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審決分類 審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A61G
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A61G
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61G
審判 全部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  A61G
審判 全部無効 2項進歩性  A61G
審判 全部無効 特許請求の範囲の実質的変更  A61G
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61G
管理番号 1288905
審判番号 無効2013-800100  
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-06-03 
確定日 2014-05-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3680160号発明「車椅子」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 請求のとおり訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3680160号に係る出願(特願2000-266850号)は、平成12年9月4日の出願であって、その特許権の設定登録は平成17年5月27日にされ、審決(訂正2011-390104)が平成23年10月25日にされ、その後請求人株式会社三貴工業所から無効審判が平成25年6月3日に請求されたものである。以下、審決(訂正2011-390104)以後の経緯を整理して示す。

平成23年10月25日 審決(訂正2011-390104)
平成25年 6月 3日 審判請求書の提出
平成25年 8月 9日 審判事件答弁書の提出
平成25年 8月 9日 訂正請求書の提出
平成25年 8月27日 手続補正書の提出(被請求人より)
平成25年10月15日 無効審判弁駁書の提出
平成25年11月 5日 手続補正書の提出(請求人より)
平成26年 1月16日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人より)
平成26年 1月16日 上申書の提出(請求人より)
平成26年 1月17日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人より)
平成26年 1月31日 口頭審理の実施
平成26年 2月 7日 上申書の提出(請求人より)

第2 本件訂正の内容
平成25年8月9日になされた訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第3680160号の願書に添付した明細書(審決(訂正2011-390104)により認容された全文訂正明細書(甲第1号証))を、平成25年8月9日付けの訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正しようとするものであって、その訂正の内容は、以下の訂正事項1?5のとおりである。
(1)訂正事項1
願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に、「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成され」との記載を追加する。
(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項4,5における「請求項1,2又は3」との記載を、「請求項1又は2」に訂正する。
(4)訂正事項4
願書に添付した明細書の段落【0008】に、「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成され」との記載を追加するとともに、段落【0010】を削除する。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0049】における「ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのレール27を、」との記載を、「ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのローラ27を、」に訂正する。

第3 当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、本件訂正により訂正された特許第3680160号の請求項1,2,4,5に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、無効とすべき理由を次のように主張するとともに、証拠方法として甲第1号証?甲第4号証を提出している。
(なお、平成26年1月31日付けの補正許否の決定により、「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成され」との構成は周知慣用であって、本件特許発明は、該周知慣用の構成を参照すれば、甲第2-1号証から甲第4号証に記載された発明と同一、少なくともこれらの発明から当業者が容易に想到することができたものである旨の主張の追加並びに甲第5号証及び甲第6号証の追加は、許可しなかった。)
無効理由1:訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号の規定に違反し、訂正明細書における特許請求の範囲の請求項2の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反し、訂正明細書における発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反するから、訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1,2,4,5に係る発明の特許は、特許法第123条第1項第4号の規定に基づいて無効とされるべきものである。
無効理由2:訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1,2,4,5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内及び外国において頒布された甲第2-1号証、甲第3-1号証、甲第4号証に記載された発明と同一、またはこれらに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、または特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1,2,4,5に係る発明の特許は、特許法第123条第1項第2号の規定に基づいて無効とされるべきものである。

[証拠方法]
甲第1号証:特許第3680160号全文訂正明細書
甲第2-1号証:米国特許第6,203,106号公報
甲第2-2号証:米国特許第6,203,106号公報の翻訳文
甲第3-1号証:国際公開第00/27332号
甲第3-2号証:国際公開第00/27332号の翻訳文
甲第4号証:特開平10-328241号公報

2.被請求人の主張
被請求人は、本件訂正を認める、本件無効審判の請求は認められない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、請求人の主張する無効理由にはいずれも理由が無い旨主張する。
[証拠方法]
乙第1号証:訂正請求書の写し
乙第2号証:訂正明細書の写し

第4 訂正の可否についての当審の判断
1.訂正の目的について
(訂正事項1)
訂正事項1は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に、「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成され」との記載を追加して訂正前の請求項1を減縮するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(訂正事項2)
訂正事項2は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項3を削除して訂正前の特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(訂正事項3)
訂正事項3は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項4,5における「請求項1,2又は3」との記載を「請求項1又は2」に訂正して、訂正事項2による請求項3の削除に特許請求の範囲の記載を整合させるものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、願書に添付した明細書の段落【0008】に「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成され」との記載を追加するとともに、段落【0010】を削除して、訂正事項1による請求項1に「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成され」との記載を追加する訂正及び訂正事項2による請求項3を削除する訂正に、願書に添付した明細書の記載を整合させるものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(訂正事項5)
願書に添付した明細書及び図面の記載からすると、願書に添付した明細書の段落【0049】における「ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのレール27を、」との記載は誤記であって、正しくは「ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのローラ27を、」であることが明らかである。 そうすると、訂正事項5は、願書に添付した明細書の段落【0049】における「ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのレール27を、」との誤記を「ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのローラ27を、」に訂正するものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。

以上によれば、訂正事項1?5は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、又は第2号に掲げる誤記の訂正、又は第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

2.新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更
(訂正事項1)
訂正事項1は、訂正前の請求項1を引用する請求項3並びに願書に添付した明細書の段落【0010】、【0015】、【0033】、【0034】、【0046】及び図面の図2、図6に記載されていたものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(訂正事項2)
訂正事項2は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項3を削除するものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(訂正事項3)
訂正事項3は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項4,5における「請求項1,2又は3」との記載を「請求項1又は2」に訂正して、訂正事項2による請求項3の削除に特許請求の範囲の記載を整合させるものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(訂正事項4)
訂正事項4は、訂正前の請求項1を引用する請求項3並びに願書に添付した明細書の段落【0010】、【0015】、【0033】、【0034】、【0046】及び図面の図2、図6に記載されていたものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(訂正事項5)
訂正事項5は、願書に添付した明細書の段落【0049】における「ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのレール27を、」との誤記を「ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのローラ27を、」に訂正するものであって、【0040】、【0043】、図5等に基づくものであるから、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

以上によれば、訂正事項1?5は、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3.一群の請求項等について
上記訂正事項1?3に係る訂正後の請求項1,2,4,5は、当該訂正事項1を含む請求項1の記載を、請求項2,4,5が引用しているものであるから、当該請求項1,2,4,5は、特許法施行規則第46条の2第2号に規定する関係を有する一群の請求項に該当する。
そして、訂正事項4,5に係る訂正は、請求項1,2,4,5に対応した訂正であり、一群の請求項が、請求の対象となっている。

4.まとめ
よって、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、又は第2号に掲げる誤記の訂正、又は第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とし、かつ、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第5 本件訂正後の各請求項の記載
上記のとおり、本件訂正は認められるから、訂正された請求項1,2,4,5に係る特許発明(以下、各々「訂正特許発明1,2,4,5」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1,2,4,5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成される車椅子であって、
それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成され、
前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されていることを特徴とする車椅子。
【請求項2】
前記ガイド手段が、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成されることを特徴とする請求項1記載の車椅子。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記座席フレーム体が、前記座席フレーム体から突出したシャフト部と、前記シャフト部を把持するロック体とを備え、前記シャフト部が把持位置を変えることによって、前記座席フレーム体の適宜な角度で停止できるロック装置を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の車椅子。
【請求項5】
前記背フレームにヘッドレストが装着可能に形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の車椅子。」

第6 無効理由についての当審の判断
I.無効理由1
1.請求人の主張
請求人は、「前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体揺動の時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、」との記載を含む訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1(以下単に「請求項1」という場合がある。)の記載が特許法第36条第6項第1号及び第2号の規定に違反し、
「前記ガイド手段が、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成されていることを特徴とする請求項1記載の車椅子。」との記載を含む訂正明細書における特許請求の範囲の請求項2(以下、単に「請求項2」という場合がある。)の記載が特許法第36条第6項第1号の規定に違反する理由として、以下の点を主張する。
(1)「摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム」という記載では、「ガイド手段」が「ガイドフレーム」のみから構成されているのか、或いは「ガイドフレーム」と「その他の部材」とから構成されているのか不明確である。しかも、請求項1には「その他の部材」がどのような構成のものか特定されていないから不明確である。
(2)「ガイドフレーム」に「その他の手段」を加えたものである「ガイド手段」によって座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体をどのようにして支持しているのか不明確である。
また、座席フレーム体は「ガイドフレーム」によって支持されるのか、「その他の手段」によって支持されるのか、「ガイドフレーム」に「その他の手段」を加えたものによって支持されるのか不明確である。
(3)ガイド手段が何に対して摺動するのか不明確である。さらに「ガイドフレーム」に「その他の手段」を加えたものである「ガイド手段」の「ガイドフレーム」が摺動可能なのか、「その他の手段」が摺動可能なのか、「ガイドフレーム」に「その他の手段」を加えたものが摺動可能なのか不明確である。
(4)「ガイド手段」の構成に関する説明が訂正明細書の発明の詳細な説明のどこにも記載されていない。
(5)請求項1では「ガイド手段」は「前記座席フレーム体揺動の時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能」でなければならない。そして請求項2によれば、「ガイド手段」は「ガイド」と「ガイドフレーム」とを有するから、ガイド手段の構成要素である「ガイドフレーム」は摺動可能でなければならない。
しかしながら、訂正明細書の発明の詳細な説明の記載からすれば、「ガイドフレーム14」は摺動せず、「ガイド手段」は摺動可能な「ガイド手段」を構成しない。
即ち請求項1の記載と請求項2の記載は整合しない。
(6)訂正明細書の発明の詳細な説明の記載からすれば、「座席フレーム体20の底フレームに固着されたブラケット26をガイドフレーム14を囲うように配置し、該ブラケット26にガイドフレーム14の外周面を把持して摺動可能に配置された一対のローラ27、27を軸支するようにした構成」は本件特許発明にとっては必須の構成であるのにも関わらず、この構成が請求項1に記載されていない。
(7)請求項1には「座席フレーム体の揺動時に・・・摺動可能なガイド手段」と記載されているが、座席フレーム体20が揺動しても「ガイドフレーム14」は揺動せず、訂正明細書の記載からすれば、摺動するのは座席フレーム体20側に取り付けられているブラケット26に軸支されている一対のローラ27,27である。
(8)本件明細書の発明の詳細な説明の記載からは「ガイド手段」がどのようにして「座席フレーム体」を摺り動かすことが可能であるか不明である。

2.判断
(1)請求人の無効理由1について検討する。
(i)訂正明細書の発明の詳細な説明及び願書に添付した図面(以下単に「図面」という場合がある。)には、以下の記載が存在する。
ア:「【0007】
この発明は、上述の課題を解決するものであり、障害者の安定した姿勢を保持した状態でリクライニング作用が行なえるとともに、堅固に構成されたリクライニング機構を有する車椅子を提供することを目的とする。」

イ:「【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかわる車椅子では、上記の課題を解決するために、以下のように構成するものである。すなわち、
前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成される車椅子であって、
それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成され、前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また好ましくは、前記ガイド手段が、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成されていればよい。」

ウ:「【0013】
【発明の効果】
本発明の車椅子は、座席フレーム体の背フレームを、車輪フレーム体に対して傾倒させる際、座席フレーム体は、車輪フレーム体のガイドフレーム部に案内されながら、左右一対の車輪フレーム体に対して揺動される。車輪フレーム体は、背フレームとサイドフレームと脚フレームとを備えて構成されていることから、座席フレーム体に座位する障害者は、座位姿勢のままでリクライニング作用を行なうことができ、身体を動かせない重度な障害者であっても、安定した姿勢でリクライニングすることが可能となる。しかも、座席フレーム体が、車輪フレーム体に対して揺動する際、揺動支点部のピンだけでなくガイド手段で支持されて摺動することができることから、障害者の体重を十分に支持することができて、障害者を安心して車椅子に搭乗させてリクライニングさせることが可能となる。
【0014】
又、前記座席フレーム体が揺動する際、車輪フレーム体に配設されたガイドフレームに係合可能なガイドが、座席フレーム体に摺動するように構成されていれば、障害者の体重をガイドフレームを介して支持することができることから、リクライニング作用を安定して行なうことができる。」

エ:「【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の車椅子は、障害者を搭乗させてリクライニングする際に、障害者が座位姿勢を崩すことなく後方に揺動でき、しかも極めてスムーズに揺動できるとともに、揺動時に安定して支持できるように堅固に構成するものであり、そのために、実施形態の車椅子1は、図1?2に示すように、左右一対の前輪3及び後輪5と、各前輪3及び後輪5を支持する左右一対の車輪フレーム体10と、一対の車輪フレーム体10の間に配置されて、左右一対の車輪フレーム体10に対して揺動可能な座席フレーム体20と、を有して構成されている。
【0019】
各車輪フレーム体10は、図3にも示すように、座席フレーム体20に軸着される支点部13を有した上部フレーム11と、前輪3と後輪5とを連結する下部フレーム12と、上部フレーム11に配置され支点部13を中心にして円弧状に形成されるガイドフレーム14と、を有して構成されている。」

オ:「【0025】
底フレーム23は、脚フレーム25の下部から背フレーム24の下端部を連結して背フレーム24より後方に延設され、中間部において、車輪フレーム体10のガイドフレーム14の下方を円弧状のガイドフレーム14に沿って屈曲するように形成されている。そして、図5に示すように、底フレーム23に2か所で固着されたブラケット26が、ガイドフレーム14を囲うように配置されるとともに、パイプ状に形成されたガイドフレーム14の外周面を把持して摺動可能に配置された一対のローラ27、27を、軸支するようにして形成されている。
【0026】
従って、座席フレーム体20は、車輪フレーム体10に対して、底フレーム23を介してガイドフレーム14に案内されながら揺動されるとともに、座席フレーム体20に搭乗する障害者の体重は一対のローラ27、27を介して車輪フレーム体10で支持されることとなる。
【0027】
なお、ローラ27は、ガイドフレーム14の外周面上を摺動するものであれば、特にその形状を限定するものではないが、実施形態では、ガイドフレーム14の外径と略同形の凹状円弧部271を外周面に形成した鼓状のローラ27を、ガイドフレーム14の外周面に当接するようにガイドフレーム14を間にして一対配置させている。もちろんローラは、ローラの内周面がガイドフレーム14の外周面に嵌合するようにパイプ状に形成されていてもよい。」

カ:「【0040】
この際、座席フレーム体20に装着されているローラ27が、車輪フレーム体10のガイドフレーム14に沿って摺動しながら、座席フレーム体20は、背フレーム24、サイドフレーム22、肘掛けフレーム21、底フレーム23の各フレーム間の角度を変化させることなく一体的にした状態で、車輪フレーム体10の支点部13を中心に後方に回動される。」

キ:「【0043】
この際、座席フレーム体20の底フレーム23から突出したローラ27は車輪フレーム体10のガイドフレーム14に沿って摺動されることから、障害者の体重は、車輪フレーム体10の支点部13における軸132で支持されるとともにローラ27を介してガイドフレーム14で支持されることとなる。また、ヘッドレスト29が背フレーム24、24に装着されることによって、障害者の頭部は後方に揺動されて重心が後方に移動しても、ヘッドレスト20によって安定した姿勢を維持した状態で支持されることとなる。
【0044】
従って、上述のように、実施形態の車椅子1は、座席フレーム体20の背フレーム24を、車輪フレーム体10に対して揺動させる際、座席フレーム体20は、車輪フレーム体10のガイドフレーム14に案内されながら、車輪フレーム体10に対して揺動されることから、座席フレーム体20に座位する障害者は、座位姿勢のままでリクライニング作用を行なうことができ、身体を動かせない重度な障害者であっても、安定した姿勢でリクライニングすることが可能となる。しかも、座席フレーム体20が、車輪フレーム体10に対して揺動する際、揺動支点部13の軸132だけでなく、ローラ27を介してガイドフレーム14で支持されて摺動することができることから、障害者の体重を十分に支持することができて、障害者を安心して車椅子1に搭乗させてリクライニングさせることが可能となる。
【0045】
又、座席フレーム体20が揺動する際、車輪フレーム体10に配設されたガイドフレーム14に係合可能なローラ27が、座席フレーム体20に摺動するように構成されていれば、障害者の体重をガイドフレーム14を介して支持することができることから、リクライニング作用を安定した姿勢で維持したまま行なうことができる。」

ク:「【0049】
なお、本発明の車椅子は、障害者が座位姿勢のままで揺動できるものであり、座席フレーム体の揺動時に、摺動ガイドできて安定して支持できるように構成するものであれば、上記形態に限定するものではない。例えば、座席フレーム体20の揺動支点部13を図例のようにサイドフレーム22に設けるのではなく、例えば、肘掛けフレーム21に設けるようにしてもよく、その場合、ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのローラ27を、サイドフレーム22から突出するように設けてもよい。」

(ii)訂正された特許請求の範囲の請求項1,2の記載からして、訂正特許発明2は、次のとおりのものである。
「前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成される車椅子であって、
それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成され、
前記ガイド手段が、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成され、
前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されている車椅子。」
また、訂正明細書の発明の詳細な説明における【発明が解決しようとする課題】の欄には、技術課題として「障害者の安定した姿勢を保持した状態でリクライニング作用が行なえるとともに、堅固に構成されたリクライニング機構を有する車椅子を提供すること」(記載ア)が記載されている。
さらに、訂正明細書の発明の詳細な説明における【課題を解決するための手段】の欄(記載イ)には、上記課題を解決するための好ましい態様として、訂正特許発明2と同じものが記載されている。
そして、訂正明細書の発明の詳細な説明における、【発明の効果】の欄の「座席フレーム体が、車輪フレーム体に対して揺動する際、揺動支点部のピンだけでなくガイド手段で支持されて摺動することができる」(記載ウ)との記載、【発明の実施の形態】の欄の「座席フレーム体20が、車輪フレーム体10に対して揺動する際、揺動支点部13の軸132だけでなく、ローラ27を介してガイドフレーム14で支持されて摺動することができる」(記載キ)との記載、「本発明の車椅子は、障害者が座位姿勢のままで揺動できるものであり、座席フレーム体の揺動時に、摺動ガイドできて安定して支持できるように構成する」(記載ク)との記載、【発明の実施の形態】の欄の「座席フレーム体20の底フレーム23から突出したローラ27」(記載キ)との記載、「座席フレーム体20は、車輪フレーム体10のガイドフレーム14に案内され」(記載キ)との記載からすれば、座席フレーム体20から突出するローラ27と、ガイドフレーム14とが前記座席フレーム体20の両側部において前記座席フレーム体20の揺動時に前記座席フレーム体20を支持して摺動させることが可能なガイド手段を構成しているといえるから、上記記載を含む訂正明細書の記載ア?ク及び図1?7の図示内容からして、訂正明細書の発明の詳細な説明及び図面には、発明の実施形態として次のものが記載されている。
「前輪3と後輪5とを支持する車輪フレーム体10が、介護者用のハンドル部241を有する背フレーム24・サイドフレーム22・脚フレーム25を有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体20を間にして左右に一対配置されて構成される車椅子であって、
それぞれの前記車輪フレーム体10は、前記座席フレーム体20の両側において、前記座席フレーム体20に軸着して前記座席フレーム体20を揺動可能に支持する上部フレーム11と、前記上部フレーム11の下方に配置される下部フレーム12と、前記座席フレーム体20の両側部において前記座席フレーム体20の揺動時に前記座席フレーム体20を支持して摺動させることが可能なガイド手段を構成するガイドフレーム14と、を有して構成され、
前記ガイド手段が、前記座席フレーム体20から突出するローラ27と、前記ガイドフレーム14と、を有して構成され、
前記座席フレーム体20が中央部で幅方向に折畳可能に構成されている車椅子。」

(iii)上記実施形態により上記課題を解決できることが明らかであって、上記実施形態の「前記座席フレーム体20から突出するローラ27」が「ガイド」といえ、「ガイドフレーム14」が「ガイドフレーム」といえることからすれば、訂正明細書の発明の詳細な説明及び図面には、訂正特許発明2と同じ上記好ましい態様における、座席フレーム体から突出したガイドとガイドフレームとを有して構成される「前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段」が、座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動させることが可能なガイド手段を意味するものとして記載されているといえる。
そして、訂正特許発明2の「摺動可能なガイド手段」を、訂正明細書及び図面の記載を参酌して「摺動させることが可能なガイド手段」と解釈することが当業者の理解を超えるものというべき根拠も見出せない。
そうすると、訂正特許発明2の「前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段であって、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成されるガイド手段」の技術的意味も明確であって、訂正特許発明2は、実施形態と整合するものとして解釈できる、課題を解決するための好ましい態様として訂正明細書の発明の詳細な説明に記載されているから、訂正明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であって、かつ、訂正明細書の発明の詳細な説明に記載された上記課題を解決できるものである。
さらに、訂正特許発明2の「前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段であって、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成されるガイド手段」から「前記座席フレーム体から突出するガイド」を省いた訂正特許発明1の「摺動可能なガイド手段」の技術的意味は訂正特許発明2について検討したの同様の理由により明確であり、訂正特許発明1は訂正明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であって、かつ、訂正明細書の発明の詳細な説明に記載された上記技術課題を解決できるものである。

(iv)以上によれば、訂正特許発明1,2の「摺動可能なガイド手段」の技術的意味は明確であり、しかも「摺動可能なガイド手段」を含む訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1,2の記載及び請求項1又は2を引用する請求項4,5の記載が不明確であるというべき根拠も見出せない。
そして、訂正特許発明1,2は、発明の詳細な説明に記載された発明であって、かつ、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではなく、訂正特許発明1又は2を引用する訂正特許発明4,5が、発明の詳細な説明に記載された発明でないとか、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであるというべき根拠も見出せない。
さらに、訂正明細書における発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないというべき根拠も見出せない。

(2)次に、請求人の上記主張について検討する。
i)訂正された請求項1の「摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム」との記載は、ガイドフレームが「ガイド手段」を構成する事項を意味する限度において明確である。
そして、上記記載では、「ガイド手段」が「ガイドフレーム」のみから構成されているのか、或いは「ガイドフレーム」と「その他の部材」とから構成されているのか不明確であるとの請求人の主張、請求項1には「その他の部材」がどのような構成のものか特定されていないから不明確であるとの請求人の主張は、上記記載が上記事項を意味することの明確性を否定するものではない。
ii)訂正された請求項1の「摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム」との記載が明確であることは前記i)において説示したとおりである。
また、訂正された請求項1の「前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム」との記載は、前記(1)で説示したとおり、座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動させることが可能なガイド手段を構成することを意味するものであり、明確である。
そして、「ガイドフレーム」に「その他の手段」を加えたものである「ガイド手段」によって座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体をどのようにして支持しているのか不明確であるとの請求人の主張、座席フレーム体は「ガイドフレーム」によって支持されるのか、「その他の手段」によって支持されるのか、「ガイドフレーム」に「その他の手段」を加えたものによって支持されるのか不明確であるとの請求人の主張は、訂正された請求項1の上記記載が上記事項を意味することの明確性を否定するものではない。
(iii)訂正された請求項1の「前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段」が座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動させることが可能なガイド手段を意味することは前記(1)で説示したとおりである。
そして、ガイド手段が何に対して摺動するのか不明確であるとの請求人の主張、「ガイドフレーム」に「その他の手段」を加えたものである「ガイド手段」の「ガイドフレーム」が摺動可能なのか、「その他の手段」が摺動可能なのか、「ガイドフレーム」に「その他の手段」を加えたものが摺動可能なのか不明確であるとの請求人の主張は、訂正された請求項1の上記記載が上記事項を意味することの明確性を否定するものではない。
(iv)訂正明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載から訂正された請求項1,2の「ガイド手段」の構成を理解できることは前記(1)で説示したとおりであるから、「ガイド手段」の構成に関する説明が訂正明細書の発明の詳細な説明のどこにも記載されていないとの請求人の主張は理由がない。
(v)訂正された請求項1の「前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段」が座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動させることが可能なガイド手段を意味することは前記(1)で説示したとおりである。
そうすると、「ガイドフレーム14」は摺動せず、「ガイド手段」は摺動可能な「ガイド手段」を構成しないとの請求人の主張は理由がない。
また、前記(1)の検討結果から、訂正された請求項1の記載と請求項2の記載とは整合するといえる。
(vi)訂正特許発明1,2が訂正明細書の発明の詳細な説明に記載された技術課題を解決できるものであることは前記(1)で説示したとおりであり、「座席フレーム体20の底フレームに固着されたブラケット26をガイドフレーム14を囲うように配置し、該ブラケット26にガイドフレーム14の外周面を把持して摺動可能に配置された一対のローラ27、27を軸支するようにした構成」が本件特許発明にとって必須の構成であると解すべき根拠は見出せない。
(vii)訂正された請求項1の「前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段」が座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動させることが可能なガイド手段を意味することは前記(1)で説示したとおりである。
そして、座席フレーム体20が揺動しても「ガイドフレーム14」は揺動せず、摺動するのは座席フレーム体20側に取り付けられているブラケット26に軸支されている一対のローラ27,27であるとの請求人の主張は、前記(1)における理解を否定するものではない。
(viii)訂正された請求項1の「前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段」が座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動させることが可能なガイド手段を意味することは前記(1)で説示したとおりである。
そして、本件明細書の記載からは「ガイド手段」がどのようにして「座席フレーム体」を摺り動かすことが可能であるか不明であるとの請求人の主張は前記(1)における理解を否定するものではない。

(3)以上の検討結果を踏まえれば、請求人の無効理由1(記載不備)についての上記主張は理由がなく、さらに、
訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1,2,4,5の記載は明確であり、
訂正特許発明1,2,4,5は、発明の詳細な説明に記載された発明であって、かつ、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではなく、
訂正明細書における発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものといえる。

3.まとめ
以上のとおり、訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしており、訂正明細書における特許請求の範囲の請求項2の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に規定する要件を満たしており、訂正明細書における発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしているから、訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1,2,4,5に係る発明の特許についての無効理由1には理由がない。

II.無効理由2
II-1.訂正特許発明1
無効理由2(新規性進歩性)について検討するに当たり、まず甲各号証の記載内容と甲各号証に記載された発明を確認し、次に訂正特許発明1の新規性進歩性について検討する。
1.甲各号証の記載内容と甲各号証に記載された発明
(1)本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2-1号証(米国特許第6203106号明細書)には図面とともに次の事項が記載されている(翻訳文として甲第2-2号証を援用する。)。
甲2ア:「1. A chair for handicapped individuals comprising an undercarriage having a track system including a rear track descending from the rear of said undercarriage to a mid-part thereof and a forward track ascending from said mid-part of said undercarriage to the front thereof, a tiltable seat assembly to which are mounted a rear track follower for following a said descending track of said undercarriage and a mid-part track follower for following a said ascending track of said undercarriage, a brake shiftable between a locked condition for holding said tiltable assembly against movement on said track system of said undercarriage and an unlocked condition for allowing manual gravity-assisted movement of said tiltable assembly on said track system of said undercarriage, a back assembly mounted on said seat assembly in a manner allowing for said back assembly to be tilted with said seat assembly and also shifted into a variety of angular relationships with respect to said seat assembly, and a handle on said back assembly at a location for convenient hand access by a person behind said chair for shifting said brake between said locked and unlocked conditions.」(13欄37行?57行)
『〔請求項1〕
車台の後部から中央部にかけて下行している後部軌道と、車台の中央部から前部にかけて上行している前部軌道とを含む軌道システムとを有する車台と、該車台の該下行軌道に沿って動くための後部軌道従動部と、該車台の上行軌道に沿って動くための中央軌道従動部とが取付けられている傾動可能なシートアセンブリーと、車台の該軌道システム上の動きに対して該傾動可能なアセンブリーを固定するロック状態と車台の該軌道システム上の該傾動可能なアセンブリーの手動の重力の助けによる動きを許すロック解放状態との間を変更可能なブレーキと、該シートアセンブリー上に取付けられ、該シートアセンブリーと共に傾動するようにされ、該シートアセンブリーに対して種々な角度に調節することが出来る背もたれアセンブリーと、該椅子の後ろの人が該ブレーキをロック状態とロック解除状態との間を手で変更するために便利な近傍位置に配したハンドルとからなる身障者用椅子。』

甲2イ:「BACKGROUND OF THE INVENTION
This invention relates to a chair for handicapped individuals, and more particularly to a versatile chair having a variety of adjustable features, especially those that can be accomplished by a care-giver without power assistance. Within the ambit of the invention are invalid chairs for general use as well as those for shower use and those for commode use. One of the more striking features of the invention is the special way for accomplishing easy tilting of a chair structure.
Tiltable chair structures have been on the market for many years, generally with hydraulic, pneumatic, or electrical power assist elements. Whether with or without power assist elements, all heretofore known tiltable chairs have lacked simplified water-shedding or drying design features that are important for shower use. Simplicity for structural elements and their relationship to each other hasn't seemed to have been a dominant consideration in the design of known tiltable and adjustable chairs for the handicapped. Conveniently adjustable hip help in a chair for a handicapped person hasn't received major attention.
A long-standing need has thus existed for a chair for the handicapped capable of a variety of adjustments for patient comfort and positioning without requiring complicated power-assist mechanisms, while at the same time having the total simplicity of structure as needed for shower and commode use, for easy cleaning, and for care-giver convenience in handling handicapped individuals, especially those with severe handicaps.
SUMMARY OF THE INVENTION
A major teaching of this invention is that of a new type of tiltable chair for handicapped individuals. Illustratively, the tiltable chair has an undercarriage and a track system at each lateral side. On the undercarriage is a tiltable seat assembly equipped with track followers that support the tiltable assembly for tilting movement on the track systems of the undercarriage. The track systems of the undercarriage ideally are rail-like in character, and the track followers ideally comprise a roller and holder combination, wherein the roller rides above and the holder below the rails of the track systems.
Tilting action is achieved by employing track systems that have a different slope for the rear and front parts along each lateral side. The rear tracks have a descending slope and the front tracks have an ascending slope. The rear descending and the front ascending slope contribute to gravity assistance for tilting of the tiltable assembly. Tilting is readily accomplished without any power-assist elements and with surprising ease of effort.」(1欄4?54行)
『発明の背景
本発明は身障者のための椅子に関するものであり、更に詳しく述べれば、特に介護人によって動力の必要なくして行なうことができる種々の調節機能を有する多機能椅子に関するものである。
本発明の範囲の中には、シャワー用、トイレ用のみならず、一般使用のための病弱者用の椅子も含まれる。本発明のより際立った特徴の一つは容易に傾動させることができる椅子の構造のための特別な手段である。
傾動可能な椅子構造は、長年にわたって上市されており、一般的には水圧式、空圧式、あるいは電気的な動力アシスト要素を具備するものである。動力アシスト要素の有無に関わらず、すべてのこれまでの傾動可能な椅子は、シャワー用として重要な簡単化された水抜きまたは乾燥のための設計機能が欠如していた。構造要素と、これら相互の関連機構の簡単化は、身障者のための公知の傾動可能かつ調節可能な椅子の設計において、主要な考慮すべき事項でないとされてきた。
かくして患者の快適さのための種々な調節や、複雑な動力アシスト機構を必要としない位置決め、また同時にシャワー用、トイレ用のために、また洗い易くするために、そして身障者、特に重度の身障者を取り扱う介護人にとって便利なために必要とされる総合的な構造の簡単化が実現されている椅子に対する長年にわたる必要性が存在していた。

本発明の概略
本発明の主な教示は、身障者に対する傾動可能な椅子の新しい形式に関する。説明すると、傾動可能な椅子は、左右の側部に車台と、軌道システムとを有する。車台上に、車台の軌道システム上の傾動動作のための傾動可能なアセンブリーを支持する軌道追従装置を備えた傾動可能なシートアセンブリーが設置される。
上記車台の軌道システムは、特性としては典型的にレール状であり、軌道従動装置は典型的にローラーとホルダーとの組合せからなり、該ローラーは軌道システムのレールの上側に、ホルダーは該レールの下側に配置される。 傾動動作は左右の側部にそれぞれ沿って後部と前部とで異なる傾斜を有する軌道システムを使用することによって行われる。上記後部軌道は下行傾斜を有し、上記前部軌道は上行傾斜を有する。後部下行傾斜と前部上行傾斜は、傾動可能なアセンブリーの傾動にとって、重力的な助けに寄与する。傾動はいかなる動力アシスト要素なしで、驚くべき容易さで容易に遂行できる。』

甲2ウ:「Referring to the drawing, and particularly FIGS. 1 through 3 inclusive, new chairs of this invention have a base assembly suitably called an undercarriage 10 and a tilt-able assembly 30 mounted on the base assembly in a manner permitting the tilt of it with respect to the base assembly. The tilt assembly has a basic seat assembly 40 and in other respects may have other elements, which almost always will include a back assembly 60 and leg assembly 80 and frequently will also include a hip-limiting assembly 100.」(3欄11?19行)
『図面、特に図1から図3までを参照して、本発明の新規な椅子は、適当には車台10と呼ばれるベースアセンブリーと、上記ベースアセンブリーに関連して傾動が可能なように上記ベースアセンブリー上に搭載される傾動可能なアセンブリー30とを有する。上記傾動可能なアセンブリー30は、ベースシートアセンブリー40を有し、その他大体は背もたれアセンブリー60、脚部アセンブリー80とを包含し、また屡々臀部支持アセンブリー100を包含する他の要素を有する。』

甲2エ:「The undercarriage is believed to be properly characterized as the epitome of utilitarian design. It has left 11 and right 12 lateral sides equipped with a track system. The frame of the undercarriage may have only two cross braces or bars 13, 14, uniting the left and right lateral sides of the undercarriage. The two cross braces are placed one above the other and are somewhat V-shaped with the vertex of the V facing forward. The lack of rear cross bracing is important for the option of moving the chair over a toilet bowl when a commode seat member is employed.
The right lateral side of the undercarriage is a mirror image of the left, and thus only the left lateral side will be discussed in detail. The left side has a depending front support leg 15 and a depending rear support leg 16 and lateral bracing extending therebetween. Ideally, one lateral brace element 17 above the other 18 is sufficient for the side bracing. At the uppermost edge or uppermost extremity of the lateral side is located a track system 20. It preferably takes the form of a rail defining the uppermost edge of the lateral side. The rail and the other frame parts of the undercarriage may all be formed using the same type of tubular material having a circular cross-section. The rail has a rear track 22 that descends from the rear of the lateral side to a mid-part 23 of the lateral side (see FIGS. 2 and 3 for best recognition) and then a forward track 24 that ascends from the mid-part 23 of the lateral side to the front of the lateral side. The angle of descent from the horizontal may vary between extremes such as about 15 degrees at the low end and about 35 degrees at the high end, preferably within the range of about 20 degrees to about 30 degrees (and ideally at about 26 degrees from horizontal). The angle of ascent with respect to the horizontal can vary similarly but may be a few degrees less than the selected angle of descent. It is within these angular ranges that the major benefits of gravity-assisted tilting and return adjustment to a non-tilted condition are gained. Also, by employing the most ideal angulation for the descent and ascent (i.e., about 26-degree descent from horizontal and a bend of the descent track of about 46 degrees to form the ascent portion), one gains a substantially 30-degree tilt of the seat of the chair, as is preferred for effective body weight shift.」(3欄27?67行)
『上記車台は実用的な設計の梗概として特性が適当に表わされていると信じられる。上記車台は軌道システムを備えた左側フレーム11と右側フレーム12を有する。上記車台のフレームは、該車台の左側部と右側部とを結合する只2つの交差した筋交いまたは棒13,14のみを有する。上記2つの筋交いはそのうちの1つが他の1つの上に重ねられ、前方に向かってV宇の交点を有する略V形状をしている。後側交差筋交いを欠くことは、板状シートメンバーが用いられる場合、椅子が便器を超えて動く場合に重要である。
上記車台の右側枠は左側枠の鏡写像であり、かくして左側枠のみ詳細に説明する。上記右側枠は垂設されている前部支持脚15と垂設されている後部支持脚16と、それらの間に差渡されている側枠とを有する。理想的には、1つの側枠要素17は他の側枠要素18の上方に位置し、側枠全体を構成している。最上段の縁部また最上段の腕部には軌道システム20が位置されている。望ましくは、側枠の最上段縁部をレール様の形状とする。上記車台のレールおよび他のフレーム部分のすべては、断面円形の管材料を使用して形成される。上記レールは、側枠の後部から側枠の中央部23にかけて下行する後部軌道22と(最良の確認は図2、3をみること)、そして側面部の中央部23から側枠の前部にかけて上行する前部軌道24とを有する。水平からの下行角度の極限は、例えば最低で約15度、最高で約35度、望ましくは約20度から約30度(理想的には約26度から水平)の範囲内で種々設定される。水平に対する上行角度は同様に種々に設定されてよいが、選択された下行角度よりも数度小さく設定される。これらの設定角度の範囲内で、重力に補助された傾動と、非傾動状態への復帰調節の最大の利点が得られる。また下行および上行のための最も理想的な角度(即ち水平か、約26度下行そして下行軌道の約46度の曲りで上行部分を形成する)を適用することによって、効果的な体重移動にとって望ましい椅子のシートの実質的に30度の傾きが得られる。』

甲2オ:「Mounted to the seat assembly, and particularly to the lateral rod-like frame elements on each side of it, are track followers. Since the left and right lateral sides are mirror images, only the left will be described in detail. A rear track follower 50 is mounted to the seat assembly (e.g., seat frame 45, see FIG. 1 and particularly FIG. 2) at a location proximate to the rear of the lateral side of the seat assembly, and the forward track follower 51 is mounted (as on a depending mounting arm 58) in a depending relationship to a mid-part along the lateral side (e.g., at the frame) of the seat assembly (see FIGS. 1, 2, and 6). Each track follower has a preferred form, namely a roller and holder. The roller rides on the rail track of the undercarriage and the holder extends under the rail track so as to prevent derailment of the roller from the track. Preferably, each roller riding on the track is in the nature of a pulley (i.e., the roller has an annular groove about its exterior, and this groove mates with round tubular rails).
The rear holder for preventing derailment likewise preferably is a grooved roller or pulley, for the reason that return of the tiltable assembly from a tilted condition to a condition with the seat assembly at a level orientation involves a modestly slight lifting motion for the rear of the tiltable assembly by a care-giver. The slight lifting motion (exerted at the handle cross brace on the rear of the back assembly) has its effect at the rear of the lateral sides of the seat assembly. Thus, a holder in the nature of a pulley for the rear track follower is most ideal since it will readily roll on the underpart of the round tubular sides. Illustratively (see FIG. 2), the rear holder pulley 53 is mounted for rotation on an axis shaft suspended by pivot arms 54 from the axis shaft of the rear track follower pulley 52.
The forward holder for preventing derailment of the forward roller pulley of the forward track follower may be much more simple than a rotatable pulley as preferred for the rear holder. As illustrated, the forward holder 57 (see FIG. 2) for preventing derailment of the pulley 56 of the forward track follower 51 may simply be a projecting bar or rod-like element 57 mounted on the mounting arm 58 depending from a mid-location of the seat assembly. The holder projecting bar 57 for the forward track follower extends under the rail to obstruct derailment of the forward pulley of the forward track follower system.
As illustrated, the shaft for rotation of the rail-riding pulley 52 of the rear track follower 50 suitably is mounted (i.e., anchored) at the rear part of the lateral tubular seat frame 45, and the shaft for rotation of the rail-riding pulley of the forward track follower is mounted (i.e., anchored) in the depending arm 58 extending downward from a mid-location on the lateral frame 45 of the seat assembly. The location of the shafts for pulley track-follower rotation is such that the pulleys for each track follower rest on the rail track at respective locations along it for placing the seat member in a horizontal or level orientation when the track followers are at the rearmost portion of the respective slopes they traverse for tilting action.」(4欄63?5欄51行)
『シートアセンブリーには、そして特に該シートアセンブリーの左右側枠の各々のロット状フレームエレメントには軌道従動部が載置される。左右の側面は鏡写像であるから、詳細な説明は左側についてのみ行なう。後部軌道従動部50はシートアセンブリー(即ちシートフレーム45、図1および特に図5参照)の左右側枠の後部の直前の位置に載置され、そして前部軌道従動部51は、シートアセンブリーの左右側部(即ちフレーム)に沿った中間部に垂れ下がった状態で(垂下取付け腕58に)取付けられている(図1,2、および6参照)。各々の軌道従動部は、望ましい形態、即ちローラーとホルダーとを有する。上記ローラーは車台のレール軌道上に乗架し、上記ホルダーは軌道からの説線を防ぐようにレール軌道の下側にまで延びている。望ましくは、軌道上に乗っている各ローラーは、プーリーの性質を持ったものである(即ちローラーはその外周に環状の溝を有し、該溝は円形チューブのレールと対抗した形状を有している)。
同様に脱線を防ぐ後部ホルダーは、望ましくは傾動可能アセンブリーの傾けた状態から水平位置状態への復帰が介護人によって傾動可能アセンブリーの後部に対する若干の持ち上げ動作を含むと云う理由で、溝付きローラーかまたはプーリーである。上記若干の持ち上げ動作(背もたれアセンブリーの後側の把手交差筋交いを使用する)は、該シートアセンブリーの左右側部の後部に影響をもたらす。かくして、後部軌道従動部のプーリーの性質を有するホルダーは、円形チューブ状側枠の下側を容易に転がることが出来るので、最も理想的なものである。
実例を挙げれば(図2参照)、後部ホルダープーリー53は、後部軌道従動プーリー52の軸から枢着腕54によって懸架されている軸上を回動するために取付けられている。
後部軌道従動部の前部ローラープーリーの脱線を防止する前部ホルダーは、後部ホルダーのために選ばれた回転プーリーよりもずっと簡単な構造である。説明するように、前部軌道従動部51のプーリー56の脱線を防止するための前部ホルダー57(図2参照)は、簡単にはシートアセンブリーの中間位置から吊り下げられている取付け腕58に取付けられている突出棒または棒状エレメントであろう。前部軌道従動部のホルダー突出棒57は、前部軌道従動部システムの前部プーリーの脱線を阻止するために、レールの下側まで伸びている。
説明されるように、後部軌道従動部50のレール乗架プーリー52の回転のためのシャフトは、左右側部管状シートフレーム45の後部に取付けられる(即ち止着される)のが望ましく、そして前部軌道従動部のレール乗架プーリーの回動のためのシャフトは、シートアセンブリーの左右フレーム45の中間位置から下方に伸びている懸架腕58において取付けられる(即ち止着される)。プーリー軌道従動部の回転のためのシャフトの位置は、軌道従動部がそれぞれのスロープの最後位置にある時、各々の軌道従動部のプーリーがシートメンバーを水平位置に置くために、軌道に沿ったそれぞれの位置において該レール軌道上に置かれるようにする。』

甲2カ:「The ideal back assembly 60 for the chair (see FIGS. 1 and 6 in particular) may have several components. It has a back frame 62, 63, 64, 65 hinged at axis shafts 66, 67 for pivotable movement with respect to a seat member 44. A back support plate or member 68 is adjustably mounted on the back frame. Then, a padded back member 73 is removably and adjustably mounted (as by contact fastener elements 74) on the back support member 68. Optionally, a padded head-holding assembly 75 may be adjustably and removably mounted (as by contact fasteners 76) on the back padded member (or by contact fastening to the back support member). The back assembly also preferably includes arm rests 77, 78 adjustably mounted (as at anchoring sleeves 79a and 79b) to the back frame of the back assembly.
The back frame suitably has a post element 62, 63 at each lateral side and one or more (illustrated are two) cross brace connectors 64, 65 extending between the post elements. The cross brace connector frame elements preferably project backward from the posts and then across the back to form bar-like handles. They combine the function of bracing with the function of providing a handle or handles for moving the chair.」(8欄40?61行)
『該椅子のための理想的な背もたれアセンブリーは幾つかの部品を有する(特に図1,図6参照)。それはシート部材44に対して回動動作の為に軸シャフト66,67に螺着されている背もたれフレーム62,63,64,65を有する。背支持板または背支持部材68は背もたれフレーム上に調節可能に設置されている。そして背もたれ支持部材68上に詰め物をした背もたれ部材73が(例えばファスナーエレメント74によって)着脱可能にかつ調節可能に取付けられている。所望なれば詰め物をした頭保持アセンブリー75が調節可能かつ着脱可能に(例えば接触ファスナー76によって)背もたれパッド部材上に(または背もたれ支持部材に接触ファスナーによって)取付けられている。背もたれアセンブリーはまた望ましくは背もたれアセンブリーの背もたれフレームに(例えば投錨スリーブ79a,79bで)調節可能に取付けられている。
背もたれフレームは各側部に支柱エレメント62,63を有し、該支柱エレメント間には1つまたは2つ以上の(例示では2つ)交差筋交い連結手段が延設されている。該交差筋交い連結フレームエレメントは,望ましくは該支柱から後方へ突出し,それから背もたれを横断して棒状のハンドルを形成している。それ等は椅子を動かす際のハンドルの機能を備えた筋交いとしての機能を有する。』

甲2キ:「Leg assemblies for the chair may sometimes be critically necessary and at other times may not be wanted. Conveniently adjustable and removable leg assemblies are provided, one for each side of the chair. Each is a mirror image of the other. The leg assembly 80 at the left of the chair will be described (see FIGS. 1, 2, and 6 in particular). It has a leg rod 81 (preferably straight but optionally contoured) mounted at a front lateral side of the seat assembly. A footrest 82 pivotable into position for placing a person's foot on it or pivotable to a position not capable of supporting or resting a foot is provided. A calf support 83 is also provided.」(10欄41?52行)
『椅子の脚部アセンブリーは時として絶対に必要であり、また時には必要とされない。好都合には調節可能かつ着脱可能な脚部アセンブリーが該椅子の両側に1つずつ取付けられる。各々は他の鏡写像である。椅子の左側の脚部アセンブリー80が説明される(特に図1,2,6参照)。該脚部アセンブリー80は、脚部ロット81(好ましくは直棒状、しかし所望によっては傾斜をつけた)は、シートアセンブリーの側枠前部に取付けられる。フットレスト82は使用者の足が置かれる位置と、該足が支持されない、または載置されない位置との間を回動可能にされている。』

甲2a:甲2ア?甲2キの記載及び図1?9の図示内容からして、甲第2-1号証には、「前側のローラキャスター26と後側のローラーキャスター26とを支持する左側フレーム11、右側フレーム12が、介護者用の背もたれフレーム64,65を有する支柱エレメント62,63、シートフレーム45,46、脚部ロッド81を有して障害者を座位可能に支持する傾動可能なアセンブリー30の両側端下方の左右に一対配置されて構成される車椅子」について記載されているといえる。

甲2b:甲2イの「傾動動作は左右の側部にそれぞれ沿って後部と前部とで異なる傾斜を有する軌道システムを使用することによって行われる。上記後部軌道は下行傾斜を有し、上記前部軌道は上行傾斜を有する。後部下行傾斜と前部上行傾斜は、傾動可能なアセンブリーの傾動にとって、重力的な助けに寄与する。傾動はいかなる動力アシスト要素なしで、驚くべき容易さで容易に遂行できる。」との記載、甲2エの「上記車台は軌道システムを備えた左側フレーム11と右側フレーム12を有する。・・・上記車台の右側枠は左側枠の鏡写像であり、かくして左側枠のみ詳細に説明する。・・・最上段の縁部また最上段の腕部には軌道システム20が位置されている。望ましくは、側枠の最上段縁部をレール様の形状とする。」との記載及び図1の図示内容からして、左側フレーム11、右側フレーム12は側枠であることが明らかであって、それぞれの前記左側フレーム11、右側フレーム12のレール形状の最上段縁が軌道システム20を構成し、該軌道システム20は傾動可能なアセンブリー30の傾動時に前記傾動可能なアセンブリー30を支持して摺動させることが可能であるといえる。

甲2c:甲2b、甲2エの「上記車台の右側枠は左側枠の鏡写像であり、かくして左側枠のみ詳細に説明する。上記右側枠は垂設されている前部支持脚15と垂設されている後部支持脚16と、それらの間に差渡されている側枠とを有する。理想的には、1つの側枠要素17は他の側枠要素18の上方に位置し、側枠全体を構成している。最上段の縁部また最上段の腕部には軌道システム20が位置されている。望ましくは、側枠の最上段縁部をレール様の形状とする。」との記載及び図1?9の図示内容からして、それぞれの前記左側フレーム11、右側フレーム12は、側枠要素17,18と、前記傾動可能なアセンブリー30の両側端下方において前記傾動可能なアセンブリー30の傾動時に前記傾動可能なアセンブリー30を支持して摺動させること可能な軌道システム20を構成するレール形状の最上段縁部と、を有して枠体状に構成されているといえる。

以上によれば、甲第2-1号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
「前側のローラキャスター26と後側のローラーキャスター26とを支持する左側フレーム11、右側フレーム12が、介護者用の背もたれフレーム64,65を有する支柱エレメント62,63、シートフレーム45,46、脚部ロッド81を有して障害者を座位可能に支持する傾動可能なアセンブリー30の両側端下方の左右に一対配置されて構成される車椅子であって、
それぞれの前記左側フレーム11、右側フレーム12は、側枠要素17,18と、前記傾動可能なアセンブリー30の両側端下方において前記傾動可能なアセンブリー30の傾動時に前記傾動可能なアセンブリー30を支持して摺動させること可能な軌道システム20を構成するレール形状の最上段縁部と、を有して枠体状に構成されている身障者用椅子。」

(2)本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第3-1号証(国際公開第00/27332号)には図面とともに次の事項が記載されている(翻訳文として甲第3-2号証を援用する。
ただし、被請求人は甲第3-1号証の「Slidably engaging gear rack 40 is bracket 50 which generally can be of any size or shape and has an aperture 52 for receiving bracket pin 54 which pivotally receives a seat extension link discussed herein below in greater detail.」(5頁18?21行)についての「摺動可能な噛み合いギヤラック40は、一般的にいかなる寸法または形状をとることが出来、下記する更に詳しい説明において述べるように、シート伸長リンクを回動可能に受容するブラケットピン54を取り付けるための孔52を有するブラケット50を具備する。」との翻訳が誤訳であると主張しているが、念のため仮に上記翻訳が誤訳でないものとして、以下検討する。
また、甲第3-1号証の5頁24?27行の当審による翻訳を追加した(甲3ウ)。)。

甲3ア:「Wheelchair 10 contains mainframe 12 which has a front portion 14 and a rear portion 1 6 upwardly inclined at a predetermined angle with respect to the horizontal. The front end of frame front portion 14 contains a pivotal caster assembly 32 so that wheelchair 10 can be readily pivoted and turned in any desirable direction. Rear frame portion 16 contains a front leg 18A and a rear leg 1 8B depending therefrom which each containing a plurality of apertures 22 so that wheel 30 can be attached thereto at any desirable height through the utilization of a suitable or conventional wheel attachment structure. Such structure, which can be a bracket, can contain a plurality of slots or recesses so that the wheel axle can be located at any horizontal position. Connected to front frame portion 14 is support arm or clevis 24, which at the upper end thereof can have any convenient element such as roller 26 to allow a seat support member to slide or travel there over while being supported.」(4頁26行?5頁7行)
『車椅子10は、前側フレーム部分14と、水平状態に対して所定の角度上方に傾倒している後側フレーム部分16と、からなるメインフレーム12を具備している。上記前側フレーム部分14の前端には旋回できるキャスターアセンブリー32が取り付けられており、したがって上記車椅子10は、いかなる所望の方向にも容易に回ることができる。後側フレーム部分16には前脚18Aと後脚18Bとが取り付けられており、上記前脚18Aと上記後脚18Bとには、それぞれ複数個の孔22が設けられており、適当なあるいは一般的な車輪取付構造を利用して車輪30が所望の高さで取り付けられている。
このような構成をブラケットと呼んでもよいが、該構成は複数個の凹溝または凹部を具備し、それ故に車軸を如何なる水平位置設定することができる。
前側フレーム部分14には支持腕あるいはU字形金具24が取り付けられており、該U字形金具24の上端には、シートサポートメンバーが支持されつつ、スライドあるいは移動することが出来るようにローラー26のような適当な要素を取り付けることができる。』

甲3イ:「Gear rack 40 is connected to rear portion 16 of the frame through any suitable fastener 42 such as a cap screw. The gear rack can generally be of any shape or configuration such as a rectangle, a flange, a channel, or an annular tube 44 having along one side thereof recesses 46 with teeth 48 located there between. The recesses and teeth as shown in Fig. 6, generally extend along the entire length of the gear rack. Slidably engaging gear rack 40 is bracket 50 which generally can be of any size or shape and has an aperture 52 for receiving bracket pin 54 which pivotally receives a seat extension link discussed herein below in greater detail. Slidable bracket 50 can be operated manually as shown or by power (not shown). When operated manually, gear rack bracket 50 also receives pull cable 60 which is connected at the other end to a handgrip. 」(5頁12?24行)
『ギヤラック40はキャップスクリューのような適当な留め具42を介して上記後側フレーム部分16に結合されている。該ギヤラック40は一般に長方形状、フランジ状、チャンネル状、または歯48付きの切欠き部46を一側面に沿って有する環状チューブ44等の如何なる形状、形態をとることが出来る。上記歯48付きの切欠き部46は、図6に示すように、一般に上記ギヤラックの全長にわたって設けられる。
摺動可能な噛み合いギヤラック40は、一般的にいかなる寸法または形状をとることが出来、下記する更に詳しい説明において述べるように、シート伸長リンクを回動可能に受容するブラケットピン54を取り付けるための孔52を有するブラケット50を具備する。摺動ブラケット50は図示されるように手動で、あるいは(図示されないが)動力で操作されることができる。手動で操作される場合は、キャラックブラケット50は握りに他端が連絡している引っ張りケーブル60を受止する。』

甲3ウ:「The pull cable is received by spring loaded housing 56 of the gear rack bracket so that a projection, not shown, is always pressed or forced into a recess 46 of the gear rack thereby maintaining bracket 50 in a set or fixed position.」(5頁24?27行)
『図示されない凸部がいつもギヤラックの切欠き部46の中に圧入又は押し込まれ、それによって、ブラケット50を設定された又は固定された位置で維持するように、引っ張りケーブルはギヤラックブラケットのハウジング56に装填されたスプリングにより受けとめられる。』

甲3エ:「Seat 70 of the wheelchair contains back member 72 and bottom member 82 which constitutes a frame for the seat and exist on each lateral side of the seat as shown in Fig. 1 . 」(5頁28?30行)
『該車椅子のシート70は、背もたれ部材72と、座部部材82とを具備し、上記座部部材82は、シートのフレームを構成し、図1に示されるように、シートの両側部にそれぞれ設置されている。』

甲3オ:「Rear portion 16 of frame 12 optionally can contain marking elements 17, which correspond to the degree that seat 70 is tiltable, as in a forward or backward direction. The seat may be tilted in a range generally of from about 10 degrees forward to about 45 degrees rearward. 」(6頁18?22行)
『フレーム12の後側フレーム部分16には、所望なればシート70が前方へあるいは後方へ揺動(傾動)可能な度合いを示す目印要素を取り付けることができる。該シート70は一般的に前方へ約10度、後方へ約45度の範囲で傾動する。』

甲3カ:「An important aspect of the present invention is the utilization of an archial support or curvilinear member 1 10 in conjunction with frame support or clevis arm 24. Archial support member 1 10, of course, is generally in the form of an arc of a circle. The radius of the arc, as noted above, terminates in an end point or center point which is generally located within the vicinity of the center of gravity of a hypothetical or composite person. Such a person is defined as being representative of an average of a variety of different sized and shaped people. The location of the center of gravity of the hypothetical person is about 7.5 inches forward of back members 72 and 6.5 inches above bottom members 82. A different center of gravity location will exist if archial support member 1 10 is tailor made for a specific person or a class of persons (e.g., small or large) since the radius of the support member will be different. The radius end point of support member 1 10 is generally located within 4 or 3 inches, desirably within 2 inches, and preferably within 1 inch of the center of gravity of the hypothetical or composite person or other person. During tilting of seat 70, the radius end point or center point of support member 1 10 will generally reside within a circle and more preferably along a horizontal line having, re- spectively, a diameter or length of less than about 4, 3, or 2 inches, or preferably less than about one inch from the center of gravity location. Archial support member 1 10 is connected to generally horizontal foot member 1 1 2 which in turn is connected to leg member 1 14 attached to the underside of bottom seat member 82. In order to assure lateral ri- gidity of the archial support members, each left and right side member is connected to each other through front cross member 1 16 and rear cross member 1 18 as shown in Fig. 4. Similarly, lateral stability of the main frame is accomplished by connecting left and right sides of main frame 1 2 to each other through frame front cross member 28 and frame rear cross member 29A and 29B.」(8頁1?30行)
『本発明の重要な特徴は、フレーム支持腕あるいはU字形金具24に連結する弧状支持具(または曲線状部材)110である。上記弧状支持具110は、勿論一般的には円弧の形状をしている。上記円弧の半径は、上記したように仮想のまたはいろいろな要素を含む人の重心の付近に通常位置する末端点または中心点が終点になる。このような人は、種々の異なった寸法、体形の人の代表として定義される。上記仮想の人の重心の位置は、背もたれ部材72の約7.5インチ前方で座部部材82の65インチ上方にある。
もし弧状支持具110が特別な人または、例えば小さいまだは大きいランクの人(例えば小または大)の特注であれば、弧状支持具110の径が異なってくるので、色々異なった重心の位置が存在するであろう。該弧状支持具110の径終点は、仮想またはいろいろな要素を含む人またはその他の人の重心から、一般的には4または3インチ、望ましくは2インチ、更に望ましくは1インチ以内に位置する。
シート70の傾動の間、該弧状支持具110の径の端点又は中心点は、通常中心位置からそれぞれ4,3又は2またはより望ましくは約1インチ以下の直径の円または更に望ましくは上記長さの水平な線に沿って存在するであろう。該弧状支持具110は、通常座部シート部材82の下面に向きを変えて取り付けられている脚部材114に結合している水平脚部材112に結合されている。該弧状支持具110の横方向の剛性を確実にするために、図4に示すように前部横架部材28と後部横架部材29A,29Bを介してメインフレーム12の左側と右側とを結合することによって達成されている。』

甲3キ:「In lieu of the preferred archial support member 1 10, the same can be a curvilinear member such as a portion of a parabola, a hyper- bolic, or a curve, which is not part of a circle. Regardless of the exact shape of the curvilinear member, a key aspect of the present invention is that the curvilinear member has a shape such that when seat 70 is rotated on said member over support arm 24, the center of gravity of the hypothetical or composite person, etc., seated in the wheelchair is a point, located a specific distance forward of the back member and a specific distance above the bottom member, which point is generally maintained in a fixed position or relatively small locus as the seat is tilted backward or forward. Such locus is generally an area as noted above. Extending generally from the vicinity of the junction of the back member and the bottom member such as from the rear of bottom seat member 82 is rigid link 120 which is pivotally attached to gear rack bracket 50. 」(9頁8?23行)
『望ましい弧状支持具110に代えて、例えば円の一部ではないパラボラ、双極線、あるいは曲線の一部分も、曲線形状部材とすることが出来る。該曲線形状部材の正確な形に拘らず、本発明の要点は、曲線状部材が、シート70が上記部材上を支持腕24を介して回転した時、車椅子に座っている仮想またはいろいろな要素を含む人の重心が、該背もたれ部材の前方の特定の距離および座部部材上の特定の距離はなれた位置の箇所にあり、その箇所は通常シートが前後に傾動せしめられるので固定された位置または比較的小さな範囲に留まる。このような範囲は、通常上記したような領域である。通常、例えば底部座部部材82からのように、背もたれ部材と座部部材との接続点の付近からは、ギヤラックブラケット50に枢着されている剛性リンク120が延設されている。』

甲3ク:「Generally, the seat can be tilted up to about 50 or 60 degrees. Rearward tilting of the seat causes bracket 50 to slide downwardly along gear rack 44 and at the same time cause seat bottom member 82 to move forwardly with archial support member 1 10 moving forward along roller 26. The combination of the inclination of rack 40 and the radius of curvature of archial support member 1 10 riding upon support arm 24 thus causes the cen- ter of gravity of a hypothetical or composite person, etc., seated within seat 70 to be substantially maintained as the seat bottom is moved forwardly and the back tilted rearwardly. In other words, the angle of inclination of the gear rack is such that the gear rack is parallel to the line that coincides with bracket pin 54 at both the maximum and mini- mum tilt of the seat when the seat is rotated about the center of gravity of a person independent of the frame 12.」(9頁31行?10頁11行)
『一般的にシートは約50度または60度傾動することができる。シートの後方への傾動は、ギヤラック44に沿ってブラケット50を下方に摺動させ、同時に弧状支持具110がローラー26に沿って前方に移動するとともに座部部材82が前方に移動する。ラック40の傾斜と支持腕24上に垂架する弧状支持具110の径とのコンビネーションは、シートに座っている、仮想のまたはいろいろな要素を含む人の重心を、シート座部が前方に動き、背もたれが後方に傾動するので、実質的にその場に維持されることになる。換言すれば、ギヤラックの傾斜角度は、ギヤラックが、シートがフレーム12とは無関係に人の重心の周りに回転する時、シートの最大傾斜および最小傾斜の状態の両方で、ギヤラックがブラケットピン54と一致する線に平行になるようにされる。』

甲3a:甲3ア?甲3クの記載及び図1?10の図示内容からして、甲第3-1号証には、「キャスターアセンブリー32と車輪30とを支持するメインフレーム12、介護者用のハンドル部73を有する背もたれ部材72・座部材82を有して障害者を座位可能に支持するシート70の両側端下方の左右に一対配置されて構成される車椅子10」について記載されているといえる。

甲3b:甲3a、甲3カの「該弧状支持具110は、通常座部シート部材82の下面に向きを変えて取り付けられている脚部材114に結合している水平脚部材112に結合されている。」との記載、甲3キの「底部座部部材82からのように、背もたれ部材と座部部材との接続点の付近からは、ギヤラックブラケット50に枢着されている剛性リンク120が延設されている。」との記載及び図1?10の図示内容からして、「それぞれの前記メインフレーム12には、前記シート70の両側端後部下方において、前記座部材82から延設された剛性リンク120に枢着するギヤラックブラケット50を所定位置に固定することができるギヤラック44と、ローラー26とが設けられ、前記シート70の両側端下部には弧状支持具110が設けられ」ているといえる。

以上によれば、甲第3-1号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている。
「キャスターアセンブリー32と車輪30とを支持するメインフレーム12が、介護者用のハンドル部73を有する背もたれ部材72・座部材82を有して障害者を座位可能に支持するシート70の両側端下方の左右に一対配置されて構成される車椅子10であって、
それぞれの前記メインフレーム12には、前記シート70の両側端後部下方において、前記座部材82から延設された剛性リンク120に枢着するギヤラックブラケット50を所定位置に固定することができるギヤラック44と、ローラー26とが設けられ、
前記シート70の両側端下部には弧状支持具110が設けられ、
前記ギヤラック44に沿って前記ブラケット50を下方に摺動させ、同時に前記弧状支持具110がローラー26に沿って前方に移動するとともに座部材82が前方に移動することにより、前記シート70が後方へ傾動する車椅子10。」

(3)本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第4号証(特開平10-328241号公報)には図面とともに次の事項が記載されている。
甲4ア:「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、座席水平保持機構付きの車両、特に座席水平保持機構付きの車椅子に関する。」

甲4イ:「【0006】本発明の課題は、車両において、動力及び傾斜測定装置を使わずに座席を水平に保持することにある。」

甲4ウ:「【0020】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態における車両である車椅子1の模式図を、図1及び図2に示す。車椅子1は、運転者50(図6及び図7参照)の操作によって動く電動の車椅子であって、主として、車両本体10と、車両本体10に固定されるレール(受け支持部材)20と、レール20に沿って移動可能な座席30と、吊り支持機構40とを備えている。この車椅子1の全長は1150mmである。
【0021】車両本体10は、主として、メインフレーム11と、メインフレーム11の前方下部に装着される前輪12と、メインフレーム11の後方下部に装着されるモータ13及び後輪14とから構成されている。前輪12の回転中心と後輪14の回転中心との距離(ホイールベース)は約600mmである。メインフレーム11の前部には図示しないステアリング機構が設けられており、このステアリング機構によって前輪12の操舵が可能となっている。モータ13は、インバータ制御のブレーキ付のモータであって、出力側に減速機構を内蔵している。後輪14はモータ13によって回転及び回転停止する。なお、モータ13の電源であるバッテリー15はメインフレーム11の後方上部に固定される。また、メインフレーム11には、運転者50が操作できる位置に配置された操作パネル16が固定されている。操作パネル16には、ステアリング操作のためのレバー、メインスイッチ、走行スピードを制御するためのレバー、ブレーキスイッチ、表示部、他のスイッチ類などが設けられている。」

甲4エ:「【0024】移動機構(移動被支持部)33は、座席本体31の下部に固定されており、図2に示すように、両端が斜めに折れたプレート34と、こま(転動体)35,36と、位置決め部材37(図4及び図5参照)とから構成される。こま35,36は、図5に示すように、プレート34の両端の傾斜部分に回転自在に装着されており、レール20を斜めに両側から挟むように配置されている。こま35の転動面(外周面)は、レール20に内側から且つ上側から当接する。こま36の転動面(外周面)は、レール20に外側から且つ下側から当接する。移動機構33は、こま35,36が回転することで、レール20に沿って移動する。位置決め部材37はレール20に対するこま35,36の位置決めを行うものである。また、プレート34の上面中央からは上に向かって隙間保持部材38が延びており、この隙間保持部材38の上端が座席本体31の下面に接合されている。
【0025】吊り支持機構40は、座席30を吊り下げるための機構であり、上部で交わる2本の支柱41と、両支柱41が交差する部分に固定されるベアリング42(図3参照)とから構成されている。支柱41の下端はメインフレーム11に固定されている。ベアリング42は、アウターレースが支柱41に固定され、インナーレースが肘掛けバー32の突出部32aに固定される。これにより、座席30は、メインフレーム11に固定される吊り支持機構40に対して回転自在に吊り下げられた状態となる。
【0026】次に、車椅子1の走行について説明する。図1に示すように、平地60を走行するときには、座席30の移動機構33はレール20のほぼ中央に位置し、座席30はほぼ水平な状態にある。図6に示すように、坂道61を昇るときには、車両本体10とともにレール20も傾斜する。これに従い、座席30の移動機構33は重力によりレール20に沿ってレール20の後部に移動する。すなわち、座席30は、肘掛けバー32の突出部32aの中心軸O-Oを中心として回転し、円弧の軌跡を描く。このような座席30の移動により、車椅子1が坂道61を昇るときにも座席30はほぼ水平な状態に保たれる。
【0027】図7に示すように、坂道61を降りるときには、車両本体10とともにレール20も傾斜する。これに従い、座席30の移動機構33は重力によりレール20に沿ってレール20の前部に移動する。すなわち、座席30は、肘掛けバー32の突出部32aの中心軸O-Oを中心として回転し、円弧の軌跡を描く。このような座席30の移動により、車椅子1が坂道61を降りるときにも座席30はほぼ水平な状態に保たれる。」

甲4a:甲4ア?甲4エの記載及び図1?10の図示内容からして、甲第4号証には、「前輪12と後輪14とを支持するメインフレーム11と、座席30とを有する車椅子1であって、
前記メインフレーム11に、前記座席30の両側において、前記座席30に軸着して前記座席30を回転可能に支持する支柱41と、前記座席30の両側端下方に配置されたレール20とが固定されている車椅子1」について記載されているといえる。
【図1】

以上によれば、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されている。
「前輪12と後輪14とを支持するメインフレーム11と、座席30とを有する車椅子1であって、
前記メインフレーム11に、前記座席30の両側において、前記座席30に軸着して前記座席30を回転可能に支持する支柱41と、前記座席30の両側端下方に配置されたレール20とが固定され、
前記座席30は前記レール20に沿って回転し、円弧の軌跡を描く車椅子1。」

2.訂正特許発明1の新規性について
2-1.訂正特許発明1と甲2発明との同一性
(1)対比
甲2発明の「前側のローラキャスター26」は訂正特許発明1の「前輪」に相当し、以下同様に、「後側のローラーキャスター26」は「後輪」に、「左側フレーム11」、「右側フレーム12」は「車輪フレーム体」に、「介護者用の背もたれフレーム64,65」は「介護者用のハンドル部」に、「支柱エレメント62,63」は「背フレーム」に、「シートフレーム45,46」は「サイドフレーム」に、「脚部ロッド81」は「脚フレーム」に、「傾動可能なアセンブリー30」は「座席フレーム体」に、「側枠要素17,18」は「下部フレーム」に、「傾動」は「揺動」に、「レール形状の最上段縁部」は「ガイドフレーム」に、「身障者用椅子」は「車椅子」に、それぞれ相当する。

甲2発明の「前記傾動可能なアセンブリー30の傾動時に前記傾動可能なアセンブリー30を支持して摺動させること可能な軌道システム20」は訂正特許発明1の「前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段」に相当するから、訂正特許発明1の「それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成されている」と甲2発明の「それぞれの前記左側フレーム11、右側フレーム12は、側枠要素17,18と、前記傾動可能なアセンブリー30の両側端下方において前記傾動可能なアセンブリー30の傾動時に前記傾動可能なアセンブリー30を支持して摺動可能な軌道システム20を構成する側枠のレール形状の最上段縁部と、を有して枠体状に構成されている」とは、「それぞれの前記車輪フレーム体は、下部フレームと、前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成されている」という点で一致する。

以上によれば、訂正特許発明1と甲2発明とは次の点で一致する。
「前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体と、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体とを有する車椅子であって、
それぞれの前記車輪フレーム体は、下部フレームと、前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成されている車椅子。」

そして、両者は、次の点で相違する。
(相違点甲2-1)
訂正特許発明1では、
「車輪フレーム体」が、「座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成され」、
「それぞれの前記車輪フレーム体」が、
「前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持」し、下部フレームの上方に配置される「上部フレーム」と、
「前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム」と、を有しているのに対して、
甲2発明では、
左側フレーム11、右側フレーム12(車輪フレーム体)が、
傾動可能なアセンブリー30(座席フレーム体)を間にして左右に一対配置されて構成されるものではなく、傾動可能なアセンブリー30(座席フレーム体)の両側端下方の左右に一対配置されて構成され、
それぞれの左側フレーム11、右側フレーム12(車輪フレーム体)が、
座席フレーム体に軸着して座席フレーム体を揺動可能に支持する訂正特許発明1の「上部フレーム」に係る構成を有しておらず、
軌道システム20(摺動可能なガイド手段)を構成するレール形状の最上段縁部(ガイドフレーム)を、傾動可能なアセンブリー30(座席フレーム体)の両側部ではなく、傾動可能なアセンブリー30(座席フレーム体)の両側端下方に有している点。

(相違点甲2-2)
訂正特許発明1では、「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されている」のに対して、
甲2発明では、傾動可能なアセンブリー30(座席フレーム体)が中央部で幅方向に折畳可能に構成されていない点。

(2)判断
したがって、訂正特許発明1は、甲第2-1号証に記載された発明と同一ではない。

2-2.訂正特許発明1と甲3発明との同一性
(1)対比
甲3発明の「キャスターアセンブリー32」は訂正特許発明1の「前輪」に相当し、以下同様に、「車輪30」は「後輪」に、「キャスターアセンブリー32と車輪30とを支持するメインフレーム12」は「前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体」に、「介護者用のハンドル部73」は「介護者用のハンドル部」に、「背もたれ部材72」は「背フレーム」に、「座部材82」は「サイドフレーム」に、「車椅子10」は「車椅子」に、それぞれ相当する。

訂正特許発明1の「介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体」と甲3発明の「介護者用のハンドル部73を有する背もたれ部材72・座部材82を有して障害者を座位可能に支持するシート70」とは、「介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体」である点で一致する。

甲3発明の「メインフレーム12」は訂正特許発明1の「下部フレーム」に相当し、甲3発明の「前記シート70が後方へ傾動する」ことは訂正特許発明1の「前記座席フレーム体の揺動」に相当する。
また、甲3発明の「前記ギヤラック44に沿って前記ブラケット50を下方に摺動させ、同時に前記弧状支持具110がローラー26に沿って前方に移動するとともに座部部材82が前方に移動することにより、前記シート70が後方へ傾動する」ことは「前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能にガイドする」ことといえるから、甲3発明の「弧状支持具110」は訂正特許発明1の「座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム」に相当する。
そうすると、訂正特許発明1の「それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成され」と甲3発明の「それぞれの前記メインフレーム12には、前記シート70の両側端後部下方において、前記座部材82から延設された剛性リンク120に枢着するギヤラックブラケット50を所定位置に固定することができるギヤラック44と、ローラー26とが設けられ、前記シート70の両側端下部には弧状支持具110が設けられ、前記ギヤラック44に沿って前記ブラケット50を下方に摺動させ、同時に前記弧状支持具110がローラー26に沿って前方に移動するとともに座部材82が前方に移動することにより、前記シート70が後方へ傾動する」とは、「それぞれの前記車輪フレーム体は下部フレームを有して構成され、前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム有して構成される」点で一致する。

以上によれば、訂正特許発明1と甲3発明とは次の点で一致する。
「前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレームを有して左右に一対配置されて構成される車椅子であって、
それぞれの前記車輪フレーム体は下部フレームを有して構成され、前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームを有して構成される車椅子。」

そして、両者は、次の点で相違する。
(相違点甲3-1)
訂正特許発明1では、「座席フレーム体」が「脚フレーム」を有しているのに対して、
甲3発明では、シート70(座席フレーム体)が「脚フレーム」を有していない点。

(相違点甲3-2)
訂正特許発明1では、
「車輪フレーム体」が、「座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成され」、
「それぞれの前記車輪フレーム体」が、
「前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持」し、下部フレームの上方に配置される「上部フレーム」と、
「前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム」と、を有して「枠体状」に構成されているのに対して、
甲3発明では、
メインフレーム12(車輪フレーム体)が、
シート70(座席フレーム体)を間にして左右に一対配置されて構成されるものではなく、シート70(座席フレーム体)の両側端下方の左右に一対配置されて構成され、
それぞれのメインフレーム12(車輪フレーム体)が、
座席フレーム体に軸着して座席フレーム体を揺動可能に支持する訂正特許発明1の「上部フレーム」に係る構成を有しておらず、
摺動可能なガイド手段を構成する弧状支持具110(ガイドフレーム)を有しておらず、弧状支持具110(ガイドフレーム)はシート70(座席フレーム体)の両側端下部に設けられ、
さらに、それぞれのメインフレーム12(車輪フレーム体)が、枠体状に構成されていない点。

(相違点甲3-3)
訂正特許発明1では、「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されている」のに対して、
甲3発明では、シート70(座席フレーム体)が中央部で幅方向に折畳可能に構成されていない点。

(2)判断
したがって、訂正特許発明1は、甲第3-1号証に記載された発明と同一ではない。

2-3.訂正特許発明1と甲4発明との同一性
(1)対比
甲4発明の「前輪12」は訂正特許発明1の「前輪」に相当し、以下同様に、「後輪14」は「後輪」に、「メインフレーム11」は「車輪フレーム体」に、「回転」は「揺動」に、「車椅子1」は「車椅子」に、それぞれ相当する。

訂正特許発明1の「障害者を座位可能に支持する座席フレーム体」と甲4発明の「座席30」とは、「障害者を座位可能に支持する座席体」である点で一致するから、訂正特許発明1の「前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成される車椅子」と甲4発明の「前輪12と後輪14とを支持するメインフレーム11と、座席30とを有する車椅子1」とは、「前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、障害者を座位可能に支持する座席体を有して構成される車椅子」である点で一致する。

甲4発明の「前記座席30は前記レール20に沿って回転し、円弧の軌跡を描く」ことは「前記座席体の揺動時に前記座席体が支持されて摺動可能にガイドされる」ことといえるから、甲4発明の「レール20」は「前記座席体の揺動時に前記座席体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム」といえる。
また、甲4発明の「メインフレーム11に、・・・が固定され」は訂正特許発明1の「前記車輪フレーム体は、・・・を有し」に相当し、甲4発明の「前記座席30に軸着して前記座席30を回転可能に支持する支柱41」は訂正特許発明1の「前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレーム」に相当する。
そうすると、訂正特許発明1の「それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成され」と甲4発明の「前記メインフレーム11に、前記座席30の両側において、前記座席30に軸着して前記座席30を回転可能に支持する支柱41と、前記座席30の両側端下方に配置されたレール20とが固定され、前記座席30は前記レール20に沿って回転し、円弧の軌跡を描く」とは、「前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して構成され」る点で一致する。

以上によれば、訂正特許発明1と甲4発明とは次の点で一致する。
「前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を有して構成される車椅子であって、
前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して構成される車椅子。」

そして、両者は、次の点で相違する。
(相違点甲4-1)
訂正特許発明1では、「座席フレーム体」が「介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して」いるのに対して、
甲4発明では、座席30(座席体)が介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有しておらず、フレーム体ではない点。

(相違点甲4-2)
訂正特許発明1では、
「車輪フレーム体」が、「座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成され」、
「それぞれの前記車輪フレーム体」が、
「前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレーム」を有して「枠体状」に構成されているのに対して、
甲4発明では、
メインフレーム11(車輪フレーム体)が、
座席30(座席体)を間にして左右に一対配置されて構成されるものではなく、
メインフレーム11(車輪フレーム体)が、
上部フレームの下方に配置される下部フレームを有しておらず、
摺動可能なガイド手段を構成するレール20(ガイドフレーム)を、前記座席30(座席体)の両側部ではなく、前記座席30(座席体)の両側端下方に有し、
さらに、メインフレーム11(車輪フレーム体)が、枠体状に構成されていない点。

(相違点甲4-3)
訂正特許発明1では、「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されている」のに対して、
甲4発明では、座席30(座席体)が中央部で幅方向に折畳可能に構成されていない点。

(2)判断
したがって、訂正特許発明1は、甲第4号証に記載された発明と同一ではない。

2-4.訂正特許発明1の新規性についてのまとめ
したがって、訂正特許発明1は、甲第2-1号証、甲第3-1号証、甲第4号証に記載された発明と同一ではない。

3.訂正特許発明1の進歩性について
請求人は、甲第2-1号証に記載された発明を主引用例とした訂正特許発明1の容易想到性及び甲第3-1号証に記載された発明を主引用例とした訂正特許発明1の容易想到性を主張しているので、まず甲2発明を主引用例とした訂正特許発明1の容易想到性を検討し、次に念のため甲3発明を主引用例とした訂正特許発明1の容易想到性についても検討する。

3-1.甲2発明を主引用例とした訂正特許発明1の容易想到性について
(1)甲2発明との対比
訂正特許発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、前記2-1.において説示したとおりである。

(2)判断
(相違点甲2-1)
まず相違点甲2-1の容易想到性について検討する。
(i)前記2-1.において説示した訂正特許発明1と甲2発明との相違点甲2-1及び前記2-2.において説示した訂正特許発明1と甲3発明との相違点甲3-2からして、甲3発明は、車輪フレーム体が、座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成されておらず、それぞれの前記車輪フレーム体が、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持し、下部フレームの上方に配置される上部フレームを有しておらず、しかも前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームが座席フレーム体の両側部に配置されておらず、甲2発明と同じく、相違点甲2-1に係る訂正特許発明1の発明特定事項を有していない。

(ii)前記2-3.において説示した訂正特許発明1と甲4発明との対比結果からして、甲4発明は、「前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を有して構成される車椅子であって、前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して構成される車椅子」である点で訂正特許発明1と一致し、相違点甲4-1?相違点甲4-3で相違する。
つまり、甲4発明は、相違点甲2-1に係る訂正特許発明1の発明特定事項のうち、「前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレーム」を有しているものの、車輪フレーム体が座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成される発明特定事項、前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームが座席体の両側部に配置される発明特定事項、それぞれの車輪フレーム体が前記ガイド手段を構成するガイドフレームを有して枠体状に構成される発明特定事項を有していない。
そうすると、仮に、甲2発明に甲3発明及び甲4発明を適用したとしても相違点甲2-1に係る訂正特許発明1の上記各発明特定事項が不足するから、相違点甲2-1に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることはできず、しかも、相違点甲2-1に係る訂正特許発明1の上記各発明特定事項が設計事項であると解すべき根拠も見出せない。

(iii)甲2発明は、介護人によって動力の必要なくして行なうことができる種々の調節機能を有する多機能椅子に関するものであり(甲2イ)、甲4発明は、座席水平保持機構付きの車椅子に関するものであり(甲4ア)、甲第2-1号証及び甲第4号証には、甲2発明に甲4発明を適用することの示唆は見出せない。
他方、甲第2-1号証には、発明の概略の欄に「傾動動作は左右の側部にそれぞれ沿って後部と前部とで異なる傾斜を有する軌道システムを使用することによって行われる。」(甲2イ)と記載され、発明の実施形態について「水平に対する上行角度は同様に種々に設定されてよいが、選択された下行角度よりも数度小さく設定される。」(甲2エ)と記載されていることからして、甲2発明は、座席フレーム体が後部と前部とで異なる傾斜を有するガイドフレーム上を摺動するものである。
そうすると、甲2発明に甲4発明の座席体の両側において前記座席体に軸着して前記座席体を揺動可能に支持する支持フレーム及び前記座席体の揺動時に前記座席体を支持して摺動させることが可能なガイド手段を構成するガイドフレームに係る構成を適用した場合、甲2発明の座席フレーム体は軸を中心とした円周上を回転することになる結果、後部と前部とで異なる傾斜を有するガイドフレーム上を摺動することができなくなるから、甲2発明に甲4発明の前記支持フレーム及び前記ガイド手段を構成するガイドフレームに係る構成を適用することには阻害事由が存在するというべきである。

(iv)以上によれば、被請求人が指摘する甲第3-1号証の記載の翻訳が誤訳でないとしても、相違点甲2-1に係る訂正特許発明1の発明特定事項は、当業者といえども、甲第2-1号証、甲第3-1号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものではない。
そして、訂正特許発明1は、相違点甲2-1に係る訂正特許発明1の発明特定事項を有することにより訂正明細書に記載された効果を奏することができるものである。

(3)まとめ
したがって、訂正特許発明1は、相違点甲2-2について検討するまでもなく、甲第2-1号証、甲第3-1号証、甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3-2.甲3発明を主引用例とした訂正特許発明1の容易想到性について
(1)甲3発明との対比
訂正特許発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、前記2-2.において説示したとおりである。

(2)判断
(相違点甲3-2)
まず相違点甲3-2の容易想到性について検討する。
(i)前記2-1.において説示した訂正特許発明1と甲2発明との相違点甲2-1及び前記2-2.において説示した訂正特許発明1と甲3発明との相違点甲3-2からして、相違点甲3-2は相違点甲2-1を含むといえ、しかも甲第3-1号証及び甲第4号証には、甲3発明に甲4発明を適用することの示唆は見出せない。
そして、仮に甲3発明に甲2発明及び甲4発明を適用したとしても、相違点甲3-2は相違点甲2-1を含むから、前記3-1.において甲2発明について検討したのと同様の理由により、相違点甲3-2に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることはできない。
加えて、甲3発明は、座部材82から延設された剛性リンク120が枢着したブラケット50をギヤラック44に沿って下方に摺動させ、同時に弧状支持具110がローラー26に沿って前方に移動するとともに座部材82が前方に移動することにより、シート70(座席フレーム体)が後方へ傾動(揺動)するものであって、このような構成を前提として座席フレーム体を揺動させる甲3発明に、該構成を前提とせずに座席30(座席体)を軸を中心とした円周上を回転させる甲4発明の構成を適用する際には、甲4発明の支柱41(上部フレーム)及びレール20(ガイド手段を構成するガイドフレーム)に係る構成を甲3発明へ単に適用するだけでなく、甲3発明が前提とする構成を含めて設計を見直す困難が生じるから、阻害事由が存在するといえる。
なお、請求人は、甲3発明にはガイドフレームが座席フレーム体側に取り付けられているが、甲第2-1号証及び甲第4号証に記載されているように、ガイドフレームを車輪フレーム体側に取り付けるのは周知であることを主張している。
仮にこのことが周知であるとしても、請求人の上記主張は、甲2発明及び甲4発明を車輪フレーム体がガイドフレームを有するものとしたなされた上記検討結果を左右するものではない。

(ii)以上によれば、被請求人が指摘する甲第3-1号証の記載の翻訳が誤訳でないとしても、相違点甲3-2に係る訂正特許発明1の発明特定事項は、当業者といえども、甲第3-1号証、甲第2-1号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものではない。
そして、訂正特許発明1は、相違点甲3-2に係る訂正特許発明1の発明特定事項を有することにより訂正明細書に記載された効果を奏することができるものである。

(3)まとめ
したがって、訂正特許発明1は、相違点甲3-1、相違点甲3-3について検討するまでもなく、甲第2-1号証、甲第3-1号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3-3.訂正特許発明1の進歩性についてのまとめ
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲第2-1号証、甲第3-1号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
なお、仮に「前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されている」との構成が周知慣用であるとしても、該構成は相違点甲2-2、相違点甲3-3に関するものであるから、該構成が周知・慣用であるか否かは相違点甲2-1、相違点甲3-3及び訂正特許発明1の容易想到性についての上記検討結果を左右するものではない。

4.訂正特許発明1の新規性及び進歩性についてのまとめ
したがって、訂正特許発明1は、甲第2-1号証、甲第3-1号証、甲第4号証に記載された発明と同一ではなく、これらに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

II-2.訂正特許発明2,4,5
訂正特許発明2,4,5は、訂正特許発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する発明である。
よって、訂正特許発明2,4,5は、訂正特許発明1について示した理由と同様の理由により、甲第2-1号証、甲第3-1号証、甲第4号証に記載された発明と同一ではなく、これらに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

II-3.まとめ
以上のとおり、訂正特許発明1,2,4,5は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではないから、訂正特許発明1,2,4,5に係る特許についての無効理由2は理由がない。

第7 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
そして、訂正特許発明1,2,4,5に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでもなく、また、特許法第36条第6項第1号、第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものでもなく、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、訂正特許発明1,2,4,5に係る特許を無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
車椅子
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成される車椅子であって、
それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成され、
前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されていることを特徴とする車椅子。
【請求項2】
前記ガイド手段が、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成されることを特徴とする請求項1記載の車椅子。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記座席フレーム体が、前記座席フレーム体から突出したシャフト部と、前記シャフト部を把持するロック体とを備え、前記シャフト部が把持位置を変えることによって、前記座席フレーム体の適宜な角度で停止できるロック装置を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の車椅子。
【請求項5】
前記背フレームにヘッドレストが装着可能に形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の車椅子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車椅子に関し、さらに詳しくは、障害者が座位姿勢のままリクライニング可能に構成された車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車椅子において、障害者を支持する座席フレーム体は、座位シートを装着するサイドフレームと、前輪に連結する前フレームと、後輪に連結する後フレームと、背もたれシートを装着する背フレームと、を有して構成され、介護者が背フレームに配置された介護用ハンドル部を操作して車椅子を運転したり、又、障害者自身が後輪に配置された操作輪を自ら操作することによって車椅子を運転していたりしていた。そして、これらの車椅子には、障害者が背を延ばすために構成されたリクライニング機構が知られていた。
【0003】
車椅子における従来のリクライニング機構は、背フレームをサイドフレームに対して傾倒可能に構成することによって構成されていた。しかし、背フレームをサイドフレームに対して傾倒可能に構成することは、背フレームの傾倒支点と障害者の屈曲支点とが異なることとなることから、障害者の臀部がずれて臀部を移動させなければならなかった。この動作は、重度な障害者によっては極めて困難な動作を強いられることになっていた。これを解決するために、例えば、特開平7-457号や特開平11-155908号によって改良された車椅子が提供されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の公報に示されているリクライニング機構、例えば、前者の公報(特開平7-457号)に示されているものは、背フレームの傾倒支点部を本体に対して傾倒可能に支持するとともに、座を背フレームの傾倒支点より下方の位置で回動可能に支持して、座のステップ側を、本体に回動自在かつ摺動自在に支持している。これによって、障害者が車椅子に搭乗している際に、背フレームを傾倒しても、座を前方に移動することから、障害者は臀部をずらすことなく安定した姿勢を保持することができた。
【0005】
又、後者の公報(特開平11-155908号)に示されているものは、背フレームを上下2段に構成し、上フレームを下フレームに摺動可能に構成して、背フレームを傾倒させると、障害者の背中を支持する上フレームが下フレーム側に摺動することによって、障害者の臀部をずらさずに安定した姿勢を保持してリクライニングさせることができた。
【0006】
しかし、上記の公報に示されるいずれの場合においても、背フレームが座(又はサイドフレーム)に対して傾倒することから、障害者は座位した姿勢を崩さずにリクライニングすることはできない。そのため重度な障害者では、身体を動かすことができずにリクライニング動作が困難となることがあった。しかも、いずれのリクライニング機構においても、背フレームは座(又はサイドフレーム)に対してピンのみで支持するように構成されていることから、ピンで障害者の重量を受けることとなり、ピンが破損しやすく、障害者に危険を伴うことになっていた。
【0007】
この発明は、上述の課題を解決するものであり、障害者の安定した姿勢を保持した状態でリクライニング作用が行なえるとともに、堅固に構成されたリクライニング機構を有する車椅子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかわる車椅子では、上記の課題を解決するために、以下のように構成するものである。すなわち、
前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成される車椅子であって、
それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成され、前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また好ましくは、前記ガイド手段が、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成されていればよい。
【0010】
(削除)
【0011】
さらに、前記座席フレーム体が、前記座席フレーム体から突出したシャフト部と、前記シャフト部を把持するロック体とを備え、前記シャフト部が把持位置を変えることによって、前記座席フレーム体の適宜な角度で停止できるロック装置を有していることが望ましい。
【0012】
また、前記背フレームにヘッドレストが装着可能に形成されていればなおよい。
【0013】
【発明の効果】
本発明の車椅子は、座席フレーム体の背フレームを、車輪フレーム体に対して傾倒させる際、座席フレーム体は、車輪フレーム体のガイドフレームに案内されながら、左右一対の車輪フレーム体に対して揺動される。座席フレーム体は、背フレームとサイドフレームと脚フレームとを備えて構成されていることから、座席フレーム体に座位する障害者は、座位姿勢のままでリクライニング作用を行なうことができ、身体を動かせない重度な障害者であっても、安定した姿勢でリクライニングすることが可能となる。しかも、座席フレーム体が、車輪フレーム体に対して揺動する際、揺動支点部のピンだけでなくガイド手段で支持されて摺動することができることから、障害者の体重を十分に支持することができて、障害者を安心して車椅子に搭乗させてリクライニングさせることが可能となる。
【0014】
又、前記座席フレーム体が揺動する際、車輪フレーム体に配設されたガイドフレームに係合可能なガイドが、座席フレーム体に摺動するように構成されていれば、障害者の体重をガイドフレームを介して支持することができることから、リクライニング作用を安定して行なうことができる。
【0015】
又、本発明の車椅子は、幅方向に沿って折畳可能に形成されていることから、コンパクトに構成することができて持ち運びしやすい。
【0016】
さらに、本発明の車椅子において、車輪フレーム体に対して揺動された座席フレーム体は、前記座席フレーム体から突出したシャフトのいずれかの部位を把持するようにしてロックすることができることから、障害者の要求に合わせて自在な角度で強固にロックさせることができる。
【0017】
さらに、障害者が座位姿勢を崩すことなく後方に揺動する際に、障害者の頭部は、背フレームに装着されたヘッドレストで支持されることから、障害者は後方に揺動されても安定した姿勢を維持したままでリクライニング作用を行なうことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の車椅子は、障害者を搭乗させてリクライニングする際に、障害者が座位姿勢を崩すことなく後方に揺動でき、しかも極めてスムーズに揺動できるとともに、揺動時に安定して支持できるように堅固に構成するものであり、そのために、実施形態の車椅子1は、図1?2に示すように、左右一対の前輪3及び後輪5と、各前輪3及び後輪5を支持する左右一対の車輪フレーム体10と、一対の車輪フレーム体10の間に配置されて、左右一対の車輪フレーム体10に対して揺動可能な座席フレーム体20と、を有して構成されている。
【0019】
各車輪フレーム体10は、図3にも示すように、座席フレーム体20に軸着される支点部13を有した上部フレーム11と、前輪3と後輪5とを連結する下部フレーム12と、上部フレーム11に配置され支点部13を中心にして円弧状に形成されるガイドフレーム14と、を有して構成されている。
【0020】
上部フレーム11は、前輪3と後輪5とを連結するために、実施形態では、支点部13を略中央部の上部に配置させて山形状に形成し、上部フレーム11の前部に前輪3の車軸3aを接続するジョイント部4を固着し、上部フレーム11の後部に後輪5の車軸5aを固着させている。さらに、車輪フレーム体10を強固に構成するために、上部フレーム11の前端部と後端部とを一部屈曲部を有して略水平方向に延設する下部フレーム12が固着され、上部フレーム11と下部フレーム12とで枠体状に構成している。
【0021】
なお、図1に示すように、後輪5の回転を停止させるブレーキ体7が、手操作用レバー7aを有して、上部フレーム11とガイドフレーム14との間に配置されたブレーキフレーム15に装着されている。
【0022】
座席フレーム体20は、図1に示すように、障害者が座位姿勢で肘を掛ける位置に配置される肘かけフレーム21と、肘かけフレーム21の下方に配置されるサイドフレーム22と、サイドフレーム22の下方に配置される底フレーム23と、肘かけフレーム21と底フレーム23との後部で底フレーム23から肘かけフレーム21の上方に向かって立ち上がる背フレーム24と、肘かけフレーム21の前方屈折部から前方下部に向かって屈曲するように配置された脚フレーム25と、を有して一対の車輪フレーム体10の内側に配置するように構成されている。
【0023】
肘かけフレーム21は、後端部で略垂直方向に配置された背フレーム24と略水平方向に配置された底フレーム23の前端部とを連結するように上部前方で屈曲するL字形に形成され、水平方向の上面に肘かけ部21aが取り付けられている。
【0024】
肘かけフレーム21の上部と底フレーム23との間に配置されているサイドフレーム22は、実施形態では、車輪フレーム体10の上部フレーム11と軸着されて支持されている。つまり、サイドフレーム22は、図1及び図4に示すように、上部フレーム11の頂点部111下面で筒体131を介して固着された支点部13の軸132の先端に筒体221を介して枢着するように連結されていることから、座席フレーム体20は車輪フレーム体10に対して揺動可能に配置されることとなる。
【0025】
底フレーム23は、脚フレーム25の下部から背フレーム24の下端部を連結して背フレーム24より後方に延設され、中間部において、車輪フレーム体10のガイドフレーム14の下方を円弧状のガイドフレーム14に沿って屈曲するように形成されている。そして、図5に示すように、底フレーム23に2か所で固着されたブラケット26が、ガイドフレーム14を囲うように配置されるとともに、パイプ状に形成されたガイドフレーム14の外周面を把持して摺動可能に配置された一対のローラ27、27を、軸支するようにして形成されている。
【0026】
従って、座席フレーム体20は、車輪フレーム体10に対して、底フレーム23を介してガイドフレーム14に案内されながら揺動されるとともに、座席フレーム体20に搭乗する障害者の体重は一対のローラ27、27を介して車輪フレーム体10で支持されることとなる。
【0027】
なお、ローラ27は、ガイドフレーム14の外周面上を摺動するものであれば、特にその形状を限定するものではないが、実施形態では、ガイドフレーム14の外径と略同形の凹状円弧部271を外周面に形成した鼓状のローラ27を、ガイドフレーム14の外周面に当接するようにガイドフレーム14を間にして一対配置させている。もちろんローラは、ローラの内周面がガイドフレーム14の外周面に嵌合するようにパイプ状に形成されていてもよい。
【0028】
背フレーム24は、図1に示すように、背もたれシート24aを掛着するように形成されるとともに上端部で後方に屈曲して介護者が操作するハンドル部241を形成し、背フレーム24の縦方向の中間部から車輪フレーム体10の上部フレーム11の後部にわたって連結された座席フレーム体20の揺動位置を規制してロックするロック装置30を配置させている。
【0029】
脚フレーム25は、肘かけフレーム21の前縦部211のサイドフレーム22の先端部と対向する位置から前方から下方に屈曲して形成され、開閉可能なフットレスト28を装着している。
【0030】
ロック装置30は、図1に示すように、背フレーム24の中間部と上部フレーム11の後端部(後輪5の車軸5a付近)との間を連結した伸縮可能な連結体31の距離を適宜規制することによって、座席フレーム体20の車輪フレーム体10に対する揺動角度を自在に設定することができる。
【0031】
実施形態における連結体31は、市販のメカニカルロック装置を採用している。メカニカルロック装置は、シリンダ部32とシリンダ部32内を挿通して摺動するピストン部33とを有し、ピストン部33の先端が背フレーム24の中間部に取り付け金具34を介して枢着可能に掛止され、シリンダ部32の一端は上部フレーム11の後端部に回動可能に装着された取り付け金具35に枢着可能に掛止され、ピストン部33が挿通されたシリンダ部32は縮径可能に形成されている。そして、シリンダ部32の縮径作動を操作する操作レバー36が一対で背フレーム24の一対のハンドル部241に、それぞれシリンダ部32から連結されたワイヤ37を介して装着されている。
【0032】
操作レバー36は、手で操作しない通常時においては、シリンダ部32を縮径状態にしてピストン部33を把持してロック状態にし、手で握るとワイヤ37を牽引してシリンダ部32が拡径されてピストン部33を移動可能にさせる。これによって、ピストン部33の、取り付け金具34と取り付け金具35間との距離を、適宜変更することができ、座席フレーム体20を適宜な位置で揺動可能に作用させることができる。
【0033】
実施形態の車椅子1は、座席フレーム体20を幅方向で折り畳むことができる。図6に示すように、左右一対の底フレーム23、23と、左右一対のサイドフレーム22、22の内側に配置された左右一対のシートフレーム41、41と、を接続するように、クロス状に配置した一対の連結棒42、42をそれぞれの各端部で枢着可能に構成した折畳機構40を有している。
【0034】
一対の連結棒42、42は、クロスした中央部の支点部43で同軸で回動可能に支持され、そのために、支点部43を中心にしてシートフレーム41、41が各底フレーム23、23から内方に突出した装着部231の枢支点232で回動することによって、一対の車輪フレーム体10、10を接近させたり、離隔させたりして折畳可能に構成している。なお、シートフレーム41には座位シート45が掛けられて、障害者を座位できるようにし、折畳機構40は、シートフレーム41の前後方向に2か所配置している(図1参照)。そして、座位シート45の幅方向の中央部を上方に押し上げることによって、一対の連結棒42、42を枢支点232、232を中心にして回動させると、折畳機構40は支点部43を中心に折り畳まれることとなる。
【0035】
なお、左右一対の背フレーム24、24の上部には、図2に示すように、頭部シート291を装着したヘッドレスト29を支持するための受け部242、242がヘッドレスト29を着脱できるように形成され、座席フレーム体20が後方に揺動した際に、障害者の頭部を支持できるように構成されている。
【0036】
さらに、実施形態の車椅子1には、図1に示すように、車軸5aを圧接して後輪5の回転を停止されるブレーキ装置8が、背フレーム24のハンドル部241に装着された操作ハンドル81とワイヤ82(図1参照)によって操作可能に配置されている。
【0037】
次に、上記のように構成された車椅子1の作用を説明する。
【0038】
本形態の車椅子1を重度の障害者を搭乗させて使用する場合、通常走行時においては、図1に示すように、座席フレーム体20を、車輪フレーム体10に対して立てた状態にして障害者を座位シート45上に座位させ、後輪5用のブレーキ体7を後輪5から離隔させてる。そして、ハンドル部241、241を介護者が操作することによって、車椅子1を走行させる。
【0039】
リクライニングを行なう場合には、ハンドル部241、241に装着されているリクライニング用の操作レバー36、36を握り、ワイヤ37、37を牽引することによって、ロック装置30、30のピストン部33、33とシリンダ部32、32とのロックを解除させた後、図7に示すように、ハンドル部241、241を下方に移動させることによって、座席フレーム体20を車輪フレーム体10に対して後方に揺動させる。
【0040】
この際、座席フレーム体20に装着されているローラ27が、車輪フレーム体10のガイドフレーム14に沿って摺動しながら、座席フレーム体20は、背フレーム24、サイドフレーム22、肘掛けフレーム21、底フレーム23の各フレーム間の角度を変化させることなく一体的にした状態で、車輪フレーム体10の支点部13を中心に後方に回動される。
【0041】
また、ロック装置30は、ピストン部33がシリンダ部32からの圧着が解除されていることによって、シリンダ部32内への移動を可能とし、座席フレーム体20の後方への揺動によって、ロック装置30のピストン部33は、シリンダ部32内を移動して、ピストン部33側の取り付け金具34とシリンダ部32側の取り付け金具35との距離を変化させて、座席フレーム体20の適度な揺動角度に設定し、その位置において操作レバー36、36から手を離して、ピストン部33の移動を停止させてロックをする。
【0042】
従って、サイドフレーム22と背フレーム24及び底フレーム23との角度を維持した状態で座席フレーム体20を車輪フレーム体10に対して一体的に揺動することから、障害者は走行中に座位した状態の姿勢のままで座席フレーム体20と共に後方に揺動されることとなる。
【0043】
この際、座席フレーム体20の底フレーム23から突出したローラ27は車輪フレーム体10のガイドフレーム14に沿って摺動されることから、障害者の体重は、車輪フレーム体10の支点部13における軸132で支持されるとともにローラ27を介してガイドフレーム14で支持されることとなる。また、ヘッドレスト29が背フレーム24、24に装着されることによって、障害者の頭部は後方に揺動されて重心が後方に移動しても、ヘッドレスト29によって安定した姿勢を維持した状態で支持されることとなる。
【0044】
従って、上述のように、実施形態の車椅子1は、座席フレーム体20の背フレーム24を、車輪フレーム体10に対して揺動させる際、座席フレーム体20は、車輪フレーム体10のガイドフレーム14に案内されながら、車輪フレーム体10に対して揺動されることから、座席フレーム体20に座位する障害者は、座位姿勢のままでリクライニング作用を行なうことができ、身体を動かせない重度な障害者であっても、安定した姿勢でリクライニングすることが可能となる。しかも、座席フレーム体20が、車輪フレーム体10に対して揺動する際、揺動支点部13の軸132だけでなく、ローラ27を介してガイドフレーム14で支持されて摺動することができることから、障害者の体重を十分に支持することができて、障害者を安心して車椅子1に搭乗させてリクライニングさせることが可能となる。
【0045】
又、座席フレーム体20が揺動する際、車輪フレーム体10に配設されたガイドフレーム14に係合可能なローラ27が、座席フレーム体20に摺動するように構成されていれば、障害者の体重をガイドフレーム14を介して支持することができることから、リクライニング作用を安定した姿勢で維持したまま行なうことができる。
【0046】
しかも、本形態の車椅子1は、幅方向に沿って折畳可能に形成されていることから、コンパクトに構成することができ持ち運びしやすい。
【0047】
さらに、車輪フレーム体10に対して揺動された座席フレーム体20は、座席フレーム体20から突出したメカニカルロック装置(連結体31)のピストン部33のいずれかの部位を把持するようにしてロックすることができることから、障害者の要求に合わせて自在な角度で強固にロックさせることができる。
【0048】
さらに、障害者が座位姿勢を崩すことなく後方に揺動する際に、障害者の頭部は、背フレーム24に装着されたヘッドレスト29で支持されることから、障害者は後方に揺動されても安定した姿勢を維持したままでリクライニング作用を行なうことができる。
【0049】
なお、本発明の車椅子は、障害者が座位姿勢のままで揺動できるものであり、座席フレーム体の揺動時に、摺動ガイドできて安定して支持できるように構成するものであれば、上記形態に限定するものではない。例えば、座席フレーム体20の揺動支点部13を図例のようにサイドフレーム22に設けるのではなく、例えば、肘掛けフレーム21に設けるようにしてもよく、その場合、ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのローラ27を、サイドフレーム22から突出するように設けてもよい。
【0050】
又、ロック装置30の連結体31の一端を支持する部位は、車輪フレーム体10に設けられていれば、上部フレーム11でなく下部フレーム12でもよく、又、連結体31としてメカニカルロックを使用するのではなく、背フレーム24から取り付け金具34を介して下方に突出したシャフトと、車輪フレーム体10に取り付け金具35を介して一端が支持されてシャフトを挿通する筒体と、筒体内を摺動するシャフトの一部を把持する把持部を有し、取り付け金具34と取り付け金具35との間の距離が可変になるように構成されていれば、他の手段でもよい。さらに、座席フレーム体20の揺動支点部を、ロックするように構成された支点部ロック手段であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態の車椅子を示す側面図である。
【図2】図1におけるII矢視図である。
【図3】図1の車椅子の車輪フレーム体を示す側面図である。
【図4】図3におけるIV-IV断面図である。
【図5】図3におけるV-V断面図である。
【図6】図1における車椅子の折畳機構を示す背面図である。
【図7】図1における車椅子のリクライニング状態を示す作用図である。
【符号の説明】
1…車椅子
3…前輪
5…後輪
10…車輪フレーム体
11…上部フレーム
12…下部フレーム
13…支点部
14…ガイドフレーム
20…座席フレーム体
21…肘掛けフレーム
22…サイドフレーム
23…底フレーム
24…背フレーム
27…ローラ
29…ヘッドレスト
30…ロック装置
31…連結体(メカニカルロック)
32…シリンダ部
33…ピストン部
34、35…取り付け金具
36…操作レバー
37…ワイヤ
40…折畳機構
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2014-03-11 
結審通知日 2014-03-13 
審決日 2014-03-25 
出願番号 特願2000-266850(P2000-266850)
審決分類 P 1 113・ 113- YAA (A61G)
P 1 113・ 855- YAA (A61G)
P 1 113・ 851- YAA (A61G)
P 1 113・ 121- YAA (A61G)
P 1 113・ 536- YAA (A61G)
P 1 113・ 854- YAA (A61G)
P 1 113・ 537- YAA (A61G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 洋昭  
特許庁審判長 横林 秀治郎
特許庁審判官 蓮井 雅之
関谷 一夫
登録日 2005-05-27 
登録番号 特許第3680160号(P3680160)
発明の名称 車椅子  
代理人 春名 潤也  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 宇佐見 忠男  
代理人 前川 弘美  
代理人 江間 路子  
代理人 江間 路子  
代理人 春名 潤也  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 乾 てい子  
代理人 前川 弘美  
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