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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A63F
審判 全部無効 2項進歩性  A63F
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
管理番号 1287760
審判番号 無効2012-800088  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-05-25 
確定日 2014-04-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4368868号発明「スロットマシン」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 請求のとおり訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許の経緯概要は以下のとおりである。

平成18年 4月13日 本件特許出願(特願2006-1109 63号)
平成21年 8月18日 特許査定
平成21年 9月 4日 設定登録(特許第4368868号)
平成24年 5月25日(差出日) 本件無効審判の請求
平成24年 8月10日 答弁書・訂正請求(被請求人)
平成24年10月15日 弁駁書(請求人)
平成25年 1月 8日 口頭審理陳述要領書(請求人,被請求人 )
平成25年 1月22日 口頭審理
平成25年 2月19日 審理終結通知

第2.本件審判事件にかかる両当事者の主張
請求人と被請求人の主張は以下のとおりである。

1.請求人の主張
請求人は,平成24年5月25日(差出日)の審判請求書において,「特許第4368868号発明の特許請求の範囲の請求項1から5に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め(請求の趣旨),以下の理由により,本件特許発明(訂正前の請求項1?5)は特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号,第4号の規定により無効にされるべきである旨主張し,証拠方法として甲第1?17号証を提出した。
【無効理由1】
本件特許発明(訂正前の請求項1?5)は,甲第1?17号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず,その特許は無効とすべきである。
【無効理由2】
本件特許発明(訂正前の請求項1?5)は,特許法第36条第4項第1号又は同条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから,その特許は無効とすべきである。

(証拠方法)
甲第 1号証:特許第3750947号公報
甲第 2号証:パチスロ攻略マガジン 2006年4月号
(2006年4月7日 株式会社双葉社発行)
甲第 3号証:パチスロオリジナル必勝法スペシャル 2006年4月号
(2006年4月1日発行 辰巳出版株式会社発行)
甲第 4号証:特開2000-317043号公報
甲第 5号証:特開2002-272913号公報
甲第 6号証:特開2004-147714号公報
甲第 7号証:必勝パチスロファン 2006年3月号
(2006年3月1日 株式会社日本文芸社発行)
甲第 8号証:パチスロV3大攻略 VOL.21
(2006年3月20日 株式会社笠倉出版社発行)
甲第 9号証:特開2002-153596号公報
甲第10号証:特開2006-43258号公報
甲第11号証:特開2005-270243号公報
甲第12号証:パチスロ必勝ガイドMAX 2006年4月号
(2006年4月1日 株式会社白夜書房発行)
甲第13号証:特開2002-248206号公報
甲第14号証:特開2005-13618号公報
甲第15号証:特開2002-219211号公報
甲第16号証:特開2005-87376号公報
甲第17号証:必勝パチスロファン 2006年4月号
(2006年4月1日 株式会社日本文芸社発行)

そして,被請求人による平成24年8月10日付け訂正請求を受けて,同年10月15日付け弁駁書(周知例として甲第18?22号証を提出),平成25年1月8日付け口頭審理陳述要領書(周知例として甲第23?26号証を提出)において,該訂正請求は訂正要件違反であって認められないものである旨主張し,また仮に訂正が認められるとしても,訂正後の請求項1?5に係る発明について,審判請求書で申し立てた無効理由1及び2は解消していない旨主張している。

甲第18号証:特開2005-131323号公報
甲第19号証:特開2005-144157号公報
甲第20号証:特開2006-68105号公報
甲第21号証:月刊パチスロデータ攻略 マンガBOOP 7月号増刊
(2002年7月1日 平和出版株式会社発行)
甲第22号証:必勝パチスロファン 2003年2月号
(2003年2月1日 株式会社日本文芸社発行)
甲第23号証:特開2004-89476号公報
甲第24号証:特開2006-55623号公報
甲第25号証:特開2004-187812号公報
甲第26号証:特開平5-317507号公報
なお,甲第21号証については,平成24年10月15日付け弁駁書の「7.証拠方法」の欄には,「月間パチスロデータ攻略 マンガBOOP 7月号増刊」と記載されているが,提出された甲第21号証には「月刊パチスロデータ攻略 マンガBOOP 7月号増刊」と記載されているので,当審において上記弁駁書の記載は誤記と認め,上記のとおりとする。

2.被請求人の主張
被請求人は,平成24年8月10日付けで答弁書及び訂正請求書を提出し,「本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」(答弁の趣旨),訂正発明1?5について,無効理由1,2は理由がない旨,主張した。
さらに,平成25年1月8日付け口頭審理陳述要領書において,平成24年8月10日付けの訂正請求は訂正要件を満たしているので,認められるべきとした上で,請求人の主張している無効理由1,2は理由がない旨,主張した。

第3.訂正請求
1.訂正請求の内容
平成24年8月10日付けの訂正請求(以下,「本件訂正」という。)は,本件設定登録時の特許第4368868号の明細書,特許請求の範囲(以下,それぞれ「本件明細書」,「本件特許請求の範囲」という。)を,本件訂正請求書に添付した訂正明細書,訂正特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正しようとするものであって,次の事項を訂正内容とするものである。
なお,以下において,訂正前の請求項等とは本件設定登録時の請求項等を,訂正後の請求項等とは平成24年8月10日付け訂正請求による訂正後の請求項等を,それぞれ指す。

・訂正事項1
請求項1の「情報報知手段をさらに備える」を,
「情報報知手段をさらに備え,
前記情報報知手段は,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数以下である場合には前記所定の情報を報知しない一方,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨の決定がされたときに必ず前記所定の情報を報知する」と訂正する。

・訂正事項2
請求項2の「前記事前決定手段は,前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果と」を,
「前記特定表示結果は,前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果を含み,
前記事前決定手段は,前記特別表示結果と」と訂正する。

・訂正事項3
請求項4に「前記特定表示結果は,前記特別表示結果とは異なる所定表示結果を含み,」なる構成を限定し,さらに,
「前記特定表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が前記第一手順とも前記第二手順とも異なる第三手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる第三手順時導出手段とをさらに含み,」を,
「前記所定表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの所定手順で操作されたときに前記所定表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの前記所定手順とも前記第二手順とも異なる第三手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる第三手順時導出手段とをさらに含み,」と訂正する。

・訂正事項4
請求項4の「前記事前決定手段は,
前記特別表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに該特別表示結果とも前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに,
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し,
前記導出制御手段は,
前記特別表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が特別手順で操作されたときに該特別表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が該特別手順とは異なる非特別手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる特別許容時導出手段と,」を,
「前記事前決定手段は,
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに,
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し,
前記導出制御手段は,
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの特別手順で操作されたときに該特別表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が該特別手順とは異なる非特別手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる特別許容時導出手段と,」と訂正する。

・訂正事項5
請求項5の「前記事前決定手段は,少なくとも前記特定表示結果として所定数の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果の導出を許容するか否かを決定し,」を,
「前記特定表示結果は,特別表示結果とは異なる所定表示結果として所定数の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果を含み,
前記事前決定手段は,少なくとも前記特定表示結果として前記小役表示結果の導出を許容するか否かを決定し,」と訂正する。

・訂正事項6
本件明細書【0009】の「情報報知手段(ステップS1007)をさらに備える」を,
「情報報知手段(ステップS1007)をさらに備え,
前記情報報知手段は,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数以下である場合には前記所定の情報を報知しない一方,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨の決定がされたときに必ず前記所定の情報を報知する」と訂正する。

・訂正事項7
本件明細書【0016】の「前記事前決定手段は,前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態(レギュラーボーナス,ビッグボーナス)への移行を伴う特別表示結果(レギュラーボーナス,ビッグボーナス(1),ビッグボーナス(2))と」を,
「前記特定表示結果は,前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果を含み,
前記事前決定手段は,前記特別表示結果(レギュラーボーナス,ビッグボーナス(1),ビッグボーナス(2))と」と訂正する。

・訂正事項8
本件明細書【0026】の「前記事前決定手段は,
前記特別表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに該特別表示結果とも前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに,
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し,
前記導出制御手段は,
前記特別表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が特別手順で操作されたときに該特別表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が該特別手順とは異なる非特別手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる特別許容時導出手段と,
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が前記第一手順とも前記第二手順とも異なる第三手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる第三手順時導出手段とをさらに含むものとすることができ,」を,
「前記特定表示結果は,前記特別表示結果とは異なる所定表示結果を含み,
前記事前決定手段は,
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに,
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し,
前記導出制御手段は,
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの特別手順で操作されたときに該特別表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が該特別手順とは異なる非特別手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる特別許容時導出手段と,
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの所定手順で操作されたときに前記所定表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの前記所定手順とも前記第二手順とも異なる第三手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる第三手順時導出手段とをさらに含むものとすることができ,」と訂正する。

・訂正事項9
本件明細書【0028】の「なお,特定表示結果が特別表示結果を含むものである場合には,前記特別手順が前記第一手順となり,前記非特別手順が前記第二手順となる。特定表示結果が」を,
「なお,特定表示結果が特別表示結果を含むものである場合には,前記特別手順が前記第一手順に含まれ,前記非特別手順が前記第三表示結果を導出させる手順となる。特定表示結果が」と訂正する。

・訂正事項10
本件明細書【0029】の「前記事前決定手段は,少なくとも前記特定表示結果として所定数(9枚)の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果(スイカ)の導出を許容するか否かを決定し,」を,
「前記特定表示結果は,特別表示結果とは異なる所定表示結果として所定数の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果を含み,
前記事前決定手段は,少なくとも前記特定表示結果として前記小役表示結果(スイカ)の導出を許容するか否かを決定し,」と訂正する。

・訂正事項11
明細書段落【0017】【0018】【0021】の「有利表示結果」を,
「短期有利表示結果」と訂正する。

2.訂正の適否に対する判断
(1)訂正事項の適否に対する判断
(1-1)訂正事項1及び6について
訂正事項1は,請求項1の「情報報知手段をさらに備える」を,
「情報報知手段をさらに備え,
前記情報報知手段は,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数以下である場合には前記所定の情報を報知しない一方,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨の決定がされたときに必ず前記所定の情報を報知する」と訂正するものであって,訂正前の請求項1の「情報表示手段」の機能(作動条件)として,「長期有利状態の残りゲーム数が所定ゲーム数以下である場合には所定の情報を報知しない一方,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には事前決定手段により特定表示結果と短期有利表示結果の導出を許容する旨の決定がされたときに必ず前記所定の情報を報知」することを限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項1は,本件特許明細書等に記載された事項の範囲内で行うものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでない。
また,段落【0009】に関する訂正事項6は,請求項1における訂正に整合させるためであり,明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって,本件明細書等に記載された事項の範囲内で行うものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでない。

なお,請求人は,弁駁書において,訂正事項1及び6に係る「前記情報報知手段は,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数以下である場合には前記所定の情報を報知しない一方,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨の決定がされたときに必ず前記所定の情報を報知する」と訂正することは,本件特許請求の範囲の記載を変更するものである旨主張している。
請求人の主張を要約すると,訂正前は,「長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定され」れば,情報報知手段が「所定の情報を報知」するものであったが,
訂正後は,「長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定され」た場合であっても,「長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多」ければ,情報報知手段が「所定の情報を報知」するが,「長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数以下」であれば,情報報知手段が「所定の情報を報知」しないことになった。
つまり,訂正前は,ある条件が成立した場合は必ず報知していたスロットマシンが,訂正後は,ある条件が成立した場合であっても,他の条件が成立するか否かによって報知する場合と報知しない場合の両方の報知状態を有するスロットマシンに変更されたというものである。
この点について検討する。
本件明細書【0009】には「有利状態制御手段は,
前記可変表示装置の表示結果として予め定められた短期有利表示結果(チャンス目)が導出されたときに,前記有利状態のうちで所定ゲーム数(3ゲーム)の間だけ継続する短期有利状態(ショートRT)に遊技状態を制御する短期有利状態制御手段(ステップS815)と,予め定められた長期移行条件が成立したときに,前記有利状態のうちで前記所定ゲーム数よりも長いゲーム数(100ゲーム)の間だけ継続するとともに,終了までに遊技者の得られる利益が前記短期有利状態よりも大きい長期有利状態(ロングRT)に遊技状態を制御する長期有利状態制御手段(ステップS906)とを含み,前記長期有利状態において前記短期有利表示結果が導出されたときに,該長期有利状態を終了させて,前記短期有利状態に遊技状態を制御し(ステップS815では,これまでのRTカウンタの値に関わらず,RTカウンタの初期値として4をセット),
前記導出制御手段は,
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が第一手順で操作されたときに該特定表示結果を導出させる第一手順時導出手段(図2,図8,図9)と,
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が前記第一手順とは異なる第二手順で操作されたときに該短期有利表示結果を導出させる第二手順時導出手段(図2,図8,図9)とを含み,
前記スロットマシンは,
前記長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに,所定の情報(SRT可能性報知)を報知する情報報知手段(ステップS1007)をさらに備える。」と記載され,
本件明細書【0015】には,「また,前記情報報知手段は,前記長期有利状態に制御されているゲームで,該長期有利状態の残りゲーム数の間に得られる利益が前記短期有利状態において得られる利益よりも大きいことを条件として,前記所定の情報を報知するものとしてもよい。一方,前記情報報知手段は,前記長期有利状態に制御されているゲームで前記所定の情報を報知するものの,該長期有利状態の残りゲーム数の間に得られる利益が前記短期有利状態において得られる利益よりも小さいときには,その旨を示す情報も併せて報知するものとすることができる。これらの場合には,短期有利表示結果を導出させた方が本当は有利な筈であるのに,遊技者が第二手順で停止操作手順を操作しないで短期有利表示結果をわざと外してしまうといったことがなくて済むようになる。」と記載され,
本件明細書【図19】には,上記【0009】に記載された「情報報知手段(ステップS1007)」が作動するためには,必ず「ステップS1004」において「NO」となる,つまり「RT残り数が3以下」であってはならないことが記載されている。
ここで,訂正後の請求項1に記載される「情報報知手段」の技術的意義を確認する。
訂正後の請求項1に記載された発明に係る実施例において,長期有利状態に制御されているゲーム中に短期有利表示結果が導出されると,長期有利状態は残りゲーム数に関係なくその時点で終了し,そこから3ゲームの間継続するRT(ショートRT)に遊技状態が制御される。
つまり,長期有利状態中に短期有利表示結果を導出してしまうことは,遊技者にとって利益を損なう状態となることを意味している。
そこで,訂正後の請求項1においては「長期有利状態に制御されているゲームで(前記)事前決定手段により(前記)特定表示結果と(前記)短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに,所定の情報を報知する情報報知手段」なる構成を備えることによって,遊技者に対して利益が損なわれる可能性があることを報知して,未然に不利な状態に転落することを防ぐことができるようにしたものである。
そして,特に本件明細書【0015】及び【図19】に記載されている事項を要約すると,長期有利状態中に短期有利表示結果が導出されると,短期有利状態に転落するものの,長期有利状態の残りゲーム数が3ゲーム以下であれば,そのことによって少なくとも遊技者にとって不利益が生じることはなく,報知を行わないとしたものである。
上記確認した技術的意義を踏まえた上で,本件の訂正前の特許請求の範囲の対応箇所の記載を検討すると,請求項1には「前記長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに,所定の情報を報知する情報報知手段を備え」と記載され,スロットマシンが具備する「手段」のうち「情報報知手段」が提示され,その報知する条件(タイミング)を規定しているものの,その条件が成立すれば,他の条件を全く考慮せずに「必ず報知する」とまで限定して解釈すべきものではないというべきである。
とすれば,情報報知手段の作動条件(報知を行う場合と行わない場合)を限定した本件訂正は特許請求の範囲の減縮に該当する。
よって,訂正前の発明を「必ず報知するもの」とした上で,訂正後の発明は「報知する場合と報知しない場合を持つ」から,特許請求の範囲の実質的な変更にあたり,訂正は認めることができないという,請求人の主張を採用することはできない。
また,仮に訂正前の発明が「必ず報知するもの」であっても,本件訂正発明1は「遊技者にとって不利な状態に転落しうる可能性がある遊技状態となったときに,それを回避できるように遊技者に何らかの情報を報知する」という目的を有している。そして,訂正後の発明は「長期有利状態の残りゲーム数が3ゲーム以下であれば,その時点で短期有利表示結果が導出されたとしても,少なくとも遊技者にとって不利益が生じることがない」ことをもって,情報の報知の有無の場合分けを行っているが,その目的とするところは,訂正前の本件特許の目的と何ら変わるところはない。
つまり,訂正事項1及び6は,遊技者に対して不利な遊技状態にならないように情報を報知するという本件特許明細書に示された目的の下で,実質的に報知をする必要がない場合を除き,実質的に報知が必要な場合に限定して報知を行うようにしたものである。
請求人は「ある条件が成立した場合であっても,他の条件によって報知する場合と報知しない場合の両方の報知状態を有するスロットマシン」になったと主張しているが,この訂正は「報知する条件を限定」することで,「(残りゲーム数によって決定される)報知する範囲」を残りゲーム数によって決定されるものに限定したものであって,結果として訂正前の「報知する範囲」の一部が「報知されない範囲」に変更されたに過ぎないから,特許請求の範囲の実質的な変更には該当せず,特許請求の範囲の減縮に該当する。
したがって,請求人の主張は採用できない。

(1-2)訂正事項2について
訂正事項2は,請求項2の「前記事前決定手段は,前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果と」を,
「前記特定表示結果は,前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果を含み,
前記事前決定手段は,前記特別表示結果と」と訂正するものであるが,これは,請求項2が引用する請求項1に記載された「特定表示結果」が,「有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果」を含むことを限定したものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項2は,本件特許明細書等に記載された事項の範囲内で行うものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでない。

(1-3)訂正事項3について
訂正事項3は,請求項4に「前記特定表示結果は,前記特別表示結果とは異なる所定表示結果を含み,」を限定した上で,
「前記特定表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が前記第一手順とも前記第二手順とも異なる第三手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる第三手順時導出手段とをさらに含み,」を,
「前記所定表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの所定手順で操作されたときに前記所定表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの前記所定手順とも前記第二手順とも異なる第三手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる第三手順時導出手段とをさらに含み,」と訂正するものである。
これは,訂正前の「特定表示結果」が「(特別表示結果とは異なる)所定表示結果」を含むことを限定し,その「特定表示結果」を限定したことに伴う「所定表示結果」を導出するための手順をさらに限定したものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項3は,本件特許明細書等に記載された事項の範囲内で行うものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでない。

(1-4)訂正事項4について
訂正事項4は,請求項4の「前記事前決定手段は,
前記特別表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに該特別表示結果とも前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに,
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し,
前記導出制御手段は,
前記特別表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が特別手順で操作されたときに該特別表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が該特別手順とは異なる非特別手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる特別許容時導出手段と,」を,
「前記事前決定手段は,
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに,
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し,
前記導出制御手段は,
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの特別手順で操作されたときに該特別表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が該特別手順とは異なる非特別手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる特別許容時導出手段と,」と訂正するものである。
これは,請求項1に記載されていた「事前決定手段は,前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正であると判定したときに,該読み出した設定値データが示す設定値に応じた確率で当該ゲームにおいて入賞表示結果を導出させることを許容するか否かを決定するとともに,前記特定表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,前記短期有利表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し」において,上記訂正事項2で「特定表示結果」が,「有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果」を含むことを限定し,上記訂正事項3で「特定表示結果」が「(特別表示結果とは異なる)所定表示結果」を含むことを限定したことに伴い,請求項2または請求項3を引用する請求項4の記載の整合性を図るためのものであるから,訂正事項4は,明瞭でない記載の釈明を目的とするもので,本件特許明細書等に記載された事項の範囲内で行うものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

(1-5)訂正事項5について
訂正事項5は,請求項5の「前記事前決定手段は,少なくとも前記特定表示結果として所定数の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果の導出を許容するか否かを決定し,」を,
「前記特定表示結果は,特別表示結果とは異なる所定表示結果として所定数の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果を含み,
前記事前決定手段は,少なくとも前記小役表示結果の導出を許容するか否かを決定し,」と訂正するものである。
これは,訂正前の「特定表示結果」が「所定数の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果」を含むことを限定したものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項5は,本件特許明細書等に記載された事項の範囲内で行うものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでない。

(1-6)訂正事項7?10について
訂正事項7?10は,特許請求の範囲を訂正する上記訂正事項2?5との整合性を図るためのものであるから,訂正事項7?10は,明瞭でない記載の釈明を目的とするもので,本件特許明細書等に記載された事項の範囲内で行うものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

(1-7)訂正事項11について
訂正事項11は,本件明細書に3箇所存在する「有利表示結果」を,「短期有利表示結果」と訂正するもので,本件明細書中に「短期有利表示結果」以外の「有利表示結果」は存在せず,「有利表示結果」と記載されたいずれの箇所も「短期有利表示結果」の導出に係る記載であることは明らかであるから,本件明細書を参酌しても,どのような「有利表示結果」であるかが明瞭でなかった記載を明瞭にするものであるから,明瞭でない記載の釈明を目的とするもので,本件特許明細書等に記載された事項の範囲内で行うものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

(2)特許法施行規則に基づく一群の請求項について
訂正後の請求項2は訂正事項1を含む訂正後の請求項1を引用し,訂正後の請求項3は訂正事項2を含む訂正後の請求項2を引用し,訂正後の請求項4は訂正事項2を含む訂正後の請求項2及び訂正後の請求項3を引用し,訂正後の請求項5は訂正事項1を含む訂正後の請求項1,訂正事項2を含む訂正後の請求項2,訂正後の請求項3,訂正事項3及び4を含む訂正後の請求項4を引用しているから,訂正後の請求項1乃至5は,特許法施行規則第46条の2第4号に規定する関係を有する一群の請求項である。
したがって,訂正事項1乃至5に係る請求は,特許法第126条第3項の規定に適合するものである。
また,本件の明細書に関する訂正である訂正事項6乃至11は,いずれも上記一群の請求項に対応した訂正である。
したがって,訂正事項6乃至11に係る請求は,特許法第126条第4項の規定に適合するものである。

3.小括
以上のとおりであるから,訂正事項1?11は,特許請求の範囲の減縮,又は明瞭でない記載の釈明を目的としたものに該当し,また,特許請求の範囲の減縮又は明瞭でない記載の釈明については特許請求の範囲,明細書又は図面に記載されている事項の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでない。
したがって,本件訂正は,特許法第134条の2第1項ただし書き,及び,同条第9項において準用する同法第126条第5項,第6項の規定に適合するので,適法な訂正と認める。

第4.本件訂正発明
本件訂正を認めるので,本件訂正後の請求項1?5に係る発明は,本件訂正により訂正された特許請求の範囲,明細書(以下,「訂正明細書」という。)及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された次のとおりのもの(以下,順に「本件訂正発明1」,「本件訂正発明2」,「本件訂正発明3」,「本件訂正発明4」及び「本件訂正発明5」という。)と認める。
「【請求項1】
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり,複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し,該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて,
ゲーム毎に前記可変表示装置の表示結果が導出されるより前に,特定表示結果及び短期有利表示結果を含む複数種類の表示結果の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段と,
前記識別情報の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止操作手段と,
前記停止操作手段が操作されたときに,該停止操作手段の操作手順と前記事前決定手段の決定結果とに応じて前記可変表示装置の表示結果を導出させる導出制御手段と,
通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利状態に遊技状態を制御する有利状態制御手段と,
所定の設定操作手段の操作に基づいて,前記事前決定手段により入賞表示結果の導出を許容する旨が決定される確率を設定値毎に異ならせる複数種類の設定値のうちから,いずれかの設定値を選択して設定する設定値設定手段と,
前記設定値設定手段により設定された設定値を示す設定値データを含むゲームの進行を制御するためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶するデータ記憶手段と,
前記スロットマシンへの電源供給が遮断しても前記データ記憶手段に記憶されている前記ゲームの進行を制御するためのデータを保持する保持手段と,
前記スロットマシンの電源投入時に,前記ゲームの進行を制御するためのデータのうちの前記設定値データが適正か否かの判定を個別に行わず,前記保持手段により保持されている前記ゲームの進行を制御するためのデータが電源遮断前のデータと一致するか否かの判定を行う記憶データ判定手段と,
前記記憶データ判定手段により前記保持手段により保持されている前記ゲームの進行を制御するためのデータが前記電源遮断前のデータと一致しないと判定されたときに,ゲームの進行を不能化する第1の不能化手段と,
ゲームの開始操作がなされる毎に,前記データ記憶手段から前記設定値データを読み出し,該読み出した設定値データが示す設定値が前記設定値設定手段により設定可能な設定値の範囲内である場合に前記読み出した設定値データが適正であると判定し,前記設定可能な設定値の範囲内でない場合に前記読み出した設定値データが適正ではないと判定する設定値判定手段と,
前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正ではないと判定されたときに,ゲームの進行を不能化する第2の不能化手段と,
前記第1の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態においても前記第2の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態においても,前記設定操作手段の操作に基づいて前記設定値設定手段により前記設定値が新たに設定されたことを条件に,前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し,ゲームの進行を可能とする不能化解除手段とを備え,
前記事前決定手段は,前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正であると判定したときに,該読み出した設定値データが示す設定値に応じた確率で当該ゲームにおいて入賞表示結果を導出させることを許容するか否かを決定するとともに,前記特定表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,前記短期有利表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し,
前記有利状態制御手段は,
前記可変表示装置の表示結果として前記短期有利表示結果が導出されたときに,前記有利状態のうちで所定ゲーム数の間だけ継続する短期有利状態に遊技状態を制御する短期有利状態制御手段と,
予め定められた長期移行条件が成立したときに,前記有利状態のうちで前記所定ゲーム数よりも長いゲーム数の間だけ継続するとともに,終了までに遊技者の得られる利益が前記短期有利状態よりも大きい長期有利状態に遊技状態を制御する長期有利状態制御手段とを含み,
前記長期有利状態において前記短期有利表示結果が導出されたときに,該長期有利状態を終了させて,前記短期有利状態に遊技状態を制御し,
前記導出制御手段は,
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が第一手順で操作されたときに該特定表示結果を導出させる第一手順時導出手段と,
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が前記第一手順とは異なる第二手順で操作されたときに該短期有利表示結果を導出させる第二手順時導出手段とを含み,
前記スロットマシンは,
前記長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに,所定の情報を報知する情報報知手段をさらに備え,
前記情報報知手段は,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数以下である場合には前記所定の情報を報知しない一方,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨の決定がされたときに必ず前記所定の情報を報知する
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記特定表示結果は,前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果を含み,
前記事前決定手段は,前記特別表示結果と前記賭数の設定に遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能となる再遊技表示結果との導出を許容するか否かを決定し,
前記短期有利状態制御手段は,前記短期有利状態として前記通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出を許容する旨を決定する確率を高くする再遊技高確率状態に遊技状態を制御し,
前記スロットマシンは,
前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定に基づいて該特別表示結果が導出されるまで,該特別表示結果の導出を許容する旨の決定を持ち越させる特別決定持越手段と,
前記可変表示装置の表示結果として前記特別表示結果が導出されたときに,前記特別遊技状態に遊技状態を制御する特別遊技状態制御手段と,
前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定に基づいて該特別表示結果が導出されなかった後,及び前記短期有利表示結果が導出された後に所定の演出を実行する演出実行手段とをさらに備え,
前記導出制御手段は,前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定が持ち越されている状態で前記再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに該特別表示結果よりも該再遊技表示結果を優先して前記可変表示装置の表示結果として導出させる再遊技優先導出手段をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記特別遊技状態に制御された後に所定の特別終了条件が成立したときに,該特別遊技状態を終了させて,前記長期有利状態に遊技状態を制御する特別遊技状態終了手段とをさらに備える
ことを特徴とする請求項2に記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記特定表示結果は,前記特別表示結果とは異なる所定表示結果を含み,
前記事前決定手段は,
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに,
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し,
前記導出制御手段は,
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの特別手順で操作されたときに該特別表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が該特別手順とは異なる非特別手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる特別許容時導出手段と,
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの所定手順で操作されたときに前記所定表示結果を導出させるとともに,前記停止操作手段が前記第一手順のうちの前記所定手順とも前記第二手順とも異なる第三手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる第三手順時導出手段とをさらに含み,
前記スロットマシンは,
前記長期有利状態に制御されているゲームで前記第三表示結果が導出されたときに,前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているか否かを示す特別演出を実行する特別演出実行手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項2または3に記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記特定表示結果は,特別表示結果とは異なる所定表示結果として所定数の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果を含み,
前記事前決定手段は,少なくとも前記特定表示結果として前記小役表示結果の導出を許容するか否かを決定し,
前記情報報知手段は,通常遊技状態に制御されているゲームでも前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに,前記所定の情報を報知し,
前記スロットマシンは,
前記可変表示装置の表示結果として前記小役表示結果が導出されたときに前記所定数の遊技用価値により実行可能なゲーム数と前記所定ゲーム数との差が1未満となる数の遊技用価値を遊技者に付与する遊技用価値付与手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスロットマシン。」

第5.本件訂正発明にかかる検討
本件訂正発明1?5において,審判請求書で申し立てた無効理由1(容易想到性)及び無効理由2(記載要件)が認められるか否かについて,以下に検討する。

1.甲第1?26号証の記載事項
甲第1?26号証には,それぞれ以下の記載がある。
(1)甲第1号証(特許第3750947号公報)
【0005】
そして,このビッグボーナスゲーム(BBゲーム)においては,小役ゲームが所定数回(例えば,30回)消化されるか又はレギュラーボーナスゲーム(RBゲーム又はジャックゲーム)が所定数回(例えば,3回)実行されると,BBゲームモードが終了するようになっており,その結果,300枚?700枚程度のメダルが払い出される。
【0018】
以下,本発明に係る遊技機としてパチスロ機(回胴式遊技機)を一例に取り上げて実施の形態を図面と共に詳細に説明する。
【0034】
10は,停止ボタン部であり,回転しているドラム部2を停止させるときに使用する。この停止ボタン部10には,左停止ボタン10a,中停止ボタン10b及び右停止ボタン10cの3つのボタンが設けられており,ドラム部2が回転中に操作することにより,それぞれのボタンに対応する左ドラム2a,中ドラム2b及び右ドラム2cを停止させることができる。なお,停止ボタン部が操作可能の場合には,停止ボタン10a,停止ボタン10b及び停止ボタン10cに内蔵されているLEDが点灯するようになっている。
【0064】
主制御部100は,CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載する一体型のワンチップマイコン(エルイーテック社製LE4280B-PA-G1)であり,所定のデータテーブル領域や装置全体の制御手順を記述した制御プログラムを記憶するROM101と,カウンタやレジスタ等が形成され制御に必要な情報を一時的に記憶するRAM102(RWM:リライタブルメモリともいう)とが設けられている。
【0066】
また,主制御部100には,I/0ポート(図示せず)を介して,ドラム部2,メダル払出装置18及び表示LEDブロック4が接続されており,主制御部100はこれらの各装置を制御可能に構成されている。さらに,主制御部100には,I/0ポート(図示せず)を介して,副制御部160が接続されており,サブブロックの各種制御に必要な制御データ(例えば,コイン投入データや当選状況データ,段階設定部のスイッチ操作状態を示すデータ,段階設定値)を副制御部160に出力する。なお,副制御部160は,内蔵RAMに段階設定値の履歴情報も併せて記憶しており,履歴情報は電池でバックアップされているので主電源を切っても消えることはない。
【0074】
また,遊技者が所定数のメダルを投入後,スタートレバー9を操作すると,スタートSWセンサ110はスタート信号を出力し,主制御部100はこのスタート信号の受信を契機として乱数抽選等を行って変動表示ゲームを開始するとともに,ドラム部2に駆動パルス信号を出力するようになっている。なお,この1回のスタートレバー9の操作によって行われる遊技が1ゲームの変動表示ゲームとなっており,遊技者はボーナスゲーム(ビッグボーナス又はレギュラーボーナス)を獲得してメダルを増やすことを目的に遊技を繰り返す。
【0075】
そして,主制御部100は,変動表示ゲーム中に停止ボタン10a,10b及び10cが操作されると,回転ドラムの回転を停止させ,所定の役が成立(各回転ドラムの図柄が予め定めた所定の組み合わせで表示されると入賞)してメダルの払い出しを行う場合,その払出し数を表示LEDブロック4中のメダル払出枚数表示LED4cに表示し,これをクレジット数に加えてメダル貯留枚数表示LED4bに表示させる。なお,精算ボタン6によって払い出し操作が行われた場合やクレジット数が例えば最大数の50枚を超えた場合には,主制御部100はメダル払出装置18を駆動制御し,必要数のメダルをメダル払出口16から排出させて受け皿15に蓄積させる。
【0077】
150は,段階設定部であり,後述する出玉率の段階設定操作を行うことにより,ホール側は,イベントや新装オープンでの放出や収益改善のための回収状況に応じて,段階値1?6の中から所望の設定値を選択することができる。
【0087】
各回胴帯には,それぞれ異なった並びの図柄が21個描かれており,ビッグボーナス図柄の「赤7」や「青7」,ストックしているビッグボーナス又はレギュラーボーナス放出の契機となる十字架,低確率状態から高確率状態へモード移行させるための抽選の契機となるチェリー及びスイカ,逆の機能を有するベル及びリプレイがある。
【0090】
主制御部100は,変動表示ゲームのスタート信号を受信し,抽選結果が当選となって役が成立した場合には,有効ライン上にその役の図柄を揃えるように引き込むための引込制御を行う。
【0091】
例えば,ビッグボーナス役が内部当選し,停止した左ドラム2aと中ドラム2bの右斜め下の有効ライン上に図柄「7,7」が揃っている状態において,この有効ラインから4コマ以内に図柄「7」が位置する状態で停止ボタン10cが操作されたとき(図9(A)参照),主制御部100は,これを強制的に有効ライン上に揃えて「7,7,7」の組み合せとなるように引込制御を行う(図9(B)参照)。一方,抽選により内部当選して,いずれかの役が成立しているとしても,役に対応する所定の図柄が有効ライン上に表示されなければ遊技者に有利な状態とはならない。例えば,ビッグボーナスゲーム(BBゲーム)は,図9(B)のように表示されなければ,開始されないようになっている。なお,この引込制御は,右ドラム2cだけではなく,左ドラム2aや中ドラム2bのいずれの図柄に対しても行うようになっている。
【0094】
主制御部100は,変動表示ゲームのスタート信号を受信し,抽選結果がハズレとなって役が不成立の場合には,有効ライン上に当選役(ボーナスや小役)の図柄を揃えないための回避制御を行う。
【0095】
例えば,ビッグボーナス役が内部当選しておらず,停止した左ドラム2aと中ドラム2bの右斜め下の有効ライン上に図柄「7,7」が揃っている場合(所謂,「リーチ状態」である。)において,遊技者が「目押し」により,この有効ラインから1コマ以内に図柄「7」が位置する状態で停止ボタン10cが操作されたとき(例えば,「ビタ押し」と呼ばれている。図10(A)参照),主制御部100は,有効ライン上に「7,7,7」が揃わないように図柄「7」を一つ先まで移動させて強制的にハズレとする回避制御を行う(図10(B)参照)。なお,この回避制御は,右ドラム2cだけではなく,左ドラム2aや中ドラム2bのいずれの図柄に対しても行うようになっている。
【0105】
主制御部100は,遊技者により変動表示ゲームの開始操作が行われると,内部抽選を行い,その結果,上段チェリー(チェリー1)が当選した場合には,停止ボタンが操作された位置(タイミング)により,チェリー図柄の引込制御(図9参照)又は回避制御(図10参照)を行う。
【0106】
図31(B)は,引込制御の可能な範囲を示しており,主制御部100は,チェリー図柄が上段丁度の位置からその4コマ上の位置において停止ボタン10aが操作されると,窓部3の上段にチェリー図柄を停止させる。なお,実際には停止までに約36ms必要なのでその分だけ上に位置するが,説明の都合上このように記している。また,停止操作から190ms以内に停止することが規定されているので,4コマ滑らない場合もある。
【0107】
一方,図31(C)及び図31(D)は回避制御等が行われる範囲を示しており,主制御部100は,上段チェリーが当選した場合であっても,チェリー図柄が上段位置から4コマより上の位置(つまり,図31(A)の4よりも上の位置)又は上段位置を少しでも過ぎた位置において停止ボタン10aが操作されると,上段位置の一つ上又は下段位置の一つ下にチェリー図柄を停止させハズレとする。つまり,中段チェリー(チェリー2)又は下段チェリー(チェリー3)が当選していないので,チェリー図柄を強制的に窓部3の外に停止させなければならないのである。
【0134】
主制御部100は,図柄変動表示ゲームにおいてスタート信号を受信し,内部抽選結果がビッグボーナスの赤7図柄及びベルが同時に当選となって2つのフラグが立っている場合には,左ドラム2a及び中ドラム2bを図37(A)に示す様に停止させ,ライン9でベル及びライン10で赤7図柄のダブルリーチ状態とする。
【0142】
図38(A)に示す通り,右ドラム2c上の赤7図柄はコマ番号2であるから(図8参照),ビッグボーナスの赤7図柄及びベルが内部当選し,ダブルリーチ状態となっている場合,窓部3の最下段位置を計測基準とすると,主制御部100は図柄位置データ「3」及び入力パルス相データ「0」?「23」の範囲で停止ボタン10cが操作されると,図柄位置及び入力パルス相に関連付けて回転している図柄を停止させる位置を一つの図柄位置に対して少なくとも2つ以上記憶する図柄停止位置記憶テーブル(図38(B)参照)に基づいて,回転ドラムの停止制御を行う。つまり主制御部100は,変動表示ゲーム中に停止ボタンが操作されたタイミングで図柄位置データ記憶手段が記憶する図柄位置データ及び相データ記憶手段が記憶する入力パルス相データを認識するとともに,認識した図柄位置データ及び入力パルス相データに基づいて回転ドラムを停止させる制御を行って,図柄停止位置記憶手段が記憶する図柄(赤7図柄又はベル図柄)が下段に表示されるように回転ドラムを停止させる。
【0155】
例えば,本発明の回胴式遊技機の場合には,乱数値は0?65535の値をランダムにとり,低確率状態においてスタートレバー9が操作タイミングに合わせて図柄の抽選をしたとき,乱数値が0?m1の範囲であればビッグボーナス(BB)図柄が当選となる。同様に,高確率状態において図柄の抽選をしたとき,乱数値が0?n1の範囲であればビッグボーナス図柄が当選となるが,m1<n1の関係になっているので,高確率状態の方が低確率状態よりもビッグボーナス図柄が当選しやすくなっている。また,レギュラーボーナス図柄及びストックしているボーナスゲーム(乱数抽選により非常に高い確率で当選したボーナスゲームで,ストックする最大数は例えば255個である。)の放出契機となる十字架図柄が当選する確率も,m3<n2及びm5<n3の関係になっているので,高確率状態の方がボーナス図柄は当選しやすくなっている。なお,ボーナス図柄や十字架図柄が当選した場合には,RAM102のフラグエリアにフラグ1を立て,図柄が有効ライン上に揃うまでクリアしないので,遊技者は必ず所定の図柄を揃えてビッグボーナスゲームやドラキュラミッション(大当り前兆モード)等へ突入することができる。ただし,十字架図柄が有効ライン上に揃わなくても,所定ゲーム数が消化されると,ドラキュラミッションが自動的に開始される。
【0160】
抽選テーブルとしては,出玉率の段階設定値1?6(この図では,設定1?設定6と標記している。)及び投入メダル数に対応した6つの抽選テーブル1,抽選テーブル2…抽選テーブル6があり,主制御部は段階設定部150により設定された段階設定値及び投入メダル数に応じて抽選テーブルを選択し,変動表示ゲームにおいてボーナスゲームや複数の小役の内部抽選を実行する。なお,内部抽選でボーナスゲームが当選する期待値は,上記低確率状態及び高確率状態で説明した様に,抽選テーブル1<抽選テーブル2<…<抽選テーブル6となっているので,遊技者は高設定台を求めるのである。
【0162】
BB(ビッグボーナス)とは,「赤7」又は「青7」のBB図柄が有効ライン上に揃った場合の役名であり,これが揃うと15枚のメダルが獲得されるとともに,対応するフラグエリアにフラグ1を立ててビッグボーナスゲーム(BBゲーム:役物連続作動装置の作動)に突入する。
【0164】
スイカ図柄又はチェリー図柄が有効ライン上に揃った場合には,それぞれ5枚又は2枚のメダルが獲得されるとともに,低確率状態にいる場合には,高確率状態へ移行させるための昇格抽選がおこなわれる。更に,低確率状態から高確率状態へ移行した場合,抽選で決定されたスイカ図柄又はチェリー図柄の一方で,夜画面(第二表示ステージ)から昼画面(第一表示ステージ)へ画面表示が切り替えられる。なお,低確率状態から高確率状態へ移行した場合でも,画面表示切り替えの抽選に当選した場合にのみ,第二表示ステージから第一表示ステージへ切り替えることもある。
【0166】
リプレイとは,リプレイ図柄が有効ライン上に揃った場合の役名であり,これに対して通常はメダル獲得がされず,フラグエリアにフラグ1を立て,遊技者のスタートレバー9の操作によりリプレイ動作を行ってフラグを下げる(即ち,0とする)。つまり,次回のゲームはメダルを投入することなく行うことができる一方,高確率状態にいる場合には,低確率状態へ移行させるための降格抽選がおこなわれる。
【0172】
170aは,設定用キースイッチ(設定変更許可スイッチともいう)であり,出玉率の段階設定や段階確認を行うときに使用する。操作キーを鍵穴170dに差し込んで回転させることにより,OFFからONの状態又は逆のONからOFFの状態にすることができる。
【0173】
170bは,エラー解除スイッチであり,出玉率の段階設定を行う時やエラーによる遊技の中止を解除する時に使用する。
【0215】
次に,主制御部100は,ステップS240において,変動表示ゲームのメイン処理を実行する。例えば,遊技者が所定数のメダルを投入後,スタートレバー9を操作すると,スタートSWセンサ110からスタート信号が出力されるので,まずワークRAM領域に記憶している段階設定値のデータが0?5(メダル払出枚数表示LED4cに表示される段階設定値は各々1?6に対応する)の範囲内にあるか否かを確認する。
【0216】
主制御部100は,段階設定値が所定の範囲内になければ,表示演出装置11,スピーカ部12及び遊技状態表示LED部13により警告(「EE」エラーの文字表示,発光及び警告音)を発生させてエラー処理を行わせる一方,所定の範囲内にあれば,以下で説明する乱数抽選を行って変動表示ゲームを続行する。
【0217】
この「EE」エラーが発生した場合,パチンコホール等の店員は設定変更スイッチの操作を行って,段階設定値を所定範囲の中から1つ選択して新たにRAM102に記憶させると,その後主制御部100は,新たに記憶した段階設定値を使用して変動表示ゲームの当落を決定する。また,主制御部100は,段階設定値を新たにRAM102に記憶させる場合,段階設定値をメダル払出枚数表示LED4cに表示しない。その一方,段階設定値に応じた音や映像(例えば,段階設定値「1」の場合,「ピッ」という音又は1匹のコウモリが表示演出装置11に表示される。)により間接的に表示される。そして,RAM102に記憶している制御データは,ROM101が記憶する制御データの初期値に書き換えられてリセット(初期化)される。
【0218】
他の実施例としては,「EE」エラーが発生した場合,パチンコホール等の店員が設定変更スイッチの操作を行って段階設定値を所定範囲の中から1つ選択したとき,副制御部160は主制御部100から受信した段階設定値と内蔵RAMに記憶する段階設定値とが一致した場合,一致した旨を表示又は報知する。例えば,副制御部160は,表示演出装置11に「開店時の段階設定値と一致しました。」を表示して,及びスピーカ部12からビープ音を発生させたり,音声で「開店時の段階設定値と一致しました。」の報知を繰り返す。その後,主制御部100は,副制御部160が一致した旨を表示又は報知している状態で,段階設定部150が操作された場合,送信した段階設定値を新たにRAM102に記憶させるとともに,新たに記憶した段階設定値を使用して変動表示ゲームの当落を決定する。この様にすることで,遊技者は安心して遊技を続行できる。
【0233】
そして,主制御部100は,一般遊技の各変動表示ゲームにおいて,同一図柄が有効ライン上に並んで窓部3に表示されれば入賞とし,図15に示す配当表に従って,遊技メダルをメダル払出装置(一般に「メダルホッパー」と呼ばれている。)から払い出し,メダル払出口16より排出して,ステップS250に移行する。なお,ビッグボーナスゲーム(BBゲーム)においては,直ちに6ゲームで1セットのRBゲーム(ジャックゲーム又は第一種特別役物)が繰り返し作動され,獲得枚数が375枚を超えた時点でBBゲームモードを終了する。また,レギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)においては,6ゲームのジャックゲームを実行し,RBゲームモードを終了する。

(2)甲第2号証(パチスロ攻略マガジン 2006年4月号)
第42頁左中段の「カワイイ顔の裏側は究極の技術介入機!」の欄
「「萌え系パチスロ」の急先鋒『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』。本誌では,キャラや演出がコミカルで愛らしさ満点な本機の中身を暴くべく,解析&シミュレートを敢行。その結果,驚愕の事実が判明した!技術介入性の高さは既報の通りだが,内部数値をもとにシミュレートしたところ,完璧にプレイされた場合と適当に打った場合とでは,PAYOUTに8%もの差が生じたのだ!
その詳細はP44を見て頂きたいが,はやる気持ちを抑えつつ,まずは内部システムを把握しよう。本機最大の特徴は,スイカと1枚役の取りこぼし時に停止する「RT目」だ。出現後2P間のリプレイ確率がアップするのだが,ボーナス後60PのRT中に揃うと,逆にパンクしてしまう要因となる。そして,このRT目の存在が,高い技術介入性を生み出す要因でもある!」の記載。
第42頁左下段の「RTがゲーム性の核!」の欄
「ボーナス終了後」に「60PのRT突入」となること,
「RT目出現後」に「2PのRT突入」となること,
「ボーナス成立後」に「ボーナスを揃えるまでリプレイ確率アップ」となること,
「RT目出現時はボーナス成立のチャンスだが,どのみちリプレイ確率がアップするため,ボーナス成立か否かはわからない。」の記載及び,
「RT中のリプレイ確率(解析値)」の表における,
「60PRT中 1/1.820,
2PRT中 1/1.560,
ボーナス成立時 1/2.427」の記載。
第42頁右上段の「役の構成」の欄
「赤7・赤7・赤7」が揃うと,「BIG BONUS + 60PのRT」となること,
「青7・青7・青7」が揃うと,「CT + 60PのRT」となること,
「白/黒ムギまる・白ムギまる/スイカ・スイカ」が揃うと,「2PのRT」となることの記載。
第43頁左上段の「RT消化手順」の欄
「ボーナス後のRTはRT目を揃えると2Pで終了!」の記載。
第43頁左下段の「打ち方ひとつで大きな差が付く!」の欄
「次に,本機の最重要ポイント「打ち方」について解説しよう。通常時はスイカを取りこぼさず,1枚役をRT目で揃える上記手順がベストだ。左右の停止位置でRT目を取りこぼす場所があるので注意。一方,ボーナス後の60PRT中はRT目が揃うと2Pに書き換えられてしまう。このRTが本機の出玉能力の中核なので,絶対に途中で終わらせないように。特に,連続演出中は予告音が発生しないため,RT目が揃わない逆押し青7狙い(スイカ中段テンパイ時は左・スイカ狙い)で消化しよう。そして,ボーナスの完璧消化は1回あたりの効果が少ないものの,ボーナス回数が多くなる本機では積み重ねで大きな差となるぞ。」の記載。
第43頁右上段の「通常時の打ち方」の欄
「通常時の小役確率」の表における,
「解析値(設定1?6)」の「リプレイ役 1/7.300,
オヤジ打ち(8263P)」の「リプレイ役 1/7.35」との記載。
第43頁右中段の「ボーナス消化手順」の欄
「CTMAX打法手順」の項に「終了条件:払い出し224枚を越えると終了」の記載。
「BIG消化手順」の項に「終了条件:払い出し345枚を越えると終了」の記載。

(3)甲第3号証(パチスロオリジナル必勝法スペシャル 2006年4月号(2006年4月1日発行))
第70頁右下段「小役&ボーナス同時当選機能だムギー」の欄
「5号機の特徴である小役とボーナスの同時抽選がメイン。対象はチェリー・スイカ・1枚役と,それらの取りこぼしで出るプチRT目だ。チェリーはBIG確定なので,スイカとプチRTに注目しよう」の記載。
第71頁左中段「RTについての処方せん」の欄
「・BIG・CT後に必ず突入」,「・RT中はリプレイ確率がアップ」,「・RTは60G消化,ボーナス成立,又はプチRT絵柄揃いで終了」,「BIG・CT後は60GのRTに入る。順押しだとプチRT目で終了するので注意」の記載。
第71頁右下段「プチRT絵柄の処方せん」の欄
「プチRT絵柄とは?」の項 「一枚役,スイカ,チェリーの取りこぼし時に出現 ・ボーナス成立時に出現」の記載。

(4)甲第4号証(特開2000-317043号公報)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 主電源による電源の投入・遮断を行うための電源スイッチと、
遊技の難易度を段階的に設定可能な設定スイッチと、
前記電源スイッチ及び前記設定スイッチにそれぞれ接続される遊技制御装置とを備え、
前記遊技制御装置には、
前記設定スイッチにより設定された段階設定値を含む遊技データのチェックサムを作成するためのチェックサム作成手段と、
前記主電源の遮断時に、前記チェックサム作成手段より作成されたチェックサムを記憶し、この記憶した記憶データを保持するためのバックアップ電源を有する記憶手段と、
前記電源スイッチによる前記主電源の投入時に、前記チェックサム作成手段より作成されたチェックサムと、前記記憶手段から読み出した前記記憶データとの一致・不一致を検査するためのチェックサム検査手段と、
前記チェックサム検査手段による検査結果が不一致の場合に、エラー処理を実行するためのエラー処理手段とを備えていることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】 前記スロットマシンには、
前記遊技制御装置に接続されるスピーカを備え、
前記エラー処理手段には、
前記スピーカを通じて警告音を発生させるための警告音発生手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】 前記スロットマシンには、
前記遊技制御装置に接続されるエラー表示装置を備え、
前記エラー処理手段には、
前記エラー表示装置にエラーの発生を視覚的に表示するためのエラー表示手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスロットマシン。
【請求項4】 前記エラー処理手段には、
前記電源スイッチによる前記主電源の遮断待ちの状態にするための遊技停止手段を備えていることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載のスロットマシン。
【請求項5】 前記遊技制御装置には、
前記設定スイッチのオン・オフを判定するための設定スイッチ判定手段を備え、
前記エラー処理手段は、
前記設定スイッチ判定手段より前記設定スイッチのオフ状態が判定されたことを条件に、エラー処理を実行するようにしていることを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載のスロットマシン。
【請求項6】 前記遊技制御装置には、
前記設定スイッチ判定手段より前記設定スイッチのオン状態が判定された場合に、現在の段階設定値を、当該設定スイッチにより設定された段階設定値に変更するための設定値変更手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載のスロットマシン。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし,上記した従来のパチンコ機において採用されているチェックサムを用いたエラーのチェック方式では,スロットマシン固有の設定値に関するエラーのチェックが困難であるという問題点があった。すなわち,パチンコ機では,メモリーにバックアップ電源を持たないので,チェックサムの内容が電源遮断後,消去されてしまう。
【0004】そこで,各請求項にそれぞれ記載された各発明は,上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,次の点にある。
(請求項1)すなわち,請求項1に記載の発明は,設定値を含む遊技データのチェックサムを,バックアップ電源により保持することにより,電源投入時に,設定値に関するエラーの発生を検査することができるようにしたものである。
(請求項2)請求項2に記載の発明は,上記した請求項1に記載の発明の目的に加え,次の点を目的とする。
【0014】前記記憶手段(220)は,主電源(70)の遮断時に,チェックサム作成手段(210)より作成されたチェックサムを記憶し,この記憶した記憶データを保持するためのバックアップ電源(80)を有するものである。前記チェックサム検査手段(230)は,電源スイッチ(30)による主電源(70)の投入時に,チェックサム作成手段(210)より作成されたチェックサムと,記憶手段(220)から読み出した記憶データとの一致・不一致を検査するためのものである。
【0024】上記スロットマシン10は,図1に示すように,遊技制御装置20を備える。上記遊技制御装置20は,図示しないが,CPUを中心に構成され,ROM,RAM,I/O等を備えている,そして,CPUは,ROMに記憶されたプログラムを読み込むことで,図1に示すように,次の手段として機能する。
(1)遊技制御手段200
(2)チェックサム作成手段210
(3)記憶手段220
(4)チェックサム検査手段230
(5)エラー処理手段240
(6)設定スイッチ判定手段250
(7)設定値変更手段260
なお,遊技制御装置20の手段は,上記した手段に限定されるものでなく,他の手段やテーブルを含んでいても良い。
【0025】また,CPUは,メインCPUとサブCPUとに分けて制御するようにしても良い。
(入力段)遊技制御装置20の入力段には,図1に示すように,次のパーツが接続されている。
【0027】(1)リールユニット90
(2)ホッパーユニット100
(3)スピーカ110
(4)エラー表示装置120
なお,遊技制御装置20の出力段に接続されているパーツは,上記したパーツに限定されるものでなく,他のパーツを接続しても良い。
(電源スイッチ30)電源スイッチ30は,主電源70による電源の投入・遮断を行うためのものである。
(設定スイッチ40)設定スイッチ40は,遊技の難易度を段階的に設定可能なものである。
(スタートスイッチ50)スタートスイッチ50は,メダルの投入を条件に,リールユニット90の駆動をスタートさせるものである。
(ストップスイッチ60)ストップスイッチ60は,リールユニット90の駆動をスタートさせるものである。
(主電源70)主電源70は,遊技制御装置20のほか,リールユニット90,ホッパーユニット100,スピーカ110,エラー表示装置120等に電源を供給するためのものである。
【0028】なお,主電源70は,スロットマシン10の内部にあっても良いし,或いは外部にあっても良い。
(バックアップ電源80)バックアップ電源80は,遊技制御装置20の記憶手段220に電源を供給するためのものである。その結果,記憶手段220に記憶された記憶データは,主電源70の遮断後も,保持される。
(リールユニット90)リールユニット90は,図示しないが,複数,例えば3個のリールと,各リールを個々に回転させるための複数,例えば3個のモータとから構成されている。そして,各リールの外周面には,複数種類の図柄が表示されている。
(ホッパーユニット100)ホッパーユニット100は,遊技の結果にもとづいて,メダルを払い出すためのものである。
(スピーカ110)スピーカ110は,遊技の進行に合わせて,各種の効果音を発生させるものである。
(エラー表示装置120)エラー表示装置120は,エラーの発生を視覚的に表示するためのものである。
【0029】具体的には,エラー表示装置120としては,LED,ランプ,液晶等を使用できる。
(遊技制御手段200)遊技制御手段200は,通常遊技や,通常遊技の結果にもとづいて,いわゆるビッグボーナスゲームやレギュラーボーナスゲーム等の特別遊技を行わせるためのものである。
(チェックサム作成手段210)チェックサム作成手段210は,設定スイッチ40により設定された段階設定値を含む遊技データのチェックサム(checksum)を作成するためのものである。
【0030】上記チェックサムは,データが正しくやり取りされたかどうかをチェックする検出方式のひとつである。具体的には,データ列を一定の長さのブロックに区切り,そのブロック内のデータ列を足し合わせた総和を求めている。前記遊技データは,RAMに記憶され,電源遮断時の処理としてRAMのサムチェックを作成している。
(記憶手段220)記憶手段220は,主電源70の遮断時に,チェックサム作成手段210より作成されたチェックサムを記憶するためのものである。
【0031】上記主電源70の遮断時としては,例えば次のようなケースを想定している。
(1)電源スイッチ30により,主電源70が遮断された場合。
(2)例えば落雷等のように不可抗力により主電源70が遮断された場合。
(3)不正行為等により故意に主電源70が遮断された場合。
(チェックサム検査手段230)チェックサム検査手段230は,電源スイッチ30による主電源70の投入時に,チェックサム作成手段210より作成されたチェックサムと,記憶手段220から読み出した記憶データとの一致・不一致を検査するためのものである。
【0032】具体的には,チェックサム作成手段210により,電源遮断時の処理としてRAMのサムチェックを作成し,次回の電源投入時にRAMの内容が,電源遮断時の内容と一致しているかどうか,チェックサム検査手段230により確認している。サムチェックの不一致が発生する原因として,例えば次のようなケースを想定している。
【0033】(1)主電源70が長期間遮断され,バックアップ電源80に使用している,例えば電池が切れた場合。
(2)例えば落雷等のように不可抗力のノイズによりRAMの内容が破壊された場合。
(3)故意のノイズによりにRAMの内容が破壊された場合。
(エラー処理手段240)エラー処理手段240は,チェックサム検査手段230による検査結果が不一致の場合に,エラー処理を実行するためのものである。
【0034】具体的には,エラー処理手段240は,図1に示すように,次の手段を備える。
(1)警告音発生手段241
警告音発生手段241は,スピーカ110を通じて警告音を発生させるためのものである。
(2)エラー表示手段242
エラー表示手段242は,エラー表示装置120にエラーの発生を視覚的に表示するためのものである。
【0035】(3)遊技停止手段243
遊技停止手段243は,電源スイッチ30による主電源70の遮断待ちの状態にするためのものである。なお,エラー処理手段240の各種手段は,上記した手段に限定されるものでなく,他の手段を含んでいても良い。
(設定スイッチ判定手段250)設定スイッチ判定手段250は,設定スイッチ40のオン・オフを判定するためのものである。
(設定値変更手段260)設定値変更手段260は,設定スイッチ判定手段250より設定スイッチ40のオン状態が判定された場合に,現在の段階設定値を,当該設定スイッチ40により設定された段階設定値に変更するためのものである。
【0037】上記電源投入は,電源スイッチ30を操作して,主電源70を投入することにより行われる。前記検査は,遊技制御装置20により実行される。前記検査後,図2に示すように,次の第2ステップS2に進み,初期化処理が行われる。前記処理は,遊技制御装置20により実行される。上記初期化処理後,図2に示すように,次の第3ステップS3に進み,RAMのチェックサムを検査する。前記検査は,チェックサム検査手段230により実行される。
【0038】上記検査後,図2に示すように,次の第4ステップS4に進み,チェックサムが一致しているか否かを判定する。前記判定も,チェックサム検査手段230により実行される。上記判定結果が,一致の場合には,図2に示すように,次の第5ステップS5に進み,段階設定値が正常か否かを判定する。前記判定は,遊技制御装置20により実行される。
【0039】上記判定結果が,正常で無い場合,すなわち異常の場合には,図2に示すように,次の第6ステップS6に進み,段階設定値の初期値がセットされる。前記セットは,遊技制御装置20により実行される。上記セット後,図2に示すように,次の第7ステップS7に進み,設定スイッチ40がON状態か否かが判定される。前記判定は,設定スイッチ判定手段250により実行される。
【0040】上記判定結果が,ON状態と判定された場合には,図2に示すように,次の第8ステップS8に進み,RAM中の段階設定値以外の全てのデータがクリアーされる。前記処理は,遊技制御装置20により実行される。上記処理後,図2に示すように,次の第9ステップS9に進み,段階設定値変更処理が行われる。前記処理は,設定値変更手段260により実行される。
【0041】すなわち,仮に先の第6ステップで,段階設定値の初期値がセットされていても,設定スイッチ40により設定された段階設定値が優先される。その結果,RAMに記憶された段階設定値の初期値が,設定スイッチ40により設定された段階設定値に変更される。以後,設定スイッチ40により設定された段階設定値により,遊技が開始される。
【0042】上記処理後,図2に示すように,次の第10ステップS10に進み,RAM中の段階設定値以外の全てのデータがクリアーされる。前記処理は,遊技制御装置20により実行される。このとき,設定スイッチ40により設定された段階設定値は,RAM中に残っている。上記処理後,図2に示すように,通常の遊技処理へ移行する。すなわち,以後,遊技制御手段200より通常遊技が開始される。
【0044】また,先の第4ステップS4において,チェックサムの不一致が判定された場合には,図2に示すように,次の第11ステップS11に進み,設定スイッチ40がON状態か否かが判定される。前記判定は,設定スイッチ判定手段250により実行される。上記判定結果が,ON状態と判定された場合には,図2に示すように,第11ステップS11から第8ステップS8に進み,以後,設定スイッチ40により設定された段階設定値により,遊技が開始される。
【0045】これに対し,第11ステップS7において,設定スイッチ40がON状態で無いと判定された場合,すなわちOFF状態と判定された場合には,図2に示すように,次の第12ステップS12に進み,電源投入時のエラー処理が行われる。前記処理は,エラー処理手段240により実行される。具体的には,警告音発生手段241により,スピーカ110を通じて警告音を発生させる。また,エラー表示手段242により,エラー表示装置120にエラーの発生を視覚的に表示させる。
【0052】
【発明の効果】本発明は,以上のように構成されているので,以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)請求項1に記載の発明によれば,次のような効果を奏する。
【0053】すなわち,請求項1に記載の発明によれば,設定値を含む遊技データのチェックサムを,バックアップ電源により保持することにより,電源投入時に,設定値に関するエラーの発生を検査することができる。
(請求項2)請求項2に記載の発明によれば,上記した請求項1に記載の発明の効果に加え,次のような効果を奏する。

(5)甲第5号証(特開2002-272913号公報)
【0052】これに対し,特別役に当選したときは,その特別役の当選は,特別役が入賞するまで,次遊技以降に持ち越される。さらに,特別役当選持越し手段63により特別役の当選が持ち越されている遊技であっても,役抽選手段61は,特別役を含めた役の抽選を継続する。
【0060】また,特別役の当選を持ち越している遊技中に,小役やリプレイに当選したときは,小役やリプレイの入賞が優先される。よって,小役やリプレイの当選時は,たとえ特別役の当選が持ち越されている場合であっても,特別役の図柄の組合せは有効ラインに停止しないように,リール31の停止位置が定められている。

(6)甲第6号証(特開2004-147714号公報)
【0053】
また,持ち越し中のBB当選は,抽選手段110の抽選結果がハズレとなると,引き出し可能になる。すなわち,BB当選の持ち越し中に抽選手段110の抽選結果がハズレとなると,持ち越し中のBB当選が優先されて,持ち越し中のBB当選に基づいて回転リール40の停止制御が行われる。このため,BB当選の持ち越し中に抽選手段110の抽選結果がハズレとなると,BB入賞を引き当て得るようになる。ただ,BB当選の持ち越し中に抽選手段110の抽選結果が小役当選やReplay当選となると,小役当選やReplay当選が優先されて,小役当選やReplay当選に基づいて回転リール40の停止制御が行われる。このため,BB当選の持ち越し中に抽選手段110の抽選結果が小役当選やReplay当選となると,小役入賞やReplay入賞を引き当て得るようになるものの,BB入賞は引き当てることができない。RB当選の持ち越し中も,BB当選の持ち越し中と同様である。

(7)甲第7号証(必勝パチスロファン2006年3月号(2006年3月1日発行))
第37頁右上段「ゲームの流れ」の欄
「小役成立時はボーナスにも期待(同時当選)」,
「RT突入目」が出現すると,「1/12でボーナス」の記載。

(8)甲第8号証(パチスロV3大攻略VOL21(2006年3月20日発行))
第5頁中段「出目演出」の欄
6種類のリーチ目と4種類のチャンス目が記載されている。
第5頁左下段「プチRTに大注目!」の欄
「特種役成立の条件1:スイカの取りこぼし 特種役成立の条件2:ボーナス成立時に揃えなかった」の記載。
第5頁中下段「RT完全消化手順」の欄
「RT中は,伊豆ステージならモアイ。お台場ならコーンが出現。」の記載。
第7頁上段「プチRTが彩る連続演出」の欄
「萌え満載の連続アニメーション演出でボーナスGETだ!」の記載。

(9)甲第9号証(特開2002-153596号公報)
【0047】(リール停止制御手段,停止位置決定テーブル)リール停止制御手段64は,遊技状態(通常遊技状態,特別遊技状態)と,役抽選手段61の抽選結果と,ストップスイッチ42がオンされたときのタイミング等とに基づいて,複数の異なる停止制御(本実施形態では,第1停止制御と第2停止制御)のうちのいずれかによってリール31を停止制御するものである。
【0057】次に,第1停止制御及び第2停止制御について説明する。図3において,「ハズレ目」とは,特別役に当選していないことを意味する図柄の組合せ,すなわち特別役の当選可能性を有さない(当選期待度が0の)図柄の組合せである。また,「チャンス目」とは,必ずしも特別役に当選していることを意味するものではないが,特別役の当選可能性を有することを意味する図柄の組合せである。さらにまた,「リーチ目」とは,特別役に当選していることを意味する図柄の組合せ,すなわち特別役の当選確定を意味するものである。
【0058】また,「特別役非入賞制御」とは,ストップスイッチ42の操作タイミングに基づいて,特別役の図柄の組合せが有効ラインに停止しないように(特別役が入賞しないように)リール31の停止位置を定めたものである。これに対し,「特別役入賞制御」とは,ストップスイッチ42の操作タイミングに基づいて,リール31の停止制御の可能範囲内で,特別役の図柄の組合せが有効ラインに停止するように(特別役が入賞するように)リール31の停止位置を定めたものである。
【0059】ここで,スロットマシン10内部での役の抽選においていずれかの役が当選した場合に,ストップスイッチ42のオンを検知した位置ではその役に係る図柄が有効ライン上に停止しないときは,リール31を停止時に移動制御することにより,有効ライン上にその役に係る図柄を積極的に停止させることで,当選した役の入賞確率を高めるようにしている。そして,リール31の停止制御の可能範囲は,ストップスイッチ42のオンを検知した位置から数えて,5図柄以内に設定されている。
【0060】そして,第1停止制御は,特別役非当選時の遊技においては,特別役非入賞制御を優先して行うとともに,ハズレ目又はチャンス目を出現させる停止制御である(停止位置決定テーブル65aによる停止制御)。ここでは,チャンス目よりハズレ目の方を優先して出現させる。この特別役非当選時の遊技では,リーチ目が出現することはない。
【0061】さらに,第1停止制御は,特別役当選時の遊技においては,リーチ目又はチャンス目の出現を優先するとともに,特別役入賞制御を行う停止制御である(停止位置決定テーブル65bによる停止制御)。ただし,第1停止制御による特別役入賞制御は,ストップスイッチ42のオンを検知した位置から数えて2図柄前までの図柄に特別役を構成する図柄が存在するときは,その特別役を構成する図柄が有効ライン上に停止するように,リール31の停止位置を定めたものである。
【0062】また,第2停止制御は,特別役非当選時の遊技においては,特別役非入賞制御を優先して行うとともに,ハズレ目又はチャンス目をランダムに出現させる停止制御である(停止位置決定テーブル65cによる停止制御)。この特別役非当選時の遊技では,リーチ目が出現することはない。
【0063】さらに,第2停止制御は,特別役当選時の遊技においては,特別役入賞制御を優先して行うとともに,リーチ目又はチャンス目をランダムに出現させる停止制御である(停止位置決定テーブル65dによる停止制御)。ここで,第2停止制御による特別役入賞制御は,ストップスイッチ42のオンを検知した位置から数えて5図柄前までの図柄に特別役を構成する図柄が存在するときは,その特別役を構成する図柄が有効ライン上に停止するように,リール31の停止位置を定めたものである。すなわち,停止位置決定テーブル65bと,停止位置決定テーブル65dとは,特別役当選時の遊技では,ストップスイッチ42の操作時におけるリール31の位置から停止可能位置までの範囲が異なるものである。
【0064】以上の停止制御により,リール31の回転開始時から10秒以内にストップスイッチ42が操作されたときは,第1停止制御によりリール31が停止制御される。これにより,特別役非当選時の遊技では,ハズレ目が多く出現するようになる。また,特別役当選時の遊技では,特別役が入賞することより,リーチ目又はチャンス目が多く出現するようになる。

(10)甲第10号証(特開2006-43258号公報)
【0073】
チャンス目テーブル211A,211B,221やリーチ目テーブル222には,チャンス目やリーチ目の表示を実現可能とする進みコマ数データが記述されている。BB賞用の停止テーブル群TBL22に属するチャンス目テーブル221には,赤7役や白7役に入賞可能な進みコマ数データが記憶されているのに対し,ハズレ用の停止テーブル群TBL21に属するチャンス目テーブル211A,211Bには,いずれの役にも入賞不能な進みコマ数データが記述されている点で両者は相違する。特に本実施形態では,Bグループのチャンス目テーブル211Bには常にチャンス目が表示される進みコマ数データが記述されている。図11にBB賞用の停止テーブル群TBL22に属するチャンス目テーブル221の一例を,図12にBグループのチャンス目テーブル211Bの一例をそれぞれ示す。なお,これらの図では,理解を容易にするため図4に示した各リールR1,R2,R3の図柄の表示を対比させて示した。これらの図で例示するテーブルは,入賞ラインL1上に所定の図柄を停止させるための停止テーブルである。
【0074】
図11に示したように,チャンス目テーブル221には,その進みコマデータDAT1として,赤7役又は白7役に入賞する入賞部分DAT1aと,これらに入賞不可な非入賞部分DAT1bとがそれぞれ含まれる。そして,非入賞部分DAT1bには,図10(a)に示したチャンス目が表示されるチャンス目部分DAT1cが含まれている。例えば,プレイヤーによるリールストップボタン7a,7b,7cの操作に応じて取得した図柄番号が左リールR1でPN=6,中リールR2でPN=7,右リールR3でPN=5であるときには,CPU31にてチャンス目テーブル221の入賞部分DAT1aが参照される。これにより,CPU31は,左リールR1を1コマ,中リールR2を2コマ,右リールR3を4コマ,進ませて各リールR1,R2,R3をそれぞれ停止させる。その結果,入賞ラインL1上に赤7-赤7-赤7の図柄の組合せが表示されて赤7役に入賞する。また,取得した図柄番号が左リールR1でPN=14,中リールR2でPN=16,右リールR3でPN=17であるときには,CPU31にてチャンス目部分DAT1cが参照され,その結果,赤7役又は白7役に非入賞となるが,入賞ラインL1上にチャンス目としてのベル-ベル-プラムの図柄の組合せ(図10(a))が表示される。なお,この図から明らかなように,取得した図柄番号が各部分DAT1a,DAT1b,DAT1cを跨ぐ場合(例えば,左:PN=4,中:PN=14,右:PN=12)には,チャンス目以外の図柄の組合せが表示され,かつ非入賞となる。

(11)甲第11号証(特開2005-270243号公報)
【0046】
また,特別役の入賞を示す図柄「3」,「5」及び「7」は,リールの両端近傍まで張り出すような大きな図柄とされているとともに,濃い色(明瞭な色),すなわち目立つ色が用いられ,目押しをアシストする。一方,小役の入賞を示す図柄「1」,「2」及び「4」?「6」は,リールの幅方向中央部に表示され,特別役の入賞を示す図柄よりも小さな図柄とされるとともに,淡い色(中間色)が用いられ,特別役の入賞を示す図柄を引き立たせる役目をしている。
[リーチ目及びチャンス目の構成]
リーチ目は,後述する役の成立に関する内部抽選でボーナス役(BB役及びRB役)が成立しており,当該ボーナス役が入賞可能な遊技状態であるときに表示窓5内の3×3のマトリクス中に出現する図柄のパターン(出目)のことで,任意にまた複数パターン設定することができ,リーチ目が停止表示されることにより遊技者にボーナス役の入賞が可能なことを告知できる。すなわち,リーチ目は,ボーナス役の入賞が許容されている遊技状態であるにもかかわらず,ボーナス役の入賞を果たせないでいるときに出現するものである。リーチ目としては,小役の入賞を示す数字図柄を含めたパターンとして設定するのが好ましく,例えば,マル数字図柄「2-4-2」や「4-2-4」が例えば有効ライン上に揃ったとき,すなわち黄色-水色-黄色や水色-黄色-水色が揃ったときを設定することができる。
【0047】
一方,チャンス目は,ボーナス役が入賞可能な遊技状態である可能性があるときに表示窓5内の3×3のマトリクス中に出現する図柄のパターン(出目)のことで,任意にまた複数パターン設定することができ,チャンス目が停止表示されることにより遊技者に対してボーナス役の入賞の期待感を高めた遊技を提供することができる。すなわち,チャンス目は,ボーナス役の入賞の可能性もあるが,他の可能性,例えば何れの役も入賞できないハズレの可能性もある出目である。チャンス目としては,小役の入賞を示す数字図柄を含めたパターンとして設定するのが好ましく,例えば,マル数字図柄「6-6-2」や「2-2-4」が例えば有効ライン上に揃ったとき,すなわち黄緑色-黄緑色-黄色や黄色-黄色-水色が揃ったときを設定することができる。
【0075】
その後,停止ボタン27L,27C,27Rの目押しが行われるのを待ち(ステップS33),停止ボタン27L,27C,27Rのいずれかが操作されると,CPU1001は,対応するリールの停止処理を実行する(ステップS34)。このリール停止処理においては,上述のように,ボーナス役の入賞図柄の組み合わせが有効ライン上に停止されるように引き込み停止制御が実行されるが,停止ボタン27L,27C,27Rの押圧操作のタイミングがボーナス役図柄である「7」,「3」又は「5」の組み合わせを有効ライン上に停止できない態様の場合,すなわちボーナス役の入賞が許容された遊技状態において停止ボタンの押圧操作のタイミングがずれて引き込み停止制御による最大滑りコマ数内のタイミングで押圧操作が成されなかった場合には,リーチ目,例えばマル数字図柄の組み合わせ「2-4-2」を有効ライン上又は表示窓5内に引き込み停止する。

(12)甲第12号証(パチスロ必勝ガイドMAX2006年4月号(2006年4月1日発行))
第76頁左下段「基本システムを紹介」の欄の「小役とボーナスの重複フラグを搭載」の項
「重複フラグの対象となるのは上記の3役。ボーナスの大半は重複によるものとなるので,これらの小役が成立したなら期待していいだろう。1枚役は約12分の1で,スイカは約5分の1がボーナスへ。チェリー出現=ビッグ確定となる。」の記載。

(13)甲第13号証(特開2002-248206号公報)
【0007】例えば,遊技者は,停止図柄の組み合わせが「リーチ目」である時に,確実にボーナスゲームの内部当たりであること(ボーナスフラグが確実にオンしていること)を認識できる。「リーチ目」とは,ボーナスフラグがオンしている時のみに現れる停止図柄の組み合わせであって,ボーナスゲームの「当たり」となる所定の停止図柄の組み合わせ以外の停止図柄の組み合わせである。(図16の集合#a∩A∩#(B∪C),すなわち,横線部である。ここで,#aとは集合a以外の集合を表す。)また,停止図柄の組み合わせが「チャンス目」である時に,ボーナスゲームの内部当たりの可能性があること(ボーナスフラグがオンしている可能性があること)を認識できる。「チャンス目」とは,ボーナスフラグがオンしている時に現れる可能性がある停止図柄の組み合わせであって,ボーナスゲームの「当たり」となる所定の停止図柄の組み合わせや,小役の「当たり」となる所定の停止図柄の組み合わせでなく,なおかつ,ボーナスフラグがオンしている時以外にも現れる可能性がある停止図柄の組み合わせである。(図16の集合A∩(B∪C),すなわち,斜線部である。)
【0043】一方,ステップS59では,小役フラグがオンしている時と,ハズレの時のリール制御配列を検索する。例えば,小役フラグがオンしている時については,左リール18を制御2で停止制御を行った時に,表示窓16中段に表示される可能性のある図柄の番号を検索する。すなわち,図7より,“0”,“4”,“9”,“14”,“15”,“16”である。また,中リール22を制御5で停止制御を行った時に,表示窓20中段に表示される可能性のある図柄の番号を検索する。すなわち,図7より,“1”,“5”,“10”,“12”,“17”,“18”である。また,右リール26を制御8で停止制御を行った時に,表示窓24中段に表示される可能性のある図柄の番号を検索する。すなわち,図7より,“2”,“4”,“6”,“9”,“14”,“15”,“17”,“19”である。また,ハズレの時については左リール18を制御3で停止制御を行った時に,表示窓16中段に表示される可能性のある図柄の番号を検索する。すなわち,図7より,“0”,“2”,“6”,“9”,“10”,“15”,“18”である。また,中リール22を制御6で停止制御を行った時に,表示窓20中段に表示される可能性のある図柄の番号を検索する。すなわち,図7より,“1”,“3”,“5”,“8”,“9”,“11”,“16”,“17”である。また,右リール26を制御9で停止制御を行った時に,表示窓24中段に表示される可能性のある図柄の番号を検索する。すなわち,図7より,“0”,“2”,“4”,“8”,“10”,“15”,“17”,“19”である。そして,ステップS60に進む。ステップS60では,ステップS50で取得した各リールの停止図柄の番号が,小役フラグがオンしている場合のステップS59で検索した各リールの図柄の番号と全て一致するものがあるか否か判別する。停止図柄の番号が全て一致するものがあれば[YES]と判定し,当該停止図柄の組み合わせは「チャンス目」であることを判別して,ステップS62に進む。(ボーナスフラグがオンしている時に出現する可能性のある停止図柄の組み合わせであり,小役フラグがオンしている時にも出現する可能性のある停止図柄の組み合わせである。)また,停止図柄の番号が全て一致するものがなければ[NO]と判定し,当該停止図柄の組み合わせは「リーチ目」であることを判別して,ステップS64に進む。(ボーナスフラグがオンしている時にのみ出現する可能性のある停止図柄の組み合わせである。)また,ステップS50で取得した各リールの停止図柄の番号が,ハズレの場合のステップS59で検索した各リールの図柄の番号と全て一致するものがあるか否か判別する。停止図柄の番号が全て一致するものがあれば[YES]と判定し,当該停止図柄の組み合わせは「チャンス目」であることを判別して,ステップS62に進む。(ボーナスフラグがオンしている時に出現する可能性のある停止図柄の組み合わせであり,ハズレの時にも出現する可能性のある停止図柄の組み合わせである。)また,停止図柄の番号が全て一致するものがなければ[NO]と判定し,当該停止図柄の組み合わせは「リーチ目」であることを判別して,ステップS64に進む。(ボーナスフラグがオンしている時にのみ出現する可能性のある停止図柄の組み合わせである。)
ステップS62では,表示器28に当該停止図柄の組み合わせを表示して「チャンス目演出」をする。例えば,表示器28に停止図柄の組み合わせを表示して,“チャンス目が揃いました”というコメントを表示する。(図示していない。)表示方法は,種々の方法が可能であり,例えば,“ボーナスフラグが成立しているかも・・?”というようなコメントにしてもよい。また,表示器28に表示するのではなく,各リールのランプ26d,26e,26fを特定の発光状態にして「チャンス目」が揃ったことを報知してもよい。そして,リターンする。ステップS64では,表示器28に当該停止図柄の組み合わせを表示して「リーチ目演出」をする。例えば,表示器28に停止図柄の組み合わせを表示して,“リーチ目が揃いました”というコメントを表示する。(図示していない。)表示方法は,種々の方法が可能であり,例えば,“ボーナスフラグが成立しています!”というようなコメントにしてもよい。また,表示器28に表示するのではなく,各リールのランプ26d,26e,26fを特定の発光状態にして「リーチ目」が揃ったことを報知してもよい。そして,リターンする。

(14)甲第14号証(特開2005-13618号公報)
【0060】
上記したチャンス目が出た場合の演出処理は,図13に示すフローチャートのように,サブ基板側でリールの停止出目コマンドを受信し(ST41),図6に示したチャンス目データテーブルを参照して停止出目の判定を行う(ST42)。そして,それがチャンス目(例えばL00,C01,R02のようにチャンス目データテーブルのいずれかに該当)であったら(ST43),演出実行処理を行なう(ST45)。すなわち,サブ制御基板側では,メイン制御基板側から停止出目コマンドが送信されてくると,リール上でどのような出目が表示されているか認識され,認識後,その出目がチャンス目やリーチ目に該当するか否かを判断し,チャンス目であればボーナス期待度の高い演出を行う。なお,この演出が行なわれるタイミングは,例えば,そのチャンス目が出現した時点,或いは次ゲームに移行するにあたり,遊技メダルのベット時やスタートレバーの操作時等で行なわれる。
【0066】
また,上記したリールの停止出目がチャンス目以外のリーチ目が出た場合においても,上記のような演出を行うようにしても良い。例えば,図16(a)に示すように,リールの停止出目がリーチ目であった場合,その停止時においては通常演出であったものの,次ゲームでスタートレバーを操作した際に,図16(b)に示すように告知演出を行ったり,ボーナス期待度の高い演出を行うようにしても良い。或いは,図16(a)に示すように,リールの停止出目がリーチ目であった場合,そのときに告知演出やボーナス期待度の高い演出を行うようにしても良い。

(15)甲第15号証(特開2002-219211号公報)
【0060】さらに,「特殊出目」とは,入賞となる役(メダルの払出し等が行われる役)の図柄の組合せには該当しないが,その出目の出現によって,演出が出力される図柄の組合せである。この図柄の組合せが出現すると,メダルの払出し等は行われないが,当該遊技後に,特別役の当選可能性を報知する演出が出力される。

(16)甲第16号証(特開2005-87376号公報)
【0002】
従来より,外周面に絵柄が設けられる少なくとも1以上の回転リールと,その回転リールの絵柄を表示する表示部とを具備するスロットマシンは広く知られている。
このようなスロットマシンは,一般的に,ゲームを開始する際にユーザによるスタートボタンの操作等といったスタート操作が行われると,ゲームの当落を決定するための抽選を行った後,回転リールを回転させる。
更に,上記スロットマシンは,上記抽選によって当選が発生した場合に,ユーザによって停止された回転リール上の絵柄が,表示部において該当選に該当する予め定められた所定の絵柄の組み合わせで揃うことによって,ビッグボーナス(以下,単に「BB」と称する)等のゲームを行うものである。
また,BB等の特別役の当選可能性を,遊技中にユーザに対して種々の方法で告知する機能を搭載したスロットマシンが知られている。
この告知動作は,一般的にスロットマシンに設けられるスピーカやランプ等が用いられることで,上記抽選において落選した場合と異なる予め定められた所定の告知が音や光で実行される場合が多い。
また,このような告知動作はスロットマシン内部の抽選においてBB等の特別役に当選すると,その特別役が入賞するまで高頻度で告知動作が行われるようになっている。
一方,BB等の特別役を含む小役その他の全ての役に当選していない遊技では,稀にしか告知動作が行われないように設定されている。
そして,ユーザは遊技中にこれらの告知動作が行われることで,BB等の特別役の当選の可能性があることを知ることができる。
つまり,ユーザは,上記告知動作が発生した場合に,該告知動作を感じ取ることによって,スロットマシンにおいて何らかの状況の変化が生じたこと,或いは抽選において特別役に当選したこと等(以下,イベント又は予め定められるイベントという)を認識することが可能となる。
このようなスロットマシンの一例として,特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001-627号公報
【0042】
上記ステップS520の処理後,主制御基板100は,サブ制御基板200を介して光源35,バックライト群220,スピーカ230を作動させることによって告知動作を行う(S530)。
上記ステップS530において,主制御基板100は,表示部42に当たり目が表示された場合に一般的に告知動作を行うが,上記告知手段の機能によって,表示部42にハズレ目が表示された場合にも告知動作を行っても良い。
この場合,例えば,ROM140に特定のハズレ目(以下,「特定ハズレ目」と表記)を予め定めておき,主制御基板100が,表示部に該特定ハズレ目が表示されたと判断した場合に,サブ制御基板200へ告知動作を行う旨の遊技コマンドを送出することで告知動作を行っても良い。

(17)甲第17号証(必勝パチスロファン2006年4月号(2006年4月1日発行))
第72頁左下段「アツい演出パターンは!?」の欄
「レバーON時にムギーッ RT中の1枚役成立時に発生するレバーON「ムギーッ」が通常時に出て,かつRT突入目が出現すれば期待大。」,
「こんな演出が発生したらボーナス当選の期待度アップだよ」の記載。

(18)甲第18号証(特開2005-131323号公報)
【要約】
【課題】このような問題点に着目してなされたものであり,再遊技高確率状態に制御される契機を興趣の高いものとすることができるスロットマシンを提供すること。
【解決手段】通常遊技状態において「BAR-BAR-BAR」の組合せがリール2L,2C,2Rの表示結果として導出されたことを契機にリプレイ入賞以外の発生が許容される確率は変動せず,リプレイ入賞の発生が許容される確率が高まるリプレイタイムに制御する。
【0045】
また,テーブル番号04のリール制御テーブルは,「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の組合せをいずれかの入賞ラインに優先的に引き込むためのテーブルであり,通常遊技状態及びRTにおいてはリプレイフラグ当選時に選択され,BB中においてはRBへ移行する契機となるJacIn入賞の発生を許容するJacInフラグの当選時に選択され,RB中においては,Jac入賞の発生を許容するJacフラグの当選時に選択される。
【0067】
そして当該RTがRT1であれば,図8に示すように,通常遊技状態において対象となる内部当選フラグの当選確率が定められているとともに,リプレイフラグの当選確率が通常遊技状態において適用される通常テーブルよりも高く定められたRTテーブル1を当該ゲームにおける内部当選確率テーブルとしてセットする(Sb10)。尚,RTテーブル1に定められたリプレイフラグ以外の内部当選フラグの当選確率は,通常テーブルに定められた当選確率と同一の確率である。
【0068】
また,Sb9のステップにおいてRT1でなければ,すなわち当該RTがRT2またはRT3であれば,図8に示すように,通常遊技状態において対象となる内部当選フラグの当選確率が定められているとともに,リプレイフラグの当選確率が通常遊技状態において適用される通常テーブルよりも高くRTテーブル1よりも低く定められたRTテーブル2を当該ゲームにおける内部当選確率テーブルとしてセットする(Sb11)。尚,RTテーブル2に定められたリプレイフラグ以外の内部当選フラグの当選確率は,通常テーブルに定められた当選確率と同一の確率である。
【0069】
このように本実施例では,RTの発生によりリプレイフラグの当選確率が通常テーブルよりも高く定められたRTテーブルが内部当選確率テーブルとして適用されるようになっており,結果としてリプレイ入賞の発生確率が高まるようになっている。

(19)甲第19号証(特開2005-144157号公報)
【0082】
(3-5.リプレイタイム)
ここで,本実施形態のスロットマシン1では,一般的な通常遊技中のゲームで特定小役(例えば「スイカ」)による入賞があった場合,それを契機としてリプレイタイム(RT)遊技に移行するべきか否かが抽選によって判断される。この結果,リプレイタイム遊技に移行することが決定されると,そこから規定ゲーム数を経た後にリプレイタイム遊技に移行する遊技仕様となっている。
【0083】
このため図6の判断処理においては,例えば,小役図柄による入賞によって規定数のメダル払出が行われた後(ステップS308)にリプレイタイム設定処理(ステップS313)が行われ,ここで例えばリプレイタイム抽選が行われる。なお,本実施形態ではメダル払出の指示(ステップS308)の後にリプレイタイム設定処理(ステップS313)が行われるものとなっているが,これより前(第3リール停止後)に行われる態様であってもよいし,あるいは,第3リール停止時の停止ボタン操作が解除された後に行われる態様であってもよい。
【0084】
なお,一般的な小役である「ベル」の当選確率(例えば7.8分の1程度)に比較すると,「スイカ」の当選確率は,例えば100分の1?150分の1程度と比較的低く設定されている。このため,実際に「スイカ」に入賞した場合,遊技者はレアな小役に入賞したことに満足を覚えるだけでなく,それによって別の特典があることに期待し,ますます遊技意欲をかき立てられることになる。
【0085】
いずれにしても,リプレイタイム遊技に移行すると,それまでの通常遊技中に比較して内部抽選でリプレイに当選する確率(結果として入賞確率)が高く変更される。具体的には,通常遊技中のリプレイの当選確率が7.3分の1程度であるとすると,リプレイタイム遊技中にはリプレイの当選確率が1.17分の1程度まで高く(6倍以上)変更される。この結果,リプレイタイム遊技中は毎回のゲームにおいてきわめて高確率でリプレイに入賞することになるため,ゲーム回数をある程度重ねたとしても,遊技者は手持ちのメダルをあまり減らすことなく遊技を継続することができる。さらに,リプレイタイム遊技中にもビッグボーナスやレギュラーボーナス等の抽選がそれまでと同じ確率で行われているため,遊技者は手持ちのメダルがそれほど減らないうちに次のボーナスゲームを引き当てられる可能性が高まるという利点がある。
【0095】
(5-1.リプレイタイムテーブル)
リプレイタイムテーブルは,通常遊技中の抽選テーブルよりもリプレイの当り値を多く有しており,その分,通常遊技中の抽選テーブルで通常はずれになる乱数値の範囲がリプレイの当り値範囲に吸収されている。これにより,通常はずれの確率(例えば1.4分の1程度)と通常のリプレイ確率(7.3分の1程度)とが合成され,上記のような高確率(1.11分の1程度)でのリプレイ当選が実現可能となる。なお具体的なテーブル値(確率値)は,スロットマシン1の設定(1?6)ごとに異なっていてもよい。

(20)甲第20号証(特開2006-68105号公報)
【0026】
本実施形態によるパチスロ機1の遊技状態には,「一般遊技状態」,「内部当選状態」,「高確率再遊技状態」,「BB一般遊技状態」および「RB遊技状態」がある。「内部当選状態」は,BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)といったボーナスに内部当選して,ボーナス当選フラグが単位遊技間で持ち越されている「一般遊技状態」である。BBまたはRBのボーナス当選フラグは,ボーナスに内部当選した後,ボーナスの入賞が実際に成立するまでの間,次回のゲーム以降に持ち越され,当選役として保持される。「高確率再遊技状態」は,「一般遊技状態」に比べて再遊技(以下,リプレイと示す)に内部当選する確率が高い状態であり,このとき行われるゲームを「RTゲーム」という。この「高確率再遊技状態」には,リプレイの抽選確率が「一般遊技状態」の抽選確率とそれぞれ異なる2種類の「高確率再遊技状態A」および「高確率再遊技状態B」がある。また,BBの入賞成立を契機として発生し,「BB一般遊技状態」および「RB遊技状態」により構成される遊技状態を総称して,以下「BB遊技状態」という。
【0029】
リプレイの入賞は,一般遊技状態や内部当選状態,高確率再遊技状態において“Replay-Replay-Replay”のシンボルが並ぶことにより成立する。リプレイの入賞が成立すると,投入したメダルの枚数と同数のメダルが次回の単位遊技で自動投入されるので,遊技者はメダルを消費することなく次の単位遊技を行うことができる。
【0045】
図7は,一般遊技状態で当選役抽選手段により参照される一般遊技状態用確率抽選テーブルであり,第1の確率抽選テーブルを構成している。この一般遊技状態用確率抽選テーブルでは,乱数の抽出範囲“0”?“16383”のうち,“240”?“2484”の範囲内の乱数が抽出された場合に「リプレイ」が当選役となり,“4785”?“16383”の範囲内の乱数が抽出された場合にハズレとなる。この場合,「リプレイ」が抽選される確率は“2245/16384”,「ハズレ」となる確率は“11599/16384”である。
【0046】
図8は,「高確率再遊技状態」のうちの高確率再遊技状態Aで当選役抽選手段により参照される高確率再遊技状態用確率抽選テーブルAであり,第2の確率抽選テーブルを構成している。この高確率再遊技状態用確率抽選テーブルAでは,乱数の抽出範囲“0”?“16383”のうち,“240”?“4729”の範囲内の乱数が抽出された場合に「リプレイ」が当選役となり,“7030”?“16383”の範囲内の乱数が抽出された場合にハズレとなる。この場合,「リプレイ」が抽選される確率は,図7に示す一般遊技状態用確率抽選テーブルにおけるリプレイ抽選確率の2倍の“4490/16384”,「ハズレ」となる確率は“9354/16384”である。
【0047】
図9は,「高確率再遊技状態」のうちの高確率再遊技状態Bで当選役抽選手段により参照される高確率再遊技状態用確率抽選テーブルBであり,第3の確率抽選テーブルを構成している。この高確率再遊技状態用確率抽選テーブルBでは,乱数の抽出範囲“0”?“16383”のうち,“240”?“8729”の範囲内の乱数が抽出された場合に「リプレイ」が当選役となり,“11032”?“16383”の範囲内の乱数が抽出された場合にハズレとなる。この場合,「リプレイ」が抽選される確率は,図8に示す高確率再遊技状態用確率抽選テーブルAにおけるリプレイ抽選確率の約2倍の“8490/16384”,「ハズレ」となる確率は“5354/16384”である。
【0048】
上記のように,「高確率再遊技状態」では,「リプレイ」が抽選される確率が一般遊技状態と比べて高くなっている。また,「高確率再遊技状態」の中でも,高確率再遊技状態Aよりも高確率再遊技状態Bの方が,「リプレイ」に内部当選する確率は高くなっている。

(21)甲第21号証(月刊パチスロデータ攻略 マンガBOOP 7月号増刊(2002年7月1日発行))
第136頁下段「BIG中のプレイ手順」の欄。
内の「リプレイはずしをするのは,残り10Gまで。それ以降リプレイが成立しても,予告音が鳴らないようになっている。」の記載。

(22)甲第22号証(必勝パチスロファン2003年2月号(2003年2月1日発行))
第31頁右中段「リプレイハズシ手順」の欄中の「小役の特徴」の欄。
「JACイン時は声ナビが発生(残り10Gからは発生しない)」の記載。

(23)甲第23号証(特開2004-89476号公報)
【0036】
図7は,電源投入時に主制御基板Cで実行されるメイン処理のフローチャートである。スロットマシン1の電源が投入されると(停電の解消による電源入を含む),この処理が実行される。まず,スタックポインタの値を設定し(S51),割込モードを設定する(S52)。更に,各レジスタ及びI/O等の設定を行う(S53)。
【0037】
次に,停電フラグ53aとリセットスイッチ42の各オン状態を確認する(S54,S55)。停電フラグ53aのオンは電源断時に停電時処理が実行されたこと,即ちRAM53にデータがバックアップされていることを示し,リセットスイッチ42のオンはバックアップ状態のクリアが操作者によって指示されたことを示している。よって,停電フラグ53aがオンされており(S54:Yes),且つリセットスイッチ42がオフされていれば(S55:No),S56のRAMクリア処理の実行をスキップして,処理をS57へ移行する。逆に,停電フラグ53aがオフされているか(S54:No),或いはリセットスイッチ42がオンされていれば(S55:Yes),RAMクリア処理を実行して(S56),RAM53の全ての内容を0クリアする。
【0038】
次に,設定キースイッチ61がオンされているか否かを確認し(S57),オンされていなければ(S57:No),S58及びS59の各処理をスキップして処理をS60へ移行する。一方,設定キースイッチ61がオンされていれば(S57:Yes),RAMクリア処理を実行して(S58),RAM53の全ての内容を0クリアした後で,6段階確率設定処理(S59)を実行する。6段階確率設定処理では,遊技の当選確率が6段階に切り替えられる。
【0039】
S60の処理では,停電フラグ53aがオンされているか否かを確認する(S60)。S54からS59の処理の中でRAMクリア処理(S56,S59)が実行されバックアップ状態がクリアされていれば,停電フラグ53aはオフされている(S60:No)。よって,かかる場合にはS63からS67の復電処理を実行すること無く,スロットマシン1の通常遊技を行う各処理へ移行する(S61)。この各処理(S61)が,スロットマシン1のメイン処理として繰り返し実行され,スロットマシン1の遊技が行われる。
【0040】
一方,停電フラグ53aがオンされていれば(S60:Yes),RAM53に記憶されたデータをクリアすることなく,バックアップ状態を有効にしたまま,S60の処理が実行されたということである。即ち,停電フラグ53aがオンされていれば,S51?S53,S54:Yes,S55:No,S57:Noの経路をたどってS60の処理へ到達しているので,その間,サブルーチンコールは全くされておらず,スタックエリアへの書き込みを含め,RAM53のデータは全く書き替えられていない。停電時処理ではRAM53のチェックサム値を「0」としているので(図6のS37),RAM53のデータが正常にバックアップされていれば,そのチェックサム値は「0」となっている。よって,かかる場合には,RAM53のチェックサム値を調べ(S62),チェックサム値が正常であれば(チェックサム値が「0」であれば)(S62:Yes),バックアップは正常と判断して,S63からS67の復電処理を実行する。
【0041】
一方,S62の処理において,チェックサム値に異常があれば(チェックサム値が「0」でなければ)(S62:No),バックアップ中にデータが破壊されるなどの異常が発生している。よって,かかる場合には,割込を禁止し(S68),全ての出力ポートの出力状態をクリアして全てのアクチュエータをオフした後に(S69),エラー表示処理を行って(S70),バックアップエラーの発生を報知する。
【0042】
S63からの復電処理では,まず,スタックポインタ保存メモリ53bの値をスタックポインタへ復帰し(S63),スタックの状態を電源断前の状態に復帰させる。次に,復電時のコマンドを設定し(S64),これを音声用制御基板Sおよび表示用制御基板Dへそれぞれ送信(出力)して,復電処理の実行を各制御基板S,Dへ報せる。更に,打ち止め・自動精算設定保存処理(S65),スイッチ状態の初期化処理(S66)をそれぞれ実行した後に,停電フラグ53aをオフして(S67),リターン命令を実行し,復電処理を終了する。リターン命令の実行により,MPU51のプログラムカウンタの値はスタックエリアに記憶されている停電時処理(図5のS13)の次のアドレスへ切り替わるので,停電時処理の次の処理である図5のS14の処理から制御が再開される。
【0043】
以上説明した通り,停電時処理(S13)は,図6に示すタイマ割込処理の中で所定のタイミングで(レジスタの退避処理(S11)後に)実行されるように構成されているので,他の制御(例えばS14からS24の各処理)に支障を来すことなく好適なタイミングで実行することができる。しかも,停電時処理はコール命令により実行されるので,復電処理の終了後にはリターン命令の実行だけで処理を元の位置に復帰することができる。このように,本実施例によれば,停電時処理の実行タイミングを考慮することなく,メイン処理(S61)やタイマ割込処理の各処理(S14?S24)をプログラムできるので,その分,プログラムを簡略化して小容量化を図ることができる。

(24)甲第24号証(特開2006-55623号公報)
【0153】
ステップS301がYES,すなわちコマンドの送信が完了している場合には,ステップS302に進み,CPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する。その後ステップS303では,停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に入出力ポート155における出力ポートの出力状態をクリアし,図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。ステップS304では,RAM判定値を算出し,バックアップエリアに保存する。RAM判定値とは,具体的にはRAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより,RAM153のチェックサムは0となる。RAM153のチェックサムを0とすることにより,ステップS305においてそれ以後のRAMアクセスを禁止する。その後は,電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え,無限ループに入る。なお,例えばノイズ等に起因して停電フラグが誤ってセットされる場合を考慮し,無限ループに入るまでは停電信号が出力されているか否かを確認する。停電信号が出力されていなければ停電状態から復旧したこととなるため,RAM153への書き込みを許可すると共に停電フラグをリセットし,タイマ割込み処理に復帰する。停電信号の出力が継続してなされていれば,そのまま無限ループに入る。
【0158】
図12は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は,停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
【0159】
先ずステップS401では,初期化処理として,スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に,割込み処理を許可する割込みモードを設定し,その後CPU151内のレジスタ群や,I/O装置等に対する各種の設定などを行う。
【0160】
これらの初期化処理が終了すると,次にステップS402ではリセットスイッチ123がオン操作されているか否かを判定する。リセットスイッチ123がオン操作されている場合にはステップS403に進み,RAMクリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。
【0161】
ステップS402にてリセットスイッチが操作されていないことを確認した後,またはステップS403にてRAMクリア処理を行った後,ステップS404では設定キーが設定キー挿入孔124に挿入されているか否かを判定する。設定キーが挿入されている場合にはステップS405に進み設定変更処理を行う。設定変更処理として,先ずRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。そして,予め設定された6段階の設定状態(「設定1」?「設定6」)のうちどの設定状態が選択されたかを判定した上で,選択された設定状態に応じた内部処理を実行する。
【0162】
ステップS406では停電フラグがセットされているか否かを確認する。停電フラグがセットされていない,すなわち先のステップS403又はステップS405にてRAM153のデータがクリアされている場合には,後述するステップS407の通常処理に進み,本処理を終了する。
【0163】
ステップS406において停電フラグがセットされた状態にあるときには,ステップS408以降に示す復電処理に移行する。停電フラグがセットされた状態にあるということは,ステップS403のRAMクリア処理,ステップS405の設定変更処理等のサブルーチン処理が全く実行されていないことを意味する。従って,RAM153のデータは全く書き替えられていないこととなり,復電処理ではRAM153のデータなどが正常であるかどうかなどの確認処理が必要となる。
【0164】
そのためにまず,ステップS408ではRAM判定値が正常であるか否かを確認する。具体的には,RAM153のチェックサムの値を調べ,その値が正常,つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合,RAM153のデータは正常であると判定する。
【0165】
ステップS408においてRAM判定値が異常である,つまりチェックサムの値が0でなかったときには,RAM153のデータが破壊された可能性が高い。そのため,このような場合にはステップS409にてエラー表示処理を行う。エラー表示処理として,先ず割込み処理を禁止し,入出力ポート155内の全ての出力ポートをクリアすることにより,入出力ポート155に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後,ホール管理者などにエラーの発生を報知するエラー表示を行うと共に,リセットスイッチ123がON操作されるまでかかる状態を維持する。
【0166】
ステップS408においてRAM判定値が正常であると判定した場合にはステップS410に進み,バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をCPU151のスタックポインタに書き込み,スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる。次に,ステップS411において,復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信する。その後,ステップS412にて遊技状態として打ち止めおよび自動精算設定保存処理を行い,ステップS413にてスタート検出センサ71a等の各種センサの初期化を行う。以上の処理が終了した後,ステップS414にて停電フラグをリセットし,電源遮断前の番地に戻る。具体的には,先に説明したタイマ割込み処理に復帰し,ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップS204)が実行されることとなる。

(25)甲第25号証(特開2004-187812号公報)
【0079】
この適正範囲テーブル220は,ROM23に記憶されている。
また,本実施の形態では,適正範囲テーブル220には,例えば,設定値の適正範囲を「1?6」とし,メダルの投入枚数の適正範囲を「0?3」とし,メダルのクレジット枚数の適正範囲を「0?50」とする旨などが定められている。
(適正判定手段230)
適正判定手段230は,RAM22上の遊技情報値がROM23上の適正範囲テーブル220に定めた適正範囲内にあるか否かの判定を行うためのものである。
【0080】
本実施の形態では,適正判定手段230は,スロットマシン10に電源が投入されるとき,RAM22から遊技情報値が読み取られるとき,及びRAM22に遊技情報値が書き込まれるときに,RAM22上の遊技情報値がROM23上の適正範囲テーブル220に定めた適正範囲内にあるか否かの判定を行う。
また,RAM22から遊技情報値が読み取られるときとしては,例えば,スタートスイッチ50の操作時などがある。
【0081】
また,この適正判定手段230は,例えば,RAM22上の設定値が「3」であれば,RAM22上の設定値は適正範囲内にあると判定し,RAM22上の設定値が「10」であれば,RAM22上の設定値は適正範囲外にあると判定する。
また,この適正判定手段230は,例えば,RAM22上のメダルのクレジット枚数が「30」であれば,RAM22上のメダルのクレジット枚数は適正範囲内にあると判定し,RAM22上のメダルのクレジット枚数が「60」であれば,RAM22上のメダルのクレジット枚数は適正範囲外にあると判定する。
【0082】
(エラー表示手段250)
エラー表示手段250は,適正判定手段230による判定の結果,RAM22上の遊技情報値に適正範囲外のものがあったときに,所定のエラー表示を行うためのものである。
本実施の形態では,エラー表示手段250は,適正判定手段230による判定の結果,RAM22上の遊技情報値に適正範囲外のものがあったときに,液晶ディスプレイ79に「ERROR」の文字を点滅表示する。

(26)甲第26号証(特開平5-317507号公報)
【0021】上記した電気的制御装置(役物制御回路28)における制御を図7から図10に示したフローチャートに基づき説明する。電気的制御装置(役物制御回路28)が起動されると,まず電気的制御装置(役物制御回路28)で必要な情報の入力処理が行われる。そして,電源投入時であるかどうかを判断して,電源投入時であれば各設定値の初期化処理を行い,確率設定値を読み込む設定値読込み処理を行って,装置がリセットされるのを待つ。
【0031】上記した設定値読み込み処理を図9のフローチャートに基づいて更に詳しく説明する。設定値読み込み処理では,まず電源投入時に確率設定表示スイッチ35がオンとなっているかどうかを判断する。
【0032】スイッチ部材36の操作部37を反時計回りに回動し,確率設定表示スイッチ35がオンとなった状態で電源投入をした場合には,不正フラグをセットし,確率設定書き込みフラグをセットし,5secタイマをセットする。ここで不正フラグをセットするのは,確率設定中は不正処理の状態,すなわち不正表示等を行って遊技が行えない状態にするためである。
【0033】一方,スイッチ部材36がオフの状態で電源投入をした場合には,確率記憶手段であるEEPROM46に記憶した確率設定値を読み込む。この場合の確率設定値は,設定する確率値をそのまま記憶しているのではなく,確率の識別番号,例えば確率が1/200の場合には識別番号「1」,1/210の場合には識別番号「2」,1/220の場合には識別番号「3」を記憶している。
【0034】そして,確率設定値に異常がないかどうか,すなわち確率設定値が上記した識別番号以外の番号,例えば「4」等でないかどうかを判断し,正常な確率設定値であると判断すると,確率設定値に対応する乱数設定テーブルのナンバー(識別番号)をセットする。
【0035】一方,確率設定値に異常がある場合には,乱数設定テーブルのナンバーを「2」としてセットする。ここで,確率設定値の異常を判断しているのは,工場出荷時等に,EEPROM46に何も書き込まずに出荷した場合,遊技店において何等設定を行わなくても,とりあえず乱数設定テーブルのナンバーが「2」で動作するようにしたためである。そして,確率設定表示データを確率設定値表示器40へセットし,現在の設定値を表示する。
【0055】尚,本発明は,パチンコ機に限定されるものではなく,複数種類の確率の中から一つの確率を選択して設定する遊技機であれば,どのような遊技機にでも応用することができ,例えばスロットゲーム機に応用することもできる。

2.甲1発明
甲第1号証の上記記載事項を含め,甲第1号証の全記載を総合すると,甲第1号証には以下の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「遊技媒体を用いて1ゲームに対して所定数の前記遊技媒体を投入することによりゲームを開始させることが可能となり,複数種類の図柄を変動表示させる図柄表示窓3に表示結果が表示されることにより1ゲームが終了し,該図柄表示窓3に表示された表示結果に応じて入賞が発生可能であるパチスロ機において,
ゲーム毎に,複数種類の表示結果のうち引込み制御を行う表示結果をいずれにするかを,スタートレバー9を操作することで出力されるスタート信号の受信を契機として抽選する主制御部100と,
前記図柄の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止ボタン部10と,
前記停止ボタン部10が操作されたときに,該停止ボタン部10の操作タイミングと前記主制御部100の決定結果とに応じて前記図柄表示窓3に表示結果を表示する前記主制御部100と,
一般遊技状態よりも遊技者にとって有利なボーナスゲーム状態に遊技状態を制御する前記主制御部100と,
電源スイッチ170c,設定変更キー,設定用キースイッチ170aの操作に基づいて,出玉率の段階設定を行う段階値1?6の中から選択された所望の設定値を選択して設定する段階設定部150と,
前記段階設定部150により設定された段階設定値を示す段階設定値データを含むゲームの進行を制御するための制御データを読み出し及び書き込み可能に記憶するRAM102と,
前記段階設定値及び段階設定値の履歴情報を記憶し,前記パチスロ機への電源供給が遮断しても電池でバックアップされるRAMを内蔵する副制御部160と,
遊技者が所定数のメダルを投入後,スタートレバー9を操作する毎に,ワークRAM領域に記憶している段階設定値のデータ読み出し,該読み出した段階設定値データが示す段階設定値が前記段階設定部150により設定可能な設定値の範囲内である場合に前記読み出した段階設定値データが適正であると判定し,前記設定可能な設定値の範囲内でない場合に前記読み出した設定値データが適正ではないと判定する前記主制御部100と,
前記主制御部100により前記読み出した設定値データが適正ではないと判定されたときに,エラー処理を行わせる主制御部100と,
前記主制御部100により前記エラー処理が行われている状態において,前記段階設定部150の操作に基づいて前記段階設定部150により前記段階設定値が所定範囲の中から新たに設定されたことを条件に,該新たに設定された段階設定値を使用して変動表示ゲームの当落を決定する前記主制御部100とを備えたパチスロ機。」

3.対比
甲1発明と本件訂正発明1を対比すると,甲1発明の「遊技媒体」は本件訂正発明1の「遊技用価値」に相当する。
以下同様に,「1ゲームに対して所定数の前記遊技媒体を投入すること」は「1ゲームに対して所定数の賭数を設定する」に,
「複数種類の図柄」は「複数種類の識別情報」に,
「パチスロ機」は「スロットマシン」に,
「停止ボタン部10」は,「停止操作手段」に,
「一般遊技状態」は,「通常遊技状態」に,
「所定数のメダルを投入後,スタートレバー9を操作」は,「ゲームの開始操作」に,それぞれ相当する。
そして,以下のことがいえる。
(1)本件訂正発明1における「可変表示装置」について,甲第1号証には明らかにそれに対応する文言はないが,甲1発明もスロットマシンに係る発明であり,回転ドラムの外周面に描かれた図柄を図柄表示窓3に表示するものであるから,該「図柄表示窓3」は,本件訂正発明1の「可変表示装置」に相当すること,もしくは「可変表示装置」の一部を構成していることは自明である。
(2)甲1発明の「複数種類の表示結果のうち引込み制御を行う表示結果をいずれにするかを,スタートレバー9を操作することで出力されるスタート信号の受信を契機として抽選する」ことは,「可変表示装置の表示結果が導出されるより前」に行われていることは明らかであり,「抽選」を行う「主制御部100」は,本件訂正発明1の「事前決定手段」に相当することは自明である。
次に,甲1発明では,役を構成する図柄の組み合わせを図柄表示窓3に停止表示させるためには,抽選によって内部当選していることが必須であり,内部当選していない役は役を構成する図柄の組み合わせを停止させることができないように制御されているため,「抽選」とは,「表示結果の導出を許容するか否かを決定」しているといえる。
(3)甲1発明の「電源スイッチ170c,設定変更キー,設定用キースイッチ170aの操作」は,段階値を設定するための操作であり,この段階値とは「出玉率の段階設定を行う」ための値であって,設定された段階値によってボーナスゲームや複数の小役の内部抽選を実行する確率が異なる抽選テーブルを選択して,入賞の抽選を行うものであるから,甲1発明には「所定の設定操作手段の操作に基づいて,前記事前決定手段により入賞表示結果の導出を許容する旨が決定される確率を設定値毎に異ならせる複数種類の設定値のうちから,いずれかの設定値を選択して設定する設定値設定手段」が記載されているといえる。
(4)甲1発明の「RAM102」は,「段階設定値を示す段階設定値データを含むゲームの進行を制御するための制御データを読み出し及び書き込み可能に記憶する」という機能からみて,本件訂正発明1の「データ記憶手段」に相当する。
(5)甲1発明の「副制御部160」は,「パチスロ機への電源供給が遮断しても電池で段階設定値の履歴情報をバックアップするRAM」を備えるものであるから,本件訂正発明1の「スロットマシンへの電源供給が遮断しても前記データ記憶手段に記憶されている(前記)ゲームの進行を制御するためのデータを保持する保持手段」に相当する構成を有していることは自明である。
(6)甲1発明の「主制御部100」は,ゲームの開始操作毎に「ワークRAM領域に記憶している段階設定値のデータ読み出し,該読み出した段階設定値データが示す段階設定値が段階設定部150により設定可能な設定値の範囲内である場合に前記読み出した段階設定値データが適正であると判定し,前記設定可能な設定値の範囲内でない場合に前記読み出した設定値データが適正ではないと判定し」,かつ「前記読み出した設定値データが適正ではないと判定されたときに,エラー処理を行わせ」,このエラー処理中に通常通りの遊技が可能であるとは常識的に考えられないから,「ゲームの進行を不能化」していることは明らかである。
したがって,甲1発明は,本件訂正発明1の「ゲームの開始操作がなされる毎に,データ記憶手段から設定値データを読み出し,該読み出した設定値データが示す設定値が設定値設定手段により設定可能な設定値の範囲内である場合に前記読み出した設定値データが適正であると判定し,前記設定可能な設定値の範囲内でない場合に前記読み出した設定値データが適正ではないと判定する設定値判定手段と,前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正ではないと判定されたときに,ゲームの進行を不能化する第2の不能化手段」に相当する構成を有していることは自明である。
(7)甲1発明はエラー処理中であっても,主制御部100は「段階設定部150の操作に基づいて前記段階設定部150により前記段階設定値が所定範囲の中から新たに設定されたことを条件に,該新たに設定された段階設定値を使用して変動表示ゲームの当落を決定」しているから,本件訂正発明1の「第2の不能化手段によりゲームの進行が不能化された状態においても,設定操作手段の操作に基づいて前記設定値設定手段により前記設定値が新たに設定されたことを条件に,前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し,ゲームの進行を可能とする」に相当する構成を有していることは自明である。

よって,本件訂正発明1と甲1発明とは
「遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり,複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し,該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて,
ゲーム毎に前記可変表示装置の表示結果が導出されるより前に,複数種類の表示結果の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段と,
前記識別情報の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止操作手段と,
前記停止操作手段が操作されたときに,前記可変表示装置に表示結果を導出させる導出制御手段と,
所定の設定操作手段の操作に基づいて,前記事前決定手段により入賞表示結果の導出を許容する旨が決定される確率を設定値毎に異ならせる複数種類の設定値のうちから,いずれかの設定値を選択して設定する設定値設定手段と,
前記設定値設定手段により設定された設定値を示す設定値データを含むゲームの進行を制御するためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶するデータ記憶手段と,
前記スロットマシンへの電源供給が遮断しても前記データ記憶手段に記憶されている前記ゲームの進行を制御するためのデータを保持する保持手段と,
ゲームの開始操作がなされる毎に,前記データ記憶手段から前記設定値データを読み出し,該読み出した設定値データが示す設定値が前記設定値設定手段により設定可能な設定値の範囲内である場合に前記読み出した設定値データが適正であると判定し,前記設定可能な設定値の範囲内でない場合に前記読み出した設定値データが適正ではないと判定する設定値判定手段と,
前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正ではないと判定されたときに,ゲームの進行を不能化する第2の不能化手段と,
前記第2の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態において,前記設定操作手段の操作に基づいて前記設定値設定手段により前記設定値が新たに設定されたことを条件に,前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し,ゲームの進行を可能とする不能化解除手段と,
を備えたスロットマシン。」の点で一致し,以下の点で相違している。

[相違点1]
本件訂正発明1は,「停止操作手段が操作されたときに,該停止操作手段の操作手順と事前決定手段の決定結果とに応じて前記可変表示装置の表示結果を導出させる導出制御手段」有しているが,甲1発明では「停止操作手段の操作タイミングと事前決定手段の決定結果とに応じて」表示結果を導出させているものの「停止操作手段の操作手順」には応じていない点。

[相違点2]
本件訂正発明1は,事前決定手段が「特定表示結果及び短期有利表示結果の表示結果の導出を許容するか否か」を決定しているが,甲1発明では複数種類の表示結果を導出を許容するか否かを決定しているものの「特定表示結果及び短期有利表示結果」を含んでいない点。
なお,本件訂正発明1において「特定表示結果」及び「短期有利表示結果」がどのような表示結果であるのかについては,文言通りの「何らかの表示結果」及び「何らかの有利状態を発生させる表示結果のうち,その有利状態が継続する期間が短期間のもの」とは解釈せず,本件訂正発明1内の記載から,前者は「複数種類の表示結果のうち,短期有利表示結果と同時に導出が許容される表示結果であって,ある操作手順で停止操作手段が操作された場合に表示される表示結果」及び,後者は「数種類の表示結果のうち,特定表示結果と同時に導出が許容される表示結果であって,ある操作手順とは異なる操作手順で停止操作手段が操作された場合に表示される表示結果であって,該表示結果が表示されると所定ゲーム数だけ有利状態が継続されるもの」と解釈する。
また,本件訂正発明1は,「長期有利状態」なる状態があるが,甲1発明にはそのような状態がない点でも相違している。
なお,本件訂正発明1における「長期有利状態」は,本件訂正発明1内の記載から,「長期移行条件の成立によって所定ゲーム数よりも長いゲーム数継続し,遊技者が得る利益が短期有利状態よりも大きい有利状態」なるものと解釈する。

[相違点3]
本件訂正発明1は,「スロットマシンの電源投入時に,前記ゲームの進行を制御するためのデータのうちの前記設定値データが適正か否かの判定を個別に行わず,前記保持手段により保持されている前記ゲームの進行を制御するためのデータが電源遮断前のデータと一致するか否かの判定を行う記憶データ判定手段」を有しているが,甲1発明ではそのような「記憶データ判定手段」を備えていない点。

[相違点4]
本件訂正発明1は,「記憶データ判定手段により前記保持手段により保持されている前記ゲームの進行を制御するためのデータが前記電源遮断前のデータと一致しないと判定されたときに,ゲームの進行を不能化する第1の不能化手段」を有しているが,甲1発明ではそのような「第1の不能化手段」を備えていない点。

[相違点5]
不能化解除手段に関して,本件訂正発明1は,「第1の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態においても前記第2の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態においても」所定の操作が行われればゲームの進行を可能とする「不能化解除手段」を有しているが,甲1発明では上記相違点4で挙げたように「第1の不能化手段」を備えていないため,第1及び第2の両方の不能化手段を解除する「不能化解除手段」を備えていない点。

[相違点6]
本件訂正発明1の事前決定手段は「設定値判定手段により読み出した設定値データが適正であると判定したときに,該読み出した設定値データが示す設定値に応じた確率で当該ゲームにおいて入賞表示結果を導出させることを許容するか否かを決定するとともに,特定表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,短期有利表示結果の導出を許容する旨も同時に決定」しているのに対して,甲1発明における,上記事前決定手段に対応する「主制御部100」は,読み出した設定値データが適正であるか否かの判定を行っているものの「特定表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,短期有利表示結果の導出を許容する旨も同時に決定」をするものではない点。

[相違点7]
本件訂正発明1の有利状態制御手段は「可変表示装置の表示結果として短期有利表示結果が導出されたときに,有利状態のうちで所定ゲーム数の間だけ継続する短期有利状態に遊技状態を制御する短期有利状態制御手段と,
予め定められた長期移行条件が成立したときに,前記有利状態のうちで前記所定ゲーム数よりも長いゲーム数の間だけ継続するとともに,終了までに遊技者の得られる利益が前記短期有利状態よりも大きい長期有利状態に遊技状態を制御する長期有利状態制御手段とを含み,
前記長期有利状態において前記短期有利表示結果が導出されたときに,該長期有利状態を終了させて,前記短期有利状態に遊技状態を制御」するものであるのに対して,甲1発明では,そのような長期及び短期の有利状態が存在しないため,当然そのような有利状態の切り換えを制御する有利状態制御手段も存在しない点。

[相違点8]
本件訂正発明1の導出制御手段は「特定表示結果と短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて停止操作手段が第一手順で操作されたときに該特定表示結果を導出させる第一手順時導出手段と,前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が前記第一手順とは異なる第二手順で操作されたときに該短期有利表示結果を導出させる第二手順時導出手段とを含」むものであるのに対して,甲1発明では,そもそも操作手順と導出させる表示結果とが関連づけられているものではないから,当然そのような導出制御手段が存在しない点。

[相違点9]
本件訂正発明1の情報報知手段は「長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに,所定の情報を報知」するが,甲1発明では,そもそも情報報知手段が存在しない点。

[相違点10]
本件訂正発明1の情報報知手段は「長期有利状態の残りゲーム数が所定ゲーム数以下である場合には所定の情報を報知しない一方,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には事前決定手段により特定表示結果と短期有利表示結果の導出を許容する旨の決定がされたときに必ず前記所定の情報を報知」するが,甲1発明では,そもそも情報報知手段が存在しない点。

4.相違点についての検討
各相違点について検討する。
[相違点1]について
甲第2号証には,「RT目」は順押しもしくは中押しでは揃うが,逆押しの場合は揃わない,つまり「操作手順」に応じて可変表示装置の表示結果を導出させる点が記載されており,これは本件訂正発明1の「導出制御手段」と同じ機能を有する何らかの制御手段によることは自明である。
よって,甲1発明に甲第2号証に記載された制御手段を適用して,相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点2]について
甲第3号証には,ボーナス終了後60P(Pはプレイのこと。以下同じ)のRTに突入すること,プチRT絵柄が出現すると2PのRTに突入すること,ボーナス後の60PのRT中にプチRT絵柄を揃える(出現させる)と,RTが2Pで終了する点が記載されている。
また,プチRT絵柄が揃う条件として,1枚役,6枚役,8枚役の取りこぼし時,ボーナス成立時と記載されており,下記[相違点7]で検討するように,実際にプチRT絵柄が揃うためには,停止操作手段の押し順が密接に関連している。
ここで,「RT」とは,「リプレイタイム」のことであって,RT(リプレイタイム)中は,通常遊技状態よりもリプレイの当選確率が高く設定されているため,遊技者にとって有利な遊技状態であることは,当業者にとっては常識であり,周知技術にすぎない。
そして,プチRT絵柄に起因するRTは2ゲーム分であるから,60ゲーム分のRTに比べて,短期といえる。
以上のことより,甲3号証の「1枚役,6枚役,8枚役,ボーナス役」,「プチRT絵柄」,「60PのRT」は,本件訂正発明1の「特定表示結果」,「短期有利表示結果」,「長期有利状態」に相当していることが明らかであり,甲1発明に上記の表示結果及び有利状態を適用することに何らの技術的困難性はない。
よって,甲1発明に甲第3号証に記載された表示結果及び有利状態を適用して,相違点2に係る本件訂正発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点3]について
まず,甲第4号証について検討する。
甲第4号証には,データを記憶するものとして「記憶手段(220)」と「RAM」とが記載されており,前者は「主電源(70)の遮断時に,チェックサム作成手段(210)より作成されたチェックサムを記憶し,この記憶した記憶データとしてのチェックサムを保持するためのバックアップ電源(80)を有する」ものであり,後者は「遊技データを記憶」するものである。
そして,「チェックサム」には,「主電源(70)の遮断時に,チェックサム作成手段(210)より作成され,停電中もバックアップ電源(80)によって記憶手段(220)に記憶データとして保持されるもの」と「電源スイッチ(30)による前記主電源(70)の投入時に,チェックサム作成手段(210)より作成されるもの」の2種類が記載され,そのいずれもが「RAM」に記憶された「段階設定値を含む遊技データ」から作成される点も記載されている。
また,RAMに記憶された「段階設定値を含む遊技データ」が,電源遮断後の停電中にバックアップ保持されているかについての明記はないが,チェックサム検査手段(230)が,電源スイッチ(30)による主電源(70)の投入時にチェックサム作成手段(210)より作成されたチェックサムと,記憶手段(220)から読み出した記憶データとしてのチェックサムとの一致・不一致を検査する点,及び,チェックサム検査手段(230)による検査の結果,不一致である場合の理由として,ノイズによるRAM(の内容の)破壊が挙げられている点から見て,RAMも電源バックアップされており,「段階設定値を含む遊技データ」が,電源遮断後の停電中にバックアップ保持されていることは,当業者にとって自明である。
そして,甲第4号証におけるチェックサムが「段階設定値を含む遊技データ」によって作成されているとしても,電源投入時にRAMに停電中記憶されていた遊技データが正常か否かをチェックするためにチェックサムのみで判定し,チェックサムが不一致の場合,エラー処理に移行する点からみて,遊技データが正常か否かをチェックする際に「設定データが適正か否かの判定を個別に行っていない」ことは明らかである。
甲第4号証に「第5ステップS5に進み,段階設定値が正常か否かを判定する」と記載されているが,この「第5ステップS5」は,「第4ステップS4」において「チェックサム検査手段(230)が,電源スイッチ(30)による主電源(70)の投入時にチェックサム作成手段(210)より作成されたチェックサムと,記憶手段(220)から読み出した記憶データとしてのチェックサムとの一致・不一致」を検査した結果,一致する場合,つまりRAMに記憶されていた遊技データに異常がないことを確認した場合のみ,段階設定値の判定を行うものであるから,「保持手段により保持されているゲームの進行を制御するためのデータが電源遮断前のデータと一致するか否かの判定」の際に,「設定値データが適正か否かの判定を個別に行っている」ということはできない。
したがって,甲第4号証には「前記スロットマシンの電源投入時に,前記ゲームの進行を制御するためのデータのうちの前記設定値データが適正か否かの判定を個別に行わず,前記保持手段により保持されている前記ゲームの進行を制御するためのデータが電源遮断前のデータと一致するか否かの判定を行う記憶データ判定手段」が記載されているといえるから,相違点3に係る本件訂正発明1の構成は,甲1発明に甲第4号証に記載された判定手段を用いて当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点4]について
甲第4号証には,「チェックサム作成手段210により,電源遮断時の処理としてRAMのサムチェックを作成し,次回の電源投入時にRAMの内容が,電源遮断時の内容と一致しているかどうか,チェックサム検査手段230により確認し,不一致の場合に,エラー処理を実行する」点,及び「遊技停止手段243により,電源スイッチ30による主電源70の遮断待ちの状態にする」点が記載されており,これは本件訂正発明1の「第1の不能化手段」に相当するから,相違点4に係る本件訂正発明1の構成は,甲1発明に甲第4号証に記載された不能化手段を用いて当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点5]について
甲1発明は,上述の通り「前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正ではないと判定されたときに,ゲームの進行を不能化する第2の不能化手段」を有するものであり,「第2の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態において,設定操作手段の操作に基づいて設定値設定手段により前記設定値が新たに設定されたことを条件に,前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し,ゲームの進行を可能とする不能化解除手段」をも備えるものである。
甲第4号証は,相違点4で検討したように,本件訂正発明1の「第1の不能化手段」に相当する手段を備えるものであり,さらにチェックサムが一致しない場合,つまりRAMの内容が電源遮断前と遮断後が相違している場合であっても,段階設定値を設定する設定スイッチが操作されていれば,段階設定値の変更処理を経て,通常の遊技状態に移行する点が記載されており,これは本件訂正発明1における「(第1の不能化手段に対応した)不能化解除手段」に相当するといえる。
そして,ゲームの進行が不能化された状態において,段階設定値を設定する設定操作手段が操作されたことによって,不能化の状態を解除する点で,甲1発明と甲第4号証に記載された不能化解除手段は共通しているから,甲1発明の不能化手段に,甲第4号証に記載された不能化手段を用いて,相違点5に係る本件訂正発明1の構成とすることに何らの技術的困難性はない。
よって,甲1発明に甲第4号証に記載された不能化手段を適用して,相違点5に係る本件訂正発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点6]について
甲1発明は,上述の通り「前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正ではないと判定されたときに,ゲームの進行を不能化する第2の不能化手段」を有するものであるから,読み出した設定値データが適正であるときには,本件訂正発明1と同じく「設定値判定手段により読み出した設定値データが適正であると判定したときに,該読み出した設定値データが示す設定値に応じた確率で当該ゲームにおいて入賞表示結果を導出させることを許容するか否かを決定」していることは自明である。
そして,甲第3号証には,1枚役,6枚役,8枚役の取りこぼし時,ボーナス成立時にボーナス絵柄を揃えられなかった場合にプチRT絵柄が揃う点が記載されており,「1枚役,6枚役,8枚役,ボーナス役」に対応する絵柄を特定表示結果に,「プチRT絵柄」を短期有利表示結果に対応付ける点に何ら技術的困難性はなく,甲1発明における「主制御部100」が入賞表示結果を導出させることを許容するか否かを決定する際に,甲第3号証に記載された複数の表示結果の導出を許容する点を用いて,相違点6に係る本件訂正発明1の構成とすることに何らの技術的困難性はない。
よって,相違点6に係る本件訂正発明1の構成は,甲1発明と甲第3号証から当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点7]について
甲第2号証には,ボーナス終了後60PのRTに突入すること,RT目が出現すると2PのRTに突入すること,ボーナス後の60PのRT中にRT目を揃える(出現させる)と,RTが2Pで終了する点が記載されている。
ここで,「RT」とは,「リプレイタイム」のことであって,RT(リプレイタイム)中は,通常遊技状態よりもリプレイの当選確率が高く設定されているため,遊技者にとって有利な遊技状態であることは,当業者にとっては常識である。
そして,甲1発明の2種類の有利状態に代えて,甲第2号証に記載された2種類の有利状態とすることで相違点7に係る本件訂正発明1の構成とすることに格別の技術的困難性はない。
よって,相違点7に係る本件訂正発明1の構成は,甲1発明と甲第2号証から当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点8]について
甲第3号証には,揃うことで2ゲームのRTに入るプチRT絵柄に関して,順押しでは揃うが,逆押しでは揃わない点,1枚役とスイカ役とチェリー役の取りこぼし時,並びにボーナス成立時に出現する点が記載されている。
つまり,プチRT絵柄が表示されるか否かは,操作手順に関連づけられていること,他の役が内部的に当選している場合に出現することが記載されていることになる。
そして,甲第3号証における「プチRT絵柄が揃うこと」及び「内部的に当選している他の役」は,本件訂正発明1の「短期有利表示結果」及び「特定表示結果」に相当するから,甲1発明の当選役と停止制御において,甲第3号証の「プチRT絵柄が揃うこと」及び「内部的に当選している他の役」を用いて,相違点8に係る本件訂正発明1の構成とすることに格別の技術的困難性はない。
よって,相違点8に係る本件訂正発明1の構成は,甲1発明と甲第3号証から当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点9]について
甲第3号証には,RT中に1枚役が内部的に当選すると「ムギー」と予告音が鳴る点が記載されている。
これは,相違点8で検討したように,1枚役が内部的に当選している場合,押し順によって,1枚役の絵柄を揃えることが可能となったり,1枚役の絵柄を揃えることができずプチRT絵柄が揃ってしまうこととなるからである。
そして,後者の場合60ゲーム分提供されているRTが,そこから2ゲームで終了することとなるため,遊技者に対してプチRT絵柄を揃えないように報知しているとまではいえないものの,1枚役が内部当選していること,つまり押し順を誤れば,遊技者にとって有利な60ゲーム分提供されているRTが2ゲームで終了するプチRT絵柄が揃う可能性があることを報知していることは当業者にとって自明である。
また,甲第3号証において「プチRT絵柄が揃うこと」及び「内部的に当選している他の役」が,本件訂正発明1の「短期有利表示結果」及び「特定表示結果」に相当することは相違点7で検討したとおりであり,60ゲーム分のRTは,本件訂正発明1の「長期有利表示結果」に相当することは自明であるから,甲第3号証には,相違点9に係る本件訂正発明1の構成が記載されている。
そして,甲1発明に甲第3号証に記載された「情報報知手段」を適用することに格別の技術的困難性はない。
よって,相違点9に係る本件訂正発明1の構成は,甲1発明と甲第3号証から当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点10]について
相違点9で検討したとおり,甲第3号証には本件訂正発明1における「長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに,所定の情報を報知」する報知手段については記載されている。
しかしながら,長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたとき,所定の情報を報知するにあたって「長期有利状態の残りゲーム数が所定ゲーム数以下である場合には報知しないが,前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には必ず報知する」点については,記載も示唆もない。
したがって,甲第3号証に記載された技術事項によって,相違点10に係る本件訂正発明1の構成を容易に想到したものとすることはできない。
なお,甲第2号証,甲第7号証,甲第8号証,甲第12号証,甲第17号証は,いずれも甲第3号証と同じ「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」なるパチスロ機を解説した雑誌の記事であり,それらの記載から,当該機種のパチスロ機における報知がされる場合とされない場合があることが読み取れるが,その原因となるのは「連続演出中」であったり,「2ゲームのRT中」であったりと,長期有利状態の残りゲーム数とは無関係であり,当該機種のパチスロ機が相違点10に係る本件訂正発明1の構成を実質的に備えていたということもできない。
この点については,請求人が審判請求書,弁駁書,陳述要領書において提示した他のいずれの証拠にも相違点9に関する本件訂正発明1の構成とすることが容易であるとすべき記載及び示唆はない。
また,請求人は,弁駁書第13頁末行?第15頁第4行で次のように主張する。
『甲第2号証の第43頁左上の「RT消化手順」欄には,「2PRT中は7-7-チェリーでも予告音なし」との記載がある。ここでの2Pは,短期有利状態におけるゲーム数,すなわち構成Q2における「所定ゲーム数」に該当する。この2PRT中は所定情報を報知しないとする機能を,長期有利状態における所定情報の報知の例外として組み合わせ,構成Q2とすることは,以下に示すように,当業者が通常行い得るものである。
そもそも,予告音は,ボーナス後,60ゲームに亘ってRT(リプレイタイム)が継続する遊技状態になるにもかかわらず(すなわち,長期有利状態になるにも関わらず),RT目やプチRT絵柄が導出されると,その時点で遊技状態が2PRTに変更される可能性があることを,絵柄の導出前に,遊技者に報知するために発生されるものである。
そうすると,長期有利状態の残りゲーム数が2ゲームの場合や残りゲーム数が1ゲームの場合には,予告音を発生する必然性がない。なぜなら,残りゲーム数が2ゲームの場合にRT目(短期有利表示結果)が導出されて2P(プレイ/ゲーム)のRTに遊技状態が変更されたとしてもRTの継続数は長期有利状態における継続数と同じままであるし,長期有利状態の残りゲーム数が1ゲームの場合にRT目が導出されて2P(プレイ/ゲーム)のRTに遊技状態が変更されたとしてもRTの継続数は1P(プレイ/ゲーム)分増加し,遊技者にはむしろ有利になるからである。
ここで,予告音を発生する必然性がなくなるゲーム数は,短期有利状態におけるゲーム数(すなわち,所定ゲーム数)である。そして,甲第2号証には,当該所定ゲーム数に相当する2PRT中には予告音を発生させないことが記載されている。
よって,長期有利状態の残りゲーム数が所定ゲーム数よりも多い場合には,甲第3号証に記載のように原則として予告音を発生し,残りゲーム数が所定ゲーム数以下の場合には,例外的に,甲第2号証に記載のように予告音を発生させないとすることは当業者が容易に想到し得る程度の工夫でしかない。
また,残りゲーム数が短期有利状態におけるゲーム数以下となった場合に所定の情報を報知しなくても,前述したようにゲーム数は減少せず,遊技者は何ら不利益を被ることがないのであるから,「長期有利状態の残りゲーム数が前記所定のゲーム数以下である場合には前記所定の情報を報知しない」ことは,既存の技術に対して格段の技術的貢献を奏するものでもない。』
これについて検討すると,甲第2号証に記載されている技術事項は,2ゲームのRT中に,さらに2ゲームのRTが発生した場合は報知しないということであって,これは,RTが短期の2ゲームであっても遊技者にとっては有利な状態であるとの認識に立って,さらに2ゲームのRTが獲得できるなら,遊技者にとってはたとえ2ゲームであっても有利な状態が長くなり,遊技者に対して不利な状態に転落する可能性があることを報知する必要はないからである。
しかしながら,本件訂正発明1における報知をするしないの場合分けは,あくまで「長期有利状態」中に,遊技者にとって不利益となるか否かによって決定されており,甲2号証に記載されている当該技術事項から,当業者が容易に想到し得たとはいえない。
さらに,請求人は,弁駁書第15頁第7?18行で次のように主張する。
『ある遊技状態(BIG中)の残りゲーム数に応じて,その導出が遊技者にとって不利になる出目(リプレイ絵柄)の導出の可能性を事前に報知する/報知しないを制御する機能は周知技術(例えば甲第21号証(第136頁下段「BIG中のプレイ手順」欄内の「リプレイはずしをするのは,残り10Gまで。それ以降リプレイが成立しても,予告音が鳴らないようになっている。」等),甲第22号証(第31頁右中段「小役の特徴」欄内の「JACイン時は声ナビが発生(残り10Gからは発生しない)」等))に属するものである。そして,残りゲーム数に応じて,その導出が遊技者にとって不利になる出目の導出の可能性を事前に報知するという機能に関する限り,構成Q2と甲第21号証又は甲第22号証に記載の事項の間に実質的な相違はない。
よって,甲第3号証と甲第2号証と甲第21号証若しくは甲第22号証を組み合わせて構成Q2とすることに格別の困難性を認めることはできない。』
これについて検討すると,甲第21号証も甲第22号証もボーナスゲーム中のメダル獲得枚数を増加させるためのテクニックの一つとして周知の「リプレイはずし」に関連する記載である。
そしてこの「リプレイはずし」は,当然のことながら「長期有利状態」「短期有利状態」とは関係がなく,長期有利状態中にある図柄が出現すると短期有利状態に移行するという技術的思想については記載も示唆もなく,甲第3号証と甲第2号証と甲第21号証若しくは甲第22号証を組み合わせて,相違点9に係る本件訂正発明1の構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。

5.小括
以上によれば,[相違点10]について容易想到とすることができないから,本件訂正発明1は,甲1発明及び甲第2?4号証,甲第5?17号証,甲第18?26号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到できたものとすることはできず,本件訂正発明1の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。
また,本件訂正発明2乃至5は,本件訂正発明1に限定を付したものであるから,限定を付した事項を検討するまでもなく,当業者が容易に想到できたものとすることはできず,本件訂正発明2乃至5の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。
したがって,請求人が主張する無効理由1は認められない。

6.無効理由2について
6.1.記載不備1
請求人は,「特許発明1の『ゲーム毎に前記可変表示装置の表示結果が導出されるより前に,特定表示結果及び短期有利表示結果を含む複数種類の表示結果の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段(以下,「構成B」という。)』は,発明の詳細な説明に記載されていない。」(審判請求書の第142頁第19?22行)と主張し,その理由として,「上記構成Bの記載によると,『事前決定手段』は,『特定表示結果』と『短期有利表示結果』の導出を許容するとある。すなわち,この記載は,『特定表示結果』と『短期有利表示結果』の両方が抽選対象役であることを表している。」(審判請求書の第142頁第23?25行)と解釈した上で,「『特定表示結果』と『短期有利表示結果』が抽選対象役であることについて発明の詳細な説明に記載されていない」旨(審判請求書の第142頁第26行?第143頁第9行)主張する。
しかしながら,構成Bでは,「特定表示結果」と「短期有利表示結果」が,導出を許容するか否か決定される複数種類の表示結果に含まれることが規定されているに過ぎず,「特別表示結果」と「再遊技有利表示結果」について「両方が同時当選し得る抽選対象役」であるとの記載はなく,「両方が同時当選し得る抽選対象役」であるとの解釈を示唆する記載もない。
したがって,「特定表示結果」と「短期有利表示結果」の双方を「抽選対象役」であることを前提とした請求人の上記主張は当を得ないものである。
よって,本件訂正明細書及び訂正特許請求の範囲の記載は,特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしており,訂正特許発明1に関して無効理由2は理由がなく,同時に請求項1を引用すること又は同様の記載があることをもって,本件訂正明細書及び訂正特許請求の範囲の記載が特許法第36条第4項第1号又は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず,無効理由があると請求人が主張する訂正特許発明2乃至5に関しても無効理由2は認められない。

6.2.記載不備2
請求人は,「特許発明2の『前記事前決定手段は,前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果と前記賭数の設定に遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能となる再遊技表示結果との導出を許容するか否かを決定し(以下,「構成R」という。)』は,発明の詳細な説明に記載されていない。」(審判請求書の第144頁第21?24行)と主張し,その理由として,請求人は,「上記構成Rの記載によると,『事前決定手段』は,『特別表示結果』と『再遊技表示結果』の導出を許容するとある。すなわち,この記載は,『特別表示結果』と『再遊技有利表示結果』の両方が同時当選し得る抽選対象役と解することができる。」(審判請求書の第144頁第25行?第145頁第2行)とした上で,「『特別表示結果』と『再遊技有利表示結果』と両方の導出を許容するか否かを決定する機能については,発明の詳細な説明に記載されていない。」(審判請求書の第145頁第21?22行)と主張する。
しかしながら,構成Rでは,「特定表示結果」と「短期有利表示結果」が,導出を許容するか否か決定される複数種類の表示結果に含まれることが規定されているに過ぎず,「特別表示結果」と「再遊技有利表示結果」について「両方が同時当選し得る抽選対象役」であるとの記載はなく,「両方が同時当選し得る抽選対象役」であるとの解釈を示唆する記載もない。
したがって,「特定表示結果」と「短期有利表示結果」の双方を「抽選対象役」であることを前提とした請求人の上記主張は当を得ないものである。
よって,本件訂正明細書及び訂正特許請求の範囲の記載は,特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしており,訂正特許発明2に関して無効理由2は理由がなく,同時に請求項2を引用することをもって,本件訂正明細書及び訂正特許請求の範囲の記載が特許法第36条第4項第1号又は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず,無効理由があると請求人が主張する訂正特許発明3乃至5に関しても無効理由2は認められない。

6.3.記載不備3
請求人は,「特許発明4の『前記事前決定手段は,前記特別表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに該特別表示結果とも前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに(以下,「構成W」という。)』は,発明の詳細な説明に記載されていない。」(審判請求書の第146頁第5?8行)と主張し,その理由として,請求人は,「『ボーナス(特別表示結果)』の導出が許容される場合には,『チャンス目(短期有利表示結果)』と『リーチ目(第三表示結果)』の導出が実質的に許容されていることが記載されており,『ボーナス(特別表示結果)』と『リーチ目(第三表示結果)』のみの組み合わせに特定するとは記載されていない。」(審判請求書の第146頁第17?21行)と主張する。
しかしながら,本件訂正発明4における構成Wは,「前記事前決定手段は,前記特別表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに,前記所定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには,さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し,」と訂正され,これにより,構成Wにおいて,「『特別表示結果』の導出が許容される場合には,『短期有利表示結果』と『第三表示結果』の導出が実質的に許容されている」ことが規定された。
また,「事前決定手段」が「短期有利表示結果」を導出を許容する旨を決定する内容を含んでいることについては,6.1.で検討したとおりである。
よって,本件訂正明細書及び訂正特許請求の範囲の記載は,特許法第36条第4項第1号又は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしており,訂正特許発明2に関して無効理由2は理由がなく,同時に請求項4を引用することをもって,本件訂正明細書及び訂正特許請求の範囲の記載が特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず,無効理由があると請求人が主張する本件訂正発明5に関しても無効理由2は認められない。

6.4.記載不備4
弁駁書において,請求人も認めるとおり,訂正によって「レギュラーボーナス,ビッグボーナス(1),ビッグボーナス(2)」を,「特定表示結果」のうちの「特別表示結果」としての意味で導出を許容できることが規定され,「特定表示結果」のうちの「特別表示結果」と異なる表示結果としての意味で導出が許容されることが除かれたため,記載不備は解消した。

7.小括
以上によれば,本件訂正明細書及び本件訂正発明1乃至5は,特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしており,請求人が主張する無効理由2は認められない。

第6.むすび
以上のとおりであるから,本件訂正発明1乃至5には,無効理由1及び無効理由2がないから,その特許は,請求人の主張及び証拠方法によって,無効とすることができない。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,全額を請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スロットマシン
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関し、特に有利状態として、所定ゲーム数の間だけ継続する短期有利状態と該所定ゲーム数よりも長いゲーム数の間だけ継続する長期有利状態とを有するスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示態様に従って入賞が発生する。
【0003】
入賞となる役の種類としては、小役、ボーナス、リプレイといった種類がある。ここで、小役の入賞では、小役の種類毎に定められた数のメダルが払い出されるという利益を遊技者が得ることができる。ボーナスの入賞では、次のゲームからレギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な遊技状態へ移行されるという利益を遊技者が得ることができる。リプレイ入賞では、賭け数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行うことができるという利益を得ることができる。
【0004】
ボーナス役を含めた各役の入賞が発生するためには、一般的には、事前(通常はスタートレバー操作時)に行われる内部抽選に当選して当選フラグが設定されていなければならない。ここで、リプレイ入賞による賭け数の設定にメダルを消費しないで済むという利益を遊技者が得られることを利用して、可変表示装置に導出された図柄によりRT入賞が発生することで予め定められた所定ゲーム数だけ通常の遊技状態とはリプレイ以外の役の当選確率を変えずにリプレイの当選確率を高くするRT(Replay Time)を、ビッグボーナスやレギュラーボーナスのようなボーナスと呼ばれる特別遊技状態以外の遊技者にとって有利な遊技状態として定めているスロットマシンがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
遊技状態がRTに制御されているゲームでは、かなりの高確率でリプレイ当選し、また、リプレイ当選しているゲームでは、さらにボーナス当選していても通常はリプレイの方が優先して導出される。つまり、遊技状態がRTに制御されていると、ボーナス当選していてもボーナス入賞しにくくなるため、このRTに制御されている期間を利用して、複数ゲームの期間に亘って実行される連続演出を行うものとしたスロットマシンがあった(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005-131323号公報(段落0035)
【非特許文献1】パチスロ攻略マガジン2003年1月号(16、17頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従来のスロットマシンにおけるRTは、特許文献1のようにボーナス以外で遊技者に有利な遊技状態を設けることで遊技の興趣を向上させようとするものか、非特許文献1のように当選の有無に関わらずボーナス入賞しにくくなることを利用して連続演出を行うことで遊技の興趣を向上させようとするものでしかなかった。遊技状態がRTに制御されるかどうかで遊技を有利に進められるかどうかということに差異が生じても、そこに遊技における戦略性が生じることはなかった。
【0008】
本発明は、有利状態として、所定ゲーム数の間だけ継続する短期有利状態と該所定ゲーム数よりも長いゲーム数の間だけ継続する長期有利状態とを設け、長期有利状態から短期有利状態への移行を遊技者の技量に応じて回避できるものとすることで、技術介入性を高めるとともに遊技の戦略性を高くしたスロットマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかるスロットマシンは、
遊技用価値(メダル)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置(可変表示装置2)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて、
ゲーム毎に前記可変表示装置の表示結果が導出されるより前に、特定表示結果(レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、スイカ)及び短期有利表示結果(チャンス目)を含む複数種類の表示結果の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段(ステップS403)と、
前記識別情報の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止操作手段(停止ボタン12L、12C、12R)と、
前記停止操作手段が操作されたときに、該停止操作手段の操作手順と前記事前決定手段の決定結果とに応じて前記可変表示装置の表示結果を導出させる導出制御手段(ステップS404)と、
通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利状態(RT)に遊技状態を制御する有利状態制御手段(ステップS815、S916)と、
所定の設定操作手段(設定キースイッチ92、設定スイッチ91)の操作に基づいて、前記事前決定手段により入賞表示結果の導出を許容する旨が決定される確率を設定値毎に異ならせる複数種類の設定値(設定値)のうちから、いずれかの設定値を選択して設定する設定値設定手段(ステップS201?S210)と、
前記設定値設定手段により設定された設定値を示す設定値データを含むゲームの進行を制御するためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶するデータ記憶手段(RAM112)と、
前記スロットマシンへの電源供給が遮断しても前記データ記憶手段に記憶されている前記ゲームの進行を制御するためのデータを保持する保持手段と、
前記スロットマシンの電源投入時に、前記ゲームの進行を制御するためのデータのうちの前記設定値データが適正か否かの判定を個別に行わず、前記保持手段により保持されている前記ゲームの進行を制御するためのデータが電源遮断前のデータと一致するか否かの判定を行う記憶データ判定手段(ステップS105、S106)と、
前記記憶データ判定手段により前記保持手段により保持されている前記ゲームの進行を制御するためのデータが前記電源遮断前のデータと一致しないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する第1の不能化手段(ステップS106(NO)、ステップS301)と、
ゲームの開始操作がなされる毎に、前記データ記憶手段から前記設定値データを読み出し、該読み出した設定値データが示す設定値が前記設定値設定手段により設定可能な設定値の範囲内である場合に前記読み出した設定値データが適正であると判定し、前記設定可能な設定値の範囲内でない場合に前記読み出した設定値データが適正ではないと判定する設定値判定手段(ステップS508、S509)と、
前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正ではないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する第2の不能化手段(ステップS509(NO)、ステップS301)と、
前記第1の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態においても前記第2の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態においても、前記設定操作手段の操作に基づいて前記設定値設定手段により前記設定値が新たに設定されたことを条件に、前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行を可能とする不能化解除手段(ステップS111、図11)とを備え、
前記事前決定手段は、前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正であると判定したときに、該読み出した設定値データが示す設定値に応じた確率で当該ゲームにおいて入賞表示結果を導出させることを許容するか否かを決定するとともに、前記特定表示結果の導出を許容する旨を決定するときには、前記短期有利表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し、
前記有利状態制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果として予め定められた短期有利表示結果(チャンス目)が導出されたときに、前記有利状態のうちで所定ゲーム数(3ゲーム)の間だけ継続する短期有利状態(ショートRT)に遊技状態を制御する短期有利状態制御手段(ステップS815)と、
予め定められた長期移行条件が成立したときに、前記有利状態のうちで前記所定ゲーム数よりも長いゲーム数(100ゲーム)の間だけ継続するとともに、終了までに遊技者の得られる利益が前記短期有利状態よりも大きい長期有利状態(ロングRT)に遊技状態を制御する長期有利状態制御手段(ステップS906)とを含み、
前記長期有利状態において前記短期有利表示結果が導出されたときに、該長期有利状態を終了させて、前記短期有利状態に遊技状態を制御し(ステップS815では、これまでのRTカウンタの値に関わらず、RTカウンタの初期値として4をセット)、
前記導出制御手段は、
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が第一手順で操作されたときに該特定表示結果を導出させる第一手順時導出手段(図2、図8、図9)と、
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が前記第一手順とは異なる第二手順で操作されたときに該短期有利表示結果を導出させる第二手順時導出手段(図2、図8、図9)とを含み、
前記スロットマシンは、
前記長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに、所定の情報(SRT可能性報知)を報知する情報報知手段(ステップS1007)をさらに備え、
前記情報報知手段は、前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数以下である場合には前記所定の情報を報知しない一方、前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに必ず前記所定の情報を報知する
ことを特徴とする。
【0010】
上記スロットマシンでは、有利状態に制御されると遊技者が通常遊技状態よりも有利にゲームを進めることが可能となるが、この有利状態には、所定ゲーム数の間だけ継続する短期有利状態と、これよりも長いゲーム数の間だけ継続する長期有利状態とがある。長期有利状態に制御されているときでも短期有利表示結果が導出されると、短期有利状態に遊技状態が制御され、有利状態全体としてのゲーム数が少なくなってしまう場合がある。長期有利状態に制御されているときには、短期有利表示結果を導出させない方が遊技者にとって有利なものとなる場合がある。
【0011】
ここで、短期有利表示結果が可変表示装置の表示結果として導出されるのは、特定表示結果と短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されていて、且つ停止操作手段が第二手順で操作された場合だけである。また、長期有利状態で特定表示結果と短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されると、所定の情報(実質的に、第二手順で停止操作手段を操作することで該短期有利状態が導出される旨を示すこととなる)が報知されるので、どのような操作手順で停止操作手段を操作すればよいかを判断できる。これにより、長期有利状態の維持に対して遊技者の技術介入性が生じるとともに、遊技の戦略性も高まるので、遊技の興趣を向上させることができる。
【0012】
また、従来、スロットマシンにおけるデータ記憶手段(RAM)に記憶されているデータが壊れていたことで遊技の進行が不能となった状態は、所定のリセット操作によりデータ記憶手段内のデータが初期化された上で解除され、遊技の進行を再開させるようになっていた。ここで、リセット操作によりデータ記憶手段内のデータを初期化した場合には、デフォルトの設定値(通常は、入賞表示結果の導出を許容する旨が決定される確率が最も低い設定値)が自動的に選択されることとなっていた。このため、遊技店の側で意図していた確率で事前決定手段の決定が行われなくなってしまうことがあり、特に確率の最も低い設定値に自動選択された場合には、遊技者の不利益が大きくなってしまうという問題があった。
【0013】
これに対して、データ記憶手段のデータが電源遮断前のデータと一致しないときには、適正なゲームの進行ができなくなるのでゲームの進行を不能化させる。ここでのゲームの進行が不能な状態を解除するためには、データ記憶手段に記憶されたデータを初期化することが必要であるが、この場合は、設定値を示すデータも初期化されてしまう。もっとも、上記スロットマシンでは、データ記憶手段のデータが電源遮断前のデータと一致しないことに基づいてゲームの進行が不能となった状態は、設定操作手段の操作に基づいて新たに設定値が設定されなければ解除されることがない。このため、新たに設定された設定値に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
さらに、事前決定手段により決定を行う際にもデータ記憶手段に記憶された設定値データを読み出し、設定値データが示す設定値が適正な範囲内であるかどうかを判定する。設定値が適正な範囲内でなければ、適正なゲームの進行ができなくなるのでゲームの進行を不能化させる。ここで、データ記憶手段に記憶された設定値データが示す設定値が適正な範囲内にないことに基づいてゲームの進行が不能となった状態は、設定操作手段の操作に基づいて新たに設定値が設定されなければ解除されることがない。このため、新たに設定された設定値に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0014】
なお、前記短期有利状態と前記長期有利状態とは、終了までの継続ゲーム数の他は同じ有利状態としてもよい。この場合には、前記長期有利状態の残りゲーム数が前記短期有利状態のゲーム数よりも大きいときに、長期有利状態の残りゲームで遊技者が得られる利益は短期有利状態において遊技者が得られる利益よりも大きなものとなる。
また、前記事前決定手段は、前記賭数の設定に遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能となる再遊技表示結果(リプレイ)の導出を許容するか否かを決定するものとすることができ、ここで、
前記有利状態は、例えば、前記通常遊技状態よりも該再遊技表示結果の導出を許容する旨を決定する確率を高くする再遊技高確率状態とすることができる。
また、前記特定表示結果は、複数種類あってもよい。ここで、前記特定表示結果の導出が許容する旨が決定されているときに該特定表示結果を導出させるための第一手順は、前記特定表示結果の種類毎に異なっていてもよい。また、前記第二手順は、前記停止操作手段の操作手順のうちの前記第一手順以外の全ての操作手順としても、前記第一手順以外の操作手順のうちの一部の操作手順としてもよい。
【0015】
また、前記情報報知手段は、前記長期有利状態に制御されているゲームで、該長期有利状態の残りゲーム数の間に得られる利益が前記短期有利状態において得られる利益よりも大きいことを条件として、前記所定の情報を報知するものとしてもよい。一方、前記情報報知手段は、前記長期有利状態に制御されているゲームで前記所定の情報を報知するものの、該長期有利状態の残りゲーム数の間に得られる利益が前記短期有利状態において得られる利益よりも小さいときには、その旨を示す情報も併せて報知するものとすることができる。これらの場合には、短期有利表示結果を導出させた方が本当は有利な筈であるのに、遊技者が第二手順で停止操作手順を操作しないで短期有利表示結果をわざと外してしまうといったことがなくて済むようになる。
【0016】
上記スロットマシンにおいて、
前記特定表示結果は、前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果を含み、
前記事前決定手段は、前記特別表示結果(レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2))と前記賭数の設定に遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能となる再遊技表示結果(リプレイ)との導出を許容するか否かを決定し、
前記短期有利状態制御手段は、前記短期有利状態として前記通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出を許容する旨を決定する確率を高くする再遊技高確率状態(RT)に遊技状態を制御してもよい。この場合において、上記スロットマシンは、
前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定に基づいて該特別表示結果が導出されるまで、該特別表示結果の導出を許容する旨の決定を持ち越させる特別決定持越手段(ステップS914)と、
前記可変表示装置の表示結果として前記特別表示結果が導出されたときに、前記特別遊技状態に遊技状態を制御する特別遊技状態制御手段(ステップS808、S810、S812)と、
前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定に基づいて該特別表示結果が導出されなかった後、及び前記短期有利表示結果が導出された後に所定の演出(連続演出)を実行する演出実行手段(ステップS1010)とをさらに備えるものとすることができ、
前記導出制御手段は、前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定が持ち越されている状態で前記再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに該特別表示結果よりも該再遊技表示結果を優先して前記可変表示装置の表示結果として導出させる再遊技優先導出手段をさらに含むものとすることができる。
【0017】
ここでは、特別表示結果の導出を許容する旨が決定された後と短期有利表示結果が導出された後に所定の演出が実行される。すなわち、所定の演出が実行されたということは、特別表示結果の導出を許容する旨が決定された可能性があるということであるので、この所定の演出によって遊技者に特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることに対する期待感を与えることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0018】
また、短期有利表示結果が導出された後に短期有利状態すなわち再遊技高確率状態に制御されている所定ゲーム数の間は、再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定される確率が高くなり、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていても、これが導出される可能性が低くなる。長期有利状態にも再遊技高確率状態を適用した場合には、長期有利状態で特別表示結果の導出を許容する旨が決定された後のゲームでも再遊技表示結果が導出されることが多くなる。特別表示結果の導出を許容する旨が決定されたとき(或いは、特別表示結果の取りこぼしで導出される全ての表示結果が導出されたとき)には、短期有利表示結果が導出されなくても再遊技高確率状態に制御することもできる(長期有利状態としての再遊技表示結果を継続する場合を含む)。
【0019】
このような場合、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていても再遊技表示結果の導出が許容された多くのゲームではいずれにしても特別表示結果が導出されなくなるので、所定の演出を効果的に行うことができる。また、特別表示結果の導出を許容する旨が再遊技表示結果の導出を許容する旨と同一ゲームで決定されないことがあるものとすると、可変表示装置の表示結果として再遊技表示結果を含む入賞表示結果が導出されないものとなったときには、当該ゲームで特別表示結果の導出を許容する旨が決定されたという可能性があり、遊技者の期待感を高めさせることができる。もっとも、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されただけでは再遊技高確率状態に制御されないものであっても、所定の演出の実行によって遊技者に特別表示結果の導出を許容する旨が決定されたことを期待されるという効果には変わりがない。
【0020】
なお、前記所定の演出は、1ゲームだけの演出としてもよいが、複数ゲームの間継続して実行される連続演出としてもよい。連続演出とする場合には、1ゲームの終了時において一旦演出を停止し、次のゲームのために賭数を設定したときに演出の結果を示すようなものであってもよい。このように所定の演出をゲーム以上に亘る連続演出とすることで、1ゲーム単位ではなく複数ゲームという比較的長期間継続して特別表示結果の導出を許容する旨の決定に対する期待感を遊技者に与えることができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
【0021】
なお、前記特定表示結果は、前記特別表示結果を含むものであっても、前記特別表示結果を含まないものであってもよい。また、前記特定表示結果は、前記遊技用価値の付与を伴う小役表示結果(スイカ)を含むものとしてもよい。前記特定表示結果が前記特別表示結果を含むものとした場合、前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定に基づいて該特別表示結果が導出されなかったときには、該特別表示結果以外の表示結果として前記短期有利表示結果が導出されたか否かに関わらずに前記所定の演出を実行するものとしても、該特別表示結果以外の表示結果として前記短期有利表示結果が導出されたことを条件として前記所定の演出を実行するものとしてもよい。
【0022】
ここで、特定表示結果に特別表示結果が含まれている場合には、特別表示結果の取りこぼしで短期有利表示結果が導出されて短期有利状態に制御されることがある。このため、短期有利表示結果の導出で特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることに対する期待感を遊技者に与えることができる。特定表示結果に特別表示結果も小役表示結果も含まれている場合には、短期有利表示結果が導出された場合には、それには特別表示結果の取りこぼしという可能性と小役表示結果の取りこぼしという可能性が考えられることとなるので、いずれかの導出を許容する旨が決定されていたという適度な期待感を遊技者に与えることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0023】
さらに、特定表示結果に特別表示結果(及び小役表示結果)が含まれている場合には、短期有利表示結果を含む特別表示結果(および/または小役表示結果)の取りこぼしで導出される表示結果に対して、単に特別表示結果の導出を許容する旨が決定されている可能性を遊技者に報知するだけの情報以外の役割が与えられるので、遊技性を高めることができるようになる。
【0024】
この場合において、上記スロットマシンは、
前記特別遊技状態(ビッグボーナス)に制御された後に所定の特別終了条件(465枚を越える払い出し)が成立したときに、該特別遊技状態を終了させて、前記長期有利状態に遊技状態を制御する特別遊技状態終了手段(ステップS906)とをさらに備えるものとすることができる。
【0025】
特別遊技状態の終了後に制御される遊技状態を長期有利状態とすることで、特別遊技状態の終了した後に遊技者の所有する遊技用価値の減少を抑えつつ(場合によっては増加させつつ)次の特別遊技状態を迎えることができる場合が増えるので、遊技者の期待感を高めさせて、遊技の興趣を向上させることができる。
【0026】
また、この場合において、上記スロットマシンにおいて、
前記特定表示結果は、前記特別表示結果とは異なる所定表示結果を含み、
前記事前決定手段は、
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには、さらに前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに、
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには、さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し、
前記導出制御手段は、
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて、前記停止操作手段が前記第一手順のうちの特別手順で操作されたときに該特別表示結果を導出させるとともに、前記停止操作手段が該特別手順とは異なる非特別手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる特別許容時導出手段と、
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて、前記停止操作手段が前記第一手順のうちの所定手順で操作されたときに前記所定表示結果を導出させるとともに、前記停止操作手段が前記第一手順のうちの前記所定手順とも前記第二手順とも異なる第三手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる第三手順時導出手段とをさらに含むものとすることができ、
この場合には、上記スロットマシンは、
前記長期有利状態に制御されているゲームで前記第三表示結果が導出されたときに、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているか否かを示す特別演出(チャンス演出)を実行する特別演出実行手段(ステップS1017)をさらに備えるものとすることができる。
【0027】
ここでは、特別表示結果を導出させて特別遊技状態に遊技状態を移行させることができなくても第三表示結果が導出されたときには、依然として特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることがあり得る。このような場合に行われる特別演出によって、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることに対する期待感を改めて遊技者に与えることができるので、さらに遊技の興趣を向上させることができる。特定表示結果の導出を許容する旨が決定されていたときでも第三表示結果が導出されたことによって、長期有利状態に遊技状態を維持することに対する遊技者の期待感も高めさせることができ、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0028】
なお、特定表示結果が特別表示結果を含むものである場合には、前記特別手順が前記第一手順に含まれ、前記非特別手順が前記第三表示結果を導出させる手順となる。特定表示結果が特別表示結果と該特別表示結果以外の入賞表示結果を含むものであれば、前記特別演出は、前記特別表示結果の導出が許容されている可能性があることを示す、いわゆる予告演出となり、特定表示結果が特別表示結果のみを含むものであれば、前記特別演出は、前記特別表示結果の導出が許容されている旨を確定的に示す、いわゆる告知演出となる。いずれの場合であっても、特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることに対する期待感を遊技者の与えることができる。
【0029】
上記スロットマシンにおいて、
前記特定表示結果は、特別表示結果とは異なる所定表示結果として所定数の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果を含み、
前記事前決定手段は、少なくとも前記特定表示結果として前記小役表示結果(スイカ)の導出を許容するか否かを決定し、
前記情報報知手段は、通常遊技状態に制御されているゲームでも前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに、前記所定の情報を報知してもよい。この場合において、上記スロットマシンは、
前記可変表示装置の表示結果として前記小役表示結果が導出されたときに前記所定数の遊技用価値により実行可能なゲーム数(3ゲーム)と前記所定ゲーム数との差が1未満(0)となる数の遊技用価値を遊技者に付与する遊技用価値付与手段(ステップS902)をさらに備えるものとすることができる。
【0030】
この場合、情報報知手段から所定の情報が報知されたときに通常遊技状態であるか有利状態であるかが遊技者に判断できなくなる場合もある。通常遊技状態であった場合に短期有利表示結果が導出されないように停止操作手段を操作すると、遊技者は、短期有利状態による利益を喪失してしまうこととなる。もっとも、第一手順で停止操作手段を操作すれば小役表示結果を導出させることができ、これで付与される遊技用価値によって喪失した短期有利状態の利益を保全することができるので、遊技者にとって不利なものとなることはない。
【0031】
上記スロットマシンにおいて、
前記可変表示装置は、各々が識別可能な複数種類の識別情報が配置された表示帯(リール3L、3C、3R)をステッピングモータ(リールモータ3ML、3MC、3MR)の駆動により回動させることで変動表示可能な複数の可変表示部のそれぞれに表示結果を導出させることが可能なものであってもよい。この場合、
前記停止操作手段は、前記複数の可変表示部にそれぞれ対応して設けられ、対応する可変表示部において表示結果を導出させる際にそれぞれ操作される複数の停止操作手段(停止ボタン12L、12C、12R)を含むものとすることができる。
【0032】
ここで、前記導出制御手段は、
前記複数の可変表示部のいずれにも未だ表示結果が導出されていない状況において、未だ表示結果が導出されていない可変表示部について、該可変表示部に対応する停止操作手段が操作された時点の前記ステッピングモータのステップ数に対して導出される表示結果を一意的に特定する複数の制御パターン(図9:停止制御テーブル)から、前記事前決定手段の決定結果に対応する制御パターンを一意的に特定する制御パターン選択手段(ステップS705)を含み、
未だ表示結果が導出されていない可変表示部に対応する停止操作手段が操作されたときに、前記制御パターン選択手段により該可変表示部について選択された制御パターンが該停止操作手段の操作時点のステップ数に対して一意的に特定する表示結果を、該可変表示部における表示結果として導出させるものとすることができる(ステップS715)。
【0033】
この場合おいては、複数の可変表示部全てに未だ表示結果が導出されていない状況において、未だ表示結果が導出されていない可変表示部について、停止操作手段が操作された時点のステッピングモータのステップ数に対して導出される表示結果を一意的に特定する複数の制御パターンから、当該ゲームの事前決定手段の決定結果の組み合わせに対応する制御パターンが一意的に選択され、該当する可変表示部に表示結果を導出させる制御が行われる。すなわち事前決定手段の一の決定結果に対して適用される制御パターンが1つしかない。このため、従来のように事前決定手段の一の決定結果に対して複数の制御パターンからいずれか1つの制御パターンを事前決定手段とは異なる抽選などによりさらに選択する必要がなく、可変表示装置の表示結果を導出させる際の制御を複雑化することがない。
【0034】
また、前記導出制御手段は、
前記複数の可変表示部の少なくとも1つに表示結果が導出され、且つ他の可変表示部に表示結果が導出されていない状況において、未だ表示結果が導出されていない可変表示部について、該可変表示部に対応する停止操作手段が操作された時点の前記ステッピングモータのステップ数に対して導出される表示結果を一意的に特定する複数の制御パターン(図9:停止制御テーブル)から、前記事前決定手段の決定結果及び既に表示結果が導出された可変表示部において対応する停止操作手段が操作されたときのステップ数に対応する制御パターンを一意的に特定する制御パターン選択手段(ステップS705)を含み、
未だ表示結果が導出されていない可変表示部に対応する停止操作手段が操作されたときに、前記制御パターン選択手段により該可変表示部について選択された制御パターンが該停止操作手段の操作時点のステップ数に対して一意的に特定する表示結果を、該可変表示部における表示結果として導出させるものとすることができる(ステップS715)。
【0035】
或いは、前記導出制御手段は、
前記複数の可変表示部の少なくとも1つに表示結果が導出され、且つ他の可変表示部に表示結果が導出されていない状況において、未だ表示結果が導出されていない可変表示部について、該可変表示部に対応する停止操作手段が操作された時点の前記ステッピングモータのステップ数に対して導出される表示結果を一意的に特定する複数の制御パターン(図9:停止制御テーブル)から、前記事前決定手段の決定結果及び既に表示結果が導出された可変表示部における表示結果の組み合わせに対応する制御パターンを一意的に特定する制御パターン選択手段(ステップS705)を含み、
未だ表示結果が導出されていない可変表示部に対応する停止操作手段が操作されたときに、前記制御パターン選択手段により該可変表示部について選択された制御パターンが該停止操作手段の操作時点のステップ数に対して一意的に特定する表示結果を、該可変表示部における表示結果として導出させるものとすることもできる(ステップS715)。
【0036】
これらの場合においては、複数の可変表示部のうちいずれか1つの可変表示部に既に表示結果が導出されており、他の可変表示部に未だ表示結果が導出されていない状況において、未だ表示結果が導出されていない可変表示部について、停止操作手段が操作された時点のステッピングモータのステップ数に対して導出される表示結果を一意に特定する複数の制御パターンから、事前決定手段の決定結果及び既に表示結果が導出された可変表示部の表示結果の組み合わせ(或いは、既に表示結果が導出された可変表示部において対応する停止操作手段が操作されたときのステップ数)に対応する制御パターンが一意的に選択され、該当する可変表示部に表示結果を導出させる制御が行われる。すなわち事前決定手段の決定結果及び既に表示結果が導出された可変表示部の表示結果の組み合わせ(或いは、既に表示結果が導出された可変表示部において対応する停止操作手段が操作されたときのステップ数)に対して適用される制御パターンが1つしかない。このため、複数の制御パターンからいずれか1つの制御パターンをさらに選択する必要がなく、可変表示装置の表示結果を導出させる際の制御を複雑化することがない。
【0037】
上記スロットマシンは、
予め定められた特別条件が成立したときに、前記事前決定手段が前記小役表示結果の導出を許容する旨を通常遊技状態におけるゲームよりも高い確率で決定する特別ゲーム(レギュラーボーナス)に所定期間制御する特別ゲーム制御手段(ステップS503、S812)を備えていてもよい。
【0038】
ここで、上記スロットマシンは、前記特別状態において、前記特別ゲームに制御されているか否かを、1ゲーム毎に判定する特別ゲーム判定手段(ステップS502)をさらに備え、
前記特別ゲーム制御手段は、前記特別ゲーム判定手段により前記特別ゲームに制御されていないと判定されたときに前記特別条件の成立として、前記特別ゲームの制御を開始するものとすることができる(ステップS503)。
【0039】
この場合には、特別状態表示結果の導出後に最初に特別ゲームに制御する場合も、特別ゲームの期間が一旦終了して未だ特別状態が終了していないときに再び特別ゲームに制御する場合も、同じ処理を行えばよいことになる。
【0040】
また、前記特別ゲーム制御手段は、前記特別状態に制御されたときに前記特別条件の成立として、該特別ゲームの制御を開始するとともに、前記特別状態において前記特別ゲームの制御が開始してから前記所定期間が満了し、該特別ゲームの制御が終了したときに前記特別条件の成立として、該特別ゲームの制御を再開するものとすることができる(変形例:ビッグボーナスの終了時、レギュラーボーナスの終了時にレギュラーボーナス中フラグを設定)。
【0041】
この場合には、特別ゲームの期間が一旦終了して未だ特別状態が終了していないときに即座に特別ゲームに復帰できることとなる。
【0042】
上記スロットマシンにおいて、
前記事前決定手段は、1ゲームにおいて前記特別表示結果と前記小役表示結果の両方の導出を許容する旨を決定する重複決定手段(図5(b)、(c):レギュラーボーナス+スイカ、ビッグボーナス(1)+スイカ、ビッグボーナス(2)+スイカ)を含むものとすることができる。
【0043】
このように特別表示結果と小役表示結果の両方の導出を許容する旨が決定されることがあると、可変表示装置の表示結果として小役表示結果が導出されることで特別表示結果の導出を許容する旨が決定されていることを遊技者に期待させることができるようになり、遊技の興趣を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0050】
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1の前面扉は、施錠装置19にキーを差し込み、時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。このスロットマシン1の上部前面側には、可変表示装置2が設けられている。可変表示装置2の内部には、3つのリール3L、3C、3Rから構成されるリールユニット3が設けられている。リール3L、3C、3Rは、それぞれリールモータ3ML、3MC、3MR(図3参照)の駆動によって回転/停止させられる。
【0051】
リール3L、3C、3Rの外周部には、図2に示すように、それぞれ「7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で描かれている。リール3L、3C、3Rのいずれについても、「JAC」及び「ベル」は、最大でも5コマ以内の間隔で配置されている。中と右のリール3C、3Rについて「スイカ」は、5コマ以内の間隔で配置されている。右のリール3Rについて「チェリー」、「7」または「BAR」のいずれかが最大で5コマ以内の間隔で配置されている。リール3L、3C、3Rの外周部に描かれた図柄は、可変表示装置2において上中下三段に表示される。
【0052】
リールユニット3内には、リール3L、3C、3Rのそれぞれに対して、その基準位置を検出するリールセンサ3SL、3SC、3SR(図3参照)と、背面から光を照射するリールランプ3LP(図3参照)とが設けられている。可変表示装置2には、後述するレギュラーボーナスにおいて賭け数として1が設定されているときには、中段の1本の入賞ラインが設定される。レギュラーボーナス以外では賭け数として3が設定されている状態でのみゲームを開始させることができ、この賭け数として3が設定されているときには、上中下段の3本及び対角線の2本の合計5本の入賞ラインが設定される。
【0053】
また、可変表示装置2の周囲には、各種表示部が設けられている。可変表示装置2の下側には、ゲーム回数表示部21と、クレジット表示部22と、ペイアウト表示部23とが設けられている。ゲーム回数表示部21は、7セグメント表示器によるゲーム回数表示器51(図3参照)によって構成され、後述するレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)におけるゲーム数及び入賞数をカウントするカウンタの値を表示する。ゲーム回数表示部21は、後述するビッグボーナス時にメダルの払い出し数をカウントするカウンタの値を表示するために用いてもよい。さらに、ゲーム回数表示部21は、後述するRAM異常エラーなどのエラーが発生したときに、発生したエラーの種類に対応したコード(エラーコード)を表示するためにも用いられる。
【0054】
クレジット表示部22は、7セグメント表示器によるクレジット表示器52(図3参照)によって構成され、後述するようにメダルの投入枚数及び払い出し枚数に応じてデータとして蓄積されたクレジットの数を表示する。ペイアウト表示部23は、7セグメント表示器によるペイアウト表示器53(図3参照)によって構成され、入賞が成立した場合に払い出されるメダルの枚数を表示する。
【0055】
可変表示装置2の左側には、1枚賭け表示部24、2枚賭け表示部25、26、及び3枚賭け表示部27、28が設けられている。1枚、2枚、3枚賭け表示部24?28は、入賞ラインに対応してそれぞれ1枚、2枚、3枚賭けランプ54?58(図3参照)が点灯状態となることで、各ゲームにおける入賞ラインを遊技者に示す。1枚、2枚、3枚賭け表示部24?28は、また、後述する役への入賞があった場合に1枚、2枚、3枚賭けランプ54?58が点滅状態となることで、後述する役に入賞した入賞ラインを遊技者に示す。
【0056】
可変表示装置2の右側には、投入指示表示部29と、スタート表示部30と、ウェイト表示部31と、リプレイ表示部32と、ゲームオーバー表示部33とが設けられている。投入指示表示部29は、投入指示ランプ59(図3参照)が点灯状態となることで、メダルが投入可能なことを示す。スタート表示部30は、スタートランプ60(図3参照)が点灯状態となることで、スタート可能、すなわちスタートレバー11の操作受付可能であることを示す。ウェイト表示部31は、ウェイトランプ61(図3参照)が点灯状態となることで、後述するウェイトがかかっていることを示す。リプレイ表示部32は、リプレイランプ62(図3参照)が点灯状態となることで、後述するリプレイ入賞をしたことを示す。ゲームオーバー表示部33は、ゲームオーバーランプ63(図3参照)が点灯状態となることで、スロットマシン1が打ち止めになったことを示す。
【0057】
可変表示装置2の上側には、演出手段としての液晶表示器4が設けられている。液晶表示器4は、遊技状態や当選フラグの設定状況等に応じて様々な演出用の画像を表示する。液晶表示器4に表示される画像による演出で、後述する各種の演出などが行われる。また、液晶表示器4には、遊技に直接的または間接的に関わる様々な情報を表示することが可能である。
【0058】
また、可変表示装置2の下方に設けられた台状部分の水平面には、メダル投入口13と、1枚BETボタン14と、MAXBETボタン15と、精算ボタン16とが設けられている。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15には、データとして蓄積されたクレジット(最大50)から賭け数の設定を可能としているときに点灯するBETボタンランプ70a、70b(図3参照)が内部に配されている。
【0059】
メダル投入口13は、遊技者がここからメダルを投入するものであり、投入指示表示部29が点灯しているときにメダルの投入が投入メダルセンサ44(図3参照)によって検出されると、賭け数が設定され、或いはクレジットがデータとして蓄積される。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15は、データとして蓄積されているクレジットから賭け数(それぞれ1、3)を設定する際に遊技者が操作するボタンであり、遊技者によって操作されたことが1枚BETスイッチ45(図3参照)またはMAXBETスイッチ46(図3参照)によって検出されると、クレジットからの賭け数の設定が行われる。精算ボタン16は、クレジットの払い出しを指示するためのボタンであり、精算スイッチ47(図3参照)によって操作が検出されると、データとして蓄積されたクレジットに応じたメダルが払い出される。
【0060】
その台状部分の垂直面には、スタートレバー11と、停止ボタン12L、12C、12Rとが設けられている。スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41(図3参照)によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRが駆動開始され、リール3L、3C、3Rが回転開始する。リール3L、3C、3Rが回転開始した後所定の条件が成立することにより停止ボタン12L、12C、12Rの操作が可能となると、その内部に備えられた操作有効ランプ63L、63C、63R(図3参照)が点灯状態となって、その旨が遊技者に示される。
【0061】
停止ボタン12L、12C、12Rは、それぞれ遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、その操作がストップスイッチ42L、42C、42R(図3参照)で検出されると、リール3L、3C、3Rの回転が停止される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作から対応するリール3L、3C、3Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ミリ秒である。
【0062】
リール3L、3C、3Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190ミリ秒の間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、後述する停止制御テーブルにより選択される停止図柄は、停止ボタン12L、12C、12Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
【0063】
さらに、停止ボタン12L、12C、12Rを覆うパネルが、ボーナス告知部36として適用されている。ボーナス告知部36は、ボーナス告知ランプ66(図3参照)が点灯状態となることで、後述するレギュラーボーナス入賞、及びビッグボーナス入賞が可能となっていることを遊技者に告知する。また、停止ボタン12Rの右側には、メダルが詰まったときなどにおいてスロットマシン1に機械的に振動を与えるメダル詰まり解消ボタン18が設けられている。
【0064】
スロットマシン1の下部前面側には、メダル払い出し口71と、メダル貯留皿72とが設けられている。メダル払い出し口71は、ホッパー80(図3参照)によって払い出しが行われたメダルを外部に排出するものである。メダル貯留皿72は、払い出されたメダルを貯めておくためのものである。メダル貯留皿72の上の前面パネルには、内部に設置された蛍光灯6(図3参照)が発した光が照射される。
【0065】
スロットマシン1の下部前面側と、上部前面側の左右とには、それぞれ演出手段としてのスピーカ7U、7L、7Rが設けられている。スピーカ7U、7L、7Rは、スタートレバー11が操作された時のスタート音の出力や、入賞時、ビッグボーナス突入時、及びレギュラーボーナス突入時における効果音の出力や、さらには異常時における警報音の出力を行うと共に、遊技状態に応じた様々な演出用の音声の出力を行う。
【0066】
さらに、スロットマシン1の前面側には、可変表示装置2及び液晶表示器4の周囲を取り囲むように、演出手段としての遊技効果ランプ75A?75M(図3参照)の発光により光による演出を行う遊技効果表示部5A?5Mが設けられている。遊技効果表示部5A?5Mは、遊技の進行状況に応じた様々なパターンで光による演出を行うものである。なお、遊技効果表示部5A?5Mの発光色は、単色からなるものであっても、複数色からなるものであっても構わない。
【0067】
図3は、このスロットマシン1の制御回路の構成を示す図である。図示するように、このスロットマシン1の制御回路は、電源基板100、遊技制御基板101、演出制御基板102、リール中継基板103、リールランプ中継基板104、外部出力基板105、及び演出中継基板106に大きく分けて構成される。
【0068】
電源基板100は、AC100Vの外部電源電圧を変圧し、遊技制御基板101その他のスロットマシン1の各部に動作電力を供給する。図3では、遊技制御基板101、ホッパー80、各スイッチ91?94にのみ接続されているように示しているが、電源基板100は、他の各部への電力の供給も行っている。電源基板100は、スロットマシン1の内部に設けられ、メダルの払い出し動作を行うホッパーモータ82と、メダルの払い出しを検知する払い出しセンサ81とから構成されるホッパー80に接続されている。
【0069】
電源基板100は、後述する内部抽選への当選確率を設定し、これに基づいて算出されるメダルの払出率の設定値(設定1?設定6)を変更するための設定スイッチ91、設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92、内部状態(RAM112)をリセットする第2リセットスイッチ93、及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94にもそれぞれ接続されてており、これらのスイッチの検出信号を遊技制御基板101へと送る。これらのスイッチ91?94は、スロットマシン1の内部に設けられている。
【0070】
遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116、電源監視回路117、リセット回路118その他の回路を搭載している。
【0071】
CPU111は、計時機能、タイマ割り込みなどの割り込み機能(割り込み禁止機能を含む)を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うと共に、スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。CPU111が取り扱うデータの1ワードは、8ビット(1バイト)であり、RAM112、ROM113のアドレスも、8ビット単位で割り付けられている。
【0072】
RAM112は、CPU111がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM113は、CPU111が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。RAM112とROM113のアドレスの割り当ては、メーカにおける開発用機種とホールに納入される量産機種とで異なる。I/Oポート114は、遊技制御基板101に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0073】
RAM112は、DRAM(Dynamic RAM)が使用されており、記憶しているデータ内容を維持するためのリフレッシュ動作が必要となる。CPU111には、このリフレッシュ動作を行うためのリフレッシュレジスタが設けられている。リフレッシュレジスタは、1ワード分の大きさである8ビットからなり、そのうちの下位7ビットがCPU111がROM113から命令をフェッチする度に自動的にインクリメントされるもので、その値の更新は、1命令の実行時間毎に行われる。
【0074】
乱数発生回路115は、後述するように所定数のパルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、サンプリング回路116は、乱数発生回路115がカウントしている数値を取得する。乱数発生回路115は、遊技の進行に使用される乱数の種類毎に設けられていて、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められている。CPU111は、その処理に応じてサンプリング回路116に指示を送ることで、乱数発生回路115が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。後述する内部抽選用の乱数には、ハードウェア乱数機能により抽出した数値をソフトウェアにより加工した数値が使用される。
【0075】
電源監視回路117は、電源基板100から供給される電源電圧を監視し、電圧の低下を検出したときに、電圧低下信号を制御部110に対して出力する。制御部110は、特に図示はしないが、電源監視回路117に接続された割込入力端子を備えており、割込入力端子に電圧低下信号が入力されることでCPU111に外部割り込みが発生し、CPU111は、後述する電断割込処理を実行する。
【0076】
リセット回路118は、電源投入時において制御部110が起動可能なレベルまで電圧が上昇したきにリセット信号を出力して制御部110を起動させると共に、制御部110から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわち制御部110が一定時間動作を行わなかった場合に、制御部110に対してリセット信号を出力し、制御部110を再起動させる。
【0077】
CPU111は、また、タイマ割り込み処理により、RAM112の特定アドレスの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。CPU111は、I/Oポート114を介して演出制御基板102に、各種のコマンドを送信する。なお、遊技制御基板101から演出制御基板102へ情報(コマンド)は一方向のみで送られ、演出制御基板102から遊技制御基板101へ向けて情報(コマンド)が送られることはない。
【0078】
遊技制御基板101には、1枚BETスイッチ45、MAXBETスイッチ46、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42L、42C、42R、精算スイッチ47、第1リセットスイッチ48、投入メダルセンサ44が接続されており、これらのスイッチ/センサ類の検出信号が入力される。また、リール中継基板103を介して、リールセンサ3SL、3SC、3SRの検出信号が入力される。I/Oポート114を介して入力されるこれらスイッチ/センサ類の検出信号、或いは前述したように電源基板100を介して入力される各種スイッチの検出信号に従って、遊技制御基板101上のCPU111は、処理を行っている。
【0079】
遊技制御基板101には、また、流路切り替えソレノイド49、ゲーム回数表示器51、クレジット表示器52、ペイアウト表示器53、投入指示ランプ59、1枚賭けランプ54、2枚賭けランプ55、56、3枚賭けランプ57、58、ゲームオーバーランプ63、スタートランプ60、リプレイランプ62、BETボタンランプ70a、70b、操作有効ランプ63L、63C、63Rが接続されており、CPU111は、遊技の進行状況に従ってこれらの動作を制御している。
【0080】
また、遊技制御基板101には、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRが接続されている。CPU111は、後述する内部抽選によりRAM112に設定される当選フラグを参照して、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRを制御して、リール3L、3C、3Rを停止させる。遊技制御基板101には、さらに演出中継基板106を介して演出制御基板102が接続されている。
【0081】
演出中継基板106は、遊技制御基板101から演出制御基板102へ送信される情報の一方向性を担保するために設けられた基板である。演出中継基板106は、この状態を調べることによって遊技制御基板101や演出制御基板102を調べなくても、遊技制御基板101の制御部110に不正な信号(特に演出制御基板102に外部から入力されるようになっている信号)が入力されるような改造がなされていないかどうかをチェックすることができるようにするものである。
【0082】
演出制御基板102は、スロットマシン1における演出の実行を制御するサブ側の制御基板であり、CPU121、RAM122、ROM123及びI/Oポート124を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部120を搭載している。また、乱数発生回路125及びサンプリング回路126を搭載しており、CPU121は、サンプリング回路126により乱数発生回路125がカウントしている値を取得することにより、遊技制御基板101と同様のハードウェア乱数機能を形成している。割り込み処理によるソフトウェア乱数機能も有している。
【0083】
CPU121は、ROM123に記憶されたプログラム(後述)を実行して、演出の実行に関する処理を行うと共に、演出制御基板102内の各回路及びこれに接続された各回路を制御する。演出の実行は、I/Oポート124を介して遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて行われる。RAM122は、CPU121がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM123は、CPU121が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート124は、演出制御基板102に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0084】
演出制御基板102には、遊技効果ランプ75A?75M、液晶表示器4、スピーカ7L、7R、7U、蛍光灯6、ウェイトランプ61、ボーナス告知ランプ66が接続されている。また、リールランプ中継基板104を介してリールランプ3LPが接続されている。演出制御基板102の制御部120は、これら各部をそれぞれ制御して、演出を行っている。
【0085】
リール中継基板103は、遊技制御基板101と外部出力基板105及びリールユニット3との間を中継している。リール中継基板103には、また、満タンセンサ90が接続されており、その検出信号が入力される。満タンセンサ90は、スロットマシン1の内部に設けられ、ホッパー80からオーバーフローしたメダルを貯留するオーバーフロータンク内のメダルが満タンになったことを検知するものである。
【0086】
リールランプ中継基板104は、演出制御基板102とリールユニット3との間を中継している。外部出力基板105は、ホールの管理コンピュータなどの外部装置に接続されており、遊技制御基板101からリール中継基板103を介して入力されたビッグボーナス中信号、レギュラーボーナス中信号、リール制御信号、ストップスイッチ信号、メダルIN信号、メダルOUT信号、及び当選状況信号を、当該外部装置に出力する。
【0087】
次に、遊技制御基板101のRAM112の構成について説明する。図4は、RAM112の記憶領域の構成を示す図である。図示するように、RAM112には、重要ワーク112-1、一般ワーク112-2、特別ワーク112-3、設定値ワーク112-4、非保存ワーク112-5、スタック領域112-6、及びパリティ格納領域112-7を含む複数の記憶領域が設けられている。
【0088】
これらの記憶領域のうち、特に、設定値ワーク112-4は、後述する内部当選の当選確率を定める設定値を格納する領域であり、パリティ格納領域112-7は、電源の遮断時においてRAMパリティを格納する領域である。後述する役の当選フラグの設定領域は、一般ワーク112-2に設けられている。また、RAM112は、停電時においてもバックアップ電源により電力が供給され、記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0089】
上記スロットマシン1においては、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものであり、後述する内部抽選の当選確率は、設定値に応じて定まるものとなる。メダルの払出率は、遊技者が賭け数の設定のために投入するメダルの数に対する、後述する内部抽選で当選する小役に対して払い出されることとなるメダルの数の期待値の割合で算出される。実際に入賞する小役に対して払い出されることとなるメダルの数に基づいて計算されるのではない。後述するように遊技状態が異なると、メダルの払出率も変わることとなる。
【0090】
ここで、設定スイッチ91による設定値の変更操作について説明する。設定値を変更するためには、設定キースイッチ92をON状態としてからメインスイッチ94によりスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定値を変更せずにスロットマシン1を起動する場合には、設定キースイッチ92をOFF状態としてメインスイッチ94により電源をONすればよい。
【0091】
設定キースイッチ92をON状態として電源をONすると、設定値の変更操作が可能な設定変更モードなる。設定変更モードにおいて、設定スイッチ91が操作されると、設定値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートレバー11が操作されてから設定キースイッチ92がOFFされると、変更後の確定した設定値が設定値ワーク112-4に記憶される。そして、通常の遊技状態で遊技の進行が可能な状態に移行する。
【0092】
遊技の進行が可能な状態であるときには、スロットマシン1におけるゲームが1ゲームずつ順次進行するが、各ゲームで行われる内部抽選において設定値ワーク112-4に格納された設定値が正常範囲(1?6)にあるかどうかと、賭け数が正常範囲(レギュラーボーナスなら1、それ以外は3)を判定する。設定値が正常範囲にない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。
【0093】
また、遊技制御基板101のCPU111が電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理を実行する。電断割込処理では、RAM112のパリティ格納領域112-7に格納されているデータ以外の全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し、パリティ格納領域112-7に格納する処理を行うようになっている。ここにRAMパリティとは、データ列(各アドレスにおいて同一位置のビット)を足し合わせた総和の最下位ビットのことである。
【0094】
そして、遊技制御基板101の制御部110の起動時において、RAM112に記憶されているデータのうちのパリティ格納領域112-7に格納されているデータ以外の全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し、パリティ格納領域112-7に格納されているRAMパリティと比較する。この比較結果が一致した場合には、RAM112に記憶されている状態に基づいて電源断前の状態に復帰させる。
【0095】
一方、RAMパリティの比較結果が一致しなかった場合には、ここでもRAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。RAM異常エラー状態は、他のエラー状態とは異なり、第1リセットスイッチ48または第2リセットスイッチ93を操作しても解除されないようになっており、設定変更モードにおいて新たな設定値が設定されることで解除されるようになっている。
【0096】
上記スロットマシン1においては、可変表示装置2のいずれかの入賞ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、特別遊技状態(レギュラーボーナス、ビッグボーナス)への移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭け数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役とがある。図5(a)は、このスロットマシン1において入賞となる役の種類と可変表示装置2における図柄の組み合わせを説明する図である。
【0097】
レギュラーボーナスは、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ライン(5本)のいずれかに「BAR-スイカ-スイカ」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。レギュラーボーナス入賞すると、遊技状態が通常の遊技状態からレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスは、12ゲームを消化したとき、または8ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したとき、のいずれか早いほうで終了する。遊技状態がレギュラーボーナスにある間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM112に設定される(次に説明するビッグボーナス中に提供された場合を含む)。
【0098】
ビッグボーナス(1)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ライン(5本)のいずれかに「7-スイカ-スイカ」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ライン(5本)のいずれかに「7-スイカ-ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)入賞すると、遊技状態がそれぞれビッグボーナスに移行する。
【0099】
ビッグボーナスにおいては、上記したレギュラーボーナスが終了まで繰り返して提供される。遊技状態がビッグボーナスにある間は、ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定される。ビッグボーナスは、遊技者に払い出したメダルの枚数が465枚を越えたときに終了する。ここでは、1ゲーム当たりの最大払出枚数が15枚なので、ビッグボーナスにおける払出メダル枚数の上限は、480枚となる。ビッグボーナスの終了後は、100ゲームの間継続するRT(ロングRT)に遊技状態が制御される。但し、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞すると、規定のゲーム数が残っていても、その時点でRTが終了させられる。
【0100】
後述する内部抽選においてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選していても、左のリール3Lについては「7」と「BAR」が5コマ以内の間隔で配置されているわけではないので、少なくともリール3Lについて「7」または「BAR」を上中下段のいずれかに停止させるタイミングで停止ボタン12Lを操作して、停止ボタン12L、12C、12Rをこれらの役に入賞可能とする適正な操作手順で操作しなければ、これらの役に入賞することはない。
【0101】
もっとも、適正な操作手順で操作されずに、これらの役に入賞しなかった場合には、チャンス目(例えば、チェリー-スイカ-スイカ)が導出されることがある。停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順(特に停止ボタン12Lの操作タイミング)によって「チェリー」の引き込みができずにチャンス目も導出できないときには、リーチ目(例えば、JAC-スイカ-スイカ)が導出される(スイカに併せて当選している場合を含む)。すなわち、チャンス目及びリーチ目は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選しているときには、それぞれの役の表示態様とともに可変表示装置2の表示結果として導出が許容されている表示態様ということになる。
【0102】
スイカは、いずれの遊技状態においてもいずれかの入賞ライン(5本または1本)に「スイカ-スイカ-スイカ」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、9枚のメダルが払い出される。リール3C、3Rについての「スイカ」は、5コマ以内の間隔で配置されているが、リール3Lについて「スイカ」は、1つしかなく、停止ボタン12Lの操作タイミングによっては「スイカ」を入賞ライン上に停止させることができない。後述する内部抽選においてスイカに当選していても、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順を適正な操作手順で操作しなければ、スイカに入賞することはない。
【0103】
もっとも、この場合にも、チャンス目(例えば、チェリー-スイカ-スイカ)が導出されることがある。停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順(特に停止ボタン12Lの操作タイミング)によって「チェリー」の引き込みができずチャンス目も導出できないときには、ハズレ目(例えば、ベル-スイカ-スイカ)が導出される。すなわち、チャンス目及びハズレ目は、スイカに当選しているときには、「スイカ-スイカ-スイカ」の表示態様とともに可変表示装置2の表示結果として導出が許容されている表示態様ということになる。
【0104】
チャンス目は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、もしくはスイカの取りこぼしでしか導出されない表示態様である。チャンス目は、入賞の表示態様でないが、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選している可能性を示す表示態様となる。また、チャンス目が導出されると、そこから3ゲームの間継続するRT(ショートRT)に遊技状態が制御される。ロングRTで4ゲーム以上の残りがあっても、遊技状態がRTに制御されるために、そこからのRT残りゲーム数は3ゲームとなる。
【0105】
ベルは、いずれの遊技状態においてもいずれかの入賞ライン(5本または1本)に「ベル-ベル-ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、15枚のメダルが払い出される。「ベル」は、リール3L、3C、3Rの全てについて5コマ以内の間隔で配置されているので、後述する内部抽選においてベルに当選したときには、必ずベルに入賞するものとなっている。
【0106】
チェリーは、いずれの遊技状態においても左のリール3Lについていずれかの入賞ライン(5本または1本)のいずれかに「チェリー」の図柄が導出されたときに入賞となり、1入賞ラインにつき2枚のメダルが払い出される。レギュラーボーナス以外の遊技状態において左のリール3Lの上段または下段に「チェリー」が停止したときには、2つの入賞ラインでの導出となるので合計4枚のメダルが払い出される。
【0107】
リプレイは、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ライン(5本)のいずれかに「JAC-JAC-JAC」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。レギュラーボーナス(ビッグボーナス中を含む)では、この組み合わせが揃ったとしてもリプレイ入賞とならない。リプレイに入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭け数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭け数(レギュラーボーナスではリプレイ入賞しないので必ず3)に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。「JAC」は、リール3L、3C、3Rの全てについて5コマ以内の間隔で配置されているので、後述する内部抽選においてリプレイに当選したときには、必ずリプレイに入賞するものとなっている。
【0108】
以下、内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するかどうかを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートレバー11の操作時)、決定するものである。内部抽選では、乱数発生回路115から内部抽選用の乱数(0?16383の整数)が取得される。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技者が設定した賭け数と、設定スイッチ91により設定された設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。内部抽選における当選は、排他的なものである。
【0109】
図5(b)は、遊技状態別当選役テーブルを示す図である。遊技状態別当選役テーブルは、ROM113に予め格納され、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられるものであるが、遊技状態別当選役テーブルの登録内容は、遊技状態に応じて定められた役を示すものとなる。各ゲームにおける遊技状態において抽選対象となる役が参照される。ここで、複数の役が同時に抽選対象となる場合もある。
【0110】
遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)にあるときには、スイカ、ベル、チェリーが内部抽選の対象役として順に読み出される。通常の遊技状態にあるときには、レギュラーボーナス+スイカ、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)+スイカ、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)+スイカ、ビッグボーナス(2)、スイカ、ベル、チェリー、リプレイ(通常)が内部抽選の対象役として順に読み出される。遊技状態がRTにあるときには、レギュラーボーナス+スイカ、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)+スイカ、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)+スイカ、ビッグボーナス(2)、スイカ、ベル、チェリー、リプレイ(RT)が内部抽選の対象役として順に読み出される。
【0111】
内部抽選では、内部抽選の対象役について定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、その対象となっている役に当選したものと判定される。当選と判定されると、当該役の当選フラグがRAM112に設定される。判定値数は、ROM113に予め格納された役別テーブルに登録されている判定値数の格納アドレスに従って読み出されるものとなる。図5(c)は、役別テーブルの例を示す図である。スイカ、ベル、チェリーは、いずれの遊技状態でも内部抽選の対象となり、レギュラーボーナスでの賭け数1に対応する判定値数の格納アドレスと、通常の遊技状態及びRTでの賭け数3に対応する判定値数の格納アドレスとが登録されている。判定値数は、その値が256以上となるものもあり、1ワード分では記憶できないので、判定値数毎に2ワード分の記憶領域を用いて登録されるものとなる。
【0112】
抽選対象となる役の判定値数は、役毎にゲームにおいて遊技者が設定する賭け数(BET)に対応して登録されている。抽選対象となる役が同じであっても、レギュラーボーナスにおける当選確率が他の遊技状態における当選確率と異なっている場合があるからである。また、抽選対象となる役の賭け数に応じた判定値数は、設定値に関わらずに共通になっているものと、設定値に応じて異なっているものとがある。判定値数が設定値に関わらずに共通である場合には、共通フラグが設定される(値が「1」とされる)。
【0113】
レギュラーボーナス+スイカ、ビッグボーナス(1)+スイカ、ビッグボーナス(2)+スイカは、通常の遊技状態またはRTで内部抽選の対象となり、通常の遊技状態及びRTでの賭け数3に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。これらの役の共通フラグの値は1であり、設定値に関わらずに共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、及びビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTで内部抽選の対象となり、通常の遊技状態及びRTでの賭け数3に対応する判定値数の格納アドレスが登録されている。これらの役については、共通フラグの値が0となっており、設定値に応じて個別に判定値数の格納アドレスが登録されている。
【0114】
スイカ、ベル、チェリーは、いずれの遊技状態でも内部抽選の対象となり、レギュラーボーナスでの賭け数1に対応する判定値数の格納アドレスと、通常の遊技状態及びRTでの賭け数3に対応する判定値数の格納アドレスとが登録されている。これらの小役のうちでチェリー以外の役の共通フラグの値は1であり、賭け数が1の場合も3の場合も設定値に関わらずに共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。チェリーについての共通フラグは0であり、賭け数が1の場合も3の場合も設定値に応じて個別に判定値数の格納アドレスが登録されている。
【0115】
リプレイは、通常の遊技状態またはRTにおいて内部抽選の対象となるが、通常の遊技状態とRTとでは別個の抽選対象の役として判定値数の格納アドレスが、それぞれの遊技状態における賭け数3に対応して登録されている。通常の遊技状態におけるリプレイについてもRTにおけるリプレイについても、共通フラグは1であり、設定値に関わらず共通の判定値数の格納アドレスが登録されている。
【0116】
図6は、役別テーブルに登録されたアドレスに基づいて取得される判定値数の記憶領域を示す図である。この判定値数の記憶領域は、開発用の機種ではRAM112に、量産機種ではROM113に割り当てられたアドレス領域に設けられている。
【0117】
例えば、アドレスADD+0は、内部抽選の対象役がレギュラーボーナス+スイカであって設定値が1?6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+14は、内部抽選の対象役がビッグボーナス(1)+スイカであって設定値が1?6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+28は、内部抽選の対象役がビッグボーナス(2)+スイカであって設定値が1?6のときに参照されるアドレスである。
【0118】
アドレスADD+2は、内部抽選の対象役がレギュラーボーナスであって設定値が1のときに参照されるアドレスであり、このときには、ここに格納された値である11が判定値数として取得される。アドレスADD+4、ADD+6、ADD+8、ADD+10、ADD+12は、それぞれ内部抽選の対象役がレギュラーボーナスであって設定値が2?6のときに参照されるアドレスである。レギュラーボーナスについては、設定値に応じて個別に判定値数が記憶されているが、同一の判定値数が記憶されているので、いずれの設定値においてもレギュラーボーナスの当選確率は同じとなっている。レギュラーボーナス+スイカは、設定値1?6に共通した判定値数となっているので、スイカとの重複当選の場合を含めても、レギュラーボーナスの当選確率は設定値に関わらず同じとなる。
【0119】
また、アドレスADD+16、ADD+18、ADD+20、ADD+22、ADD+24、ADD+26は、それぞれ内部抽選の対象役がビッグボーナス(1)であって設定値が1?6のときに参照されるアドレスである。アドレスADD+30、ADD+32、ADD+34、ADD+36、ADD+38、ADD+40は、それぞれ内部抽選の対象役がビッグボーナス(2)であって設定値が1?6のときに参照されるアドレスである。ビッグボーナス(1)、(2)については、設定値に応じて個別に判定値数が記憶され、しかも異なる判定値数が記憶されているので、設定値に応じてビッグボーナス(1)、(2)の当選確率が異なることとなる。
【0120】
アドレスADD+42は、賭け数が3のとき、すなわち通常の遊技状態またはRTにおいて内部抽選の対象役がスイカであるときに設定値に関わらず参照されるアドレスである。アドレスADD+44は、賭け数が1のとき、すなわちレギュラーボーナスにおいて内部抽選の対象役がスイカであるときに設定値に関わらずに参照されるアドレスである。スイカについての判定値数は、賭け数に応じて登録されているが、同じ値が登録されているので、いずれの遊技状態においてもスイカの当選確率は同じとなる。
【0121】
アドレスADD+46は、賭け数が3のとき、すなわち通常の遊技状態またはRTにおいて内部抽選の対象役がベルであるときに設定値に関わらず参照されるアドレスである。アドレスADD+48は、賭け数が1のとき、すなわちレギュラーボーナスにおいて内部抽選の対象役がベルであるときに設定値に関わらずに参照されるアドレスである。ベルについての判定値数は、賭け数に応じて異なる値が登録されているので、遊技状態がレギュラーボーナスにあるときと、通常の遊技状態またはRTにあるときとで、ベルの当選確率が異なることとなる。
【0122】
アドレスADD+50、ADD+52、ADD+54、ADD+56、ADD+58、ADD+60は、賭け数が3のとき、すなわち通常の遊技状態またはRTにおいて内部抽選の対象役がチェリーであって設定値が1?6のときに参照されるアドレスである。賭け数が3のときのチェリーは、設定値に応じて個別に判定値数が記憶され、しかも異なる判定値数が記憶されているので、設定値に応じてチェリーの当選確率が異なることとなる。
【0123】
アドレスADD+62、ADD+64、ADD+66、ADD+68、ADD+70、ADD+72は、賭け数が1のとき、すなわちレギュラーボーナスにおいて内部抽選の対象役がチェリーであって設定値が1?6のときに参照されるアドレスである。賭け数が1のときのチェリーは、設定値に応じて個別に判定値数が記憶されているが、同一の判定値数が記憶されているので、いずれの設定値においてもチェリーの当選確率は同じとなっている。また、賭け数が3で設定値が6のときのチェリーの判定値数と同じなので、設定値が6のときは、いずれの遊技状態においても、チェリーの当選確率は同じとなる。
【0124】
また、アドレスADD+74、ADD+76は、通常時のリプレイで賭け数が3、RT時のリプレイで賭け数が3であるときに設定値に関わらずに参照されるアドレスであり、設定値に関わらずに、それぞれ2245、12652が判定値数として取得される。RTでは、リプレイの判定値数が通常の遊技状態よりも大きく、通常の遊技状態よりもリプレイ当選確率が高くなる。
【0125】
なお、通常の遊技状態では、メダルの払出率が1より小さい(すなわち、賭け数の設定のために投入するメダルの数に対して内部抽選で当選する小役に対して払い出されることとなるメダルの数の方が小さい)。RTでは、リプレイ当選確率が高くなることにより通常の遊技状態に比べてメダルの払出率が高くなり、1よりも大きくなる(すなわち、賭け数の設定のために投入するメダルの数に対して内部抽選で当選する小役に対して払い出されることとなるメダルの数の方が大きい)。レギュラーボーナス及びビッグボーナスでは、RTよりもさらにメダルの払出率が大きくなる。ここで説明した遊技状態に応じたメダルの払出率の関係は、設定値が1?6のいずれとなっている場合も同じである。
【0126】
次に、内部抽選用の乱数の取得について、図7を参照して詳しく説明する。内部抽選用の乱数は、ハードウェア乱数機能により乱数発生回路115から乱数を抽出し、これをCPU111がソフトウェアによって加工することによって取得されるものとなる。内部抽選用の乱数を取得するときには、ボーナス告知ランプ66を点灯するか否かを決定する告知決定用の乱数も取得される。なお、乱数発生回路115の発生する乱数の最下位ビットを第0ビット、最上位ビットを第15ビットと呼ぶものとする。
【0127】
図7(a)は、乱数発生回路115の構成を詳細に示すブロック図である。図示するように、乱数発生回路115は、パルス発生回路115aと、下位カウンタ115bと、上位カウンタ115cとから構成されている。下位カウンタ115b及び上位カウンタ115cは、いずれも8ビット(1バイト)のカウンタであり、下位カウンタ115bが第0ビット?第7ビット、上位カウンタ115cが第8ビット?第15ビットの合計で16ビットのデータ信号を出力する。
【0128】
パルス発生回路115aは、CPU111の動作クロックの周波数よりも高く、その整数倍とはならない周波数(互いに素とすることが好ましい)でパルス信号を出力する。パルス発生回路115aの出力するパルス信号が下位カウンタ115bにクロック入力される。
【0129】
下位カウンタ115bは、パルス発生回路115aからパルス信号が入力される度に第0ビットのデータ信号をHレベルとLレベルとで交互に反転させる。正論理を適用するものとすると、Hレベルの論理値が1でLレベルの論理値が0に対応する。負論理の場合は、論理値が1の場合をLレベル、論理値が0の場合をHレベルと読み替えればよい。第0ビットのデータ信号のレベルがHレベルからLレベルに反転するとき、すなわち第0ビットのデータ信号の論理値が1から0に変化する度に第1ビットのデータ信号のレベルをHレベルとLレベルとで交互に反転させる。
【0130】
同様に、第m-1ビットのデータ信号のレベルがHレベルからLレベルに反転するとき、すなわち第m-1ビットのデータ信号の論理値が1から0に変化する度に第mビットのデータ信号のレベルをHレベルとLレベルとで交互に反転させる。また、第7ビットのデータ信号のレベルがHレベルからLレベルに反転するとき、すなわち第7ビットのデータ信号の論理値が1から0に変化する度に桁上げ信号を出力する。下位カウンタ115bの出力する桁上げ信号が上位カウンタ115cにクロック入力される。
【0131】
上位カウンタ115cは、下位カウンタ115bから桁上げ信号が入力される度に第8ビットのデータ信号をHレベルとLレベルとで交互に反転させる。第9ビットのデータ信号のレベルがHレベルからLレベルに反転する度に第9ビットのデータ信号のレベルをHレベルとLレベルとで交互に反転させる。同様に、第m-1ビットのデータ信号のレベルがHレベルからLレベルに反転する度に第mビットのデータ信号のレベルをHレベルとLレベルとで交互に反転させる。
【0132】
下位カウンタ115bのデータ信号を下位8ビットとし、上位カウンタ115cのデータ信号を上位8ビットとした16ビットのデータ信号の論理値は、パルス発生回路115aがパルス信号を出力する度に、0(0000h)→1(0001h)→2(0002h)→…→65535(FFFFh)と値が更新毎に連続するように更新され、最大値の65535(FFFFh)の次は初期値の0(0000h)へと値が循環して、乱数発生回路115から出力されるものとなる。
【0133】
サンプリング回路116は、ラッチ回路から構成され、CPU111からのサンプリング指令(スタートレバー11の操作時)に基づいて、乱数発生回路115からそのときに出力されている16ビットのデータ信号をラッチし、ラッチしたデータ信号を出力する。CPU111は、I/Oポート114を介してサンプリング回路116から入力されたデータ信号に対応した数値データを、乱数発生回路115が発生する乱数として抽出するものとなる。なお、以下では、乱数発生回路115から出力されるデータ信号は、その論理値に応じた乱数として説明するものとする。
【0134】
図7(b)は、乱数発生回路115から抽出した乱数をCPU111がソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの説明図である。乱数発生回路115から抽出された乱数は、CPU111が有する16ビットの汎用レジスタ111GRに格納されるものとなる。
【0135】
乱数発生回路115から抽出された乱数が汎用レジスタ111GRに格納されると、CPU111は、他の汎用レジスタまたはRAM112の作業領域を用いて、汎用レジスタ111GRの下位バイト(下位カウンタ115bから抽出した値)と、上位バイトの値(上位カウンタ115cから抽出した値)とを入れ替える。
【0136】
次に、CPU111は、抽出された乱数に対して上位バイトと下位バイトとが入れ替えられた乱数の値を、8080hと論理積演算をする。CPU111の処理ワードは1バイトなので、実際には上位バイトと下位バイトとについて順次論理積演算を行うものとなる。この論理積演算によって第15ビットと第7ビットは常に1となる。さらに、CPU111は、上位1バイト(第8ビット?第15ビット)までを1ビットずつ下位にシフトし、これによって空いた第15ビットに1を挿入する。
【0137】
CPU111は、このときに汎用レジスタ111GRに格納されている値を、内部抽選用の乱数として取得してRAM112の所定の領域に記憶させ、これに各役の判定値数を順次加算していくものとなる。内部抽選用の乱数の第15ビットと第14ビットは常に1となるので、内部抽選用の乱数は、14ビット(16384)の大きさを有する乱数ということになり、実質的に0?16383の値をとるものとなる。
【0138】
なお、乱数発生回路115からの乱数の抽出から加工を終了するまでの間は、CPU111に対する割り込みが禁止される。CPU111に対して割り込みが発生することによって、当該割り込み処理ルーチンで汎用レジスタ111GRの内容が書き換えられてしまうのを防ぐためである。
【0139】
次に、リール3L、3C、3Rの停止制御について説明する。CPU111は、リールの回転が開始したとき及び、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM113に格納されているテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、停止ボタン12L、12C、12Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作された停止ボタン12L、12C、12Rに対応するリール3L、3C、3Rの回転を停止させる制御を行う。
【0140】
図8は、ROM113に格納されたテーブルインデックスを示す図である。図示するように、テーブルインデックスには、内部当選状況別に、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスが格納されている。
【0141】
このように内部当選状況が異なったりする場合でも、同一の制御が適用される場合においては、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。ここで、テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた引込コマ数を示す引込コマ数データと、リールの停止状況に応じて参照すべき引込コマ数データのアドレスとからなる。
【0142】
リールの停止状況に応じて参照される引込コマ数データは、全てのリール3L、3C、3Rが回転しているか、左リール3Lのみ停止しているか、中リール3Cのみ停止しているか、右リール3Rのみ停止しているか、左、中リール3L、3Cが停止しているか、左、右リール3L、3Rが停止しているか、中、右リール3C、3Rが停止しているか、によって異なる場合があり、さらに、リール3L、3C、3Rの内のいずれかが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合がある。
【0143】
テーブル作成用データには、それぞれの状況について、参照すべき引込コマ数データのアドレスが回転中のリール別に登録されている。それぞれの状況に応じて参照すべき引込コマ数データのアドレスは、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて特定でき、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な引込コマ数データを特定できるようになっている。なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の引込コマ数データが適用される場合においては、引込コマ数データのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の引込コマ数データが参照されることとなる。
【0144】
また、引込コマ数データは、停止操作が行われたタイミング別の引込コマ数を特定可能なデータである。リールモータ3ML、3MC、3MRには、168ステップ(0?167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ3ML、3MC、3MRを168ステップ駆動させることでリール3L、3C、3Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から1?21の領域番号が割り当てられている(図9参照)。
【0145】
一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から1?21の図柄番号が割り当てられているので、1番図柄から21番図柄に対して、それぞれ1?21の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、引込コマ数データには、領域番号別の引込コマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、引込コマ数データを展開することによって領域番号別の引込コマ数を取得できるようになっている。
【0146】
図9は、停止制御テーブルの例を示す図である。停止制御テーブルは、前述のようにテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して作成される。停止制御テーブルには、図9に示すように、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(この実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)で停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出された場合の引込コマ数がそれぞれ設定されている。
【0147】
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームにおける内部当選状況に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。そして取得した先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリール3L、3C、3Rが回転中の状態に対応する各リールの引込コマ数データのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの引込コマ数データを展開して全てのリール3L、3C、3Rについて停止制御テーブルを作成する。
【0148】
また、リール3L、3C、3Rのうちのいずれか1つが停止したとき、またはいずれか2つが停止したときには、リール回転開始時に取得した先頭アドレス、すなわちそのゲームにおける内部当選状況に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリール及び当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの引込コマ数データのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの引込コマ数データを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0149】
次に、CPU111が停止ボタン12L、12C、12Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明する。
【0150】
停止ボタン12L、12C、12Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する引込コマ数を取得する。そして、取得した引込コマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した引込コマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域(図の停止操作ポイント)から引込コマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域(図の停止ポイント)が停止基準位置(この実施の形態では、下段図柄の領域)に停止することとなる。
【0151】
また、テーブルインデックスには、一の内部当選状況に対応するテーブル作成用データの格納領域の先頭アドレスとして1つのアドレスのみが格納されており、さらに、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する引込コマ数データの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。すなわち一の内部当選状況に対応するテーブル作成用データ、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する引込コマ数データが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の内部当選状況、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、内部当選状況、リールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。
【0152】
また、引込コマ数として0?4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0153】
また、テーブルインデックスには、いずれかの役に当選している場合に対応して、当選役を4コマの範囲で最大限に引き込み、当選していない役が揃わないように引き込む引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納され、ハズレの場合に対応して、いずれの役も揃わないように引き込む引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納されている。このため、いずれかの役に当選している場合には、当選役を4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が揃わないように引き込む引込コマ数が定められた停止制御テーブルが作成され、リールの停止制御が行われる。一方、ハズレの場合には、いずれの役も揃わない引込コマ数が定められた停止制御テーブルが作成され、リールの停止制御が行われる。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役の図柄を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役の図柄は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。
【0154】
また、テーブルインデックスには、特別役と小役が同時に当選した場合や、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役が当選した場合(ビッグボーナス(1)+スイカ、ビッグボーナス(1)+ベルなど)に対応して、当選した特別役を4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められているとともに、当選した特別役を最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した小役を4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納され、リールの停止制御が行われる。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役の図柄を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役の図柄を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役の図柄を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役の図柄は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。すなわちこのような場合には、小役よりも特別役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、特別役を引き込めない場合にのみ、小役を入賞させることが可能となる。
【0155】
また、テーブルインデックスには、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合(ビッグボーナス(1)+リプレイなど)に対応して、再遊技役を4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納され、リールの停止制御が行われる。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行われる。なお、再遊技役を構成する図柄である「JAC」は、リール3L、3C、3Rのいずれについても5コマ以内の間隔で配置されており、4コマの引込範囲で必ず任意の位置に停止させることができる。特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合には、遊技者による停止ボタン12L、12C、12Rの操作タイミングに関わらずに、必ず再遊技役が揃って入賞することとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも再遊技役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、必ず再遊技役が入賞することとなる。
【0156】
遊技制御基板101の側においては、上記のように内部抽選が行われ、その結果と停止ボタン12L、12C、12Rの操作タイミングとに従ってリール3L、3C、3Rの回転が停止し、入賞が発生するものとなる。入賞の発生により、配当としてメダルの払い出しや遊技状態の移行が与えられるが、このように遊技制御基板101の側における遊技の進行状況に応じて、演出制御基板102の側で独自の演出が行われる。このような演出を行うためには、演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101の側における遊技の進行状況を認識できなければならないが、このような遊技の進行状況に関する情報は、全てコマンドとして遊技制御基板101から演出制御基板102に送信される。
【0157】
遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドには、少なくとも当選状況通知コマンド、リール回転コマンド、リール停止コマンド、入賞情報コマンド、及び遊技状態コマンドが含まれている。遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるコマンドには、これ以外のコマンドも含まれているが、本発明に直接関わるものではないため、詳細な説明を省略している。
【0158】
当選状況通知コマンドは、RAM112における当選フラグの設定状況を示すもので、スタートレバー11が操作されて内部抽選が行われたときに送信される。リール回転コマンドは、リール3L、3C、3Rが回転開始するタイミングを示すもので、リール3L、3C、3Rの回転が実際に開始されるときに送信される。リール停止コマンドは、リール3L、3C、3Rの別と中段に停止された図柄の番号を示すもので、リール3L、3C、3Rがそれぞれ停止されたときに送信される。
【0159】
入賞情報コマンドは、可変表示装置2の表示結果に応じて発生した入賞の種別(入賞なしを含む)を示すもので、可変表示装置2に表示結果が導出されて入賞判定が行われたときに送信される。遊技状態コマンドは、次のゲームで適用される遊技状態を示すもので、1ゲームの終了時において送信される。遊技状態コマンドは、遊技状態がRTにあることを示す場合は、RT残りゲーム数が少なくとも4ゲーム以上、3ゲーム、2ゲーム、1ゲームの場合を区別できるものとなっている。遊技状態コマンドの示すRT残りゲーム数が4ゲーム以上であるということは、必ずロングRTであるということである。
【0160】
演出制御基板102のCPU121は、このように遊技制御基板101のCPU111から送られてくるコマンドに基づいて各種の演出を行うものとしている。CPU121の制御により実行される演出として、特に液晶表示器4において行われる演出としては、ロングRT残りゲーム数が4ゲーム以上ある場合において、チャンス目が導出される可能性があるときに行われるSRT可能性報知と、SRT可能性報知が行われたゲームでチャンス目が導出されなかったときに行われるチャンス演出と、ショートRTを含むRT残りゲーム数が3ゲーム以下であるときに複数ゲームに亘って実行される連続演出とがある。
【0161】
SRT可能性報知は、RT残りゲーム数が4ゲーム以上であるゲーム(このときは、必ずロングRT)においてチャンス目が導出される可能性があるとき、すなわち、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカに当選しているときに行われる。SRT可能性報知演出は、チャンス目が導出される可能性があることを直接的に示す態様で行われるのではなく、RT残りゲーム数が4ゲーム以上でレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカに当選しているとき以外には絶対に表示されることのない所定の画像を液晶表示器4に表示することにより行われる。
【0162】
チャンス演出は、SRT可能性報知が行われたゲームでチャンス目が導出されなかったときに行われるが、入賞の観点で言うとチャンス目はハズレなので、入賞情報コマンドを参照してもハズレの表示結果が導出されたのならばそれがチャンス目であるかどうかを演出制御基板102のCPU121が認識することはできない。可変表示装置2に導出されている表示態様(特にリール3L、3C、3Rの全てが停止し、チャンス目が導出されるものとなったか)は、リール回転コマンド及びリール停止コマンドに基づいて判断される。
【0163】
RAM122には、リール停止コマンドに基づいて可変表示装置2の表示態様を判断するための停止図柄テーブルが設けられている。もっとも、リール停止コマンドは、停止したリールの種類と中段に停止した図柄の番号しか情報として含んでいないので、これだけではどのような図柄が停止しているかどうかが判断できないので、ROM123にはリール3L、3C、3Rに配置された全ての図柄を示すテーブルが予め記憶されており、このテーブルを参照して停止図柄テーブルにリール3L、3C、3Rに停止されている図柄が登録される。
【0164】
また、連続演出は、RT残りゲーム数が3となったゲームで開始され、RT残りゲーム数が1となるゲームまで3ゲームの期間継続した後に終了させられる。連続演出は、ロングRTで97ゲームを消化してRT残りゲーム数が3となったゲームにおいても開始されるものの、前回のゲームでのチャンス目の導出によりショートRTに制御されたゲームでは、必ず開始されるものとなる。RT残りゲーム数は、遊技制御基板101から送信される遊技状態コマンドにより判断することができる。
【0165】
ロングRTで97?99ゲームを消化した後もレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選していないこともあり、ショートRTを開始させるチャンス目もスイカのみの当選でも導出されることがあるので、連続演出は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選(持ち越しを含む)している場合にも当選していない場合にも行われる。
【0166】
連続演出は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選している場合の方が行われる可能性が高いが、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)のいずれに当選していないときにも行われることがあるので、ボーナス予告としての性格を有するものとなる。連続演出が終了したときにおいて、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選していれば、これらの役に当選している旨を遊技者に確定的に報知するボーナス告知が行われる。
【0167】
さらに、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞したときには、ボーナス入賞演出が行われる。ボーナス入賞演出は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)のいずれに入賞したかで内容が異なるものであってもよく、その後に制御される遊技状態に応じてレギュラーボーナスに入賞したか、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞したかで内容が異なるものであってもよい。
【0168】
なお、RAM122には、SRT可能性報知を行っていることを示すSRTフラグ、連続演出中であることを示す連続演習フラグ、既にボーナス告知を行っていることを示すボーナス告知フラグを設定する領域が設けられている。さらに、リール3L、3C、3Rに停止した図柄の種類を保存する停止図柄テーブルの他に、当選状況通知コマンドが示す当選状況を保存する領域と、遊技状態コマンドが示す遊技状態を保存する領域とがRAM122に設けられている。
【0169】
以下、この実施の形態にかかるスロットマシン1における処理について説明する。スロットマシン1においては、ゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行われることで遊技が進行されるものであるが、そのためには、遊技の進行が可能な状態となっていなければならない。遊技の進行が可能な状態であるためには、CPU111を含む制御部110が起動された状態で正常範囲の設定値が設定値ワーク112-4に格納されており、RAM112に格納されたデータに異常がないことが条件となる。
【0170】
図10は、遊技制御基板101のCPU111が実行する起動処理を示すフローチャートである。この起動処理は、遊技制御基板101のリセット回路からリセット信号が入力されて制御部110が起動されたときに行われる処理である。なお、リセット信号は、電源投入時及び制御部110の動作が停滞した場合に出力される信号であるので、起動処理は、電源投入に伴う制御部110の起動時及び制御部110の不具合に伴う再起動時に行われる処理となる。
【0171】
起動処理では、まず、内蔵デバイスや周辺IC、スタックポインタ等を初期化し(ステップS101)、RAM112へのアクセスを許可する(ステップS102)。そして、設定キースイッチ92がONの状態か否かを判定する(ステップS103)。設定キースイッチ92がONでなければ、RAM112に記憶されているデータのうちパリティ格納領域112-7を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算する(ステップS104)。
【0172】
次に、ここで計算したRAMパリティがパリティ格納領域112-7に格納されているRAMパリティ、すなわち前回の電源断時に計算して格納されたRAMパリティと比較し(ステップS105)、双方のRAMパリティが一致したか否か、すなわちRAMに格納されているデータが正常か否かを判定する(ステップS106)。なお、この実施例では、RAMパリティによるRAM112が正常か否かの判定は、起動処理においてのみ行われるようになっている。
【0173】
ステップS106においてRAMパリティが一致していなければ、RAM112に格納されているデータが正常ではないので、図12に示すRAM異常エラー処理に移行する。RAMパリティが一致していれば、RAM112に格納されているデータが正常であるので、スタック領域112-6に格納されているレジスタを復帰し(ステップS107)、割込禁止を解除して(ステップS108)、電源断前の処理に戻る。
【0174】
また、ステップS103において設定キースイッチ92がONの状態であれば、スタック領域112-6のうち使用中の領域を除いてRAM112に格納されているデータを全て初期化(設定値ワーク112-4以外は0、設定値ワーク112-4は1に書き換える)し(ステップS109)、割込禁止を解除して(ステップS110)、図11に示す設定変更処理に移行する(ステップS111)。そして、設定変更処理の終了後、遊技の進行が可能な状態となってゲーム制御処理に移行する。
【0175】
図11は、CPU111がステップS111で実行する設定変更処理を詳細に示すフローチャートである。設定変更処理では、まず、設定変更モード中である旨を示す設定変更中フラグをRAM112の所定の領域にセットし(ステップS201)、設定値ワーク112-4に格納されている設定値(設定変更処理に移行する前に設定値ワーク112-4の値は1に書き換えられているので、ここでは1である)を読み出す(ステップS202)。
【0176】
その後、設定スイッチ91及びスタートスイッチ41の操作の検出待ちの状態となる(ステップS203、S204)。ステップS203において設定スイッチ91の操作が検出されると、ステップS202において読み出した設定値に1を加算し(ステップS205)、加算後の設定値が7であるか否か、すなわち正常範囲を越えたか否かを判定する(ステップS206)。加算後の設定値が7でなければ、再びステップS203、S204の設定スイッチ91及びスタートスイッチ41の操作の検出待ちの状態に戻る。加算後の設定値が7であれば、設定値を1に補正して(ステップS207)、再びステップS203、S204の設定スイッチ91及びスタートスイッチ41の操作の検出待ちの状態に戻る。
【0177】
ステップS204においてスタートスイッチ41の操作が検出されると、その時点で選択されている変更後の設定値を設定値ワーク112-4に格納して設定値を確定する(ステップS208)。その後、設定キースイッチ92がOFFの状態となるまで待機する(ステップS209)。そして、ステップS209において設定キースイッチ92がOFFの状態になったと判定されると、ステップS201でセットした設定変更中フラグをクリアする(ステップS210)。そして、図10のフローチャートに復帰すると、遊技の進行が可能な状態となってゲーム制御処理に移行する。
【0178】
図12は、遊技制御基板101のCPU111が実行するRAM異常エラー処理を詳細に示すフローチャートである。RAM異常エラー処理では、ペイアウト表示器51を制御してRAM異常エラーコードをペイアウト表示部21に表示した後(ステップS301)、いずれの処理を行わないループ処理に移行する。
【0179】
上記のように起動処理においては、設定キースイッチ92がONの状態でない場合に、電源断時に計算したRAMパリティと起動時に計算したRAMパリティとを比較することで、RAM112に記憶されているデータが正常か否かを判定し、RAM異常エラー処理に移行する。RAM異常エラー処理では、RAM異常エラーコードをペイアウト表示部21に表示させた後、いずれの処理も行わないループ処理に移行するので、ゲームの進行が不能化される。
【0180】
RAMパリティが一致しなければ、割込が許可されることがないので、一度RAM異常エラー処理に移行すると、設定キースイッチ92がONの状態で起動し、割込禁止が解除されるまでは、電源が遮断しても電断割込処理は行われない。すなわち、電断割込処理において新たにRAMパリティが計算されて格納されることはないので、制御部110が起動しても設定キースイッチ92がONの状態で起動した場合を除き、常にRAMパリティは一致することがないので、制御部110を起動させてゲームを開始(再開)させることができないようになっている。
【0181】
そして、RAM異常エラー状態に一度移行すると、設定キースイッチ92がONの状態で起動し、設定変更処理が行われて設定スイッチ91の操作により新たな設定値が選択・設定されるまで、ゲームの進行が不能な状態となる。すなわち、RAM異常エラー状態に移行した状態では、設定スイッチ91の操作により新たに設定値が選択・設定されたことを条件に、ゲームの進行が不能な状態が解除され、ゲームを開始(再開)させることが可能となる。なお、RAM異常エラー以外のエラー状態では、RAMパリティの不一致の問題がないため、第1リセットスイッチ48または第2リセットスイッチ93の操作でのみゲームの進行が不能な状態を解除し、ゲームを再開させることができる。
【0182】
以上のように遊技の進行が可能な状態となると、スロットマシン1においてゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行われることとなる。以下、スロットマシン1における各ゲームのついて説明する。なお、スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートレバー11の操作からリール3L、3C、3Rを停止するまでをいうものであるが、ゲームを行う際には、スタートレバー11の操作前の賭け数の設定や、リール3L、3C、3Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれるものとする。なお、遊技制御基板101から演出制御基板102へのコマンドの送信は、本発明の説明に必要なものだけを説明し、そうでないコマンドの送信については、説明を省略する。
【0183】
図13は、遊技制御基板101のCPU111が1ゲーム毎に行うゲーム制御処理を示すフローチャートである。この処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行った後、または設定スイッチ91の操作により設定変更を行った直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、RAM112の所定の領域をクリアする処理を含む初期処理が行われる(ステップS401)。
【0184】
次に、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15を操作することにより、或いはメダル投入口13からメダルを投入することにより賭け数を設定し、スタートレバー11を操作することにより当該ゲームの実質的な開始を指示するBET処理を行う(ステップS402)。ここで、遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供されたを含む)にあるときには、賭け数として1が設定されると(これより大きな賭け数は設定されない)、スタートレバー11が操作有効となる。それ以外の遊技状態にあるときには、賭け数として3が設定された後、スタートレバー11が操作有効となる。また、前のゲームでリプレイ入賞していた場合には、リプレイゲーム中フラグにより前のゲームと同じ賭け数(この実施の形態では3)が自動設定され(この段階でリプレイゲーム中フラグが消去される)、そのままスタートレバー11が操作有効となる。
【0185】
BET処理により賭け数が設定され、スタートレバー11が操作されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた各役への入賞を許容するかどうかを決定する抽選処理を行う(ステップS403)。抽選処理では、RAM112における当選フラグの設定状況を示す当選状況通知コマンドが演出制御基板102に送信される。なお、抽選処理の詳細については後述する。
【0186】
抽選処理が終了すると、次にリール回転処理が行われる(ステップS404)。リール回転処理では、前回のゲームでのリール3L、3C、3Rの回転開始から1ゲームタイマが計時する時間が所定時間(例えば、4.1秒)が経過していることを条件に、リールモータ3ML、3MC、3MRを駆動させ、左、中、右の全てのリール3L、3C、3Rを回転開始させる。リール3L、3C、3Rの回転開始から所定の条件(回転速度が一定速度に達した後、リールセンサ3SL、3SC、3SRにより基準位置を検出すること)が成立すると、停止ボタン12L、12C、12Rを操作有効とする。その後、停止ボタン12L、12C、12Rが遊技者によって操作されることにより、当選フラグの設定状況に応じてリールモータ3ML、3MC、3MRを駆動停止させ、リール3L、3C、3Rの回転を停止させる。リール3L、3C、3Rの回転開始時、及び回転停止時に、それぞれリール回転コマンド、リール停止コマンドが演出制御基板102に送信される。なお、リール回転処理の詳細については後述する。
【0187】
リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示態様において、ステップS402のBET処理で設定した賭け数に応じた入賞ライン上に上記したいずれかの役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行われる(ステップS405)。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板101において発生した入賞に応じた各種の処理が行われる。ここで、入賞の判定結果を示す入賞情報コマンドが演出制御基板102に送られる。なお、入賞判定処理の詳細については後述する。
【0188】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる(ステップS406)。払出処理では、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけクレジットを増加させる。但し、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ82を駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払い出し口71から払い出させる。また、入賞に関わらない各種の処理(例えば、ビッグボーナスの終了制御に関する処理や、持ち越しのない当選フラグの消去など)も行われる。払出処理の最後、すなわち1ゲームの最後で次のゲームの遊技状態を示す遊技状態コマンドが演出制御基板102に送られる。なお、払出処理の詳細については後述する。そして、1ゲーム分の処理が終了し、次の1ゲーム分の処理が開始する。
【0189】
次に、上記したステップS403の抽選処理について詳しく説明する。図14は、CPU111がステップS403で実行する抽選処理を詳細に示すフローチャートである。抽選処理では、RAM112にビッグボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、遊技状態がビッグボーナスにあるかどうかを判定する(ステップS501)。遊技状態がビッグボーナスになければ、そのままステップS504の処理に進む。
【0190】
遊技状態がビッグボーナスにあれば、RAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、遊技状態がレギュラーボーナスにあるかどうかを判定する(ステップS502)。遊技状態がレギュラーボーナスになければ、ビッグボーナスの最初のゲームであるか、ビッグボーナス中において1セット分のレギュラーボーナスが終了して未だ当該ビッグボーナスが終了していないときのゲームであるので、RAM112にレギュラーボーナス中フラグを設定して、遊技状態をレギュラーボーナスに制御する(ステップS503)。そして、ステップS504の処理に進む。遊技状態がレギュラーボーナスにあれば、そのままステップS504の処理に進む。
【0191】
ステップS504では、今回のゲームで設定された賭け数を読み出す。次に、RAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)にあるかどうかを判定する(ステップS505)。レギュラーボーナスにあれば、読み出した賭け数が1であるかどうかを判定する(ステップS506)。レギュラーボーナスになければ、読み出した賭け数が3であるかどうかを判定する(ステップS507)。ステップS506で読み出した賭け数が1でないとき、またはステップS507で読み出した賭け数が3でないときには、RAM異常エラーとなり、図12に示したRAM異常エラー処理を行うものとする。ステップS506で読み出した賭け数が1であるとき、またはステップS507で読み出した賭け数が3であるときには、ステップS508の処理に進む。
【0192】
ステップS508では、RAM112の設定値ワーク112-4に記憶されている設定値を読み出す。ここで、読み出した設定値が本来とり得るべき値である1以上6以下の範囲にあるかどうかを判定する(ステップS509)。読み出した設定値が1以上6以下の範囲になければ、RAM異常エラーとなり、図12に示したRAM異常エラー処理を行うものとする。
【0193】
読み出した設定値が1以上6以下の範囲にあれば、乱数取得処理を行い、サンプリング指令を出力することにより乱数発生回路115が発生する乱数をサンプリング回路116に抽出させ、抽出された乱数を内部抽選用の乱数に加工して、RAM112の内部抽選用の乱数の格納領域に記憶させる(ステップS510)。なお、乱数取得処理の詳細については後述する。
【0194】
次に、現在の遊技状態に対応して、図5(b)の遊技状態別当選役テーブルに登録されている抽選対象役を順番に読み出す(ステップS511)。次に、読み出した抽選対象の役について図5(c)の役別テーブルに登録されている共通フラグの設定状況を取得する(ステップS512)。この結果、共通フラグが設定されているかどうかを判定する(ステップS513)。
【0195】
共通フラグが設定されていれば、読み出した抽選対象役について読み出した賭け数に対応して図5(c)の役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(ステップS514)。そして、ステップS516の処理に進む。共通フラグが設定されていなければ、RAM112に設定されている設定値を読み出し、抽選対象の役について読み出した賭け数及び設定値に対応して役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(ステップS515)。そして、ステップS516の処理に進む。
【0196】
ステップS516では、ステップS514またはS515で取得した判定値数をRAM112の判定領域に記憶された内部抽選用の乱数の値に加算し、加算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とする。ここで、判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算したときにオーバーフローが生じたかどうかを判定する(ステップS517)。
【0197】
オーバーフローが生じていない場合には、当該遊技状態において抽選対象となる役のうちで未だ処理対象としていないものがあるかどうかを判定する(ステップS518)。未だ処理対象としていないものがあれば、ステップS511の処理に戻り、遊技状態別当選役テーブルに登録されている次の抽選対象役を処理対象として処理を継続する。処理対象としていないものがなければ、ステップS526の処理に進む。
【0198】
オーバーフローが生じた場合には、直前のステップS511で読み出した抽選対象役がレギュラーボーナス+スイカ、ビッグボーナス(1)+スイカまたはビッグボーナス(2)+スイカのいずれかであるかどうかを判定する(ステップS519)。レギュラーボーナス+スイカ、ビッグボーナス(1)+スイカまたはビッグボーナス(2)+スイカのいずれかである場合には、少なくとも今回のゲームにおける遊技状態は、レギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)ではない。
【0199】
ここでは、RAM112にレギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ、またはビッグボーナス(2)当選フラグが設定されているかどうかを判定する(ステップS520)。レギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ及びビッグボーナス(2)当選フラグのいずれも設定されていなければ、読み出した抽選対象役に応じてレギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグまたはビッグボーナス(2)当選フラグをRAM112に設定するとともに、スイカ当選フラグをRAM112に設定する(ステップS521)。そして、ステップS526の処理に進む。
【0200】
ステップS520でRAM112にレギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグまたはビッグボーナス(2)当選フラグが既に設定されていた場合には、スイカ当選フラグのみをRAM112に設定する(ステップS522)。そして、ステップS526の処理に進む。
【0201】
ステップS519で抽選対象役がレギュラーボーナス+スイカ、ビッグボーナス(1)+スイカ及びビッグボーナス(2)+スイカのいずれでもなかった場合には、抽選対象役がレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)のいずれかであるかどうかを判定する(ステップS523)。抽選対象役がレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)のいずれでもなければ、ステップS525の処理に進む。レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)のいずれかである場合には、RAM112にレギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ、またはビッグボーナス(2)当選フラグが設定されているかどうかを判定する(ステップS524)。
【0202】
レギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ及びビッグボーナス(2)当選フラグのいずれかが設定されていれば、そのままステップS526の処理に進む。レギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ及びビッグボーナス(2)当選フラグのいずれも設定されていなければ、抽選対象役の当選フラグをRAM112に設定する。ここで、抽選対象役がレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)のいずれでもなく、既にレギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグまたはビッグボーナス(2)当選フラグのいずれかが設定されていれば、既に設定されているレギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグまたはビッグボーナス(2)当選フラグに重ねて、今回の抽選対象役の当選フラグを設定する(ステップS525)。そして、ステップS526の処理に進む。
【0203】
ステップS526では、RAM112における当選フラグの設定状況に応じて当選状況通知コマンドを生成し、これを演出制御基板102に送信する。そして、抽選処理を終了して、図13のフローチャートに復帰する。
【0204】
次に、ステップS510の乱数取得処理について詳しく説明する。図15は、CPU111がステップS510で実行する乱数取得処理を詳細に示すフローチャートである。乱数取得処理では、まず、CPU111に対する割り込みを禁止する(ステップS601)。次に、サンプリング回路116にサンプリング指令を出力し、乱数発生回路115が発生している乱数をラッチさせ、ラッチさせた乱数の値をI/Oポート114から入力して、これを抽出する。乱数発生回路115から抽出された乱数の値は、汎用レジスタ111GRに格納される(ステップS602)。
【0205】
次に、汎用レジスタ111GRに格納された乱数の下位バイトの値と上位バイトの値を、RAM112の作業領域を用いて互いに入れ替える(ステップS603)。次に、汎用レジスタ111GRに格納された乱数の値を8080hと論理積演算する(ステップS604)。さらに上位バイト(第15?第8ビット)を1ビットずつ下位にシフトし、これによって空いた第15ビットに1を挿入する。このときに汎用レジスタ111GRに格納された値が内部抽選用の乱数として取得され、RAM112の所定の領域に保存される(ステップS605)。そして、ステップS601で禁止した割り込みを許可してから(ステップS606)、乱数取得処理を終了して、図14のフローチャートに復帰する。
【0206】
次に、ステップS404のリール回転処理について詳しく説明する。図16は、CPU111がステップS404で実行するリール回転処理を詳細に示すフローチャートである。リール回転処理では、まず、前のゲームのリール回転開始時点からウェイトタイム(例えば、約4.1秒)が経過したか否かを判定し(ステップS701)、ウェイトタイムが経過していなければ、ウェイトタイムが経過するまで待機する。ウェイトタイムが経過していれば、ウェイトタイムの計時を新たに開始する(ステップS702)。
【0207】
次に、リールモータの回転開始時のワーク初期化コードをレジスタに設定し、リールの回転を開始させる(ステップS703)。ここで、リール3L、3C、3Rが回転開始したことを示すリール回転コマンドを生成し、演出制御基板102に送信する(ステップS704)。そして、テーブルインデックスを参照して、テーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データに基づいて、当該ゲームの遊技状態、内部当選状況、他のリールの停止状況に対応する停止制御テーブルを、回転中のリール別に作成し(ステップS705)、停止準備完了時のワーク初期化コードをレジスタに設定する(ステップS706)。これにより、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が有効となる。
【0208】
次に、停止ボタン12L、12C、12Rのいずれかの有効な操作が検出されたか否かを判定する(ステップS707)。いずれの停止ボタンの操作も検出されていなければ、リール回転エラー(一定期間以上、リールセンサ3SL、3SC、3SRによりリール基準位置が検出されない場合に判定されるエラー)が発生したか否かを判定する(ステップS708)。リール回転エラーが発生していなければ、さらに投入エラー(メダルの投入が許可されている期間以外で、メダルの投入が検出された場合に判定されるエラー)が発生したか否か、及び払出エラー(メダルの払出が許可されている期間以外で、メダルの払出が検出された場合に判定されるエラー)が発生したか否かを判定する(ステップS709、S710)。ステップS708?ステップS710においていずれのエラーの発生も判定されなければ、ステップS707に戻る。
【0209】
また、ステップS709において投入エラーの発生が判定された場合、またはステップS710において払出エラーの発生が判定された場合には、リール回転中の投入・払出エラーを示すエラーコードをレジスタに設定し(ステップS711)、所定のエラー処理に移行する(ステップS712)。そして、エラーが解除された場合には、再びステップS707に戻る。
【0210】
また、ステップS708においてリール回転エラーの発生が判定された場合には、リール回転エラーを示すエラーコードをレジスタに設定し(ステップS713)、所定のエラー処理に移行する(ステップS714)。これに伴い、リール3L、3C、3Rの回転も一時的に停止する。そして、エラーが解除された場合には、再びステップS703に戻り、リール3L、3C、3Rの回転が再開する。
【0211】
ステップS707において停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出された場合には、操作された停止ボタンに対応するリールモータ(3ML、3MC、3MRのいずれか)における、その時点のリール基準位置からのステップ数(停止操作位置となるステップ数)を取得し、停止リールに対応するワークに設定する(ステップS715)。ここで、停止されるリールの種類及び該リールについて停止される図柄を示すリール停止コマンドを生成し、演出制御基板102に送信する(ステップS716)。その後、操作された停止ボタンに対応するリール(3L、3C、3Rのいずれか)の回転が停止するまで待機する(ステップS717)。
【0212】
そして、操作された停止ボタンに対応するリール(3L、3C、3Rのいずれか)の回転が停止すると、リール3L、3C、3Rの全てが停止したか否かを判定し(ステップS718)、全てのリール3L、3C、3Rの回転が停止していなければ、ステップS705に戻る。全てのリール3L、3C、3Rの回転が停止していれば、リール回転処理を終了して、図13のフローチャートに復帰する。
【0213】
以上のようにリール回転処理では、リール3L、3C、3Rの回転が開始した後、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。なお、リール回転エラーの発生により、一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リール回転が再開した後、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。また、RAM112のデータが破壊されていて元の状態に復帰できない場合は、この限りではない。
【0214】
次に、上記したステップS405の入賞判定処理について詳しく説明する。図17は、CPU111がステップS405で実行する入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。入賞判定処理では、遊技状態に応じた入賞対象役を最初から順に読み出す(ステップS801)。次に、当該読み出した役の図柄組み合わせが可変表示装置2の5本の入賞ラインのうちのいずれかに(レギュラーボーナス時は、中段1本の入賞ラインに)揃っているかどうかを判定する(ステップS802)。
【0215】
当該役の図柄組み合わせが揃っていれば、当該役の入賞フラグをRAM112に設定して(ステップS803)、ステップS804の処理に進む。当該役の図柄組み合わせが揃っていなければ、そのままステップS804の処理に進む。ステップS804では、当該遊技状態に応じた役のうちで未だ入賞判定の対象としていない役があるかどうかを判定する。未だ入賞判定の対象としていない役があれば、ステップS801の処理に戻り、当該遊技状態に応じた次の役を読み出すものとする。
【0216】
当該遊技状態に応じた役の全てを入賞判定の対象としていれば、次に、RAM112にリプレイの入賞フラグが設定されているかどうかにより、リプレイ入賞したかどうかを判定する(ステップS805)。リプレイ入賞していれば、リプレイゲーム中フラグをRAM112に設定する(ステップS806)。このリプレイゲーム中フラグは、次のゲームで賭け数が自動設定されると消去されるものとなる。そして、ステップS816の処理に進む。
【0217】
リプレイ入賞していなければ、RAM112にビッグボーナス(1)の入賞フラグが設定されているかどうかにより、ビッグボーナス(1)入賞したかどうかを判定する(ステップS807)。ビッグボーナス(1)入賞していれば、ビッグボーナス中フラグをRAM112に設定すると共に、RAM112に設定されているビッグボーナス(1)当選フラグを消去する。また、RAM112のRTカウンタの値を0に初期化する(ステップS808)。そして、ステップS816の処理に進む。
【0218】
ビッグボーナス(1)入賞していなければ、RAM112にビッグボーナス(2)の入賞フラグが設定されているかどうかにより、ビッグボーナス(2)入賞したかどうかを判定する(ステップS809)。ビッグボーナス(2)入賞していれば、ビッグボーナス中フラグをRAM112に設定すると共に、RAM112に設定されているビッグボーナス(2)当選フラグを消去する。また、RAM112のRTカウンタの値を0に初期化する(ステップS810)。そして、ステップS816の処理に進む。
【0219】
ビッグボーナス(2)入賞していなければ、RAM112にレギュラーボーナスの入賞フラグが設定されているかどうかにより、レギュラーボーナス入賞したかどうかを判定する(ステップS811)。レギュラーボーナス入賞していれば、レギュラーボーナス中フラグをRAM112に設定すると共に、RAM112に設定されているレギュラーボーナス当選フラグを消去する。また、RAM112のRTカウンタの値を0に初期化する(ステップS812)。そして、ステップS816の処理に進む。
【0220】
レギュラーボーナス入賞もしていなければ、リール3L、3C、3Rにそれぞれ停止されている図柄を参照して、可変表示装置2にチャンス目が導出されているかどうかを判定する(ステップS813)。チャンス目が導出されていれば、RAM112にレギュラーボーナス中フラグまたはビッグボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、今回のゲームの遊技状態(または次のゲームで適用される遊技状態)がレギュラーボーナスまたはビッグボーナスであるかどうかを判定する(ステップS814)。
【0221】
遊技状態がレギュラーボーナスでもビッグボーナスでもなければ、現時点のRTカウンタの値に関わらずに(すなわち、現在の遊技状態が通常の遊技状態、ショートRT、ロングRTのいずれであるかに関わらずに)、RAM122のRTカウンタの初期値として4をセットし、ショートRTに遊技状態を制御する。ここで、初期値として4をセットするのは、後述するステップS913において今回のゲームのうちにRTカウンタの値が1減算されてしまうため、ショートRTのゲーム数として3ゲームを確保するためである(ステップS815)。そして、ステップS816の処理に進む。チャンス目が導出されていなかった場合、或いは遊技状態がレギュラーボーナスまたはビッグボーナスであった場合には、そのままステップS816の処理に進む。
【0222】
ステップS816では、RAM112に設定されている入賞フラグ(但し、ハズレの場合は入賞フラグの設定はない)に基づいて入賞した役の種類を示す入賞情報コマンドを生成して、演出制御基板102に送信する。そして、入賞判定処理を終了して、図13のフローチャートに復帰する。
【0223】
次に、上記したステップS406の払出処理について詳しく説明する。図18は、CPU111がステップS406で実行する払出処理を詳細に示すフローチャートである。払出処理では、RAM112にスイカ、ベル、チェリーのいずれかの入賞フラグが設定されているかどうかにより、メダルの払い出しを伴う小役入賞があったかどうかを判定する(ステップS901)。小役入賞していなければ、そのままステップS903の処理に進む。
【0224】
小役入賞していれば、ホッパー80を制御することにより、当該枚数のメダルを順次払い出す。但し、データとして蓄積されるクレジットの数が50に達するまでは、メダルを払い出す代わりにクレジットの数を増加させる(ステップS902)。そして、ステップS903の処理に進む。
【0225】
ステップS903では、RAM112にビッグボーナス中フラグ(ビッグボーナス(1)中フラグまたはビッグボーナス(2)中フラグ)が設定されているかどうかにより、当該ゲームの遊技状態がビッグボーナスであったかどうかを判定する。但し、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の入賞フラグがRAM112に設定されている場合には、当該ゲームでのビッグボーナス(1)入賞またはビッグボーナス(2)入賞であって、当該ゲームの遊技状態がビッグボーナスであった訳ではないので、ビッグボーナス(1)中フラグまたはビッグボーナス(2)中フラグが設定されていても、ビッグボーナス中であったと判定されない。当該ゲームの遊技状態がビッグボーナスでなかった場合には、ステップS908の処理に進む。
【0226】
ビッグボーナス中であったと判定された場合には、RAM112に設けられたカウンタにより当該ビッグボーナスが開始してからのメダルの払い出し総数をカウントする(ステップS904)。このカウントの結果、メダルの払い出し総数が465枚を越えたかどうかを判定する(ステップS905)。メダルの払い出し総数が465枚を越えていなければ、ステップS908の処理に進む。
【0227】
メダルの払い出し総数が465枚を越えた場合には、RTカウンタに初期値として100をセットし、ビッグボーナス終了後の遊技状態をロングRTとする。この処理を行った場合、今回のゲームでステップS913の処理が行われることはないため、RTカウンタにセットすべき初期値は100となる(ステップS906)。さらに、RAM112に設定されているビッグボーナス中フラグ(ビッグボーナス(1)中フラグまたはビッグボーナス(2)中フラグ)を消去すると共に、メダルの払い出し総数をカウントするためのカウンタの値を0に初期化する(ステップS907)。そして、ステップS911の処理に進む。
【0228】
ステップS908では、RAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、当該ゲームの遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナスで提供された場合を含む)であったかどうかを判定する。但し、レギュラーボーナス入賞フラグがRAM112に設定されている場合には、当該ゲームでのレギュラーボーナス入賞であって、当該ゲームの遊技状態がレギュラーボーナスであった訳ではないので、レギュラーボーナス中フラグが設定されていても、レギュラーボーナス中であったと判定されない。
【0229】
当該ゲームの遊技状態がレギュラーボーナスであった場合には、RAM112に設けられたカウンタにより、当該レギュラーボーナスが開始してから(ビッグボーナスでは、その中で新たなレギュラーボーナスが開始してから)の消化ゲーム数と入賞ゲーム数とをカウントする(ステップS909)。このカウントの結果、当該レギュラーボーナスにおける入賞ゲーム数が8となったか、或いは当該レギュラーボーナスにおける消化ゲーム数が12となったかどうかを判定する(ステップS910)。
【0230】
当該レギュラーボーナスにおける入賞ゲーム数が8となったか、或いは当該レギュラーボーナスにおける消化ゲーム数が12となった場合には、ステップS911の処理に進む。当該レギュラーボーナスにおける入賞ゲーム数が8となってなく、且つ当該レギュラーボーナスにおける消化ゲーム数が12ともなっていない場合には、ステップS914の処理に進む。ステップS911では、RAM112に設定されているレギュラーボーナス中フラグを消去すると共に、レギュラーボーナス中の消化ゲーム数と入賞ゲーム数とをカウントするためのカウンタの値をいずれも0に初期化する。そして、ステップS914の処理に進む。
【0231】
ステップS908で当該ゲームの遊技状態がレギュラーボーナスでなかった場合には、RAM112のRTカウンタの値が0であるかどうかを判定する(ステップS912)。RTカウンタの値が0でなければ、RTカウンタの値を1だけ減算して(ステップS913)、ステップS914の処理に進む。RTカウンタの値が0であれば、そのままステップS914の処理に進む。
【0232】
ステップS914では、RAM112にスイカ当選フラグ、ベル当選フラグ、チェリー当選フラグ、リプレイ当選フラグが設定されていれば、これを消去する。ビッグボーナス(1)当選フラグ、ビッグボーナス(2)当選フラグ及びレギュラーボーナス当選フラグは、ここでは消去せずに次ゲームに持ち越させる。また、ステップS803においてRAM112に入賞フラグが設定されていれば、これを消去する。
【0233】
次に、RAM112におけるビッグボーナス中フラグ及びレギュラーボーナス中フラグ、並びにRTカウンタの値に基づいて、次のゲームで適用される遊技状態を示す遊技状態コマンドを生成して、演出制御基板102に送信する(ステップS915)。そして、払出処理を終了して、図13のフローチャートに復帰する。ここで図13のフローチャートに復帰した場合は、今回の1ゲームにおける処理が終了となる。
【0234】
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板101のCPU111は、通常の遊技状態、RT、ビッグボーナス、レギュラーボーナスの間で遊技状態の移行を行っており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板102に送信している。これに対して、演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて、ショートRT可能性報知、チャンス演出、連続演出(ボーナス告知を含む)を含む独自の演出を行っている。以下、演出制御基板102側の制御により行われる演出の処理について説明する。
【0235】
図19は、演出制御基板102のCPU121が実行する処理を示すフローチャートである。演出制御基板102側では、遊技制御基板101から送られてくるコマンドを受信したかどうかを判定している(ステップS1001)。遊技制御基板101からいずれかのコマンドを受信すると、受信したコマンドの種類が何であるかを判定する(ステップS1002)。
【0236】
受信したコマンドの種類がステップS526で送信された当選状況通知コマンドであった場合には、まず、受信した当選状況通知コマンドが示す当選状況(すなわち、今回のゲームにおける当選フラグの設定状況)をRAM122の所定の領域に保存する(ステップS1003)。次に、前回のゲームのステップS1027(後述)でRAM122に保存した遊技状態がRT残りゲーム数が3以下であることを示しているかどうかを判定する(ステップS1004)。RT残りゲーム数が4以上である場合には、今回のゲームの遊技状態はロングRTである。
【0237】
ここでは、まず、受信した当選状況通知コマンドがレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選を示しているかどうかを判定する(ステップS1005)。レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)のいずれにも当選していないのであれば、受信した当選状況通知コマンドがスイカの当選を示しているかどうかを判定する(ステップS1006)。スイカにも当選していないのであれば、ロングRTであってもチャンス目が導出される可能性はないので、そのままステップS1001の処理に戻る。
【0238】
レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、もしくはスイカに当選していれば、ロングRTにおいてチャンス目が導出される可能性があるということなので、液晶表示器4に所定の画像(但し、チャンス目の導出可能性を直接的に示すものではなく、これ以外の場合に表示されることのない画像)を表示し、ロングRTからショートRTに移行されてしまう可能性があることを示すSRT可能性報知を行う。また、RAM122にSRT可能性フラグを設定する(ステップS1007)。そして、ステップS1001の処理に戻る。
【0239】
ステップS1004でRT残りゲーム数が3以下であった場合には、さらに前回のゲームでのステップS1027(後述)でRAM122に保存した遊技状態がRT残りゲーム数が1以上であることを示しているかどうかを判定する(ステップS1008)。RT残りゲーム数が0、すなわちRT以外の遊技状態であれば、そのままステップS1001の処理に戻る。
【0240】
RT残りゲーム数が1以上、すなわちロングRTで97ゲーム以上を消化して残りゲーム数が1以上3以下となっているか、ショートRT中である場合には、RAM122にボーナス告知フラグが設定されているかどうかにより、前回以前のゲームで既にボーナス告知が行われているかどうかを判定する(ステップS1009)。前回以前のゲームで既にボーナス告知が行われていれば、そのままステップS1001の処理に戻る。未だボーナス告知が行われていなければ、RT残りゲーム数に応じて、3ゲームで継続する連続演出のうちの今回のゲーム分の演出を開始させるとともに、RAM122に連続演出フラグを設定する(ステップS1010)。そして、ステップS1201の処理に戻る。
【0241】
受信したコマンドの種類がステップS704で送信されたリール回転コマンドであった場合には、前のゲームでRAM122に保存したリール3L、3C、3Rの停止図柄に関する情報をクリアする(ステップS1011)。そして、ステップS1001の処理に戻る。
【0242】
受信したコマンドの種類がステップS716で送信されたリール停止コマンドであった場合には、受信したリール停止コマンドに従ってROM123のテーブルを参照して図柄を特定し、当該リール停止コマンドが示すリールについて停止した図柄をRAM122の停止図柄テーブルに保存する(ステップS1012)。
【0243】
次に、停止図柄テーブルを参照して、リール3L、3C、3Rの全てが停止したかどうかを判定する(ステップS1013)。リール3L、3C、3Rのうちで未だ回転中のものがあれば、そのままステップS1001の処理に戻る。リール3L、3C、3Rの全てが停止した場合には、RAM122にSRT可能性フラグが設定されているかどうかを判定する(ステップS1014)。SRT可能性フラグが設定されていなければ、そのままステップS1001の処理に戻る。
【0244】
SRT可能性フラグが設定されていれば、ステップS1007で行ったSRT可能性報知を終了するとともに、RAM122に設定したSRT可能性フラグを消去する(ステップS1015)。さらに、停止図柄テーブル3L、3C、3Rを参照して、可変表示装置2にチャンス目が導出されているかどうかを判定する(ステップS1016)。チャンス目が導出されていなければ、液晶表示器4に所定の画像を表示することなどによりチャンス演出を行う(ステップS1017)。そして、ステップS1001の処理に戻る。チャンス目が導出されていれば、そのままステップS1001の処理に戻る。
【0245】
なお、可変表示装置2の表示結果によりレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞したときにおいては、チャンス目が導出されている訳ではないので、ステップS1017の処理としてチャンス演出は一応行われることとなる。もっとも、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞していると、続けて受信する入賞情報コマンドによって、遊技者がチャンス演出の実行を認識できるよりも前にチャンス演出が強制終了させられ、実質的にはチャンス演出が行われていないのと同じことになる。
【0246】
受信したコマンドの種類がステップS816で送信された入賞情報コマンドであった場合には、当該入賞情報コマンドがレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)のいずれかの入賞を示しているかどうかを判定する(ステップS1018)。
【0247】
レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)のいずれかの入賞を示していれば、現在実行中の演出(連続演出、チャンス演出、ボーナス告知、SRT可能性報知を含む)を強制終了させる(ステップS1019)。さらに、RAM122に設定されている連続演出フラグを消去し、ボーナス告知フラグを消去する。これらのフラグが元々設定されていなければ、その状態が維持されるだけである(ステップS1020)。そして、ステップS1021の処理に進む。
【0248】
ステップS1021では、液晶表示器4に所定の画像を表示することなどにより、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の入賞を示すボーナス入賞演出を行う。このボーナス入賞演出は、入賞したボーナスの種類に応じて異なるものを行うものとしてもよい。そして、ステップS1001の処理に戻る。
【0249】
ステップS1018でレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)のいずれにも入賞していなかった場合には、RAM122に連続演出フラグが設定されているかどうかにより、連続演出が実行されているかを判定する(ステップS1022)。連続演出が実行されていなければ、そのままステップS1001の処理に戻る。連続演出が実行されていれば、今回のゲーム分の連続演出の結果を示すとともに、RAM122に設定されている連続演出フラグを消去する(ステップS1023)。
【0250】
次に、前回のゲームのステップS1027でRAM122に保存した遊技状態がRT残りゲーム数が1であることを示しているかどうかを判定する(ステップS1024)。RT残りゲーム数が1でなければ、今回のゲーム限りでRTが終了することはなく、次ゲームでも連続演出を行うものとなるので、そのままステップS1001の処理に戻る。RT残りゲーム数が1であれば、今回のゲーム限りでRTが終了し、次のゲームでは通常の遊技状態になるということである。
【0251】
この場合には、ステップS1003でRAM122に保存した当選状況が、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)のいずれかの当選を示しているかどうかを判定する(ステップS1025)。レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)のいずれの当選も示していなければ、そのままステップS1001の処理に戻る。レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選を示していれば、液晶表示器4に所定の画像を表示することなどにより、これらの役の当選を確定的に遊技者に報知するボーナス告知を行い、RAM122にボーナス告知フラグを設定する(ステップS1026)。そして、ステップS1001の処理に戻る。
【0252】
受信したコマンドの種類がステップS915で送信された遊技状態コマンドであった場合には、受信した遊技状態コマンドが示す遊技状態(すなわち、次のゲームにおける遊技状態)をRAM122の所定の領域に保存する(ステップS1027)。そして、ステップS1001の処理に戻る。
【0253】
また、受信したコマンドの種類が他のコマンドであった場合には、それぞれのコマンドの種類に応じた処理(本発明と関係ないので、詳細は省略)を実行する(ステップS1028)。その後、ステップS1001の処理に戻る。
【0254】
以上説明したように、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、通常の遊技状態よりもリプレイ当選確率を高くするRTとして、100ゲームの間継続するロングRTと、3ゲームで終了するショートRTとがある。ここで、例えば、ロングRTに制御されてRT残りゲーム数が4ゲーム以上あるときであっても、可変表示装置2の表示結果としてチャンス目が導出されると、ショートRTに制御され、RTが終了するまでのゲーム数が少なくなってしまう。
【0255】
もっとも、ショートRTに遊技状態を移行させるチャンス目が導出される可能性があるのは、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカに当選しているときだけである。ここで、ロングRTでRT残りゲーム数が4ゲーム以上あるときにこれらの役に当選していれば、液晶表示器4においてSRT可能性報知が行われることとなる。SRT可能性報知は、ショートRTに移行される可能性を直接的に示すものではないが、これ以外の条件では行われないので、遊技者は、ロングRTにおいてRT残りゲーム数が4ゲーム以上ある状態からショートRTに移行される可能性があることを認識することができる。
【0256】
また、ショートRTに遊技状態を移行させるチャンス目が導出されるのは、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカの取りこぼしの場合だけに限られている。これらの取りこぼしの場合でも、さらに左のリール3Lに「チェリー」を停止させる(第2、第3リールとして停止されるなら、「スイカ」の停止する入賞ライン上に停止させる)ことのできるタイミングに限られており、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順によってチャンス目を導出させないようにすることができる。
【0257】
このため、遊技者は、遊技状態がショートRTに制御される可能性があるときであっても、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順によって遊技状態をロングRTのまま維持させることができるので、ここにも遊技者の技術介入が働いて、遊技の興趣を向上させることができる。また、レギュラーボーナスまたはビッグボーナスに遊技状態がある場合以外は、できる限りロングRTに維持させるという遊技における戦略性も高まるので、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0258】
また、このようにチャンス目を導出させるかさせないかがRTの制御に影響を及ぼすものとなるため、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカを取りこぼしたときに導出されることのあるチャンス目に、単にレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選している可能性を示す以外にも役割を与えることができる。このため、可変表示装置2の表示結果としてチャンス目が導出されるか否かに対する遊技者の関心をさらに高めることができ、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0259】
さらに、SRT可能性報知が行われた場合においてチャンス目が導出されなかった場合には、チャンス演出が行われる(レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞した場合は、遊技者が認識する前に即座に強制終了されるので、実質的にチャンス演出が行われないものとなる)。チャンス目が導出されていなくてもSRT可能性報知が行われたということで、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選している可能性は高い。
【0260】
このため、チャンス演出によってもレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選に対する遊技者の期待感を高めさせることができるので、さらに遊技の興趣を向上させることができる。一方、ショートRTに移行させずにロングRTが継続されることの遊技者の期待感も、このチャンス演出によってさらに高めることができ、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0261】
ところで、チャンス目が導出されるとショートRTに遊技状態が制御されるが、チャンス目が導出されたということは、他にはスイカの当選しか考えられないので、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選している可能性が高いということである。チャンス目は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカの当選時に導出される出目なるので、チャンス目の導出及びこれに基づいて制御されるショートRT中に実行される連続演出では、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選に対して適度な期待感を遊技者に与えることができる。
【0262】
また、連続演出が行われるものとなっているショートRTに制御されている3ゲームの間は、リプレイ当選確率が高くなり、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選していたとしてもリプレイの導出が優先されることで、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に関わらずに、これらの役に入賞する可能性が非常に低くなる。
【0263】
このようにレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選していたとしてもショートRTの3ゲームの間は入賞の可能性を低めることで、1ゲームだけではなく3ゲームの間継続して遊技者に期待感を与えることができ、遊技の興趣を向上させることができる。連続演出の終了時において実際にレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選していれば、ボーナス告知が行われることとなるので、さらに遊技者の期待感を高めて遊技の興趣を向上させることができる。
【0264】
また、ショートRTには、可変表示装置2にチャンス目が導出されることによって移行されるが、ロングRTには、ビッグボーナスが終了したことによって移行されることとなる。このため、ビッグボーナスが終了した後にもメダルの払出率が1を越えるRTで100ゲームを行うことができるので、ビッグボーナスが終了してから遊技者が手持ちのメダルを減らさずに次のビッグボーナスまたはレギュラーボーナスを迎えることができることとなる場合が増えるので、遊技者の期待感を高めさせて、さらに遊技の興趣を向上させることができる。一方、レギュラーボーナスが終了してもロングRTには制御されないので、ボーナスの種類としてレギュラーボーナスよりもビッグボーナスをと望む遊技者の期待感をさらに高めることができるようになる。
【0265】
さらに、RTは、単にリプレイ当選確率が通常の遊技状態よりも高くなるというだけではなく、通常の遊技状態とは異なりメダルの払出率も1を越えるものとなっている。このため、遊技状態がRTにときにレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選していても、当該RTが終了するまでレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)入賞させずに遊技を進めた方がよくなる。このため、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選していることでSRT可能性報知が行われたときには、これらに入賞もさせずチャンス目も導出させないという技量が要求されることとなるので、遊技者の技術介入性が非常に高いものとなり、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
【0266】
また、ビッグボーナスの終了後に制御されるロングRTは、ショートRTと同様にリプレイ当選確率を極めて高くする遊技状態であり、ビッグボーナスの終了後しばらくの間は、多くのゲームでリプレイ入賞することとなる。ここで、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)は、当選確率の極めて高いリプレイとは同じゲームで当選しないので、可変表示装置2にハズレの表示結果が導出された場合は、当該ゲームでこれらのボーナス役に当選した可能性があるということである。このため、とりわけロングRTにおいてハズレの結果が導出されても、遊技者を落胆させることなく、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選の期待感を与えることができるものとなる。
【0267】
ところで、ビッグボーナスは、消化ゲーム数に関わらず、メダルの払い出し枚数が465枚を越えると終了するものとなっている。ここでビッグボーナス(小役ゲーム及びレギュラーボーナスを含む)中のゲームでは、リプレイが内部抽選の対象役として定められていないので、リプレイ入賞することがない。リプレイは、遊技者の手持ちのメダルを減らさないものであるがメダルの払い出しを伴わないので、ビッグボーナスの終了条件となる払い出しメダル枚数に影響しない。つまり、ビッグボーナス中にリプレイ入賞させても不必要にビッグボーナスのゲーム数を増やすだけのものとなってしまうので、リプレイをビッグボーナスにおける内部抽選の対象役として定めないことで、ビッグボーナスの遊技状態を無駄に長引かせることがなく、遊技を効率よく進めることができるようになる。
【0268】
また、遊技状態がビッグボーナスに制御されているときには、スタートレバー11の操作時においてRAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定されていないと、この時点でレギュラーボーナス中フラグを新たに設定して、遊技状態をレギュラーボーナスに制御するものとしている。こうしてビッグボーナスは、払出メダル枚数が規定枚数に達するまで、レギュラーボーナスの繰り返しにより提供されるものとすることができ、ビッグボーナスにおいて遊技者が最大限の利益を得られるようにすることができる。しかも、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の入賞後に最初にレギュラーボーナスに制御する場合も、一回分のレギュラーボーナスが終了して未だビッグボーナスが終了していないときに再びレギュラーボーナスに制御する場合も、同じ処理を行えばよいことになる。
【0269】
また、停止操作位置(リール基準位置からのステップ数に対して割り当てられた領域)に対して停止位置(表示結果)が一意的に定められた複数の停止制御テーブルのうち、全てのリールが回転中においては、各遊技状態のそれぞれについての内部当選状態に対して一意的に定められた停止制御テーブルを選択し、選択した停止制御テーブルに従ってリールの停止制御が行われる。一方、いずれかのリールが既に停止している場合においては、各遊技状態のそれぞれについての内部当選状態、停止済みのリールの停止位置に対して一意的に定められた停止制御テーブルを選択し、選択した停止制御テーブルに従ってリールの停止制御が行われるようになっており、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置(表示結果))の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。このため、従来のように一の内部当選状態に対して複数の停止制御テーブルからいずれか1つの停止制御テーブルを内部抽選とは異なる抽選(例えばリール制御の振分抽選など)などによりさらに選択する必要がなく、リールを停止させる際の制御が複雑化することがない。
【0270】
上記したように遊技状態毎に役別テーブルに登録されている各抽選対象役の判定値数の格納先のアドレスは、設定値に応じて異なっている場合もあるが、設定値に関わらずに当選確率を同一とするものとした役については、設定値に関わらずに判定値数が共通化して格納されるものとなる。このように判定値数を共通化して格納することで、そのために必要な記憶容量が少なくて済むようになる。もっとも、役別テーブルにおいて、内部抽選の対象役と設定されている賭け数とが同じで設定値に応じて参照される判定値数を格納したアドレスが異なっていても、異なるアドレスにおいて格納されている判定値数が同じである場合がある。
【0271】
一般に開発段階においては、少なくとも一部の役について設定値に応じて判定値数を調整しながら(すなわち、内部抽選の当選確率を調整しながら)、シミュレーションを行っていくものとしている。当初の判定値数として、設定値に応じて異なる判定値数を登録しておいたが、シミュレーションにより調整を行った結果として、設定値が異なる場合の判定値数が同一になる場合もある。当初の判定値数として、設定値に応じて同一の判定値数を登録しておいたが、シミュレーションの結果により当初から登録してあった判定値数がそのまま用いられる場合もある(シミュレーションの結果により当初とは異なる判定値数すなわち、設定値に応じて異なる判定値数となる場合もある)。そして、それぞれの場合におけるシミュレーションで適切な結果の得られた判定値数を、量産用の機種に設定する判定値数として選ぶものとしている。
【0272】
ここで、シミュレーションにより調整された判定値数が結果として設定値に関わらずに同じになったとしても、その開発段階でのアドレス割り当てと同じアドレスの割り当てで判定値数をROM113に記憶して、そのまま量産用の機種とすることができる。このため、量産用の機種において判定値数の格納方法を開発用の機種から変更する必要がなく、最初の設計段階から量産用の機種に移行するまでの開発を容易に行うことができるようになる。
【0273】
また、内部抽選は、取得した内部抽選用の乱数に、役別テーブルから参照された各役の判定値数を加算していき、その加算の結果がオーバーフローしたか否かによって、それぞれの役の当選の有無を判定するものとしている。このため、各役の判定値数をそのまま用いて内部抽選を行うことができる。なお、実際の当選判定を行う前に当選判定用テーブルを生成する場合にはループ処理が2回必要になるが、この実施の形態によれば、抽選処理におけるループ処理が1回で済むようになり、抽選処理全体での処理効率が高いものとなる。
【0274】
また、通常遊技状態またはRTにおける判定値数には、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、またはビッグボーナス(2)と、スイカとの両方を抽選対象とするものが登録されている。ここで、前回以前のゲームからレギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ、ビッグボーナス(2)当選フラグのいずれも持ち越されていなければ、内部抽選用の乱数の値によっては、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、またはビッグボーナス(2)と、スイカの両方に当選となる。
【0275】
ここで、抽選対象の一方の役であるスイカの当選に基づいて設定されたスイカ当選フラグに基づいて、可変表示装置2の表示結果によりスイカに入賞したとしても、依然としてレギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ、ビッグボーナス(2)当選フラグのいずれかが設定されているという可能性もある。このため、スイカに入賞したときであっても、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、またはビッグボーナス(2)の当選も遊技者に期待させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0276】
また、乱数取得処理によって取得される内部抽選用の乱数は、サンプリング回路116により乱数発生回路115から抽出した乱数をそのまま使用するのではなく、ソフトウェアにより加工してから使用するものとしている。乱数発生回路115は、パルス発生回路115aのパルス信号の周波数で高速に更新して乱数を発生しているが、ソフトウェアにより加工した後の内部抽選用の乱数では、その加工によって更新の周期性が失われるものとなる。
【0277】
これに対して、内部抽選では各役に対応した判定値数を内部抽選用の乱数の値に順次加算していくことにより行うため、各役を当選とする内部抽選用の乱数の値は、固まってしまうこととなる。これに対して、ソフトウェアによる加工で内部抽選用の乱数の周期性を失わせ、その値をバラつかせることによって、遊技者による狙い打ちを可能な限り防ぐことができる。
【0278】
しかも、乱数発生回路115のカウンタ115b、115cの値を更新させるためにパルス発生回路115aが発生するパルス信号の周波数は、CPU111の動作クロックの周波数よりも高く、整数倍ともなっていない。このため、乱数発生回路115が発生する乱数の更新が、CPU111が行う処理と同期しにくくなる。しかも、パルス発生回路115aのパルス信号の周波数の方を高くすることで、乱数発生回路115が発生する乱数の更新速度を非常に速いものとすることができる。
【0279】
一方、ソフトウェアによる乱数の加工は、サンプリング回路116により乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイトと下位バイトとを入れ替え、第15、第7ビットをマスクした後、上位バイトをビットシフトするだけでよい。従って、16ビット(実際にはマスクされて14ビット)という比較的大きな乱数であっても、周期性を失わせるために必要な加工の処理に要する負荷がそれほど大きくならず、容易に取得することができる。このように大きな乱数が取得できることで、内部抽選における確率設定を細かく行うことができるようになる。
【0280】
また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、RAM112に記憶されているデータに異常が生じた場合には、RAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化されると共に、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわち、RAM112に記憶されているデータに異常が生じても、スロットマシン1により自動的に設定された設定値ではなく、設定変更操作に基づいて選択・設定された設定値(一般的に、設定変更操作は遊技店の従業員により行われるので、遊技店側が選択した設定値である)に基づいてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0281】
また、内部抽選において抽選対象の役に当選とするか否かを決定する際に、設定値ワーク112-4に格納されている設定値が適正な値(1?6の範囲の値)でなければ、デフォルトの設定値(例えば、設定1)に基づく確率で当選とするか否かを決定するのではなく、この場合にもRAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化されると共に、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。賭け数が適正な値でないときも、同様にRAM異常エラー状態に制御される。すなわち内部抽選において抽選対象となる役に当選とするか否かの決定を適正に行うことができない場合も、設定変更操作に基づいて選択・設定された設定値に基づいて改めてゲームが行われることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0282】
また、RAM112に記憶されたデータに異常が生じるのは、停電時や制御部110が暴走する等、制御に不具合が生じて制御を続行できないときがほとんどである。これらの状態から復旧して制御部110が起動するときにおいてのみデータが正常か否かの判断を行うようになっているので、RAM112に記憶されたデータが正常か否かの判定をデータに異常が生じている可能性が高い状況においてのみ行うことができる。すなわち、RAM112に記憶されたデータに異常が生じている可能性の低い状況では、当該判定を行わずに済み、制御部110の負荷を軽減させることができる。
【0283】
また、特に電源が遮断されたときに生じる電圧低下信号の入力により実行される電断割込処理において、RAM112に記憶されているデータに基づいてRAMパリティを計算してパリティ格納領域112-7にセットし、次回起動時において、その際に計算して得られたRAMパリティをパリティ格納領域112-7に格納されていたRAMパリティと比較して、RAM112のデータが正常であるか否かを判定している。このように電源が遮断されたときに生じる電圧低下信号の入力時と起動時のRAMパリティを比較するのみでRAM112のデータが正常か否かを判定できるので、当該判定を正確且つ簡便に行うことができる。
【0284】
また、RAM112のデータに異常が生じて、ゲームの進行が不能化された場合には、ゲームの進行が不能化された状態を解除する条件となる設定値の変更操作が有効となる設定変更モード(設定変更処理)へ移行することに伴って、RAM112に記憶されているデータが初期化される。このため、RAM112のデータに異常が生じたことに伴うデータの初期化と設定値の選択・設定に伴うデータの初期化とを1度で行うことができるので、無駄な処理を省くことができる。
【0285】
さらに、制御部110の起動時には、RAM112のデータが正常であるか否かを判定する前に、設定キースイッチ92がONの状態であるか否かを判定し、その時点で設定キースイッチ92がONの状態であると判定した場合には、RAM112のデータが正常であるか否かの判定は行わずに、設定変更モードに移行する。こうしてRAM112のデータが正常であるか否かの判定を行わずに新たに設定値が選択・設定されることにより、無駄な処理を省くことができるようになる。
【0286】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0287】
上記の実施の形態では、ビッグボーナスが終了した後にロングRTに遊技状態を制御するものとしていたが、レギュラーボーナスが終了した後にロングRTに遊技状態を制御するものとしてもよい。ビッグボーナスとレギュラーボーナスのいずれが終了した後にもロングRTに遊技状態を制御するものとしてもよい。さらに、ビッグボーナスやレギュラーボーナスの終了以外の所定の条件(例えば、上記した入賞の表示結果やチャンス目以外の所定の表示態様が可変表示装置2に導出されること)が成立することで、ロングRTに遊技状態を制御するものとしてもよい。
【0288】
上記の実施の形態では、RT残りゲーム数が4以上であるときのみにSRT可能性報知を行うものとしていた。すなわち、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカに当選していても、他の遊技状態にあるときにはSRT可能性報知を行うことはなかった。もっとも、レギュラーボーナスまたはビッグボーナス以外の遊技状態でレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカに当選しているとき、すなわち新たにショートRTに遊技状態が制御される可能性があるときには、全てSRT可能性報知を行うものとしてもよい。
【0289】
この場合、SRT可能性報知が行われたときにおいて、通常の遊技状態にあるのかRT(特にロングRT)の遊技状態にあるのかが遊技者に分からない場合もある。通常の遊技状態であるならば、ハズレ目を導出させるよりもチャンス目を導出させた方が、3ゲームだけでも遊技状態がRTに制御されるので遊技者にとって有利なものとなる。ここで、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順によりチャンス目を外すとハズレ目しか導出されないのであれば、遊技者は、チャンス目をわざと外すようなことはしない方がよいということになる。
【0290】
もっとも、チャンス目の導出は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカの当選当選が条件となっている。前者の場合において、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じてこれらの役に入賞させることができれば、レギュラーボーナスまたはビッグボーナスに遊技状態が制御されるので、遊技者が損をすることはない。入賞できないまでも停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じてリーチ目が導出されれば、ここでレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選を早期に確証することができるので、ショートRTに制御されなくても、必ずしも遊技者が損をするとは言えない。
【0291】
また、後者の場合でも、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順に応じてスイカに入賞させることができれば、これによって9枚のメダルの払い出しを受けることができる。通常の遊技状態における1ゲーム当たりに設定する賭け数は3であるので、払い出されたメダルによって少なくとも3ゲームを行うことができることとなる。このため、チャンス目を敢えて外したとしても、スイカに入賞させることができるのであれば、遊技者が損をすることはない。
【0292】
上記の実施の形態では、SRT可能性報知は、チャンス目の導出可能性を直接的に示すものではないが、ロングRTにおいてチャンス目が導出される可能性がある場合以外に表示されることのない所定の画像を液晶表示器4に表示することにより行うものとしていた。これに対して、ロングRTにおいてチャンス目が導出される可能性がある旨を直接的に報知してもよい。「スイカを狙え」や「BARを狙え」など、チャンス目の導出を避けることのできる図柄を報知するものとしてもよい。また、SRT可能性報知は、液晶表示器4に画像を表示して行う場合だけではなく、例えば、スタートレバー11を操作したときに所定のスタート音を出力したり、ランプ類を所定のパターンで点灯させることなどによって行うものとしてもよい。
【0293】
上記の実施の形態では、チャンス目の導出によってショートRTに遊技状態を制御するものとしていたが、このチャンス目は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカに当選している場合において、特に停止ボタン12Lの操作タイミングに応じて導出されるものとなっていた。しかしながら、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカに当選している場合においてチャンス目を導出させる停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順は、これに限るものではなく、停止ボタン12L、12C、12Rを操作する順番によってチャンス目を導出させるものとすることもできる。停止ボタン12L、12C、12Rの操作タイミングと組み合わせることもできる。
【0294】
例えば、停止ボタン12L、12C、12Rを左から右に順番に操作する順押し操作をした場合にはチャンス目が必ず導出されるものとするが、右から左に操作する逆押し操作をした場合には全くチャンス目が導出されないものとしてもよい。また、停止ボタン12L、12C、12Rを順押し操作した場合日はチャンス目が必ず導出されるものとするが、逆押し操作した場合には停止ボタン12L、12C、12Rの操作タイミングに応じてチャンス目が導出されるものとしてもよい。また、停止ボタン12L、12C、12Rを順押し操作した場合には停止ボタン12L、12C、12Rの操作タイミングに応じてチャンス目が導出されるものとするが、逆押し操作した場合には全くチャンス目が導出されないものとしてもよい。さらに、停止ボタン12L、12C、12Rを順押し操作した場合も逆押し操作した場合にも停止ボタン12L、12C、12Rの操作タイミングに応じてチャンス目が導出されるものとするが、順押し操作でチャンス目を導出させるための操作タイミングは、逆押し操作でチャンス目を導出させる操作タイミングよりも多いものとなっていてもよい。
【0295】
上記の実施の形態では、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)またはスイカの取りこぼしによりチャンス目が導出される場合があり、このチャンス目の導出によってショートRTに遊技状態を制御するものとしていた。しかしながら、ショートRTに遊技状態を制御させる出目は、スイカなどの小役の取りこぼしによってのみ導出されるものとしても、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の取りこぼしによってのみ導出されるものとしてもよい。
【0296】
スイカなどの小役の取りこぼしのみによって導出される出目でショートRTに遊技状態を制御する場合、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナスに当選したときにも、連続演出を行うものとしてもよい。この場合の連続演出も、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選を遊技者に期待させることができるものとなる。
【0297】
この場合において、通常の遊技状態におけるレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選(或いは、これらに入賞しないときに出現する出目)によって、遊技状態をショートRTに制御するものとしてもよい。レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選した後は、これらに入賞しなければショートRTまたはロングRTということになるので、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)になるべく入賞させないようにして、連続演出を効果的に行うことができるものとなる。
【0298】
また、ショートRTに遊技状態を制御させる出目をレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の取りこぼしによって導出されるリーチ目とした場合、このリーチ目は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選を告知する(すなわち、100%の当選を報知する)ものとなる。ここで行われる連続演出も、ボーナス告知ということになる。いずれにしても、連続演出がレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選を期待させるものでることに変わりがない。チャンス演出についても同様である。
【0299】
なお、ショートRTに遊技状態を制御する出目がリーチ目だけであったとしても、ロングRTにおけるメダルの払出率が1を越えるのであれば、本発明としての意義を失うことがない。すなわち、レギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ及びビッグボーナス(2)当選フラグは入賞まで持ち越されるので、遊技状態がロングRTにある限りは、これらを故意に取りこぼしたとしても遊技者が損をすることはないからであり、ロングRTでのメダルの増加という利益を遊技者が受けることができるからである。
【0300】
上記の実施の形態では、チャンス演出は、SRT可能性報知が行われてチャンス目が導出されなかったことを条件として行われるものとしていたが、このチャンス演出は、ロングRTの継続を遊技者に期待させるためだけではなく、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選を遊技者に期待させるためにも行われていた。もっとも、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選は、SRT可能性報知が行われていたかどうかに関わらず、チャンス目が導出されたときにも期待できるものとなる。そこで、可変表示装置2の表示結果としてチャンス目が導出されたときにも、チャンス演出を行うものとしてもよい。もっとも、SRT可能性報知が行われてチャンス目が導出されなかったときには、ロングRTの継続を期待できるという目的もあるので、このときに行われるチャンス演出の態様は、チャンス目が導出されたときに行われるチャンス演出の態様とは異なるものとしてもよい。
【0301】
上記の実施の形態では、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカに当選している場合において導出されるチャンス目は、全てショートRTに遊技状態を制御させるものであった。これに対して、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)、並びに/もしくはスイカに当選している場合において導出され、他の当選状況では導出されないチャンス目の中に、ショートRTに遊技状態を制御させるチャンス目とショートRTに制御させないチャンス目とがあってもよい。いずれが導出されるかは、停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順によるものとすることができる。
【0302】
上記の実施の形態では、チャンス目が導出された後の3ゲームまたはビッグボーナス終了後の100ゲームにおいて(但し、チャンス目の導出もしくはレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の入賞まで)において、遊技状態をRTに制御するものとしていた。RTは、リプレイ以外の役の当選確率は通常の遊技状態と変わらないが、リプレイ当選確率が通常の遊技状態よりも高くなることで、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態となるものであった。もっとも、レギュラーボーナスまたはビッグボーナス以外の通常の遊技状態よりも有利な遊技状態としては、内部抽選において当選している小役に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作手順を告知する(当選役の種類そのものを告知することで当選役に入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作タイミングを遊技者が認識できるものとする、或いは当選役の入賞が可能または容易となる停止ボタン12L、12C、12Rの操作順序を報知する)遊技状態(いわゆるAT)であってもよい。RTとATを組み合わせたARであってもよい。
【0303】
上記の実施の形態では、連続演出は、その開始からのゲーム数に応じて行われるだけであり、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選状況に応じて異なる内容の演出となることはなかった。これに対して、連続演出を開始させる際に、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の当選状況に応じて定められた演出パターンを選択し、選択した演出パターンに従って連続演出を行うべき期間にある各ゲームの演出を行い、その最後にボーナス当選の有無を報知するものとしてもよい。
【0304】
この場合には、連続演出が開始された後のゲームにおいて、新たにレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選する場合がある。この場合には、最初に選択したパターンでボーナス非当選を一旦報知した後、追加演出を実行して改めてボーナス当選を報知するものとすることができる。また、選択したパターンの一部、例えば連続演出の最後のゲームにおける演出の内容を差し替えるものとすることもできる。追加演出の実行と演出の内容との差し替えを併用し、そのいずれかを選択するものとしてもよい。なお、連続演出が開始された後のゲームにおいて新たにレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選したかどうかは、連続演出が行われている間の各ゲームで判断してもよいが、連続演出が終了するゲームにおいて内部抽選が終了した後に判断するものとしてもよい。
【0305】
また、チャンス目の導出により遊技状態がショートRTに制御された後の演出は、上記したように3ゲームの間で継続する連続演出に限るものではない。例えば、1ゲームだけで終了する演出とすることもでき、また、1ゲームの終了(可変表示装置2の表示結果の導出またはメダルの払出の完了)で一旦停止し、次のゲームのために賭け数を設定したとき(未だ当該ゲームが開始していないとき)に結果が示される演出であってもよい。
【0306】
上記の実施の形態では、レギュラーボーナスまたはビッグボーナスの入賞時においてボーナス入賞演出を行うのみで、遊技状態としてのレギュラーボーナスまたはビッグボーナスが開始したときにも終了したときにも特別な演出を行うことはなかった。これに対して、例えば、ビッグボーナスが終了したときに、一定期間だけ遊技の進行を不能とするフリーズ状態に制御するとともに全ての演出を停止させるフリーズ演出を行ってもよい。このフリーズ演出は、ビッグボーナスの開始時、すなわちビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞した直後に行うこともできる。ビッグボーナスの終了時においてフリーズ演出を行う場合も、ビッグボーナスの開始時においてフリーズ演出を行う場合にも、精算ボタン16の操作によってクレジットの精算だけは行うことができるものとすることができる。さらに、ビッグボーナスの終了時において打ち止め制御を行うものとしてもよい。この打ち止め制御を行っている場合も、フリーズ演出が行われている場合と同様にクレジットの精算だけは行うことができるものとすることができる。
【0307】
上記の実施の形態では、3つのリール3L、3C、3Rのうち一部が既に停止されている場合において、各遊技状態のそれぞれについての内部当選状態、停止済みのリールの停止位置に対して一意的に定められた停止制御テーブルを選択し、選択した停止制御テーブルに従ってリールの停止制御が行われるようになっていた。ここで、停止済みのリールの停止位置の代わりに、当該リールを停止させるために停止ボタン12L、12C、12Rが操作されたときの位置(すなわち、当該リールのステップ数)を適用するものとしてもよい。この場合も、上記の実施の形態における停止制御テーブルの選択と同様に、リールを停止させる際の制御が複雑化することがないという効果を得ることができる。
【0308】
上記の実施の形態では、役別テーブルに登録されたアドレスに記憶された判定値数を内部抽選用の乱数に加算していき、その加算の結果オーバーフローが生じたときに、当該役に当選するものとしていた。これに対して、取得した判定値数を取得した内部抽選用の乱数の値から順次減算して、減算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とするものとしてもよい。判定値数を内部抽選用の乱数の値から減算するときには、減算の結果にオーバーフロー(ここでは、減算結果がマイナスとなること)が生じたかどうかを判定するものとすることができる。
【0309】
上記の実施の形態では、内部抽選は、取得した内部抽選用の乱数の値に遊技状況に応じた各役の判定値数を順次加算していき、加算結果がオーバーフローしたときに当該役を当選と判定するものとしていた。これに対して、遊技状況に応じた各役の判定値数に応じて、各役を当選と判定する判定値を定めた当選判定用テーブルをゲーム毎に作成し、取得した内部抽選用の乱数の値を各役の判定値と比較することで、内部抽選を行うものとしてもよい。
【0310】
上記の実施の形態では、第7、第15ビットがマスクされて、内部抽選用の乱数が生成されるものとしていた。すなわち、内部抽選用の乱数の値は、14ビットにより表されるもので、0?16383の範囲をとるものであった。もっとも、第7ビット、第15ビットのマスクを行うことなく、16ビットにより表される値をそのまま内部抽選用の乱数として適用することもできる。この場合、内部抽選用の乱数がとり得る値の範囲に応じて、内部抽選の対象役毎の判定値数をROM113に登録しておくものとすればよい。一方、上記の実施の形態のように第7、第15ビットをマスクして内部抽選用の乱数を生成するものとした場合には、当該マスクした2ビットにより表される数値を、内部抽選とは別の決定(例えば、演出の種類の選択など)を行うための乱数として適用することができる。これにより、乱数発生回路115から抽出した乱数の全てのビットを有効に用いることができる。
【0311】
上記の実施の形態では、乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイト全体を下位バイトで置換し、下位バイト全体を上位バイトで置換するという入れ替えを行っていた。これに対して、乱数発生回路115から抽出した乱数のビットのうちの特定のビットのデータを他のビットのデータ(但し、マスクされる第7、第15ビット以外)で置換するだけであってもよい。また、乱数発生回路115から抽出した乱数の値を、そのまま内部抽選用の乱数として取得するものとしてもよい。さらに、上記の実施の形態とは異なる方法により内部抽選用の乱数に加工するものとしてもよい。
【0312】
図20は、乱数発生回路115から抽出した乱数をCPU111がソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの処理(ステップS102)の第1の変形例の説明図である。この第1の変形例でも、乱数発生回路115から抽出された乱数は、CPU111が有する16ビットの汎用レジスタ111GRに格納されるものとなる。
【0313】
乱数発生回路115から抽出された乱数が汎用レジスタ111GRに格納されると、CPU111は、さらに内部のリフレッシュレジスタ111Rの値を加工用の乱数として抽出する。CPU111は、汎用レジスタ111GRの上位バイトの値(上位カウンタ115cから抽出した値)にリフレッシュレジスタ111Rから抽出した加工用の乱数を加算する。汎用レジスタ111GRの下位バイトの値(下位カウンタ115bから抽出した値)は、そのままにしておく。
【0314】
次に、CPU111は、汎用レジスタ111GRの値、すなわち上位バイトに加工用の乱数を加算した値を、8080hと論理積演算をする。さらに、CPU111は、上位1バイト(第8ビット?第15ビット)までを1ビットずつ下位にシフトし、これによって空いた第15ビットに1を挿入する。CPU111は、このときに汎用レジスタ111GRに格納されている値を内部抽選用の乱数として取得し、これに判定値数を順次加算していくものとなる。
【0315】
図21は、乱数発生回路115から抽出した乱数をCPU111がソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの処理(ステップS102)の第2の変形例の説明図である。この例でも、乱数発生回路115から抽出された乱数は、CPU111が有する16ビットの汎用レジスタ111GRに格納されるものとなる。
【0316】
乱数発生回路115から抽出された乱数が汎用レジスタ111GRに格納されると、CPU111は、さらに内部のリフレッシュレジスタ111Rの値を加工用の乱数として抽出する。CPU111は、汎用レジスタ111GRの上位バイトの値(上位カウンタ115cから抽出した値)にリフレッシュレジスタ111Rから抽出した加工用の乱数を加算する。また、汎用レジスタ111GRの下位バイトの値(下位カウンタ115bから抽出した値)にもリフレッシュレジスタ111Rから抽出した加工用の乱数を加算する。
【0317】
次に、CPU111は、汎用レジスタ111GRの値、すなわち上位バイト及び下位バイトにそれぞれ加工用の乱数を加算した値を、8080hと論理積演算をする。さらに、CPU111は、上位1バイト(第8ビット?第15ビット)までを1ビットずつ下位にシフトし、これによって空いた第15ビットに1を挿入する。CPU111は、このときに汎用レジスタ111GRに格納されている値を内部抽選用の乱数として取得し、これに判定値数を順次加算していくものとなる。
【0318】
以上説明した第1、第2の変形例では、リフレッシュレジスタ111Rの値を加工用の乱数として抽出し、これを乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイト(第2変形例では、さらに下位バイト)に加算して、乱数の加工を行うものとしている。ここで適用した乱数の加工には、少なくとも加工用の乱数を上位バイトに加算する処理を含んでいる。これにより、内部抽選用の乱数のバラツキを大きくすることができ、遊技者による狙い打ちを可能な限り防ぐことができる。
【0319】
また、加工用の乱数をリフレッシュレジスタ111Rから抽出するものとしたことで、加工用の乱数を生成する手段として特別な構成が必要ない。しかも、リフレッシュレジスタ111Rの値は、CPU111の命令フェッチ毎に更新されるもので、その更新間隔は一定しないので、ランダム性の高い乱数を加工用の乱数として抽出することができる。そして、加工用の乱数のランダム性が高いことから、これを用いて生成される内部抽選用の乱数のランダム性も高くなる。
【0320】
なお、上記第1、第2の変形例において、乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイト(及び下位バイト)にリフレッシュレジスタ111Rから抽出した値を加算していたが、リフレッシュレジスタ111R以外でハードウェアまたはソフトウェアにより周期的に更新される値を加算してもよい。また、リフレッシュレジスタ111Rから抽出した値(或いは、リフレッシュレジスタ111Rに代わるものの値)を加算するのではなく、減算や、論理和、論理積などの論理演算を行ってもよい。
【0321】
また、上記の実施の形態で示した上位バイトと下位バイトとの入れ替えのようなビットの置換を、第1、第2の変形例に併用するものとしてもよい。上記第1、第2の変形例においても、乱数発生回路115からの乱数の抽出から加工を終了するまでの間は、汎用レジスタ111GRの内容が書き換えられてしまうのを防ぐため、CPU111に対する割り込みが禁止されるものとなる。
【0322】
また、第2の変形例においては、乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイトと下位バイトにそれぞれ加算する加工用の乱数を、リフレッシュレジスタ111Rから異なるタイミングで別々に抽出してもよい。上位バイトに加算する加工用の乱数を更新する手段と、下位バイトに加算する加工用の乱数を更新する手段とを別々に用意し、それぞれから上位バイト用、下位バイト用の加工用の乱数を抽出する手段を設けるものとしてもよい。この場合において、上位バイト用の加工用の乱数を更新する手段と下位バイト用の加工用の乱数を更新する手段の一方をリフレッシュレジスタ111Rによって構成するものとすることができる。
【0323】
なお、上記の実施の形態、及び第1、第2の変形例のいずれにおいても、第7、第15ビットがマスクされて、内部抽選用の乱数が生成されるものとしていた。すなわち、内部抽選用の乱数の値は、14ビットにより表されるもので、0?16383の範囲をとるものであった。もっとも、第7ビット、第15ビットのマスクを行うことなく、16ビットにより表される値をそのまま内部抽選用の乱数として適用することもできる。この場合、内部抽選用の乱数がとり得る値の範囲に応じて、内部抽選の対象役毎の判定値数をROM113に登録しておくものとすればよい。
【0324】
一方、上記の実施の形態、及び第1、第2の変形例のように第7、第15ビットをマスクして内部抽選用の乱数を生成するものとした場合には、当該マスクした2ビットにより表される数値を、内部抽選とは別の決定(例えば、演出の種類の選択など)を行うための乱数として適用することができる。これにより、乱数発生回路115から抽出した乱数の全てのビットを有効に用いることができる。
【0325】
図22は、乱数発生回路115から抽出した乱数をCPU111がソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの処理(ステップS102)の第3の変形例の説明図である。この例では、乱数発生回路115とサンプリング回路116とを接続する信号配線は、上位8ビットと下位8ビットのそれぞれについて、ビットの並び順が逆順になるように接続されている。従って、サンプリング回路116がラッチするデータは、乱数発生回路115が出力しているデータ信号とは、上位8ビットと下位8ビットのそれぞれについて、ビットの並び順が逆順となる。
【0326】
CPU111は、I/Oポート114を介してサンプリング回路116から入力されたデータ信号に対応した数値データを、上位8ビットと下位8ビットとを別々にサンプリング回路116から取り込んで、RAM112に設けられた内部抽選用の乱数の格納領域に一時格納する。内部抽選用の乱数の格納領域は、2バイト分設けられており、上位バイトの格納領域を上位領域、下位バイトの格納領域を下位領域と呼ぶものとする
【0327】
CPU111がサンプリング回路116から数値データを取り込むときには、サンプリング回路116がラッチした乱数の上位8ビットを下位領域に取り込み、ラッチした乱数の下位8ビットを上位領域に取り込む。従って、CPU111がサンプリング回路116から内部抽選用の乱数の格納領域に取り込んだ数値データは、乱数発生回路115が発生しているデータ信号とは、ビットの並び順が完全に逆順となる。
【0328】
なお、サンプリング回路116がラッチした乱数、或いはこれをCPU111が加工した乱数については、上位バイト、下位バイト毎に最下位ビットを第0ビット、最上位ビットを第7ビットと呼ぶものとする。また、乱数発生回路115から出力されるデータ信号は、その論理値に応じた乱数として説明し、サンプリング回路116がラッチした数値データも、その値に応じた乱数として説明するものとする。
【0329】
上記したように、乱数発生回路115が発生する乱数をサンプリング回路116でラッチすると、そのラッチした乱数は、上位8ビットと下位8ビットのそれぞれについて、ビットの並び順が逆順となる((a)?(b))。CPU111は、サンプリング回路116のラッチした乱数の上位8ビットを上位ポートからRAM112の下位領域に、下位8ビットを下位ポートからRAM112の上位領域に領域に取り込む((b)?(d))。こうしてRAM112の上位領域と下位領域に取り込まれた数値データにより構成される16ビットの数値データが、加工前の乱数ということとなる。
【0330】
下位領域のデータは、その後の加工で書き換えられてしまうが、その後にも加工前の乱数の下位領域のデータを用いることがあるので、加工前の下位領域のデータを待避データとしてRAM112の所定の待避領域に待避しておく。次に、CPU111は、上位領域のデータから11hを減算し、その結果のデータを新たに上位領域に一時格納する(e)。次に、上位領域のデータを読み出し、データを1ビットずつ下位(右)にローテイトし、その結果のデータを新たに上位領域に一時格納する(f)。
【0331】
次に、上位領域のデータと下位領域のデータとをビット毎に排他的論理和演算し、その結果のデータを新たに上位領域と下位領域の両方に格納する(g)。さらに、待避領域のデータ78hを加算し、その結果のデータを新たに待避領域に一時格納する(h)。そして、上位領域のデータと待避領域のデータとをビット毎に排他的論理和演算し、その結果のデータを新たに上位領域に格納する(i)。このとき上位領域に格納されているデータを上位8ビットとし、下位領域に格納されているデータを下位8ビットとした数値データが、内部抽選用の乱数として取得されることとなる(j)。
【0332】
なお、ここで最終的に生成される内部抽選用の乱数は、パルス信号の入力毎に、ほぼランダムに値が現れてくることとなる。すなわち、連続性も周期性も排除されたものとなる。ここでは、乱数発生回路115の数値のように完全に値が連続した状態から、ランダムに非連続な値が現れる状態に近づくことを、バラつくというものとする。例えば、乱数発生回路115の数値からサンプリング回路116の数値への変化、サンプリング回路116の数値から加工前の乱数への変化、加工前の乱数から内部抽選用の乱数の乱数への変化、のいずれも値がバラつくものに該当する。バラツキ、バラケるなどといった場合も同じである。
【0333】
この第3の変形例では、上位領域のデータと下位領域のデータとの最終的な排他的論理和演算(図22(i))を行う前に、上位領域のデータから11hを減算し(図22(e))、下位に1ビットローテイトし(図22(f))、下位領域のデータと排他的論理和演算して(図22(g))、上位領域のデータを予め加工しておくものとしていたが、必ずしもこれらの全てを必要とする訳ではなく、いずれか1つまたは2つを適用し、最終的な排他的論理和演算の前における上位領域のデータの加工は全くなくてもよい。このときの上位領域のデータが内部抽選用の乱数における最終的な上位バイトのデータとなるものとしてもよい。図22(e)?(f)の処理を行う順番は、任意の順番に入れ替えることができる。
【0334】
また、図22(e)で減算する値は11hに限るものではなく、00h以外の任意の値を加算または減算することができ、図22(f)でローテイトするのは下位に1ビットに限るものではなく、7ビットまでの任意のビット数だけ上位または下位にローテイトすることができる。図22(g)で排他的論理和演算される下位領域のデータは、乱数発生回路115から最初に下位領域に入力したデータに対して所定の演算を行ったものであってもよい。上位領域のデータに対して行う演算としては、これ以外の演算式による演算も適用することができる。さらには、図22(i)で上位領域のデータに対して排他的論理和演算される待避領域のデータは、乱数発生回路115から最初に下位領域に入力したデータであってもよく、図22(e)?(g)とは異なる所定の演算を行ったデータであってもよい。
【0335】
また、内部抽選用の乱数における最終的な下位バイトのデータは、乱数発生回路115から最初に下位領域に入力したデータがそのまま適用されるものとしてもよい。図22(h)で78hを加算した後の待避領域のデータを内部抽選用の乱数における最終的な下位バイトのデータとしてもよい。或いは、図22(g)で下位領域に格納した排他的論理和演算の結果のデータに78hを加算して、最終的な下位バイトのデータとしてもよい。さらには、下位領域のデータに対して行う演算として、これ以外の演算式による演算を適用し、その演算結果を内部抽選用の乱数における最終的な下位バイトのデータとしてもよい。
【0336】
なお、CPU111の有する命令セットが2アドレス方式または3アドレス方式の場合には、RAM112の上位領域に格納されたデータから11hを減算し、その減算結果のデータを上位領域に格納するものとし、また、RAM112の上位領域に格納されたデータと、同じくRAM112の下位領域に格納されたデータとを排他的論理和演算し、その排他的論理和演算の結果のデータを上位領域に格納するものとすることができる。
【0337】
これに対して、CPU111の有する命令セットが1アドレス方式である場合には、例えば図22(e)のような減算を行う場合に、RAM112の上位領域に格納されたデータをまずアキュムレータ(汎用レジスタ)にロードし、アキュムレータのデータから11hを減算して減算結果のデータを再びアキュムレータに格納するものとなる。ここでは、RAM112の上位領域に格納されたデータをアキュムレータにロードしたときに、当該アキュムレータは実質上は上位領域として作用することとなり、ここでは上位領域のデータに対して未だ演算を行うので、アキュムレータのデータをRAM112の上位領域に未だストアする必要はない。
【0338】
図22(f)では、図22(e)の減算の結果が格納されているアキュムレータのデータを1ビットずつ下位にローテイトし、その結果のデータを再びアキュムレータに格納するものとなる。図22(g)では、図22(f)の演算の結果が格納されているアキュムレータのデータに対してRAM112の下位領域に格納されているデータをビット毎に排他的論理和演算し、その結果のデータをアキュムレータに格納するものとなる。この時点では依然として、アキュムレータがRAM112の上位領域として作用しているので、図22(g)→(j)では、アキュムレータのデータをRAM112の下位領域にストアすればよいこととなる。
【0339】
さらに、図22(h)では、RAM112の待避領域のデータをアキュムレータにロードするが、ここでアキュムレータは待避領域として作用することとなり、アキュムレータのデータに11hを加算してアキュムレータに格納すればよい。図22(i)では、アキュムレータのデータをRAM112の上位領域のデータとビット毎に排他的論理和演算し、その結果をアキュムレータに格納することとなるが、排他的論理和演算の結果が格納された後のアキュムレータは、再び上位領域として作用することとなる。
【0340】
このように1アドレス方式の命令セットを有するCPU111におけるアキュムレータは、演算の過程において格納されているデータによって、上位領域、下位領域、待避領域のいずれとしても作用するものとなる(もっとも、上記のような乱数の加工法では、アキュムレータが下位領域として作用することはない)。同様に0アドレス方式の命令セットを有するCPU111におけるスタックも、演算の過程において格納されているデータによって、上位領域、下位領域、待避領域のいずれとしても作用するものとなる。
【0341】
また、CPU111が複数の汎用レジスタを有するのであれば、RAM112に上位領域及び下位領域を設けるのではなく、いずれかの汎用レジスタ2つを上位領域及び下位領域として適用するものとしてもよい。特にCPU111が1バイトの汎用レジスタの他に、2バイトの汎用レジスタを有すれば、これを上位領域及び下位領域のために用いるものとしてもよい。
【0342】
また、RAM112において、サンプリング回路116から取り込んだ2nビットの数値データを格納する領域にも、最終的に生成された内部抽選用の乱数を格納する領域にも、同じ上位領域と下位領域とを用いていたが、別々の領域を用いるものとしてもよい。例えば、最終的に生成される内部抽選用の乱数が格納される2バイトの乱数領域を、上位領域及び下位領域とは別に設けるものとした場合、上位領域のデータを乱数領域の下位バイトに格納し、図22(i)の排他的論理和演算の結果のデータを乱数領域の上位バイトに格納するものとすればよい。
【0343】
なお、この第3の変形例では、内部抽選用の乱数のビット数は、乱数発生回路115の発生する乱数のビット数と同じ16ビットであって0?65535の値をとるものとなっている。この場合、各役の判定値数は、乱数の大きさに応じた値とする(例えば、上記の実施の形態の場合の4倍とする)ものとすればよい。また、上記の実施の形態における乱数の生成と同時に、16ビットのうちの一部のビット(上記の実施の形態では、第7ビットと第15ビット)を間引くことにより、内部抽選用の乱数がとり得る値の範囲がこれより小さくなるものとしてもよい。間引いた2ビットの数値は、他の処理(例えば、ボーナス告知のための演出など)の抽選に用いることができる。これにより、間引いたビットの数値も有効に利用することができる。
【0344】
この第3の変形例における内部抽選用の乱数の生成方法は、図23?図26にそれぞれ示すように、図22(a)?(d)の過程を変更することができる。
【0345】
図23の例では、図22(a)?(b)の場合と同様に乱数発生回路115の発生する乱数を、上位8ビットと下位8ビットとでそれぞれビットの並び順を入れ替えてサンプリング回路116が取り込む(a)?(b)。次に、サンプリング回路116が取り込んだ乱数の上位8ビットを上位ポートを介してRAM112の上位領域に、下位8ビットを下位ポートを介してRAM112の下位領域に取り込む(b)?(d)。その後、ソフトウェアの処理により、上位バイトに格納された数値データと下位バイトに格納された数値データとを入れ替えて、加工前の乱数を取得するものとしてもよい(e)。
【0346】
なお、乱数発生回路115とサンプリング回路116との間の配線の接続順を逆順にして、RAM112に最初に取り込まれる乱数について上位バイトと下位バイトのビットの並び順を逆順とするのではなく、サンプリング回路116と上位ポート:下位ポートとの間の配線の接続を逆順にして、RAM112に最初に取り込まれる乱数についての上位バイトと下位バイトのビットの並び順を、乱数発生回路115の発生する乱数と逆順にするものとしてもよい。この点は、図22の例においても適用することができる。
【0347】
図24の例では、乱数発生回路115とサンプリング回路116との間の配線の接続が逆順になってなく、まず、乱数発生回路115の発生する乱数を、そのままのビットの並び順でサンプリング回路116が取り込む(a)?(b)。次に、サンプリング回路116が取り込んだ乱数の上位8ビットを上位ポートを介してRAM112の上位領域に、下位8ビットを下位ポートを介してRAM112の下位領域に取り込む(b)?(d)。
【0348】
その後、ソフトウェアの処理により、上位バイトに格納された数値データと下位バイトに格納された数値データとを入れ替える(e)。さらに、ソフトウェアの処理により、上位バイトに格納された数値データと下位バイトに格納された数値データのビット並び順をそれぞれ逆順に入れ替えて、加工前の乱数を取得するものとしてもよい(f)。なお、上位バイトに格納された数値データと下位バイトに格納された数値データのビット並び順をそれぞれ逆順に入れ替えるのを先に、上位バイトに格納された数値データと下位バイトに格納された数値データとを入れ替えるのを後にしてもよい。
【0349】
図25の例では、乱数発生回路115とサンプリング回路116との間の配線が、上位バイトと下位バイトとで逆になり、それぞれのバイト内ではビットの並び順が変わらないように接続されている。ここでは、乱数発生回路115の発生する乱数を、上位バイトと下位バイトとを入れ替えてサンプリング回路に取り込む(a)?(b)。次に、サンプリング回路116が取り込んだ乱数の上位8ビットを上位ポートを介してRAM112の上位領域に、下位8ビットを下位ポートを介してRAM112の下位領域に取り込む(b)?(d)。
【0350】
その後、ソフトウェアの処理により、上位バイトに格納された数値データと下位バイトに格納された数値データのビット並び順をそれぞれ逆順に入れ替えて、加工前の乱数を取得するものとしてもよい(e)。なお、乱数発生回路115とサンプリング回路116との間の配線に並び順の変更がなく、サンプリング回路116の上位バイトがCPU111の下位ポートに、下位バイトが上位ポートに接続されているものとしてもよい。
【0351】
図26の例では、乱数発生回路115とサンプリング回路116との間の配線が、完全に逆順に接続されている。ここでは、サンプリング回路116が乱数発生回路115の発生する乱数のビットの並び順を完全に逆順にして取り込む(a)?(b)。そして、サンプリング回路116に取り込まれた乱数の上位バイト、下位バイトをそのまま上位ポート、下位ポートを介して、RAM112の上位領域、下位領域に取り込むものとすればよい(b)?(d)。
【0352】
また、この第3の変形例における内部抽選用の乱数の上位バイトと下位バイトにおけるそれぞれのバイト内でのビットの並び順は、必ずしも逆順に限るものではなく、例えば、それぞれのバイト内の最上位ビットと最下位ビットとを入れ替えるだけのものであってもよい。もっとも、とりわけタイミングの違いに応じた値の変化が少ない乱数発生回路115の発生する乱数の上位バイトは、なるべく多くのビットが入れ替えられることが好ましい。
【0353】
上記の実施の形態では、乱数発生回路115が発生する乱数、すなわちハードウェア乱数機能により抽出した乱数をソフトウェアにより加工する場合に本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、上記したソフトウェアによる乱数の加工は、ソフトウェアにより周期的に更新される乱数に適用してもよい。例えば、制御部110を構成するマイクロコンピュータとは第1のマイクロコンピュータにおいてタイマ割り込みなどにより周期的に更新される乱数を、CPU111が第2のマイクロコンピュータに指示を送って抽出させ、I/Oポート114を介してCPU111に入力して、汎用レジスタ111GRに格納するものとすることができる。第2のマイクロコンピュータの機能は、制御部110を構成するマイクロコンピュータに含まれていてもよい。この場合にも、加工後に取得される乱数の値をバラつかせることができるようになり、遊技者による狙い打ちの防止の効果を図ることができる。
【0354】
上記の実施の形態では、判定値数記憶領域は、2バイトの領域を用いて、それぞれの場合における判定値数を記憶するものとしていた。もっとも、一般的なスロットマシンでは、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、或いはビッグボーナス(2)といった役の判定値数は、いずれの遊技状況においても255を超えるものが設定されることはあり得ない。このように255を超える判定値数を設定する必要がないものについては、1バイトの領域だけを用いて、判定値数を記憶するものとしてもよい。
【0355】
上記の実施の形態では、判定値数は、設定値1?6の全体に共通して記憶されているか、設定値1?6のそれぞれに対して個別に記憶されているかであった。もっとも、設定値1?6の全体に共通して判定値数が記憶されない(設定値についての共通フラグが設定されない)ものとして、例えば、設定値1?3については判定値数が共通、設定値4?6については判定値数が共通のものとすることもできる。
【0356】
上記の実施の形態では、通常の遊技状態またはRTにおいては、賭け数として3を設定することのみによりゲームを開始させることができた。これに対して、通常の遊技状態またはRTにおいても、賭け数として1を設定してゲームを開始させることをできるようにしたり、さらには賭け数として2を設定してゲームを開始させることをできるようにしてもよい。
【0357】
通常の遊技状態及びRTで賭け数として1または2が設定されていたときには、賭け数として3が設定されたときよりも内部抽選における小役の当選確率を低下させるともに、小役に入賞したときの払い出しメダル枚数を増加させることができる。また、通常の遊技状態及びRTにおいて賭け数として1、2、または3のいずれも設定できるスロットマシンでは、判定値数は、設定値1?6の全体に共通して記憶される役があるだけではく、賭け数1?3の全体に共通して記憶される役があるものとしてもよい。この場合は、賭け数に応じても判定値数の記憶領域を小さくすることができ、さらに記憶容量の削減を図ることができる。
【0358】
上記の実施の形態では、遊技状態がビッグボーナスにあってRAM112にビッグボーナス中フラグ(ビッグボーナス(1)中フラグまたはビッグボーナス(2)中フラグ)が設定されているゲームではスタートレバー11の操作時にRAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定されているかどうかを判定し、レギュラーボーナス中フラグが設定されていなければ、これを設定してレギュラーボーナスに制御するものとしていた。こうしてビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の入賞後に最初にレギュラーボーナスに制御する場合も、一回分のレギュラーボーナスが終了して未だビッグボーナスが終了していないときに再びレギュラーボーナスに制御する場合も、同じ処理を行えばよいものとしていた。
【0359】
これに対して、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞したときにRAM112にビッグボーナス中フラグとともにレギュラーボーナス中フラグを設定し、ビッグボーナス中でレギュラーボーナスの終了条件が成立したときには該レギュラーボーナス中フラグを消去する。ここで、レギュラーボーナス中フラグが消去されたときにおいて、ビッグボーナスの終了条件が成立していないと判定されてビッグボーナス中フラグがRAM112に設定されている状態となっていれば、再びレギュラーボーナス中フラグをRAM112に設定して、そのまま新たなレギュラーボーナスに制御するものとしてもよい。この場合には、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の入賞によりビッグボーナスが制御されたときに同時にレギュラーボーナスに制御することができ、また、一回分のレギュラーボーナスが終了して未だビッグボーナスが終了していないときに即座にレギュラーボーナスに復帰できることとなる。
【0360】
また、ビッグボーナスの遊技状態は、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)の入賞で小役ゲームを提供し、さらに小役ゲームでのJACIN当選に基づいてJACIN(例えば、「ベル-JAC-JAC」で小役ゲーム中において内部抽選の対象役となる)に入賞することで、遊技状態をビッグボーナス中のレギュラーボーナスを提供するものとしてもよい。ビッグボーナス中に1セット分のレギュラーボーナスが終了し、未だ払出メダル枚数が465枚を越えていなければ、再び小役ゲームに制御するものとすることができる。
【0361】
上記の実施の形態では、当選フラグの設定状況に基づいてリール制御テーブルを予め選択し、リール3L、3C、3Rの停止時においてリール制御テーブルを参照して図柄の停止位置を決定し、当該停止位置でリールを停止させるテーブル方式でリール3L、3C、3Rの回転を停止させるスロットマシンを例として説明した。これに対して、停止条件が成立したときの現在の図柄位置と当選フラグの設定状況に基づいて、当選している役の図柄が揃うように引き込み制御を行ったり、当選していない役の図柄が揃わないように外し制御を行うコントロール方式でリール3L、3C、3Rの回転を停止させるスロットマシンにも本発明を適用することができる。
【0362】
コントロール方式では、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されたときに、対応するリール3L、3C、3Rについてその時点で表示されている図柄から190ミリ秒の最大停止遅延時間の範囲内(表示されている図柄と引き込み分を含めて合計5コマの範囲)に、当選フラグの設定されている役の図柄があるかどうかを判定する。当選フラグの設定されている役の図柄(重複当選時には、導出が優先される役の図柄から判断する)があれば、当該役を入賞させるための図柄を選択して入賞ライン(既に停止しているリールがあるときには、停止しているリール上の図柄とともに入賞の表示態様を構成可能な入賞ライン)上に導出させる。そうでなければ、いずれの役にも入賞させないための図柄を選択して導出させる。すなわち、このコントロール方式によりリール3L、3C、3Rの停止を制御する場合も、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が検出されてから最大停止遅延時間の範囲で図柄を停止させることにより導出可能となる表示態様であって当選フラグの設定状況に応じた表示態様が、可変表示装置2の表示結果として導出されるものとなる。
【0363】
上記の実施の形態では、可変表示装置2は、外周部に複数の図柄を所定順に配した3つのリール3L、3C、3Rを備えるものとし、これらのリール3L、3C、3Rの回転駆動によって図柄を可変表示させるものとしていた。しかしながら、液晶表示装置などの表示装置上で仮想的に図柄を可変表示させるものを、上記のような可変表示装置2の代わりに用いてもよい。
【0364】
上記の実施の形態では、賭け数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシン(いわゆるパロット)であってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記の実施の形態で賭け数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭け数を設定するものに相当する。
【図面の簡単な説明】
【0365】
【図1】本発明の実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。
【図2】可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。
【図3】図1のスロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
【図4】遊技制御基板内のRAMの格納領域を示す図である。
【図5】(a)は、入賞となる役の図柄組み合わせを示す図であり、(b)は、遊技状態別当選役テーブルの例を示す図であり、(c)は、役別テーブルの例を示す図である。
【図6】判定値数の記憶領域の例を示す図である。
【図7】(a)は、乱数発生回路の構成を示すブロック図であり、(b)は、乱数発生回路から抽出した乱数をソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの説明図である。
【図8】遊技制御基板内のROMに格納されたテーブルインデックスの構成を示す図である。
【図9】停止制御テーブルの一例を示す図である。
【図10】遊技制御基板内の制御部が実行する起動処理を示すフローチャートである。
【図11】遊技制御基板内の制御部が実行する設定変更処理を示すフローチャートである。
【図12】遊技制御基板内の制御部が実行するRAM異常エラー処理を示すフローチャートである。
【図13】遊技制御基板内の制御部が、1ゲーム毎に実行するゲーム制御処理を示すフローチャートである。
【図14】図13の抽選処理を詳細に示すフローチャートである。
【図15】図14の乱数取得処理を詳細に示すフローチャートである。
【図16】図13のリール回転処理を詳細に示すフローチャートである。
【図17】図13の入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図18】図13の払出処理を詳細に示すフローチャートである。
【図19】演出制御基板内の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【図20】乱数発生回路から抽出した乱数をソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの第1変形例の説明図である。
【図21】乱数発生回路から抽出した乱数をソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの第2変形例の説明図である。
【図22】乱数発生回路から抽出した乱数をソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの第3変形例の説明図である。
【図23】第3の変形例において、乱数発生回路から乱数を抽出し、加工前の乱数とするまでのさらなる変形例を示す図である。
【図24】第3の変形例において、乱数発生回路から乱数を抽出し、加工前の乱数とするまでのさらなる変形例を示す図である。
【図25】第3の変形例において、乱数発生回路から乱数を抽出し、加工前の乱数とするまでのさらなる変形例を示す図である。
【図26】第3の変形例において、乱数発生回路から乱数を抽出し、加工前の乱数とするまでのさらなる変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0366】
1 スロットマシン
2 可変表示装置
4 液晶表示器
101 遊技制御基板
111 CPU
111GR 汎用レジスタ
112 RAM
113 ROM
115 乱数発生回路
116 サンプリング回路
120 遊技制御基板
121 CPU
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて、
ゲーム毎に前記可変表示装置の表示結果が導出されるより前に、特定表示結果及び短期有利表示結果を含む複数種類の表示結果の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
前記識別情報の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止操作手段と、
前記停止操作手段が操作されたときに、該停止操作手段の操作手順と前記事前決定手段の決定結果とに応じて前記可変表示装置の表示結果を導出させる導出制御手段と、
通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利状態に遊技状態を制御する有利状態制御手段と、
所定の設定操作手段の操作に基づいて、前記事前決定手段により入賞表示結果の導出を許容する旨が決定される確率を設定値毎に異ならせる複数種類の設定値のうちから、いずれかの設定値を選択して設定する設定値設定手段と、
前記設定値設定手段により設定された設定値を示す設定値データを含むゲームの進行を制御するためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶するデータ記憶手段と、
前記スロットマシンへの電源供給が遮断しても前記データ記憶手段に記憶されている前記ゲームの進行を制御するためのデータを保持する保持手段と、
前記スロットマシンの電源投入時に、前記ゲームの進行を制御するためのデータのうちの前記設定値データが適正か否かの判定を個別に行わず、前記保持手段により保持されている前記ゲームの進行を制御するためのデータが電源遮断前のデータと一致するか否かの判定を行う記憶データ判定手段と、
前記記憶データ判定手段により前記保持手段により保持されている前記ゲームの進行を制御するためのデータが前記電源遮断前のデータと一致しないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する第1の不能化手段と、
ゲームの開始操作がなされる毎に、前記データ記憶手段から前記設定値データを読み出し、該読み出した設定値データが示す設定値が前記設定値設定手段により設定可能な設定値の範囲内である場合に前記読み出した設定値データが適正であると判定し、前記設定可能な設定値の範囲内でない場合に前記読み出した設定値データが適正ではないと判定する設定値判定手段と、
前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正ではないと判定されたときに、ゲームの進行を不能化する第2の不能化手段と、
前記第1の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態においても前記第2の不能化手段により前記ゲームの進行が不能化された状態においても、前記設定操作手段の操作に基づいて前記設定値設定手段により前記設定値が新たに設定されたことを条件に、前記ゲームの進行が不能化された状態を解除し、ゲームの進行を可能とする不能化解除手段とを備え、
前記事前決定手段は、前記設定値判定手段により前記読み出した設定値データが適正であると判定したときに、該読み出した設定値データが示す設定値に応じた確率で当該ゲームにおいて入賞表示結果を導出させることを許容するか否かを決定するとともに、前記特定表示結果の導出を許容する旨を決定するときには、前記短期有利表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し、
前記有利状態制御手段は、
前記可変表示装置の表示結果として前記短期有利表示結果が導出されたときに、前記有利状態のうちで所定ゲーム数の間だけ継続する短期有利状態に遊技状態を制御する短期有利状態制御手段と、
予め定められた長期移行条件が成立したときに、前記有利状態のうちで前記所定ゲーム数よりも長いゲーム数の間だけ継続するとともに、終了までに遊技者の得られる利益が前記短期有利状態よりも大きい長期有利状態に遊技状態を制御する長期有利状態制御手段とを含み、
前記長期有利状態において前記短期有利表示結果が導出されたときに、該長期有利状態を終了させて、前記短期有利状態に遊技状態を制御し、
前記導出制御手段は、
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が第一手順で操作されたときに該特定表示結果を導出させる第一手順時導出手段と、
前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて前記停止操作手段が前記第一手順とは異なる第二手順で操作されたときに該短期有利表示結果を導出させる第二手順時導出手段とを含み、
前記スロットマシンは、
前記長期有利状態に制御されているゲームで前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに、所定の情報を報知する情報報知手段をさらに備え、
前記情報報知手段は、前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数以下である場合には前記所定の情報を報知しない一方、前記長期有利状態の残りゲーム数が前記所定ゲーム数よりも多い場合には前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに必ず前記所定の情報を報知する
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記特定表示結果は、前記有利状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別表示結果を含み、
前記事前決定手段は、前記特別表示結果と前記賭数の設定に遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能となる再遊技表示結果との導出を許容するか否かを決定し、
前記短期有利状態制御手段は、前記短期有利状態として前記通常遊技状態よりも前記再遊技表示結果の導出を許容する旨を決定する確率を高くする再遊技高確率状態に遊技状態を制御し、
前記スロットマシンは、
前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定に基づいて該特別表示結果が導出されるまで、該特別表示結果の導出を許容する旨の決定を持ち越させる特別決定持越手段と、
前記可変表示装置の表示結果として前記特別表示結果が導出されたときに、前記特別遊技状態に遊技状態を制御する特別遊技状態制御手段と、
前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定に基づいて該特別表示結果が導出されなかった後、及び前記短期有利表示結果が導出された後に所定の演出を実行する演出実行手段とをさらに備え、
前記導出制御手段は、前記特別表示結果の導出を許容する旨の決定が持ち越されている状態で前記再遊技表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに該特別表示結果よりも該再遊技表示結果を優先して前記可変表示装置の表示結果として導出させる再遊技優先導出手段をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記特別遊技状態に制御された後に所定の特別終了条件が成立したときに、該特別遊技状態を終了させて、前記長期有利状態に遊技状態を制御する特別遊技状態終了手段とをさらに備える
ことを特徴とする請求項2に記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記特定表示結果は、前記特別表示結果とは異なる所定表示結果を含み、
前記事前決定手段は、
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには、さらに前記特定表示結果とも前記短期有利表示結果とも異なる第三表示結果の導出を許容する旨を決定するとともに、
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨を決定するときには、さらに前記第三表示結果の導出を許容する旨も同時に決定し、
前記導出制御手段は、
前記特別表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて、前記停止操作手段が前記第一手順のうちの特別手順で操作されたときに該特別表示結果を導出させるとともに、前記停止操作手段が該特別手順とは異なる非特別手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる特別許容時導出手段と、
前記所定表示結果と前記短期有利表示結果と前記第三表示結果の導出を許容する旨が決定されているときにおいて、前記停止操作手段が前記第一手順のうちの所定手順で操作されたときに前記所定表示結果を導出させるとともに、前記停止操作手段が前記第一手順のうちの前記所定手順とも前記第二手順とも異なる第三手順で操作されたときに該第三表示結果を導出させる第三手順時導出手段とをさらに含み、
前記スロットマシンは、
前記長期有利状態に制御されているゲームで前記第三表示結果が導出されたときに、前記特別表示結果の導出を許容する旨が決定されているか否かを示す特別演出を実行する特別演出実行手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項2または3に記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記特定表示結果は、特別表示結果とは異なる所定表示結果として所定数の遊技用価値の付与を伴う小役表示結果を含み、
前記事前決定手段は、少なくとも前記特定表示結果として前記小役表示結果の導出を許容するか否かを決定し、
前記情報報知手段は、通常遊技状態に制御されているゲームでも前記事前決定手段により前記特定表示結果と前記短期有利表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに、前記所定の情報を報知し、
前記スロットマシンは、
前記可変表示装置の表示結果として前記小役表示結果が導出されたときに前記所定数の遊技用価値により実行可能なゲーム数と前記所定ゲーム数との差が1未満となる数の遊技用価値を遊技者に付与する遊技用価値付与手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2013-02-19 
結審通知日 2013-02-22 
審決日 2013-04-12 
出願番号 特願2006-110963(P2006-110963)
審決分類 P 1 113・ 121- YAA (A63F)
P 1 113・ 537- YAA (A63F)
P 1 113・ 536- YAA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 保  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 吉村 尚
瀬津 太朗
登録日 2009-09-04 
登録番号 特許第4368868号(P4368868)
発明の名称 スロットマシン  
代理人 森田 俊雄  
代理人 中田 雅彦  
代理人 白井 宏紀  
代理人 深見 久郎  
代理人 関谷 三男  
代理人 白井 宏紀  
代理人 森田 俊雄  
代理人 渡辺 敏章  
代理人 中田 雅彦  
代理人 平木 祐輔  
代理人 頭師 教文  
代理人 深見 久郎  

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