• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  A61M
審判 一部無効 特29条の2  A61M
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  A61M
管理番号 1281646
審判番号 無効2011-800109  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-06-29 
確定日 2013-10-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4653104号発明「血管閉塞部を開通させるためのカテーテル装置及び方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4653104号の請求項1、3ないし8に係る発明についての特許を無効とする。 特許第4653104号の請求項2、9ないし14に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯
(1)本件特許第4653104号の請求項1ないし29に係る発明についての出願は、平成16年6月10日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2003年6月10日、アメリカ合衆国 2003年6月13日、アメリカ合衆国)とする特許出願であって、平成22年12月24日にその発明について特許の設定登録がなされた。
(2)これに対し請求人(テルモ株式会社)は、平成23年6月29日に本件無効審判を請求し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出し、本件特許の請求項1ないし15に係る発明についての特許を無効とするとの審決を求めた。
(3)被請求人(ルーメンド インコーポレイテッド)は、平成23年12月22日付けで答弁書及び訂正請求書を提出した。
(4)その後、請求人は、平成24年2月24日付けで口頭審理陳述要領書及び証拠方法として甲第6号証ないし甲第10号証を提出し、被請求人は、平成24年3月12日付けで口頭審理陳述要領書並びに証拠方法として乙第1号証、乙第2-1号証及び乙第2-2号証を提出した。
(5)当審は、平成24年3月23日に口頭審理を実施し、その後、請求人及び被請求人は、それぞれ平成24年4月6日付けで上申書を提出した。

II.訂正について
1.訂正請求の内容
平成23年12月22日に提出した訂正請求書により被請求人が求める訂正(以下、「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲及び明細書を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び明細書のとおり訂正しようとするものであって、その内容は次のとおりである。
(1)訂正事項1
請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
訂正前の請求項8を訂正後の請求項1に訂正するとともに、訂正前の請求項8に記載された「請求項1に記載のカテーテル装置であって、」を、「カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合している前記カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、前記長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少しており、」に訂正する。
(3)訂正事項3
訂正前の請求項10を訂正後の請求項2に訂正するとともに、訂正前の請求項10に記載された「請求項1に記載のカテーテル装置であって、」を、「カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合している前記カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、前記長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少しており、」に訂正する。
(4)訂正事項4
訂正前の請求項2を訂正後の請求項3に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項1」から「請求項1又は2」に訂正する。
(5)訂正事項5
訂正前の請求項3を訂正後の請求項4に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項1」から「請求項1又は2」に訂正する。
(6)訂正事項6
訂正前の請求項4を訂正後の請求項5に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項3」から「請求項4」に訂正する。
(7)訂正事項7
訂正前の請求項5を訂正後の請求項6に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項4」から「請求項5」に訂正する。
(8)訂正事項8
訂正前の請求項6を訂正後の請求項7に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項4」から「請求項5」に訂正する。
(9)訂正事項9
訂正前の請求項7を訂正後の請求項8に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項4」から「請求項5」に訂正する。
(10)訂正事項10
請求項9において引用する請求項を「請求項8」から「請求項1」に訂正する。
(11)訂正事項11
訂正前の請求項11を訂正後の請求項10に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項10」から「請求項2」に訂正する。
(12)訂正事項12
訂正前の請求項12を訂正後の請求項11に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項10」から「請求項2」に訂正する。
(13)訂正事項13
訂正前の請求項13を訂正後の請求項12に訂正する。
(14)訂正事項14
訂正前の請求項14を訂正後の請求項13に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項13」から「請求項12」に訂正する。
(15)訂正事項15
訂正前の請求項15を訂正後の請求項14に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項13」から「請求項12」に訂正する。
(16)訂正事項16
訂正前の請求項16を訂正後の請求項15に訂正する。
(17)訂正事項17
訂正前の請求項17を訂正後の請求項16に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項16」から「請求項15」に訂正する。
(18)訂正事項18
訂正前の請求項18を訂正後の請求項17に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項16」から「請求項15」に訂正する。
(19)訂正事項19
訂正前の請求項19を訂正後の請求項18に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項18」から「請求項17」に訂正する。
(20)訂正事項20
訂正前の請求項20を訂正後の請求項19に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項16」から「請求項15」に訂正する。
(21)訂正事項21
訂正前の請求項21を訂正後の請求項20に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項16」から「請求項15」に訂正する。
(22)訂正事項22
訂正前の請求項22を訂正後の請求項21に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項21」から「請求項20」に訂正する。
(23)訂正事項23
訂正前の請求項23を訂正後の請求項22に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項21」から「請求項20」に訂正する。
(24)訂正事項24
訂正前の請求項24を訂正後の請求項23に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項21」から「請求項20」に訂正する。
(25)訂正事項25
訂正前の請求項25を訂正後の請求項24に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項16」から「請求項15」に訂正する。
(26)訂正事項26
訂正前の請求項26を訂正後の請求項25に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項25」から「請求項24」に訂正する。
(27)訂正事項27
訂正前の請求項27を訂正後の請求項26に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項16」から「請求項15」に訂正する。
(28)訂正事項28
訂正前の請求項28を訂正後の請求項27に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項26」から「請求項25」に訂正する。
(29)訂正事項29
訂正前の請求項29を訂正後の請求項28に訂正するとともに、引用する請求項を「請求項27」から「請求項26」に訂正する。
(30)訂正事項30
訂正前の明細書の段落【0056】における「別の方法として、カテーテルシャフトの基端部分は、血管内でカテーテルを更に末端方向へ進入させる助けとするためのより大きな大きな押圧力及びトルク制御特性を必要とすることができる。」を「別の方法として、カテーテルシャフトの基端部分は、血管内でカテーテルを更に末端方向へ進入させる助けとするためのより大きな押圧力及びトルク制御特性を必要とすることができる。」に訂正する。
(31)訂正事項31
訂正前の明細書の段落【0111】における「・・・血管及び閉塞部の組織に機械力を適用するとと、前記閉塞部の材料を粉砕し且つ適用された機械力に応答して粉砕された材料内に通路を形成することと、・・・」を「・・・血管及び閉塞部の組織に機械力を適用すると、前記閉塞部の材料を粉砕し且つ適用された機械力に応答して粉砕された材料内に通路を形成することと、・・・」に訂正する。

2.訂正の可否に対する判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項8を訂正後の請求項1とするとともに記載を明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項10を訂正後の請求項2とするとともに記載を明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(4)訂正事項4ないし9について
訂正事項4ないし9は、訂正前の請求項2ないし7を、訂正後の請求項3ないし8とするとともに、訂正前の請求項8に記載した事項又は訂正前の請求項10に記載した事項で限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(5)訂正事項10ないし12について
訂正事項10ないし12は、訂正事項1ないし9に係る訂正に伴い他の請求項の項番の整合を図るものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(6)訂正事項13ないし15について
訂正事項13ないし15は、訂正事項1ないし12に係る訂正に伴い他の請求項の項番の整合を図るものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(7)訂正事項16ないし29について
訂正事項16ないし29は、訂正事項1ないし15に係る訂正に伴い他の請求項の項番の整合を図るものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(8)訂正事項30及び31について
訂正事項30及び31は、誤記の訂正を目的とするものに該当する。

そして、いずれの訂正事項も、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

3.小括
本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号ないし第3号に規定する特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正または明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、同第134条の2第5項において読み替えて準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するものである。
以上のとおりであるから、本件訂正は適法なものであるからこれを認める。

III.本件発明
本件特許請求の範囲は上記訂正によって訂正されたので、請求項1ないし14に係る発明は、次のとおりのものである(以下、「請求項1ないし14に係る発明」を「本件発明1ないし14」という。)。
「【請求項1】
カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合している前記カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、前記長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少しており、
前記カテーテルシャフトが蛍光標識装置を含んでいる、カテーテル装置。
【請求項2】
カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合している前記カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、前記長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少しており、
基端及び末端を有し且つガイドワイヤの周りをたどる構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいるシース導入器を更に含んでおり、当該部材は、前記カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域が前記カテーテルシャフトの末端を越えて延びる、カテーテル装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカテーテル装置であって、
前記複数のポリマーが6個のポリマーを含んでいるカテーテル装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のカテーテル装置であって、
前記カテーテルシャフトの内腔の末端の終端が前記カテーテルシャフトの末端において開口している環状開口部を形成しているカテーテル装置。
【請求項5】
請求項4に記載のカテーテル装置であって、
前記環状開口部が非外傷性先端を形成しているポリマーを含んでいるカテーテル装置。
【請求項6】
請求項5に記載のカテーテル装置であって、
前記非外傷性先端が、テーパーが付けられた末端領域を有する単一のポリマーであるカテーテル装置。
【請求項7】
請求項5に記載のカテーテル装置であって、
前記非外傷性先端が、丸くされた末端領域を有する単一のポリマーであるカテーテル装置。
【請求項8】
請求項5に記載のカテーテル装置であって、
前記非外傷性先端が、内側ポリマーと外側ポリマーとによって構成されているカテーテル装置。
【請求項9】
請求項1に記載のカテーテル装置であって、
前記蛍光標識装置が、編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいるカテーテル装置。
【請求項10】
請求項2に記載のカテーテル装置であって、
前記シース導入器が、前記基端に少なくとも1つのハブを含み、該ハブは、前記シース導入器が前記カテーテルシャフト内に一杯まで挿入されたときに前記カテーテルの基端上のハブ内に係止する構造とされているカテーテル装置。
【請求項11】
請求項2に記載のカテーテル装置であって、
前記シース導入器が、前記部材の末端領域内に蛍光標識装置を更に含んでいるカテーテル装置。
【請求項12】
カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合しており、前記内側ポリマーライナーは前記カテーテルシャフト内の内腔を形成している前記カテーテルシャフトと、
基端及び末端を有し且つガイドワイヤの周りをたどる構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいる導入器を更に含んでおり、当該部材は、前記カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域が前記カテーテルシャフトの末端を越えて延びるようになされている前記導入器と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、前記長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少している、カテーテル装置。
【請求項13】
請求項12に記載のカテーテル装置であって、
前記導入器が、前記基端に設けられた少なくとも1つのハブを更に含んでおり、当該ハブは、前記導入器が前記カテーテルシャフト内に一杯に挿入されたときに前記カテーテルシャフトの基端に設けられたハブ内に係止される構造とされているカテーテル装置。
【請求項14】
請求項12に記載のカテーテル装置であって、
前記カテーテルシャフト及び前記導入器のうちの少なくとも1つが、前記部材の末端領域内に蛍光標識装置を含んでいるカテーテル装置。」

IV.請求人及び被請求人の主張の概略
1.請求人の主張
請求人の主張は、以下のとおりである。
(1)無効理由1
本件発明1は、その出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明であるから特許法29条第1項第3号の発明に該当するものであり、本件発明1に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから特許法第123条第1項第2号の規定に該当し無効とされるべきものである。
(2)無効理由2
本件発明1は、その出願前に頒布された甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法29条第2項の規定に該当するものであり、本件発明1に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから特許法第123条第1項第2号の規定に該当し無効とされるべきものである。
(3)無効理由3
本件発明2は、その出願前に頒布された甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明と甲第4号証又は甲第5号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法29条第2項の規定に該当するものであり、本件発明2に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから特許法第123条第1項第2号の規定に該当し無効とされるべきものである。
(4)無効理由4
本件発明3ないし11は、その出願前に頒布された甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法29条第2項の規定に該当するものであり、本件発明3ないし11に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから特許法第123条第1項第2号の規定に該当し無効とされるべきものである。
(5)無効理由5
本件発明12ないし14は、その出願前に頒布された甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明と甲第4号証又は甲第5号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法29条第2項の規定に該当するものであり、本件発明12ないし14に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから特許法第123条第1項第2号の規定に該当し無効とされるべきものである。

<証拠方法>
甲第1号証:特開2001-178814号公報
甲第2号証:特開平10-43300号公報
甲第3号証:国際公開第01/07101号
甲第4号証:特開昭63-238876号公報
甲第5号証:特表平11-500939号公報
甲第10号証:国際公開第2005/004965号

2.被請求人の主張
これに対して、被請求人の主張は、以下のとおりである。
本件発明1ないし14は、いずれも甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲第1号証ないし甲第5号証から容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第123条第1項第2号の規定に該当せず、これらの本件発明に係る特許は無効とすべきものではない。

V.刊行物に記載されている事項
甲第1号証ないし甲第5号証には次のとおり記載されている。
(1)甲第1号証
(ア)「図示するように、このカテーテルチューブ1は、補強されたチューブ状のトルク伝達部2の先端部に、弾力性に富んだ挿入先端部3が連続的に形成された構造となっている。
このトルク伝達部2は、図1及び図2(A)に示すように、フッ素樹脂からなる内層チューブ4の外側に金属線や繊維等の線材5からなる補強層(編組)6が被覆形成されると共に、その外側にさらに同じく熱可塑性樹脂からなる外層7が被覆形成されたものであり、この補強層6によって潰れや曲げ抵抗が向上して良好なトルク伝達性が発揮されるようになっている。
一方、挿入先端部3は、図1及び図2(B)に示すようにトルク伝達部2のような補強層6を有しない二層構造となっており、これによって樹脂本来の良好な弾力性及び可撓性が発揮されるようになっている。」(段落【0016】?【0018】)
(イ)「・・・尚、この外層7を形成する熱可塑性樹脂中には造影剤として硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステンカーバイト等の微粒子を適宜添加しても良い。」(段落【0022】)
(ウ)「・・・この内層チューブ4の外周面、すなわち補強層6及び外層7が被覆形成される面側は予め上述したような脱フッ素処理液によって表面処理されているため、補強層6や外層7に対して優れた密着力を発揮することができる。この結果、内層チューブ4に対して補強層6や外層7が容易に剥離しなくなるため、優れたトルク伝達性及び操作性を長期に亘って維持することが可能となる。」(段落【0023】)
(エ)「次に、図9及び図10は、本発明の他の実施の形態を示したものであり、そのチューブ硬さを長さ方向に亘って多段階的に変化させたカテーテルチューブに対する実施の形態を示したものである。」(段落【0024】)
(オ)「例えば、実際のカテーテルチューブの長さが1800mmであり、その内層チューブ4上に被覆される外層樹脂として硬さの異なる3種類の熱可塑性樹脂7a,7b,7cを用いる場合には、先ず、図9に示すようにその表面処理範囲を先端(挿入先端部)側から3つの範囲(100mm,200mm,1500mm)に分け、その処理度合いを後端側から先端側に従って徐々に高くしておく。尚、この処理度の高低(強弱)は、処理液の濃度を変えることにより、あるいは処理時間をそれぞれ変化させることにより容易に調節することができる。
そして、図10(1)に示すように、この内層チューブ4上に必要な補強層6を形成した後、同図(2)?(4)に示すように、トルク伝達部2側から順に硬さの異なる外層樹脂7a,7b,7cを被覆した場合、先の外層樹脂被覆工程時の熱履歴によって隣接する範囲の表面効果が多少低下することになるが、上述したようにこの隣接する未被覆範囲は、被覆済みの範囲よりも高い度合いで予め表面処理されているため、熱履歴によってその隣接する範囲の表面効果が多少低下してもその表面処理効果は、実際の被覆時において被覆済みの表面処理範囲と同等以上を保つことが可能となる。」(段落【0028】?【0029】)
(カ)「次に、このコアチューブに対して、アルカリ金属溶液(潤工社製;テトラエッチA)を用いそれぞれ濃度30,50,60%に調整された処理槽(各槽長1500mm,200mm,100mm)に浸漬・洗浄を順次繰り返した後、このチューブ上に所定の長さに従って硬さの異なるポリアミド系の3種の外層樹脂(ショアD80,60,40)を3回に分けて処理度合いが低い範囲から順に全長に亘って被覆し、その後、長さ1800mm間隔で切断し、銀メッキ軟銅線を引き抜いて外径0.95mmのチューブ体を得た。」(段落【0034】)
(キ)上記記載事項(ア)及び(ウ)に関連して、図1及び2には、「少なくとも1つの内層チューブ4が補強層(編組)6の内側面に結合して」いる点、「少なくとも1つの外層7が補強層(編組)6の外側面に結合して」いる点、及び「カテーテルチューブ内に少なくとも1つの内腔を含」む点が示されている。
(ク)上記記載事項(エ)、(オ)、(カ)、図9及び10より、「熱可塑性樹脂からなる外層7が、後端側から先端(挿入先端部)側に従って順に、ショアD80のポリアミド系の外層樹脂7a、ショアD60のポリアミド系の外層樹脂7b、ショアD40のポリアミド系の外層樹脂7cから構成され」るといえる。

以上から、甲第1号証には次の発明が記載されている(以下、「甲1発明」という。)。
「カテーテルチューブ1及び少なくとも1つの内腔からなる装置であって、
補強層(編組)6を含むカテーテルチューブ1であって、少なくとも1つのフッ素樹脂からなる内層チューブ4が補強層(編組)6の内側面に結合しており、少なくとも1つの熱可塑性樹脂からなる外層7が補強層(編組)6の外側面に結合しており、フッ素樹脂からなる内層チューブ4が補強層(編組)6及び熱可塑性樹脂からなる外層7に対して密着しているカテーテルチューブ1と、
カテーテルチューブ1内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
熱可塑性樹脂からなる外層7が、後端側から先端(挿入先端部)側に従って順に、ショアD80のポリアミド系の外層樹脂7a、ショアD60のポリアミド系の外層樹脂7b、ショアD40のポリアミド系の外層樹脂7cから構成され、
外層7を形成する熱可塑性樹脂中には、造影剤として硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステンカーバイト等の微粒子が添加され、
内層チューブ4と外層7の二層構造となっており補強層(編組)6を有しない挿入先端部3は、良好な弾力性及び可撓性を発揮する、
カテーテルチューブ1及び少なくとも1つの内腔からなる装置。」

(2)甲第2号証
(ケ)「【請求項1】手元部分と、先端部分と、それらの間に延びる内腔とを持つ伸長された管状体からなるカテーテル(10、110)であって、該管状体は、
(a)ポリマー材料と、
(b)一対のワイヤが、1上1の形態に構成されたフィラメントからなる金属製の強化用編組(21、128)と、からなることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】管状体は、内腔を画成する第1のポリマー層と、管状体の外表面を画成する第2のポリマー層と、内腔と外表面との間に配置された金属製の強化用編組とからなることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル(10、110)。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】及び【請求項2】)
(コ)「【課題を解決するための手段】本発明は、手元部分と、先端部分と、その間に延びる内腔とを有する伸長された管状体を備えた脈管内カテーテルを提供している。管状体は、摩擦係数が約0.50以下のポリマーから作られ、かつ内腔を画成する第1層と、ポリエステルエラストマー、ポリブチレンテレフタレート、およびそれらの組み合わせから選定された高分子から作成され、かつ第1層の周囲に配置された第2層と、強化手段とから構成されている。第1層は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニールジーエンフルオライド、およびポリアミドから選定されたポリマーであり、0.35以下、望ましくは0.10以下の動的摩擦係数(ポリマー上スチール)を持つポリマーとされる。第2層は、圧子を用いた硬度計で、30Dー90D、望ましくは38Dー78Dの硬度を持つ。
ある実施の形態において、第2層は管本体の先端部で30D、管本体の手元端部で90Dであることが望ましいとされている。第2層は、ポリブチレンテレフタレートとブレンドされたポリエーテルエステル、すなわち、10ー94重量%ポリブチレンテレフタレートで形成される。第2層は、8ー12重量%のポリエーテルエステルと88ー92重量%のポリブチレンテレフタレートでも良い。
強化手段は、第1層と第2層の間にすべて埋め込まれるか、または主に第2層に埋め込まれる。強化手段は、フィラメントが編み組まれた金属メッシュであり、この編組が管状体の手元部分から管状体の先端部分に向かって一定の距離に亘って配置されている。強化手段は、カテーテルの先端部分まで延びても良い。編み組まれた金属メッシュは、1越し1または2越し2の形態に編まれた金属フィラメントであり、ステンレススチールまたはELIGILOYという名のニッケルコバルト合金から選定された金属製のフィラメントから作られる。強化手段は、メッシュ、チューブ、または織物とされたポリマーでもよく、ポリマーは炭素繊維またはポリアラミドである。
血管内カテーテルは、管状体部材の先端に接合された円環状の柔軟なチップ部材を有し、柔軟チップ部材は、約50D以下の硬度を持つポリエーテルエステルエラストマー製である。血管内カテーテルは、2フレンチから24フレンチ、望ましくは、4フレンチから12フレンチの外径とされる。」(段落【0010】?【0013】)
(サ)「ガイドカテーテルの最先端は柔軟チップ30によって構成される。このチップはポリエーテルエステル・エラストマーで作られる。柔軟チップ30の硬度値は約25Dと約50Dの間とされる。このことによって、ガイドカテーテルが通過する血管内表面を傷つける機会を最小にするために十分な柔軟さが付与できる。加えて、このことは、ガイドワイヤや気球カテーテルあるいはその他の介入医療器具を、柔軟チップの先端を通過して挿通させる開口を維持するに十分な硬さを持つことを意味する。柔軟チップ30は、ポリエーテルエステル・エラストマーに15ー50重量%の硫酸バリウムを添加することによって放射線不透過とすることができる。勿論、それ以上またはそれ以下の硫酸バリウムまたはその他の放射線不透過フィラーを用いても良い。柔軟チップの長さは、約0.04インチ(0.10cm)から約0.20インチ(0.51cm)とされる。」(段落【0025】)
(シ)「ガイドカテーテル10は、次の工程で製造することができる。
ステップA
1.溶接マンドレルをアルコールとリントを含まない布できれいに拭く。
2.マンドレルの90%をエッチングされたPTFEチューブに滑り込ませる。PTFE管の端部から1/2インチ付近に結び目を付けて結び、溶接マンドレルを残りの長さ分PTFE管内に滑り込ませる。結び目の外側の余聞のPTFEを切りとる。
3.編み組みされた金属編組ストックを必要な長さに切断する。編組体を組立管に滑り込ませる。編組体の自由端を他の手で保持しながら、編組体の中心ロッドを取り外す。こうして、支持されていない編組体が組立管中に残る。PTFE/マンドレル組み立て体を組立管内にある編組体内に挿入する。編組/PTFE/マンドレルを組立管から取り外す。編組を軸方向に引き自由端を回して、編祖をPTFE上に組み付けて安定させる。溶接マンドレル端部を越えている回転された編組の両端部を約1/4インチに切り揃える。
4.必要な数の外部層用チューブ、例えば、第1、第2、第3層用チューブを必要な長さに切断する。それぞれのチューブは硬度値が異なる。第1と第2のチューブに長さ方向に沿ってスリットを入れる。第3層用にはスリットはいれない。3層のチューブを編組/PTFE/マンドレル組立体に滑り込ませる。それぞれのチューブが隣接するチューブに当接し、重ならない位置まで、各チューブを動かす。3層のチューブは、編組/PTFE/マンドレル組立体のほぼ中心に置く。熱収縮チューブの一部をチューブ/編組/PTFE/マンドレル組立体にかぶせ、この組立体の中心に置く。約200゜Fから400゜Fの熱空気源を用いて、両端、両チューブの当接点の4箇所で組立体を熱収縮して圧縮する。
5.収縮チューブ/チューブ/編組/PTFE/マンドレル組立体を、余熱された対流炉内で必要な温度、必要な時間加熱し取り出す。加熱時間は、炉内温度が決められた温度の10゜F以内に戻ったときから始まる。この加熱工程およびその後の冷却の期間、端部(ここにはチューブがない)を除いて、組立体は何物にも触れないようにする。
6.組立体が触れても熱くない程度に冷却されると、その全長に亘って軸方向に切って熱収縮体を取り除く。使用した熱収縮体は捨てる。組立体の一端の曲げられた編組を切りとって、溶接マンドレルを露出させる。こうして、溶着したチューブ/編組/PTFE組立体を残して、溶接マンドレルを引き抜く。
7.片刃のレーザブレードと切断マンドレルを用いて、カテーテルの両端を所定の長さに切り出す。」(段落【0029】?【0031】)
(ス)上記記載事項(ケ)及び(コ)に関連して、図4には、「少なくとも1つの第1のポリマー層が強化用編組の内側面に結合して」いる点、及び「少なくとも1つの第2のポリマー層が強化用編組の外側面に結合して」いる点が示されている。また、上記記載事項(コ)及び(サ)に関連して、図4には、「柔軟チップ部材が丸くされた末端領域を有する」点が示されている。

以上から、甲第2号証には次の発明が記載されている(以下、「甲2発明」という。)。
「カテーテルであって、
強化用編組を含む管状体であって、少なくとも1つの第1のポリマー層が強化用編組の内側面に結合しており、少なくとも1つの第2のポリマー層が強化用編組の外側面に結合している管状体と、
管状体内の少なくとも1つの内腔と、
管状体の先端に接合された円環状の柔軟チップ部材とを含み、
第2のポリマー層が、それぞれのチューブが隣接するチューブに当接し、重ならない位置に配置される第1、第2及び第3のチューブを含んでおり、
第2のポリマー層は管状体の先端部において約30D、管状体の手元部において約90Dの硬度とされ、
柔軟チップ部材は、硫酸バリウムまたはその他の放射線不透過フィラーを添加することによって放射線不透過とされ、
柔軟チップ部材が丸くされた末端領域を有する、カテーテル。」

(3)甲第3号証
(セ)「Referring now to FIGS. 1 and 2, a catheter device 10 of the present invention is shown to include a shaft 11 having a proximal end 12 and a distal end 13; a lubricious liner 14 defining a plurality of lumens 15. ・・・The lubricious liner 14 is surrounded by reinforcing member 16, and an outer jacket 17.(図1及び図2を参照し、本発明のカテーテル装置10は、基端12と先端13をもつシャフト11、複数のルーメン15を規定する潤滑性ライナー14とを含む。・・・潤滑性ライナー14は、補強部材16とアウタージャケット17によって囲まれる。)」(6頁9?15行、()内は審判請求書21頁に記載された訳文である。以下同様。)
(ソ)「Referring now to FIG. 3, in particularly preferred embodiments of the present invention, the outer jacket 17 comprises numerous segments 18, each with differing durometers so that the shaft stiffness can be varied from one end of the catheter to the other. The segments 18 may be comprised of the same or different material.
The number of differing segments 18 which form outer jacket 17 can range from two to as many as required, but typically includes up to ten. These segments 18 are slid into place over the length of the catheter shaft 11 and are of appropriate length and in the appropriate order to create the desired degree of transition from stiff to flexible.
(図3を参照し、本発明の特に好ましい実施形態では、アウタージャケット17は、各々が異なるデュロメータ値をもつ多数のセグメント18を備えることで、シャフトの剛性はカテーテルの一端から他端へ変化し得る。セグメント18は、同じ又は異なる材料からなってもよい。
アウタージャケット17を形成する異なるセグメント18の数は、2から必要数の範囲とすることができるが、典型的には10個までである。これらのセグメント18は、カテーテルシャフト11の長さにわたって配設され、適切な長さを有し、堅硬から柔軟へ望ましい度合いで移行する順序となっている。)」(8頁29行?9頁7行)
(タ)「FIG. 5 shows a further preferred catheter 40 of the invention that has tapered distal end 41 and includes multiple lumens 42 and 44 that include lubricous liners 42a and 44a respectively, preferably a fluorinated materials as discussed above.(図5は、本発明のさらに好ましいカテーテル40を示し、当該カテーテル40は、テーパー先端41を有するとともに、好ましくは上述したフッ化材料の潤滑性ライナー42a、44aをそれぞれもつ多数のルーメン42、44を含む。)」(10頁9?11行)

以上から、甲第3号証には、次の技術事項が記載されている。
「カテーテル装置10において、基端12と先端13をもつシャフト11、複数のルーメン15を規定する潤滑性ライナー14とを含み、潤滑性ライナー14は、補強部材16とアウタージャケット17によって囲まれる点、アウタージャケット17を形成する異なるセグメント18の数は、2から必要数の範囲とすることができるが、典型的には10個までである点、及びテーパー先端41を有する点。」

(4)甲第4号証
(チ)「〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、案内カテーテルの外径を同じにしながら内径を大きくするようにした案内カテーテル装置およびその製造装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、案内カテーテルに所望のねじり力を与えるようにした案内カテーテル装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、案内カテーテルの肉厚を薄くしながら強度を強くするようにした案内カテーテル装置を提供することにある。」(2頁右下欄3?13行)
(ツ)「〔実施例〕
以下本発明の一実施例を図面につき説明する。
第1図において符号11は案内カテーテル装置であって、この案内カテーテル装置11は外側案内カテーテル12と内側案内カテーテル13とから構成されている。上記内側案内カテーテル13は外側案内カテーテル12の内部に着脱自在に配置され副案内カテーテルとして作用する。上記内側案内カテーテル13は外側案内カテーテル12の長さより長くなっていて、内側案内カテーテル13の端部が外側案内カテーテル12の端部より突出するようになっている。
上記外側案内カテーテル12と内側案内カテーテル13の各々は、貫通孔を有する柔軟な細長い管状部材で形成されており、したがって外側案内カテーテル12は細長い管状部材16の内部に貫通孔17を備え、内側案内カテーテル13は細長い管状部材18の内部に貫通孔19を備えている。」(3頁左上欄15行?右上欄12行)
(テ)「上記内側案内カテーテル13は、外径および壁厚を小さくしたことを除けば外側案内カテーテル12と同じ方法で作られる。管状部材18の外径は内側案内カテーテル13の一部を形成し、その寸法は管状部材16の孔の内径より小さく設定されている。したがって内側案内カテーテル13は、外径が1.75ミリ(0.070インチ)とされ、8フランス外側案内カテーテル12の孔17の内径2ミリ(0.080インチ)の中に挿入される。」(4頁左下欄16行?右下欄4行)
(ト)「特殊な困難な血管に出合った場合、副案内カテーテル、例えば第6図に示すような第2のすなわち内側案内カテーテル13を用いることが好ましい。」(5頁左下欄12?15行)
(ナ)「第2の案内カテーテル13を用いることによって、不可能ではないとしても困難であった第2動脈すなわち動脈の分岐管に対して、標準のカテーテル12を用いて通り抜けることが可能となる。第2のカテーテル13は、第2のカテーテルの末端部により大きな押圧力を加えることによって容易に前進することができる。これらのことは、その内部を第2のカテーテル13が前進する外側案内カテーテル12が、第2のカテーテル13の曲げおよびねじれを防止するよう機能し、それゆえその縦方向の強度を増加させるために可能となる。
このような形状のため、より薄い壁を有する第2のカテーテル13を用いることが可能となり、それゆえより小さな第2のカテーテルを提供することができる。」(5頁右下欄6?20行)
(ニ)「外側案内カテーテル12が所定位置に来たのち、従来型のより小さな直径の案内ワイヤ46が貫通孔17を介して導入され、所望の血管すなわち狭窄部に向って前述する、案内ワイヤ46が所定位置に来たのち、第2のカテーテルを案内ワイヤ46に沿って導入し、さらに第2のカテーテルの末端部が主案内カテーテル12の末端部を越えて伸びるまで貫通孔17に第2のカテーテルを導入することができる。そしてまた、第2のカテーテルは案内ワイヤに沿って前進して所望の狭窄部へ接近する。その後、低い形状のバルーン膨張カテーテルが第2の案内カテーテル内に導入され、そして案内ワイヤ46に沿って狭窄部に前進することができる。案内ワイヤ46は、その後取出すことができる。その後、狭窄部は従来の方法によってバルーン部を膨張させることによって拡大することができる。」(6頁左上欄1?17行)
(ヌ)「第2のカテーテル13の主な利点は、外側案内カテーテルと協同して第2のカテーテル13が、ねじれ血管の詰った狭窄部およびまたは狭窄深部を通過するバルーンカテーテルに対して更なる支持を提供することである。」(6頁左上欄20行?右上欄4行)

以上から、甲第4号証には、次の技術事項が記載されている。
「案内カテーテル装置11において、外側案内カテーテル装置12と内側案内カテーテル装置13とから構成される点、及び内側案内カテーテル13は外側案内カテーテル12よりも長い点。」

(5)甲第5号証
(ネ)「発明の概要
本発明は従来の診断カテーテルまたはガイドカテーテルの機能と同等の機能を有する一方で、ブレイドを有さない簡単な構造を備えたガイドカテーテルまたは診断カテーテルに関する。」(8頁10?13行)
(ノ)「本発明はブレイドを備えた中間層を使用することなく患者の冠状動脈内に効果的に位置決めできるカテーテル(ガイドカテーテルまたは診断カテーテル)を提供する。本発明のガイドカテーテルはトラッキングワイヤの使用を含む。トラッキングワイヤは選択された冠状動脈内に位置決め可能である。更に、トラッキングワイヤはガイドカテーテルを同トラッキングワイヤに沿って前記の冠状動脈内まで前進させることを可能にする。図1は本発明に基づくブレイドレスガイドカテーテルアッセンブリ20の側面図である。カテーテルアッセンブリ20はトラッキングワイヤ24上に配置されたガイドカテーテル22を有する。トラッキングワイヤ24はガイドカテーテル22を患者の曲がりくねった脈管系を通って案内するために必要な性能をガイドカテーテル22に対して提供し、同性能はトルク応答及び捻れに対する抵抗を含む。」(11頁21行?12頁2行)
(ハ)「図2を参照すると、本発明の別の実施形態のガイドカテーテルアッセンブリ20が概して示されている。カテーテルアッセンブリ20は、ガイドカテーテル22及び内側ガイド部材60を含む。ガイドカテーテル22の構造は、図1において先に図示及び説明されたガイドカテーテル22の構造と似通い得る。内側ガイド60を備えるカテーテルアッセンブリ20は、従来のガイドカテーテルの機能を奏し得る、簡素なブレイドレスカテーテルのデザインを医師に提供する。」(15頁25行?16頁1行)
(ヒ)「内側ガイド60の外径は、ガイドカテーテル22の内腔内にて摺動して挿入するように設定されている。内側ガイド60の外径は、患者の冠状アナトミー(coronary anatomy)内にてガイドカテーテル27を配置するための支持、トルク性、及びねじれ抵抗を提供するのに充分な大きさである。内側ガイド60の内腔68の外径は、標準的なカテーテル処置ガイドワイヤを収容するように設定されている。好ましい実施形態において、0.035インチ(0.138ミリメートル)のガイドワイヤを収容するために、内側ガイド60の内腔68の外径は、0.038インチ(0.150ミリメートル)から0.040インチ(0.154ミリメートル)の間である。
内側ガイド60がガイドカテーテル22の内腔32内に挿入されるとき、内側ガイドのハブアッセンブリ70は、ガイドカテーテル22のハブアッセンブリ34に接続する。内側ガイド60のハブアッセンブリ70をガイドカテーテル22のハブアッセンブリ34にロックすることにより、内側ガイド60は、ガイドカテーテル22を冠状アナトミー内の所望の位置へ配置するとともに、トルクを付与するために使用され得る。内側ガイド60は、患者の脈管系内にてガイドカテーテルを導入及び配置中に、ブレイドレスガイドカテーテル22に対して、支持、トルク性、及びねじれ抵抗を提供する。内側ガイド60は、ガイドカテーテル22の先端30から超えて延びても、延びていなくてもよい。」(16頁25行?17頁15行)
(フ)「使用に際して、大腿部の動脈に皮膚を通じて挿入され、患者の脈管系へカテーテルアッセンブリのためにアクセスを提供するために動脈中へ鞘が挿入される。ガイドワイヤは、好ましくは0.035インチ(0.138ミリメーター)のワイヤが大腿部の鞘を通じて患者の脈管系中へ挿入されるとともに、大動脈弓まで進められる。内側ガイド60は、カテーテルアッセンブリ20を形成するために、ハブアッセンブリ70がハブアッセンブリ34にロックした状態で、ガイドカテーテル22内へ挿入される。カテーテルアッセンブリ20は、大腿部導入鞘を通じてガイドワイヤを導くとともに、大動脈弓まで進められる。カテーテルアッセンブリ20が大動脈弓まで進められるとき、内側ガイド60は、ブレイドレスガイドカテーテルに対して、支持、ねじれ抵抗、及びトルク性を提供する。
カテーテルアッセンブリ20が大動脈弓まで進められた後、ガイドワイヤは取り除かれる。Y型アダプター及び多岐管アッセンブリが、染料対比、フラッシュデリバリ及び血圧監視のために、カテーテルアッセンブリ20に取り付けられる。造影剤は、医師がガイドカテーテル22を配置させるための小孔を位置決め可能とする。
ここで、カテーテルアッセンブリ20は、同アッセンブリ20が処置を受ける血管の小孔に係合されるまで進められるとともに回転される。一旦、ガイドカテーテル22が所望の小孔内で係合すると、内側ガイド60は取り除かれてもよい。内側ガイドハブアッセンブリ70に取り付けられたルエール(luer)及びカテーテルハブアッセンブリ34はロックされておらず、内側ハブアッセンブリ70はカテーテルハブアッセンブリ34とは非接続状態である。内側ガイド60は引き出され、かつ取り除かれる。
内側ガイド60は、患者の冠状アナトミー内にてガイドカテーテル22を位置決めするために、ガイドカテーテル22に対してトルク性、及びねじれ抵抗を提供する。一旦、ガイドカテーテル22が患者の冠状系内にて正しく配置されると、ねじれ抵抗及びトルク性は不要となり、内側ガイド60は取り除かれる。内側ガイド60の除去後、従来のガイドカテーテルを使用するときのように、医師は、例えばバルーン膨張システムを使用して患部を処置する。」(18頁2行?19頁1行)

以上から、甲第5号証には、次の技術事項が記載されている。
「ガイドカテーテル22及び内側ガイド60を備えたガイドカテーテルアッセンブリ20において、内側ガイド60の先端66は、ガイドカテーテル22の先端30から超えて延びる点。」

VI.当審の判断
1.本件発明1について
(1)無効理由1について
(a)対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、その意味、構造または機能からみて、甲1発明の「カテーテルチューブ1及び少なくとも1つの内腔からなる装置」は、本件発明1の「カテーテル装置」に相当し、以下同様に、「補強層(編組)6」は「編み上げ管状部材」に、「カテーテルチューブ1」は「カテーテルシャフト」に、「フッ素樹脂からなる内層チューブ4」は「内側ポリマーライナー」に、「熱可塑性樹脂からなる外層7」は「外側ポリマーラミネート」に、「ショアD」は「デュロメータ値」に、それぞれ相当する。
甲1発明は、「フッ素樹脂からなる内層チューブ4が補強層(編組)6及び熱可塑性樹脂からなる外層7に対して密着している」ところ、その構成は、図2(A)の記載を踏まえれば、外層7を形成する熱可塑性樹脂が補強層(編組)6の中に点在せしめられ且つフッ素樹脂からなる内層チューブ4の外側面の編み目内に結合しているといえるから、本件発明1の「外側ポリマーラミネートのポリマー材料が編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合している」との発明特定事項を有するといえる。
甲1発明は、「熱可塑性樹脂からなる外層7が、後端側から先端(挿入先端部)側に従って順に、ショアD80のポリアミド系の外層樹脂7a、ショアD60のポリアミド系の外層樹脂7b、ショアD40のポリアミド系の外層樹脂7cから構成され」ているから、本件発明1の「外側ポリマーラミネートが、各々がカテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、複数のポリマーの各々が外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、カテーテルシャフトの末端領域が、カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、長さに沿った部分のデュロメータ値が、カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少しており」との発明特定事項を有するといえる。

そこで、本件発明1の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。
(一致点1-1)
「カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合している前記カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少している、
カテーテル装置。」

そして、両者は次の点で一応相違する。
(相違点1-1)
本件発明1では、「カテーテルシャフトが蛍光標識装置を含んでいる」のに対して、甲1発明では、「外層7を形成する熱可塑性樹脂中には、造影剤として硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステンカーバイト等の微粒子が添加され」たものである点。

(b)判断
(相違点1-1について)
本件発明1の「蛍光標識装置」は、本件特許第4653104号の国際出願日における国際出願の明細書及び特許請求の範囲における「fluoroscopic marker system」(Claim 13等を参照)の日本語訳であり、「fluoroscopic」の日本語訳が「蛍光透視鏡の;蛍光透視法の」(小学館ランダムハウス英和大辞典(第2版))であることを踏まえると、「蛍光透視法に用いられる標識装置」を意味するものと認められる。
したがって、本件発明1の「蛍光標識装置」は、単に構成材料が放射線不透過であるという特性だけに着目した「放射線不透過材料からなる標識装置」と同義ではないものと認められる。
一方、甲第1号証には、その記載からみて、造影剤について、「外層7を形成する熱可塑性樹脂中には、造影剤として硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステンカーバイト等の微粒子が添加される」ことが開示されているにとどまるから、造影剤が添加されたカテーテルチューブ1が蛍光透視に使用されることまで開示されているものとは認められない。
しかしながら、カテーテル装置の技術分野において、甲1発明におけるカテーテルシャフトに含まれる硫酸バリウム等の造影剤が、蛍光透視法に用いられる標識装置として機能することは技術常識(必要であれば、特開平4-341275号公報の段落【0050】?【0052】、特開平8-299287号公報の段落【0040】、特表2002-517263号公報の段落【0016】、特表2003-530168号公報の段落【0018】を参照)である。
したがって、「カテーテルシャフトが蛍光標識装置を含んでいる」点は、甲第1号証に記載されているに等しい事項といえる。
よって、この点は実質的な相違点とはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明1と甲1発明は同一であるから、本件発明1は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明1は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

(2)無効理由2について
(a)対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、その意味、構造または機能からみて、甲2発明の「カテーテル」は、本件発明1の「カテーテル装置」に相当し、以下同様に、「強化用編組」は「編み上げ管状部材」に、「管状体」及び「管状体の先端に接合された円環状の柔軟チップ部材」は「カテーテルシャフト」に、「第1のポリマー層」は「内側ポリマーライナー」に、「第2のポリマー層」は「外側ポリマーラミネート」に、「それぞれのチューブが隣接するチューブに当接し、重ならない位置に配置される第1、第2及び第3のチューブ」は「各々がカテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマー」に、それぞれ相当する。
甲2発明は、「第2のポリマー層が、それぞれのチューブが隣接するチューブに当接し、重ならない位置に配置される第1、第2及び第3のチューブを含んでおり、第2のポリマー層は管状体の先端部において約30D、管状体の手元部において約90Dの硬度とされ」ているところ、本件発明1の「複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、複数のポリマーの各々が外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、カテーテルシャフトの末端領域が、カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、長さに沿った部分のデュロメータ値が、カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少しており」との発明特定事項を有するといえる。

そこで、本件発明1の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。
(一致点1-2)
「カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合している前記カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少している、
カテーテル装置。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点1-2-1)
本件発明1では、「外側ポリマーラミネートのポリマー材料が編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合している」のに対して、甲2発明では、そのような限定がなされていない点。
(相違点1-2-2)
本件発明1では、「カテーテルシャフトが蛍光標識装置を含んでいる」のに対して、甲2発明では、「柔軟チップ部材は、硫酸バリウムまたはその他の放射線不透過フィラーを添加することによって放射線不透過とされ」たものである点。

(b)判断
(相違点1-2-1について)
甲第1号証には、補強層(編組)6(「編み上げ管状部材」に相当。)を含むカテーテルチューブ1(「カテーテルシャフト」に相当。)であって、少なくとも1つのフッ素樹脂からなる内層チューブ4(「内側ポリマーライナー」に相当。)が補強層(編組)6の内側面に結合しており、少なくとも1つの熱可塑性樹脂からなる外層7(「外側ポリマーラミネート」に相当。)が補強層(編組)6の外側面に結合しているカテーテルチューブ1が記載されている。また、甲第1号証におけるカテーテルチューブ1は、フッ素樹脂からなる内層チューブ4が補強層(編組)6及び熱可塑性樹脂からなる外層7に対して密着しているところ、上記(1)(a)に記載したとおり、外層7を形成する熱可塑性樹脂が補強層(編組)6の中に点在せしめられ且つフッ素樹脂からなる内層チューブ4の外側面の編み目内に結合しているといえる。
甲2発明におけるカテーテルシャフトにおいても、内側ポリマーライナーが編み上げ管状部材の内側面に結合するとともに、外側ポリマーラミネートが編み上げ管状部材の外側面に結合しているところ、カテーテル装置という共通する技術分野に属する甲第1号証に記載された上記技術事項にならって、内側ポリマーライナーが編み上げ管状部材及び外側ポリマーラミネートに対して密着するよう設計変更し、相違点1-2-1に係る本件発明1の発明特定事項のようにすることに、格別の困難性は認められない。

(相違点1-2-2について)
本件発明1の「蛍光標識装置」については、上記(1)(b)に記載したとおりである。
そして、カテーテル装置の技術分野において、甲2発明におけるカテーテルシャフトに含まれる硫酸バリウム等の放射線不透過フィラーが、蛍光透視法に用いられる標識装置として機能することは技術常識(必要であれば、特開平4-341275号公報の段落【0050】?【0052】、特開平8-299287号公報の段落【0040】、特表2002-517263号公報の段落【0016】、特表2003-530168号公報の段落【0018】を参照)である。
したがって、「カテーテルシャフトが蛍光標識装置を含んでいる」点は、甲第2号証に記載されているに等しい事項といえる。
よって、この点は実質的な相違点とはいえない。

そして、本件発明1による効果も、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明1は、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

2.本件発明2について
(1)甲第1号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明2と甲1発明との相当関係は、本件発明1と甲1発明との相当関係と相違しない。よって、本件発明2と甲1発明とは、次の点で一致する。
(一致点2-1)
「カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが編み上げ管状部材の外側面に結合しており、外側ポリマーラミネートのポリマー材料が編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合しているカテーテルシャフトと、
カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、複数のポリマーの各々が外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、カテーテルシャフトの末端領域が、カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、長さに沿った部分のデュロメータ値が、カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少している、
カテーテル装置。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点2-1)
本件発明2では、「基端及び末端を有し且つガイドワイヤの周りをたどる構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいるシース導入器を更に含んでおり、当該部材は、前記カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域が前記カテーテルシャフトの末端を越えて延びる」のに対し、甲1発明では、そのような構成を有していない点。

(b)判断
(相違点2-1について)
(i)本件発明2の「シース導入器」について
本件発明2の「シース導入器」に関して、本件特許第4653104号の明細書には、以下の記載がある。
●「・・・しかしながら、ある種の冠状の解剖学的構造においてよりしばしば見られるように、血管系がより大きな蛇行を有する用途に対しては、血管閉塞部位へのアクセスを得る代替的な方法が望ましいかも知れない。血管系の蛇行が先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルが一つの装置として進むには極端過ぎる場合には、より可撓性の高い給送機構によってシースカテーテルを最初に給送し、続いて、シースカテーテル内を血管閉塞部まで先端の鈍い切開カテーテルを給送することが望ましいかも知れない。シース導入期は極めて可撓性のポリマーを含んでおり、従って、シースカテーテルとシース導入器との組み合わせは、アセンブリの末端に高度の可撓性を付与して、シースカテーテルの末端を所望の血管位置に給送しつつ、より高度の血管の蛇行内での追従を許容する。
この代替的な方法においては、まず最初に、シースカテーテルが、一般的なガイドワイヤを介して血管閉塞部位へ直接給送される。しかしながら、典型的なガイドワイヤの直径は0.356mm(0.014インチ)であり、シースカテーテルの基準内径は約1.04mm(0.041インチ)であるけれども、シースカテーテルは、ガイドワイヤの周囲に沿って直接及び安全に追従されても良い。なぜならば、シースカテーテルの末端の先端は大きく露出されているからである。この露出された先端縁は、血管内に進入せしめられるときに血管の壁のスカイビング(削り取り)につながるかも知れない。シースカテーテルの先端縁によって血管の壁を損傷から防止するために、シースカテーテルは、(同じく、閉塞具と称される)シース導入器によって内側が支持されている。
シース導入器は、シースカテーテルの長さ部分に沿ってシースカテーテル内に緩く嵌合している単一の内腔のスリーブであり且つ標準的な血管ガイドワイヤを収容するためにガイドワイヤ内腔を組み込んでいる。シース導入器の末端部分は、シースカテーテルの末端を越えて約0.5cm乃至3cmまで延びていても良いが、これに限定されない。・・・」(段落【0041】?【0043】)
●「アセンブリとして、シース導入器/シースカテーテルは、シース導入器中心ガイドワイヤ内腔365を介して適切な血管部位までガイドワイヤの外周上を追従することができる。既に説明したように、シースカテーテル300は概してガイドワイヤの外周上を追従しない。なぜならば、シースカテーテル300の内径は約1.067mm(0.042インチ)の基準直径を有しており、一般的な冠状ガイドワイヤは約0.356mm(0.014インチ)の直径を有しているからである。従って、大きな環状の空隙が存在してシースカテーテルの先端縁を血管の壁に対して露出するからである。シース導入器は、ガイドワイヤとシースカテーテル300との間に2つのカテーテル間の環状空間を満たす物理的な接合面を提供している。
一実施形態によるシース導入器シャフト370は、ガイドワイヤの外周での追従を改良し且つひとたび装置が適切な血管部位へと進入せしめられるとシースカテーテル300からのシース導入器350の後退を容易にさせる潤滑性材料を含んでいる。適切な潤滑性材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)がある。シース導入器シャフトの典型的な大きさは、約0.406乃至0.559mm(0.016乃至0.022インチ)の内径と、0.991乃至1.062mm(0.039乃至0.043インチ)の外径とを有しているが、この実施形態はこれらの寸法に限られない。シース導入器350をシースカテーテル300内へ一杯まで挿入すると、シース導入器シャフト370の所定の末端部分が、上記したように、シースカテーテル300の末端を越えて伸長する。この長さは、シース導入器350からシースカテーテル300までの滑らかな移行を許容し且つガイドワイヤの外周に沿った追従を容易にさせる。」(段落【0087】?【0088】)

上記の記載からみて、本件発明2の「シース導入器」は、シースカテーテルの末端の先端縁が血管内に進入せしめられるときに、該先端縁による血管の壁のスカイビング(削り取り)、すなわち血管の壁の損傷を防止するという課題を達成するために、シースカテーテルの内側を支持しつつ、シース導入器中心ガイドワイヤ内腔365を介して適切な血管部位までガイドワイヤの外周上を追従する、すなわちガイドワイヤの周りをたどるという機能を奏するものと認められる。そして、本件明細書には、当該機能を奏するため、シースカテーテルの内径を約1.067mmとするのに対してシース導入器の外径を約0.991乃至1.062mm(シースカテーテルの内径に対するシース導入器の外径の割合は約93?100%)とするとともに、ガイドワイヤの直径を約0.356mmとするのに対してシース導入器の内径を約0.406乃至0.559mm(ガイドワイヤの直径に対するシース導入器の内径の割合は約114?157%)とすることが記載されている。

(ii)甲各号証の記載について
(あ)甲第1ないし3号証について
甲第1ないし3号証には、それぞれ、
甲第1号証:「カテーテルチューブ1及び少なくとも1つの内腔からなる装置であって、
補強層(編組)6を含むカテーテルチューブ1であって、少なくとも1つのフッ素樹脂からなる内層チューブ4が補強層(編組)6の内側面に結合しており、少なくとも1つの熱可塑性樹脂からなる外層7が補強層(編組)6の外側面に結合しており、フッ素樹脂からなる内層チューブ4が補強層(編組)6及び熱可塑性樹脂からなる外層7に対して密着しているカテーテルチューブ1と、
カテーテルチューブ1内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
熱可塑性樹脂からなる外層7が、後端側から先端(挿入先端部)側に従って順に、ショアD80のポリアミド系の外層樹脂7a、ショアD60のポリアミド系の外層樹脂7b、ショアD40のポリアミド系の外層樹脂7cから構成され、
外層7を形成する熱可塑性樹脂中には、造影剤として硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステンカーバイト等の微粒子が添加され、
内層チューブ4と外層7の二層構造となっており補強層(編組)6を有しない挿入先端部3は、良好な弾力性及び可撓性を発揮する、
カテーテルチューブ1及び少なくとも1つの内腔からなる装置。」、
甲第2号証:「カテーテルであって、
強化用編組を含む管状体であって、少なくとも1つの第1のポリマー層が強化用編組の内側面に結合しており、少なくとも1つの第2のポリマー層が強化用編組の外側面に結合している管状体と、
管状体内の少なくとも1つの内腔と、
管状体の先端に接合された円環状の柔軟チップ部材とを含み、
第2のポリマー層が、それぞれのチューブが隣接するチューブに当接し、重ならない位置に配置される第1、第2及び第3のチューブを含んでおり、
第2のポリマー層は管状体の先端部において約30D、管状体の手元部において約90Dの硬度とされ、
柔軟チップ部材は、硫酸バリウムまたはその他の放射線不透過フィラーを添加することによって放射線不透過とされ、
柔軟チップ部材が丸くされた末端領域を有する、カテーテル。」、
甲第3号証:「カテーテル装置10において、基端12と先端13をもつシャフト11、複数のルーメン15を規定する潤滑性ライナー14とを含み、潤滑性ライナー14は、補強部材16とアウタージャケット17によって囲まれる点、アウタージャケット17を形成する異なるセグメント18の数は、2から必要数の範囲とすることができるが、典型的には10個までである点、及びテーパー先端41を有する点。」、
が記載されているにすぎない。
したがって、甲第1ないし3号証には、「基端及び末端を有し且つガイドワイヤの周りをたどる構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいるシース導入器を更に含んでおり、当該部材は、カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域がカテーテルシャフトの末端を越えて延びる」点について記載も示唆もあるとすることはできない。

(い)甲第4号証について
甲第4号証には、外側案内カテーテル12と案内ワイヤ46との間に内側案内カテーテル13が存在する構成が開示されている。
しかしながら、甲第4号証の内側案内カテーテル13は、外側案内カテーテル12と協同して、ねじれ血管の詰った狭窄部およびまたは狭窄深部を通過するバルーンカテーテルに対して更なる支持を提供するためのものであって(上記記載事項(ヌ)を参照)、外側案内カテーテル12が所定位置に来たのち、従来型のより小さな直径の案内ワイヤ46を貫通孔17を介して導入し、所望の血管すなわち狭窄部に向って前述する、案内ワイヤ46が所定位置に来たのち、内側案内カテーテル13を案内ワイヤ46に沿って導入し、さらに内側案内カテーテル13の末端部が外側案内カテーテル12の末端部を越えて伸びるまで貫通孔17に内側案内カテーテル13を導入するものである(上記記載事項(ツ)及び(ニ)を参照)。
したがって、甲第4号証の内側案内カテーテル13は、「外側案内カテーテル12の末端の先端縁が血管内に進入せしめられるときに、該先端縁による血管の壁のスカイビング(削り取り)、すなわち血管の壁の損傷を防止するという課題を達成するために、外側案内カテーテル12の内側を支持しつつ、貫通孔19を介して適切な血管部位まで案内ワイヤ46の外周上を追従する、すなわち案内ワイヤ46の周りをたどる」ものであるとはいえないから、本件発明2の「シース導入器」と同様の課題を達成をするものとも、同様の機能を奏するものとも認められない。
また、甲第4号証では、外側案内カテーテル12の内径を2ミリとするのに対して内側案内カテーテル13の外径を1.75ミリとする(外側案内カテーテル12の内径に対する内側案内カテーテル13の外径の割合は約88%)とともに(上記記載事項(テ)を参照)、内側案内カテーテル13が案内ワイヤ46に沿って前進して所望の狭窄部へ接近した後、低い形状のバルーン膨張カテーテルを内側案内カテーテル13内に導入し、そして案内ワイヤ46に沿って狭窄部に前進させることができる(上記記載事項(ニ)を参照)だけの内側案内カテーテル13の内径と案内ワイヤ46の直径との関係を有するものであり、シースカテーテルの内径及びガイドワイヤの直径に対する、シース導入器の外径及び内径の関係からみても、甲第4号証の内側案内カテーテル13が、本件発明2の「シース導入器」と同様の機能を奏するとはいえない。
したがって、甲第4号証の「内側案内カテーテル13」は、本件発明2の「シース導入器」に対応するものとはいえない。
よって、甲第4号証には、本件発明2の「シース導入器」について記載あるいは示唆があるとは認められない。

(う)甲第5号証について
甲第5号証には、従来の診断カテーテルまたはガイドカテーテルの機能と同等の機能を有する一方で、ブレイドを有さない簡単な構造を備えたガイドカテーテルまたは診断カテーテルについて(上記記載事項(ネ)を参照)、具体的には、患者の脈管系内にてブレイドレスガイドカテーテル22をガイドワイヤに沿って導入及び配置中に、ガイドカテーテル22の内腔内に摺動して挿入されている内側ガイド60が、ブレイドレスガイドカテーテル22に対して、支持、トルク性、及びねじれ抵抗を提供することについて記載されている(上記記載事項(ヒ)及び(フ)を参照)。また、内側ガイド60の外径は、ガイドカテーテル22の内腔内にて摺動して挿入するように設定されているとともに、内側ガイド60の内腔68の外径、すなわち内側ガイド60の内径は、0.138mmのガイドワイヤの直径に対して0.150?0.154mm(ガイドワイヤの直径に対する内側ガイド60の内径の割合は約109?112%)とされていることが記載されている(上記記載事項(ヒ)を参照)。
してみると、甲第5号証の内側ガイド60は、ガイドワイヤの周りをたどるという機能を奏するものといえる。
しかしながら、甲第5号証は、第1実施形態として、ガイドカテーテル内腔23内に挿通させたトラッキングワイヤ48に沿って移動可能なブレイドレスガイドカテーテル22を開示し、第2実施形態として、ブレイドレスガイドカテーテル22及び内側ガイド60を備えた構成を開示していることからも明らかなとおり、ブレイドを備えた中間層を使用することなく患者の冠状動脈内に効果的に位置決めできるブレイドレスカテーテルを提供することを発明が解決しようとする課題とするものと認められる(上記記載事項(ノ)及び(ハ)を参照)。
したがって、ブレイドレスの構成を採用することと、2重カテーテルの構成を採用することとは、技術的に関連するものであると認められるから、甲第5号証において、ブレイドレスに係る構成と、2重カテーテルに係る構成とは、互いに独立した技術的事項であるとはいえない。
よって、甲1発明は、編み上げ管状部材、すなわちブレイドを有するカテーテル装置に関する発明であるから、甲1発明に、甲第5号証における、ブレイドを有さないブレイドレスカテーテルを実現するための内側ガイド60に関する構成を適用することには、阻害要因があると認められる。

(iii)小括
したがって、甲1発明に、甲第1ないし4号証に記載された技術事項をどのように組み合わせたとしても、「基端及び末端を有し且つガイドワイヤの周りをたどる構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいるシース導入器を更に含んでおり、当該部材は、カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域がカテーテルシャフトの末端を越えて延びる」点は導かれ得ない。
また、甲1発明に、甲第5号証における、ブレイドを有さないブレイドレスカテーテルを実現するための内側ガイド60に関する構成を適用することには、阻害要因があると認められる。
よって、甲1発明及び甲第1ないし5号証に記載された技術事項に基づいて、相違点2-1に係る本件発明2の発明特定事項に想到することが、当業者が容易になし得たこととはいえない。

(2)甲第2号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明2と甲2発明との相当関係は、本件発明1と甲2発明との相当関係と相違しない。よって、本件発明2と甲2発明とは、次の点で一致する。
(一致点2-2)
「カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが編み上げ管状部材の外側面に結合しているカテーテルシャフトと、
カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、複数のポリマーの各々が外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、カテーテルシャフトの末端領域が、カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、長さに沿った部分のデュロメータ値が、カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少している、
カテーテル装置。」

そして、両者は、上記相違点1-2-1に加え、次の点で相違する。
(相違点2-2)
本件発明2では、「基端及び末端を有し且つガイドワイヤの周りをたどる構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいるシース導入器を更に含んでおり、当該部材は、前記カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域が前記カテーテルシャフトの末端を越えて延びる」のに対し、甲2発明では、そのような構成を有していない点。

(b)判断
上記相違点1-2-1についての判断は、上記1.(2)(b)に記載したとおりである。

(相違点2-2について)
上記(1)(b)に記載した理由と同様の理由により、甲2発明に、甲第1ないし4号証に記載された技術事項をどのように組み合わせたとしても、「基端及び末端を有し且つガイドワイヤの周りをたどる構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいるシース導入器を更に含んでおり、当該部材は、カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域がカテーテルシャフトの末端を越えて延びる」点は導かれ得ず、また、編み上げ管状部材、すなわちブレイドを有するカテーテル装置に関する甲2発明に、甲第5号証における、ブレイドを有さないブレイドレスカテーテルを実現するための内側ガイド60に関する構成を適用することには、阻害要因があると認められる。
よって、甲2発明及び甲第1ないし5号証に記載された技術事項に基づいて、相違点2-2に係る本件発明2の発明特定事項に想到することが、当業者が容易になし得たこととはいえない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件発明2は、甲1発明または甲2発明、及び甲第1ないし5号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。
したがって、本件発明2は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効とすることはできない。

3.本件発明3について
(1)甲第1号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明3と甲1発明とを対比すると、両者は上記一致点1-1で一致し、上記相違点1-1に加え、次の相違点で相違する。
(相違点3-1)
複数のポリマーの数が、本件発明3では「6個」であるのに対して、甲1発明では「3個」である点。

(b)判断
上記相違点1-1についての判断は、上記1.(1)(b)に記載したとおりである。

(相違点3-1について)
例えば、甲第3号証に、「アウタージャケット17を形成する異なるセグメント18の数は、2から必要数の範囲とすることができるが、典型的には10個までである。」(上記記載事項(ソ)を参照)と記載されているように、カテーテル装置の技術分野において、カテーテルシャフトの外側ポリマーラミネートの長さに沿った1以上の部分を形成する複数のポリマーの数は、当業者が適宜選択し得る設計的事項であり、甲1発明において、複数のポリマーの数を「6個」とすることに格別の困難性は認められず、相違点3-1に係る本件発明3の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件発明3による効果も、甲1発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明3は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明3は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

(2)甲第2号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明3と甲2発明とを対比すると、両者は上記一致点1-2で一致し、上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2に加え、次の相違点で相違する。
(相違点3-2)
複数のポリマーの数が、本件発明3では「6個」であるのに対して、甲2発明では「3個」である点。

(b)判断
上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2についての判断は、上記1.(2)(b)に記載したとおりである。

(相違点3-2について)
例えば、甲第3号証に、「アウタージャケット17を形成する異なるセグメント18の数は、2から必要数の範囲とすることができるが、典型的には10個までである。」(上記記載事項(ソ)を参照)と記載されているように、カテーテル装置の技術分野において、カテーテルシャフトの外側ポリマーラミネートの長さに沿った1以上の部分を形成する複数のポリマーの数は、当業者が適宜選択し得る設計的事項であり、甲2発明において、複数のポリマーの数を「6個」とすることに格別の困難性は認められず、相違点3-2に係る本件発明3の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件発明3による効果も、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明3は、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明3は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

4.本件発明4について
(1)甲第1号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明4と甲1発明とを対比すると、両者は上記一致点1-1で一致し、上記相違点1-1に加え、次の相違点で相違する。
(相違点4-1)
本件発明4では、「カテーテルシャフトの内腔の末端の終端がカテーテルシャフトの末端において開口している環状開口部を形成している」のに対して、甲1発明では、そのように形成されているか明示がなされていない点。

(b)判断
上記相違点1-1についての判断は、上記1.(1)(b)に記載したとおりである。

(相違点4-1について)
カテーテル装置の技術分野において、カテーテルシャフトの内腔の末端の終端がカテーテルシャフトの末端において開口している環状開口部を形成するよう構成することは、周知慣用技術であり(例えば、甲第2号証の上記記載事項(コ)、甲第3号証の上記記載事項(セ)参照)、甲1発明において、上記周知慣用技術を適用して、相違点4-1に係る本件発明4の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件発明4による効果も、甲1発明及び周知慣用技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明4は、甲1発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明4は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

(2)甲第2号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明4と甲2発明とを対比する。
甲2発明は、「管状体の先端に接合された円環状の柔軟チップ部材」を含むことから、本件発明4の「カテーテルシャフトの内腔の末端の終端がカテーテルシャフトの末端において開口している環状開口部を形成している」との発明特定事項を有するといえる。
してみると、両者は上記一致点1-2に加え、「カテーテルシャフトの内腔の末端の終端がカテーテルシャフトの末端において開口している環状開口部を形成している」点で一致し(以下、「一致点4-2」という。)、上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2で相違する。

(b)判断
上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2についての判断は、上記1.(2)(b)に記載したとおりである。
そして、本件発明4による効果も、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明4は、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明4は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

5.本件発明5について
(1)甲第1号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明5と甲1発明とを対比する。
甲1発明は、「内層チューブ4と外層7の二層構造となっており補強層(編組)6を有しない挿入先端部3は、良好な弾力性及び可撓性を発揮する」ものであるところ、挿入先端部3は、非外傷性先端を形成しているポリマーを含んでいるといえるから、本件発明5の「非外傷性先端を形成しているポリマーを含んでいる」との発明特定事項を有するといえる。
してみると、両者は上記一致点1-1及び「非外傷性先端を形成しているポリマーを含んでいる」点で一致し(以下、「一致点5-1」という。)、上記相違点1-1及び上記相違点4-1で相違する。

(b)判断
上記相違点1-1についての判断は上記1.(1)(b)に、上記相違点4-1についての判断は上記4.(1)(b)に、それぞれ記載したとおりである。
そして、本件発明5による効果も、甲1発明及び周知慣用技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明5は、甲1発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明5は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

(2)甲第2号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明5と甲2発明とを対比する。
甲2発明は、「管状体の先端に接合された円環状の柔軟チップ部材」を含むことから、本件発明5の「環状開口部が非外傷性先端を形成しているポリマーを含んでいる」との発明特定事項を有するといえる。
してみると、両者は上記一致点4-2に加え、「環状開口部が非外傷性先端を形成しているポリマーを含んでいる」点で一致し(以下、「一致点5-2」という。)、上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2で相違する。

(b)判断
上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2についての判断は、上記1.(2)(b)に記載したとおりである。
そして、本件発明5による効果も、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明5は、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明5は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

6.本件発明6について
(1)甲第1号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明6と甲1発明とを対比すると、両者は上記一致点5-1で一致し、上記相違点1-1及び上記相違点4-1に加え、次の相違点で相違する。
(相違点6-1)
本件発明6では、「非外傷性先端が、テーパーが付けられた末端領域を有する単一のポリマーである」のに対して、甲1発明では、そのような構成を有していない点。

(b)判断
上記相違点1-1についての判断は上記1.(1)(b)に、上記相違点4-1についての判断は上記4.(1)(b)に、それぞれ記載したとおりである。

(相違点6-1について)
カテーテル装置において、「非外傷性先端を単一のポリマーとする」点は甲第2号証の上記記載事項(コ)及び(サ)に、「テーパーが付けられた末端領域を有する」よう構成する点は甲第3号証の上記記載事項(タ)に、それぞれ記載されている。
そこで、甲1発明に、カテーテル装置という共通の技術分野に属する甲第2及び3号証に記載された上記技術事項を適用し、相違点6-1に係る本件発明6の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件発明6による効果も、甲1発明、甲第2及び3号証に記載された技術事項並びに周知慣用技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明6は、甲1発明、甲第2及び3号証に記載された技術事項並びに周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明6は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

(2)甲第2号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明6と甲2発明とを対比する。
甲2発明は、「管状体の先端に接合された円環状の柔軟チップ部材」を含むことから、本件発明6の「非外傷性先端が単一のポリマーである」との発明特定事項を有するといえる。
してみると、両者は上記一致点5-2に加え、「非外傷性先端が単一のポリマーである」点で一致し(以下、「一致点6-2」という。)、上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2に加え、次の相違点で相違する。
(相違点6-2)
本件発明6では、「非外傷性先端が、テーパーが付けられた末端領域を有する」のに対して、甲2発明では、そのような明示がなされていない点。

(b)判断
上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2についての判断は、上記1.(2)(b)に記載したとおりである。

(相違点6-2について)
カテーテル装置において、「テーパーが付けられた末端領域を有する」よう構成する点は甲第3号証の上記記載事項(タ)に記載されている。
そこで、甲2発明に、カテーテル装置という共通の技術分野に属する甲第3号証に記載された上記技術事項を適用し、相違点6-2に係る本件発明6の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件発明6による効果も、甲2発明、甲第1及び3号証に記載された技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明6は、甲2発明、甲第1及び3号証に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明6は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

7.本件発明7について
(1)甲第1号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明7と甲1発明とを対比すると、両者は上記一致点5-1で一致し、上記相違点1-1及び上記相違点4-1に加え、次の相違点で相違する。
(相違点7-1)
本件発明7では、「非外傷性先端が、丸くされた末端領域を有する単一のポリマーである」のに対して、甲1発明では、そのような構成を有していない点。

(b)判断
上記相違点1-1についての判断は上記1.(1)(b)に、上記相違点4-1についての判断は上記4.(1)(b)に、それぞれ記載したとおりである。

(相違点7-1について)
カテーテル装置において、「非外傷性先端が、丸くされた末端領域を有する単一のポリマーである」点は甲第2号証の上記記載事項(コ)、(サ)及び(ス)に記載されている。
そこで、甲1発明に、カテーテル装置という共通の技術分野に属する甲第2号証に記載された上記技術事項を適用し、相違点7-1に係る本件発明7の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件発明7による効果も、甲1発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知慣用技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明7は、甲1発明、甲第2号証に記載された技術事項及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明7は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

(2)甲第2号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明7と甲2発明とを対比する。
甲2発明は、「管状体の先端に接合された円環状の柔軟チップ部材」を含むともに、「柔軟チップ部材が、丸くされた末端領域を有する」ことから、本件発明7の「非外傷性先端が、丸くされた末端領域を有する単一のポリマーである」との発明特定事項を有するといえる。
してみると、両者は上記一致点5-2に加え、「非外傷性先端が、丸くされた末端領域を有する単一のポリマーである」点で一致し(以下、「一致点7-2」という。)、上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2で相違する。

(b)判断
上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2についての判断は、上記1.(2)(b)に記載したとおりである。
そして、本件発明7による効果も、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明7は、甲2発明及び甲第1号証に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明7は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

8.本件発明8について
(1)甲第1号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明8と甲1発明とを対比する。
甲1発明は、「内層チューブ4と外層7の二層構造となっており補強層(編組)6を有しない挿入先端部3は、良好な弾力性及び可撓性を発揮する」ものであるところ、挿入先端部3は、非外傷性先端であり、内層チューブ4と外層7とによって構成されているといえるから、本件発明8の「非外傷性先端が、内側ポリマーと外側ポリマーとによって構成されている」との発明特定事項を有するといえる。
してみると、両者は、上記一致点5-1に加え、「非外傷性先端が、内側ポリマーと外側ポリマーとによって構成されている」点で一致し(以下、「一致点8-1」という。)、上記相違点1-1及び上記相違点4-1で相違する。

(b)判断
上記相違点1-1についての判断は上記1.(1)(b)に、上記相違点4-1についての判断は上記4.(1)(b)に、それぞれ記載したとおりである。
そして、本件発明8による効果も、甲1発明及び周知慣用技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明8は、甲1発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明8は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

(2)甲第2号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明8と甲2発明とを対比すると、両者は上記一致点5-2で一致し、上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2に加え、次の相違点で相違する。
(相違点8-2)
本件発明8では、「非外傷性先端が、内側ポリマーと外側ポリマーとによって構成されている」のに対し、甲2発明では、そのような限定がなされていない点。

(b)判断
上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2についての判断は、上記1.(2)(b)に記載したとおりである。

(相違点8-2について)
カテーテル装置において、「非外傷性先端が、内側ポリマーと外側ポリマーとによって構成されている」点は、周知慣用技術(例えば、甲第1号証の上記記載事項(ア)、甲第3号証の上記記載事項(セ)及び(ソ)を参照。)である。
そこで、甲1発明に、カテーテル装置という共通の技術分野に属する上記周知慣用技術を適用し、相違点8-2に係る本件発明8の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件発明8による効果も、甲2発明、甲第1号証に記載された技術事項及び周知慣用技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(c)小括
以上のとおり、本件発明8は、甲2発明、甲第1号証に記載された技術事項及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明8は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。

9.本件発明9について
(1)甲第1号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明9と甲1発明とを対比すると、両者は上記一致点1-1で一致し、上記相違点1-1に加え、次の相違点で相違する。
(相違点9-1)
本件発明9では、「蛍光標識装置が、編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいる」のに対して、甲1発明では、そのような構成を有していない点。

(b)判断
上記相違点1-1についての判断は、上記1.(1)(b)に記載したとおりである。

(相違点9-1について)
甲第1ないし5号証には、上記2.(1)(b)(ii)に記載したとおりの事項が記載されているにすぎないから、「蛍光標識装置が、編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいる」点について記載も示唆もされているとは認められない。
したがって、甲1発明に、甲第1ないし5号証に記載された技術事項をどのように組み合わせたとしても、「蛍光標識装置が、編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいる」点は導かれ得ず、甲1発明及び甲第1ないし5号証に記載された技術事項に基づいて、相違点9-1に係る本件発明9の発明特定事項に想到することが、当業者が容易になし得たこととはいえない。

この点について、請求人は、「甲第2号証(段落[0024])には、内側ジャケット21に放射線不透過フィラーを含むことが記載されているから、本件発明9の上記構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。」(審判請求書33頁22?24行)と主張しているが、甲第2号証の段落【0024】に「内側ジャケット21の放射線不透過フィラー量は、5重量%以下、好ましくは、1重量%以下であること、さらに好ましくは、0.5重量%以下であることが、最も好ましくは0重量%であることが望ましい。」と記載されていることからみて、甲第2号証では、内側ジャケット21に放射線不透過フィラーを基本的に含まないことを想定していると認められるから、たとえ内側ジャケット21に放射線不透過フィラーが少量含まれるとしても、当該放射線不透過フィラーが「蛍光標識装置」すなわち「蛍光透視法に用いられる標識装置」(上記1.(1)(b)を参照)として機能し得るとして記載しているものとは認められない。

(2)甲第2号証を主引例とする場合
(a)対比
本件発明9と甲2発明とを対比すると、両者は上記一致点1-2で一致し、上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2に加え、次の相違点で相違する。
(相違点9-2)
本件発明9では、「蛍光標識装置が、編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいる」のに対して、甲2発明では、そのような構成を有していない点。

(b)判断
上記相違点1-2-1及び上記相違点1-2-2についての判断は、上記1.(2)(b)に記載したとおりである。

(相違点9-2について)
上記(1)(b)に記載したとおり、甲第1ないし5号証には、「蛍光標識装置が、編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいる」点について記載も示唆もされているとは認められない。
したがって、甲2発明に、甲第1ないし5号証に記載された技術事項をどのように組み合わせたとしても、「蛍光標識装置が、編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいる」点は導かれ得ず、甲2発明及び甲第1ないし5号証に記載された技術事項に基づいて、相違点9-2に係る本件発明9の発明特定事項に想到することが、当業者が容易になし得たこととはいえない。

また、請求人の主張については、上記(1)(b)に記載したとおりである。

(3)まとめ
以上のとおり、本件発明9は、甲1発明または甲2発明、及び甲第1ないし5号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。
したがって、本件発明9は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、請求人の主張する無効理由4によって無効とすることはできない。

10.本件発明10及び11について
(a)対比・判断
本件発明10及び11は、本件発明2をそれぞれ引用するものであり、本件発明2が、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、詳細を検討するまでもなく、本件発明10及び11も、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。
(b)小括
したがって、本件発明10及び11は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効とすることはできない。

11.本件発明12について
(a)対比・判断
本件発明2と本件発明12は、本件発明2の「シース導入器」に対して本件発明12の「導入器」、及び、本件発明2の「前記カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み」に対して本件発明12の「前記内側ポリマーライナーは前記カテーテルシャフト内の内腔を形成している」という表現上の差異があるものの、その余の点では一致している。
してみると、本件発明2が、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、詳細を検討するまでもなく、本件発明12も、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。

(b)小括
したがって、本件発明12は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効とすることはできない。

12.本件発明13及び14について
(a)対比・判断
本件発明13及び14は、本件発明12をそれぞれ引用するものであり、本件発明12が、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、詳細を検討するまでもなく、本件発明13及び14も、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。
(b)小括
したがって、本件発明13及び14は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効とすることはできない。

VII.むすび
以上のとおり、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、本件発明3ないし8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、本件発明1、3ないし8に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、請求人の主張する無効理由1、2または4により無効とされるべきである。
また、請求人の主張する無効理由3ないし5、及び提出した証拠方法によっては、本件発明2、9ないし14に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
血管閉塞部を開通させるためのカテーテル装置及び方法
【関連出願】
【0001】
本願は、2003年6月10日に出願された米国特許出願第60/477,628号及び2003年6月13日に出願された第60/478,404号に基づく優先権を主張している。
本願は、2001年4月13日に出願された米国特許出願第09/835,043号、2002年2月12日に出願された第10/074,546号及び2003年8月25日に出願された第10/647,904号に関する。本願はまた、1997年2月28日に出願された米国特許出願第08/775,264号、1998年2月8日に出願された米国特許出願第09/149,874号(米国特許第6,508,825号)、1999年11月19日に出願された米国特許出願第09/443,924号(米国特許第6,508,825号)、2003年10月28日に出願された米国特許出願第09/538,441号(米国特許第6,599,304号)にも関する。
【発明の分野】
【0002】
本明細書に記載された装置及び方法は、医療用器具に関し、より特別には、人間又は哺乳類の体内の血管内の閉塞部を治療するためのカテーテルに基づく装置に関する。
【背景技術】
【0003】
血管閉塞は、血管内の血液の流れを著しく又は完全に遮断する循環系(冠状血管及び周辺血管の両方を含む)の遮断である。一般的にアテローム性動脈硬化症と称される血管閉塞を惹き起こす疾病状態の進行は、血管の内壁に沿った脂肪質、繊維及び/又はカルシウムの漸進的な沈着を含む。この進行は、ゆっくりと起こるかも知れず、時々は多年に亘る。血管の閉塞は、“機能的な”又は慢性全閉塞(CTO)として分類される。閉塞は、例えば、血管が大部分の血流を遮断する著しい狭窄症を起こしたときにもたらされるが、小さな有限経路が血管内に残ったままとなる。閉塞は、CTOとして分類される。
【0004】
動脈疾病においては、しばしば、本来の血管の内腔がゆっくりと閉じ始めると、この本来の血管によって供給される組織は虚血性となり、体は、閉塞部位の基端側に起こり且つ閉塞部の末端側の組織に供給する新しい“側枝”血管の成長を開始させる血管形成ファクタを形成することによって応答する。これらの新しい血管は、安静又は通常の活動中に血流及び酸素に対する組織の条件を安定化する助けとなるかも知れない。これらの側枝血管は、冠状血管系及び周辺血管系の両方において起こるかも知れない。しかしながら、しばしば、これらの新しい側枝血管は、運動のようなより多くの需要状況においては、組織への血液及び酸素の適切な供給を維持することができない。脚部の血管ような周辺血管の遮断に対しては、患者は、脚部の跛行(運動中の痛み)のような臨床的な症状を起こすかも知れず、又は冠状血管の閉塞の場合には、患者は、運動中に息切れ又は胸の痛みを起こすかも知れない。
【0005】
血管閉塞の肉体的な治療方法としては、介入方法(例えば、非外科的なカテーテルに基づく方法)又は外科的な方法がある。介入治療方法の目的は、最初に、閉塞部を通過する初期の小さな経路を形成し、続いて、閉塞する前にバルーン血管形成術によって該小さな経路を名目上血管の本来の直径に等しい直径まで径方向に拡張させることによって閉塞した血管を再度貫通させる方法である。この部位はまた、同様に血管の長期間の開存を助長するために、アスレクトミー(後で取り外す)カテーテル及びステントによって処置しても良い。
【0006】
介入治療方法は、典型的には、ガイドワイヤと称される専用のワイヤを、閉塞部の基端側の血管内へ導入し、蛍光手段を使用して該ガイドワイヤを閉塞部を貫通して閉塞部の末端側の血管内へと進入させることを含む。この基本的な技術は、冠状(心臓)血管及び周辺(例えば、腸骨、表皮大腿、鎖骨下)血管の両方で行うことができる。ガイドワイヤがひとたび閉塞部を通って閉塞部の末端側の血管内腔内へと給送されると、バルーンカテーテルがガイドワイヤの外周に沿って給送されて、閉塞部位においてバルーン血管形成術が行われる。
【0007】
しかしながら、一般的なガイドワイヤは、全閉塞を貫通して経路を形成するように設計されてはいない。むしろこれらのガイドワイヤは、狭窄した動脈部位に血管形成術を施すためにバルーンカテーテルを連続して給送することを目的として、バルーンカテーテルの典型的には閉塞していないが狭窄した血管内を通過させるための極めて可撓性の末端端部によって設計されている。全閉塞を貫通する経路を形成することができるガイドワイヤの設計は難しい作業であり、一方、ガイドワイヤは、閉塞部を貫通する直接的な経路を採らない場合には、閉塞材料を貫通するのに十分なように丈夫であるが血管の壁に穴を開けないように十分に使い易くなければならない。しかしながら、閉塞部を通るガイドワイヤの経路の分岐は、全閉塞部の組成が極めて不均質となることがあり、これは明らかに不所望である潜在的な血管壁を貫通する進入につながる明確な可能性を有する。
【0008】
血管の全閉塞を治療する介入方法は、上記したように、難しく且つ問題が多く、高い危険要素を提供する。従って、血管の全閉塞を患っている患者は、外科的治療方法に直接頼ることが多い。別の場合として、患者は、介入的な試みを失敗した後に外科的な方法に頼ることが多い。外科的方法は明らかに患者に対してより多く外傷を及ぼすけれども、この方法の実際の機構はより簡単であり、この方法は、複雑さをより少なくするものとして一般的に受け入れられている。
【0009】
外科的な方法においては、閉塞部を迂回するために外部導管が使用され、該導管の一端は閉塞部の基端側に取り付けられ、他端は閉塞部の末端側の血管に取り付けられる。このようにして、血液の流れは閉塞部の近くで別ルートで送られる。導管は、動脈若しくは静脈に外殖された部分であっても良く又は典型的にはダクロン成形材料によって作られた人工の導管であっても良い。
【0010】
しかしながら、外科的な方法もまた複雑さがないわけではない。外科的な方法は概して望ましい臨床結果を生じるけれども、介入方法と比較して極めて侵襲的であり且つそれに続く患者に対するより長い回復期間につながる。結局は、慢性の全閉塞を治療するために、外科的な方法及び介入的な方法を検討すると、非外科的な方法が望ましいことは明らかであり、成功率を高めることができ且つ現在の介入処置方法に伴う複雑性を少なくした改良された介入治療方法が更に望ましい。
【発明の開示】
【0011】
本明細書には、血管の全閉塞部内に初期の経路を形成するために使用するための介入カテーテル装置及び方法が記載されている。本明細書に記載された装置は、血管閉塞部を通るカテーテル装置によって形成される初期の経路は血管への機能的開存又は血流を回復することを意図されていない点において、治療機能を行わないことを明記しておくべきである。むしろ、閉塞部を通る経路が形成された後に、カテーテル装置は、全体的又は部分的に血管から抜き出されても良い。形成された経路は、続いて、一般的なガイドワイヤの通路のために使用され、このガイドワイヤは、次いで、既に閉塞した血管部位に対する一般的な血管形成術又はステント設置を行うためのバルーンカテーテル又はステントのような治療装置を給送する一般的な機能を果たす。従って、この初期の経路の形成は、続いて行われる一般的なガイドワイヤの配置を容易にするばかりでなく、閉塞部を通るガイドワイヤの配置なしで更なる治療処置を行うことはできない。本明細書に記載されている装置は、体内の血管系において使用するために適用可能である。
【0012】
以下の記載においては、カテーテル装置及び方法の実施形態の完全な理解を提供し且つ説明を可能にするために多数の特別な細部が導入される。しかしながら、当業者は、1以上の特別な細部又は他の構成部品、装置等なしでこれらの実施形態を実施することができることを認識するであろう。他の例においては、開示された実施形態の特徴を不明確にするのを避けるために、公知の構造又は作動は示されておらず、詳細に説明されていない。
【0013】
本明細書に記載されているカテーテル装置は概して2つの部材を含んでいる。第1の部材は、カテーテルの末端に配置された遠隔的に手動で起動されるアセンブリであって、切開通路又は閉塞部を貫通する小さい経路を形成するために血管の閉塞部内に鈍い切開部を形成するアセンブリを含んでいる先端の鈍い切開カテーテルである。第2の部材は、その内部へ先端の鈍い切開カテーテルが自由に進入せしめられ、後退せしめられ又は回転せしめられ得る導管として機能するシースカテーテルである。これらの部材は、冠状血管系及び周辺血管系の両方において血管閉塞部全体を通過するために相互に組み合わせて使用される。以下において各部材の説明をする。
【0014】
一実施形態の先端の鈍い切開カテーテルは、各々が前記アセンブリの基部にヒンジ結合された基端の周りを回転する構造とされた自由な末端を有し、前記基部は動くことができず且つ末端に1以上の長手方向に配列された非外傷性の鈍い拡張部材が取り付けられている作動部材(末端起動アセンブリ又は末端アセンブリとも称される)によって末端が終端しているカテーテルシャフトを含んでいる。前記拡張部材は、カテーテルの基端に設けられたハンドルによって遠隔的に起動され、カテーテルが血管内を進入せしめられ、後退せしめられ、適正に位置決めされる通常の閉止状態と、前記鈍い切開プロセスが生じる際の開く起動状態との間を動く。閉止状態においては、前記拡張部材の自由な末端はカテーテルシャフトの中心軸線に向かって回転せしめられ、拡張部材は、前記カテーテルシャフトの端部に滑らかで鈍い弾丸形状の構造を形成する。開口状態では、拡張部材の末端は、基部に対する基端のヒンジ結合された取り付け部を中心に回転せしめられ、前記拡張部材は、弧に沿ってカテーテルの中心軸線から離れる方向に横方向へ移動する。
【0015】
起動部材が一実施形態のカテーテルシャフト内に配置されており、起動部材の末端は前記ヒンジ結合された拡張部材と接触しており、前記起動部材の基端は基端方向に起動されるハンドル機構に結合されている。ハンドル機構は、例えば医師によって作動させることができる。ハンドルの起動によって、前記起動部材に軸線方向の力を付与し、次いで、該起動部材は作動部材の拡張部材に開口力を付与する。作動部材は、基端の基部に対するヒンジ取り付け部を中心に回転し、前記拡張部材の自由な末端は、円弧内を前記カテーテルの中心軸線から離れる方向に横方向に移動する。
【0016】
血管閉塞部に対して配置されると、前記末端の拡張部材の横方向への動きによって、該閉塞部が局部的に破壊され且つ前記作動部材のすぐ末端側に小さな切開部を形成するための力が閉塞した血管組織にかけられる。次いで、カテーテルがこの小さな切開通路内へ末端方向に進入せしめられ、このプロセスが繰り返され、その度毎にカテーテルの作動部材のすぐ末端側に別の小さな切開部が形成され、その中をカテーテルが動くことができる。このプロセスは、カテーテルが血管内を進入し且つ閉塞部の末端側にある血管の内腔内へと出て行くまで続けられる。このカテーテル装置の第1の部材として有用である先端の鈍い切開カテーテルが上記関連出願に記載されている。
【0017】
該カテーテル装置の第2の部材は、その内部で先端の鈍い切開カテーテルが作動する相補的な装置として設計されているシースカテーテルである。一実施形態のシースカテーテルは、小さい断面の導管であり且つ末端が非外傷性の末端ポートで終端しており且つ基端が単一のポートハブで終端している単一内腔の薄壁のカテーテルシャフトを含んでいる。このシースカテーテルの壁の厚みは、出来る限り物理的に薄いのが望ましく、このシースカテーテルの単一内腔の内径は、先端の鈍い切開カテーテルの外形に対する高い許容公差を提供するように設計される。これら2つの特性は、複合カテーテル装置に対して最も小さい断面を付与し、これは、血管系内へのカテーテル装置の進入を容易にし且つ特に血管の重い症状の領域での装置の移動を助長するのに重大である。
【0018】
先端の鈍い切開カテーテルの外面とシースカテーテルの内面とは、これらの面間の環状空間が最少化されているために相対的に潤滑性であり、このことは、シースカテーテル内での先端の鈍い切開カテーテルの回転運動及び軸線方向運動を容易にする。この潤滑性は、シースカテーテルの内面の材料内に、高密度ポリエチレン(HPPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)又はポリテトラフルオロエチレンのような潤滑性材料を含むことによって達成される。先端の鈍い切開カテーテルの外面はまた、同様の材料又はナイロン若しくはポリウレタンのような他のポリマーによって設計することもでき、親水性コーティングをカテーテルの表面に適用して潤滑性を増大させても良い。
【0019】
一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルの外径とシースカテーテルの内径との間の環状空間は、約0.0254mm(0.001インチ)程度であるが、これに限定されない。一実施形態のシースカテーテルの壁厚は、約0.0762乃至0.254mm(0.003乃至0.010インチ)の範囲内であるが、これに限定されない。基準の壁厚は約0.127mm(0.005インチ)である。先端の鈍い切開カテーテルとシースカテーテルとの間の小さな環状空間は、シースカテーテルの特に終端における最小化された壁厚と組み合わせることによって、血管系内への進入中に先端の鈍い切開カテーテルの周囲を平行移動するときにシースカテーテルの全体の露出される先端が最小化される。
【0020】
手続的には、先端の鈍い切開カテーテルとシースカテーテルとを含むカテーテル装置は、先端の鈍い切開カテーテルが血管の閉塞部に密接状態とされるまで血管内を進入せしめられる。このプロセスにおいては、先端の鈍い切開カテーテルは、シースカテーテルの末端を典型的には約1?15センチメートル(cm)だけ越えた進入位置に留まったままである。鈍い切開プロセスを行うために、先端の鈍い切開カテーテルの作動部材は、十分な力と係合して、基端のハンドルを介する医師による先端の鈍い切開カテーテル内への軸線方向の力の入力を使用して血管の閉塞部内へ入る。
【0021】
ハンドルから作動部材までのこの力の平行移動は、2つのファクタによって助長される。軸線方向の力の平行移動を助長する第1のファクタは、シースカテーテルによって提供される物理的な支持である。この先端の鈍い切開カテーテルは、それ自体に血管系内を容易に動くことができるようにより大きな可撓性を有するように設計されている。しかしながら、この設計の考察はまた、カテーテルがそれ自体の上に発生し得る本来の“推進”の全体量を減じることをも意図している。従って、シースカテーテルによって付与される物理的な支持によって、この装置の全体の“推進能力”が増大される。軸線方向の力の平行移動を助長する第2のファクタは、シースカテーテルの内面と先端の鈍い切開カテーテルの外面との間の潤滑性である。これらの2つのファクタは、先端の鈍い切開カテーテルの作動部材に供給される力の平行移動を最大化し、鈍い切開プロセス全体を容易にする。
【0022】
先端の鈍い切開カテーテル作動部材に供給される軸線方向の力の平行移動を最大化することは、シースカテーテルによって提供される第1の基本的な機能である。医師によって入力される軸線方向の力のより大きな平行移動は、作動部材を閉塞部全体とより良く係合させ且つ鈍い切開プロセスを容易にさせる。先端の鈍い切開カテーテルは血管閉塞部内を徐々に進入せしめられるときに、シースカテーテルもまた、この先端の鈍い切開カテーテルに適切な支持を提供するので、この処置及び患者に適するように前方へ進入せしめることができる。典型的には、シースカテーテルの末端は、適切な支持を提供するために、先端の鈍い切開カテーテルの基端側約1?5cmの距離に維持される。
【0023】
まずカテーテルが血管閉塞部の材料内へ更に進入すると、シースカテーテルもまた、徐々に前方へ進入させることができる。このことが進行すると、シースカテーテルは、切開通路が始まる閉塞部の基端に到達するであろう。この時点まで、シースカテーテルの末端は、血管の散漫に疾患した部分内を進入せしめられても良い。しかしながら、切開通路が始まる血管の閉塞部の基端に到達したときに、血管の内腔の作動直径は、先端の鈍い切開カテーテルによって形成される切開通路の大きさまで小さくされるであろう。先端の鈍い切開カテーテルに続いてシースカテーテルを閉塞部内へ末端方向に進入させる能力は、シースカテーテルと先端の鈍い切開カテーテルとの間の高い嵌め合い公差及びシースカテーテルの先端の小さい断面とに依存するようになる。一実施形態のシースカテーテルの極めて小さい断面の先端は、シースカテーテルが切開通路内へと先端の鈍い切開カテーテルの周囲に倣うのを可能にする。
【0024】
先端の鈍い切開カテーテルとシースカテーテルとの両方は、血管閉塞部内を徐々に進入せしめられるので、先端の鈍い切開カテーテルはついには血管閉塞部を出て行き、閉塞部の末端側に位置する血管の正規の内腔内に入る。該処置中のこの時点で、先端の鈍い切開カテーテルの位置は維持され、シースカテーテルは、該シースカテーテルが同じく閉塞部から出て行き且つ閉塞部の末端側にある血管の正規の内腔内へ入るまで、先端の鈍い切開カテーテルの周囲に沿って末端方向に更に進入させることができる。先端の鈍い切開カテーテルは、次いで、血管及び体内から完全に抜き取り、シースカテーテルを血管閉塞部を越えた定位置に完全に残しても良い。
【0025】
閉塞部を通るようにシースカテーテルを配置することは、一般的なガイドワイヤが閉塞部の末端側に位置している血管の正規の内腔内へ進入せしめられ得る便宜的な導管として機能する。これは、シースカテーテルによって付与される第2の基本的な機能である。ガイドワイヤを血管の閉塞部を通るように配置すると、その位置は維持され、シースカテーテルは血管及び体内から後退させても良い。このようにして、ガイドワイヤは定位置に残されて、既に閉塞した血管部位を治療するために血管形成術又はステント挿入を行うためにバルーンカテーテル又はステントのような治療装置の給送を容易にする。
【好ましい実施形態の説明】
【0026】
図においては、同じ参照符号は同一の又は実質的に類似している部材又は作用を特定している。
図1は、一実施形態による先端の鈍い切開カテーテル100とシースカテーテル300とを含んでいるカテーテル装置を示している。先端の鈍い切開カテーテル100及びシースカテーテル300は、シースカテーテル300内に配置された先端の鈍い切開カテーテル100を備えた一体装置として示されている。先端の鈍い切開カテーテル100は、シースカテーテル300全体の物理的な長さよりも長い作動長さを有している。作動長さは、別の装置内へ進入させることができるカテーテルシャフトの使用可能な長さとして一般的に規定され、この場合には、先端の鈍い切開カテーテル100はシースカテーテル300内へ進入せしめられる。作動長さは、カテーテルの先端からカテーテルシャフト上の最も基端の先端までによって測定される。先端の鈍い切開カテーテル100においては、作動長さは、作動部材120からカテーテルシャフト100をハンドル110に調和させる歪み解放部150の末端まで延びている。先端の鈍い切開カテーテルシャフト160は、該先端の鈍い切開カテーテルの歪み解放部150がシースカテーテルの基端のハブ310に隣接するまでシースカテーテル300内へ進入させることができる。先端の鈍い切開カテーテル100がシースカテーテル300内へと一杯まで進入せしめられたときに、先端の鈍い切開カテーテル170の末端部分は、シースカテーテル300の末端330から伸長する。この長さは、典型的には、約1cm乃至15cmの範囲内で変わってもよいが、これに限定されない。基準の伸長長さは約10cmであるが、これに限定されない。
【0027】
先端の鈍い切開カテーテル100及びシースカテーテル300の対応する全長は、該装置が使用される体の領域、体内への挿入位置及びカテーテルが体内を通り閉塞部へと到達するときに採る経路に依存する。周辺血管内で一般的に治療される周辺血管系内の部位は、末端の大動脈から分岐している2つの主要な血管分枝内にあり、これら2つの分枝は、各々、幹部及び脚部の一方に血液を供給する。各腸骨動脈は、鼠径及び上太股領域を通って大腿動脈内へと傾斜しており且つ膝領域内の膝窩動脈内へと更に傾斜している。
【0028】
典型的な周辺血管内へのカテーテル装置の挿入位置は、各鼠径内の大腿動脈位置を通る。この挿入部位から、カテーテル装置は2つの方向のうちの1つの方向に進入せしめることができる。閉塞部が挿入部位の末端側の動脈内にある場合には、カテーテル装置は、閉塞部に達するまで血流方向に沿って末端方向へ進入せしめられる。この方法は、一般的に挿入部位を意味する“イプサラテラル(同じ側)”と称され、治療部位は、大動脈分枝と“同じ側”の同じ血管分枝内に位置している。別の方法として、閉塞部が挿入部位の反対側の血管分枝内に位置している場合には、カテーテルは、同じ挿入部位の反対側の血管分枝内に位置している場合には、カテーテルは、同じ挿入部位を使用するが、最初に血流に対向して進入せしめられ、次いで、反対側の腸骨動脈分枝内へ導かれる。次いで、カテーテルは、末端方向に進入せしめられて閉塞部へ達する。この方法は、血管閉塞部位及び挿入部位が大動脈分枝の対向する脚部内にあるので、一般的に“対向側”と称される。
【0029】
同じ側用途における先端の鈍い切開カテーテル100に必要とされる基準の作動長さは、約40cm乃至100cmの範囲内であるが、これに限定されない。対向側用途のための先端の鈍い切開カテーテル100の典型的な作動長さは、約80cmである。従って、シースカテーテル300の全長は、先端の鈍い切開カテーテル130の作動長さよりも短い約10cmが基準であり、約30cm乃至90cmの範囲内であっても良いが、これに限定されない。
【0030】
対向側用途のためには、先端の鈍い切開カテーテル100は、最初に、反対側の腸骨内へと末端方向に導かれる前に腸骨動脈を介して挿入部位へ到達しなければならない。挿入部位の反対側の腸骨動脈内の血管閉塞に対しては、ほんの約60cmの作動長さが使用されても良い。しかしながら、血管閉塞部が表面大腿動脈(SFA)又は膝窩動脈内にある場合には、作動長さは、約140cm又はおそらくは160cmに達するかも知れない。対側用途のための先端の鈍い切開カテーテル100の実際的な作動長さ範囲は約60cm乃至140cmであるが、必ずしもこれに限られない。従って、シースカテーテル300の全長は、50cm乃至130cmの範囲内であっても良いが、これに限定されない。上に提供され且つ本明細書の別の場所に提供されている全てのカテーテルの大きさは、例として提供されており、血管入口部位、血管閉塞部の位置及び医療用途に応じて異なっていても良い。
【0031】
冠状血管系へのアクセスのためには、入口部位は、周辺血管系すなわち鼠径部内の大腿動脈の場合と同じであっても良い。一実施形態の先端の鈍い切開カテーテル100の最小作動長さは約110cmである。上限は、周辺血管系の場合と似ており、すなわち約140cmである。典型的な全長範囲は、約110cm乃至140cmであっても良いが、これに限られない。従って、シースカテーテル300の全長は、約100cm乃至130cmの範囲内とすることができるが、これに限られない。
【0032】
基端ハンドル110、流れポート130、回転止血弁140、歪み解放部150、基端のカテーテルシャフト160、末端のカテーテルシャフト170及び作動部材120を備えた先端の鈍い切開カテーテル100が示されている。ハンドル機構110の作動は、カテーテル作動部材120に対する開閉動作に通じている。特に、“T”型ハンドル110の基端部を押し込むことによって、カテーテルシャフト160/170内の作動部材(図示せず)の基端の軸線方向の動きが付与され、この動きは、次いで、作動部材120の拡張部材122を開かせる。“T”型ハンドル110の基端部を押し込むと、カテーテル160/170内の作動部材(図示せず)の末端の軸線方向の動きが付与され、この動きは、次いで、作動部材120の拡張部材122を閉じさせる。ハンドルアセンブリ110は、ポリカーボネート又はデルリンのような一般的な加工可能なプラスチックによって構成することができるが、これに限定されない。
【0033】
流れポート130は、体内へ挿入する前に如何なる空気をも排出するために、カテーテル100の内部へ食塩水を噴射する経路を提供する。回転止血弁140は、カテーテルシャフト160/170が、使用中に医師によって必要とされるように回転せしめられるのを許容しつつ、液密経路を維持する。
【0034】
シースカテーテル300は、基端ハブ310、シャフト320及び末端の終端330を含んでいる。既に説明したように、シースカテーテル300の全長は、先端の鈍い切開カテーテル100がシースカテーテル300内へ完全に末端方向へ進入したときに、先端の鈍い切開カテーテル100の約10cmがシースカテーテル300の末端から伸長するようになされているが、これに限定されない。
【0035】
図2a?2iは、概して、一実施形態によるカテーテル装置の使用を含む治療処置を示している。図2aは、一実施形態による血管系の脈管閉塞部の基端に先端が鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルを含んでいるカテーテル装置である。先端が鈍い切開カテーテル100及びシースカテーテル300は、血管の前記閉塞部200に接近するために同時に進入せしめられる。血管閉塞部200の基端側には、血管180の基端側の正規の内腔が存在し、閉塞部200の末端側には血管190の末端側の正規の内腔が存在する。先端の鈍い切開カテーテル100の作動部材120は、血管閉塞部200の反対側内へ入るまで進入せしめられる。先端の鈍い切開カテーテル100に対する支持を提供するために、シースカテーテル300の末端330は、鈍い切開カテーテル100の末端の基端側約数センチメートルのところに維持される。医師によって先端の鈍い切開カテーテル100に軸線方向の力が適用されて閉塞部200内への先端の鈍い切開カテーテル作動部材120の適切な係合が達成される。
【0036】
図2bは、血管の閉塞部の基端側に維持されているシースカテーテルによって血管内の閉塞部内を進入している一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルを示している。図2cは、血管内の閉塞部内を更に進入している一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルを示している。図2dは、血管閉塞部内を進入している一実施形態による先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルを示している。
【0037】
カテーテル装置が血管の閉塞部200の最も近くに配置されると、ユーザーは、ハンドル機構110によって先端の鈍い切開カテーテル100の拡張部材122を作動させて組織を拡張部材122と接触している組織を破砕するように付勢し、このようにして、作動部材120のすぐ末端側の閉塞部内に小さな局部的な切開部を形成する(図2b)。拡張部材122は、次いで閉じられて、切開通路内に末端方向に進入するのに適した非外傷性の弾丸形状の末端を形成する(図2c)。閉じられた拡張部材122によって作動部材120を閉塞部と係合させるプロセスの後に、拡張部材122を開口位置へと作動させ、続いて、拡張部材122の閉塞、切開通路内への進入が、先端の鈍い切開カテーテル100の作動部材120が血管の閉塞部200内を進入せしめられるときに繰り返される。シースカテーテルもまた、この処置に適するように血管閉塞部200内を進入せしめられる(図2d)。
【0038】
図2eは、シースカテーテルが血管閉塞部内にある状態で血管閉塞部を出て行きつつある一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルを示している。切開通路が閉塞部200内及び閉塞部を貫通して形成され、先端の鈍い切開カテーテル100が末端方向に進入せしめられると、シースカテーテル300もまた閉塞部200内の切開通路内へと進入させることができる。
【0039】
図2fは、両方ともが血管閉塞部を貫通して進入せしめられた一実施形態による先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルを示している。シースカテーテル300の末端330は、先端の鈍い切開カテーテル100の外周に沿って閉塞部200全体を越えて進入せしめられた状態である。この時点で、先端の鈍い切開カテーテル100は、血管系から引き抜かれ且つ取り外され、末端330が閉塞部200の末端側に位置している状態でシースカテーテル300を血管閉塞部を通過した定位置に残している。図2gは、先端の鈍い切開カテーテルの取り外しに続いて血管閉塞部を越えた位置を維持している一実施形態によるシースカテーテルを示している。
【0040】
図2hは、シースカテーテル内を通り、閉塞部の末端側の血管の正規の内腔内へ進入せしめられた状態の一実施形態によるガイドワイヤを示している。当該技術において公知の多数のガイドワイヤのタイプのうちのいずれともすることができるガイドワイヤ400が、シースカテーテル300の内腔を通り閉塞部200の末端側の血管の正規の内腔190内へと進入せしめられている。ガイドワイヤの配置に続いて、シースカテーテル300は、血管系から取り外され、ガイドワイヤ400を閉塞部200を通る定位置に残している。ガイドワイヤは、血管形成バルーン、閉塞部開通(athrectomy)装置又はステントのような血管部位に治療処置療法を給送するように位置決めされる。図2iは、シースカテーテルの取り外しに続いて血管閉塞部を貫通した定位置にある一実施形態によるガイドワイヤを示している。
【0041】
上記の説明においては、先端の鈍い切開カテーテルとシースカテーテルとは、一緒に血管閉塞部位へと送られる。すなわち、先端の鈍い切開カテーテルは、給送のため及び給送中はシースカテーテル内に装填される。この構造は、冠状血管又は周辺血管内で装置を使用するときに適用される。しかしながら、ある種の冠状の解剖学的構造においてよりしばしば見られるように、血管系がより大きな蛇行を有する用途に対しては、血管閉塞部位へのアクセスを得る代替的な方法が望ましいかも知れない。血管系の蛇行が先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルが一つの装置として進むには極端過ぎる場合には、より可撓性の高い給送機構によってシースカテーテルを最初に給送し、続いて、シースカテーテル内を血管閉塞部まで先端の鈍い切開カテーテルを給送することが望ましいかも知れない。シース導入期は極めて可撓性のポリマーを含んでおり、従って、シースカテーテルとシース導入器との組み合わせは、アセンブリの末端に高度の可撓性を付与して、シースカテーテルの末端を所望の血管位置に給送しつつ、より高度の血管の蛇行内での追従を許容する。
【0042】
この代替的な方法においては、まず最初に、シースカテーテルが、一般的なガイドワイヤを介して血管閉塞部位へ直接給送される。しかしながら、典型的なガイドワイヤの直径は0.356mm(0.014インチ)であり、シースカテーテルの基準内径は約1.04mm(0.041インチ)であるけれども、シースカテーテルは、ガイドワイヤの周囲に沿って直接及び安全に追従されても良い。なぜならば、シースカテーテルの末端の先端は大きく露出されているからである。この露出された先端縁は、血管内に進入せしめられるときに血管の壁のスカイビング(削り取り)につながるかも知れない。シースカテーテルの先端縁によって血管の壁を損傷から防止するために、シースカテーテルは、(同じく、閉塞具と称される)シース導入器によって内側が支持されている。
【0043】
シース導入器は、シースカテーテルの長さ部分に沿ってシースカテーテル内に緩く嵌合している単一の内腔のスリーブであり且つ標準的な血管ガイドワイヤを収容するためにガイドワイヤ内腔を組み込んでいる。シース導入器の末端部分は、シースカテーテルの末端を越えて約0.5cm乃至3cmまで延びていても良いが、これに限定されない。シース導入器の末端部分は、追従を容易にするための少なくとも1つのテーパーが付けられた末端と、より非外傷性にするための丸くされた末端とを含んでいる。
【0044】
第1の実施形態においては、シース導入器は、基端ハブまで全長に亘って延びている均一な外径によって設計されている。これは、ひとたび血管の閉塞部位へ給送されると、シースカテーテルからのシース導入器の取り出しを容易にする。
【0045】
代替的な実施形態においては、シースカテーテル内に位置しているシース導入器スリーブの直径は第1の均一な直径であり、シースカテーテルの末端から延びているシース導入器の末端部分のみが、シース導入器からシースカテーテルへの移行部分が滑らか一定の直径を形成するように第2の若干大きくされた直径とすることができる。この構造においては、シース導入器の末端部分は、依然として上記したように終端されていても良い。
【0046】
一つの実施形態のシース導入器の基端は、単一の内腔スリーブのガイドワイヤ内径と連通している中心内腔を備えた標準的なルアーコネクタを含んでいる簡単なハブによって終端している。シース導入器の基端ハブもまた、シースカテーテル及びシース導入器を適切な軸線整合状態に維持するために、すなわち、使用中にシースカテーテルの末端を越えるシース導入器の伸長を1乃至5cmに維持するために、シースカテーテルの基端ハブ内に圧入することもできる。
【0047】
シースカテーテルを血管内に導入するための調製においては、シース導入器の末端は、シースカテーテルの基端ハブ内へ装填され且つシース導入器がシースカテーテルのハブ内へ圧入されるまで進入せしめられる。この構造においては、シース導入器の末端部分は、ガイドワイヤの周囲に沿う結合されたアセンブリの追従を容易にするために、シースカテーテルの末端を越えて約1ないし5cm延びているが、これに限定されない。ひとたび、所望の血管位置に配置されると、シース導入器及びガイドワイヤは一杯まで後退させ、シースカテーテルは所望の血管部位の定位置に残しても良い。シース導入器の末端部分の直径がシースカテーテルの外径に等しい実施形態に関して、シース導入器の先端は、十分に低いデュロメータ値のポリマーによって製造して、後退時にシース導入器がシースカテーテルから取り外されたときに先端が若干圧縮されても良いようにしても良い。
【0048】
本明細書において使用されるデュロメータ値は、材料の硬度の測定値であるが、当該技術において知られている他の定義も適当なものとして含まれる。結局、ポリマーのデュロメータ値は、ポリマーの硬度の測定値である。従ってデュロメータ値は、ポリマーによって形成された装置の硬度の測定値に関する。一つの例として、より高いデュロメータ値のポリマーによってラミネートされたカテーテルシャフトは、低いデュロメータ値のポリマーによってラミネートされたカテーテルシャフトよりも比較的高い堅牢性を付与する。更に、より低いデュロメータ値のポリマーによってラミネートされたカテーテルシャフトは、より高いデュロメータ値のポリマーによってラミネートされたカテーテルシャフトよりも比較的高い可撓性度を付与する。
【0049】
一実施形態のシース導入器は、テフロン(PTFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及びこれらの材料の多数の組み合わせのうちのいずれかのうちの少なくとも1つを含む1以上のポリマーの単一の押し出し材によって形成されているが、シース導入器はこれらのポリマーに限られない。一つの実施形態のポリマーの1以上は潤滑性である。これらのポリマーはまた、高度の可撓性を付与するために、シース導入器の末端により小さいデュロメータ値のポリマーを提供するように徐々に変化させても良い。シース導入器の極めて可撓性の末端を製造することは、これがガイドワイヤの周囲により容易に追従し且つシース導入器/シースカテーテル装置が全体としてより容易に追従するので所望の特徴である。別の方法として、シース導入器は、同様のポリマーによってラミネートされた編み上げ材料(ステンレス鋼、ポリマーフィラメント)によって製造しても良い。
【0050】
シース導入器/シースカテーテルを目標の血管部位へ追従させるときに、シース導入器の末端は装置の先端である。従って、一実施形態のシース導入器/シースカテーテルは、シース導入器の末端部分内及び上に蛍光標識を含んでいる。約0.0254乃至0.508mm(0.001乃至0.002インチ)の厚み及び約0.5ミリメートル(mm)乃至2mmの長さを有する薄壁の白金バンドのような蛍光標識構成部品をシース導入器の末端ポリマー内に埋設することができ、又は別の方法として、医療用接着剤によってシース導入器に固定することができる。バンドはまた、ステンレス鋼によって製造し且つ金によってコーティングすることもできる。別の方法として、バンドはスエージ加工法を使用してスリーブポリマーの内面又は外面内に埋設することができる。別の方法として、同様の蛍光標識指示器を提供するために、シース導入器の末端面に蛍光インクを印刷することができる。この蛍光像は、シース導入器/シースカテーテルが血管閉塞部の基端に到達したときを示すための情報を医師に提供する。
【0051】
一実施形態のシースカテーテルは、シャフト装置と基端のルアーハブとを含んでいるが、これに限られない。このシャフト装置は、内側ポリマー層、中間層、外側ポリマー層、末端の蛍光標識装置及び外側潤滑コーティングを含んでいる構成部品を含んでいるが、これに限定されない。これらの構成部品の各々を以下に説明する。
【0052】
一実施形態のシャフト装置に関して、内側ポリマー層は、シースカテーテルの内面を形成している。先端の鈍い切開カテーテル又はシースカテーテル内の他のカテーテルの進入及び後退を助長するために、この内側層は、テフロン(PTFE)、ポリイミド及び高密度ポリエチレン(HDFE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び/又はこれら2つの混合物を含むポリエチレンのような潤滑性材料を含んでいるが、これに限定されない。これらのポリマーは、医療装置分野において一般的に使用される。内側ポリマー層は、シースカテーテルの全長に亘って同じ材料及び同じデュロメータ値であるように選択することができ、又はシースカテーテルに沿った特別な領域の所望の作動特性(可撓性、トルク制御)を専用化するためのポリマーを選択しても良い。
【0053】
一実施形態のシャフト装置の中間層としては、ステンレス鋼ワイヤ、ニチノールワイヤ、ケブラー又はダクロン繊維のような編み上げフィラメントがあるが、これらに限定されない。この編み上げフィラメントは、シャフト装置にフープ強度を提供するための支持構造部品として機能するメッシュチューブを形成する。このメッシュチューブを形成するために使用されるフィラメントは、平らな矩形及び丸い形状のみならずこれらのフィラメントの組み合わせのうちの少なくとも1つを含んでいる。個々のフィラメントの数は、特に、約8乃至32個のフィラメントの範囲で変化しても良いが、これに限定されない。
【0054】
カテーテルシャフトの管形状を維持するための必要なフープ強度を提供するどのようなフィラメント材料も使用することができる。インチ当たりのフィラメントの数(pics)は、カテーテルシャフトの全長に沿って一致するように調整しても良く又はpicsは、カテーテルの所望の作動特性(可撓性、トルク制御)を設定するために変えても良い。一般的に、より小さいトルク制御、より大きな可撓性及びより小さいフープ強度と関連付けられる。別の方法として、より高いpic数は、より大きなトルク制御、より小さい可撓性及びより大きなフープ強度と関連付けられる。一実施形態においては、pics数は、1インチ(25.4mm)当たり約80乃至120picsの範囲内とすることができる。
【0055】
シャフト装置の外側ポリマー層は、シースカテーテルの外側面を形成している。このポリマーは、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリイミド、ペバックス(Pebax)、グリルアミド(Grilamide)又はカーボタン(carbothane)のうちの少なくとも1つを含む医療装置分野において通常使用される種々のポリマーから選択されるが、これに限られない。外側ポリマー層の材料は、カテーテルの所望の作動特性(可撓性、トルク制御)を設定するように選択される。外側層のポリマーは、シースカテーテルの長さに亘って同じ材料及びデュロメータ値であるように選択しても良く、又は、ポリマーの外側層は、カテーテルシャフトの異なる領域又は部分のための変化する作動特性を提供するように選択することができる。
【0056】
特に、カテーテルシャフトの基端部分に対して、カテーテルシャフトの末端部分は、血管の蛇行部(特に、冠状)内での追従を助長するためのより大きな可撓性を概して必要とするかも知れない。別の方法として、カテーテルシャフトの基端部分は、血管内でカテーテルを更に末端方向へ進入させる助けとするためのより大きな押圧力及びトルク制御特性を必要とすることができる。これらの作動特性を達成するために、変化するデュロメータ値のポリマーは、カテーテルの基端部分及び末端部分のために選択される。例えば、下方のデュロメータポリマーは、可撓性を助長するためにカテーテルシャフトの1以上の末端部分を形成し、より高いデュロメータ値は、押し込み力及びトルクの制御を助長するために、カテーテルシャフトの1以上の基端部分を形成している。より特別には、カテーテルの基端部分における押し込み力及びトルクの制御を支援する機能を果たす別の材料は、上記した熱成形ポリマーがそうであり得るように、典型的には熱を使用して再形成することが出来ないポリイミドである。
【0057】
上記したような内側ポリマー、編み上げ管状部材及び外側ポリマーラミネートを含んでいるシースカテーテルの主要シャフトの製造中に、内側ポリマーライナーの外側面及びポリマーラミネートの内側面は、相互に物理的に結合し又は接着される。この結合は、編み上げ管状部材を形成する編み上げワイヤの交差空間に起こる。編み上げ管状部材内のこれらの2つの面の物理的な接合によって、シースカテーテルシャフトの一体化された構成が形成される。しかしながら、一実施形態の内側ライナーのために使用される材料、すなわち、ポリテトラフルオロエチレン(LDPE)は、全ての他のポリマーに対する結合に対して極めて抵抗性がある点に目標が存在する。
【0058】
第1の実施形態においては、この目標は、外側ポリマーラミネートが結合される表面上の顕微鏡的な隙間を形成するために、酸によってPTFEの外面をエッチングすることによって内側ライナーとしてPTFEを使用するときに達成される。ペバックス(Pebax)又はナイロンが外側ラミネートとして使用される場合には、処理温度は、これらのポリマーを流動させるのに十分な約400°F乃至450°Fの範囲内とすることができるが、PTFEを流動させるのに十分な熱さではないであろうし、内側の外側面上に隙間が存在しないであろう。シースカテーテルシャフト上の外側ポリマーのラミネート中に、外側ポリマーラミネートは、編み上げワイヤの交差点内又は間を流れ且つ内側PTFEライナーの外側面上を流れる。外側のポリマーラミネートの厚みは、次いで、編み上げワイヤが外側ラミネート内に完全に含まれ、外側ポリマーラミネートが滑らかな連続面を形成するように調整される。ラミネートの冷却プロセス中に、外側ポリマーの内面は、内側ポリマーライナーの隙間内に“係止される”ようになり、このようにして、編み上げワイヤ間で2つのポリマーを結合する。
【0059】
内側ポリマーライナーが高密度又は低密度のポリエチレンによって形成される代替的な実施形態においては、シースカテーテルシャフトは、同じ材料のいずれかによってラミネートすることができる。これらの材料は、共通の溶融温度を有しているので、内側ポリマーライナー及び外側ポリマーラミネートは、相互に容易に結合して一体化されたシャフト構造を形成するであろう。
【0060】
一実施形態のシャフト装置は、蛍光によって見えているときには、カテーテルの末端を指示するための末端蛍光標識装置を含んでいる。一つのタイプの標識装置は、カテーテルの末端においてポリマー内に埋設された白金リング(典型的には、約0.0254乃至0.0508mm(0.001乃至0.002インチ)の厚み及び約0.5乃至2mmの長さ)を含んでいる。別の方法として、このリングは、ステンレス鋼によって製造され且つ金によってコーティングされる。リングは、編み上げ管状メッシュの内側か外側に配置され、内側層ポリマー又は外側層ポリマーによってラミネートされている。
【0061】
代替的な標識装置は白金コイルを使用している。白金コイルは上記した白金バンドと似た方法で配置されるが、これに限定されない。
別の代替的な標識装置は、内側ポリマーが、編み上げ管状メッシュか又は外側ポリマーの表面上に印刷された放射線不透過性の接着剤又は配合物を使用している。これらの接着剤は、典型的には、タンタル、ビスマス、金又は銀の使用を採用するが、これに限定されない。
【0062】
更に別の代替的な標識装置は、金コーティングを含んでいる。金コーティングは、管状メッシュの末端部分の周囲に配置されているが、代替的な実施形態においては異なる方法で配置されても良い。
【0063】
更にもう一つ別の代替的な標識装置は、シャフト装置の材料内に蛍光材料(例えば、ビスマス)の使用を含んでいる。一つの実施形態においては、蛍光材料は、シースカテーテルの末端をラミネートしている構造的なポリマー内に浸漬されている。
【0064】
上記したシャフト装置の外側潤滑コーティングに関して、外側ポリマーの表面は、シリコーン分散又は代替的には親水性コーティング(サーモディックス(Surmodics))のような潤滑性材料によってコーティングしても良い。疾患した血管の内面は、繊維材料、カルシウムを含んでおり及び/又は血管の内径は著しく細くされているかも知れないけれども、このコーティングは、カテーテル外面と血管の内面との間の摩擦を小さくすることによって、カテーテルの給送を更に助長する。
【0065】
シースカテーテル装置の基端の雌型ハブは、標準化されたルアーコネクタを含んでいる。このルアーコネクタは、他の標準化された介入装置への接続を支援し、例えば、注射器をこのハブに結合してカテーテルが使用前に洗浄される。基端ハブは、医療装置において一般的に使用される多数のポリマー(一例としてポリカーボネートがある)によって製造される。
【0066】
一実施形態のシースカテーテルは、約1.27乃至1.778mm(0.050乃至0.070インチ)の範囲の外径を有しているが、これに限定されない。基準外径は約1.422mm(0.0560インチ)である。
【0067】
一実施形態のシースカテーテルは、約0.889乃至1.27mm(0.035乃至0.050インチ)の範囲の内径を有しているが、これに限定されない。基準内径は約1.016mm(0.040インチ)である。
【0068】
一実施形態のシースカテーテルは、約80乃至150cmの範囲の作動長さを有しているが、これに限定されない。基準の作動長さは約130cmである。
一実施形態のカテーテル製造プロセスは、編み上げ管状メッシュ(中間層)内の空間内を進む内側層及び/又は外側層のポリマーによって融解してメッシュチューブを横切るブリッジを形成している。これは、シャフト装置に対する高い強度、トルク制御及び信頼性を提供する一体のシャフトラミネートを形成する。
【0069】
上記したように、一実施形態のカテーテルシャフトを形成しているポリマーは、カテーテルシャフトの異なる部分の特別な作動特性の調製を可能にするデュロメータ値が変化するポリマーを含んでいる。更に、カテーテルの基端から末端までのポリマーの変化は逐次減少している。一例として、カテーテルシャフトの基端領域(最も基端の約80cm)は、グリルアミド(Grilamid)によってラミネートされており、73D ペバックス(Pebax)の領域(長さが約8cm)が続き、63D ペバックス(Pebax)(長さが約8cm)が続き、55D ペバックス(Pebax)の領域(長さが約5cm)が続く。このようにして、1つのポリマーから次のポリマーへの移行は漸進的であり、カテーテルシャフトの可撓性は次第に増加する。
【0070】
図3aは、シースカテーテル300とシース導入器350とを含んでいる一実施形態によるカテーテル装置を示している。シースカテーテル300とシース導入器350とは、一つの装置として示されているが、これに限定されない。この構造においては、装置は、血管閉塞部位に近接した位置までシースカテーテルの末端330を給送するために、シース導入器350の中心内腔365を介して一般的なガイドワイヤの周囲を追従することができる。シース導入器350は、構成部品を明確に見ることができるようにするために、ハブ360が基端方向へ後退せしめられた状態で示されている。しかしながら、使用中においては、シース導入器ハブ360は、シースカテーテルハブ310内に圧入することができて、シースカテーテル300とシース導入器350とを一緒に係止することができる。この構造においては、シース導入器300の末端部分380は、約0.5cm乃至5cmだけシースカテーテルの末端330から延びているが、これに限定されない。一般的なガイドワイヤの周囲を目標とする血管部位まで追従させることに続いて、ガイドワイヤ及びシース導入器350は取り外されて、シースカテーテル330が血管閉塞部の基端側の定位置に残され、そこで、先端の鈍い切開カテーテル100のような別のカテーテルがその中を通って血管閉塞部へと給送できる導管として機能するように位置決めされる。
【0071】
シースカテーテル300は、先端の鈍い切開カテーテル100と組み合わせて作動するものとして記載されているけれども、ひとたび血管部位の定位置に配置されると、シースカテーテル300は、シースカテーテル300と大きさ的に互換性のある他のタイプのカテーテル装置又は当該技術において知られている装置を給送するために使用することができる。一例として、先端の鈍い切開カテーテル100の使用に先立って閉塞部を最初に通る試みにおいて、所望ならば一般的なガイドワイヤを最初に給送しても良い。ガイドワイヤが閉塞部を通過するのに有効でない場合には、ガイドワイヤは取り外しても良く、先端の鈍い切開カテーテル100が閉塞部を通過するのに使用するためにシースカテーテル300内を進入させても良い。
【0072】
図3bは、一実施形態によるシースカテーテル300の末端部分の長手断面図である。シースカテーテル300のシャフトは、ワイヤ302がその周囲に編み上げられている内側ポリマーライナー303を含んでいる。シャフトは、次いで、別のポリマー(304乃至309)によってラミネートされる。シースカテーテル300の作動目的は極めて可撓性の末端部分を提供することであるので、外側ポリマーラミネートは、基端部分における比較的高いデュロメータ値のポリマーから末端部分における比較的低いデュロメータ値のポリマーまで徐々に変化しても良い。一例として、シャフトは、部分304乃至309に6個の別個の外側ラミネートを含んでいる。部分304の外側ラミネートは、ペバックス(Pebax)63Dを使用して製造され、次いで、より低いデュロメータ値のポリマー(おそらくは、ペバックス(Pebax)55D)によって製造される部分308の外側ラミネートが続き、次いで、ペバックス(Pebax)40D等である外側ラミネート部分307が続き、シースカテーテル300の末端部分330に到達するまで外側ラミネートポリマーのデュロメータ値を次第に低くする。この実施形態においては6個の次第に変化するポリマーが記載されているけれども、シャフトのための正しい物理的な特性を提供するためにより少ないか又はより多い数のポリマーを使用することができる。
【0073】
代替的な実施形態のカテーテルシャフトにおいて使用するための別の材料としては、ポリエチレンがカテーテル装置の意図した使用に適するものとして次第に変化せしめられているポリエチレンがある。別の実施形態においては、ポリマータイプは適当な可撓性を達成するために変えることができる。
【0074】
一実施形態の内側ポリマー層303は潤滑性の高い材料を含んでいる。なぜならば、シースカテーテル300の内腔は装置を往復させるために使用されるからである。内側ライナー303は、例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)によって製造することができるが、これに限られない。内側ライナー303のデュロメータ値はまた、適度な可撓性を提供するために上記したように次第に変化させても良い。一例として、低密度ポリエチレン(LDPE)は、HDPEよりも高い可撓性を提供するためにシースカテーテル300の最も末端部分330において使用しても良い。
【0075】
編み上げ材料の選択は、特定の用途に適するトルク制御、可撓性、フープ強度及び壁厚に依存する。例えば一例として、編み上げワイヤは、0.0254乃至0.0762mm(0.001インチ乃至0.003インチ)の平らなステンレス鋼ワイヤとすることができる。編み上げワイヤはまた、0.0508mm(0.002インチ)の丸いワイヤとすることもできる。丸い編み上げワイヤは、シースカテーテルシャフト構造に対して、全体の可撓性、フープ強度及びトルク制御を付与する。しかしながら、丸いワイヤは、概して、平らなワイヤの場合と比較してより大きな全体の壁厚を有するカテーテルシャフトをもたらす。別の方法として、ダクロンファイバ又はその他の適切なポリマーのような編み上げ材料もまた使用できる。これらの代替的な材料は、概して、同程度のトルク制御又はフープ強度を提供しないが、シースカテーテルシャフトの全体の可撓性を増大させることができる。
【0076】
非外傷性の先端310及び蛍光標識バンド311を含むシースカテーテル300の末端部分330の配置は以下の通りである。蛍光標識バンド311は、多くの方法でシースカテーテルシャフトに固定される。一つの実施形態においては、標識バンド311はワイヤ編み上げ部302の外側にあるが、外側ポリマー層309によって外周をラミネートされている。このように、標識バンド311は、シースカテーテルの末端部分330に滑らかな面を提供する外側ポリマーラミネートによって封入されている。この実施形態に続いて、ワイヤ編み上げ部302の末端と標識バンド311の末端とはまた、互いに同時に終端することもできる。更に、内側ポリマーライナー303は、標識バンド311及び編み上げワイヤ302の末端を約1mm乃至10mmだけ越えて延びていてもよいが、これに限定されない。製造を完了するためには、外側ポリマー309は、標識バンド311の周囲に沿って末端方向に続いて、内側ライナー303の末端と同時に終端する非外傷性ポリマーを形成する。このようにして、非外傷性先端310の長さは内側ポリマーライナー303の長さに等しく、外側ポリマーラミネート309は標識バンド311を越えて延びる。
【0077】
非外傷性の先端310の形状は、外側ポリマーラミネートの末端の環状端縁を丸くするか又はテーパーを付けることによって完成される。このプロセスは、一般的に先端形成と称され且つ製造されたアセンブリを内側形状が最終的な所望の先端形状によって形成されている加熱されたガラスの型内に配置することによって行っても良い。型内に配置されたときに、外側ラミネートは、該外側ラミネートがちょうど軟化し始め且つ型の内側形状を採り始めるのを可能にする。カテーテルの先端310は、型が冷える間、型内に留まったままで、シースカテーテル300の末端310内に非外傷性のテーパーが付けられるか丸くされた形状を配置する。冷却の完了時に、カテーテルの先端310は型から取り出される。型を局部的に加熱するための型は、一般的な対流加熱によってなされても良いし又は代替的には、非外傷性先端310を局部的に加熱するために高周波エネルギが使用されても良い。
【0078】
標識バンドの大きさは、概して約0.05mm乃至3mmの長さで0.0254ないし0.0762mm(0.001乃至0.003インチ)の厚みの範囲とすることができるが、これに限定されない。標識バンドは、種々の材料によって製造することができる。適切な蛍光像を付与する一つの材料は、白金又は白金イリジウム若しくは白金タングステンのような合金である。代替的に、標識バンドは、コーティングされたステンレス鋼によって製造され且つ金によってコーティングされる。上記した寸法においては、ステンレス鋼自体は、適切な蛍光像を提供せず、従って、適切な蛍光像を提供するために金のようなより蛍光性の材料によってコーティングされる。約0.0127乃至0.0508mm(0.0005乃至0.002インチ)の金コーティング層が、一般的に適切な蛍光像を提供する。
【0079】
図3cは、代替的な実施形態によるシースカテーテル300の末端の長手断面図である。この実施形態は、2つの標識バンドすなわち内側標識バンド312及び外側標識バンド311を含んでいる。内側標識バンド312は、編み上げワイヤ302の下に位置しており且つ内側ポリマーライナー303の基端部分とポリマーライナー304の末端部分とに接している。第2の標識バンド311は編み上げワイヤ302の外側にある。この形態においては、編み上げワイヤ302は、2つの標識バンドの間にサンドイッチされており、この領域は更に半田付け、接着又は溶着されて、編み上げワイヤ302に対する標識バンド311/312の固定結合を提供する。上記したように、編み上げワイヤと標識バンドとは、共通の末端の終端を有していても良い。同様に、標識バンド311/312の基端もまた共通の基端の終端を有していても良い。代替的に、各標識バンドの末端及び/又は基端は、他の標識バンドの対応する末端及び/又は基端の基端側又は末端側にあっても良い。この代替的な実施形態を更に説明すると、内側ポリマーライナー304と外側ポリマーライナー310とはまた、各標識バンドの末端を越えて伸長せしめられて、上記した非外傷性先端を提供することができる。
【0080】
図3dは、もう一つ別の実施形態によるシースカテーテル300の末端の長手方向断面図である。内側ポリマーライナー303は、各標識バンドの末端と同時に終端されており、外側ポリマーラミネート309は、標識バンドを越えて末端方向に延びて非外傷性先端310を形成している。この実施形態はまた、上記したように、編み上げワイヤ302の外側に存在する唯一の標識バンド311を使用することによって製造しても良い。
【0081】
図3eは、更に別の実施形態によるシースカテーテル300の末端の長手方向断面図である。該末端は、上記したように、内側標識バンド312と外側標識バンド311とを含んでいる。しかしながら、内側標識バンド312は、外側標識バンド311の末端を越えて末端方向に伸長せしめられている。この伸長部は、予め形成された金属又はポリマーのノーズコーンの取り付けのための外周場所を提供している。金属製のノーズコーンは、内側標識バンド312に溶着されるか接着されても良く、又は別の方法として、ポリマーのノーズコーンが同様に内側標識バンド312に接着しても良い。この内側ライナー303は、ノーズコーンと同時に終端するように末端方向に延びていても良い。
【0082】
図3fは、一実施形態によるシースカテーテル300の基端ハブの長手方向断面図である。基端ハブ310は、ポリカーボネート、ナイロン及びその他の射出成形ポリマーのうちの少なくとも1つを使用して製造されるが、これに限定されない。基端ハブ310は、接着、インサート成形及び熱接合のうちの一つによってシースカテーテル基端シャフト320に結合しても良い。基端ハブ310は、(例えば、使用前に食塩水によってカテーテルを洗浄するために)注射器のような他の器具に結合するために基端にルアーコネクタを有している。基端のルアーコネクタはまた、シースカテーテルの基端内腔375内へのルアーの基端開口部を次第にテーパーを付けている導入領域318をも含んでいる。導入領域318は、シースカテーテル300内へのシース導入器350又は先端の鈍い切開カテーテル100の容易な導入を可能にする。
【0083】
上記したシースカテーテル300は、先端の鈍い切開カテーテル100の外径に対して高い許容公差の嵌合部を有する均一な内径を含んでいる。代替的な実施形態のシースカテーテルは、先端の鈍い切開カテーテル100の外径に対する高い許容公差を有するシースカテーテルシャフトの末端部分を含んでおり、この部分の基端側で、シースカテーテルの内径は若干大きくされても良い。この形状は、先端の鈍い切開カテーテルとシースカテーテルとの間の環状空間を提供して、シースカテーテル内に先端の鈍い切開カテーテルの改良された全体の動きを提供している。
【0084】
先端の鈍い切開カテーテル100の外径に対する高い許容公差の嵌合部を有している末端部分の長さは、加減がシースカテーテル300のほんの最も末端1cmを含み、上限がシースカテーテル300の全長に近づいている広い範囲を有しているこの先端の鈍い切開カテーテルに対して高い許容公差の嵌合部を有しているシースカテーテルの末端部分に対する実際的な範囲は、約5cm乃至20cmである。直径の増加は、0.0508乃至0.381mm(0.002乃至0.015インチ)程度とすることができるが、これに限られない。実際の例としては、シースカテーテルの末端部分の基端側の内径は、1.143又は1.194mm(0.045又は0.047インチ)まで大きくすることができる。環状空間内のこの小さな増加は、動きの著しい改良を提供する。しかしながら、上記の両方の実施形態においては、シースカテーテルの末端部分と先端の鈍い切開カテーテルとの間に密接した高い許容公差の嵌合部を維持して一体化された装置の末端に出来るだけ低い断面を提供するのが望ましい。
【0085】
図4aは、一実施形態によるシース導入器の基端ハブの長手断面図である。図4bは、一実施形態によるテーパーが付けられた形状で蛍光標識バンドを含んでいるシース導入器の末端部分の長手方向断面図である。図4cは、一実施形態による丸い形状で且つ蛍光標識バンドを含んでいるシース導入器の末端部分の長手断面図である。
【0086】
図4a、4b及び4cに関して、シース導入器は、ハブ360、シャフト370及び蛍光標識バンド385を含んでいる。このシース導入器350は、シースカテーテル300の内部に挿入されて、一杯まで挿入されたときに、シース導入器シャフト370の末端部分が約0.5cm乃至5cmだけシースカテーテル300の末端を越えて延びるようになされているが、これに限定されず、シース導入器の基端ハブ360は、シースカテーテルの基端ハブ310内に圧入されている。シース導入器シャフト370の外径は、先端の鈍い切開カテーテル100とシースカテーテル300との間の嵌合部として上記したシースカテーテル300の内径に対する密接した嵌合部を提供する。
【0087】
アセンブリとして、シース導入器/シースカテーテルは、シース導入器中心ガイドワイヤ内腔365を介して適切な血管部位までガイドワイヤの外周上を追従することができる。既に説明したように、シースカテーテル300は概してガイドワイヤの外周上を追従しない。なぜならば、シースカテーテル300の内径は約1.067mm(0.042インチ)の基準直径を有しており、一般的な冠状ガイドワイヤは約0.356mm(0.014インチ)の直径を有しているからである。従って、大きな環状の空隙が存在してシースカテーテルの先端縁を血管の壁に対して露出するからである。シース導入器は、ガイドワイヤとシースカテーテル300との間に2つのカテーテル間の環状空間を満たす物理的な接合面を提供している。
【0088】
一実施形態によるシース導入器シャフト370は、ガイドワイヤの外周での追従を改良し且つひとたび装置が適切な血管部位へと進入せしめられるとシースカテーテル300からのシース導入器350の後退を容易にさせる潤滑性材料を含んでいる。適切な潤滑性材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)がある。シース導入器シャフトの典型的な大きさは、約0.406乃至0.559mm(0.016乃至0.022インチ)の内径と、0.991乃至1.062mm(0.039乃至0.043インチ)の外径とを有しているが、この実施形態はこれらの寸法に限られない。シース導入器350をシースカテーテル300内へ一杯まで挿入すると、シース導入器シャフト370の所定の末端部分が、上記したように、シースカテーテル300の末端を越えて伸長する。この長さは、シース導入器350からシースカテーテル300までの滑らかな移行を許容し且つガイドワイヤの外周に沿った追従を容易にさせる。
【0089】
図4aを参照すると、シース導入器370に結合された基端ハブ360が示されている。基端ハブ360は、ポリカーボネート、ナイロン及びその他の適当な射出成形可能なポリマーを使用して形成される。基端ハブ360は、使用前に食塩水によって内腔365を洗浄するために使用され、注射器のような一般的な装置に結合するために使用される基端ルアー嵌合部362を含んでいる。基端ハブ360はまた、ハブ360の基端開口部からシャフト370の基端内腔までの滑らかな移行を提供し且つシース導入器350内へのガイドワイヤの容易な進入を許容するガイドワイヤ導入領域367をも含んでいる。ガイドワイヤ導入領域367はまた、ポリカーボネート、ナイロン及びその他の適切な射出成形可能なポリマーのうちの少なくとも1つを使用して形成しても良い。基端ハブ360、ガイドワイヤ導入領域367及びシャフト370は、接着、インサート成形及び熱接合の組み合わせのうちの一つを使用して結合される。別の方法として、ガイドワイヤ導入領域367と基端ハブとは一体部品を形成する。
【0090】
図4b及び4cを参照すると、シース導入器シャフト370の末端は、蛍光標識バンド385を含んでいる。この標識バンドは、いくつかの実施形態においてはシース導入器シャフト370の壁内に埋設されるか又は結合されている。図4b及び4cに示されている第1の実施形態においては、標識バンド485は、標識バンド385の外面がシース導入器シャフト370の外面と同面であるようにシース導入器370の本体内にスエージ加工されている。これは、シース導入器シャフト370の最小の全体の厚みを必要とするシース導入器シャフト370内の標識バンドの適切な物理的係止を提供する。標識バンドを覆っている基準のポリマーの厚みは、約0.0508乃至0.1016mm(0.002乃至0.004インチ)程度であるが、これに限定されない。
【0091】
第2の実施形態においては、標識バンド385とシース導入器シャフト370との内側面は同面である。この実施形態は、シース導入器シャフト370の等しい厚みを使用している。第3の実施形態においては、標識バンド385がシース導入器シャフト370の本体内に完全に含まれており、ポリマーの薄い層は、標識バンド385の内面及び外面の両方を覆っている。この層の厚みは、約0.0254乃至0.0762mm(0.001乃至0.003インチ)であるが、これに限られない。
【0092】
シース導入器の末端は、テーパーが付けられた形状又は丸い形状で終端することができる。先端の形状は、シースカテーテル300の末端の終端に対して説明したものと似た方法で熱成形される。これらの形状は、ガイドワイヤのためのシース導入器末端への滑らかな移行を提供し且つ特に危険な激しく疾患している血管内でのガイドワイヤの外周に沿ったシース導入器の末端の追従を助ける。
【0093】
上記の先端の鈍い切開カテーテルは、多数のカテーテル及び/又は作動部材のいずれかとすることができる。例として、代表的な先端の鈍い切開カテーテルの完全な説明は、米国特許第5,968,064号、第6,508,825号、第6,599,304号及び第6,638,247号ばかりでなく米国特許出願公開第US-2004-0077999-A1号及び米国特許出願第09/835043号に見出される。図5aは、開口した状態の2つの拡張部材を示している一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルの作動部材500である。作動部材500は、図1及びそれに続く図2a乃至2iに関して上記した作動部材120のただ一つの例であるが、これに限定されない。図5dは、一実施形態による閉塞状態の2つの拡張部材506/508を示している先端の鈍い切開カテーテルの作動部材である。図5cは、一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルの作動部材500の分解図である。
【0094】
図5eを参照すると、作動部材500は、基部502、起動アセンブリ504、第1の拡張部材506及び第2の拡張部材508を含んでいる。ヒンジピン510が、第1の拡張部材506と第2の拡張部材508とを起動アセンブリ504及び基部502に結合している。ヒンジピン510は、第1の拡張部材506及び第2の拡張部材508の各々の末端の、上記したような拡張部材506/508の基端を中心とする回転を支援している。クレビスピン512が、起動アセンブリ504を拡張部材506/508の各々に結合している。結局、起動アセンブリ504、ヒンジピン510、クレビスピン512及び拡張部材506/508間の結合によって、起動部材504にかけられる直線状の起動力514を各々のヒンジピン510を中心とする各々の拡張部材の径方向の動きへの変換することが可能とされる。
【0095】
上記した作動においては、作動部材500は、血管閉塞部の破砕を容易にするために血管閉塞部及び/又は血管の壁に対して接触状態又はほぼ接触状態に配置される。基端方向へ直線的にかけられる力を含む起動力514は、起動アセンブリ504にかけられ、拡張又は機械的な力及び動き(例えば、拡張部材506/508の各々のヒンジピン510に対する径方向外方への力及び動き)に変換され、次いで、血管の壁上に拡張部材506/508によってかけられる。血管閉塞部及び/又は血管壁にかけられる拡張力又は破壊的な力は、血管壁の周囲に損傷を与えることなく、血管閉塞部を引き裂き、破壊し、さもなければ粉砕する。上記したように、血管閉塞部の連続する直線状の粉砕は、作動部材500及びカテーテル装置が閉塞部を通過するための通路として十分な大きさのチャネル又は通路を形成する。次いで、ガイドワイヤはその他の当該技術において知られているカテーテルを選択的医療処置のために切開された閉塞部内に進入させることができる。
【0096】
血管閉塞部内に初期の通路を形成するのに使用するための上記した介入カテーテルに基づく装置及び方法は、カテーテル装置を含んでおり、該カテーテル装置は、編み上げ管状部材を含んでいるカテーテルシャフトを含んでおり、このカテーテルシャフトにおいては、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材内に点在せしめられ且つ内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合(又は、ラミネート及び/又は接合)し、該カテーテルシャフト内に少なくとも1つの内腔も含んでいる。
【0097】
一つの実施形態の外側ポリマーラミネートは、各々がカテーテルシャフトの長さ方向に沿って1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでいる。
一実施形態のカテーテルシャフトの長さに沿った部分のデュロメータ値は、カテーテルシャフトの末端に向かって長手方向に沿って減少する。
【0098】
一実施形態の外側ポリマーラミネートは更に、複数のポリマーを含んでいる。1以上のポリマーは、異なるデュロメータ値を有し、該複数のポリマーの各々が、外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成している。比較的低いデュロメータ値を有するポリマーは、外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いジュロメータ値を有するポリマーは外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、カテーテルシャフトの末端領域は、カテーテルシャフトの基端領域よりも高い可撓性を有している。一実施形態の複数のポリマーは6個のポリマーを含んでいる。
【0099】
一実施形態のカテーテルシャフトの内腔の末端は、カテーテルシャフトの末端に環状の開口部を形成している。この環状の開口部は非外傷性の先端を形成しているポリマーを含んでいるが、これに限定されない。この外傷性先端は、テーパーが付けられた末端領域を有する単一のポリマーとすることができる。非外傷性先端は、丸い末端領域を有する単一のポリマーとすることもできる。非外傷性先端は、内側ポリマー及び外側ポリマーによって構成することができる。
【0100】
一実施形態のカテーテルシャフトは、蛍光標識装置を含んでいる。蛍光標識装置は、編み上げ管状部材の外側に第1の標識領域を含んでいる。一実施形態の蛍光標識装置は、編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいる。
【0101】
一実施形態のカテーテル装置は更に、基端と末端とを有し且つガイドワイヤに追従する構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいるシース導入器を含んでおり、該部材は、カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、該部材の末端領域は、該部材が一杯まで挿入されたときにカテーテルシャフトの末端を越えて延びる。一実施形態によるシース導入器は更に、基端に少なくとも1つのハブを含んでおり、該ハブは、シース導入器がカテーテルシャフト内に一杯まで挿入されたときに、カテーテルシャフトの基端上のハブ内に係止される構造とされている。シース導入器はまた、該部材の末端領域内に蛍光標識装置を含むこともできる。
【0102】
血管閉塞部内に初期の経路を形成する際に使用するための上記した介入カテーテルに基づく装置及び方法はまた、カテーテル装置をも含んでおり、該カテーテル装置は、編み上げ管状部材を含んでいるカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが編み上げ管状部材の外側面に結合しており、外側ポリマーラミネートのポリマー部材が前記編み上げ管状部材内に点在せしめられており且つ内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合(ラミネート、接合)し、前記内側ポリマーライナーが前記カテーテルシャフト内に内腔を形成しているカテーテルシャフトと、基端と末端とを有し且つガイドワイヤ上を追従する構造とされた単一の内腔を形成している導入器であって、前記部材は、カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、該部材の末端領域は、該部材が一杯まで挿入されたときにカテーテルシャフトの末端を越えて延びる前記導入器とを含んでいる。
【0103】
一実施形態の導入器は更に、基端に少なくとも1つのハブを含んでおり、該ハブは、前記導入器がカテーテルシャフト内に挿入されたときにカテーテルシャフトの基端上のハブ内に係止される構造とされている。
【0104】
一実施形態によるカテーテルシャフトと導入器とのうちの少なくとも1つは、該部材の末端領域に蛍光標識装置を含んでいる。
一実施形態の外側ポリマーは更に、複数のポリマーを含んでいる。該ポリマーの1以上は、異なるデュロメータ値を有することができ、該複数のポリマーの各々が、外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成している。比較的低いデュロメータ値を有するポリマーは、外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーは、外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域は、カテーテルシャフトの基端領域よりも高い可撓性を有している。
【0105】
血管閉塞部内に初期の通路を形成するのに使用するための介入カテーテルに基づく装置及び方法は更にカテーテル装置を含んでおり、該カテーテル装置は、少なくとも1つの内腔を備え且つ末端に環状開口部を形成するように終端しているカテーテルシャフトと、血管内組織拡張カテーテルであって、末端と長手軸線とを有し、該長手軸線は、該長手軸線に沿って延びている少なくとも1つの導管を有しているカテーテルと、該カテーテルシャフトの末端に形成されたハウジングであって前記カテーテルシャフトに枢動可能に結合された基端によって形成された少なくとも1つの撓み部材と、血管組織を拡張するためにシャフトの長手軸線から離れるように円弧内を動く自由端部とを含んでおり、前記少なくとも1つの撓み部材は、一体形成されたヒンジと、前記カテーテルシャフトの長手軸線から離れる方向に少なくとも1つの撓み部材の末端を動かすために前記カテーテルシャフトに沿って配置された起動アセンブリとを含んでいる。
【0106】
一実施形態の撓み部材は、1以上のヒンジを含んでいる。一実施形態の起動アセンブリは、前記少なくとも1つの撓み部材に結合された引っ張り部材を含んでいる。一実施形態の撓み部材は、少なくとも1つのヒンジによってハウジングに結合されて、前記引っ張り部材が相対的に基端方向に引っ張られると、前記少なくとも1つの撓み部材の回転を支持する少なくとも1つのヒンジを形成する。
【0107】
シースカテーテルのカテーテルシャフトを形成している材料のデュロメータ値は、末端に向かって長手方向に沿って減少するが、これに限定されない。
一実施形態のシースカテーテルのカテーテルシャフトは、編み上げ管状部材を含んでおり、該管状部材においては、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが編み上げ管状部材の内面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材内に点在せしめられており且つ内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合(ラミネート、接合)している。一実施形態の外側ポリマーラミネートは、複数のポリマーを含んでおり、各々が、前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している。一実施形態の1以上のポリマーは、異なるデュロメータ値を有しており、該複数のポリマーの各々が、1以上の前記外側ポリマーラミネートの1以上の領域を形成している。比較的低いデュロメータ値を有しているポリマーは、外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有しているポリマーは外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、カテーテルシャフトの末端領域は、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも高い可撓性を有している。
【0108】
一実施形態の環状開口部は、非外傷性先端を形成しているポリマーを含んでいる。非外傷性先端は、テーパーが付けられた末端領域を有する単一のポリマーとすることができる。また、非外傷性ポリマーは、丸い先端領域を有している単一のポリマーとすることもできる。更に、非外傷性先端は、内側ポリマーと外側ポリマーとによって構成することもできる。
【0109】
一実施形態のシースカテーテルのカテーテルシャフトは、蛍光標識装置を含んでいる。蛍光標識装置は、編み上げ管状部材の外側に少なくとも1つの第1の標識領域を含み且つ前記編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいる。
【0110】
一実施形態のカテーテル装置は更に、基端と末端とを有している部材を含み且つガイドワイヤの外周に追従する構造とされた単一の内腔を形成しているシース導入器であって、前記部材がシースカテーテルのカテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域が前記カテーテルの末端を越えて延びるようになされている。一実施形態のシース導入器は、更に、基端に少なくとも1つのハブを含んでおり、該ハブは、前記シース導入器が前記カテーテルシャフトの基端に設けられたハブ内に係止する構造とされている。一実施形態のシース導入器は更に、該部材の末端領域内に蛍光標識装置を含んでいる。
【0111】
血管閉塞部内に初期の通路を形成するのに使用するための介入カテーテルに基づく装置及び方法は、閉塞部を通す方法を含んでおり、該方法は、先端の鈍い切開カテーテルをシースカテーテル内に装填することによってカテーテル装置を組み立てることと、該カテーテル装置を血管部位へと進入させることと、前記先端の鈍い切開カテーテルの少なくとも1つの拡張部材を閉塞部に隣接させて配置することと、拡張力に応答して前記拡張部材の基端を中心として前記拡張部材の末端を撓ませることによって前記少なくとも1つの拡張部材の末端を前記先端の鈍い切開カテーテルの長手中心線から離れるように横方向へ動かすことによって、血管及び閉塞部の組織に機械力を適用すると、前記閉塞部の材料を粉砕し且つ適用された機械力に応答して粉砕された材料内に通路を形成することと、前記先端の鈍い切開カテーテルと前記シースカテーテルのうちの少なくとも1つを、形成された経路を使用して閉塞部の材料内を進入させて、前記先端の鈍い切開カテーテルと前記シースカテーテルとが閉塞部の材料を貫通して通過し、閉塞部の材料がカテーテル装置の外側に留まるようにすることとを含んでいる。
【0112】
一実施形態の方法は更に、先端の鈍い切開カテーテルを血管から取り出す前に、シースカテーテルを閉塞部を通るように進入させることを含んでいる。
一実施形態の方法は更に、前記先端の鈍い切開カテーテルを取り外した後で前記シースカテーテルを取り出す前に、前記シースカテーテルを使用してガイドワイヤを変位せしめられた閉塞部を通して進入させることを含んでいる。
【0113】
一実施形態の方法は更に、前記血管内の血管閉塞部を通るようにガイドワイヤを選択し且つ進入させることを含んでいる。
一実施形態の方法は更に、前記先端の鈍い切開カテーテルを取り出す前で且つガイドワイヤをシースカテーテルの中を進入させる前に、前記シースカテーテルを前記閉塞部を通過させて進入させることを含んでいる。
【0114】
一実施形態の方法は更に、前記シースカテーテルを前記閉塞部を通過させて進入させた後に、前記シースカテーテルを使用して前記閉塞部を通過してガイドワイヤを進入させることを含んでいる。
【0115】
血管閉塞部内に初期の通路を形成するために使用するための上記の介入的なカテーテルに基づく装置及び方法は、閉塞部を通過するための方法を更に含んでおり、該方法は、シースカテーテル内にシース導入器を装填することによってカテーテル装置を組み立てることと、該カテーテル装置を、該装置の末端が閉塞部の基端側に位置するように第1のガイドワイヤの外周に沿ってカテーテル装置を進入させることと、第1のガイドワイヤとシース導入器とを血管系から取り出すことと、先端の鈍い切開カテーテルの少なくとも1つの拡張部材を閉塞部に隣接させて配置するために先端の鈍い切開カテーテルをシースカテーテル内を進入させることと、拡張力に応答して拡張部材の基端の近くで拡張部材の末端を撓ませることによって拡張部材の末端を先端の鈍い切開カテーテルの長手中心線から横方向へ離れるように動かすことによって、血管及び閉塞部の組織に機械力を適用することと、適用された破壊力に応答して閉塞部を破壊し且つ粉砕された材料内に経路を形成することと、先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルのうちの少なくとも一つを形成された経路を使用して閉塞部の材料を貫通するように進入させて先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルのうちの少なくとも1つが閉塞部の材料内を通り、閉塞部の材料がカテーテル装置の外側に留まるようにすることとを含む。
【0116】
一実施形態の方法は更に、先端の鈍い切開カテーテルを血管から取り出す前にシースカテーテルを閉塞部を通過するように進入させることを含んでいる。
一実施形態の方法は更に、先端の鈍い切開カテーテルを取り出した後でシースカテーテルを取り出す前に、シースカテーテルを使用して第2のガイドワイヤを変位せしめられた閉塞部の中を進入させることを含む。
【0117】
一実施形態の方法は、更に、第2のガイドワイヤを選択し且つ該第2のガイドワイヤを血管内の血管閉塞部を通るように進入させることを更に含んでいる。
一実施形態の方法は更に、先端の鈍い切開カテーテルを取り出す前で且つ第2のガイドワイヤをシースカテーテルを通るように進入させる前に、シースカテーテルを閉塞部を通過するように進入させることを含んでいる。
【0118】
一実施形態の方法は更に、シースカテーテルを閉塞部を通過するように進入させた後に、シースカテーテルを閉塞部を通るように第2のガイドワイヤを進入させることを含んでいる。
【0119】
文脈が別の方法で明確に必要としない限り、詳細な説明及び請求の範囲を通して、“含む”という用語は、排他的な又は網羅的な意味とは反対の包括的な意味、すなわち、“含むけれども、これに限られない”という意味に解釈されるべきである。単一又は複数の数を使用している用語もまた、各々、複数又は単一の数を含んでいる。更に、“ここでは”、“以下において”、“上記”、“下記”という用語及びこれに似た意味の用語は、本明細書において使用されるときには、本願全体を示しており且つ本願の如何なる特別な部分をも示していない。“又は”という用語が2以上の物品に関して使用されている場合には、この用語は、用語の以下の解釈、すなわち、このリスト内の物品のいずれか、全て及び何らかの組み合わせを包含している。
【0120】
カテーテル装置の図示された実施形態の上記の説明は、網羅的であること又はカテーテル装置をここに開示された正確な形態に限定することを意図していない。当該カテーテル装置の特別な実施形態及び例は例示の目的で記載されているけれども、当業者が認識するように、当該カテーテル装置の範囲内で種々の等価な変形が可能である。ここに提供されたカテーテル装置の教示は、上記したカテーテル装置に対してばかりでなく、その他の医療器具及び装置に適用することができる。
【0121】
上記した種々の実施形態の構成要素及び作用は、当該カテーテル装置の更に別の実施形態を提供するために組み合わせることができる。これらの及びその他の変更を、上記の詳細な説明に鑑みて当該カテーテル装置に施すことができる。
【0122】
上記の参考例及び米国特許及び特許出願の全てが本明細書に参考として組み入れられている。当該カテーテル装置の特徴は、必要ならば、本装置の更に別の実施形態を提供するために、上記した種々の特許及び出願の装置、機能及び概念を採用するために改造することができる。
【0123】
一般的に、請求の範囲においては、使用されている用語は、当該カテーテル装置を本明細書及び請求の範囲に開示されている特別な実施形態に限定するために解釈されるべきではなく、血管閉塞部を通すために請求の範囲において作動する全てのカテーテル装置及び医療装置を含むように解釈されるべきである。従って、当該カテーテル装置は、本開示によって限定されないが、その代わりに、当該カテーテル装置の範囲は、請求の範囲によって完全に決定されるべきである。
【0124】
当該カテーテル装置のある種の特徴は、ある種の請求項の形態で以下に提供されているけれども、発明者は、幾つかの数の請求項の形態のカテーテル装置の種々の特徴を想到する。従って、本発明者は、当該カテーテル装置の他の特徴のための更に別の付加的な請求項を追求するために、出願後に付加的な請求項を追加する権利を留保している。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】図1は、先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルを含んでいる一実施形態によるカテーテル装置である。
【図2a】図2aは、血管内の血管閉塞部の基端に位置している一実施形態による先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルの図である。
【図2b】図2bは、血管閉塞部の基端に維持されているシースカテーテルによって血管閉塞部内を進入しつつある一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルの図である。
【図2c】図2cは、血管閉塞部内を進入しつつある一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルの図である。
【図2d】図2dは、血管閉塞部内を進入しつつある一実施形態による先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルの図である。
【図2e】図2eは、血管閉塞部内で前記シースカテーテルと共に血管閉塞部を出て行く一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルの図である。
【図2f】図2fは、血管閉塞部内を進入せしめられている一実施形態による先端の鈍い切開カテーテル及びシースカテーテルの図である。
【図2g】図2gは、先端の鈍い切開カテーテルを取り出した後に続いて血管閉塞部を越えた位置に維持されている一実施形態によるシースカテーテルの図である。
【図2h】図2hは、前記シースカテーテルを通り且つ閉塞部の末端側の血管の正常な内腔内へと進入せしめられた一実施形態によるガイドワイヤの図である。
【図2i】図2iは、シースカテーテルの取り出しに続いて血管閉塞部を越えて定位置に位置している一実施形態によるガイドワイヤの図である。
【図3a】図3aは、シースカテーテル及びシース導入器を含む一実施形態によるカテーテル装置の図である。
【図3b】図3bは、一実施形態によるシースカテーテルの末端区分の長手方向断面図である。
【図3c】図3cは、別の実施形態によるシースカテーテルの末端の長手方向断面図である。
【図3d】図3dは、別の代替的な実施形態によるシースカテーテルの末端の長手方向断面図である。
【図3e】図3eは、更に別の代替的な実施形態によるシースカテーテルの末端の長手方向断面図である。
【図3f】図3fは、一実施形態によるシースカテーテルの基端のハブの長手方向断面図である。
【図4a】図4aは、一実施形態による導入器カテーテルの基端のハブの長手方向断面図である。
【図4b】図4bは、一実施形態によるテーパー形状であり且つ蛍光標識バンドを含んでいる導入器カテーテルの末端区分の長手方向断面図である。
【図4c】図4cは、一実施形態による丸い形状であり且つ蛍光標識バンドを含んでいる導入器カテーテルの末端区分の長手方向断面図である。
【図5a】図5aは、一実施形態による開口形状の2つの拡張部材を示している先端の鈍い切開カテーテルの作動部材の図である。
【図5b】図5bは、一実施形態による閉塞形状の2つの拡張部材を示している先端の鈍い切開カテーテルの作動部材の図である。
【図5c】図5cは、一実施形態による先端の鈍い切開カテーテルの作動部材の分解図である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合している前記カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、前記長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少しており、
前記カテーテルシャフトが蛍光標識装置を含んでいる、カテーテル装置。
【請求項2】
カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合している前記カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフト内の少なくとも1つの内腔と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、前記長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少しており、
基端及び末端を有し且つガイドワイヤの周りをたどる構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいるシース導入器を更に含んでおり、当該部材は、前記カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域が前記カテーテルシャフトの末端を越えて延びる、カテーテル装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカテーテル装置であって、
前記複数のポリマーが6個のポリマーを含んでいるカテーテル装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のカテーテル装置であって、
前記カテーテルシャフトの内腔の末端の終端が前記カテーテルシャフトの末端において開口している環状開口部を形成しているカテーテル装置。
【請求項5】
請求項4に記載のカテーテル装置であって、
前記環状開口部が非外傷性先端を形成しているポリマーを含んでいるカテーテル装置。
【請求項6】
請求項5に記載のカテーテル装置であって、
前記非外傷性先端が、テーパーが付けられた末端領域を有する単一のポリマーであるカテーテル装置。
【請求項7】
請求項5に記載のカテーテル装置であって、
前記非外傷性先端が、丸くされた末端領域を有する単一のポリマーであるカテーテル装置。
【請求項8】
請求項5に記載のカテーテル装置であって、
前記非外傷性先端が、内側ポリマーと外側ポリマーとによって構成されているカテーテル装置。
【請求項9】
請求項1に記載のカテーテル装置であって、
前記蛍光標識装置が、編み上げ管状部材の内側に第2の標識領域を含んでいるカテーテル装置。
【請求項10】
請求項2に記載のカテーテル装置であって、
前記シース導入器が、前記基端に少なくとも1つのハブを含み、該ハブは、前記シース導入器が前記カテーテルシャフト内に一杯まで挿入されたときに前記カテーテルの基端上のハブ内に係止する構造とされているカテーテル装置。
【請求項11】
請求項2に記載のカテーテル装置であって、
前記シース導入器が、前記部材の末端領域内に蛍光標識装置を更に含んでいるカテーテル装置。
【請求項12】
カテーテル装置であって、
編み上げ管状部材を含むカテーテルシャフトであって、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が前記編み上げ管状部材の中に点在せしめられ且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合しており、前記内側ポリマーライナーは前記カテーテルシャフト内の内腔を形成している前記カテーテルシャフトと、
基端及び末端を有し且つガイドワイヤの周りをたどる構造とされた単一の内腔を形成している部材を含んでいる導入器を更に含んでおり、当該部材は、前記カテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材が一杯まで挿入されたときに、前記部材の末端領域が前記カテーテルシャフトの末端を越えて延びるようになされている前記導入器と、を含み、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿った1以上の部分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記複数のポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも相対的に高い可撓性を有していて、前記長さに沿った部分のデュロメータ値が、前記カテーテルシャフトの長手方向末端に向かって減少している、カテーテル装置。
【請求項13】
請求項12に記載のカテーテル装置であって、
前記導入器が、前記基端に設けられた少なくとも1つのハブを更に含んでおり、当該ハブは、前記導入器が前記カテーテルシャフト内に一杯に挿入されたときに前記カテーテルシャフトの基端に設けられたハブ内に係止される構造とされているカテーテル装置。
【請求項14】
請求項12に記載のカテーテル装置であって、
前記カテーテルシャフト及び前記導入器のうちの少なくとも1つが、前記部材の末端領域内に蛍光標識装置を含んでいるカテーテル装置。
【請求項15】
カテーテル装置であって、
少なくとも1つの内腔を備えたカテーテルシャフトを含んでおり且つ該カテーテルシャフトの末端が環状開口部を形成して終端しているシースカテーテルと、
血管内組織拡張カテーテルであって、
末端と長手軸線とを含み、前記長手軸線に沿って延びている少なくとも1つの導管を有しているカテーテルと、
前記カテーテルシャフトの末端に形成されたハウジングであって、前記カテーテルシャフトに枢動可能に結合された基端と、血管組織を拡張させるために前記長手軸線から離れる方向に円弧内を動く自由な末端とによって規定されている少なくとも1つの撓み部材を含んでおり、前記少なくとも1つの撓み部材が一体に形成されたヒンジを含んでいる前記ハウジングと、
前記少なくとも1つの撓み部材の末端を前記カテーテルシャフトの長手軸線から離れる方向に動かすように前記カテーテルシャフトに沿って位置決めされた起動アセンブリとを含む前記血管内組織拡張カテーテルと、を含み、
前記シースカテーテルのカテーテルシャフトを形成している材料のデュロメータ値が、前記末端に向かう長手方向に沿って減少しており、
前記外側ポリマーラミネートが、各々が前記カテーテルシャフトの長さに沿って1以上の区分を形成している複数のポリマーを含んでおり、
前記ポリマーのうちの1以上が異なるデュロメータ値を有しており、前記複数のポリマーの各々が、前記外側ポリマーラミネートの1以上の別個の領域を形成しており、
比較的低いデュロメータ値を有するポリマーが、前記外側ポリマーラミネートの末端の別個の領域を形成しており、比較的高いデュロメータ値を有するポリマーが前記外側ポリマーラミネートの基端の別個の領域を形成しており、前記カテーテルシャフトの末端領域が、前記カテーテルシャフトの基端領域よりも高い可撓性を有している、カテーテル装置。
【請求項16】
請求項15に記載のカテーテル装置であって、
前記少なくとも1つの撓み部材が1以上のヒンジを含んでいるカテーテル装置。
【請求項17】
請求項15に記載のカテーテル装置であって、
前記起動アセンブリが、前記少なくとも1つの撓み部材に結合された引っ張り部材を含んでいるカテーテル装置。
【請求項18】
請求項17に記載のカテーテル装置であって、
前記少なくとも1つの撓み部材が、少なくとも1つのヒンジによって前記ハウジングに結合されて、前記引っ張り部材が相対的に基端方向へ引っ張られたときに前記少なくとも1つの撓み部材の回転を支援する少なくとも1つのヒンジを形成しているカテーテル装置。
【請求項19】
請求項15に記載のカテーテル装置であって、
前記シースカテーテルのカテーテルシャフトが、編み上げ管状部材を更に含んでおり、少なくとも1つの内側ポリマーライナーが前記編み上げ管状部材の内側面に結合しており、少なくとも1つの外側ポリマーラミネートが前記編み上げ管状部材の外側面に結合しており、前記外側ポリマーラミネートのポリマー材料が、前記編み上げ管状部材によって点在せしめられており且つ前記内側ポリマーライナーの外側面の編み目内に結合しているカテーテル装置。
【請求項20】
請求項15に記載のカテーテル装置であって、
前記環状の開口部が非外傷性先端を形成しているポリマーを含んでいるカテーテル装置。
【請求項21】
請求項20に記載のカテーテル装置であって、
前記非外傷性先端が、テーパーが付けられた末端領域を有する単一のポリマーであるカテーテル装置。
【請求項22】
請求項20に記載のカテーテル装置であって、
前記非外傷性先端が、丸くされた末端領域を有する単一のポリマーであるカテーテル装置。
【請求項23】
請求項20に記載のカテーテル装置であって、
前記非外傷性先端が、内側ポリマーと外側ポリマーとから構成されているカテーテル装置。
【請求項24】
請求項15に記載のカテーテル装置であって、
前記シースカテーテルのカテーテルシャフトが蛍光標識装置を含んでいるカテーテル装置。
【請求項25】
請求項24に記載のカテーテル装置であって、
前記蛍光標識装置が、前記編み上げ管状部材の外側の第1の標識領域と前記編み上げ管状部材の内側の第2の標識領域とのうちの少なくとも1つを含んでいるカテーテル装置。
【請求項26】
請求項15に記載のカテーテル装置であって、
基端と末端とを有しており且つガイドワイヤの外周をたどる構造とされている単一の内腔を形成している部材を含むシース導入器を更に含んでおり、前記部材は、前記シースカテーテルのカテーテルシャフト内に挿入される構造とされており、前記部材の末端領域は、前記部材が一杯まで挿入されたときに前記カテーテルシャフトの末端を越えて延びるカテーテル装置。
【請求項27】
請求項25に記載のカテーテル装置であって、
前記シース導入器が、前記基端に少なくとも1つのハブを更に含んでおり、該ハブは、前記シース導入器が前記カテーテルシャフト内に一杯まで挿入されたときに前記シースカテーテルのカテーテルシャフトの基端に設けられたハブ内に係止される構造とされているカテーテル装置。
【請求項28】
請求項26に記載のカテーテル装置であって、
前記シース導入器が、前記部材の末端領域内に蛍光標識装置を更に含んでいるカテーテル装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2012-04-20 
結審通知日 2012-04-25 
審決日 2012-05-28 
出願番号 特願2006-533706(P2006-533706)
審決分類 P 1 123・ 113- ZD (A61M)
P 1 123・ 121- ZD (A61M)
P 1 123・ 16- ZD (A61M)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 宮崎 敏長  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 高田 元樹
蓮井 雅之
登録日 2010-12-24 
登録番号 特許第4653104号(P4653104)
発明の名称 血管閉塞部を開通させるためのカテーテル装置及び方法  
代理人 小野 新次郎  
代理人 星野 修  
代理人 山野 明  
代理人 仲宗根 康晴  
代理人 小野 新次郎  
代理人 坂井 志郎  
代理人 小見山 泰明  
代理人 大内 秀治  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 佐久間 滋  
代理人 佐久間 滋  
代理人 小見山 泰明  
代理人 星野 修  
代理人 宮寺 利幸  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ