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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1284826
審判番号 不服2012-13027  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-09 
確定日 2014-02-14 
事件の表示 特願2006-325085「分析データ管理システム及び分析データ管理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月19日出願公開、特開2008-140091〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成18年12月1日の出願であって、平成21年3月12日付けで審査請求がなされ、平成23年11月2日付けで拒絶理由通知(同年11月8日発送)がなされ、同年12月26日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成24年4月4日付けで拒絶査定(同年4月10日謄本送達)がなされたものである。
これに対して、「原査定を取り消す、この出願の発明はこれを特許すべきものとする、との審決を求める。」ことを請求の趣旨として、平成24年7月9日付けで本件審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、平成24年8月3日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成25年3月18日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年3月26日発送)がなされ、同年5月14日付けで回答書の提出があったものである。


第2 平成24年7月9日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成24年7月9日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容

平成24年7月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容は、平成23年12月26日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項6の記載

「 【請求項1】
分析に関するデータであって、所定のロックキーによってロックされた一又は複数の分析データを管理するための分析データ管理システムにおいて、
ユーザ毎に設けられ、該システムに対するライセンスキー及び前記分析データのロックを解除するための認証キーが埋め込まれたキー格納手段と、
前記キー格納手段に埋め込まれている前記ライセンスキー及び/又は認証キーを読み出す際に、所定のキー読出認証を要求するキー読出認証手段と、
前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において、分析データ使用要求が入力されたことに基づき、又は予め定められた処理が実行されたことに基づいて前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと分析データに設定されたロックキーとが相応する場合に、該分析データを使用可能にする認証キー照合手段と、
を含んで成ることを特徴とする分析データ管理システム。
【請求項2】
複数の認証キーの各々に関し、分析データに対する権限が記憶されている権限定義部を更に有しており、
前記認証キー照合手段が、前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと分析データに設定されたロックキーとが相応する場合に前記権限定義部に記載された該認証キーに対応する権限の範囲内で該分析データを使用可能にする
ことを特徴とする請求項1に記載の分析データ管理システム。
【請求項3】
前記認証キーに相応する所定のロックキーによって分析データをロックする分析データロック手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の分析データ管理システム。
【請求項4】
前記キー格納手段が、持ち運び可能なドングルである請求項1?3のいずれかに記載の分析データ管理システム。
【請求項5】
前記キー格納手段が、分析データ管理システムがアクセス可能なローカル又はネットワーク上のデータ保存領域である請求項1?3のいずれかに記載の分析データ管理システム。
【請求項6】
分析に関するデータであって、所定のロックキーによってロックされた一又は複数の分析データを管理するための分析データ管理システムに利用するためのプログラムであって、
ユーザ毎に設けられ、該システムに対するライセンスキー及び前記分析データのロックを解除するための認証キーが埋め込まれたキー格納手段にアクセス可能なコンピュータを、
前記キー格納手段に埋め込まれている前記ライセンスキー及び/又は認証キーを読み出す際に、所定のキー読出認証を要求するキー読出認証手段と、
前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと分析データに設定されたロックキーとが相応する場合に、該分析データを使用可能にする認証キー照合手段と、
して機能させることを特徴とする分析データ管理プログラム。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項各項を「補正前の請求項」という。)

を、

「 【請求項1】
分析に関するデータであって、所定のロックキーによってロックされた一又は複数の分析データを管理するための分析データ管理システムにおいて、
ユーザ毎に設けられ、該システムに対するライセンスキー及び前記分析データのロックを解除するための認証キーが埋め込まれ、該システムに着脱自在に設けられたキー格納手段と、
前記キー格納手段に埋め込まれている前記ライセンスキー及び/又は認証キーを読み出す際に、所定のキー読出認証を要求するキー読出認証手段と、
前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において、分析データ使用要求が入力されたことに基づき、又は予め定められた処理が実行されたことに基づいて前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと分析データに設定されたロックキーとが相応する場合に、該分析データを使用可能にする認証キー照合手段と、
を含んで成ることを特徴とする分析データ管理システム。
【請求項2】
複数の認証キーの各々に関し、分析データに対する権限が記憶されている権限定義部を更に有しており、
前記認証キー照合手段が、前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと分析データに設定されたロックキーとが相応する場合に前記権限定義部に記載された該認証キーに対応する権限の範囲内で該分析データを使用可能にする
ことを特徴とする請求項1に記載の分析データ管理システム。
【請求項3】
前記認証キーに相応する所定のロックキーによって分析データをロックする分析データロック手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の分析データ管理システム。
【請求項4】
前記キー格納手段が、持ち運び可能なドングルである請求項1?3のいずれかに記載の分析データ管理システム。
【請求項5】
前記キー格納手段が、分析データ管理システムがアクセス可能なローカル又はネットワーク上のデータ保存領域である請求項1?3のいずれかに記載の分析データ管理システム。
【請求項6】
分析に関するデータであって、所定のロックキーによってロックされた一又は複数の分析データを管理するための分析データ管理システムに利用するためのプログラムであって、
ユーザ毎に設けられ、該システムに対するライセンスキー及び前記分析データのロックを解除するための認証キーが埋め込まれたキー格納手段にアクセス可能なコンピュータを、
前記キー格納手段に埋め込まれている前記ライセンスキー及び/又は認証キーを読み出す際に、所定のキー読出認証を要求するキー読出認証手段と、
前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと分析データに設定されたロックキーとが相応する場合に、該分析データを使用可能にする認証キー照合手段と、
して機能させることを特徴とする分析データ管理プログラム。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項各項を「補正後の請求項」という。)

に補正することを含むものである。

そして、本件補正は、本件補正前の請求項1記載の発明を特定するための事項(以下、「発明特定事項」という。)であるところの「キー格納手段」を、より下位の「該システムに着脱自在に設けられたキー格納手段」に限定するものであり、この限定によって、本件補正前後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるものではない。

したがって、本件補正の目的は、請求項に記載した発明特定事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの(以下、「限定的減縮」という。)に該当し、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げられる事項を目的とするものであると解することができる。

2.独立特許要件

以上のように、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)は、補正前の請求項1に対して、限定的減縮を行ったものと認められる。そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)以下に検討する。

(1)補正後の発明

本件補正により、本願補正発明は、前記「1.補正の内容」において、補正後の請求項1として引用した、次の記載のとおりのものである。

「分析に関するデータであって、所定のロックキーによってロックされた一又は複数の分析データを管理するための分析データ管理システムにおいて、
ユーザ毎に設けられ、該システムに対するライセンスキー及び前記分析データのロックを解除するための認証キーが埋め込まれ、該システムに着脱自在に設けられたキー格納手段と、
前記キー格納手段に埋め込まれている前記ライセンスキー及び/又は認証キーを読み出す際に、所定のキー読出認証を要求するキー読出認証手段と、
前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において、分析データ使用要求が入力されたことに基づき、又は予め定められた処理が実行されたことに基づいて前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと分析データに設定されたロックキーとが相応する場合に、該分析データを使用可能にする認証キー照合手段と、
を含んで成ることを特徴とする分析データ管理システム。」

(2)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

(2-1)引用文献1

原審の拒絶の査定の理由である上記平成23年11月2日付けの拒絶理由通知において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2002-99466号公報(平成14年4月5日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

A 「【請求項1】 コンテンツデータを、このコンテンツデータの所有者識別情報と共に保存する保存手段と、
上記保存手段により保存されているコンテンツデータの中から出力するコンテンツデータを選択する選択手段と、
使用者識別情報が記憶されている記憶手段と、
上記選択手段で選択された上記コンテンツデータの所有者識別情報と上記記憶手段に記憶されている使用者識別情報とが一致しているかを判定する判定手段と、
上記判定手段が上記所有者識別情報と上記使用者識別情報とが一致していると判定したとき、上記保存手段よりコンテンツデータを上記所有者識別情報と共に読み出して出力する出力手段とを備えるデータ出力装置。」

B 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、著作権管理が必要なコンテンツデータ、例えばオーディオデータ、画像データ、動画像データ、ゲームプログラム、コンピュータプログラム等を、著作権を管理しながら入出力できるデータ出力装置及び方法、データ入力装置及び方法、データ入出力装置及び方法、データ送信システム、データ受信システム並びに所有者識別情報付きコンテンツデータに関する。」

C 「【0023】以上のようなサーバ装置10にコンテンツデータ等をアップロードするデータ記録再生装置20は、複数の所有者識別情報付きコンテンツデータが記録される記録媒体21と、この記録媒体21へのコンテンツデータ等のデータの書き込みや読み出しを制御するストレージ制御部22と、ストレージ制御部22により読み出された所有者識別情報付きコンテンツデータをサーバ装置10に送信する送信部23と、サーバ装置10より送信された所有者識別情報付きコンテンツデータを受信する受信部24と、受信部24で受信された所有者識別情報付きコンテンツデータの暗号を解読する暗号解読部25と、暗号解読部25で解読された所有者識別情報付きコンテンツデータを暗号化する暗号化部26とを備える。また、データ記録再生装置20は、他の装置からのディジタル又はアナログのコンテンツデータの入力を制御する入力制御部27と、コンテンツデータをスピーカ、イヤホン、ヘッドフォン等の出力機器に出力する際の制御を行う出力制御部28とを備える。更に、このデータ記録再生装置20は、操作信号を入力するための入力操作部29と、装置の動作状況等を表示する表示部30と、装置の使用者識別情報を入力するための入力装置が接続されるインターフェース(以下、単にI/Fという。)31と、I/F31より入力された使用者識別情報を保存するメモリ32と、装置全体を制御するシステム制御部33とを備える。」

D 「【0034】I/F31は、使用者識別情報を入力するための入力装置40が接続される。この入力装置40は、データ記録再生装置20に付属するものであり、例えば利用者が携帯できる大きさに形成されている。この入力装置40について説明すると、入力装置40は、入力装置固有の識別情報が記録されたメモリ41と、使用者名等を入力するための入力操作部42と、動作状況等を表示する表示部43と、データ記録再生装置20とデータのやり取りを行うためのI/F44と、全体の動作を制御する制御部45とを備える。」

E 「【0042】次に、入力装置40に使用者名を登録し、この使用者名をデータ記録再生装置20に登録する際の一連の処理について、図2乃至図4を参照して説明する。先ず、入力装置40に使用者名を登録する手順について図2を参照して説明すると、先ず、ステップS1において、制御部45は、表示部43に使用者名を入力するための画面を表示し、利用者に、使用者名の入力を促す。ここで、利用者は、入力操作部42を用いて使用者名を入力する。次いで、ステップS2において、制御部45は、利用者により使用者名が入力されたかどうかを判断し、使用者名の入力が完了したとき、ステップS3に進み、使用者名の入力が完了していないとき、ステップS2を繰り返す。ステップS3において、制御部45は、入力された使用者名を、メモリ41に保存する。かくして、利用者は、使用者名が登録された入力装置40を携帯し、様々な所にあるデータ記録再生装置20にこの入力装置40を装着することができ、利用者は、例えば入力装置40が装着されたデータ記録再生装置20の記録媒体21に保存されている自分が所有するコンテンツデータを出力し、また、他のデータ記録再生装置20に送信することができるようになる。」

F 「【0059】次いで、データ記録再生装置20で記録媒体21に保存されているコンテンツデータを再生する場合について図6を参照して説明すると、先ず、ステップS51において、システム制御部33は、記録媒体21が装置本体に対して着脱可能であるときに、この記録媒体21が装置本体に装着されているかどうかを判断し、装置本体に記録媒体21が装着されているとき、ステップS52に進み、記録媒体21が装置本体に装着されていないとき、ステップS51を繰り返す。
・・・(中略)・・・
【0065】システム制御部33は、ステップS55において、コンテンツデータより抽出した所有者識別情報とメモリ32より読み出した使用者識別情報とが一致していないと判断すると、ステップS58に進む。システム制御部33は、ステップS58において、入力装置40のI/F44がI/F31に接続されているかどうかを判断し、接続されているとき、ステップS59に進み、接続されていないとき、ステップS60に進み、入力装置40が接続されていない旨を表示部30に表示し、ステップS58に戻る。
【0066】システム制御部33は、ステップS59において、I/F31に接続された入力装置40の認証を行い、認証が取れたとき、ステップS61に進み、認証が取れなかったとき、ステップS65に進む。
【0067】ステップS61において、システム制御部33は、入力装置40と暗号化キーの交換を行い、安全に使用者識別情報のやり取りを行うことができるようにする。ステップS62において、システム制御部33は、入力装置40に対して、使用者識別情報の送信要求を行う。ステップS63において、システム制御部33は、入力装置40からの使用者識別情報を受信したかどうかを判断し、使用者識別情報を受信したとき、ステップS64に進み、使用者識別情報を受信しなかったとき、ステップS63を繰り返す。
【0068】ステップS64において、システム制御部33は、入力装置40より入力された使用者識別情報と暗号解読部25より入力された所有者識別情報とを比較する。そして、システム制御部33は、コンテンツデータより抽出した所有者識別情報と入力装置40より入力された使用者識別情報とが一致しているとき、ステップS56に進む。そして、コンテンツデータは、暗号解読部25で暗号が解読され、出力制御部28に出力される。また、システム制御部33は、入力装置40からの使用者識別情報と暗号解読部25からの所有者識別情報とが一致していないとき、ステップS65に進み、ストレージ制御部22から暗号解読部25にコンテンツデータを出力することを禁止する。なお、ステップS65では、コンテンツデータの出力を禁止するのではなく、例えばn回再生可能とする視聴モードとするようにしてもよい。」

ここで、上記引用文献1に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Bの「本発明は、著作権管理が必要なコンテンツデータ・・・を管理しながら入出力できるデータ出力装置及び・・・所有者識別情報付きコンテンツデータに関する」との記載からすると、引用文献1には、
“所有者識別情報付きコンテンツデータを管理するデータ出力装置”
が記載されている。

(イ)上記Aの記載からすると、引用文献1には、
“使用者識別情報が記憶されている記憶手段と、
選択されたコンテンツデータの所有者識別情報と前記記憶手段に記憶されている前記使用者識別情報とが一致しているかを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記所有者識別情報と前記使用者識別情報とが一致していると判定したとき、前記コンテンツデータを出力する出力手段と、
を備えるデータ出力装置”
が記載されている。

(ウ)上記Cの「データ記録再生装置20は・・・装置の使用者識別情報を入力するための入力装置が接続されるインターフェース(以下、単にI/Fという。)31・・・を備える」との記載、上記Dの「I/F31は、使用者識別情報を入力するための入力装置40が接続される」、「この入力装置40は、データ記録再生装置20に付属するものであり、例えば利用者が携帯できる大きさに形成されている」との記載からすると、発明の実施の形態として記載されている「データ記録再生装置20」及び「入力装置40」は、それぞれ、上記(イ)に記載されている「データ出力装置」及び「使用者識別情報が記憶されている記憶手段」に相当するから、引用文献1には、
“使用者が携帯できる大きさに形成されており、使用者識別情報が記憶され、データ出力装置に接続される記憶手段”
が記載されていると解される。

(エ)上記Fの「データ記録再生装置20で記録媒体21に保存されているコンテンツデータを再生する場合について図6を参照して説明する」、「システム制御部33は、ステップS58において、入力装置40のI/F44がI/F31に接続されているかどうかを判断し、接続されているとき、ステップS59に進み、・・・システム制御部33は、ステップS59において、I/F31に接続された入力装置40の認証を行い、認証が取れたとき、ステップS61に進み、・・・ステップS61において、システム制御部33は、入力装置40と暗号化キーの交換を行い、安全に使用者識別情報のやり取りを行うことができるようにする。ステップS62において、システム制御部33は、入力装置40に対して、使用者識別情報の送信要求を行う」との記載からすると、データ記録再生装置20に入力装置40が接続されているか判断する態様、及び、データ記録再生装置20に入力装置40が接続された際に、当該入力装置40から使用者識別情報を読み出す前に、当該入力装置40の認証を行う態様が読み取れる。
してみると、引用文献1には、
“記憶手段が接続されているか判断する手段”、
“前記記憶手段が接続されている場合、該記憶手段に記憶されている使用者識別情報を読み出す前に、前記記憶手段の認証を行う手段”
が記載されていると解される。

(オ)そして、上記(エ)の検討内容からすると、上記(イ)に記載されている「判定手段」は、記憶手段が接続され、該記憶手段の認証が完了した状態において実施されることが読み取れる。

以上、(ア)ないし(オ)で指摘した事項を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「所有者識別情報付きコンテンツデータを管理するデータ出力装置において、
使用者が携帯できる大きさに形成されており、使用者識別情報が記憶され、該データ出力装置に接続される記憶手段と、
前記記憶手段が接続されているか判断する手段と、
前記記憶手段が接続されている場合、該記憶手段に記憶されている前記使用者識別情報を読み出す前に、該記憶手段の認証を行う手段と、
前記記憶手段が接続され、該記憶手段の認証が完了した状態において、選択されたコンテンツデータの所有者識別情報と前記記憶手段に記憶されている前記使用者識別情報とが一致しているかを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記所有者識別情報と前記使用者識別情報とが一致していると判定したとき、前記コンテンツデータを出力する出力手段と、
を備えるデータ出力装置。」

(2-2)引用文献2

原審の拒絶の査定の理由である上記平成23年11月2日付けの拒絶理由通知において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平10-31587号公報(平成10年2月3日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面(特に、図2)とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

G 「【0025】図2はカード1に記録したデータ内容を示すものである。データ内容は所有者の公開鍵および秘密鍵、認証者の公開鍵、ライセンス管理テーブル、個々のライセンスデータより構成する。公開鍵および秘密鍵は公開暗号化方式の暗号化あるいは復号化で使用する鍵データであり、所有者の公開鍵は適当な認証者たとえば銀行あるいは公共機関などにより認証を受けたものを用いる必要がある。公開鍵の正当性を高めるため、認証者は複数であることが望ましい。ライセンス管理テーブルは複数のライセンスデータを管理するためのデータであり、図に示すように全ライセンス数、個々のライセンスデータの対応するプログラムのPID、カード内での記憶位置、サイズより構成する。ライセンスデータはユーザの個々のソフトウエアに対するソフトウエア使用ライセンスをデータ化したものである。」

(3)参考文献に記載されている技術的事項

(3-1)参考文献1

原審の拒絶査定において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2002-251326号公報(平成14年9月6日出願公開。以下、「参考文献1」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

H 「【0014】システム起動、システムインストール、アプリケーションソフトウェアの使用許可、コンテンツの使用許可などのために、PCと連携して動作する、物理的及び論理的に内部解析や改ざんを防ぐ耐タンパ性を備えた、ハードウェアモジュールを用いる。ハードウェアモジュールとは、たとえば、PCの拡張ボードや、ICカード(スマートカード)が該当する。
・・・(中略)・・・
【0018】ハードウェアモジュール内に保存する視聴用ソフトウェアまたはコンテンツの暗号化、復号化に用いる鍵にアクセスする際には、ハードウェアモジュールと環境2上で動作する視聴用ソフトウェアとが、ディジタル署名を用いた認証を行い、ハードウェアモジュールが正当であると認めた視聴用ソフトウェアがハードウェアモジュールへのアクセスを行う。これにより、ハードウェアモジュール内の情報を不正に取り出すことを防止可能である。」

(3-2)参考文献2

上記平成25年3月18日付けの審尋で援用した上記平成24年8月3日付けの前置報告において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2004-271327号公報(平成16年9月30日出願公開。以下、「参考文献2」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

J 「【0048】
本例のように使用者の立場に合わせて操作特権レベルを設定したり、使用期限を設定することにより、使用者による水質測定装置2の不正使用を禁止することができる。つまり、測定値データの改ざんを禁止して、分析結果の信頼性を向上させることができる。また、水質測定装置2に関する十分の知識がない使用者によって間違った校正操作を行って、分析結果の信頼性を低下させることも無くなる。加えて、不慣れな一時使用者が操作ミスによって分析計の設定を変更してしまうことで、分析不能または不正確な分析を行なうといった事態を未然に防ぐことも可能である。」

K 「【0056】
一方、新規に登録した使用者に対して、カードリーダ6を介して前記個人情報33および使用許可情報34を記録してなるメモリカード5が渡されて、使用者はこのメモリカード5を水質測定装置2を操作するための鍵として用いる。
【0057】
次いで、使用が登録できた水質測定装置2のうちの一つにメモリカード5を挿入すると、水質測定装置2はメモリカード5から前記個人情報33と使用許可情報34を読み出して、前記シリアル番号情報34cにこの水質測定装置2のシリアル番号情報37bが含まれているかを確認し、使用者の氏名33aおよびパスワード34aを使用者リスト38に登録されている氏名38aおよびパスワード38bと一致するかどうかを確認する。なお、氏名38aに代えてID番号や何らかの識別子を用いることも可能であることはいうまでもない。ここで前記シリアル番号情報34c内にシリアル番号情報37bが含まれいない場合や、氏名33a,38aまたはパスワード34a,38bが一致しない使用者であった場合は、水質測定装置2は例えばアラームと共に「登録を行ってから使用してください!」と表示して、処理を中止する。」

(3-3)参考文献3

上記平成25年3月18日付けの審尋で援用した上記平成24年8月3日付けの前置報告において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2004-279179号公報(平成16年10月7日出願公開。以下、「参考文献3」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

L 「【0032】
図3に示すように、上述した分析装置本体3は、ユーザ認証部13と、分析情報受信部15と、分析データ出力部17とを備えているが、さらにこれらと接続され、各種のデータを受け渡すためのI/F33を備えている。このI/F33には、上述した分析者用コンピュータ1と同様に、ケーブル29を介してクレードル31が接続されている。
【0033】
ユーザ認証部13は、記憶部35と比較部37を備えている。記憶部35は、予め分析装置本体3ごとにユーザ認証情報を記憶している。具体的には、分析装置本体3を使用して分析を行うことが許可された分析者のユーザ認証情報を設定してある。比較部37は、携帯情報端末35から指示ボタン31bが押下された時点で受信したユーザ認証情報と、記憶部35にあるユーザ認証情報とを比較する。その結果、受信したユーザ認証情報がある場合には、分析装置本体3における分析が可能であるので、その後の分析情報を受信する等の処理及び分析動作並びに分析データの出力処理等を行うことができるようになっている。」

(3-4)参考文献4

上記平成25年3月18日付けの審尋で援用した上記平成24年8月3日付けの前置報告において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平2-162213号公報(平成2年6月21日出願公開。以下、「参考文献4」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

M 「2.特許請求の範囲
(1)カード保持者を特定するID情報が記憶されかつ測定データ書込領域が形成されたICカード(9)と、被測定対象に対して測定を行なって測定データを得る測定部(15)と、カード挿入口に挿入された前記ICカードに対して各種データの読み書きを行なうカードリードライト部(17)と、予め定められたID情報が登録されているID情報登録メモリ(14a)と、前記カード挿入口に挿入されたICカードに記録されている前記ID情報を前記カードリードライト部で読取るID情報読取手段(S2)と、このID情報読取手段にて読取られたID情報が前記ID情報登録メモリ内に登録されているか否かを判断するID情報判断手段(S4)と、このID情報判断手段にて該当ID情報が登録されていると判断したとき、前記測定部を起動する測定部起動手段(S8)と、前記測定部にて得られた測定データを前記カードリードライト部で前記ICカードの測定データ書込領域へ書込む測定データ書込手段(S10)とを備えたICカードを使用する測定装置。」

(4)本願補正発明と引用発明との対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

(4-1)引用発明の「コンテンツデータ」における「所有者識別情報」は、記憶手段に記憶されている「使用者識別情報」と一致していると判定されたときに、該コンテンツデータを使用できるようにする鍵となる情報であることから、本願補正発明の「ロックキー」に相当するといえる。
してみると、引用発明の「所有者識別情報付きコンテンツデータを管理するデータ出力装置」と、本願補正発明の「分析に関するデータであって、所定のロックキーによってロックされた一又は複数の分析データを管理するための分析データ管理システム」とは、“所定のロックキーによってロックされた一又は複数のデータを管理するためのデータ管理システム”である点で共通している。

(4-2)引用発明の「記憶手段」は、「使用者が携帯できる大きさに形成されており」、そして、上記引用文献1の上記Eに「利用者は、使用者名が登録された入力装置40を携帯し、様々な所にあるデータ記録再生装置20にこの入力装置40を装着することができ、利用者は、例えば入力装置40が装着されたデータ記録再生装置20の記録媒体21に保存されている自分が所有するコンテンツデータを出力」と記載されることから、利用者毎に設けられ、データ記憶再生装置20に着脱自在に設けられているものと認められる。また、上記(4-1)の検討内容を踏まえると、記憶手段に記憶されている「使用者識別情報」は、コンテンツデータを使用できるようにするための「認証キー」といえるものである。
してみると、引用発明の「使用者が携帯できる大きさに形成されており、使用者識別情報が記憶され、該データ出力装置に接続される記憶手段」と、本願補正発明の「ユーザ毎に設けられ、該システムに対するライセンスキー及び前記分析データのロックを解除するための認証キーが埋め込まれ、該システムに着脱自在に設けられたキー格納手段」とは、“ユーザ毎に設けられ、該システムに対するデータのロックを解除するための認証キーが埋め込まれ、該システムに着脱自在に設けられたキー格納手段”である点で共通している。

(4-3)本願補正発明の「所定のキー読出認証を要求するキー読出認証手段」とは、本願の発明の詳細な説明の段落【0029】に「CPU2(キー読出認証手段)はドングルが接続されているか否かを確認する(キー読出認証)」と記載されていることから、ドングルを認証することによりドングルが接続されているか否かを確認することであると認められる。
してみると、引用発明の「前記記憶手段が接続されているか判断する手段」と「前記記憶手段が接続されている場合、該記憶手段に記憶されている前記使用者識別情報を読み出す前に、該記憶手段の認証を行う手段」は、全体として、本願補正発明の「前記キー格納手段に埋め込まれている前記ライセンスキー及び/又は認証キーを読み出す際に、所定のキー読出認証を要求するキー読出認証手段」に相当するといえる。

(4-4)引用発明の「判定手段」とは、データ出力装置が管理するコンテンツデータにアクセスする際に行われるものであることは、自明の事項である。また、本願補正発明の「分析データ使用要求が入力されたことに基づき、又は予め定められた処理が実行されたことに基づいて」とは、システムが管理する分析データにアクセスする際に行われるものであることに他ならない。
そして、引用発明の「前記判定手段が前記所有者識別情報と前記使用者識別情報とが一致していると判定したとき、前記コンテンツデータを出力する」とは、判定手段による判定の結果、所有者識別情報と使用者識別情報とが一致する場合に、コンテンツデータを使用可能にしていることに他ならない。
してみると、引用発明の「前記記憶手段が接続され、該記憶手段の認証が完了した状態において、選択されたコンテンツデータの所有者識別情報と前記記憶手段に記憶されている前記使用者識別情報とが一致しているかを判定する判定手段」及び「前記判定手段が前記所有者識別情報と前記使用者識別情報とが一致していると判定したとき、前記コンテンツデータを出力する出力手段」と、本願補正発明の「前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において、分析データ使用要求が入力されたことに基づき、又は予め定められた処理が実行されたことに基づいて前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと分析データに設定されたロックキーとが相応する場合に、該分析データを使用可能にする認証キー照合手段」とは、全体として、“前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において、該システムが管理するデータにアクセスする際に、前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと該データに設定されたロックキーとが相応する場合に、該データを使用可能にする認証キー照合手段”である点で共通している。

以上から、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

「所定のロックキーによってロックされた一又は複数のデータを管理するためのデータ管理システムにおいて、
ユーザ毎に設けられ、該システムに対する前記データのロックを解除するための認証キーが埋め込まれ、該システムに着脱自在に設けられたキー格納手段と、
前記キー格納手段に埋め込まれている前記認証キーを読み出す際に、所定のキー読出認証を要求するキー読出認証手段と、
前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において、該システムが管理するデータにアクセスする際に、前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと該データに設定されたロックキーとが相応する場合に、該データを使用可能にする認証キー照合手段と、
を含んで成ることを特徴とするデータ管理システム。」

(相違点1)

システムが管理するデータに関して、本願補正発明が「分析データ」であるのに対して、引用発明は、「コンテンツデータ」である点。

(相違点2)

本願補正発明の「キー格納手段」が、「システムに対するライセンスキー」及び「分析データのロックを解除するための認証キー」が埋め込まれているものであるのに対して、引用発明の「記憶手段」は、「使用者識別情報」(本願補正発明の「認証キー」に相当)が記憶されているものの、本願補正発明の「ライセンスキー」に相当するものを記憶しているか不明である点。

(5)当審の判断

上記相違点1及び相違点2について検討する。

(5-1)相違点1について

上記参考文献2(特に、上記J及びK参照)、上記参考文献3(特に、上記L参照)、上記参考文献4(特に、上記M参照)に記載されるように、着脱自在の携帯記憶装置を用いて、測定データが記憶されている測定装置や分析データが記憶されている分析装置に対するアクセス制御を行う技術は、周知技術である。そして、着脱自在の携帯記憶装置(ドングルやICカード等)を用いて、アクセス制御が必要なシステムやデータに対してアクセス制御を行う技術は、著作権データを管理する装置に特有の技術ではなく、コンピュータを利用する技術分野において、当業者が広く普通に採用している慣用的な周知技術に他ならない。
また、本願補正発明は、分析処理や計測処理について特段の記載はなく、保護対象データを「分析データ」とすることに格別な技術上の意義も認められない。
そうすると、引用発明が管理するデータを「分析データ」とすること、すなわち、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点1は格別なものではない。

(5-2)相違点2について

上記引用文献2(特に、上記G等参照)に記載されるように、ソフトウェアライセンスを格納したカードは周知技術であり、また、上記参考文献1(特に、上記H等参照)に記載されるように、1つのICカード内にアプリケーションソフトウェアの使用を可能とするための鍵とコンテンツの使用を可能とするための鍵を保存しておく技術も周知技術にすぎない。
一方、引用発明の「データ出力装置」は、「記憶手段が接続されているか判断する手段と、記憶手段が接続されている場合、・・・使用者識別情報を読み出す前に、前記記憶手段の認証を行う手段・・・とを備える」と記載されるように、コンテンツの使用を可能とする使用者識別情報を読み出す前に、該記憶手段がデータ出力装置を使用できるものであるか否かの認証を行うものである。そして、当該認証を行う際に、該記憶手段から何らかの情報を読み出して認証を行うものであることは、当業者にとって自明の事項である。
してみると、引用発明の「記憶手段」においても、データ出力装置の使用を可能とするための情報(本願補正発明の「システムに対するライセンスキー」に相当)を記憶しておくように構成すること、すなわち、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点2は格別なものではない。

(5-3)小括

上記で検討したごとく、相違点1及び相違点2は格別のものではなく、そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願補正発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、上記引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3.むすび

以上のように、本件補正は、上記「2.独立特許要件」で指摘したとおり、補正後の請求項1に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本件審判請求の成否について

1.本願発明の認定

平成24年7月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年12月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「分析に関するデータであって、所定のロックキーによってロックされた一又は複数の分析データを管理するための分析データ管理システムにおいて、
ユーザ毎に設けられ、該システムに対するライセンスキー及び前記分析データのロックを解除するための認証キーが埋め込まれたキー格納手段と、
前記キー格納手段に埋め込まれている前記ライセンスキー及び/又は認証キーを読み出す際に、所定のキー読出認証を要求するキー読出認証手段と、
前記キー読出認証手段によるキー読出認証が完了した状態において、分析データ使用要求が入力されたことに基づき、又は予め定められた処理が実行されたことに基づいて前記キー格納手段より認証キーを読み取り、該認証キーと分析データに設定されたロックキーとが相応する場合に、該分析データを使用可能にする認証キー照合手段と、
を含んで成ることを特徴とする分析データ管理システム。」

2.引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献およびその記載事項は、前記「第2 平成24年7月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」の「(2)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、前記「第2 平成24年7月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」で検討した本願補正発明から「、該システムに着脱自在に設けられ」を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、上記「第2 平成24年7月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」の「(3)参考文献に記載されている技術的事項」ないし「(5)当審の判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-12-04 
結審通知日 2013-12-10 
審決日 2013-12-24 
出願番号 特願2006-325085(P2006-325085)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸島 弘詩  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 辻本 泰隆
田中 秀人
発明の名称 分析データ管理システム及び分析データ管理プログラム  
代理人 江口 裕之  
代理人 喜多 俊文  

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