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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1285036 |
審判番号 | 不服2012-21859 |
総通号数 | 172 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-04-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-11-05 |
確定日 | 2014-02-19 |
事件の表示 | 特願2008-545924号「低誘電率膜のアッシング/ウエットエッチング損傷抵抗と組込み安定性を改善する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月18日国際公開、WO2007/117320、平成21年5月14日国内公表、特表2009-519612号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成18年12月8日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2005年12月13日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成21年11月12日付けで手続補正書が提出され、平成23年12月8日付けの拒絶理由の通知に対して、平成24年4月9日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年6月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月5日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同日付けで手続補正書が提出され、その後、特許法第164条第3項に基づく報告を引用した平成25年2月4日付けの審尋の通知をしたものの、回答書が提出されなかったものである。 2.平成24年11月5日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年11月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (2-1)補正事項 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の補正を含むものであり、そのうち補正前後の請求項1の記載は次のとおりである。 (補正前) 「【請求項1】 低誘電率膜を堆積させる方法であって: 第一有機シリコン化合物を第一流量でチャンバへ導入するステップであって、該第一有機シリコン化合物がSi原子あたり平均一つ以上のSi-C結合を有し、該第一有機シリコン化合物は少なくとも一つのSi-H結合を有する、前記ステップと; 第二有機シリコン化合物を第二流量で該チャンバへ導入するステップであって、該第二有機シリコン化合物のSi原子あたりのSi-C結合の平均数が、該第一有機シリコン化合物におけるSi原子あたりのSi-C結合の平均数より大きく、且つ該第一流量と該第二流量の合計量に対して該第二流量が約5%?約50%であり、該第二有機シリコン化合物が、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、(C_(6)H_(5))_(y)SiH_(4-y)、ここで、yは2-4である、(CH_(2)=CH)_(Z)SiH_(4-Z)、ここで、zは2-4である、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、CF_(3)-Si-(CH_(3))_(3)、及びそれらの部分的にフッ素化された炭素誘導体からなる群より選ばれる、前記ステップと; 該第一有機シリコン化合物と該第二有機シリコン化合物をRF電力の存在下に反応させて、該チャンバ内で基板上に低誘電率膜を堆積させるステップと; を含む、前記方法。」 (補正後) 「【請求項1】 低誘電率膜を堆積させる方法であって: 第一有機シリコン化合物を第一流量でチャンバへ導入するステップであって、該第一有機シリコン化合物がSi原子あたり平均一つ以上のSi-C結合を有し、該第一有機シリコン化合物は少なくとも一つのSi-H結合を有する、前記ステップと; 第二有機シリコン化合物を第二流量で該チャンバへ導入するステップであって、該第二有機シリコン化合物のSi原子あたりのSi-C結合の平均数が、該第一有機シリコン化合物におけるSi原子あたりのSi-C結合の平均数より大きく、且つ該第一流量と該第二流量の合計量に対して該第二流量が約5%?約50%であり、該第二有機シリコン化合物が、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、(C_(6)H_(5))_(y)SiH_(4-y)、ここで、yは2-4である、(CH_(2)=CH)_(Z)SiH_(4-Z)、ここで、zは2-4である、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、CF_(3)-Si-(CH_(3))_(3)、及びそれらの部分的にフッ素化された炭素誘導体からなる群より選ばれる、前記ステップと; 該第一有機シリコン化合物と該第二有機シリコン化合物をRF電力の存在下に反応させて、該チャンバ内で基板上に低誘電率膜を堆積させるステップと; を含む、前記方法。」 (2-2)補正の適否 請求項1の補正事項は、補正前の「該第二有機シリコン化合物が、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、(C_(6)H_(5))_(y)SiH_(4-y)、ここで、yは2-4である、(CH_(2)=CH)_(Z)SiH_(4-Z)、ここで、zは2-4である、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、CF_(3)-Si-(CH_(3))_(3)、及びそれらの部分的にフッ素化された炭素誘導体からなる群より選ばれる」を、補正後の「該第二有機シリコン化合物が、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、(C_(6)H_(5))_(y)SiH_(4-y)、ここで、yは2-4である、(CH_(2)=CH)_(Z)SiH_(4-Z)、ここで、zは2-4である、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、CF_(3)-Si-(CH_(3))_(3)、及びそれらの部分的にフッ素化された炭素誘導体からなる群より選ばれる」にするものであり、補正により、択一的に記載された第二有機シリコン化合物の具体例(選択肢)の一つである「オクタメチルシクロテトラシロキサン、」を削除するものであることから、択一的に記載された具体例(選択肢)を少なくする(限定する)ものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、請求項1に係る補正は、平成18年法律第55条改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年法改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的にするものであり、そして、これは、第184条の4第1項に規定する外国語特許出願に係る国際出願日における明細書、特許請求の範囲及び図面の翻訳文に記載した事項の範囲内においてなされたものであるので、平成18年法改正前の特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第3項の規定を満足するものである。 (2-3)独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2-3-1)引用例の記載事項 原査定の拒絶理由において引用文献として引用した特表2005-524983号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。 (a)「【請求項1】 低誘電率膜を基板上に堆積させる方法であって、 ケイ素、炭素、酸素、水素を含んでいる低誘電率膜を化学気相堆積チャンバ内で堆積させるステップと、 該低誘電率膜を該低誘電率膜の硬度を上げるのに十分な条件で電子ビームに晒すステップと、 を含む、前記方法。 ・・・(中略)・・・ 【請求項3】 該堆積させるステップが、 ガス混合物を該プラズマ増強化学気相堆積チャンバへ導入する工程であって、該ガス混合物が環状有機ケイ素化合物、脂肪族有機ケイ素化合物、炭化水素化合物、及び酸化ガスからなる群より選ばれた1種以上の化合物を含んでいる、前記工程と、 該ガス混合物を反応させて該低誘電率膜を該基板上に形成する工程と、 を含んでいる、請求項1記載の方法。」 (b)「【0011】 [0019]超低誘電率膜は、環状有機ケイ素化合物、脂肪族化合物、炭化水素化合物、酸化化合物を含むことができる1種以上の前駆ガスを混和又は混合することによって形成される。環状有機ケイ素化合物は、3個以上のケイ素原子を持った環構造を含むことができ、その環構造は、更に1つ以上の酸素原子を含むことができる。市販の環状有機ケイ素化合物は、ケイ素と酸素原子がケイ素原子に結合した1つ又は2つのアルキル基と交互の環を含んでいる。例えば、環状有機ケイ素化合物は、1種以上の次の化合物を含むことができる。 ・・・(中略)・・・ [0020]脂肪族化合物は、ケイ素原子を1個以上、炭素原子を1個以上有する直鎖又は分枝鎖(即ち、非環式)有機ケイ素化合物、不飽和炭素結合を少なくとも1つ有する直鎖又は分枝鎖炭化水素化合物を含んでいる。その構造は、更に酸素を含んでもよい。市販の脂肪族有機ケイ素化合物には、ケイ素原子間に酸素を有しないオルガノシランや2個以上のケイ素原子間に酸素を有するオルガノシロキサンが含まれる。例えば、脂肪族有機ケイ素化合物は、次の化合物の1種以上含むことができる。 メチルシラン CH_(3)-SiH_(3) ジメチルシラン (CH_(3))_(2)-SiH_(2) トリメチルシラン (CH_(3))_(3)-SiH ジエトキシメチルシラン(DEMS) CH_(3)-SiH-(O-CH_(2)-CH_(3))_(2) ジメチルジメトキシシラン(DMDMOS) (CH_(3)O)_(2)-Si-(CH_(3))_(2) ・・・(中略)・・・ [0021]炭化水素化合物は、1?約20個の隣接炭素原子を有する。炭化水素化合物には、単結合、二重結合、三重結合のいずれの組合わせによっても結合される隣接炭素原子が含まれてもよい。例えば、有機化合物としては、炭素原子2?約20個を有するアルケンやアルキレン、例えば、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブタジエン、t-ブチルエチレン、1,1,3,3-テトラメチルブチルベンゼン、t-ブチルエーテル、メチルメタクリレート(MMA)、又はt-ブチルフルフリルエーテルが含まれてもよい。」 (c)「【0018】 [0028]環状基を少なくとも1つ有する1種以上の化合物に関して、本明細書に用いられる“環状基”は、環構造を示すものである。環構造は、わずか3個の原子を含んでもよい。原子は、例えば、炭素、ケイ素、窒素、酸素、フッ素、又はその組合わせを含んでもよい。環状基は、1つ以上の単結合、二重結合、三重結合、又はそのいかなる組合わせを含んでもよい。例えば、環状基は、1つ以上の芳香族、アリール、フェニル、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、又はその組合わせを含んでもよい。環状基は、また、二環式又は三環式であってもよい。更に、環状基は、好ましくは直鎖又は分枝鎖官能基に結合される。直鎖又は官能基は、好ましくはアルキル又はビニルアルキル基を有し、炭素原子1?20個を有する。直鎖又は分枝鎖官能基は、酸素原子、例えば、ケトン、エーテル、又はエステルを含んでもよい。環状基を少なくとも1個有するいくつかの例示的化合物としては、α-テルピネン(ATP)、ビニルシクロヘキサン(VCH)、又はフェニルアセテートの少しの名前だけが含まれる。」 (d)「【0045】 [0055]低誘電率膜を、約5.75Torrのチャンバ圧、400℃の基板温度で次の反応性ガスから300mm基板上に堆積した。 オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、約520sccm; トリメチルシラン(TMS)、約600sccm; エチレン、約2,000sccm; 酸素、約1,000sccm; ヘリウム、約1,000sccm。」 (e)「【0088】 [00145]実施例14: [00146]低誘電率膜を、約8Torrと約225℃の温度で基板上に堆積させた。次の処理ガスと流量を用いた。 ATP、3,000mgm; TMS、500mgm; DEMS、600mgm; 酸素、100sccm 二酸化炭素、1,500sccm; [00147]基板をガス分配シャワヘッドから300ミルに配置した。13.56MHzの周波数で約600Wの電力レベルを膜のプラズマ増強堆積のシャワヘッドに加えた。膜を約2,000オングストローム/分の速度で堆積させ、SSM 5100 Hg CV測定ツールを用いて0.1MHzで測定した誘電率(k)は約4.3であった。膜の硬度は約0.1GPaであった。」 (f)上記(b)の「トリメチルシラン (CH_(3))_(3)-SiH」、「ジエトキシメチルシラン(DEMS) CH_(3)-SiH-(O-CH_(2)-CH_(3))_(2) 」及び上記(d)の「トリメチルシラン(TMS)」より、引用例には、「ジエトキシメチルシラン(DEMS) CH_(3)-SiH-(O-CH_(2)-CH_(3))_(2)がSi原子あたり一つのSi-C結合と、同じく一つのSi-H結合を有し、トリメチルシラン(TMS) (CH_(3))_(3)-SiHがSi原子あたり三つのSi-C結合を有し、この数(三つ)がジエトキシメチルシランにおけるSi原子あたりのSi-C結合の数(一つ)より大きい」ことが記載されているということができる。 (g)上記(e)の「TMS、500mgm」及び「DEMS、600mgm」からして、引用例には、「TMS/(DEMS+TMS)=500/(500+600)=0.454(約45%)」が記載されているということができる。 上記記載事項(a)ないし(e)、及び、上記検討事項(f)(g)からして、引用例には、「低誘電率膜を堆積させる方法であって: DEMSを600mgmでチャンバへ導入するステップであって、該DEMSがSi原子あたり一つのSi-C結合を有し、該DEMSは一つのSi-H結合を有する、前記ステップと; TMSを500mgmで該チャンバへ導入するステップであって、該TMSのSi原子あたりのSi-C結合の数(三つ)が、該DEMSにおけるSi原子あたりのSi-C結合の数(一つ)より大きく、且つ該600mgm(DEMS)と該500mgm(TMS)の合計量に対して該500mgm(TMS)が約45%である、前記ステップと; 該DEMSと該TMSを13.56MHzの周波数で約600Wの電力レベルで反応させて、該チャンバ内で基板上に低誘電率膜を堆積させるステップと; を含む、前記方法。」の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されているものと認める。 (2-3-2)対比・判断 本願補正発明と引用例記載の発明とを対比する。 ○引用例記載の発明の「DEMS」、「600mgm(DEMS)」、「TMS」、「500mgm(TMS)」は、本願補正発明の「第一有機シリコン化合物」、「第一流量」、「第二有機シリコン化合物」、「第二流量」にそれぞれ相当する。 ○引用例記載の発明の「該DEMSと該TMSを13.56MHzの周波数で約600Wの電力レベルで反応させて」は、本願補正発明の「該第一有機シリコン化合物と該第二有機シリコン化合物をRF電力の存在下に反応させて」に相当する。 ○引用例記載の発明の「DEMSを600mgmでチャンバへ導入するステップであって、該DEMSがSi原子あたり一つのSi-C結合を有し、該DEMSは一つのSi-H結合を有する、前記ステップと;」と、 本願補正発明の「第一有機シリコン化合物を第一流量でチャンバへ導入するステップであって、該第一有機シリコン化合物がSi原子あたり平均一つ以上のSi-C結合を有し、該第一有機シリコン化合物は少なくとも一つのSi-H結合を有する、前記ステップと;」とは、 「第一有機シリコン化合物を第一流量でチャンバへ導入するステップであって、該第一有機シリコン化合物がSi原子あたり一つのSi-C結合を有し、該第一有機シリコン化合物は一つのSi-H結合を有する、前記ステップと;」という点で共通する。 ○引用例記載の発明の「TMSを500mgmで該チャンバへ導入するステップであって、該TMSのSi原子あたりのSi-C結合の数(三つ)が、該DEMSにおけるSi原子あたりのSi-C結合の数(一つ)より大きく、且つ該600mgm(DEMS)と該500mgm(TMS)の合計量に対して該500mgm(TMS)が約45%である、前記ステップと;」と、 本願補正発明の「第二有機シリコン化合物を第二流量で該チャンバへ導入するステップであって、該第二有機シリコン化合物のSi原子あたりのSi-C結合の平均数が、該第一有機シリコン化合物におけるSi原子あたりのSi-C結合の平均数より大きく、且つ該第一流量と該第二流量の合計量に対して該第二流量が約5%?約50%であり、該第二有機シリコン化合物が、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、(C_(6)H_(5))_(y)SiH_(4-y)、ここで、yは2-4である、(CH_(2)=CH)_(Z)SiH_(4-Z)、ここで、zは2-4である、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、CF_(3)-Si-(CH_(3))_(3)、及びそれらの部分的にフッ素化された炭素誘導体からなる群より選ばれる、前記ステップと;」とは、 「第二有機シリコン化合物を第二流量で該チャンバへ導入するステップであって、該第二有機シリコン化合物のSi原子あたりのSi-C結合の数が、該第一有機シリコン化合物におけるSi原子あたりのSi-C結合の数より大きく、且つ該第一流量と該第二流量の合計量に対して該第二流量が約45%であり、該第二有機シリコン化合物が、トリメチルシランである、前記ステップと;」という点で共通する。 上記より、本願補正発明と引用例記載の発明とは、 「低誘電率膜を堆積させる方法であって: 第一有機シリコン化合物を第一流量でチャンバへ導入するステップであって、該第一有機シリコン化合物がSi原子あたり一つのSi-C結合を有し、該第一有機シリコン化合物は一つのSi-H結合を有する、前記ステップと; 第二有機シリコン化合物を第二流量で該チャンバへ導入するステップであって、該第二有機シリコン化合物のSi原子あたりのSi-C結合の数が、該第一有機シリコン化合物におけるSi原子あたりのSi-C結合の数より大きく、且つ該第一流量と該第二流量の合計量に対して該第二流量が約45%であり、該第二有機シリコン化合物が、トリメチルシランである、前記ステップと; 該第一有機シリコン化合物と該第二有機シリコン化合物をRF電力の存在下に反応させて、該チャンバ内で基板上に低誘電率膜を堆積させるステップと; を含む、前記方法。」という点で共通し、相違をみいだすことができない。 したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するので、特許を受けることができないものである。 (2-3-3)まとめ 上記からして、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (3-1)本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年4月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記2.(2-1)の(補正前)で示したものである。 (3-2)引用例の記載事項 原査定の拒絶理由において引用文献として引用した特表2005-524983号公報(引用例)の記載事項は、上記2.(2-3-1)で示したとおりである。 (3-3)対比・判断 上記2.(2-2)で示したように、本件補正における請求項1の補正事項は、択一的に記載された第二有機シリコン化合物の具体例(選択肢)の一つである「オクタメチルシクロテトラシロキサン、」を削除するものであることから、本願発明は、本願補正発明を包含している。 そうすると、本願補正発明が、上記2.(2-3-2)で示したように、引用例に記載された発明であるので、本願補正発明を包含する本願発明も同じく、引用例に記載された発明である。 (3-4)むすび したがって、本願発明は、引用例に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するので、特許を受けることができないものである。 それゆえ、本願は、特許請求の範囲の請求項2ないし13に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-09-18 |
結審通知日 | 2013-09-24 |
審決日 | 2013-10-08 |
出願番号 | 特願2008-545924(P2008-545924) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今井 淳一 |
特許庁審判長 |
豊永 茂弘 |
特許庁審判官 |
石川 好文 鈴木 正紀 |
発明の名称 | 低誘電率膜のアッシング/ウエットエッチング損傷抵抗と組込み安定性を改善する方法 |
代理人 | 園田 吉隆 |
代理人 | 小林 義教 |