフェースを用意する工程を含む。」(文意の合理的理解が不可能。特に「サポート・ライブラリ設計の一部としてのインターフェース」の意味が不明。)、
「前記のインターフェースを効果的に形成する関数のセットは、サポート・ライブラリによって供給されたバーチャル・マシン・インプリメンテーションが利用するオペレーションを実行する。」(文意、特に「効果的に形成する」の意味が不明確。)、
「その関数のセットは、好ましくは複製されることのない共通のユーティリティまたはクリティカル・コードを含んでよい。」(「好ましくは」は「複製されることのない」「含んでよい」の何れを修飾するのか、「複製されることのない」との用語の意味等が不明確なため文意が不明確。)。

サ.段落【0013】の「サポート・ライブラリによって供給されたバーチャル・マシン・インプリメンテーションが使用するオペレーションを特定するインターフェースは、サポート・ライブラリの設計で特定されている」(文意(プログラムの記述内容の説明なのか? 機能実現手段の作用・機能の説明なのか?)が不明確。)、
「サポート・ライブラリの幾つかのインプリメンテーションのいずれもが、バーチャル・マシンの同じインプリメンテーションを容易に使用できる。」(文意が不明確。特に「幾つかの」「容易に使用」等の意味が不明確)。

シ.段落【0038】の「共有バーチャル・マシン・ユーティリティ310は、サポート・ライブラリ303内に存在することを任意のバーチャル・マシン・インプリメンテーションが明らかに期待できるバーチャル・マシン関数であって、バーチャル・マシン・インプリメンテーションが要求するサービスを一般的に実施するバーチャル・マシン関数である。」(修飾の関係等が技術的に不適切で合理的理解が不可能。)、
「当業者が理解するように、ベリファイヤを安全に書くことが非常に困難になり得る。」(文意が不明確。特に「安全に書く」の意味が不明確)、
「ベリファイヤをバーチャル・マシン・インプリメンテーションから効果的に分離する」(文意が不明確。特に「効果的に分離する」の意味が不明確)、
「ベリファイヤ312同様に、クラス・ファイル・パーサ314は重要なサービスをバーチャル・マシン・インプリメンテーションへ提供するが、書くことが困難になり得る。」(文意が不明確。特に「書くことが困難になり得る。」の意味が不明確。また、その因果関係も不明確。)、
「クラス・ファイル・パーサをバーチャル・マシン・インプリメンテーションから効果的に分離する」(文意が不明確。特に「効果的に分離する」の意味が不明確)。

ス.段落【0039】の「そのバーチャル・マシン・インプリメンテーションによって一般的に供給される関数を特定する」(文意、特に「によって」「供給される」の意味(プログラムの記述内容の説明なのか? 機能実現手段の作用・機能の説明なのか?)が不明確。)、
「バーチャル・マシンのバイナリ・インターフェース及び特定の共有バーチャル・マシン・ユーティリティ310を特定することによって、サポート・ライブラリの修正を必要とすることなくバーチャル・マシン・インプリメンテーションの交換を可能にするフレキシブルなアーキテクチャを提供」(「特定」と「交換を可能にする」との事項との因果関係が明確に説明されていない。)。

セ.段落【0040】の「従って、バーチャル・マシン・インターフェース306を形成するために、バーチャル・マシン・インターフェース関数の大きなセットを宣言する必要がある。」(文意、特に「大きなセット」の意味(何が大きいのか? 数が多いと言う意味か? サイズが大きいと言う意味か?)が不明確。)。

ソ.段落【0041】の「特定のバーチャル・マシン・インプリメンテーションが実行する多くの関数は、そのオペレーションのうちの一部がバーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存しているので、インプリメンテーション固有といえる。」(「特定の・・・多くの関数は・・・依存している」と言える根拠が不明。「依存している」ことと「インプリメンテーション固有といえる。」こととの因果関係が不明。)、
「これらの関数のインターフェースを、インプリメンテーションに依存しない方法で形成する」(文意、特に「インプリメンテーションに依存しない方法で形成する」の意味が不明確。)、
「バーチャル・マシン・インターフェース関数のセットは、バーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存する実質的に全てのオペレーションを実行することが好ましい。バーチャル・マシン・インターフェース関数のセットは、バーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存する全てのオペレーションを実行することが最も好ましい。バーチャル・マシン・インターフェース関数のセットは、バーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存する全てのオペレーションを実質的に実行することが好ましい。」(「セット」は「実施」するとの表現の意味が不明確)。

タ.段落【0042】の「潜在的なバーチャル・マシン・インターフェース関数」(該用語、特に「潜在的」の意味が不明確)、
「インフォメーションの取り出される方法が、どのようにクラスが特定のバーチャル・マシン・インプリメンテーションによって格納されているかに少なくとも部分的に依存している」(文意、特に「方法」が「依存している」、「少なくとも部分的に依存している」との記載の意味が不明確。)、
「インプリメンテーション固有の方法でバーチャル・マシンによってインプリメントされる。」(「インプリメンテーション固有の方法」「バーチャル・マシンによってインプリメントされる」の意味が不明。)、
「バーチャル・マシンの各インプリメンテーションは、メモリ内のクラスを表す異なる方法を有してよい。」(「方法を有」するの意味が不明(メソッドを有するの意味?))、
「この理由に基づき、ゲット・クラス・フィールド・カウント関数は、メモリ内においてそのクラス(またはクラスのオブジェクト)がどのように格納されているかを知る必要がある。」(「知る必要」がある理由、すなわち「この理由」すなわちこの文の前に記載される事項との因果関係が明確に説明されていない。)、
「即ち、どのように特定のバーチャル・マシンがクラスを格納するかについての詳細を取り出し、これによって、ゲット・クラス・フィールド・カウント関数をコールする関数は、これらの詳細を知る必要がなくなり、概要のみを知れば良いことになる。」(各文節の修飾関係が不明確で文意の理解が不可能。)。

チ.段落【0043】の「これはライブラリがバーチャル・マシン・インプリメンテーションに関連して一般的に書かれることに起因する。」(「一般的に書かれること」の意味が不明確。「起因する」理由、すなわち、この文の前に記載される事項との因果関係が明確に説明されていない。)、
「ジャバ・バーチャル・マシンのインプリメンテーションに関する仮定条件」(「仮定条件」の意味や定義が不明)、
「異なるバーチャル・マシン・インプリメンテーションの照合調整の点」(「照合調整」の意味や定義が不明)。

ツ.段落【0044】の「この関数の使用を、アプリケーション・クラス203をロードするために、ランタイム環境301をリクエストする例に関連して、詳述する。」(「ロードするために」「リクエストする」の意味が不明確。)。

テ.段落【0045】の「ゲット・クラス・フィールド・カウント関数と、バーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存するサポート・ライブラリが必要とするオペレーションを実行する実質的に全ての他の関数は、バーチャル・マシン・インプリメンテーションの一部として提供され、バーチャル・マシン・インターフェース306を通じてアクセスできる。」(「関数は」「提供され」「アクセスできる」の意味(プログラムの記述内容の説明なのか? 機能実現手段の作用・機能の説明なのか?)が不明確。)。

ト.段落【0047】の「ガーベッジ・コレクションの例を用いると、バーチャル・マシン・ガーベッジ・コレクション関数は、バーチャル・マシン・インプリメンテーション305内で宣言され、ガーベッジ・コレクタを開始させる。」(「例を用いると」「関数は」「宣言され」「コレクタを」「開始させる」との表現は技術的に不適切で合理的理解が不可能。)、
「インプリメンテーション固有のガーベッジ・コレクタ・スタート関数は、バーチャル・マシン・インターフェース306を通じてバーチャル・マシン・インプリメンテーション305内にカプセル化される。」(「通じて」「カプセル化される」の意味が不明。)。

ナ.段落【0048】の「本発明は、複数のバーチャル・マシン・インプリメンテーションの利用を含む任意の数の理由に基づいて行われるバーチャル・マシン・インプリメンテーションの交換に対して、効果的に適用できる。」(「複数のバーチャル・マシン・インプリメンテーションの利用を含む」の意味(複数のVMが同時に走るのか? 複数のVMの中から一つを選択するのか?)が不明確。「任意の数の理由に基づいて行われる」の意味が不明確。)。

ニ.段落【0049】の「バーチャル・マシン設計がバーチャル・マシンのインプリメンテーションに依存する関数をカプセル化している」(「設計が」「カプセル化している」との記載の意味が不明確)。


なお、この出願は、出願内容が著しく不明確であるから、請求項1?7に係る発明については、成立性、新規性進歩性等の特許要件についての審理を行っていない。


<優先権について>
本願の優先権証明書提出書は、最先の優先日である1998年10月16日より1年4月を超えた平成12年2月18日(金曜日)に提出されたものであるから、特許法第43条第4項の規定によりその効力を失う。


<補正等の示唆>
発明者が何を創作したのかを、正確に確認した上で、特許請求の範囲や明細書の記載内容を、全体的に再考されたし。
また、その際、新規事項を追加しないよう注意されたし。
なお、コンピュータに関連する発明であるからといって、その処理の主体がコンピュータやプロセッサであるとは限らない。逆に、処理の主体が不明で人間も含まれるような方法であっても、必ずしも成立性が認められないというわけでもない。また、開発方法に特徴があるソフトウエアの発明の場合には、当該開発方法によって作られるソフトウエアが有する構造的・機能的な特徴を特許請求の範囲で特定する手法もある。特許請求の範囲の再考にあたっては、これらの点に留意されたし。
さらに、本願の出願は平成13年1月10日より前の出願であり、コンピュータ・ソフトウエア関連発明の審査基準の「プログラム」クレームに関する部分の適用外である点にも留意されたし。


<<手続補正の却下の決定の理由の再掲>>
上記平成22年8月5日付けの手続補正の却下の決定の理由は以下の通りである。
『理 由
1.手続の経緯

・・・(中略)・・・

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記結論のとおり決定する。』』
(3)平成24年12月18日付けの意見書
上記平成24年12月18日付けの意見書における意見の内容は以下のとおりである。
「【意見の内容】
(1)審判官殿は、平成22年8月5日付けの手続補正について補正の却下の決定をし、平成24年9月12日付け(起案日)で、平成22年3月12日付けの本出願について、特許法第17条の2第3項及び第36条に規定する要件を満たしていないとして拒絶理由を通知しました。
(2)本願出願人は、別途手続補正書を提出することによって、特許請求の範囲を全面的に補正しました。補正後の請求項1?21は、基礎米国出願の登録クレーム1?21に相当するものであります(US6,651,080)。
(3)補正後の請求項1?21について、指摘された拒絶理由は解消されていると思料致します。
(4)以上、補正後の請求項1?21について、すべての拒絶理由は解消されたと思料致します。再応御審理の上特許審決賜りたく願い上げます。
以上」

(4)平成24年12月18日付け手続補正
上記平成24年12月18日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正するものである。
「【請求項1】
選択されたコードを実行するのに適したランタイム環境に使用するのに適したバーチャルマシーンインプリメンテーションを開発するための方法であって、
前記ランタイム環境内で使用するのに適したライブラリファンクションを提供するステップであって、前記ライブラリファンクションの少なくとも一部は、バーチャルマシーンにより要求される処理を実行するファンクションを呼び出すよう構成される、前記ライブラリファンクションを提供するステップと、
第1バーチャルマシーンインプリメンテーションにおいて、前記バーチャルマシーンを提供するため要求されるバーチャルマシーン処理の実質的にすべてを実行するためのファンクションセットを宣言するステップであって、前記バーチャルマシーン処理は、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存する前記ライブラリファンクションによって要求される前記処理の実質的にすべてを含む、前記ファンクションセットを宣言するステップと、を有する方法。
【請求項2】
前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションを第2バーチャルマシーンインプリメンテーションと置換するステップをさらに有し、
前記ライブラリファンクションは、前記第2バーチャルマシーンインプリメンテーションにより直ちに利用可能である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ライブラリファンクションの少なくとも一部は、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションにおいて宣言されたファンクションによって呼び出される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記バーチャルマシーン処理は、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存する前記ライブラリファンクションにより要求されるすべての処理を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ファンクションセットは、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションを制御し、データにアクセスし、入出力(I/O)処理を実行する処理を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2バーチャルマシーンインプリメンテーションは、Javaバーチャルマシーンインプリメンテーションである、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記ライブラリファンクションは、第1ライブラリファンクションであり、
前記バーチャルマシーンインプリメンテーションで宣言されたファンクションを呼び出す第2ライブラリファンクションを提供するステップをさらに有し、
前記第2ライブラリファンクションは、前記バーチャルマシーンインプリメンテーションにより直ちに利用可能である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
選択されたコードを実行するのに適したランタイム環境に使用するのに適したバーチャルマシーンを実現するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に実装され、
前記ランタイム環境内で使用するのに適したライブラリファンクションを実行するコンピュータコードであって、前記ライブラリファンクションの少なくとも一部は、バーチャルマシーンにより要求される処理を実行するファンクションを呼び出すよう構成される、前記コンピュータコードと、
前記バーチャルマシーンを提供するため要求されるバーチャルマシーン処理の実質的にすべてを実行するためのファンクションセットを実行する第1バーチャルマシーンインプリメンテーションであって、前記バーチャルマシーン処理は、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存する前記ライブラリファンクションにより要求される処理の実質的にすべてを含む、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションと、を有するコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記ライブラリファンクションは、第2バーチャルマシーンインプリメンテーションにより直ちに利用可能である、請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記第1及び第2バーチャルマシーンインプリメンテーションは、Javaバーチャルマシーンインプリメンテーションである、請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記ライブラリファンクションは、前記バーチャルマシーンにおいて宣言されるファンクションによって呼び出される、請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記バーチャルマシーン処理は、前記バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存する前記ライブラリファンクションにより要求されるすべてのバーチャルマシーン処理を含む、請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記ファンクションセットは、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションを制御し、データにアクセスし、入出力(I/O)処理を実行する処理を含む、請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータ可読媒体は、CD-ROM、フロッピーディスク、テープ、フラッシュメモリ、システムメモリ、ハードドライブ及び搬送波に実現されるデータ信号からなる群から選ばれる、請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記ライブラリファンクションは、第1ライブラリファンクションであり、
前記バーチャルマシーンインプリメンテーションにおいて宣言されるファンクションを呼び出す第2ライブラリファンクションを実行するコンピュータコードであって、前記第2ライブラリファンクションは、前記バーチャルマシーンインプリメンテーションにより直ちに利用可能である、前記第2ライブラリファンクションを実行するコンピュータコードをさらに有する、請求項8記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
バーチャルマシーンにより要求される処理を実行するためバーチャルマシーンインプリメンテーションにおいて宣言されるファンクションを呼び出すライブラリファンクションを有するランタイム環境において、前記バーチャルマシーンがどのように実現されるかに依存するバーチャルマシーン処理が指定され、バーチャルマシーンインプリメンテーションを開発する方法であって、
第1バーチャルマシーンインプリメンテーションにおいて、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存する前記ライブラリファンクションにより要求される実質的にすべてのバーチャルマシーン処理を実行するファンクションセットを宣言するステップを有する方法。
【請求項17】
ランタイム環境で使用するのに適したバーチャルマシーンインプリメンテーションであって、
前記ランタイム環境は、ライブラリファンクションを含むサポートライブラリと、前記サポートライブラリとバーチャルマシーンとの間で定義されたバーチャルマシーンインタフェースとを有し、前記バーチャルマシーンインタフェースは、前記バーチャルマシーンインプリメンテーションにより実行される必要がある処理を定義し、
前記ライブラリファンクションの少なくとも一部は、前記処理を実行するのに使用されるバーチャルマシーンに依存する処理を実行するバーチャルマシーンインプリメンテーションに依存したファンクションを呼び出し、
前記バーチャルマシーンインタフェースは、バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存した実質的にすべての処理を定義するよう構成され、前記バーチャルマシーンインプリメンテーションは、前記バーチャルマシーンインタフェースにより定義される処理の実質的にすべてを実行するためのインプリメンテーションファンクションセットを有するバーチャルマシーンインプリメンテーション。
【請求項18】
前記インプリメンテーションファンクションセットは、バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存した前記ランタイム環境のサポートライブラリにより呼び出されるファンクションの実質的にすべてを含む、請求項17記載のバーチャルマシーンインプリメンテーション。
【請求項19】
前記バーチャルマシーンインプリメンテーションは、前記バーチャルマシーンインタフェースに従うよう構成される少なくともいくつかの異なるサポートライブラリを含む複数のランタイム環境と共に使用するのに適する、請求項17記載のバーチャルマシーンインプリメンテーション。
【請求項20】
少なくとも1つのバーチャルマシーンインプリメンテーションと共に使用するのに適したランタイム環境であって、
前記ランタイム環境は、サポートライブラリと、前記サポートライブラリと前記バーチャルマシーンインプリメンテーションとの間の通信を実現する定義されたバーチャルマシーンインタフェースとを有し、
前記バーチャルマシーンインタフェースは、前記バーチャルマシーンインプリメンテーションにより実行される必要があるバーチャルマシーンに依存した処理を定義し、
前記サポートライブラリは、バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存した処理を処理を実行するバーチャルマシーンインプリメンテーションに依存したファンクションを呼び出すよう構成される前記ライブラリファンクションの少なくとも一部を有するライブラリファンクションを含み、
前記バーチャルマシーンインタフェースは、バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存する実質的にすべての処理を定義するよう構成されるランタイム環境。
【請求項21】
前記ランタイム環境は、前記バーチャルマシーンインタフェースに従うよう構成される複数の異なるバーチャルマシーンインプリメンテーションと共に使用するのに適する、請求項20記載のランタイム環境。」


3.優先権主張についての当審判断
当審拒絶理由通知書の「<優先権について>」の項で指摘したとおり、本願の優先権証明書は、最先の優先日である1998年10月16日より1年4月を超えた平成12年2月18日(金曜日)に提出されたものであるから、特許法第43条第4項の規定によりその効力を失う。
したがって、本願発明については、先の出願に基づく優先権の主張を認めることができない。


4.拒絶理由についての当審判断
次に、上記平成24年12月18日付け手続補正(以下「本件補正」と記す。)によって本願明細書の記載が上記当審拒絶理由通知書の理由2.で指摘した不備を解消しているものであるか否かについて検討する。

(1)当審拒絶理由通知書の理由2.の(2)で指摘した点について
本件補正により特許請求の範囲中の「バーチャル・マシン・インプリメンテーション」との記載は「バーチャルマシーンインプリメンテーション」と補正されたが、依然として、その意味内容・定義(バーチャルマシーンを実装する事なのか? バーチャルマシーンが実装されたコンピュータなのか? コンピュータをバーチャルマシーンとして機能させるためのソフトウエアなのか? 該ソフトウエア中の一部分なのか?)が、特許請求の範囲の記載からは明確でない。
しかも、発明の詳細な説明を参酌しても、これを明確に説明・定義する記載が依然として見当たらない。
したがって、本願請求項1?21に係る発明は依然として明確でない。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?21に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?21に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(2)当審拒絶理由通知書の理由2.(3)で指摘した点について
本件補正後の請求項1においても「選択されたコード」との記載があり、依然として、該「選択されたコード」とは如何なるコードなのか(複数の言語の中から選択された言語のコードと言う意味なのか? 複数のコードが記述されるプログラムの中から選択された特定の部分のコードと言う意味なのか?)が明確でなく、また、発明の詳細な説明には「選択されたコード」との記載は見当たらず、発明の詳細な説明を参酌してもその意味内容を明確に把握することができない。しかも、意見書では何らの釈明もなされていない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でなく、また、依然として本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(3)当審拒絶理由通知書の理由2.(5)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「選択されたコードの実行に適した」との記載は「選択されたコードを実行するのに適した」と補正されたが、依然として、その範囲(如何なるものが適しているものに該当し、如何なるものが適していないものに該当するのか?)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また発明の詳細な説明においてもその説明や例示はされておらず、発明の詳細な説明を参酌しても、その範囲は明確でない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである(特許法第36条第4項(実施可能要件)違反)とともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(4)当審拒絶理由通知書の理由2.(6)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「ランタイム環境における使用に適した」との記載は「ランタイム環境に使用するのに適した」と補正されたが、依然として、その範囲(如何なるものが適しているものに該当し、如何なるものが適していないものに該当するのか?)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また発明の詳細な説明においてもその説明や例示はされておらず、発明の詳細な説明を参酌しても、その範囲は明確でない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でなく、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(5)当審拒絶理由通知書の理由2.(9)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「前記ランタイム環境に適したライブラリ関数」との記載は「前記ランタイム環境内で使用するのに適したライブラリファンクション」と補正されたが、依然として、その範囲(如何なるライブラリファンクションが適しているライブラリファンクションに該当し、如何なるライブラリファンクションが適していないライブラリファンクションに該当するのか? 上記の「ランタイム環境に使用するのに適した」と何がどう異なるのか?同じなのか?)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また発明の詳細な説明においてもその説明や例示はされておらず、発明の詳細な説明を参酌しても、その範囲は明確でない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でなく(、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。該

(6)当審拒絶理由通知書の理由2.(11)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「バーチャル・マシンによって必要とされるオペレーション」との記載は「バーチャルマシーンにより要求される処理」と補正されたが、依然として、その意味内容(バーチャルマシーンから外へ発せられた処理なのか? バーチャルマシーン内部で実行される処理なのか? バーチャルマシーンがサポートしなければならない処理のことか? 下記「バーチャルマシーン処理」と同じものなのか?異なるものなのか?等々)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また、発明の詳細な説明においては「バーチャル・マシンによって必要とされるオペレーション」なる用語は記載されておらず、発明の詳細な説明を参酌してもその意味内容を明確に把握することができない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でなく、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を依然として理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(7)当審拒絶理由通知書の理由2.(12)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「バーチャル・マシン・オペレーション」との記載は「バーチャルマシーン処理」と補正されたが、依然として、その意味内容(バーチャル・マシンが外から受けた処理なのか? バーチャル・マシンから外へ発せられた処理なのか? バーチャル・マシン内部で実行される処理なのか? バーチャル・マシンがサポートしなければならない処理のことか? 上記「バーチャルマシーンにより要求される処理」と同じものなのか?異なるものなのか?等々)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、また、発明の詳細な説明においては「バーチャルマシーン処理」なる用語は記載されておらず、発明の詳細な説明を参酌してもその意味内容を明確に把握することができない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でなく、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(8)当審拒絶理由通知書の理由2.(13)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「前記ライブラリ関数の少なくとも一部はバーチャル・マシンによって必要とされるオペレーションを実行する関数をコールするために用意される」との記載は「前記ライブラリファンクションの少なくとも一部は、バーチャルマシーンにより要求される処理を実行するファンクションを呼び出すよう構成される」と補正されたが、依然として、何が何を「呼び出す」のか(「ライブラリファンクションの少なくとも一部」が「ファンクション」を呼び出すのか? 「バーチャルマシーン」が「ライブラリファンクションの少なくとも一部」を「呼び出す」のか? 「バーチャルマシーン」が「ファンクション」を「呼び出す」のか?)が明確でない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。

(9)当審拒絶理由通知書の理由2.(14)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「前記ライブラリ関数の少なくとも一部はバーチャル・マシンによって必要とされるオペレーションを実行する関数をコールするために用意される」との記載は「前記ライブラリファンクションの少なくとも一部は、バーチャルマシーンにより要求される処理を実行するファンクションを呼び出すよう構成される」と補正されたが、依然として、該「前記ライブラリ関数の少なくとも一部」と「実行する関数」との関係(同じものなのか? 異なるものなのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項1?7に係る発明は明確でない(特許法第36条第6項第2号違反)。 「前記ライブラリファンクションの少なくとも一部」と「実行するファンクション」との関係(同じものなのか? 異なるものなのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。

(10)当審拒絶理由通知書の理由2.(16)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション」との記載は「第1バーチャルマシーンインプリメンテーション」と補正されたが、依然として、その意味内容(単なる「バーチャルマシーンインプリメンテーション」と同義なのか否か? 同義ではないとしたら何がどう異なるのか? 複数のバーチャルマシーンインプリメンテーションのうちの一つのことなのか? 特定の種類のバーチャルマシーンインプリメンテーションのことなのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。

(11)当審拒絶理由通知書の理由2.(17)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション内で宣言する」との記載は「第1バーチャルマシーンインプリメンテーションにおいて、・・・宣言する」と補正されたが、依然として、その意味内容(第1バーチャルマシーンインプリメンテーションが宣言と言う処理を行うのか? 単にプログラム中に宣言文があることを意味しているのか?)が特許請求の範囲の記載からは明確でなく、しかも、発明の詳細な説明を参酌しても、これを明確に説明・定義する記載も、これを例示する記載も見当たらない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でなく、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(12)当審拒絶理由通知書の理由2.(18)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションに依存するライブラリ関数」との記載は「前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存する前記ライブラリファンクション」と補正されたが、依然として、該「依存する」の意味内容(第1バーチャルマシーンインプリメンテーションでなければ動作しないライブラリファンクションと言う意味か? 第1バーチャルマシーンインプリメンテーションで動作するライブラリファンクションと言う意味か? 第1バーチャルマシーンインプリメンテーションからしかコールされないライブラリファンクションと言う意味か?)が明確でない。また、発明の詳細な説明を参酌しても、依然として、これを明確に説明・定義する記載も、これを例示する記載も見当たらない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でなく、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(13)当審拒絶理由通知書の理由2.(19)で指摘した点について
本件補正により、請求項1の「前記バーチャル・マシン・オペレーションは前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションに依存するライブラリ関数が必要とする全てのオペレーションを含む」との記載は「前記バーチャルマシーン処理は、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存する前記ライブラリファンクションによって要求される前記処理の実質的にすべてを含む」と補正されたが、依然として、その意味内容(単に第1バーチャルマシーンインプリメンテーションが必要なメソッドを有するという意味か? 第1バーチャルマシーンインプリメンテーションに依存するライブラリファンクションのメソッドはクラス承継時に新たなメソッドとして記述すると言う意味か? 同ライブラリファンクションのメソッドはクラス承継しないでインタフェースとして記述すると言う意味か? 同ライブラリファンクションのメソッドはextendsで承継するのではなくimplementsで実装すると言う意味なのか?)が明確でない。また、発明の詳細な説明を参酌しても、依然として、これを明確に説明・定義する記載も、これを例示する記載も見当たらない。
したがって、本願請求項1に係る発明は依然として明確でなく、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない。
また、これに従属する請求項2?7に係る発明にも同様のことが言える。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(14)当審拒絶理由通知書の理由2.(21)で指摘した点について
本件補正により、請求項2の「前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションとは異なる第2バーチャル・マシン・インプリメンテーション」との記載は「第2バーチャルマシーンインプリメンテーション」と補正されたため、該「第1バーチャルマシーンインプリメンテーション」と該「第2バーチャルマシーンインプリメンテーション」の関係(同じものなのか? 異なるものなのか? 異なるとすれば何が「異なる」のか(種類が異なるのか? インタフェース等が異なるのか? バージョンが異なるのか? 別のインスタンスなのか?))がより一層明確でないものとなった。
したがって、本願請求項2、6に係る発明は依然として明確でない。

(15)当審拒絶理由通知書の理由2.(22)で指摘した点について
本件補正により、請求項2の「前記ライブラリ関数は前記第2バーチャル・マシン・インプリメンテーションと一緒に利用できる」との記載は「前記ライブラリファンクションは、前記第2バーチャルマシーンインプリメンテーションにより直ちに利用可能である」と補正されたが、依然として、その意味内容(ライブラリファンクションがコンパイル済みであると言う意味か? ライブラリファンクションが直接アドレッシングでコールされると言う意味か? ライブラリファンクションが他の関数を介さずにコールされると言う意味か? ライブラリファンクションが引数の引き渡しをせずにコールされると言う意味か? 第2バーチャルマシーンインプリメンテーションに置き換わってもライブラリファンクションを改変する必要が無いと言う意味か?)が明確でない。
したがって、本願請求項2、6に係る発明は依然として明確でない。

(16)当審拒絶理由通知書の理由2.(25)で指摘した点について
本件補正により、請求項3の「前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーション内で宣言された関数によってコールされる」との記載は「前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションにおいて宣言されたファンクションによって呼び出される」と補正されたが、依然として、その意味内容(該宣言された「ファンクション」を呼び出すステップが「ライブラリファンクション」を呼び出すことを意味するのか? 該宣言された「ファンクション」の中に「ライブラリファンクション」をコールするステップがあると言う意味なのか?)が明確でない。また、発明の詳細な説明を参酌しても、依然として、これを明確に説明・定義する記載も、これを例示する記載も見当たらない。
したがって、本願請求項3に係る発明は依然として明確でなく、また、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもない。
また、このため、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項3に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項3に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるとも言える。

(17)当審拒絶理由通知書の理由2.(26)?(28)で指摘した点について
本件補正により、補正前の請求項4の「前記関数のセットは前記第1バーチャル・マシン・インプリメンテーションを制御するオペレーションと、データへアクセスするオペレーションと、入出力(I/O)オペレーションを実施するオペレーションと、を含む」との記載は補正後の請求項5において「前記ファンクションセットは、前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションを制御し、データにアクセスし、入出力(I/O)処理を実行する処理を含む」と補正されたが、依然として、該「前記第1バーチャルマシーンインプリメンテーションを制御し、データにアクセスし、入出力(I/O)処理を実行する処理」が如何なるオペレーションなのか(「第1バーチャルマシーンインプリメンテーションを制御」する「処理」とは第1バーチャルマシーンを実装することを制御する処理なのか? 第1バーチャルマシーンを停止させたり割込動作をさせたりする処理なのか? 「データにアクセス」する「処理」とは第1バーチャルマシーンに「データにアクセス」することを実行させる「処理」なのか? 「データにアクセス」するステップを有している「処理」なのか? 「入出力(I/O)処理を実行する処理」とは第1バーチャルマシーンに「入出力」を実行させる「処理」なのか? 「入出力」を実行するステップを有している「処理」なのか? 入出力とは何処(コンピュータ? 第1バーチャルマシーン? ライブラリファンクション? ランタイム環境?)からの出力、何処への入力のことなのか?)が明確でない。
したがって、本願請求項5に係る発明は依然として明確でない。

(18)当審拒絶理由通知書の理由2.(31)で指摘した点について
本件補正は特許請求の範囲のみを補正するもので、発明の詳細な説明については何らの補正もなされていない。そして、当審拒絶理由通知書の理由2.(31)で指摘した発明の詳細な説明の不備については、意見書では何らの釈明もなされていない。
したがって、本件補正によって当審拒絶理由通知書の理由2.(31)で指摘した不備が解消したと認めることは到底できない。
また、本件補正によって新たに追加された請求項8?21に係る発明に関しても同様のことが言える。
したがって、本願の発明の詳細な説明は本願請求項1?21に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものである。

(19)当審拒絶理由通知書の理由2.(32)で指摘した点について
本件補正は特許請求の範囲のみを補正するもので、発明の詳細な説明については何らの補正もなされていない。そして、当審拒絶理由通知書の理由2.(32)で指摘した発明の詳細な説明の不備については、意見書では何らの釈明もなされていない。
したがって、本件補正によって当審拒絶理由通知書の理由2.(32)で指摘した不備が解消したと認めることは到底できない。
また、本件補正によって新たに追加された請求項8?21に係る発明に関しても同様のことが言える。
したがって、本願の発明の詳細な説明は依然として本願請求項1?21に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、請求項1?21に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものである。

(20)以上のとおり、本願請求項1?21に係る発明は依然として明確でないので、本願の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
また、本願請求項1?21に係る発明は依然として本願の発明の詳細な説明に記載されたものでもないので、本願の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
さらに、本願の発明の詳細な説明の記載は依然として本願請求項1?21に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるから、特許法第36条第4項に規定する要件(実施可能要件)を満たしていない。
そして、本願の発明の詳細な説明の記載は依然として請求項1?21に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであると言う点でも、特許法第36条第4項に規定する要件(委任省令要件)を満たしていない。


5.むすび
上記のとおり、本願の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第4項及び第6項第1号、第2号に規定する要件を満たしていないので、新規性進歩性等の特許要件の検討をするまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-16 
結審通知日 2013-01-22 
審決日 2013-02-05 
出願番号 特願平11-294195
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (G06F)
P 1 8・ 536- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 林 毅  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 原 秀人
酒井 伸芳
発明の名称 プラグ可能なバーチャル・マシンをインプリメントする技術  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  

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