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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1279788
審判番号 不服2012-9431  
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-22 
確定日 2013-10-03 
事件の表示 特願2006- 93061「コンテンツ利用方法、コンテンツ利用装置、コンテンツ記録方法、コンテンツ記録装置、コンテンツ提供システム、コンテンツ受信方法、コンテンツ受信装置およびコンテンツデータフォーマット」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月11日出願公開、特開2007-265341〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、平成18年3月30日の出願であって、平成21年1月14日付けで審査請求がなされ、同日付けで手続補正がなされたが、平成23年4月6日付けで拒絶理由通知(同年4月12日発送)がなされ、同年6月3日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成24年2月21日付けで拒絶査定(同年2月28日謄本送達)がなされ、これに対して、同年5月22日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、平成24年8月7日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成25年2月14日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年2月19日発送)がなされ、同年4月19日付けで回答書の提出があったものである。


第2 平成24年5月22日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成24年5月22日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容

平成24年5月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容は、平成23年6月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項19の記載

「【請求項1】
コンピュータが、コンテンツのそれぞれに対して設定された、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報とを用いて前記コンテンツを検索して利用する
コンテンツ利用方法。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ利用方法において、
前記パブリック時間情報と、前記プライベート時間情報とは、それぞれその時間情報の意味を示す、時間情報の属性情報を対応する付随データとして含むものであり、 前記時間情報の属性情報をも併せて用いて、前記コンテンツを検索して利用する
コンテンツ利用方法。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテンツ利用方法において、
前記プライベート時間情報の属性情報は、対応する前記プライベート時間情報に関連する個人またはグループを特定するための情報を含む
コンテンツ利用方法。
【請求項4】
請求項2に記載のコンテンツ利用方法において、
前記コンテンツに関連するプライベート時間情報およびその属性情報の組は、前記コンテンツのデータの利用機器によって付与されて設定される
コンテンツ利用方法。
【請求項5】
請求項1に記載のコンテンツ利用方法において、
特定の時間情報が検索子として設定されたときに、前記特定の時間情報により前記パブリック時間情報が検索されたことによる検索結果のコンテンツと、前記特定の時間情報により前記プライベート時間情報が検索されたことによる検索結果のコンテンツとを、両者を区分けする状態で検索結果として同時に提示する
コンテンツ利用方法。
【請求項6】
請求項1に記載のコンテンツ利用方法において、
前記パブリック時間情報と前記プライベート時間情報との時間差を検索子として、前記コンテンツを検索する
コンテンツ利用方法。
【請求項7】
請求項6に記載のコンテンツ利用方法において、
前記パブリック時間情報と、前記プライベート時間情報とは、それぞれその時間情報の属性情報を対応する付随データとして含むものであり、
前記差の時間情報の設定の際には、前記パブリック時間情報および前記プライベート時間情報の前記属性情報も併せて設定される
コンテンツ利用方法。
【請求項8】
コンピュータが、コンテンツのそれぞれに対して設定されている、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報とを用いて前記コンテンツを検索して利用する
コンテンツ利用装置。
【請求項9】
コンピュータが、コンテンツのそれぞれを、前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データに対応付けて記録するコンテンツ記録方法であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて記録する
コンテンツ記録方法。
【請求項10】
コンピュータが、コンテンツのそれぞれを、前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データに対応付けて記録するコンテンツ記録装置であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて記録する
コンテンツ記録装置。
【請求項11】
コンテンツ配信サーバと、前記コンテンツ配信サーバと通信路を通じて接続されるコンテンツ受信端末とからなるコンテンツ提供システムにおいて、
前記コンテンツ配信サーバは、コンテンツのそれぞれと、前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを、対応付けて前記コンテンツ受信端末に提供するものであって、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて提供する
コンテンツ提供システム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
前記コンテンツに関連するプライベート時間情報およびその属性情報の組は、前記コンテンツ配信サーバが、前記コンテンツ受信端末に提供する際に、前記付随データに含める
コンテンツ提供システム。
【請求項13】
請求項11に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
前記コンテンツ受信端末が、前記コンテンツ配信サーバから前記コンテンツのデータと前記付随データとを受信したときに、指定された、前記コンテンツに関連するプライベート時間情報およびその属性情報の組を、前記付随データに追加設定する
コンテンツ提供システム。
【請求項14】
コンテンツ配信サーバと、前記コンテンツ配信サーバと通信路を通じて接続されるコンテンツ受信端末とからなるコンテンツ提供システムにおいて、
前記コンテンツ配信サーバは、コンテンツのそれぞれと、前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを対応付けて前記コンテンツ受信端末に提供するものであって、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組を、前記付随データに含めて提供し、
前記コンテンツ受信端末は、前記コンテンツ配信サーバから前記コンテンツのデータと前記付随データとを受信したときに、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報の組を、前記付随データに追加する
コンテンツ提供システム。
【請求項15】
コンピュータが、コンテンツのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信方法であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて受信する
コンテンツ受信方法。
【請求項16】
コンピュータが、コンテンツのデータのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信方法であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組を、前記付随データに含めて受信すると共に、
前記受信時に、指定された、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに追加する
コンテンツ受信方法。
【請求項17】
コンピュータが、コンテンツのデータのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信装置であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて受信する
コンテンツ受信装置。
【請求項18】
コンピュータが、コンテンツのデータのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信装置であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組を、前記付随データに含めて受信すると共に、
前記受信時に、指定された、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに追加する
コンテンツ受信装置。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載のコンテンツ受信装置において、
利用者による前記プライベート時間情報およびその属性情報の組の入力を受けて、前記付随データに、当該入力された前記プライベート時間情報およびその属性情報の組を追加する
コンテンツ受信装置。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)

を、

「【請求項1】
音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバと、前記コンテンツ配信サーバと通信路を通じて接続されるコンテンツ受信端末とからなるコンテンツ提供システムにおいて、
前記コンテンツ配信サーバは、コンテンツのそれぞれと、前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを、対応付けて前記コンテンツ受信端末に提供するものであって、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて提供する
コンテンツ提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
前記コンテンツに関連するプライベート時間情報およびその属性情報の組は、前記コンテンツ配信サーバが、前記コンテンツ受信端末に提供する際に、前記付随データに含める
コンテンツ提供システム。
【請求項3】
請求項1に記載のコンテンツ提供システムにおいて、
前記コンテンツ受信端末が、前記コンテンツ配信サーバから前記コンテンツのデータと前記付随データとを受信したときに、前記コンテンツに関連するプライベート時間情報およびその属性情報の組を、前記利用する特定少数の人が指定した場合に、前記付随データに追加設定する
コンテンツ提供システム。
【請求項4】
音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバと、前記コンテンツ配信サーバと通信路を通じて接続されるコンテンツ受信端末とからなるコンテンツ提供システムにおいて、
前記コンテンツ配信サーバは、コンテンツのそれぞれと、前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを対応付けて前記コンテンツ受信端末に提供するものであって、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組を、前記付随データに含めて提供し、
前記コンテンツ受信端末は、前記コンテンツ配信サーバから前記コンテンツのデータと前記付随データとを受信したときに、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報の組を、前記付随データに追加する
コンテンツ提供システム。
【請求項5】
コンピュータが、音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信方法であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて受信する
コンテンツ受信方法。
【請求項6】
コンピュータが、音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツのデータのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信方法であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組を、前記付随データに含めて受信すると共に、
前記受信時に、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記利用する特定少数の人が指定した場合に、前記付随データに追加する
コンテンツ受信方法。
【請求項7】
コンピュータが、音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツのデータのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信装置であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて受信する
コンテンツ受信装置。
【請求項8】
コンピュータが、音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツのデータのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信装置であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組を、前記付随データに含めて受信すると共に、
前記受信時に、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記利用する特定少数の人が指定した場合に、前記付随データに追加する
コンテンツ受信装置。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)

に補正するものである。


そして、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており、特許法第17条の2第3項の規定に適合している。

また、本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的として、補正前の請求項1乃至10,19を削除するとともに、補正前の請求項11,14に記載した発明を特定するために必要な事項である「コンテンツ配信サーバ」を「音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバ」に限定し、補正前の請求項15乃至18に記載した発明を特定するために必要な事項である「コンピュータが、コンテンツの」を「コンピュータが、音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツの」に限定し、補正前の請求項13に記載した発明を特定するために必要な事項である「指定された、前記コンテンツに関連するプライベート時間情報およびその属性情報の組を、前記付随データに追加設定する」を「前記コンテンツに関連するプライベート時間情報およびその属性情報の組を、前記利用する特定少数の人が指定した場合に、前記付随データに追加設定する」に限定し、補正前の請求項16,18に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記受信時に、指定された、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに追加する」を「前記受信時に、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記利用する特定少数の人が指定した場合に、前記付随データに追加する」に限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。


2.独立特許要件

以上のように、本件補正後の請求項7に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)は、補正前の請求項17に対して、限定的減縮を行ったものと認められる。そこで、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、前記「1.補正の内容」の補正後の請求項7に記載されたとおりの次のものである。

「コンピュータが、音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツのデータのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信装置であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて受信する
コンテンツ受信装置。」


(2)引用文献

(2-1)引用文献1に記載されている技術的事項及び引用発明1の認定

本願の出願前に頒布された、特開平10-177511号公報(平成10年6月30日出願公開、以下、「引用文献1」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。

A 「【0007】本発明は係る課題に鑑み成されたものであり、その目的は、個人に拘わる情報を電子ファイリングシステムのサーバ側で管理することにより、利用する端末の種類に拘わらず、個人情報の参照を可能にすることを目的とする。」

B 「【0030】本実施の形態においては、利用者が参照するファイルの内容を格納しておくのとは別に、各アクセス毎にファイル参照の情報を格納するための参照テーブル20が備えられている。この参照テーブル20には利用者がファイルに対するアクセス(参照)を行う毎に、そのアクセスしたファイルIDや、参照した日付などの付加情報がファイリングサーバにより格納される。
…(中略)…。
【0032】利用者がファイリングサーバ(以下、サーバという)に対し、所定のアクセスを行った場合、例えばファイル一覧などを表示させる場合にサーバ側においては参照テーブル20を参照して所定のファイル一覧を送り返すことができる。」

C 「【0035】本発明に係る電子ファイリングシステムのテーブル構成の例を表す説明図が図1に示されている。この図1に示されているように、本電子ファイリングシステムは、従来のファイリングシステムと同様にファイル管理テーブル10を備えている。このファイル管理テーブル10は、実際にファイルの管理を行う際に利用されるテーブルである。この管理テーブル10の各エントリーには、ファイルのIDと(図においては単にIDと記す)、ファイル名と、作成者名と、作成日と、の各項目が格納されている。
【0036】本実施の形態にかかる電子ファイリングシステムにおいては、上記ファイル管理テーブル10の他に参照テーブル20が備えられている(図1参照)。この参照テーブル20は、ファイルに対する参照記録を格納するテーブルであり、類似の構成は従来のファイリングサーバにおいても存在していた。しかし、本実施の形態にかかる参照テーブル20は、利用者に公開されている点で従来の類似の構成とは大きく異なる。このように、本実施の形態において特徴的なことは、利用者のファイルに対する参照の情報を管理するテーブルの内容が利用者に公開されていることである。
【0037】さて、利用者がファイルの内容を確認(参照)するたび毎に、その参照記録がこの参照テーブル20に登録されるのである。この参照テーブル20は、後述するようにその内容をすべての利用者に対し公開することも好適であるが、一部の利用者にのみ限定して公開することも好ましい。この参照テーブル20の各エントリーは、図に示されているように、各参照動作を識別するためのアクセスID(図においてはAccIDと記す)と、参照の対象となったファイルIDと、参照日と、参照者名と、の各項目を含んでいる。この参照テーブル20を利用することにより、利用者はあるファイルの参照頻度等を知ることが可能である。従って、後述するように参照頻度等によるファイル検索等を行うことが可能となる。」

D 「【0049】ファイル参照情報検索
図2に示されている検索画面の例においてはファイル管理テーブル10に格納されている内容のみを利用したファイル検索の例が示されている。本実施の形態にかかる電子ファイリングシステムにおいては、上述したように、参照テーブル20や付加情報テーブル30に格納されている項目に基づくファイル検索も可能である。このようなファイル検索、すなわちファイル参照情報検索を行う場合の検索画面の例が図4に示されている。
…(中略)…
【0051】図4に示されている例においては、「ファイル名」「作成者名」「作成日」「参照回数」「参照日」「参照者名」「参照者コメント」「参照者付加点数」を検索項目として利用したファイル検索を行うことが可能である。条件の指定法法は図2に示されている例と同様にメニュー50により図2と同様に「=」「≧」「≦」「>」「<」「≠」を参照することによって一致条件を指定することができる。また、図2と同様にテキストフィールド52には検索文字列を入力する。また、検索条件が文字列を対象とする場合には「=」と「≠」のみがメニュー50の中から選択できるように設定されるのも上記図2と同様である。また、テキストフィールド52に何も入力されない場合には、その要素については検索条件には加えない。
【0052】尚、図4に示されているファイル参照情報検索画面によって指定される検索条件によって検索される対象はあくまでもファイル参照であって、ファイル自体ではない。換言すれば直接の検索の対象は参照テーブル20であり、付加情報テーブル30の内容である。本実施の形態においては、はじめに従来から行われている手法のファイル検索を行い、その結果に基づき、参照テーブル20や付加情報テーブル30の内容に基づきさらに検索を行う場合について説明した。
【0053】本実施の形態にかかるファイリングシステムにおいては、図5に示されているように、その検索結果は「いつ誰が何を参照し、どのように評価を行っているか」といった観点で表示が行われるのである。
【0054】図5には、図4に示されている検索条件に従って検索が行われた結果であるファイル参照情報検索結果の表示例が示されている。この表示においては表示対象はあくまでファイル参照が主であり、ファイルが主ではない。そのため、「いつ誰が何を参照し、どのように評価を行っているか」といった基準により表示が行われる。」

E 「【0056】全体構成
次に、本実施の形態にかかる電子ファイリングシステムの全体構成を図6に基づいて説明する。特に、図6においては従来技術におけるデータの流れと、本実施の形態において新たに提案する新規技術によるデータの流れとが区別されて示されている。
【0057】まず、クライアント80がファイリングサーバ82(以下、単にサーバ82という)に対し文書参照要求を出す。これは従来から行われていた要求である。サーバ82はこの要求に従って文書データベース84に対し文書参照要求を出力する。文書データベース84がこの要求に従って文書内容をサーバ82に返すと、サーバ82は文書内容をクライアント80に返すのである。そして、サーバ82はかかる要求毎に参照テーブル20の更新を行う。この参照テーブル20自体は従来においても管理上の必要性からシステムの内部に設けられている場合が多かったのである。本実施の形態において特徴的なことは、従来はシステム管理者のみが見ることができたこの参照テーブル20の内容を、クライアント80に解放し、クライアント80がこの参照テーブル20の内容を利用したファイル検索などが行えるように構成したことである。」

F 「【0060】クライアント80が参照情報検索要求をサーバ82に出力すると、サーバ82は参照テーブル20、付加情報テーブル30の検索を行う。この参照テーブル20や付加情報テーブル30はサーバ82とは別体に構成することも可能であるが、サーバ82の機能の一部として実現することも好適である。また、文書データベース84内部の他のデータベースとして構成することも好適である。
【0061】サーバ82からの検索によって参照テーブル20や付加情報テーブル30が検索され、検索結果がサーバ82に返送される。サーバ82はこの返送されてきた検索結果をクライアント80に送付する。このようにして、クライアント80は参照テーブル20や付加情報テーブル30の内容を知ることが可能である。従って、利用者は、参照テーブル20や付加情報テーブル30の内容を検索した結果を用いてファイル検索などを行うことも可能となる。」

G 「【0075】より具体的に言えば、参照情報が端末側ではなくサーバ側で管理されていることが、本実施の形態において特徴的なことである。従って、端末が変わっても参照状況(例えば、よく参照されるとか、あるいは全く参照されていないなどの情報)を視覚化することが可能である。さらに、このような情報を所定グループに対し公開することにより、特定の利用者が頻繁に参照しているファイルを検索して見つけだすことが可能である。これにより、未知の分野を学習する場合などにおいて、その分野に精通している利用者がよく参照している、または推奨しているファイルを検索して見つけだすことが可能である。このように、参照情報をサーバ側で管理することにより、個人の情報値(個人がどれだけグループに有益な情報を発信しているか表す値をいう)を把握することが可能となり、情報化社会における個人の影響力を視覚化することが可能となるものである。」

ここで、上記引用文献1に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「本発明は係る課題に鑑み成されたものであり、その目的は、個人に拘わる情報を電子ファイリングシステムのサーバ側で管理することにより、利用する端末の種類に拘わらず、個人情報の参照を可能にすることを目的とする。」との記載、上記Bの「利用者が参照するファイルの内容を格納しておくのとは別に、各アクセス毎にファイル参照の情報を格納するための参照テーブル20が備えられている。この参照テーブル20には利用者がファイルに対するアクセス(参照)を行う毎に、そのアクセスしたファイルIDや、参照した日付などの付加情報がファイリングサーバにより格納される。」との記載、上記Eの「まず、クライアント80がファイリングサーバ82(以下、単にサーバ82という)に対し文書参照要求を出す。これは従来から行われていた要求である。サーバ82はこの要求に従って文書データベース84に対し文書参照要求を出力する。文書データベース84がこの要求に従って文書内容をサーバ82に返すと、サーバ82は文書内容をクライアント80に返すのである。」との記載からすると、ファイルは文書であり、サーバから文書ファイルを受信するクライアントは端末であることは明らかであるから、引用文献1には、
文書ファイルを参照可能に受信するクライアント端末
が記載されていると解される。

(イ)上記B「利用者がファイリングサーバ(以下、サーバという)に対し、所定のアクセスを行った場合、例えばファイル一覧などを表示させる場合にサーバ側においては参照テーブル20を参照して所定のファイル一覧を送り返すことができる。」との記載、上記D「本実施の形態にかかる電子ファイリングシステムにおいては、上述したように、参照テーブル20や付加情報テーブル30に格納されている項目に基づくファイル検索も可能である。このようなファイル検索、すなわちファイル参照情報検索を行う場合の検索画面の例が図4に示されている。」、「図4に示されている例においては、「ファイル名」「作成者名」「作成日」「参照回数」「参照日」「参照者名」「参照者コメント」「参照者付加点数」を検索項目として利用したファイル検索を行うことが可能である。」、「本実施の形態にかかるファイリングシステムにおいては、図5に示されているように、その検索結果は「いつ誰が何を参照し、どのように評価を行っているか」といった観点で表示が行われるのである。」との記載、上記F「クライアント80が参照情報検索要求をサーバ82に出力すると、サーバ82は参照テーブル20、付加情報テーブル30の検索を行う。…(中略)…。サーバ82はこの返送されてきた検索結果をクライアント80に送付する。」との記載からすると、「ファイル名」「作成者名」「作成日」「参照日」「参照者名」などがファイル参照情報であるから、引用文献1には、
文書ファイルに対応付けられた前記文書ファイルに関連する作成日情報や参照日情報、作成者名情報や参照者名情報を含むファイル参照情報を参照可能に受信するクライアント端末
が記載されていると解される。

(ウ)上記C「本発明に係る電子ファイリングシステムのテーブル構成の例を表す説明図が図1に示されている。この図1に示されているように、本電子ファイリングシステムは、従来のファイリングシステムと同様にファイル管理テーブル10を備えている。このファイル管理テーブル10は、実際にファイルの管理を行う際に利用されるテーブルである。この管理テーブル10の各エントリーには、ファイルのIDと(図においては単にIDと記す)、ファイル名と、作成者名と、作成日と、の各項目が格納されている。」との記載からすると、引用文献1には、
管理テーブルに格納され、文書ファイルに関連すると共に前記文書ファイルを管理するための作成日情報およびその作成者名情報など
が記載されていると解される。

(エ)上記Aの「本発明は係る課題に鑑み成されたものであり、その目的は、個人に拘わる情報を電子ファイリングシステムのサーバ側で管理することにより、利用する端末の種類に拘わらず、個人情報の参照を可能にすることを目的とする。」との記載、上記C「この参照テーブル20の各エントリーは、図に示されているように、各参照動作を識別するためのアクセスID(図においてはAccIDと記す)と、参照の対象となったファイルIDと、参照日と、参照者名と、の各項目を含んでいる。」との記載、上記E「本実施の形態において特徴的なことは、従来はシステム管理者のみが見ることができたこの参照テーブル20の内容を、クライアント80に解放し、クライアント80がこの参照テーブル20の内容を利用したファイル検索などが行えるように構成したことである。」との記載からすると、引用文献1には、
参照テーブルに格納され、文書ファイルに関連すると共に前記文書ファイルを参照した者の個人情報である参照日情報およびその参照者名情報など
が記載されていると解される。

以上、(ア)乃至(エ)で指摘した事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認める。

文書ファイルのそれぞれと、前記文書ファイルに対応付けられた前記文書ファイルに関連する作成日情報や参照日情報、作成者名情報や参照者名情報とを含むファイル参照情報を参照可能に受信するクライアント端末であって、
管理テーブルに格納され、前記文書ファイルに関連すると共に前記文書ファイルを管理するための作成日情報およびその作成者名情報などと、参照テーブルに格納され、前記文書ファイルに関連すると共に前記文書ファイルを参照した者の個人情報である参照日情報およびその参照者名情報などとを、前記ファイル参照情報に含めて受信するクライアント端末。


(2-2)引用文献2に記載されている技術的事項及び引用発明2の認定

本願の出願前に頒布された、特開2005-115571号公報(平成17年4月28日出願公開、以下、「引用文献2」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。

H 「【0039】
映像情報蓄積手段13は、対象領域R内の各オブジェクトO0?Onを撮像した映像情報を、付加された撮像時の時間情報と共に互いに関連付けられた状態で例えば大容量記憶装置に蓄積しており、検索手段15は、検索条件に対応する時間帯の映像情報を検索することが可能となる。
【0040】
例えば、映像情報蓄積手段13は、図2に示すように、例えば映像情報取得手段111から時系列的に入力されるフレーム単位の映像情報I0、I1、I2、I3、・・・を、対応する撮像時、あるいは撮像時の近傍の時間を表す時間情報T0、T1、T2、T3、・・・と対応付けて例えばテーブル形式の映像情報ファイルF1として大容量記憶装置に蓄積する。なお、映像情報I0、I1、I2、I3、・・・の時間情報との関連付けは、上記構成に限定されるものではなく、例えば適当な間隔で、時間情報と映像情報とを対応付けて蓄積することにより、所定の時間帯の映像情報を出力することが可能となる。」

J 「【0041】
付帯素子情報蓄積手段14は、付帯素子情報取得手段112により取得された付帯素子情報を、付加された取得時の時間情報と共に互いに対応付けて例えば大容量記憶装置に蓄積する。
【0042】
例えば、図3は、付帯素子情報蓄積手段14により大容量記憶装置に蓄積された付帯素子情報ファイルF2を示した図である。
【0043】
図3に示すように、付帯素子情報蓄積手段14は、取得した時間情報T0、T1、T2、T3、・・・毎に、各付帯素子(例えば、付帯素子5a0?5anがn=3(4個)で、それぞれID0、ID1、ID2、ID3の識別情報を有しているものとする)の識別情報と位置情報と取得したセンサ情報とを互いに対応付けてテーブル形式の付帯素子情報ファイルF2として大容量記憶装置に蓄積しており、検索手段15は、検索条件に適合する時間帯の付帯素子情報を容易に検索することが可能となる。」

ここで、上記引用文献2に記載されている事項を検討する。

(オ)上記Hの「映像情報蓄積手段13は、対象領域R内の各オブジェクトO0?Onを撮像した映像情報を、付加された撮像時の時間情報と共に互いに関連付けられた状態で例えば大容量記憶装置に蓄積しており、検索手段15は、検索条件に対応する時間帯の映像情報を検索することが可能となる。」との記載、「例えば、映像情報蓄積手段13は、図2に示すように、例えば映像情報取得手段111から時系列的に入力されるフレーム単位の映像情報I0、I1、I2、I3、・・・を、対応する撮像時、あるいは撮像時の近傍の時間を表す時間情報T0、T1、T2、T3、・・・と対応付けて例えばテーブル形式の映像情報ファイルF1として大容量記憶装置に蓄積する。」との記載からすると、引用文献2には、
映像情報のそれぞれと、前記映像情報に関連する時間情報を蓄積し、検索条件に適合する情報を検索可能な検索手段
が記載されていると解される。

(カ)上記Jの「付帯素子情報蓄積手段14は、付帯素子情報取得手段112により取得された付帯素子情報を、付加された取得時の時間情報と共に互いに対応付けて例えば大容量記憶装置に蓄積する。」の記載、「付帯素子情報蓄積手段14は、取得した時間情報T0、T1、T2、T3、・・・毎に、各付帯素子(例えば、付帯素子5a0?5anがn=3(4個)で、それぞれID0、ID1、ID2、ID3の識別情報を有しているものとする)の識別情報と位置情報と取得したセンサ情報とを互いに対応付けてテーブル形式の付帯素子情報ファイルF2として大容量記憶装置に蓄積しており、検索手段15は、検索条件に適合する時間帯の付帯素子情報を容易に検索することが可能となる。」との記載からすると、引用文献2には、
映像情報に関連する時間情報と、前記時間情報に対応する付帯素子情報を蓄積し、検索条件に適合する情報を検索可能な検索手段
が記載されていると解される。

以上、(オ)乃至(カ)で指摘した事項から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。

映像情報のそれぞれと、前記映像情報に対応付けられた前記映像情報に関連する時間情報および当該時間情報の付帯素子情報を含むデータとを検索可能な検索手段。


(3)参考文献1に記載されている技術的事項

本願の出願前に頒布された、特開2004-151898号公報(平成16年5月27日出願公開、以下、「参考文献1」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。

K 「【0089】
<アノテーションサーバ/アノテーションデータベース>
図5は、アノテーションサーバ212およびアノテーションDB216の構成例を示す図である。
【0090】
アノテーションサーバ212は、「保存」と「検索」を外部からの指示により受け付ける。たとえば、文書ビューア102の保存ボタン116が操作されたことをクライアントシステム100にて検知すると、クライアントシステム100は、その旨をサーバシステム200を構成するアノテーション管理部210のアノテーションサーバ212に通知する。これにより、アノテーションサーバ212は、保存を指示されたアノテーション情報(付加情報の特徴を表した情報の一例)をそのアノテーションが付与されていた文書に対応付けて、記憶部の一例であるアノテーションDB216に登録(格納)する。
【0091】
たとえば、アノテーションサーバ212は、文書ビューア102から「保存」の指示を受け付ける。このとき、保存したいアノテーション内容とアノテーションの矩形情報と色や形状、またアノテーションが付与された文書IDおよび「保存」指示を発した文書ビューア102の端末IDが与えられる。またこのとき、同様に、「保存」を指示した会議参加者(クライアント)のユーザ名や、その参加者が属するグループID、並びに保存を指示したアノテーションに関する公開属性の情報、およびアノテーションが付与された時刻も与えられる。
【0092】
アノテーションサーバ212は、与えられた端末ID、文書ID、矩形情報(詳細は後述する)、アノテーション内容、色、形状、ユーザID(あるいはユーザ名)、グループID、公開属性、時刻を、テーブルデータとしてアノテーションDB216に保存する。このときアノテーションDB216内のデータ構造は、たとえば図5(B)のようになる。アノテーションIDは、文書IDおよびユーザIDの組合せが新規の場合、新たに付与される。新規でない場合は、そのアノテーションIDで示される行を上書きするものとする。
【0093】
アノテーション内容は、描画されたアノテーションを再現するためのデータであり、ビットマップやベクトルデータなどのデータとなる。色や形状は、アノテーションの色や形状である。ユーザID(あるいはユーザ名)は、文書ビューア102を操作しているユーザを示す情報であり、グループIDは、そのユーザが属しているグループのIDである。
【0094】
公開属性は、たとえば、公開可能(制限なし)とする(=Pub)、あるグループ内だけに公開する(=Frd)、アノテーションを非公開(個人用)とする(=Prv)のうちの何れかをとるものとする。あるグループ内だけに公開する(Frd)場合には、公開対象のグループの情報(たとえばグループID)もアノテーションDB216に登録する。
【0095】
時刻は、文書ビューア102においてアノテーションが付与された時刻であり、日付と時間からなる。」


(4)本件補正発明と引用発明1との対比

本件補正発明と引用発明1とを対比する。

(4-1)引用発明1の「文書ファイル」は、クライアント端末からの要求に応じてサーバが送付するデータであり、いわゆる「コンテンツ」データであることは自明である。
してみると、引用発明1の「文書ファイル」と、本件補正発明の「音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツのデータ」とは、ともに、“コンテンツのデータ” である点で共通する。

(4-2)引用発明1の「作成日情報や参照日情報」は、特定の文書ファイルに対応付けられ、文書ファイルの作成や文書ファイルの参照を行った年月日などで表される時間に関する情報であるから、本件補正発明の「時間情報」に相当する。

(4-3)引用発明1の「作成者名情報や参照者名情報」は、特定の文書ファイルに対応付けられ、「作成日情報や参照日情報」などの時間情報で特定される行為の主体に関する情報であるから、「作成日情報や参照日情報」の属性情報となっていることは明らかである。
してみると、引用発明1の「作成者情報や参照者情報」は、本件補正発明の「時間情報の属性情報」に相当する。

(4-4)引用発明1の「ファイル参照情報」は、文書ファイルに対応付けられた前記文書ファイルに関連する作成日情報や参照日情報、作成者名情報や参照者名情報を含んでおり、文書ファイルに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含むことから、本件補正発明の「付随データ」に相当する。
してみると、引用発明1の「クライアント端末」は文書ファイルのそれぞれと、前記文書ファイルに対応付けられた「ファイル参照情報」とを参照可能に受信することから、引用発明1の「クライアント端末」は、本件補正発明の「コンテンツ受信装置」に相当する。

(4-5)引用発明1の「管理テーブルに格納され、前記文書ファイルに関連すると共に前記文書ファイルを管理するための作成日情報およびその作成者名情報など」は、クライアント端末の利用者すべてが参照可能な情報であるから、本件補正発明の「コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組」に相当する。

(4-6)引用発明1の「参照テーブルに格納され、前記文書ファイルに関連すると共に前記文書ファイルを参照した者の個人情報である参照日情報およびその参照者名情報など」は、特定の文書ファイルの参照履歴である時間情報とその属性情報の組であり、個人的な情報であるが引用発明1では参照を可能としている。
してみると、引用発明1の「参照テーブルに格納され、前記文書ファイルに関連すると共に前記文書ファイルを参照した者の個人情報である参照日情報およびその参照者名情報など」と、本件補正発明の「前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組」とは、ともに、“前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを参照した人の個人的情報である時間情報およびその属性情報との組” である点で共通するといえる。

以上から、本件補正発明と引用発明1とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

コンピュータが、コンテンツのデータのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信装置であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを参照した人の個人情報である時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて受信する
コンテンツ受信装置。

(相違点1)

コンテンツの種類に関して、本件補正発明が、「音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなるコンテンツのデータ」であるのに対して、引用発明1は、「文書ファイル」からなるコンテンツである点。

(相違点2)
コンテンツの付随データの管理に関し、本件補正発明が、「前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組」を「パブリック時間情報およびその属性情報との組」と区別して管理しているのに対し、引用発明1は、「文書ファイルを参照した者の個人情報である参照日情報およびその参照者名情報など」を、文書ファイル参照者以外の利用者にも公開するなど、必ずしも特定少数の人に属する情報として管理していない点。


(5)当審の判断

上記相違点1ないし相違点2について検討する。

(5-1)相違点1について

引用文献2に、「映像情報のそれぞれと、前記映像情報に対応付けられた前記映像情報に関連する時間情報および当該時間情報の付帯素子情報を含むデータとを検索可能な検索手段。」(引用発明2)が記載されているように、本願出願時には、ビデオコンテンツのデータのそれぞれと、該ビデオコンテンツに対応付けられた時間情報などの関連データとを検索可能に蓄積する旨の技術は周知であった。
してみると、引用発明1において、「クライアント端末」が、関連する付随データとともに受信するコンテンツについて、「文書ファイル」に替えて「ビデオコンテンツ」とすること、すなわち、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点1は格別なものではない。

(5-2)相違点2について

引用発明1では、文書ファイルを参照した者の個人情報である参照日情報およびその参照者名情報を文書ファイル参照者以外の利用者にも公開しているが、作成日情報およびその作成者を格納する管理テーブルとは異なる参照テーブルで識別可能に格納されている。また、個人のファイルの参照閲覧履歴情報を、個人情報として特定少数の人にしか属さないプライベートな情報として管理するか否かは、組織ごとの情報管理ポリシーに基づき当業者が適宜選択すべき事項である。
してみると、引用発明1において、「文書ファイルを参照した者の個人情報である参照日情報およびその参照者名情報など」を特定少数の人にしか属さないプライベートな情報として、不特定多数の人に共通する「文書ファイルに関連すると共に前記文書ファイルを管理するための作成日情報およびその作成者名情報など」とは区別して管理すること、すなわち、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

なお、本件補正発明の「前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組」が、仮に「コンテンツを取得して利用する特定少数の人」にだけ参照が可能となるよう制限されている情報の組、と認定されたとして念のため検討をする。
上記「(2-1)引用文献1に記載されている技術的事項及び引用発明1の認定」のC「この参照テーブル20は、後述するようにその内容をすべての利用者に対し公開することも好適であるが、一部の利用者にのみ限定して公開することも好ましい。」の記載からみて、引用文献1には、「文書ファイルを参照した者の個人情報である参照日情報およびその参照者名情報など」を一部の利用者にのみ限定して公開することについても記載されていると解される。
一方、参考文献1に、「アノテーションサーバ212は、与えられた端末ID、文書ID、矩形情報(詳細は後述する)、アノテーション内容、色、形状、ユーザID(あるいはユーザ名)、グループID、公開属性、時刻を、テーブルデータとしてアノテーションDB216に保存する。…(中略)…。公開属性は、たとえば、公開可能(制限なし)とする(=Pub)、あるグループ内だけに公開する(=Frd)、アノテーションを非公開(個人用)とする(=Prv)のうちの何れかをとるものとする。あるグループ内だけに公開する(Frd)場合には、公開対象のグループの情報(たとえばグループID)もアノテーションDB216に登録する。」(上記K参照)と記載されるように、公開属性を用いて、電子文書の付加情報について公開範囲を制限する旨の技術は本願出願時には周知技術であった。
してみると、引用発明1の「文書ファイルを参照した者の個人情報である参照日情報およびその参照者名情報など」を特定少数の人にしか属さないプライベートな情報として、特定少数の人のみに参照可能となるよう制限し、不特定多数の人に共通する「文書ファイルに関連すると共に前記文書ファイルを管理するための作成日情報およびその作成者名情報など」のパブリックな情報とは区別して管理すること、すなわち、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点2は格別なものではない。

(5-3)小括

上記で検討したごとく、相違点1ないし相違点2は格別のものではなく、そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本件補正発明は、上記引用発明1,2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。


3.むすび

以上のように、本件補正は、上記「2.独立特許要件」で指摘したとおり、補正後の請求項7に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本件審判請求の成否について

1.本願発明の認定

平成24年5月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項17に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年6月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項17に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「コンピュータが、コンテンツのデータのそれぞれと、前記コンテンツに対応付けられた前記コンテンツに関連する時間情報および当該時間情報の属性情報を含む付随データとを受信するコンテンツ受信装置であって、
前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを利用する不特定多数の人に共通するパブリック時間情報およびその属性情報との組と、前記コンテンツに関連すると共に前記コンテンツを取得して利用する特定少数の人にしか属さないプライベート時間情報およびその属性情報との組とを、前記付随データに含めて受信する
コンテンツ受信装置。」

2.引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献およびその記載事項は、前記「第2 平成24年5月22日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」の「(2)引用文献」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、前記「第2 平成24年5月22日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」で検討した本件補正発明から「音楽コンテンツまたはビデオコンテンツからなる」を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が、上記「第2 平成24年5月22日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」の「(3)参考文献1に記載されている技術的事項」乃至「(5)当審の判断」に記載したとおり、引用発明1,2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記特定の限定を省いた本願発明も同様の理由により、引用発明1,2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項17に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2013-07-24 
結審通知日 2013-07-30 
審決日 2013-08-21 
出願番号 特願2006-93061(P2006-93061)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長 由紀子  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 金子 幸一
仲間 晃
発明の名称 コンテンツ利用方法、コンテンツ利用装置、コンテンツ記録方法、コンテンツ記録装置、コンテンツ提供システム、コンテンツ受信方法、コンテンツ受信装置およびコンテンツデータフォーマット  
代理人 亀谷 美明  

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