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審決分類 |
審判 訂正 特174条1項 訂正しない G06F |
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管理番号 | 1279435 |
審判番号 | 訂正2012-390162 |
総通号数 | 167 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-11-29 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2012-12-12 |
確定日 | 2013-09-17 |
事件の表示 | 特許第4932777号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 訂正の概要 本件審判請求は,特許第4932777号の特許請求の範囲を、請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりである。 1 訂正事項1 請求項1において、請求項1に「e)該第3者が存在するときに第1者のコンピュータシステムは該第3者のコンピュータシステムに対し該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信する」とあるのを、 「e)該第3者が存在するときに第1者のコンピュータシステムは該第2者のコンピュータシステムを介して該第3者のコンピュータシステムに対し該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信する」と訂正する。 2 訂正事項2 請求項2?9までの一群の請求項において、請求項2に「 e)該支払う対象である第3者があると判断された場合、該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージを、該第1者から該第3者に対して送信するステップと、」とあるのを、 「 e)該支払う対象である第3者があると判断された場合、該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージを、該第1者から該第2者を介して該第3者に対して送信するステップと、」と訂正する。 なお、審判請求書の6(2)ウに記載された訂正事項2において、「 e)該支払い対象」とあるのは「 e)該支払う対象」の誤記であると認定した。 第2 訂正の目的、新規事項の有無について 1 訂正事項1について、 (1)本件明細書には次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。 「【0015】図2は、提案された有効なソフトウェアライセンス供与システムの1つの実施形態の概略を図示している。システムのより広い観点にしたがうと、図2は第1の当事者(一般的にエンドユーザ160)、第2の当事者(一般的にソフトウェア供給者150)、および好ましくは第3の当事者である技術保持者120を含むソフトウェアライセンス供与システムの第1の実施形態を図示している。このようなシステムでは、第2の当事者150は技術保持者120により所有されている技術を含んで販売されたソフトウェア製品110の各コピーに関係するライセンスに対して技術保持者120に支払いを行う。第1の当事者160はソフトウェア製品110を獲得し、これには完全にライセンス供与されているが、ソフトウェア製品110は登録されていないソフトウェア機能を含んでいる。‥‥‥しかしながら、機能がライセンス供与されているにもかかわらず、あるソフトウェア機能は第1の当事者160が第2の当事者150への機能の登録を要求するまでディセーブルされる。登録要求を受信すると、第2の当事者150は登録を記録し、解除メカニズムを第1の当事者160に届けることにより、新しく登録されたソフトウェアをイネーブルさせる。‥‥‥」、 「【0024】登録情報センター140はコンピュータシステム100またはエンドユーザ160と、技術保持者120との間のインターフェイスとして機能する。登録情報センター140は、図4のように、ソフトウェア供給者150と関係していてもよく、あるいは別のエンティティであってもよい。登録情報センター140とコンピュータシステム100は通信ネットワーク112を通してインターフェイスしていることが好ましい。登録情報センター140はコンピュータシステム100から登録要求を受信し、登録情報134を記憶し、解除メカニズム130をコンピュータシステム100に届けて、技術モジュール107上の保護を解除する。‥‥‥」 「【0029】ステップ302において、エンドユーザ160は少なくとも1つのライセンス供与されていない技術モジュール107を使用する機能モジュール106の使用を要求する。‥‥‥【0030】‥‥‥起動要求304を自動的に開始してもよい。【0031】ステップ304に示されているように、ソフトウェア製品110は登録情報センター140に対する起動要求を開始する。ステップ305において、登録情報センター140は起動要求に肯定応答する。」 また、本件図面には次の事項が示されている。 本件図面の第2図において、エンドユーザ(第1の当事者)160には、制限されたソフトウェア110を含むコンピュータシステム100を備えること。 本件図面の第4図において、エンドユーザ160には、技術モジュール107からなる機能モジュール106を含むソフトウェア製品110を含むユーザコンピュータシステム100を備え、また、ソフトソフトウェア供給者150には、登録情報センター140を備えること。 したがって、上記本件明細書及び図面の記載から、本件明細書に記載の、第1の当事者であるエンドユーザ150のコンピュータシステム100、コンピュータシステム100のソフトウェア製品110内の技術モジュール107からなる機能モジュール106、第2の当事者であるソフトウェア供給者150又はソフトウェア供給者150に備えられ若しくは別のエンティティである登録情報センター140、第3の当事者である技術保持者120は、それぞれ、本件請求項1に係る発明の「第1者のコンピュータシステム」、「ソフトウェア機能モジュール」、「第2者のコンピュータシステム」、「第3者のコンピュータシステム」に対応するものということができ、また、本件明細書に記載の「登録要求」又は「起動要求」は、ソフトウェア機能をディセーブルするための要求、具体的には、ソフトウェア製品110内の技術モジュール107上の保護を解除するためになされる要求であって、ソフトウェアの使用を前提とした要求であることは明らかであるから、本件請求項1に係る発明の「使用要求」に対応するものということができる。 そして、第1の当事者であるエンドユーザ150のコンピュータシステム100から、第2の当事者であるソフトウェア供給者150又はソフトウェア供給者150に備えられ若しくは別のエンティティである登録情報センター140へ、「登録要求」又は「起動要求」を送信することは示されているものの、第1の当事者であるエンドユーザ150のコンピュータシステム100から、第3の当事者である技術保持者120へ、「登録要求」又は「起動要求」を送信することは記載されていないものである。 してみれば、本件明細書には、第1者のコンピュータシステムは第2者のコンピュータシステムに対し、ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信することが示されており、一方、第1者のコンピュータシステムは第3者のコンピュータシステムに対し、ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信することは示されていないということができるから、 本件訂正前の「第1者のコンピュータシステムは該第3者のコンピュータシステムに対し該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信する」ことから、第1者のコンピュータシステムは該第2者のコンピュータシステムに該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信するものにしようとして、「e)該第3者が存在するときに第1者のコンピュータシステムは該第2者のコンピュータシステムを介して該第3者のコンピュータシステムに対し該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信する」ことにしようとする訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。 (2)次に、訂正事項1に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものか否かについて検討する。 訂正事項1は、請求項1に「e)該第3者が存在するときに第1者のコンピュータシステムは該第3者のコンピュータシステムに対し該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信する」とあるのを、 「e)該第3者が存在するときに第1者のコンピュータシステムは該第2者のコンピュータシステムを介して該第3者のコンピュータシステムに対し該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信する」と訂正するものであって、これによれば、本件訂正後の請求項1に係る発明の「該第2者のコンピュータシステム」は、「該第3者のコンピュータシステムに対し該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信する」ものということができる。 しかしながら、本件明細書の「【0036】‥‥‥登録情報134はソフトウェア供給者150の他に、関心を持っている他の当事者に提供されてもよい。例えば、技術保持者120は登録された技術モジュール107に対して課金をしたいかもしれない。」との記載、及び「【0038】‥‥‥ソフトウェア供給者150はステップ314において受信される登録情報134を使用して、技術保持者120に対して支払うべきロイヤリティを決定してもよい。‥‥‥」との記載、及び本件図面の第2図、第4図の記載によれば、第2者のコンピュータシステムが「登録情報」を送信することは示唆されているものの「使用要求」を送信することは記載されておらず、また、「登録情報」は登録された情報であって「使用要求」と異なるものであることは明らかであるから、本件訂正後の請求項1に係る発明において、「該第2者のコンピュータシステム」が、「該第3者のコンピュータシステムに対し該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信する」ことは、本件明細書、特許請求の範囲及び図面の記載から自明な事項であるということはできない。 よって、「e)該第3者が存在するときに第1者のコンピュータシステムは該第2者のコンピュータシステムを介して該第3者のコンピュータシステムに対し該ソフトウェア機能モジュールの使用要求を示す信号を送信する」ことは、本件明細書、特許請求の範囲及び図面の記載から自明な事項であるということはできないから、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項に規定する要件を満たさないから、訂正を認めることができない。 2 訂正事項2について (1)上記1(1)において記載した本件明細書(段落【0015】、段落【0024】、段落【0029】)及び本件図面(第2図、第4図)の記述から、本件明細書に記載の、第1の当事者であるエンドユーザ150のコンピュータシステム100、コンピュータシステム100のソフトウェア製品110内の技術モジュール107からなる機能モジュール106、第2の当事者であるソフトウェア供給者150又はソフトウェア供給者150に備えられ若しくは別のエンティティである登録情報センター140、第3の当事者である技術保持者120は、それぞれ、本件請求項2に係る発明の「第1者のコンピュータシステム」、「ソフトウェア機能モジュール」、「第2者」、「第3者」に対応するものということができる。 そして、第1の当事者であるエンドユーザ150のコンピュータシステム100から、第2の当事者であるソフトウェア供給者150又はソフトウェア供給者150に備えられ若しくは別のエンティティである登録情報センター140へ、「登録要求」又は「起動要求」、すなわち、第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールを使用するための要求信号を送信することは示されているものの、第1者から第3者へ送信される信号についての記載はないものである。 してみれば、本件明細書には、第1者のコンピュータシステムがソフトウェア機能モジュールを使用するための要求信号を、第1者から該第2者に送信することが示されており、一方、第1者から第3者に対し送信することは示されていないということができるから、 本件訂正前の「該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージを、該第1者から該第3者に対して送信するステップ」から、第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージを、該第2者に送信するものにしようとして、「該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージを、該第1者から該第2者を介して該第3者に対して送信するステップ」にしようとする訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。 (2)次に、訂正事項2に係る訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものか否かについて検討する。 訂正事項2は、請求項2に「 e)該支払う対象である第3者があると判断された場合、該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージを、該第1者から該第3者に対して送信するステップと、」とあるのを、 「 e)該支払う対象である第3者があると判断された場合、該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージを、該第1者から該第2者を介して該第3者に対して送信するステップと、」と訂正するものであって、これによれば、本件訂正後の請求項2に係る発明は、「該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージ」を、「該第1者」が「該第2者」に送信し、「該第2者」が「該第3者に対し送信する」ものということができる。 しかしながら、上記1(1)において記載した本件明細書(段落【0015】、段落【0024】、段落【0029】)及び本件図面(第2図、第4図)の記述、及び本件明細書の他の箇所を参酌しても、「該第1者」が「該第2者」に送信するのは、「登録要求」又は「起動要求」、すなわち、第1者のコンピュータシステムがソフトウェア機能モジュールを使用するための要求信号であって、「起動されたというメッセージ」ではなく、「該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージ」を「該第1者」が「該第2者」に送信することは、本件明細書、特許請求の範囲及び図面の記載から自明な事項であるということはできない。 また、本件明細書の「【0036】‥‥‥登録情報134はソフトウェア供給者150の他に、関心を持っている他の当事者に提供されてもよい。例えば、技術保持者120は登録された技術モジュール107に対して課金をしたいかもしれない。」との記載、及び「【0038】‥‥‥ソフトウェア供給者150はステップ314において受信される登録情報134を使用して、技術保持者120に対して支払うべきロイヤリティを決定してもよい。‥‥‥」との記載、及び本件図面の第2図、第4図の記載によれば、第2者が登録情報を送信することは示唆されているものの「起動されたというメッセージ」を送信することは記載されておらず、また、「登録情報」は登録された情報であって「起動されたというメッセージ」とは異なるものであることは明らかであるから、本件訂正後の請求項2に係る発明において、「該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージ」を「該第2者」が「該第3者に対し送信する」ことは、本件明細書、特許請求の範囲及び図面の記載から自明な事項であるということはできない。 よって、「 e)該支払う対象である第3者があると判断された場合、該第1者のコンピュータシステムが該ソフトウェア機能モジュールが起動されたというメッセージを、該第1者から該第2者を介して該第3者に対して送信する」ことは、本件明細書、特許請求の範囲及び図面の記載から自明な事項であるということはできないから、訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項に規定する要件を満たさないから、訂正を認めることができない。 第3 むすび 以上のとおり、訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであるから、本件訂正は認められない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-04-02 |
結審通知日 | 2013-04-04 |
審決日 | 2013-05-10 |
出願番号 | 特願2008-108195(P2008-108195) |
審決分類 |
P
1
41・
55-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 市川 武宜、中内 大介 |
特許庁審判長 |
酒井 伸芳 |
特許庁審判官 |
田中 秀人 長島 孝志 |
登録日 | 2012-02-24 |
登録番号 | 特許第4932777号(P4932777) |
発明の名称 | ソフトウェア実行方法 |
代理人 | 岡本 宜喜 |