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審決分類 |
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する C08F 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する C08F 審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する C08F 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C08F 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する C08F |
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管理番号 | 1289872 |
審判番号 | 訂正2014-390057 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2014-04-21 |
確定日 | 2014-06-19 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4605750号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4605750号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 特許第4605750号(請求項の数13。以下「本件特許」という。)は,国際出願日である平成15年2月14日(パリ条約による優先権主張 平成14年3月1日 ドイツ連邦共和国)にされたとみなされる特許出願に係るものである。 上記特許出願は,平成22年2月16日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年6月23日に拒絶査定不服審判が請求され,特許法162条所定の審査がされた結果,同年9月7日付けで特許査定がされたものであり,同年10月15日に特許権の設定登録がされた。 また,平成26年4月21日に本件訂正審判が請求された。 第2 請求の趣旨及び理由 1 請求の趣旨 結論同旨 2 請求の理由(訂正の内容) 請求人の求めた訂正(以下「本件訂正」という場合がある。)について,訂正事項ごとに掲記すると,概略,以下のとおりである。 (1) 訂正事項1 誤訳の訂正を目的として,特許請求の範囲の請求項3に「モノマーBの場合,鎖長のモノマーのアルキル基R^(8)の少なくとも50%がC_(16)以上であるコポリマーを含有する,請求項1または2記載の脱ロウ添加剤。」とあるのを,「モノマーBは,モノマーの少なくとも50%がC_(16)以上の鎖長のアルキル基R^(8)であるコポリマーを含有する,請求項1または2記載の脱ロウ添加剤。」に訂正する。また,当該請求項3の記載を引用する請求項4?13についても,同様に,訂正する。 (2) 訂正事項2 誤訳の訂正を目的として,特許請求の範囲の請求項4に「モノマーAが,モノマーのスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートからなるコポリマーを含有する,請求項1から3までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。」とあるのを,「モノマーAが,モノマーであるスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートの1種または複数種からなるコポリマーを含有する,請求項1から3までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。」に訂正する。また,当該請求項4の記載を引用する請求項5?13についても,同様に,訂正する。 (3) 訂正事項3 誤訳の訂正を目的として,特許請求の範囲の請求項10に「脱ロウ添加剤がパラフィン型またはナフテン型の油中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であるかまたは有機溶剤中に存在する,請求項1から9までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。」とあるのを,「脱ロウ添加剤がパラフィン型またはナフテン型の油中または有機溶剤中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液である,請求項1から9までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。」に訂正する。また,当該請求項10の記載を引用する請求項11?13についても,同様に,訂正する。 (4) 訂正事項4 誤訳の訂正を目的として,明細書の段落【0033】に「モノマーAは,好ましくはモノマーのスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートからなることができる。」とあるのを,「モノマーAは,好ましくはモノマーであるスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートの1種または複数種からなることができる。」に訂正する。 (5) 訂正事項5 誤訳の訂正を目的として,明細書の段落【0042】に「殊に,脱ロウ添加剤は,パラフィン型またはナフテン型の油中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であってもよいし,有機溶剤中に存在していてもよい。」とあるのを,「殊に,脱ロウ添加剤は,パラフィン型またはナフテン型の油中または有機溶剤中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であってよい。」に訂正する。 第3 当審の判断 1 訂正の目的,新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否についての検討 (1) はじめに 本件特許に係る出願(特願2003-573042号)は,特許法184条の4第1項の「外国語特許出願」である国際出願PCT/EP2003/001472(以下「本件国際出願」という。)が,同法184条の3第1項の規定により特許出願とみなされたものである。 したがって,本件審判に係る訂正事項のうち,特許法126条1項ただし書き2号に掲げる事項を目的とするものについて,同条5項を適用する際の「外国語書面出願」及び「外国語書面」は,同法184条の19の規定により,それぞれ「第184条の4第1項の外国語特許出願」及び「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書,請求の範囲又は図面」となるので,同法126条5項で規定する「願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面」は,「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書,請求の範囲又は図面」となる。すなわち,本件審判に係る訂正事項のうち,特許法126条1項ただし書き2号に掲げる事項を目的とするものについて,同条5項を適用する際の「願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面」は,国際出願日における本件国際出願の明細書,請求の範囲又は図面となる(「国際出願日における本件国際出願の明細書,請求の範囲又は図面」を,以下単に「基準明細書」という。)。 以下,これを踏まえて検討する。 (2) 訂正事項1(上記第2_2(1))についての検討 ア 訂正の目的 (ア)a 基準明細書における本件特許の請求項3に対応する箇所(基準明細書の請求項3)には,次の記載がある。 「Copolymer nach Anspruch 1 oder 2, dadurch gekennzeichnet, dass bei dem Monomer B mindestens 50% der Monomere Alkylreste R^(8) der Kettenlange grosser oder gleich C_(16) enthalten,」(審決注:基準明細書の独語の記載のうち,ウムラウトを表す綴字記号「¨」については,その記号の表記を省略し,エスツェットについては,「ss」と表記する。以下同じ。) b この記載は本来,次のように翻訳されるべきものであると判断される。 「モノマーBの場合,モノマーの少なくとも50%がC_(16)に等しいかまたはそれより大きい鎖長のアルキル基R^(8)を有することを特徴とする,請求項1または2記載のコポリマー。」 (イ)a 他方,基準明細書についての特許法184条の4第1項所定の翻訳文は,誤訳のため,その請求項3を次のとおり記載していた。 「モノマーBの場合,鎖長のモノマーのアルキル基R^(8)の少なくとも50%は,C_(16)以上を含有する,請求項1または2記載のコポリマー。」 b そして,この記載に基づいて,訂正前の本件特許の請求項3は次のとおりのものとして設定登録された。 「モノマーBの場合,鎖長のモノマーのアルキル基R^(8)の少なくとも50%がC_(16)以上であるコポリマーを含有する,請求項1または2記載の脱ロウ添加剤。」 (ウ) 訂正事項1に係る本件訂正は,上述のような誤訳に基づく本件特許の請求項3の記載を,次のとおり訂正するものであると認めることができる。 「モノマーBは,モノマーの少なくとも50%がC_(16)以上の鎖長のアルキル基R^(8)であるコポリマーを含有する,請求項1または2記載の脱ロウ添加剤。」 (エ) したがって,訂正事項1は,特許法126条1項ただし書き2号に掲げる「誤訳の訂正」を目的とするものであるといえる。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 訂正事項1は,上記のとおり,基準明細書に記載した事項においてしたものである。また,請求項3の訂正の前後の記載を比較しても(上記ア(イ)b,同(ウ)),訂正によって,訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し,又は変更されたと認めることはできない。 したがって,訂正事項1は,特許法126条5項及び6項の規定に適合するといえる。 (3) 訂正事項2(上記第2_2(2))についての検討 ア 訂正の目的 (ア)a 基準明細書における本件特許の請求項4に対応する箇所(基準明細書の請求項4)には,次の記載がある。 「Copolymer nach einem der Anspruche 1-3, dadurch gekennzeichnet, dass das Monomer A aus einem oder mehreren der Monomeren Styrol, Butylmethacrylat, Methylmethacrylat oder 2-Ethylhexylmethacrylat besteht.」 b この記載は本来,次のように翻訳されるべきものであると判断される。 「モノマーAは,モノマーであるスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートの1種または複数種からなることを特徴とする,請求項1から3までのいずれか1項記載のコポリマー。」 (イ)a 他方,基準明細書についての特許法184条の4第1項所定の翻訳文は,誤訳のため,その請求項4を次のとおり記載していた。 「モノマーAは,モノマーのスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートからなる,請求項1から3までのいずれか1項に記載のコポリマー。」 b そして,この記載に基づいて,訂正前の本件特許の請求項4は次のとおりのものとして設定登録された。 「モノマーAが,モノマーのスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートからなるコポリマーを含有する,請求項1から3までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。」 (ウ) 訂正事項2に係る本件訂正は,上述のような誤訳に基づく本件特許の請求項4の記載を,次のとおり訂正するものであると認めることができる。 「モノマーAが,モノマーであるスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートの1種または複数種からなるコポリマーを含有する,請求項1から3までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。」 (エ) したがって,訂正事項2は,特許法126条1項ただし書き2号に掲げる「誤訳の訂正」を目的とするものであるといえる。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 訂正事項2は,上記のとおり,基準明細書に記載した事項においてしたものである。また,請求項4の訂正の前後の記載を比較しても(上記ア(イ)b,同(ウ)),訂正によって,訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し,又は変更されたと認めることはできない。 したがって,訂正事項2は,特許法126条5項及び6項の規定に適合するといえる。 (4) 訂正事項3(上記第2_2(3))についての検討 ア 訂正の目的 (ア)a 基準明細書における本件特許の請求項10に対応する箇所(基準明細書の請求項12)には,次の記載がある。 「Dewaxing-Additiv nach Anspruch 11, dadurch gekennzeichnet, dass das Dewaxing-Additiv eine Losung der Copolymere oder des Polymergemischs in einem Ol vom paraffinischen oder naphthenischen Typ oder aber in einem organischen Losemittel ist.」 b この記載は本来,次のように翻訳されるべきものであると判断される。 「脱ロウ添加剤が,パラフィン型またはナフテン型の油中またはしかし有機溶剤中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であることを特徴とする,請求項11記載の脱ロウ添加剤。」 (イ)a 他方,基準明細書についての特許法184条の4第1項所定の翻訳文は,誤訳のため,その請求項12を次のとおり記載していた。 「脱ロウ添加剤がパラフィン型またはナフテン型の油中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であるかまたは有機溶剤中に存在する,請求項11記載の脱ロウ添加剤。」 b そして,この記載に基づいて,訂正前の本件特許の請求項10は次のとおりのものとして設定登録された。 「脱ロウ添加剤がパラフィン型またはナフテン型の油中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であるかまたは有機溶剤中に存在する,請求項1から9までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。」 (ウ) 訂正事項3に係る本件訂正は,上述のような誤訳に基づく本件特許の請求項10の記載を,次のとおり訂正するものであると認めることができる。 「脱ロウ添加剤がパラフィン型またはナフテン型の油中または有機溶剤中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液である,請求項1から9までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。」 (エ) したがって,訂正事項3は,特許法126条1項ただし書き2号に掲げる「誤訳の訂正」を目的とするものであるといえる。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 訂正事項3は,上記のとおり,基準明細書に記載した事項においてしたものである。また,請求項10の訂正の前後の記載を比較しても(上記ア(イ)b,同(ウ)),訂正によって,訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し,又は変更されたと認めることはできない。 したがって,訂正事項3は,特許法126条5項及び6項の規定に適合するといえる。 (5) 訂正事項4(上記第2_2(4))についての検討 ア 訂正の目的 (ア)a 基準明細書における願書に添付した明細書の段落【0033】に対応する箇所(本件国際出願についての国際公開第2003/074578号の13頁12?14行に対応。)には,次の記載がある。 「Das Monomer A kann vorteilhafterweise aus einem oder mehreren der Monomeren Styrol, Butylmethacrylat, Methylmethacrylat oder 2-Ethylhexylmethacrylat bestehen.」 b この記載は本来,次のように翻訳されるべきものであると判断される。 「モノマーAは,好ましくはモノマーであるスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートの1種または複数種からなることができる。」(審決注:なお,請求書16頁の仮想翻訳文には,モノマーの選択肢について,「メチルメタクリレート」が抜けている点で誤りがある。) (イ) 他方,基準明細書についての特許法184条の4第1項所定の翻訳文は,誤訳のため,段落【0033】を次のとおり記載していた(この記載は,設定登録時においても同じである。)。 「モノマーAは,好ましくはモノマーのスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートからなることができる。」 (ウ) 訂正事項4に係る本件訂正は,上述のような誤訳に基づく明細書の段落【0033】の記載を,次のとおり訂正するものであると認めることができる。 「モノマーAは,好ましくはモノマーであるスチレン,ブチルメタクリレート,メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートの1種または複数種からなることができる。」 (エ) したがって,訂正事項4は,特許法126条1項ただし書き2号に掲げる「誤訳の訂正」を目的とするものであるといえる。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 訂正事項4は,上記のとおり,基準明細書に記載した事項においてしたものである。また,段落【0033】の訂正の前後の記載を比較しても(上記ア(イ),同(ウ)),訂正によって,訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し,又は変更されたと認めることはできない。 したがって,訂正事項4は,特許法126条5項及び6項の規定に適合するといえる。 (6) 訂正事項5(上記第2_2(5))についての検討 ア 訂正の目的 (ア)a 基準明細書における願書に添付した明細書の段落【0042】に対応する箇所(本件国際出願についての国際公開第2003/074578号の15頁4?6行に対応。)には,次の記載がある。 「Insbesondere konnen die Dewaxing-Additive eine Losung der Copolymere oder des Polymergemischs in einem Ol vom paraffinischen oder naphthenischen Typ oder aber in einem organischen Losemittel sein.」 b この記載は本来,次のように翻訳されるべきものであると判断される。 「殊に,脱ロウ添加剤は,パラフィン型またはナフテン型の油中またはしかし有機溶剤中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であってよい。」 (イ) 他方,基準明細書についての特許法184条の4第1項所定の翻訳文は,誤訳のため,段落【0042】を次のとおり記載していた(この記載は,設定登録時においても同じである。)。 「殊に,脱ロウ添加剤は,パラフィン型またはナフテン型の油中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であってもよいし,有機溶剤中に存在していてもよい。」 (ウ) 訂正事項5に係る本件訂正は,上述のような誤訳に基づく明細書の段落【0042】の記載を,次のとおり訂正するものであると認めることができる。 「殊に,脱ロウ添加剤は,パラフィン型またはナフテン型の油中または有機溶剤中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であってよい。」 (エ) したがって,訂正事項5は,特許法126条1項ただし書き2号に掲げる「誤訳の訂正」を目的とするものであるといえる。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 訂正事項5は,上記のとおり,基準明細書に記載した事項においてしたものである。また,段落【0042】の訂正の前後の記載を比較しても(上記ア(イ),同(ウ)),訂正によって,訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し,又は変更されたと認めることはできない。 したがって,訂正事項5は,特許法126条5項及び6項の規定に適合するといえる。 2 独立特許要件について 上記1で検討のとおり,訂正事項1?5は,いずれも誤訳の訂正を目的とするものである。そこで,訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか(いわゆる独立特許要件の充足性。特許法126条7項)について検討する。 なお,特許請求の範囲のうち,実質的な訂正がなされているのは請求項3?13であるところ,これら請求項の独立特許要件の充足性の検討にあたっては,審決の便宜のため,まずこれら請求項のいずれもが直接又は間接的に引用する請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明1」という。)の新規性及び進歩性について検討する。 (1) 本件訂正発明1の新規性及び進歩性について ア 本件訂正発明1の要旨 本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「次式AおよびB: 【化1】 〔式中, R^(1)は,HまたはCH_(3)であり, R^(2)は,フェニル,ベンジル,ナフチル,アントラニル,フェナントリル,N-ピロリドニル,N-イミダゾリル,2-ピリジル,4-ピリジルまたはアルキル置換された芳香族置換基を表わすかまたは R^(2)は,COOR^(3)であり,この場合R^(3)は,HであるかまたはR^(3)は,C_(1)?C_(10)を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であるかまたは R^(3)は,ヘテロ原子で置換された基-(CH_(2))_(n)Xであり,この場合Xは,OHであるかまたはXは,N(R^(4))_(2)であり,この場合nは,1?10であり,R^(4)は,それぞれ互いに独立にHであるかまたはR^(4)は,C_(1)?C_(4)-アルキルを表わすかまたは R^(3)は,-(CH_(2)CH_(2)O)_(m)R^(5)を表わし,この場合mは,1?90であり,R^(5)は,HであるかまたはR^(5)は,C_(1)?C_(18)を表わすかまたはR^(3)は,ベンジル基,フェニル基またはシクロヘキシル基を表わすかまたはR^(2)は,CONHR^(6)であり,この場合R^(6)は,HであるかまたはR^(6)は,C_(1)?C_(10)を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わすかまたは R^(6)は,ヘテロ原子で置換された基-(CH_(2))_(n)Xを表わし,この場合Xは,OHであるかまたはXは,N(R^(4))_(2)であり,この場合nは,1?10であり,R^(4)は,それぞれ互いに独立にHを表わすかまたはR^(4)は,C_(1)?C_(4)-アルキルを表わす〕および 【化2】 〔式中, R^(7)は,HであるかまたはCH_(3)であり, 基R^(8)は,C_(18)?C_(24)-を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である〕で示されるラジカル重合可能なモノマーからなるロウ含有鉱油留出物を溶剤脱ロウするための添加剤の製造に適したコポリマーまたはポリマー混合物を含有する脱ロウ添加剤。」(なお,上記式A及びBの構造式については,構造式中の説明を含め,審決の便宜のため,その記載を省略し,以下単に「式A」及び「式B」とのみ記す。) イ 検討 (ア) 審理対象となる刊行物 本件特許に係る出願の審査段階における拒絶査定の理由は,いわゆる新規性欠如又は進歩性欠如をいうものであり,その概要は,特許請求の範囲の請求項に係る発明は,優先日前に頒布された刊行物である特開2001-158884号公報(以下「引用文献1」という。)に記載された発明であるから特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができず,または,引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,同法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものであった。 そこで以下,本件訂正発明1が,引用文献1に記載された発明を主たる引用発明として,新規性及び進歩性を有するかについて検討する。 (イ) 引用文献1の記載事項 引用文献1には,次の記載がある。(下線は審決で付記。以下同じ。) ・「【請求項1】アルキル(メタ)アクリレート系重合体からなり,該重合体の示差走査熱量計により測定される結晶化開始温度(Ta)および結晶化終了温度(Tb)が,それぞれ下記式(1)および(2)を満たし,かつ,示差走査熱量計により測定される結晶化開始温度(ta)が20℃?70℃であり,結晶化終了温度(tb)が-10℃?-70℃であるろう含有鉱物油の溶剤脱ろう用助剤。 ta+5℃ ≧ Ta ≧ ta-30℃ (1) tb+5℃ ≧ Tb ≧ tb-30℃ (2)…」(【特許請求の範囲】) ・「【発明の属する技術分野】本発明は溶剤脱ろう用の助剤…に関する。さらに詳しくはろうを含有する鉱物油から,ろうをろ過除去する際の,ろ過性を向上させる助剤…に関する。」(【0001】) ・「本発明におけるアルキル(メタ)アクリレート系重合体は,結晶化開始温度(Ta)及び結晶化終了温度(Tb)が,下記式(1)および(2)を満たす必要がある。 ta+5℃ ≧ Ta ≧ ta-30℃ (1) tb+5℃ ≧ Tb ≧ tb-30℃ (2) (Ta)および(Tb)の調整は,該重合体の必須構成成分である,炭素数10?40のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単量体の共重合比の調整により行うことができる。…」(【0006】) ・「該重合体は,炭素数10?40の直鎖,又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体(例えば,デシルメタクリレート,イソデシルメタクリレート,ドデシルメタクリレート,イソドデシルメタクリレート,トリデシルメタクリレート,イソトリデシルメタクリレート,テトラデシルメタクリレート,イソテトラデシルメタクリレート,ペンタデシルペタメクリレート,イソペンタデシルペタメクリレート,ヘキサデシルメタクリレート,オクタデシルメタクリレート,デシルアクリレート,イソデシルアクリレート,ドデシルアクリレート,イソドデシルアクリレート,トリデシルアクリレート,イソトリデシルアクリレート,テトラデシルアクリレート,イソテトラデシルアクリレート,ペンタデシルアクリレート,イソペンタデシルアクリレート,ヘキサデシルアクリレート,オクタデシルアクリレート)を,必須構成成分として含有する(メタ)アクリレート系共重合体である。該重合体中の該単量体の含量は,通常20重量%?100重量%であり,析出するろうとの共結晶の点から好ましくは,30重量%?100重量%である。20重量%未満の場合は,析出するろうと共結晶せずろ過性が向上しない。」(【0007】) ・「本発明に於て,該重合体は構成単位として,該単量体以外にラジカル重合性の他の単量体を含有することができる。この例としては,アルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数が1?30のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート,アルコキシ基の炭素数が1?30,アルキレン基の炭素数が2?30のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートなど);アルキル(メタ)アクリレート以外の,アルキル基の炭素数1?30の不飽和モノまたは/およびポリカルボン酸エステル類(ブチルクロトネート,オクチルクロトネート,ドデシルクロトネート,ジブチルマレエート,ジオクチルフマレート,ジラウリルマレエート,ジステアリルフマレート,ジオクチルイタコネート,ジラウリルイタコネートなど);ビニル芳香族化合物(スチレン,ビニルトルエンなど);ビニルエステル類(酢酸ビニル,プロピオン酸ビニルなど);炭素数が10?30のアルファオレフィン類(デセン,ドデセンなど);カルボン酸化合物類(無水マレイン酸,メタアクリル酸,クロトン酸,イタコン酸など);アクロレイン;炭素数が4?30の共役ジエン(ブタジエン,イソプレン,クロロプレンなど);アセチレン;置換アセチレン[アルキル基の炭素数が1?30のアルキルアセチレン(プロピン,1-ブチン,1-ペンチン,1-ヘキシンなど),アリール基の炭素数が6?30のアリールアセチレン(フェニルアセチレン,p-メチルフェニルアセチレンなど)];アルキルビニルエーテル[通常,炭素数1?18の直鎖または分岐アルキル基を有するアルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル,エチルビニルエーテル,プロピルビニルエーテル,ブチルビニルエーテル,アミルビニルエーテル,ヘキシルビニルエーテル,ヘプチルビニルエーテル,オクチルビニルエーテル,ノニルビニルエーテル,デシルビニルエーテル,ドデシルビニルエーテル,トリデシルビニルエーテル,テトラデシルビニルエーテル,ペンタデシルビニルエーテル,ヘキサデシルビニルエーテル,オクタデシルビニルエーテルなど];アルキルアリルエーテル[通常,炭素数1?18の直鎖または分岐アルキル基を有するアルキルアリルエーテル(メチルアリルエーテル,エチルアリルエーテル,プロピルアリルエーテル,ブチルアリルエーテル,アミルアリルエーテル,ヘキシルアリルエーテル,ヘプチルアリルエーテル,オクチルアリルエーテル,ノニルアリルエーテル,デシルアリルエーテル,ドデシルアリルエーテル,トリデシルアリルエーテル,テトラデシルアリルエーテル,ペンタデシルアリルエーテル,ヘキサデシルアリルエーテル,オクタデシルアリルエーテルなど]が挙げられ,これらのうち1種以上の単量体を含有することができる。」(【0010】) (ウ) 上記(イ)の適示,特に【0007】や【0010】などの記載を考慮すると,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 「炭素数10?40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体を必須構成成分とし,ラジカル重合性の他の単量体を選択的な構成成分とするアルキル(メタ)アクリレート系共重合体からなり,該共重合体の示差走査熱量計により測定される結晶化開始温度(Ta)および結晶化終了温度(Tb)が,それぞれ下記式(1)および(2)を満たし,かつ,示差走査熱量計により測定される結晶化開始温度(ta)が20℃?70℃であり,結晶化終了温度(tb)が-10℃?-70℃であるろう含有鉱物油の溶剤脱ろう用助剤。 ta+5℃ ≧ Ta ≧ ta-30℃ (1) tb+5℃ ≧ Tb ≧ tb-30℃ (2)」 (エ) 対比 本件訂正発明1と引用発明1とを対比すると,引用発明1の「炭素数10?40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体」は本件訂正発明1の「式Bで示されるラジカル重合可能なモノマー」に,「ラジカル重合性の他の単量体」は「式Aで示されるラジカル重合可能なモノマー」にそれぞれ対応するといえる。また,引用発明1の「アルキル(メタ)アクリレート系共重合体」は本件訂正発明1の「ロウ含有鉱油留出物を溶剤脱ロウするための添加剤の製造に適したコポリマー」に,「ろう含有鉱物油の溶剤脱ろう用助剤」は「脱ロウ添加剤」にそれぞれ相当するものである。 そうすると,本件訂正発明1と引用発明1との一致点及び相違点は,それぞれ次のとおりである。 ・ 一致点 「ラジカル重合可能なモノマーからなるロウ含有鉱油留出物を溶剤脱ロウするための添加剤の製造に適したコポリマーからなる脱ロウ添加剤」である点。 ・ 相違点 コポリマー(アルキル(メタ)アクリレート系共重合体)について,本件訂正発明1は「式AおよびBで示されるラジカル重合可能なモノマーからなる」ものと特定し,コポリマーが式A及び式Bという具体的構成を有する2つのモノマー成分からなるものであるのに対し,引用発明1は「炭素数10?40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体を必須構成成分とし,ラジカル重合性の他の単量体を選択的な構成成分とする」ものと特定し,2つのモノマー成分からなるとするものでなく,モノマー成分が式A及び式Bという具体的構成を有するものでもない点。 (オ) 相違点についての判断 a まず,本件訂正発明1の新規性について検討する。 本件訂正発明1の「式Bで示されるラジカル重合可能なモノマー」が引用発明1の「炭素数10?40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体」に包含されるからといって,また,引用発明1の「ラジカル重合性の他の単量体」について引用文献1が例として挙げるもの(【0010】)の中に本件訂正発明1の「式Aで示されるラジカル重合可能なモノマー」と同じものがあるからといって(例えば,スチレン),引用発明1の「炭素数10?40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体」と本件訂正発明1の「式Bで示されるラジカル重合可能なモノマー」,並びに,引用発明1の「ラジカル重合性の他の単量体」と本件訂正発明1の「式Aで示されるラジカル重合可能なモノマー」をそれぞれ対比した場合において,ただちに本件訂正発明1と引用発明1が実質的に相違しないということにはならない。 また,引用発明1のコポリマー(アルキル(メタ)アクリレート系共重合体)が2つのモノマー成分からなる場合を包含するからといって,コポリマーが特定の2つのモノマー成分からなる点において,本件訂正発明1と引用発明1が実質的に相違しないということにもならない。 以上のとおり,上記相違点は実質的なものであるといえるのであるから,本件訂正発明1は引用発明1と同一でないといわざるを得ない。本件訂正発明1は,引用文献1に記載された発明であるということはできず,よって,本件訂正発明1は引用文献1に対し新規性を有する。 b 次に,本件訂正発明1の進歩性について検討する。 訂正明細書,例えば例12(【0054】,【0071】?【0072】など)の記載から,本件訂正発明1に相当する式Aのモノマー(スチレン,ベンジルメタクリレート,n-ブチルメタクリレート又はイソノニルメタクリレート)及び式Bのモノマー(ベヘニルアクリレート)からなるコポリマーからなる脱ロウ添加剤(P1,P2,P4及びP5)は,比較例に相当する式Aのモノマーを使わない式Bのモノマー(ベヘニルアクリレート)からなるポリマーからなる脱ロウ添加剤(V1)に比し,脱ロウの効率化(濾過速度の向上)という本件訂正発明1が解決しようとする課題の点で有利な効果を奏すると当業者は理解する。 他方,上述の本件訂正発明1に相当する脱ロウ添加剤(P1,P2,P4及びP5),比較例に相当する脱ロウ添加剤(V1)は,そのいずれも引用発明1の構成を充足するものであるところ,引用文献1には,引用発明1について,必須のモノマー成分である「炭素数10?40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体」の中から炭素数18?24の単量体モノマー(例えば,ベヘニルアクリレート)を選択し,かつ当該炭素数18?24の単量体モノマーと式Aのモノマーとからなるコポリマーからなる溶剤脱ろう用助剤(脱ロウ添加剤。例えば,上記P1,P2,P4及びP5に相当するもの。)が,式Aのモノマーを使わない式Bのモノマーからなるポリマーからなる溶剤脱ろう用助剤(例えば,上記V1に相当するもの。)に比して,ろ過性の向上という本件訂正発明1と同様の課題を解決しようとする点でさらなる有利な効果を奏することについての開示も示唆もない。 とすると,引用発明1のコポリマー(アルキル(メタ)アクリレート系共重合体)について,その採りうる多数のモノマーの組み合わせの中から,本件訂正発明1の解決課題に着目して式AおよびBで示されるラジカル重合可能なモノマーを選択すること,すなわち上記相違点に係る本件訂正発明1の「式AおよびBで示されるラジカル重合可能なモノマーからなる」との構成を想到するのは,もはや当業者であっても想到容易ではない。 以上のとおり,本件訂正発明1は引用発明1から当業者が容易に発明できたものであるということはできない。よって,本件訂正発明1は,引用文献1に対し進歩性を有する。 ウ 小括 以上のとおりであるから,本件訂正発明1は,引用文献1に記載された発明を主たる引用発明として,新規性及び進歩性を有するといえる。また他に,本件訂正発明1の新規性及び進歩性を否定する事由を見いだすことができない。 (2) 訂正後の請求項3?13に係る発明の独立特許要件の充足性について 上記(1)で検討のとおり,訂正後の請求項1に係る発明(本件訂正発明1)は新規性及び進歩性を有するといえるのであるから,当該請求項1を直接又は間接的に引用する訂正後の請求項3?13に係る発明についても同様に新規性及び進歩性を有するといえる。 また他に,訂正後の請求項3?13に係る発明について,独立特許要件を欠くとする事由を見いだすことができない。 (3) まとめ したがって,本件訂正は特許法126条7項の規定に適合する。 第4 むすび 以上の次第であるから,本件訂正は,特許法126条1項ただし書き2号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条5項ないし7項の規定に適合するので,適法な訂正と認める。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ロウ含有鉱油留出物を溶剤脱ロウするための添加剤の製造に適したコポリマーまたはポリマー混合物を含有する脱ロウ添加剤ならびにパラフィン含有の鉱油留出物を溶剤脱ロウする方法 【技術分野】 【0001】 発明の分野 本発明は、ロウ含有鉱油留出物を溶剤脱ロウするための添加剤の製造に適したコポリマーまたはポリマー混合物を含有する脱ロウ添加剤ならびにパラフィン含有の鉱油留出物を溶剤脱ロウする方法に関する。 【0002】 背景技術 米国特許第4451353号明細書には、脱ロウ添加剤としてのポリ-C_(10)?C_(28)-アルキルアクリレートとポリ-n-アルキルメタクリレート(C_(10)?C_(20))とからなる混合物が記載されている。しかし、混合成分としての直鎖状のポリアルキルメタクリレートの専らの使用が指摘されている。 【0003】 ドイツ連邦共和国特許出願公開第3933376号明細書には、アルキル基の高い枝分かれ度を有するポリアルキルメタクリレート混合成分を使用した場合に直鎖状の系を用いた場合よりも良好な作用および顕著な相乗効果が生じることが示された。 【0004】 Tanasescu他(Rev.Chim.(Bucharest)1998,49(9),593-597)において、メチルエチルケトン/トルエン混合物中での脱ロウ助剤としてのC_(10)?_(18)-メタクリレートとスチレンとからなるコポリマーの評価が述べられている。しかし、純粋にメタクリレートを基礎とする添加剤と比較してスチレン含有のポリマーの劣化された作用が指摘されており、これは、有効なアルキル側基に関連して”希釈効果”で説明されている。C_(18)を上廻る側鎖を有するポリマー、即ちなかんずくベヘニル(メタ)アクリレートについては、述べられていない。 【0005】 課題および解決 本発明の課題は、殊に種々の原料を使用する場合に種々の溶剤系を使用しながら、パラフィン含有の鉱油留出物を溶剤脱ロウする場合に改善された作用を有するコポリマーまたはポリマーを含有する脱ロウ添加剤を提供することである。殊に効果的な”脱ロウ助剤”は、できるだけ自体公知の出発物質を基礎に提供されており、この場合この出発物質は、石油または石油製品の脱ロウ技術を実施した際に本質的な変化を伴なうことがない。 【0006】 この課題および他の説明されなかった課題は、次式AおよびB: 【0007】 【化1】 〔式中、 R^(1)は、HまたはCH_(3)であり、 R^(2)は、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、N-ピロリドニル、N-イミダゾリル、2-ピリジル、4-ピリジルまたはアルキル置換された芳香族置換基を表わすかまたは R^(2)は、COOR^(3)であり、この場合R^(3)は、HであるかまたはR^(3)は、C_(1)?C_(10)を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であるかまたは R^(3)は、ヘテロ原子で置換された基-(CH_(2))_(n)Xであり、この場合Xは、OHであるかまたはXは、N(R^(4))_(2)であり、この場合nは、1?10であり、R^(4)は、それぞれ互いに独立にHであるかまたはR^(4)は、C_(1)?C_(4)-アルキルを表わすかまたは R^(3)は、-(CH_(2)CH_(2)O)_(m)R^(5)を表わし、この場合mは、1?90であり、R^(5)は、HであるかまたはR^(5)は、C_(1)?C_(18)を表わすかまたはR^(3)は、ベンジル基、フェニル基またはシクロヘキシル基を表わすかまたはR^(2)は、CONHR^(6)であり、この場合R^(6)は、HであるかまたはR^(6)は、C_(1)?C_(10)を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わすかまたは R^(6)は、ヘテロ原子で置換された基-(CH_(2))_(n)Xを表わし、この場合Xは、OHであるかまたはXは、N(R^(4))_(2)であり、この場合nは、1?10であり、R^(4)は、それぞれ互いに独立にHを表わすかまたはR^(4)は、C_(1)?C_(4)-アルキルを表わす 〕 【0008】 【化3】 〔式中、 R^(7)は、HであるかまたはCH_(3)であり、 基R^(8)は、HであるかまたはC_(18)?C_(24)-を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である〕で示されるラジカル重合されたモノマーからなるコポリマーまたはポリマー混合物を含有する脱ロウ添加剤によって解決される。 【0010】 実施 式A: 【0011】 【化3】 〔式中、 R^(3)は、HまたはCH_(3)であり、 R^(2)は、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、N-ピロリドニル、N-イミダゾリル、2-ピリジル、4-ピリジルまたはアルキル置換された芳香族置換基を表わすかまたは R^(2)は、COOR^(3)であり、この場合R^(3)は、HであるかまたはR^(3)は、C_(1)?C_(10)を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であるかまたは R^(3)は、ヘテロ原子で置換された基-(CH_(2))_(n)Xであり、この場合Xは、OHであるかまたはXは、N(R^(4))_(2)であり、この場合nは、1?10であり、R^(4)は、それぞれ互いに独立にHであるかまたはR^(4)は、C_(1)?C_(4)-アルキルを表わすかまたは R^(3)は、-(CH_(2)CH_(2)O)_(m)R^(5)を表わし、この場合mは、1?90であり、R^(5)は、HであるかまたはR^(5)は、C_(1)?C_(18)を表わすかまたはR^(3)は、ベンジル基、フェニル基またはシクロヘキシル基を表わすかまたはR^(2)は、CONHR^(6)であり、この場合R^(6)は、HであるかまたはR^(6)は、C_(1)?C_(10)を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わすかまたは R^(6)は、ヘテロ原子で置換された基-(CH_(2))_(n)Xを表わし、この場合Xは、OHであるかまたはXは、N(R^(4))_(2)であり、この場合nは、1?10であり、R^(4)は、それぞれ互いに独立にHを表わすかまたはR^(4)は、C_(1)?C_(4)-アルキルを表わす〕で示されるモノマーは、例えばスチレン、α-メチルスチレン、α-ビニルナフタリンまたはβ-ビニルナフタリン、α-ビニルフェナントレンまたはβ-ビニルフェナントレン、N-ビニルピロリドン、2-ビニルピリジンまたは4-ビニルピリジンまたはこれらの例えばアルキル置換された誘導体である。 【0012】 本発明による(コポリマー)ポリマーを得ることができる組成物は、殊に異なるアルコール基を有する(メタ)アクリレート、マレエートおよび/またはフマレートを含有する。(メタ)アクリレートの表現は、メタクリレートおよびアクリレートならびにこれら双方からなる混合物を含む。更に、前記モノマーは、公知である。この場合、アルキル基は、直鎖状、環状または分枝鎖状であることができる。 【0013】 例は、飽和アルコールから誘導される、(メタ)アクリレート、フマレートおよびマレエート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、第三ブチル(メタ)アクリレートおよびペンチル(メタ)アクリレート; シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート; 不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば2-プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートおよびビニル(メタ)アクリレートである。 【0014】 他の成分としては、重合すべき組成物を含むことができる:飽和アルコールから誘導される、(メタ)アクリレート、フマレートおよびマレエート、例えばヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-第三ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3-イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5-メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5-メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート; 不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えばオレイル(メタ)アクリレート; シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば3-ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート;ならびに相応するフマレートおよびマレエート。 【0015】 他の成分のための例は、飽和アルコールから誘導される、(メタ)アクリレート、例えばヘキサデシル(メタ)アクリレート、2-メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5-イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4-第三ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5-エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3-イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレートおよび/またはエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート; シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば2,4,5-トリ-第三ブチル-3-ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5-テトラ-第三ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート;オキシラニルメタクリレート、例えば10,11-エポキシヘキサデシルメタクリレート;ならびに相応するフマレートおよびマレエート。 【0016】 長鎖状(メタ)アクリレートは、例えばC_(10)?C_(40)-アルカノールのアクリルエステルから構成されているかまたはC_(18)?C_(24)-アルカノール、例えばベヘニルアルコールの型のアクリルエステルから構成されている。 【0017】 特に、(メタ)アクリル酸とC_(12)?C_(18)-炭化水素基、例えば平均的C数14を有するアルカノールとのエステル、例えばDOBANOL(登録商標)25L(Shell AG社の製品)と獣脂アルコールとの混合物、さらに獣脂アルコールと別のアルコール、例えばイソデシルアルコールとの混合物が挙げられる。 【0018】 長鎖状アルコール基を有するエステル化合物は、例えば(メタ)アクリレート、フマレート、マレエートおよび/または相応する酸と長鎖状脂肪アルコールとを反応させることによって得ることができ、この場合には、一般にエステル、例えば種々の長鎖状アルコール基を有する(メタ)アクリレートの混合物が生じる。なかんずく、Monsanto社のOxo Alcohol(登録商標)7911およびOxo Alcohol(登録商標)7900、Oxo Alcohol(登録商標)1100;ICI社のAlphanol(登録商標)79;Condea社のNafol(登録商標)610、Alfol(登録商標)610およびAlfol(登録商標)810;Ethyl Corporation社のEpal(登録商標)610およびEpal(登録商標)810;Shell AG社のLinevol(登録商標)79、Linevol(登録商標)911およびDobanol(登録商標)25L;Augusta(登録商標)Mailand社のLial 125;Henkel KGaA社のDehydad(登録商標)およびLorol(登録商標)ならびにLonopol(登録商標)7-11およびAcropol(登録商標)91 Ugine Kuhlmannは、前記の脂肪アルコールに属する。 【0019】 エチレン系不飽和エステル化合物の中で、マレエートおよびフマレートと比較して(メタ)アクリレートは、特に好ましい。 【0020】 同様に適当な成分は、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、例えば 3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、 3,4-ジヒドロキシブチルメタクリレート、 2-ヒドロキシエチルメタクリレート、 2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、 2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、 1,10-デカンジオール(メタ)アクリレート; アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばN-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、 3-ジエチルアミノペンチルメタクリレート、 3-ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート; (メタ)アクリル酸のニトリルおよび別の窒素含有メタクリレート、例えば N-(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、 N-(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、 メタクリロイルアミドアセトニトリル、 2-メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、 シアノメチルメタクリレート; アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジルメタクリレートまたは フェニルメタクリレート、この場合アリール基は、それぞれ置換されていなくともよいし、4回まで置換されていてよく; カルボニル含有メタクリレート、例えば 2-カルボキシエチルメタクリレート、 カルボキシメチルメタクリレート、 オキサゾリジニルエチルメタクリレート、 N-(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、 アセトニルメタクリレート、 N-メタクリロイルモルホリン、 N-メタクリロイル-2-ピロリジノン、 N-(2-メタクリロイルオキシエチル)-2-ピロリジノン、 N-(3-メタクリロイルオキシプロピル)-2-ピロリジノン、 N-(2-メタクリロイルオキシペンタデシル)-2-ピロリジノン、 N-(3-メタクリロイルオキシヘプタデシル)-2-ピロリジノン; グリコールメタクリレート、例えば1,4-ブタンジオールメタクリレート、2-ブトキシエチルメタクリレート、 2-エトキシエトキシメチルメタクリレート、 2-エトキシエチルメタクリレート; エーテルアルコールのメタクリレート、例えば テトラヒドロフルフリルメタクリレート、 ビニルオキシエトキシエチルメタクリレート、 メトキシエトキシエチルメタクリレート、 1-ブトキシプロピルメタクリレート、 1-メチル-(2-ビニルオキシ)エチルメタクリレート、 シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、 メトキシメトキシエチルメタクリレート、 ベンジルオキシメチルメタクリレート、 フルフリルメタクリレート、 2-ブトキシエチルメタクリレート、 2-エトキシエトキシメチルメタクリレート、 2-エトキシエチルメタクリレート、 アリルオキシメチルメタクリレート、 1-エトキシブチルメタクリレート、 メトキシメチルメタクリレート、 1-エトキシエチルメタクリレート、 エトキシメチルメタクリレート; ハロゲン化されたアルコールのメタクリレート、例えば 2,3-ジブロモプロピルメタクリレート、 4-ブロモフェニルメタクリレート、 1,3-ジクロロ-2-プロピルメタクリレート、 2-ブロモエチルメタクリレート、 2-ヨードエチルメタクリレート、 クロロメチルメタクリレート; オキシラニルメタクリレート、例えば 2,3-エポキシブチルメタクリレート、 3,4-エポキシブチルメタクリレート、 10,11-エポキシウンデシルメタクリレート、 2,3-エポキシシクロヘキシルメタクリレート; グリシジルメタクリレート; 燐含有メタクリレート、硼素含有メタクリレートおよび/または珪素含有メタクリレート、例えば 2-(ジメチルホスフェート)プロピルメタクリレート、 2-(エチレンホスファイト)プロピルメタクリレート、 ジメチルホスフィノメチルメタクリレート、 ジメチルホスホノエチルメタクリレート、 ジエチルメタクリロイルホスホネート、 ジプロピルメタクリロイルホスフェート、2-(ジブチルホスホノ)エチルメタクリレート、 2,3-ブチレンメタクリロイルエチルボレート、 メチルジエトキシメタクリロイルエトキシシラン、 ジエチルホスフェートエチルメタクリレート; 硫黄含有メタクリレート、例えば エチルスルフィニルエチルメタクリレート、 4-チオシアナトブチルメタクリレート、 エチルスルホニルエチルメタクリレート、 チオシアナトメチルメタクリレート、 メチルスルフィニルメチルメタクリレート、 ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド; トリメタクリレート、例えば トリメチロイルプロパントリメタクリレート; ビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニル、弗化ビニル、塩化ビニリデンおよび弗化ビニリデン; 複素環式(メタ)アクリレート、例えば2-(1-イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、 2-(4-モルホリニル)エチル(メタ)アクリレートおよび1-(2-メタクリロイルオキシエチル)-2-ピロリドン; ビニルエステル、例えば酢酸ビニルエステル; スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα-メチルスチレンおよびα-エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエンおよびp-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレン; 複素環式ビニル化合物、例えば2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、3-エチル-4-ビニルピリジン、2,3-ジメチル-5-ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9-ビニルカルバゾール、3-ビニルカルバゾール、4-ビニルカルバゾール、1-ビニルイミダゾール、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、N-ビニルピロリドン、2-ビニルピロリドン、N-ビニルピロリジン、3-ビニルピロリジン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾールおよび水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾールおよび水素化ビニルオキサゾール;ビニルエーテルおよびイソプレニルエーテル; マレイン酸およびマレイン酸誘導体、例えばマレイン酸のモノエステルおよびジエステル、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミド; フマル酸およびフマル酸誘導体、例えばフマル酸のモノエステルおよびジエステル; ジエン、例えばジビニルベンゼンである。 【0021】 特に好ましい混合物は、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートおよび/またはスチレンを有する。 【0022】 前記成分は、単独で使用されてもよいし、混合物として使用されてもよい。 【0023】 式B: 【0024】 【化4】 〔式中、 R^(7)は、HであるかまたはCH_(3)であり、 基R^(8)は、鎖長C_(18)?C_(24)のアルキル基である〕で示される成分は、自体公知の既述されたような長鎖状(メタ)アクリレートである。 【0025】 この成分は、例えばベヘニルアルコールの型のC_(12)?C_(40)-アルカノールの(メタ)アクリルエステルまたはC_(16)?C_(32)-アルカノールの(メタ)アクリルエステルまたはC_(18)?C_(24)-アルカノールから構成されている。 【0026】 更に、(メタ)アクリル酸とC_(12)?C_(18)-炭化水素基、例えば平均的C数14を有するアルカノールとのエステル、例えばDOBANOL(登録商標)25L(Shell AG社の製品)と獣脂アルコールとの混合物、さらに獣脂アルコールと別のアルコール、例えばイソデシルアルコールとの混合物が挙げられる。 【0027】 モノマーの重合は、同様に自体公知の方法で実施されることができる。 【0028】 好ましくは、ラジカル重合は、脱ロウすべき基質と相容性の溶剤中、例えば鉱油中で行なわれる。常用の重合開始剤、例えばペルオキソ化合物、殊に過酸エステル、例えば第三ブチルペルピバレート、第三ブチルペルオクトエート、第三ブチルペルベンゾエート等は、常用の量、例えばモノマーに対して0.1?5質量%、有利に0.3?1質量%で使用される(Th.Voelker,H.Rauch-Puntigam,Acryl-und Methacrylverbindungen.Springer-Verlag 1967)。 【0029】 同様に自体公知の方法で、バッチ量には、分子量調節剤、殊にメルカプタン、例えばドデシルメルカプタンが常用の量で、例えばモノマーに対して0.01?2質量%で添加されることができる。好ましくは、保護ガス、例えばCO_(2)、窒素またはアルゴンの下で作業される。 【0030】 好ましくは、モノマーを、撹拌機を装備した適当な重合容器中で溶剤に溶解し、場合によっては調節剤および開始剤と一緒に、例えばCO_(2)ドライアイス(Schnee)を用いて脱ガスし、引続き加熱するようにして行なう。 【0031】 拠り所として、例えば80℃±10℃が当てはまる。開始剤は、落下形式で加熱された混合物に添加されることができる。場合によっては、さらにモノマーおよび開始剤ならびに調節剤が供給される。温度は、一般にさらに、例えば140℃±10℃に上昇する。場合によっては、熱の供給および/またはさらに開始剤の供給によって、後重合に適した条件で製造されることができる。全重合は、一般に12時間である。 【0032】 好ましい実施態様において、本発明による(コポリマー)ポリマーは、コポリマーの全質量に対してモノマーAの全質量0.1?70%、有利に0.5?50%、特に有利に5?30%を含有する。 【0033】 モノマーAは、好ましくはモノマーであるスチレン、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートの1種または複数種からなることができる。 【0034】 同様に好ましい実施態様において、モノマーBの場合には、モノマーの少なくとも50%は、C_(16)以上の鎖長のアルキル基R^(8)を含有する。 【0035】 本発明によるポリマー混合物は、1つ以上の前記コポリマーと共に、ポリアルキルメタクリレートでありかつ鎖長C_(1)?C_(24)または鎖長C_(12)?C_(18)のアルキル置換基を有する1個以上の他のホモポリマーまたはコポリマーを含有することができる。このためには、既述された化合物を使用することができる。 【0036】 前記のポリマー混合物の場合、コポリマーと他のホモポリマーまたはコポリマーとの比は、好ましくは1:20?20:1、有利に1:10?10:1、特に有利に1:5?5:1である。 【0037】 ポリマー混合物中に場合によっては含有されている他のホモポリマーまたはコポリマーは、好ましい実施態様において、C_(1)?C_(10)-メタクリレートを20質量%まで含有するポリアルキルメタクリレートである。 【0038】 使用されるコポリマーまたはポリマーの分子量は、10000?3000000g/モル、100000?1500000g/モル、150000?800000g/モルまたは200000?500000g/モルである。 【0039】 分子量の測定は、ゲル透過クロマトグラフィーにより行なうことができる(Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,第巻,第209頁,第749頁,J.Wiley 1982)。 【0040】 ポリマー成分の製造は、自体公知の方法でバッチ法で行なうことができ、この場合全部の使用されるモノマーは、受器中に装入されるか、または流入法で行なうことができる。製造は、流入法で行なうこともでき、この場合ポリマー混合物のポリマーの少なくとも1つは、合成され、この場合には、モノマー組成に関連して異なるポリマーが存在しているポリマー混合物を製造する目的で、少なくともモノマー受器中で使用されるモノマーの1つの濃度は、別の使用されるモノマー種と比較して高められている。 【0041】 本発明によるコポリマーまたはポリマー混合物は、脱ロウ添加剤の製造に使用され、この場合には、場合によっては他の常用の添加剤は、脱ロウ添加剤に添加される。 【0042】 殊に、脱ロウ添加剤は、パラフィン型またはナフテン型の油中または有機溶剤中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液であってよい。 【0043】 この場合、1つの好ましい実施態様において、有機溶剤は、トルエン、キシレンおよび/またはナフサである。 【0044】 石油を基礎とする脱ロウに適したロウ含有基質に関連して、本方法の表明された制限は、全く確認することができないが、しかし、実際の視点では殊にロウ含有留出物の油、殊に約300?約600℃の沸騰範囲、15℃での約0.08?0.09g/ccの密度、約10?20cSt/100℃の粘度、約30?50℃の”流動点”および約10?約2質量%のロウ含量(無水)を有するロウ含有留出物の油がこれに該当する。沸騰範囲300?600℃の潤滑油および特殊な油を含む留分の留出物の油、殊に約400?450℃の平均沸点を有する留分の留出物の油は、特に重要である。 【0045】 本発明によれば、溶剤の脱ロウに使用される溶剤は、同様に通常使用されるものに相当する。次のものが重要である: 常圧下で150℃未満の沸点を有する脂肪族炭化水素、その中で、自己冷却するガス、例えばプロパン、プロピレン、ブタン、ペンタン、さらにイソオクタン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、ケトン、例えばアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、場合によってはハロゲン化された炭化水素、例えば塩化メチレン、ジクロロエタンまたはN-アルキルピロリドン、例えばN-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン。 【0046】 また、好ましいのは、溶剤の混合物、例えばケトンと芳香族炭化水素、例えばメチルエチルケトン/トルエンまたはメチルイソブチルケトン/トルエンの混合物である。 【0047】 本発明による方法の場合の溶剤Lの添加は、通常の量、例えば脱ロウすべき基質に対して0.1?10体積部、有利に2?7体積部で行なわれる。 【0048】 パラフィン含有鉱油留出物の溶剤脱ロウのために脱ロウ添加剤を使用する場合には、コポリマーまたはポリマー混合物の添加率は、脱ロウ法で0.005?0.5%ppm、殊に0.01?0.3%ppmまたは0.05?0.18%ppmである。 【0049】 意外なことに、種々の原料中のアルキルアクリレート、殊にベヘニルアクリレート(=C_(18?24))とスチレンとのコポリマーは、種々の溶剤系を使用しながら、相応するスチレン不含のポリマーよりも効果的な脱ロウ助剤であることが見出された。このスチレン不含のポリマー系は、公知技術水準に相応する。これは、個々の成分間の比較、即ちポリ-ベヘニルアクリレート-コ-スチレンとポリベヘニルアクリレートとの比較ならびにスチレン含有混合成分とスチレン不含の混合成分との比較に該当する。即ち、ポリベヘニル-コ-スチレン/ポリメタクリレート混合系は、ポリベヘニル/ポリメタクリレート混合物よりも有効である。これまでに公知の混合成分との比較における改善は、米国特許第4451353号明細書の記載と同様に直鎖状ポリ-アルキル-メタクリレートを含有する混合系との対比において明らかであり、また、分枝鎖状ポリ-アルキル-メタクリレートを含有する混合系との対比において明らかである。 【0050】 同様に、スチレンと共に、別のモノマーをベヘニルアクリレートとのコポリマー中に組み込むことにより新規の脱ロウ添加剤が生じ、この脱ロウ添加剤は、スチレン系と同様に意外なことに、公知技術水準と比較して改善された脱ロウの結果を生じることが見出された。即ち、例えばコポリマーは、例外なくポリベヘニルアクリレートポリマーよりも良好にベヘニルアクリレートおよびそれぞれn-ブチルメタクリレート、イソノニルメタクリレートまたはベンジルメタクリレートから構成されていた。 【0051】 前記に述べたことは、次に記載された実施例によって、殊に測定された濾過速度につき明らかに示されている。 【0052】 実施例9は、スチレン/ベヘニルアクリレートコポリマーP1とポリメタクリレートP7(直鎖状の側鎖を有するC_(12)?C_(18)-ポリメタクリレートとしてのP7)とからなる混合物が欧州の精製工場の600N原料中で、スチレン不含の類縁物V1とポリマーP7との混合物と比較して僅かな濾過時間を可能にすることを示す。同様に、P1とP8(P8は、P7よりも著しく分枝された側鎖を有するC_(12)?C_(18)-ポリメタクリレートである)とからなる混合物は、前記原料中で公知技術に相当する、スチレン不含のV1とP8との混合物よりも明らかに良好であった。スチレン不含の添加剤の改善された作用を証明する他の例は、同様に欧州の600N原料中のV1とP6との混合物からなる比較試料と対比してP1とC_(16)?C_(18)-ポリメタクリレートとの混合物を提供する。同様に、例11において、単独成分P1も比較試料V1と比較して僅かな濾過時間をもたらすことを明らかに確認することができる。 【0053】 スチレン含有の系について取得される認識は、2つの選択的な原料における試験につき付加的に基礎が固められた(例10および11参照)。脱ロウの研究は、タイ国の精製工場の500N原料においてn-ヘプタン中で(例10)、P1とP6との3:8混合物から生じる濾過時間またはP1とP7との3:8混合物から生じる濾過時間がこれら双方の場合において、V1とP6とからなる混合物と比較して僅かであることを証明している。例11は、南米からの精製工場の300N原料を用いての脱ロウの研究を再び記載している。この例は、本明細書中で説明された原理が付加的な原料に拡大するだけでなく、選択的な溶剤系にも拡大されていることを証明している。メチルエチルケトン/トルエン中での濾過実験は、P1/P6混合物がV1とV6との混合物と比較して改善された濾過時間を生じることを示す。 【0054】 例9のためにも利用された同様の600N原料におけるn-ヘプタン中で実施された例12は、スチレンとベヘニルアクリレートとのコポリマーだけでなく、別のモノマー型とベヘニルアクリレートとのコポリマーがポリベヘニルアクリレートよりも効果的であることを示す。実際に、スチレン含有の添加剤P1は、最高の結果を生じるが、しかし、n-ブチルメタクリレート/ベヘニルアクリレートコポリマーは、前記の添加剤P1にひけをとらないことを確認することができた。同様に、ベンジルメタクリレート/ベヘニルアクリレートコポリマーP2、ならびにイソノニルメタクリレート/ベヘニルアクリレートコポリマーP5を用いる脱ロウの研究は、ベヘニルアクリレートポリマーV1を用いて得ることができた結果と比較して明らかに多大な成果を収めた。 【0055】 潤滑油を製造する場合には、粗製油の真空蒸留による洗浄留出物は、最初に芳香族化合物および複素環式化合物の溶剤抽出によって取り除かれる。この結果、老化安定性および粘度指数の改善が生じる。ラフィネートは、なお大量のパラフィンロウを含有し、相応して高いストック点(Stockpunkt)を有する。従って、パラフィンは、溶剤のパラフィン化によって大部分が除去される。それに加えて、ラフィネートには、適当な溶剤が添加され、例えばメチルエチルケトン-トルエン混合物およびジクロロエタン-ジクロロメタン混合物またはプロパンが使用される。更に、-20℃未満の温度に冷却され、晶出されたパラフィンロウは、ドラム型フィルターを介して分離される。添加剤の添加なしに生成されるようなパラフィン結晶小片は、フィルターに入れられ、大量の油が閉じ込められる(スラックロウ)。従って、濾過速度は、脱ロウの場合にしばしば僅かであり、油収率は、最適ではない。処理パラメーター、例えば冷却速度、溶剤混合物の組成、濾過温度および希釈度を変えることによって反対にすることができる。しかし、処理の最適化は、ポリマーの脱ロウ助剤(Dewaxing Aids)によって達成することもできる。このような脱ロウ助剤は、パラフィン結晶の寸法および形に影響を及ぼし、したがって溶剤-油混合物にタイして透過性の多孔質フィルターケーキを形成するコンパクトな構造体を生じる。濾過速度および油収率は、こうして著しく上昇させることができる。 【0056】 刊行物の記載から、殊にエピタキシャル的に例えばポリアルキルアクリレートからなるベシクル上で成長する多数のパラフィン結晶小板のコンパクトな付随物が理想的な組織および高い多孔度のフィルターケーキを形成させることは、公知である。 【0057】 メタクリレートまたはアクリレート以外のモノマー種を含有しないポリアルキルメタクリレートおよびポリアルキルアクリレートは、特許明細書中にもその他の刊行物中にも脱ロウ助剤として詳細に記載されている。個々の成分ならびに種々のポリ(メタ)アクリレート系の混合物は、効果的な脱ロウ助剤として設けられている。 【0058】 濾過速度を測定するための実験室内での濾過試験の実施: 実験室内で適当なポリマーの選択を実施することができるようにするために、油収率および濾過速度の測定を可能にする、実験室用濾過装置を我々は開発した。殊に、濾過速度は、適当な脱ロウ助剤を選択するための重要な判断基準であることが証明された。 【0059】 濾過装置は、蓋および冷却外被を備えた鋼製フィルターからなり、低温用サーモスタットを用いて循環路内で冷却される。精製工場の脱ロウ装置からなる濾布が使用される。フィルター体積は、100mlである。フィルターは、2路コックを備えたガラスキャップを介して測定シリンダーと結合されている。油回転バルブポンプ、圧力減少弁およびマノメーターを用いて、濾過装置に定義された真空を引くことができる。脱ロウすることができる鉱油留出物は、熱時に典型的には70℃になるが、しかし、全ての場合に曇り点を上廻り、脱ロウ溶剤ならびに脱ロウ助剤が添加され、澄明な溶液が生じるまで攪拌される。更に、定義された速度での温度制御により、望ましい濾過温度に冷却される。フィルターは、前記温度の予め冷却される。 【0060】 全ての濾過条件、例えば溶剤:原料比、溶剤混合物を使用した場合の溶剤の割合、冷却速度および濾過温度は、それぞれの精製工場で使用された条件に相当する。 【0061】 濾過温度の達成後、混合物は、前冷却されたフィルター中に移され、真空に引かれる。典型的には、300?700ミルバールの低圧で作業される。更に、濾過体積は、時間に依存して定められる。濾過は、液体がもはや濾布を浸透しない場合に終結される。 【0062】 添加剤は、以下の実施例により製造されたように、油中でのポリマー溶液として脱ロウ実験で使用された。また、別の溶剤型は、脱ロウ助剤の担持媒体として、それによって作用の差異が確認されることなく使用されることができる。 【0063】 実施例 使用されたベヘニルアクリレートは、Sidobre Sinovaから購入されたものであり、さらに後処理することなく直ちに使用された。ベヘニル基中での典型的なC原子数の分布は、C_(18)(40.0?46.0%)、C_(20)(8.0?14.0%)、C_(22)(42.0?48.0%)に相当する。別のメタクリレートモノマー型の基準源は、次の製造工程に一緒に記載されている。粘度の記載は、ηsp/c(CHCl_(3)、20℃)により行なわれる。 【0064】 例1 ベヘニルアクリレートとスチレンとのコポリマーの製造P1 サーベル撹拌機(Saebelruehrer)および還流冷却器を備えた三口フラスコ中にベヘニルアクリレート306g(例えば、Sidobra Sinova社のベヘニルアクリレート45%)、スチレン34g、100N油60gおよびドデシルメルカプタン0.34gを窒素保護ガス雰囲気下で装入し、80℃に加熱する。引続き、第三ブチルペルピバレート0.64gおよび第三ブチルペルベンゾエート0.38gを添加し、重合を開始させる。温度のピークに達してから2時間後に、第三ブチルペルベンゾエート0.68gを添加し、130℃で10?12時間、さらに重合させる。 M_(W)(GPC、PMMA較正)=490000g/モル ηsp/c(CHCl_(3)、20℃)=50.7ml/g 濃稠化効果(150N油中で4.5%);12.68mm^(2)/s 例2 ベヘニルアクリレートとベンジルメタクリレートとのコポリマーの製造P2 サーベル撹拌機(Saebelruehrer)および還流冷却器を備えた三口フラスコ中にベヘニルアクリレート306g(例えば、Sidobra Sinova社のベヘニルアクリレート45%)、ベンジルメタクリレート34g(製造業者:Roehm GmbH & Co.KG,Darmstadt)、100N油60gおよびドデシルメルカプタン0.51gを80℃に加熱する。引続き、第三ブチルペルピバレート0.64gおよび第三ブチルペルベンゾエート0.38gを添加し、重合を開始させる。温度のピークに達してから2時間後に、第三ブチルペルベンゾエート0.68gを添加し、130℃で10?12時間、さらに重合させる。 M_(W)(GPC、PMMA較正)=645000g/モル ηsp/c(CHCl_(3)、20℃)=48.9ml/g 濃稠化効果(150N油中で4.5%);12.84mm^(2)/s 例4 ベヘニルアクリレートとn-ブチルメタクリレートとのコポリマーの製造P4 サーベル撹拌機(Saebelruehrer)および還流冷却器を備えた三口フラスコ中にベヘニルアクリレート229.5g(例えば、Sidobra Sinova社のベヘニルアクリレート45%)、n-ブチルメタクリレート25.5g(製造業者:Roehm)、100N油45gおよびドデシルメルカプタン0.255gを80℃に加熱する。引続き、第三ブチルペルピバレート0.48gおよび第三ブチルペルベンゾエート0.29gを添加し、重合を開始させる。温度のピークに達してから2時間後に、第三ブチルペルベンゾエート0.60gを添加し、130℃で10?12時間、さらに重合させる。 M_(W)(GPC、PMMA較正)=474000g/モル ηsp/c(CHCl_(3)、20℃)=52.1ml/g 濃稠化効果(150N油中で4.5質量%);13.09mm^(2)/s 例5 ベヘニルアクリレートとイソノニルメタクリレートとのコポリマーの製造P5 サーベル撹拌機(Saebelruehrer)および還流冷却器を備えた三口フラスコ中にベヘニルアクリレート229.5g(例えば、Sidobra Sinova社のベヘニルアクリレート45%)、イソノニルメタクリレート25.5g(例えば、メチルメタクリレートから出発してエステル交換により製造された、Oxeno Olefinchemie GmbH,Marlのイソノニルアルコールのメタクリレート)、100N油45gおよびドデシルメルカプタン0.255gを80℃に加熱する。引続き、第三ブチルペルピバレート0.48gおよび第三ブチルペルベンゾエート0.29gを添加し、重合を開始させる。温度のピークに達してから2時間後に、第三ブチルペルベンゾエート0.60gを添加し、130℃で10?12時間、さらに重合させる。 M_(W)(GPC、PMMA較正)=503000g/モル ηsp/c(CHCl_(3)、20℃)=48.1ml/g 濃稠化効果(150N油中で4.5質量%);13.12mm^(2)/s 例6 ポリ(C16-18-アルキルメタクリレート)の製造P6 サーベル撹拌機(Saebelruehrer)および還流冷却器を備えた三口フラスコ中に100N油5.0gを窒素保護ガス雰囲気下に装入し、120℃に加熱する。引続き、C_(16)?_(18)-アルキルメタクリレート113.6g(例えば、メチルメタクリレートから出発してエステル交換により製造された、Procter & Gamble社のTA1618E-アルコールのメタクリレート)、100N油17.4g、第三ブチルペル-2-エチル-ヘキサノエート0.56gおよびドデシルメルカプタン0.12gからなる混合物を60分間で供給する。0.5時間後、第三ブチルペル-2-エチル-ヘキサノエート0.75gを添加し、10?12時間、さらに重合させる。重合の終結後、100N油264.0gで希釈する。 濃稠化効果(150N油中で15質量%);12.83mm^(2)/s 例7 ポリ(C12-18-アルキルメタクリレート)の製造P7 重合釜中にC16-18アルキルメタクリレート1350kg(例えば、メチルメタクリレートから出発してエステル交換により製造された、Procter & Gamble社のアルコールTA1618Eのメタクリレート)、C_(12?14)-アルキルメタクリレート3150kg(例えば、メチルメタクリレートから出発してエステル交換により製造された、Cognis社のアルコールLorol Spezialのメタクリレート)、100N油1125kgならびにドデシルメルカプタン1.9kgを装入し、この混合物を120℃に加熱する。100N油200kg中の第三ブチルペル-2-エチル-ヘキサノエート4kgの溶液を準備し、モノマー混合物に3つの連続した計量供給工程で供給する。開始剤を第1の工程で1時間に亘り40kg/hの計量供給速度で供給し、第2の計量供給工程で40分間に亘り60kg/hの計量供給速度で供給する。第三ブチル-2-エチル-ヘキサノエート4.5kgを残りの開始剤溶液中に溶解し、生じる溶液を45分間で164kg/hの計量供給速度で添加する。約1時間、さらに重合させる。 【0065】 例8 ポリ(C_(12?18)-アルキルメタクリレート)の製造P8 サーベル撹拌機(Saebelruehrer)および還流冷却器を備えた三口フラスコ中にC_(12?18)-アルキルメタクリレート17.8g(例えば、それぞれメチルメタクリレートから出発してエステル交換により製造された、Shell Chemicals社のアルコールNeodol 25EのメタクリレートおよびProcter & Gamble社のTA1618E-アルコールのメタクリレートの78:22混合物を基礎とする)ならびに100N油160gを窒素保護ガス雰囲気下で装入し、85℃に加熱する。引続き、第三ブチルペル-2-エチルヘキサノエート1.8gを添加し、重合を開始させる。同時に、C_(12?18)-アルキルメタクリレート622.2gと第三ブチルペル-2-エチルヘキサノエート1.6gとの混合物の添加を開始し、3.5時間に亘って供給する。更に、2時間後、第三ブチルペル-2-エチルヘキサノエート1.28gで85℃で10?12時間さらに重合させる。重合の終結後、100N油800gで希釈する。 濃稠化効果(150N油中で10%);16.31mm^(2)/s 例9 新規のスチレン含有コポリマーを有する、欧州の精製工場の600N原料を用いての脱ロウ研究によるmlでの濾過体積 溶剤系:n-ヘプタン 原料:溶剤比=1:2 実施:1)70℃での混合、2)25℃で浴中で30分間、3)-30℃で浴中で60分間 濾過温度:-30℃。 【0066】 【表1】 【0067】 例10 タイ国の500N原料を用いての脱ロウ研究によるmlでの濾過体積 溶剤系:n-ヘプタン 原料:溶剤比=1:2 実施:1)70℃での混合、2)25℃で浴中で30分間、3)-30℃で浴中で90分間 濾過温度:-30℃。 【0068】 【表2】 【0069】 例11 南米の精製工場の300N原料を用いての脱ロウ研究によるmlでの濾過体積 溶剤系:メチルエチルケトン55%/トルエン45% 原料:溶剤比=1:3 実施:1)70℃での混合、2)25℃で浴中で30分間、3)-18℃で浴中で60分間 濾過温度:-18℃。 【0070】 【表3】 【0071】 例12 新規のコポリマーを有する欧州の精製工場の600N原料を用いての脱ロウ研究によるmlでの濾過体積 溶剤系:n-ヘプタン 原料:溶剤比=1:2 実施:1)70℃での混合、2)25℃で浴中で30分間、3)-18℃で浴中で60分間 濾過温度:-30℃。 【0072】 【表4】 【0073】 比較例 ポリベヘニルアクリレートの製造V1 サーベル撹拌機(Saebelruehrer)および還流冷却器を備えた三口フラスコ中にベヘニルアクリレート255g(例えば、Sidobra Sinova社のベヘニルアクリレート45%を基礎とする)、100N油45gおよびドデシルメルカプタン0.13gを窒素保護ガス雰囲気下で装入し、80℃に加熱する。引続き、第三ブチルペルピバレート0.41gおよび第三ブチルペルベンゾエート0.25gを添加し、重合を開始させる。温度のピークに達してから2時間後に、第三ブチルペルベンゾエート0.51gを添加し、その後に130℃で10?12時間、さらに重合させる。 ηsp/c(CHCl_(3)、20℃)=42ml/g 濃稠化効果(150N油中で4.5質量%);12.19mm^(2)/s。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 次式AおよびB: 【化1】 〔式中、 R^(1)は、HまたはCH_(3)であり、 R^(2)は、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、N-ピロリドニル、N-イミダゾリル、2-ピリジル、4-ピリジルまたはアルキル置換された芳香族置換基を表わすかまたは R^(2)は、COOR^(3)であり、この場合R^(3)は、HであるかまたはR^(3)は、C_(1)?C_(10)を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であるかまたは R^(3)は、ヘテロ原子で置換された基-(CH_(2))_(n)Xであり、この場合Xは、OHであるかまたはXは、N(R^(4))_(2)であり、この場合nは、1?10であり、R^(4)は、それぞれ互いに独立にHであるかまたはR^(4)は、C_(1)?C_(4)-アルキルを表わすかまたは R^(3)は、-(CH_(2)CH_(2)O)_(m)R^(5)を表わし、この場合mは、1?90であり、R^(5)は、HであるかまたはR^(5)は、C_(1)?C_(18)を表わすかまたはR^(3)は、ベンジル基、フェニル基またはシクロヘキシル基を表わすかまたはR^(2)は、CONHR^(6)であり、この場合R^(6)は、HであるかまたはR^(6)は、C_(1)?C_(10)を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わすかまたは R^(6)は、ヘテロ原子で置換された基-(CH_(2))_(n)Xを表わし、この場合Xは、OHであるかまたはXは、N(R^(4))_(2)であり、この場合nは、1?10であり、R^(4)は、それぞれ互いに独立にHを表わすかまたはR^(4)は、C_(1)?C_(4)-アルキルを表わす〕および 【化2】 〔式中、 R^(7)は、HであるかまたはCH_(3)であり、 基R^(8)は、C_(18)?C_(24)-を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である〕で示されるラジカル重合可能なモノマーからなるロウ含有鉱油留出物を溶剤脱ロウするための添加剤の製造に適したコポリマーまたはポリマー混合物を含有する脱ロウ添加剤。 【請求項2】 コポリマーの全質量に対するモノマーAの質量分が0.1?70%であるコポリマーを含有する、請求項1記載の脱ロウ添加剤。 【請求項3】 モノマーBは、モノマーの少なくとも50%がC_(16)以上の鎖長のアルキル基R^(8)であるコポリマーを含有する、請求項1または2記載の脱ロウ添加剤。 【請求項4】 モノマーAが、モノマーであるスチレン、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートの1種または複数種からなるコポリマーを含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。 【請求項5】 請求項1から4までのいずれか1項に記載の1個以上のコポリマーならびにポリアルキルメタクリレートでありかつ鎖長C_(1)?C_(24)のアルキル置換基を有する1個以上のその他のホモポリマーまたはコポリマーを含有するポリマー混合物を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。 【請求項6】 他のホモポリマーまたはコポリマーが鎖長C_(12)?C_(18)のアルキル置換基を有するポリマー混合物を含有する、請求項5記載の脱ロウ添加剤。 【請求項7】 コポリマーと他のホモポリマーまたはコポリマーとの比が1:20?20:1であるポリマー混合物を含有する、請求項5または6記載の脱ロウ添加剤。 【請求項8】 他のホモポリマーまたはコポリマーがC_(1)?C_(10)-メタクリレート20質量%までを含有するポリアルキルメタクリレートであるポリマー混合物を含有する、請求項5から7までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。 【請求項9】 使用されたポリマーの分子量が10000?3000000g/モルの間にあるコポリマーまたはポリマー混合物を含有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。 【請求項10】 脱ロウ添加剤がパラフィン型またはナフテン型の油中または有機溶剤中のコポリマーまたはポリマー混合物の溶液である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤。 【請求項11】 有機溶剤がトルエン、キシレンおよび/またはナフサである、請求項10記載の脱ロウ添加剤。 【請求項12】 パラフィン含有の鉱油留出物を溶剤脱ロウする方法において、請求項1から11までのいずれか1項に記載の脱ロウ添加剤を使用することを特徴とする、パラフィン含有の鉱油留出物を溶剤脱ロウする方法。 【請求項13】 脱ロウ法におけるコポリマーまたはポリマー混合物の添加率が0.005?0.5%である、請求項12記載の方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2014-06-10 |
出願番号 | 特願2003-573042(P2003-573042) |
審決分類 |
P
1
41・
832-
Y
(C08F)
P 1 41・ 856- Y (C08F) P 1 41・ 854- Y (C08F) P 1 41・ 852- Y (C08F) P 1 41・ 855- Y (C08F) |
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
小野寺 務 |
特許庁審判官 |
田口 昌浩 須藤 康洋 |
登録日 | 2010-10-15 |
登録番号 | 特許第4605750号(P4605750) |
発明の名称 | ロウ含有鉱油留出物を溶剤脱ロウするための添加剤の製造に適したコポリマーまたはポリマー混合物を含有する脱ロウ添加剤ならびにパラフィン含有の鉱油留出物を溶剤脱ロウする方法 |
代理人 | 久野 琢也 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 久野 琢也 |