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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1281892
審判番号 不服2012-9888  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-28 
確定日 2013-11-20 
事件の表示 特願2001-557189「アクティブ/スタンドバイ・リクエストチャネルを用いるメンテナンスリンク」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月 9日国際公開、WO01/58043、平成15年10月 7日国内公表、特表2003-529979〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は、2001年2月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年2月7日、米国、2001年2月1日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成21年1月8日付で手続補正がなされ、平成22年7月22日付拒絶理由通知が通知され、平成22年10月27日付で手続補正がなされ、平成22年11月17日付拒絶理由通知が通知され、平成23年5月19日付で手続補正がなされ、平成23年6月22日付拒絶理由通知が通知され、平成23年12月26日付で手続補正がなされ、平成24年1月25日付で平成23年12月26日付の手続補正が却下され、平成24年1月25日付で拒絶査定がなされ、平成24年5月28日に拒絶査定不服審判がされるとともに、平成24年5月28日付で手続補正がなされたものである。


2.平成24年5月28日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成24年5月28日付の手続補正を却下する。

[理由]

本件補正の目的

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成23年5月19日付の手続補正により補正された

「ワイヤレス通信をサポートする方法であって、
複数の送信器からの同期化された通信をサポートする為にコード化されたチャネルを割り当てるステップと、
前記複数の送信器のうちの第1送信器から基準信号を受信するのに使用するコード化されたチャネルの第1部分を割り当て、受信器において前記第1送信器から基準信号を受信するステップであって、前記第1送信器は前記コード化されたチャネルの第1部分を使用して前記基準信号を送信するステップと、
前記複数の送信器のうちの第2送信器からメッセージを受信するのに使用するコード化されたチャネルの第2部分を割り当て、前記受信器において前記第2送信器からメッセージを受信するステップであって、前記第2送信器は前記コード化されたチャネルの第2部分を使用して前記メッセージを送信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。」(以下「補正前発明」という)

から、

「前記複数の送信器のうちの第1送信器から基準信号を受信するのに使用するコード化されたチャネルの第1部分を割り当て、受信器において前記第1送信器から前記基準信号を受信するステップであって、前記第1送信器は前記コード化されたチャネルの第1部分を使用して前記基準信号を送信するステップと、
前記複数の送信器のうちの第2送信器からメッセージを受信するのに使用するコード化されたチャネルの第2部分を割り当て、前記受信器において前記第2送信器からメッセージを受信するステップであって、前記第2送信器は前記コード化されたチャネルの第2部分を使用して前記メッセージを送信するステップと、
タイミングを進ませるか遅らせるかを示す、前記受信器から前記複数の送信器の各々へのタイミング調整メッセージを、前記受信器から送信することにより、前記複数の送信器の各々から前記受信器への送信タイミングを調整するステップと
を備え、
前記コード化されたチャネルの第1部分を介して送信される情報は、前記コード化されたチャネルの第2部分を介して送信される情報とは異なるタイプの情報であることを特徴とする方法。」(以下「本願補正発明」という)

と補正された。

本件補正は、補正前発明の
「ワイヤレス通信をサポートする方法であって、
複数の送信器からの同期化された通信をサポートする為にコード化されたチャネルを割り当てるステップと、」
を削除するものである。
つまり、「ワイヤレス通信をサポートする」方法に限定せず、「複数の送信器からの同期化された通信をサポートする為にコード化されたチャネルを割り当てるステップ」を備えない方法も含むものであるから、特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。

なお、請求人は審判請求書において、該補正が「明りょうでない記載の釈明」に該当すると主張しているが、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものでなく、さらに「ワイヤレス通信」のサポートをすることも本願補正発明に含まれていないから、「明りょうでない記載の釈明」でもない。

さらに、請求項の削除でなく、誤記の訂正でないことは明らかであるから、特許法17条の2第4項のいずれの目的にも該当しない。

したがって、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について

(1)本願発明

平成24年5月28日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年5月19日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「ワイヤレス通信をサポートする方法であって、
複数の送信器からの同期化された通信をサポートする為にコード化されたチャネルを割り当てるステップと、
前記複数の送信器のうちの第1送信器から基準信号を受信するのに使用するコード化されたチャネルの第1部分を割り当て、受信器において前記第1送信器から基準信号を受信するステップであって、前記第1送信器は前記コード化されたチャネルの第1部分を使用して前記基準信号を送信するステップと、
前記複数の送信器のうちの第2送信器からメッセージを受信するのに使用するコード化されたチャネルの第2部分を割り当て、前記受信器において前記第2送信器からメッセージを受信するステップであって、前記第2送信器は前記コード化されたチャネルの第2部分を使用して前記メッセージを送信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。」

(2)引用例記載の発明

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成11年12月9日に国際公開された国際公開第99/63682号(以下「引用例1」という)には、次の事項が記載されている。(なお、引用例1に対応する日本出願の公報である特表2002-517941号公報の対応する箇所を当審訳とする。また、当審訳の下線は当審が付与した。)

「An attractive method of increasing data rate for a given user is the sharing of channels in both the forward and reverse link direction. This is an attractive option, especially with the ease of obtaining multiple access with CDMA; additional users can be supported by simply adding additional codes for the forward link, or code phases in the reverse link for an IS-95 system. Ideally, this subchannel overhead would be minimized so that when additional subchannels need to be allocated to a connection, they are available as rapidly as possible.
To maintain synchronization, it is therefore advantageous to provide the sub-channels in such a way that the lowest possible speed connection is provided on a reverse link while at the same time maintaining efficient and fast ramp-up of additional code phase channels on demand. This in turn would maximize the number of available connections while minimizing the impact on the overall system capacity.

Brief Description of the Invention
The present invention is a service option overlay for an IS-95-like CDMA wireless communication system which accomplishes the above requirements. In particular, a number of subchannels for a forward link are defined within a single CDMA radio channel bandwidth, such as by assigning different orthogonal codes to each sub-channel. Multiple subchannels are defined on the reverse link by assigning different code phases of a given long pseudonoise (PN) code to each subchannel. The instantaneous bandwidth needs of each on-line subscriber unit are then met by dynamically allocating none, one, or multiple subchannels on an as needed basis for each network layer connection.
More particularly, the present invention efficiently provides a relatively large number of virtual physical connections between the subscriber units and the base stations on the reverse link for extended idle periods such as when computers connected to the subscriber units are powered on, but not presently actively sending or receiving data. These maintenance subchannels permit the base station and the subscriber units to remain in phase and time synchronism. This in turn allows fast acquisition of additional subchannels as needed by allocating new code phase subchannels. Preferably, the code phases of the new channels are assigned according to a predetermined code phase relationship with respect to the code phase of the corresponding maintenance subchannel.
In an idle mode, the subscriber unit sends a synchronization or "heartbeat" message on the maintenance subchannel at a data rate which need only be fast enough to allow the subscriber unit to maintain synchronization with the base station.
The duration of the heartbeat signal is determined by considering the capture or locking range of the code phase locking circuits in the receiver at the base station.」(5頁8行?6頁16行)
当審訳
「【0010】
【課題を解決するための手段】
所定のユーザーに対するデータ転送速度を増加させる有効な方法は、フォワードおよびリバースリンク方向の両方におけるチャネルの共有である。これは、特にCDMAを用いて多重アクセスを容易に得る有効なオプションであり、さらにIS-95システムにおいて、フォワードリンクに対しては追加コードを、リバースリンクにはコード位相ユーザーを簡単に追加することによりサポートできる。このサブチャネルオーバーヘッドを最小にするには、理論的には、追加サブチャネルを接続に対して割当てる必要があるときに、それらをできる限り速く利用可能にすることにより可能となる。
【0011】
したがって、同期を維持するには、オンデマンド追加コード位相チャネルの効率的かつ高速立ち上げを同時に維持しながら、最低可能速度接続がリバースリンク上で提供されるように、サブチャネルを用意することが有効である。さらにこれは、全体システム容量における影響を最小にする一方で、利用可能な接続数を最大化する。
【0012】
本発明は、IS-95に基づくCDMA無線通信システムに対するサービスオプションオーバーレイであり、上述した要求を達成するものである。特に、各サブチャネルに対して異なる直交コードを割当てることなどにより、フォワードリンクに対する多数のサブチャネルを単一CDMA無線チャネル帯域幅内に規定する。各サブチャネルに対し所定の長疑似雑音(PN)コードの異なるコード位相を割当てることにより、複数サブチャネルをリバースリンク上に規定する。その時、各オンライン加入者装置の必要瞬時帯域幅は、必要に応じて各ネットワーク層接続に基づいて、1 つまたは複数のサブチャネルに動的に割当て(または割当てない場合もある)ることにより適合させる。
【0013】
さらに特徴とすることは、本発明は、データの送受信動作をすることなく、加入者装置に接続されたコンピュータがパワーオンされている長いアイドル時間中に、リバースリンク上の基地局と加入者装置間に比較的多数の仮想物理接続を効率的に提供することである。これらの維持サブチャネルにより、基地局と加入者装置は位相と時間の同期性を維持できる。これにより、新コード位相サブチャネルを割当てることによって、必要とされる追加サブチャネルを高速に取得することができる。好ましくは、新チャネルのコード位相を、対応する維持サブチャネルのコード位相に対して予め決められたコード位相関係に従って割当てる。
【0014】
アイドルモードでは、加入者装置は、加入者装置が基地局と同期を維持するのに十分必要なだけのデータ転送速度で、維持サブチャネル上に同期または“ハートビート(heartbeat) ”メッセージを送る。ハートビート信号の持続時間は、基地局の受信機内のコード位相ロック回路のキャプチャまたはロックレンジを考慮して決定される。」

「DETAILED DESCRIPTION OF A PREFERRED EMBODIMENT
Turning attention now to the drawings more particularly, FIG. 1 is a block diagram of a system 100 for providing high speed data and voice service over a wireless connection by seamlessly integrating a digital data protocol such as, for example, Integrated Services Digital Network (ISDN) with a digitally modulated wireless service such as Code Division Multiple Access (CDMA).
The system 100 consists of two different types of components, including subscriber units 101-1, 101-2, ..., 101-u (collectively, the subscriber units 101) and one or more base stations 170. The subscriber units 101 and base stations 170 cooperate to provide the functions necessary in order to provide wireless data services to a portable computing device 110 such as a laptop computer, portable computer, personal digital assistant (PDA) or the like. The base station 170 also cooperates with the subscriber units 101 to permit the ultimate transmission of data to and from the subscriber unit and the Public Switched Telephone Network (PSTN) 180.」
(8頁1行?8頁15行)
当審訳
「【0019】
【発明の実施の形態】
さらに図面により具体的に説明する。図1はシステム100のブロック図であり、例えば符号分割多元接続方式(CDMA)のようなディジタル変調無線サービスを用いる総合サービス・ディジタル・ネットワーク(ISDN)などのディジタルデータプロトコルをシームレスに統合することにより、無線接続を介して高速転送データおよび音声サービスを提供するものである。
【0020】
システム100は異なる2種類の構成要素から構成されており、加入者装置101-1、101-2、...、101-u(ここでは、まとめて加入者装置101と称する)および1つまたは複数の基地局170を含む。加入者装置101と基地局170は協働して必要な機能を備え、ラップトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、個人用情報端末機器(PDA)その他などのポータブルコンピュータ装置110に無線データサービスを提供する。基地局170は加入者装置101と協働して、加入者装置および公衆交換電話網(PSTN)180間との最終的データ伝送を可能にする。」

「FIG.3 is a diagram illustrating the arrangement of how the subchannels are assigned on the reverse link. It is desirable to use a single radio carrier signal on the reverse link to the extent possible to conserve power as well as to conserve the receiver resources which must be made available at the base station. Therefore, a single 1.2288 MHZ band 350 is selected out of the available radio spectrum.
A relatively large number, N, such as 1000 individual subscriber units are then supported by using a single long pseudonoise (PN) code in a particular way. First, a number, p, of code phases are selected from the available 2^(42)-l different long code phases. A given long code phase is unique to a particular subscriber unit and never changes. As will be explained, this is also true for supplemental code phases as well. The p code phase shifts are then used to provide p subchannels. Next, each of the p subchannels are further divided into s time slots. The time slotting is used only during the idle mode, and provides two advantages; it reduces the numbers of "maintenance" receivers in the base station, and it reduces the impact to reverse channel capacity by reducing transmit power and thus interference. Therefore, the maximum supportable number of supportable subscriber units, N, is p times s. During Idle mode, use of the same PN code with different phases and time slots provides many different subchannels with permits using a single rake receiver in the base station 104.
In the above mentioned channel allocation scheme, radio resources are expected to be allocated on an as-needed basis. However, consideration must also be given to the fact that normally, in order set up a new CDMA channel, a given reverse link channel must be given time to acquire code phase lock at the receiver. The present invention avoids the need to wait for each channel to acquire code phase lock each time that it is set up by several mechanisms which are describe more fully below. In general, the technique is to send a maintenance signal at a rate which is sufficient to maintain code phase lock for each subchannel even in the absence of data.
The objective here is to minimize the size of each time slot, which in turn maximizes the number of subscribers that can be maintained in an idle mode. The size, t, of each time slot is determined by the minimum time that it takes to guarantee phase lock between the transmitter at the subscriber unit and the receiver in the base station. In particular, a code correlator in the receiver must receive a maintenance or "heartbeat" signal consisting of at least a certain number of maintenance bits over a certain unit of time. In the limit, this heartbeat signal is sent by sending at least one bit from each subscriber unit on each reverse link at a predetermined time, e.g., its designated time slot on a predetermined one of the N subchannels.」(12頁1行?13頁7行)
当審訳
「【0034】
図3はサブチャネルをリバースリンク上に割当てる方法を示す図である。基地局で利用する必要のある電力の節約および受信機資源の節約に可能な範囲で、リバースリンク上の単一無線搬送波信号を使用するのが望ましい。したがって、単一の1.2288MHz帯域350を利用可能な無線スペクトルから選択する。
【0035】
この時は、単一の長疑似雑音(PN)コードを特定の方法で使用して、比較的大きい数N、例えば1000の個々の加入者装置をサポートする。最初に、数pのコード位相を利用可能な2^(42)-1の異なる長コード位相から選択する。所定の長コード位相は特定の加入者装置に固有であり、変化しない。次に説明するように、これは追補コード位相に対しても同様である。pコード位相シフトを使用して、pサブチャネルを準備する。次に、pサブチャネルの各々をsタイムスロットに分割する。タイムスロットはアイドルモードの間だけ使用され、2つの利点を備える。1つは基地局の“メンテナンス”受信機の数を減少させ、もう1つは伝送電力および干渉を減少させてリバースチャネル容量への影響を減少させる。したがって、加入者装置の最大サポート可能数Nは、p×sになる。アイドルモードの間、異なる位相とタイムスロットを持つ同一PNコードの使用は、基地局104の単一レイク(RAKE)受信機の使用を可能にして多数の異なるサブチャネルを提供する。
【0036】
上述のチャネル割当て方式では、無線資源は基本的に必要な場合にだけ配分される。しかし、通常は新しいCDMAチャネルを設定するために、所定のリバースリンクチャネルは受信機にコード位相ロックされる時間を与える必要があることも考慮しなければならない。本発明では、以下に詳しく述べるいくつかのメカニズムによって設定する毎に、各チャネルがコード位相ロックされるのを待つ必要がない。一般にこの方法は、データのない場合にも各サブチャネルに対してコード位相ロックを維持するのに十分な速度でメンテナンス信号を送出する。
【0037】
ここで、この目的は各タイムスロットのサイズを最小化することであり、その結果、アイドルモード内に維持できる加入者数を最大にする。各タイムスロットのサイズtは、加入者装置の送信機と基地局の受信機間の位相ロックを保証するのに要する最小時間で決定される。特に受信機内のコード相関器が、一定の時間単位で少なくとも一定数のメンテナンスビットから構成されるメンテナンスまたは“ハートビート”信号を受取る必要がある。このハートビート信号は、各リバースリンク上の各加入者装置から予め決められた時間内、例えば予め決められたNサブチャネルの1つ上で指定されたタイムスロットの制限内において、最低限1ビットを送ることにより、送出される。」

「FIG.4 is a state diagram for a reverse link bandwidth management function in the subscriber unit. In an idle mode 400, a first state 401 is entered in which the subscriber unit receives a time slot assignment for its code phase reverse channel. This time slot is only used in the idle mode. The same long code phase is pre- assigned and is permanent to the subscriber unit.
In a next state 402, the heartbeat signal is sent in the assigned time slots. A state 403 is then entered in which the subscriber unit monitors its internal data buffers to determine whether additional code phase channels are required to support the establishment of a reverse link with sufficient bandwidth to support and active traffic channel. If this is not the case, then the subscriber returns to state 402 and remains in the idle mode 400.
Prior to entering the Active state 4050 from Idle mode 400, the subscriber unit must made a request to the base station. If granted, (step 403-b), processing proceeds to step 451, and if not granted, processing proceeds to step 402.1f, however, the subscriber unit does have data to be sent, then the active mode 450 is entered. In the first state 451 of this mode, if new code phase channels are required, then new code phases are calculated in state 452. Specifically, the subscriber unit knows that it is assigned code phase channels in a predetermined relationship to the code phase channel of its fundamental channel, i.e.,

P_(n+1) = F{P_(0)}

where P _(n+1) is the code phase for the new channel (n+1), and P_(0) is the code phase assigned to the fundamental channel for the particular subscriber. Such a code phase relationship F may be, for example, to select uniformly from the available 2^(42) codes, every 2^(42)/2^(10)'th or every 2^(32)'th code phase in a system which is supporting 1024(2^(10)) reverse links for a single subscriber.
A number, C, of these new code phases are therefore instantaneously calculated based simply upon the number of additional code phase channels, and without the need to require code phase synchronization for each new channel.
After step 452 is processed, a request is made for code phase channels. If granted (step 452-b), processing proceeds to step 453, and if not granted, processing proceeds to step 451 in order to process the additional channel requests. In a next state 453, the subscriber unit begins transmitting its data on its assigned code phase channels. In state 454, it continues to monitor its internal data buffers and its associated forward access channel to determine when to return to the idle mode 400, to state 451, to determine if new code phase channels must be assigned, or to state 455, where they are deallocated.」
(14頁20行?15頁27行)
当審訳
「【0042】
図4は加入者装置のリバースリンク帯域幅管理機能の状態図である。アイドルモード400では、第1状態401に入り、加入者装置がそのコード位相リバースチャネルに対するタイムスロット割当てを受取る。このタイムスロットはアイドルモードにおいてのみ使用される。同一長コード位相は予め割当てられ、加入者装置に固定される。
【0043】
次の状態402では、ハートビート信号は割当てられたタイムスロット内に送られる。その後状態403に入り、加入者装置がその内部データバッフアを監視して、追加コード位相チャネルが、トラフィックチャネルをサポートして動作させるに十分な帯域幅を持つリバースリンクの確立をサポートする必要があるかどうかを決定する。その必要のない場合は、加入者は状態402に戻り、アイドルモード400を維持する。
【0044】
アイドルモード400から動作状態450に入る前に、加入者装置は基地局に要求を出す必要がある。許可された場合は(ステップ403-b)、処理はステップ451に進行し、許可されない場合は、ステップ403に進行する。しかし、加入者装置が伝送するデータを持たない場合は、動作モード450に入る。このモードの第1状態451では、新しいコード位相チャネルが必要な場合は、新しいコード位相を状態452で計算する。特に、加入者装置は、基本チャネルのコード位相チャネルに対して予め決められた関係においてコード位相チャネルが割当てられていることを認識する。すなわち次式で表される。
P_(n+1) =F{P_(o) }
ここで、P_(n+1) は新しいチャネル(n+1) に対するコード位相、P_(o)は特定の加入者に対する基本チャネルに割当てられたコード位相である。この位相関係Fは、例えば、利用可能な2^(42)コードから、単一加入者に対して1024(2^(10))リバースリンクをサポートするシステム内の各2^(42)/2^(10)番目または各2^(32)番目コード位相を一様に選択してもよい。
【0045】
これら新しいコード位相の数Cを、単に追加コード位相チャネル数に基づいて瞬時に計算する。このとき各新チャネルに対するコード位相同期を要求する必要はない。
【0046】
ステップ452を処理後、コード位相チャネルに対し要求がなされる。それが許可されると(ステップ452-b)、処理はステップ453に進行する。許可されない場合は、処理はステップ451に進行し、追加チャネル要求を処理する。次の状態453では、加入者装置は割当てられたコード位相チャネル上にそのデータの伝送を開始する。状態454では、内部データバッファおよび割当てられたフォワードアクセスチャネルを連続監視して、新しいコード位相チャネルを割当てる必要があるかどうかを決定するために、アイドルモード400や状態451へ戻る時、または割当を解除する状態455へ進む時を決定する。」

上記記載によれば、引用例1には、

「IS-95に基づくCDMA無線通信システムに対するサービスオプションオーバーレイであり、
各サブチャネルに対して異なる直交コードを割当てることなどにより、フォワードリンクに対する多数のサブチャネルを単一CDMA無線チャネル帯域幅内に規定し、
加入者装置101-1、101-2、...、101-uおよび1つまたは複数の基地局170を含むシステムであり、
データの送受信動作をすることなく、加入者装置に接続されたコンピュータがパワーオンされている長いアイドル時間中に、リバースリンク上の基地局と加入者装置間に比較的多数の仮想物理接続を効率的に提供して、これらの維持サブチャネルにより、基地局と加入者装置は位相と時間の同期性を維持することを特徴の一つとしており、
アイドルモードでは、加入者装置は、加入者装置が基地局と同期を維持するのに十分必要なだけのデータ転送速度で、維持サブチャネル上に同期または“ハートビート(heartbeat) ”メッセージを送り、
サブチャネルをリバースリンク上に割当てるには、
pコード位相シフトを使用して、pサブチャネルを準備して、pサブチャネルの各々をsタイムスロットに分割し、
ハートビート信号は、各リバースリンク上の各加入者装置から予め決められた時間内、例えば予め決められたNサブチャネルの1つ上で指定されたタイムスロットの制限内において、最低限1ビットを送ることにより、送出され、
アイドルモード400では、第1状態401に入り、加入者装置がそのコード位相リバースチャネルに対するタイムスロット割当てを受取り、このタイムスロットはアイドルモードにおいてのみ使用され
次の状態402では、ハートビート信号は割当てられたタイムスロット内に送られ、
その後状態403に入り、加入者装置がその内部データバッフアを監視して、追加コード位相チャネルが、トラフィックチャネルをサポートして動作させるに十分な帯域幅を持つリバースリンクの確立をサポートする必要があるかどうかを決定し、
アイドルモード400から動作状態450に入る前に、加入者装置は基地局に要求を出す必要があり、
許可された場合は(ステップ403-b)、処理はステップ451に進行し、
第1状態451では、新しいコード位相チャネルが必要な場合は、新しいコード位相を状態452で計算し、
ステップ452を処理後、コード位相チャネルに対し要求がなされ、
それが許可されると(ステップ452-b)、処理はステップ453に進行し、
次の状態453では、加入者装置は割当てられたコード位相チャネル上にそのデータの伝送を開始する
方法」

が記載されている。(以下「引用発明」という)

(3)本願発明と引用発明の対比

引用発明は「CAMA無線通信システムに対するサービスオプションオーバーレイ」であるから、「ワイヤレス通信システムをサポート」する。
引用発明の「加入者装置101-1、101-2、...、101-u」は割当てられたコード位相チャネル上にデータの伝送を開始するから「複数の送信器」に相当し、送信相手の基地局は、送信機からのデータを受信するから、「基地局」は「受信器」に相当する。

引用発明の加入者装置は、加入者装置が基地局と同期を維持するのに十分必要なだけのデータ転送速度で、維持サブチャネル上に同期または“ハートビート(heartbeat) ”メッセージを送ることにより、維持サブチャネルにより基地局と加入者装置は位相と時間の同期性を維持するから、「同期または“ハートビート(heartbeat) ”メッセージ」は、位相と時間の同期性を維持するための信号である。
そして、位相と時間の同期を維持するためには、同期の基準が必要であることは明らかであるから、維持サブチャネル上の「同期または“ハートビート(heartbeat) ”メッセージ」は位相と時間の同期を維持するための「基準」信号であるといえる。

ハートビートは、pコード位相シフトを使用した予め決められた、すなわち「割り当て」られたNサブチャネルの1つ上で指定されたタイムスロットの制限内において最低限1ビットを送ることにより送出されている。pサブチャネルは「コード化されたチャネル」であるから、ハートビートを送るための「コード化されたチャネルを割り当て」られている。

また、「コード化されたチャネルを割り当て」られていることは、「コード化されたチャネルを割り当てるステップ」が存在することは当然であり、「Nサブチャネル」は「コード化されたチャネルの第1部分」である。
よって、タイムスロットの制限内においてハートビートを送信していることは、「送信器から基準信号を受信するのに使用するコード化されたチャネルの第1部分を割り当て、受信器において前記送信器から基準信号を受信するステップであって、前記送信器は前記コード化されたチャネルの第1部分を使用して前記基準信号を送信するステップ」を有しているといえる。

加入者装置からのデータの伝送に際して、新しいコード位相チャネルが必要な場合は、新しいコード位相を計算し、コード位相チャネルに対し要求がなされ、許可されると加入者装置は割当てられたコード位相チャネル上にそのデータの伝送を開始する。
また、「データ」は「メッセージ」に相当し、「新しいコード位相チャネル」は「コード化されたチャネルの第2部分」である。
よって、「送信器からメッセージを受信するのにしようするコード化されたチャネルの第2部分を許可し、前記受信器において前記送信機からメッセージを受信するステップであって、前記送信器は前記コード化されたチャネルの第2部分を使用してメッセージを送信するステップ」を有している。

また、「同期または“ハートビート(heartbeat) ”メッセージ」を送信する送信器はアイドルモードであり、「データの伝送」を行う送信器は動作状態であるから、これらの送信器が別の送信器であることは明らかである。
つまり、ハートビートを送信する送信器は「複数の送信器のうちの第1送信器」であり、メッセージを送信する送信器は「複数の送信器のうちの第2送信器」である。

したがって、本願発明と引用発明は、
「ワイヤレス通信をサポートする方法であって、
複数の送信器からの同期化された通信をサポートする為にコード化されたチャネルを割り当てるステップと、
前記複数の送信器のうちの第1送信器から基準信号を受信するのに使用するコード化されたチャネルの第1部分を割り当て、受信器において前記第1送信器から基準信号を受信するステップであって、前記第1送信器は前記コード化されたチャネルの第1部分を使用して前記基準信号を送信するステップと、
前記複数の送信器のうちの第2送信器からメッセージを受信するのに使用するコード化されたチャネルの第2部分を決定し、前記受信器において前記第2送信器からメッセージを受信するステップであって、前記第2送信器は前記コード化されたチャネルの第2部分を使用して前記メッセージを送信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。」

で一致し、下記の点で相違する。

相違点1
コード化されたチャネルの第2部分を決定するにあたり、本願発明は受信局が「割り当て」るのに対し、引用発明は受信局が「許可」する点。

(4)相違点についての検討

特開平10-190598号公報(以下「周知例1」という)には、

「【0002】
【従来の技術】無線電話システムなどの移動通信においては、基地局を所定間隔で複数配置してサービスエリアを構成させ、各基地局では複数の移動局(端末装置)を接続させる多元接続が行われている。この場合、それぞれの基地局には、予め所定の伝送帯域が割当ててあり、その伝送帯域内に複数の伝送チャンネルを設定して、各端末装置から通信要求があるとき等に、その端末装置に対していずれかの伝送チャンネルを割当て、端末装置側ではその割当てられた伝送チャンネルを使用して基地局を経由した通信を開始させるようにしてある。
【0003】この伝送チャンネルを設定する通信方式としては、例えば周波数分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)、時分割多元接続方式(TDMA:Time Division Multiple Access )、符号分割多元接続方式(CDMA:Code Division Multiple Access )などがある。」

の記載があるから、周知例1には

「基地局には、予め所定の伝送帯域が割当ててあり、その伝送帯域内に複数の伝送チャンネルを設定して、各端末装置から通信要求があるとき等に、その端末装置に対していずれかの伝送チャンネルを割当て、端末装置側ではその割当てられた伝送チャンネルを使用して基地局を経由した通信を開始させ、
伝送チャンネルを設定する通信方式としては、符号分割多元接続方式(CDMA)がある」

方法が記載されている。

特開平9-55693号公報(以下「周知例2」という)には、

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、移動通信システムおよび移動端末装置に関し、更に詳しくは、符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)方式を適用した予約方式の移動通信システムおよび移動端末装置に関する。」

「【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の移動通信システムでは、基地局と移動端末との間の無線通信区間に、移動端末から基地局へ向かう上り方向のデータパケットおよび基地局から移動端末へ向かう下り方向のデータパケットの送信に使用する複数の伝送チャネルと、移動端末から基地局に伝送チャネル割当て要求を示す予約用制御パケットを送信するために使用される予約チャネルと、基地局から移動端末に対してデータ送受信すべき伝送チャネルを示す応答用制御パケットを送信するために使用される応答チャネルとを設け、上記予約、応答および伝送の各チャネルにはCDMA方式によるスペクトラム拡散を適用し、データ送信要求をもつ移動端末が、任意のタイミングで上記予約チャネルに予約用制御パケットを送信し、基地局から上記応答チャネルに送信した応答用制御パケットによって、各移動端末に使用すべき伝送チャネルとタイムスロットとを指定し、各移動端末が、上記応答用制御パケットで指定された伝送チャネル上の指定されたタイムスロットでデータパケットの送受信を行うようにしたことを特徴とする。」

の記載があるから、周知例2には

「CDMA方式を適用した予約方式の移動通信システムにおいて、移動端末から基地局に伝送チャネル割当て要求を示す予約用制御パケットを送信するために使用される予約チャネルと、基地局から移動端末に対してデータ送受信すべき伝送チャネルを示す応答用制御パケットを送信するために使用される応答チャネルとを設け、データ送信要求をもつ移動端末が、任意のタイミングで上記予約チャネルに予約用制御パケットを送信し、基地局から上記応答チャネルに送信した応答用制御パケットによって、各移動端末に使用すべき伝送チャネルとタイムスロットとを指定し、各移動端末が、上記応答用制御パケットで指定された伝送チャネル上の指定されたタイムスロットでデータパケットの送受信を行う」

方法が記載されている。

したがって、周知例1、2によれば、

「CDMAを使用した通信システムにおいて、基地局が端末装置からの要求により伝送チャンネルを割当てて、端末装置が割当てられた伝送チャンネルを使用して通信する」(以下「周知技術」という)

ことは周知である。

ここで、周知技術の「基地局」「端末装置」は、それぞれ本願発明の「受信器」「送信器」に相当し、周知技術の「伝送チャンネル」は送信器からのメッセージを送信するのに使用するから、本願発明の「コード化されたチャネルの部分」に相当する。

よって、引用発明においても、端末からの要求により基地局が伝送チャンネルを「割り当て」るようにすることは、上記周知技術により容易である。

そして、上記周知技術の適用により格別な作用・効果も生じない。

(5)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-19 
結審通知日 2013-06-25 
審決日 2013-07-09 
出願番号 特願2001-557189(P2001-557189)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04W)
P 1 8・ 572- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼須 甲斐  
特許庁審判長 加藤 恵一
特許庁審判官 佐藤 聡史
吉田 隆之
発明の名称 アクティブ/スタンドバイ・リクエストチャネルを用いるメンテナンスリンク  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  

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