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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1288470
審判番号 不服2012-13845  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-20 
確定日 2014-06-12 
事件の表示 特願2008-520429「テレセントリック軸上の暗視野照明で実施される光学系の最適化使用と性能」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 1月18日国際公開、WO2007/008742、平成21年 1月 8日国内公表、特表2009-500631〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成18年7月7日(パリ条約による優先権主張2005年7月8日,(US)米国)を国際出願日とする出願であって,平成24年3月9日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年7月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付けにて手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。
さらに,平成25年4月9日付けで審尋がなされ,回答書が同年7月16日付けで請求人より提出されたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明(下線は補正箇所を示す。)
本件補正により,補正前の特許請求の範囲の請求項1は,
「【請求項1】 平面反射物体の上の欠陥を結像するための結像システムであって、
光学収差が実質的に修正されるに十分な非球面の表面を有するテレセントリックレンズと、
前記平面反射物体からの反射光を阻止するが前記欠陥からの反射光の通過を許す開口を有するテレセントリック絞りと、
レンズ群であって該レンズ群と前記テレセントリック絞りとの間に配置されるシステム絞りを有するピンホールレンズから成り、前記テレセントリックレンズから独立して前記光学収差が実質的に修正されたレンズ群とを含む、結像システム。」
と補正された。

本件補正は,補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「レンズ群」について「ピンホールレンズから成り」と特定し限定した補正を含むものである。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年法改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用刊行物およびその記載事項(下線は当審で付与した。)
(1)本願の優先権主張日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である国際公開第2004/077336号(以下、「刊行物1」という。)には、「同軸狭角暗視野照明」について、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。(日本語訳は、刊行物1に対応する公表公報である特表2006-514308号公報を用いており、原文は省略している。)
(1-ア) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面鏡面物体上の欠陥を撮像する撮像システムであって、 確定された軸および焦点を有するテレセントリック・レンズであって、前記物体の像をカメラに供給するように作用するテレセントリック・レンズと、 前記テレセントリック・レンズの軸に沿って前記物体を照明するように位置付けされた照明光源と、 その中に開口を含み、前記欠陥で反射された光が前記開口を通過するようにしながら前記平面鏡面物体で反射された光を阻止するように位置付けされたテレセントリック絞りとを備えることを特徴とする撮像システム。【請求項2】
前記欠陥がソフト・マークであることを特徴とする請求項1記載の撮像システム。
【請求項3】
前記テレセントリック絞りと前記カメラとの間に位置付けされた入射ひとみを有する第2のレンズ・グループをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の撮像システム。【請求項4】
前記テレセントリック・レンズの焦点が、前記第2のレンズ・グループの入射ひとみと一致することを特徴とする請求項3記載の撮像システム。
・・・
【請求項8】
さらに、前記テレセントリック絞りの開口に位置付けされたアイリス絞り開口を備え、それによって前記テレセントリック・レンズの焦点が調整可能であることを特徴とする請求項1記載の撮像システム。」

(1-イ) 「【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系および関連した照明システムに関し、特に、少なくとも1つの欠陥を有する平面鏡面物体の同軸狭角暗視野照明を実現する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主として平面でかつ鏡面(平らで光沢のある)である半導体製品の部類があり、平面鏡面からの僅かなずれでも適切なコントラストで撮像するようなやり方でこのデバイスを撮像することがしばしば必要になる。そのような部類の製品の1つは、とりわけウェーハ番号および製造業者を示すしるしを備えることができる半導体ウェーハである。このしるしは、ウェーハの表面の欠陥であり、一般に、レーザ・エッチ・ピットのマトリックスである。このしるしは、当技術分野で「ソフト・マーク」として知られている。製造プロセスに沿った様々な段階で、このマークを撮像してコードを読むことが必要である。
【0003】
デバイスが個別にされた後で(一般に、のこぎりで個々の長方形デバイスに切断される)、徐々に伝播して普通より早いデバイス故障を引き起こすことがある小さな傷やクラックについてデバイスの端部を検査することが必要なことがある。この検査プロセスは自動化されており、必要な検査、測定および識別を行なうようにプログラムされているディジタル電子コンピュータと組み合わせて電子撮像カメラが使用される。
一般に、暗視野照明は、当業者にはよく知られている技術であり、鏡面物体の欠陥を検査するのに特に有用である。暗視野照明の定義は、照明光源の特性、物体と観察者またはカメラとの両方に対する照明光源の位置、および照明される物体の特性に依存する。暗視野照明の定義を満たすためには、物体に入射する照明の大部分は観察者またはカメラの光学開口に入らない方向に反射されることが必要である。暗視野照明は、光の大部分が直接カメラの中に反射される明視野照明と比較することができる。」

(1-ウ) 「【0005】・・・ ある特定の物体を撮像する際に、それがなければ実質的に平面でかつ鏡面である表面の非常に少ない特徴を強調することが望ましい。この特徴には、ソフト・マークおよび個別デバイスの端部がある。これを実現するためには、照明光源が直接反射されて撮像システムに入らないようにして、照明光源が撮像システムに対してできるだけ軸上近くにあるようにすること(すなわち、狭角)が必要である。これを実現する最も有効な方法は、現在知られているように、バッフルを使用して照明光源、物体、バッフル、および撮像システムの間に特定の位置合わせを実現することである。」

(1-エ)「【0007】
本発明は、平面鏡面物体の欠陥を撮像する撮像システムを提供する。本システムは、確定された軸および焦点を有するテレセントリック・レンズを含む。テレセントリック・レンズは、物体の像をカメラに供給するように作用する。照明光源は、テレセントリック・レンズの軸に沿って物体を照明するように位置付けされている。鏡面物体の場合、開口を含むテレセントリック絞りは、欠陥で反射された光が開口を通過するようにしながら平面鏡面物体で反射された光を阻止する。」

(1-オ)「【0012】
図3を参照して、本発明に従った第1の好ましい光学撮像システム100の部分実体、部分断面図が示されている。図3は、平面物体102を示す。平面物体102は好ましくはシリコン・ウェーハ104であり、このシリコン・ウェーハ104をより詳細に図4に示す。シリコン・ウェーハ104は本質的に鏡面である。シリコン・ウェーハ104は、一般に、ソフト・マーク105のような欠陥を含む。ソフト・マーク105は、レーザ・エッチ・ピットの集まりで構成され、シリコン・ウェーハ104に関する情報を提供する。シリコン・ウェーハ104は、また、複数の半導体デバイス106を含む。本発明は、シリコン・ウェーハ104の検査、特にソフト・マーク105の撮像に関して説明するが、本発明は他の平面物体の撮像に同等に使用応用可能であることは理解される。例えば、半導体デバイス106が個別にされたとき、半導体デバイスの端部欠陥を検査することができる。
【0013】
続けて図3を参照して、光学撮像システム100は、それぞれ造り出された用語の後部グループ108とテレセントリック視野レンズ110との一対のレンズ・グループを含む。後部レンズ・グループ108とテレセントリック視野レンズ110との両方のための適切なレンズの1つの供給元はEdmund Scientificである。以下でより詳細に説明するように、後部レンズ・グループ108およびテレセントリック視野レンズ110は、ソフト・マーク105の像113をカメラ200に向けるように協働する。カメラ200は、好ましくは、CCDまたはCMOS型センサを含んだディジタル・カメラである。
【0014】
後部レンズ・グループ108は、補正された対物レンズの集まりで定められ、そして入射ひとみ109を含む。後部レンズ・グループ108は、好ましくはゆがみが小さく、カメラ200を補完するのに十分な解像力を有する。理解されることであるが、後部レンズ・グループ108は、どのような型のカメラ200が使用されるかに依存して異なることができる。 理解されることであるが、テレセントリック視野レンズ110は、物体の撮像を物体102の面に沿ってテレセントリックにするテレセントリック視野レンズとして作用する。言い換えると、光線はテレセントリック・レンズを出るとき互いに平行であり、かつ好ましくは物体102の面に対して垂直である。光源118で照明されたとき、理解されることであるが、テレセントリック・レンズ110およびレンズ・グループ108は像113をカメラ200に形成するように作用する。テレセントリック・レンズ110は、軸111およびテレセントリック開口または焦点112を含んだいくつかの決定的な特性を有する。図3に示すように、テレセントリック視野レンズ110の焦点112は後部レンズ・グループ108の入射ひとみ109と一致している。軸111は、後部レンズ108およびカメラが軸111に沿って同様に位置付けされるようにシステム100の光軸を定める。」

(1-カ)「【0016】
好ましい照明光源を図5に示す。図5を参照して、プリント回路基板121に取り付けられた複数のLED120を利用する環状光源が示されている。理解されることであるが、プリント回路基板121はテレセントリック絞り116として機能することができる。プリント回路基板121は、テレセントリック絞り116の開口117と少なくとも同じくらいの開口121Aを含む。テレセントリック絞り116と共にアイリス絞り開口が使用される場合には、開口121Aは、使用可能な最大開口設定と同じくらいでなければならない。図示のように、LED120は内側円形グループ119Aと外側円形グループ119Bとに分けて構成されている。理解されることであるが、内側グループ119Aおよび外側グループ119Bは、物体102の僅かに異なる狭角の照明を実現する。内側および外側グループ119A、119Bは、物体102の性質に依存して、一緒にまたは交互に照明することができる。理解されることであるが、LEDの追加の円形グループが設けられるかもしれない。
【0017】
欠陥の種類に対するシステムの感度は、主として、テレセントリック・レンズ110と光源の直径との焦点比によって決定される。本発明は、この感度を調整する方法を提供する。特に、環状光源119Aおよび119Bの異なる直径を使用することができ、または代わりに、テレセントリック絞り116の開口117の直径を調整することができる。開口117は、アイリス絞りを使用して調整可能にすることができ、それによって、システムの調整可能な焦点比を実現する。」

上記(1-ア)?(1-カ)の記載と第1?6図を参照すると,上記刊行物1には, 次の発明が記載されていると認められる。
「平面鏡面物体上の欠陥を撮像する撮像システムであって、
確定された軸および焦点を有するテレセントリック・レンズであって、前記物体の像をカメラ200に供給するように作用するテレセントリック・レンズ110と、
前記テレセントリック・レンズ110の軸に沿って前記物体を照明するように位置付けされた照明光源118と、
その中に開口117を含み、前記欠陥で反射された光が前記開口117を通過するようにしながら前記平面鏡面物体で反射された光を阻止するように位置付けされたテレセントリック絞り116とを備え、
前記テレセントリック絞り116と前記カメラとの間に位置付けされた入射ひとみ109を有する、好ましくはゆがみが小さい補正された対物レンズの集まりで定められる後部レンズ・グループ108をさらに備え、
後部レンズ・グループ108は、どのような型のカメラ200が使用されるかに依存して異なることができ、
前記テレセントリック絞り116の開口に位置付けされたアイリス絞りを備える撮像システム。」(以下,「引用発明」という。)

3 対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。
ア 物体を撮像することは、物体からの光を撮像面に結像することである。
そうすると、引用発明の「撮像システム」は、「平面鏡面物体上の欠陥を撮像する」ものであるから、「平面鏡面物体上の欠陥」を撮像面に結像しているといえるので、本願発明の「結像システム」に相当する。

イ 引用発明の「テレセントリック絞り116」は,補正発明の「テレセントリック絞り」に相当することは明らかである。

ウ 引用発明の「テレセントリック・レンズ110」と補正発明の「光学収差が実質的に修正されるに十分な非球面の表面を有するテレセントリックレンズ」とは「テレセントリックレンズ」の点で共通する。

エ 引用発明の「後部レンズ・グループ」が、本願発明の「レンズ群」と同様の集光機能を有することは明らかであり、引用発明の「テレセントリック絞り116と」、「前記テレセントリック絞りの開口に位置付けされたアイリス絞りを備える」ことは、絞りとしては、テレセントリック絞り116とアイリス絞りがあることになる。
また、本願明細書の「【0089】・・・、後ろ群と前レンズとの間で定義されるシステム絞り・・・」との記載より、システム絞りとは「後ろ群と前レンズとの間で定義される」絞りであるから、引用発明のアイリス絞りはシステム絞りである。
そうすると、引用発明の「テレセントリック絞り116と前記カメラとの間に位置付けされた入射ひとみを有する好ましくはゆがみが小さい補正された対物レンズの集まりで定められる後部レンズ・グループ」であって「前記テレセントリック絞りの開口に位置付けされたアイリス絞りを備える」ものと、補正発明の「レンズ群であって該レンズ群と前記テレセントリック絞りとの間に配置されるシステム絞りを有するピンホールレンズから成り、前記テレセントリックレンズから独立して前記光学収差が実質的に修正されたレンズ群」とは、「レンズ群であって該レンズ群と前記テレセントリック絞りとの間に配置されるシステム絞りを有するレンズ群」の点で共通する。

そうすると,両者は,
(一致点)
「平面反射物体の上の欠陥を結像するための結像システムであって、
テレセントリックレンズと、
前記平面反射物体からの反射光を阻止するが前記欠陥からの反射光の通過を許す開口を有するテレセントリック絞りと、
レンズ群であって該レンズ群と前記テレセントリック絞りとの間に配置されるシステム絞りを有するレンズ群とを含む、結像システム。」である点で一致し,以下の点で相違するといえる。

(相違点1)
テレセントリックレンズとレンズ群について、
補正発明では、「光学収差が実質的に修正されるに十分な非球面の表面を有するテレセントリックレンズ」と、「前記テレセントリックレンズから独立して前記光学収差が実質的に修正されたレンズ群」であるのに対して、
引用発明では、光学収差については特定されていないが、レンズ群について、「好ましくはゆがみが小さい補正された対物レンズの集まりで定められる」ものである点。

(相違点2)
レンズ群について、補正発明では、「ピンホールレンズから成」るのに対して、引用発明では、その点が特定されていない点。

(1)相違点1についての検討
引用発明は「後部レンズ・グループ108は、どのような型のカメラ200が使用されるかに依存して異なることができ」るのであるから、テレセントリックレンズとは独立にレンズ群を換えることが可能といえる。
また、ゆがみの少ない画像を得るために、レンズの光学収差を小さくしようとすること、そのために非球面レンズを用いることは、例えば拒絶査定において提示された特開2000-2835号公報には「【0005】非球面を用いて、歪曲収差を小さくすることは公知である・・・」と記載され、同じく拒絶査定において提示された特開平4-218011号公報には「・・・少なくとも1面非球面を導入することにより、テレセントリックな光学系で歪曲収差を補正したものである。」(第2頁右下欄13?15行)と記載されているように周知技術である。
そして、できるだけゆがみのない画像を得ることは、検査のための画像においては当然の課題である。
してみると、引用発明に上記周知技術を適用して、一つのレンズであるテレセントリックレンズについては、非球面レンズを採用して光学収差を修正し、一つのレンズとして機能するレンズ群については、前記テレセントリックレンズから独立してレンズ群としての光学収差を修正して、相違点1に記載の補正発明の構成とすることは,十分動機付けがあり,阻害要因もなく,当業者が容易に想到するものといえる。

(2)相違点2についての検討
本願明細書の「【0090】 後ろレンズ群108のためのそのようなレンズの例は、後ろでテレセントリックであり、レンズの前にそのシステム絞りを有するものである。そのようなレンズは、フロント開口が隠れ監視のためにピンホールと位置合わせできるので、しばしばピンホールレンズと呼ばれる。」との記載より、ピンホールレンズ(原文ではpinhole lenses)とは、「後ろでテレセントリックであり、レンズの前にそのシステム絞りを有するものであり、フロント開口が・・・ピンホールと位置合わせできるレンズ群」である。
上記ピンホールレンズの定義を加味して、再度相違点を検討すると、相違点2は、レンズ群について、補正発明では、「後ろでテレセントリックであ」るのに対して、引用発明では、その点が特定されていない点で相違することになるが、この点は上記特開2000-2835号公報に「【0002】・・・カラーCCD用の結像光学系は・・・、レンズ最終面からの射出光を撮像面にできるだけ垂直に入射させる、いわゆるテレセントリック性の良いことも求められる。」と記載されているように、試料の表面状態等を2次元的に観測するための検査装置において周知技術である。
してみると、引用発明に上記周知技術を適用して、相違点2に記載の補正発明の構成とすることは,十分動機付けがあり,阻害要因もなく,当業者が容易に想到するものといえる。

(3)そして,補正発明の作用効果は,刊行物1の記載および周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

(4)したがって,補正発明は,引用発明,周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されることとなるので,本願の請求項1?19に係る発明は,平成23年11月15日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?19に記載された事項により特定されたものであって,その請求項1に係る発明は,次のとおりであると認める。
「【請求項1】 平面反射物体の上の欠陥を結像するための結像システムであって、
光学収差が実質的に修正されるに十分な非球面の表面を有するテレセントリックレンズと、
前記平面反射物体からの反射光を阻止するが前記欠陥からの反射光の通過を許す開口を有するテレセントリック絞りと、
レンズ群であって該レンズ群と前記テレセントリック絞りとの間に配置されるシステム絞りを有し、前記テレセントリックレンズから独立して前記光学収差が実質的に修正されたレンズ群とを含む、結像システム。」(以下,「本願発明」という。)

2 引用刊行物およびその記載事項
本願出願前に頒布された刊行物1およびその記載事項は,上記「第2 2」に記載したとおりである。

3 当審の判断
本願発明は,補正発明から「ピンホールレンズから成り」という「レンズ群」を限定する構成を省いたものに相当する。
そうすると,本願発明の構成要件を全て含む補正発明が,上記「第2 3」において検討したとおり,引用発明,周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明,周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。

4 付言
請求人は,平成25年7月16日付け回答書において、「出願人は、本願を請求項9-15に限定する意思が有りますので、補正の機会を与えて頂きますようお願い申し上げます。」と主張している。
そこで考察する。
(1)請求項9について
「【請求項9】 共通中心点に関して接線方向配列と放射状配列との間で連続的に2以上の同心円状のLEDアレイが交互である、請求項8に記載の結像システム。」であるから、請求項9は、LEDアレイの形状が特定されていないので、「接線方向配列」と「放射状配列」の区別ができないし、「接線方向配列と放射状配列との間」の意味が不明であるから、請求項9に記載されている照明源は例えば、拒絶理由通知に引用された特開平11-31848号公報(特に第6図)、特表2003-503701号公報(特に第5図)に記載されているものと相違しているとはいえない。
しがたって請求項9は、引用文献1、3,4から当業者が容易に想到するものといえるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)請求項10?15について
「【請求項10】
平面に配列された複数の細長い照明源を含み、
該複数の細長い照明源のそれぞれは平面に平行面内で第1の寸法及び第2の寸法を有し、前記第1の寸法は前記第2の寸法より長く、
前記複数の細長い照明源は、該照明源の第1の円形アレイ及び第2の円形アレイに配列され、
前記第1の円形アレイの各細長い照明源の前記第1の寸法の次元は前記平行面内で中心点に関して放射状に配列され、前記第1の円形アレイは前記中心点から第1の半径に配置され、
前記第2の円形アレイの各細長い照明源の前記第1の寸法の次元は前記平行面内で前記中心点に関して接線方向に配列され、前記第2の円形アレイは前記中心点から第2の半径に配置された、テレセントリック軸の上の暗視野(TOAD)照明装置。」であり、請求項1は、「第2 1」に記載しているように結像システムであるから、請求項1を引用する請求項9と、請求項10とは共通する課題・構成さえないので、共通する特別な技術的特徴は存在しない。
したがって、本願は発明の単一性の要件を満たしていないので、特許法第37条の規定ににより特許を受けることができない。

(3)よって、前記請求人の主張は採用できない。

第4 まとめ
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その他の請求項について言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-11-18 
結審通知日 2013-11-19 
審決日 2014-01-28 
出願番号 特願2008-520429(P2008-520429)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
P 1 8・ 575- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 祐一田嶋 亮介  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 藤田 年彦
信田 昌男
発明の名称 テレセントリック軸上の暗視野照明で実施される光学系の最適化使用と性能  
代理人 松永 宣行  
代理人 三好 秀和  
代理人 原 裕子  
代理人 伊藤 正和  

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