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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  B22D
審判 全部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  B22D
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B22D
審判 全部無効 2項進歩性  B22D
管理番号 1278004
審判番号 無効2012-800018  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-03-02 
確定日 2013-07-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4776653号発明「希土類合金鋳造板及びその製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4776653号の請求項1ないし17に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許4776653号についての手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成20年 4月14日 本件出願(特願2008-104199号、
パリ条約による優先権主張 2007年4月16日、中国)
平成23年 7月 8日 特許権の設定登録
平成24年 3月 2日 無効審判請求
平成24年 7月24日 被請求人:答弁書、訂正請求書
平成24年 8月29日 請求人:弁駁書
平成24年10月15日 訂正拒絶理由通知
平成24年12月 5日 被請求人:意見書、手続補正書
平成25年 1月24日 被請求人:口頭審理陳述要領書
平成25年 2月13日 請求人:口頭審理陳述要領書
平成25年 2月22日 口頭審理、審理終結の通知

第2.請求人の主張の概要
請求人は、特許第4776653号の特許を無効にする。審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、以下のとおり主張し、その証拠方法として、下記甲第1号証?甲第5号証を提出した。

(i)本件の請求項1、3-9、19に係る各特許発明は、本件出願日前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(ii)本件の請求項1、3-6、9、19に係る各特許発明は、本件出願日前に頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(iii)本件の請求項1-13、16-19に係る各特許発明は、本件出願日前に頒布された刊行物である甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(iv)本件の請求項1?19に係る各特許発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証?甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(v)本件に係る発明の詳細な説明の記載(特に実施例の記載)は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていないものであり、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。

(vi)本件の特許請求の範囲に記載された発明は明確でないから、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていないものであり、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。


(1)甲第1号証:特開平9-1296号公報
(2)甲第2号証:特開平8-229641号公報
(3)甲第3号証:中国特許出願公開第1409332号明細書
(4)甲第4号証:特開2004-143595号公報
(5)甲第5号証:特開2002-336941号公報

第3.訂正の適否についての判断
被請求人は、平成24年7月24日付けで訂正請求を行い、これに対し、同年10月15日付けで当審による訂正拒絶理由通知がなされ、同年12月5日付けで意見書並びに訂正請求書、訂正明細書及び特許請求の範囲についての手続補正書が提出された。
上記手続補正書による補正は、平成24年7月24日付け訂正請求における、特許請求の範囲の請求項1において、請求項4の内容を組み入れ、Mの含有量の下限値を1.95に限定するとともに、Mの元素を5種類の組み合わせに限定する訂正事項について、Mの元素の5種類の組み合わせのうち、2種類を削除して3種類の組み合わせとし、あわせてMの下限値を3.1に限定することに補正するものであって、該補正は、訂正事項の一部を削除するものと評価できるので、訂正の要旨を変更するものではないと認めることとする。
次に、上記補正された訂正請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)が、訂正要件を満たすかどうかについて検討する。
本件訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1を以下のとおりに訂正するとともに、請求項3、4を削除し、請求項5-19をその従属先の請求項の番号を訂正しつつ請求項3-17としたものである。

「【請求項1】
板厚の平均値がDであり、その板厚分散値がσ^(2)である希土類合金鋳造板において、
平均値Dは0.1mm?1.0mmの範囲であり、少なくとも80%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm,D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2) ≦0.015mm^(2)であり、
希土類合金は、Sc、Yを含めた17種の希土類元素の1種または2種以上であるRと、
Fe以外の遷移元素である、Al、Ga、In、C、N、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、の中の1種または2種以上であるMと、
ホウ素であるBとからなる、R-(Fe,M)-B系の組成であり、
Rの含有量が28.0?35.0wt%、Mの含有量が3.1?8.0wt%、Bの含有量が0.8?1.5wt%、残部がFe及び不可避不純物からなり、Mが、Al、Cu、Co、Ga、Nb、Mg、Ti、Siの第1の組み合わせ、Al、Cu、Co、Nb、V、Cr、Mn、Si、Nの第2の組み合わせ、Al、Co、Ga、Mg、Cr、Si、In、Ge、Sn、Pb、Ca、Cの第3の組み合わせのうち、第1から第3のいずれかの組み合わせであることを特徴とする希土類合金鋳造板。」

上記請求項1についての訂正事項は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に請求項4の記載事項を組み入れ、実施例13?16、17?20、21?24に記載した組成に基づいて、Mの元素を3種類の組み合わせに限定し、Mの下限値を、実施例13?16の値に基いて3.1に限定したものである。
よって、本件訂正に係る訂正事項は、いずれも、特許請求の範囲の減縮、請求項の削除又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。そして、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上、特許請求の範囲を拡張し、または変更するものでもない。
したがって、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1?3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同法第5項で準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、適法な訂正と認める。

第4.本件特許発明
上記「第3.」のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1乃至17に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」……「本件発明17」という。)は、平成24年12月5日付け手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1乃至17に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
板厚の平均値がDであり、その板厚分散値がσ^(2)である希土類合金鋳造板において、
平均値Dは0.1mm?1.0mmの範囲であり、少なくとも80%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm,D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2) ≦0.015mm^(2)であり、
希土類合金は、Sc、Yを含めた17種の希土類元素の1種または2種以上であるRと、
Fe以外の遷移元素である、Al、Ga、In、C、N、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、の中の1種または2種以上であるMと、
ホウ素であるBとからなる、R-(Fe,M)-B系の組成であり、
Rの含有量が28.0?35.0wt%、Mの含有量が3.1?8.0wt%、Bの含有量が0.8?1.5wt%、残部がFe及び不可避不純物からなり、Mが、Al、Cu、Co、Ga、Nb、Mg、Ti、Siの第1の組み合わせ、Al、Cu、Co、Nb、V、Cr、Mn、Si、Nの第2の組み合わせ、Al、Co、Ga、Mg、Cr、Si、In、Ge、Sn、Pb、Ca、Cの第3の組み合わせのうち、第1から第3のいずれかの組み合わせであることを特徴とする希土類合金鋳造板。
【請求項2】
希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒が柱状晶であり、該柱状晶の体積が希土類合金鋳造板の少なくとも80%を有しており、該柱状晶の幅は0.2μm?50.0μmであり、該柱状晶の長さは1.0μm?500μmである請求項1に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項3】
少なくとも90%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm、D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.01mm^(2)である請求項1に記載の希土類合金鋳造板。」
【請求項4】
少なくとも95%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm、D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.008mm^(2)である請求項1に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項5】
少なくとも80%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.05mm、D+0.05mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.008mm^(2)である請求項1に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項6】
少なくとも90%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.05mm、D+0.05mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.006mm^(2)である請求項1に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項7】
前記平均値Dが、0.2mm?0.5mmである請求項1?請求項6いずれが一項に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項8】
主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶の体積が希土類合金鋳造板の少なくとも85%を有している請求項2記載の希土類合金鋳造板。
【請求項9】
主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶の体積が希土類合金鋳造板の少なくとも91%を有している請求項2記載の希土類合金鋳造板。
【請求項10】
請求項1?9のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法であって、
溶融した希土類合金を、ストリップキャスティング用容器を通して回転する水冷ローラに注ぎ、均一厚さの希土類合金鋳造板を形成するものであり、
冷却速度条件を、融点?800℃の場合は10^(2)?10^(4)℃/sとし、または800℃?600℃の場合は100℃/s以下に調整することを特徴とする希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項11】
希土類合金を溶融する加熱方式は、中周波誘導加熱、高周波誘導加熱、アーク加熱、電気抵抗線加熱のいずれかによる請求項10に記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項12】
水冷ローラに注ぐ希土類合金の流量を100g/s?10000g/sの範囲に制御する請求項10または請求項11に記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項13】
形成される希土類合金鋳造板の幅を50mm?600mmの範囲に制御する請求項10?請求項12のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項14】
ストリップキャスト温度を1300℃?1600℃の範囲に調整する請求項10?請求項13のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項15】
水冷ローラの回転速度を0.2m/s?5.0m/sの範囲に制御する請求項10?請求項14のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項16】
希土類合金の原料は、機械破砕または水素粉砕(HD:HYDOROGEN DECREPITATION)の方法により製造された合金粉末である請求項10?請求項15のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項17】
請求項1?9のいずれかに記載の希土類合金鋳造板を原料として製造された希土類磁性体。」

第5.無効理由(iv)についての当審の判断
1.甲各号証の記載事項
(1)本件特許の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第1号証(特開平9-1296号公報)
(1a)「【0029】以下にこの発明において、R-Fe-B系またはR-Fe-B-C系永久磁石を製造する合金鋳片の好ましい合金組成を説明する。この発明の永久磁石用合金鋳片に含有される希土類元素Rはイットリウム(Y)を包含し、軽希土類及び重希土類を包含する希土類元素である。
【0030】通常Rのうち1種もって足りるが、実用上は2種類以上の混合物(ミッシュメタル、ジジム等)を入手上の便宜等の理由により用いることができ、Sm,Y,La,Ce,Gd等は他のR、特にNd,Pr等との混合物として用いることができる。なお、このRは純希土類元素でなくてもよく、工業上入手可能な範囲で製造上不可避な不純物を含有するものでも差し支えない。
【0031】Rは、R-Fe-B系永久磁石またはR-Fe-B-C系永久磁石を製造する合金鋳片の必須元素であって、R-Fe-B系磁石の場合、10原子%未満では高磁気特性、特に高保磁力が得られず、25原子%を越えると残留磁束密度(Br)が低下して、すぐれた特性の永久磁石が得られない。よって、Rは10原子%?25原子%の範囲とする。また、好ましい範囲は12原子%?18原子%である。
【0032】また、R-Fe-B-C系磁石の場合、Rは10原子%未満では高磁気特性、特に高保磁力が得られず、30原子%を越えると残留磁束密度(Br)が低下して、すぐれた特性の永久磁石が得られない。よって、Rは10原子%?30原子%の範囲とする。好ましいRの範囲は12原子%?18原子%である。
【0033】Bは、R-Fe-B系永久磁石を製造する合金鋳片の必須元素であって、2原子%未満では高い保磁力(iHc)は得られず、15%原子を越えると残留磁束密度(Br)が低下するため、すぐれた永久磁石が得られない。よって、Bは2原子%?15原子%の範囲とする。Bの好ましい範囲は4原子%?12原子%である。
【0034】また、R-Fe-B-C系永久磁石においてはB及びCは必須元素であって、B+Cが4原子%未満では高い保磁力(iHc)が得られず、10原子%を越えると残留磁束密度(Br)が低下するため、すぐれた永久磁石が得られず、また、Bが6at%を越えると耐食性が低下するので、好ましくなく、また、Cが4at%未満では耐食性が低下して好ましくなく、Cが10at%を越えるとR-C相の量が増加して、残留磁束密度(Br)が低下すると共に減磁曲線の角型性が劣化するので好ましくない。よってB+Cは4原子%?10原子%(但し、C4原子%?10原子%、B6原子%以下)の範囲とする。好ましいB+Cの範囲は6原子%?8原子%である。
【0035】Feは、R-Fe-B系永久磁石またはR-Fe-B-C系永久磁石を製造する合金鋳片の必須元素であって、R-Fe-B系磁石の場合60原子%未満では残留磁束密度(Br)が低下し、88%原子を超えると高い保磁力が得られないので、Feは60原子%?88原子%に限定する。好ましいFeの範囲は70原子%?84原子%である。
【0036】また、R-Fe-B-C系磁石の場合、Feは60原子%未満では残留磁束密度(Br)が低下し、86原子%を越えると高い保磁力が得られないので、Feは60原子%?86原子%に限定する。好ましいFeの範囲は74原子%?82原子%である。
【0037】また、R-Fe-B系磁石あるいはR-Fe-B-C系磁石のFeの一部をCo、Niの1種又は2種で置換可能であり、これは永久磁石の温度特性を向上させる効果及び耐食性を向上させる効果が得られるためであるが、Co、Niの1種又は2種はFeの50%を越えると高い保磁力が得られず、すぐれた永久磁石が得られない。よって、Co、Niの1種又は2種の置換量はFeの50%を上限とする。
【0038】この発明によるR-Fe-B系合金鋳片において、高い残留磁束密度と高い保磁力を共に有するすぐれた永久磁石を得るためには、R12原子%?16原子%、B5原子%?8原子%、Fe76原子%?83原子%が好ましい。
【0039】この発明によるR-Fe-B-C系合金鋳片において、高い残留磁束密度、高い保磁力と共に減磁曲線の角型性、高耐食性を共に有する高性能磁石を得るためには、R13原子%?17原子%、B+C=6原子%?8原子%(但し、B2原子%?4原子%、C4原子%?6原子%)、Fe75原子%?81原子%が好ましい。
【0040】また、この発明によるR-Fe-B系合金鋳片は、R、B、Feの他、O_(2)、C、Ca、Mgなどの工業的生産上不可避的不純物の存在を許容できるが、Bの一部を4.0原子%以下のC、3.5原子%以下のP、2.5原子%以下のS、3.5原子%以下のCuのうち少なくとも1種、合計量で4.0原子%以下で置換することにより、磁石合金の製造性改善、低価格化が可能である。
【0041】また、R-Fe-B-C系鋳片は、R、B、FeおよびCの他、O_(2)、Ca、Mgなどの工業的生産上不可避的不純物の存在を許容できるが、Bの一部を3.5原子%以下のP、2.5原子%以下のS、3.5原子%以下のCuのうち少なくとも1種、合計量で4.0原子%以下で置換することにより、磁石合金の製造性改善、低価格化が可能である。
【0042】さらに、前記R、B、Fe合金またはR、B、C、Fe合金あるいは前記合金にCoを含有するR-Fe-B合金またはR-Fe-B-C合金に、9.5原子%以下のAl、4.5原子%以下のTi、9.5原子%以下のV、8.5原子%以下のCr、8.0原子%以下のMn、5原子%以下のBi、12.5原子%以下のNb、10.5原子%以下のTa、9.5原子%以下のMo、9.5原子%以下のW、2.5原子%以下のSb、7原子%以下のGe、3.5原子%以下のSn、5.5原子%以下のZr、5.5原子%以下のHfのうち少なくとも1種添加含有させることにより、永久磁石合金の高保磁力が可能になる。」(第4頁第6欄第31行-第5頁第8欄第36行)

(1b)「【0044】
【実施例】
実施例1
この発明による急冷ロールには、基材がCu合金(99wt%Cu-1wt%Cr)からなり、表面層には層厚30μm、硬度Hv900のCr層を設けた径500mm、長さ300mmの水冷急冷ロールを用い、溶湯に接触する幅Tが70mmの中央付近部の表面粗さRa_(2)を2μm、幅t15mmの両側付近部の表面粗さRa_(1)を7μmに加工した。
【0045】真空溶解炉にて、30.5Nd-1.0Dy-1.0B-0.9Co-balFe(wt%)の磁石組成になる如く溶解後、前記急冷ロールを回転数80rpmにて回転させながら、前記溶湯をノズルより注湯して、幅100mm、厚み0.41mm?0.45mm、平均値0.43mm、長さ50?300mm程度の急冷鋳片を得た。得られた鋳片は、樹脂状晶組織で中央付近部、両側付近部の平均短軸結晶粒径を表1に示す。
【0046】前記鋳片を公知の方法で粗粉砕、微粉砕して、平均粒度3.5μmの合金粉末を得た後、磁場強度15kOeで、加圧力1.0ton/cm^(2)にて成型後、1060℃で3時間の条件にて焼結後、600℃に1時間の時効処理を行い、永久磁石を得た。得られた永久磁石の磁気特性を表2に示す。」(第5頁第8欄第42行-第6頁第9欄第15行)

(1c)「【表2】


」(第6頁末行?第7頁第11行)

(2)本件特許の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第2号証(特開平8-229641号公報)
(2a)「【0013】以下にこの発明においてR-Fe-B系永久磁石を製造する合金鋳片の好ましい合金組成を説明する。この発明の永久磁石鋳片に含有される希土類元素Rはイットリウム(Y)を包含し、軽希土類及び重希土類を包含する希土類元素である。Rとしては、軽希土類をもって足り、特にNd,Prが好ましい。また通常Rのうち1種もって足りるが、実用上は2種類以上の混合物(ミッシュメタル、ジジム等)を入手上の便宜等の理由により用いることができ、Sm,Y,La,Ce,Gd等は他のR、特にNd,Pr等との混合物として用いることができる。なお、このRは純希土類元素でなくてもよく、工業上入手可能な範囲で製造上不可避な不純物を含有するものでも差し支えない。
【0014】Rは、R-Fe-B系永久磁石を製造する合金鋳片の必須元素であって、10原子%未満では高磁気特性、特に高保磁力が得られず、30原子%を越えると残留磁束密度(Br)が低下して、すぐれた特性の永久磁石が得られない。よって、Rは10原子%?30原子%の範囲とする。
【0015】Bは、R-Fe-B系永久磁石を製造する合金鋳片の必須元素であって、2原子%未満では高い保磁力(iHc)は得られず、28%原子を越えると残留磁束密度(Br)が低下するため、すぐれた永久磁石が得られない。よって、Bは2原子%?28原子%の範囲とする。
【0016】Feは、R-Fe-B系永久磁石を製造する合金鋳片の必須元素であって、42原子%未満では残留磁束密度(Br)が低下し、88%原子を超えると高い保磁力が得られないので、Feは42原子%?88原子%に限定する。また、Feの一部をCo、Niの1種又は2種で置換可能であり、これは永久磁石の温度特性を向上させる効果及び耐食性を向上させる効果が得られるためであるが、Co、Niの1種又は2種はFeの50%を越えると高い保磁力が得られず、すぐれた永久磁石が得られない。よって、Co、Niの1種又は2種の置換量はFeの50%を上限とする。
【0017】この発明による合金鋳片において、高い残留磁束密度と高い保磁力を共に有するすぐれた永久磁石を得るためには、R12原子%?16原子%、B4原子%?12原子%、Fe72原子%?84原子%が好ましい。、また、この発明による合金鋳片は、R、B、Feの他、酸素、C、Ca、Mgなどの工業的生産上不可避的不純物の存在を許容できるが、Bの一部を4.0原子%以下のC、3.5原子%以下のP、2.5原子%以下のS、3.5原子%以下のCuのうち少なくとも1種、合計量で4.0原子%以下で置換することにより、磁石合金の製造性改善、低価格化が可能である。
【0018】さらに、前記R、B、Fe合金あるいはCoを含有するR-Fe-B合金に、9.5原子%以下のAl、4.5原子%以下のTi、9.5原子%以下のV、8.5原子%以下のCr、8.0原子%以下のMn、5原子%以下のBi、12.5原子%以下のNb、10.5原子%以下のTa、9.5原子%以下のMo、9.5原子%以下のW、2.5原子%以下のSb、7原子%以下のGe、35原子%以下のSn、5.5原子%以下のZr、5.5原子%以下のHfのうち少なくとも1種添加含有させることにより、永久磁石合金の高保磁力が可能になる。」(第3頁第3欄第22行-第4欄第29行)

(2b)「【0025】
【実施例】
実施例1
図1に示す溶解炉、ノズルを有するタンディッシュ及び急冷片ロールが収容される密閉室を真空となし、31.0Nd-1.0Dy-1.1B-3.0Co-63.9Fe(wt%)磁石になる如く、溶解炉にて溶解した。急冷片ロールには、径300mm、回転数130rpmの水冷Cuロールを用い、タンディッシュ先端部のノズルは、水冷Cuロール最上部と中心点を結ぶ線に対して角度60°並びに0.3mmの空隙をもって配置され、Ar300Torrの雰囲気にした後、前記溶湯をタンディッシュ内に収容後、水冷Cuロール上に溶湯をノズル部の湯面高さ20mmでノズルより注湯して、幅100mm、長さ10?300mmの急冷鋳片を得た。
【0026】鋳片300枚を任意に選びその鋳片厚を測定した結果、板厚0.23?0.35mm、平均値0.31mmであった。前記鋳片の結晶粒径は短軸方向の寸法0.5μm?15μm、長軸方向寸法は10μm?250μmであり、Rリッチ相は主相を取囲むように1μm以下に微細に分散して存在することを確認した。
【0027】前記鋳片を公知の方法で粗粉砕、微粉砕して、平均粒度3.5μm合金粉末を得た後、磁場強度15kOe中で圧力1.0T/にて成型し、1060℃に3時間の条件にて焼結後、600℃に1時間の時効処理を行い、永久磁石を得た。得られた永久磁石の磁石特性及び耐食性試験結果を表1に示す。なお、耐食性試験は焼結磁石を15mm×15mm×8mm寸法に加工後、膜厚25μmのエポキシ樹脂塗装をした後、磁石10個を80℃×90%RHの環境に200時間保持した後、その外観を検査する方法で行った。」(第4頁第5欄第48行-第6欄第28行)

(2c)「【表1】


」(第5頁第8行?第18行)

(3)本件特許の優先日前に外国において頒布された刊行物である甲第3号証(中国特許出願公開第1409332号明細書)
以下において、表記不能な中国漢字については、対応する日本の常用漢字あるいはカナにより表記したが、それもないものについては、「_」とした。
(3a)「(三)技術内容
本発明的目的就在于研制出一種高性能ネオジム鉄硼合金快冷厚帯,制備高性能ネオジム鉄硼合金粉,進而能制造出高性能的磁体。 本発明的別一个目的是研究出制造一種高性能的ネオジム鉄硼快冷厚帯的新工芸,克服伝統制造ネオジム鉄硼合金厚帯的不足,利用這種工芸制備出無α-Fe相、低稀土含量的全柱状晶快冷厚帯,進而生産出高性能的ネオジム鉄硼合金粉末和其磁体。
本発明的一種ネオジム鉄硼合金快冷厚帯,其ネオジム鉄硼合金成分爲TRE(Fe,M)B,其中稀土総量TRE爲25.0?40.0%重量百分数,是ネオジム、ネオジム+プラセオジム、ネオジム+鏑、ネオジム+テルビウム、ネオジム+鏑+プラセオジム或ネオジム+テルビウム+プラセオジム其中一種,M爲鈷、銅、アルミニウム、ニオブ、モリブデン其中的一種或多種,鈷0?12.0%重量百分数,銅0?1.0%重量百分数,アルミニウム0?1.0%重量百分数,ニオブ0?3.0%重量百分数,モリブデン0?5.0%重量百分数,硼0.5?2.0%重量百分数,余量爲鉄。該ネオジム鉄硼快冷厚帯中α-Fe相爲零,未発現等軸晶区,主相Nd_(2)Fe_(14)B晶粒爲平行排列的柱状晶,其寛度爲0.2?20.0μm,長度1.0?200.0μm;富ネオジム相沿着主相Nd_(2)Fe_(14)B柱状晶間平行分布,其寛度小于1.0μm,長度爲1.0?200.0μm。富硼相爲0.1?2.0μm等軸晶,均_分布于整个ネオジム鉄硼快冷厚帯中。
本発明的ネオジム鉄硼合金快冷厚帯的厚度以0.10?2.00mm爲好。ネオジム鉄硼快冷厚帯中主相Nd_(2)Fe_(14)B爲95.0%以上。在ネオジム+プラセオジム、ネオジム+鏑、ネオジム+テルビウム、ネオジム+鏑+プラセオジム或テルビウム的混合稀土中プラセオジム、鏑、テルビウム、鏑+プラセオジム或鏑+テルビウム的含量爲0.5?15.0%重量百分数,在ネオジム+鏑+プラセオジム或ネオジム+テルビウム+プラセオジム的混合稀土中鏑与プラセオジム或鏑与テルビウム可以任意的重量比。稀土総量爲25.0%?40%重量百分数,又以稀土総量爲26.0?33.9%重量百分数爲佳。
本発明的一種ネオジム鉄硼快冷厚帯的制造工芸,将其合金成分爲TRE(Fe,M)B,其中稀土総量TRE爲25.0?40.0%重量百分数,是ネオジム、ネオジム+プラセオジム、ネオジム+鏑、ネオジム+テルビウム、ネオジム+鏑+プラセオジム或ネオジム+テルビウム+プラセオジム其中一種,M爲鈷、銅、アルミニウム、ニオブ、モリブデン其中的一種或多種,鈷0?12.0%重量百分数,銅0?1.0%重量百分数,アルミニウム0?1.0%重量百分数,ニオブ0?3.0%重量百分数,モリブデン0?5.0%重量百分数,硼0.5?2.0%重量百分数,余量爲鉄的ネオジム鉄硼合金,用中頻感応熔煉、高頻感応熔煉、電弧炉熔煉、電阻糸加熱熔煉其中的一種方法,将ネオジム鉄硼合金加熱形成ネオジム鉄硼合金熔液,使ネオジム鉄硼合金熔液通過旋転水冷金属輪_成ネオジム鉄硼合金快冷厚帯,旋転水冷金属輪的転速爲0.5?45.0m/s,使快冷厚帯冷却。
用中頻感応熔煉、高頻感応熔煉、電弧炉熔煉、電阻糸加熱熔煉其中的一種方法,将ネオジム鉄硼合金加熱形成ネオジム鉄硼合金熔液(ネオジム鉄硼合金用已有技術冶煉而成),使ネオジム鉄硼合金熔液通過旋転速度爲0.5?45.0m/s的水冷金属輪_成ネオジム鉄硼合金快冷厚帯。ネオジム鉄硼合金熔液_到旋転的水冷金属輪上的量爲0.5?200.0kg/h,旋転的水冷金属輪的面寛爲1.0?100.0mm,ネオジム鉄硼合金可以連続加料,旋転的水冷金属輪的転速在0.5?45.0m/s的範囲内連続可調。通過調節水冷金属輪的転速,控制冷却速度,可以達到控制ネオジム鉄硼快冷厚帯的厚度,使ネオジム鉄硼快冷厚帯的厚度爲0.1?2.0mm。
将ネオジム鉄硼合金熔化併過熱100.0?300.0℃,通過旋転的水冷金属輪,ネオジム鉄硼合金熔液在離心力的作用下,_成厚度爲0.1?2.0mm快冷厚帯。在ネオジム鉄硼合金熔点(其熔点一般在1250.0℃左右,随着ネオジム鉄硼合金成分的改変)?800.0℃的温度範囲内,ネオジム鉄硼合金快冷厚帯的冷却速度爲100.0?1000.0℃/s,在800.0?600.0℃的範囲内,ネオジム鉄硼合金快冷厚帯的冷却速度爲0.1?1.0℃/s。」(第5頁第20行-第7頁第5行)

(当審による翻訳:以下、同様である。
「(三)技術的内容
本発明の目的は、高性能ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯を開発し、高性能ネオジウム鉄ボロン合金粉末を製造し、さらに高性能磁石を製造することにある。
本発明の他の目的は、高性能ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯を製造するための新規な方法を研究し、従来のネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の製造における欠陥を克服し、この方法によって、α-Fe相がなく希土類含有量の低い柱状晶の急冷薄帯を製造し、さらに高性能ネオジム鉄ボロン合金粉末及びその磁石を製造することにある。
本発明によるネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯は、ネオジム鉄ボロン合金の成分がTRE(Fe,M)Bであり、ネオジム、ネオジム・プラセオジム、ネオジム・ジスプロシウム、ネオジム・テルビウム、ネオジム・ジスプロシウム・プラセオジム又はネオジム・テルビウム・プラセオジムの1種である希土類元素の総量TREが25.0?40.0重量%で、Mがコバルト0?12.0重量%、銅0?1.0重量%、アルミニウム0?1.0重量%、ニオブ0?3.0重量%、モリブデン0?5.0重量%の1種以上であり、ボロンが0.5?2.0重量%で、残部が鉄である。該ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯中のα-Fe相はゼロであり、等軸晶領域は観察されず、主相Nd_(2)Fe_(14)B結晶粒は平行に配列された幅0.2?20.0μm、長さ1.0?200.0μmの柱状晶である。ネオジムリッチ相は主相Nd2Fe14Bの柱状晶間に沿って平行に分布し、幅が1.0μm未満、長さが1.0?200.0μmである。ボロンリッチ相は0.1?2.0μmの等軸晶であって、ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯全体に均一に分布している。
本発明によるネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の厚さは好ましくは0.10?2.00mmである。ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯中の主相Nd_(2)Fe_(14)Bは95.0%以上である。ネオジム・プラセオジム、ネオジム・ジスプロシウム、ネオジム・テルビウム、ネオジム・ジスプロシウム・プラセオジム又はテルビウムの混合希土類元素において、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウム、ジスプロシウム・プラセオジム又はジスプロシウム・テルビウムの含有量は0.5?15.0重量%であり、ネオジム・ジスプロシウム・プラセオジム又はネオジム・テルビウム・プラセオジムの混合希土類元素において、ジスプロシウムとプラセオジム又はジスプロシウムとテルビウムは任意の重量比である。希土類元素の総量は25.0?40重量%、好ましくは26.0?33.9重量%である。
本発明によるネオジム鉄ボロン急冷薄帯の製造方法は、合金成分がTRE(Fe,M)Bであり、ネオジム、ネオジム・プラセオジム、ネオジム・ジスプロシウム、ネオジム・テルビウム、ネオジム・ジスプロシウム・プラセオジム又はネオジム・テルビウム・プラセオジムの1種である希土類元素の総量TREが25.0?40.0重量%で、Mがコバルト0?12.0重量%、銅0?1.0重量%、アルミニウム0?1.0重量%、ニオブ0?3.0重量%、モリブデン0?5.0重量%の1種以上であり、ボロンが0.5?2.0重量%、残部が鉄であるネオジム鉄ボロン合金を、中周波誘導加熱、高周波誘導加熱、アーク加熱、電気抵抗線加熱のいずれかの方法により加熱してネオジム鉄ボロン合金溶湯を形成し、回転速度0.5?45.0m/sで回転する水冷金属ロールによってネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯を形成し、急冷薄帯を冷却する。
中周波誘導加熱、高周波誘導加熱、アーク加熱、電気抵抗線加熱のいずれかの方法によりネオジム鉄ボロン合金を加熱してネオジム鉄ボロン合金溶湯(ネオジム鉄ボロン合金は従来の技術で精錬されたものである)を形成し、回転速度0.5?45.0m/sの水冷金属ロールによってネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯を形成する。回転する水冷金属ロ-ルにネオジム鉄ボロン合金溶湯を注湯する量は0.5?200.0kg/hの量で、回転する水冷金属ロールの表面幅は1.0?100.0mmであり、ネオジム鉄ボロン合金の供給は連続的で、回転する水冷金属ロールの回転速度は0.5?45.0m/sの範囲内で連続調整できる。水冷金属ロールの回転速度を調整することにより、冷却速度を制御し、さらにネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の厚さを0.1?2.0mmとすることができる。
ネオジム鉄ボロン合金を溶融して100.0?300.0℃過熱し、回転する水冷金属ロールによって遠心力の作用で厚さ0.1?2.0mmの急冷薄帯を形成する。ネオジム鉄ボロン合金の融点(通常、約1250℃であり、ネオジム鉄ボロン合金成分によって変化する)?800.0℃の温度範囲内ではネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の冷却速度は100.0?1000.0℃/sであり、800.0?600.0℃の範囲内ではネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の冷却速度は0.1?1.0℃/sである。」)

(3b)「本発明的ネオジム鉄硼快冷厚帯採用現有的設備来実現,併採用中頻感応熔煉、高頻感応熔煉、電弧炉熔煉、電阻糸加熱熔煉其中的一種方法加熱ネオジム鉄硼合金形成ネオジム鉄硼合金熔液,快冷厚帯工芸所用的設備示意図見図13。将盛在坩堝1的ネオジム鉄硼合金熔液2_到水冷金属輪4上形成ネオジム鉄硼快冷厚帯5,ネオジム鉄硼快冷厚帯5進入帯冷却水的收料器3中。従收料器的進水口6通入冷却水,従收料器的出水口7排出冷却水,対ネオジム鉄硼合金快冷厚帯進行冷却。
将ネオジム鉄硼快冷厚帯用已有技術的方法将其_化制成ネオジム鉄硼合金粉,採用已有的技術方法制成ネオジム鉄硼焼結磁体。用本発明的ネオジム鉄硼快冷厚帯制成的ネオジム鉄硼合金粉,再制成ネオジム鉄硼焼結磁体的性能優良。」(第7頁第19行?第28行)

(「本発明によるネオジム鉄ボロン急冷薄帯は従来の装置を用いて製造され、中周波誘導加熱、高周波誘導加熱、アーク加熱、電気抵抗線加熱のいずれかの方法によりネオジム鉄ボロン合金を加熱してネオジム鉄ボロン合金溶湯を形成し、 坩堝1内のネオジム鉄ボロン合金溶湯2が水冷金属ロール4に注がれてネオジム鉄ボロン急冷薄帯5が形成され、ネオジム鉄ボロン急冷薄帯5が、冷却水を有する薄帯収容手段3に入る。薄帯収容手段の給水口6から冷却水を導入し、薄帯収容手段の排水口7から冷却水を排出し、ネオジム鉄ボロン急冷薄帯を冷却する。
ネオジム鉄ボロン急冷薄帯を従来の方法で水素化してネオジム鉄ボロン合金粉末を製造し、従来の方法によってネオジム鉄ボロン合金焼結磁石を製造する。本発明に係るネオジム鉄ボロン急冷薄帯により製造されたネオジム鉄ボロン合金粉末を用いて製造されたネオジム鉄ボロン合金焼結磁石の性能は優れている。」)

(3c)「実施例4
本実施例的ネオジム鉄硼快冷厚帯,其ネオジム鉄硼合金成分TRE(Fe,M)B,稀土総量爲33%重量百分数,其中Nd爲28.0%重量百分数,Dy爲5.0%重量百分数,M爲Cu0.15%重量百分数,Al0.2%重量百分数,B1.1%重量百分数,余量爲Fe。該ネオジム鉄硼快冷厚帯中,α -Fe相爲零,未発現等軸晶区,主相Nd_(2)Fe_(14)B晶粒爲平行排列的柱状晶,其寛度2.5?3.0μm,長度50.0?150.0μm,富ネオジム相沿着主相Nd_(2)Fe_(14)B柱状晶間平行分布,其寛度小于1.0μm,長度50.0?150.0μm,富硼相爲0.5μm等軸晶,均_分布于整个ネオジム鉄硼快冷厚帯中,其快冷厚帯的厚度1.00mm。ネオジム鉄硼快冷厚帯主相Nd_(2)Fe_(14)B97.5%,牌号38SH。
其制造方法基本同実施例3,唯一不同的是合金成分TRE(Fe,M)B,其稀土総量爲33%重量百分数,其中Nd爲28.0%重量百分数,Dy爲5.0%重量百分数,M爲Cu0.15%重量百分数,Al0.20%重量百分数,B1.1%重量百分数,余量爲Fe。使ネオジム鉄硼合金溶液通過旋転的水冷銅輪_成ネオジム鉄硼合金快冷厚帯,旋転的水冷銅輪的転速爲3.0m/s,ネオジム鉄硼合金溶液_到旋転的水冷銅輪上的量爲10.0kg/h,旋転的水冷銅輪的面寛5.0mm。
在ネオジム鉄硼合金熔点?800.0℃的温度範囲内,ネオジム鉄硼合金冷却的速度爲800.0℃/s,在800.0?600.0℃的温度範囲内,ネオジム鉄硼合金的冷却速率爲1.0℃/s。
実施例4ネオジム鉄硼磁性能
Br(T) iHc(KA/m) bHc(KA/m) BH)max(KJ/m3) 方形度%
(剰磁) (内_矯頑力) (磁感矯頑力) (磁能積)
1.265 1744 1045 308 95.1
」(第12頁第8行-末行)
(「実施例4
本実施例のネオジム鉄ボロン急冷薄帯は、ネオジム鉄ボロン合金成分がTRE(Fe,M)Bであり、希土類元素の総量は33重量%であって、うちNdが28.0重量%、Dyが5.0重量%であり、MはCu0.15重量%、Al0.2重量%であり、Bは1.1重量%、残部はFeである。該ネオジム鉄ボロン急冷薄帯において、α-Fe相はゼロであり、等軸晶領域は観察されず、主相Nd_(2)Fe_(14)B結晶粒は平行に配列された幅2.5?3.0μm、長さ50.0?150.0μmの柱状晶であり、ネオジムリッチ相は主相Nd_(2)Fe_(14)Bの柱状晶間に沿って平行に分布し、幅が1.0μm未満、長さが50.0?150.0μmであり、ボロンリッチ相は0.5μmの等軸晶であって、ネオジム鉄ボロン急冷薄帯全体に均一に分布し、急冷薄帯の厚さは1.00mmである。ネオジム鉄ボロン急冷薄帯の主相Nd_(2)Fe_(14)Bは97.5%、番号は38SHである。
製造方法は基本的に実施例3と同様であり、唯一異なるのは合金成分TRE(Fe,M)Bで、希土類元素の総量が33重量%であって、うちNdが28.0重量%、Dyが5.0重量%であり、MはCu0.15重量%、Al0.20重量%であり、Bが1.1重量%、残部がFeである。ネオジム鉄ボロン合金溶液から、回転する水冷銅ロールによってネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯を形成し、回転する水冷銅ロールの回転速度は3.0m/sであり、回転する水冷銅ロールに注湯するネオジム鉄ボロン合金溶液の量は10.0kg/hであり、回転する水冷銅ロールの表面幅は5.0mmである。
ネオジム鉄ボロン合金の融点?800.0℃の温度範囲内ではネオジム鉄ボロン合金の冷却速度は800。0℃/sで。800.0?600.0℃の範囲内ではネオジム鉄ボロン合金の冷却速度は1.0℃/sである。

実施例4のネオジム鉄ボロンの磁気特性
Br(T) iHc(KA/m) bHc(KA/m) (BH)max(KJ/m3) 角形性%
(残留磁気) (固有保持力) (保磁力) (磁気エネルギー積)
1.265 1744 1045 308 95.1
」)

(4)本件特許の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第4号証(特開2004-143595号公報)
(4a)「【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明の希土類焼結磁石用原料合金は、イットリウムを含む希土類金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるRと、ボロンと、鉄を含む残部Mとを特定割合とした組成を有する。
前記Rは特に限定されないが、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、イットリウム、ガドリウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、イッテルビウム又はこれらの2種以上の混合物が好ましく挙げられる。Rの含有割合は、27.6?33.0質量%である。Rが27.6質量%未満では、焼結体の緻密化に必要な液相量が不足して焼結体密度が低下し、磁気特性が低下する。一方、33.0質量%を超えると、焼結体内部のR-rich相の割合が高くなり、耐食性が低下する。また、必然的に2-14-1系主相の体積割合が少なくなるため、残留磁束密度Brが低下する。好ましくはRは、ガドリウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホルミウム、エルビウム及びイッテルビウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。これらの重希土類元素は、磁石特性のうち主に保磁力を向上する。これらの重希土類元素のうちテルビウムはもっとも大きな効果を示すが高価であり、コストと効果を考慮するとディスプロシウムを単体でまたはガドリウム、テルビウム、ホルミウムを共に用いることが好ましい。
これらの重希土類元素の含有割合は通常0.2?15質量%、好ましくは1?15質量%、更に好ましくは3?15質量%である。該含有割合が15質量%より大きくなると高価になり好ましくなく、0.2質量%未満では磁気特性の向上効果が小さい。
前記ボロンの含有割合は、0.94?1.30質量%である。ボロンが0.94質量%未満では、2-14-1系主相の割合が減少し、残留磁束密度Brが低下し、1.30質量%を超えると、B-rich相の割合が増加し、磁気特性及び耐食性が共に低下する。
【0008】
前記残部Mは鉄を含むが、残部M中の鉄の含有割合は、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。残部Mは、必要に応じて、鉄以外の遷移金属、珪素及び炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいても良く、また、酸素、窒素等の工業生産上における不可避不純分を含んでいても良い。
前記鉄以外の遷移金属は特に限定されないが、例えば、コバルト、アルミニウム、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、マグネシウム、銅、錫、タングステン、ニオブ及びガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられる。」(第4頁第28行-第5頁第9行)

(5)本件特許の優先日前に日本国内において頒布された甲第5号証(特開2002-336941号公報)
(5a)「【0026】本発明によれば、希土類合金を溶解炉にて溶融し、この希土類合金の溶湯を上記溶融シリカを形成したタンディッシュを介して所定速度で回転する回転ロールに供給し、この回転ロールで上記溶湯を冷却するストリップキャスト法により希土類合金薄帯を製造することができるが、製造する希土類合金としては、特に焼結磁石、ボンド磁石等の磁石用に用いるものであり、希土類金属-遷移金属(例えばSm-Co系)、希土類金属-遷移金属-ホウ素合金(例えばNd-Fe-B系)、希土類金属-遷移金属-窒素(例えばSm-Fe-N系)等の組成からなる合金に用いることがよく、特にNd-Fe-B系磁石用合金原料の製造方法に好適である。
【0027】本発明は、図3に示したように、ストリップキャスト法による製造方法で、上記の組成からなる合金材料を高周波溶解炉等を用いて溶湯化し、タンディッシュに溶湯を注ぎこみ、ロールに供給するものである。ロールは単ロールで薄帯を得ることが好ましい。
【0028】ロールの回転速度、出湯量等により得られる合金薄帯の平均厚さは異なるが、特に本発明では50?800μm、更に好ましくは150?500μmの厚さにすることがよい。この場合、回転ロールは、その周速を0.5?10m/sec、特に1?3m/secとすることが好ましい。」(第4頁第5欄第42行-第6欄第15行)

(5b)「【0031】[実施例1]組成式30.5Nd-1.2Dy-1.0B-2.0Co-0.2Al-65.1Fe(各重量%)の組成になるように500kgを秤量し、1,500℃まで加熱し溶解した。そして、1時間で1,200℃まで予備加熱した純度99.9重量%の溶融シリカで作られたタンディッシュを介して溶湯を10分間で回転ロールに定量的に連続供給して冷却を行い、合金薄帯を製造した。タンディッシュと回転ロールの間の隙間は0.3mmになるように設置し、回転ロールは周速2m/secで回転させた。そうして製造された合金薄帯は平均厚さが約250μmであった。次に、これをピンミルにて平均粒径200μmに粗粉砕して、その後ジェットミルにて平均粒径4.5μmに微粉砕を行った。得られた微粉末を10kOeの磁場中で配向させながら、1ton/cm^(2)の圧力で加圧成型した。次にこの成型体を真空中で1,050℃で2時間焼結し、更にAr雰囲気中で1時間時効熱処理を行い、焼結磁石とした。磁石の磁気特性をBHトレーサを用いて測定した結果を表1に示す。」(第4頁第6欄第23行-
第41行)

2.甲第1号証を主引用例とした場合
(1)甲第1号証記載の発明
甲第1号証には、上記記載事項(1a)、(1b)によれば、以下の各発明が記載されていると認められる。
「希土類元素含有合金鋳片において、
厚さ0.41mm?0.45mm、平均値が0.43mm、幅100mm、長さ50?300mm程度であり、
希土類元素含有合金は、30.5Nd-1.0Dy-1.0B-0.9Co-balFe(wt%)である希土類元素含有合金鋳片。」(以下、「甲1発明」という。)

「希土類元素含有合金鋳片において、
厚さ0.41mm?0.45mm、平均値が0.43mm、幅100mm、長さ50?300mm程度であり、
希土類元素含有合金は、30.5Nd-1.0Dy-1.0B-0.9Co-balFe(wt%)である希土類元素含有合金鋳片を原料として製造した希土類磁石。」(以下、「甲1’発明」という。)

(2)本件発明1についての対比、判断
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「希土類元素含有合金鋳片」は、その寸法から、板状であることは明らかであるから、本件発明1における「希土類合金鋳造板」に相当し、また、甲1発明における「厚さ」は、本件発明1の「板厚」に相当する。
そして、甲1発明の板厚の平均値0.43mmは、本件発明1の板厚の平均値「0.1mm?1.0mm」に含まれ、甲1発明の板厚は「0.41mm?0.45mm」の範囲にあるのであるから、厚さの平均値をDとすれば、100%の希土類元素含有合金鋳片の板厚が[D-0.1(=0.33)、D+0.1(=0.53)]の範囲にあることは明らかであり、また、σ^(2) は、この場合、最大でも0.0004mm^(2)であると認められるから、本件発明1の「σ^(2)≦0.015mm^(2) 」に包含される。
(なお、この点について、被請求人も、甲1発明の板厚の均一性は、本件発明のそれと相違しないことを認めている(「平成25年2月22日口頭審理調書」参照)。)
また、甲1発明における希土類元素含有合金には、「不可避的不純物」の存在が許容され(上記記載事項(1a)の【0040】、【0041】)、これは、本件発明1の「不可避不純物」に相当する。

したがって、両者は、
「板厚の平均値がDであり、その板厚分散値がσ^(2)である希土類合金鋳造板において、
平均値Dは0.43mmであり、100%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm,D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.0004mm^(2)であり、
希土類合金は、Nd、DyであるRと、
Fe以外の遷移元素である、Coを含むMと、
ホウ素であるBとからなる、R-(Fe,M)-B系の組成であり、
Rの含有量が31.5wt%、Bの含有量が1.0wt%、Mが所定量含有され、残部がFe及び不可避不純物からなる希土類合金鋳造板。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本件発明1では、Mは、Al、Ga、In、C、N、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、の中の1種または2種以上であって、その含有量が3.1?8.0wt%であり、Al、Cu、Co、Ga、Nb、Mg、Ti、Siの第1の組み合わせ、Al、Cu、Co、Nb、V、Cr、Mn、Si、Nの第2の組み合わせ、Al、Co、Ga、Mg、Cr、Si、In、Ge、Sn、Pb、Ca、Cの第3の組み合わせのうち、第1から第3のいずれかの組み合わせであるのに対し、甲1発明では、MがCoであり、その含有量が0.9wt%である点。

上記相違点について検討する。
甲第4号証には、上記記載事項(4a)によれば、磁石原料としての希土類金属元素R-ボロン-残部M(Mは、鉄を含む)合金において、Mとして、珪素、炭素、窒素を含んでよく、さらに、コバルト、アルミニウム、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、マグネシウム、銅、錫、タングステン、ニオブ及びガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましいことが記載されている。また、甲第1号証には、さらに、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Sn等を添加すると、高保持力が可能となることも記載されている(上記記載事項(1a))。
とすれば、甲1発明に係るR-M-B-残部Fe合金において、さらに、珪素、炭素、窒素、Cu,Al、Ti、V、Cr、Mn、Mg、Nb、Ga等を添加することは、当業者が容易に想到し得たことであり、Mの含有量が3.1?8.0wt%であり、Al、Cu、Co、Ga、Nb、Mg、Ti、Siの第1の組み合わせ、あるいはAl、Cu、Co、Nb、V、Cr、Mn、Si、Nの第2の組み合わせとすることは、所望とする保持力等磁石特性に応じて当業者が適宜なしえた設計的事項である。
そして、本件発明1が、甲第1号証、甲第4号証の記載からは予想し得ない格別の効果を奏するものとは認められない。
よって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明3乃至7、17についての対比・判断
本件発明3乃至6は、本件発明1における希土類合金鋳造板の厚さの範囲、板厚分散値σ^(2)の上限値を、また、本件発明7は、本件発明1における希土類合金鋳造板の板厚の平均値Dをさらに限定するものであるところ、いずれも、甲1発明におけるそれらと相違しないことは、上記(2)のとおり明らかである。
また、本件発明17は、本件発明1乃至9に記載される希土類合金鋳造板を原料として製造される希土類磁性体であるところ、上記甲1発明に係る希土類元素含有合金鋳片を原料として製造される希土類磁石である甲1’発明と対比すると、甲1’発明における「希土類磁石」は、本件発明17の「希土類磁性体」に相当するから、両者の相違点は、上記(2)における本件発明1と甲1発明との相違点と同じであり、該相違点が容易想到であることは、上記(2)で述べたと同様である。
よって、本件発明3ないし7、17は、甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.甲第2号証を主引用例として
(1)甲第2号証記載の発明
甲第2号証には、上記(2a)、(2b)によれば、以下の各発明が記載されていると認められる。
「希土類元素含有合金鋳片において、、
板厚0.23mm?0.35mm、平均値が0.31mm、幅100mm、長さ10?300mmであり、
希土類元素含有合金は、31.0Nd-1.0Dy-1.1B-3.0Co-63.9Fe(wt%)である希土類元素含有合金鋳片。」(以下、「甲2発明」という。)

「希土類元素含有合金鋳片において、
板厚0.23mm?0.35mm、平均値が0.31mm、幅100mm、長さ10?300mmであり、
希土類元素含有合金は、31.0Nd-1.0Dy-1.1B-3.0Co-63.9Fe+不可避的不純物(wt%)である希土類元素含有合金鋳片を原料として製造した希土類磁石。」(以下、「甲2’発明」という。)

(2)本件発明1についての対比・判断
本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明における「希土類合金鋳片」は、それが板状であることは明らかであるから、本件発明1における「希土類合金鋳造板」に相当する。
そして、甲2発明の板厚の平均値0.31mmは、本件発明1の板厚の平均値「0.1mm?1.0mm」に含まれ、甲2発明の板厚は「0.23mm?0.35mm」の範囲にあるのであるから、厚さの平均値をDとすれば、100%の希土類元素含有合金鋳片の板厚が[D-0.1(=0.21)、D+0.1(=0.41)]の範囲にあることは明らかであり、また、σ^(2) はこの場合、0.0064mm^(2)より小さいものと認められるから、本件発明1の「σ^(2)≦0.015mm^(2) 」に包含される。
(なお、これらの点につき、被請求人も、甲2発明の板厚の均一性は、本件発明のそれと相違しないことを認めている(「平成25年2月22日口頭審理調書」参照)。)
また、甲2発明における希土類元素含有合金には、「不可避的不純物」の存在が許容され(上記記載事項(2a)の【0040】、【0041】)、これは、本件発明1の「不可避不純物」に相当する。

したがって、両者は、
「板厚の平均値がDであり、その板厚分散値がσ^(2)である希土類合金鋳造板において、
平均値Dは0.31mmであり、100%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm,D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2) <0.0064mm^(2)であり、
希土類合金は、Nd、DyであるRと、
Fe以外の遷移元素である、Coを含むMと、
ホウ素であるBとからなる、R-(Fe,M)-B系の組成であり、
Rの含有量が32.0wt%、Bの含有量が1.1wt%、Mが所定量含有され、残部がFe及び不可避不純物からなる希土類合金鋳造板。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本件発明では、Mは、Al、Ga、In、C、N、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、の中の1種または2種以上であって、その含有量が3.1?8.0wt%であり、Al、Cu、Co、Ga、Nb、Mg、Ti、Siの第1の組み合わせ、Al、Cu、Co、Nb、V、Cr、Mn、Si、Nの第2の組み合わせ、Al、Co、Ga、Mg、Cr、Si、In、Ge、Sn、Pb、Ca、Cの第3の組み合わせのうち、第1から第3のいずれかの組み合わせであるのに対し、甲2発明では、MがCoであり、その含有量が3.0wt%である点。

上記相違点について検討する。
甲第4号証には、上記記載事項(4a)によれば、磁石原料としての希土類金属元素R-ボロン-残部M(Mは、鉄を含む)合金において、Mとして、珪素、炭素、窒素を含んでよく、さらに、コバルト、アルミニウム、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、マグネシウム、銅、錫、タングステン、ニオブ及びガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましいことが記載されている。また、甲第2号証には、さらに、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Sn等を添加すると、高保持力が可能となることも記載されている(上記記載事項(2a))。
とすれば、甲2発明に係るR-Co-B-残部Fe合金において、さらに、珪素、炭素、窒素、Cu、Al、Ti、V、Cr、Mn、Mg、Nb、Ga等を添加することは、当業者が容易に想到し得たことであり、Mの含有量が3.1?8.0wt%であり、Al、Cu、Co、Ga、Nb、Mg、Ti、Siの第1の組み合わせ、あるいはAl、Cu、Co、Nb、V、Cr、Mn、Si、Nの第2の組み合わせとすることは、所望とする保持力等磁石特性に応じて当業者が適宜なしえた設計的事項である。

そして、本件発明1が、甲第2号証、甲第4号証の記載からは予想しえない格別の効果を奏するものとは認められない。
よって、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明3、4、7、17についての対比・判断
本件発明3、4は、本件発明1における希土類合金鋳造板の厚さの範囲、板厚分散値σ^(2)の上限値をさらに限定し、本件発明7は、本件発明1における希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dをさらに限定するものであるところ、いずれも、甲2発明におけるそれらと相違しないことは、上記(2)から明らかである。
また、本件発明17は、本件発明1ないし9に記載される希土類合金鋳造板を原料として製造される希土類磁石であるところ、上記甲2発明に係る希土類元素含有合金鋳片を原料として製造される希土類磁石の発明である甲2’発明との相違点は、上記(2)における本件発明1と甲2発明との相違点と同じであり、該相違点が容易想到であることは上記(2)で述べたと同様である。
よって、本件発明3、4、7、17は、甲第2号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.甲第3号証を主引用例として
(1)甲第3号証記載の発明
甲第3号証には、上記記載事項(3a)、(3b)によれば、以下の各発明が記載されていると認められる。なお、不可避不純物を含有しうることは明らかである。
「ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯において、ネオジム鉄ボロン合金の成分がTRE(Fe,M)Bであり、ネオジム、ネオジム・プラセオジム、ネオジム・ジスプロシウム、ネオジム・テルビウム、ネオジム・ジスプロシウム・プラセオジム又はネオジム・テルビウム・プラセオジムの1種である希土類元素の総量TREが25.0?40.0重量%で、Mがコバルト0?12.0重量%、銅0?1.0重量%、アルミニウム0?1.0重量%、ニオブ0?3.0重量%の1種以上であり、ボロンが0.5?2.0重量%で、残部が鉄及び不可避不純物であり、厚さが0.10?2.00mmで、主相Nd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であって、95.0%以上含有される、ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯。」の発明(以下、「甲3発明」という。)。

「ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯において、ネオジム鉄ボロン合金の成分がTRE(Fe,M)Bであり、ネオジム、ネオジム・プラセオジム、ネオジム・ジスプロシウム、ネオジム・テルビウム、ネオジム・ジスプロシウム・プラセオジム又はネオジム・テルビウム・プラセオジムの1種である希土類元素の総量TREが25.0?40.0重量%で、Mがコバルト0?12.0重量%、銅0?1.0重量%、アルミニウム0?1.0重量%、ニオブ0?3.0重量%の1種以上であり、ボロンが0.5?2.0重量%で、残部が鉄及び不可避不純物であり、厚さが0.10?2.00mmで、主相Nd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であって、95.0%以上含有される、ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯を原料として製造されたネオジム鉄ボロン磁石。」の発明(以下、「甲3’発明」という。)。

「ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯において、ネオジム鉄ボロン合金の成分がTRE(Fe,M)Bであり、ネオジム、ネオジム・プラセオジム、ネオジム・ジスプロシウム、ネオジム・テルビウム、ネオジム・ジスプロシウム・プラセオジム又はネオジム・テルビウム・プラセオジムの1種である希土類元素の総量TREが25.0?40.0重量%で、Mがコバルト0?12.0重量%、銅0?1.0重量%、アルミニウム0?1.0重量%、ニオブ0?3.0重量%の1種以上であり、ボロンが0.5?2.0重量%で、残部が鉄及び不可避不純物であり、厚さが0.10?2.00mmで、主相Nd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であって、95.0%以上含有される、ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の製造方法であって、
ネオジム鉄ボロン合金を中周波誘導加熱、高周波誘導加熱、アーク加熱、電気抵抗加熱のいずれかの方法により100.0?300.0℃過熱し、回転速度0.5?45.0m/sで回転する水冷金属ロールによって遠心力の作用で厚さ0.1?2.0mmの急冷薄帯を形成し、ネオジム鉄ボロン合金の融点(通常、約1250℃であり、ネオジム鉄ボロン合金成分によって変化する)?800.0℃の温度範囲内ではネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の冷却速度は100.0?1000.0℃/sであり、800.0?600.0℃の範囲内ではネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の冷却速度は0.1?1.0℃/sであるネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の製造方法。」の発明(以下、「甲3”発明」という。)

(2)本件発明1についての対比・判断
本件発明1と甲3発明とを対比すると、甲3発明における「ネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯」は、本件発明1における「希土類合金鋳造板」に相当する。また、甲3発明におけるネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯の厚さ「0.1?2.0mm」は、厚さの平均値を意味するものと解され、甲3発明における「TRE」、「ボロン」、「重量%」は、本件発明1の「R」、「ホウ素」、「wt%」に相当する。
したがって、両者は、
「板厚の平均値がDである希土類合金鋳造板において、
平均値Dは0.1mm?1.0mmの範囲であり、
希土類合金は、ネオジム、ネオジム・プラセオジム、ネオジム・ジスプロシウム、ネオジム・テルビウム、ネオジム・ジスプロシウム・プラセオジム又はネオジム・テルビウム・プラセオジムの1種である希土類元素Rと、
コバルト、銅、アルミニウム、ニオブの1種以上を含むMと、
ホウ素であるBとからなる、R-(Fe,M)-B系の組成であり、
Rの含有量が28.0?35.0wt%、Bの含有量が0.8?1.5wt%、Mが所定量含有され、残部がFe及び不可避不純物からなる希土類合金鋳造板。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件発明1では、少なくとも80%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm,D+0.1mm]の範囲にあり、板厚分散値σ^(2) ≦0.015mm^(2)であるのに対し、甲3発明では、それが明らかではない点。

(相違点2)
本件発明1では、Mは、Al、Ga、In、C、N、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、の中の1種または2種以上であって、その含有量が3.1?8.0wt%であり、Al、Cu、Co、Ga、Nb、Mg、Ti、Siの第1の組み合わせ、Al、Cu、Co、Nb、V、Cr、Mn、Si、Nの第2の組み合わせ、Al、Co、Ga、Mg、Cr、Si、In、Ge、Sn、Pb、Ca、Cの第3の組み合わせのうち、第1から第3のいずれかの組み合わせであるのに対し、甲3発明では、Mがコバルト0?12.0重量%、銅0?1.0重量%、アルミニウム0?1.0重量%、ニオブ0?3.0重量%の1種以上である点。

上記相違点について検討する。
・(相違点1)について
本件発明1乃至9に係る希土類合金鋳造板は、溶融した希土類合金を回転する水冷ローラに注ぎ、均一厚さの希土類合金鋳造板を形成するものであり、冷却速度条件を、融点?800℃の場合は10^(2)?10^(4)℃/sとし、または800℃?600℃の場合は100℃/s以下に調整することにより製造できるものである(本件訂正明細書【0022】)。
一方、甲3発明もこれと同様の方法及び冷却速度条件(上記甲3”発明)により製造されるものであることから、希土類合金鋳造板の厚さの均一性の点において、本件発明と相違しないものと認められるから、この点は、実質的な相違点とはいえない。

・(相違点2)について
甲第4号証には、上記記載事項(4a)によれば、磁石原料としての希土類金属元素R-ボロン-残部M(Mは、鉄を含む)合金において、Mとして、珪素、炭素、窒素を含んでよく、さらに、コバルト、アルミニウム、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、マグネシウム、銅、錫、タングステン、ニオブ及びガリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましいことが記載されている。また、甲第1号証、甲第2号証には、上記記載事項(1a)、(2a)によれば、磁石用のR-Fe-B合金あるいはCoを含有するR-Fe-B合金において、さらに、Al、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Ge、Sn等を添加すると、高保持力が可能となることも記載されている。
とすれば、甲3発明に係るR(Fe,M)B(Mは、鉄及び不可避不純物を含む)合金において、Mとして、コバルト、銅、アルミニウム、ニオブ以外に、さらに珪素、炭素、窒素、Ti、V、Cr、Mn、Mg、Ga等を添加することは、当業者が容易に想到し得たことであり、Mの含有量が3.1?8.0wt%であり、Al、Cu、Co、Ga、Nb、Mg、Ti、Siの第1の組み合わせ、あるいはAl、Cu、Co、Nb、V、Cr、Mn、Si、Nの第2の組み合わせとすることは、所望とする保持力等磁石特性に応じて当業者が適宜なしえた設計的事項である。

そして、本件発明1が、甲第1号証乃至甲第4号証の記載からは予想しえない格別の効果を奏するものとも認められない。
よって、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1号証乃至甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件発明2乃至9についての対比・判断
甲3発明に係る希土類合金鋳造板において、主相Nd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であって、95.0%以上含有されるのであるから、本件発明2、8、9と甲3発明とは、上記(1)における(相違点1)及び(相違点2)でのみ相違する。
したがって、上記(1)と同様の理由により、本件発明2、8、9は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1号証乃至甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

また、本件発明3乃至6は、本件発明1における希土類合金鋳造板の厚さの範囲、板厚分散値σ^(2)の上限値をさらに限定するものであり、本件発明7は、本件発明1における板厚の平均値Dをさらに限定するものである。
そして、本件発明3乃至7は、本件発明1と同じ方法及び冷却条件で製造されるのであるから、上記(1)と同様の理由により、甲3発明は、本件発明3乃至7と希土類合金鋳造板の厚さの均一性(厚さの範囲、板厚分散値)の点において 相違しないと認められる。
よって、本件発明3乃至7は、甲3号証に記載された発明及び甲第1号証乃至甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明10乃至17についての対比・判断
本件発明17は、本件発明1ないし9に記載される希土類合金鋳造板を原料として製造される希土類磁性体であるところ、上記甲3発明に係るネオジム鉄ボロン合金急冷薄帯を原料として製造される希土類磁石である甲3’発明と対比すると、甲3’発明における「ネオジム鉄ボロン磁石」は、本件発明17の「希土類磁性体」に相当するから、両者の相違点は、上記(1)における本件発明1と甲3発明との相違点と同じであり、該相違点が容易想到であることは、上記(1)で述べたと同様である。

また、本件発明10乃至16は、本件発明1に係る希土類合金鋳造板の製造方法の発明であるところ、甲3”発明は、甲3発明に係る希土類合金薄帯の製造方法の発明である。
そして、本件発明10、11、14乃至16と甲第3”発明との相違点は、上記(1)における本件発明1と甲3発明との相違点と同じであり、該相違点が容易想到であることは、上記(1)と同様である。

さらに、本件発明12は、本件発明10において、水冷ローラに注ぐ希土類合金の流量を、また、本件発明13は、本件発明10において、形成される希土類合金鋳造板の幅をそれぞれ特定するところ、甲3”発明は、これらの点についての特定はない。
しかしながら、特定の厚さ平均値を有する希土類合金薄帯の製造方法に係る甲3”発明において、その幅をどの程度とするかは、当業者が所望に応じて適宜決定すべき事項にすぎない。
そして、水冷ローラに注ぐ希土類合金の流量も製造すべき鋳造板の寸法等に応じて決定すべき事項にすぎず、例えば、甲第5号証に、磁石用希土類合金薄帯の製造の際に、希土類合金溶湯を回転冷却ロールに500kg/10分(=833g/s)の流量で供給することが記載されるように、本件発明12における「100g/s?10000g/s」との流量の範囲は、通常行われる条件と異なるものでもない。
よって、本件発明10乃至17は、甲3号証に記載された発明及び甲第1号証乃至甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6.無効理由(v)についての当審の判断
(1)請求人の主張の概要
実施例1の(1)液流量は100g/s、(2)板厚(審決注;「板幅」の誤記)50mm、ロール回転速度0.2m/s、平均厚み0.35mmである。そうすると、製造開始1秒経過後の合金の長さは、0.2m/s×1s=20cmであり、1秒経過時の合金体積は、0.035cm×5cm×20cm=3.5cm^(3)、1秒経過時の合金重量は、実施例1の組成から密度を計算すると約7.542g/cm^(3)であるが、ここでは、一般的なRFeB系合金の密度である7.6g/cm^(3)を用いて計算すると、7.6g/cm^(3)×3.5cm^(3)(合金体積)=26.6gとなる。一方、実施例1の合金溶湯の液流量は、100g/sと記載されているので、ロ-ルには、得られる合金鋳造板の重量の約4倍量の合金溶湯が1秒間に供給されることになる。このような供給過多の量の場合、合金溶湯がロールから漏れる可能性が高く、本件特許において課題とする厚みが均一な所定幅の合金鋳造板が製造できるとは当業者においても理解できず、非現実的な実施例であって実施可能要件を満たしているとは到底考えられない。
他の実施例においても同様に1秒間に得られる合金鋳造板量と、合金溶湯の供給量とを比較すると、そのほとんどが供給過多であり、本件特許の課題を充足するような実施が可能であるものとはいずれも認められない(平成24年3月2日付け審判請求書第26-27頁「(vi)本件の発明の詳細な説明が実施可能要件を満たさない理由」)

(2)被請求人の主張の概要
・ 請求人の主張の根拠となる1秒経過後の合金重量は、静止状態の金型に溶融した希土類合金を鋳造した場合の理論値に基づくものであり、請求人の主張は、数値的に最も少ない理論的な数値と本件明細書の各実施例の液流量と対比した結果に基づくものである。よって、請求人が主張する「本件明細書に記載した液流量が供給過多の数値であり、被現実的な実施例である。」との指摘は失当である。
・本件特許明細書の実施例1?32に記載した液流量は、図2に示す溶融坩堝10からストリップキャスティング容器20へ、合金溶湯を流し込む際の値を記載したものであり、水冷銅ローラへの液流量は、本件特許明細書に記載した液流量よりも小さな値である。

(3)当審の判断
被請求人の主張するように、本件訂正明細書の実施例1?32に記載した液流量が、溶融坩堝10からストリップキャスティング容器20へ、合金溶湯を流し込む際の値であるとしても、実際に、ストリップキャスティング容器20から水冷ローラに供給される流量値は明らかではない。
この点で、本件訂正明細書の記載が適切でないとのそしりを免れ得るものではない。
しかしながら、希土類合金鋳造板製造分野において、目的の板厚を有する鋳造板を得るために、水冷ロ-ルに供給される液流量や水冷ロールの回転速度等を適宜制御することは、通常行われていることであり、タンディッシュ(「ストリップキャスティング容器20」に相当)は、流速をコントロールし、回転ロールに溶湯を均一に供給するものである(乙第1号証の【0022】、【0026】?【0028】参照)。
そして、本件訂正明細書の実施例1?32には、板幅、ロール回転速度、ストリップキャスト温度等について記載されており、実施例1?32における水冷ロ-ルに供給される液流量の値が明らかではないとしても、それをもって、本件各発明が実施不可能であるとは認められない。
既に述べた様に、甲第1号証、甲第2号証に記載されるものも、本件各発明と同様の板厚均一性を得ることを開示するのであって、これも上記の見解を支持するものである。
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないとはいえない。

第7.むすび
以上のとおりであるから、本件の請求項1乃至17に係る各特許発明は、本件出願日前に頒布された刊行物である甲第1号証?甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、.その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、請求人が主張する無効理由(i)?(iii)、(vi)について判断するまでもなく、無効とすべきである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
希土類合金鋳造板及びその製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類磁性体材料の製造に関するものであり、特に、厚さの均一な希土類合金鋳造板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NdFeB磁性体は、優れた磁性を持つため、コンピューター、情報電子、国防等の様々な分野に利用され、ハイテク技術及び人々の日常生活において非常に重要な役割を果たしている。そして、デバイスの小型化と多機能化につれて、高性能NdFeB系磁性体の応用は、益々広くなる見込みである。
【0003】
磁性体用NdFeB系合金の製造工程としては、主にインゴット製造工程とストリップキャスティング工程に分けられる。そのうち、従来のインゴット製造工程は、冷却速度が遅いため、鋳造過程でα-Feを形成しやすい。α-Feは、変態性があり、かつ合金粉砕時の粉砕効率を低下させる。また、成分の変動、あるいは粒度の分布の影響により、磁性体の性能を低下させることがある。一方、NdFeB系合金のミクロ組織におけるRに富む相の偏析を発生させて、Rに富む相をインゴットの中で局部的に集合させ、Rに富む相とR_(2)T_(14)B相との混合を不均一にさせることがある。尚、Rとは、Sc、Yを含めた17種(ランタノイド)の希土類元素の1種または2種以上をいう。
【0004】
上述の問題を解決するために、ストリップキャスティング工程を提供している。ストリップキャスティング工程は、従来のインゴット製造工程に比べて重大な変革となる。ストリップキャスティング工程では、溶融した合金を回転する水冷ローラに注ぎ、厚さが0.1?1.0mmの合金鋳造板を形成する。ストリップキャスティング過程において、溶融した合金は、速やかに冷却し固体化されることにより、α-Feの析出を抑え、かつ組織が細かく、結晶粒が細かく分散しており、粒界の面積が大きい。Rに富む相が粒界内に薄く分散しているので、Rに富む相が均一に分散した組織になっている。そのため、母合金のミクロ組織を改善し、磁気性能を向上することができる。従って、NdFeB合金鋳造板を使用して高性能磁性体を製造する場合、このストリップキャスティング工程を採用することが、NdFeB系の磁性体製造業界の必然な発展趨勢になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術としての特許文献1、特許文献2、特許文献3には、NdFeB系合金鋳造板及びその製造方法を公開しているが、これら先行技術には、主に鋳造板の成分、組織及び製造方法が含まれている。また、特許文献4、特許文献5には、NdFeB系合金鋳造板の成分、組織及びその鋳造板表面の粗度に関して公開されている。そして、特許文献6には、NdFeB系合金鋳造板の製造工程が公開されている。さらに、特許文献7?特許文献12には、NdFeB系合金鋳造板の成分、組織及び製造方法が公開されているが、主な内容は、つぎの通りである。Rは、27.0?34.0wt%である。そのうち、Rは、希土類元素の一種または2種以上のものを採用する。Ndに富む相の間隔(即ち主相結晶粒大きさ)は3?15μmで、主相のNd_(2)Fe_(14)Bの体積(%)は少なくとも88%であり、その鋳造板の厚さは0.03?10mmとなっている。製造方法としては、上述の成分を含めた合金液を回転するローラに注ぎ、冷却して鋳造板を形成する。しかし、これらの先行文献で開示された従来技術では、いずれも、鋳造板の品質を評価する重要な指標としての、厚さが均一という性能を満足していないので、製造した磁性体の性能がいずれも比較的低い傾向となる。
【0006】
【特許文献1】中国特許第97111284.3号明細書
【特許文献2】米国特許第6322637号明細書
【特許文献3】米国特許第2002017340号公報
【特許文献4】中国特許第02805097.5号明細書
【特許文献5】中国特許第02800585.6号明細書
【特許文献6】米国特許第5930582号明細書
【特許文献7】特開平05-222488号公報
【特許文献8】特開平08-111307号公報
【特許文献9】特開平09-170055号公報
【特許文献10】特開平10-036949号公報
【特許文献11】特開2000-219942号公報
【特許文献12】特開2004-143595号公報
【課題を解決するための手段】
【0007】
先般、本願発明者らは、研究により、NdFeB合金鋳造板の厚さの均一性が、ミクロ組織に比較的大きな影響を与えるため、焼結希土永久磁石、即ち磁性体の性能に影響を与えることを見出した。均一厚さの希土類合金鋳造板は、優れたミクロ組織となるため、高性能の希土永久磁石の製造に好適であることが判明した。その影響のメカニズムは、下記の通りである。
【0008】
(1)希土類合金鋳造板において、結晶粒のサイズが球形に近く、鋭い縁、角及び突出部位がないので、保磁力の向上に有利である。縁、角及び突出部位には、大きな発散磁界があり、最大の発散磁界は4πMsに達することができるので、磁化反転磁区を形成し、保磁力を低下させることがある。
(2)希土類合金鋳造板において、Nd_(2)Fe_(14)B結晶粒は、一層の厚さが約2nmの希土に富む相の薄層に包囲されているので、結晶粒と結晶粒とがそれぞれ孤立しており、磁気的交換カップリングがなく、保磁力の向上に有利である。
(3)希土類合金鋳造板においては、主相のNd_(2)Fe_(14)Bの体積が大きい。細かい希土に富む相は、均一的に分布しており、焼結過程で液相焼結作用が働き、焼結磁性体の密度ρを向上できるので、高残留磁気Br及び高(BH)_(MAX)の希土焼結磁性体の製造に有利となっている。
【0009】
本発明は、ストリップキャスティング工程(STRIP CASTING TECHNOLOGY)を用いて、板の厚さを均一で、かつ制御可能な希土類合金鋳造板及びその製造方法に関する。焼結NdFeB系磁性体の製造においては、本発明に係る希土類合金鋳造板を採用することでより高い磁気性能を満足することができる。
【0010】
希土類合金鋳造板の厚さの平均値μがいずれも0.3mmであるNdFeB合金鋳造板A、厚さの均等性が異なるNdFeB合金鋳造板Bの2種のNdFeB合金鋳造板を例として比較した。Aは、本発明に係る希土類合金鋳造板であるが、その板厚さの分散値(バリアンス)σ^(2)は0.002であった。一方、Bは、従来のストリップキャスティング工程で製造した希土類合金鋳造板であるが、その板厚さの分散(バリアンス)σ^(2)は0.02であった。この鋳造板Aについて、主相となる柱状晶は、逆熱流方向に沿って平行に成長しており、結晶粒の大きさが均一であった。しかし、鋳造板Bの柱状晶の結晶粒のサイズは、それほど均一ではなかった。この2種の希土類合金鋳造板の品質を比較するために、同じ工程でA、B鋳造板を用いて、同時に焼結NdFeB系磁性体に製作した。その結果、鋳造板Aで製造された焼結NdFeB系磁性体の最大のエネルギー積、すなわち(BH)_(MAX)は、406kJ/m^(3)に及んだ。B合金鋳造板でできた焼結NdFeB磁性体の最大の(BH)_(MAX)はわずか371kJ/m^(3)であった。従って、厚さの均一性は、希土類合金鋳造板の品質の重要な指標の一つであり、鋳造板の厚さの均一性によって、できた希土類磁性体に比較的大きな性能の相違がある。
【0011】
具体的には、本発明は、板厚の平均値がDであり、その板厚分散値がσ^(2)である希土類合金鋳造板において、平均値Dは0.1mm?1.0mmの範囲であり、少なくとも80%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm、D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.015mm^(2)であることを特徴とする。
【0012】
希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒が柱状晶であり、該柱状晶の体積が希土類合金鋳造板の少なくとも80%を有しており、該柱状晶の幅は0.2μm?50.0μmであり、該柱状晶の長さは1.0μm?500μmであることが好ましい。
【0013】
希土類合金は、Sc、Yを含めた17種の希土類元素の1種または2種以上であるRと、Fe以外の遷移元素である、Al、Ga、In、C、N、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Caの中の1種または2種以上であるMと、ホウ素であるBとからなる、R-(Fe,M)-B系の組成であり、Rの含有量が26.0?50.0wt%、Mの含有量が0?10.0wt%、Bの含有量が0?1.5wt%、残部がFe及び不可避不純物からなることが好ましい。
【0014】
また、希土類合金は、Rの含有量が26.0?38.0wt%、Mの含有量が0?10.0wt%、Bの含有量が0.8wt?1.5wt%、残部がFe及び不可避不純物からなるものが好ましい。
【0015】
さらに希土類合金は、Sc、Yを含めた17種の希土類元素の1種または2種以上であるRと、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、Al、Ga、C、Ge、Sn、Pb、Mg、Caの中の1種または2種以上であるMと、ホウ素であるBとからなる、R-(Fe,M)-B系の組成であり、Rの含有量が28.0?35.0wt%、Mの含有量が0?8.0wt%、Bの含有量が0.8?1.5wt%、残部がFe及び不可避不純物からなることが好ましい。
【0016】
本発明に係る希土類合金鋳造板は、少なくとも90%の合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm、D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.01mm^(2)であることが好ましく、少なくとも95%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm、D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.008mm^(2)であることがより好ましい。また、
【0017】
また、本発明に係る希土類合金鋳造板は、少なくとも80%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.05mm、D+0.05mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.008mm^(2)であることが好ましく、少なくとも90%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.05mm、D+0.05mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.006mm^(2)であることがより好ましい。
【0018】
本発明に係る希土類合金鋳造板は、その板厚の平均値Dが0.2mm?0.5mmであることが好ましい。
【0019】
本発明の希土類合金鋳造板に関し、その板厚さの測定方法は次のように行うことができる。各希土類合金鋳造板の異なる部位から5つの点をランダムに選択し、測微カリパス(コンパス型の計測器)またはノギスでその厚みを測定する。その平均値μは、測定した板厚さXiより、数1の式により算出される。また、その分散値は、数2の式により算出される。これら数式のNは、大きい程好ましい。しかし、効率を考慮して、一般的には、Nを30?100に設定すればよい。本発明に関して示すデータは、いずれもN=50を基準としている。
【0020】
【数1】

【数2】

【0021】
そして、本発明に係る希土類合金鋳造板は、主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶の体積が希土類合金鋳造板の少なくとも85%を有していることが好ましく、少なくとも91%を有していることがより好ましい。
【0022】
上記した本発明の希土類合金鋳造板は次のようにして製造することができる。本発明に係る希土類合金鋳造板の製造方法は、溶融した希土類合金を、ストリップキャスティング用容器を通して回転する水冷ローラに注ぎ、均一厚さの希土類合金鋳造板を形成するものであり、冷却速度条件を、融点?800℃の場合は10^(2)?10^(4)℃/sとし、または800℃?600℃の場合は100℃/s以下と調整することを特徴とする。この冷却速度は、水冷ローラに注がれた希土類合金の溶融液の温度を対象としている。
【0023】
本発明の希土類合金鋳造板の製造方法における希土類合金を溶融する加熱方式は、中周波誘導加熱、高周波誘導加熱、アーク加熱、電気抵抗線加熱のいずれかによることが好ましい。
【0024】
また、本発明に係る希土類合金鋳造板の製造方法では、水冷ローラに注ぐ希土類合金の流量を100g/s?10000g/sの範囲に制御することが好ましい。
【0025】
そして、形成される希土類合金鋳造板の幅を50mm?600mmの範囲に制御することが好ましい。
【0026】
さらに、本発明に係る希土類合金鋳造板の製造方法では、ストリップキャスト温度を1300℃?1600℃の範囲に調整することが好ましい。このストリップキャスト温度は、水冷ローラに注がれる際の希土類合金の溶融液の温度である。
【0027】
また、本発明に係る希土類合金鋳造板の製造方法では、水冷ローラの回転速度を0.2m/s?5.0m/sの範囲に制御することが好ましい。
【0028】
本発明に係る希土類合金鋳造板の製造に用いる希土類合金の原料は、機械破砕または水素粉砕(HD:HYDROGEN DECREPITATION)の方法により製造された合金粉末であることが好ましい。
【0029】
上記した本発明に係る希土類合金鋳造板の製造方法は、厚さの制御方法として、溶融した希土類合金の供給流量、製造する板幅、ストリップキャスト温度及び水冷ローラ回転速度の組合せを最適化して、安定的に製造することを行い、厚さが均一の希土類合金鋳造板を製造する。その結果、本発明に係る希土類合金鋳造板の製造方法により得られた希土類合金鋳造板は、その結晶粒のサイズとミクロ組織が非常に均一なものとなる。
【0030】
厚さを均一に制御するメカニズムとして、合金鋳造板の厚さへの主な影響要素は、水冷ローラに注ぐ希土類合金の流量、板幅、ストリップキャスト温度及び水冷ローラ回転速度である。まず、同じ製造条件においては、流量が大きければ、希土類合金鋳造板の厚さも大きくなる傾向になる。また、板幅が増加すると、希土類合金鋳造板の厚さが小さくなる傾向になる。そして、ストリップキャスト温度が高いと、希土類合金鋳造板の厚さが小さくなる傾向になる。さらに、水冷ローラの回転速度が高いと、合金鋳造板の厚さが小さくなる傾向になる。従って、厚さが均一の希土類合金鋳造板を製造するためには、溶融した希土類合金液をストリップキャスティング用容器(ストリップキャスティング・トラフ)を通して、平面的な流入方式で回転する水冷ローラに注ぎ、それから、水冷ローラに注ぐ希土類合金の流量、板幅、ストリップキャスト温度及び水冷ローラ回転速度を厳しく制御する必要がある。上記した4つの製造条件パラメーターは、安定的に制御することが要求される。
【0031】
本発明における希土類合金鋳造板の厚さの制御過程は、例えば、シングルローラ法による液膜形成メカニズムで解釈することができる。シングルローラ法による合金鋳造板の成形過程の抽象モデルを図1に示す。
【0032】
図1では、符号1が固体と液体の界面、符号2が固体相、符号3が板材、符号4が溶融池、符号5がノズル、符号6が液体相、符号7が坩堝(ルツボ)、符号8がシングルローラ表面を示している。
【0033】
溶融された合金(以下、場合により合金液と称す)は、シングルローラ表面8のいずれか一点と接触すると、その接触した表面で凝固するが、その凝固層は次第に厚くなる。ローラが、溶融池から離脱した時、凝固層の厚さは既に一定値Ymに及んでいる。この時、固体と液体とは分離し、即ち最終に形成される合金鋳造板の厚さがYmとなる。溶融池とシングルローラとの接触の長さをXdと設定しておけば、液膜凝固過程の熱平衡条件は、数3の式で示される。
【0034】
【数3】

【0035】
数3の式中αは、ローラと溶融した希土類合金液の界面伝熱係数、Tmは水冷ローラに注ぐ希土類合金液の温度、ΔTmは水冷ローラに注ぐ希土類合金液の過熱度、Trはローラ表面温度、ωはローラの回転角速度、rはローラの半径、cは希土類合金の質量熱容量、Δhは凝固潜熱である。数3の式のうち、Xd/(rω)は凝固時間である。そして、希土類合金鋳造板の厚さの計算公式は、数4の式で示される。
【0036】
【数4】

【0037】
数4の式により、希土類合金鋳造板の厚さの主な影響要素は、ローラと合金液との界面伝熱係数α、ローラ速度ω、合金液温度Tm、合金質量熱容量c、凝固潜熱Δhとなる。一定の成分になっている合金にとっては、希土類合金鋳造板の厚さの主な影響要素は、界面伝熱係数α、ローラ速度ω及び合金液温度Tmとなる。実際の工程では、界面伝熱係数αを影響する要素が比較的多いが、そのうち、水冷ローラに注ぐ希土類合金液流量の大きさ及び板幅の大きさは、αに比較的大きな影響を与える。よって、希土類合金鋳造板の厚さの主な影響要素は、ローラに注ぐ希土類合金液流量、板幅、ストリップキャスト温度及び水冷ローラ回転速度となり、合金鋳造板の厚さの均一性は、主にこの4つの要素の協動によって決定されている。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように、本発明によれば、従来の製造方法では、希土類合金鋳造板の厚さが不均一で、ミクロ組織が不均一であったために、比較的高い磁性体性能が求められない問題に対し、厚さもそのミクロ組織も均一な希土類合金鋳造板を提供できる。その特徴として、配合された原料を坩堝内で溶解し、それから、希土類合金液を回転する水冷ローラに注ぎ、ストリップキャスト温度、合金液の流量、板幅、及び水冷ローラ回転速度を制御して、厚さが均一の合金鋳造板を形成するものである。希土類合金鋳造板の厚さの制御方法として、水冷ローラに注ぐ希土類合金液流量、板幅、ストリップキャスト温度及び水冷ローラ回転速度の4つのパラメーターの組合せを最適化することによって、均一な厚さの希土類合金鋳造板を製造することができる。本発明に係る希土類合金鋳造板は、均一のミクロ組織があり、高性能NdFeB系磁性体の製造に非常に好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の希土類合金鋳造板及びその製造方法に関し、実施例に基づいて更に説明する。なお、本発明の保護範囲は、以下の実施例に限られなく、特許請求の範囲に決められる。
【0040】
実施例1:本実施例1における希土類合金鋳造板は、その組成がR-(Fe,M)-B系である。Rが31.4wt%であり、そのうちNdが31.1wt%で、Dyは0.30wt%であった。また、Mは0wt%である。そして、Bは1.1wt%であった。その他の成分としてはFeである。
【0041】
希土類合金板の製造方法は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、高周波誘導加熱方式で、希土類合金液を作製し、それから、ストリップキャスティング用容器を通して、平面的な流入方式で、回転する水冷銅ローラに希土類合金液を注ぎ、鋳造板を形成した。この時の液流量は100g/s、板幅は50mm、ストリップキャスト温度は1300℃、水冷ローラ回転速度は0.2m/sとした、また、融点?800℃の冷却速度は1×10^(3)℃/sとし、800℃?600℃の冷却速度は100℃/sとした。図2に、本発明で使用した希土類合金鋳造板の製造工程慨略図を示す。
【0042】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.35mmであった。また、希土類合金鋳造板の80%において、その板厚さが0.25?0.45mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.015であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の85%を有していた。その柱状晶の幅は0.2?20μmで、高さは2.0?350μmであった。本実施例1でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0043】
ここで、実施例1の希土類合金鋳造板に関する金属組織観察の結果について説明する。図3には、板厚さ方向の断面を、金属顕微鏡で100倍に拡大した時の金属組織観察写真で、図4は200倍に拡大した場合、図5は500倍に拡大したものである。この図3?図5により、本発明の希土類合金鋳造板の厚さ方向の切断面は、殆ど柱状晶から構成されていることが判る。また、この鋳造板の主相Nd_(2)Fe_(14)B結晶粒は、平行に配列した柱状晶となっていた。このような金属組織観察を実施例1?32について行ったところ、この柱状晶の体積(%)が希土類合金鋳造板の少なくとも80%を有してることが判明した。また、この柱状晶の幅は0.2?50.0μm、その高さは、1.0?500μmであることが判った。
【0044】
実施例2:本実施例2における希土類合金鋳造板は、実施例1と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは、31.4wt%であり、そのうちNdは31.1wt%で、Dyは0.30wt%であった。Mは、0wt%である。Bは、1.1wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0045】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、電気抵抗線加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は1000g/sとし、板幅を150mm、ストリップキャスト温度を1350℃、水冷ローラ回転速度を1.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は5×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は80℃/sとした。
【0046】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.4mmであった。また、希土類合金鋳造板の90%において、その板厚さが0.30?0.50mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.01であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の93%を有していた。その柱状晶の幅は0.2?10μmで、高さは3.0?400μmであった。本実施例2でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0047】
実施例3:本実施例3における希土類合金鋳造板は、実施例1と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは31.4wt%であり、そのうち、Ndが31.1wt%で、Dyは0.30wt%であった。Mは、0wt%である。Bは、1.1wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0048】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、アーク加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は5000g/sとし、板幅を300mm、ストリップキャスト温度を1390℃、水冷ローラ回転速度を2.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は7×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は50℃/sとした。
【0049】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.32mmであった。また、希土類合金鋳造板の95%において、その板厚さが0.22?0.42mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.009であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の94%を有していた。その柱状晶の幅は1.5?4.5μmで、高さは3.0?320μmであった。本実施例3でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0050】
実施例4:本実施例4における希土類合金鋳造板は、実施例1と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは31.4wt%であり、Ndは31.1wt%で、Dyは0.30wt%であった。Mは0wt%である。Bは、1.1wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0051】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は10000g/sとし、板幅を600mm、ストリップキャスト温度を1450℃、水冷ローラ回転速度を3.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は9×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は30℃/sとした。
【0052】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.25mmであった。また、希土類合金鋳造板の80%において、その板厚さが0.20?0.30mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.008であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の95%を有していた。その柱状晶の幅は1.0?4.0μmで、高さは3.0?250μmであった。本実施例4でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0053】
実施例5:本実施例5における希土類合金鋳造板は、R-(Fe,M)-B系の組成である。Rは29.0wt%であり、そのうち、Ndが16.0wt%で、Tbが5.0wt%で、Dyが8.0wt%であった。Mは、Alが0.52wt%で、Cuが0.45wt%で、Coが3.50wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%であった。Bは、1.0wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0054】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は8000g/sとし、板幅を550mm、ストリップキャスト温度を1460℃、水冷ローラ回転速度を4.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は3×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は20℃/sとした。
【0055】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の80%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.007であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の95%を有していた。その柱状晶の幅は1.5?3.8μmで、高さは2.0?300μmであった。本実施例5でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0056】
実施例6:本実施例6における希土類合金鋳造板は、実施例と5同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは29.0wt%であり、そのうち、Ndが16.0wt%で、Tbが5.0wt%で、Dyが8.0wt%であった。Mは、Alが0.52wt%で、Cuが0.45wt%で、Coが3.50wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%であった。Bは、1.0wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0057】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、高周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は6000g/sとし、板幅を400mm、ストリップキャスト温度を1400℃、水冷ローラ回転速度を3.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は5×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は10℃/sとした。
【0058】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の90%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.006であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の96%を有していた。その柱状晶の幅は1.0?3.7μmで、高さは2.0?300μmであった。本実施例6でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0059】
実施例7:本実施例7における希土類合金鋳造板は、実施例5と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは29.0wt%であり、そのうち、Ndが16.0wt%で、Tbが5.0wt%で、Dyが8.0wt%であった。Mは、Alが0.52wt%で、Cuが0.45wt%で、Coが3.50wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%であった。Bは、1.0wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0060】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、高周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は4000g/sとし、板幅を300mm、ストリップキャスト温度を1350℃、水冷ローラ回転速度を2.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は8×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は8℃/sとした。
【0061】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の94%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.005であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の97%を有していた。その柱状晶の幅は0.8?3.5μmで、高さは2.0?300μmであった。本実施例7でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0062】
実施例8:本実施例8における希土類合金鋳造板は、実施例5と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは29.0wt%であり、そのうち、Ndが16.0wt%で、Tbが5.0wt%で、Dyが8.0wt%であった。Mは、Alが0.52wt%で、Cuが0.45wt%で、Coが3.50wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%であった。Bは、1.0wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0063】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は1000g/sとし、板幅を200mm、ストリップキャスト温度を1440℃、水冷ローラ回転速度を1.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は9×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は5℃/sとした。
【0064】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の98%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.004であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の98%を有していた。その柱状晶の幅は0.2?3.3μmで、高さは1.0?300μmであった。本実施例8でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0065】
実施例9:本実施例9における希土類合金鋳造板は、R-(Fe,M)-B系の組成である。Rは50.0wt%であり、そのうち、Ndが32.0wt%で、Prが3.0wt%で、Tbが5.0wt%で、Dyが10.0wt%であった。Mは、Alが0.52wt%で、Cuが0.34wt%で、Coが2.48wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%であった。Bは0wt%である。その他の成分は、Feである。
【0066】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は10000g/sとし、板幅を600mm、ストリップキャスト温度を1500℃、水冷ローラ回転速度を5.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は1×10^(2)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は100℃/sとした。
【0067】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは1.0mmであった。また、希土類合金鋳造板の90%において、その板厚さが0.90?1.10mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.010であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の80%を有していた。その柱状晶の幅は1.0?50.0μmで、高さは2.0?500μmであった。本実施例9でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0068】
実施例10:本実施例10における希土類合金鋳造板は、上記実施例9と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは50.0wt%であり、そのうち、Ndが32.0wt%で、Prが3.0wt%で、Tbが5.0wt%で、Dyが10.0wt%であった。Mは、Alが0.52wt%で、Cuが0.34wt%で、Coが2.48wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%であった。Bは0wt%である。その他の成分は、Feである。
【0069】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は8000g/sとし、板幅を500mm、ストリップキャスト温度を1500℃、水冷ローラ回転速度を4.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は3×10^(2)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は80℃/sとした。
【0070】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.60mmであった。また、希土類合金鋳造板の96%において、その板厚さが0.50?0.70mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.008であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の84%を有していた。その柱状晶の幅は1.0?40.0μmで、高さは2.0?400μmであった。本実施例10でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0071】
実施例11:本実施例11における希土類合金鋳造板は、上記実施例9と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは50.0wt%であり、そのうち、Ndが32.0wt%で、Prが3.0wt%で、Tbが5.0wt%で、Dyが10.0wt%であった。Mは、Alが0.52wt%で、Cuが0.34wt%で、Coが2.48wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%であった。Bは0wt%である。その他の成分は、Feである。
【0072】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は4000g/sとし、板幅を300mm、ストリップキャスト温度を1450℃、水冷ローラ回転速度を3.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は5×10^(2)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は60℃/sとした。
【0073】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.50mmであった。また、希土類合金鋳造板の90%において、その板厚さが0.45?0.55mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.006であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の88%を有していた。その柱状晶の幅は1.0?30.0μmで、高さは2.0?300μmであった。本実施例11でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0074】
実施例12:本実施例12における希土類合金鋳造板は、上記実施例9と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは50.0wt%であり、そのうち、Ndが32.0wt%で、Prが3.0wt%で、Tbが5.0wt%で、Dyが10.0wt%であった。Mは、Alが0.52wt%で、Cuが0.34wt%で、Coが2.48wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%であった。Bは0wt%である。その他の成分は、Feである。
【0075】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は1000g/sとし、板幅を150mm、ストリップキャスト温度を1430℃、水冷ローラ回転速度を2.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は7×10^(2)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は40℃/sとした。
【0076】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.40mmであった。また、希土類合金鋳造板の90%において、その板厚さが0.35?0.45mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.003であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の90%を有していた。その柱状晶の幅は1.0?10.0μmで、高さは2.0?400μmであった。本実施例12でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0077】
実施例13:本実施例13における希土類合金鋳造板は、R-(Fe,M)-B系の組成である。Rは30.5wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Prが3.5wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Mgが0.10wt%で、Cuが0.35wt%で、Coが1.50wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%で、Tiが0.15wt%で、Siが0.15wt%であった。Bは0.95wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0078】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は8000g/sとし、板幅を550mm、ストリップキャスト温度を1460℃、水冷ローラ回転速度を4.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は3×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は20℃/sとした。
【0079】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の90%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.006であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の95%を有していた。その柱状晶の幅は1.5?3.8μmで、高さは2.0?200μmであった。本実施例13でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0080】
実施例14:本実施例14における希土類合金鋳造板は、上記実施例13と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは30.5wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Prが3.5wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Mgが0.10wt%で、Cuが0.35wt%で、Coが1.50wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%で、Tiが0.15wt%で、Siが0.15wt%であった。Bは0.95wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0081】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、高周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は6000g/sとし、板幅を400mm、ストリップキャスト温度を1400℃、水冷ローラ回転速度を3.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は5×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は10℃/sとした。
【0082】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の92%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.004であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の96%を有していた。その柱状晶の幅は1.0?3.7μmで、高さは2.0?300μmであった。本実施例14でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0083】
実施例15:本実施例15における希土類合金鋳造板は、上記実施例13と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは30.5wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Prが3.5wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Mgが0.10wt%で、Cuが0.35wt%で、Coが1.50wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%で、Tiが0.15wt%で、Siが0.15wt%であった。Bは0.95wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0084】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、高周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は1000g/sとし、板幅を200mm、ストリップキャスト温度を1350℃、水冷ローラ回転速度を1.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は7×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は5℃/sとした。
【0085】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の94%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.003であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の97%を有していた。その柱状晶の幅は0.4?3.5μmで、高さは2.0?300μmであった。本実施例15でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0086】
実施例16:本実施例16における希土類合金鋳造板は、上記実施例13と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは30.5wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Prが3.5wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Mgが0.10wt%で、Cuが0.35wt%で、Coが1.50wt%で、Gaが0.25wt%で、Nbが0.30wt%で、Tiが0.15wt%で、Siが0.15wt%であった。Bは0.95wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0087】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は500g/sとし、板幅を50mm、ストリップキャスト温度を1440℃、水冷ローラ回転速度を1.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は1×10^(4)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は2℃/sとした。
【0088】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の96%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.002であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の98%を有していた。その柱状晶の幅は0.2?3.3μmで、高さは1.0?300μmであった。本実施例16でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0089】
実施例17:本実施例17における希土類合金鋳造板は、R-(Fe,M)-B系の組成である。Rは31.5wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Gdが4.5wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Vが0.10wt%、Cuが0.35wt%で、Coが1.50wt%で、Crが0.35wt%で、Nbが0.30wt%で、Mnが0.25wt%で、Siが0.15wt%、Nが0.05wt%であった。Bは0.90wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0090】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、アーク加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は9000g/sとし、板幅を600mm、ストリップキャスト温度を1520℃、水冷ローラ回転速度を5.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は1×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は15℃/sとした。
【0091】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の90%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.006であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の95%を有していた。その柱状晶の幅は0.5?3.5μmで、高さは2.0?300μmであった。本実施例17でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0092】
実施例18:本実施例18における希土類合金鋳造板は、上記実施例17と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは31.5wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Gdが4.5wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Vが0.10wt%、Cuが0.35wt%で、Coが1.50wt%で、Crが0.35wt%で、Nbが0.30wt%で、Mnが0.25wt%で、Siが0.15wt%、Nが0.05wt%であった。Bは0.90wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0093】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、電気抵抗線加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は6000g/sとし、板幅を400mm、ストリップキャスト温度を1400℃、水冷ローラ回転速度を3.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は3×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は7℃/sとした。
【0094】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.25mmであった。また、希土類合金鋳造板の92%において、その板厚さが0.20?0.30mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.004であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の96%を有していた。その柱状晶の幅は0.4?3.4μmで、高さは1.0?250μmであった。本実施例18でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0095】
実施例19:本実施例19における希土類合金鋳造板は、上記実施例17と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは31.5wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Gdが4.5wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Vが0.10wt%、Cuが0.35wt%で、Coが1.50wt%で、Crが0.35wt%で、Nbが0.30wt%で、Mnが0.25wt%で、Siが0.15wt%、Nが0.05wt%であった。Bは0.90wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0096】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、高周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は1000g/sとし、板幅を300mm、ストリップキャスト温度を1350℃、水冷ローラ回転速度を1.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は5×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は4℃/sとした。
【0097】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.20mmであった。また、希土類合金鋳造板の94%において、その板厚さが0.15?0.25mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.003であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の97%を有していた。その柱状晶の幅は0.3?3.3μmで、高さは1.0?200μmであった。本実施例19でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0098】
実施例20:本実施例20における希土類合金鋳造板は、上記実施例17と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは31.5wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Gdが4.5wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Vが0.10wt%、Cuが0.35wt%で、Coが1.50wt%で、Crが0.35wt%で、Nbが0.30wt%で、Mnが0.25wt%で、Siが0.15wt%、Nが0.05wt%であった。Bは0.90wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0099】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は4000g/sとし、板幅を100mm、ストリップキャスト温度を1440℃、水冷ローラ回転速度を1.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は7×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は1℃/sとした。
【0100】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.10mmであった。また、希土類合金鋳造板の96%において、その板厚さが0.05?0.15mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.002であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の98%を有していた。その柱状晶の幅は0.2?3.0μmで、高さは1.0?150μmであった。本実施例20でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0101】
実施例21:本実施例21における希土類合金鋳造板は、R-(Fe,M)-B系の組成である。Rは30.0wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Laが0.2wt%で、Ceが0.2wt%で、Prが1.5wt%で、Smが0.1wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%で、Hoが1.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Gaが0.20wt%で、Inが0.10wt%で、Coが1.50wt%で、Crが0.35wt%で、Siが0.15wt%で、Geが0.15wt%で、Snが0.10wt%で、Pbが0.10wt%で、Mgが0.15wt%で、Caが0.10wt%で、Cが0.10wt%であった。Bは0.95wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0102】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、アーク加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は10000g/sとし、板幅を600mm、ストリップキャスト温度を1600℃、水冷ローラ回転速度を4.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は1×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は20℃/sとした。
【0103】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.40mmであった。また、希土類合金鋳造板の90%において、その板厚さが0.30?0.50mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.010であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の90%を有していた。その柱状晶の幅は0.5?5.5μmで、高さは2.0?300μmであった。本実施例21でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0104】
実施例22:本実施例22における希土類合金鋳造板は、上記実施例21と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは30.0wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Laが0.2wt%で、Ceが0.2wt%で、Prが1.5wt%で、Smが0.1wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%で、Hoが1.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Gaが0.20wt%で、Inが0.10wt%で、Coが1.50wt%で、Crが0.35wt%で、Siが0.15wt%で、Geが0.15wt%で、Snが0.10wt%で、Pbが0.10wt%で、Mgが0.15wt%で、Caが0.10wt%で、Cが0.10wt%であった。Bは0.95wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0105】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、電気抵抗線加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は6000g/sとし、板幅を400mm、ストリップキャスト温度を1550℃、水冷ローラ回転速度を3.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は3×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は15℃/sとした。
【0106】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.35mmであった。また、希土類合金鋳造板の92%において、その板厚さが0.30?0.40mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.005であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の95%を有していた。その柱状晶の幅は0.4?4.4μmで、高さは1.0?350μmであった。本実施例22でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0107】
実施例23:本実施例23における希土類合金鋳造板は、上記実施例21と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは30.0wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Laが0.2wt%で、Ceが0.2wt%で、Prが1.5wt%で、Smが0.1wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%で、Hoが1.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Gaが0.20wt%で、Inが0.10wt%で、Coが1.50wt%で、Crが0.35wt%で、Siが0.15wt%で、Geが0.15wt%で、Snが0.10wt%で、Pbが0.10wt%で、Mgが0.15wt%で、Caが0.10wt%で、Cが0.10wt%であった。Bは0.95wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0108】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、高周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は1000g/sとし、板幅を200mm、ストリップキャスト温度を1450℃、水冷ローラ回転速度を1.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は5×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は10℃/sとした。
【0109】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の94%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.003であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の96%を有していた。その柱状晶の幅は0.3?3.5μmで、高さは1.0?300μmであった。本実施例23でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0110】
実施例24:本実施例24における希土類合金鋳造板は、上記実施例21と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは30.0wt%であり、そのうち、Ndが24.0wt%で、Laが0.2wt%で、Ceが0.2wt%で、Prが1.5wt%で、Smが0.1wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%で、Hoが1.0wt%であった。Mは、Alが0.30wt%で、Gaが0.20wt%で、Inが0.10wt%で、Coが1.50wt%で、Crが0.35wt%で、Siが0.15wt%で、Geが0.15wt%で、Snが0.10wt%で、Pbが0.10wt%で、Mgが0.15wt%で、Caが0.10wt%で、Cが0.10wt%であった。Bは0.95wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0111】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は500g/sとし、板幅を50mm、ストリップキャスト温度を1400℃、水冷ローラ回転速度を0.8m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は7×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は1℃/sとした。
【0112】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.25mmであった。また、希土類合金鋳造板の96%において、その板厚さが0.20?0.30mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.002であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の98%を有していた。その柱状晶の幅は0.2?3.0μmで、高さは1.0?250μmであった。本実施例24でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0113】
実施例25:本実施例25における希土類合金鋳造板は、R-(Fe,M)-B系の組成である。Rは32.0wt%であり、そのうち、Ndが22.0wt%で、Prが1.0wt%で、Euが0.5wt%で、Gdが1.0wt%で、Dyが2.5wt%で、Erが1.0wt%で、Tmが0.5wt%で、Ybが0.5wt%で、Luが0.5wt%で、Scが1.0wt%で、Yが1.5wt%であった。Mは、Tiが0.30wt%で、Vが0.20wt%で、Mnが0.10wt%で、Niが0.20wt%で、Cuが0.30wt%で、Znが0.15wt%で、Zrが0.15wt%で、Nbが0.10wt%で、Moが0.10wt%で、Cdが0.15wt%で、Cが0.10wt%で、Nが0.10wt%であった。Bは1.50wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0114】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は9000g/sとし、板幅を550mm、ストリップキャスト温度を1500℃、水冷ローラ回転速度を3.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は2×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は50℃/sとした。
【0115】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.40mmであった。また、希土類合金鋳造板の92%において、その板厚さが0.30?0.50mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.010であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の90%を有していた。その柱状晶の幅は0.5?6.5μmで、高さは2.0?300μmであった。本実施例25でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0116】
実施例26:本実施例26における希土類合金鋳造板は、上記実施例25と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは32.0wt%であり、そのうち、Ndが22.0wt%で、Prが1.0wt%で、Euが0.5wt%で、Gdが1.0wt%で、Dyが2.5wt%で、Erが1.0wt%で、Tmが0.5wt%で、Ybが0.5wt%で、Luが0.5wt%で、Scが1.0wt%で、Yが1.5wt%であった。Mは、Tiが0.30wt%で、Vが0.20wt%で、Mnが0.10wt%で、Niが0.20wt%で、Cuが0.30wt%で、Znが0.15wt%で、Zrが0.15wt%で、Nbが0.10wt%で、Moが0.10wt%で、Cdが0.15wt%で、Cが0.10wt%で、Nが0.10wt%であった。Bは1.50wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0117】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、電気抵抗線加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は6000g/sとし、板幅を400mm、ストリップキャスト温度を1470℃、水冷ローラ回転速度を2.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は3×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は30℃/sとした。
【0118】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.35mmであった。また、希土類合金鋳造板の93%において、その板厚さが0.30?0.40mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.005であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の95%を有していた。その柱状晶の幅は0.4?5.0μmで、高さは1.0?350μmであった。本実施例26でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0119】
実施例27:本実施例27における希土類合金鋳造板は、上記実施例25と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは32.0wt%であり、そのうち、Ndが22.0wt%で、Prが1.0wt%で、Euが0.5wt%で、Gdが1.0wt%で、Dyが2.5wt%で、Erが1.0wt%で、Tmが0.5wt%で、Ybが0.5wt%で、Luが0.5wt%で、Scが1.0wt%で、Yが1.5wt%であった。Mは、Tiが0.30wt%で、Vが0.20wt%で、Mnが0.10wt%で、Niが0.20wt%で、Cuが0.30wt%で、Znが0.15wt%で、Zrが0.15wt%で、Nbが0.10wt%で、Moが0.10wt%で、Cdが0.15wt%で、Cが0.10wt%で、Nが0.10wt%であった。Bは1.50wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0120】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、高周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は3000g/sとし、板幅を300mm、ストリップキャスト温度を1430℃、水冷ローラ回転速度を1.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は5×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は20℃/sとした。
【0121】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の94%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.003であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の96%を有していた。その柱状晶の幅は0.3?3.5μmで、高さは1.0?300μmであった。本実施例27でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0122】
実施例28:本実施例28における希土類合金鋳造板は、上記実施例25と同様なR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは32.0wt%であり、そのうち、Ndが22.0wt%で、Prが1.0wt%で、Euが0.5wt%で、Gdが1.0wt%で、Dyが2.5wt%で、Erが1.0wt%で、Tmが0.5wt%で、Ybが0.5wt%で、Luが0.5wt%で、Scが1.0wt%で、Yが1.5wt%であった。Mは、Tiが0.30wt%で、Vが0.20wt%で、Mnが0.10wt%で、Niが0.20wt%で、Cuが0.30wt%で、Znが0.15wt%で、Zrが0.15wt%で、Nbが0.10wt%で、Moが0.10wt%で、Cdが0.15wt%で、Cが0.10wt%で、Nが0.10wt%であった。Bは1.50wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0123】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は1000g/sとし、板幅を100mm、ストリップキャスト温度を1340℃、水冷ローラ回転速度を1.2m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は9×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は10℃/sとした。
【0124】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.25mmであった。また、希土類合金鋳造板の96%において、その板厚さが0.20?0.30mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.002であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の98%を有していた。その柱状晶の幅は0.2?3.0μmで、高さは1.0?250μmであった。本実施例28でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0125】
実施例29:本実施例29における希土類合金鋳造板は、R-(Fe,M)-B系の組成である。Rは28.5wt%であり、そのうち、Ndが22.5wt%で、Prが3.0wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Tiが0.50wt%で、Vが0.50wt%で、Coが5.0wt%で、Niが2.4wt%で、Cuが0.50wt%で、Alが0.30wt%で、Zrが0.20wt%で、Nbが0.50wt%で、Moが0.10wt%であった。Bは1.05wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0126】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は8000g/sとし、板幅を600mm、ストリップキャスト温度を1460℃、水冷ローラ回転速度を4.0m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は2×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は25℃/sとした。
【0127】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.40mmであった。また、希土類合金鋳造板の92%において、その板厚さが0.30?0.50mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.01であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の90%を有していた。その柱状晶の幅は0.5?8.0μmで、高さは2.0?400μmであった。本実施例29でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0128】
実施例30:本実施例30における希土類合金鋳造板は、上記実施例29と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは28.5wt%であり、そのうち、Ndが22.5wt%で、Prが3.0wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Tiが0.50wt%で、Vが0.50wt%で、Coが5.0wt%で、Niが2.4wt%で、Cuが0.50wt%で、Alが0.30wt%で、Zrが0.20wt%で、Nbが0.50wt%で、Moが0.10wt%であった。Bは1.05wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0129】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、電気抵抗線加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は5000g/sとし、板幅を500mm、ストリップキャスト温度を1430℃、水冷ローラ回転速度を2.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は3×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は15℃/sとした。
【0130】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.35mmであった。また、希土類合金鋳造板の93%において、その板厚さが0.30?0.40mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.005であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の95%を有していた。その柱状晶の幅は0.4?5.0μmで、高さは1.0?350μmであった。本実施例30でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0131】
実施例31:本実施例31における希土類合金鋳造板は、上記実施例29と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは28.5wt%であり、そのうち、Ndが22.5wt%で、Prが3.0wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Tiが0.50wt%で、Vが0.50wt%で、Coが5.0wt%で、Niが2.4wt%で、Cuが0.50wt%で、Alが0.30wt%で、Zrが0.20wt%で、Nbが0.50wt%で、Moが0.10wt%であった。Bは1.05wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0132】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、高周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は3000g/sとし、板幅を400mm、ストリップキャスト温度を1400℃、水冷ローラ回転速度を1.5m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は5×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は10℃/sとした。
【0133】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値Dは0.30mmであった。また、希土類合金鋳造板の94%において、その板厚さが0.25?0.35mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.003であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の96%を有していた。その柱状晶の幅は0.3?3.7μmで、高さは1.0?300μmであった。本実施例31でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0134】
実施例32:本実施例32における希土類合金鋳造板は、上記実施例29と同様でR-(Fe,M)-B系の組成である。Rは28.5wt%であり、そのうち、Ndが22.5wt%で、Prが3.0wt%で、Tbが1.0wt%で、Dyが2.0wt%であった。Mは、Tiが0.50wt%で、Vが0.50wt%で、Coが5.0wt%で、Niが2.4wt%で、Cuが0.50wt%で、Alが0.30wt%で、Zrが0.20wt%で、Nbが0.50wt%で、Moが0.10wt%であった。Bは1.05wt%であった。その他の成分は、Feである。
【0135】
また、その製造方法は、実施例1と基本的に同じである。但し、希土類合金液の作製は、真空またはアルゴンガスの雰囲気下で、中周波誘導加熱方式で行った。また、ストリップキャストの条件は、希土類合金液流量は1000g/sとし、板幅を100mm、ストリップキャスト温度を1360℃、水冷ローラ回転速度を1.2m/sとした。また、融点?800℃の冷却速度は9×10^(3)℃/s、800℃?600℃の冷却速度は1℃/sとした。
【0136】
得られた希土類合金鋳造板の厚さの平均値D0.25mmであった。また、希土類合金鋳造板の96%において、その板厚さが0.20?0.30mmの範囲にあり、板厚さの分散値はσ^(2)=0.002であった。そして、この希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒は柱状晶であり、柱状晶の体積(%)は希土類合金鋳造板の98%を有していた。その柱状晶の幅は0.2?3.3μmで、高さは1.0?250μmであった。本実施例32でできた希土類合金鋳造板を使用して製造した焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0137】
比較例1:実施例1と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例1と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例1と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0138】
比較例2:実施例2と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例2と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例2と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0139】
比較例3:実施例3と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例3と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例3と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0140】
比較例4:実施例4と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例4と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例4と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0141】
比較例5:実施例5と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例5と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例5と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0142】
比較例6:実施例6と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例6と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例6と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0143】
比較例7:実施例7と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例7と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.018となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例7と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0144】
比較例8:実施例8と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例8と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.018となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例8と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0145】
比較例9:実施例9と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例9と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例9と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0146】
比較例10:実施例10と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例10と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例10と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0147】
比較例11:実施例11と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例11と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例11と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0148】
比較例12:実施例12と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例12と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例12と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0149】
比較例13:実施例13と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例13と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例13と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0150】
比較例14:実施例14と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例14と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例14と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0151】
比較例15:実施例15と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例15と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.018となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例15と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0152】
比較例16:実施例16と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例16と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.018となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例16と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0153】
比較例17:実施例17と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例17と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例17と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0154】
比較例18:実施例18と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例18と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例18と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表1に示す。
【0155】
比較例19:実施例19と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例19と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.018となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例19と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0156】
比較例20:実施例20と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例20と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.018となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例20と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0157】
比較例21:実施例21と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例21と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例21と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0158】
比較例22:実施例22と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例22と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例22と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0159】
比較例23:実施例23と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例23と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例23と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0160】
比較例24:実施例24と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例24と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例24と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0161】
比較例25:実施例25と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例25と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例25と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0162】
比較例26:実施例26と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例26と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例26と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0163】
比較例27:実施例27と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例27と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.018となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例27と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0164】
比較例28:実施例28と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例28と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.018となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例28と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0165】
比較例29:実施例29と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例29と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例29と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0166】
比較例30:実施例30と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例30と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.021となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例30と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0167】
比較例31:実施例31と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例31と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例31と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0168】
比較例32:実施例32と同じ成分の希土類合金を用い、ストリップキャスティング工程で、実施例32と同じ厚さ平均値で、分散値がσ^(2)=0.020となった希土類合金鋳造板を製造し、更に実施例32と同じ工程で焼結NdFeB系磁性体を製造した。その焼結NdFeB系磁性体の性能を調査した結果を表2に示す。
【0169】
【表1】

【0170】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】合金鋳造板の成形過程の抽象モデル概念図。
【図2】本発明に関する希土類合金鋳造板の製造工程慨略図。
【図3】実施例1の厚さ方向の切断面の金属組織観察写真(100倍)。
【図4】実施例1の厚さ方向の切断面の金属組織観察写真(200倍)。
【図5】実施例1の厚さ方向の切断面の金属組織観察写真(500倍)。
【符号の説明】
【0172】
1 固体と液体の界面
2 固体相
3 板材
4 溶融池
5 ノズル
6 液体相
7 坩堝
8 シングルローラ表面
10 溶解坩堝
20 ストリップキャスティング用容器
30 希土類合金鋳造板
40 水冷ローラ
50 希土類合金鋳造板収集器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板厚の平均値がDであり、その板厚分散値がσ^(2)である希土類合金鋳造板において、
平均値Dは0.1mm?1.0mmの範囲であり、少なくとも80%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm、D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.015mm^(2)であり、
希土類合金は、Sc、Yを含めた17種の希土類元素の1種または2種以上であるRと、
Fe以外の遷移元素である、Al、Ga、In、C、N、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、の中の1種または2種以上であるMと、
ホウ素であるBとからなる、R-(Fe,M)-B系の組成であり、
Rの含有量が28.0?35.0wt%、Mの含有量が3.1?8.0wt%、Bの含有量が0.8?1.5wt%、残部がFe及び不可避不純物からなり、Mが、Al、Cu、Co、Ga、Nb、M、Ti、Siの第1の組み合わせ、Al、Cu、Co、Nb、V、Cr、Mn、Si、Nの第2の組み合わせ、Al、Co、Ga、Mg、Cr、Si、In、Ge、Sn、Pb、Ca、Cの第3の組み合わせのうち、第1から第3のいずれかの組み合わせであることを特徴とする希土類合金鋳造板。
【請求項2】
希土類合金鋳造板における主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶粒が柱状晶であり、該柱状晶の体積が希土類合金鋳造板の少なくとも80%を有しており、該柱状晶の幅は0.2μm?50.0μmであり、該柱状晶の長さは1.0μm?500μmである請求項1に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項3】
少なくとも90%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm、D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.01mm^(2)である請求項1に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項4】
少なくとも95%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.1mm、D+0.1mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.008mm^(2)である請求項1に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項5】
少なくとも80%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.05mm、D+0.05mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.008mm^(2)である請求項1に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項6】
少なくとも90%の希土類合金鋳造板の厚さが[D-0.05mm、D+0.05mm]の範囲にあり、σ^(2)≦0.006mm^(2)である請求項1に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項7】
前記平均値Dが、0.2mm?0.5mmである請求項1?請求項6いずれか一項に記載の希土類合金鋳造板。
【請求項8】
主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶の体積が希土類合金鋳造板の少なくとも85%を有している請求項2記載の希土類合金鋳造板。
【請求項9】
主相のNd_(2)Fe_(14)B結晶の体積が希土類合金鋳造板の少なくとも91%を有している請求項2記載の希土類合金鋳造板。
【請求項10】
請求項1?9のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法であって、
溶融した希土類合金を、ストリップキャスティング用容器を通して回転する水冷ローラに注ぎ、均一厚さの希土類合金鋳造板を形成するものであり、
冷却速度条件を、融点?800℃の場合は10^(2)?10^(4)℃/sとし、または800℃?600℃の場合は100℃/s以下に調整することを特徴とする希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項11】
希土類合金を溶融する加熱方式は、中周波誘導加熱、高周波誘導加熱、アーク加熱、電気抵抗線加熱のいずれかによる請求項10に記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項12】
水冷ローラに注ぐ希土類合金の流量を100g/s?10000g/sの範囲に制御する請求項10または請求項11に記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項13】
形成される希土類合金鋳造板の幅を50mm?600mmの範囲に制御する請求項10?請求項12のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項14】
ストリップキャスト温度を1300℃?1600℃の範囲に調整する請求項10?請求項13のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項15】
水冷ローラの回転速度を0.2m/s?5.0m/sの範囲に制御する請求項10?請求項14のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項16】
希土類合金の原料は、機械破砕または水素粉砕(HD:HYDROGEN DECREPITATION)の方法により製造された合金粉末である請求項10?請求項15のいずれかに記載の希土類合金鋳造板の製造方法。
【請求項17】
請求項1?9のいずれかに記載の希土類合金鋳造板を原料として製造された希土類磁性体。
【図面】





 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-03-13 
出願番号 特願2008-104199(P2008-104199)
審決分類 P 1 113・ 854- ZA (B22D)
P 1 113・ 121- ZA (B22D)
P 1 113・ 537- ZA (B22D)
P 1 113・ 113- ZA (B22D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀧澤 佳世  
特許庁審判長 鈴木 正紀
特許庁審判官 新海 岳
加藤 友也
登録日 2011-07-08 
登録番号 特許第4776653号(P4776653)
発明の名称 希土類合金鋳造板及びその製造方法  
代理人 特許業務法人田中・岡崎アンドアソシエイツ  
代理人 特許業務法人田中・岡崎アンドアソシエイツ  

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