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審決分類 |
審判 一部無効 2項進歩性 C03C 審判 一部無効 1項3号刊行物記載 C03C |
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管理番号 | 1290047 |
審判番号 | 無効2013-800180 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2013-09-19 |
確定日 | 2014-07-22 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3635635号発明「合わせガラス用中間膜及び合わせガラス」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯の概要 本件特許3635635号に係る出願(以下、「本件出願」という。)は、平成11年9月30日(優先権主張 平成10年9月30日 日本国、平成11年2月18日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成17年1月14日にその発明について特許権の設定登録がなされたもので、その後の手続の経緯の概要は次のとおりである。 平成19年 3月12日 別件訂正審判の請求 (訂正2007-390032号) 同年 6月12日 訂正審決(訂正を認める。) 平成24年 4月27日 別件無効審判の請求 (無効2012-800064号) 同年 7月20日 別件訂正請求 同年12月10日 別件無効審判の審決 (訂正を認める。審判の請求は成り立たない。) 平成25年 9月19日 本件無効審判の請求 同年12月20日 審判事件答弁書の提出 平成26年 1月17日 審理事項通知書 同年 3月 7日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人) 同年 4月 4日 同 (被請求人) 同年 4月17日 上申書の提出(請求人) (以下、「第1の上申書」という。) 同年 4月18日 口頭審理 同年 5月19日 上申書の提出(被請求人) 同 日 上申書の提出(請求人) (以下、「第2の上申書」という。) 第2 本件発明 本件特許第3635635号の特許請求の範囲の請求項1、3?6に係る発明(以下、請求項の順に「本件発明1」、「本件発明2」などといい(ただし、請求項2に係る発明は本件無効審判請求の対象としていないので、本件発明2以降の従属項に係る発明は、請求項2に係る発明を引用した部分を除いたものである。)、これらを総称して「本件発明」という。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項1、3?6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 平均アセタール化度が66?72モル%のポリビニルアセタール100重量部とトリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、オリゴエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート及びテトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエートからなる群より選択される少なくとも1種の可塑剤30?50重量部とからなる可塑化ポリビニルアセタール中に、炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも2種の塩、又は、炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩と炭素数2?10のカルボン酸のカリウム塩とを組み合わせた少なくとも2種の塩が合計60ppm以上含有されてなる可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜からなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。 【請求項3】 厚さ2.0?4.0mmの2枚のガラスで挟み込んで合わせガラスを作製した後、前記合わせガラスを80℃、相対湿度95%の環境下に2週間放置した際の端辺からの白化距離が7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項4】 ポリビニルアセタールは、平均ブチラール化度が66?72モル%のポリビニルブチラールであることを特徴とする請求項1又は3記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項5】 塩の含有量は、150ppm以下であることを特徴とする請求項1、3又は4記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項6】 請求項1、3、4又は5記載の合わせガラス用中間膜が用いられていることを特徴とする合わせガラス。」 第3 審判請求人の主張 請求人は、「本件特許の請求項1、3、4、5及び6にかかる発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めており、その理由と証拠方法は次のとおりである。 1 無効理由 (1)本件発明は、本件優先日前に頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、その特許は特許法第29条第1号第3号に該当する発明に対してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (2)本件発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 2 証拠方法 審判請求人は、審判請求書に添付して甲第1号証ないし甲第7号証を提出し、口頭審理陳述要領書に添付して甲第8号証ないし甲第19号証を提出し、第2の上申書に添付して甲第20号証ないし甲第22号証を提出した。 甲第1号証:特開平7-41340号公報 甲第2号証:東レリサーチセンターによる「合わせガラス中間膜の白化距離測定」と題する平成25年9月5日付け結果報告書 甲第3号証:平成24年12月10日付け無効審判審決 甲第4号証:浅沼芳聡氏による平成25年9月9日付け実験報告書 甲第5号証:JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」 甲第6号証:村井孝一他「油脂を原料とした可塑剤の研究(第1報)ひまし油、椰子油低級脂肪酸を原料とした可塑剤について」 油脂化学協会誌3巻1号2?6頁(1954年) 甲第7号証:米国特許第2229222号明細書 甲第8号証:特開昭58-67701号公報 甲第9号証:特公平2-10785号公報 甲第10号証:特公平3-67980号公報 甲第11号証:特公平6-25005号公報 甲第12号証:特公平7-13097号公報 甲第13号証:特公昭61-46425号公報 甲第14号証:特開平9-31124号公報 甲第15号証:特開平11-287797号公報 甲第16号証:化学大事典編集委員会編、化学大辞典7、1989年8月15日、第896頁、「ふってん」 甲第17号証:沸点換算図表、東京化成工業株式会社 甲第18号証:特開昭57-200250号公報 甲第19号証:特開平3-170543号公報 甲第20号証:浅沼芳聡氏による平成26年5月14日付け実験報告書 甲第21号証:平成12年(行ケ)第238号 審決取消請求事件判決 甲第22号証:特開2000-211952号公報 第4 被請求人の主張 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、」との審決を求めており、証拠方法として、口頭審理陳述要領書に添付して乙第1号証ないし乙第5号証を提出し、上申書に添付して乙6号証を提出した。 乙第1号証:米国特許第6383647号明細書 乙第2号証:米国特許第6586103号明細書 乙第3号証:欧州特許出願公開第1036775号明細書 乙第4号証:欧州特許出願公開第1291333号明細書 乙第5号証:欧州特許出願公開第1762550号明細書 乙第6号証:角田竜太氏による平成26年5月19日付け実験成績証明書 第5 当審の判断 1 刊行物に記載された発明 (1)甲1の記載事項 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、カルボン酸金属塩および直鎖脂肪酸を含有する樹脂組成物より形成されている合わせガラス用中間膜。」 (イ)「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、合わせガラス用中間膜及びその中間膜を用いた合わせガラスに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、合わせガラスは、建築用及び自動車のフロントガラス用等に広く使用されている。この合わせガラスの代表的なものとして、可塑化されたポリビニルアセタール樹脂組成物からなる中間膜を、一対のガラス板の間に熱圧着して介装したものが知られている。」 (ウ)「【0004】このような合わせガラスとしての機能を満足するためには、中間膜とガラス板との接着力をある範囲内に調整する必要がある。ガラス板と中間膜との接着力が小さい合わせガラスでは、外部からの衝撃によってガラス破片が中間膜より剥がれて飛散してしまい、逆に、接着力が大きい場合には、ガラス板と中間膜とが同時に割れてしまう。 ・・・・ 【0006】そこで、従来からガラス板と中間膜との接着力を所定の範囲に設定できるように、中間膜用の接着力調整剤が種々検討されており、今日では、接着力調整剤として、主にカルボン酸金属塩、特に経時変化の小さい炭素数の少ないカルボン酸金属塩が用いられている(例えば、特公昭47-1305号公報参照)。 ・・・ 【0009】ところが、カルボン酸金属塩を添加した中間膜を合わせガラスに使用した場合、耐湿性に問題がある。すなわち、湿度の高い雰囲気中に置かれた場合、合わせガラスの周縁では中間膜が直接空気と接触しているため、カルボン酸金属塩の量に応じて周辺部の中間膜が白化してしまう。 【0010】合わせガラス周辺部の白化を少なくするには、カルボン酸金属塩の量を少なくすることが最も効果があるが、カルボン酸金属塩の量を少なくすると、合わせガラスと中間膜との接着力が高くなり過ぎるという新たな問題が発生する。」 (エ)「【0011】 【発明が解決しようとする課題】この発明は上記の問題を解決するもので、その目的とするところは、合わせガラスの飛散防止性および耐貫通性に優れ、かつ屋外暴露、紫外線照射による接着力の低下も少なく、しかも湿度の高い雰囲気中に置かれた場合でも合わせガラス周辺部の白化低下が少ない合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】この発明の合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、カルボン酸金属塩および直鎖脂肪酸を含有する樹脂組成物より形成されており、そのことにより上記の目的が達成される。 【0013】また、この発明の合わせガラスは、一対のガラス板の間あるいはシートとガラス板との間に、上記の合わせガラス用中間膜が介装されており、そのことにより上記の目的が達成される。」 (オ)「【0014】この発明の合わせガラス用中間膜に使用される樹脂組成物は、ポリビニルアセタール樹脂を含有する。このポリビニルアセタール樹脂としては、従来安全ガラス用の中間膜用樹脂として用いられている種類の樹脂が使用でき、具体的にはブチラール化度60?70モル%、重合度1000?2000のポリビニルブチラールが好適に使用される。」 (カ)「【0015】また、この発明の合わせガラス用中間膜に使用される樹脂組成物は、可塑剤を含有する。この可塑剤としては、エチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、1,3-プロピレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、1,4-プロピレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、1,4-ブチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、1,2-ブチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキソエート、ジプロピレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、トリエチエレングリコール-ジ-2-エチルペントエート、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキソエート、テトラエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、トリエチレングリコールジカプリエート、ジヘキシルアジペート等が挙げられる。」 (キ)「【0017】また、この発明の合わせガラス用中間膜に使用される樹脂組成物は、カルボン酸金属塩を含有する。このカルボン酸金属塩としては、脂肪族モノまたはジカルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩が好ましく用いられる。金属成分としては、各種挙げられるが、特に好ましくはMg,Ca,Zn,K等、またカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、琥珀酸、アジピン酸等が挙げられる。 【0018】カルボン酸金属塩の具体例としては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸カリウム、酪酸マグネシウム、酪酸ナトリウム、カプロン酸マグネシウム、カプロン酸ナトリウム、2-エチルカプロン酸マグネシウム、2-エチルカプロン酸ナトリウム、カプリル酸マグネシウム、カプリル酸ナトリウム、琥珀酸マグネシウム、琥珀酸ナトリウム、アジピン酸マグネシウム、アジピン酸ナトリウムなどが挙げられる。特に好ましくは酢酸マグネシウム、酢酸カリウムである。これらは単独で使用しても良いが、併用することも可能である。」 (ク)「【0026】 【作用】中間膜にカルボン酸金属塩と直鎖脂肪酸とが共存すると相乗効果を示し、カルボン酸金属塩の含有量が少なくても、中間膜のガラス板またはシートに対する接着力が大きく低下する。それゆえ、カルボン酸金属塩の含有量を従来より減量しても、中間膜の接着力を所望の範囲に調整することができる。したがって、中間膜の接着力を調整しながら中間膜中のカルボン酸金属塩の含有量を少なくすることができるので、合わせガラス周辺部の白化を減少させることができる。」 (ケ)「【0029】 【実施例】以下、実験例を挙げて、この発明に係る合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの利点を説明する。 実験例1?25 ポリビニルアセタール樹脂(ポリビニルブチラール樹脂、重合度1700、ブチラール化度65モル%、アセチル化度1モル%、残存ビニルアルコール34モル%)100重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、酸化防止剤0.2重部を配合し、これに表1?5に示すようにカルボン酸金属塩(酢酸マグネシウム)、直鎖脂肪酸(n-ヘキサン酸、n-オクタン酸)、分岐脂肪酸(2-エチルブタン酸、2-ヘキサン酸)を配合する。 ・・・ 【0031】得られた25種類のシート(中間膜)をガラス板の間に挟み込み、ロール法で予備接着した。次いで、140℃のオートクレーブで13 kg/cm^(2)の圧力で圧着して、25種類の透明な合わせガラスを得た。得られた合わせガラスについて、下記の方法でパンメル試験を行った。その結果を表1?5に示す。」 (コ)「【0043】 【表1】 ![]() 【表2】 ![]() 【表5】 ![]() 」 (2)甲1に記載された発明 ア 請求項1に記載された発明 記載事項(ア)によれば、甲1には、「ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、カルボン酸金属塩および直鎖脂肪酸を含有する樹脂組成物より形成されている合わせガラス用中間膜。」に関する発明が記載されている(以下、「甲1A発明」という。)。 イ 実験例23に記載された発明 また、同(ケ)及び(コ)の【表5】によれば、甲1の実験例23には、 「ブチラール化度65モル%のポリビニルブチラール樹脂 100重量部、 可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート 40重量部、 紫外線吸収剤 0.2重量部、 酸化防止剤 0.2重量部、 酢酸マグネシウム 0.017重量部、及び n-オクタン酸 0.05重量部、 を含有する合わせガラス用中間膜」に関する発明(以下、「甲1B発明」という。)が記載されている。 ウ 実験例10に記載された発明 同じく、同(ケ)及び(コ)の【表2】によれば、甲1の実験例10には 「ブチラール化度65モル%のポリビニルブチラール樹脂 100重量部、 可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート 40重量部、 紫外線吸収剤 0.2重量部、 酸化防止剤 0.2重量部、 酢酸マグネシウム 0.017重量部、及び 2-エチルブタン酸 0.1重量部、 を含有する合わせガラス用中間膜」に関する発明(以下、「甲1C発明」という。)が記載されている。 エ 実験例4に記載された発明 同じく、同(ケ)及び(コ)の【表1】によれば、甲1の実験例4には、 「ブチラール化度65モル%のポリビニルブチラール樹脂 100重量部、 可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート 40重量部、 紫外線吸収剤 0.2重量部、 酸化防止剤 0.2重量部、及び 酢酸マグネシウム0.033重量部 を含有する合わせガラス用中間膜」に関する発明(以下、「甲1D発明」という。)が記載されている。 2 無効理由1について 請求人は、本件発明は甲1A発明と同一であると主張するので、この点について検討する。 (1)一致点と相違点 ア 一致点 甲1A発明における合わせガラス用中間膜のポリビニルアセタール樹脂は、可塑剤を含むので可塑化ポリビニルアセタール樹脂である。 また、甲1A発明で含有する「カルボン酸金属塩」は、本件発明1における「炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩」と「炭素数2?10のカルボン酸のカリウム塩」の上位概念である。 そこで、本件発明1と甲1A発明とは、 「ポリビニルアセタール、可塑剤、カルボン酸金属塩を含有する可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜からなる合わせガラス用中間膜。」に関する発明である点で一致し、次の点で相違する。 イ 相違点 ・相違点1:本件発明1では直鎖脂肪酸を必須の構成成分とするものではないのに対し、甲1A発明では構成成分とする点。 ・相違点2:ポリビニルアセタールの平均アセタール化度を、本件発明1では「66?72モル%」に特定しているのに対し、甲1A発明では特定しない点。 ・相違点3:可塑剤に関し、本件発明1では「トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(以下、「3G8」という。)、オリゴエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート及びテトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエートからなる群より選択される少なくとも1種の可塑剤30?50重量部」とするのに対し、甲1A発明では、可塑剤を特定の化合物に特定せず含有量も特定しない点。 ・相違点4:カルボン酸金属塩に関し、本件発明1では「炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも2種の塩、又は、炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩と炭素数2?10のカルボン酸のカリウム塩とを組み合わせた少なくとも2種の塩が合計60ppm以上」含有すると特定するのに対し、甲1A発明では、特定の化合物に特定せず含有量も特定しない点。 (2)判断 相違点3及び4の可塑剤とカルボン酸金属塩に関し、これを上位概念で規定する甲1A発明に対し、本件発明は、該上位概念に属する特定の化合物に限定して下位概念で表現するものである。そこで、本件発明1で規定する特定の化合物が、甲1A発明として甲1に記載されているといえるかを検討する。 ア 甲1に記載された発明の技術的意義 甲1には、合わせガラス用中間膜に関する発明が記載されている。従来から、合わせガラスは自動車のフロントガラス用等に広く使用されていたが(記載事項(イ))、ガラス板と中間膜との接着力をある範囲内に調整する必要があり、接着力調整剤としてカルボン酸金属塩が使用されていた。しかし、カルボン酸金属塩は合わせガラスの耐湿性に問題を生じ、これを多く含有すると合わせガラスの周縁部が白化してしまうが、含有量を少なくすると合わせガラスと中間膜との接着力が高くなりすぎるという問題が発生する(同(ウ))。 そこで、甲1に記載された発明は、この問題を解決し、合わせガラスの飛散防止と耐貫通性に優れ耐湿性を高めることを目的とし、その手段として、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、カルボン酸金属塩及び直鎖脂肪酸を含有する組成物を採用するものである(同(エ))。 甲1に記載された発明は、特に、中間膜中にカルボン酸金属塩と直鎖脂肪酸とが共存することにより、中間膜の接着力を調整しながら合わせガラス周縁部の白化を減少させるという相乗効果を達成する(同(ク))。 イ 相違点3について 甲1には、使用する可塑剤として多数のものが列挙されており、その中に、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキソエート(3G8)が挙げられている(同(カ))。 しかし、上記した甲1に記載された発明の技術的意義を踏まえ、さらに、甲1には、可塑剤として3G8を使用してもよいことが記載されているにとどまり、3G8を使用したものが実施例として記載されていないことも併せ考慮すれば、甲1には、可塑剤として3G8を使用することは、例示されている複数の可塑剤の一つとして記載されているものに過ぎない。 このため、甲1には、例示されている複数の可塑剤のうち特に3G8を使用するという特定の発明が記載されていると認めることができない。 なお、可塑剤としての3G8の使用について本件明細書の記載を検討すると、本件発明1では、本件明細書の段落【0011】の記載によれば、従来使用されていた可塑剤の中から3G8を含む特定の可塑剤を選択することにより、オートクレーブ火災やトリムカット性の問題を著しく改善するものである。 しかし、甲1には、この課題が認識されていないことは、上記した甲1A発明の技術的意義から明らかであるので、この点からも、甲1には、可塑剤として3G8を使用するという特定の発明が記載されているとすることはできない。 したがって、相違点3に係る可塑剤に関し、本件発明1と甲1A発明が実質的に同一であるとすることはできない。 ウ 相違点4について 甲1には、カルボン酸金属塩としては、炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩と炭素数2?10のカルボン酸のカリウム塩である多数の化合物が例示列挙されており、さらに、これらを単独で使用してもよいが併用することができる旨の記載もある(同(キ))。 しかし、相違点3についての判断と同様に、上記した甲1に記載された発明の技術的意義を踏まえ、さらに、甲1には、2種のカルボン酸金属塩を併用してもよいことが記載されているにとどまり、2種のカルボン酸金属塩を併用したものが実施例として記載されていないことも併せ考慮すれば、甲1には、2種のカルボン酸金属塩を併用することは、例示されているカルボン酸金属塩の一つの使用態様として記載されているものに過ぎない。 このため、甲1には、2種のカルボン酸金属塩を併用するという特定の発明が記載されていると認めることができない。 エ 小括 したがって、相違点3及び4に係る可塑剤とカルボン酸金属塩に関し、本件発明1と甲1A発明が実質的に同一であるとすることはできないので、相違点1及び2について検討するまでもなく、本件発明1は甲1に記載されているとすることはできない。 また、本件発明1が甲1A発明と同一ではないので、本件発明1の特定事項を全て有し、さらに別の特定事項を有する本件発明2?5も、甲1に記載された発明とすることができない。 3 無効理由2について 次に、請求人は、本件発明は、甲1A、1B、1C、1D発明に基づいて、当業者が容易になしえたものであると主張するので、これについて検討する。 3-1 甲1A発明に基づく容易想到性 1 一致点と相違点 本件発明1と甲1A発明との一致点と相違点は、「2 無効理由1について」の(1)に記載したとおりのものである。 2 判断 (1)相違点3について ア 容易想到性 そこで、これらの相違点のうち、まず、相違点3の可塑剤に関する特定事項に想到することが、当業者が容易になしうることであるかを検討する。 本件発明1において可塑剤として3G8等を使用するのは、沸点が高いために揮発が抑制される可塑剤を選択することにより、オートクレーブ時における火災を防止し、トリムカット性を改善することにある(本件明細書の段落【0005】【0011】)。 これに対し、上記「2 無効理由1について」、(2)、アで述べたとおり、甲1に記載された発明は、中間膜中にカルボン酸金属塩と直鎖脂肪酸とを共存させることにより、中間膜の接着力を調整しながら合わせガラス周縁部の白化を減少させることに特徴がある発明であり、使用する可塑剤に関して、オートクレーブ時の火災発生やトリムカット性の問題を改善するために、沸点の高い可塑剤を選択することについて、甲1には記載も示唆もない。また、次のイで述べるように、合わせガラスの製造において、オートクレーブ時の火災発生やトリムカット性の問題を改善することが周知の課題とはいえない。 このため、甲1において例示列挙された多数の可塑剤の中から、本件発明1で特定する可塑剤を選択することについて、甲1の記載や周知技術からは、その動機付けをみいだすことができないので、相違点3に係る特定事項に想到することは当業者が容易に想到することとはいえない。 これに関し、請求人は、甲1の記載事項(ウ)には、多数の可塑剤として例示列挙されたものの中に、本件発明1で使用する3G8が例示されていること、及び3G8と3G6は構造式が類似し、二者択一的に使用することが公知であるので(甲8?13)、甲1A発明において可塑剤として3G8を選択することは当業者が容易に想到するものである旨を主張する。 しかし、上記したとおり、甲1には、多数の可塑剤の中から特に3G8を選択することについての動機付けがないので、これを容易に想到することができるとすることはできない。 イ 課題が周知とはいえないこと 請求人は、可塑剤の飛散を抑制してオートクレーブ火災を防止する課題は、当業者が当然に考慮する課題である旨を主張する(口頭審理陳述要領書第18頁)。 具体的には、加熱を伴う製造過程において火災を発生しないようにするという課題は、当業者が当然に考慮する課題であるとする。しかし、本件におけるようなオートクレーブを使用する合わせガラスの製造において、火災発生を防ぐという課題が当業者に認識されていたということは、具体的には明らかにされていない。 また、請求人は、合わせガラス用中間膜の技術分野において、蒸発しにくく沸点が高い可塑剤が好ましいことは周知であるとして、甲18及び甲19を提示する。 しかし、甲18には、合わせガラスの長期使用中に中間膜の周縁部から可塑剤が揮発することの問題点が記載されているにとどまるので(第3頁右下欄5?8行)、中間膜の製造工程での課題を記載するものではない。 また、甲19には、「特に高温で真空負圧の条件を生じるエアオートクレーブ積層方式を使用する場合、中間層からの可塑剤の損失を最低にするため低いVRが望ましい」と記載され(第9頁左上欄3?6行)、同第8頁左下欄の第1表によれば、VRは揮発比を意味する。しかし、甲19に記載された発明は、「広範に調和のとれた性能特性」及び「紫外線に対し色が安定でエッジ剥離抵抗性の改良された組成物及び中間層を提供すること」(第3頁左下欄1?8行)を目的とし、その組成物及び層の特性評価の1つの観点として揮発性を測定するものである(第7頁右上欄2?6行)。このため、上記の「中間層からの可塑剤の損失を最低にするため低いVRが望ましい」ことは、膜のエッジ剥離抵抗性を評価するための尺度として理解されるべきである。 このため、甲19の記載からは、中間膜の製造過程におけるオートクレーブ時の火災発生やトリムカット性の問題を改善といった課題を見出すことはできない。 したがって、請求人の提示する甲18及び甲19を参照しても、可塑剤の飛散を抑制し、オートクレーブ火災を防止する課題は、当業者が当然に考慮する周知の課題であるとすることはできない。 ウ 以上のとおりであるので、相違点3に係る特定事項を採用することは、当業者が容易に想到するとすることはできない。 (2)相違点2について 甲1A発明ではポリビニルアセタール樹脂の平均アセタール化度を特定していないが、これを本件発明1で特定する「66?72モル%」の数値範囲に限定することの容易想到性について検討する。 これに関し、本件発明で平均アセタール化度を調整するのは、本件明細書の段落【0016】の記載によれば、使用する可塑剤との相溶性、及び耐貫通性に必要な力学物性の確保が目的である。 これに対し、甲1の記載事項(オ)には、合わせガラス用中間膜に使用される樹脂組成物には、従来安全ガラス用の中間膜用樹脂として用いられていたポリビニルブチラール樹脂が用いられ、そのブチラール化度は60?70モル%であると記載されている。このため、甲1A発明では、従来使用されていたポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度を採用するのみで、特定の可塑剤との関係で相溶性を確保するために特定のブチラール化度を選択することについて、その動機付けとなる記載はないしこれを示唆する記載もない。 したがって、甲1A発明においてポリビニルアセタール樹脂の平均アセタール化度を調整して「66?72モル%」を採用することは、甲1の記載に基づいて当業者が容易に想到するものとすることはできない。 これに関し請求人は、甲1には、ブチラール化度60?70モル%のポリビニルブチラールが好適に使用されること、及び、ポリビニルブチラール樹脂と可塑剤との相溶性を担保すべく、可塑剤の種類及び量に応じて、用いるポリビニルブチラールのブチラール化度を適宜調整することは技術常識であるとして、甲14及び甲15を提示する(口頭審理陳述要領書第27頁、同第10頁)。 しかし、甲1には多数の可塑剤が例示列挙されており、特定の可塑剤を選択することについて記載されていないので、甲14及び甲15記載の技術常識を甲1A発明に組み合わせても、特定の可塑剤に好適とされる「66?72モル%」との平均アセタール化度を導くことはできない。 したがって、甲1A発明において、相違点2に係る特定事項を採用することは、当業者が容易に想到することとすることができない。 (3)請求人の主張について 請求人は、カルボン酸金属塩を2種類併用した場合と1種類用いた場合とでは、(1)白化距離に変化がないので、本件発明1に耐湿性に関し顕著な効果はないこと(審判請求書第21頁のウ、口頭審理陳述要領書第21頁の(3)及び第26頁、第2の上申書第5頁の第2の1、甲4、甲22)、(2)パンメル値においても顕著な効果はないこと(口頭審理陳述要領書の第25頁のウ、第2の上申書第6頁の2、甲22)を主張する。また、本件発明1と甲1A発明とは耐湿試験(白化距離)のレベルに大きな差がないこと(第2の上申書第2頁の第1、甲20)を主張する。 しかし、本件においては、相違点2及び3において、本件発明1は甲1A発明から容易に想到することができたとはいえないので、請求人の主張は審決の結論に影響しない。 3 小括 以上のとおりであるので、相違点2及び3に係る特定事項を採用することは、当業者が容易に想到することができたといえないので、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1A発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものとすることはできない。 本件発明1の特定事項を全て有する本件発明2?5も、同様の理由から、甲1A発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものとすることはできない。 3-2 甲1B発明に基づく容易想到性 1 一致点と相違点 (1)一致点 甲1B発明の「ポリビニルブチラール樹脂」は本件発明1における「ポリビニルアセタール樹脂」に包含され、甲1B発明の「ブチラール化度」は、本件発明1の「平均アセタール化度」に対応する。また、甲1B発明の「ポリビニルブチラール樹脂」は可塑剤を含有しているので、可塑化ポリビニルブチラール樹脂である。 また、甲1B発明の「酢酸マグネシウム」は、本件発明1における「炭素数2のカルボン酸マグネシウム塩」に該当し、その含有量は、合わせガラス用中間膜に対して120.9ppm(0.017/(100+40+0.2+0.2+0.017)=0.0001209=120.9ppm)である。このため、甲1B発明と本件発明1は、カルボン酸金属塩を60ppm以上含有する点で共通する。 また、甲1B発明では、紫外線吸収剤と酸化防止剤は、その機能から見て、甲1B発明の任意成分であることは明らかである。 とすると、本件発明1と甲1B発明とは、 「ポリビニルアセタール 100重量部と 可塑剤 40重量部と 可塑化ポリビニルアセタール中にカルボン酸金属塩を60ppm以上含有する可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜からなる合わせガラス用中間膜」 に関する発明である点で一致し、次の点で相違する。 (2)相違点 ・相違点5:本件発明1ではn-オクタン酸を必須の構成成分とするものではないのに対し、甲1B発明では構成成分とする点。 ・相違点6:ポリビニルアセタールの平均アセタール化度が、本件発明1では66?72モル%であるのに対し、甲1B発明では65モル%である点。 ・相違点7:可塑剤が、本件発明1では、3G8、オリゴエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート及びテトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエートからなる群より選択される少なくとも1種であるのに対し、甲1B発明では、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート(以下、「3G6」という。)である点。 ・相違点8:カルボン酸金属塩に関し、本件発明1では、「炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも2種の塩、又は、炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩と炭素数2?10のカルボン酸のカリウム塩とを組み合わせた少なくとも2種」を併用するのに対し、甲1B発明では、酢酸マグネシウムを使用する点。 2 判断 (1)相違点7について 上記「3-1 甲1A発明に基づく容易想到性」の「2 判断」の(1)ア、イに示したように、甲1では、オートクレーブ時の火災発生やトリムカット性の問題を改善すること、すなわち、沸点の高い可塑剤を選択することについて、解決すべき課題として認識されていないし、本件優先日前に周知の課題であるとすることができなので、甲1には、沸点に着目して可塑剤を選択するという動機付けがない。 このため、甲1B発明において使用する3G6に代えて3G8を使用することは、甲1の記載や技術常識をもってしても、当業者が容易になしえたとすることはできない。 したがって、甲1B発明において相違点7に係る特定事項を採用することは、当業者が容易になしえたものではない。 (2)相違点6について 同じく「2 判断」の(2)に示すように、甲1には、特定の可塑剤を選択することについて記載も示唆もされていない。このため、甲14及び甲15の技術常識を甲1B発明に組み合わせたとしても、ポリビニルアセタールの平均アセタール化度を、甲1B発明における65モル%から66?72モル%に変更することは、当業者が容易に想到することはできない。 したがって、甲1B発明において、相違点6に係る特定事項を採用することは、当業者が容易に想到することとすることができない。 3 小括 以上のとおりであるので、甲1B発明において相違点6及び7に係る特定事項を採用することは、当業者が容易に想到することができたといえないので、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1B発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものとすることはできない。 本件発明1の特定事項を全て有する本件発明2?5も、同様の理由から、甲1B発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものとすることはできない。 3-3 甲1C発明に基づく容易想到性 1 一致点と相違点 同様にして、本件発明1と甲1C発明との一致点と相違点は次のとおりとなる。 (1)一致点 「ポリビニルアセタール 100重量部と 可塑剤 40重量部と 可塑化ポリビニルアセタール中にカルボン酸金属塩を60ppm以上含有する可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜からなる合わせガラス用中間膜」 (2)相違点 ・相違点9:本件発明1では2-エチルブタン酸を必須の構成成分とするものではないのに対し、甲1C発明では構成成分とする点。 ・相違点10:ポリビニルアセタールの平均アセタール化度が、本件発明1では66?72モル%であるのに対し、甲1C発明では65モル%である点。 ・相違点11:可塑剤が、本件発明1では、3G8、オリゴエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート及びテトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエートからなる群より選択される少なくとも1種であるのに対し、甲1C発明では、3G6である点。 ・相違点12:カルボン酸金属塩に関し、本件発明1では、「炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも2種の塩、又は、炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩と炭素数2?10のカルボン酸のカリウム塩とを組み合わせた少なくとも2種」を併用するのに対し、甲1C発明では酢酸マグネシウムを使用する点。 2 判断 本件発明1と甲1C発明との相違点10及び11は、上記「3-2 甲1B発明に基づく容易想到性」において検討した、本件発明1と甲1B発明との相違点6及び7と同じである。 このため、甲1B発明におけると同様の理由から、本件発明1?5は、甲1C発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものとすることはできない。 3-4 甲1D発明に基づく容易想到性 1 一致点と相違点 同様にして、本件発明1と甲1D発明との一致点と相違点は次のとおりとなる。 (1)一致点 「ポリビニルアセタール 100重量部と 可塑剤 40重量部と 可塑化ポリビニルアセタール中にカルボン酸金属塩を60ppm以上含有する可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜からなる合わせガラス用中間膜」 (2)相違点 ・相違点13:ポリビニルアセタールの平均アセタール化度が、本件発明1では66?72モル%であるのに対し、甲1D発明では65モル%である点。 ・相違点14:可塑剤が、本件発明1では、3G8、オリゴエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート及びテトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエートからなる群より選択される少なくとも1種であるのに対し、甲1D発明では、3G6である点。 ・相違点15:カルボン酸金属塩に関し、本件発明1では、「炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも2種の塩、又は、炭素数2?10のカルボン酸のマグネシウム塩と炭素数2?10のカルボン酸のカリウム塩とを組み合わせた少なくとも2種」を併用するのに対し、甲1D発明では酢酸マグネシウムを使用する点。 2 判断 本件発明1と甲1D発明との相違点13及び14は、上記「3-2 甲1B発明に基づく容易想到性」において検討した、本件発明1と甲1B発明との相違点6及び7と同じである。 このため、甲1B発明におけると同様の理由から、本件発明1?5は、甲1D発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものとすることはできない。 第4 むすび 以上のとおり、本件発明についての特許を、請求人の主張する理由及び証拠方法によって無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条によって準用する民事訴訟法64条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-05-20 |
結審通知日 | 2014-05-26 |
審決日 | 2014-06-09 |
出願番号 | 特願2000-572166(P2000-572166) |
審決分類 |
P
1
123・
113-
Y
(C03C)
P 1 123・ 121- Y (C03C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山崎 直也 |
特許庁審判長 |
真々田 忠博 |
特許庁審判官 |
川端 修 吉水 純子 |
登録日 | 2005-01-14 |
登録番号 | 特許第3635635号(P3635635) |
発明の名称 | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス |
代理人 | 藤野 睦子 |
代理人 | 日野 真美 |
代理人 | 北原 潤一 |
代理人 | 特許業務法人 安富国際特許事務所 |
代理人 | 井窪 保彦 |
代理人 | 小松 陽一郎 |
代理人 | 黒田 薫 |
代理人 | 古橋 伸茂 |
代理人 | 辻 淳子 |