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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A62C
管理番号 1287718
審判番号 無効2011-800235  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-11-16 
確定日 2014-01-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4700215号発明「防火区画壁」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4700215号の請求項に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第4700215号に係る出願は、平成13年4月13日(優先権主張平成13年4月10日)の出願であって、平成23年3月11日にその請求項1?4に係る発明について特許権の設定登録がなされたものである。
これに対して、チヨダウーテ株式会社(以下、「請求人」という。)から平成23年11月16日付けで請求項1?4に係る発明の特許について、無効審判の請求がなされたものであり、その後の手続の経緯は,以下のとおりである。

審判請求書 平成23年11月16日
審判事件答弁書 平成24年 2月 2日
訂正請求書 平成24年 2月 2日
審判事件弁駁書 平成24年 4月19日
訂正拒絶理由 平成24年 5月 2日
無効理由通知 平成24年 5月 2日
訂正拒絶理由に対する意見書 平成24年 5月30日
無効理由通知に対する意見書 平成24年 6月 1日
審理事項通知書 平成24年 7月 2日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成24年 7月25日
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成24年 7月25日
口頭審理陳述要領書(2)(被請求人) 平成24年 8月 8日
口頭審理(特許庁審判廷) 平成24年 8月 8日
審理終結通知(口頭による) 平成24年 8月 8日

2.平成24年2月2日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)について

以下、本件訂正請求について検討する。

(1)本件訂正請求の内容

A.特許請求の範囲に記載した、
「【請求項1】
室と室、または室と設備空間とを仕切る屋内非耐力壁であって、軽量鉄骨製スタッド及び不燃性ボード材料により形成される乾式工法の防火区画壁において、
壁芯に沿って配置された上下の溝型ランナと、
上端部及び下端部を上下の前記溝型ランナの溝内に挿入されて垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された軽量鉄骨製スタッドと、
該スタッドの片面にのみ取付けられ、2層構造に積層された不燃性ボード材料とからなり、
前記ボード材料は、9.5?25mmの範囲内の板厚を有する石膏ボード又は石膏板であり、
前記スタッド及びボード材料の各着火温度は、1000℃以上の温度であり、
防火区画壁の任意の側の雰囲気温度が950℃の高温に達したときに、防火区画壁の他方の側における前記ボード材料の表面温度は、最高200℃以下、平均160℃以下の範囲内の温度を維持し、
前記ボード材料は、不燃性且つ耐熱性を有する係止具によって前記スタッドに固定され、該係止具は、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され、耐火構造壁の片側領域の雰囲気温度が900℃以上の高温に達したときに、前記ボード材料及びスタッドの一体性を保持するとともに、前記スタッドの熱変形を抑制することを特徴とする防火区画壁。
【請求項2】
前記ボード材料は、加熱時におけるボード素材の結晶水の蒸発気化熱によりボード自体の温度上昇を抑制する性質を有することを特徴とする請求項1に記載の防火区画壁。
【請求項3】
前記ボード材料は、21mmの板厚を有する石膏ボードからなることを特徴とする請求項1に記載の防火区画壁。
【請求項4】
前記係止具は、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され且つ前記スタッドの過剰な熱変形を制限するスクリュービスからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防火区画壁。」を、
「【請求項1】
室と室、または室と設備空間とを仕切る屋内非耐力壁であって、軽量鉄骨製スタッド及び不燃性ボード材料により形成される乾式工法の防火区画壁において、
壁芯に沿って配置された上下の溝型ランナと、
上端部及び下端部を上下の前記溝型ランナの溝内に挿入されることで前記ランナに係止して垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された軽量鉄骨製スタッドと、
該スタッドの片面にのみ取付けられ、2層構造に積層された不燃性ボード材料の下貼りボード及び上貼りボードとからなり、
前記ボード材料は、9.5?25mmの範囲内の板厚を有する石膏ボード又は石膏板であり、
前記スタッド及びボード材料の各着火温度は、1000℃以上の温度であり、
防火区画壁の任意の側の雰囲気温度が950℃の高温に達したときに、防火区画壁の他方の側における前記ボード材料の表面温度は、最高200℃以下、平均160℃以下の範囲内の温度を維持し、
前記下貼りボードは、不燃性且つ耐熱性を有するスクリュービスによって前記スタッドのみに固定され、該スクリュービスは、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され、前記上貼りボードは、ビス又はステープルによって前記下貼りボードの表面に固定されており、
前記スクリュービスは、前記ランナ、スタッド及びボード材料が構成する耐火構造の防火区画壁の片側領域の雰囲気温度が900℃以上の高温に達したときに、前記ボード材料及びスタッドの一体性を保持するとともに、前記スタッドの熱変形を抑制することを特徴とする防火区画壁。
【請求項2】
前記ボード材料は、加熱時におけるボード素材の結晶水の蒸発気化熱によりボード自体の温度上昇を抑制する性質を有することを特徴とする請求項1に記載の防火区画壁。
【請求項3】
前記ボード材料は、21mmの板厚を有する石膏ボードからなることを特徴とする請求項1に記載の防火区画壁。
【請求項4】
前記スクリュービスは、前記スタッドの過剰な熱変形を制限するとともに、各層のボード材料の目地又は継目が、壁芯方向に互いにずれた位置に配置され、或いは、各層のボード材料の目地又は継目が、互いに縦横に交差することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防火区画壁。」
に訂正する。

B.特許第4700215号の明細書の段落【0009】に記載した
「 上記目的を達成するために、本発明は、室と室、または室と設備空間とを仕切る屋内非耐力壁であって、軽量鉄骨製スタッド及び不燃性ボード材料により形成される乾式工法の防火区画壁において、
壁芯に沿って配置された上下の溝型ランナと、
上端部及び下端部を上下の前記溝型ランナの溝内に挿入されて垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された軽量鉄骨製スタッドと、
該スタッドの片面にのみ取付けられ、2層構造に積層された不燃性ボード材料とからなり、
前記ボード材料は、9.5?25mmの範囲内の板厚を有する石膏ボード又は石膏板であり、
前記スタッド及びボード材料の各着火温度は、1000℃以上の温度であり、
防火区画壁の任意の側の雰囲気温度が950℃の高温に達したときに、防火区画壁の他方の側における前記ボード材料の表面温度は、最高200℃以下、平均160℃以下の範囲内の温度を維持し、
前記ボード材料は、不燃性且つ耐熱性を有する係止具によって前記スタッドに固定され、該係止具は、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され、耐火構造壁の片側領域の雰囲気温度が900℃以上の高温に達したときに、前記ボード材料及びスタッドの一体性を保持するとともに、前記スタッドの熱変形を抑制することを特徴とする防火区画壁を提供する。」を、
「 上記目的を達成するために、本発明は、室と室、または室と設備空間とを仕切る屋内非耐力壁であって、軽量鉄骨製スタッド及び不燃性ボード材料により形成される乾式工法の防火区画壁において、
壁芯に沿って配置された上下の溝型ランナと、
上端部及び下端部を上下の前記溝型ランナの溝内に挿入されることで前記ランナに係止して垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された軽量鉄骨製スタッドと、
該スタッドの片面にのみ取付けられ、2層構造に積層された不燃性ボード材料の下貼りボード及び上貼りボードとからなり、
前記ボード材料は、9.5?25mmの範囲内の板厚を有する石膏ボード又は石膏板であり、
前記スタッド及びボード材料の各着火温度は、1000℃以上の温度であり、
防火区画壁の任意の側の雰囲気温度が950℃の高温に達したときに、防火区画壁の他方の側における前記ボード材料の表面温度は、最高200℃以下、平均160℃以下の範囲内の温度を維持し、
前記下貼りボードは、不燃性且つ耐熱性を有するスクリュービスによって前記スタッドのみに固定され、該スクリュービスは、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され、前記上貼りボードは、ビス又はステープルによって前記下貼りボードの表面に固定されており、
前記スクリュービスは、前記ランナ、スタッド及びボード材料が構成する耐火構造の防火区画壁の片側領域の雰囲気温度が900℃以上の高温に達したときに、前記ボード材料及びスタッドの一体性を保持するとともに、前記スタッドの熱変形を抑制することを特徴とする防火区画壁を提供する。」に訂正する。

C.特許第4700215号の明細書の段落【0012】に記載した
「好適には、係止具は、スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され且つスタッドの過剰な熱変形を制限するスクリュービスからなる。」を、
「好適には、上記スクリュービスは、スタッドの過剰な熱変形を制限するとともに、各層のボード材料の目地又は継目が、壁芯方向に互いにずれた位置に配置され、或いは、各層のボード材料の目地又は継目が、互いに縦横に交差する。」に訂正する。

D.特許第4700215号の明細書の段落【0019】に記載した
「本発明者は、このような防火区画壁の耐火試験を実施したところ、上記構成の耐火構造1は、所期の耐火性能を発揮した。」を、
「本発明者は、このような防火区画壁の耐火試験を実施したところ、上記構成の耐火構造の防火区画壁1は、所期の耐火性能を発揮した。」に訂正する。

E.特許第4700215号の明細書の段落【0021】に記載した
「結晶水の蒸発気化熱により温度上昇しない性質が備えた石膏ボードは、」を、
「結晶水の蒸発気化熱により温度上昇しない性質を備えた石膏ボードは、」に訂正する。

F.特許第4700215号の明細書の段落【0023】に記載した
「防火区画壁等関して、」を、
「防火区画壁等に関して、」に訂正する。

(2)本件訂正請求に対する審判請求人の主張

訂正事項A、Bについて

・下貼りボードがスクリュービスによってスタッドのみに固定されることは、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではなく、特許法134条の2第5項で準用する特許法126条3項の規定に違反するものである。

(3)本件訂正請求の適否

(3-1)訂正事項A、Bについて

・本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、【請求項1】、段落【0009】において「鋼製スタッドの片面にのみ取付けられた不燃性ボード材料」、「ボード材料は、不燃性且つ耐熱性を有する係止具によって前記スタッドに固定され」と記載され、また、段落【0016】において「下貼ボード2が、室内側からスクリュービス8及び接着剤によってスタッド10の片面に取付けられる。」と記載されており、下貼りボードが、スタッドに取り付けられる旨の記載はあるが、ランナに取り付けられる旨の記載はなく、またランナに取り付けられていることを推定させるような記載もないこと、図3におけるビスの位置に関し、ランナに対応する部分のものは、上貼りボードを下貼りボードに表面から固定したビスのものであり、上下のランナに対応する部分のビスの位置の違いは、上貼りボードの固定のビスの2パターンを示したものであるとの被請求人の説明には疑問はあるものの、下貼りボードがランナに取り付けられていると断ずるだけの根拠がみあたらないことから、訂正事項A、Bが、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でなされたものではないとは認めることができない。

・【請求項1】に関する訂正は、訂正前の「溝型ランナの溝内に挿入されて垂直に立設され」を「溝型ランナの溝内に挿入されることで前記ランナに係止して垂直に立設され」と特定し、訂正前の「2層構造に積層された不燃性ボード材料」を「2層構造に積層された不燃性ボード材料の下貼りボード及び上貼りボード」と特定し、訂正前の「前記ボード材料は、不燃性且つ耐熱性を有する係止具によって前記スタッドに固定され、該係止具は、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され」を「前記下貼りボードは、不燃性且つ耐熱性を有するスクリュービスによって前記スタッドのみに固定され、該スクリュービスは、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され」と特定し、訂正前の「耐火構造壁の片側領域」を「前記ランナ、スタッド及びボード材料が構成する耐火構造の防火区画壁の片側領域」と特定し、訂正前の「係止具」を「スクリュービス」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。

・【請求項4】に関する訂正は、請求項1の訂正と関連して「前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され且つ」の記載を削除し、「各層のボード材料の目地又は継目が、壁芯方向に互いにずれた位置に配置され、或いは、各層のボード材料の目地又は継目が、互いに縦横に交差する」ことを更に特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。

・訂正事項Bは、訂正事項Aの特許請求の範囲の訂正に対応する明細書の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明に該当する。

以上のとおりであるから、訂正事項A、Bは、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。

(3-2)訂正事項Cについて

訂正事項Cは、訂正事項Aの【請求項4】の訂正に対応する明細書の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明に該当する。

(3-3)訂正事項Dについて

本件特許明細書の符号1は「防火区画壁」を指すものと認められるから、「耐火構造1」を「耐火構造の防火区画壁1」とする訂正事項Dは、明瞭でない記載の釈明に該当する。

(3-4)訂正事項E、Fについて

訂正事項Eの「性質が備えた」を「性質を備えた」とする訂正、訂正事項Fの「防火区画壁等関して、」を「防火区画壁等に関して、」とする訂正は、明らかに誤記の訂正であると認められる。

(3-5)まとめ

以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第134条の2第1項及び同5項で準用する同126条第3項から第4項に規定する要件に適合するため、これを認める。

3.審判請求人の主張

審判請求人が主張する無効理由の要旨は、次のとおりである。
なお、請求人は、証拠方法として、甲第1号証?甲第23号証を提出している。

甲第1号証 「Kunauf Vorsatzschalen und Schachtwande W62」
甲第2号証 「Prufzeugnis(試験証明書)」の写し
甲第3号証 「Brandverhalten von Baustoffen und Bauteilen」
甲第4号証 「Fire Resistance Design Manual」
甲第5号証 「耐火チヨダウォール202 標準施工要領書」
甲第6号証 「耐火チヨダウォール202」耐火性能試験成績書
甲第7号証 特開平11-247324号公報
甲第8号証 平成12年の建築基準法改正前の建築基準法施工令第107条
甲第9号証 昭和44年5月31日建設省告示第2999号「耐火構造の指定の方法」
甲第10号証 「耐火構造等試験運用指針・平成7年3月」
甲第11号証 「防火性能評価運用指針・平成7年3月」
甲第12号証 平成12年の建築基準法改正後の建築基準法施工令第107条
甲第13号証 平成12年5月31日建設省告示第1432号「可燃物燃焼温度を定める件」
甲第14号証 「防耐火性能試験・評価業務方法書」
甲第15号証 「石膏ボードハンドブック 本編(平成4年度版)」
甲第16号証 「チヨダモノウォールH-60 標準施工要領書」
甲第17号証 「石膏ボードハンドブック 本編(平成4年度版)」
甲第18号証 耐火指定書(指定番号:耐火W1144)
甲第19号証 耐火指定書(指定番号:耐火W1166)
甲第20号証 耐火認定書(認定番号:FP060NP-0055)
甲第21号証 「石膏ボードハンドブック(平成15年度版)」
甲第22号証 ファルベンヅルック・ビュール社からクナウフ社へ宛てた請求書
甲第23号証 特開2000-8511号公報
甲第24号証 被請求人のウェブページ「吉野石膏|工法紹介|耐火工法|耐火構造(Sウォール)」
甲第25号証 認定書(認定番号:FP060NP-0007)

(1)無効理由1

本件特許の請求項1?4係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものである。したがって、該請求項1?4に係る特許は、特許法123条1項2号に該当し、無効とされるべきものである。

(2)無効理由2

本件特許の請求項1?4係る発明は、甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものである。したがって、該請求項1?4に係る特許は、特許法123条1項2号に該当し、無効とされるべきものである。

(3)無効理由3

本件特許の請求項1?4係る発明は、甲第5号証に記載された発明に、甲第1号証、甲第4号証、甲第16号証を参酌することで、当業者が容易になし得たものである。したがって、該請求項1?4に係る特許は、特許法123条1項2号に該当し、無効とされるべきものである。

(4)無効理由4

本件特許の請求項1?4係る発明は、甲第7号証に記載された発明に、甲第1号証、甲第4号証、甲第16号証を参酌することで、当業者が容易になし得たものである。したがって、該請求項1?4に係る特許は、特許法123条1項2号に該当し、無効とされるべきものである。

(5)無効理由5

本件特許の請求項1?4係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項1号及び2号に規定する要件を満たしていないものであるから、該請求項1?4に係る特許は、特許法123条1項4号に該当し、無効とされるべきものである。

4.被請求人の主張

被請求人の主張の要旨は、次のとおりである。
なお、被請求人は、証拠方法として、乙第1号証?乙第15号証を提出している。

乙第1号証 「図解事典 建築のしくみ」
乙第2号証 「建築工事標準仕様書・同解説 JASS26 内装工事」
乙第3号証 「せっこうボードドライウォール設計・施工指針(案)・同解説」
乙第4号証 「建築内装仕上工事標準施工要領書」
乙第5号証 「建築大辞典」
乙第6号証 特許3907424号公報
乙第7-1号証 国土交通省の公表資料「移行認定に係る帳簿」の「耐火構造等(Excel File)」
乙第7-2号証 国土交通省の公表資料「認定のコード表(防火関連)(PDF File)」
乙第8号証 「建設省総合技術開発プロジェクト 防・耐火性能評価技術の開発 報告書」
乙第9号証 「石膏ボードハンドブック」
乙第10号証 「枠組壁工法 耐火建築物 設計・施工の手引」
乙第11号証 「木と日本の住まい」
乙第12号証 耐火認定書(認定番号FP060NP-0144-間仕切壁)
乙第13号証 耐火認定書(認定番号FP060NP-0045-間仕切壁)
乙第14号証 大阪証券取引所の「適宜開示情報」
乙第15号証 「JIS A 6901:1997」

(1)無効理由1について

甲第1号証は特許法第29条第1項第3号の「刊行物」ではない。
刊行物であるとしても、本件発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得た発明ではない。

(2)無効理由2について

本件発明は、甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得た発明ではない。

(3)無効理由3について

本件発明は、甲第5号証に記載された発明に、甲第1号証、甲第4号証、甲第16号証を参酌することで、当業者が容易に想到し得た発明ではない。

(4)無効理由4について

本件発明は、甲第7号証に記載された発明に、甲第1号証、甲第4号証、甲第16号証を参酌することで、当業者が容易に想到し得た発明ではない。

(5)無効理由5について

本件発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項1号及び2号に違反するものではない。

5.当審における無効理由通知

(1)平成24年5月2日発送の当審の無効理由通知の概要は、以下のとおりである。

訂正後の請求項1?4に記載された発明は、特開2000-8511号公報(引用例1)記載の発明、特開平11-247324号公報(引用例2)の記載、および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

訂正前の請求項1?4に記載された発明も、引用例1記載の発明、引用例2の記載、および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)平成24年5月2日発送の当審の無効理由通知に対する被請求人の反論の概要は、以下のとおりである。

・一致点に関し、不燃ボード材料が「スタッドの片面にのみ取付けられ」た構成は相違点である。

・相違点5、6、8に関し、無効理由通知に記載された判断について承服できない。

6.本件訂正発明

上記のとおり訂正を認めるので、本件特許の請求項1?4に係る発明は、平成24年2月2日付け訂正請求書に添付された訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された次のとおりのものである(以下、請求項1に記載された発明を「本件訂正発明1」、請求項2に記載された発明を「本件訂正発明2」、請求項3に記載された発明を「本件訂正発明3」、請求項4に記載された発明を「本件訂正発明4」という。)。

「【請求項1】
室と室、または室と設備空間とを仕切る屋内非耐力壁であって、軽量鉄骨製スタッド及び不燃性ボード材料により形成される乾式工法の防火区画壁において、
壁芯に沿って配置された上下の溝型ランナと、
上端部及び下端部を上下の前記溝型ランナの溝内に挿入されることで前記ランナに係止して垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された軽量鉄骨製スタッドと、
該スタッドの片面にのみ取付けられ、2層構造に積層された不燃性ボード材料の下貼りボード及び上貼りボードとからなり、
前記ボード材料は、9.5?25mmの範囲内の板厚を有する石膏ボード又は石膏板であり、
前記スタッド及びボード材料の各着火温度は、1000℃以上の温度であり、
防火区画壁の任意の側の雰囲気温度が950℃の高温に達したときに、防火区画壁の他方の側における前記ボード材料の表面温度は、最高200℃以下、平均160℃以下の範囲内の温度を維持し、
前記下貼りボードは、不燃性且つ耐熱性を有するスクリュービスによって前記スタッドのみに固定され、該スクリュービスは、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され、前記上貼りボードは、ビス又はステープルによって前記下貼りボードの表面に固定されており、
前記スクリュービスは、前記ランナ、スタッド及びボード材料が構成する耐火構造の防火区画壁の片側領域の雰囲気温度が900℃以上の高温に達したときに、前記ボード材料及びスタッドの一体性を保持するとともに、前記スタッドの熱変形を抑制することを特徴とする防火区画壁。」

「【請求項2】
前記ボード材料は、加熱時におけるボード素材の結晶水の蒸発気化熱によりボード自体の温度上昇を抑制する性質を有することを特徴とする請求項1に記載の防火区画壁。」

「【請求項3】
前記ボード材料は、21mmの板厚を有する石膏ボードからなることを特徴とする請求項1に記載の防火区画壁。」

「【請求項4】
前記スクリュービスは、前記スタッドの過剰な熱変形を制限するとともに、各層のボード材料の目地又は継目が、壁芯方向に互いにずれた位置に配置され、或いは、各層のボード材料の目地又は継目が、互いに縦横に交差することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防火区画壁。」

7.甲各号証、乙各号証の記載内容

(1)甲第1号証(「Knauf Vorsatzschalen und Schachtwande W62(クナウフ社被覆壁とシャフトウォール W62)」)

・甲第1号証には、下貼りボード及び上貼りボードが係止具によってスタッド及びランナの双方に固定されてはいるものの、片面2枚貼りのシャフトウォールが記載されているものと認められる。

(2)甲第4号証(「Fire Resistance Design Manual,1978 Edition」)

・甲第4号証には、ボード材料が係止具によってスタッド及びランナの双方に固定されてはいるものの、片面の4層の石膏ボードを取り付けたシャフトウォールが記載されているものと認められる。

(3)甲第5号証(「耐火チヨダウォール202 標準施工要領書」)

・甲第5号証には、スタッドの両面に2層の石膏ボードを取り付けた耐火ウォールが記載されているものと認められる。

・4.標準施工法(5)下貼りボードの取り付けには、「下貼りは石膏ボードタイプXを縦張りまたは横張りとし、3.5φx32mm以上のタッピンねじを使って300mm以内の間隔でスタッドに固定します。」との記載がある。

(4)甲第7号証(特開平11-247324号公報)

甲第7号証には、以下の記載がある。

・「【0007】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、竪穴区画内領域又は建築物外界領域に仮設足場等の設置を要することなく、汎用的な建築内外装工事用ボード材料のボード張り工法を室内側から実施し、耐火区画壁又は防火壁を比較的容易に構築し得る耐火構造壁を提供することにある。」

・「【0015】図1に示す如く間仕切壁Wは、FR鋼(建築構造用耐火鋼材:Fire ResistantSteel) の曲げ成形品からなる長尺のJ型床ランナー2及びJ型天井ランナー3と、床ランナー2及び天井ランナー3の間に延在するFR鋼製の垂直スタッド1とからなる軸組構造の間仕切壁下地構造体を備える。壁芯位置に配置された床ランナー2は、例えば、450乃至900mm程度の間隔を隔てて打設された打込みピン又はアンカー等の係止手段によってコンクリートスラブ又は床モルタル下地等の床基盤F上に固定され、実質的に水平に床基盤F上に延在する。他方、天井ランナー3は、ビス、コンクリート釘、溶接、タッピング螺子又はアンカー等の係止手段又は固着手段によって天井下地Cに固定され、実質的に水平に天井下地Cの下面に沿って延在する。本実施例において、天井下地Cは、上階床スラブ又は屋根スラブ等のコンクリートスラブ、或いは、デッキプレート又はキーストンプレート等の構造用鋼板等からなり、所望により、所定の耐火被覆が鋼板の下面に施工される。
【0016】間仕切壁Wの背後には、エレベータシャフト、配管/配線シャフト又はダクトシャフト等の竪穴Sが上下方向に延在する。床コンクリートスラブ等の床基盤を上下方向に貫通する竪穴Sは、建築基準法の防火規定に基づき、耐火構造の壁体により竪穴区画として耐火上有効に防火区画し、防火区画内領域は、室内領域から実質的に隔絶しなければならない。本実施例において、間仕切壁Wは、FR鋼製のランナー2、3及び垂直スタッド1からなる軸組構造体と、該軸組構造体に張着された石膏ボード10とにより構成される。」

・「【0025】なお、上記石膏ボード11は、汎用の幅員及び全高を有する規格寸法の石膏ボード製品のみならず、石膏ボード製品を適宜切断したボード片を包含するものであり、また、石膏ボード11として、9.5mm?30mm等の板厚の汎用石膏ボードを適宜使用し得る。」

・「【0026】このようにして施工されたランナー2、3及びスタッド4、5、6に対して、室内側石膏ボード12、13が、一般的施工方法に従って施工される。即ち、室内側の下張り石膏ボード12の側縁部、上縁部及び下縁部が、ビス19のビス留め作業等のボード係止作業により、E型スタッド4の第2フランジ部43、CH型スタッド5のフランジ部51、J型スタッド6の第2フランジ部63、更には、床ランナー2及び天井ランナー3の第2フランジ部23、33に対して固定される。下張り石膏ボード12による下張り壁面の施工が完了した後、上張り石膏ボード13が、ステープル等の係止具、酢酸ビニル系接着剤等の接着剤、或いは、係止具及び接着剤の併用により、下張り石膏ボード12の表面に張着される。上張り石膏ボード13は、縦張り形態又は横張り形態等の任意の方向及び位置にて下張り壁面上に張着され、石膏ボード13の相互連接部又は目地部は、目地処理材にて目地処理される。上張り石膏ボード13として、例えば、ジョイント工法用のテーパボード等の任意の形態の石膏ボードを好適に使用し得る。一般に、上張り石膏ボード13の施工後、塗装又はクロス材等の所望の内装仕上材が、貼着、塗布、吹付又は接着等の適当な施工手段により、室内側ボード面に施工される。」

(5)甲第10号証(「耐火構造等試験運用指針・平成7年3月」)

・1)耐火構造(壁)2.技術基準2)測定及び判定には、「イ.鋼材温度の許容値は、間仕切壁において耐力、非耐力にかかわらず平均400℃、最高500℃以下とする。また、外壁非耐力については、参考値として鋼材温度を測定すること。」と記載されている。

(6)甲第11号証(「防火性能評価運用指針・平成7年3月」)

・第12頁の2耐火構造2-1間仕切壁2.1.1【耐力、非耐力壁の区別】には、「建築基準法施行令第107条第1号に基づき、間仕切壁は耐力、非耐力の区別なく耐火構造として取り扱う。また、壁内部の鋼材の温度については両者とも耐火性能評価の基準となる。」と記載されている。

(7)甲第12号証(平成12年の建築基準法改正後の建築基準法施行令第107条)

・第百7条第2条第7号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
一 次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
二 壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。

(8)甲第13号証(平成12年5月31日建設省告示第1432号「可燃物燃焼温度を定める件」)

・甲第13号証には「可燃物燃焼温度を定める件」と題し
「一 加熱面以外の面のうち最も温度が高い部分の温度 摂氏二百度
二 加熱面以外の面の全体について平均した場合の温度 摂氏百六十度」
と記載されている。

(9)甲第14号証(「防耐火性能試験・評価業務方法書」)

・第5頁には、4.試験条件として、「(1)炉内熱電対によって測定した温度(以下、「加熱温度」という)の時間経過が、、許容誤差内で次の式で表される数値となるように加熱する。
T=345log_(10)(8t+1)+20
この式において、Tは平均炉内温度(℃)、tは試験の経過時間(分)とする。」と記載されている。
これにしたがうと、1時間後(t=60)には、T=945℃となる。

・第8頁には、6.判定として、「(3)壁(外壁を屋内側から加熱した場合を除く)及び床にあっては、1時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあっては30分間)の加熱を実施し、試験終了時まで、「試験体の裏面温度上昇が、平均で140K以下、最高で180K以下であること。」

(10)甲第15号証(「石膏ボードハンドブック 本編(平成4年度版)」)

・第29頁に「せっこうには、約21%の結晶水が含まれており、これが高温にさらされると水蒸気となって徐々に放出され、熱の伝達を遅延させる性質がある。そして、せっこうが焼かれ結晶水が放出されたあとも断熱バリアとして有効に作用する。」と記載されている。

(11)甲第17号証(「石膏ボードハンドブック 本編(平成4年度版)」)

・第122頁に2枚張りの図があり、各層のボード材料の目地又は継目をずらして配置したものが記載されている。

(12)乙第4号証(「建築内装仕上工事 標準施工要領書」平成9年版)

・第21頁には、手順「スタッドを建込む」に「(1)スタッドを上下ランナに差し込み、半回転して取り付ける。」と記載されている。

・第111、112頁には、工程「4.鋼製下地中空間仕切壁の施工」手順「ねじ留め」に「(3)ねじ留めの間隔は、スタッドへ外周部、中間部とも300mm以内で留める。(4)上、下ランナにはねじ留めしない。」と記載されている。

(13)乙第15号証(「JIS A6901:1997」)

・乙15号証には、せっこうボードのJIS規格が記載されており、表8には、せっこうボードの厚さとして、9.5、12.5、15.0、16.0、18.0、21.0、25.0(mm)のものが記載されている。

8.引用刊行物の記載内容

(1)特開2000-8511号公報(引用例1)

引用例1には,以下のことが記載されている。

・「【請求項1】 建物の竪穴区画とこれに隣接する他の区画との間に設置される防火区画壁であって、該防火区画壁が、防火性能を有した耐火壁板と、該耐火壁板を保持するため前記建物に固定された保持部材とから構成され、かつ、前記耐火壁板が、前記保持部材に対して前記他の区画側にのみ設けられていることを特徴とする防火区画壁。
【請求項2】 請求項1記載の防火区画壁であって、前記保持部材の前記竪穴区画側には、前記保持部材のみを覆う耐火被覆材が設けられていることを特徴とする防火区画壁。」

・「【0011】[第一の実施の形態]図1に示すものは、エレベータシャフト、階段、設備シャフト等、上下方向に連続する竪穴区画S1と、これに隣接する室内空間(他の空間)S2との間に設置されている防火区画10である。この図において、符号11は床スラブ、12は岩綿等が吹き付けられて耐火被覆が施された梁鉄骨、13は天井、をそれぞれ示している。
【0012】図1および図2に示すように、この防火区画壁10は、石膏ボード等からなる耐火壁板15と、これを支持する保持部材16とから構成されている。保持部材16は、床スラブ11の上面と梁鉄骨12の下面とに沿ってそれぞれ設けられた上下の鋼製のランナー17,18と、これらランナー17,18間に所定間隔ごとに配置された鋼製のスタッド19とから構成され、前記耐火壁板15はこれらスタッド19に固定されている。
【0013】このような防火区画壁10によれば、室内空間S2側からの火災に対しては、耐火壁板15によって防火機能を発揮することができ、竪穴区画S1側への延焼を防止することができる。一方、竪穴区画S1は、エレベータシャフト、階段、設備シャフト等であり、可燃物もほとんどないため、竪穴区画S1側における火災の発生の可能性は非常に低い。
【0014】上述した防火区画壁10では、耐火壁板15を室内空間S2側にのみ設ける構成としたので、施工時には、竪穴区画S1側に耐火壁板15を設ける必要がなく、これにより、竪穴区画S1内に足場を組むことなく、施工を室内空間S2側から行うことができる。したがって、施工の効率化を図り、コスト低減および工期の短縮化を図ることができる。」

・「【0021】なお、上記第一および第二の実施の形態において、耐火壁板15の材質や重ねる枚数等については何ら限定するものではなく、上記にあげた以外のものを採用しても良い。また、竪穴区画S1については、上下方向に連続する空間であればその用途を問うものではなく、エレベータシャフト、階段、設備シャフト以外の他の用途のものであっても良い。」

・「【0023】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る防火区画壁によれば、防火区画壁を構成する耐火壁板を、竪穴区画に隣接する他の区画側にのみ設ける構成としたので、これによって、他の区画側からの火災に対して防火性能を発揮することができる。また、竪穴区画側に足場等を組んで施工を行う必要がなく、施工を他の区画側から行うことができる。したがって、施工の効率化を図り、コスト低減および工期の短縮化を図ることができる。」

これらの記載によると、引用例1には、

「エレベータシャフト、階段等の竪穴区画と、これに隣接する室内空間との間に設置されている防火区画壁であって、石膏ボード等からなる耐火壁板と、これを支持する保持部材とから構成され、保持部材は、床スラブの上面と梁鉄骨の下面とに沿ってそれぞれ設けられた上下の鋼製のランナーと、これらランナー間に所定間隔ごとに配置された鋼製のスタッドとから構成され、耐火壁板は室内空間側にのみ設けられており、耐火壁板はこれらスタッドに固定されている防火区画壁。」の発明(以下「引用例1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)特開平11-247324号公報(引用例2)

引用例2には,以下のことが記載されている。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐火構造壁に関するものであり、より詳細には、竪穴区画又は防火区画の耐火隔壁、或いは、防火地域又は準防火地域等において隣地境界近傍に配置される外壁構造体を構成する耐火構造壁に関するものである。」

・「【0026】このようにして施工されたランナー2、3及びスタッド4、5、6に対して、室内側石膏ボード12、13が、一般的施工方法に従って施工される。即ち、室内側の下張り石膏ボード12の側縁部、上縁部及び下縁部が、ビス19のビス留め作業等のボード係止作業により、E型スタッド4の第2フランジ部43、CH型スタッド5のフランジ部51、J型スタッド6の第2フランジ部63、更には、床ランナー2及び天井ランナー3の第2フランジ部23、33に対して固定される。下張り石膏ボード12による下張り壁面の施工が完了した後、上張り石膏ボード13が、ステープル等の係止具、酢酸ビニル系接着剤等の接着剤、或いは、係止具及び接着剤の併用により、下張り石膏ボード12の表面に張着される。上張り石膏ボード13は、縦張り形態又は横張り形態等の任意の方向及び位置にて下張り壁面上に張着され、石膏ボード13の相互連接部又は目地部は、目地処理材にて目地処理される。上張り石膏ボード13として、例えば、ジョイント工法用のテーパボード等の任意の形態の石膏ボードを好適に使用し得る。一般に、上張り石膏ボード13の施工後、塗装又はクロス材等の所望の内装仕上材が、貼着、塗布、吹付又は接着等の適当な施工手段により、室内側ボード面に施工される。」

9.本件訂正発明1?4について

(1)本件訂正発明1と引用例1記載の発明との対比、判断

本件訂正発明1と引用例1記載の発明とを対比すると、後者の「耐火壁板」、「石膏ボード」は、それぞれ、前者の「不燃性ボード」、「石膏ボード」に相当する。
また、後者の「床スラブの上面と梁鉄骨の下面とに沿ってそれぞれ設けられた上下の鋼製のランナー」は、前者における「壁芯に沿って配置された上下の溝型ランナ」に相当する。
また、後者における「ランナー間に所定間隔ごとに配置された鋼製のスタッド」と、前者における「上端部及び下端部を上下の溝型ランナの溝内に挿入されることでランナに係止して垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された軽量鉄骨製スタッド」とは、「上端部及び下端部を上下の溝型ランナの溝内に挿入されることでランナに係止して垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された鋼製スタッド」である点で共通する。
また、後者において、「耐火壁板は室内空間側にのみ設けられており、耐火壁板はこれらスタッドに固定されている」ことと、前者において、不燃性ボード材料が「スタッドの片面にのみ取付けられ」ていることとは、不燃性ボード材料が「スタッドの片面に取付けられ」ている点で共通する。
また、後者における「防火区画壁」は、本件訂正発明1における「防火区画壁」と同様に、エレベータシャフト、階段室等の竪穴を区画するものであり「屋内非耐力壁」であるといえる。

したがって、両者は、「室と室、または室と設備空間とを仕切る屋内非耐力壁であって、鋼製スタッド及び不燃性ボード材料により形成される乾式工法の防火区画壁において、壁芯に沿って配置された上下の溝型ランナと、上端部及び下端部を上下の前記溝型ランナの溝内に挿入されることで前記ランナに係止して垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された鋼製スタッドと、該スタッドの片面に取付けられた不燃性ボード材料とからなり、前記ボード材料は、石膏ボード又は石膏板である防火区画壁。」である点で一致し、次の各点で相違する。

[相違点1]
「鋼製スタッド」について、本件訂正発明1においては、「軽量鉄骨製スタッド」であるのに対し、引用例1記載の発明においては「鋼製のスタッド」である点。(無効理由通知における相違点1)

[相違点2]
「スタッドの片面に取付けられ」ている点について、本件訂正発明1においては、「スタッドの片面にのみ取付けられ」ているのに対し、引用例1記載の発明においては「耐火壁板は室内空間側にのみ設けられており、耐火壁板はこれらスタッドに固定されている」点。

[相違点3]
「不燃性ボード材料」について、本件訂正発明1においては、「2層構造に積層された不燃性ボード材料の下貼りボード及び上貼りボード」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、そのような規定がない点。(無効理由通知における相違点2)

[相違点4]
「ボード材料」について、本件訂正発明1においては、「9.5?25mmの範囲内の板厚を有する」ものであるのに対し、引用例1記載の発明においては、そのような規定がない点。(無効理由通知における相違点3)

[相違点5]
本件訂正発明1においては、「スタッド及びボード材料の各着火温度は、1000℃以上の温度」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、そのような規定がない点。(無効理由通知における相違点4)

[相違点6]
本件訂正発明1においては、「下貼りボードは、不燃性且つ耐熱性を有するスクリュービスによってスタッドのみに固定され、該スクリュービスは、スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され」ているのに対し、引用例1記載の発明においては、そのような規定がない点。(無効理由通知における相違点6)

[相違点7]
本件訂正発明1においては、「上貼りボードは、ビスまたはステープルによって下貼りボードの表面に固定されて」いるのに対し、引用例1記載の発明においては、そのような規定がない点。(無効理由通知における相違点7)

[相違点8]
本件訂正発明1においては、「防火区画壁の任意の側の雰囲気温度が950℃の高温に達したときに、防火区画壁の他方の側における前記ボード材料の表面温度は、最高200℃以下、平均160℃以下の範囲内の温度を維持」するとされているのに対し、引用例1記載の発明においては、そのような規定がない点。(無効理由通知における相違点5)

[相違点9]
本件訂正発明1においては、「スクリュービスは、ランナ、スタッド及びボード材料が構成する耐火構造の防火区画壁の片側領域の雰囲気温度が900℃以上の高温に達したときに、ボード材料及びスタッドの一体性を保持するとともに、スタッドの熱変形を抑制する」のに対し、引用例1記載の発明においては、そのような規定がない点。(無効理由通知における相違点8)

相違点1について検討すると、鋼製スタッドと石膏ボードを用いた防火区画壁において、鋼製スタッドとして軽量鉄骨を用いることは周知であり(例えば、特開昭62-206140号公報参照)、相違点1に係る事項が格別な差異であるとは認められない。

相違点2について検討すると、引用例1には、「スタッドにのみ固定されている」とは記載されていないものの、スタッドを用いた第一の実施の形態においては、「スタッドに固定されている」と記載され、ランナーに取り付けられる旨の記載はなく、またランナーに取り付けられていることを推定させるような記載もないこと、被請求人の平成24年2月2日付け答弁書の「7.理由[2]軽量鉄骨製スタッドを用いた乾式工法の防火区画壁について」における「我が国の軽鉄間仕切壁においては、このような建物の層間変位に追随すべく、スタッドは、上記の如くランナに挿入されてランナに係止するだけであり、スタッドがランナに固定されることはなく、ボード材料は、スタッドのみに固定され、ボード材料がランナに固定されることはない。」との主張、乙第4号証の「(4)上、下ランナにはねじ留めしない。」との記載、を考慮すれば、引用例1記載の発明においても、耐火壁板はスタッドのみに固定されているものと認められ、該相違点2に係る事項は、実質的な相違点であるとは認められない。もしくは、当業者にとって、該乙第4号証の記載から、容易に採用し得る構成にすぎない。

相違点3について検討すると、引用例1には、耐火壁板の重ねる枚数については何ら限定するものではなく、例にあげた以外のものを採用しても良い旨の記載があることや、引用例2に、竪穴区画等に用いる耐火構造壁について、室内側石膏ボードを2層構造としたものが記載されていることを考慮すると、相違点2に係る事項は、当業者が適宜採用し得る差異にすぎないものと認められる。

相違点4について検討すると、平成24年2月2日付の答弁書第41頁、あるいは乙第15号証に記載されているように、相違点3に係る板厚は一般的に用いられる石膏ボードの板厚を記載したにすぎず、該相違点が格別なものであるとは認められない。

相違点5について検討すると、平成24年2月2日付の答弁書第43頁を参照すれば、引用例1記載の発明においても、記載はないものの同様であるものと認められる。

相違点6、7について検討すると、引用例2には、下張り石膏ボードをビスによりスタッドに対して固定し、上張り石膏ボードを、ステープル等の係止具により、下張り石膏ボードの表面に張着することが記載されており、相違点6、7に係る事項が当業者にとって格別なことであるとは認められない。また、間隔については、乙第4号証には第111頁に「(3)ねじ留めの間隔は、スタッドへ外周部、中間部とも300mm以内で留める。」と記載されており、当業者にとって通常採用し得る間隔にすぎないものである。
間隔について、被請求人は乙第4号証第112頁の図4-18には「300程度」と記載されていることを根拠に、乙第4号証の該記載は、300mmを若干超える程度の間隔を否定するものではないと主張しているが、「300mm以内」、「300程度」との記載からは、通常は「300mm以内で300mm程度」と認められ、該点に関する被請求人の主張には無理がある。また、本件訂正発明1においては、「300mm以下」と限定されているが、明細書中に300mm以上にした場合について、なんら記載されておらず、また、口頭審理において明らかにされたように、効果の確認は、300mm、250mm、150mmについて行ったのみであることから、本件訂正発明1における「300mm以下」と限定は、乙第4号証に記載されたような、通常採用される間隔を記載したにすぎないものと認められ、当業者にとって格別なものであるとは認めることができない。

相違点8について検討すると、甲第12?14号証を参照すれば、該規定は、防耐火性能試験の基準に適合することを示しているにすぎないところであり、また、口頭審理において明らかにされたように、請求項に記載された他の構成が満足されれば達成される構成であり、他の特別な構造を限定するものでもない以上、当業者にとって想到困難な事項であるとは認めることができない。

相違点9について検討すると、甲第12?14号証や、平成24年2月2日付の答弁書第44、45頁を参照すれば、該規定は、建築基準法の規定を満たしていることを記載しているにすぎず、また、口頭審理において明らかにされたように、請求項に記載された他の構成が満足されれば達成される構成であり、他の特別な構造を限定するものでもない以上、当業者にとって想到困難な事項であるとは認めることができない。

以上、検討したように、本件訂正発明1は、引用例1記載の発明に、引用例2に記載された事項や、防火区画壁としては周知の構成を採用したにすぎず、構成については、当業者が容易に想到し得る以上の格別な構成を有しているとは認めることができない。

また、本件訂正発明1の効果について検討すると、本件明細書段落【0025】に「エレベータシャフト、設備シャフト等の竪穴の如く、一方の側からは極端に施工困難な条件に設置される乾式工法の防火区画壁に関し、その施工性を大幅に改善することができる。」と記載された効果に関しては、引用例1記載の発明と差異があるとは認められない。
被請求人は、無効理由通知に対する意見書中5.意見の内容(1)で、引用例1記載の発明は、火災発生の虞がない竪穴区画に対するものであり、片側施行の軽鉄間仕切り壁を耐火構造に設計できないことを予め認めた内容であるし、耐火試験をしさえすれば容易に耐火構造の防火区画壁として設計し得たとはいえない旨主張しているが、引用例1の請求項2には、保持部材の竪穴区画側に、保持部材のみを覆う耐火被覆材を設けることが記載されていることから、竪穴区画からの火災について想定されていると認められ、また、構成において、本件訂正発明1と、引用例1記載の発明に引用例2に記載された事項や、防火区画壁としては周知の構成を採用したものとで、格別な差異がない以上、防耐火性能として両者の間に格別な差異があるとは認められず、前記の「耐火試験をしさえすれば容易に耐火構造の防火区画壁として設計し得たとはいえない」との主張は採用することができない。引用例1は、平成12年の建築基準法改正前の平成10年6月26日の出願であるから、甲第10号証にある規定の適用を受けるため、鋼材温度に関する規定を満たすことができず、認定の必要な耐火構造にできなかったものと認められ、認定基準が変わったときに、あらためて耐火試験を行い、設計の変更を行う程度のことは、当業者にとって、容易に想到し得ることであると認められるところであるが、本件訂正発明1において、それ以上の格別な工夫がされているとは認めることができない。
本件訂正発明1は、結局のところ、平成12年の建築基準法改正により、引用例1記載の発明のような片面ボードの防火区画壁でも認定された耐火構造とすることができることを見出したものであると認められるが、該点は、上記したように、当業者にとって容易に想到し得ることにすぎない。
被請求人は、無効理由通知に対する意見書中で別紙3を提示し、当業者は、本件発明のような石膏ボード片側施工の軽鉄間仕切壁の防火区画壁においては、建築基準法の規定を満たすことができなかったので建築基準法の例外規定に依存せざるをえなかった旨主張しているが、別紙3は、平成12年の建築基準法改正前の平成10年5月7日の大成建設株式会社のプレス発表であって、そこには、建築基準法の例外規定である第38条による認定を取得したこととともに、「米国のワールドトレードセンターをはじめ世界各国の超高層ビルのエレベータシャフト壁として実績のある「USGキャビティ・シャフトウォール工法」はシャフト側には石膏ボードを貼らずに鋼製スタッド(間柱)を露出させる構造です。このままでは、わが国の建築基準法上の耐火壁の規定「鋼材温度が平均で400℃以下、最高で500℃以下」に合わず、国内では採用できませんでした。」との記載があり、鋼材温度に関する規定がなければ、石膏ボード片側施工の防火区画壁が認定基準を満たすであろうことは、当業者において、すでに知られていたことであるといえる。
また、被請求人は、認定が取り消された過去に事例を提示し、耐火構造とすることが当業者にとって容易ではないと主張するが、本件訂正発明1においては、引用例1記載の発明に引用例2に記載された事項や、防火区画壁としては周知の構成を採用したものと構成上、格別な差異があるとは認められないこと、明細書中に、採用した構成により耐火構造としたことは記載されているものの、各構成が満たされない場合についてなんら言及されていないこと、耐火構造とするためには、スタッドの太さや目地の処理等、他の要因も影響すること、を考慮すれば、本件訂正発明1が、引用例の記載や周知の事項から当業者が容易に想到し得るもの以上のものを限定しているとは認められず、該主張によっても本件訂正発明1が、当業者にとって容易に想到し得るものではないとは認めることができない。

以上のように、効果を検討しても、引用例1記載の発明、引用例2の記載、および周知の事項から当業者が予測し得る程度のものである。
したがって、本件訂正発明1は、引用例1記載の発明、引用例2の記載、および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件訂正発明2について

訂正後の請求項2において限定される事項は、甲第15号証に記載されているように、石膏ボードが本来的に有している性質であると認められ、当業者にとって格別な事項であるとは認められず、本件訂正発明2は、引用例1記載の発明、引用例2の記載、および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件訂正発明3について

石膏ボードの板厚は、要求される強度、耐火性能などに応じて、適宜選択し得る事項にすぎないものと認められるところであり、板厚を21mmとすることの技術的意義についても記載されておらず、単に広く用いられている石膏ボードを限定したにすぎないものと認められ、本件訂正発明3は、引用例1記載の発明、引用例2の記載、および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件訂正発明4について

各層のボード材料の目地又は継目をずらして配置することは、引用例2の図2や、甲第17号証第122頁の2枚張りの図にあるように、周知であると認められ、該請求項において限定される事項が、当業者にとって格別なものであるとは認められず、本件訂正発明4は、引用例1記載の発明、引用例2の記載、および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)まとめ

以上のとおり、本件特許発明1?4は、引用例1記載の発明、引用例2の記載、および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

10.請求人の主張する無効理由1?5について

甲第1号証について、被請求人は「刊行物」ではないと主張しているが、甲第1号証は商品のパンフレットであって、内容的にも秘密にするようなものであるとは認められず、多数印刷されたものと認められ、「刊行物」であることを否定する理由もないので、「刊行物」であると認める。

(1)無効理由1について

甲第1号証に記載されたものは下貼りボード及び上貼りボードが係止具によってスタッド及びランナの双方に固定されたものではあるが、9.本件訂正発明1?4についてにおいて検討したように、ボード材料をランナに固定しないようにすることは、当業者にとって格別なことであるとは認められず、無効理由1については理由がある。

(2)無効理由2について

請求人は、甲第4号証に記載されたものにおいて、「要求される耐火性能にあわせて不燃性ボードを4層から2層に変更することは当業者であれば容易になしうることである。」と主張するが、要求される耐火性能が2層のボードで十分であることを示唆する証拠がなければ、該主張には無理がある。本件においては、甲第1号証に、片面2層としたものが開示されており、また、9.本件訂正発明1?4についてで検討した事項を考慮すれば、無効理由2についても理由がある。

(3)無効理由3について

甲第5号証に記載されたものは、スタッドの両面に2層の石膏ボードを取り付けたものではあるが、甲第1号証に、片面で2層とすることが記載されており、また、9.本件訂正発明1?4についてで検討した事項を考慮すれば、無効理由3についても理由がある。

(4)無効理由4について

甲第7号証に記載されたものは、スタッドの両面に石膏ボードを取り付けたものではあるが、甲第1号証に、片面で2層とすることが記載されており、また、9.本件訂正発明1?4についてで検討した事項を考慮すれば、無効理由4についても理由がある。

(5)無効理由5について

「ボード材料は、9.5?25mmの範囲内の板厚」とすることは段落【0012】に、「係止具は、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔」とすることは段落【0012】に、「着火温度は、1000℃以上」であることは段落【0009】に、一応記載があり、「スタッドの熱変形を抑制する」との記載も程度の問題であるので、不備とまではいえず、無効理由5については、理由がない。

11.むすび

以上のとおりであるから、本件訂正発明1?4についての特許は、上記無効理由通知の理由、無効理由1?4により無効とすべきものである。

本件審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定により準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
防火区画壁
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室と室、または室と設備空間とを仕切る屋内非耐力壁であって、軽量鉄骨製スタッド及び不燃性ボード材料により形成される乾式工法の防火区画壁において、
壁芯に沿って配置された上下の溝型ランナと、
上端部及び下端部を上下の前記溝型ランナの溝内に挿入されることで前記ランナに係止して垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された軽量鉄骨製スタッドと、
該スタッドの片面にのみ取付けられ、2層構造に積層された不燃性ボード材料の下貼りボード及び上貼りボードとからなり、
前記ボード材料は、9.5?25mmの範囲内の板厚を有する石膏ボード又は石膏板であり、
前記スタッド及びボード材料の各着火温度は、1000℃以上の温度であり、
防火区画壁の任意の側の雰囲気温度が950℃の高温に達したときに、防火区画壁の他方の側における前記ボード材料の表面温度は、最高200℃以下、平均160℃以下の範囲内の温度を維持し、
前記下貼りボードは、不燃性且つ耐熱性を有するスクリュービスによって前記スタッドのみに固定され、該スクリュービスは、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され、前記上貼りボードは、ビス又はステープルによって前記下貼りボードの表面に固定されており、
前記スクリュービスは、前記ランナ、スタッド及びボード材料が構成する耐火構造の防火区画壁の片側領域の雰囲気温度が900℃以上の高温に達したときに、前記ボード材料及びスタッドの一体性を保持するとともに、前記スタッドの熱変形を抑制することを特徴とする防火区画壁。
【請求項2】
前記ボード材料は、加熱時におけるボード素材の結晶水の蒸発気化熱によりボード自体の温度上昇を抑制する性質を有することを特徴とする請求項1に記載の防火区画壁。
【請求項3】
前記ボード材料は、21mmの板厚を有する石膏ボードからなることを特徴とする請求項1に記載の防火区画壁。
【請求項4】
前記スクリュービスは、前記スタッドの過剰な熱変形を制限するとともに、各層のボード材料の目地又は継目が、壁芯方向に互いにずれた位置に配置され、或いは、各層のボード材料の目地又は継目が、互いに縦横に交差することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防火区画壁。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、乾式工法の防火区画壁に関するものであり、より詳細には、室と室、または室と設備空間とを仕切る屋内非耐力壁として施工される防火区画壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の壁体は、建築物の用途及び規模等の建築物単体又は固有の条件、建築物の敷地及び配置等の集団的又は都市計画的な条件に基づき、強度、防耐火性能、耐震性能等の諸性能に関し、建築基準法の下で各種規制を受ける。また、国土交通省、住宅金融公庫、住宅・都市整備公団等の各公的機関は、標準仕様書又は特記仕様書等により、壁体の諸性能に関する基準を独自に定めており、このような機関の建築物では、壁体の性質及び種別等に応じて、更に詳細な断熱基準、遮音基準、防耐火基準、耐震基準等が適用される場合がある。
【0003】
特に、建築物壁体の防耐火性能については、内装制限及び防耐火性能が建築基準法に厳格に規定されているので、壁体の構造及び構成材料は、建築基準法に規定された内装制限及び防耐火性能を遵守しなければならない。例えば、建築基準法は、建築物の用途、規模及び地域指定等に基づき、耐火建築物又は準耐火建築物として建築物全体の構造を規定するばかりでなく、建築物の用途、規模、延焼防止、避難、排煙、消火等の観点より、内装材料、内壁構造、建具構造、配管貫通部等の建築物内部の各部構成に関し、防耐火性能を規制している。ここに、現行の建築基準法の下では、建築物の内装材料は、不燃性能に関し、所定の不燃等級(不燃材、準不燃材及び難燃材)に分類され、建築物の壁体は、防耐火性能に関し、所定の構造種別(耐火構造、準耐火構造、防火構造、準防火構造等)に分類されている。
【0004】
他方、建築物の軽量化の観点より、軽量鉄骨製スタッドの両面に石膏ボード又は珪酸カルシウム板等の耐火性ボード材料を取付けた構造を有する乾式工法の耐火間仕切壁が、防火区画、排煙区画又は竪穴区画等の防火区画壁として使用されている。
【0005】
図4は、エレベータシャフト、階段室、ダクトシャフト(DS)又は配管シャフト(PS)等の竪穴Aを区画する防火区画壁として施工された従来構造の耐火間仕切壁Wを示す縦断面図である。図4に示す間仕切壁Wの施工は、軽量鉄骨製スタッドSを上下の床スラブ又は梁F1:F2の間に垂直に建込み、スタッドSの両面に石膏ボード等のボード材料Bを二重張りした構造のものである。この構成の耐火間仕切壁は、乾式工法の防火区画壁として長年に亘って広く使用されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような両面施工型の耐火間仕切壁では、竪穴側のボード材料は、シャフト内から施工しなければならず、このため、極めて施工性又は施工効率が悪い作業環境の下でボード張り工程を実施せざるを得ない。殊に、ダクトシャフト又は配管シャフト等では、十分な作業スペースを確保し難く、竪穴側からのボード張り作業は、極めて作業性が悪い。また、比較的作業スペースが広いエレベータシャフト等であっても、仮設の作業足場をシャフト内に構築しなければならず、付加的且つ一時的な仮設足場の設置が必要となり、これは、特に中高層建築物の建築工事にあっては、作業上且つ工期的に非常に不利である。
【0007】
このため、多くの場合、コンクリートブロック等を用いた湿式工法の組積造によって耐火間仕切壁をシャフト外から構築したり、あるいは、配管又はダクト等の床貫通部に防火ダンパーを設置し且つ貫通部に耐火処理材を充填することなどにより、床レベルに水平な防火区画を形成し、これにより、竪穴区画の法的規制を受けないように設計変更するなどの対策が採られている。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エレベータシャフト、ダクトシャフト、配管シャフト等の竪穴の如く、一方の側からは極端に施工困難な条件に設置される乾式工法の防火区画壁に関し、その施工性を大幅に改善することができる防火区画壁を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記目的を達成するために、本発明は、室と室、または室と設備空間とを仕切る屋内非耐力壁であって、軽量鉄骨製スタッド及び不燃性ボード材料により形成される乾式工法の防火区画壁において、
壁芯に沿って配置された上下の溝型ランナと、
上端部及び下端部を上下の前記溝型ランナの溝内に挿入されることで前記ランナに係止して垂直に立設され、壁芯に沿って所定間隔を隔てて整列配置された軽量鉄骨製スタッドと、
該スタッドの片面にのみ取付けられ、2層構造に積層された不燃性ボード材料の下貼りボード及び上貼りボードとからなり、
前記ボード材料は、9.5?25mmの範囲内の板厚を有する石膏ボード又は石膏板であり、
前記スタッド及びボード材料の各着火温度は、1000℃以上の温度であり、
防火区画壁の任意の側の雰囲気温度が950℃の高温に達したときに、防火区画壁の他方の側における前記ボード材料の表面温度は、最高200℃以下、平均160℃以下の範囲内の温度を維持し、
前記下貼りボードは、不燃性且つ耐熱性を有するスクリュービスによって前記スタッドのみに固定され、該スクリュービスは、前記スタッドに沿って300mm以下の間隔に配置され、前記上貼りボードは、ビス又はステープルによって前記下貼りボードの表面に固定されており、
前記スクリュービスは、前記ランナ、スタッド及びボード材料が構成する耐火構造の防火区画壁の片側領域の雰囲気温度が900℃以上の高温に達したときに、前記ボード材料及びスタッドの一体性を保持するとともに、前記スタッドの熱変形を抑制することを特徴とする防火区画壁を提供する。
【0010】
乾式工法の防火区画壁に対する従来の概念は、スタッドの熱変形により壁体が異常に変形し、ボードが崩落し、更には、壁体が崩壊する事態を懸念し、壁体の両面に不燃性ボード材料を取付ける両面施工形態の構造にしなければならないというものであったが、本発明者の研究によれば、高温加熱時には、スタッドは、主として面外方向の応力を負担し、ボード材料は、主として面内方向の応力を負担し、スタッド及びボード材料を相互連結する係止具は、スタッドの過剰な熱変形を制限し、スタッドを所定位置に保持する作用を発揮する。このため、上記構成の防火区画壁は、高温加熱時にスタッド及びボード材料の一体性を保持する。従って、片面施工型の壁体であっても、これらの壁体構成要素の協動作用により、防火区画壁として十分な耐火性能が得られる。
【0011】
本発明の上記構成によれば、防火区画壁は、片面施工可能な乾式構造の壁体であり、床版がない竪穴内に仮設足場を設置することなく、また、狭小なシャフト内スペースからボード張り作業を行うこともなく、竪穴の外側からスタッド及びボード材料を施工し、防火区画壁を施工することができる。本発明の構成は又、内装工事が実質的に不要な倉庫等の室と、内装工事を必要とする室とを仕切る防火区画壁として、有利に使用することができる。この場合、内装工事が不要な倉庫等の室の壁面には、内装工事を施すことなく防火区画壁を形成することができるので、工事費低減及び工期短縮の観点より、極めて有益である。
【0012】
好ましくは、各ボード材料は、加熱時におけるボード素材の結晶水の蒸発気化熱によりボード自体の温度上昇を抑制する性質を有する。ボードは、例えば、9.5mm、12.5mm、15mm、18mm、21mm又は25mmの板厚(JIS規格)を有する。更に好ましくは、ボードは、板厚21mmの石膏ボード又は石膏板である。好適には、上記スクリュービスは、スタッドの過剰な熱変形を制限するとともに、各層のボード材料の目地又は継目が、壁芯方向に互いにずれた位置に配置され、或いは、各層のボード材料の目地又は継目が、互いに縦横に交差する。
【0013】
一般に、石膏ボード等の建築内装工事用ボードには、内部結晶水の蒸発気化により生じるボード自体の吸熱反応により、火災時におけるボードの温度上昇を抑制するという性質がある。しかし、このような結晶水の蒸発気化は、同時に、ボード材料の体積収縮を生じさせるので、ボード材料同士の継目には、体積収縮に伴う隙間が生じ易い。殊に、本発明に係る片面施工型の防火区画壁では、この種の隙間の発生により、壁体の耐火性能が低下する事態が懸念される。しかしながら、ボード材料を2層以上に積層した場合、各層のボード材料の目地又は継目を壁芯方向に互いにずれた位置に配置したり、或いは、目地又は継目を縦横に交差させることができる。即ち、上記ボード材料を少なくとも2層構造に積層することにより、上述の隙間発生に伴う耐火性能の劣化を未然に防止すべく、各層のボード継目の隙間が壁体を貫通しないように予め対策することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る防火区画壁の実施形態について、詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明に係る防火区画壁の実施形態を示す縦断面図及び平面図であり、図3は、図1及び図2に示す防火区画壁の部分破断斜視図である。
【0015】
本実施形態の防火区画壁1は、図1及び図2に示す如く、竪穴50の縁に隣接して鉄筋コンクリート床スラブF1上に配置され、竪穴50を防火上区画する竪穴区画を構成する。防火区画壁1の下端部は、床スラブF1に支持され、防火区画壁1の上端部は、上階の鉄筋コンクリート床スラブF2に固定される。防火区画壁1の軸組は、鋼製スタッド10、床ランナ11及び天井ランナ12により構成される。スタッド10は、軽量鉄骨製のチャンネル型部材からなり、床ランナ11及び天井ランナ12は、軽量溝型鋼からなる。ランナ11、12は、アンカーボルト等の係止具13によって床スラブF1、F2に夫々固定され、スタッド10の下端部及び上端部は、床ランナ11及び天井ランナ12に夫々係止する。スタッド10の間隔は、300?600mm程度の寸法に設定された所定間隔(例えば、455mm間隔)を隔てて竪穴50の縁に整列し、床スラブF1、F2の間に垂直に立設する。
【0016】
下貼ボード2が、室内側からスクリュービス8及び接着剤によってスタッド10の片面に取付けられる。ボード2は、横張り方向に配置され、ボード2の突付け目地20が、水平に延びる。スクリュービス8は、スタッド10に沿って高さ方向に150?250mmの間隔、例えば、200mm間隔に配置される。上貼ボード3が、ビス9又はステープル(図示せず)によって下地ボード2の表面に室内側から固定される。ボード2は、縦張り方向に配置され、突付け目地30が、垂直方向に延び、かくして、ボード2、3の各目地は、互いに交差する。本実施形態では、ボード2、3として、板厚21mmの石膏ボード又は石膏板が使用される。上貼ボード3の室内側壁面には、クロス又は塗装等の内装仕上が施され、内装仕上面4が室内側に露出する。なお、ボード2、3として、上記石膏ボードと同等の板厚を有する硬質石膏板(比重約1.25)又はガラス繊維補強石膏板(比重約1.0)を使用しても良い。
【0017】
図1に示す如く、床仕上材6が、床スラブF1上に施工され、巾木7が、防火区画壁1の下端縁に取付けられる。巾木7は、仕上ボード3の下端部に配置されたビス9のビス頭を室内側から被覆し、下端部のビス頭は、巾木7によって隠蔽される。巾木7として、汎用の既製巾木、例えば、ビニール巾木等を使用し得る。
【0018】
天井軽鉄下地Cが、上階床スラブF2に懸吊され、天井仕上材5が、天井軽鉄下地Cに取付けられる。天井仕上材5は、天井廻り縁等の見切り縁(図示せず)を介して仕上ボード3の室内側壁面に接合する。廻り縁として、樹脂又は金属製の既製見切り縁又はジョイナーや、木材の加工品を使用し得る。所望により、天井廻り縁部分に目透かし目地を形成し、或いは、コーキング材又はシーリング材を充填したシール材充填目地を形成しても良い。
【0019】
本発明者は、このような防火区画壁の耐火試験を実施したところ、上記構成の耐火構造の防火区画壁1は、所期の耐火性能を発揮した。この耐火試験においては、厚さ21mmの石膏ボードをボード2、3として軽量鉄骨製スタッド10に片面張りしてなる防火区画壁1が、供試体として使用され、防火区画壁1の片面が、ガス燃焼式加熱炉の炉内に面するように配置された。耐火試験では、加熱炉の炉温は、実際の火災発生時の状況を再現すべく、約1時間の時間で室温(初期温度)から約950℃に上昇するように制御された。
【0020】
スタッド10を炉内に向けた第1耐火試験と、石膏ボード2、3を炉内に向けた第2耐火試験とを個別に実施し、各試験において、炉と反対側に位置する壁面の温度を測定した結果、防火区画壁1の裏面温度(室内側表面温度)は、いずれの試験においても、最高温度約200℃(室温+180℃)及び平均温度約160℃(室温+140℃)を超えることはなく、防火区画壁としての性能を十分に発揮すると判明した。
【0021】
このような構成の片面施工型間仕切壁が防火区画壁としての性能を発揮した原因を考察すると、当業者が過去に認識していなかった以下の要因又は現象が挙げられる。
(1)結晶水の蒸発気化熱により温度上昇しない性質を備えた石膏ボードは、このような高温雰囲気においても面内方向の外力に耐える面内剛性を発揮し、
(2)面外方向の外力に対しては、このような高温雰囲気においても軽量鉄骨製スタッドが面外剛性を発揮し、
(3)炉内に面する軽量鉄骨製スタッドは、炉温上昇時に変形するが、石膏ボードのスクリュービスは、スタッドの過剰な変形を制限し、
(4)壁体は、スタッド、スクリュービス及び石膏ボードの協働作用により、全体的な一体性を高温時に保持し、
(5)ボード自体及びボードの継目には、炎及び熱風が壁体を貫通するような孔又は亀裂等が生じない。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であり、該変形例又は変更例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
例えば、上記実施形態では、不燃性ボードとして石膏ボードを使用したが、不燃性ボードとして、珪酸カルシウム板を使用しても良い。
【0022】
また、上記実施形態では、ボード2、3は、互いに直交する方向(縦横方向)に配置されているが、ボード2、3は、同一方向(縦方向)に配置しても良い。この場合、ボード2、3の縦目地位置は、好ましくは、壁芯方向に互いにずれた位置に配置される。所望により、ボード3の目地に金属板、ハット型金属ジョイナー等を介挿し、あるいは、石膏ボード、石膏板又は珪酸カルシウム板等の耐火材を充填しても良い。
【0023】
更に、上記実施形態では、竪穴区画を構成する防火区画壁について説明したが、いわゆる面積区画のための防火区画壁、排煙又は避難の観点より設けられる性質の防火区画壁等に関して、本発明の構成を適用しても良い。この場合、本発明の防火区画壁は、内装仕上を要しない倉庫等の室と、内装仕上を要する一般的な居室とを仕切る耐火構造の間仕切壁として効率的に使用することができる。これは、この種の隔壁であっても不燃性ボードを両面施工していた従来の防火区画壁と対比すると、大幅な工事費低減及び工期短縮等を可能にするので、実務的には極めて有利である。
【0024】
また、本発明の防火区画壁を耐火構造の間仕切壁のみならず、準耐火構造の間仕切壁として採用しても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明の上記構成によれば、エレベータシャフト、設備シャフト等の竪穴の如く、一方の側からは極端に施工困難な条件に設置される乾式工法の防火区画壁に関し、その施工性を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る防火区画壁の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】
図1に示す防火区画壁の平面図である。
【図3】
図1及び図2に示す防火区画壁の部分破断斜視図である。
【図4】
従来の防火区画壁の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 防火区画壁
2 下貼ボード
3 上貼ボード
10 鋼製スタッド
50 竪穴
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-09-05 
出願番号 特願2001-115011(P2001-115011)
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (A62C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平田 信勝  
特許庁審判長 丸山 英行
特許庁審判官 杉浦 貴之
小関 峰夫
登録日 2011-03-11 
登録番号 特許第4700215号(P4700215)
発明の名称 防火区画壁  
代理人 島添 芳彦  
代理人 高田 泰彦  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 宮嶋 学  
代理人 柏 延之  
代理人 島添 芳彦  
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