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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1286286
審判番号 不服2012-18215  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-19 
確定日 2014-03-26 
事件の表示 特願2006-307314「外傷応用のためのクロステーブル・トモシンセシス撮像のシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月 7日出願公開、特開2007-136183〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年11月14日(優先権主張 平成17年11月16日 米国)を出願日とする特願2006-307314号であって、平成23年10月19日付けで拒絶理由が通知され、平成24年3月15日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされ、同年5月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審において平成25年4月17日付けで前置報告書の内容について請求人に事前に意見を求める審尋をなし、同年6月20日付けで回答書が提出された。

第2 平成24年9月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成24年9月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成24年3月15日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載の、

「X線(114)を受光するように構成され、移動自在の患者載置面(130)上に載置された患者の第1の側面に配置されたX線検出器(120)と、
前記第1の側面と反対側の前記患者の第2の側面に沿った経路を移動する間に前記経路に対して異なる角度となる複数の角度位置から前記X線検出器に向かってX線(114)を放出するように構成されているX線管(110)と、
前記複数の位置の各々から放出され、前記X線検出器(120)で受けた前記X線(114)に基づいた複数の投影画像を受けるように構成され、前記複数の投影画像から患者解剖学的構造の1枚の平面を再構成するように構成されたコンピュータ装置と、
を備える、トモシンセシス・イメージング・システム。」が

「X線(114)を受光するように構成され、壁又は床に接続されて固定されたウォール・スタンド(124)により支持され、移動自在の患者載置面(130)上に載置された患者の第1の側面に配置されたX線検出器(120)と、
前記第1の側面と反対側の前記患者の第2の側面に沿った経路を移動する間に前記経路に対して異なる角度となる複数の角度位置から前記X線検出器に向かってX線(114)を放出するように構成されているX線管(110)と、
前記複数の位置の各々から放出され、前記X線検出器(120)で受けた前記X線(114)に基づいた複数の投影画像を受けるように構成され、前記複数の投影画像から患者解剖学的構造の1枚の平面を再構成するように構成されたコンピュータ装置と、
を備え、
前記X線(114)が前記経路に沿って移動するにつれて、前記X線(114)が前記X線検出器(120)に向かうように前記X線管(110)が回転する、トモシンセシス・イメージング・システム。」と補正された。(下線は補正箇所を示す。)

そして、この補正は、「X線検出器(120)」について「壁又は床に接続されて固定されたウォール・スタンド(124)により支持され」るものであることを特定する補正事項、及び、「X線管(110)」について「前記X線(114)が前記経路に沿って移動するにつれて、前記X線(114)が前記X線検出器(120)に向かうように」「回転する」るものであることを特定する補正事項からなり、いずれも、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的とする補正であるといえる。
すなわち、本件補正における請求項1に係る発明の補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものである。

2 独立特許要件違反についての検討
そこで、次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反しないか)について検討する。

(1)引用例
ア 本願の優先日前に頒布(公開)された刊行物である特開2004-357912号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。(下記「イ 引用例1に記載された発明の認定」に直接関与する記載に下線を付した。)

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体に関する撮影方向の異なる複数の画像のデータを指定断面の奥行きに応じて加算することにより断面上の部位の像が鮮明で断面以外の部位の像が不鮮明な断層画像データを再構成する機能を有するX線断層撮影装置に関する。」

「【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明によるX線断層撮影装置を好ましい実施形態により説明する。図1は本実施形態に係るX線断層撮影装置のブロック図である。図2は、図1のX線管球部とX線検出器部の配置を示している。X線管球部51は、X線管球20と、X線管球20を移動可能に支持及びその移動を駆動するために構成されたX線管球支持機構52と、X線管球20及びX線管球支持機構52を収容するケーシング23とから構成される。X線管球20には高電圧発生部61から高電圧が印加される。それにより被検体4に、X線管球20に取り付けられたX線絞り21で成形されたX線が照射される。X線管球部51は、床面上に設置された支持機構53に移動可能に支持される。X線検出器部54は、2次元状に配列された複数のX線検出素子を有するX線検出器5と、X線検出器5を収容するケーシング24とから構成される。X線検出器部54は、寝台56の昇降及び体軸移動可能な天板26上に載置された被検体4を挟んでX線管球部51に対向するように床面上に設置された支持機構55に支持される。X線管球部支持機構53とX線検出器部支持機構55とは別体でもよいし、図2に示すように、一体構造25で構成されていても良い。図3には、X線管球部51とX線検出器部54はそれぞれ、支持機構30,31に固定され、独立に移動できる構成を例示している。X線管球部51の上部にはアーム29を介してCCDカメラ(光学カメラ)28が配置される。CCDカメラ28の位置及び向きは、天板26上に仰向きで横たわっている被検体4の光学像を正面から撮影することが可能に調整されている。
【0016】
撮影制御部60は、再構成可能範囲と関心部位との位置合わせ段階と、位置合わせ完了後に実際に被検体4を断層撮影する段階とにおいて、それぞれの段階に応じた撮影手順で高電圧発生部61、X線管球部支持機構53、X線管球移動機構部52、X線検出器5、X線検出器部支持機構55、寝台56の各動作を制御するために設けられている。
【0017】
X線検出器5には、位置合わせ段階及び断層撮影段階において、撮影制御部60の制御によりX線検出器5から繰り返し出力されるX線画像データを撮影に同期して順次記憶するためのデータ記憶部62が接続される。再構成部63は、システム制御部65の制御のもとで、断層撮影段階において撮影され、データ記憶部62に記憶されている複数の撮影方向にそれぞれ対応する複数のX線画像のデータを、操作者が入力部66を介して任意に指定された再構成範囲を含む断面の位置に基づいて加算することにより、当該再構成範囲を含む断面に対応する断層画像データを再構成するために設けられている。断面には、再構成範囲とその周辺が含まれる。再構成範囲は、再構成可能範囲内の領域であり、その断面内の組織形態が鮮明に描画される。一方、同じ断面内であっても、再構成範囲の周囲、つまり、再構成可能範囲から外れた領域では、組織形態は鮮明には描画されない。
【0018】
システム制御部65には、データ記憶部62、再構成部63及び入力部66とともに、表示プロセッサ68、再構成可能範囲計算部71、位置計算部70、位置合わせ計算部72が接続されている。
【0019】
再構成可能範囲計算部71は、位置合わせ段階において、断層撮影段階で予定されている複数の撮影方向から断層画像データを再構成することの可能な3次元の再構成可能範囲を空間座標上で計算するために設けられている。表示プロセッサ68は、位置合わせ段階において撮影された撮影方向の異なる少なくとも2つのX線画像と、再構成可能範囲計算部71で計算された再構成可能範囲を奥行き方向を含む2次元で表すフレームとをから画面を構成して、表示部67に表示する。
【0020】
位置計算部70は、表示部67上に表示された撮影方向の異なる2つのX線画像上で入力部66を介して指定された同一関心部位の位置(2次元の検出器座標系での位置)を3次元の空間座標系上での位置に変換すると共に、それら変換した同一の関心部位に関する2つの位置と、当該2枚のX線画像を撮影したときの空間座標系上での2つの撮影方向とに基づいて、当該関心部位の空間座標系上での3次元の位置を計算するために設けられている。つまり、撮影方向の変化に対する関心部位の位置の変化の方向及び距離に基づいて、関心部位の位置が計算される。
【0021】
なお、空間座標系を、説明の便宜上、図2、図4に示すように既定する。ここでは空間座標系は、X線管球部51の配置により決まる。X線管球20は移動機構52により移動される。移動機構52はX線管球20からのX線錐の中心線が一点(不動点)で交差するように構成されている。この不動点を原点として、X線管球部51の中心からX線検出器部54に向かう奥行き方向をZ軸、前後方向にX軸、上下方向にY軸を既定する。
【0022】
表示プロセッサ68は、計算された関心部位の位置に基づいて、再構成可能範囲をXZ又はYZの2次元で表すフレーム上に、関心部位の位置を表すマークを重畳する。フレーム上には、関心部位の位置を表すマークとともに、操作者が指定した再構成位置を表すラインマークを重畳するようにしても良い。この再構成可能範囲を表すフレームと、関心部位の位置を表すマークとの位置関係から、前後方向X(又は上下方向Y)に関する再構成可能範囲と関心部位との位置関係とともに、奥行き方向Zに関する再構成可能範囲と関心部位との位置関係が理解され得る。
【0023】
位置合わせ計算部72は、再構成可能範囲と関心部位の位置とに基づいて、関心部位の位置に対する再構成可能範囲の中心位置又は任意の指定位置の空間座標上でのズレ方向とその距離とを計算するために設けられている。計算されたズレ方向と距離に基づいて、システム制御部65は支持機構53、55を制御してX線管球部51及びX線検出器部54の位置を変更することにより、またはX線管球移動機構52を制御してX線管球20の移動軌跡を変更することにより、再構成可能範囲の中心位置又は任意の指定位置が被検体内の関心部位に一致させることができる。」

「【0029】
被検体4の関心部位を再構成可能範囲に対して大まかな位置合わせが終了した後に、正確な位置合わせのためにX線透視が行われる。位置合わせ段階での撮影は断層撮影段階の撮影よりも低いX線強度で行われる。低いX線強度を使って一定の周期で撮影が繰り返される。
【0030】
被検体4は、寝台天板26に仰向きで横たわる。被検体4の頭部は図示しない頭部固定器によって天板26上で固定される。図10において、矢印1はX線の撮影方向であり、矢印1の始点の位置にX線管球20の焦点(X線発生点)がある。X線管球20で発生したX線は、絞り21で成形され、全体としてX線錐3を成す。2はX線錐3の中心線である。X線錐3は被検体4を通過し、X線検出器5の受光面上に投影され、そのX線画像がX線検出器5で撮影される。撮影されたX線画像データはデータ記憶部62に記憶される。撮影制御部60の制御のもとで、X線管球20は移動機構部52により断層撮影段階で予定されている軌道に沿って、直線的又は円弧状に移動する。移動の間、所定周期で繰り返し撮影される。それにより撮影方向の異なる複数のX線画像のデータがデータ記憶部62に記憶される。」

「【0040】
図15は、X線管球20が直線軌道に沿って移動する場合を示している。X線管球20は位置aから位置bを経由して位置cに至る矢印の方向に直線的に移動しながら、X線錐3の中心が定点(不動点)pを常に通るように、X線管球20の振り角ψがその直線移動に連動して変化され、その間、撮影が繰り返される。このX線管球20の移動による投影面の移動に応じて、X線検出器5が移動する。X線検出器5が十分広い検出面を持つ場合は、X線検出器5は固定される。直線移動に対して連動するX線管球20の振り角の移動範囲を変えること、つまりX線管球20が位置aのときのX線管球20の振り角、X線管球20が位置bのときのX線管球20の振り角、X線管球20が位置cのときのX線管球20の振り角を変更することによって、定点pの位置は、例えば図16に示すようにp’に変位し、再構成可能領域RからR’に変位させることができる。
【0041】
また、複数の再構成可能領域が接するように、定点pの位置を複数箇所設定して、連続して撮影を行えば、再構成可能領域を実効的に拡大することができる。図17に示す再構成可能領域は、図15の範囲Rと図16の範囲R’とが合成された範囲を示している。この場合、X線管球20の被検体に対する移動位置を一定とすると、X線検出器5の移動位置が変化する。定点pおよびp’の撮影を一方向のスキャンで撮影を行う場合は、a,b,cの振り角移動と、a’,b’,c’の振り角移動をa,a’,b,b’,c,c’のように行えば良い。
【0042】
以上のように位置合わせ段階が終了した後、断層撮影段階が開始される。断層撮影段階では、位置合わせ段階で決定された位置にX線管球部51とX線検出器部54とが固定され、また位置合わせ段階で決定された軌道に沿ってX線管球20が移動する。その移動の間、位置合わせ段階での透視時よりも強いX線で撮影が所定の周期で繰り返される。それにより撮影方向の異なる複数のX線画像のデータがデータ記憶部62に記憶される。
【0043】
一般に、X線の散乱線の影響を低減させるために、集束型グリッドが使用される。X線管球20はX線検出器5に対して常に正対した状態で移動する場合、集束型グリッドが検出器5の受光面に固定され、検出器5と一体となって移動する。
【0044】
装置の小型化のために、検出器5を固定する構成、あるいは、検出器5の傾きを変えずに移動だけ行う構成では、X線検出器5に対するX線の入射角がX線管球20の移動とともに変化するので、グリッドの方向をX線管球20の移動に合わせて変化させる必要がある。」

「【図1】



「【図2】


「【図4】



「【図15】



イ 引用例1に記載された発明の認定
上記記載(図面の記載も含む)を総合すれば、引用例1には、
「X線管球部51は、X線管球20と、X線管球20を移動可能に支持及びその移動を駆動するために構成されたX線管球支持機構52と、X線管球20及びX線管球支持機構52を収容するケーシング23とから構成され、X線管球20には高電圧発生部61から高電圧が印加され、それにより被検体4に、X線管球20に取り付けられたX線絞り21で成形されたX線が照射され、X線管球部51は、床面上に設置された支持機構53に移動可能に支持され、
X線検出器部54は、2次元状に配列された複数のX線検出素子を有するX線検出器5と、X線検出器5を収容するケーシング24とから構成され、X線検出器部54は、寝台56の昇降及び体軸移動可能な天板26上に載置された被検体4を挟んでX線管球部51に対向するように床面上に設置された支持機構55に支持され、
X線検出器5には、位置合わせ段階及び断層撮影段階において、撮影制御部60の制御によりX線検出器5から繰り返し出力されるX線画像データを撮影に同期して順次記憶するためのデータ記憶部62が接続され、再構成部63は、システム制御部65の制御のもとで、断層撮影段階において撮影され、データ記憶部62に記憶されている複数の撮影方向にそれぞれ対応する複数のX線画像のデータを、操作者が入力部66を介して任意に指定された再構成範囲を含む断面の位置に基づいて加算することにより、当該再構成範囲を含む断面に対応する断層画像データを再構成するために設けられ、
X線管球20が直線軌道に沿って移動し、直線移動に対して連動するX線管球20の振り角の移動範囲を変えること、つまりX線管球20が位置aのときのX線管球20の振り角、X線管球20が位置bのときのX線管球20の振り角、X線管球20が位置cのときのX線管球20の振り角を変更するX線断層撮影装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

(2)本願補正発明と引用発明との対比
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「X線絞り21で成形されたX線」、「床面上に設置された支持機構55」、「体軸移動可能な天板26」、「X線検出器5」及び「X線管球20」が、それぞれ、本願補正発明の「X線(114)」、「壁又は床に接続されて固定されたウォール・スタンド(124)」、「移動自在の患者載置面(130)」、「X線検出器(120)」及び「X線管(110」に相当するから、引用発明の「2次元状に配列された複数のX線検出素子を有するX線検出器5と、X線検出器5を収容するケーシング24とから構成され」、「寝台56の昇降及び体軸移動可能な天板26上に載置された被検体4を挟んでX線管球部51に対向するように床面上に設置された支持機構55に支持され」る「X線検出器部54」における「X線検出器5」、及び、「X線管球20と、X線管球20を移動可能に支持及びその移動を駆動するために構成されたX線管球支持機構52と、X線管球20及びX線管球支持機構52を収容するケーシング23とから構成され、X線管球20には高電圧発生部61から高電圧が印加され、それにより被検体4に、X線管球20に取り付けられたX線絞り21で成形されたX線が照射され」、「床面上に設置された支持機構53に移動可能に支持され」る「X線管球部51」における「X線管球20」が、それぞれ、本願補正発明の「X線(114)を受光するように構成され、壁又は床に接続されて固定されたウォール・スタンド(124)により支持され、移動自在の患者載置面(130)上に載置された患者の第1の側面に配置されたX線検出器(120)」、及び、「前記第1の側面と反対側の前記患者の第2の側面に沿った経路を移動する間に前記経路に対して異なる角度となる複数の角度位置から前記X線検出器に向かってX線(114)を放出するように構成されているX線管(110)」に相当する。

(イ)引用発明の「システム制御部65の制御のもとで、断層撮影段階において撮影され、データ記憶部62に記憶されている複数の撮影方向にそれぞれ対応する複数のX線画像のデータを、操作者が入力部66を介して任意に指定された再構成範囲を含む断面の位置に基づいて加算することにより、当該再構成範囲を含む断面に対応する断層画像データを再構成するために設けられ」た「再構成部63」が、本願補正発明の「前記複数の位置の各々から放出され、前記X線検出器(120)で受けた前記X線(114)に基づいた複数の投影画像を受けるように構成され、前記複数の投影画像から患者解剖学的構造の1枚の平面を再構成するように構成されたコンピュータ装置」に相当する。

(ウ)引用発明の「X線管球20の振り角を変更する」ことが、本願補正発明の「X線管(110)が回転する」ことに相当するといえるから、引用発明の「X線管球20が直線軌道に沿って移動し、直線移動に対して連動するX線管球20の振り角の移動範囲を変えること、つまりX線管球20が位置aのときのX線管球20の振り角、X線管球20が位置bのときのX線管球20の振り角、X線管球20が位置cのときのX線管球20の振り角を変更する」ことが、本願補正発明の「前記X線(114)が前記経路に沿って移動するにつれて、前記X線(114)が前記X線検出器(120)に向かうように前記X線管(110)が回転する」ことに相当する。

(エ)引用発明の「X線断層撮影装置」が、本願補正発明の「トモシンセシス・イメージング・システム」に相当する。

イ 一致点・相違点
よって、本願補正発明と引用発明は、
「X線(114)を受光するように構成され、壁又は床に接続されて固定されたウォール・スタンド(124)により支持され、移動自在の患者載置面(130)上に載置された患者の第1の側面に配置されたX線検出器(120)と、
前記第1の側面と反対側の前記患者の第2の側面に沿った経路を移動する間に前記経路に対して異なる角度となる複数の角度位置から前記X線検出器に向かってX線(114)を放出するように構成されているX線管(110)と、
前記複数の位置の各々から放出され、前記X線検出器(120)で受けた前記X線(114)に基づいた複数の投影画像を受けるように構成され、前記複数の投影画像から患者解剖学的構造の1枚の平面を再構成するように構成されたコンピュータ装置と、
を備え、
前記X線(114)が前記経路に沿って移動するにつれて、前記X線(114)が前記X線検出器(120)に向かうように前記X線管(110)が回転する、トモシンセシス・イメージング・システム。」の発明である点で一致し、両者の間に格別の相違点は存在しない。
そして、両者の間に格別の相違点が認められないことから、本願補正発明が奏する作用効果は、当然に、引用発明も奏する作用効果であるといえるから、作用効果についても両者の間で相違するものではない。

(3)当審の判断
よって、本願補正発明は、引用発明であるというべきである。
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号において規定する発明に該当し、特許を受けることができない。

(4)結言
本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号において規定する発明に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができない。
よって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(5)補足
請求人は、平成25年6月20日付けで提出された回答書において、
「特開2004-357912号公報(以下「文献5」とします)は、審査過程で引用された文献ではなく、出願人は、文献5に基づく拒絶理由通知は受領しておらず、補正の機会や意見を述べる機会は与えられておりません。このため、本願の審査は、特許法第50条に違反した違法な手続きに基づくものであり、かかる違法な手続きに基づく上記拒絶査定は取り消されるべきものであると思料いたします。」(回答書第2ページ下から第9?4行)
と主張している。(当審注;上記の「特開2004-357912号公報」は、本審決の引用例1である。)
しかしながら、平成18年改正前特許法(現行の特許法でも同様)第159条第2項で読み替えて準用する同法第50条のただし書きの規定により、審判請求時になされた本件補正に対して、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定による補正の却下の決定をするときについては、「拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。」という規定は除外されている、すなわち、審判請求時の補正に対して補正の却下の決定をするときに、請求人に対して、拒絶の理由を通知して意見書を提出する機会を与える必要はないことが特許法に規定されていることは明らかであるといえる。
そして、上記の「特開2004-357912号公報」(本審決の引用例1)は、審査過程の拒絶査定において引用されたものではなく、審判請求時になされた補正である本件補正に対してなされた前置報告において引用された文献であるから、審査過程の拒絶査定、及び、上記引用例1を引用してなされる本件補正に対する補正の却下の決定は、いずれも、「特許法第50条に違反した違法な手続きに基づくもの」ということできないのであるから、上記請求人の主張(要請)を採用することはできない。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成24年9月19日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年3月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成24年9月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布(公開)された刊行物である特開2000-279404号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。(下記「(2)引用例2に記載された発明の認定」に直接関与する記載に下線を付した。)

「【0001】
【発明の分野】本発明は一般的には、イメージングに関し、より具体的には、スケーラブルなマルチスライス・イメージング・システムに関する。」

「【0014】
【発明の詳しい記載】図1及び図2を参照して説明すると、一実施例によるマルチモード・イメージング・システム10が、基部14と、位置決め手段16とを含んでいるものとして示されている。一実施例では、基部14は、システム10がイメージングされる物体(図1及び図2には示されていない)に対して移動自在になるように、複数の車輪20又はその他の類似の位置変更装置を有する可搬型プラットフォーム18から伸びている。代替的な実施例では、基部14は、固定された表面、即ち壁面(図示されていない)に移動自在に結合されて、この表面から伸びている。一実施例では、位置決め手段16はアームを含んでおり、アームは基部14に移動自在に結合され、且つ第1の端部22と第2の端部24とを含んでいる。より詳しく述べると、アーム16は、回転軸の周りで基部14に対して回転すると共に基部14に対して移動して、アームの第1の端部22と基部14との間の距離及びアームの第2の端部24と基部14との間の距離をそれぞれ変化させる。アームの第1の端部22には、X線源アセンブリ26が移動自在に結合されている。X線源アセンブリ26は、X線信号を放出するように構成されているX線源28を含んでいる。アームの第2の端部24には、検出器アセンブリ30が移動自在に結合されている。検出器アセンブリ30は検出器32を含んでいて、前記線源28から物体の画像を形成するためのX線信号を受け取るように構成されている。アーム16を基部14に対して移動させることにより、線源アセンブリ26が基部14に近付く又は遠ざかって移動するように線源アセンブリ26の位置を変化させることができる。線源アセンブリ26の位置を変化させると、検出器アセンブリ30の基部14に対する位置が反対の方向に変化する。
【0015】より詳しく述べると、線源28及び検出器32は、物体に関する関心のある平面34に沿って整列している。線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30はそれぞれ、互いに対して独立に移動して、物体に関する関心のある平面34を変化させる。加えて、線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30はそれぞれ、互いに独立にアーム16に対して移動するように構成されており、システム10の幾何構成が変化し得るように線源28と検出器32との間の距離を変化させる。より詳しく述べると、システムのイソセンタと線源28との間の距離及びシステムのイソセンタと検出器32との間の距離がそれぞれ変化するように、線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30の位置を変更し、即ち変化させることができる。図3に示すように、線源28と検出器32との間の距離及びシステム10のアイソセンタまでのそれぞれの距離を変化させることにより、システム10の拡大率を修正することができる。修正自在の拡大率は、特殊なイメージングの需要に利用することができる。
【0016】検出器32は、一実施例では、複数の検出器素子34によって形成されており、これらの素子34は全体で、物体を通過する投射されたX線を感知して、画像データを収集する。検出器32は、シングル(単一)スライス構成、マルチ(複数)スライス構成又はフラット・パネル構成として作製され得る。」

「【0020】一実施例では、アーム16の運動、並びにX線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30の動作は、システム10の制御機構52によって制御されている。コントローラ、即ち制御機構52は、X線制御器54とモータ制御器56とを含んでいる。X線制御器54は、X線源28に対して電力信号及びタイミング信号を供給し、またモータ制御器56は、アーム16、線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30の位置を制御する。制御機構52内に設けられているデータ取得システム(DAS)58が、検出器32から、後続の処理のためにデータをサンプリングする。画像再構成器60が、サンプリングされたX線データをDAS58から受け取り、高速画像再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ62への入力として印加され、コンピュータ62は、該画像を大容量記憶装置64に記憶させる。」

「【0027】「CT立体摺動(volume sliding)」CT立体摺動モードは、公知のイメージング・システムを用いていたのでは撮影することが困難である又は不可能であるような形状、位置又は構成を有する物体の画像の形成を可能にするものである。より詳しく述べると、図4及び図7に示すように、システム10がテーブル46の側辺のうち1辺に沿って配置されている場合に、線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30がテーブル46に対して垂直に移動するように、アーム16を基部14に対して移動させる。具体的には、アーム16が基部14に対して移動するにつれて、線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30は、関心のある平面34がテーブル46の表面52に平行になるように、物体50の周りを旋回する。例えば、図5に示すように、テーブル46上に位置決めされた物体50を走査するために、アームの第1の端部22と基部14との間の距離、及び第2の端部24と基部14との間の距離のそれぞれが変化するように、アーム16を基部14に対して移動させる。より詳しく述べると、一実施例では、線源アセンブリ26が基部14から最大の距離となり、検出器アセンブリが基部14から最小の距離となるように、アーム16を基部14に対して移動させる。」

「【0029】「X線フルオロ・モード」一旦、他のモードのうち1つを用いて物体50の少なくとも1つの3次元画像が形成されたら、システム10は、物体50の体内の要素の位置を突き止めるようにX線フルオロ・モードに置かれる。一実施例では、図7に示すように、システム10がテーブル46の1つの側辺に沿って位置決めされている場合に、アーム16を物体50に対して位置決めすると共に位置を固定し、即ち、関心のある平面34が基部14に平行となり、線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30が基部14から等距離となるようにアーム16を位置決めする。次いで、線源26と検出器30との間の距離を、走査する選択区域に合わせて調節する。次いで、線源28が起動されて、画像データが収集される。次いで、検出器32の位置を固定したままにして、線源28を物体50、即ち患者のZ軸に沿って並進(平行移動)させ、物体内の所望の要素、即ち関心のある骨の位置を突き止めることができる。線源28が並進するのと同時に、公知のフルオロスコピー法に従って関心のある平面34に沿った一連の実時間画像を形成し、物体50内の所望の要素の位置を決定する。次いで、様々な角度で取得された多数の画像を結合することにより、擬似3次元画像を形成してもよい。これにより、従来の単一位置の画像にはない更なる深さ情報が得られる。
【0030】もう1つの実施例では、線源28を物体50に対して角度を成して並進させ、3次元画像において関心のある骨の位置を決定する。より詳しく述べると、Z軸並進に加えて、線源28が物体50に対して角度を成して並進するように、線源28を検出器アセンブリ30に向かって又は検出器アセンブリ30から遠ざかるようにシフトさせる、即ち移動させて、実時間画像を形成する。
【0031】もう1つの実施例では、検出器パネル102及び104から収集されたデータを用いて、所望の要素、即ち関心のある骨の位置を直接決定してもよい。図6を参照してより詳しく述べると、それぞれのパネル102及び104が互いに対して角度を成して位置決めされている場合に、それぞれのパネル102及び104について別個の画像が形成される。パネル102及び104から形成された別個の画像内の既知の基準の位置を決定した後に、公知の三角測量法を用いて3次元画像上での関心のある骨の位置を直接決定する。より具体的には、一実施例では、二重スポット線源28を利用し且つ線源28の線形並進を利用して、3次元画像上での位置が決定される。
【0032】例えば、CT立体モードのうち1つのモードを用いて3次元画像を形成した後に、操作者は、システム10をフルオロ・モードに置く。形成されたフルオロ・モードの実時間画像を用いて、操作者、例えば医師は、少なくとも1つの関心のある骨の位置を突き止めることができる。加えて、フルオロ画像を利用して、関心のある骨に対する他の装置の位置を表示し決定してもよい。例えば、画像を用いて、関心のある骨に挿入される医療用ねじの位置を決定することができる。詳しく述べると、これらの画像を利用して、関心のある骨に対する医療器具、例えばドリルの軌跡を予測する、即ち決定してもよい。このことは又、ねじ又は器具の位置決め装置に指令を与えることにより達成することもできる。画像が形成された後に、操作者は、システム10を物体50に対して改めて位置決めしてもよいし、又は異なる動作モードを選択してもよい。加えて、操作者がすべての作業を完了したならば、物体50に干渉したり物体50を煩わせたりせずにシステム10を除去することができる。」

「【図1】



「【図4】



「【図7】



「【図8】




(2)引用例2に記載された発明の認定
【0029】における「関心のある平面34が基部14に平行となり、線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30が基部14から等距離となるようにアーム16を位置決めする。」及び「検出器32の位置を固定したままにして、線源28を物体50、即ち患者のZ軸に沿って並進(平行移動)させ」の記載からして、【0029】の「図7に示すように」の記載は、「図8に示すように」の誤りであることは明らかである。
そして、【図8】から、X線源アセンブリ26から(すなわち、X線源28から)生じるX線信号は、X線源アセンブリ26(X線源28)の異なる位置において、X線源28が並進する経路に対して異なる角度で検出器アセンブリ30(検出器32)に向かって放出されていること、及び、物体50がテーブル46上に載置され、X線源アセンブリ26(X線源28)がテーブル46上に載置されている物体50の上面側に配置され、また、検出器アセンブリ30(検出器32)が物体50の下面側に配置されていることが見て取れる。

よって、上記記載を総合すると、引用例2には、
「イメージングされる物体50に対して移動自在になるように、複数の車輪20又はその他の類似の位置変更装置を有する可搬型プラットフォーム18から伸びているマルチモード・イメージング・システム10が、位置決め手段16とを含み、位置決め手段16はアームを含んでおり、
アームの第1の端部22には、X線源アセンブリ26が移動自在に結合され、X線源アセンブリ26は、X線信号を放出するように構成されているX線源28を含んでおり、アームの第2の端部24には、検出器アセンブリ30が移動自在に結合され、検出器アセンブリ30は検出器32を含んでいて、前記線源28から物体の画像を形成するためのX線信号を受け取るように構成され、
X線源28及び検出器32はそれぞれ、互いに対して独立に移動して、物体に関する関心のある平面34を変化させ、
物体50がテーブル46上に載置され、X線源28が物体50の上面側に配置され、検出器32が物体50の下面側に配置され、
次いで、検出器32の位置を固定したままにして、X線源28を物体50、即ち患者のZ軸に沿って並進(平行移動)させ、
X線源28から生じるX線信号は、X線源28の異なる位置において、X線源28が並進する経路に対して異なる角度で検出器32に向かって放出され、
X線源28が並進するのと同時に、公知のフルオロスコピー法に従って関心のある平面34に沿った一連の実時間画像を形成し、
データ取得システム(DAS)58が、検出器32から、後続の処理のためにデータをサンプリングし、画像再構成器60が、サンプリングされたX線データをDAS58から受け取り、高速画像再構成を実行するマルチスライス・イメージング・システム。」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。

3 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明2とを対比する。
ア 引用発明2の「X線信号」、「物体50」、「検出器32」及び「X線源28」が、それぞれ、本願発明の「X線(114)」、「患者」、「X線検出器(120)」及び「X線管(110)」に相当する。
また、引用発明2においては「マルチモード・イメージング・システム10」は「イメージングされる物体50に対して移動自在になるように」構成されていることから、引用発明2の「物体50」を載置する「テーブル46」は、「マルチモード・イメージング・システム10」に対して相対的に移動自在であるといえるから、本願発明の「移動自在の患者載置面(130)」に相当するものであるといえる。
さらに、引用発明2における、「『物体50の上面側』及び『物体50の下面側』」と、本願発明の「『患者の第1の側面』及び『第1の側面と反対側の前記患者の第2の側面』」とは、「『患者の第1の面』及び『第1の面と反対側の前記患者の第2の面』」である点で一致している。
よって、引用発明2の「イメージングされる物体50に対して移動自在になるように、複数の車輪20又はその他の類似の位置変更装置を有する可搬型プラットフォーム18から伸びているマルチモード・イメージング・システム10が、位置決め手段16とを含み、位置決め手段16はアームを含んでおり、アームの第1の端部22には、X線源アセンブリ26が移動自在に結合され、X線源アセンブリ26は、X線信号を放出するように構成されているX線源28を含んでおり、アームの第2の端部24には、検出器アセンブリ30が移動自在に結合され、検出器アセンブリ30は検出器32を含んでいて、前記線源28から物体の画像を形成するためのX線信号を受け取るように構成され、X線源28及び検出器32はそれぞれ、互いに対して独立に移動して、物体に関する関心のある平面34を変化させ、物体50がテーブル46上に載置され、X線源28が物体50の上面側に配置され、検出器32が物体50の下面側に配置され、次いで、検出器32の位置を固定したままにして、X線源28を物体50、即ち患者のZ軸に沿って並進(平行移動)させ、X線源28から生じるX線信号は、X線源28の異なる位置において、X線源28が並進する経路に対して異なる角度で検出器32に向かって放出され」ることと、本願発明の「X線(114)を受光するように構成され、移動自在の患者載置面(130)上に載置された患者の第1の側面に配置されたX線検出器(120)と、前記第1の側面と反対側の前記患者の第2の側面に沿った経路を移動する間に前記経路に対して異なる角度となる複数の角度位置から前記X線検出器に向かってX線(114)を放出するように構成されているX線管(110)と」「を備える」こととは、「X線(114)を受光するように構成され、移動自在の患者載置面(130)上に載置された患者の第1の面に配置されたX線検出器(120)と、前記第1の面と反対側の前記患者の第2の面に沿った経路を移動する間に前記経路に対して異なる角度となる複数の角度位置から前記X線検出器に向かってX線(114)を放出するように構成されているX線管(110)と」「を備える」点で一致する。

イ 引用発明2の「X線源28が並進するのと同時に、公知のフルオロスコピー法に従って関心のある平面34に沿った一連の実時間画像を形成」すること、及び、「データ取得システム(DAS)58が、検出器32から、後続の処理のためにデータをサンプリングし、画像再構成器60が、サンプリングされたX線データをDAS58から受け取り、高速画像再構成を実行する」ことが、本願発明の「前記複数の位置の各々から放出され、前記X線検出器(120)で受けた前記X線(114)に基づいた複数の投影画像を受けるように構成され、前記複数の投影画像から患者解剖学的構造の1枚の平面を再構成するように構成されたコンピュータ装置」「を備える」ことに相当する。

ウ 引用発明2の「マルチスライス・イメージング・システム」が、本願発明の「トモシンセシス・イメージング・システム」に相当する。

(2)一致点
そうすると、本願発明と引用発明2は、
「X線(114)を受光するように構成され、移動自在の患者載置面(130)上に載置された患者の第1の面に配置されたX線検出器(120)と、
前記第1の面と反対側の前記患者の第2の面に沿った経路を移動する間に前記経路に対して異なる角度となる複数の角度位置から前記X線検出器に向かってX線(114)を放出するように構成されているX線管(110)と、
前記複数の位置の各々から放出され、前記X線検出器(120)で受けた前記X線(114)に基づいた複数の投影画像を受けるように構成され、前記複数の投影画像から患者解剖学的構造の1枚の平面を再構成するように構成されたコンピュータ装置と、
を備える、トモシンセシス・イメージング・システム。」
の発明である点で一致し、両者は、次の点において、一応、相違する。

(3)相違点
「X線検出器」(引用発明2においては「検出器」)及び「X線管」(引用発明2においては「X線源」)が配置される「患者」(引用発明2においては「物体」)の「面」が、本願発明においては「側面」である、すなわち、患者の横方向に配置されるのに対し、引用発明2においては「上下面」である、すなわち物体の上下方向に配置される点。


4 当審の判断
(1)上記相違点について
引用例2には【0027】において「具体的には、アーム16が基部14に対して移動するにつれて、線源アセンブリ26及び検出器アセンブリ30は、関心のある平面34がテーブル46の表面52に平行になるように、物体50の周りを旋回する。」と記載され、また、【図7】からも、検出器(検出器アセンブリ26)及びX線源(X線源アセンブリ30が)が物体(患者)の横方向に配置されることが記載されているから、関心のある平面34をテーブル46の表面52に平行に設定して、すなわち、検出器及びX線源を物体(患者)の横方向に配置して、X線信号を物体に対して走査することも想定されている。
したがって、上記相違点は、引用例2に記載されていた事項に過ぎないことである。
そして、引用例2の【図8】のように「検出器アセンブリ30(検出器32)の位置を固定したままにして、X線源アセンブリ26(X線源28)を物体50、即ち患者のZ軸に沿って並進(平行移動)させ」る構成を、【図7】のような検出器アセンブリ30(検出器32)とX線源アセンブリ26(X線源28)の位置関係のもの(すなわち、それらが物体50の側面に配置されたもの)においても用いることも、想定されていることにすぎないといえるから、本願発明と引用例2に記載された発明との間の実質的な相違点ということはできない。
そして、両者の間に実質的な相違点が認められないことから、本願発明が奏する作用効果は、当然に、引用例2に記載された発明も奏する作用効果であるといえるから、作用効果についても両者の間で実質的に相違するものではない。

(2)よって、本願発明は実質的に引用例2に記載された発明であるというべきである。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、実質的に引用例2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-18 
結審通知日 2013-10-22 
審決日 2013-11-08 
出願番号 特願2006-307314(P2006-307314)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A61B)
P 1 8・ 575- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安田 明央  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 信田 昌男
藤田 年彦
発明の名称 外傷応用のためのクロステーブル・トモシンセシス撮像のシステム及び方法  
代理人 小倉 博  
代理人 荒川 聡志  
代理人 黒川 俊久  
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