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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 F21S 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F21S |
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管理番号 | 1277447 |
審判番号 | 不服2012-18989 |
総通号数 | 165 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-09-28 |
確定日 | 2013-07-29 |
事件の表示 | 特願2011-87828号「蛍光灯形LEDランプ及び照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月20日出願公開、特開2011-210729号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は、平成22年3月30日(以下、「遡及出願日」という。)に出願された特願2010-77920号の出願の一部を、平成23年4月12日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願としたもので、平成23年6月28日付け、平成23年11月4日付け及び平成24年3月26日付けの各手続補正があった後、平成24年6月22日付けで、平成24年3月26日付けの手続補正についての補正の却下の決定と共に拒絶査定がなされ、これに対して、平成24年9月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、当該請求と同時に特許請求の範囲及び明細書についての手続補正がなされたものである。 II.平成24年9月28日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年9月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 本件補正により特許請求の範囲の請求項1は次のように補正された。 「【請求項1】 少なくとも一部に発光素子からの放射光を出射する透光部およびこの発光素子からの光が出射されない位置に形成された導出部を有する外形略筒状の本体と; 前記透光部から放射光を出射するように前記本体内に配設された発光素子と; 前記本体の両端部に配設されて、既存の直管形蛍光灯が取り付けられる照明器具のソケットに取り付け可能に構成された接続ピンを有し、この接続ピンが前記本体と絶縁状態で構成され、前記ソケットに前記接続ピンが取り付けられたときに前記本体が前記照明器具の器具本体から離間して配置されるように構成され、かつ、前記発光素子に電源供給しないように構成された口金と; この口金の接続ピンが前記ソケットに取り付けられたときに前記器具本体から離間するように前記本体に固定されており、商用電力供給時に前記発光素子を点灯させる直流電力を出力する点灯回路から前記器具本体の外部に導出された配線の先端に設けられた接続部とコネクタ接続するコネクタ部を有し、 前記接続部とコネクタ接続するように前記コネクタ部が前記本体の導出部に配設されて前記発光素子に前記点灯回路から出力された直流電力を供給する給電部と; を具備したことを特徴とする蛍光灯形LEDランプ。」(なお、下線は補正箇所を示すものである。) 2.補正の目的及び新規事項の追加の有無 上記の請求項1についての本件補正は、「取付られる」を「取り付けられる」と送りがなを付加して訂正する特許法第17条の2第5項第3号の誤記の訂正を目的とするとともに、当該請求項に記載した発明を特定するために必要な事項である「口金」について、「前記ソケットに前記接続ピンが取り付けられたときに前記本体が前記照明器具の器具本体から離間して配置されるように構成され、」との限定を付加し、また、「コネクタ部」についても、「この口金の接続ピンが前記ソケットに取り付けられたときに前記器具本体から離間するように前記本体に固定されており、」との限定を付加すると共に、コネクタ部とコネクタ接続する相手方の「接続部」について、「照明器具の外部に導出された」との限定事項を「前記器具本体の外部に導出された配線の先端に設けられた」とさらに限定事項を付加するものであるから、本件補正後の請求項1に記載された発明と、本件補正前の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題に変わるところがないので、本件補正は特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされることにより適用される、同法律による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3-1.先願明細書等の記載事項と先願発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の遡及出願日前の他の特許出願であって、本願の出願後に出願公開(特開2011-198695号)がされた特願2010-66453号(以下、「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面を、各々「先願明細書」及び「先願特許請求の範囲」並びに「先願図面」といい、これらをまとめて「先願明細書等」という。)には、先願図面と共に次の(ア)?(カ)の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 蛍光灯とは異なる光源であって、発光部と、既存の蛍光灯用の照明器具のソケットに装着される保持用口金と、前記ソケットを介した経路とは異なる経路で前記発光部に点灯電力を給電するための給電部とを備え、前記給電部は、前記保持用口金を前記ソケットに装着した際に前記照明器具側に位置するように設けられたことを特徴とする光源。 【請求項2】 前記保持用口金は1対設けられ、給電部は、前記1対の保持用口金の間の中間部に位置するように設けられたことを特徴とする請求項1記載の光源。 【請求項3】 前記発光部は、直管形の管体に収納され、前記管体の両端に前記保持用口金がそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源。 ・・・ 【請求項5】 前記蛍光灯に設けられた口金が装着されるソケットと、前記ソケットを支持するとともに前記ソケットを介して前記蛍光灯に点灯電力を給電する第1の点灯装置を収納した器具本体とを備え、前記器具本体には、請求項1乃至4の何れか1項に記載の光源に点灯電力を給電する第2の点灯装置が収納され、前記器具本体における前記ソケットが設けられた一面には、前記給電部が装着されるとともに自身及び前記給電部を介した前記第2の点灯装置から前記光源への給電経路を確立する接続部が設けられたことを特徴とする照明装置。」(【特許請求の範囲】) (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところで、蛍光灯及び蛍光灯型のLEDランプは一見して同じ形状であるため、改造を施した照明器具を既存の蛍光灯用照明器具と勘違いし、誤って蛍光灯を装着してしまう虞があった。この場合、蛍光灯とLEDランプとでは点灯装置の設計が異なるため、誤って蛍光灯を接続すると点灯させることができず、ランプにも悪影響を与える虞があった。また、同じ蛍光灯型のLEDランプであっても、他のメーカが製造した規格の異なるLEDランプを改造を施した照明器具に誤って装着した場合、蛍光灯を装着した場合と同様に、点灯させることができず、ランプに悪影響を与える虞があった。 ・・・ 【0007】 本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、ソケットを交換することなく既存の蛍光灯と他の光源との使い分けを容易に且つ安全に行うことができる光源及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。」(段落【0005】?【0007】) (ウ)「【0017】 (実施形態1) 以下、本発明に係る照明装置の実施形態1について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、図1(a)における上下を上下方向と定めるものとする。本実施形態は、図1(a),(b)に示すように、LEDランプ1(光源)と、蛍光灯3(図2(a)参照)の長手方向の両端に設けられた1対の口金30が装着される1対のソケット20を支持する器具本体2とを備える。 【0018】 LEDランプ1は、図1(a)に示すように、複数の発光ダイオード(図示せず)から成る発光部が設けられた長尺板状の基板11を直管形状の管体10に収納して成る。そして、管体10の長手方向の両端部には、それぞれ各ソケット20に装着される保持用口金12が設けられており、各保持用口金12からはそれぞれ丸棒状の1対のダミーピン12aが突設されている。ここで、各保持用口金12及び各ダミーピン12aは単に各ソケット20に装着できるように構成されているものであり、各保持用口金12及び各ダミーピン12aと基板11とは互いに電気的に絶縁されている。而して、LEDランプ1を各ソケット20に装着しても各保持用口金12及び各ダミーピン12aを介して発光部に電力が給電されることがない。 【0019】 発光ダイオードは、LEDランプ1を各ソケット20に装着した際に光が下方に出射されるように基板11の下面に実装される。そして、基板11の上面及び下面には、各発光ダイオードを直列又は並列、若しくは直列と並列とを組み合わせて接続する配線(図示せず)が設けられ、当該配線と電気的に接続された給電部13が1対の保持用口金12の間の中間部に位置するように設けられている。給電部13は、後述する器具本体2の接続部22に装着されるコネクタから成り、管体10を貫通するケーブル13aを介して基板11の配線と電気的に接続されている。また、給電部13は、図2(b)に示すように、各保持用口金12を各ソケット20に装着した際に上側(器具本体2側)に位置するように設けられている。」(段落【0017】?【0019】) (エ)「【0020】 器具本体2は、図1(b)に示すように、LEDランプ1及び蛍光灯3の長手方向に沿って長尺な箱形に形成されている。器具本体2の内部には、蛍光灯3に点灯電力を給電する第1の点灯装置21(図3(a)参照)、又はLEDランプ1に点灯電力を給電する第2の点灯装置23の何れかが収納される。ここで、本実施形態の器具本体2は、既存の蛍光灯用の照明器具を改造したもので、器具本体2の内部からは予め第1の点灯装置21が取り外され、代わりに第2の点灯装置23が収納されているものとする。そして、器具本体2の下面には、前述の給電部13が装着されるコネクタから成る接続部22が設けられている。当該接続部22に給電部13を装着することで、接続部22及び給電部13を介した第2の点灯装置23からLEDランプ1への給電経路が確立するようになっている。 【0021】 また、器具本体2の下面には、その長手方向に沿った両端に各々ソケット20が設けられている。各ソケット20は、既存の蛍光灯用の照明器具に用いられるものであって、その内部には、蛍光灯3の口金30から突設されたランプピン(図示せず)を機械的に保持するとともに、第1の点灯装置21と蛍光灯3とを電気的に接続する導電端子(図示せず)が設けられている。尚、本実施形態では、上述のように、器具本体2の内部には第1の点灯装置21が収納されておらず、各ソケット20の導電端子と第2の点灯装置23とは電気的に接続されていない。」(段落【0020】?【0021】) (オ)「【0022】 以下、本実施形態におけるLEDランプ1及び蛍光灯3の装着について図面を用いて説明する。先ず、蛍光灯3を各ソケット20に装着する場合について説明する。図2(a)に示すように、蛍光灯3の各口金30を各ソケット20に装着すると、蛍光灯3の各ランプピンが各ソケット20の導電端子に機械的に保持される。しかしながら、導電端子と第2の点灯装置23とが電気的に接続されていないため、蛍光灯3には電力が給電されない。 【0023】 次に、LEDランプ1を各ソケット20に装着する場合について説明する。図2(b)に示すように、LEDランプ1の各保持用口金12を各ソケット20に装着すると、LEDランプ1の各ダミーピン12aが各ソケット20の導電端子に機械的に保持され、LEDランプ1が各ソケット20に保持される。そして、LEDランプ1の給電部13を器具本体2の接続部22に装着すると、給電部13及び接続部22を介した第2の点灯装置23からLEDランプ1への給電経路が確立する。したがって、第2の点灯装置23からLEDランプ1に点灯電力が給電されて、LEDランプ1が点灯する。 【0024】 仮に、第2の点灯装置23から各ソケット20を介してLEDランプ1に点灯電力を給電する構成であった場合、蛍光灯3を誤って各ソケット20に装着すると、第2の点灯装置23と蛍光灯3とが各ソケット20を介して電気的に接続されてしまう。この場合、蛍光灯3は点灯できず、更に、蛍光灯3に悪影響を与える虞がある。これに対して、本実施形態では、上述のように、各ソケット20を介した従来の給電経路ではなく、給電部13及び接続部22を介した異なる給電経路でLEDランプ1と第2の点灯装置23とを電気的に接続している。したがって、蛍光灯3を誤って各ソケット20に装着しても、第2の点灯装置23と蛍光灯3とが各ソケット20を介して電気的に接続されることがない。」(段落【0022】?【0024】) (カ)「【0025】 上述のように、本実施形態のLEDランプ1は、既存の蛍光灯用の照明器具の各ソケット20に装着される1対の保持用口金12と、各ソケット20を介した経路とは異なる経路で給電するための給電部13とを備えている。このため、本実施形態のLEDランプ1は、既存の蛍光灯用の照明器具の各ソケット20に装着することができ、従来の蛍光灯3と同様に安定して器具本体2に保持される。また、各ソケット20に装着した際に各ソケット20を介した経路で給電されることがないため、各ソケット20を交換することなく既存の蛍光灯3と他の光源との使い分けを容易に行うことができ、且つ安定した給電性能を保つことができる。更に、仮に各ソケット20から各保持用口金12が外れたとしても、給電部13が接続部22に装着されているために、LEDランプ1の落下を防止することができる。 ・・・ 【0027】 更に、本実施形態のLEDランプ1は、管体10が従来の直管型の蛍光灯3と同じ形状であり、且つ管体10の長手方向の両端にそれぞれ保持用口金12を設けた構成であるため、従来の直管型の蛍光灯3と同様の操作で各ソケット20に装着することができる。また、従来の蛍光灯3及び本実施形態のLEDランプ1が一見して同じ外観であるため、蛍光灯3からLEDランプ1に交換した際に、照明装置全体の外観が変化することがない。」(段落【0025】?【0027】) 以上の記載事項及び【図1】、【図2】の記載からみて、先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が開示されていると認められる。 「発光部と、既存の蛍光灯用の照明器具のソケットに装着される保持用口金と、前記ソケットを介した経路とは異なる経路で前記発光部に点灯電力を給電するための給電部とを備え、前記給電部は、前記保持用口金を前記ソケットに装着した際に前記照明器具側に位置するように設けられた光源であって、 光源は、複数の発光ダイオードから成る発光部が設けられた長尺板状の基板11を、従来の直管型の蛍光灯3と同じ直管形状の管体10に収納して成るLEDランプ1であって、発光ダイオードは、LEDランプ1を各ソケット20に装着した際に光が下方に出射されるように基板11の下面に実装されており、 管体10の長手方向の両端部には、それぞれ照明器具の各ソケット20に装着される保持用口金12が設けられており、各保持用口金12からはそれぞれ丸棒状の1対のダミーピン12aが突設されて、各保持用口金12及び各ダミーピン12aは単に各ソケット20に装着できるように構成されているものであり、各保持用口金12及び各ダミーピン12aと基板11とは互いに電気的に絶縁されており、 給電部13は、器具本体2の接続部22に装着されるコネクタから成り、管体10を貫通するケーブル13aを介して基板11の配線と電気的に接続されていると共に、各保持用口金12を各ソケット20に装着した際に器具本体2側に位置するようにケーブル13aの先端に設けられており、 照明器具本体2の内部には、LEDランプ1に点灯電力を給電する点灯装置23が収納されていると共に、器具本体2の下面には、前述の給電部13が装着されるコネクタから成る接続部22が設けられていて、当該接続部22に給電部13を装着することで、接続部22及び給電部13を介して点灯装置23からLEDランプ1への給電経路が確立するようになっており、 LEDランプ1の各保持用口金12を各ソケット20に装着すると、LEDランプ1の各ダミーピン12aが各ソケット20の導電端子に機械的に保持されることによって、LEDランプ1が各ソケット20に保持され、LEDランプ1の給電部13を器具本体2の接続部22に装着すると、給電部13及び接続部22を介して点灯装置23からLEDランプ1に点灯電力が給電されて、LEDランプ1が点灯するようになっている光源。」 3-2.対比 本願補正発明と先願発明とを対比する。 先願発明でいう「発光ダイオード」は、本願補正発明でいう「発光素子」に相当しており、先願発明において、複数の発光ダイオードから成る発光部を収納する「直管形状の管体10」が、少なくともその一部に発光ダイオードからの放射光を出射する透光部を備えることは明らかであるし、管体10の、ケーブル13aが貫通している部分は、照明器具側(下面に発光ダイオードが実装されている基板11の上面側)に位置しており、光が出射されない位置に形成された導出部とみることができるから、上記「直管形状の管体10」は、本願補正発明でいう「少なくとも一部に発光素子からの放射光を出射する透光部およびこの発光素子からの光が出射されない位置に形成された導出部を有する外形略筒状の本体」に相当するものといえる。また、上記の発光ダイオードは、「前記透光部から放射光を出射するように前記本体内に配設された発光素子」といえるものである。 そして、先願発明において、「既存の蛍光灯用の照明器具のソケットに装着される」「各保持用口金12からはそれぞれ丸棒状の1対のダミーピン12aが突設されて、各保持用口金12及び各ダミーピン12aは単に各ソケット20に装着できるように構成されているものであり、各保持用口金12及び各ダミーピン12aと基板11とは互いに電気的に絶縁されて」いるとされるところから、上記「ダミーピン12a」は、本願補正発明でいう「既存の直管形蛍光灯が取り付けられる照明器具のソケットに取り付け可能に構成された接続ピン」に相当すると共に、「前記本体と絶縁状態で構成され」ているということができる。したがって、先願明細書等の図2に示されている器具本体2とLEDランプ1との位置関係もあわせて参酌すれば、先願発明でいう「各保持用口金12」は、本願補正発明でいう「前記本体の両端部に配設されて、既存の直管形蛍光灯が取り付けられる照明器具のソケットに取り付け可能に構成された接続ピンを有し、この接続ピンが前記本体と絶縁状態で構成され、前記ソケットに前記接続ピンが取り付けられたときに前記本体が前記照明器具の器具本体から離間して配置されるように構成され、かつ、前記発光素子に電源供給しないように構成された口金」に相当するものといえる。 また、先願発明の「LEDランプ1に点灯電力を給電する点灯装置23」は、本願補正発明の「商用電力供給時に前記発光素子を点灯させる直流電力を出力する点灯回路」に相当し、先願発明における、器具本体2の下面に設けられる「給電部13が装着されるコネクタから成る接続部22」は、「当該接続部22に給電部13を装着することで、接続部22及び給電部13を介して点灯装置23からLEDランプ1への給電経路が確立する」とされているところから、本願補正発明における、「商用電力供給時に前記発光素子を点灯させる直流電力を出力する点灯回路から前記器具本体の外部に導出された」接続部に対応し、同じく「給電部13」は、本願補正発明でいう「接続部とコネクタ接続するコネクタ部」であって、「前記接続部とコネクタ接続するように前記コネクタ部が前記本体の導出部に配設されて前記発光素子に前記点灯回路から出力された直流電力を供給する給電部」に対応するものといえる。 更に、先願発明でいう「光源」が、「複数の発光ダイオードから成る発光部が設けられた長尺板状の基板11を、従来の直管型の蛍光灯3と同じ直管形状の管体10に収納して成るLEDランプ1」であるところから、「蛍光灯形LEDランプ」の態様をとるものであることは明らかである。 してみると両者は次の点で一致する。 (一致点) 「少なくとも一部に発光素子からの放射光を出射する透光部およびこの発光素子からの光が出射されない位置に形成された導出部を有する外形略筒状の本体と; 前記透光部から放射光を出射するように前記本体内に配設された発光素子と; 前記本体の両端部に配設されて、既存の直管形蛍光灯が取り付けられる照明器具のソケットに取り付け可能に構成された接続ピンを有し、この接続ピンが前記本体と絶縁状態で構成され、前記ソケットに前記接続ピンが取り付けられたときに前記本体が前記照明器具の器具本体から離間して配置されるように構成され、かつ、前記発光素子に電源供給しないように構成された口金と; 商用電力供給時に前記発光素子を点灯させる直流電力を出力する点灯回路から前記器具本体の外部に導出された接続部とコネクタ接続するコネクタ部を有し、 前記接続部とコネクタ接続するように前記コネクタ部が配設されて前記発光素子に前記点灯回路から出力された直流電力を供給する給電部と; を具備した蛍光灯形LEDランプ。」 そして、次の点で一応の相違点が認められる。 (一応の相違点) 本願補正発明では、給電部(コネクタ部)が「前記本体の導出部」に配設されて、「口金の接続ピンが前記ソケットに取り付けられたときに前記器具本体から離間するように前記本体に固定されて」いると共に、接続部が「前記器具本体の外部に導出された配線の先端に設けられた」ものとされているのに対して、先願発明では、給電部13が「管体10を貫通するケーブル13aの先端に設けられて」いると共に、接続部22が「器具本体2の下面」に設けられたものとされている点。 3-3.当審の判断 本願補正発明も、先願発明も、ソケットに接続ピンが取り付けられたときに蛍光灯形LEDランプの本体が照明器具の器具本体から離間して配置されるように構成されている点では一致しており、それらを給電のために電気的に接続すべく、配線する必要があることは自明であり、上記一応の相違とした点は、結局のところ、LEDランプ側の給電部と、器具本体側の接続部とを電気的に接続する「配線」または「ケーブル13a」を、LEDランプ側と器具本体側のいずれに設けるかの相違に帰着するのであって、このような相互に置換可能であることが明らかな単なる形態上の相違は、技術上格別の意味を持つものとはいえず、設計上の微差と言うべきものであって、上記一応の相違とした点は構成上の実質的な相違点をなすものとは認められない。 請求人は、先願発明に係るLEDランプについて、「LEDランプを単体で取り扱うときに、管体から突出したケーブルが引掛り、損傷することで電気接続が不能となり不点に至る可能性」があるのに対して、本願補正発明に係るものは「ランプを単体で取り扱ったときに給電部が損傷し難くなります。」とし、また、「接続部が器具本体の外部に配線によって導出されていることにより、接続部を器具本体に取り付けたものに比べ、ランプを取り外した状態で接続部が目立つため既存光源とは異なる電源供給形態であることを使用者が認識しやすくなり、LEDランプが取り外された状態で既存光源を取り付けてしまうような誤使用を未然に防止することも期待できます。」として、本願補正発明に独自の作用効果がある旨の主張をしているが、請求人がいう、管体から突出したケーブルがないために「ランプを単体で取り扱ったときに給電部が損傷し難く」なることや、「接続部が目立つため」「LEDランプが取り外された状態で既存光源を取り付けてしまうような誤使用を未然に防止する」といったことは、接続部とコネクタ部の形態から当然予測できる程度の事項に過ぎず、本願補正発明と先願発明との間の実質的な相違を構成するに足る、有意な作用効果であるとはいえない。 上記の検討から明らかなように、本願補正発明と先願発明との間に実質的に相違するところが認められず、本願補正発明は、先願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明といえる。 しかも、本願補正発明の発明者は、上記先願に係る明細書又は図面に記載された発明の発明者と同一ではなく、上記もとの特許出願の時において、本件特許出願の出願人と先願の出願人とが同一の者でもない。 したがって、本願補正発明については、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3-4.むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされることにより適用される、同法律による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 III.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という。)は、平成23年11月4日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「少なくとも一部に発光素子からの放射光を出射する透光部およびこの発光素子からの光が出射されない位置に形成された導出部を有する外形略筒状の本体と; 前記透光部から放射光を出射するように前記本体内に配設された発光素子と; 前記本体の両端部に配設されて、既存の直管形蛍光灯が取付られる照明器具のソケットに取り付け可能に構成された接続ピンを有し、この接続ピンが前記本体と絶縁状態で構成され、かつ、前記発光素子に電源供給しないように構成された口金と; 商用電力供給時に前記発光素子を点灯させる直流電力を出力する点灯回路から照明器具の外部に導出された接続部とコネクタ接続するコネクタ部を有し、前記接続部とコネクタ接続するように前記コネクタ部が前記本体の導出部に配設されて前記発光素子に前記点灯回路から出力された直流電力を供給する給電部と; を具備したことを特徴とする蛍光灯形LEDランプ。」 IV.先願明細書等の記載事項と先願発明 原査定の拒絶の理由に引用された先願明細書等、並びに、その記載事項及び先願発明は、前記II.3-1に記載したとおりである。 V.対比・判断 本願発明は、前記II.1の本願補正発明から、「口金」について、「前記ソケットに前記接続ピンが取り付けられたときに前記本体が前記照明器具の器具本体から離間して配置されるように構成され、」との限定を省き、また、「コネクタ部」についても、「この口金の接続ピンが前記ソケットに取り付けられたときに前記器具本体から離間するように前記本体に固定されており、」との限定を省くと共に、コネクタ部とコネクタ接続する相手方の「接続部」について、「前記器具本体の外部に導出された配線の先端に設けられた」との限定事項を、「照明器具の外部に導出された」とその限定事項の一部を省いて拡張するものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記II.3-3に記載したとおり、先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明といえるのであるから、本願発明も、同様に、先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明といえる。 また、本願発明の発明者は、上記先願に係る明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明の発明者と同一ではなく、上記もとの特許出願の時において、本件特許出願の出願人と先願の出願人とが同一の者でもない。 VI.むすび 以上のとおり、本願発明は、先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明であって、本願発明の発明者は、上記先願に係る明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明の発明者と同一ではなく、上記もとの特許出願の時において、本件特許出願の出願人と先願の出願人とが同一の者でもないから、本願発明については、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 そして、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものである以上、本願の請求項2?5に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-05-23 |
結審通知日 | 2013-05-30 |
審決日 | 2013-06-11 |
出願番号 | 特願2011-87828(P2011-87828) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(F21S)
P 1 8・ 161- Z (F21S) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田村 佳孝、渡邊 豊英 |
特許庁審判長 |
山口 直 |
特許庁審判官 |
原 泰造 小関 峰夫 |
発明の名称 | 蛍光灯形LEDランプ及び照明装置 |
代理人 | 熊谷 昌俊 |