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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N 審判 査定不服 特37 条出願の単一性( 平成16 年1 月1 日から) 取り消して特許、登録 H04N 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1283141 |
審判番号 | 不服2013-3983 |
総通号数 | 170 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-03-01 |
確定日 | 2014-01-21 |
事件の表示 | 特願2008-522773「スケーラブルビデオコーディングのための重み付け予測方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月15日国際公開、WO2007/018670、平成21年 1月22日国内公表、特表2009-502100、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、2006年(平成18年)5月19日(パリ条約による優先権主張、2005年(平成17年)7月21日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成23年10月13日付けで拒絶理由が通知され、平成24年4月17日付けで手続補正がなされ、平成24年10月26日付けで拒絶査定がなされたものである。これを不服として、平成25年3月1日に本件審判請求がなされた。 第2.本願発明 本願の請求項1-16に係る発明は、平成24年4月17日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 画像の下位レイヤのブロックの符号化に使用した下位レイヤ参照画像に適用された重み付けパラメータと同じ重み付けパラメータをエンハンスメントレイヤ参照画像に適用することにより、前記画像のエンハンスメントレイヤのブロックを符号化するエンコーダを有し、前記エンハンスメントレイヤのブロックは前記下位レイヤのブロックに対応し、前記エンハンスメントレイヤ参照画像は前記下位レイヤ参照画像に対応する、装置。 【請求項2】 前記エンコーダは、前記エンハンスメントレイヤのブロックが前記下位レイヤのブロックに対応し、前記エンハンスメントレイヤ参照画像が前記下位レイヤ参照画像に対応するとき、前記下位レイヤ参照画像に適用した重み付けパラメータと同じ重み付けパラメータを常に前記エンハンスメントレイヤ参照画像に適用するよう制約を課す、請求項1に記載の装置。 【請求項3】 前記エンコーダは、前記エンハンスメントレイヤのスライスについて、スライスヘッダにシンタックスを付加し、同じ重み付けパラメータまたは異なる重み付けパラメータを前記エンハンスメントレイヤ参照画像に選択的に適用する、請求項1に記載の装置。 【請求項4】 前記エンコーダは、前記下位レイヤから前記エンハンスメントレイヤのpred_weight_table()シンタックスへのpred_weight_table()シンタックスのリマッピングを行う、請求項1に記載の装置。 【請求項5】 前記エンコーダは、画像順序カウントを使用して、前記下位レイヤから前記エンハンスメントレイヤの対応する参照画像インデックスに重み付けパラメータをリマッピングする、請求項4に記載の装置。 【請求項6】 参照画像インデックスが最も小さい重み付けパラメータを最初にリマッピングする、請求項5に記載の装置。 【請求項7】 前記エンコーダは、前記下位レイヤ参照画像に適用した重み付けパラメータと同じ重み付けパラメータを前記エンハンスメントレイヤ参照画像に適用するとき、重み付けパラメータの推定をスキップする、請求項1に記載の装置。 【請求項8】 前記エンコーダは、前記下位レイヤ参照画像に適用した重み付けパラメータと同じ重み付けパラメータを前記エンハンスメントレイヤ参照画像に適用するとき、各参照画像インデックスに対して一組の重み付けパラメータのみを格納する、請求項1に記載の装置。 【請求項9】 画像の下位レイヤのブロックの符号化に使用した下位レイヤ参照画像に適用された重み付けパラメータと同じ重み付けパラメータをエンハンスメントレイヤに適用することにより、前記画像のエンハンスメントレイヤのブロックを符号化するステップを有し、前記エンハンスメントレイヤのブロックは前記下位レイヤのブロックに対応し、前記エンハンスメントレイヤ参照画像は前記下位レイヤ参照画像に対応する、スケーラブルビデオ符号化方法。 【請求項10】 前記符号化ステップは、前記エンハンスメントレイヤのブロックが前記下位レイヤのブロックに対応し、前記エンハンスメントレイヤ参照画像が前記下位レイヤ参照画像に対応するとき、前記下位レイヤ参照画像に適用した重み付けパラメータと同じ重み付けパラメータを常に前記エンハンスメントレイヤ参照画像に適用するよう制約を課すステップを有する、請求項16に記載の方法。 【請求項11】 前記符号化ステップは、前記エンハンスメントレイヤのスライスについて、スライスヘッダにシンタックスを付加し、同じ重み付けパラメータまたは異なる重み付けパラメータを前記エンハンスメントレイヤ参照画像に選択的に適用するステップを有する、請求項9に記載の方法。 【請求項12】 前記符号化ステップは、前記下位レイヤから前記エンハンスメントレイヤのpred_weight_table()シンタックスへのpred_weight_table()シンタックスのリマッピングを行うステップを有する、請求項9に記載の方法。 【請求項13】 前記リマッピングを行うステップは、画像順序カウントを使用して、前記下位レイヤから前記エンハンスメントレイヤの対応する参照画像インデックスに重み付けパラメータをリマッピングする、請求項12に記載の方法。 【請求項14】 参照画像インデックスが最も小さい重み付けパラメータを最初にリマッピングする、請求項13に記載の方法。 【請求項15】 前記符号化ステップは、前記下位レイヤ参照画像に適用した重み付けパラメータと同じ重み付けパラメータを前記エンハンスメントレイヤ参照画像に適用するとき、重み付けパラメータの推定をスキップするステップを有する、請求項9に記載の方法。 【請求項16】 前記符号化ステップは、前記下位レイヤ参照画像に適用した重み付けパラメータと同じ重み付けパラメータを前記エンハンスメントレイヤ参照画像に適用するとき、各参照画像インデックスに対して一組の重み付けパラメータのみを格納するステップを有する、請求項9に記載の方法。」 第3.原査定の拒絶の理由の概要 1.理由1 この出願は、下記の点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1に係る発明の技術的特徴は、理由2の引用例1に記載されているから、特別な技術的特徴ではない。 よって、請求項1に係る発明と、請求項2-31に係る発明との間に、同一の又は対応する特別な技術的特徴を見いだすことができない。 2.理由2 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 記 引用例1.Kyohyuk Lee,Extension of weighted prediction to multi layer structure,Joint Video Team(JVT) of ISO/IEC MPEG & ITU-T VCEG (ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 and ITU-T SG16 Q.6) 16th Meeting: Poznan, Pol, Document: JVT-P076,ITU-T,[online],2005年7月20日,[平成23年8月25日検索],インターネット 3.理由3 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用例1.Kyohyuk Lee,Extension of weighted prediction to multi layer structure,Joint Video Team(JVT) of ISO/IEC MPEG & ITU-T VCEG (ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 and ITU-T SG16 Q.6) 16th Meeting: Poznan, Pol, Document: JVT-P076,ITU-T,[online],2005年7月20日,[平成23年8月25日検索],インターネット 第4.請求人の主張 「引用例1」として挙げられた文献「Kyohyuk Lee,Extension of weighted prediction to multi layer structure,Joint Video Team(JVT) of ISO/IEC MPEG & ITU-T VCEG (ISO/IEC JTC 1/SC29/WG11 and ITU-T SG16 Q.6) 16th Meeting」は、本願の優先日である平成17年7月21日より前に公知になった文献であるか否か不明であり、理由2,3の引用例として適格性を有していない。 第5.当審の判断 拒絶の理由で引用された引用例1は、ITUのサーバによりインターネット上 この資料には、「Joint Video Team(JVT) of ISO/IEC MPEG & ITU-T VCEG (ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 and ITU-T SG16 Q.6) 16th Meeting: Poznan, Pol,25-29 July,2005」とあり、この資料は、2005年7月25日-29日にポーランドのポズナンにおける会議で使用されたものと認められる。 また、この資料の頁下部には、「Date Saved: 2005-07-20」とあり、2005年7月20日(韓国時間であると推認される)に、この資料が韓国で作成・保存されたものであることが認められる。 さらに、上記URLに保存される資料JVT-P076.docが登録されたフォルダには、「Last modified」、「19-Jul-2005 23:02」とあり、この資料が最後に修正されたのが2005年7月19日23時2分(UTCであると推認される)であることが認められる。 しかしながら、これらの表示から、この資料が本願の優先権主張の日である2005年(平成17年)7月21日(ワシントン時間である)より前に頒布された又は公衆に利用可能となったということを確認するに足る事実を認めることができない。 資料が会議で使用されたのは、優先権主張の日の後であるから、会議で使用された資料が優先権主張の日前に頒布された刊行物であるということはできない。また、2005年7月20日は資料が韓国で作成・保存された日であり、2005年7月19日23時2分は、ITUのサーバ上で資料が最後に修正された日時であって、この資料の内容が公衆に利用可能となった日時といえるかどうか明らかではなく、それを示す証拠も発見できない。特に、資料JVT-P076.docが登録されたフォルダの2005年7月19日23時2分という日時については、この資料が、審判請求人の主張するように、“まず、閲覧制限されたdropbox(その存在は合議体においても確認した)にアップロードされ、その後、閲覧が制限されていない公開フォルダに移動されたものであって、この日時は、閲覧制限されたdropboxにアップロードされた日時を示しているものである”という可能性もあるから、この日時に、該資料の内容が公衆に利用可能となったか否かは明らかではない。 したがって、引用例1の内容は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明ということができない。また、請求項1に係る発明は特別な技術的特徴を有していないということもできない。 第6.むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願の請求項1-16に係る発明が、特許法第29条第1項第3号、第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできないし、本願が特許法第37条に規定する要件を満たしていないとすることもできない。 また、他に、拒絶理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-12-26 |
出願番号 | 特願2008-522773(P2008-522773) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04N)
P 1 8・ 113- WY (H04N) P 1 8・ 65- WY (H04N) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川崎 優 |
特許庁審判長 |
松尾 淳一 |
特許庁審判官 |
奥村 元宏 千葉 輝久 |
発明の名称 | スケーラブルビデオコーディングのための重み付け予測方法及び装置 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 大貫 進介 |