ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
---|---|
管理番号 | 1281217 |
審判番号 | 不服2012-308 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-01-06 |
確定日 | 2013-11-06 |
事件の表示 | 特願2002-514579「ファイル共有で組み込まれたデータの使用」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月31日国際公開、WO02/08945、平成16年 2月19日国内公表、特表2004-505349〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2001年7月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年7月20日,米国、2000年12月21日,米国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の経緯は次のとおりである。 出願審査請求 平成20年7月4日 拒絶理由通知(起案日) 平成23年2月24日 意見書及び手続補正書(提出日) 平成23年6月1日 拒絶査定(起案日) 平成23年8月31日 同謄本送達(送達日) 平成23年9月9日 審判請求(提出日) 平成24年1月6日 手続補正書(提出日) 平成24年1月6日 前置報告書(作成日) 平成24年1月27日 審尋(起案日) 平成24年8月29日 回答書(提出日) 平成25年2月28日 2.平成24年1月6日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年1月6日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正 平成24年1月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項24は次のように補正された。 (本件補正後の特許請求の範囲) 「 【請求項1】 ファイル共有システムにおけるファイル共有を、組み込みデータを使用して制御する方法であって、 ユーザのコンピュータでファイル共有の為に指定されたファイルが転送されることを許容する前に、当該ファイルにおける上記組み込みデータの存在をチェックするステップと、 上記組み込みデータの発見に応じて、ユーザのコンピュータに当該組み込みデータに従って動作するように指示するステップと、 を含み、 上記ユーザのコンピュータは、上記組み込みデータと相互作用し、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有を制御し、 上記組み込みデータは、上記ファイルに含まれているコンテントを識別する識別子を含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、方法。 【請求項2】 上記組み込みデータは、上記ファイルを通じて連続的に組み込まれたデータを含んで構成され、 上記組み込みデータの発見に応じて、上記組み込みデータが上記ファイルを通じて存在することを確認し、ここに、上記ファイルを通じた組み込みデータの存在は、上記ファイルにウィルスがないことを示し、 上記確認の結果を表示する、請求項1記載の方法。 【請求項3】 上記組み込みデータは、コンテントに基づいて修正され、物真似に対する堅固性を改良するために暗号化されている、請求項1記載の方法。 【請求項4】 上記組み込みデータは、自動検索を容易にする、上記コンテントの識別子を含む、請求項1記載の方法。 【請求項5】 上記組み込みデータは、上記コンテントが共有し得るかを判定するデータを含む、請求項1記載の方法。 【請求項6】 上記組み込みデータは、上記ファイルのコンテントが共有し得るかを判定するデータを含む、請求項1記載の方法。 【請求項7】 上記組み込みデータは、上記ファイルのコンテントに組み込まれたウォータマークを備え、上記ウォータマークは、当該コンテントの範囲内で存続し、当該コンテントを解体せずに取り除くことが難しい、請求項1記載の方法。 【請求項8】 上記ファイルは、オーディオ・ファイルを含む、請求項7記載の方法。 【請求項9】 上記組み込みデータは、上記ファイルのコンテントに組み込まれたウォータマークを含み、 上記ウォーターマークは、当該コンテントの自動検索を容易にする、当該コンテントの識別子を含む、請求項1記載の方法。 【請求項10】 上記ユーザのコンピュータは、上記ファイルをファイル共有データベースに追加する前に、上記組み込みデータについて当該ファイルのコンテントを点検する、請求項1記載の方法。 【請求項11】 上記ユーザのコンピュータは、上記ファイルがアップロードされることを許容する前に、上記組み込みデータについて当該ファイルのコンテントを点検する、請求項1記載の方法。 【請求項12】 上記ユーザのコンピュータは、上記ファイルがダウンロードされることを許容する前に、上記組み込みデータについて当該ファイルのコンテントを点検する、請求項1記載の方法。 【請求項13】 組み込みデータを使用してファイル共有を制御する方法であって、 ファイル共有の為にファイルを開放する前に、当該ファイルにデータを組み込むステップと、 ユーザのコンピュータで上記ファイルが転送されることを許容する前に、上記ファイルにおける上記組み込みデータの存在をチェックするステップと、 上記組み込みデータに従って上記ユーザのコンピュータを作動させるステップと、 を含み、 上記ユーザのコンピュータは、上記組み込みデータと相互作用し、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有を制御し、 上記組み込みデータは、識別子を備えたデジタルウォーターマークを含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、方法。 【請求項14】 一以上の遠隔装置での共有に利用可能なファイルを検索可能なファイル共有クライアントと、 上記ファイルが上記一以上の遠隔装置から上記ファイル共有クライアントへ転送されることを許容する前に、組み込みデータの存在について上記ファイルをチェックし、及び上記ファイル共有クライアントに対し、上記組み込みデータに従って動作するように指示可能な組み込みデータ・デコーダと、 を備え、 上記組み込みデータは、識別子を備えたデジタルウォーターマークを含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、ファイル共有システム。 【請求項15】 請求項1の方法を実行するソフトウェアが保存された、コンピュータで読み取り可能な媒体。 【請求項16】 請求項13の方法を実行するソフトウェアが保存された、コンピュータで読み取り可能な媒体。 【請求項17】 上記組み込みデータは、上記ファイル共有クライアントが上記ファイルを転送することを禁止可能な制御情報を含む、請求項14記載のファイル共有システム。 【請求項18】 ファイル共有システムにおいてメディア・ファイルの使用を制御する方法であって、 上記ファイル共有システムのクライアントにおいて上記メディア・ファイルの指紋を計算するステップと、 上記指紋を使用してデータベースにおける関連情報をルックアップするステップであって、 上記指紋は、識別子を含み、 上記識別子は、上記メディア・ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づく上記メディア・ファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、ステップと、 上記関連情報と関連付けられた動作を実行するステップと、 上記指紋を使用して一以上の遠隔装置での共有に利用可能な上記メディア・ファイルを検索するステップと、 上記メディア・ファイルが上記一以上の遠隔装置から上記クライアントへ転送されることを許容する前に、組み込みデータの存在について当該ファイルをチェックするステップと、 上記クライアントに対し、上記組み込みデータに従って動作するように指示するステップと、 を含む、方法。 【請求項19】 上記動作は、関連するメディア・ファイルのリストを作成することを含む、請求項18記載の方法。 【請求項20】 上記動作は、上記メディア・ファイルの使用又は転送を追跡する為にイベントを記録することを含む、請求項18記載の方法。 【請求項21】 上記動作は、上記メディア・ファイルに関する使用制御規則又はライセンス情報を提供するサーバへの接続を確立することを含む、請求項18記載の方法。 【請求項22】 上記動作は、上記メディア・ファイルに関連したウェブ・ページにリンクさせることを含む、請求項18記載の方法。 【請求項23】 上記指紋は、上記メディア・ファイルのデータに基づいてハッシュを計算することによって上記メディア・ファイルから算出され、 算出されたハッシュは、実質的に独特の識別子である、請求項18記載の方法。 【請求項24】 上記ハッシュを計算することは、少なくとも上記メディア・ファイルのうち知覚関連部分を示す上記メディア・ファイルの一部のデータに基づいてハッシュを計算することを含む、請求項23記載の方法。」 (本件補正前の特許請求の範囲) 「 【請求項1】 ファイル共有システムにおけるファイル共有を、組み込みデータを使用して制御する方法であって、 ユーザのコンピュータでファイル共有の為に指定されたファイルにおける、上記組み込みデータの存在をチェックするステップと、 上記組み込みデータの発見に応じて、ユーザのコンピュータに当該組み込みデータに従って動作するように指示するステップと、 を含み、 上記ユーザのコンピュータは、上記組み込みデータと相互作用し、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有を制御し、 上記組み込みデータは、上記ファイルに含まれているコンテントを識別する識別子を含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、方法。 【請求項2】 上記組み込みデータは、上記ファイルを通じて連続的に組み込まれたデータを含んで構成され、 上記組み込みデータの発見に応じて、上記組み込みデータが上記ファイルを通じて存在することを確認し、ここに、上記ファイルを通じた組み込みデータの存在は、上記ファイルにウィルスがないことを示し、 上記確認の結果を表示する、請求項1記載の方法。 【請求項3】 上記組み込みデータは、コンテントに基づいて修正され、物真似に対する堅固性を改良するために暗号化されている、請求項1記載の方法。 【請求項4】 上記組み込みデータは、自動検索を容易にする、上記コンテントの識別子を含む、請求項1記載の方法。 【請求項5】 上記組み込みデータは、上記コンテントが共有し得るかを判定するデータを含む、請求項1記載の方法。 【請求項6】 上記組み込みデータは、上記ファイルのコンテントが共有し得るかを判定するデータを含む、請求項1記載の方法。 【請求項7】 上記組み込みデータは、上記ファイルのコンテントに組み込まれたウォータマークを備え、上記ウォータマークは、当該コンテントの範囲内で存続し、当該コンテントを解体せずに取り除くことが難しい、請求項1記載の方法。 【請求項8】 上記ファイルは、オーディオ・ファイルを含む、請求項7記載の方法。 【請求項9】 上記組み込みデータは、上記ファイルのコンテントに組み込まれたウォータマークを含み、 上記ウォーターマークは、当該コンテントの自動検索を容易にする、当該コンテントの識別子を含む、請求項1記載の方法。 【請求項10】 上記ユーザのコンピュータは、上記ファイルをファイル共有データベースに追加する前に、上記組み込みデータについて当該ファイルのコンテントを点検する、請求項1記載の方法。 【請求項11】 上記ユーザのコンピュータは、上記ファイルがアップロードされることを許容する前に、上記組み込みデータについて当該ファイルのコンテントを点検する、請求項1記載の方法。 【請求項12】 上記ユーザのコンピュータは、上記ファイルがダウンロードされることを許容する前に、上記組み込みデータについて当該ファイルのコンテントを点検する、請求項1記載の方法。 【請求項13】 組み込みデータを使用してファイル共有を制御する方法であって、 ファイル共有用のファイルを開放する前に、ファイルにデータを組み込むステップと、 ユーザのコンピュータで上記ファイルにおける上記組み込みデータの存在をチェックするステップと、 上記組み込みデータに従って上記ユーザのコンピュータを作動させるステップと、 を含み、 上記ユーザのコンピュータは、上記組み込みデータと相互作用し、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有を制御し、 上記組み込みデータは、識別子を備えたデジタルウォーターマークを含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、方法。 【請求項14】 一以上の遠隔装置での共有に利用可能なファイルを検索可能なファイル共有クライアントと、 組み込みデータの存在について上記ファイルをチェックし、及び上記ファイル共有クライアントに対し、上記組み込みデータに従って動作するように指示可能な組み込みデータ・デコーダと、 を備え、 上記組み込みデータは、識別子を備えたデジタルウォーターマークを含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、ファイル共有システム。 【請求項15】 請求項1の方法を実行するソフトウェアが保存された、コンピュータで読み取り可能な媒体。 【請求項16】 請求項13の方法を実行するソフトウェアが保存された、コンピュータで読み取り可能な媒体。 【請求項17】 上記組み込みデータは、上記ファイル共有クライアントが上記ファイルを転送することを禁止可能な制御情報を含む、請求項14記載のファイル共有システム。 【請求項18】 ファイル共有システムにおいてメディア・ファイルの使用を制御する方法であって、 上記ファイル共有システムのクライアントにおいて上記メディア・ファイルの指紋を計算するステップと、 上記指紋を使用してデータベースにおける関連情報をルックアップするステップであって、 上記指紋は、識別子を含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、ステップと、 上記関連情報と関連付けられた動作を実行するステップと、 を含む、方法。 【請求項19】 上記動作は、関連するメディア・ファイルのリストを作成することを含む、請求項18記載の方法。 【請求項20】 上記動作は、上記メディア・ファイルの使用又は転送を追跡する為にイベントを記録するステップを備える、請求項18記載の方法。 【請求項21】 上記動作は、上記メディア・ファイルに関する使用制御規則又はライセンス情報を提供するサーバへの接続を確立することを含む、請求項18記載の方法。 【請求項22】 上記動作は、上記メディア・ファイルに関連したウェブ・ページにリンクさせることを含む、請求項18記載の方法。 【請求項23】 上記指紋は、上記メディア・ファイルのデータに基づいてハッシュを計算することによって上記メディア・ファイルから算出され、 算出されたハッシュは、実質的に独特の識別子である、請求項18記載の方法。 【請求項24】 上記ハッシュを計算することは、少なくとも上記メディア・ファイルのうち知覚関連部分を示す上記メディア・ファイルの一部のデータに基づいてハッシュを計算することを含む、請求項23記載の方法。」 (2)本件補正における新規事項追加についての判断 ア.本件補正前の請求項1(以下、「補正前請求項1」などと呼ぶ。)の「ファイルにおける、上記組み込みデータの存在をチェックするステップ」を本件補正後の請求項1(以下、「補正後請求項1」などと呼ぶ。)の「ファイルが転送されることを許容する前に、当該ファイルにおける上記組み込みデータの存在をチェックするステップ」とする補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0054】の「ネットワーク・アーキテクチャ内のファイル共有処理の一部として、ファイルを送るか受け取る前に、クライアントは、ファイル転送ステータスをチェックし、そのファイルが転送されるのに正しく、かつ完全であるか否かを決定する。」との記載や、同図3のステップ304から308の順序で記載されたステップ304の「組み込まれたデータの検知及び読み取り」、ステップ306の「ID,CCIファイル共有フラグ等」の返送、ステップ308の「組み込まれたデータの動作(例えば転送禁止、正しいサーバへの接続など)」等の記載の範囲内においてしたものと認められる。 イ.補正前請求項13の「ファイル共有用のファイルを開放する前に、ファイルにデータを組み込む」を補正後請求項13の「ファイル共有の為にファイルを開放する前に、当該ファイルにデータを組み込む」とする補正、補正前請求項13の「ファイルにおける上記組み込みデータの存在をチェックする」を補正後請求項13の「ファイルが転送されることを許容する前に、上記ファイルにおける上記組み込みデータの存在をチェックする」とする補正は、前記補正後請求項1で言及した補正と同様に願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」と呼ぶ。)に記載した事項の範囲内においてしたものと認められる。 ウ.補正前請求項14の「組み込みデータの存在について上記ファイルをチェックし」を補正後請求項14の「上記ファイルが上記一以上の遠隔装置から上記ファイル共有クライアントへ転送されることを許容する前に、組み込みデータの存在について上記ファイルをチェックし」とする補正は、前記補正後請求項1で言及した補正と同様に当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものと認められる。 エ.補正前請求項18に、補正後請求項18の「上記指紋を使用して一以上の遠隔装置での共有に利用可能な上記メディア・ファイルを検索するステップと、上記メディア・ファイルが上記一以上の遠隔装置から上記クライアントへ転送されることを許容する前に、組み込みデータの存在について当該ファイルをチェックするステップと、上記クライアントに対し、上記組み込みデータに従って動作するように指示するステップと、」なる事項を加える補正は、前記当初明細書等の段落【0054】の記載、段落【0074】、当初明細書等の請求項28の記載の範囲内においてしたものと認められる。 したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。 (3)本件補正における補正の目的についての判断 前記(2)のア.?ウ.の補正は、補正前の請求項1、13、14の「組み込みデータの存在」、「チェック」に係る事項に対して、それぞれ、「ファイルが転送されることを許容する前に、当該ファイルにおける」、「ファイルが転送されることを許容する前に、上記ファイルにおける」、「上記ファイルが上記一以上の遠隔装置から上記ファイル共有クライアントへ転送されることを許容する前に、」(下線部)の構成を追加するものであり、この補正は、補正前の請求項1、13、14の発明特定事項に対して限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)(以下、「限定的減縮」と記す。)を目的としたものと認められる。 前記(2)のエ.の前記事項を加える補正は、限定を加える補正であるが、補正前の発明を特定するために必要な事項の何れの事項にも限定を加えるものではないから、特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的としたものと認めることはできない。また、前記(2)のエ.の前記事項を加える補正が、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明に該当するものでないことは明らかである。 補正後請求項1の「おける上記」、補正後請求項13の「共有の為にファイルを開放する前に、当該」、補正後請求項17の「記メディア・ファイル」、補正後請求項20の「記録することを含む」とする補正は、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的としたものと認められる。 よって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的としたものでない補正を含むので、全体としてみれば、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合してなされたものであると認めることはできない。 したがって、本件手続補正の目的は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。 (4)独立特許要件についての判断 前記したとおり、本件補正は限定的減縮を目的としたものでないものを含むものであるが、請求項1に係る補正は、限定的減縮を目的としたものであるので、本件補正後の前記請求項1に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (4.1)本件補正発明 本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。(再掲する。) 「ファイル共有システムにおけるファイル共有を、組み込みデータを使用して制御する方法であって、 ユーザのコンピュータでファイル共有の為に指定されたファイルが転送されることを許容する前に、当該ファイルにおける上記組み込みデータの存在をチェックするステップと、 上記組み込みデータの発見に応じて、ユーザのコンピュータに当該組み込みデータに従って動作するように指示するステップと、 を含み、 上記ユーザのコンピュータは、上記組み込みデータと相互作用し、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有を制御し、 上記組み込みデータは、上記ファイルに含まれているコンテントを識別する識別子を含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、方法。」 (4.2)引用刊行物 (4.2.1)引用文献1 原審の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平9-160899号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図1?図5とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審において付与したものである。) ア.「【0004】本発明は前記問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、提供する情報本体に加えて制御情報を付加したものを提供情報に加えることで、提供される情報の利用促進或いは不正利用や不正コピーの阻止などの制御を可能にすることができる情報サービス処理装置を提供することである。 【0005】本発明の第2の目的は、提供される情報についての厳密な利用者管理を可能にし、提供した情報本体の利用管理が正しく行なうことがきる情報サービス処理装置を提供することである。 …(中略)… 【0007】本発明の第4の目的は、情報利用者としての立場にある者が情報提供者になり得るような、多様な情報本体のプレゼンテーションが行なえるようにした情報サービス処理装置を提供することである。」 イ.「【0008】 【課題を解決するための手段】 ・・・(中略)・・・ 【0011】また、情報本体を複数の本体情報領域に分割し、それぞれの本体情報領域に対して定義しまた種々の態様にわたる制御を行なう複数の付加データと、これら複数の付加データの目次とも言える領域データとを情報本体に付属させて成る情報を情報サービス単位とした場合には、領域管理部が利用中の情報が分割された情報本体のうちどの本体情報領域であるかを管理する。 【0012】したがって、本発明によれば、通信接続部を介して情報提供者から提供された情報は、利用者の記憶装置またはファイル装置に格納を許されているかどうかを制御部においてチェックし、格納が許されてない場合には情報本体を制御するための分割された情報本体の領域データおよび領域の付加データのみを記憶装置に格納する。領域データおよび付加データに引き続いて転送されてくる情報本体部は、記憶装置やファイル装置に格納される事なく、情報利用部を介して端末周辺機部に送られオンラインリアルタイム利用やインタラクティブな利用または情報のプレイバック等のかたちで利用者に提供される。この場合情報の利用形態は記憶装置に格納された領域データおよび付加データ部で規定され、その規定に基づいて領域制御部・著作権情報管理部・利用管理部・情報利用部・端末周辺機部が正しく情報提供を制御する。提供された情報の格納が許されている場合には、情報はいったんファイル装置に格納される。利用者が情報を利用する場合には、制御部が情報の属性データと領域データと領域の付加データをファイル装置から記憶装置に読み出す。続いて制御部は利用者の利用目的や利用形態が、属性データや領域データや付加データに示された情報提供者規定の条件に合致しているかどうかをチェックするために処理装置全体を制御して、正しい利用である場合にはファイル装置の情報本体部を領域管理部の制御にしたがって順次読み出し、情報利用部を経由して端末周辺機部で利用者に情報提供する。」 ウ.「【0015】また、前記情報サービス処理装置には、端末周辺機部とファイル装置との間に接続された情報生成部をさらに備えることができ、この情報生成部により、付加データを持たないオリジナルな原情報に対して、前記情報生成部において領域付加データ列の枠組みを自動的に生成し、記憶装置に付加データ付きの新たな一つの情報サービス単位の提供可能な情報枠組みを作成するようにすることができる。情報生成部は、本システムで扱われると同等の情報形式を生成し、本処理装置の利用者自らが情報提供者として情報生成部で作成した情報をネットワークを通じて他者に送信することができようにする。さらにこの場合において、情報のコピーや改ざんを禁じたり、利用者を制限したり、暗号化によって情報の安全を図ったり、課金情報として提供したりすることができる。」 エ.「【0053】図2は情報提供者から提供される一つの情報サービス単位20の構成を示したもので、外部から提供される分割された本体情報領域(1)27から本体情報領域(N)28までのN個の領域から構成される情報本体24と、それぞれの本体情報領域に対応する領域付加データ(1)25から領域付加データ(N)26のN個の領域付加データで構成される付加データ23と、付加データ23のアドレスポインタを持った領域データ22と、情報本体24の全体の属性を示す属性データ21とから構成されている。 【0054】図3は、図2の領域データ22の構成を示したものである。・・・ 【0055】図4は、・・・i番目の領域付加データ40を例・・・ 【0056】次に本実施の形態の動作を説明する。ネットワークに接続された通信接続部2を経由して情報提供者から送られてくる一つの情報サービス単位としての情報のうち、属性データ21と領域データ22と付加データ23は記憶装置7に取り込まれる。属性データ21には情報本体24を記憶装置に格納して良いか否かが記されていて、格納が許されている場合には付加データ23に引き続いて送られてくる情報本体24を含める全情報を記憶装置7またはファイル装置8に格納する。格納が許されてない場合には、情報利用は実時間でのたれながし型の利用になるので、情報本体24は通信接続部2から直接情報利用部9に転送される。制御部3と領域管理部4は転送されてくる情報本体と記憶装置7に格納された領域データ22および付加データ23を監視しながら実行中の情報本体の領域を実時間で把握し、該当する付加データ23のうちの領域付加データを特定する。制御部3と著作権情報管理部5と利用管理部6は、前記特定された領域付加データ40を参照し、詳細機能41?68にしたがって情報利用部9に転送されてくる情報本体24の情報を制御しながら端末周辺機部10に情報を転送し、利用者に情報サービスを実施する。 【0057】記憶装置に格納が許されている場合には、いったん記憶装置またはファイル装置に全情報が格納された後、利用者が利用する場合に制御部3の指示により属性データ21と領域データ22と付加データ23が記憶装置7にロードされる。制御部3と領域管理部4の管理の下でファイル装置から呼び出された情報本体24は情報利用部9に順次転送されてゆくが、以降の動作は前述の場合と同等である。ただしこの場合には蓄積型の情報利用が可能である・・・ ・・・(中略)・・・ 【0068】コピー可否情報58は、該領域の本体情報のコピーを許すか否かを規定する。・・・コピー条件の二つ目の規定は、情報本体のコピーだけでなく領域付加データ40を付けてコピーするか否かを指定する。 ・・・(中略)・・・ 【0070】・・・ネットワーク再転送の可否63は、情報サービスとして提供された情報を、利用者がネットワークに再転送できるか否かを規定制御する。転送可の指定があれば利用者がその情報本体をネットワークに再転送して良いが、転送否の指定があれば利用者はネットワークに情報を再転送することはできない。・・・ ・・・(中略)・・・ 【0073】改ざん防止情報67は、この領域の本体情報と領域付加データ40のそれぞれに改ざんを検出する例えばサムチェック等の情報を生成して付与したものである。特に領域付加データ40の改ざんは不正利用につながるもので、この場合には情報廃棄処理を行なう。」 オ.「【0075】制御部3は、利用者からの指示等で複数領域の合成表示が必要な場合には、領域管理部4と利用管理部6に対して領域情報合成の指示をだす。利用管理部6は情報利用部9に対して複数領域の合成制御指示を出し、領域管理部4は定められた複数領域の領域付加データ40を記憶装置7に読みだし、該領域付加データ40を参照しながら利用管理部は複数領域の本体情報を順次読み出す。読み出された情報は情報利用部9において定められた合成処理を行いながら、利用者への提示のために端末周辺機部10に合成情報の送出を行なう。例えば100シーン100領域からなる1時間の映画において、検索モードを作りディスプレイ上に一時に20画面の動画を縮小合成して表示すれば、5回の切り替えで1時間の映画をわずか1、2分でチェックすることができる。また、情報がドキュメントの場合には1ぺージ1領域の設定がしてあれば複数領域を一画面に表示して効率的なイメージ検索ができる。いずれの場合も領域付加データ40にしたがって各領域のプレイバックがなされるので利用条件に合致しない領域が表示されることはない。」 カ.「【0077】図5は本発明の第2の実施の形態に係るの情報サービス処理装置の構成を示す図である。この情報サービス処理装置は、図1に示す第1の実施の形態と同様に、・・・(中略)・・・そして、この第2の実施の形態では、上記各種機能部に加え、情報生成部11を備えており、利用者が自ら本システムで利用し或いは他人に提供する情報を作成することができるようになっている。この情報生成部11は端末周辺機部10に接続され、また記憶装置7およびファイル装置に接続されてデータの書き込みおよび読み出しができるようになっている。さらに、情報生成部11は制御部3に接続されて動作制御されるようになっている。 【0078】かかる構成において、情報生成部11は、利用者が自ら本システムで利用できる情報を作成する場合に、端末周辺機部10から利用者が作成したオリジナルな情報本体を読み込み、領域設定にしたがって本システムに適合する一つの情報サービス単位20、属性データ21、領域データ22、付加データ23、情報本体24、付加領域データ40の枠組みを生成するものである。これによって情報の利用者は電子メールを作成して送信するように、自ら情報提供者となって第三者に情報サービスをすることができる。著作権設定や利用条件設定、課金設定、コピー制御の設定等々も設定することができるから、情報提供サービスのプロでなくても高度な情報サービスができる。個人商店主が自らの顧客に対して情報サービスしたりPR情報を提供したり、個人が自分の持つ情報をそれを必要とする不特定多数にネットワークを通じて販売するといった利用が可能である。もちろん、他者から得た情報を不正に利用して自らの情報として送出する等の不正利用はできないようになっているのはすでに述べた通りである。 【0079】以上、各実施の形態において説明したように、本発明ではネットワークNに接続された端末周辺機部10の保有者全員が情報の利用者であると同時に情報の提供者たりうるようなネットワーク社会の実現を可能とする。」 上記ア.?カ.の記載から、次のことがいえる。 (ア)図1、図5の如き、ファイル装置を有する情報サービス処理装置がネットワークで接続されたシステムは、「ファイル装置を有する情報サービス処理装置」がネットワークで接続された「ファイル」を利用者が「利用」する「システム」とみることができる。 そして、イ.の「利用者が情報を利用する場合には、制御部が情報の属性データと領域データと領域の付加データをファイル装置から記憶装置に読み出す。続いて制御部は利用者の利用目的や利用形態が、属性データや領域データや付加データに示された情報提供者規定の条件に合致しているかどうかをチェックするために処理装置全体を制御」するとの記載から、「ファイル利用を、属性データ、領域データ、付加データを使用して制御する方法」をよみとることができる。 よって「ファイル装置を有する情報サービス処理装置のファイル利用システムにおけるファイル利用を、属性データ、領域データ、付加データを使用して制御する方法」をよみとることができる。 (イ)ア.の「情報サービス処理装置」、「情報利用者としての立場にある者が情報提供者になり得る」、イ.の「情報提供者」、「利用者に提供」、ウ.の「利用者自らが情報提供者」との記載から、利用者の間での情報提供は、情報利用のためであるとみることができ、引用文献1のものにおいて行われる動作は、「ファイル利用の為に」行われる動作であるとみることができ、「利用者の情報サービス処理装置でファイルの為に」の事項をよみとることができる。次いで、エ.の、属性データ、領域データ、付加データに係る「転送可の指定」をし、「コピー条件の二つ目の規定は、情報本体のコピーだけでなく領域付加データ40を付けてコピーするか否かを指定」するとの記載から、「利用者の情報サービス処理装置でファイル利用の為に(属性データ、領域データ、付加データにより)指定されたファイル」をよみとることができる。 また、イ.の「利用者が情報を利用する場合には、制御部が情報の属性データと領域データと領域の付加データをファイル装置から記憶装置に読み出す。続いて制御部は利用者の利用目的や利用形態が、属性データや領域データや付加データに示された情報提供者規定の条件に合致しているかどうかをチェックするために処理装置全体を制御」するとの記載から、「当該ファイルにおける上記属性データ、領域データ、付加データをチェックする」ことをよみとることができる。 そして、エ.の「ネットワーク再転送の可否63は、情報サービスとして提供された情報を、利用者がネットワークに再転送できるか否かを規定制御する。転送可の指定があれば利用者がその情報本体をネットワークに再転送して良い」との記載における「再転送」は、改ざんの有無の検出を含む「当該ファイルにおける上記属性データや領域データや付加データをチェック」の後の正しい場合におけるものであるから、「指定されたファイルがネットワーク再転送されることの指定により前記転送が許容される前に」の事項をよみとることができる。 よって、「利用者の情報サービス処理装置でファイル利用の為に(属性データ、領域データ、付加データにより)指定されたファイルがネットワーク再転送されることの指定により前記転送が許容される前に、当該ファイルにおける上記属性データ、領域データ、付加データをチェックするステップ」をよみとることができる。 (ウ)ア.の「提供する情報本体に加えて制御情報を付加したものを提供情報に加える」、カ.の「本システムに適合する一つの情報サービス単位20、属性データ21、領域データ22、付加データ23、情報本体24、付加領域データ40の枠組みを生成する」、エ.の「情報本体と記憶装置7に格納された領域データ22および付加データ23を監視しながら実行中の情報本体の領域を実時間で把握し、該当する付加データ23のうちの領域付加データを特定」、「特定された領域付加データ40を参照し、詳細機能41?68にしたがって情報利用部9に転送されてくる情報本体24の情報を制御」との記載から、「上記属性データ、領域データ、付加データに応じて、利用者の情報サービス処理装置に当該属性データ、領域データ、付加データに従って制御(動作)するように指示するステップ」をよみとることができる。 (エ)イ.の「制御部は利用者の利用目的や利用形態が、属性データや領域データや付加データに示された情報提供者規定の条件に合致しているかどうかをチェックするために処理装置全体を制御して、正しい利用である場合にはファイル装置の情報本体部を領域管理部の制御にしたがって順次読み出」すとの記載から、「上記利用者の情報サービス処理装置は、上記属性データ、領域データ、付加データと相互作用し、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用を制御し」の事項をよみとることができる。 (オ)オ.の「複数領域の領域付加データ40を記憶装置7に読みだし、該領域付加データ40を参照しながら利用管理部は複数領域の本体情報を順次読み出す」との記載、及び図4の「領域付加データ(i)」と「本体情報領域(i)開始アドレス」及び「本体情報領域(i)終了アドレス」の記載から、「属性データ、領域データ、付加データは、上記ファイルに含まれている本体情報領域を識別する識別子(領域付加データ(i))を含み」をよみとることができる。 (カ)エ.の「本体情報領域(1)27から本体情報領域(N)28までのN個の領域から構成される情報本体24」(図2の情報サービス単位の構成参照)からN個のエントリーをよみとることができる。また、前記(オ)の「領域付加データ(i)」は本体情報領域(i)に対するインデックスとして機能していることをよみとることができることをふまえれば、「上記識別子(領域付加データ(i))は、上記ファイルに関する情報を有する情報サービス単位のエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし」の事項をよみとることができる。 (キ)前記(カ)において、「上記情報サービス単位は、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用に利用可能なファイルを示す」ことは明らかである。 以上の(ア)ないし(キ)をふまえると、引用文献1には、提供する情報本体に加えて制御情報を付加したものを提供情報に加えることで、提供される情報の利用促進或いは不正利用や不正コピーの阻止などの制御を可能にすること(ア.参照)を目的とした次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が示されている。 「ファイル装置を有する情報サービス処理装置のファイル利用システムにおけるファイル利用を、属性データ、領域データ、付加データを使用して制御する方法であって、 利用者の情報サービス処理装置でファイル利用の為に(属性データ、領域データ、付加データにより)指定されたファイルがネットワーク再転送されることの指定により前記転送が許容される前に、当該ファイルにおける上記属性データ、領域データ、付加データをチェックするステップと、 上記属性データ、領域データ、付加データに応じて、利用者の情報サービス処理装置に当該属性データ、領域データ、付加データに従って制御(動作)するように指示するステップと、 を含み、 上記利用者の情報サービス処理装置は、上記属性データ、領域データ、付加データと相互作用し、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用を制御し、 上記属性データ、領域データ、付加データは、上記ファイルに含まれている本体情報領域を識別する識別子(領域付加データ(i))を含み、 上記識別子(領域付加データ(i))は、上記ファイルに関する情報を有する情報サービス単位のエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記情報サービス単位は、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用に利用可能なファイルを示す、方法。」 (4.2.2)引用文献2 原審の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「ASP NetWareユーザベーシック,富士通株式会社,1994年5月31日,エディション93 第1版,第5頁」(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 「ネットワーク上で情報はどのように保護されるのか? ・・・ネットワーク上のすべての情報は,中心ともいえるファイルサーバのハードディスクに記録されます.・・・(中略)・・・ ・ディレクトリやファイルに割り当てられる属性 ・・・(中略)・・・ファイルに共有できるかどうかの属性を割り当てることもできます.」(5頁1行?17行) (4.2.3)引用文献3 原審の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「瓜生宏司他1名著『レコード産業における音源データベースとネットワーク流通』,情報処理学会研究報告,日本,社団法人情報処理学会 Information Processing Society of Japan,Vol.98 No.85,第107-108,110頁(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 a.「2.4 特 徴 ・・・(中略)・・・ ・各レコード会社が構築するDBをバーチャルに統合した分散型のシステムであり、レコード会社各々の意志により配信をコントロールすることが可能。 ・音源データなどの各種情報の検索,及び使用実態の管理などにおいては、単一の「共通ID」(=ISRC)をキーコードとして使用する。 ・・・(中略)・・・ 本システムでは、音源データなどの各種情報の検索,及び使用実態の管理などにおける共通IDとして、「ISRC」を使用する。 これは、高度化するデジタルのインフラの中で音楽コンテンツが利用・流通されていくに当たって、その権利が適正に管理されることを目的に制定された音楽レコーディングのIDコードである。」(108頁左欄8行?31行) b.「一つは、送信されるデジタル・コンテンツのパケット・ヘッダーなどのフィールドにISRCデータを入れて伝達する方法。 ・・・(中略)・・・ そして三つ目は、「電子透かし」を使ってISRCを伝達する方法である。」 (110頁左欄6行?19行) c.図2には、「総合音楽DBを利用したネットワーク流通の概念」が、図3には、「ISRCの構成」が示されている。 (4.2.4)引用文献4 原審の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平11-88852号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 あ.「【0010】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明の暗号メッセージ付画像送信装置は、キーワードに対応するWatermark(ウォータマーク;電子透かし)を発生させ、暗号化して埋め込みたい文字情報を前記Watermarkと合成して画像データに埋め込むウォータマーク(Watermark)処理手段と、前記文字情報が埋め込まれた画像を送信する手段と、を有する。 【0011】本発明の暗号メッセージ付画像受信装置は、Watermark(ウォータマーク;電子透かし)の埋め込まれた画像を受信し、キーワードに対応する前記Watermarkとの演算によって埋め込まれた文字情報を復元するウォータマーク(Watermark)処理手段を有する。」 い.「【0012】・・・受信した画像データにWatermarkが含まれているかどうか判別する手段と、Watermarkの有無を表示する手段と、を有する。」 (4.3)対比 本件補正発明と引用文献1発明とを対比する。 A.ファイルを「共有」することは、ファイルを「利用」することの一種であると解されるから、本件補正発明の「ファイル共有システムにおけるファイル共有」は、上位概念では「ファイル利用システムにおけるファイル利用」であるということができる。 また、引用文献1発明の「属性データ、領域データ、付加データ」と、本件補正発明の「組み込みデータ」とは、ファイルや制御に関連するデータすなわち「関連データ」である点で共通する。 よって、引用文献1発明の「ファイル装置を有する情報サービス処理装置のファイル利用システムにおけるファイル利用を、属性データ、領域データ、付加データを使用して制御する方法」と、本件補正発明の「ファイル共有システムにおけるファイル共有を、組み込みデータを使用して制御する方法」とは、「ファイル利用システムにおけるファイル利用を、関連データを使用して制御する方法」である点で共通する。 なお、本件補正発明において、前記A.の特定事項以降の特定事項にも「ファイル共有システム」「ファイル共有」「組み込みデータ」が記載されているが、これらの特定事項についても、前記A.の言及と同様の言及を引用するものとする。 B.引用文献1発明の「利用者の情報サービス処理装置」と本件補正発明の「ユーザのコンピュータ」とに技術的な差異はなく、引用文献1発明の「ネットワーク再転送」は転送の下位概念であるから本件補正発明の「転送」と差異はなく、引用文献1発明の「上記属性データ、領域データ、付加データをチェックする」は、「関連データの存在をチェックする」とまではいえないまでも、上位概念では「関連データをチェック」しているとみることができ、本件補正発明の「組み込みデータの存在をチェックする」ことは、上位概念では「関連データをチェックする」こととみることができる。 これらをふまえると、引用文献1発明の「利用者の情報サービス処理装置でファイル利用の為に(属性データ、領域データ、付加データにより)指定されたファイルがネットワーク再転送されることの指定により前記転送が許容される前に、当該ファイルにおける上記属性データ、領域データ、付加データをチェックするステップ」と、本件補正発明の「ユーザのコンピュータでファイル共有の為に指定されたファイルが転送されることを許容する前に、当該ファイルにおける上記組み込みデータの存在をチェックするステップ」とは、「ユーザのコンピュータでファイル利用の為に指定されたファイルが転送されることを許容する前に、当該ファイルにおける上記関連データをチェックするステップ」である点で共通する。 C.引用文献1発明の「上記属性データ、領域データ、付加データに応じて」は、「上記関連データの発見に応じて」とまではいえないまでも、上位概念では「上記関連データに応じて」とみることができ、本件補正発明の「上記組み込みデータの発見に応じて」も、上位概念では「上記関連データに応じて」とみることができる。 よって、引用文献1発明の「上記属性データ、領域データ、付加データに応じて、利用者の情報サービス処理装置に当該属性データ、領域データ、付加データに従って制御(動作)するように指示するステップ」と、本件補正発明の「上記組み込みデータの発見に応じて、ユーザのコンピュータに当該組み込みデータに従って動作するように指示するステップ」とは、「上記関連データに応じて、ユーザのコンピュータに当該関連データに従って動作するように指示するステップ」である点で共通する。 D.引用文献1発明の「上記利用者の情報サービス処理装置は、上記属性データ、領域データ、付加データと相互作用し、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用を制御し」と、本件補正発明の「上記ユーザのコンピュータは、上記組み込みデータと相互作用し、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有を制御し」とは、「上記ユーザのコンピュータは、上記関連データと相互作用し、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用を制御し」で共通する。 E.引用文献1発明の「上記ファイルに含まれている本体情報領域を識別する識別子(領域付加データ(i))」は、「コンテント」を識別するとまではいえないまでも「上記ファイルに含まれている情報」を識別するとみることができ、本件補正発明の「上記ファイルに含まれているコンテントを識別する識別子」も、上位概念では「上記ファイルに含まれている情報を識別する識別子」とみることができる。 よって、引用文献1発明と本件補正発明とは、「上記関連データは、上記ファイルに含まれている情報を識別する識別子を含」むものである点で共通する。 F.引用文献1発明の「情報サービス単位のエントリ」は、データベースのエントリとまではいえないまでも「情報のエントリ」とみることができ、本件補正発明の「データベースのエントリ」も、上位概念では「情報のエントリ」とみることができる。 よって、引用文献1発明の「上記識別子(領域付加データ(i))は、上記ファイルに関する情報を有する情報サービス単位のエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし」と、本件補正発明の「上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし」とは、「上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有する情報のエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし」で共通する。 G.本件補正発明の「データベース」については前記F.での言及を引用する。 よって、引用文献1発明の「上記情報サービス単位は、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用に利用可能なファイルを示す」ことと、本件補正発明の「上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す」こととは、「上記情報は、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用に利用可能なファイルを示す」ことである点で共通する。 以上の対比によれば、本件補正発明と引用文献1発明とは、次の点で一致し、そして相違する。 〈一致点〉 ファイル利用システムにおけるファイル利用を、関連データを使用して制御する方法であって、 ユーザのコンピュータでファイル利用の為に指定されたファイルが転送されることを許容する前に、当該ファイルにおける上記関連データをチェックするステップと、 上記関連データに応じて、ユーザのコンピュータに当該関連データに従って動作するように指示するステップと、 を含み、 上記ユーザのコンピュータは、上記関連データと相互作用し、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用を制御し、 上記関連データは、上記ファイルに含まれている情報を識別する識別子を含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有する情報のエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記情報は、上記ファイル利用システムにおけるファイル利用に利用可能なファイルを示す、方法。 〈相違点1〉 ファイル「利用」システム、ファイル「利用」に関して、それぞれの関係するステップが、本件補正発明においては、ファイル「共有」システム、ファイル「共有」であるのに対し、引用文献1発明における「利用」は「共有」であるか不明である点。 〈相違点2〉 それぞれの関係するステップにおける「関連データ」が、本件補正発明は「組み込みデータ」であるのに対し、引用文献1発明は「属性データ、領域データ、付加データ」である点。 〈相違点3〉 関連データをチェックするステップが、本件補正発明は、組み込みデータ「の存在」をチェックするものであるのに対し、引用文献1発明はそのようであるか不明である点。 〈相違点4〉 指示するステップに関し、本件補正発明が、組み込みデータ「の発見」に応じて、とされているのに対し、引用文献1発明はそのようであるか不明である点。 〈相違点5〉 ファイルに含まれている「情報」を識別する識別子が、本件補正発明は、「コンテント」を識別する識別子であるのに対し、引用文献1発明はそのようであるか不明である点。 〈相違点6〉 本件補正発明においては、「情報」のエントリが「データベース」のエントリであり、かつ、ファイル利用システムにおけるファイル利用に利用可能なファイルを示す「情報」が「データベース」であるのに対し、引用文献1発明はそのようであるか不明である点。 (4.4)当審の判断 〈相違点1〉について 引用文献2には、ネットワーク上で情報をどのように保護されるかに関し、ファイルに共有できるかどうかの属性を割り当てる技術が示されている。 してみれば、引用文献1発明において、ファイル「利用」システム、ファイル「利用」に関して、それぞれ、ファイル「共有」システム、ファイル「共有」と成すことは、前記共有の技術を参酌することにより、当業者が容易になし得ることである。 〈相違点2〉について 引用文献3には、「共通ID」(=ISRC)は、権利が適正に管理されることを目的に制定された音楽レコーディングのIDコードであり、「電子透かし」を使ってISRCを伝達することが記載されており、「共通ID」に電子透かしを使った「組み込みデータ」に相当する事項をよみとることができる。また、引用文献4には、キーワードに対応するWatermark(ウォータマーク;電子透かし)を発生させ、暗号化して埋め込みたい文字情報を前記Watermarkと合成して画像データに埋め込むウォータマーク(Watermark)処理技術が記載されており、電子透かしを埋め込む(組み込む)ことにより構成された「組み込みデータ」に相当する事項が記載されている。 してみれば、引用文献1発明において、それぞれの関係するステップにおける「関連データ」を「組み込みデータ」とすることは、引用文献1発明の「属性データ、領域データ、付加データ」に前記電子透かしの技術を参酌して適用することにより、当業者が容易になし得ることである。 〈相違点3〉について 引用文献4の「い.」には、「Watermarkが含まれているかどうか判別する」ことが記載されており、この含まれているかどうかの判別は、組み込みデータ「の存在」をチェックすることに相当する技術であるといえる。 してみれば、引用文献1発明において、関連データをチェックするステップを、組み込みデータ「の存在」をチェックするステップとすることは、前記技術を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。 〈相違点4〉について 引用文献4の「い.」には、「Watermarkが含まれているかどうか判別する」ことと、「Watermarkの有無を表示する」ことが記載されており、「有無」のうち「有」の判別は、組み込みデータ「の発見」に相当すると解される。 してみれば、引用文献1発明において、指示するステップに関し、組み込みデータ「の発見」に応じて、とすることは、前記技術を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。 〈相違点5〉について 引用文献3には、「DB」(データベース)、「音源データなどの各種情報の検索,及び使用実態の管理などにおいては、単一の『共通ID』(=ISRC)をキーコードとして使用する」、「これ(ISRC)は、高度化するデジタルのインフラの中で音楽コンテンツ(コンテント)が利用・流通されていくに当たって、その権利が適正に管理されることを目的に制定された音楽レコーディングのIDコード(識別子)である」との記載がなされている。 また、コンテント(コンテンツ)識別のため、コンテントとIDを対応付けることは慣用技術と認められる。 してみれば、引用文献1発明において、ファイルに含まれている「情報」を識別する識別子を、「コンテント」を識別する識別子とすることは、前記引用文献3の記載事項を参酌することにより、当業者が容易になし得ることである。 〈相違点6〉について 引用文献3には「DB」(データベース)が記載されており、ここで、引用文献1のものにおける、情報サービス処理装置がネットワークで接続され、情報サービスを行うシステムは、引用文献3に記載された「DBをバーチャルに統合した分散型のシステム」と等価なものとみることができる。 してみれば、引用文献1発明において、「情報」のエントリを「データベース」のエントリとし、かつ、ファイル利用システムにおけるファイル利用に利用可能なファイルを示す「情報」を「データベース」とすることは、前記引用文献3の記載事項を参酌することにより、当業者が容易になし得ることである。 そして、本件補正発明の構成により奏する効果も、引用文献1発明、引用文献2ないし4に記載された事項ないし技術から当然予測される範囲内のもので、格別顕著なものとは認められない。 (4.5)小括 以上のように、本件補正発明は、引用文献1発明、引用文献2ないし4に記載された事項ないし技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。 (5)むすび したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定及び第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)平成24年1月6日付けの手続補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年6月1日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。(再掲する。) 「ファイル共有システムにおけるファイル共有を、組み込みデータを使用して制御する方法であって、 ユーザのコンピュータでファイル共有の為に指定されたファイルにおける、上記組み込みデータの存在をチェックするステップと、 上記組み込みデータの発見に応じて、ユーザのコンピュータに当該組み込みデータに従って動作するように指示するステップと、 を含み、 上記ユーザのコンピュータは、上記組み込みデータと相互作用し、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有を制御し、 上記組み込みデータは、上記ファイルに含まれているコンテントを識別する識別子を含み、 上記識別子は、上記ファイルに関する情報を有するデータベースのエントリに対するインデックスとして機能して、当該エントリにおける情報に基づくファイルの検索を可能とし、 上記データベースは、上記ファイル共有システムにおけるファイル共有に利用可能なファイルを示す、方法。」 (2)引用刊行物 原審の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である、前記引用文献1、引用文献2ないし4には、それぞれ、前記(4.2.1)、(4.2.2)ないし(4.2.4)で摘記した事項が記載されている。 (3)対比・判断 本願発明は、前記(4.3)、(4.4)で検討した本件補正発明における発明特定事項である、「ユーザのコンピュータでファイル共有の為に指定されたファイルが転送されることを許容する前に、当該ファイルにおける上記組み込みデータの存在をチェックするステップ」なる構成の下線部の構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記(4.3)、(4.4)に記載したとおり、引用文献1発明、引用文献2ないし4に記載された事項ないし技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記特定の限定を省いた本願発明も、同様に、引用文献1発明、引用文献2ないし4に記載された事項ないし技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-06-12 |
結審通知日 | 2013-06-14 |
審決日 | 2013-06-26 |
出願番号 | 特願2002-514579(P2002-514579) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 戸島 弘詩 |
特許庁審判長 |
長島 孝志 |
特許庁審判官 |
山崎 達也 田中 秀人 |
発明の名称 | ファイル共有で組み込まれたデータの使用 |
代理人 | 松島 鉄男 |
代理人 | 奥山 尚一 |
代理人 | 河村 英文 |
代理人 | 有原 幸一 |