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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1283646
審判番号 不服2012-25204  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-19 
確定日 2014-01-08 
事件の表示 特願2008-525151「電子文書のワークフロー管理のための方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月15日国際公開、WO2007/019169、平成21年 1月29日国内公表、特表2009-503736〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2006年(平成18年)8月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理,2005年(平成17年)8月5日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成23年10月21日付けの拒絶理由の通知に対し,平成24年2月17日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,平成24年8月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対して平成24年12月19日に審判請求がなされるとともに手続補正がなされ,平成25年3月7日付けの審尋に対し,平成25年6月5日に回答書が提出されたものである。

第2 平成24年12月19日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年12月19日の手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所を示す。)
「文書管理システムであって,
電子文書と,該電子文書に関するワークフローを管理するためのソフトウェアとを保守管理するサーバを具備し,
1人以上の当事者が,ネットワークを介して前記電子文書にアクセスでき,前記ソフトウェアを使用でき,かつ前記電子文書を変更でき,
前記当時者は,契約者及び契約相手であり,
前記サーバは,前記契約者による招待を受けた前記契約相手に対して,前記文書にアクセスして署名又は修正を行う権限を与え,
前記サーバは,前記契約者のファイアウォールの内側で保守管理されることを特徴とするシステム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の平成24年2月17日の手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「文書管理システムであって,
電子文書と,該電子文書に関するワークフローを管理するためのソフトウェアとを保守管理するサーバを具備し,
1人以上の当事者が,ネットワークを介して前記電子文書にアクセスでき,前記ソフトウェアを使用でき,かつ前記電子文書を変更でき,
前記当時者は,契約者及び契約相手であり,
前記サーバは,前記契約者による招待を受けた前記契約相手に対して,前記文書にアクセスして署名又は修正を行う権限を与えることを特徴とするシステム。」
(3)上記補正は,補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「サーバ」について,「サーバは,前記契約者による招待を受けた前記契約相手に対して,前記文書にアクセスして署名又は修正を行う権限を与えること」との限定を付加するものであって,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「平成18年改正前特許法」という。)17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2 補正の適否
そこで,補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は,上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)刊行物の記載事項
ア 引用例1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された,本願の出願の日前に頒布された刊行物である特開2002-297381号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 特別仕様のコンピューター・ソフトウェア・アプリケーションを開発するために,顧客および請人の両方を含む認可されたユーザーにより使用されることを目的とした,コンピューターソフト共同作業プラットフォームにおいて,前記プラットフォームは,アプリケーション・ライブラリー・サーバー・コンピューターと,前記アプリケーション・ライブラリー・サーバーおよびワールドワイド・コンピューター・ネットワークを備えた電子通信用のプラットフォーム・サーバー・コンピューターとから構成され,・・・(b)前記プラットフォーム・サーバー・コンピューターには,前記ワールドワイド・コンピューター・ネットワークを経由して認可されたユーザーによってアクセス可能なコンピューター・ソフトウェア・アプリケーションが常駐し,前記コンピューター・ソフトウェア・アプリケーションは,・・・(5)顧客とコンサルタントとの間のサービスに関する契約を作成し維持することができる,契約マネージャー,を備えたことを特徴とするコンピューターソフト共同作業プラットフォーム。」
「【0020】本発明のソフトウェア相談,開発,メンテナンスおよび共同作業プラットフォームは,6つの主要なコンポーネントを備える。・・・第6に,顧客がコンサルタントを選択した場合,契約マネージャーは,契約の合意条件のすべてに基づいて,契約を作成し維持する。・・・」
「【0025】本発明のコンピュータソフト共同作業プラットフォームは,第1の手段たるアプリケーション・サーバー・コンピューターたるアプリケーション・ライブラリー・サーバー300と,このアプリケーション・ライブラリー・サーバー300およびワールドワイド・コンピュータ・ネットワークたるワールドワイド・ウェブ900を備えた電子通信用の第2の手段たるプラットフォーム・サーバー・コンピューターとから構成される。このプラットフォーム・サーバー・コンピューターには,・・・契約作成手段たる契約マネージャー700等を備えている。また,プラットフォーム・サーバー・コンピューターには,グラフィカル・ユーザー・インターフェース作成手段たるグラフィカル・ユーザー・インターフェース・ビルダー500が常駐している。」
「【0048】契約マネージャーについて
図10は本発明によるコンピューターソフト共同作業プラットフォームの契約作成手段たる契約マネージャー700のコンポーネントとを機能を示す概略図である。契約マネージャー700は,顧客200および契約のために選ばれた成功した請人100の両方に関連した情報を収集し,当事者間の契約案にそれを組み入れる。この情報は,提案書610,その追加事項,ノート・ビルダー400,グラフィカル・ユーザー・インターフェース・ビルダー500,及び共同作業プラットフォームの内部から請人100との顧客200の間に送られた電子メールおよびインスタント・メッセージから収集される。
【0049】契約案への電子署名付き修正要請を相手方へ送ることができ,もし,相手方が電子的に副署してその修正要請を親当事者に返送し,親当事者がその副署された修正要請を確認した場合,それは,一旦請人100と顧客200の両方のユーザー・パスワードが契約マネージャー700により認証されれば,契約ファイル710によって代理された当事者間の拘束力のある約定の一部になる。一旦契約710の詳細が両方の当事者のニーズを充足すると決定されれば,契約710は両方の当事者によって電子的に署名され,契約番号が前記契約710に割り当てられ,その契約710は安全な契約データベース720に格納される。
【0050】契約ファイル710の内容は,前記修正要請のために前述したものと同じ手続きを使用して,修正してもよい。この場合も同様に,請人100および顧客200の両方のユーザー・パスワードは,修正を認める際に認証されなければならない。契約710は,合意通りにプロジェクトが完了し納品されるまでは契約データベース720の中に残る。・・・」

(イ)上記記載から,引用例1には,契約マネージャーによる契約ファイルの管理に着目すれば,以下の技術的事項が記載されている。
a 引用例1に記載された技術は,顧客及び請人の両方を含む認可されたユーザーにより使用される,コンピューターソフト共同作業プラットフォームに係る技術であり,プラットフォーム・サーバー・コンピューターには,ネットワークを経由して,認可されたユーザーによってアクセス可能なコンピュータ・ソフトウェア・アプリケーションが常駐し,コンピュータ・ソフトウェア・アプリケーションには,契約を作成し維持する契約マネージャーが含まれる(【請求項1】【0020】【0025】)。
b 契約マネージャー700は,顧客200及び契約のために選ばれた成功した請人100の両方に関連した情報を収集し,当事者間の契約案にそれを組み入れる(【0048】)。
親当事者(請人100又は顧客200)が契約案への電子署名付き修正要請を相手方へ送り,相手方がその修正要請に電子的に副署して親当事者に返送し,親当事者がその副署された修正要請を確認するとともに,契約マネージャー700により両当事者(請人100,顧客200)のユーザー・パスワードが認証されれば,前記修正要請は当事者間の契約710の一部になる(【0049】,【0050】)。
c 契約ファイル710は,両当事者によって合意されると,両当事者によって電子的に署名され,契約番号が割り当てられ,契約データベース720に格納される(【0049】)。
d 契約710の内容は,前記修正要請と同じ手続きにより修正することができる(【0050】)。

(ウ)以上のことから,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「顧客及び請人の両方を含む認可されたユーザーにより使用される,コンピューターソフト共同作業プラットフォームにおいて,
プラットフォーム・サーバー・コンピューターには,ネットワークを経由して,認可されたユーザーによってアクセス可能なコンピュータ・ソフトウェア・アプリケーションが常駐しており,
コンピュータ・ソフトウェア・アプリケーションには,契約を作成し維持する契約マネージャーが含まれ,
契約マネージャーは,顧客及び契約のために選ばれた成功した請人の両方に関連した情報を収集し,当事者間の契約案にそれを組み入れ,
親当事者が契約案への電子署名付き修正要請を相手方へ送り,相手方がその修正要請に電子的に副署して親当事者に返送し,親当事者がその副署された修正要請を確認するとともに,契約マネージャーにより両当事者のユーザー・パスワードが認証されれば,前記修正要請は当事者間の契約の一部になり,
契約ファイルは,両当事者によって合意されると,両当事者によって電子的に署名されて契約データベースに格納され,
契約の内容は,前記修正要請と同じ手続きにより修正することができる,
プラットフォーム。」

イ 引用例2
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された,本願の出願の日前に頒布された刊行物である.特開2002-170056号公報(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,契約に関するデータベースを構築し,これを活用して契約に関連する業務を一元的に管理する契約管理システムに関する。」
「【0007】
【発明の実施の形態】図2に本発明の実施例の契約管理システムの概略構成を示す。同図において,11は契約に関連する各種処理を行うサーバ,12は契約データを格納する契約データベース,13-1?13-nは各部署に設置された端末装置であり,上記サーバ11と端末装置13-1?13-nは例えば社内LAN15等で接続されている。また,14-1?14-nはベンダーA,B,…に配置された端末装置であり,サーバ11と端末装置14-1?14-nは例えばインターネット回線16で接続されている。なお,以下の説明では,契約に関連する各種処理を行うサーバ11と契約データベース12が主契約会社に設置され,サーバ11とベンダーに設置された端末装置14-1?14-nがインターネット回線15を介して接続されている場合について説明・・・」

(イ)上記記載から,引用例2には次の技術が記載されている。
「契約に関連する各種処理を行うサーバと契約データベースが主契約会社に設置され,サーバとベンダーに設置された端末装置がインターネット回線を介して接続された,契約管理システム。」

(3)引用発明との対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。(なお,以下,「ユーザー」,「サーバー」は,「ユーザ」,「サーバ」に統一表記する。)
(ア)引用発明における「契約」あるいは「契約ファイル」は,本願補正発明の「電子文書」に相当する。
(イ)引用発明における「契約マネージャー」は,プラットフォーム・サーバ・コンピューターに常駐するコンピュータ・ソフトウェア・アプリケーションであって,契約を作成し維持するものであるから,本願補正発明における,「電子文書に関するワークフローを管理するためのソフトウェア」に相当し,プラットフォーム・サーバ・コンピューターは,「契約データベース」に格納される「契約ファイル」と,常駐するコンピュータ・ソフトウェア・アプリケーションを管理するサーバとして機能していると認められる。
これらのことから,本願補正発明と引用発明は,「電子文書と,該電子文書に関するワークフローを管理するためのソフトウェアとを保守管理するサーバを具備」する点で一致する。
(ウ)引用発明における「請人」及び「顧客」,あるいはその総称である「ユーザ」は,契約者又は契約相手であって,契約の「当事者」にほかならない。そして,認可されたユーザは,ワールドワイド・コンピューター・ネットワークを経由して,プラットフォーム・サーバ・コンピューターに常駐するコンピュータ・ソフトウェア・アプリケーションにアクセス可能である。
「契約マネージャー」により,「親当事者が契約案への電子署名付き修正要請を相手方へ送り,相手方がその修正要請に電子的に副署して親当事者に返送し,親当事者がその副署された修正要請を確認するとともに,契約マネージャーにより両当事者のユーザ・パスワードが認証されれば,前記修正要請は当事者間の契約の一部になり」,さらに,「契約の内容は,前記修正要請と同じ手続きにより修正することができる」ことから,コンピュータ・ソフトウェア・アプリケーションである「契約マネージャー」を使用して,契約案や契約の内容を修正できるものである。
これらのことから,本願補正発明と引用発明は,「1人以上の当事者が,ネットワークを介して前記電子文書にアクセスでき,前記ソフトウェアを使用でき,かつ前記電子文書を変更でき」る点,及び「当時者は,契約者及び契約相手」である点で一致する。
(エ)引用発明は,顧客及び契約のために選ばれた成功した請人を含む「認可されたユーザ」により,「契約」あるいは「契約ファイル」が修正され,当事者(顧客及び請人)によって合意されると,両当事者によって電子的に署名されるものであり,本願補正発明の表現を用いれば,「認可されたユーザが,文書にアクセスして署名又は修正を行う権限を有する」ということができる。
(オ)引用発明の「コンピューターソフト共同作業プラットフォーム」は,電子文書である「契約ファイル」を管理する機能を有する「契約マネージャー」を含むことから,引用発明は,本願補正発明と同様に「文書管理システム」ということができる。

イ 以上のことから,本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。
[一致点]
文書管理システムであって,
電子文書と,該電子文書に関するワークフローを管理するためのソフトウェアとを保守管理するサーバを具備し,
1人以上の当事者が,ネットワークを介して前記電子文書にアクセスでき,前記ソフトウェアを使用でき,かつ前記電子文書を変更でき,
前記当時者は,契約者及び契約相手である,
システム。」

[相違点1]
本願補正発明は,「サーバは,契約者による招待を受けた契約相手に対して,文書にアクセスして署名又は修正を行う権限を与え」るのに対し,引用発明は,顧客及び契約のために選ばれた成功した請人を含む認可されたユーザが,文書(契約ファイル)にアクセスして署名又は修正を行う権限を有する点。
[相違点2]
サーバが,本願補正発明は,「契約者のファイアウォールの内側で保守管理される」のに対し,引用発明は,当該構成について特定されていない点。

(4)判断
以下,相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明は,「契約マネージャーは,顧客及び契約のために選ばれた成功した請人の両方に関連した情報を収集し,当事者間の契約案にそれを組み入れ,親当事者が契約案への電子署名付き修正要請を相手方へ送り,相手方がその修正要請に電子的に副署して親当事者に返送し,親当事者がその副署された修正要請を確認するとともに,契約マネージャーにより両当事者のユーザー・パスワードが認証されれば,前記修正要請は当事者間の契約の一部」になるものであり,当事者(ユーザ)は,顧客と「契約のために選ばれた成功した請人」を含み,これらの者が,「認可されたユーザ」として,契約ファイル(文書)にアクセスして署名又は修正を行う権限を有するものである。
ここで,「契約のために選ばれた成功した請人」は,顧客により選ばれることにより,契約ファイル(文書)にアクセスして署名又は修正を行う権限を有することとなるのであるから,換言すれば「招待を受けた契約相手」ということができる。
なお,引用発明において,顧客及び請人,すなわち当事者(ユーザ)は,会員として登録されていることが前提であり(引用例1,段落【0026】?【0028】等),当事者が,文書管理システムとしてのコンピューターソフト共同作業プラットフォームへのアクセス権を有することは,当然の前提である。
相違点1は,実質的な相違点ではない。

イ 相違点2について
(ア)本願補正発明には,「サーバは,前記契約者のファイアウォールの内側で保守管理されること」と特定されているところ,本願明細書を参照すれば,「サーバファーム110は,当事者(又は契約相手,どの当事者が文書管理システムをホスティングしているかに応じる)のファイアウォールの内側で保守管理される。あるいは,サーバファーム110は,第三者によって保守管理される。」(本願明細書,段落【0007】)と記載されていることから,本願補正発明は,契約者が文書管理システムをホスティングする構成と第三者が文書管理システムをホスティングする構成のうち,前者を前提としたものと解される。
引用発明は,当事者であるユーザ(顧客及び請人)が,ネットワークを介してプラットフォーム・サーバ・コンピューターにアクセスする構成の文書管理システム,すなわち,サーバが第三者によって保守管理される構成であり,一方,引用例2には,「契約に関連する各種処理を行うサーバと契約データベースが主契約会社に設置され,サーバとベンダーに設置された端末装置がインターネット回線を介して接続された,契約管理システム」,すなわち,当事者である主契約会社が文書管理システムのサーバを保守管理する構成の文書管理システムが記載されている。
契約を管理する文書管理システムにおいて,第三者がサーバを保守管理する構成,及び当事者がサーバを保守管理する構成のいずれもが公知であったことからすれば,引用発明において,引用例2に記載された技術に基づいて,契約者である当事者がサーバを保守管理する構成に変更することは,当業者が容易に想到し得たものである。
(イ)ここで,ネットワークに接続されたシステムにおいて,外部からの不正なアクセスを防ぐ等の目的で,サーバとネットワークとの間にファイアーウォールを設けることは,常とう手段であり,引用発明において,上記のとおり,当事者がサーバを保守管理する構成とした場合に,サーバ(契約データベースを含む。)を,契約者である当事者のファイアーウォールの内側で保守管理する構成とすることは,当業者が適宜なし得る設計事項である。
以上のとおり,相違点2は,引用発明,及び引用例2に記載された技術から,当業者が容易に想到し得たものである。

ウ そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本願補正発明の奏する作用効果は,引用発明,引用例2に記載された発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

エ 以上のとおりであるから,本願補正発明は,引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)本件補正についてのむすび
よって,本件補正は,平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反してなされたものであるから,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成24年12月19日の手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1ないし16に係る発明は,平成24年2月17日の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成24年2月17日の手続補正書によって補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2の[理由]1(2)のとおりのものである。

2 引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1,2及びその記載事項は,前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は,前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明から,「サーバは,前記契約者による招待を受けた前記契約相手に対して,前記文書にアクセスして署名又は修正を行う権限を与えること」との限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が,前記第2の[理由]2(4)に記載したとおり,引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,当業者が容易に発明することができたものである。

4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-07 
結審通知日 2013-08-13 
審決日 2013-08-26 
出願番号 特願2008-525151(P2008-525151)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡北 有平  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 石川 正二
清田 健一
発明の名称 電子文書のワークフロー管理のための方法及びシステム  
代理人 渡邊 隆  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  
代理人 志賀 正武  

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