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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C07D 審判 査定不服 産業上利用性 取り消して特許、登録 C07D 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 C07D 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C07D |
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管理番号 | 1284138 |
審判番号 | 不服2012-15148 |
総通号数 | 171 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-03-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-08-06 |
確定日 | 2014-02-19 |
事件の表示 | 特願2007-549603「脂肪酸アミドヒドロラーゼのモジュレーターとしてのピペラジニルおよびピペリジニル尿素」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月13日国際公開、WO2006/074025、平成20年 7月24日国内公表、特表2008-526755、請求項の数(30)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2005年12月29日(パリ条約に基づく優先権主張 外国庁受理 2004年12月30日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、2007年 8月28日に特許協力条約第19条の補正がされ、平成23年 8月31日付けで拒絶理由が通知され、平成24年 2月29日付けで意見書の提出及び手続補正がされ、同年 3月23日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年 8月 6日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。これに対し、平成25年 9月18日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年12月24日に意見書の提出及び手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明は、平成25年12月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?30に記載された事項により特定されるものであって、他の請求項を引用しない形式で記載された請求項である、請求項1、22及び28の記載は、それぞれ以下のとおりのものである。 「【請求項1】 式(I): 【化1】 [式中: ・Zは-N-もしくは>CHであり; ・R^(1)は-Hもしくは-C_(1?4)アルキルであり; ・Ar^(1)は、各々非置換のまたは1もしくは2個のR^(a)部分で炭素環員において置換された、2-チアゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニルもしくは5-ピリミジニルであり; ここで、各R^(a)部分は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は各々独立して-Hもしくは-C_(1?4)アルキルであり;そして ・Ar^(2)は: (a)非置換の1-ナフチル;またはフェナントレニル、ピレニル、フルオレニル、2-ナフチルもしくはN-R^(d)-9H-カルバゾリル部分、ここで、R^(d)は-H、-C_(1?4)アルキルおよびフェニルよりなる群から選択され、各該部分は非置換であるかまたは1、2もしくは3個のR^(e)置換基で置換され、 ここで、各R^(e)置換基は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (b)縮合環構造を形成するために0もしくは1個の二重結合を有する-(CH_(2))_(3?5)-、-OCH_(2)CH_(2)O-および-OCF_(2)O-よりなる群から選択される基に2個の隣接する環炭素原子において縮合したフェニル;または4-ベンゾ[1,3]ジオキソリルを形成するために-OCH_(2)O-で隣接する環炭素原子上で置換されたフェニル;各フェニル部分はさらに非置換であるかまたは1、2もしくは3個の前に定義したとおりのR^(e)置換基で置換される; (c)Ar^(6)、ここで、Ar^(6)は、非置換のまたは1、2もしくは3個の前に定義したとおりのR^(e)置換基で置換された、1もしくは2個の窒素へテロ原子を有する、結合点として炭素を有する6員の単環式ヘテロアリ-ルである; (d)環結合点として炭素原子を有する、N、OおよびSよりなる群から選択される1個のヘテロ原子を有し、そして場合により窒素で置換された4個までの追加の炭素環原子を有していてもよい、9もしくは10員の縮合した二環式ヘテロアリ-ル、該縮合した二環式ヘテロアリ-ルは5個以下のヘテロ原子を有し、そして非置換であるかまたは1、2もしくは3個の前に定義したとおりのR^(e)置換基で置換される; (e)R^(g)で3もしくは4位において置換され、そして場合により1、2もしくは3個の置換基R^(h)でさらに置換されていてもよいフェニル、 ここで、各R^(g)は場合により-NR^(i)R^(j)(ここで、R^(i)およびR^(j)は各々独立して-Hもしくは-C_(1?8)アルキルであるか、またはR^(i)およびR^(j)は結合の窒素環原子と一緒になって場合によりO、S、>NHもしくは>NC_(1?4)アルキルで置換された1個の追加の炭素環原子を有していてもよい5、6もしくは7員のヘテロシクロアルキル環を形成する)で置換されていてもよい、-C_(2?8)アルキル、-C_(2?8)アルケニル、-OC_(3?8)シクロアルキル、-OC_(3?8)ヘテロシクロアルキルおよび-O-C_(2?10)アルキルよりなる群から独立して選択され、;そして 各R^(h)置換基は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (f)-L-Ar^(3)で3もしくは4位において置換されたフェニル、ここで: ・Lは-(CH_(2))_(1?3)-、-CH=CH-、-O-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-NH-、>NC_(1?4)アルキル、>S(=O)_(0?2)、-OSO_(2)-、-C≡C-、-C(=O)-および共有結合よりなる群から選択されるリンカーであり;そして ・Ar^(3)は: (1)フェニル、ナフチルおよびフェナントレニル、 (2)Ar^(6')、ここで、Ar^(6')は1もしくは2個の窒素へテロ原子を有する、結合点として炭素を有する6員の単環式ヘテロアリ-ルである、 (3)Ar^(5')、ここで、Ar^(5')はO、S、>NHおよび>NR^(f)(ここで、R^(f)は-C_(1?8)アルキルもしくは-C_(0?3)フェンアルキルである)よりなる群から選択される1個のヘテロ原子を有し、そして0、1、2もしくは3個の追加の窒素へテロ原子を有する、結合点として炭素を有する5員の単環式ヘテロアリ-ルである、ならびに (4)環結合点として炭素を有する、N、OおよびSよりなる群から選択される1個のヘテロ原子を有し、そして場合により窒素で置換された4個までの追加の炭素環原子を有していてもよい、9もしくは10員の縮合した二環式ヘテロアリ-ル、該縮合した二環式ヘテロアリ-ルは5個以下のヘテロ原子を有する よりなる群から選択される部分であり; ここで、部分(1)?(4)の各々は縮合環構造を形成するために場合により隣接する炭素上で-OC_(1?4)アルキレンO-、-(CH_(2))_(2?3)NH-、-(CH_(2))_(1?2)NH(CH_(2))-、-(CH_(2))_(2?3)N(C_(1?4)アルキル)-もしくは-(CH_(2))_(1?2)N(C_(1?4)アルキル)(CH_(2))-でジ置換されていてもよく、そして場合により1、2もしくは3個の置換基R^(k)でさらに置換されていてもよく、 ここで、各R^(k)置換基は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (g)非置換のまたは1、2もしくは3個の置換基Rlで置換された、2-ヒドロキシフェニルもしくは2-メトキシフェニル、 ここで、各R^(l)置換基は-CH_(3)、6-C_(2?4)アルキル、6-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OCH_(3)、6-OC_(2?6)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-SC_(1?4)アルキル、-SO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (h)非置換のまたは1、2もしくは3個の置換基R^(m)で置換された4-ハロフェニル、 ここで、各R^(m)置換基は-CH_(3)、2-C_(2?4)アルキル、2-C_(2?4)アルケニル、3-ヒドロキシ、4-ヒドロキシ、-OCH_(3)、2-OC_(2?6)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-SC_(1?4)アルキル、-SO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである;あるいは(i)2-ブロモフェニル、3-メチルフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニルもしくは3,4-ジメトキシフェニルである] の化合物またはそのような化合物の製薬学的に許容しうる塩。」 「【請求項22】 式(I): 【化2】 [式中: ・Zは-N-もしくは>CHであり; ・R^(1)は-Hもしくは-C_(1?4)アルキルであり; ・Ar^(1)は、各々非置換のまたは1もしくは2個のR^(a)部分で炭素環員において置換された、2-チアゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニルもしくは5-ピリミジニルであり; ここで、各R^(a)部分は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は各々独立して-Hもしくは-C_(1?4)アルキルであり;そして ・Ar^(2)は: (a)フェナントレニル、ピレニル、フルオレニル、ナフチルもしくはN-R^(d)-9H-カルバゾリル部分、ここで、R^(d)は-H、-C_(1?4)アルキルおよびフェニルよりなる群から選択され、各該部分は非置換であるかまたは1、2もしくは3個のR^(e)置換基で置換され、 ここで、各R^(e)置換基は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (b)非置換のまたは1、2もしくは3個の前に定義したとおりのR^(e)置換基で置換された、縮合環構造を形成するために0もしくは1個の二重結合を有する-(CH_(2))_(3?5)-、-OCH_(2)CH_(2)O-、-OCF_(2)O-および-OCH_(2)O-よりなる群から選択される基に2個の隣接する環炭素原子で縮合したフェニル; (c)Ar^(6)、ここで、Ar^(6)は非置換のまたは1、2もしくは3個の前に定義したとおりのR^(e)置換基で置換された、1もしくは2個の窒素へテロ原子を有する、結合点として炭素を有する6員の単環式ヘテロアリ-ルである; (d)環結合点として炭素原子を有する、N、OおよびSよりなる群から選択される1個のヘテロ原子を有し、そして場合により窒素で置換された4個までの追加の炭素環原子を有していてもよい、9もしくは10員の縮合した二環式ヘテロアリ-ル、該縮合した二環式ヘテロアリ-ルは5個以下のヘテロ原子を有し、そして非置換であるかまたは1、2もしくは3個の前に定義したとおりのR^(e)置換基で置換される; (e)R^(g)で3もしくは4位で置換され、そして場合により1、2もしくは3個の置換基R^(h)でさらに置換されていてもよいフェニル、 ここで、各R^(g)は場合により-NR^(i)R^(j)(ここで、R^(i)およびR^(j)は各々独立して-Hもしくは-C_(1?8)アルキルであるか、またはR^(i)およびR^(j)は結合の窒素環原子と一緒になって場合によりO、S、>NHもしくは>NC_(1?4)アルキルで置換された1個の追加の炭素環原子を有していてもよい5、6もしくは7員のヘテロシクロアルキル環を形成する)で置換されていてもよい-C_(2?8)アルキル、-C_(2?8)アルケニル、-OC_(3?8)シクロアルキル、-OC_(3?8)ヘテロシクロアルキルおよび-O-C_(2?10)アルキルよりなる群から独立して選択され;そして 各R^(h)置換基は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (f)-L-Ar_(3)で3もしくは4位で置換されたフェニル、ここで: ・Lは-(CH_(2))_(1?3)-、-CH=CH-、-O-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-NH-、>NC_(1?4)アルキル、>S(=O)_(0?2)、-OSO_(2)-、-C≡C-、-C(=O)-および共有結合よりなる群から選択されるリンカーであり;そして ・Ar^(3)は: (1)フェニル、ナフチルおよびフェナントレニル、 (2)Ar^(6')、ここで、Ar^(6')は1もしくは2個の窒素へテロ原子を有する、結合点とし て炭素を有する6員の単環式ヘテロアリ-ルである、 (3)Ar^(5')、ここで、Ar^(5')はO、S、>NHおよび>NR^(f)(ここで、R^(f)は-C_(1?8)アルキルもしくは-C_(0?3)フェンアルキルである)よりなる群から選択される1個のヘテロ原子を有し、そして0、1、2もしくは3個の追加の窒素へテロ原子を有する、結合点として炭素を有する5員の単環式ヘテロアリ-ルである、ならびに (4)環結合点として炭素を有する、N、OおよびSよりなる群から選択される1個のヘテロ原子を有し、そして場合により窒素で置換された4個までの追加の炭素環原子を有していてもよい、9もしくは10員の縮合した二環式ヘテロアリ-ル、該縮合した二環式ヘテロアリ-ルは5個以下のヘテロ原子を有する よりなる群から選択される部分であり; ここで、部分(1)?(4)の各々は縮合環構造を形成するために場合により隣接する炭素上で-OC_(1?4)アルキレンO-、-(CH_(2))_(2?3)NH-、-(CH_(2))_(1?2)NH(CH_(2))-、-(CH_(2))_(2?3)N(C_(1?4)アルキル)-もしくは-(CH_(2))_(1?2)N(C_(1?4)アルキル)(CH_(2))-でジ置換されていてもよく、そして場合により1、2もしくは3個の置換基R^(k)でさらに置換されていてもよく、 ここで、各R^(k)置換基は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (g)非置換のまたは1、2もしくは3個の置換基R^(l)で置換された、2-ヒドロキシフェニルもしくは2-メトキシフェニル、 ここで、各R^(l)置換基は-CH_(3)、6-C_(2?4)アルキル、6-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OCH_(3)、6-OC_(2?6)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-SC_(1?4)アルキル、-SO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (h)非置換のまたは1、2もしくは3個の置換基R^(m)で置換された4-ハロフェニル、 ここで、各R^(m)置換基は-CH_(3)、2-C_(2?4)アルキル、2-C_(2?4)アルケニル、3-ヒドロキシ、4-ヒドロキシ、-OCH_(3)、2-OC_(2?6)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-SC_(1?4)アルキル、-SO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである;あるいは(i)2-ブロモフェニル、3-メチルフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニルもしくは3,4-ジメトキシフェニルである]の化合物またはそのような化合物の製薬学的に許容しうる塩を有効成分として含んでなる、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)により引き起こされる疾患、障害もしくは医学的症状を患っているかもしくはそのように診断される患者の処置剤。」 「【請求項28】 (a)式(I): 【化3】 [式中: ・Zは-N-もしくは>CHであり; ・R^(1)は-Hもしくは-C_(1?4)アルキルであり; ・Ar^(1)は、各々非置換のまたは1もしくは2個のR^(a)部分で炭素環員において置換された 、2-チアゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニルもしくは5-ピリミジニルであり; ここで、各R^(a)部分は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO^(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は各々独立して-Hもしくは-C_(1?4)アルキルであり;そして ・Ar^(2)は: (a)非置換の1-ナフチル;またはフェナントレニル、ピレニル、フルオレニル、2-ナフチルもしくはN-R^(d)-9H-カルバゾリル部分、ここで、R^(d)は-H、-C^(1?4)アルキルおよびフェニルよりなる群から選択され、各該部分は非置換であるかまたは1、2もしくは3個のR^(e)置換基で置換され、 ここで、各R^(e)置換基は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF^(3)、-OCF^(3)、-SCF^(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (b)縮合環構造を形成するために0もしくは1個の二重結合を有する-(CH_(2))_(3?5)-、-OCH_(2)CH_(2)O-および-OCF_(2)O-から選択される基に2個の隣接する環炭素原子で縮合したフェニル;または4-ベンゾ[1,3]ジオキソリルを形成するために-OCH_(2)O-で隣接する環炭素原子上で置換されたフェニル;各フェニル部分はさらに非置換であるかまたは1、2もしくは3個の前に定義したとおりのR^(e)置換基で置換される; (c)Ar^(6)、ここで、Ar^(6)は、非置換のまたは1、2もしくは3個の前に定義したとおりのR^(e)置換基で置換された、1もしくは2個の窒素へテロ原子を有する、結合点として炭素を有する6員の単環式ヘテロアリ-ルである; (d)環結合点として炭素原子を有する、N、OおよびSよりなる群から選択される1個のヘテロ原子を有し、そして場合により窒素で置換された4個までの追加の炭素環原子を有していてもよい、9もしくは10員の縮合した二環式ヘテロアリ-ル、該縮合した二環式ヘテロアリ-ルは5個以下のヘテロ原子を有し、そして非置換であるかまたは1、2もしくは3個の前に定義したとおりのR^(e)置換基で置換される; (e)R^(g)で3もしくは4位で置換され、そして場合により1、2もしくは3個の置換基R^(h)でさらに置換されていてもよいフェニル、 ここで、各R^(g)は場合により-NR^(i)R^(j)(ここで、R^(i)およびR^(j)は各々独立して-Hもしくは-C_(1?8)アルキルであるか、またはR^(i)およびR^(j)は結合の窒素環原子と一緒になって場合によりO、S、>NHもしくは>NC_(1?4)アルキルで置換された1個の追加の炭素環原子を有していてもよい5、6もしくは7員のヘテロシクロアルキル環を形成する)で置換されていてもよい-C_(2?8)アルキル、-C_(2?8)アルケニル、-OC_(3?8)シクロアルキル、-OC_(3?8)ヘテロシクロアルキルおよび-O-C_(2?10)アルキルよりなる群から独立して選択され;そして 各R^(h)置換基は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (f)-L-Ar^(3)で3もしくは4位で置換されたフェニル、ここで: ・Lは-(CH_(2))_(1?3)-、-CH=CH-、-O-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-NH-、>NC_(1?4)アルキル、>S(=O)_(0?2)、-OSO_(2)-、-C≡C-、-C(=O)-および共有結合よりなる群から選択されるリンカーであり;そして ・Ar^(3)は: (1)フェニル、ナフチルおよびフェナントレニル、 (2)Ar^(6')、ここで、Ar^(6')は1もしくは2個の窒素へテロ原子を有する、結合点として炭素を有する6員の単環式ヘテロアリ-ルである、 (3)Ar^(5')、ここで、Ar^(5')はO、S、>NHおよび>NR^(f)(ここで、R^(f)は-C_(1?8)アルキルもしくは-C_(0?3)フェンアルキルである)よりなる群から選択される1個のヘテロ原子を有し、そして0、1、2もしくは3個の追加の窒素へテロ原子を有する、結合点として炭素を有する5員の単環式ヘテロアリ-ルである、ならびに (4)環結合点として炭素を有する、N、OおよびSよりなる群から選択される1個のヘテロ原子を有し、そして場合により窒素で置換された4個までの追加の炭素環原子を有していてもよい、9もしくは10員の縮合した二環式ヘテロアリ-ル、該縮合した二環式ヘテロアリ-ルは5個以下のヘテロ原子を有する よりなる群から選択される部分であり; ここで、部分(1)?(4)の各々は縮合環構造を形成するために場合により隣接する炭素上で-OC_(1?4)アルキレンO-、-(CH_(2))_(2?3)NH-、-(CH_(2))_(1?2)NH(CH_(2))-、-(CH_(2))_(2?3)N(C_(1?4)アルキル)-もしくは-(CH_(2))_(1?2)N(C_(1?4)アルキル)(CH_(2))-でジ置換されていてもよく、そして場合により1、2もしくは3個の置換基R^(k)でさらに置換されていてもよく、 ここで、各R^(k)置換基は-C_(1?4)アルキル、-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OC_(1?4)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-S(O)_(0?2)C_(1?4)アルキル、-OSO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (g)非置換のまたは1、2もしくは3個の置換基R^(l)で置換された、2-ヒドロキシフェニルもしくは2-メトキシフェニル、 ここで、各R^(l)置換基は-CH_(3)、6-C_(2?4)アルキル、6-C_(2?4)アルケニル、-OH、-OCH_(3)、6-OC_(2?6)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-SC_(1?4)アルキル、-SO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである; (h)非置換のまたは1、2もしくは3個の置換基R^(m)で置換された、4-ハロフェニル、 ここで、各R^(m)置換基は-CH_(3)、2-C_(2?4)アルキル、2-C_(2?4)アルケニル、3-ヒドロキシ、4-ヒドロキシ、-OCH_(3)、2-OC_(2?6)アルキル、ハロ、-CF_(3)、-OCF_(3)、-SCF_(3)、-SH、-SC_(1?4)アルキル、-SO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)C_(1?4)アルキル、-CO_(2)H、-COC_(1?4)アルキル、-N(R^(b))R^(c)、-SO_(2)NR^(b)R^(c)、-NR^(b)SO_(2)R^(c)、-C(=O)NR^(b)R^(c)、-NO_(2)および-CNよりなる群から独立して選択され、ここで、R^(b)およびR^(c)は前に定義したとおりである;あるいは(i)2-ブロモフェニル、3-メチルフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニルもしくは3,4-ジメトキシフェニルである] の化合物またはその製薬学的に許容しうる塩よりなる群から選択される薬剤の治療的に有効な量;および (b)製薬学的に許容しうる賦形剤 を含んでなる製薬学的組成物。」 (以下、請求項に記載された事項により特定される発明を特許請求の範囲に記載された順に「本願発明1」などといい、まとめて「本願発明」ともいう。) 第3 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は以下のものと認められる。 ア 本願発明1?30は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、特許を受けることができない。 イ 本願発明1?30は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1?4のいずれかに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 刊行物: 1.特表2000-513009号公報 2.特表平9-511764号公報 3.国際公開第2004/080966号 4.国際公開第03/037271号 第4 当審の判断 1 刊行物の記載事項 刊行物1には、以下の一般式で表される化合物がカルシトニン類似体として記載されている(2頁 特許請求の範囲1)。 本願発明における化合物と化学構造上最も関連する化合物が記載されていると考えられる刊行物2には、以下の記載がある。 ア 「【特許請求の範囲】 1.一般式(I)で表される化合物及びその製薬学的に許容しうる酸付加塩。 (式中、R_(1)及びR_(2)は各々水素、C_(1)-C_(8)のアルキル又はC_(3)-C_(8)の置換若しくは非置換の3-6員のシクロアルキルであり、R_(3)、R_(4)、R_(5)、R_(6)及びR_(7)は各々水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、C_(1)-C_(4)の低級エステル、C_(1)-C_(4)の低級アルキル、C_(1)-C_(4)の低級アルコキシ、アリール、アリールアルコキシ又は不飽和アミンであり、lは0?7の整数であり、m及びnは各々0又は1の整数であり、Wは炭素又は窒素であり、Xは酸素、硫黄、置換又は非置換のイミンであり、Yは窒素又は酸素であり、Zは水素、C_(1)-C_(8)のアルコキシ、アリールオキシ、C_(1)-C_(4)のアルキルアミン、窒素原子1-5個までを含有する環状アミン又はオキソ基である。)」 イ「実施例 下記の実施例において、一般式(I)及び(I′)の化合物を製造する。 (式中、R_(1)、R_(2)、R_(3)、R_(4)、R_(5)、R_(6)、R_(7)、l、m、n、W、X、Y及びZは前述の通りである。) ・ 」(11頁?21頁) 刊行物3には、概略以下の基本骨格で表される化合物がCCR5受容体を制御し得る化合物として記載されている(6頁)。 Yは結合手又は主鎖の原子数1?3のスペーサーを表し、環Bはさらに置換基を有していてもよい3?15員同素環又は複素環、環Dはさらに置換基を有していてもよい3?15員含窒素複素環、R^(2)は水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、シアノ基、保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、オキソ基、置換基を有していてもよい3?15員複素環基、=N-OR^(6)を表す。 刊行物4には、概略以下の基本骨格で表される化合物がCCR5受容体を制御し得る化合物として記載されている(186-188頁 クレーム1)。 aは0から3 bは0から3 Q^(3)は置換されていてもよいアルキル、 Q^(5)は以下から選ばれる Q^(6)は任意に置換された芳香環、任意に置換された非芳香族複素環、任意に置換されたヘテロ芳香環 2 対比・判断 (1)特許法第29条第1項3号の拒絶理由について ア 刊行物2には、アに化合物の一般式が記載され、イにその一般式で表される化合物の具体的実施例が記載されていることからみて、以下の一般式で表される化合物の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「 (式中、R_(1)及びR_(2)は各々水素、C_(1)-C_(8)のアルキル又はC_(3)-C_(8)の置換若しくは非置換の3-6員のシクロアルキルであり、R_(3)、R_(4)、R_(5)、R_(6)及びR_(7)は各々水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、C_(1)-C_(4)の低級エステル、C_(1)-C_(4)の低級アルキル、C_(1)-C_(4)の低級アルコキシ、アリール、アリールアルコキシ又は不飽和アミンであり、lは0?7の整数であり、m及びnは各々0又は1の整数であり、Wは炭素又は窒素であり、Xは酸素、硫黄、置換又は非置換のイミンであり、Yは窒素又は酸素であり、Zは水素、C_(1)-C_(8)のアルコキシ、アリールオキシ、C_(1)-C_(4)のアルキルアミン、窒素原子1-5個までを含有する環状アミン又はオキソ基である。)」 イ 引用発明におけるピペラジン環は、本願発明1におけるZが-N-である6員環に相当する。そして、引用発明におけるピリジン環は、R_(1)、R_(2)及びZで置換された3-ピリジルであり、引用発明におけるR_(1)、R_(2)及びZは、選択肢として水素を含むから、本願発明1におけるAr^(1) の非置換のまたは1もしくは2個のR^(a)部分で炭素環員において置換された3-ピリジルに相当する。引用発明のW含有環は、2位から6位が、それぞれ、水素、C_(1)-C_(4)の低級アルキル、C_(1)-C_(4)の低級アルコキシを選択肢として含むR_(3)、R_(4)、R_(5)、R_(6)及びR_(7)で置換されているから、本願発明1におけるAr^(2)の選択肢である含まれる-C_(1?4)アルキル又は-OC_(1?4)アルキルから選ばれるR^(g)で4位で置換されたフェニルに相当するものを含むものである。そして、引用発明の一般式は、本願発明1において、Ar^(1)とN含有環とをつなぐカルボキサミドに相当する基である、Xが酸素、Yが窒素であり、lが0、mが0である鎖状基を有する化合物を包含し、本願発明1においてAr^(2) とN含有環とをつなぐメチレン基に相当する基である、nが1である鎖状基を有する化合物を包含する。 そうすると、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致する。 本願発明1の一般式 におけるZが-N-であって、Ar^(1) が非置換のまたは1もしくは2個のR^(a)部分で炭素環員において置換された3-ピリジル、Ar^(2)が-C_(1?4)アルキル又は-OC_(1?4)アルキルから選ばれるR^(g)で4位で置換されたフェニルである化合物を包含する一般式で表現された化合物 これに対し、本願発明1と引用発明は、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明1においては、3-ピリジルなどのAr^(1) は、「非置換のまたは1もしくは2個」の置換基で置換されたものに限定されているのに対し、引用発明においては、置換基の数が明示的に限定されていない点 (相違点2) 本願発明1においては、Ar^(1)とN含有環とを連結する基がカルボキサミドに特定されているのに対し、引用発明は、Ar^(1)とN含有環とをつなぐ連結する基がXが酸素、Yが窒素であり、lが0、mが0であるカルボキサミドに特定されていない点 (相違点3) 本願発明1においては、Ar^(2) とN含有環とを連結する基がメチレン基に特定されているのに対し、引用発明においては、Ar^(2) とN含有環とを連結する基がnが1であるメチレン基に特定されていない点 ウ 上記相違点について検討する。 相違点1に関し、刊行物2に具体的に記載された実施例の記載(イ)をみると、大部分の化合物は、R_(1)、R_(2)及びZが水素ではなく、3-ピリジル基が3個の置換基を有しており、3-ピリジル基の置換基が2個以下又は非置換の化合物は、実施例92?93及び139?142の6つの化合物のみである。そして、刊行物2のそれらの化合物は、本願発明1と相違点1で相違するものではないとしても、nが0であるので、相違点3において相違するものである。 相違点2に関し、刊行物2に具体的に記載された実施例の記載(イ)をみると、これらのうち多くの化合物は、Xが酸素、Yが窒素であり、lが0、mが0であって、3-ピリジル基とピペラジン環Nがカルボキサミドで連結されているので、本願発明1と上記相違点2において相違するものではない。しかし、lが0であり、mが0である化合物はいずれも、R_(1)、R_(2)及びZが水素ではなく、3-ピリジル基が3個の置換基を有しており、3-ピリジル基の置換基が2個以下又は非置換であるという特定事項を備えていない。 相違点3に関し、刊行物2に具体的に記載された実施例の記載(イ)をみると、大部分の化合物は、nが0であって、nが1である化合物は、実施例72?75の4つの化合物のみである。そして、この4つの実施例の化合物は、本願発明1と相違点3で相違するものではないとしても、R_(1)、R_(2)及びZのいずれも水素ではないので、3-ピリジル基の置換基が3個であるので、相違点1において相違するものである。 このように、刊行物2に実施例として具体的に記載された化合物は、いずれも相違点1?3のいずれかにおいて、本願発明1と相違するものである。そして、刊行物2に、3-ピリジル基の置換基が2個以下又は非置換である実施例92?93及び139?142、nが1である実施例72?75という本願発明1の特定事項を部分的にのみ備える化合物が記載されていても、刊行物2に具体的に記載された多数の化合物の大部分は、3-ピリジル基が3個の置換基を有するとともに、nが0であって、相違点1及び3において本願発明1の化合物と相違する化合物である。そうすると、刊行物2に具体例として実施例72?75、92?93及び139?142が記載されていても、そのことをもって、多数の選択肢を有する可変の部分であるl、m、n、R_(1)、R_(2)及びZを用いて引用発明が表現された刊行物2の記載から、3-ピリジル基の置換基が2個以下又は非置換であり、かつ、nが1に特定された本願発明1の化合物を把握することができるとはいえない。そして、刊行物2には、他にも本願発明1に関する記載を見出せない。したがって、本願発明1は、刊行物2に記載された発明であるとはいえない。 本願発明22及び28と引用発明とを対比すると、それらの一致点及び相違点も、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点と同じであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由で、本願発明22及び28は、刊行物1に記載された発明であるとはいえない。 さらに、請求項1、22又は28を引用する請求項に記載された発明は、本願発明1、22又は28の化合物か又はこれら化合物をさらに限定して特定した化合物に関する発明であるから、刊行物2に記載された発明であるとはいえないことは明らかである。 (2)特許法第29条第2項の拒絶理由について ア 刊行物1について 刊行物1に記載された一般式で表される化合物は、1,4位に結合点を有する飽和6員環の一方にアリール基、置換アリール基、複素環基、置換複素環が結合した-CH_(2)-が結合し、他方には置換基を有していてもよい複素環が結合した-NHCO-を有する化合物を包含する点で、本願発明1と一致する。 しかし、本願発明1においては、置換基を有していてもよい複素環が結合した-NHCO-における複素環基は、2-チアゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニルもしくは5-ピリミジニルから選ばれる基Ar^(1)であるのに対し、刊行物1に記載された化合物は、これらの基を有しない点で相違する。 そして、刊行物1には、本願発明1におけるAr^(1)に挙げられた基を採用することを示唆する記載も見あたらず、刊行物1に上位概念的に本願発明1のAr^(1)と重複し得るような基が記載されているとしても、刊行物1の漠然とした記載は、本願発明1の構造を有する化合物への構造変換を動機付けるものであるとはいえない。そして、この出願の明細書の段落[0506]-[0509]の記載によれば、本願発明1の化合物は、実際に脂肪酸アミドヒドロラーゼのモジュレーターとして作用することが示されており、技術常識を考慮しても、本願発明1は、刊行物1の記載から当業者が容易に想到し得たものであるということはできない。したがって、本願発明1は、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 また、本願発明22及び28と刊行物1に記載された発明とを対比すると、それらの一致点及び相違点も、本願発明1とこれら刊行物に記載された発明との一致点及び相違点と同じであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由で、本願発明22及び28は、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 さらに、請求項1、22又は28を引用する請求項に記載された発明は、本願発明1、22又は28の化合物か又はこれら化合物をさらに限定して特定した化合物に関する発明であるから、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 刊行物2について 本願発明1と引用発明の一致点及び相違点は、上記(1)イで述べたとおりである。刊行物2の5頁7段落に「本発明の目的は、卓越した抗癌活性を持ち毒性の極めて低い一般式(I)の新規化合物及びその塩を提供することにある。」と記載されていることから理解できるように、刊行物2は、抗癌剤としての抗癌剤としての活性を示す化合物に関する文献である。これに対し、本願発明1は、[0002][0023]の記載からみて、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)活性により媒介される病状、障害及び症状の処置に対する有用な化合物であり、具体的には、[0024]に記載されたように、不安、疼痛、睡眠障害などの処置に有用な化合物である。そして、この出願の明細書の段落[0506]-[0509]に、本願発明1の化合物は、実際に脂肪酸アミドヒドロラーゼのモジュレーターとして作用することが示されており、技術常識を考慮しても、本願発明1は、刊行物2の記載から当業者が容易に想到し得たものであるということはできない。 また、本願発明22及び28と刊行物2に記載された発明とを対比すると、それらの一致点及び相違点も、本願発明1と刊行物2に記載された発明との一致点及び相違点と同じであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由で、本願発明22及び28は、刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 さらに、請求項1、22又は28を引用する請求項に記載された発明は、本願発明1、22又は28の化合物か又はこれら化合物をさらに限定して特定した化合物に関する発明であるから、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 刊行物3、4について 刊行物3、4に記載された化合物は、N含有複素環の一方に置換基を有していてもよいフェニル基を有し、他方には置換基を有していてもよい複素環が結合したカルバモイル基を有する化合物を包含する点で、本願発明1と一致している。 本願発明1においては、置換基を有していてもよい複素環が結合したカルバモイル基における複素環基は、2-チアゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニルもしくは5-ピリミジニルから選ばれる基Ar^(1)であるのに対し、刊行物3、4に記載された化合物は、これらの基を有するものが明示されていない点で相違する。 そして、刊行物3、4には、N含有複素環として、1,4位に結合点を有する無置換の環構造を含む化合物において、置換基を有していてもよい複素環が結合したアルキルカルバモイル基を有する化合物について、漠然と本願発明1の上位概念が記載されているが、本願発明1におけるAr^(1)に相当する構造として、2-チアゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニルもしくは5-ピリミジニルから選ばれる基を有するカルバモイルメチル基が飽和6員環に結合した構造を示唆する明示的に示唆する記載は、刊行物3、4には見当たらない。この出願の明細書の段落[0506]-[0509]の記載によれば、本願発明1の化合物は、実際に脂肪酸アミドヒドロラーゼのモジュレーターとして作用することが示されており、技術常識を考慮しても、本願発明1は、刊行物3、4の記載から当業者が容易に想到し得たものであるということはできない。したがって、本願発明1は、刊行物3、4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 また、本願発明22及び28と刊行物3、4に記載された発明とを対比すると、それらの一致点及び相違点も、本願発明1とこれら刊行物に記載された発明との一致点及び相違点と同じであるから、本願発明1について述べたのと同様の理由で、本願発明22及び28は、刊行物3、4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 さらに、請求項1、22又は28を引用する請求項に記載された発明は、本願発明1、22又は28の化合物か又はこれら化合物をさらに限定して特定した化合物に関する発明であるから、刊行物3、4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物2に記載された発明であるとはいえず、また、刊行物1?4のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-02-04 |
出願番号 | 特願2007-549603(P2007-549603) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(C07D)
P 1 8・ 121- WY (C07D) P 1 8・ 14- WY (C07D) P 1 8・ 113- WY (C07D) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 智雄 |
特許庁審判長 |
門前 浩一 |
特許庁審判官 |
齋藤 恵 村守 宏文 |
発明の名称 | 脂肪酸アミドヒドロラーゼのモジュレーターとしてのピペラジニルおよびピペリジニル尿素 |
代理人 | 特許業務法人小田島特許事務所 |