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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 C12N
審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 C12N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C12N
管理番号 1281882
審判番号 不服2010-17692  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-06 
確定日 2013-11-20 
事件の表示 特願2002-558541「ERCC1及びTS発現に基づく化学療法剤投与計画の決定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月25日国際公開、WO02/57489、平成16年12月 2日国内公表、特表2004-535771〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年(2001年)11月9日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年12月1日 米国,2000年12月4日 米国,2001年6月11日 米国)とする国際出願であって、平成21年2月9日付で特許請求の範囲について手続補正がなされたが、平成22年3月29日付で拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で特許請求の範囲について手続補正がなされたものである。

2.平成22年8月6日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年8月6日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
上記補正により、補正前の特許請求の範囲10、13?15及び17が削除されるとともに、請求項1?4、7?13が補正され、そのうち請求項3は補正前の、
「【請求項3】 5-フルオロウラシル、オキサリプラチン、又はその組み合わせ物を含む化学療法剤投与計画の腫瘍に対する効果を決定する方法であって:
(a)固定及びパラフィン包埋された腫瘍サンプルを、有効量のカオトロピック化合物を含む溶液中、50℃から100℃の温度で、5分から120分加熱し、カオトロピック溶液からmRNAを回収することにより、前記サンプルからmRNAを分離するステップ;(b)上記mRNAを、チミジル酸シンターゼ(TS)遺伝子の一部を増幅し得るオリゴヌクレオチド・プライマー対であって、配列番号:3の配列又はそれと少なくとも90%同一な配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号:4の配列又はそれと少なくとも90%同一な配列を有するオリゴヌクレオチドとからなるオリゴヌクレオチド・プライマー対を用いた増幅に供して、増幅サンプルを得るステップ;
(c)上記増幅サンプル中のTS mRNA量を測定するステップ;
(d)ステップ(d)からのTS mRNA量を、内部標準遺伝子から増幅されたmRNA量と比較するステップ;
(e)上記増幅サンプル中のTS mRNA量、及びTS遺伝子発現に関する所定の閾値に基づいて、前記化学療法剤投与計画の腫瘍に対する効果を決定するステップを含んでなる方法。」から、
「【請求項3】 5-フルオロウラシル、オキサリプラチン、又はその組み合わせ物を含む化学療法剤投与計画の腫瘍に対する効果を決定する方法であって:
(a)固定及びパラフィン包埋された腫瘍サンプルを、有効量のカオトロピック剤を含む溶液中、75℃から100℃の温度で、5分から120分の温度で加熱し、カオトロピック溶液からmRNAを回収することにより、前記サンプルからmRNAを分離するステップ;
(b)上記mRNAを、チミジル酸シンターゼ(TS)遺伝子の一部を増幅し得るオリゴヌクレオチド・プライマー対であって、配列番号:3の配列又はそれと少なくとも90%同一な配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号:4の配列又はそれと少なくとも90%同一な配列からなるオリゴヌクレオチドとからなるオリゴヌクレオチド・プライマー対を用いた増幅に供して、増幅サンプルを得るステップ;
(c)上記増幅サンプル中のTS mRNA量を測定するステップ;
(d)ステップ(d)からのTS mRNA量を、内部標準遺伝子から増幅されたmRNA量と比較するステップ;
(e)上記増幅サンプル中のTS mRNA量、及びTS遺伝子発現に関する所定の閾値に基づいて、前記化学療法剤投与計画の腫瘍に対する効果を決定するステップを含んでなる方法。」と、補正された。

上記補正は、補正前の請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項である(a)の加熱温度「50℃から100℃」を「75℃から100℃」へと限定するとともに、(b)の二箇所の「配列を有するオリゴヌクレオチド」を「配列からなるオリゴヌクレオチド」へと補正するものである。
そして、(b)の二箇所のオリゴヌクレオチドの配列に関する補正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、(a)の加熱温度に関する補正は、温度範囲を限定するものであり、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、(a)の加熱温度範囲の補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項3に記載された発明(以下、「本願補正発明3」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。

(2)先願明細書
原査定の拒絶の理由で引用文献7として引用され、本願の優先日前の2000年10月31日に出願され、本願の優先日後の2001年6月28日に国際公開され、その後特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文が提出された特願2001-546900号(国際公開第01/46402、特表2003-525033号参照)の国際特許出願(以下、「先願」という。)の国際出願日における明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)には、以下の(ア)?(エ)の事項が記載されている。
そして、下記の(ア)?(エ)の事項はいずれも、この先願の優先権基礎出願である1999年12月20日付米国出願09/469,338号の明細書に記載されている。

(ア)「チミジレートシンターゼは、5-FUに曝露後の腫瘍性細胞中のTSタンパク質の急性誘導およびTS酵素の増大を示した試験により実証されているように、腫瘍耐性の発生において臨床的重要性を有することも知られている(Spears et al., 1982; Swain et al., 1989)。5-FUのような細胞傷害性剤に対する応答においてTSを短時間に過剰発現する腫瘍の能力は、フルオロウラシル耐性の発生において一役を演じ得る。従来の研究は、TSタンパク質のレベルが5-FU療法の有効性と直接相関しており、タンパク質とRNA発現との間の直接相関が存在し(Jackman et al., 1985)、そしてTS発現が結腸直腸および乳癌における強力な予後マーカーであるということが示されている(Jackman et al., 1985; Horikoshi et al., 1992)。
進行性転移性疾患においては、RT-PCRにより定量される高TSmRNA、ならびに高TSタンパク質発現はともに、結腸直腸(Johnston et al., 1995; Farrugia et al., 1997; Leichman et al., 1997)、胃(Lenz et al., 1995; Alexander et al., 1995)ならびに頭および頚(Johnston et al., 1997)癌に対するフルオロピリミジンベースの療法に対する不十分な応答を予測することが示されている。応答者および非応答者間のかなりの重複はしばしば低TS範疇に存在するが、しかし中央値以上のTSレベルを有する患者は主に非応答者であった。 …途中省略… ヒト腫瘍におけるTSの発現を評価した今日までの研究は、ヒト腫瘍におけるTS発現をベースにした応答および結果を予測する能力が、TS特異的療法から利益を受けると思われる患者を選定するための将来における機会を提供することを示唆する。 今まで、TS発現の研究を含めた定量的組織遺伝子発現研究は、凍結組織からのRNAの逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)増幅に限定されてきた。しかしながらほとんどの病理学的試料は凍結組織として調製されず、ルーチンにホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)されて、組織学的分析をそして記録保存を可能にする。遺伝子発現レベルは、タンパク質発現レベルをモニタリングするための免疫組織化学的染色を用いることにより、このような固定および包埋試料において半定量的におよび間接的にモニタリングされ得る。パラフィン包埋試料は広範に利用可能であるため、このような試料からの核酸、特にRNAの単離のためには迅速且つ信頼できる方法が必要とされる。」(国際公開第2頁第1行?第3頁第4行、注:国際公開での記載箇所を示し、下線は当審による。以下同様。)

(イ)「実施例1
一般的RNA単離手法
以下の一般的手法により、パラフィン包埋組織からRNAを抽出した。
(…途中省略…)
B.フェノール-クロロホルムによるRNA単離
(1)0.5%サルコシンおよび8 μLの1 Mジチオトレイトールを含む400μLのグアニジンイソチオシアネート溶液を付加する。
(…途中省略…)
(3)次に約95℃で約5?20分間、試料を加熱する。」(第13頁第12行?第14頁第13行)

(ウ)「 逆転写(RT)。 加熱後、ランダムヘキサマーを用いて全RNAをcDNAに転換した。RT条件は、凍結組織に関して前に記載されたのと同様であった(Horikoshi et al., 1992)。逆転写酵素を省いた対照(無RT)を、各試料に関して調製した。
Perkin Elmer Cetus 7700PCR機(Taqman)を用いたTSおよびβ-アクチン発現のリアルタイムPCR定量。 前に記載された(Heid et al., 1996; Eads et al., 1999)ような蛍光検出法に基づいたリアルタイムPCRを用いて、mRNAレベルの定量を実行した。前記と同様にcDNAを調製した。5‘-蛍光レポーター染料(6FAM)および3’-消光剤染料(TAMRA)とともにプローブを用いて、当該cDNAおよび参照cDNAを別々に増幅した。TAQポリメラーゼの5‘-エキソヌクレアーゼ活性はプローブを切断し、レポーター分子を放出して、その蛍光をABIプリズム配列検出系(Taqman)により検出する。蛍光検出閾値を越えた後、PCR増幅は、精製されたPCR産物の量に比例して蛍光シグナルを生じる。蛍光シグナルがPCR反応の指数期において閾値を越えた回数から、初期鋳型濃度を確定した。相対遺伝子発現は、当該遺伝子および参照遺伝子の閾値サイクルを基礎にして確定した。参照遺伝子の使用は、誤差の主な原因であり得るRNAを直接定量する必要を回避する。
プライマーおよびプローブ配列は以下の通りであった:TS:配列番号1:GGC CTC GGT GTG CCT TT;配列番号2:AAC ATC GCC AGC TAC GCC CTG C;配列番号3:GAT GTG CGC AAT CAT GTA CGT。β-アクチン:配列番号4:TGA GCG CGG CTA CAG CTT;配列番号5:ACC ACC ACG GCC GAG CGG;配列番号6:TCC TTA ATG TCA CGC ACG ATT T。実時間PCR実験に関しては、前記のように、レポーターオリゴヌクレオチド(配列番号2および5)を6FAMで5‘標識し、そしてTAMRAで3’標識した。」(第12頁第8行?第13頁第3行)

(エ)「実施例5
応答性および非応答性腫瘍組織におけるTSレベルの比較
IV期結腸癌における凍結組織および適合性FFPE試料におけるTSレベルの5-FU/ロイコボリン(LV)との相関。 凍結組織から得られたRT-PCRを基礎にした従来の報告は、腫瘍中の高レベルのTS(相対的遺伝子発現≧4.0)がTSの処置に対する乏しい応答を示すことを見出した。応答性腫瘍は、低レベルのTSを発現するとして特性化され得た。凍結組織試料の分析により5-FU/LVに対する応答が従来TS遺伝子発現と結び付けられてきた患者17名からのパラフィン切片で、TS/β-アクチン比を確定した(図7)。17例のうち、6例がTSに応答性であることが判り、11例がTSの処置に対する不十分応答者であったことがわかった。適合するパラフィン組織を用いたTS結果も、この療法に対する応答を予測していることが判明した(平均応答者FT=2.87、平均応答者FFPE=2.37、p=0.641;平均非応答者FT=7.66;平均非応答者FFPE=7.84、p=0.537)。凍結組織から得られたTSレベルと適合するFFPE組織から得られたものとの間に有意差は認められなかった。」(第17頁第16行?第18頁第2行))

上記記載事項(イ)には、パラフィン包埋(FFPE)組織に、400μLのグアニジンイソチオシアネート溶液を付加して約95℃で約5?20分間加熱してから、全RNAを単離することが記載され、上記記載事項(ア)には、病理学的試料は、ルーチンにホルマリン固定して、パラフィン包埋(FFPE)されることが記載されている。そして、上記記載事項(ウ)には、腫瘍組織からの全RNAをcDNAに変換し、該cDNAから、チミジル酸シンターゼ(以下、「TS」という。)とβ-アクチンmRNA発現のリアルタイムPCR定量、即ち、両者のRT-PCRを行って、内部標準遺伝子としてのβ-アクチンの発現に対するTS遺伝子の相対的発現を、TS遺伝子及びβ-アクチン遺伝子の閾値サイクルを基礎として確定したことが記載されており、そのTS遺伝子のPCRに使用したプライマー及びプローブ配列は、配列番号1:GGC CTC GGT GTG CCT TT;配列番号2:AAC ATC GCC AGC TAC GCC CTG C;配列番号3:GAT GTG CGC AAT CAT GTA CGTであることが記載されている。
さらに、上記記載事項(ア)には、TSタンパク質あるいはmRNAの発現レベルが、化学療法剤である5-フルオロウラシル(以下、「5-FU」という。)の有効性と直接相関していることは既に周知であることが記載され、「ヒト腫瘍におけるTSの発現を評価した今日までの研究は、ヒト腫瘍におけるTS発現をベースにした応答および結果を予測する能力が、TS特異的療法から利益を受けると思われる患者を選定するための将来における機会を提供する」ことが記載されており、上記記載事項(エ)には、パラフィン包埋組織からのRNAに対して行ったTSのRT-PCRの結果は、凍結組織試料からのRNAに対する結果と適合し、5-FU療法に対する応答を予測していることが判明したことが記載されてている。

そうすると、先願明細書には、次の発明(以下、先願発明」という。)が記載されているものと認められる。
「5-FUを含む化学療法剤の応答を予測する方法であって:
(a)固定及びパラフィン包埋された腫瘍サンプルを、400μLのグアニジンイソチオシアネートを含む溶液中、95℃の温度で、5分から20分の温度で加熱し、グアニジンイソチオシアネート溶液からmRNAを回収することにより、前記サンプルからmRNAを分離するステップ;
(b)上記mRNAをTS遺伝子の一部を増幅し得るオリゴヌクレオチド・プライマー対であって、GGC CTC GGT GTG CCT TT及びGAT GTG CGC AAT CAT GTA CGTからなるオリゴヌクレオチド・プライマー対を用いた増幅に供して、増幅サンプルを得るステップ;
(c)上記増幅サンプル中のTS mRNA量を測定するステップ;
(d)ステップ(c)(注:原文はステップ(d)と記載されているが、(c)の明らかな誤記である。)からのTS mRNA量を、内部標準遺伝子から増幅されたmRNA量と比較するステップ;
(e)上記増幅サンプル中のTS mRNA量に基づいて、5-FUを含む化学療法剤の応答を予測するステップを含んでなる方法。」

(3)対比・判断
本願補正発明3と先願発明とを比較すると、先願発明における「400μLのグアニジンイソチオシアネート」は、本願補正発明3の「有効量のカオトロピック剤」に相当し、先願発明におけるオリゴヌクレオチド・プライマー対「GGC CTC GGT GTG CCT TT」及び「GAT GTG CGC AAT CAT GTA CGT」はそれぞれ、本願補正発明3の「配列番号3」及び「配列番号4」の配列と同一のオリゴヌクレオチドである。
また、先願発明の「化学療法剤の応答を予測する方法」とは、上記記載事項(ウ)に「ヒト腫瘍におけるTS発現をベースにした応答および結果を予測する能力が、TS特異的療法から利益を受けると思われる患者を選定するための将来における機会を提供する」とあるから、実質的に本願補正発明3の「化学療法剤投与計画の腫瘍に対する効果を決定する方法」に相当する。

そうすると、本願補正発明3と先願発明とは、
「5-フルオロウラシルを含む化学療法剤投与計画の腫瘍に対する効果を決定する方法であって:
(a)固定及びパラフィン包埋された腫瘍サンプルを、有効量のカオトロピック剤を含む溶液中、75℃から100℃の温度で、5分から120分の温度で加熱し、カオトロピック溶液からmRNAを回収することにより、前記サンプルからmRNAを分離するステップ;
(b)上記mRNAを、チミジル酸シンターゼ(TS)遺伝子の一部を増幅し得るオリゴヌクレオチド・プライマー対であって、配列番号:3の配列又はそれと少なくとも90%同一な配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号:4の配列又はそれと少なくとも90%同一な配列からなるオリゴヌクレオチドとからなるオリゴヌクレオチド・プライマー対を用いた増幅に供して、増幅サンプルを得るステップ;
(c)上記増幅サンプル中のTS mRNA量を測定するステップ;
(d)ステップ(d)からのTS mRNA量を、内部標準遺伝子から増幅されたmRNA量と比較するステップ;
(e)上記増幅サンプル中のTS mRNA量に基づいて、前記化学療法剤与計画の腫瘍に対する効果を決定するステップを含んでなる方法」である点で一致する。
一方両者は、本願補正発明3では、ステップ(e)に「TS遺伝子発現に関する所定の閾値に基づいて、」前記化学療法剤投与計画の腫瘍に対する効果を決定するステップをさらに含むものであるのに対して、先願発明では、所定の閾値に基づいて効果を決定することは、具体的には記載されていない点で、一応相違する。

しかしながら、上記先願明細書記載事項(エ)には、「凍結組織から得られたRT-PCRを基礎にした従来の報告は、腫瘍中の高レベルのTS(相対的遺伝子発現≧4.0)がTSの処置に対する乏しい応答を示す」こと、及び「適合するパラフィン組織を用いたTS結果も、この療法に対する応答を予測していることが判明した(平均応答者FT=2.87、平均応答者FFPE=2.37、p=0.641;平均非応答者FT=7.66;平均非応答者FFPE=7.84、p=0.537)。凍結組織から得られたTSレベルと適合するFFPE組織から得られたものとの間に有意差は認められなかった。」と記載されているから、パラフィン組織を用いた場合も、凍結(FT)組織の場合と同様に「相対的遺伝子発現≧4.0」という所定の閾値に基づいて腫瘍に対する効果を決定していることは明らかであり、上記相違点は、実質的な相違とはいえない。
したがって、本願補正発明3は、先願発明と同一である。

(4)小括
以上のとおりであるから、本願補正発明3は、本願の優先日前に出願され、本願の優先日後に国際公開された特願2001-546900号(国際公開第01/46402、特表2003-525033号参照)の国際特許出願の国際出願日における明細書又は図面に記載された発明と同一であると認められ、しかも、本願の発明者が先願に係る上記の発明をした者と同一であるとも、また本願の時において、本願の出願人が先願の出願人と同一であるとも認められないので、特許法第184条の13で読み替えて適用する特許法第29条の2の規定により、独立して特許を受けることができない。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明3および16について
(1)本願発明3及び16
平成22年8月6日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項3及び16に係る発明(以下、「本願発明3」及び「本願発明16」という。)は、平成21年2月9日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項3及び請求項16に記載された事項により特定される、それぞれ以下のとおりのものである。

「【請求項3】 5-フルオロウラシル、オキサリプラチン、又はその組み合わせ物を含む化学療法剤投与計画の腫瘍に対する効果を決定する方法であって:
(a)固定及びパラフィン包埋された腫瘍サンプルを、有効量のカオトロピック化合物を含む溶液中、50℃から100℃の温度で、5分から120分加熱し、カオトロピック溶液からmRNAを回収することにより、前記サンプルからmRNAを分離するステップ;(b)上記mRNAを、チミジル酸シンターゼ(TS)遺伝子の一部を増幅し得るオリゴヌクレオチド・プライマー対であって、配列番号:3の配列又はそれと少なくとも90%同一な配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号:4の配列又はそれと少なくとも90%同一な配列を有するオリゴヌクレオチドとからなるオリゴヌクレオチド・プライマー対を用いた増幅に供して、増幅サンプルを得るステップ;
(c)上記増幅サンプル中のTS mRNA量を測定するステップ;
(d)ステップ(d)からのTS mRNA量を、内部標準遺伝子から増幅されたmRNA量と比較するステップ;
(e)上記増幅サンプル中のTS mRNA量、及びTS遺伝子発現に関する所定の閾値に基づいて、前記化学療法剤投与計画の腫瘍に対する効果を決定するステップを含んでなる方法。」
「【請求項16】 配列番号:3の配列又はそれと少なくとも90%同一な配列を有するオリゴヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド・プライマー。」

(2)本願発明3について
本願発明3は、上記本願補正発明3を包含するものであり、本願補正発明3が上記2.(3)に記載の理由によって、先願発明と同一であるから、本願発明3も同様の理由で先願発明と同一であり、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

(3)本願発明16について
先願明細書の記載事項は、上記2.(2)のとおりであり、先願明細書記載事項(ウ)の「配列番号1:GGC CTC GGT GTG CCT TT」は、本願発明16の配列番号3の配列であるggcctcggtg tgcctttと同一の配列であるから、本願発明16に係るプライマーは、先願明細書に記載された配列番号1のプライマーと同一であり、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願請求項3及び16に係る発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-21 
結審通知日 2013-06-25 
審決日 2013-07-09 
出願番号 特願2002-558541(P2002-558541)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (C12N)
P 1 8・ 16- Z (C12N)
P 1 8・ 16- Z (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 巌  
特許庁審判長 鈴木 恵理子
特許庁審判官 植原 克典
冨永 みどり
発明の名称 ERCC1及びTS発現に基づく化学療法剤投与計画の決定方法  
代理人 武居 良太郎  
代理人 石田 敬  
代理人 渡辺 陽一  
代理人 青木 篤  
代理人 中島 勝  
代理人 古賀 哲次  
代理人 福本 積  
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